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平成15年度農薬毒性評価手法検討調査

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平成15年度農薬毒性評価手法検討調査
環境省ホームページ
1.
農薬生態毒性評価手法検討調査報告書
(平成15年度農薬毒性評価手法検討調査)
平成 16 年 3 月
財団法人
目
1. 背
化学物質評価研究機構
次
景
2. 調査の目的
3. 調査の概要
4. 調査の内容
5. 調 査 結 果
5.1 欧米におけるより実環境に近い生態毒性試験及び評価手法の導入に関する最近の動向
5.2 我が国への追加毒性試験の導入において検討すべき課題
5.3 米国におけるフミン酸を含む水を用いた毒性試験の実施状況に関する調査
5.4 確認試験
6. 追加試験法及び評価手法の我が国への導入に関する考え方
7. 追加試験のガイドラインについて
8. 今後の課題
付属資料1
生物種間の感受性差評価(追加生物種の試験)ガイドライン案
付属資料 1-1 淡水エビ類(ヌカエビ又はミナミヌマエビ)
付属資料 1-2 ヨコエビ(US EPA OPPTS 850. 1020 仮訳)
付属資料 1-3 ユスリカ(策定案及び US ASTM Standard E729 仮訳)
付属資料2
成長段階の感受性差評価(異なる成長段階での試験)ガイドライン案
付属資料 2-1 ふ化仔魚の試験に追加する事項
付属資料 2-2 ミジンコ成体の試験に追加する事項
付属資料3 環境中共存有機物質の影響評価(フミン酸を含む水での試験)ガイドライン案
参考1
水産動植物に対する毒性に係る登録保留基準の改定について(平成 15 年 1 月 30 日/第 6 回
農業資材審議会農薬分科会資料)
参考2
農薬の高次水系リスク評価(HARAP)に関するガイダンス文書
参考3
欧米における公定水生生物毒性試験法
参考4
我が国におけるフミン酸試験濃度の設定について
1. 背景
農薬取締法に基づく農薬登録保留基準につては、平成 15 年 3 月、農薬による水産動植物への影響を
より適切に評価する観点から改正が行われ、個別の農薬ごとに魚類、甲殻類及び藻類への影響を評価し
て環境大臣が基準値を定め、当該農薬に係る環境濃度予測結果が基準値を上回った場合、登録を保留す
ることとなった。改正登録保留基準は平成 17 年 4 月より施行される。
環境大臣が定める基準値は、基本的に既に農林水産省局長通知「農薬登録申請に係る試験成績につい
て」
(以下「テストガイドライン」という。)に基づき農薬登録申請者に提出が義務づけられている、水
産動植物への影響に関する試験(魚類急性毒性試験、ミジンコ類急性遊泳阻害試験及び藻類生長阻害試
験)
(以下「標準試験」という。)成績に基づいて設定することとなる。しかしながら、これらの代表的
生物種を用いて試験した個体への影響濃度を基に実環境における水産動植物資源への影響を外挿する
1
には種々の不確実性が存在することから、より実環境を反映した試験及び評価法の開発が検討課題とな
っている。
2. 調査の目的
実環境における生態影響に関する高次の毒性試験及び評価手法について、国際的にその必要性は認識
されており、欧米においては、近年、具体的な手法の検討が進展しつつある。本調査は、実環境におけ
る水産動植物への影響をより的確に把握するため、これらの試験方法や評価手法を我が国のテストガイ
ドラインに導入する可能性並びに導入可能な具体的な試験方法の調査・検討を行うとともに、試験結果
に基づく基準値設定の考え方を検討することにより、改正登録保留基準の円滑な施行に資することを目
的とする。
付属資料1
生物種間の感受性差評価(追加生物種の試験)ガイドライン案
付属資料 1-1 淡水エビ類(ヌカエビ又はミナミヌマエビ)
農薬の甲殻類への影響試験ガイドライン(案)
環境庁策定ガイドライン案
1988 年 3 月
1. 試験の概要
1) 試験の原理
被験物質を段階的な濃度で含む試験液中に、試験生物を一定時間入れると、各濃度での死亡率
が得られる。死亡率は被験物質の濃度が高くなるに従い大きくなるという関係が得られることが
期待される。この関係を用いて試験生物の 50%が死亡する濃度を求め、被験物質の試験生物への
毒性の強さの指標とする。被験物質の毒性が低い場合は、上限濃度のみでの試験を行い、死亡・
異状がなければ、50%死亡濃度はその濃度以上であると判定する。
2) 定義
予 備 試 験 : 試験実施に先立ち、試験条件、試験方法、濃度範囲を決定するために行う試験
本
試
験 : 予備試験で得られた情報を基に、最終的な急性毒性値を求めるために行う試験
限 度 試 験 : LC50 値を求めるのではなく、適切な濃度においての毒性の有無を調べる試験
試
験
液 : 試験生物を暴露するために用いる被験物質を含んだ液
希
釈
水 : 試験液の調整に用いる被験物質を含まない水
試 験 原 液 : 試験液の調製に用いる被験物質を含む溶液
被 験 物 質 : 試験に用いる農薬原体及び農薬製剤
有 効 成 分 : 農薬としての薬効を発揮するための主たる成分
試 験 期 間 : 予備的な検討から最終的に試験成績を報告するまでの期間
暴 露 期 間 : LC50 値を求めるために試験生物を試験液に暴露した期間
順
化 : 入手した試験生物をそれまでの飼育・生息環境から試験環境条件へ徐々に近付け、
試験環境条件で正常に生息できる状態にする。
蓄
養: 入手した試験生物をそれまでの生息環境と大きく異ならない状態で、あるいは順化
の終了した試験生物を試験に供するまでそのままの状態で飼育しておく。
濃
度 : この試験では添加濃度、実測濃度、設定濃度等の区別を明確にし、それを表示する。
助
剤 : 試験液を調製するために用いる有機溶剤等
換水式試験 : 試験液が流水でない条件下で、試験期間中試験液を一定時間毎に交換する方法での
試験。
流水式試験 : 試験液が一定の割合で連続的に交換される条件下での試験。
値 : ある暴露期間中に試験生物の 50%を死亡させる被験物質濃度
LC50
3) 適用範囲
この試験は水溶性の物質について最も適用しやすい。難水溶性の物質では試験液の調製に助剤
が必要な場合や、試験ができない場合もある。
2
2. 試験物質
1) 被験物質
農薬原体を試験に用いる。製剤についても試験を行う。同一原体であっても、剤型が異なる場
合、それぞれ試験を行う。但し同じ剤型であり有効成分含量が異なる場合は、有効成分含量が最
も高いもので行う。製剤中の有効成分以外の成分が製剤の毒性に大きな影響を与えていると考え
られる場合は、その成分についても試験を行う。
2) 対照物質
対照物質での試験を行うことが好ましいが、現在、この試験で認められた対照物質はない。
ペンタクロロフェノールナトリウム塩や甲殻類に特異的な作用を持つ物質(コリンエステラー
ゼ活性阻害剤、キチン合成阻害剤等)が対照物質の侯補としてあげられる。
3. 試験生物
1) 生物種
この試験では以下の生物種を用いることができる。
淡水甲殻類
オニテナガエビ
Macrobrachium rosenbergii
ヌカエビ
Paratya compressa improvisa
スジエビ
Palaemon(Palaemon)paucidens
2) 成長段階
成体と形態的に異ならず、且つ成熟していない段階のものを用いる。
3) 入手と運搬等
(1) 入手
一つの試験には一ヶ所から同時期に入手した群れを用いる。異なる群れを混合して飼育、
供試してはならない。入手時には、感染症等がないこと、可能な限り同時期に産卵・ふ化し
た群れであることを確認し、ふ化日を記録しておく。少なくとも同じ水槽や池で飼育されて
いる群れを用いる。
天然に生息するものを採捕して用いる場合は、汚染のないと考えられる場所を選び、採集
水域での採集時の pH、水温を測定しておく。
(2) 運搬
入手した試験生物を運搬する場合は、酸素欠乏にならないよう密度を考慮し、温度の変化
の少ない状態でできるだけ短時間で運搬する。
(3) 受入
それまでの生息環境の温度等の環境条件に可能な限り近い条件で収容する。この後は順化
開始まで、そのままの条件で蓄養する。この間、死亡・異常等を観察し、異常が認められれ
ば、廃棄等適切な処置を行う。
4) 順化等
入手した試験生物群から、外観的に異常がなく、その体長の最大が最小の 2 倍を越えない程度
の大きさの揃ったものを選び、試験生物をそれまでの生息環境から試験環境に順化する。順化中
の温度上昇(下降)は 1 日に 2℃以内、塩分濃度は 1 日に 0.5%以内とする。規定の試験条件まで
順化した後試験に用いるまで、その条件で少なくとも 10 日間飼育する。試験環境の背景の色調、
光周期、光の強さ等も試験環境と異ならないようにする。
順化・蓄養においては共喰いの恐れのある生物に対しては、共喰い防止の措置が必要である。
餌はそれぞれの生物に適したものを適量与える。飼育水槽は 1 日に 1 回程度、残餌や汚れを取除
くとともに、外観・行動を観察し、死亡・異常のあるものは観察された時点で除く。
試験開始前 7 日間に死亡・異常個体の数が 10%を越える群れは使用しない。
5) 試験生物数
各濃度区(対照区も含めて)で少なくとも 10 個体とする。
3
試験に用いる群れが大きさなど外観的にバラツキが大きい場合は、10 個体以上用いることが望
ましい。試験上限濃度での限度試験を行う場合は、その濃度では試験区を 2 連にすることが望ま
しい。
6) 試験生物の選別と配置
順化の終わったものから、柔らかいタモ網等を用い、傷害を与えないように試験での必要数を
取り上げ、各濃度の試験液中に無作為に収容する。この取り上げの時も外観的に異常がなく、大
きさの揃ったものを選ぶ。
4. 試験材料、方法と試験環境条件
1) 試験の方式
濃度維持と環境条件のそれぞれの規定を満たすものであれば換水式、流水式のいずれを用いて
も良い。但し、被験物質が農薬製剤、特に粉剤では流水式の試験が困難な場合がある。
2) 試験装置
(1) 試験水槽
試験生物と試験方式に応じて、適切な容量のものでガラス製等不活性な材質のものが望ま
しい。各試験区では同様の水槽を準備する。
共喰いの恐れのある生物に対しては、水槽に 2∼3cm の厚さで砂をしく、個体別に収容で
きる飼育カゴを設置する、固体別の試験水槽で暴露する等の共喰い防止措置が必要である。
試験水槽には試験生物の飛び出しを防止するためフタ等を取付ける。
(2) 温度調節装置
試験生物に適した温度域で±1℃の範囲で温度制御できる恒温槽か温度調節できる部屋を
準備する。
(3) 流水装置の材質等
流水試験ではどのような流水装置を用いても良い。
但し、設定濃度が低い場合は装置、配管への吸着等により濃度低下を招くことがあるため、
装置等は化学物質が吸着しにくい材質を用いる。試験装置への吸着等により著しい濃度低下
が予想される場合は、濃度が安定するまで流し続けた後、試験を開始する。
3) 試験濃度と公比
少なくとも 5 濃度と対照区で試験を行う。試験液の調整に助剤を用いた場合は、助剤対照区も
設ける。試験濃度範囲は予備試験を行い決定する。試験濃度範囲には試験生物の全てが死亡する
濃度、全てが死亡しない濃度が各 1 濃度、一部が死亡する濃度が少なくとも 2 濃度(一方は 50%
死亡の上、一方は下)含まれ、24 時間毎(少なくとも 48 時間以降)の LC50 値が算定できること
が望ましい。少なくとも LC50 値を内挿で求められる濃度と死亡率のデータが必要である。
公比は 1.3∼2 とする。但し、被験物質の性状により、広い濃度範囲で死亡が認められる場合は、
前述の濃度と死亡率の条件を満たす限り、もっと大きな公比でも良い。
試験濃度は製剤では 1,000mg/L、原体では 100mg/L を上限とする。但し、被験物質の性状によ
りこれらの濃度の試験が困難な場合は、技術的に可能な濃度を上限とする。上限濃度で被験物質
の毒性によると考えられる死亡がみられた場合は、これらの上限濃度以上の濃度区を設け可能な
限り LC50 値を求めることが望ましい。
暴露期間中の被験物質の実測濃度は設定濃度の 80%以上あるいは濃度の変動が±10%を越え
ない範囲に保つ。被験物質の性状や設定濃度から、この濃度維持の規定を守ることができなかっ
た場合は説明が必要である。
4
4) 試験液の調製法
被験物質を希釈水に混合するか、必要な濃度の試験原液を調製し、希釈水と混合して試験液を
調製する。試験原液としては可能な限り水溶液を用いることが望ましいが、難水溶性の物質の場
合は水の代わりに試験生物に対して毒性が低いことが知られている有機溶剤を助剤として用い
て原液を調製しても良い。助剤は試験生物に急性的な影響を与えないことが明らかな濃度範囲で
用いる。但し、製剤の場合は可溶化させるための助剤は用いない。
流水式の試験が困難な場合は、試験水槽中の希釈水へ必要量を直接添加して、撹拌し、試験液
とする。粒剤、粉剤など水に混和しない製剤の場合も、粉砕するなど元の剤型を大きく変えるよ
うな処理はしないが、添加後十分撹拌するなど、できるだけ再現性が高くなるような方法で試験
液を調製する。
5) 暴露期間
96 時間を標準とする。72 時間と 96 時間での LC50 値が大きく異なることが予測される場合は、
更に 24 時間から 48 時間延長することが望ましい。
6) 試験液量、流水量及び換水率
試験生物の大きさに応じた試験液量が必要である。換水式で行う場合は少なくとも 2L/g 体重の
水量が必要である。流水式の場合、収容密度は 2g/L 以下、流水量は 2L/g・日以上とする。
7) 水温
20∼28℃の範囲で 25℃を標準とする。温度の変動巾は±1℃以内とする。
8) 溶存酸素濃度
試験温度での飽和酸素濃度の 60%以上に保つ。
9) その他の水質
試験期間中の pH の変動は 1 を越えてはならない。塩分濃度は 0.5%以上の変動があってはなら
ない。
10) 照明
12∼14 時間照明とし、光の強さと質は特に指定しない。
11) 希釈水
清浄な井水を用いる。淡水の場合は水道水を活性炭で脱塩素して用いても良い。濁りがある場
合は砂あるいは水処理用のフィルター等でろ過する。それぞれの人工調製水を用いても良い。用
いた希釈水に関しては天然水の場合は入手先、前処理法、人工水の場合は組成を明記し、一つの
試験では同一ロットの希釈水を用いる。用いる前に十分暴気し酸素を飽和させ、温度調節してお
く。希釈水で試験生物を飼育し、少なくとも一週間以上、死亡や観察可能な異常が認められない
ことが必要である。
12) 給餌
試験期間中は給餌しない。
5. 観察と測定
1) 観察項目と回数
死亡と症状を 24 時間毎に観察する。死亡は通常、自発活動(胸脚、腹肢等の動き)の欠如、外
観(体色等)の変化、軽く触れる等の外部刺激に対し反応しないことなどをもって判定する。こ
れらの観察で判定が困難な場合は、実体顕微鏡下での心臓の停止を確認することによって行う。
24 時間までは、最も症状が現われる時期なので 3、6、8 時間後の観察を行うことが望ましい。24
時間以降も 1 日に午前と午後の 2 回程度の観察が望ましい。観察時に死亡個体を発見した場合は
速やかに取除く。観察時に脱皮が確認された場合は記録する。
被験物質の毒性をより詳細に把握するため、死亡と症状以外の観察・測定(生化学的検査等)
を行った場合は、その方法、頻度、結果等を記載する。
5
2) 水質の測定
試験液の溶存酸素濃度、温度、pH、外観(浮遊物や沈殿の有無とその経過)を暴露期間中に少
なくとも 2 回測定または観察する。
3) 被験物質濃度の測定
被験物質濃度の測定は全ての濃度について、暴露期間中流水式の場合は開始時に 1 回、その後
少なくとも 2 回、換水式の場合は試験液調製時と換水直前を一組として少なくとも 2 回行う。
6. 結果の処理法
1) LC50 値の算出法
Doudoroff の作図法、対数正規確率紙上での作図法、プロビット法等、一般に用いられるいずれ
の方法でも良い。可能であればプロビット法を用い、95%信頼限界も算出する。LC50 値算出には
実測濃度の平均値を用いる。実測濃度が設定値の±10%以内の場合は設定濃度を用いても良い。
被験物質の性質上、濃度維持の基準を満たすことができなかった場合は、設定濃度を用いて LC50
値を算出することもやむを得ない場合もある。
2) その他の測定データ
被験物質の毒性をより詳細に把握するため、生化学的検査等を実施した場合は、各濃度での影
響の強さを、適切な統計手法を用い対照群と比較して影響のない最高濃度と影響の認められる最
低濃度を算出するか、その影響の強さと濃度の関係が得られるなら、LC50 値と同様に EC50 値(半
数影響濃度)を算定する。
7. 試験報告
試験報告書には次の項目について記載する。
1) 試験機関:名称、所在地、試験責任者と試験担当者
2) 被験物質:化学的同定資料(物質名、成分と含量、各成分の構造式、異性体、純度、不純物の種
類と含量、ロット番号)
3) 試験生物:種名(学名)、前処置、由来、飼育方法(順化中も含む)
4) 試験条件と方法:
― 試験開始日、試験終了日及び試験期間
― 試験温度
― 試験の方法
― 被験物質濃度の定量分析法
― 希釈水の入手源と水質(人工水の場合は組成)
― 光周期、照度等
― 被験物質を溶解するために用いた助剤の種類と量及び方法
― 試験期間中の溶存酸素濃度、pH の測定法
― 試験結果の処理法
5) 試験結果:
― 試験条件の測定値(試験温度、溶存酸素濃度、pH)
― 被験物質濃度の分析結果
― 各濃度での各時間の死亡率と観察された異常な症状
― 試験終了時での「濃度と死亡率の関係」を示す図
― 各時間での LC50 値(可能であればその 95%信頼限界)とその算出法
― 試験液の外観
― その他
6
甲殻類(エビ類)急性毒性試験(素案)
農薬検査所策定ガイドライン案
2002/11/5 版 (1st)
1. 本試験は、甲殻類(エビ類)に対する被験物質の短期的影響に関する科学的知見を得ることにより、
農薬使用時における安全な取り扱い方法を確立することを目的とする。
2. 定義
(1) 死亡:自発運動(胸脚、腹肢等の動き)の欠如、軽く触れる等の刺激に対する反応がない場合に
死亡しているとみなす。
:暴露期間中に供試生物の 50%が死亡する被験
(2) LC50(Median Lethal Concentraion:半数致死濃度)
物質の濃度をいう。
(3) NOEC(No Observed Effect Concentration:最大無影響濃度):対照区と比べて、何ら影響が認めら
れない試験最高濃度をいう。
(4) 被験物質:試験に用いる農薬の原体又は製剤をいう。
(5) 基準物質:試験条件の再現性等を確認するために用いる物質をいう。
(6) 試験物質:試験に用いる被験物質及び基準物質をいう。
(7) 止水式試験:暴露期間中試験液を交換しない方式で行う試験をいう。
(8) 半止水式試験:一定期間ごと試験液を容器ごとに交換する方式で行う試験をいう。
(9) 流水式試験:連続的に試験液を供給する方式で行う試験をいう。
3. 供試生物
(1) 生物種
1) 淡水産のエビ
(ミナミヌマエビ:Neocaridina denticulata、ヌカエビ:Paratya compressa improvisa)
2) 供試生物は、経歴(入手源、飼育方法等)の明らかなものを用いる。
3) 基準物質での LC50 を確認することが望ましい。
(2) 生育段階
成体と形態的に異ならない段階のもので未抱卵の個体を用いる。
(3) 順化
1) 供試生物は、試験に供する 12 日前までには入手し、維持しなければならない。
2) 供試生物は、試験に供する前の少なくとも 9 日間は、試験時における環境条件(水質等)と同様
の条件下で順化しなければならない。
3) 餌は供試生物に適したものを少なくとも週 5 日、適量与え、供試前 24 時間は給餌を行ってはな
らない。
4) 以下に掲げる基準により順化を行い、死亡率を記録する。
① 順化開始後 2 日間の安定期間に続く 7 日間の死亡率が群の個体数の 10%を超える場合には、
当該群は廃棄する。
② 群の死亡率が 5∼10%の場合、さらに 7 日間順化を継続し、
群の死亡率が 5%以上の場合には、
当該群を廃棄するか、死亡率が 5%未満になるまで順化を継続する。
③ 群の死亡率が 5%未満の場合において当該群の供試生物を試験に供するものとする。
4. 暴露方法
止水式、半止水式又は流水式により試験を行う。
5. 暴露期間
96 時間とする。
6. 供試生物数及び試験区の設定
(1) 供試生物数
試験区ごとに、少なくとも 10 匹以上使用する。
7
(2) 試験区の設定
1) 試験濃度区の設定
① 等比級数的に少なくとも 5 濃度区を設ける。
② 試験濃度及び濃度公比は、予備試験の結果から定める。
③ 濃度範囲には、供試生物のすべてが死亡する濃度と全く死亡しない濃度が少なくともそれぞ
れ 1 濃度、一部が死亡する濃度については、少なくとも 2 濃度含まれることが望ましい。
2) 対照区の設定
① 対照として、被験物質を含まない無処理対照区を設ける。
② 試験原液の調製に助剤を使用した場合は、使用最高濃度の助剤を含む助剤対照区を設ける。
7. 試験液の調製
試験液の調製方法は、以下のとおりとする。なお、試験液及び試験原液は、試験に供する直前に調
製することが望ましい。
(1) 原体を被験物質として用いる場合
1) 試験濃度は有効成分濃度に基づき設定する。
2) 易水溶性物質
易水溶性物質の場合には、被験物質を希釈水に溶解して試験液又は試験原液を調整する。
3) 難水溶性物質
難水溶性物質の場合には、被験物質を機械的な手法により分散して試験液又は試験原液を調整
するか、有機溶媒、乳化剤、分散剤等の助剤を用いて試験原液を調製する。助剤は供試生物に
対して毒性が弱く、使用濃度で供試生物に対して有害性が認められず、かつ、被験物質の性質
を変えないものを用いる。
4) 助剤の試験液中濃度は、100mg/L(又は 0.1ml)を超えないことが望ましい。
(2) 製剤を被験物質として用いる場合
製剤を希釈水に加え撹拌し、試験液又は試験原液を調製する。なお、製剤の調製に助剤は用いな
い。
8. 環境条件
(1) 収容密度
供試生物の大きさに応じた試験液量が必要である。
1) 止水式及び半止水式による試験では、供試生物1g 当たり 2 リットル以上の試験液量が必要で
ある。
2) 流水式試験では、さらに高い収容密度で試験を行うことができる。
(2) 水温
20∼24℃の範囲で 22℃を標準とする。試験期間中の変動範囲は設定温度の±1℃以内とすること
が望ましい。
(3) 照明
12∼16 時間明期が望ましい。
(4) 給餌
暴露期間中は給餌を行わない。
(5) 希釈水
1) 試験に用いる水は、有害物質等試験の妨げになるものを含まず、飼育に用いた水と同じ供給源
のもので、供試生物が良好に生存又は成育ができる水質であることが確認されているものを用
いる。
2) 脱塩素水道水、天然水又は人工調製水を用いる。
3) 使用前には十分に暴気するとともに、温度調節を行う。
8
(6) 溶存酸素
溶存酵素濃度は、暴露期間を通して飽和濃度の 60%以上を保つようにする。必要に応じてゆるや
かな暴気を行う。
(7) pH
試験液の pH 調整は行わない。
9. 観察及び測定
(1) 供試生物の一般状態の観察
暴露開始後、少なくとも 24、48、72 及び 96 時間目に供試生物の一般状態を観察し、記録する。
死亡個体は速やかに試験系から取り除く。また、観察時に脱皮が確認された場合は記録するとと
もに殻を試験系から取り除く。
(2) 被験物質濃度の測定
1) 原体を被験物質として用いた場合には、各試験濃度区における有効成分濃度を少なくとも暴露
開始時、暴露終了時、換水前及び換水後に測定する。
2) 有効成分濃度は、暴露期間中、設定濃度の 80%であることが望ましい。
(3) 環境条件の測定
1) 試験に先立って、希釈水の水質を確認する。
2) 各試験区における試験液の水温、溶存酸素濃度及び pH を少なくとも暴露開始時、暴露終了時、
換水前及び換水後に測定する。
10. 結果の処理法
(1) 各濃度における死亡率の結果から、一般的に用いられる手法を用いて LC50 を算出する。
(2) 原則として測定有効成分濃度の平均値に基づき LC50 を算出するが、測定値の変動が設定濃度の
±20%以内の場合には、設定濃度に基づき LC50 を算出してもよい。
11. 報告事項
(1) 試験物質について
(2) 供試生物について
種名、供給源、飼育方法、順化条件、供試数、全長、体重、基準物質の LC50 等
(3) 試験方法について
暴露条件、環境条件、観察及び測定項目、被験物質濃度測定等
(4) 試験結果について
1) 有効成分濃度に基づく LC50 及びその信頼限界(可能であれば各観察時間のもの)
2) LC50 の算出方法
3) NOEC(NOEC が得られなかった場合は、その理由を記すこと。)
4) 各観察時間における各試験区での累積死亡率
5) 暴露終了時における濃度―死亡率曲線のグラフ
6) 供試生物に観察された異常及び反応
7) 被験物質濃度の測定値(原体を被験物質として用いた場合のみ)
8) 環境条件の測定結果
水質、溶存酸素濃度、pH 等
9) その他の事項
試験液の状態、試験結果に影響を及ぼす可能性のある事項等
12. 試験の妥当性
(1) 暴露終了時において対照区の死亡率が 10%を超えてはならない。
(2) 溶存酸素濃度は暴露期間中、飽和濃度の 60%以上でなければならない。
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付属資料1-2 ヨコエビ(US EPA OPPTS 850.1020 仮訳)
生態影響試験ガイドライン
ヨコエビ類急性毒性試験“公開草案”
(a)範囲
(1) 適用性
このガイドラインは、連邦殺虫殺菌殺鼠剤法(FIFRA)
(7 U. SC136, et seq.)及び毒物規制法(TSCA)
(15 USC 2601)の両方の試験要求を満たすように意図されている。
(2) 背景
この調和された OPPTS テストガイドラインの開発に用いられた原資料は「40 CFR 795. 120 ヨコエ
ビ類急性毒性試験」である。
(b) 目的
このガイドラインは、環境影響試験規定に基づいて化学物質及び混合物の急性毒性に関するデータを
得るために用いられる。このガイドラインは、ヨコエビ類に対する化学物質の急性毒性に関するデータ
を作るための試験について記述したものである。この試験からの得られたデータは化学物質の水生生物
に対する有害性を評価することに用いられるだろう。
(c) 定義
TSCA3 節及び 40 CFR 792 優良試験書規範での定義はこのテストガイドラインに適用する。以下の定
義もこのガイドラインに適用する:
死亡は、軽い刺激に対して試験生物の反応がないことを意味する。
流水は、試験水槽あるいは蓄養や順化水槽を循環なしで試験液あるいは試験用水が連続的あるいは間
欠的に通過することを意味する。
LC50 は、半数致死濃度、つまりある特定暴露期間(記述されるべき)内に試験生物群の 50%を死亡
させる空気あるいは水中のある化学物質の濃度であることを意味する。
収容量は、試験水槽中あるいは 24 時間内に水槽を通過する試験液量(リットル)に対するヨコエビ
の生物量(湿重量 g)の割合を意味する。
助剤は、試験物質を試験用水に導入しやすくするために併用される物質(例、アセトン)を意味する。
止水システムは、試験液が試験期間中に交換されない試験水槽を意味する。
(d) 試験手法
(1) 試験の概要
試験の準備では、適切な量の試験用水を試験水槽に満たす。流水式試験を行う場合、各水槽を通
る試験用水の流れを必要な速度に調整する。止水式試験では、試験物質を各試験水槽に加える。流
水式試験では、各試験水槽中の試験物質の期待濃度を達成したり、維持するように試験物質を加え
る速度を調整する。試験は、試験条件に順化されたヨコエビを無作為に試験水槽に投入して開始す
る。試験中定期的に試験水槽中のヨコエビを観察する;死亡したヨコエビは取り上げ、観察された
事項を記録する。試験水槽中の溶存酸素濃度、pH、温度及び試験物質濃度をある特定間隔で測定す
る。試験中に得られたデータから濃度反応曲線とその試験物質に対する LC50 値を求める。
(2) 予備(濃度範囲予測)試験
(ⅰ) 予備試験は、本試験で用いる濃度範囲を決定するために行われる。
(ⅱ) ヨコエビは一連の広い試験物質濃度範囲(例、1, 10, 100mg/L など)に暴露され、通常止水条
件で行われる。
(ⅲ) 少なくとも 5 個体のヨコエビを試験物質の各濃度に 96 時間暴露する。本試験における濃度を
決定するのに適切なデータがより短時間で得ることができる場合には、その暴露期間を短く
しても良い。試験物質の設定濃度でも容認されるかもしれない。
10
(3) 本試験
(ⅰ) 本試験の目的は、24, 48, 72 及び 96 時間 LC50 値及び濃度反応曲線を決定することである。
(ⅱ) 濃度当たり少なくとも 20 個体のヨコエビを 1.5∼2.0 の公比からなる一連の幾何級数的に選択
した 5 段階以上の試験物質濃度(例、2, 4, 8, 16, 32, 64mg/L)に暴露する。試験生物が暴露さ
れる濃度の範囲と数は、96 時間において 50%を超え 100%未満の死亡率になる濃度を少なく
とも 1 つ含み、0%を超え 50%未満を引き起こす濃度を 1 つ含むようにする。同数のヨコエ
ビを 2 つあるいはそれ以上の水槽中に入れる。できれば、助剤の使用は避ける。助剤を使用
しなければならない場合、試験用水のみの対照区と同様に、処理区で用いられた最高助剤濃
度の助剤対照区を試験する。助剤は、毒性がなく、試験物質の毒性に影響を与えないような
ものとする。助剤濃度は 0.1mL/L を超えないようにする。
(ⅲ) いずれの試験も同一の個体群あるいは培養容器からのヨコエビを用いている対照区を含む。
対照区は、試験物質が水槽に加えられていないということを除いて、同一の試験用水、条件
及び手法で暴露する。
(ⅳ) 試験液の溶存酸素濃度、温度及び pH は、対照区、最高、最低及び中央試験濃度の各反復中
の少なくとも 1 つにおいて試験開始時、24, 48, 72 及び 96 時間に測定する。
(ⅴ) 試験期間は 96 時間である。対照区で 10%を超える生物が試験中に死亡する場合その試験は
容認されない。
(ⅵ) 死亡に加え、いかなる異常行動や外観も報告しなければならない。
(ⅶ) ヨコエビは試験水槽に無作為に割り振る。試験水槽は、試験区域内で無作為あるいは設置に
よる何らかの変動があるかどうかを決定するために適切な統計学的解析が行えるような方法
で配置する。
(ⅷ) ヨコエビは、試験物質が添加された後に試験水槽に導入する。
(ⅸ) 化合物の溶解性に関しての観察を記録する。担当者は、水面の膜、沈殿、あるいは試験水槽
壁への付着物質の出現を記録する。
(4) 分析的測定
(ⅰ) 水質測定
試験用水の硬度、酸度、アルカリ度、pH、電気伝導度、TOC、あるいは COD、及び粒状物
質を各本試験の開始時に測定する。これらの値の月間変動は 10%未満で、pH は 0.4 未満の変
動とする。
(ⅱ) 試験物質の測定のための試料採取
試験物質濃度を測定するための各試料は、試験水槽の上部、底部及び壁の間の中央部で採
取する。試料は、表層の浮きかすや底や側から剥がれた物質を含んではならない。試料は即
座に分析あるいは処理し、微生物分解、光分解、化学反応、揮発、あるいは吸着による試験
物質の損失を最小限にするような方法で貯蔵する。
(ⅲ) 試験物質の測定
(A) 止水式試験に対しては、溶存した試験物質濃度(それは 0.45 ミクロンのフィルターを通る)
を各試験水槽で少なくとも試験開始時(ヨコエビが入れられる前の 0 時間)及び試験終了
時に測定する。流水式試験では、期間中、溶存した試験物質濃度を各試験水槽で少なくと
も 0 時間と 96 時間、及び試験物質の供給システムに異常が観察された時は常に少なくとも
1 水槽で測定しなければならない。
(B) 試料中の試験物質の量を測定するために用いられる分析手法を試験開始前に検証しなけれ
ばならない。これは、試験用水と各試験水槽に入れられるのと同数のヨコエビを含む水槽
11
から取られた 3 つの水試料の各々に既知量の試験物質を添加することによって行われる。
これら試料中の試験物質の名目上濃度は試験に用いられる濃度範囲に及ぶようにする。
分析手法の検証は、試験を開始する前に少なくとも 2 つの異なった日に行うようにする。
(C) もし試験物質の分解生成物のようなものが正あるいは負の干渉を与え、そのような分解生
成物が試験中に試験水槽に存在していないことが示されないなら、その分析手法は容認さ
れない。
(D) 試験水槽の反復間において、測定濃度は 20%を超えて変動すべきではない。試験期間中、
測定されたいずれの水槽中の試験物質濃度も 0 時に測定された濃度から±30%を超えて変
動すべきではない。
(E) 全ての LC50 値の計算や濃度反応曲線の描写には溶存試験物質の平均測定濃度を用いる。
(e) 本試験に対する試験条件
(1) 生物種
(ⅰ) 選択
(A) 端脚類、Gammarus fasciatus、G. pseudolimnaeus、及び G. lacustris がこの試験に適用される。
(B) ヨコエビは研究室で培養したり、野外から採集することができる。採集する場合、試験開
始前に少なくとも 14 日間研究室内で維持するようにする。
(C) ある特定の試験に用いるヨコエビは同様の年齢及び大きさで構成し、同一の供給源や培養
群からのものとする。
(ⅱ) 順化
蓄養水が試験用水と同一の供給源由来でない場合、試験用水への順化は 48 時間にわたっ
て徐々に行う。その後、ヨコエビを試験前に試験用水で少なくとも 7 日間維持する。いかな
る水温の変化も 1 日当り 2℃を超えないようにする。ヨコエビを試験前に試験温度で少なく
とも 7 日間維持する。
(ⅲ) 世話と取扱い
ヨコエビを試験に用いられる環境条件と同様な条件下で試験用水において飼育する。生物
はできるだけ取扱わないようにする。取扱いが必要な場合、できるだけ優しく、注意深く、
速やかに行うようにする。飼育や順化中には、ストレスや死亡の兆侯に対して注意深くヨコ
エビを観察する。
(ⅳ) 給餌
生物には試験中給餌しない。飼育、蓄養、及び順化中には、カエデ、ポプラ、カバノキの
ような落葉性の葉を飼育及び蓄養容器中の底に幾層にも覆うように十分な量で設置する。こ
れらの葉は水槽に入れる前に流水システムで少なくとも 30 日間熟成させる。これらの葉が食
べ尽くされる時、より多くの熟成葉を加えるようにする。
(2) 施設
(ⅰ) 装置
(A) この試験を実施するために必要な施設は:
(1) ヨコエビを飼育、順化及び試験するための容器
(2) 流水条件下で葉を熟成するための容器
(3) 飼育、順化及び試験期間中の水温を制御及び維持するための機械
(4) 粒子分をろ過して除去、気泡を除去、あるいは試験用水を通気するための装置
(5) 15∼30 分間の過渡期をもつ 16 時間明-8 時間暗期を供給するための装置
(B) 施設は十分に換気し、試験生物に影響を与えるかもしれない煙や妨害物がないようにする。
(C) 試験水槽は、蒸散により試験液や試験用水の損失を抑制するためやほこりや他の粒子分の
12
溶液への混入を最小限にするため、緩くカバーをする。
(ⅱ) 構成材料
原液、試験液、あるいは試験用水に接触する構成材料や装置は、試験結果を変えるほどの
量で水溶液に溶出したり溶けたりする物質を含まないようにする。原液や試験液に接触する
材料や装置は試験物質の吸着を最小限にするように選択する。できるだけ、ガラス、ステン
レス鋼、及びフッ素系プラスティックを用いるようにする。コンクリート、ファイバーグラ
ス、あるいはプラスティック(例、PVC)は蓄養水槽、順化水槽、及び水供給装置に用いて
もよいが、使用前には十分にコンディショニングしておくようにする。鋳鉄パイプを淡水供
給系に用いる場合、コロイド状鉄が試験用水中に溶出してくるかもしれないので、錆び粒子
を除去するためにストレナーやフィルターを用いるようにする。ゴム、銅、真鍮、亜鉛メッ
キされた金属、及び鉛は試験用水、原液、あるいは試験液と接触しないようにする。
(ⅲ) 試験物質の供給装置
流水式試験では、試験物質を試験水槽に供給するために、希釈装置、定量ポンプあるいは
その他の適切な装置を用いる。用いる装置は各試験前には調整する。試験物質供給装置につ
いては、試験中では 1 日に 2 回確認を行うのが一般的な操作である。24 時間当りの供給量
は試験水槽の少なくとも 5 倍量に相当するようにする。試験中では、流量が試験水槽間で
10%を超えて変動しないようにする。
(ⅳ) 試験水槽
試験水槽には少なくとも 1L の試験液を入れるようにする。ステンレス鋼製試験水槽は溶
接されたもので、はんだ付けされてないものとする。ガラス製水槽は透明なシリコン接着剤
を用いて接着させる。水槽の内側にはできるだけ少量の接着剤しか残らないようにする。曲
げて作ったステンレス鋼スクリーンのような基板をヨコエビを覆うために各試験水槽の底
に置く。
(ⅴ) 試験系の洗浄
試験物質供給装置と試験水槽は各試験前に洗浄する。洗剤で洗い、清水、無農薬アセトン、
清水、及び 5%硝酸ですすぎ、続いて 2 回以上試験用水で換水する。
(ⅵ) 試験用水
(A) ヨコエビが飼育、順化及び試験期間の間ストレス兆侯を示さず、蓄養、順化、及び試験の
期間中にその水の中で生存するなら、清浄な表層水あるいは地下水、人工調製水、あるい
は脱塩素した水道水は試験用水として容認できる。試験用水の水質は、硬度、酸度、アル
カリ度、電気伝導度、TOC あるいは COD、及び粒状物質における月間変動が 10%を超え
ない程度に十分に安定であることとする。PH は 0.4 の範囲内で安定でなければならない。
さらに、年に少なくとも 2 回測定され、以下の表の仕様を満たすべきである。
物
質
最大濃度
粒状物質
20mg/L
全有機炭素(TOC)、あるいは化学的酸素要求(COD)
2mg/L、あるいは 5mg/L
ホウ素、フッ素
100µg/L
非解離アンモニア
1µg/L
アルミニュム、砒素、クロム、コバルト、銅、鉄、鉛、ニッケル、亜鉛
1µg/L
残留塩素
3µg/L
カドミウム、水銀、銀
100ng/L
全有機リン系農薬類
50ng/L
全有機塩素系農薬類及びポリ塩化ビフェニル類(PCBs)、
50ng/L、
あるいは有機塩素
あるいは 25ng/L
13
(B)
試験用水が地下水あるいは表層水源由来である場合、電気伝導度及び全有機炭素濃度
(TOC)または化学的酸素要求量(COD)を測定する。人工調製水は試薬グレードからな
る化学物質の特定量を脱イオン水あるいは蒸留水に添加して調製することができる。電
気伝導度が1µmho/cm 未満のガラス蒸留または炭素ろ過された脱イオン水は人工調製水
を作るための希釈水として容認される。
(C)
試験用水中の DO 濃度は飽和濃度の 90 と 100%の間とする。必要なら、試験用水は試験
物質の添加前に通気して良い。全ての人工調整水は使用前に通気する。
(3) 試験のパラメータ
試験中における環境パラメータは以下に示すように維持されなければならない:
(ⅰ) 18±1℃の水温
(ⅱ) 飽和濃度の 60∼105%の溶存酸素濃度
(ⅲ) 試験水槽に収容するヨコエビの数は、試験結果に影響するほど多くてはいけない。1L 当り
10 個体のヨコエビが止水式試験に対する収容レベルとして推奨される。流水式試験に対する
収容要件は試験用水の流水率に依存して変わる。収容量は、溶存酸素濃度を推奨レベル以下
に下げないようにする。
(ⅳ) 16 時間明-8 時間暗
(f) 報告
スポンサーは毒性を示唆あるいは予測する試験によって得られた全てのデータを EPA に提出する。
さらに、その試験報告書には以下の情報を含むようにするが、必ずしも限定するものではない:
(1) 試験を行う施設の名称と住所及び試験の開始と終了期日
(2) 承認された試験計画書に述べられた目的と手法、試験計画書草案における変更を含む
(3) データの解析に用いた統計学的手法
(4) 試験物質に関する名称、CAS 番号あるいはコード番号、供給源、ロットあるいはバッチ番号、
効力、純度、及び組成、あるいはその他の適切な特性
(5) 試験条件下での試験物質の安定性
(6) 以下のような用いた手法の叙述
(ⅰ) 試験用水の供給源、化学的特性(例、硬度、pH など)及び前処理法の叙述
(ⅱ) 試験物質供給装置、試験水槽、水槽での試験液の深さと水量、試験を開始した方法(例、試
験物質の添加法)、収容量、照明、流水率の叙述
(ⅲ) 測定及び観察の頻度と方法
(7) 用いた生物の学術名、体重、長さ、供給源、履歴、及び順化の手法と餌
(8) 試験濃度、ヨコエビの数と試験濃度当りの反復数。報告される結果には以下の事項を含む:
(ⅰ) 溶存酸素濃度、pH 及び温度の測定結果
(ⅱ) 助剤を用いた場合、助剤の名称と供給源、原液の試験物質の設定濃度、試験液における最高
助剤濃度及び水と助剤中の溶解性の記述
(ⅲ) 試験開始直前及びその後の全てのサンプリング時での各試験水槽における試験物質の測定
濃度
(ⅳ) 各観察時の各試験水槽における試験生物の生死数、生物の死亡率、異常な影響が認められた
試験生物数
(ⅴ) 48、72 及び 96-h LC50 及びその 95%信頼限界。十分なデータが得られた場合、24-h LC50。
(ⅵ) もし得られるなら、無影響濃度(死亡、異常行動及び生理学的影響が認められない試験最高
濃度)
14
(ⅶ) 水質及び試験物質濃度に関する全ての化学分析における方法とデータ、検証方法と試薬ブラ
ンクを含む
(9)
データの質あるいは完全性に影響したかもしれない全ての環境条件の叙述
(10) 試験委託者、試験責任者、主試験担当者の名前、その他の科学者あるいは専門家の名前、試験
に係った全ての管理者の名前
(11) データに関して行われた変換、計算、演算の記述、データの要約と解析、解析によって引き出
された結論に関する陳述。データの解析結果には計算した LC50 値、95%信頼限界、変換され
2
た濃度反応直線の傾き、適合度検定の結果(例、X 検定)を含む
(12) 試験に係った各科学者あるいはその他の専門家によって作成された署名と日付入りの報告書、
そこには試験施設あるいは試験委託者の要求あるいは指示でデータ発生が終了した後に試験
からデータあるいは標本の解析や評価を行った者を含む
(13) 全ての標本、生データ、および最終報告書を保管する場所
(14) 信頼性保証部門によって作成及び著名された陳述書
付属資料1-3 ユスリカ(策定案及び US ASTM Standard E729 仮訳)
ユスリカ幼生急性毒性試験(案)
以下の試験法(案)は、US ASTM Standard E729 の考え方に基づき、現行の農薬テストガイドライン
のミジンコ急性遊泳阻害試験と同様の方法とした。なお、運用通知に示された事項については変更点が
ないことから省略する。
1. 目的
本試験は、魚類等の餌料生物であるユスリカ幼虫に対する被験物質の短期的影響に関する科学的知
見を得ることにより、農薬使用時における安全な取扱い方法を確立することを目的とする。
2. 定義
:暴露期間中に供試生物の 50%死亡する被験物質
LC50(Median Letha1 Concentration:半数致死濃度)
の濃度をいう。
その他についてはミジンコ類急性遊泳阻害試験に準ずる。
3. 供試生物について
(1) 生物種
① セスジユスリカ(Chironomus yoshimatsui)が推奨されるが、他のユスリカ(Chironomus)属の淡
水産の種を用いても良い。
② 供試生物は、経歴(入手源、飼育方法等)の明らかなものを用いる。
③ 基準物質での LC50 を確認するのが望ましい。
(2) 生育段階
試験には 2∼3 虫齢の幼生を用いる(生物種によって異なるが、23℃でふ化後 4∼14 日)。
(3) ユスリカの飼育
各生育段階におけるユスリカの飼育は専門書を参考にして行う。試験に用いる幼虫の飼育は、例
えば以下のように行うことができる。
① 幼虫は飼育水を適宜交換し、十分に通気することにより止水で容易に飼育できる。飼育容器の
底にはガラスビーズなどを約 20mm の厚さで敷く。
② 水温 20∼26℃、餌は乾燥酵母や魚類用粉末飼料などを用いる。
③ 詳細は「生態影響試験ハンドブック」(日本環境毒性学会編、朝倉書店)を参照する。
4. 暴露方法
止水式、半止水式又は流水式により試験を行う。
15
5. 暴露期間
48 時間とする。
6. 供試生物数及び試験区の設定
(1) 供試生物数
試験区ごとに少なくとも 10 個体の幼虫を用いる。必要に応じて容器に分割しても良い。
(2) 試験区の設定
① 試験濃度区の設定
ア 等比級数的に少なくとも 5 濃度区を設ける。
イ 試験濃度及び濃度公比は、予備試験の結果から定める。
ウ 濃度範囲には、供試生物のすべてを死亡する濃度と全く死亡しない濃度が少なくともそれぞ
れ 1 濃度、一部を死亡させる濃度が少なくとも 2 濃度含まれることが望ましい。
② 対照区の設定
ア 被験物質を含まない無処理対照区を設ける。
イ 試験原液の調製に助剤を使用した場合は、使用最高濃度の助剤を含む助剤対照区を設ける。
7. 試験液の調製について
試験液の調製方法は、以下のとおりとする。なお、試験液及び試験原液は、試験に供する直前に調
製することが望ましい。
(1) 原体を被験物質として用いる場合
① 易水溶性原体の場合は、被験物質を希釈水に溶解して試験液又は試験原液を調製する。
② 難水溶性原体の場合は、被験物質を機械的な手法により分散して試験液又は試験原液を調製す
るか、有機溶剤、乳化剤、分散剤等の助剤を用いて試験原液を調製する。助剤は、供試生物に
対して毒性が弱く、使用濃度で供試生物に対して有害性が認められず、かつ、被験物質の性質
を変えないものを用いること。
③ 助剤の試験液中濃度は、100mg/1(又は 0.1ml/l)を超えないことが望ましい。
(2) 製剤を被験物質として用いる場合
製剤を希釈水に加え撹拌し、試験液又は試験原液を調製する。なお、製剤の調製には助剤を用いな
い。
8. 環境条件
(1) 試験液量
幼虫 1 個体当たり 5m1 以上とする。
(2) 水温
設定温度はセスジユスリカ(C hironomus yoshimatsui)では 25℃とし、試験期間中の変動範囲は
±1℃以内とする。他の生物種ではその生物種への最適温度で行っても良い。
(3) 照明
12∼16 時間明期が望ましい。
(4) 給餌
暴露期間中は給餌を行わない。
(5) 希釈水
① 試験に用いる水は、有害物質等試験の妨げになるものを含まず、飼育に用いた水と同じ供給
源のもので、ユスリカが良好に生存できる水質であることが確認されているものを用いる。
② 脱塩素水道水、天然水又は人工調製水を用いる。
③ 使用前には十分に暴気するとともに、温度調節を行う。
(6) 溶存酸素濃度
溶存酸素濃度は、暴露期間を通して飽和濃度の 60%以上に保つようにする。
16
(7) pH
試験液の pH 調整は行わない。
9. 観察及び測定
(1) 供試生物の一般状態の観察
暴露開始後 24 時間目及び 48 時間目における死亡の有無について観察し記録する。付属肢の動き
以外に動きがない場合を死亡とみなす。また、平衡喪失、活動度の低下及び体色変化等の症状が観
察された場合には記録するのが望ましい。
(2) 被験物質濃度の測定
① 原体を被験物質として用いた場合には、各試験濃度区における被験物質の濃度を少なくとも暴
露開始時、暴露終了時又は換水前に測定する。
② 被験物質濃度は、暴露期間中、設定濃度の 80%以上であることが望ましい。
(3) 環境条件の測定
① 試験に先立って希釈水の水質を確認する。
② 各試験区における試験液の水温、溶存酸素濃度及び pH を少なくとも暴露開始時、暴露終了時
又は換水前に測定する。
10. 結果の処理法
(1) 各濃度における死亡率の結果から、一般的に用いられる手法を用いて LC50 を算定する。
(2) 被験物質濃度の測定値が設定濃度から±20%以上変動している場合は、測定濃度の平均値に基づ
き LC50 を算定する。
11. 報告事項
(1) 試験物質について
(2) 供試生物について
種名・経歴(入手源・飼育方法等)
、基準物質の LC50 等
(3) 試験方法について
暴露条件、環境条件、観察、測定項目等
(4) 試験結果について
① LC50 及びその 95%信頼限界(可能であれば各観察時間のもの)
② LC50 の算定方法
③ NOEC(NOEC の値が求められなかった場合は、その理由を記す。
)
④ 各観察時間における各試験区での累積死亡率
⑤ 暴露終了時における濃度 − 死亡率曲線のグラフ
⑥ 観察された影響
⑦ 被験物質濃度の測定値(原体を被験物質として用いた場合のみ)
⑧ 環境条件の測定結果
水質、溶存酸素濃度、pH 等
⑨ その他の事項
試験液の状態、試験結果に影響を及ぼした可能性のある事項等
12. 試験の妥当性
(1) 暴露終了時において対照区の累積死亡率が 10%を超えてはならない。
(2) 溶存酸素濃度は暴露期間中、飽和濃度の 60%以上でなければならない。
付属資料 2 成長段階の感受性差評価(異なる成長段階での試験)ガイドライン案
付属資料 2-1 ふ化仔魚の試験に追加する事項
「農薬の登録申請に係る試験成績について」
(平成 12 年 11 月 24 日付け 12 農産第 8147 号農林水産省
農産園芸局長通知)における別添「農薬の登録申請時に提出される試験成績の作成に係る指針」「水産
17
動植物への影響に関する試験
魚類急性毒性試験(2-7-1)」において、「3.供試生物」の項目中に以下
の内容を修正あるいは追加する。
3. 供試生物
(1) 生物種
・ コイをメダカに変更し、ふ化仔魚を用いることとする。
(2) 順化
・ 成熟した雌雄の親メダカを産卵に適した条件下*で飼育する。外部から入手した場合には、ガイ
ドラインと同様の順化を行う。継代飼育されているメダカを用いる場合には、特段の順化期間
は不要とする。
*
温度は 25℃程度で、照明は 1 日当り 13 時間以上の長日周期とし、餌を十分に与える。
・ 早朝に産卵された受精卵を採集し、付着糸を除去した後、清水中でふ化させる。ふ化までの間、
受精卵が水中を浮遊する程度に強く通気して培養する。ただし、ふ化前日には通気を弱くして
おく(25℃での平均ふ化日数は約 10 日である)。
・ ふ化後、水中を遊泳している仔魚をガラス管を用いて採集する。
付属資料2-2 ミジンコ生体の試験に追加する事項
「農薬の登録申請に係る試験成績について」
(平成 12 年 11 月 24 日付け 12 農産第 8147 号農林水産省
農産園芸局長通知)における別添「農薬の登録申請時に提出される試験成績の作成に係る指針」「水産
動植物への影響に関する試験
ミジンコ類急性遊泳阻害試験(2-7-2-1)」において、「3.供試生物」の
項目中に以下の内容を追加する。
3. 供試生物
(1) 生物種
・ 給餌して飼育した生後 7 日齢のミジンコを用いることとする。
付属資料 3 環境中共存有機物質の影響評価(フミン酸を含む水での試験)ガイドライン案
フミン酸によって毒性発現が緩和される魚類またはミジンコ類の急性毒性
[ US EPA OPPTS 850.1085 の仮訳を参考にして作成 ]
1. 目的
このガイドラインは、化学物質及び混合物の急性毒性に関するデータを止水又は半止水条件下で得
るために用いられ、環境での影響試験をする条件としてのものである。このガイドラインは、自然界
で発生する溶存有機物質(例、フミン酸とその塩類)の存在の有無に伴う化学物質の魚類への急性毒
性に関するデータを作るために用いられる手法を定めている。
2. 定義
以下の定義はこのガイドラインに適用する:
順化は新たな環境条件(例、温度、硬度、pH)対する試験生物による生理学的補償作用をいう。
急性毒性試験はある短期間において試験生物のある特定割合に毒性影響を生じさせる物質の濃度
を決定するために用いられる方法をいう。
助剤は試験物質を試験水槽に入れる前に溶解するために用いられる溶剤を意味する。
死亡は供試魚における鰓蓋の動きの欠乏をいう。
遊泳阻害は供試ミジンコにおける 15 秒間遊泳阻害されることをいう。
溶存有機炭素(DOC)は動水あるいは静水生態系で生じる種々の有機分子類を意味し、それらは
この試験では不均質なフミン物質群に限定されている。
全有機炭素(TOC)は試験用水中で発生する溶存、微粒子及び懸濁した全ての有機炭素分子類の
総和をいう。
18
フミン物質はフミン酸類(HAS)、フルボ酸類及び腐植画分及びそれらの各種塩類を意味し、それ
らは不均質な自然で発生する有機物質の化学的分別から生じる。この試験目的に対してはフミン
酸(HA)ナトリウム塩を DOC 源として用いることができる。
LC50 は実験的に得られた死亡率データから計算された試験物質濃度がある特定の連続的暴露期間
中に試験生物群の 50%を死亡させるということをいう。
EC50 は実験的に得られた遊泳阻害率データから計算された試験物質濃度がある特定の連続的暴露
期間中に試験生物群の 50%を遊泳阻害させるということをいう。
L(E)C50 は LC50 または EC50 であることを示す。
収容量は試験水槽中あるいは 24 時間内に水槽を通過する試験液量(リットル)に対する供試生物
量(湿重量 g)の割合をいう。
止水は試験液が試験期間中に交換されないことをいう。
半止水は試験液が試験期間中に一定間隔で交換されることをいう。
試験液は試験生物が暴露される溶解した試験物質を含む試験用水をいう。
3. 試験手法
(1) 試験の概要
(ⅰ) この試験はメダカまたはミジンコに対する HA を用いた時の試験物質の急性影響を決定するた
めに設計されている。試験水槽を適切な量の試験用水で満たす。
(ⅱ) 試験物質を各試験水槽に入れる。試験用水のみを含む水槽も設置する;他の水槽はある濃度
で添加された HA を含む。HA 濃度は 2.5、5.0、及び 10mg/L の 3 濃度とする。
(ⅲ) 試験設計に従って順化された試験生物を無作為に割り当て試験と対照区の水槽に入れる。魚類
では 96 時間、ミジンコ類では 48 時間暴露する。
(ⅳ) 試験と対照区の水槽の生物を試験期間中定期的に観察する;死亡あるいは遊泳阻害された生
物及びその他の異常を記録する。死亡した生物は観察時に取り除く。
(ⅴ) 溶存酸素(DO)濃度、pH 及び温度を選択した水槽で一定間隔で測定する。
(ⅵ) ある濃度で HA を添加された試験用水を用い、試験期間中に得られた死亡率や遊泳阻害率のデ
ータから試験物質に対する濃度応答曲線と L(E)C50 を求める。
(ⅶ) HA のみを含む調製時の試験用水の TOC を測定する。TOC と L(E)C50 との関係を回帰分析し、
TOC1.5mg/L における L(E)C50 を算出する。TOC1.5mg/L は国内環境水(主要河川)の平均濃
度としての概算値である。
(ⅷ) TOC1.5mg/L の時の L
(E)
C50 値を標準試験での清水によって得られた L(E)C50 で除し、TOC1.5
mg/L における毒性緩和係数を求める。この係数をその他の生物の標準試験での急性毒性値に
も適用し、環境水のおける急性毒性値を推定することに利用できる。
(2) 予備(濃度範囲予測)試験
(ⅰ)
HA 中での試験物質の毒性がわかっていない場合、予備試験を行い、本試験で用いる濃度範囲
を決定する。予備試験で用いられる試験物質の最高濃度は水での溶解度あるいは用いられた助
剤の許容量を超えるべきではない。
(ⅱ) 最初に、約 2 尾の魚または約 5 頭のミジンコを用いた試験を HA 10mg/L で行う。10mg/L の
HA 濃度で、粘性、コロイド状の複合体の形成が生じる場合、HA 濃度は 10mg/L 以下の適切な
濃度に下げてもよい。
(ⅲ) 10mg/L の HA 濃度で行った予備試験において、清水で得られた急性毒性値よりも毒性が緩和
する可能性がある場合には本試験を行う。
19
(3) 本試験
(ⅰ) ある既知量の HA を添加した試験用水での 5 濃度以上の試験物質区のそれぞれに試験生物を少
なくとも 20 個体暴露する。試験生物を暴露する試験濃度範囲は魚では 96 時間の 50%死亡率、
ミジンコでは 48 時間の 50%遊泳阻害を支える 2 つの部分影響率があるように設定する。
(ⅱ) ある既知量の HA を添加した試験用水における各試験濃度への暴露に対し、同数の試験生物を
反復(魚では 2 反復以上、ミジンコでは 4 反復以上)試験水槽にいれるようにする。試験結果
が分配によって有意な偏りを生じないように試験水槽の間に試験生物を公平に分配する。
(ⅲ) 全ての試験は試験物質が加えられていないことを除いて、同じ試験用水、条件、手法、及び試
験で用いた同一群の試験生物からなる対照区を設ける。また、全ての試験は HA のみを含む試
験用水からなる陰性対照区も設ける。
(ⅳ) 試験中に得られた魚の死亡率またはミジンコの遊泳阻害率データは、それぞれ 96 時間 LC50
または 48 時間 EC50 値を計算するために用いられる。それ以外の時間での値を求めるのに十分
なデータが存在する時にはその値も計算する。
(ⅴ) 試験生物を試験物質に暴露している間は給餌しない。
(4) 試験結果
(ⅰ) 死亡または遊泳阻害は、ある濃度の HA が存在するところでの試験物質の毒性を評価するため
にこの試験ガイドラインで用いられる主要な基準である。
(ⅱ)
死亡または遊泳阻害に加え、限定してはいないが、狂奔遊泳、反応損失、興奮性増加、嗜眠
のような何らかの異常行動、あるいは退色、過剰粘液分泌、過呼吸、眼球懸濁、背曲りあるい
は出血のような生理学的外観における何らかの変化は記録する。
(ⅲ) 化合物の溶解性と分散性に関して観察し、記録する。試験担当者は表層の油膜、沈殿、あるい
は試験水槽壁に吸着している物質の出現を報告する。
(ⅳ) 各試験と対照区の水槽で、少なくとも試験開始後 24 時間毎に観察し、記録する。試験を標準
的暴露期間以後も継続する場合、追加的観察を終了時まで 24 時間毎に行う。
(ⅴ) 死亡率や遊泳阻害率のデータは L(E)C50 とその 95%信頼限界を計算するために用いられ、十
分なデータが存在する場合には各時間に対して濃度応答曲線を作図するために用いられる。
L(E)C50 値の計算に用いられるのに推奨される手法は probit, logit, binomia1、及び moving
average angle である。
(ⅵ) 魚類の試験では、96 時間の試験中に対照区の魚が 10%を超えて死亡したり、異常行動を示す
場合にはその試験は容認されない。ミジンコ類の試験では、48 時間の試験中に対照区のミジ
ンコが 10%を超えて遊泳阻害されたり水面に浮遊していてはならない。
(5) 分析的測定
(ⅰ) 水質測定
(A) 試験用水の硬度、酸度、アルカリ度、pH、導電率、TOC、あるいは化学的酸素要求量(COD)、
及び全浮遊物質(TSS)を各止水試験の開始時に測定する。これらの値の月間変動は 10%未
満で、pH は 0.4 未満の変動とする。
(B) 止水試験の間、DO 濃度、温度、及び pH は試験開始時と終了時に各試験水槽において測定
される。これらの測定によって試験液量が 10%を超えて減らないようにする。
(ⅱ) 溶存有機炭素
この試験に対して選択された自然で発生する DOC は HA とし、これは Aldrich カタログ No.
H1, 675-2 から入手できる。
(ⅲ) TOC 測定のための試料採取
TOC を分析するための試料は水槽の上部、底部、及び測部の間の中央部で対照区水槽から採
20
取される。これらの試料には表層スカムあるいは底部や測部から除去された物質を含むべき
ではない。
(ⅳ) TOC の測定
(A) 止水式試験に対し、DOC は試験の開始時(0 時間、試験生物を入れる前)に最小限各試験
水槽で(TOC として)測定する。3 つの TOC 測定を行い、その平均を報告する。
(B) 試料中の TOC を測定するために用いられる分析手法は試験開始時前に確証されることとす
る。手法の精度は既知の添加を行うような方法によって実証されることとする。これは試
験で用いられる水を含む水槽中から採取された 3 つの水試料に既知量の溶存有機炭素を添
加するによって行われる。これらの試料中溶存有機炭素の規定濃度は試験に用いられる
TOC 濃度範囲を満たすこととする。
(C) 100%活性成分(AI)に基く試験物質の設定濃度が全ての LC50 の計算と濃度応答曲線のプロ
ットに用いられる。
4. 試験条件
(1) 生物種
(ⅰ) 選択
この試験に対する試験生物種はメダカ(Oryzias latipes)またはオオミジンコ(Daphnia magna)
である。
(ⅱ) 生物の齢と状態
魚類では稚魚を用いる。ある特定の試験で用いられる魚は同一年齢で、その年齢に対して正
常な大きさと外観とする。最も大きな魚の長さは最短のものの 2 倍を超えてはいけない。新た
に購入した全ての魚は隔離して飼育し、試験に用いる前に少なくとも 14 日間観察する。それ
らの魚がストレスを受けているようであったり、試験前の 48 時間において 5%を超えて死亡
する場合、試験には用いない。
ミジンコでは生後 24 時間以内齢の幼生を用いる。
(ⅲ) 試験生物の順化
蓄養する水が試験用水と同一の源からではない場合、試験用水への順化は 48 時間をかけて
徐々に行う。魚は試験前にはその試験用水にさらに 14 日間維持される。いかなる水温の変動
も 1 日当り 3℃を超えないようにする。魚は試験前には試験温度で少なくとも 7 日間維持され
る。最後の 48 時間の順化中は、魚は試験区域と類似した背景色と光強度をもつ施設で維持さ
れ、給餌は行われない。
ミジンコでは試験用水と同じ供給源の水で親ミジンコを飼育しなければならない。
(2) 施設
(ⅰ) 一般事項
この試験を実施するために必要な施設は:
(A) 魚の蓄養と順化への流水タンク、ミジンコの飼育タンク
(B) 蓄養、順化、及び試験期間中の水温を調節及び維持する装置
(C) 微粒子分の除去、気泡の除去、あるいは不十分な酸素濃度に対応するそれぞれの装置
(D) 16 時間明で 8 時間暗の照明周期を行う装置
(E) 試験物質に試験生物を暴露する水槽
(ⅱ) 構成材料
原液、試験液、あるいは試験用水に接触する構成材料と商業的に購入した装置は、試験結
果を変えるほどの量で水溶液に溶出したり溶けたりする物質を含まないようにする。原液や
21
試験液に接触する材料や装置は試験物質の吸着を最小限にするように選択する。できるだけ、
ガラス、ステンレス鋼、及びフッ素系プラスティックを用いるようにする。コンクリート、
ファイバーグラス、あるいはプラスティック(例、PVC)は蓄養水槽、順化水槽、及び水供
給装置に用いるかもしれないが、使用前には十分にコンディショニングしておくようにする。
鋳鉄パイプを淡水供給系に用いる場合、コロイド状鉄が試験用水中に溶出してくるかもしれ
ないので、錆び粒子を除去するためにストレナーやフィルターを用いるようにする。ゴム、
銅、真鍮、亜鉛メッキされた金属、エポキシ系接着剤、及び鉛は試験用水、原液、あるいは
試験液と接触させないようにする。
(ⅲ) 試験水槽
ステンレス鋼製試験水槽ははんだ付けされておらず、溶接されたものとする。ガラス製水
槽は透明なシリコン接着剤を用いて接着させる。水槽の内側にはできるだけ少量の接着剤し
か残らないようにする。
(ⅳ) 試験系の洗浄
試験水槽は各試験前に洗浄する。洗剤で洗い、清水、無農薬アセトン、清水、及び 5%硝酸
ですすぎ、続いて 2 回以上試験用水で換水する。
(ⅴ) 試験用水
(A) 試験生物が退色、出血、方向感覚喪失、あるいはその他の異常な行動のようなストレス兆
侯を示さず、蓄養、順化、及び試験の期間中にその水の中で生存するなら、清浄な表層水
あるいは地下水、人工調製水、あるいは脱塩素した水道水は試験用水として容認できる。
清浄な試験用水(HA を添加していない)の水質は一定で、年に少なくとも 2 回測定され、
以下の表 1 の仕様を満たすべきである。
表 1 試験用水に対する仕様
物
質
最大濃度
全浮遊物質
20mg/L
全有機炭素(TOC)、あるいは化学的酸素要求(COD)
それぞれ 2mg/L、あるいは 5mg/L
非解離アンモニア
20µg/L
残留塩素
1µg/L
全有機リン系農薬類
50µg/L
全有機塩素系農薬類とポリ塩化ビフェニル類
それぞれ 50µg/L、あるいは 25µg/L
(PCBS)の合計、あるいは有機塩素
180mg/L
硬度(試験中の CaCO3 として)
HA を添加した後の試験用水の水質は TOC あるいは COD を除いた前述の全仕様を満たす
ようにする。
(B) 試験用水中の DO 濃度は飽和濃度の 90 と 100%の間とする。必要なら、試験用水は試験物
質の添加前に通気して良い。全ての人工調製水は使用前に通気する。緩衝させた軟水は緩
衝剤を添加する前には通気するが、添加後には通気しないようにする。
(C) 魚に感染を引き起こすのに十分な数で試験用水中に存在する罹病魚は、適切な装置で殺す
か、あるいは除去する。
(D) 導電率 1µS/cm 未満のガラス蒸留あるいは炭素ろ過された脱イオン水は人工調製水をつく
るのに用いて良い。人工調製水を地下水あるいは表層水源で調製する場合、導電率と TOC
を各ロットで測定する。
22
(ⅵ) 助剤
蒸留水のみを試験物質の原液調製に用いるようにする。しかし、原液量が試験液量の 10%
を超える場合、試験用水を用いるようにする。有機助剤はこの試験には用いることができな
い。必要なら、原液の pH は 7 に調製する。
(3) 試験のパラメータ
(ⅰ) 収容量
試験水槽に入れる魚の数は試験結果に影響するほど多くてはいけない。収容量は、試験物
質濃度が魚の取込により 20%を超えて減少するほど多くてはいけない。収容量はいかなる時
でも試験水槽の試験液当りの魚重量が 0.5g/L を超えてはいけない。これらの収容割合は推奨
濃度以上に DO 濃度を維持するのに十分なものとし、アンモニアの濃度は 20µg/L 以下とする。
(ⅱ) 溶存酸素濃度
試験中の DO は飽和濃度の 60%以上を維持するようにする。
(ⅲ) 温度
試験温度は、メダカでは 23℃、ミジンコでは 20℃とする。試験温度からの隔たりは±2℃
より大きくならないようにする。温度は 1 つの試験水槽で少なくとも 1 時間毎に測定する。
(ⅳ) 照明
16 時間明と 8 時間暗の照明周期を維持する。
5. 報告
試験報告データには以下のことを含むようにする:
(1) 試験用水の源、前処理の叙述、及び測定された硬度、酸度、アルカリ度、pH、導電率、TOC、
COD、及び全浮遊物質
(2)
HA の源(例、ロット番号)、完全な叙述と化学的特徴も同様
(3)
試験水槽の叙述、水槽中の溶液の深さと量、及び試験開始の特定手段(例、コンディショニング
と試験物質の添加)
(4)
学名と検定法、平均体重(グラム、湿重量)、標準体長、年齢、供給源、履歴、観察された病気、
治療及び死亡率、順化方法、及び餌の使用を含む試験魚についての詳細な情報
(5)
用いた反復数、一反復当りの生物数、及び収容割合
(6)
DO、pH、温度及び照明の方法
(7)
原液の調製方法。原液の pH を調整した場合、その調整方法
(8)
試験開始前の HA 対照区からの TOC としての溶存有機炭素濃度。全ての 3 回の測定値と平均 TOC
値
(9)
HA 10mg/L で行った予備試験の結果
(10) 死亡あるいは遊泳阻害した生物数、死亡あるいは遊泳阻害した生物の百分率、及び各観察時間
において対照区と各試験水槽において何らかの異常を示した数
(11) 魚類では 96-h LC50(十分なデータが得られたときは 24-、48-、72-LC50 も含む)、ミジンコで
は 48-h EC50(十分なデータが得られたときは 24-h EC50 も含む)、それらの 95%信頼限界、及
び L(E)C50 値と信頼限界を計算するために用いた方法
(12) 観察されたなら、処理区における無影響濃度(死亡、異常行動、あるいは生理学的影響がない
試験最高濃度)
(13) L(E)C50 値が計算された各観察時間での濃度応答曲線
(14) 水質パラメータ、TOC の全ての化学的分析方法とデータ(手法の検証と試薬ブランクを含む)
(15) TOC と L(E)C50 との回帰分析結果と用いた手法
23
(16) 回帰分析によって算出された TOC1.5mg/L のときの L(E)C50 の値
(17) TOC1.5mg/L のときの L(E)C50 値を標準試験の清水で得られた L(E)C50 で除した値(TOC1.5mg/L
における毒性緩和係数)
参考1
水産動植物に対する毒性に係る登録保留基準の改定について(平成15年1月30日/第6回
農業資材審議会農薬分科会資料)
参考2
(省略)
農薬の高次水系リスク評価(HARAP)に関するガイダンス文書
SETAC-Europe/OECD/EC ワークショップ
Lacanau Ocean, France, 1998 年 4 月 19∼22 日(仮訳)
目 次
3.1.1 殺虫剤
1. 全体要約
3.1.2 殺菌剤
2. ワークショップ報告
3.1.3 除草剤
2.1 はじめに
3.2 ケーススタディデータ及び分科会報告
2.2 規制の背景
3.2.1 殺虫剤
2.3 高次水系リスク評価のガイダンスの原則
3.2.2 殺菌剤
2.3.1 はじめに
3.2.3 除草剤
2.3.2 必須(コア)データの精査(interrogation)
2.3.3 単一生物種試験
附属書 I スポンサー(略)
2.3.4 室内多生物種試験
附属書Ⅱ 参加者(略)
2.3.5 野外試験
附属書Ⅲ 全体説明(抄録)
2.4 要約と結論
附属書Ⅳ 事前質問への回答結果
3. ケーススタディ
附層書Ⅴ 用語一覧
3.1 ケーススタディ分科会報告の要約
附属書Ⅲ 全体説明(抄録)
OECD 農薬プログラムの目的と活動の総括
Nicky J.Grandy
Organisation for Economic Co-operation and Development,
2 rue Andre Pasca1, 75775 Paris Cedex 16, France.
OECD は 1992 年に農薬に関する作業を開始した。この作業開始の推進要因は、どのようにしたら
OECD を通じた共同作業によって限られた資源をより有効に活用できるかという加盟国政府の要求であ
った。特に農薬登録に当たって、企業が実施する化合物に関する試験及び各国政府が行うこれらのデー
タの審査に重複を生じさせている各国間の審査手続きの相違を減らすことに関心があった。
OECD の農薬プログラムは、基本的には加盟国からの規制当局で構成される農薬フォーラム(Pesticide
Forum)によって監督されている。しかし、EC の代表及び他の国際機関(International Center for Pesticide
Safety, United Nations Environment Programme, Food and Agriculture Organisation of the United Nations,
Council of Europe, European and Mediterranean Plant Protection Organisation)の代表者及び産業界の代表、
環境グループの代表も構成員に含まれる。このフォーラムは、現在プログラムの進行状況を把握し、今
後の作業の合意のために 9 ヶ月おきに会合を開いている。
プログラムは以下の 5 分野について活動を行っている。
(ⅰ) 登録ためのデータ要求
(ⅱ) 試験ガイドライン
(ⅲ) 有害性/リスク評価
(ⅳ) 登録
(ⅴ) リスク削減
試験ガイドライン、登録、リスク削減では重要な進展がすでにみられている。最近の主要な成果は、
企業が提出する申請データ及び政府が作成する評価報告書の構成と内容に関する様式の調和に関して
24
合意したことである。現在、データ要求と有害性/リスク評価の方法についての調和に関心が高まって
いる。
各分野の活動目的を以下に示す。
活 動
目 的
データ要求
農薬登録におけるデータ要求項目の国際的な調和を図る。
農薬の評価に使用するデータの加盟国間の相互受け入れを促進するた
試験ガイドライン
めに、農薬に適した OECD 試験ガイドラインを作成・改定する。
農薬の評価方法の調和を図り、加盟国が新たな評価を実施する代わり
有害性/リスク評価
に他の加盟国の評価の一部又は全部を使用できるようにする。
登録
農薬の評価作業を加盟国間で分担する。
リスク削減
農薬の使用によるヒト及び環境へのリスク削減を促進する。
環境面からの有害性/リスク評価の観点から、以下の活動を最優先する。
環境中運命
○ 環境中での運命・挙動に関するモデリング
○ モニタリング
○ 底生生物のための環境中予測濃度(PEC)の算定に関するガイダンスの作成
○ 土壌中 PEC 算定のための標準的なシナリオの作成
影響
○ NOEC に代わる、水生生物の毒性試験データの統計解析を用いたエンドポイントの開発
○ 陸生生物の影響評価のためのガイダンスの作成
○ 植物試験のための試験方法と試験戦略の開発
FOCUS
表面水シナリオ
Jan Linders
RIVM-CSR, Bilthoven, The Netherlands.
FOCUS 作業部会による表面水モデリングの報告書が完成した後、FOCUS 促進グループは表面水シナ
リオの開発のために新たな作業グループを設置した。前グループの結果を基に、表面水のための戦略が
合意された。
EU 加盟国の農薬登録審査当局が用いている各国のシナリオに加えて、最大 10 のヨーロッパ用シナリ
オが表面水の PEC 試算に用いられていることを確認した。これらの PEC は、いろいろなタイプの水生
生物(藻類、ミジンコ類、魚類)への影響データ(LC50/EC50(附属書Ⅴ参照)及び NOEC)と比較さ
れる。各シナリオでは、飛散 spray drift、表面流亡 run-off、浸透 drainage といった化合物の環境中への
異なる流入経路が考慮される。農薬散布は常に GAP(Good Agricultural Practice)に従っているものとす
る。
作業グループはまだ作業を終了していないため、中間的な結果しか示されないだろう。成果は 1998
年のワークショップにおいて促進グループ、産業界及び EU の加盟国に報告されるだろう。最終結果は
1999 年の初期と予定されている。
ECOFRAM:農薬の生態リスク評価手法の改善
Jeffrey M. Giddings
Springborn Laboratories Inc., for the Ecological Committee on FIFRA Risk Assessment Methods(ECOFRAM).
1997 年 6 月、米国 EPA の OPP(Office of Pesticide Programs)は、産業界、学会、行政機関及び非政府
環境団体から 40 人の科学者を召集し、FIFRA の下で農薬の生態リスク評価のための確率論的な技術・
方法の開発をめざすグループを設置した。この FIFRA リスク評価手法に関する生態委員会(Ecological
Committee on FIFRA Risk Assessment Methods(ECOFRM))は毎月作業会合を開き、陸生生物及び水生生
物のリスク評価に関する報告書案を 1998 年末に作成する予定である。それぞれの報告書では、大き
25
な不確実係数を必要とするが単純なワーストケースから、小さな不確実係数の複雑なケースまでを含む
段階的リスク評価方法の枠組みが提案される予定である。現行の曝露モデルの改良案は、気侯条件、土
壌、水理条件、農業慣行による変動が考慮される。生態影響分析において不確実係数を小さくする手段
として、現在の標準的な方法の改良に加え、個体群動態モデル、種の感受性分布、経時的影響の分析、
マイクロコズム試験、複数回曝露の解析技術とモデルが検討される。リスク評価のそれぞれの段階にお
いて、曝露と影響に関する情報は、農薬使用に伴う生態影響の可能性及び程度として表現されるリスク
の判定に集約される。
農薬の環境影響リスク評価の枠組み
Dennis Laskowski 1 and David Arnold 2
1. Dow Agrosciences, 9330 Zionsville Road, Indianapolis IN 46268-1053, United States of America.
2. AgrEvo UK Ltd., Chesterford Park, Saffron Walden, Essex CB10 1XL, United Kingdom. (米国及びヨーロ
ッパ農薬工業会の代表として)
最近、農薬(Crop Protection Products)の環境リスク評価スキームの改良・作成に関する活動が盛んに
なり関心が高まっている。これは、規制上の決定が単一のエンドポイント(有害性指数等)に基づくも
のからリスク評価に基づくものへ移行する必要性に関係している。これは、生態リスク評価の確率論的
手法の開発に関する米国での最近の活動(ECOFRAM)及びヨーロッパにおける地下水及び表面水にお
ける農薬のリスク評価シナリオを検討している FOCUS グループによってさらに発展するものでもある。
いかなる生態リスク評価も、農薬の使用方法を基にしなければならないと理解されており(また全て
の条件に適用できるひとつのリスク評価の概念の必要性も理解されている)、実施すべきリスク評価を
可能にする共通の作業を行う(building blocks)国際的な枠組みが必要である。
過去そのような枠組みが米国とヨーロッパの農薬工業会によって合同で作成されてきた。このスキー
ムは他のスキームの考え方を理解した上で取り入れているが、基本的に曝露と影響の精密化の過程を繰
り返す形で段階的評価を行うという論理的筋道を与えようとするものである。
それぞれの過程を繰り返す中で、懸念事項は生態学的影響の程度と意義に直接関係することから再評
価される(リスクの判定)。このスキームは、曝露又は影響を小さくするリスク低減方法を考慮し、リ
スク評価の一部としてのリスク・便益分析の重要性も認識している。
枠組みに関する報告書には、リスク評価のそれぞれの段階で考慮すべき要素についての情報が盛り込
まれることなっている。この報告書は、生態リスク評価手法の国際調和に向けた基礎文書として、OECD
及び規制に関する国際機関に提出される。
EU の規制の展望
Dr. Martin Streloke
Fachgruppe Biologische Mitttelprufung,
Biologische Bundesanstalt(BBA), Braunschweig, Germany.
指令 91/414/EEC が 1991 年に発効し、農薬分野における非標的水生生物のリスク評価に関する EU 内
の見解を調和するために非常に多くの作業がなされてきた。AnnexⅡ及びⅢはデータ要求について、
AnnexⅥはリスク評価の原則について述べている。水生生物分野での登録申請に当たっての評価及び規
制に関するガイダンスは作成段階にある。しかし、標準的なリスク評価により、水生生物に対する許容
できない影響が存在するという結論になった場合のガイダンスが依然必要となっている。AnnexⅥのい
わゆる「ただし書き(unless)」条項により、このような場合にはより精密なリスク評価が必要となる。
上記のガイダンスにはいくつかの助言が示されている。適切に実施されたマイクロコズム試験及びメソ
コズム試験のデータは、そのようなリスク評価のためのひとつの手段である。さらに、全体的な曝露評
価は(時間加重平均値の使用などにより)改善されることになり、またニーズに応じた曝露評価により
26
特別な種類の評価が可能になるかもしれない。HARAP ワークショップの成果は精緻なリスク評価の枠
組みに取り入れるべきである。
水系リスク評価の生態学的定義及び生態毒性試験との関係
Juan Gonzalez-Valero
Head of the Ecotoxicolgy Department, Novartis Crop Protection AG, Base1, Switzerland.
生態リスク評価で用いられる生態毒性試験は、化合物の本質的な毒性を測定するように開発されてき
た。農薬の規制においても、本質的な毒性は散布量に基づき算定される環境中予測濃度と比較される。
それにより得られた指数(quotient)や毒性/曝露比(TER)はリスク評価における最初の段階として使
用される(環境有害性予備判定)。
農薬は本来高い生物活性をもっている。従って、多くの化合物の場合、単なる TER の算出は標的生物
と近縁な生物に対しては適当でない。曝露の側からみると、農薬の環境中での挙動・運命はその物理的
化学的性質及び環境中での生物的及び非生物的分解により決定される。このような化合物特有の性質及
び散布間隔によっては、実際の環境中での濃度は散布期間中は増加し、その後時間とともに減少する。
従って、もし TER 計算の結果さらなる包括的なリスク評価が必要となった場合には「専門家の判断」が
必要となる旨が、農薬の販売に関する EU の指令 91/414/EEC に記載されている。
(本質的な毒性を決定するための)最初のリスク評価に使用できる急性及び慢性毒性試験のためにい
くつかの試験手順書が利用可能できる。より包括的なリスク評価のための国際的なガイドラインはない。
マイクロコズム試験及びメソコズム試験のためのいくつかのガイダンスは公表されているが、その結果
をどのようにリスク評価に取り入れるかという点に関してはガイダンスがない。さらに、高次の包括的
生態リスク評価に取り入れる必要があるものは何かを定めているガイダンスもない。
作物保護技術を利用する生態学的合理性は、一次産品の生産の最適化である。従って、作物保護技術
の利用は、農業生産地域の生態系に影響を及ぼす。包括的なリスク評価においては、望ましい生態系の
変化とそれによって起こりうる生態学的副作用とのバランスをとらなければならない。「生態リスク評
価」という言葉は、この影響を予測する手段と理解することができる。そうであれば、一般の人々、規
制当局、農薬製造業者及び農家の合意を得るためには、少なくとも以下の質問に答える必要がある。
○ 適切なエンドポイント及び評価すべきエンドポイントは何か。
○ どのような試験系又は技術を使用すべきか。
○ 許容できる影響の範囲はどこまでなのか。
この議論を始めるに当たり、いくつかの生態系のエンドポイント及びそれらと生態リスク評価との関
係を表にまとめた。生態リスク評価の外挿に使用できる試験系とデータを一列にまとめ、外挿法につい
てのコメントを記した。さらに、生物種の保護と生態系の機能の保護という二つのエンドポイントを記
した。
生態系の機能の変化は、マイクロコズム試験における生物種の多様性及び生産量として直接測定でき
るが、生物種の保護は直接測定する方法がない。従って、個体群又は biocoenosis レベルの試験データを
用いて、その種に関する生態学的知見(繁殖、移動、分布様式など)及び評価すべき種の必要な資源量
に関する情報(食物網における種間関係など)を基に、その種に対する影響を外挿しなければならない。
その結果、規制は複雑になることから、最も共通性が高い方法としては個体群レベルで単純化して規制
するものになる。
不幸にも最も共通性が高い試験系は、通常、最も感受性の高い成長段階の個体が使用され、試験期間
を通じて一定濃度に曝露されるために、個体群レベルの影響を過大評価する傾向にある。このような試
験における曝露期間は、藻類の場合は数日間、魚類では数ヶ月である。現実の環境条件下では、慢性毒
性試験の試験期間に相当する期間において化合物の濃度が一定であり続けることはない。分解、気化、
27
吸着、希釈といった要因により化合物の濃度は時間とともに減少していく。自然の個体群は、いろいろ
な感受性をもつ成長段階の個体で構成されているので、ある化合物の濃度に曝露することによって全体
として影響を受けることはない。個体群の変動と動態は、数時間から数年のように生物種の異なる生活
史の長さに左右される。包括的な個体群レベルの生態リスク評価を行なうためには考慮すべき全ての要
因を考慮する必要があり、試験系は現実の曝露条件、さらに必要があれば、より現実的な個体群の分布
を反映したものでなければならない。このようなタイプの試験系のいくつかの例が公表されているが、
現在のところ広く農薬の規制のために開発されたものはない。
マイクロコズム試験及びメソコズム試験は現実的な曝露条件の下で多数の種に対する影響を測定で
きる。このタイプの試験を用いた農薬の短時間曝露による影響評価(直接的な急性影響の評価)は広く
行なわれている。しかし、このような「自然」系では多様な生物がいるため、個体群は種間の相互関係
及び二次的影響により影響を受ける。従って、マイクロコズム試験又はメソコズム試験を用いた高次リ
スク評価におけるエンドポイントは、群集レベルにすることが望ましい。種の多様性、一次及び二次生
産量、食物網相互関係は直接測定できる項目であり、個体群レベルの変化は低次試験において確認して
おく必要がある。
以上を要約すると、改良された段階的生態リスク評価は、複雑さが増す方向に段階的に実施すべきで
ある。
第 1 段階:「非現実的な一定濃度」曝露による標準的な急性及び慢性毒性試験(ガイドライン試験)
第 2 段階:現実の散布シナリオ及び化合物の減衰予測も含めた室内及び野外試験に基づく現実的曝露の
シミュレーションを含めなければならない。この段階では、慢性曝露が起こりにくいという
情報が得られても、室内慢性毒性試験は必要である。
第 3 段階:現実的曝露と現実的な個体群分布とを併せることができる。追加室内試験(より多くの種を
用いた試験など)、室内又は野外マイクロコズム試験も実施。
農薬の利用可能データと環境リスク評価との関係
データ
環境リスク評価との関係
利用可能な試験系
エンドポイント
種の保護
生態系の機能と無関係
in vitro 試験
生化学的変化
生態系の機能と無関係
個体以下
繁殖試験
形態学的変化
追加試験へのトリガー
室内試験
死亡
高次試験への
生態系の機能と無関係
準野外試験
行動変化
トリガー
個体
成長
繁殖
影響なし⇒追加試験なし(十分な安全域)
外挿可能
室内試験
成長
外挿可能
準野外試験
繁殖
個体群
経時変化曝露シナリオ 動態(有効成分の 既知の種の使用
(繁殖、移動、分布
減衰)
様式)
回復
マイクロコズム試験 種間相互関係
特定の種の資源保 標 的 及 び 非 標 的 生 物 の
生態系機能試験(土壌 挙動(有効成分の 護 の た め の 情 報 生 息 地 の 機 能 を 考 慮 し
生態系の群集 微生物組成、食物網) 減衰と生物利用 (食物網における た 種 の 多 様 性 の 直 接 測
(biocoensis)
現実的曝露シナリオ 可能性)
相互作用)
定
(曝露の可能性とその 回復
期間)
農薬の散布方法
自然景観の保全
農業的地勢
物理的及び生物的資源の保護
種
種特有の生息地
生息可能地域
この表は、Kunast/Gonzales-Valero(1997)の表を改変したものである。
28
生態系レベル
参考3
欧米における公定水生生物毒性試験法
1. OECD
201
藻類生長阻害
215
幼魚成長毒性
202
ミジンコ類急性遊泳阻害
218
添加底質ユスリカ毒性(策定中)
203
魚類急性毒性
219
添加水ユスリカ毒性(策定中)
204
魚類延長毒性
221
ウキクサ生長阻害(策定中)
209
活性汚泥呼吸阻害
***
魚類 2 世代毒性(草案中)
210
魚類初期生活段階毒性(慢性毒性評価法)
***
淡水止水野外試験(草案中)
211
ミジンコ繁殖阻害
***
Mysid ライフサイクル毒性(草案中)
212
魚類胚・仔魚期短期毒性
2. US EPA FIFRA 水生生物関連ガイドライン
・Tier I
E72-1
淡水魚類急性毒性
J122-1
藻類生長/最大許容濃度
E72-2
淡水無脊椎動物急性毒性
E72-6
水生生物濃縮試験
E72-3
汽水性生物急性毒性
・Tier Ⅱ
E72- 4 魚類初期生活段階毒性及び無脊椎動物慢性影響
E none 藻類生長/再生産
・Tier Ⅲ
E72-5
淡水魚類慢性影響
N165-5 非標的水生生物/野外濃縮性
E none
汽水性魚類慢性影響
・Tier Ⅳ
E72-7
水生生物に対する野外試験
3. US EPA OPPTS No. 850 シリーズガイドライン(水生生物関係のみ)
http://www.epa.gov/docs/OPPTS_Harmonized/850_Ecological_Effects_Test_Guidelines/Drafts/
・グループ A(水生生物試験)
1500
1010
ミジンコ急性毒性
1710
1020
ヨコエビ急性毒性
1730
1025
カキ急性毒性(貝殻沈着)
1735
1035
Mysid 急性毒性
1740
1045
クルマエビ急性毒性
1790
1055
二枚貝急性毒性(胚幼生)
1800
1075
淡水及び海水魚類急性毒性
1
1850
1085
フミン酸緩和魚類急性毒性*
1300
ミジンコ慢性毒性
1900
1350
Mysid 慢性毒性
1925
1400
魚類初期生活段階毒性
1950
・グループ D(非標的植物試験)
4400
ウキクサ水生植物毒性試験 Tier I ,Ⅱ
魚類生涯毒性
カキ濃縮係数
魚類濃縮係数
淡水無脊椎動物底質急性毒性
海水無脊椎動物底質急性毒性
ユスリカ底質急性毒性
オタマジャクシ底質亜急性毒性
水生生物食物連鎖
一般淡水マイクロコズム室内試験
特定地域淡水マイクロコズム室内試験
水生生物野外試験
4450
水生植物野外試験 TierⅢ
・グループ E(微生物毒性試験)
5400
藻類毒性 Tier I ,Ⅱ
・グループ F(化学的特異性試験ガイドライン)
6800
難水溶性化学物質に対する活性汚泥呼吸阻害試験
*1
試験内容
・目的:環境中で発生する溶存有機物質(例:フミン酸やその塩類)の有無に伴う化学物
29
質の魚類への急性毒性を評価するため
・方法:フミン酸(HA、Aldrich 製)の有無による急性毒性試験を行ない、96-h LC50 を求
める。予備試験では 20mgHA/L(粘性があり、コロイド状の形成を伴い、毒性が出
ない場合、15mgHA/L 以下にする)で行う。
4. ASTM Standard 水生生物関連ガイドライン
D3978-80
藻類(セレナストルム)AGP 試験
D5120-90
活性汚泥呼吸阻害試験
E724-98
海産二枚貝胚止水急性毒性
E729-96
魚類・無脊椎動物・両生類急性毒性*
E1022-94
魚類と海産二枚貝生物濃縮性
E1191-03
Mysid 生涯試験
E1192-97
環境水/排水の魚類・無脊椎動物・両生類急性毒性
E1193-97
ミジンコ生涯毒性
E1218-97a
微細藻類 96 時間毒性試験(止水)
E1241-98
魚類初期生活段階毒性
E1295-01
セリオダフニア 3 腹産仔繁殖試験(半止水)
E1366-02
標準的水圏マイクロコズム試験(淡水)
E1367-99
海産及び汽水性端脚類 10 日間底質毒性試験
E1415-91
ウキクサ毒性試験(止水)
E1440-91
ワムシ急性毒性試験
E1463-92
Mysid 急性毒性試験(止水または流水)
E1498-92
海藻生殖発芽試験
E1525-02
底質生物試験の設計
E1562-00
多毛環形動物の急性、慢性、生涯水圏毒性試験
E1563-98
棘皮動物胚の急性毒性試験(止水)
E1604-94
水圏毒性における行動試験
E1611-00
海産と汽水性多毛環形動物底質毒性試験
E1706-00e2
淡水無脊椎動物による汚染底質の毒性測定
E1711-95e1
魚類毒性試験での行動測定
E1768-95
淡水魚類の換水挙動毒性試験
E1841-96
淡水大型植物毒性試験(半止水)
E1850-97
水圏と底質毒性試験への供試生物としての生息生物の選択
E1913-97
水草(フサモ)14 日毒性試験(止水、無菌)
2
2
* 淡水無脊椎動物種
Daphnids(ミジンコ) ;
Daphnia magna, D. pulex, D. pulicaria
Amphipods(ヨコエビ) ;
Gammarus lacustris G. fasciatus, G. pseudolimnaeus
Crayfish(ザリガニ)
Orconectes sp., Cambarus sp., Procambarus sp., Pacifastacus leniusculus
;
Stoneflies(カワゲラ) ;
Pteronarcys sp.
Mayflies(カゲロウ)
;
Baetis sp., Ephemerella sp., Hexagenia limbata, H. bilineata
Midges(ユスリカ)
;
Chironomus sp.
Snails (サカマキガイ)
;
Physa integra, P. heterostropha, Amnicola limosa
Planaria
;
Dugesia tigrina
30
参考4 我が国におけるフミン酸試験濃度の設定について
全国水道原水中の TOC 濃度(11∼13年度)[厚生労働省水道水質調査結果]
厚生労働省のホームページにある全国の水道事業者が測定した平成 11∼13 年度の水道水原水の TOC
値の区分分布表を基に以下のヒストグラムを作成した。
また、区分分布表を基におよその平均値を推定した。
測定値
水道原水のTOC測定値ヒストグラム
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
13年度
12年度
11年度
1.0
-0.5
2.0
-1.0
3.0
-1.5
4.0
-2.0
5.0
-2.5
6.0
-3.0
7.0
-3.5
8.0
-4.0
TOC(mg/L)
年 度
11 年度
12 年度
13 年度
3 年間合計
総和
総和合計
数量
平均値
-0.5
17
9
15
41
10.25
554.75
395
1.40
-1.0
36
31
28
95
71.25
TOC(mg/L)
-2.0
-2.5
30
16
21
22
20
23
71
61
124.25
137.25
-1.5
26
36
32
94
117.5
-3.0
9
8
9
26
71.5
-3.5
3
4
0
7
22.75
-4.0
0
0
0
0
0
[結論]
測定区間中央値を用いて計算すると、全体の TOC 平均値は約 1.4mg/L である(上表計算を参照)。
TOC を約 1.5mg/L とすると、フミン酸(HA)濃度としては約 4.9mg/L であり[TOC=-0.076 + 0.321
HA]*、5mgHA/L での毒性緩和係数を用いるのが適切ではないかと考えられる。
* 情報源:US EPA への質問に対する回答に基づく
(魚類急性毒性試験における添加フミン酸濃度と TOC 測定値の相関より EPA が導出)
31
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