Comments
Description
Transcript
コールセンターの顧客関係の電話での会話の構造
サービスサイエンスによる企業改革の実践 Implementation of Service Science-based Business Revolutions 2009.03.10 ワクコンサルティング 諏訪 良武 [email protected] http://waku-con.com/ ■オムロンの事業紹介 社会システム Financial Financial Systems Systems Retail Retail Systems Systems 産業システム Public Public Systems Systems Factory Factory Automation Automation Traffic Traffic Control Control Systems Systems Components Components for for Consumer Consumer and and Commercial Commercial use use ■オムロンフィールドエンジニアリング (OFE)の紹介 売 上:485億円 業 務:電子機器製品の設置 保守サービス 充実した 充実した サービスネットワーク サービスネットワーク 北は北海道から 南は沖縄まで 全国 150拠点のサービス網で 地域差のない、高いレベルの サービスをご提供いたします。 いつでも 従業員:1700人 関連会社:400人 どこでも 保守拠点:150拠点 サービス対象:オムロン製品、他社製品 サービス時間:24時間365日 売り物:3Kをいとわず、誠実、元気 本社 ・コールセンター ・ロジスティクスセンター ・ヒューテックセンター -開発研究センター -リペアセンター -キッティング ■保守サービスマーケットの劇的な変化(1998年春) ・金融業界のリストラ、再編成 ・金融業界のリストラ、再編成 ・厳しいコストダウン要求 ・厳しいコストダウン要求 ・電鉄会社の自社メンテ化 ・電鉄会社の自社メンテ化 ・24時間365日の出動要請 ・24時間365日の出動要請 ・保守サービスの競争激化 ・保守サービスの競争激化 ・保守リードタイムの短縮 ・保守リードタイムの短縮 ・お客様のご要求の高度化 ・お客様のご要求の高度化 ・サービスメニューの多様化 ・サービスメニューの多様化 ・競争に勝てる生産性 ・競争に勝てる生産性 ・業界No.1の業務スピード ・業界No.1の業務スピード ・喜んでいただけるサービスレベル ・喜んでいただけるサービスレベル 本気で実現しない 本気で実現しない と、生き残れない。 と、生き残れない。 ■カオスを狙い6つの改革を同時並行で実施 ・カオス状況の中で改革を進める。 ・過去の経緯、細かな意見の相違にこだわってられない。 業務改革プロジェクト 業務改革プロジェクト ロジステックプロジェクト ロジステックプロジェクト ISO9001、14000プロジェクト ISO9001、14000プロジェクト ITインフラ保守サービス立ち上げ ITインフラ保守サービス立ち上げ 人事評価制度改革 人事評価制度改革 全拠点長のローテーション 全拠点長のローテーション ■お客様のニーズ調査とプロジェクトの目標設定 ・「スピード」と「進捗管理」を重視し、お客様への情報提供を充実する。 ・マーケットは、OFEに「修理会社」から「保守サービス会社」への転換を求めている。 項目分類別の不満足度比較 お客様が求めているもの 平均不満足度 (0.66) コール受付け CEのスキル (0.22) 受付処理 ① TEL処理 (0.22) 進捗管理関連 スピード関連 (0.89) 0.00 △ (0.93) 0.25 0.50 0.75 修理 進捗管理 ○ × ② スピード (×) 1.00 コール受付け/CEのスキル(現場) → 満足度はさほど低くない 進捗管理関連/スピード関連 → 期待度は高く、満足度は低い ① 修理以外のサービスの確立 ② トータルなサービス・デリバリー 修理会社から保守サービス会社への転換を期待している ■現状業務プロセスの分析とあるべきプロセスの定義 ・「拠点別コール対応」をやめ、コールセンタを中心にした「機能別コール対応」へ転換する。 ・関連部門のネットワークコラボレーションを実現する。 組織 As-Is • 一業務に対して 複数組織が関与 (役割が不明確) • その結果リーダに 負荷集中 業務特性別分類 CPU 予定 出動 到着 故障 入力 アサイン 通知 準備 連絡 特定 MSR インスト 修理 他 終了 連絡 コールセンタ 拠点リーダ 拠点CE 拠点事務 サポート課 <業務特性> •場所 •対象 •スキル To-Be TEL 受付 処理 組織 担当 受付 ・1業務 =1担当の実現 拡大 TEL処理 コール アサイン センタ インスト 専任化と整流化 拠点 進捗管理 CE 一部顧客 電話受付機能 顧客インスト機能 人部材手配機能 社内 顧客 低い 電話受付 社内 顧客 高い TEL処理 社内 情報 高い 人・部材手配 一部顧客 CEインスト機能 社内 CE 高い CEインスト 一部顧客 修理機能 一部顧客 一部顧客 進捗管理機能 現場 社内 顧客・機器 顧客・情報 高い 低い 修理 進捗管理 ■エスカレーション型コールセンタの構築 ・負荷変動に強いエスカレーション型コールセンタの業務プロセスを開発した。 OFEのコールセンタは、多くの企業に注目されている。 TEL CMコントローラ CM受付 CMマネージャー CTI 95% お客様 ・CTI技術を用いた迅速かつ正確な、 顧客/設置場所/機器の確定 データ・通話の 同時転送 (コールパス) 顧客インスト データ転送 コールバック ・シューティング情報を活用した的確 な作業指示の作成 ・必要機材の確定 者 者 学 学 見 見 の 33回 回の 週 週 ・CM進捗状況の把握 データ転送 CEアサイン CEインスト CE データ転送 ・顧客への的確な技術回答 CM:コールメンテナンス ・対応CEのアサイン /動向管理 ・現場のテクニカルサポート i モードメール ・進捗報告 ・スケジュール確認 ■地図情報を活用した現場の見える化 ・出動しているCEの場所とステータスがリアルタイムに確認できる。 オムロン ■ お客様を支援するWeb上の動くマニュアル ・動くマニュアルでお客様の教育や、簡単な修理などをサポートする。 ■素晴らしい業務改革プロジェクトの成果 ・すべての時間帯で電話応答率95%以上 -2002年度からコール11秒以内90%以上の目標もクリアしている。 ・クレームの電話処理率の大幅向上 -金融では30%が、流通では60%が電話によりクレームが解決している。 -これは年間67,000件の現地出動削減効果をもたらしている。 ・苦情の大幅削減 -電話がかからないという苦情はゼロになった。 -督促などの苦情は95%削減できた。 ・進捗管理精度の大幅向上 -リアルタイムに進捗が管理できるようになった。 -Webによる進捗情報の公開は新しいサービス商品になっている。 ・顧客満足度の増大、従業員満足度の増大 -コールセンタを見学されるお客様が増大している。 -OFEをコールセンタがマネジメントしており、極めて元気な組織になっている。 ■全社員の努力が報われて表彰ラッシュ ・「サービスの見える化」でOA協会様からIT総合賞を受賞した。 ・コールセンタ専門誌のリックテレコム社の第一回コンタクトセンタアワードでは、 グランプリに相当するマネジメント部門の金賞を受賞した。 ・CRM協議会のCRMベストプラクティス賞では、ビジネス変革モデル賞を受賞した。 NTTドコモ様 モバイルソ リューション賞 ブランドコミュニ ケーション大賞 オムロングループ サービスサイエンスへの誘い サービスで満足していただくのは難しい ・サービスの原材料はお客様自身であることが多く、材料を選別することができない。 ・製造もお客様と一緒に行うので、サービス提供者の思うようにはことが進まない。 ・ハードウェア製品の場合、お客様は家電量販店などで比較検討し、納得して購入する。 ・サービスは比較が難しく、評価に自信が持てないため、例えばヘアースタイルでは、本人 がいいと思っても、周りの人にけなされると、すぐに満足が崩れてしまう。 お客様は生産に絡まない 製造の材料 =部品や原材料 仕入れ時に選別 自社のやり方で 工場で製造 購入時は他社製品 と比較して納得 サービスで満足していただくのは極めて難しい サービスの材料 =お客様の課題 仕入れ時に選別 できない お客様と一緒に サービスを作る 他社との比較など 客観的評価が困難 ダイヤモンド社 「サービス・リーダーシップ8つの法則」より 産業の情報転写モデル ・製造業は、製品設計情報を鉄板や鉄材などに転写するビジネスである。例えば、鉄板に金型 やプレスで設計情報を転写して、自動車のボディを製造する。 ・サービス業は、サービス設計情報を人に転写するビジネスである。したがって、転写が難しく、 時間経過で転写の効果が薄れることもあり、量産もできない。 製造業 製品 製品 設計情報 設計情報 転写 転写 サービス業 価値 価値 ・よい乗り心地 ・よい乗り心地 ・速い ・速い ・かっこいい ・かっこいい 価値 価値 ・正確、安心 ・正確、安心 ・迅速、共感 ・迅速、共感 ・好印象 ・好印象 ・均一な転写が難しい。 サービス サービス 設計情報 設計情報 転写 転写 ・転写に時間がかかる。 ・転写効果が薄れる。 ・量産できない。 自然科学にならってサービスを科学する サービスを分類する サービスを分類する 植物は胞子で増殖するシダ植物と種子で増殖する種子植物に 分類される。そして、種子植物はソテツや松のような裸子植物と リンゴやミカンのような被子植物に分類される。つまり、植物の 分類軸は「胞子植物と種子植物」、「裸子植物と被子植物」、「単 子葉植物と双子葉植物」、・・・・・となる。 サービスの分類と努力ポイント ハイスキル ハイトレーニング ・保守サービス ・リペアサービス -仕組み化、システム化 -プロセス改善 ・設置サービス ・掃除サービス ・配送サービス ロースキル ロートレーニング -マニュアル化 -手順化、チェックリスト 手順型 ・コンシェルジェサービス ・カウンセリング ・コンサルティング -共感性 -ビジョンの共有 -現場への権限委譲 ・民宿サービス ・居酒屋サービス -人好きな性格 -軽妙な会話 -共感性 気付き型 サービスの分類軸 ・価値あるサービスの分類軸として以下の10個が見つかっている。 ・この中から2つの分類軸を選んでサービスを分類すると新しい努力ポイントが見えてくる。 ①「手順型サービス」と「気付き型サービス」 ①「手順型サービス」と「気付き型サービス」 ②「ロースキルサービス」と「ハイスキルサービス」 ②「ロースキルサービス」と「ハイスキルサービス」 ③「個人型サービス」と「組織型サービス」 ③「個人型サービス」と「組織型サービス」 ④「お客様参加型サービス」と「お客様受身型サービス」 ④「お客様参加型サービス」と「お客様受身型サービス」 ⑤「期待度大サービス」と「あたり前サービス」 ⑤「期待度大サービス」と「あたり前サービス」 ⑥「都度サービス」と「リピートサービス」 ⑥「都度サービス」と「リピートサービス」 ⑦「都度サービス」と「会員制サービス」 ⑦「都度サービス」と「会員制サービス」 ⑧「自分でもできるサービス」と「自分ではできないサービス」 ⑧「自分でもできるサービス」と「自分ではできないサービス」 ⑨「実用サービス」と「感動サービス」 ⑨「実用サービス」と「感動サービス」 ⑩「実用サービス」と「自己実現サービス」 ⑩「実用サービス」と「自己実現サービス」 サービスメニュー(モノ、情報) ・450種のサービス業は、21種のサービスから成り立っている。 ・モノ提供5種類、情報提供5種類、快適提供11種類である。 モノ提供サービス 1.ユーザーに作ったモノを提供する。 製造、食品加工、建築、電気 2.ユーザーに食事や飲み物を提供する。 食堂、レストラン 3.ユーザーにモノを届ける。 宅配便、運輸 4.ユーザーにモノを貸し出す。 レンタカー、レンタルビデオ 5.ユーザーに宿泊や作業場所を提供する。 旅館、ホテル、貸事務所 情報提供サービス 1.ユーザーに価値ある情報を提供する。 専門誌、調査、人材紹介 2.ユーザーが知りたいことを教える。 教育、予備校、博物館 3.ユーザーがいろいろなことを相談する。 弁護士、司法書士 4.ユーザーに必要な情報を広告する。 広告宣伝、広報 5.ユーザーの代わりに設計する。 デザイン、設計 サービスメニュー(快適) ・快適提供サービスは「安心」、「楽」、「自己実現」に分類できる。 安心 楽 快適提供サービス 自己実現 1.ユーザーに安心を提供する。 医師、病院、保険、警護 2.ユーザーの所有物を修理する。 保守サービス(修理) 3.ユーザーの仲間の利益を守る。 医師会、労働組合 4.ユーザーの移動を支援する。 電鉄、バス、タクシー 5.ユーザーのゴミを処分する。 ゴミ収集、清掃 6.ユーザーのモノを預かる。 コインロッカ、銀行 7.ユーザーの要求を手配する。 旅行代理店、証券、営業 8.ユーザーに娯楽を提供する。 音楽会、スポーツ観戦 9.ユーザーの人生をガイドする。 宗教、作家、人生相談 10.ユーザーの自己実現を支援する。 大学、コンサル 11.ユーザーの能力向上を支援する。 学校、塾、絵画教室 3つのサービスメニュー ・サービス業はモノ提供サービスと快適提供サービスと情報提供サービスから成り立っており、 大半のサービス業は、これらの複合サービスになっている。 ・もし使っていないサービスがあれば、その活用が顧客満足向上の鍵になるかもしれない。 ・3つの要素をうまく使っている自動車、携帯、ゲーム機は完成度の高いビジネスになっている。 素材 モノ提供 サービス 芋掘ツアー マッサージ チェアー ブランド品 エステ 警備 快適提供 サービス 農業 有機野菜 自動車 携帯 ゲーム機 映画 コンサル 保険 Amazon 電子辞書 税理士 Google 情報提供 サービス 自然科学にならってサービスを科学する サービスを分解する サービスを分解する 高校の生物の時間に習った植物の知識を思い出してみよう。植 物の茎を切って断面を観察すると、水や栄養を細胞に送る維管 束組織があり、茎の中心には髄があり、髄や維管束組織を保護 するために、表皮(樹皮)がある。茎の断面を顕微鏡で観察すると 細胞があり、役割に応じた構造を持っている。さらに細胞には核 があり、核を分解するとDNAにたどり着く。 サービス提供プロセスを分解する ・サービスをプロセスに分解すると、どのプロセスに問題があるかが見えてくる。 ・多くの企業が「保守サービスプロセスの見える化」や「営業プロセスの見える化」に 取り組んでいる ・お客様を ・お客様を 確認する 確認する ・クレームを ・クレームを 受け付ける 受け付ける ・技術相談にのる ・技術相談にのる ・簡単なトラブル ・簡単なトラブル は、電話で は、電話で 対応する 対応する ・故障を診断する ・故障を診断する ・適切なCEを ・適切なCEを アサインする アサインする 保守サービスのコールセンタプロセスの例 ・現場CEの進捗 ・現場CEの進捗 を管理する を管理する ・必要に応じて ・必要に応じて 現場CEを援助 現場CEを援助 する する サービスの評価は成果とプロセスに分解 ・サービスは、その成果だけではなく、サービス提供プロセスも評価対象になる。 ・この二つの評価対象が共に良い評価を受けると、高い顧客満足が実現される。 ・つまり、サービス成果品質とサービスプロセス品質の両方が要求される。 サービスの 成果 悪い 高い 顧客満足 良い サービスの プロセス 悪い サービス品質を分解する ・感動を呼ぶサービスを実現するには、迅速性と柔軟性と共感性を重視すべきである。 ・お客様の事前期待を把握するには、共感性の発揮が何より重要である。 成果 品質 正確性 正確性::正確なサービス、約束遵守、システム支援 正確なサービス、約束遵守、システム支援 迅速性 迅速性::リアルタイム性、スピード、納期遵守、24時間365日 リアルタイム性、スピード、納期遵守、24時間365日 柔軟性 柔軟性::基礎力、応用力、権限委譲、論理理解(サービスサイエンス) 基礎力、応用力、権限委譲、論理理解(サービスサイエンス) 共感性 共感性::感受性、傾聴力、観察力、想像力、人好き、褒め上手 感受性、傾聴力、観察力、想像力、人好き、褒め上手 安心感 安心感::沈着、信用、余裕、高い能力、豊富な知識、妥当な価格 沈着、信用、余裕、高い能力、豊富な知識、妥当な価格 プロセス 品質 好印象 好印象::挨拶、聴き方、話し方、容姿、制服、施設、設備 挨拶、聴き方、話し方、容姿、制服、施設、設備 自然科学にならってサービスを科学する サービスをモデル化する サービスをモデル化する 天文学ではモデル化とシミュレーションにより、天体の軌道を 正確に解明できている。また、物理学ではニュートンの万有引 力の法則など多くの法則が発見され、自然現象が解明されて いる。この法則は自然現象を忠実に表現したモデルの一つと 解釈することができる。 フルフィルメントビジネスモデル ・コールセンターが修理の受付だけでなく、修理完了までのすべてをマネジメントする。 ・コールセンターによる効率化の効果は主に下流工程で実現される。 ・OFEの事例ではコールセンターの運用コストのほぼすべてが下流工程の効率化の 効果でまかなえていた。 ・お客様を ・お客様を 確認する 確認する ・故障を受付ける ・故障を受付ける ・技術相談にのる ・技術相談にのる ・簡単な故障は ・簡単な故障は 電話で対応する 電話で対応する ・故障を診断する ・故障を診断する ・適切なCEを ・適切なCEを アサインする アサインする ○必ずつながる ○必ずつながる ○好評な対応 ○好評な対応 ○リアルタイムな修復 ○リアルタイムな修復 ○出動の大幅削減 ○出動の大幅削減 ○正確な診断 ○正確な診断 ○アサインの効率化 ○アサインの効率化 ・現場CEの進捗 ・現場CEの進捗 を管理する を管理する ・必要に応じて ・必要に応じて 現場CEを援助 現場CEを援助 ○ポカミスの削減 ○ポカミスの削減 ○作業の効率化 ○作業の効率化 産業の情報転写モデル ・製造業は、製品設計情報を鉄板や鉄材などに転写するビジネスである。例えば、鉄板に金型 やプレスで設計情報を転写して、自動車のボディを製造する。 ・サービス業は、サービス設計情報を人に転写するビジネスである。したがって、転写が難しく、 時間経過で転写の効果が薄れることもあり、量産もできない。 製造業 製品 製品 設計情報 設計情報 転写 転写 サービス業 価値 価値 ・よい乗り心地 ・よい乗り心地 ・速い ・速い ・かっこいい ・かっこいい 価値 価値 ・正確、安心 ・正確、安心 ・迅速、共感 ・迅速、共感 ・好印象 ・好印象 ・均一な転写が難しい。 サービス サービス 設計情報 設計情報 転写 転写 ・転写に時間がかかる。 ・転写効果が薄れる。 ・量産できない。 高い顧客満足の実現モデル ・高い顧客満足を実現するためには、スキルだけではなく、ポカミスなどを防ぐ仕組みと 顧客の喜びを自分の喜びと感じられるマインドの醸成が必要である。 ・感動サービスを実現するためには、高いサービス運営力、顧客認知力さらに顧客の期 待を事前に予知する力が必要である。 高い顧客満足の実現モデル サービスの 仕組み 感動サービスの実現モデル 顧客 認知力 高い 感動 顧客 サービス 満足 サービスの スキル サービスの マインド サービス 運営力 要望の 事前予知力 サービスを定義する サービスを定義する これまでに多くの人々がサービスを定義してきた。しかし、これまで 誰もがなるほどと思える定義がない。納得できる「サービスの定義」 がサービスサイエンスの大きな課題の一つである。 サービスの定義 人や構造物が発揮する機能で、ユーザーの 人や構造物が発揮する機能で、ユーザーの 事前期待に適合するものを「サービス」という。 事前期待に適合するものを「サービス」という。 注記 注記・人はサービススタッフやサービス組織を意味する。 ・人はサービススタッフやサービス組織を意味する。 ・構造物とは製品(自動車)、設備(コインランドリー)、システム、仕組みを意味する。 ・構造物とは製品(自動車)、設備(コインランドリー)、システム、仕組みを意味する。 ・ユーザーが期待してない機能の発揮は、迷惑行為や無意味行為となりサービス ・ユーザーが期待してない機能の発揮は、迷惑行為や無意味行為となりサービス ではない。 ではない。 *このサービスの定義を使うと、製品や設備に内包されているサービスとヒューマン サービスを同じ土俵で議論できる。 事前期待の構成要素 ・事前期待は「事前期待の内容」、「事前期待の持ち方」、「ユーザーの属性」、 「ユーザーのサービスへの関わり方」から成り立っている。 事前期待の内容 サービスメニュー サービス品質 共通的な事前期待 事前期待 個別的な事前期待 事前期待の持ち方 状況で変化する事前期待 潜在的な事前期待 ユーザーの属性 ユーザーのサービスへの関わり方 事前期待の持ち方 ・事前期待の持ち方は4つのタイプに整理することができる。 ①共通的な事前期待 ・清潔な環境であって欲しい ・マニュアル化する ②個別的な事前期待 事前期待の 持ち方 ・厚手の蕎麦殻の枕が好き ・顧客DBに登録する ③状況によって変化する事前期待 ・観察と会話から感じ取る ・普段はワインだが、今はビールを飲みたい ④潜在的な事前期待 ・旅館で子供についての悩みを聴いてもらえた ・お客様を好きになる ・知恵や事例を蓄積する ユーザーの属性 ・ユーザーの所属する文化や風土もこの中に含まれる。 1.ユーザーは金持ちである。 1.ユーザーは金持ちである。 2.ユーザーは貧乏である。 2.ユーザーは貧乏である。 6.ユーザーはとても元気である。 6.ユーザーはとても元気である。 7.ユーザーは身に危険を感じている。 7.ユーザーは身に危険を感じている。 3.ユーザーはケチである。 3.ユーザーはケチである。 4.ユーザーは金払いがよい。 4.ユーザーは金払いがよい。 8.ユーザーは安全に懸念がない。 8.ユーザーは安全に懸念がない。 9.ユーザーは関西人である。 9.ユーザーは関西人である。 5.ユーザーは疲れ切っている。 5.ユーザーは疲れ切っている。 10.ユーザーは関東人である。 10.ユーザーは関東人である。 サービスへのユーザーの関わり方 ・ユーザーのサービスへの関わり方が事前期待に大きな影響を与える。 1.ユーザーができないことを代行してもらう。 1.ユーザーができないことを代行してもらう。 2.ユーザーができることを代行してもらう。 2.ユーザーができることを代行してもらう。 スキルがない、資格がない スキルがない、資格がない 時間がない、やりたくない 時間がない、やりたくない 3.ユーザーがお金を払ってやってもらう。 3.ユーザーがお金を払ってやってもらう。 4.ユーザーがお金を払わないでやってもらう。 4.ユーザーがお金を払わないでやってもらう。 それなりに期待する それなりに期待する 感謝する、大きな期待を持たない 感謝する、大きな期待を持たない CS向上を科学する CS向上を科学する お客様満足の定義 事前 期待 事前 期待 事前 期待 < > ≒ 実績 評価 聞きしに まさる リピート客化 実績 評価 何だ、もう 使うまい 顧客を失う 印象が薄い ライバルな ければ継続 実績 評価 日本能率協会 畠山芳雄 著 「サービスの品質とは何か」より 事前期待を考えていますか ・お客様のニーズやコンペティタのサービスレベルを把握していない。 ・CSを向上するために、ただがむしゃらに頑張っている。 ・つまり、事後評価の向上を目指してはいるが、どこまで頑張ればいいかの 評価尺度を持っていない。 ・お客様のニーズ ・お客様のニーズ ・お客様の問題点 ・お客様の問題点 ・満たすべき事前期待 ・競合企業のサービス レベル CSの目標値 事前期待は時間の増加関数 ・お客様のご期待は時間とともに高まっていく。 ・当社のサービスレベルはお客様のご期待を満たすだけでなく、コンペティタのサービス レベルを上回っていなければならない。 ・つまり、原則として当社は、常にCSを上げ続けなければならない。 サービスレベル 顧客満足度 当社のサービスレベル 差別化要素 競合のサービスレベル お客様の期待 (事前期待) 時間 CS向上の努力の仕方 CS向上の努力の仕方 仕組みによるCSの向上 人によるCSの向上 仕組みによるCSの向上 ・技術スキルアップ ・24時間365日 ・接客スキルアップ ・先進のコールセンタ ・サービス精神 ・Webによる進捗公開 ・高いモラール ・動くマニュアル ・業務ルールの遵守 ・緊急ロジステック ・人によるCSはアナログの差、仕組みによるCSはデジタルの差 トータルCSの向上 (テクニカルサポートの例) ・オペレーションの仕方で劇的にCSの差がつくことがある。 テクサポの メンバ-1 テクサポの メンバ-2 お客様-1 このお客様の対応に1時間かかって しまった。 お客様-2 電話対応できなかった お客様-3 電話対応できなかった お客様-4 電話対応できなかった お客様-1 このお客様の対応に15分しかかけられな かったので、ご要求を満たせなかった お客様-2 電話対応できた トータルCS お客様-3 電話対応できた = お客様-4 電話対応できた トータルCS = 1.0 3.5 CSと問題解決までの時間 ・下記は、米国の研究機関が行った病院のCSについての調査結果である。 ・指摘された問題の解決は翌日までに実施しないと急激にCSが落下する。 100 80 満足度 60 40 20 0 0日 1日 2日 3日 問題解決までの待ち日数 4日 5日 お客様を失う お客様を失う リピートオーダーの可能性 ・お客様満足度は、4になった時にリピートオーダの可能性が一気に上昇する。 ・調査により、やや満足(3)のお客様の実に97%が離反の可能性を持っていることが分かった。 ・平均点を評価しても無意味で、3のお客様をいかに4にするかを考えるべきである。 ・顧客ロイヤリティは、お客様満足度が4になって初めて価値あることになる。 リピートオーダの可能性 4 ● 3 2 1 0 ● ● ● 0 1 ● 2 お客様満足度 3 4 ダイヤモンド社 「サービスマネジメント」より サービスサイエンスへの期待 サービスを科学的に分析し、品質や生産性を高めるのが サービスを科学的に分析し、品質や生産性を高めるのが サービスサイエンスである。これにより、サービスの提供者 サービスサイエンスである。これにより、サービスの提供者 や開発者は科学的論拠に基づき、納得してサービスの改 や開発者は科学的論拠に基づき、納得してサービスの改 善に取り組むことができ、大きな成果につながる。 善に取り組むことができ、大きな成果につながる。 ご清聴ありがとう ございました。 さらに詳しく知りたい方は、拙著「顧客はサービスを 買っている」ダイヤモンド社をお読みください。