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No. 56 - 応用物理学会

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No. 56 - 応用物理学会
プラズマエレクトロニクス分科会会報 No.56
2012 年(平成 24 年)6 月発行
市來、市川、向川、池田
目
次
幹事長就任挨拶 幹事長退任にあたって
名古屋大学
堀 勝
1
幹事長就任挨拶 幹事長就任にあたって
東京大学
寺嶋 和夫
2
三菱電機 (株)
大森 達夫
3
第 10 回プラズマエレクトロニクス賞について
名古屋大学
堀 勝
6
プラズマエレクトロニクス賞を受賞して
河南農業大学
趙 穎
7
研究室紹介(その 51)
東京工業大学
小長井 誠
9
研究紹介(その 3)
首都大学東京
白井 直機
13
研究紹介(その 4)
岩手大学
高木 浩一
15
海外の研究事情(その 33)
九州大学
堤井 君元
18
新潟大学
安部 隆
21
名城大学
平松 美根男
27
名古屋大学
石川 健治
30
九州大学
白谷 正治
31
東北大学
寒川 誠二
32
京都工芸
繊維大学
比村 治彦
33
寄稿
パワーデバイスの最新動向(SiC パワーデバイスを主に)
第 10 回プラズマエレクトロニクス賞
学生のためのページ すぐに役立つプラズマエレクトロニクス
反応性イオンエッチング
国際会議報告
4th International Symposium on Advanced Plasma Science and its
Applications for Nitrides and Nanomaterials (ISPlasma2012)
5th International Conference on Plasma Nanotechnology and
Science (IC-PLANTS 2012)
2012 MRS Spring Meeting Symposium WW
Plasma Processing and Diagnostics for Life Sciences
8th EU-Japan Joint Symposium on Plasma Processing (JSPP2012)
国内会議報告
2012 年春季第 59 回応用物理学関係連合講演会
第 7 回分科内招待講演
「常識になっていないプラズマ現象 2 題(シース・対流)」
「プラズマ応用ナノカーボンナノバイオトロニクス」
i
2012 年春季 第 59 回応用物理学会関連連合講演会
プラズマエレクトロニクス分科会 チュートリアル講演
「マイクロプラズマの基礎と応用」
東北大学
金子 俊郎
34
2012 年春季応用物理学関係連合講演会シンポジウム
カーボンナノ材料プラズマプロセスの将来展望
~合成から機能化まで~
(独) 産業技術
総合研究所
山田 英明
35
第 9 回プラズマ新領域研究会
「微粒子プラズマ応用の最前線」
九州大学
内田 儀一郎
37
第 10 回 プラズマ新領域研究会
「大気圧プラズマ生成における気相反応シミュレーション」
東北大学
佐藤 岳彦
38
室蘭工業大学
佐藤 孝紀
39
愛媛大学
神野 雅文
2012 年秋季第 73 回応用物理学会学術講演会
プラズマエレクトロニクス分科主催シンポジウム
京都工芸
「プラズマのバイオ・医療への応用 -生体支援のためのプラズ 繊維大学
マ-」
比村 治彦
40
第 6 回プラズマエレクトロニクスインキュベーションホール
大阪大学
唐橋 一浩
41
第 23 回プラズマエレクトロニクス講習会
(株) ソニー
辰巳 哲也
43
Gaseous Electronics Conference 2012
九州大学
白谷 正治
44
第 34 回ドライプロセス国際シンポジウム
(株) 富士通
セミコンダクター
小倉 輝
45
名古屋大学
堀勝先生
47
静岡大学
永津 雅章
48
第 26 回光源物性とその応用研究会報告
行事案内
34th International Symposium on Dry Process (DPS 2012)
11th Asia Pacific Conference on Plasma Science and Technology
(APCPST) / 25th Symposium on Plasma Science for Materials
(SPSM)
第 30 回プラズマプロセシング研究会(SPP-30)
掲示板
平成 24 年度プラズマエレクトロニクス分科会幹事名簿
50
平成 24 年度分科会幹事役割分担
52
平成 24 年度分科会関連の各種世話人・委員
53
平成 23 年度後期および平成 24 年度前記活動報告
54
第 11 回プラズマエレクトロニクス賞受賞候補論文の募集
58
プラズマエレクトロニクス関連会議日程
60
東日本大震災で被災された方への会費免除のお知らせ
64
編集後記
65
ii
幹事長退任にあたって
~科学研究費細目「プラズマエレクトロニクス」創設に期待を込めて~
名古屋大学
堀
勝
いただくことができました。諸先輩が培ってきた
土壌の中で、新しい科研費細目が発芽できたこと
は万感の思いでした。これらの3つの出来事は、
全て、会員の方々のご努力の賜物であり、心から
敬意を表して、ここにお礼申し上げます。
さて、急速に変化する昨今の世界情勢の中で、
プラズマ科学技術が、
「いつ」
「どこ」
、
へ行くのか?
プラズマ研究者にとっては非常に重要な命題にな
ってきました。過去を振り返れば、今日の大規模
集積回路の劇的な衰退を代表とする世界の産業情
勢を予想することができたのかも知れません。グ
ローバル化の中で急速に変化するプラズマの応用
分野を洞察しながら、普遍的なプラズマ基礎研究
を基軸にダイナミックに応用研究に取り組むこと
が必要になっています。
特に、企業の衰退に伴い、プラズマの応用の動
向を読み切れない場合は、独創的なアイデアを秘
めていても研究費の獲得が非常に困難になってい
ます。
未来を見据えた独創的研究を遂行する上で、
「科学研究費」の獲得は極めて重要です。科学研
究費細目に「プラズマエレクトロニクス」が創設
されたことは、プラズマの多様な観点から真に優
れた研究の申請が正しく評価され、採択される可
能性が高くなることに大きな意味を有していると
思います。プラズマエレクトロニクスがアプロー
チする基礎科学の深化と体系化は、応用が如何に
変化しても普遍であり、多くの研究者がリマイン
ドして永続的に研究していくことが不可欠であり、
科学研究費が有効活用されることを期待していま
す。さらに、産業や医療社会が激動する中で、各々
の研究者が今後の応用プラズマを開拓し、先導し
ていくことが重要です。現在脚光を浴びているグ
リーンやライフイノベーションの行く先を極めて、
独創的なアイデアでバラ色のプラズマの未来を開
拓して欲しいと思います。
2年間に亘る幹事長の任期の間に、分科会にと
って大きな出来事が3つありました。この節目に
幹事長として対応できたことは、大きな喜びであ
ります。一つは、2010年10月4日~8日に、
分科会と米国物理学会が主催する「反応性プラズ
マ/電離気体国際会議」を欧米アジアの合同会議と
してパリで開催することができたことです。実行
委員会は、現地のパリの方々が中心となって運営
するという国際的なチームが活動したことは画期
な出来事と言えます。また830件以上の講演発
表が集まり、世界中の参加者から素晴らしい国際
会議であると称賛されたことは、本分野の重要性
と分科会の力の大きさを示し、我国が今後のプラ
ズマ分野を国際的に牽引するスキームを構築する
ことができたと言えます。次回は、2014年に
福岡で白谷正治組織委員長(九州大学)の下で開
催されますので、多くの皆様方の継続的なご協力
をお願い申し上げます。
二つ目は、2011年10月22日に、野依記
念学術交流館(名古屋大学)で応用物理学会プラ
ズマエレクトロニクス分科会20周年(研究会創
設25周年)記念特別シンポジウムを開催するこ
とができたことです。147名の参加者があり、
歴代の分科会幹事長および分科会の発展に貢献さ
れてきた方々とともに、若手研究者との懇談の場
を設けることができました。
「温故創新」を基に次
の30周年に向けての新しいスタートをきること
ができたのではないかと思います。
三つ目は、長年の念願であった科学研究費細目
に「プラズマエレクトロ二クス」を創設すること
ができたことです。前幹事長の白谷先生と密接に
連絡を取り合って協力することで、プラズマを取
り巻く他分野の研究者や当時応用物理学会会長で
あった白木靖寛先生のご理解を得て、23000
人の会員の総意として、応用物理学会が支援して
1
幹事長就任にあたって
東京大学
寺嶋和夫
この 4 月より 2 年間、プラズマエレクトロニク
ス分科会幹事長を務めさせていただきます東京大
学の寺嶋和夫です。分科会会員のみなさまが分科
会に入会されて本当に良かったと満足されるよう
精一杯努めさせていただきます。どうぞよろしく
お願い申し上げます。
昨年 10 月に本分科会の発足 20 周年を祝う記念
講演会が名古屋大学にて前幹事長の堀先生(名古
屋大学)の強力なご尽力・リーダーシップの下に
盛大に開催されました。本分科会の前身であるプ
ラズマエレクトロニクス研究会の発足 25 周年も
祝うこの記念講演会には、本分科会、研究会の立
ち上げに多大な貢献をされてこられた会員のみな
さま、幹事会の幹事のみなさまをはじめとして、
次代の分科会を担う学生会員のみなさま、若手の
研究者、技術者の会員のみなさまなど多岐にわた
るみなさまにお集りいただき、現在 520 名を超え
る大きな集団にまで発展した本会の活況をみなさ
まと祝うことができました。このような分科会の
隆盛は、長年に渡る会員のみなさまの分科会活動
への積極的なご参加・ご協力・ご教授、そして、
幹事会の幹事のみなさまの会の運営へのご尽力な
くして達成できなかったことは言を待ちません。
この学会活動への積極的な参加という良き文化・
伝統、そして応用物理学会の多くの分科会の中で
も 1,
2 を争う高い学会活動のアクテイビテイーこ
そが時代を超えて受け継いでいくべき本分科会の
最大の財産だと確信しております。さらにまた、
受け継ぐべきものを守るためには、継続的な変革
が必要とされ、本分科会の活動においてもこの点
を肝に銘じて進めてまいります。春・秋の学術講
演会においては学術技術の国際化の流れを迅速に
取り入れ応用物理学会内でも一番早くの英語のセ
ッションを設置するとともに、この 4 月のアメリ
カ MRS(Materials Research Society)学術講演会に
おける合同シンポジウム(プラズマバイオ応用)
の開催など国際化への対応を進めており今後益々
加速してまいります。また、分科会活動の中心で
あります各種の講習会・研究会、例えば、学生会
員のみなさんを主な対象とさせていただいていま
すインキュベーションホール、会社にお勤めの会
員のみなさまを主な対象としておりますプラズマ
エレクトロニクス講習会、プラズマ領域の新しい
研究領域を拡げる野心的な研究者・技術者の会員
のみなさまの発表、
研鑽の場となる新領域研究会、
などの開催におきましても、会の趣旨・内容・形
式の継続的な検討を行い、会員のみなさまにとっ
て十二分の満足をいただけることを肝に銘じ担当
幹事が日夜議論し常にフレッシュな会になるよう
努めております。半導体デバイスプロセス、光源
応用を中心に発展してきましたプラズマ応用も現
在、環境分野、生命分野、エネルギー分野などそ
の応用分野はたいへん多岐にわたるものになって
おります。
このような時代のニーズに沿った内容、
また、モバイル IT 時代にマッチした形式へのたゆ
まぬ講習会・研究会の変革を進めております。
さて、元幹事長の白谷先生(九州大学)
、堀先生
のご尽力によりこの秋の文部科学省の科学研究費
の申請分野の中の応用物理の分科の細目の一つと
して“プラズマエレクトロニクス”が設定される
ことになりました。このことは単に科学研究費の
カテゴリーについての話にとどまらず、
他の細目、
すなわち、応用物性、結晶工学、薄膜・表面界面
物性、光工学・光量子科学、応用物理学一般、と
並んで応用物理の中で6つの大きな分野のうちの
一つとしてプラズマエレクトロニクス分野が広く
国民のみなさまにも認知されたことを意味します。
このような時期に幹事長の重責をになえることに、
会員のみなさまに心より感謝いたします。今後、
分科会の発展に全力で取り組みますので、会員の
みなさま、幹事会のみなさまには、ご協力、ご指
導を賜りますようよろしくお願いいたします。
2
寄稿
パワーデバイスの最新動向(SiC パワーデバイスを主に)
三菱電機株式会社
パワーデバイス製作所、大森
1. はじめに
達夫
チング素子)としてパワーデバイスが広く用い
プラズマエッチングの研究・開発を始めて 30
られ、電力機器の省エネルギー化や高性能化に
年近くになり、徐々にプロセスからデバイス開
貢献している。図 1 にパワーデバイスの応用さ
発に力点が移動して、最近は次世代のパワーデ
れる電力機器を出力容量と動作周波数で分類し
バイスである SiC パワーデバイス
て応用分野を示す。100VA 以下の PC 電源等の
開発と製品化が中心になってきています。パ
小容量から、100MVA を超える直流送電などの
ワーデバイスは元々電力半導体と言われ 10 年
電力機器を機器に適した数 Hz から数 MHz の動
程前までは限られた研究者、技術者が中心の課
作周波数で駆動して、直流から直流、直流から
題でしたが、最近の持続可能な社会の実現が緊
交流、交流から交流、交流から直流の電力制御
急の課題と考えられる今日、省エネ、省資源に
を行って機器の最適動作を実現している。これ
貢献する環境関連技術への関心の高まりと、
らの製品に適用されるパワーデバイスは、小容
SiC や GaN などの新材料を用いたパワーデバイ
量のパワーMOSFET・バイポーラトランジスタ
スの実現が可能になり、注目を集めている分野
から中・大容量の IGBT(Insulated Gate Bipolar
です。本寄稿では、SiC パワーデバイスを主に
Transistor)、大容量のサイリスタ等があり、図 2
して、パワーデバイスの最新動向について紹介
に示すように 2011 年で約 170 億ドルの市場で年
させていただきます。
率 10%程度の拡大基調にある。特に中・大容量
の IGBT は、産業、自動車、新エネルギー、電
2. パワーデバイス概要
車や家電製品に広く使われ、今後も大きな成長
が期待され、国内メーカの製品力も強い分野で
電力制御のキーパーツ(一種の電子的スイッ
電力
GCT/GTOサイリスタ
GCT/GTOサイリスタ
100M
10M
応用装置の出力容量
直流送電
1M
100K
10K
1K
100
(VA)
鉄鋼
電
力
自動車
・電力機器
・電車
HVHV-IGBT/IPM/Di
・風力発電
・電力
・自動車
機器
・モータ ・無停電電源
制御
サイリスタ
IGBT/IP
・ロボット
産 ・溶接機 M
・溶接機
業 ・製鉄
DIPIPM
・太陽光発電
・汎用
インバータ
民 ・電子レンジ
生 ・洗濯機
トライアック
・エアコン
・冷蔵庫
・洗濯機
・電磁調理器
10
動作100
周波 1K
数( H
z)
電車
産業
モータ
制御
新エネルギー
太陽光発電
風力発電
家電
エアコン
汎用インバーター
MOSFET
冷蔵庫
将来予測
現状
10K
100K
PC用電源
1M
図1. パワーデバイスの応用分野
3
無停電
電源
洗濯機
B$
パワーデバイス世界市場規模
’80
IGBTのマーケットシェア
20
F社(米) その他
S社
H社
15
10
’85
E
p+
M社
E
G
n+
n+ buffer
layer(エピ)
p
n
p+ substrate
2008
2009
2010
2011
2012
2013
第3世代 Planar IGBT
3μm/PT型
2014
出典:IMS research社
MOSFET
IGBT
バイポーラTr
レクチファイア
出典:WSTS 2011年秋季予測をベースにまとめ
サイリスタ “World Market for Power Semiconductor
E (Emitter) G (Gate)
Discretes & Modules- 2011 Edition”
n+
図2. パワーデバイスの世界市場
p
p+
n+
p
p+
n- layer(エピ)
n+ buffer layer(エピ)
p+ substrate
p
n
n- layer
(エピレス)
p+
通電損失
C (collector)
ある。
G
スイッチング損失
2007
E
n+ buffer layer
C
F社
7th Gen
第6世代 CSTBT
0.4μm/LPT型
キャリア n- layer
蓄積層 (エピレス)
p+
n- layer (エピ)
I社(独)
’08 ’10
G
p
C
0
CY
’05
’00
第5世代 CSTBT
0.8μm/LPT型
第4世代 Trench IGBT
1μm/PT型
S(独)
5
’95
’90
E (Emitter)
6th Gen
1st Gen 2nd Gen 3rd Gen 4th Gen 5th Gen
High hfe
Bipolar Tr
(CY2010 世界)
図3. IGBT開発ロードマップ
IGBT は電圧制御型の MOSFET の欠点である
高耐圧に伴って高くなるオン抵抗と、バイポー
いないがスイッチング損失の少ないユニポーラ
ラトランジスタの低いスイッチング速度という
デバイスを 600V- 3300kV 以上の耐圧を持って
欠点を、それぞれ補う高性能なパワーデバイス
低損失で高温動作が実現できる。ユニポーラ素
として入力段に MOSFET を出力段にバイポー
子として、SiC-MOSFET と SiC-SBD(Schottky
ラトランジスタを 1 つの半導体素子上に構成す
Barrier Diode)が挙げられる。特に SBD に関して
るデバイスとして研究が始まり、1980 年代半ば
は複数のメーカから市販されており[1]、電力機
に実用的なデバイスとして実現した。その後、
器に適用されスイッチング損失の低減(バイポ
図 3 に示すように IGBT の電力損失(通電損失
ーラ起因の逆回復電流の抑制)が実証され製品
とスイッチング損失の総和)の低減とパワー密
化されている状況にある。更に,SBD ではエピ
度(通電電流密度)の向上の両面で開発が進め
膜/基板品質の向上やプロセス改善等により,電
られ、DRAM などの他の Si デバイスのプロセ
流容量の増大化等進められている。
ス・デバイス技術を適用して、プレーナ構造で
SiC-MOSFET においても,MOS 界面とゲート絶
の微細化(μm サイズですが)以降は、トレン
縁膜の高品質化等の技術革新により,1.2kV の
チ構造,キャリア蓄積層導入、薄ウェハ技術等
耐圧特性を維持しつつ 5mΩcm2 以下の低いオン
により,通電損失・スイッチング損失の低減,
抵抗率が得られている[2]。
高電流密度化を実現してデバイスの世代をすす
めてきた。しかしながら,Si-IGBT での低損失
Si-MOSFET
化が限界に近付きつつある今日,SiC(Silicon
Carbide)等の新材料によるパワーデバイスへの
ソース
n+
p
期待が大きくなっている。
ゲート
n-
SiC-MOSFET
ソース
n+
p
ゲート
ソース
n+
p
薄層化
高電子濃度化
3. SiC パワーデバイス
n-
ソース
n+
p
SiC基板
SiC は Si に比較して約 3 倍のバンドギャップ,
ドレイン電極
約 10 倍の絶縁破壊電界強度等の物性値を持つ
Si基板
ことから、図 4 に示すように、Si と同じデバイ
ドレイン電極
ス構造であってもより高耐圧で低抵抗な特性実
材料
禁制帯幅
(eV)
絶縁破壊強度
(MV/cm)
Si
1.1
0.3
SiC
3.25
3
現が可能になる。特に Si では耐圧を上げるとオ
図4. Si-MOSFETとSiC-MOSFETの構造比較
ン抵抗が増加して低電圧領域でしか利用できて
4
p++
p+
p++
ング損失の低減に限界があるためである。大容
p+
n- epilayer
量の SiC-SBD と SiC-MOSFET を適用した SiC
n+ substrate
n+
(2) p-well implantation
n+
(3) p-contact implantation
Hot implantation for high dose
インバータを試作し、Si-IGBT を用いた Si イン
Gate oxide
n+
バータに比べて,11kW 出力時の電力損失の
n+
(4) n-source implantation
Gate electrode
(7) Gate electrode formation
(5) Activation annealing
High temperature annealing
(>1700℃)
70%低減を実証し,低損失効果によりインバー
(6) Gate oxide formation
タ の体積を 1/4 に小型 化でき,パ ワー密 度
Source electrode
10W/cm3 を実現している[3]。SiC デバイスの特
性にあったインバータを開発することによる電
Drain electrode
(8) Metallization
力損失の低減の実証は進み、90%の削減まで実
証されている(図 6)。
図5. SiC-MOSFETのプロセスフロー
デバイス構造構築には、各種接合を制御して
◆ 大幅な低損失化、小型化(高パワー密度化)が可能
◆ 環境・エネルギー機器の圧倒的省エネ化が可能
作成する必要があるが、SiC は Si のように不純
450
電力損失(
相対値)
物の拡散速度が小さいので熱拡散で接合を形成
することが困難であり、イオン注入、エピ成長
技術等のプロセス技術を駆使してデバイス構造
を作り上げている。SiC-MOSFET の代表的なプ
ロセスフローを図 5 に示す。SiC 基板上(n+)に耐
300
現状 次世代
100 Siの限界値
(80)
Siインバータ
(1) Drift epilayer growth
High temperature growth
(~1500℃)
圧を維持するための 1500℃程度の高温で SiC エ
ピ層(n-層、10μm 程度@1.2kV 耐圧)を成長
材料
禁制帯幅
(eV)
絶縁破壊強度
(MV/cm)
Si
1.1
0.3
SiC
3.25
3
07年度
実証値 08年度
50 実証値
09年度
30
実証値
10
Si
SiC
2009年11月11日 三菱電機(株)広報発表資料より一部引用
させる(ドリフトエピ成長)。イオン注入により
pウエル形成後、オーミックコンタクトのため
図6. SiCデバイスの開発状況
p++になるように高温基板状態で高濃度のイオ
ン注入を行う。次に MOSFET の n チャネル形成
4. おわりに
のためイオン注入を行い、活性化のため 1700℃
最近注目されているパワーデバイスの最
以上の高温で活性化アニールを行うが、このと
新状況を概説した。材料の変革(Si→SiC)によ
きのイオン注入、活性化アニールの工程で MOS
りデバイス特性が大幅に向上し、今後の拡大が
界面の欠陥を低減して平坦・清浄な界面を形成
期待されている。
する SiC 特有のプロセスを適用する。その後ゲ
ート酸化膜形成、電極形成を行って
[1] http://www.infineon.com
SiC-MOSFET を形成する。デバイス構造やプロ
[2] N. Miura et al., “Successful development of
1.2 kV
セスの工夫、改善により現在オン抵抗率
2
4H-SiC MOSFETs with the very low
on-resistance of 5mΩ·cm2”, IEEE ISPSD 2006.
1mΩcm 以下の SiC-MOSFET が報告されている。
pp261-264.
SiC-SBD と SiC-MOSFET で構成される SiC イ
[3] S.Nakata et al, “Substantial Reduction
ンバータでは、Si-IGBT,Si-PiN-Diode で構成さ
of Power Loss in a 14kVA SiC-Inverter”,
れる Si インバータに比較して、低損失,高パワ
Proceedings of Solid State Devices and
ー密度の実現が可能となる。IGBT/PiN-Diode で
Materials,
は、バイポーラ起因の蓄積電荷によるスイッチ
pp.820-821.
5
(SSDM2009,
Sendai,
Japan)
第 10 回プラズマエレクトロニクス賞
第 10 回プラズマエレクトロニクス賞について
名古屋大学
堀 勝
多数の応募の中から、本年度の受賞として次の
ニズムを詳細に検証した点が高く評価でき、実際
優れた1件を選考しましたので、
報告いたします。
の医療関係や食品関係の産業応用の観点からも極
めて有用な論文である。また、その他の関連論文
もプラズマ医療・バイオ分野への貢献が大きい。
受賞論文
論文名 Effects of N2–O2 Gas Mixture Ratio on
さらに、本論文の著者らは、新しい分野である
Microorganism Inactivation in Low-
プラズマ医療の研究を日本国内において牽引する
Pressure Surface Wave Plasma
役割を果たしており、プラズマエレクトロニクス
著者名 Ying
Zhao,
Akihisa
Ogino,
and
分科会がこの分野の発展のイニシアチブを取り、
Masaaki Nagatsu
研究者人口の増加を推進できる原動力にもなり、
Japanese Journal of Applied Physics
先駆者としてのリーダーシップを発揮されている
50 (2011) 08JF05.
と考えられ、その意図を明示する観点からも、本
雑誌名
論文はプラズマエレクトロニクス賞に相応しいと
考えられる。
受賞者(現所属)
趙 穎
(河南農業大学、中国)
第 10 回プラズマエレクトロニクス賞選考委員会
荻野 明久 (静岡大学)
関根 誠
永津 雅章 (静岡大学)
(委員長、名古屋大学)
金子 俊郎 (東北大学)
白谷 正治 (九州大学)
受賞理由
白藤 立
従来、プラズマ滅菌の分野においては、プラズ
(大阪市立大学)
マを照射して効果を見るなどの現象論的なアプロ
藤原 伸夫 (三菱電機)
ーチしかされていなかった。申請者である永津教
藤山 寛
(長崎大学)
授を中心とする本論文著者グループは、励起酸素
原子による芽胞菌のエッチング現象が確かに起こ
毎年、12月25日にプラズマエレクトロニク
っていることを、副産物である H2O と CO2 の四
ス賞への応募の締め切りがございます。本分野で
重極質量分析器による直接観測で明らかにした。
は、大学および企業から多数の優れたご発表がな
また、酸素と窒素のガス混合比を変化させること
されていますので、皆様方の奮っての応募をお願
で、酸素ラジカルによるエッチングと、窒素分子
いいたします。賞の応募規約については、本会報
からの紫外線照射による DNA 損傷の効果を区別
の掲示板、および分科会のホームページに記載し
して詳細に調べ、これらの相乗効果が重要である
ていますので、熟読して頂きますようお願い致し
ことも明らかにした。プラズマ滅菌・殺菌のメカ
ます。
6
プラズマエレクトロニクス賞を受賞して
河南農業大学(Henan Agricultural University, China)趙 穎 (Ying Zhao)
(静岡大学
荻野 明久,永津 雅章)
I have graduated from Shizuoka University in
1. Introduction
First, I am very surprised that we could receive the
March 2011 and I am now working in Henan
Plasma Electronics Award in the 2011 fiscal year, we
Agricultural University of China as an associate
are all proud of that. Taking this opportunity, I would
professor now. The experience of my PhD study in
like to express my sincere gratitude to my supervisor
Japan will be never forgotten. I am very proud of that I
Professor Masaaki Nagatsu for continuous support
can participate in this professional group and make my
during my study. His guidance, encouragement and
dream come true.
suggestion helped me all the way during my research
2. Research
and up to writing of this paper. Second, I am very
grateful to all the members of our laboratory for our
Our research efforts were motivated by both a desire
collaboration, but most of all, to associate professor
to understand the mechanisms whereby plasma affects
Akihisa Ogino for his help in experiments, and his
the cells of microorganisms and by exciting prospects
technical support throughout my experiments. Third,
of using plasma in the biomedical field[1,2]. In my
during my study I have to collaborate with many
PhD work, we used the surface-wave plasma (Fig. 2)
colleagues for whom I have great regard, and I wish to
to measure the by-products which came from through
extend my warmest thanks to all those who have
plasma-microorganism
helped me with my work. I would like to make a
irradiation process using the multiple ion detection
special reference to Dr. Changlun Chen, Dr. Liang Bo
(MID) system of QMS and vacuum shutter system.
interaction
during
plasma
Liang, Dr. Qiang Ma, Dr. I. Motrescu(Ami) and Dr. J.
Watanabe. Our discussions helped me in many ways
such as to solve problems in experiments, analyze
complex data, write and publish papers, and make
wonderful presentations. I am also grateful to
Mr.Tomoda for the SEM analysis.
Fig. 2 Schematic view of experimental setup of the
surface-wave plasma device[3].
We investigated the germicidal efficiency of
biological indicator to clarify the mechanisms of
plasma etching effect. Analyses of SWPs with
different gas species for sterilization were carried out
to make clear the relation between N2/O2 plasma
Fig. 1 Group photo of Nagatsu lab members
7
characterization and bacteria destruction as the aspect
・The higher input power was used, the more rapid
of inactivation mechanism via the synergetic effect
inactivation of the spores was observed.
due to radicals and VUV/UV photons in N2/O2
・In N2/O2 plasma, the best etching efficiency was in
plasma[4]. The main results of the works mentioned
the case of 90% O2/10% N2 plasma, and etching
above are summarized as follow:
efficiency in rich oxygen mixture plasma were better
・In air-simulated plasma, the lethal damage is caused
than pure O2 plasma.
by both effects, etching effect due to radical species
・As for the efficient inactivation of spores, we found
and VUV/UV photons, with highest efficacy.
that the optimum gas mixture ratio was between 30
・The MID (multiple ion detection) measurement of
and 80%, as shown in Fig. 4. This result apparently
QMS and shutter control system proved useful for
shows that the spores are inactivated by the synergetic
monitoring the bacteria degradation process, the
effect due to etching and VUV/UV photons.
signals of H2O and CO2 as main by-products
expressed a well defined corresponding to erosion of
3. Future Scope
bacteria by oxygen radicals, as shown in Fig.3.
Although much work has been done, there are still
many tasks needed to do. The understanding of the
interaction of plasma with living cells in general, and
with bacterial cell in particular, requires a careful
investigation which probes the effects on the cellular
and sub-cellular levels. So, an in-depth or systematic
study on the specific effects of the plasma on
sub-cellular components such as nucleoid, cytoplasm,
ribosome, etc. has yet to emerge. A lot of careful work
requiring
collaborative
efforts
between
plasma
physicists, microbiologists, and biochemists remains
to be done. Our goal in the study of low-temperature
Fig. 3 Time evolution of QMS signals for H2O and
plasma sterilization is to develop a commercial plasma
CO2 components during plasma irradiation[3].
sterilizer for medical application.
References
[1] M. Nagatsu, F. Terashita, and Y. Koide: Jpn. J.
Appl. Phys. 42 (2003) 856.
[2] M. Nagatsu, F. Terashita, H. Nonaka, L. Xu, T.
Nagata, and Y. Koide: Appl. Phys. Lett. 86 (2005)
211502.
[3] Y. Zhao, A. Ogino, M. Nagatsu, Jpn. J. Appl. Phys.
50 (2011) 08JF05.
[4] Y. Zhao, A. Ogino, M. Nagatsu, Appl. Phys. Lett.,
98 (2011) 191501.
Fig.4 Survival curves for G. stearothermophilus
samples exposed to N2/O2 plasma 20s and 60s,
respectively, as a function of oxygen mixture ratio [3].
8
研究室紹介(その47)
東京工業大学大学院理工学研究科
小長井・宮島研究室、教授 小長井 誠*
long-term の革新技術開発を行っています。
さらに、この 4 月末より、福島復興プロジェク
トの一つとして文部省「革新的エネルギー研究開
発拠点形成事業 -ナノワイヤー太陽電池」の研
究総括を務めることになりました。
これらの次世代、あるいは革新的太陽電池製造
技術の根幹となるものがプラズマプロセスです。
「プラズマ」分野には、応用物理学会の中でも特
に先進的でしかも活発な(ラジカルな)研究者が
多く集まっておられます。最近、プラズマ CVD に
よるアモルファス Si あるいは、微結晶 Si に係わ
っている会員数は、技術の成熟とともに減少傾向
にありますが、太陽電池を世界に負けない真に強
い分野に育てていくには、プラズマ分野における
革新技術開発こそが必要不可欠なのです。日本の
太陽電池技術のいっそうの向上のため、多くの会
員が革新的太陽電池研究開発に加わっていただけ
れば幸いです。
1.太陽電池研究の事はじめ
わたしの恩師は、高橋清先生(東工大名誉教授)
です。昭和 47 年、私が学部を卒業して、修士課程
に進学したある日のこと、高橋先生が私を呼び止
められ、
“小長井君、太陽電池の研究をやってみな
いか”と言われました。わたしは、すでに
AlGaAs/GaAs ヘテロ接合トランジスタのテーマで
研究を行っておりましたが、3 端子素子のトラン
ジスタより、2 端子素子の太陽電池の方が簡単だ
から、すぐに成果は出るだろうと思い、両方のデ
バイスを研究対象としました。ところが、実際に
は、トランジスタの研究は、その後、10 年程度で
終了し、太陽電池がライフワークとなりました。
太陽電池は、
基本的には半導体 pn 接合であり動作
を理解することは難しくないのですが、太陽電池
開発は、大面積で高性能、しかも低コスト化が必
須という非常に挑戦的な課題だったのです。
これまでに、GaAs をはじめとして、アモルファ
ス Si、微結晶 Si、Cu(InGa)Se2、CdTe、結晶 Si 系、
量子ドット太陽電池と、ほとんどすべての太陽電
池材料系において、変換効率を高めるための研究
開発を展開してきました。
3.太陽電池技術開発のポイント
太陽光発電技術開発の目標は、発電コストを 7
円/kWh レベルまで下げることです。発電コストを
下げるには、製造コストが安いことは言うまでも
ありませんが、太陽電池のエネルギー変換効率が
2.太陽電池産業の現状と研究開発課題
非常に高いことが必要不可欠です。詳しくは、文
現在、化石燃料ならびに原子力に替わる新エネ
献の(1)を参照してください。また、遠い将来のこ
ルギー源として太陽光発電が注目されており、期
とを考えると、2050 年には、世界中で 10~20TW
待度は非常に高いのですが、いま、わが国の太陽
電池産業はタイヘン苦しい状況に置かれています。 (テラ W。10~20 兆 W)規模の太陽光発電システ
ムの導入が必要となるでしょう。これだけの量の
一番の理由は、中国企業による安価なシリコン太
太陽電池を導入するには、従来のシリコン太陽電
陽電池の大量生産とその世界戦略です。また、欧
池に比べ、使用する材料が 1/1000 と少なく、しか
州を中心とした経済危機から、欧州のマーケット
も変換効率の高い薄膜太陽電池の開発が必要不可
の成長率をこれまでのように高水準に維持するの
が難しい状況となっていることも原因の一つです。 欠です。高効率化研究は、材料開発・評価、デバ
イス物理、プロセス研究など、多くの基盤的な学
そこで、小長井・宮島研究室では、太陽電池製
造企業と直結する near-term の研究課題と、ター
ンキー装置では、すぐに真似できないような
* 現在、応用物理学会 会長
9
図1 東工大 小長井研究室における太陽電池研究開発の流れ
問分野を含む領域でもあります。以下で、簡単に
これまでのシリコン系薄膜太陽電池に関する当研
究室の取り組みを紹介いたします。
4.Si 薄膜太陽電池
一般に Si 太陽電池と言えば、厚さが 200m 程
度の結晶シリコン太陽電池を指しています。
一方、
薄膜太陽電池は、従来技術によるシリコン太陽電
池とは異なり、必要とする発電層が非常に薄くな
っています。例えばシリコン薄膜では、その必要
とする厚さは、従来型の 1/1000 の 0.3m 程度と
なっています。またプラズマ CVD 法により 200℃
付近の非常に低温で、しかも数平方メートルサイ
ズの大面積ガラス基板の上に製造できるため、本
質的に低コスト化が可能で、しかも量産性に優れ
ています。しかし、薄膜系の変換効率は、従来型
に比べると半分以下と低い状況にありました。そ
こで、長年に亘り、Si 薄膜太陽電池の変換効率を
アップさせる研究に取り組んできました。特に、
界面制御に関する新技術開発、凹凸を有する光閉
じ込め効果を有する新しい透明導電膜の開発など
をとおして、薄膜太陽電池の高効率化に大きく貢
献しました。
実際には、
図 1 に示すように 1980 年からアモル
ファス Si 太陽電池開発に着手しました。
1983 年、
アモルファス太陽電池の変換効率が p/i 界面で制
限されていることを見出し、その解決法として、
界面に傾斜組成を有するバッファ層を挿入するこ
とを提案しました。アモルファス太陽電池におけ
るバッファ層技術は、すでに広く実用化されてい
ます。現在では、アモルファス Si と微結晶 Si の
タンデム太陽電池で 13%の変換効率を得るに至
っています。高速堆積が必要な微結晶 Si は、周波
数 60MHz の VHF-PCVD 法で製膜しています。
10
一方、ナローバンドギャップとしてアモルファ
ス SiGe へ寄せる期待が高まっていましたが、
欠陥
密度が多く、高品質化が大きな課題となっていま
した。このような状況の中で、水素希釈をすると
高品質化が可能なことを見出し、a-Si/a-SiGe タ
ンデムセルでその有効性を実証しました(1987
年)。
現在、当研究室には、シリコン薄膜を製膜する
ためのマルチチャンバープラズマ CVD 装置が4台
あります。図 2 は、アモルファス Si/微結晶 Si タ
ンデム太陽電池を製膜しているプラズマ CVD 装置
です。現在の悩みは、こうしたプラズマ CVD 装置
が非常に高価なことです。これは製造現場でも課
題となっています。真空装置メーカーには、低価
格化の努力をお願いしたいところです。
集光型薄膜フルスペクトル太陽電池の研究開発」
を受託しており、産学連携のコンソーシアムで変
換効率 40%を目指した薄膜フルスペクトル太陽
電池開発を展開中です。現在、7 年計画の 5 年目
にあたります。薄膜系 5 接合タンデム構造のイメ
ージを図 3 に示します。
ガラス基板
透明導電膜(フルスペクトル対応)
第1セル 禁制帯幅2.2eV
第2セル 禁制帯幅1.7eV
第3セル 禁制帯幅1.4eV
オプティカルカップリング
第4セル 禁制帯幅1.1eV
第5セル 禁制帯幅0.6eV
図 3 薄膜で 40%以上の変換効率を狙う 5 接合構
造の例。第 1 セル:a-Si1-xOx, a-Si1-x Cx, a-Si1-x
Nx, Ag(InGa)Se2 など。第 2 セル:a-Si, SiGe
など。第 3 セル:a-SiGe, Si 量子ドット,
Cu(InGa)Se2 な ど 。 第 4 セ ル : 微 結 晶 Si,
Cu(InGa)Se2 など。第 5 セル:微結晶 SiGe, Ge,
CuInTe2 など。
図 2 アモルファス Si/微結晶 Si タンデム太陽電
池用マルチチャンバープラズマ CVD 装置。
5.超高効率を目指す薄膜フルスペクトル
太陽電池
薄膜太陽電池の変換効率は、どこまで向上させ
ることが可能でしょうか。原理的には、禁制帯幅
の大きい方(2.2eV)から、小さい方(0.6eV)まで
高品質の光吸収層が作製可能であれば、5 接合太
陽電池で 40%以上の変換効率の達成が可能とな
ります。現在、当研究室では、NEDO「新エネルギ
ー技術研究開発 革新的太陽光発電技術研究開発
(革新型太陽電池国際研究拠点整備事業)低倍率
5 接合をすべて薄膜シリコン系で構成しようと
すると、第 1 層目は禁制帯幅が 2 eV 以上の
a-Si1-xOx、a-Si1-xCx あるいは a-Si1-xNx などが開発
の対象となります。第 2 層目の光吸収層材料とし
ては a-Si が有力です。禁制帯幅 1.4 eV 付近の第
3 層目の材料として Si 系量子ドットの開発を精力
的に進めています。第 4 層目には、微結晶 Si が有
望です。
最下層となる第 5 層目としては Ge 薄膜や
カルコパイライト系薄膜を考えています。これま
でに、アモルファス Si をトップセル、Cu(InGa)Se2
をボトムセルに用いた波長スプリッティングセル
で 18%を超す変換効率が得られています。
11
6.福島復興プロジェクトと革新的太陽電池開発
いま早急なる立ち上げを行っているのは、福島
復興プロジェクト、
「革新的エネルギー研究開発拠
点形成事業 -ナノワイヤー太陽電池」です。ま
だ詳しくは公表できないのですが、概要は以下の
通りです。
現在、
25%程度の Si 太陽電池の変換効率を 30%
以上まで向上させるための革新的太陽電池として、
シリコンナノワイヤー太陽電池の研究を行う、と
いう内容です。
現在のシリコン太陽電池の性能は、
シリコンの禁制帯幅 1.1eV で制限されており、
30%以上の変換効率領域を目指すには、ナノテク
ノロジーを用いた禁制帯幅制御が必要不可欠です。
本事業では、ナノメートルサイズの径を有するシ
リコンワイヤーを形成するための革新技術を確立
し、バンドギャップ制御されたナノワイヤー太陽
電池と、高効率ヘテロ接合型シリコン太陽電池と
をタンデム化することにより、シリコン系太陽電
池では未踏の 30%以上のエネルギー変換効率達
成を目指すものです。具体的な構造を図 4 に示し
ます。
このプロジェクトは 5 年間の予定ですので、
興味のある方は、小長井宛、直接、ご連絡いただ
ければ幸いです。
7.おわりに
本稿では、小長井・宮島研究室で実施している
Si 薄膜太陽電池と革新型太陽電池の研究内容を
中心に紹介いたしましたが、このほか直近の課題
としてヘテロ接合型バルク Si 太陽電池の研究開
発を行っております。プラズマ CVD 法による SiO
や 3C-SiC を用いた新型ヘテロ接合太陽電池で
700mV を超す開放電圧を得るに至っています。ヘ
テロ接合太陽電池は、わが国が誇る強い太陽電池
の一つですが、これもまた 1980 年以降、産官学共
同で展開してきたプラズマ CVD に関する基礎研究、
応用研究の大きな成果の一つであります。
最後になりますが、当研究室は、7 月末までに
は、図 5 に示す新棟(環境エネルギーイノベーシ
ョン棟)
に引っ越し予定です。EEI 棟は、
約 600kW
の太陽電池で覆われており、100kW の燃料電池
も備えるなど、最新の創エネ、省エネ技術を取り
入れた建物となっています。
図 5 約 600kW の太陽電池が取り付けられた環
境エネルギーイノベーション棟
図 4 変換効率 30%以上を狙う Si ナノワイヤー
太陽電池と結晶 Si 太陽電池のタンデム構造
の例。
参考文献
(1)小長井誠、
“薄膜シリコン太陽電池の高効率化
技術”
、応用物理 第 79 巻、第 5 号
(2010)pps.393 -403
(2)http://www.mext.go.jp/b_menu/boshu/detail/
1320247.htm
12
研究紹介(その3)
首都大学東京プラズマ応用研究室
理工学研究科電気電子工学専攻
はじめに
本研究室は、杤久保文嘉教授の下、修士課程学
生 6 名、学部学生 3 名、助教の白井で構成されて
います。詳しい研究室の紹介についてはプラズマ
エレクトロニクス分科会会報 No. 51 にて紹介され
ています。私自身は、学生時代を東京工業大学で
過ごし、2009 年より首都大学東京の助教として採
用して頂きました。学生時代は、大学院修士課程
から博士課程までの 5 年間、指導教員であった石
井彰三教授が特定領域研究「マイクロプラズマ」
に参画していたため、そのプロジェクトの中で研
究を進めることができました。そこでは拡大レン
ズを接続したカメラで微小な空間に生成される
様々なマイクロプラズマの観測を行ってきました。
肉眼で見ると光の点にしか見えないプラズマが拡
大レンズを通してみると様々な構造をもつことが
観測されることに大変興味を持ちました。そうい
った実験を続ける中で観測されたのが、今回紹介
させて頂く自己組織化模様でした。
研究内容
大気圧プラズマの中でも特に液体を利用したプ
ラズマの研究を行っています。液体を利用する方
法は色々ありますが、我々は液体を電極として水
液体を電極とした放電の歴史は古く、100 年以上
白井直機
前に既に手法は提案されていますが[1]、近年の大
気圧プラズマ生成法の進歩により、様々な応用へ
の展開が期待されています。
我々は大気圧空気中で安定に放電を形成するた
めに穴径 500m 程度の微細な穴をもつ金属ノズ
ル電極よりヘリウムを電極間に導入して、液体電
極と金属電極間に直流電圧を印加することで放電
を形成します。これまでに NaCl 水溶液を陰極と
して用いた時に放電電流を増加させると水面から
黄色い Na の発光が観測されることを見出し、こ
ういった液中からの発光は放電の極性、水温に影
響することを明らかにしてきました[2]。
液体を陽極として放電を生成すると、電極間距
離を 10 mm 程度まで広げた状態で、電流を増加
させていくと、図 1 に示すように陽極上に自己組
織化された発光が形成されます。放電の自己組織
化は液体の導電率によって様々な模様になります。
陽極として濃度 1%の NaCl (導電率:12 mS/cm)を
用いた場合、20 mA の電流では液体陽極表面にリ
ング状の発光が形成されます。電流を増加すると
リングは 2 重構造となり、その外側には複数の微
小スポットが現われ、さらに電流を増加すると多
数の微小スポットが動き回るような模様になりま
す。図 2 に液体陽極放電の電流電圧特性に自己組
織化が観測される条件を示します。図からわかる
金属陰極
液体陽極
図 1 液体陽極放電において水面に形成される自己組織化模様の発光
13
(a) 水道水
(a) NaCl 溶液 2%
(b) 金属陽極
図 3. 陽極材料による自己組織化模様の違い
(放電電流は全て 50 mA)
図 2. 電流電圧特性と自己組織化現象の発生条件
ように自己組織化模様は電極間距離が広く、電流
が高いときほど観測され易いです。また、ヘリウ
ム流量を大きくすると、
模様は現れ難くなります。
これらのことから自己組織化の形成される条件は
電極間のヘリウムの割合が影響していると推定さ
れます。また、図 3 に示すように液体の濃度を変
化させたり、液体の代わりに金属平板を用いた際
にも様々な模様が観測されました。液体表面上に
様々な模様が形成される現象についてはいくつか
の報告があります[3]。また非平衡プラズマの自己
組織化現象は、ホローアノード型直流放電[4]や、
交流電圧駆動の誘電体バリア放電[5]でも報告さ
れていますが、本研究の事例を含め、自己組織化
が起こる原理は完全には理解されていません。
しかしながら、数学の分野では反応拡散方程式
を解くことで様々なパターン形成が現れることが
知られています[6]。実際に我々の研究室でも、方
程式を解いたところ、様々なパターンが現れるこ
とは確認しました。
また 20 年ほど前の文献を見る
と、金属電極表面にパターンが現れることを示し
た文献もあります[7]。現在、我々は他分野や過去
の研究について十分調査したのちに、我々が示し
た水面に現れるパターン形成メカニズムの解明や
応用法について検討しているところです。
(b) NaCl 溶液 1%
ると、
当時は考えもしなかったプラズマの生成法、
応用が見られます。そういった目覚ましい発展を
牽引しているのが、プラズマエレクトロニクス分
科会であることは間違いありません。私自身は、
学生時代は特定領域研究「マイクロプラズマ」に
関わることができ、助教として着任した現在は、
杤久保教授の下、新学術領域研究「ナノ界面プラ
ズマ」のプロジェクトにも参加させて頂いていま
す。こういった非常に恵まれた環境下で研究でき
ることに感謝しながら、今まで進めてきた気液界
面での大気圧プラズマの諸現象について更に解明
を進めるとともに、新たな研究についても模索し
ながら日々精進してまいりたいと思います。プラ
ズマエレクトロニクス分科会の皆様には今後とも
ご指導、御鞭撻を賜りますようにお願い申し上げ
ます。
参考文献
[1] J. Gubkin, Ann. Phys. Chem. N. F. 32 (1887) 114
[2] N. Shirai et al., Plasma Sources Sci. Technol. 20
(2011) 2652.
[3] T. Verreycken et al., J. Appl. Phys. 105 (2009)
083312.
[4] K. Schoenbach et al., Plasma Sources Sci. Technol. 13
(2004) 177.
最後に
この 10 年で携帯電話やパソコン等、
あらゆる電
化製品が目覚ましい勢いで進化してきました。プ
ラズマエレクトロニクスの分野でも、私が学部 4
年生の頃初めてプラズマの研究に触れた頃と比べ
[5] T. Shirafuji et al., Appl. Phys. Lett. 83 (2003) 2309.
[6] 栄伸一郎 他, パターン形成の数理, 講談社
[7] K. G. Müller, Phys. Lev. 37 (1988) 4836,
14
研究紹介(その4)
電気で農業・食品産業をより強く ~かみなりキノコなど~
岩手大学工学部
1.なぜ,電気を農業へ利用するの?
日本の農業は国内生産額が約8兆円で,中国,
アメリカ,インド,ブラジルに次ぐ5位(先進国
中2位)の生産を誇る.ここ 40 年で基幹的農業従
事者は約 1/5 になったものの,1人当たりの生産
量は5倍に増加している.
加えて,
キノコや果樹,
酪農など付加価値の高い農産物への展開も,生産
高を上げる一因となっている.
日本の高い農業生産性を支えているのが科学技
術になる.
これらは肥料や土壌改良剤,
農業機械,
近年では野菜工場システムなどの開発につながっ
ていて,生産性の向上に貢献している.加えて近
年では,光や電気を農業に活用する技術開発が注
目されている.岩手大学で進める人工かみなりを
活用したキノコ栽培も,農業への電気高度活用の
1つとなる.
ここでは,
かみなりキノコを中心に,
電気の農業や食品業界への利用について述べる.
2.電気刺激でのキノコ増産
図1に,電圧印加前後の,きのこ菌糸の変化の
様子を示す.菌糸に電界が加わると,菌糸の内部
が負電位を持つためクーロン力や,誘電分極等に
よる力がかかる.このため,菌糸が動き,その一
部は木の繊維との間のせん断応力等により,断裂
など損傷を受ける(矢印部)
.これらはキノコへの
刺激として働き,膜状菌糸やキノコ原基の形成な
どを引き起こす.このメカニズムについては,菌
糸が分泌する疎水性たんぱく質
(ハイドロホビン)
を,ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いた解析
などで確認できる.
キノコ菌糸が十分に成長したホダ木や菌床(お
が粉を固めたもの)にパルス電圧を印加すること
で,上記のメカニズムで子実体(キノコのかさ)
形成を促進できる.図2に,シイタケのホダ木に
パルス高電圧を加え,子実体形成の違いを観察し
た結果を示す.写真より,電気刺激を施したホダ
高木浩一
10 m
10 m
図1 電圧印加前後の菌糸の電子顕微鏡写真
(上:電圧印加なし,下:あり)
図2 電気刺激の有無によるシイタケ生育の比較
(上:電圧印加なし,下:あり)
木に,数多くのシイタケが確認できる.図3に,
ホダ木一本当たりのシイタケの収穫量の比較を示
す.パルス電圧の印加条件は,電圧印加なし(図
中 control と表示)
,50,90,125 kV×1 回,50kV
×50 回印加とした.縦軸は各条件におけるホダ木
15
図5 放電の有無によるコマツナの生育の比較(左:
比較区,中央:バブリングのみ,右:放電あり)
図3 印加電圧の条件によるシイタケの収量変化
一本あたりの収穫量を表し,4シーズン分の収量
の合計である.全体をみると 50 kV×50 回印加条
件において最も収穫量が多く,印加なしの条件の
約 1.9 倍の収穫となる.
電圧印加の条件中では 125
kV で収穫量が最も少なく,電気刺激に適した電圧
の大きさがあることがわかる.
4.食品保存や成分抽出への利用
青果物や食品を長時間放置すると,腐敗細菌,
真菌,酵母など微生物によって,有機物が分解さ
れる,腐敗が起こる.このため,青果物や食品の
鮮度を長時間にわたり保つためには,腐敗菌の不
活性化および殺菌が必要になる.高電圧を用いた
腐敗菌の不活性化や殺菌の場合,一般には,パル
ス高電界により,
腐食菌の細胞膜に穴をあける
(電
気穿孔法)などを利用する.図6に,食品保管庫
のもみ殻(ダスト)を静電捕集機に通過させ,印
加電圧を変えた時の,捕集もみ殻の菌数を,PCA
培地での一般生菌数,PDA 培地でのカビ・酵母数
として評価した結果を示す.一般生菌数で比較し
ても,またカビ数で比較した場合でも,電圧印加
により,減少していることがわかる.なおこの際
の放電部の消費電力は 1mW 以下,またオゾンの
発生は 0.1ppm 以下であり,実用に耐えうる数値
になっている.このほか,エチレンガスのように
果物の成熟を早めるガスの分解を行い,混載輸送
Total aerobic bacterial counts
6
Molds and yeast counts
5
Log CFU/mL
3.植物の成長促進
高電圧で植物の発芽を早めることができる.発
芽した植物の成長には,窒化イオンなどの栄養分
が欠かせない.逆に病気を引き起こす雑菌は不活
性化させることが望ましい.高電圧電源として短
パルス電圧を用いると,図4に示すように,水や
土の中でも安定して放電させることができる.こ
の放電により,窒素イオンが生成され,これは水
に溶けて植物の栄養になり,また雑菌は減る.
図5に,コマツナ栽培で散布する蒸留水に,30
分ほど放電をあて,コマツナの生育を比較したも
のを示す.図より,水中放電により,生育が促進
されていることがわかる.乾燥重量の比較では,
比較区の 0.146 g に対して,0.934 g と 6.4 倍の収量
増加になっている.放電で水中に発生するイオン
は,NO2-で 0.68 ppm,NO3-で 7.17 ppm であった.
このとき,水中の一般生菌数も,対数値で 5.72 か
ら,1.85 CFU/mL と大きく減少した.
Molds counts
ND : Not detected
Detection limit : 10 CFU/mL
4
3
2
1
0
ND ND
0
1.5
3.0
4.5
Input voltage -V S [kV]
6.0
図6 放電の有無によるコマツナの生育の比較
(左:比較区,中央:バブリングのみ,右:放電あり)
図4 水中放電の様子
16
用いられている.生産現場のデータも増え,収穫
の時期が早まること,平均的に 1.4 倍(現場によ
っては2倍以上)の増収などが確認されている.
高価なキノコについても,
霊芝を用いた実験では,
すでに2倍弱の収量増加を確認している.
かみなりキノコは,学術や農業生産への利用以
外に,科学教育の教材としての利用価値も高い.
例えば,“言い伝えに潜む科学”といった切り口
(2010 年サイエンスアゴラ)や,生物や科学の不
思議といった切り口が可能である.このような切
り口で,現在,全国で5校程度の農業・工業高校
で,課題研究などに利用されている.また,岩手
や近隣県でのサイエンス教室や,小中高校への出
前授業(今年度は 20 回程度実施)でも好評で,そ
の様子はテレビ放映もされている.イベントの様
子を図 10 に示す.
最後に,本研究は,多くの教育・研究機関,企
業や NPO の方々と,いっしょに取り組んでいま
す.
本研究を支えてくださっている多くの方々に,
5.今後の展開;どう技術を普及させる?
これらの技術を生産現場に普及させるためには, この場をお借りして,深く謝意を表します.
1)操作など簡便で安価な装置の開発,2)導入
事例を増やしつつ効果検証,3)経済的メリット
(費用対効果)の改善,などが必要になる.キノ
コ増産用電源は,現在2社から販売されている.
一例を図9に示す.20 機ほどがキノコ生産現場で
を可能にする装置にも,コロナ放電などは有効に
働く.これは農水省のプロジェクトの一環として
委託研究を進めている.
食品加工においても果汁抽出効率の改善や,抽
出時の成分の制御にも,
パルス電圧が利用できる.
図7に,ワイン醸造前処理としてブドウ表皮にパ
ルス電界をかけた場合のポリフェノール抽出量の
変化を示す.印加電界は 40, 50, 60 kV/cm であり,
パルス幅は約 140 ns であり,これを繰り返し 20
pps(pulses per second)で,30 分間印加している.
いずれの条件においても,
電圧を印加することで,
ポリフェノールの抽出量は約 20%増加している
ことがわかる.図8に,出力電圧の最大値が 60 kV
時のコントロール区と実験区のブドウの皮の細胞
内写真を示す.Control 区に対し,実験区の細胞内
は,ポリフェノールを含む色素が外へ流出してい
るのが確認できる.
メカニズムは電気穿孔となる.
40
50
Electric field [kV/cm]
図9 友信工機(株)製のキノコ刺激用電源
60
盛岡市こども科学館
図7 印加電界に対する未処理溶液(Control)と
電界印加溶液(PEF)のポリフェノール抽出量の比較
図8 パルス電界の印加の有無によるブドウ皮の細胞の光
図 10 盛岡市こども科学館でのサイエンスショー
学顕微鏡画の比較(左:印加なし,右:60kV 印加)
17
海外の研究事情(その33)
連合王国ケンブリッジ滞在記
九州大学
はじめに
2006 年 6 月から 2007 年 3 月まで、イギリスの
ケンブリッジ大学(University of Cambridge)に留
学しました。今頃になってその滞在記を書く機会
を頂戴しましたが、記憶が薄れていること、当時
とはだいぶヨーロッパの経済事情が異なることを
ご了承下さい。
元来、文科省の在外研究員制度へ応募するつも
りでしたが、その制度自体が廃止されたため、そ
れに替わる文科省「海外先進研究実践支援」に応
募し、採択されました。採択通知が 4 月、開始年
度の 3 月末までに帰国することが条件でした。担
当講義をキャンセルできなかったので、
約 10 ヶ月
の間、Visiting Researcher として短期留学をしまし
た。
住居探し
大学関係者の退去シーズンは通常 7 月ですが、
その少し前の 5 月末にケンブリッジへ到着したた
め、住居探しは困難を極めました。一方 7 月以降
の家探しは容易です。それまでの二ヶ月は転々と
移り住みました。
最初に、あるカレッジのゲストハウスに滞在し
ました。寝室とシャワーのみで、食事もほぼ外食
となりましたが、花々に囲まれた美しい寮舎で学
寮生活を間近にして過ごせました。ケンブリッジ
の学生生活は独特なスタイルなので、これは得が
たい体験でした。
続いて、やや郊外にある瀟洒なアパートの一室
を間借りしました。簡素で経済的で、英語も上達
する環境でしたが、生活のすべてのものを家主に
貸してもらう状況に気疲れしてしまい、早々に次
へ移りました。
その後、
別のカレッジのゲストハウスに滞在し、
キッチン・洗濯機が共同の生活を経て、7 月下旬
にようやくケンブリッジ大学教職員住宅に入居す
堤井 君元
ることが出来ました。ここは 6 月末から徐々に空
きがでます。それ以外にも不動産屋を介して郊外
のアパートを見に行ったり、日本人のキレイ好き
を当てこんで、年代物のお宅を留守番代わりに貸
すという話があったりで、様々な物件がありまし
たが、教職員住宅は管理人が常駐していること、
担当職員がいること、広さに対して家賃が安いこ
とが決め手でした。ケンブリッジの家賃は一般に
高いです。イギリスでは、家賃の他に住民税のよ
うなもの(Council Tax)が発生するので、その
確認も必要です。
Accommodation Service が大学の事務局にあり、
住居の斡旋を受けられます。大学所有の複数の住
宅のほか、民間のアパートや一戸建ても紹介して
もらえます。日本出発前にEメールで手続きを進
められますが、私の場合、時期的に良い物件がな
く、到着後に粘り強くスタッフと交渉することに
なりました。大学を通して物件のオーナーと連絡
を取り、契約を進めるには携帯電話が必須です。
契約に際しては、大抵当地の銀行口座を求められ
ます。私は速やかに口座を開くために、大学から
紹介状を用意してもらいました。民間の不動産屋
の利用は、一般に高くつくうえ、交渉や契約手続
きが難解でした。インターネット上のクチコミも
役立ちました。
日常生活
当時は1ポンド=約 240 円でしたので、物価は
とても高く感じました。現地では1ポンド=1米
ドルの感覚のようです。日常生活全般は住居探し
に比べれば楽でした。物品は急いで買わず、日本
からさほど持って行かなくても事足りました。ケ
ンブリッジは歩くか、自転車で用の済む街です。
入居した教職員住宅は街の北西部に位置し、路線
バスも本数が少なかったですが、日ごろはすぐ隣
の敷地にある大学の研究室に通うので不便とは思
18
図2 ケム川の風景
図1 ケンブリッジ市街の風景
いませんでした。週末は自転車で郊外のスーパー
へ買い物に行きました。7 月頃には退去者の不用
品のセールが教職員住宅の掲示板に載りますので、
自転車や電化製品を安値で譲ってもらいました。
食品については、米、和風調味料、薄切り肉、
豆腐などを韓国系の店で購入していました。Mill
Road という通りの「ソウルプラザ」という店でし
たが、現在も営業しているようです。街中には大
きなショッピングモールが二つもありましたが、
品物を増やせない身としては、ウィンドウショッ
ピングに時間を費やす程度でした。ロンドンへ日
帰りが可能なので、買出しや米飯の外食がしたい
ときは、日本食料品店やチャイナタウンへ足を延
ばしました。
ケンブリッジの水道水は石灰質を多く含む水で、
そのままでは飲みにくいため、飲料水を買ってい
ました。またお湯は、給湯器のタンク容量が風呂
好きの日本人にはやや小さいです。夜間電力をタ
イマーで管理して使うよう勧められましたが、手
動スイッチで必要な都度使って不便を感じません
でした。共同生活の場合は、他の人より湯を多く
使いがちなので配慮が必要です。
研究生活
ケンブリッジ大学には、アモルファスカーボン
とダイヤモンドの分野で著名な三名の研究者、す
なわち Prof. Bill Milne、Prof. Gehan Amaratunga、
Prof. John Robertson がいます。以前から三名がト
ロイカ体制でグループ運営をしていましたが、私
の 留 学 の 少 し 前 に 、 ラ マ ン 分 光 で 有 名 な Dr.
Andrea Ferrari が加わりました。私は Robertson 教
授に、持参できる研究費は無いことを伝えたうえ
で、ホストを依頼し、快諾していただきました。
ちなみにケンブリッジ大学からは、授業料相当分
の支払いを要求されましたが、Robertson 教授の取
り計らいで免除してもらいました。
Robertson 教授の所属する Electronic Devices and
Materials Group, Electrical Engineering Division,
Department of Engineering は、当初ケンブリッジ大
学中心部 Trumpington Street の古い校舎にあると
聞いていたのですが、訪問してみるとその校舎は
もぬけの殻となっており、街外れの JJ Thomson
Avenue の 新 し い 校 舎 “Center for Advanced
Photonics and Electronics(CAPE)”に移転したばか
りでした。CAPE にはいくつかの研究グループが
入居しており、共同でクリーンルームを運営し、
セミナー等を開催していました。校舎内にはクリ
ーンルームを管理する技術スタッフが五名ほどお
り、安全管理や機器管理を一括して行っていまし
た。教員自らが機器の組み立てや修理をする大半
の日本の大学とは大違いです。
CAPE に学生は 150
人ほどいましたが、半分強は Ph.D.候補生です。
出身別では、中国が約4割、イタリアが約2割、
東欧・中欧が約1割、インドが約1割、残りはイ
ギリス(いわゆるアングロサクソン人など)
、ロシ
ア、韓国など、日本は私一人でした。なお CAPE
の隣には情報系研究グループの校舎があり(うち
ひとつは Bill Gates Building)
、イギリスや北欧の
19
を無事発表することが出来ました。この場を借り
て両先生に改めてお礼申し上げます。
むすび
約 10 ヶ月の短期間でしたが、
日本の大学の職務
を離れて、研究に打ち込めるのは大変貴重な体験
でした。とは言うものの、日本に数名の指導学生
を残していたので、トラブルが気がかりで完全に
離れることはできませんでしたが。
朝から夜まで、
月曜日から週末まで、時間があっという間に過ぎ
ました。サッカーのワールドカップを、CAPE 内
の大型テレビで大騒ぎしながら観たのはいい思い
出です。指導学生がいない若いうちに行くのも良
図3 CAPE の前に佇む筆者
いですが、ある程度将来の研究方向が定まってか
ら行くのも良いと思います。
学生が多く、女子学生の比率も高いことが特徴的
ケンブリッジ大学は、
世界中から学生や研究者、
でした。
そしてその家族も含めて大勢受け入れていますの
Roberson 教授のグループは、長らくアモルファ
で、多くの催しがあり、好奇心さえあれば交流に
スカーボンやシリコン膜に関する研究を行ってい
事欠かないと思います。また、大学以外にも、教
ましたが、2000 年代以降はカーボンやシリコンの
会、日本人会などの交流会も多く、各所の掲示板
ナノ構造体の研究にシフトしていました。私はプ
などで催しが告知されていました。家族連れでも
ラズマを利用したナノ構造体の形成に取り組みま
安心して暮らせる街です。
したが、諸々の事情で期待したような結果成果が
ケム川を挟んで、由緒あるカレッジとチャペル
得られませんでした。時間がないので途中から方
が立ち並ぶ石畳の街は、荘厳で美しいです。多く
針を転換し、物性評価にも取り組みました。一つ
の緑に囲まれ、騒がしい車も少ないです。生活は
は電界放出です。丁度イギリスに来る前、品質の
良い立方晶窒化ホウ素の形成に成功していたので、 日本よりも少し不便ですが、静かで、その簡素さ
が心地良いです。日常の雑事から少し逃れて、研
その電界放出特性について調べました。もう一つ
究や自分に向き合うことができます。静かな古い
は紫外線ラマン分光です。Ferrari 講師(当時)に
街並に、若い学生と、世界中から来た研究者が醸
依頼し、リーズ大学にてナノダイヤモンドの紫外
線ラマン分光を測定させてもらいました。
その後、 す不思議な活気が流れます。素晴らしい経験がで
きるでしょう。
両先生の支援を受けることで、それらの研究成果
20
学生のためのページ
すぐに役立つプラズマエレクトロニクス
反応性イオンエッチング
新潟大学
反 応 性 イ オ ン エ ッ チ ン グ (Reactive Ion
Etching : RIE)法は、大規模集積回路(Large
Scale Integration : LSI)分野や微小電気機械
システム(Micro Electro Mechanical Systems :
MEMS)分野などの微細加工において特に正確に
凹凸を作る必要性があるプロセスに採用されてい
る。この RIE 法の本質を理解しうまく使いこなせ
ることは、卒業研究において RIE を利用して、こ
れらの分野のセンサ・デバイスの研究をするため
だけでなく、将来、会社で生産やプロセス装置の
開発の現場に従事する上でもとても重要である。
本稿では,上記の分野の学生だけでなく本法を利
用して微細加工を行っている幅広い分野の学生を
対象に、数式や専門的な用語を用いずに初等力学
レベルの知識で理解できるようにその原理と利用
例についての解説を試みる。
1. RIE の基本的構成
1.1 RIE 装置
RIE 法 1)は、ガスをプラズマ(電離気体)
、光あ
るいはイオンビームで活性化(励起)させエッチ
ングを行う種々のドライエッチング法の中でプラ
ズマエッチング法として大別されている。特に、
このプラズマエッチング法において、ウェハ(被
加工材)を負の電位とし、プラズマ中に含まれる
ハロゲン化物イオンなどのイオンをウェハに垂直
に入射させて行うエッチング法のことを RIE と
定義している。本法は、プラズマ中で発生したラ
ジカルの被加工材への吸着による表面での化学的
なエッチング作用と負電位で加速されたイオンに
よる物理的なエッチング作用が相乗した効果を特
徴として持つ(図 1)
。ゆえに、正確に希望の凹凸
形状に制御するためには、これらの効果のバラン
安部
隆
スを科学する視点が不可欠である。図 2 に代表的
な RIE 装置の構成図を示す。反応容器の中に一対
の平行電極を配置し、片方を接地し、他方の電極
にコンデンサーを介して高周波電圧を印加できる
構成である。図に示すように接地された反応容器
自体が電極の場合もある。減圧した反応容器中に
ガスを導入し高周波を印加させて放電すると、コ
ンデンサー部では高周波の周波数に対応した電界
方向の変化によりコンデンサー中の電子が充放電
を繰り返すことになる。ここで、コンデンサーの
放電時間及びイオンの応答速度(詳しくは 1.2 節
参照)
よりも早いサイクルの高周波電源
(例えば、
13.56 MHz)を使用するとコンデンサーは常に負
電位の状態になる。つまり、このコンデンサーと
直結した陰極には正電荷を有するイオンが加速し
衝突し電極上にあるウェハのエッチングが進行す
ることになる。アース電位に対して直流成分の電
位差のことを自己バイアス電位と呼んでいる。こ
の自己バイアス電位は前述のエッチングの物理的
効果と化学的な効果を制御する重要な因子の一つ
である。
図1 RIE の基本的機構
21
図2 典型的な RIE 装置の構成図
1.2 RIE の代表的なプラズマ源
前節でご紹介した装置構成は、平行平板型 RIE
装置と呼ばれており、最も代表的なエッチング装
置である。図 3 に反応性イオンエッチングに採用
されているその他の代表的なプラズマ源を示す。
平 行 平 板 プ ラ ズ マ (Capacitively Coupled
Plasma : CCP) 1)に加えて、マグネトロンプラズマ
(Magnetron Plasma) 2)、電子サイクロトロン共鳴
(Electron-Cyclotron- Resonance : ECR)プラズマ
3) 、 誘 導 結 合 プ ラ ズ マ (Inductively Coupled
Plasma : ICP) 4)が代表的なプラズマ源として有
名である。その他にはヘリコン波プラズマや表面
波プラズマなどが知られている。
図3 代表的なプラズマ源 (a) マグネトロン
(b) ECR (c) ICP
マグネトロンプラズマの基本構成は平行平板型が
ベースである場合が多い。磁力線により荷電粒子
を閉じ込める効果によりプラズマが高密度化し
CCP よりも低圧力下(数十 mtorr)でも放電が安定
になる特徴がある。これは、低圧力下ではガスの
平均自由行程が長くなるために衝突確率が低下し
電離し難くなるが、荷電粒子は、磁力線の周りを
回転運動するために衝突確率が高くなり放電しや
すくなるためである。マグネトロン RIE は簡単な
装置構成で中程度の高密度なプラズマ(1010cm-3
程度)を実現できる。ECR プラズマは、磁界の存
在下で電子のサイクロトロン周波数に相当する
GHz 帯のマイクロ波を照射し電子を円運動させ
てイオンに衝突させて生成させるプラズマである。
プラズマ中のイオンと電子(陽子の約 1836 分の 1
の質量)は、その質量が少なくとも三桁、イオン種
によっては四桁以上異なる。高周波中の荷電粒子
の運動エネルギーは周波数の自乗と質量に反比例
するため、イオンと電子では加速され追従できる
周波数帯が大きく異なる。追従できる周波数の限
界は、イオンは数 MHz (当然ながらイオン種に依
存)であるが、電子は約 GHz(磁場が 0.875T では
2.45 GHz)で大きな違いがある。このような特徴
を利用すれば、異なる周波数帯の高周波を印加す
る箇所を空間的に分離することでイオンと電子を
別々に選択しそのエネルギーを制御することがで
きる。なお、使用する電源の周波数は電波法で制
限があるために何でも使用してよい訳ではなく、
ISM(Industry-Science-Medical)バンドと言われ
る産業・科学・医療分野で汎用的に割り当てられ
た周波数の電源を使用することが多い。
ECR プラズマでは、イオンを引き込む部分(セル
フバイアスを制御する部分)とプラズマを生成す
る部分が空間的に分離しているために制御性に優
れている。しかし、大きな電磁石と冷却機器を使
用するなど装置が大型化する問題がある。
最近は、
永久磁石を用いた小型の装置も市販されている。
ICP は、プラズマ生成部に、誘導コイルを使用し
ており、コイルの周期的な電界の変化に対応した
電磁誘導によりプラズマ中の電子が加速されて放
電するプラズマである。ICP を用いた RIE も、イ
オンを引き込む部分が独立であり制御性に優れて
いる。本プラズマは、誘導コイルを設置するだけ
22
で、小型でかつ高密度なプラズマ(1011cm-3)が発生
できるために、新分野の MEMS などでも高速エ
ッチング加工に多用されている(2 章参照)。
1.3 RIE を制御する因子とその効果
RIE を制御する因子とその効果を理解すること
は生産の現場で特に重要である。センサ・デバイ
スの性能を左右するエッチング不良は量産中に発
生することもあり迅速な対応が求められるためで
ある。また、新規材料のプロセスの開発において
も研究指針を決定する上で重要である。この場合
は、被加工材に対して揮発性の反応生成物を生成
するか否かが重要である。RIE を制御するための
代表的な因子は、真空度、セルフバイアス電圧(イ
オンを引き込む電極の電源パワー)
、温度(反応生
成物の蒸気圧と関連)
、プラズマ密度(生成部電源
のパワー)
、ガス流量および排気特性である。それ
ぞれの効果は、装置定数に依存するために定量的
な議論が不可能である。ここでは、定性的にその
効果について解説する。
真空度は、平均自由工程と物理的なエッチング効
果により、
加工断面形状の垂直性や被加工面粗さ、
マスク材料との選択比とそれに伴う形状変化など
と関連してくる因子である。エッチング速度につ
いては、酸化物のような物理的な効果が重要な材
料の場合は、バイアスがなくても自発的にエッチ
ングが進むシリコンのような材料と比較し、低圧
側でエッチング速度のピークがある。
セルフバイアス電圧は、イオンのエネルギーを高
め、化学的なエッチング効果との相乗作用により
エッチング速度および選択比の向上とつながる因
子である。しかし、高すぎる場合は、エッチング
速度は高くなるが、物理的なエッチング効果によ
り、選択比低下とそれによるマスク材の端面の後
退により加工断面形状がテーパ形状になるなどの
課題が発生する。また、急激な温度上昇により、
ウェハと熱膨張係数の大きく違うマスク材料を用
いた場合には亀裂が入ることもある。このような
課題に加えて、ウェハの冷却能を考慮して印加す
る高周波電圧の上限を決定しないと陰極周辺を構
成する材料の熱膨張係数の違いにより部品が破損
する場合もあるので注意すべきである。
温度は、被加工材の反応生成物の蒸気圧によって
は特に重要な因子である。LSI や MEMS のウェ
ハプロセスでは、Si や SiO2 が代表的な被加工材
であるために、これらと揮発性のガスを生成する
ハロゲン化合物が使用される。CF4 や SF6 のよう
なエッチングガスを用いたフッ素プラズマによる
Si のエッチングでは、-90℃以下まで冷却しない
限り等方的なエッチング効果によりマスク下のア
ンダーエッチが入る 5)。これを防ぐには、例えば、
C4F8, C3F8, CHF3 ガスのような反応生成物とし
てテフロン系の高分子が発生するガスを単独ある
いは添加することで側面を保護し方向性
(異方性)
のある加工を行うことができる。当然ながら、側
面保護膜が形成される場合は、加工断面のテーパ
形状が温度に依存する。
プラズマ密度は、プラズマ源の選定で大きく左右
される因子である。しかし、同じプラズマ源を使
用しても条件や使い方によっては効果的に放電さ
れていない場合もある。ICP や ECR プラズマを
使用するとプラズマ密度が平行平板と比較し二桁
程度高い値(1011cm-3)となることが知られている。
これらのプラズマを有効に扱うには圧力の最適化
も重要である。数 mtorr 程度の低圧下でも安定に
放電できるために MEMS 分野で重要な高アスペ
クト比を持つパターンや LSI 分野で重要な 1μm
以下の微細なパターンの加工に適している。ICP
では、誘導コイルに流す高周波電源と自己バイア
ス電圧を制御可能とするウェハに印加する高周波
電源の周波数が同一の場合は位相整合が放電の安
定性で重要である。これは、一方の電源周波数自
体を他方と変えることでも解決できる。本プラズ
マでは、誘導コイルに流す電力を調整することで
自己バイアス電圧とは独立に制御可能な高密度プ
ラズマを実現できる。
ガス流量は、排気特性とも密接に関係した因子で
ある。
プラズマ中には、
電離で発生したラジカル、
イオン以外に電離していないガスも存在する。ガ
ス流量の増加は、ラジカル、イオンの増加により
高エッチング速度となるが、希釈する効果もあり
最適値が存在する。また、排気特性の悪い装置で
は、同じガス流量でも、反応生成物の滞留時間が
長くなり、ウェハへの再付着により、マイクログ
ラス生成による表面粗さの増加、エッチング速度
の低下などの現象が発生する。壁面や被加工材に
23
残留した水分子などの吸着ガスの影響も無視でき
ない。以上に述べたように、ガス流量だけの因子
で説明できない現象が発生する。エッチング量が
数百μm も必要とする場合もある MEMS 分野で
は、排気特性はデバイス加工時間、加工形状の再
現性に関わる重要な因子である。
は単独ガスだけが使用される場合もあるが反応系
をより精密に制御するために Ar や H2 などを添加
することも多い。特に、PZT、ZnO などの難加工
性の機能性材料の加工や特に選択比を高くする必
要がある加工では、多成分のガスを使用しその割
合調整で最適化する取り組みが数多く行われてい
る。
2. RIE の利用例
2.2 Si-MEMS プロセスへの利用
MEMS プロセスは、表面マイクロマシニング
とバルクマイクロマシニングの二つに大別されて
2.1 半導体プロセスへの利用
いる(図 4) 8)。表面マイクロマシニングは、加速度
半導体プロセスでの基本的な被加工材料は、
半導
体材料(Si、Poly-Si)、絶縁膜材料(SiO2、Si3N4
センサや振動ジャイロに代表される構造体の厚さ
が数μm 程度の機械要素からなるデバイス作製
など)および配線用金属材料(Al、Cu など)であ
の代表的手法であり、LSI プロセスと共通なプロ
る。これらの材料の直接加工あるいは化学機械研
セスが多く、制御要素である LSI との集積化の点
磨(CMP)などの工程で埋め込むトレンチ形成な
でも優れている。基本的な材料として Si が入手性、
どの間接加工において RIE の原子レベルでの制
機械特性及び LSI の加工技術を転用できるなどの
御性が活躍している。半導体材料の加工において
観点から使用されている。本手法の作製プロセス
は、これらの材料と揮発性の生成物を発生する
は、高温で熱処理し応力緩和した絶縁膜上のシリ
CF4 などが使用されている。絶縁膜材料では、
コンを微細加工し、絶縁膜を部分的に除去(犠牲
CHF3 などの Si 上で堆積膜を形成するガスが使用
層エッチング)することで、可動構造、振動子な
される場合が多い。これは、下地 Si やマスク材料
どからなる機械的要素のマイクロ構造体を形成す
との選択性が要求されることが多いためである。
ることができる。Texas Instruments 社のデジタ
CHF3 プラズマは、H を含み C-C 結合を形成しや
すいために高分子を形成し被加工材上に堆積する。 ルミラーデバイスや Analog Devices 社の加速度
センサなどの成功例が知られている。
この堆積物は SiO2 上では酸化され保護膜となら
ないが Si 上では保護膜となり高い選択性が得ら
れる 6)。同様の効果は、CF4 などにおいても H2
を添加することによって得られる。H が存在しな
くても F/C の比が低く高分子となりやすい C3F6
や C4F8 を利用しても選択性が向上することが知
られている 7)。なお、絶縁膜上の Si を選択的に加
工する場合は、ある程度の選択性は容易に得られ
るが特に高選択性が要求される場合は HBr など
を使用する。金属材料では、SiCl4、Cl2、BCl3 や
HBr などが使用される。これらのエッチングガス
を使用しても反応生成物の揮発性が低いためにエ
ッチング時の温度を高温にする場合が多い。
なお、
RIE での配線加工において塩素系ガスの使用はそ
図4 表面マイクロマシニング(a)とバルクマイ
の加工性の面、安全面や装置負荷の面で望ましく
クロマシニング(b)
ないために下地材料をフッ素系エッチングガスに
よる RIE で加工し、金属材料を堆積し、CMP で
バルクマイクロマシニングは、十μm から時に
仕上げる方法が開発されている。エッチングガス
は数百μm のウェハを貫通加工したバルク構造
24
体を作製する技術であり、比較的に加工性の優れ
た Si でも通常の RIE 技術では加工が困難である。
従って、従来は、湿式の結晶異方性エッチング技
術が使用されてきた。近年、MEMS 特有の RIE
プロセスとそれに対応した装置が開発され使用さ
れるようになってきた。この特有の技術が、深掘
り反応性イオンエッチング(Deep Reactive Ion
Etching : DRIE)法と呼ばれる手法であり、バル
ク加工に必要な高速エッチング、高選択比そして
高アスペクト形状を実現する手法である。DRIE
で採用されている手法は大きく分けて3つある。
最も代表的な手法が Bosch プロセスと呼ばれる手
法であり、保護膜堆積用(C4F8)とエッチング用
(SF6)のガスを時間的に交互に切り替えて反応容
器に導入しプラズマを発生する技術である 9)。図
5 にそのエッチングのプロセスを示す。1.3 節で
述べたように Si との反応生成物は揮発性が高く
常温では等方的なエッチングを示す。このままで
は、方向性(被加工面に対して法線方向)のある
加工は不可能であるが、まず、次のサイクルで保
護膜となるフルオロカーボン膜を堆積させる工程
を導入することで被加工材全面に保護膜を形成し、
さらにその次のプロセスで下面の保護膜だけが選
択的に除去されることで方向性のある加工が実現
できる。本エッチングでは、低圧でプロセスが行
われているので、イオンビームは側面でなく電界
方向が法線となる底面に選択的に照射されイオン
アシストによるエッチングが進行する。
図5 Bosch プロセスの概略図(文献10より)
その他の手法として、エッチング用ガスである
SF6 だけを使用し Si ウェハを冷却して DRIE を実
現する手法、保護膜形成用ガスと混合してその割
合を調整することで垂直形状を実現する手法が知
られている。冷却する手法は、Si との反応生成物
の蒸気圧に着目した技術で LSI プロセスの研究に
おいて既知の技術である。この方法では、ウェハ
の温度を-90℃以下まで冷却する必要があり、冷却
機構やウェハの出し入れに時間を要するなど実用
面で不都合が多い。
DRIE で作製する形状には、アスペクトが 50
を超えるような場合もあり、さらには同一ウェハ
内で多様なサイズのパターンの同時形成が求めら
れる場合もあることから DRIE プロセスの再現性
の維持はとても難しい。特に、加工プロセスのメ
カニズムに密接に関与している有機材料のフルオ
ロカーボンの形成とそのエッチング耐性は、無機
材料と比較し反応性が高く温度に敏感であるため、
ウェハの冷却(貼付けの良否も含む)や反応容器
の温度制御がとても重要になる。また、高アスペ
クト比を持つことから予想されるように小さな孔
を加工する場合に見られるマイクロローディング
効果も DRIE でもよく見られ大きな問題になる。
この対策として、プロセスレシピをエッチングの
進行とともに変えていくなどの方法が開発されて
いる。
2.3 その他材料の MEMS プロセスへの利用 10)
半導体プロセスと大部分の MEMS プロセスは、
基本的に半導体材料(Si、Poly-Si)、絶縁膜材料
(SiO2、Si3N4 など)を被加工材として想定したプロ
セスである。一方、これらの分野以外の研究者に
とっては、Si にこだわる理由がない場合もあり、
ガラス、セラミックスやポリマーといった材料の
加工が必要な場合も多い。半導体装置としての
RIE 装置は汚染防止とプロセスの再現性維持のた
めにこのような材料の導入は考えられないし、比
較的高価である本装置を別の材料専用で導入する
ことも経済的に考え難い。そのような中で、各種
ガラス材料は、光学機器やバイオ・化学系機器の
開発などの産業上の需要に加えて、種々の化学組
成を有する材料への RIE 法の適用の可能性を検
討するモデルとして興味深い材料である。加工プ
25
ロセスの最適化は、基本的には 1 章で学んだ RIE
の原理を元に以下に述べるように絞っていくこと
ができる。まず、主成分である SiO2 の酸素との
結合を切り反応を進めさせるためには物理的なエ
ッチング効果を強める必要がある。SF6 あるいは
C4F8 ガスをエッチングガスとして用いて、Si と比
較してかなり高い自己バイアス下(数百 V)でかつ
低圧下(数 m から数十 mtorr)でエッチングを行
う。組成中に上記ガスと沸点が高い不揮発性の反
応生成物が生成する元素の割合が多い場合は、上
記の物理的なエッチング効果が重要なのはもちろ
んであるが、さらに、表面粗さの改善、エッチン
グ速度の向上のために排気特性の優れた装置を使
用する必要がある。このように最適化をしたとし
ても、図 6 に示すようにガラスの種類(組成の違
い)に対応した各々のガラスに特有の加工形状と
なる。反応生成物の蒸気圧の低さが本質な課題で
あり、極端な高温度でのプロセス、揮発性を可能
な限り高くできるエッチングガスの採用が重要で
ある。未知の材料の加工の研究に際しても基本的
には1章に記した原理を元に微視的な視点で検討
していくと最適化がうまくいくことが多いのでそ
のような機会があればぜひ試してみていただきた
い。
ソーダライム
石英
パイレックス
20μm
20μm
図6 SF6 ガスを用いた DRIE による各種ガラス
のエッチング結果の違い(文献 10 より)
3. まとめ
本稿では、数式を使わずに微視的な視点を与え
て RIE 技術の勘所を理解できるように努めたつ
もりであるが、やはり、現象の背景にある理論を
学んでおくと未知の現象の解釈と課題解決をする
上で盤石となることは間違いない。RIE は数多く
ある道具の一つでしかないと考える学生さんにと
っては本稿の内容だけで十分な可能性もあるが
所々にある専門用語や数値の本質的意味を学び、
本技術の巧みさを知っていただくためにさらに深
く学んでほしいと思う。
参考文献
1) N. Hosokawa et al., Jpn.J.Appl.Phys., 13
(1974)435.
2) Y. Horiike et al., Jpn.J.Appl.Phys., 20
(1981)L817.
3) S. Matuo et al., Jpn.J.Appl.Phys., 21
(1982)L4.
4) 菅井、応用物理、63(1994) 559.
5) 田地、応用物理、59(1990)1428.
6) K.Nojiri et al,Extnded Abstracts of the 21st
Conference on Solid State Devices and
Materials (1989) 153.
7) Y. Iriyama et al, J. Polym.Sci., A,
Polym.Chem., 30(1992)1731.
8) M.エルベンスポーク他、シリコン加工の基礎、
Springer 社 (2001).
9) 式田 他 監修、
「マイクロ・ナノデバイスのエ
ッチング技術」シーエムシー出版 (2009).
10) 安部、MEMS におけるプラズマエッチングの
展開、第 22 回プラズマエレクトロニクス講習
会、63.
26
国際会議報告
4th International Symposium on Advanced Plasma Science
and its Applications for Nitrides and Nanomaterials
(ISPlasma2012)
名城大学
平松美根男
ISPlasma は、文部科学省の支援を受け、東海広域
ナノテクものづくりクラスター事業の一環として、当
地域に国際競争力を有する先進プラズマナノ科学研究
拠点を形成するために 2009 年から毎年開催されてい
る国際会議である。今回はその 4 回目として、2012
年 3 月 4 日から 5 日間にわたり中部大学にて開催され
た。プラズマ分野で長い歴史と研究実績を有する東海
地域に国内外から優れた研究者が集い、先進プラズマ
科学、窒化物半導体とナノ材料への応用、産業界への
技術移転の仕組み作りについて広く議論するとともに、
最新の研究成果を発表して分野を超えて活発に情報交
換を行った。
プラズマを中心としてその応用分野の窒化物半導体
やナノ材料分野を1つの学会で議論できることから、
数多く国際会議がある中で、プラズマを中心とする異
分野交流の国際会議として認知されつつある。会議全
体の参加者数は年々増加しており、今回は 800 名を超
えた。この参加者数はプラズマ関連の国際会議として
はかなり大きな部類に入るものと考えられる。また発
表件数は全体で 464 件であり、 その内訳は、基調講
演・招待講演・チュートリアル等 43 件、一般口頭発
表 46 件(含レイトニュース)
、ポスター発表 375 件
であった。またそれらの内、海外からの発表は、全体
のおよそ半分にあたる 218 件であり、韓国・台湾・中
国などのアジアを中心に、海外における本会議の知名
度が徐々に高まりつつある。
関連する主な分野は以下の通りである。
(1) プラズマ科学:プラズマ源、先進プラズマ計測技
術、モデリングとシミュレーション、エッチング
プロセス、薄膜成膜プロセス、フレキシブルエレ
クトロニクス、バイオ/医療用プラズマ、クリー
ンエネルギー用プラズマ、ナノ材料用プラズマ
(2) 窒化物半導体:GaN および関連材料の結晶成長、
窒化物MBE 成長、
評価技術、
デバイスプロセス、
光デバイス、電子デバイス
(3) ナノ材料:ナノカーボン材料、ポーラス材料、表
面改質/表面機能化、コンポジット/傾斜機能材
料、ナノパーティクル/ナノワイア/ナノロッド、
エネルギー応用向けナノ材料
(4) 産学官連携
今回、新たな試みとして、本会議の前日をチュート
リアルに充てた。若手への基礎知識の供与というより
も、異分野の理解を深め、分野間融合による新たな価
値創造を目的としており、プラズマ科学・窒化物半導
体・ナノ材料の各々の分野で活躍する研究者やベテラ
ンにも有意義となるよう、基礎から最先端の動向を含
んだ講義が行われた。海外からの参加者・第一線で活
躍する研究者が多く聴講していたのは特徴的であった。
チュートリアル講演者は以下の通りである。プラズマ
科学:ルール大学ボッフム校・Czarnetzki 教授(ドイ
ツ)および名古屋大学・河野教授、 窒化物半導体:名
古屋大学・天野教授およびサウスカロライナ大学・
Khan 教授(アメリカ)
、ナノ材料:成均館大学・Han
教授(韓国)および名城大学・平松。
初日午前は、三浦幸平メモリアルホールにて、初回
からの組織委員長である名古屋大学・堀教授よる先進
プラズマナノ基盤技術に基づく東海広域知的クラスタ
ー創成事業の成果と展望について講演が行われた。引
き続き中部大学・飯吉総長による特別講演 " How to
Bring the Power of the Sun down to the Earth
~Fusion Plasma and Solar Energy Research~"、立命
館大学・SNU・名西教授による基調講演 "Importance
of Advanced Plasma for Frontier Nitride
27
Semiconductor Technologies"、ノートルダム大学・
Kamat 教 授 に よ る 基 調 講 演 "Light Energy
Conversion with Nanostructure Assemblies" が行わ
れた。
午後からは、3 つの会場にわかれて、プラズマ科学、
窒化物半導体およびナノ材料のそれぞれのセッション
で、招待講演と一般講演による最新の話題に対して専
門性の高い活発な議論が繰り広げられた。パラレルセ
ッション方式の発表は 3 日目まで行われ、午後の初め
にポスター発表が組み込まれていた。
本会議の特徴は、分野間融合セッションである。こ
れまで続けて実施してきたパネルディスカッションに
繋がる2つの融合セッション(産学官連携と窒化物半
導体セッション:後述)に加え、
「プラズマ援用結晶成
長」
、
「カーボン先端材料」
、および「グリーンイノベー
ション」の融合セッションが企画された。
「プラズマ援
用結晶成長」セッションでは、カリフォルニア大学サ
ンタバーバラ校・Speck 教授による基調講演、また「カ
ーボン先端材料」セッションでは、NASA Ames・
Meyyappan 氏による基調講演および産総研・長谷川
氏による招待講演が行われ、最終日にもかかわらず活
発な議論が交わされた。
異分野融合の目玉として行われた3つのパネルディ
スカッションは以下の通りである。第 1 は、産学官連
携に焦点をあてたもので、
「持続的発展を目指した国際
研究拠点形成」をテーマに、VTT Finland・Koljonen
氏、YRP 国際連携研究所・大森氏、ITRI・Tai 氏、テ
クノ・インテグレーション・出川氏、産業タイムズ・泉
谷氏による講演のあと、5氏に名古屋大学・堀教授を
パネリストに加え、名古屋工業大学・小竹教授をモデ
レータとしてパネルディスカッションが行われた。一
般の人にも幅広く聴講できるよう、関連する講演も含
めた産学官連携セッション全体を参加費無料とすると
ともに、同時通訳をつけることでより深く内容を理解
できるよう配慮がなされた。Tai 氏により紹介された
台 湾 の ITRI (Industrial Technology Research
Institute) の例が印象的であった。ITRI は市場ニー
ズの調査を非常に重視しており、ニーズ先行で国際競
争できるように、国内企業群と大学で共同開発および
ビジネス協力するためのプラットフォームの形成、そ
れらを使ったプロジェクトの遂行まで手掛けている。
ITRI はスピンアウトしてベンチャー企業をかなり創
出しており、台湾の勢いと熱意を感じた。ITRI は、フ
ィンランドの VTT や昨年度の IMEC のオープンイノ
ベーションの仕組みとは大きく戦略が異なり、一時代
前の元気があった日本の戦略にも似ている点もあるが,
拠点形成には市場ニーズの徹底調査と迅速に意思決定
できる仕組みの必要性も示唆された。この他にも、行
政の役割、ジャーナリストの目、人材教育など、様々
な観点から拠点のあり方について議論され、充実した
討論が行われた。
大学などの研究機関のほかに、
企業、
行政等からも多くの参加者があり、その意味で本パネ
ルディスカッションは大変有意義であった。
第2のパネルディスカッションは「プラズマ科学と
窒化物半導体」である。異分野融合セッションの1つ
である「先端窒化物半導体デバイス」において、
CEA-Grenoble・Daudin 教授、北海道大学・橋詰教
授、東芝・齋藤氏らによる講演が行われ、続いて、窒
化物半導体デバイスとプラズマプロセスとの関わりに
焦点を当て、名古屋大学・天野教授をモデレータに、
「プラズマ科学と窒化物半導体 III 窒化物半導体デ
バイスにおけるプラズマプロセスの重要性と課題」に
ついてパネルディスカッションが行われた。窒化物半
導体電子デバイスの特徴(サウスカロライナ大学・
Khan 教授)
、SiC との比較(京都大学・須田教授)
、
MOS 構造の可能性(北海道大学・橋詰教授)など基
礎的な物性に関する議論、および同材料を用いた横型
および縦型デバイスの優位性を示す例(名古屋工業大
学・Selvaraj 氏、東芝・齋藤氏、豊田中研・加地氏)
について詳しい議論がなされた。また最後に同材料を
用いたデバイスの将来展望の議論(立命館大学・
SNU・名西教授)が熱心に行われた。今回のディスカ
ッションでは、窒化物関係者にとって極めて有意義な
議論であったばかりでなく、他の分野の関係者にとっ
ても、窒化物デバイスのプロセス技術における現状と
課題が明らかになり、分野を超えた融合の第一歩とな
った。
最終日には、
「先進プラズマナノテクノロジーが拓く
グリーンイノベーション」というテーマでパネルディ
スカッションが行われた。前半は、アリゾナ州立大学・
Nemanich 教授、千葉大学・吉川教授、産総研・Svrcek
28
博士、東京工業大学・野崎准教授による講演が行われ
た。続いて、野崎准教授をモデレータとし、パネリス
トとして東京大学・神原准教授,NASA・Meyyappan
博士、Nemanich 教授、Svrcek 博士の4名を迎えて討
論が行われた。最初に神原准教授より、プラズマ技術
を応用した二次電池開発に関するショートプレゼンテ
ーションがあった。パネリストや会場から活発な質疑
応答の後、パネルディスカッションへと移行した。パ
ネルディスカッションではモデレータの野崎准教授が
用意したプラズマ技術とグリーンケミストリーの融合
に関する幾つかのテーマに沿って、各パネリストの専
門的見地からコメントを頂き、パネリスト間及び会場
からの質疑応答を行った。セッションを通して活発な
質疑応答・コメントが寄せられた。今回のディスカッ
ションは、グリーンケミストリーへのプラズマ技術応
用にとって極めて有意義な議論となった。
今回よりプラズマ科学、窒化物半導体ならびにナノ
材料のそれぞれの分野における最優秀発表賞を選定す
ることになり、
最後に表彰式が行われた。
選考の結果、
首都大学東京・杤久保教授がプラズマ科学分野の最優
秀発表賞(口頭発表部門)の最初の受賞者となった。
受賞者は以下の通りである。
Best Presentation Award (Oral)
・Plasma Science
F. Tochikubo, Tokyo Metropolitan University
・Nitride Semiconductors
F. Fukuyo, Mie University
・Nanomaterials
A. Al-Zubaidi, Nagoya Institute of Technology
Best Presentation Award (Poster)
・Plasma Science
K. Kamataki, Kyushu University
・Nitride Semiconductors
T. Takimoto, Tokyo Metropolitan University
・Nanomaterials
K. Makihara, Nagoya University
次回の ISPlasma2013 は、名古屋大学において開催
され、例年よりも1ヶ月早く、2013 年 1 月 28 日~2
月 1 日の予定である。
29
国際会議報告
5th International Conference on Plasma Nanotechnology and
Science (IC-PLANTS 2012) 報告
名古屋大学
プラズマナノ工学研究センター(PLANT) 石川健治
本国際会議は
「プラズマナノテクノロジー」
,
「大
気圧プラズマとバイオテクノロジー」をトピック
スとして,2012 年 3 月 9 日(金)から 10 日(土)まで
の 2 日間にわたり,98 件の発表(うちポスター79
件)
,125 名(外国より 18 名,日本 107 名)の参
加者が集まり盛会となりました.
今回チュートリアルを含めて基礎的な部分から
説明していただき,出席者の方々は低温プロセス
プラズマを再度理解し直す機会が得られました.
プラズマの生成について Chabert 教授(Ecole 理
工科大)から低圧高周波放電の物理,Graham 教授
(Queen’s 大)より液体・気体の大気圧プラズマ,
Brinkmann 教授(Ruhr 大)より容量性結合プラズ
マの加熱機構について講演いただきました.やや
もすれば複雑なプラズマ生成について,再考する
機会と平易な説明を受けられたと思います.
また,プラズマ診断について河野教授(名古屋
大)よりレーザートムソン散乱,Czarnetzki 教授
(Ruhr 大)よりプラズマ診断,Goeckner 教授(テ
キサス大)より電子ビーム励起発光分光によるプ
ロセスモニタについて講演いただきました.まだ
まだ新しい診断技術を開発して所望のパラメータ
を研究者自身が得るさらなる努力の必要性をます
ます痛感します.
プラズマ分野の広がりとしては,大野教授(名
古屋大)より核融合プラズマからプラズマプロセ
スへの道筋,白谷教授(九州大)よりプラズマの
揺らぎとプラズマナノ工学といった内容の講演を
いただきました.プラズマ研究の学術的に深化さ
せていく興味深い試みです.
プラズマナノ工学として,殊に材料面で梅原教
授(名古屋大学)より窒化炭素膜による低摩擦表
面,Yoo 博士(NFRI)より中性ビームによる低温
GaN 成長,渡辺教授(東工大)より熱プラズマに
よるナノ微粒子形成,白藤教授(大阪市大)より
μ溶液プラズマについて講演いただきました.プ
ラズマのもつ非平衡反応場の有効性を議論できた
と思います.
さらに,昨今注目しているプラズマの生体への
応用について,Kim 教授(Clemson 大)より大気
圧μプラズマの癌治療への応用,Gans 教授(York
大)より大気圧プラズマの健康器具への応用,
Favia 教授(Bari 大)よりプラズマ処理表面の細胞
接着について講演いただきました.この分野の今
後の発展に向けて,ますます学際融合領域にわた
り有益な議論と情報交換が必要で有り,その一端
がなされました.
若手から白井助教(首都大)より大気圧放電で
の気液界面に表れる自己組織化放電パターンにつ
いて,光木助教(熊本大)より光音響波診断,津
田君(京都大)より斜入射イオンによるシリコン
凹凸形成のシミュレーション,北崎君(九州大)
より乾燥酵母へのプラズマ照射による増進効果に
ついて講演がありました.
ますますプラズマの学術的・工学的な発展は,
やはり世界の研究者との交流・協力が欠かせなく,
その応用範囲の広がりを模索しつつ,総合的プラ
ズマ研究へ総力を挙げた取り組みが期待されます.
本会議の様子はホームページ(*)も参考にし
てください.
次回の 2013 年の開催も予定されてい
ますので,プラエレ分科会会員の皆様の参加を心
よりお待ちしております.
*http://www.plasma.engg.nagoya-u.ac.jp/IC-2012/h
ighlight.html
30
国際会議報告
2012 MRS Spring Meeting
Symposium WW
Plasma Processing and Diagnostics for Life Sciences
九州大学
応 用 物 理 学会 と MRS の 合 同 シ ンポ ジ ウ ム
Symposium WW: Plasma Processing and Diagnostics
for Life Sciences が,2012 年 4 月 9 日〜4 月 12 日
に San Francisco のマリオットホテルで開催されま
した.プラズマのバイオ応用に関する研究が,従
来の細胞等にプラズマ照射を行い,その結果を調
べるという時代から,バイオアッセイ,ESR,ラジ
カル計測等から得られる知見をもとに,プラズマ
と生体物質の相互作用の詳細を議論する時代に移
り変わったことを明瞭に示したシンポジウムとな
りました.特に,プラズマ,材料分析,バイオ研
究者,医療関係者等の異分野の研究者が,適度の
割合で参加して,深い議論が行えたところに特長
があります.また,日本からの講演内容は,極め
て高いレベルであると感じました.このように,
今回の新しい試みは成功であったといえます.
初日に Tutoral 講演3件,2−4日目に招待講演
19件,一般口頭講演27件,ポスター講演13
件 の 発 表 が あ り ま し た (http://mrs.org/s12program-ww/).プログラムとアブストラクトは,
ホームページ上で誰でも無料で閲覧できます.ま
た,e-proceedings が発行されます.e-proceedings
は,MRS 会員は無料で閲覧できます.複数のシン
ポジウムを横断したパネルディスカッション”
The Future of Biomaterials Research: The Next 10
Years”が4月9日に開催されました(http://mrs.org/
s12-biomedical -research/).
Tutoral 講演では,Fridman (Drexel Univeristy),
Favia ,(University of Bari) 榊田(AIST)の3名がプ
ラズマのバイオ応用について現在までの知見をま
とめて報告しました.Fridman は,バイオ応用の
プラズマ源,プラズマ医療に関して,Favia はバイ
白谷正治
オ応用のための表面コーティングに関して,榊田
はプラズマ止血に関して力点を置いて解説を行い
ました.
以下には,特に印象的な点のみ述べさせて頂き
ます.先ず,バイオフィルムとプラズマとの相互
作用について活発な議論がなされたのが印象的で
した.バイオフィルムは,微生物により形成され
る構造体”コロニー”であり,様々な微生物がその
中で様々な情報伝達を行いながらコミュニティを
形成している.人間の作る町と同様に,バイオフ
ィルムにも,発生・発展・衰退の変遷がある.そ
の変遷にプラズマ照射が及ぼす影響については未
解明の点が多く,今後の重要な研究テーマの一つ
であると思われます.
また,MRSA やプリオン等の除去が難しい生体
物質にプラズマが有効であることも示されつつあ
ります.外科医からは,プラズマ止血やプラズマ
メスが,他の方法に比べて低侵襲性であり術後の
問題点が極めて少ない点が強調されました.米国
では,実際に人間の医療に適用されており,日本
でも早急に各種の制約をクリアして,実用に供す
ことが出来れば良いと強く思いました.
プラズマ,材料分析,バイオ研究者,医療関係
者等の異分野の研究者との共同研究が非常に多く,
単独で研究を進めるのには,限界が有ると思われ
ます.異分野の研究者と上手く協調しスピード感
を持って研究を進めることが重要だと思われます.
次回は,応用物理学会と MRS の合同シンポジ
ウムとして 2013 年 9 月 16 日〜9 月 20 日に同志社
大学での応用物理学会で開催する準備を進めてお
ります.積極的な投稿と御支援をお願い申し上げ
ます.
31
国際会議報告
8th EU-Japan Joint Symposium on Plasma Processing
(JSPP2012) 報告
東北大学
本国際会議は、EU における電子衝突などの基
礎研究と日本の応用研究の融合およびプラズマプ
ロセスのデータベースの構築を目指して慶應義塾
大学・真壁教授により企画されてスタートし、2
年に一度 EU と日本で交互に開催されてきた。今
回で第8回目となり、大阪大学・浜口教授が実行
委員長として 2012 年 1 月 16 日から 18 日の 3 日
間にわたり、奈良の東大寺総合文化センターで開
催された。今回のテーマは「プラズマと表面のた
めの原子分子データベース」とし、74 件の講演(特
別講演 1 件、招待講演 30 件、一般口頭講演 8 件、
ポスター発表 35 件)と 77 名の参加者(一般 62
名、学生 15 名)が集まり、プラズマ固体相互作
用に関する議論を深めた。
Bowden 教授(英 Open 大)から、多結晶ダイ
ヤモンドからのマイクロ放電に関する講演があっ
た。Hsu 教授(国立台湾大)からは、大気圧プラ
ズマジェットに関する講演があった。リチウムイ
オン電池に使う Li4Ti5O12 の合成を、大気圧プラ
ズマジェットを用いて行うというものである。
Czarnetzki 教授(独 Ruhr 大)からは、アフター
グローにおける電子温度緩和過程に関する講演が
あった。電子-中性粒子衝突過程より電子-イオン
衝突過程のほうが重要になるとする内容である。
また、Mason 教授(英 Open 大)から特別講演と
して、プラズマプロセスのためのデータベースの
現 状 に つ い て の 講 演 が あ っ た 。 US National
Research Council Board の報告(1996)による
と、プラズマプロセスは未だに初歩的なレベルに
とどまっており、試行錯誤に頼っており、プラズ
マの物理・化学に関する理解が重要であると指摘
されている。また、この課題に対してデータベー
スが構築されてきたが、いったん構築されるとメ
ンテナンスされなくなり古くなってしまう問題が
指摘されており、その解決策として、ネット上で
寒川誠二
ブログなどを用いてコミュニティによって常にメ
ンテナンスされるデータベースの可能性について
議 論 さ れ た 。 ま た 、 韓 国 National Fusion
Research Institute の DCPP (Data Center for
Plasma Properties)、日本の核融合科学研究所の
データベースについても報告があった。その他、
京都大、東北大、大阪大および九州大から最先端
のプラズマプロセスに関する講演もあり、将来の
ナノテクノロジーおよびバイオテクノロジーに関
するプラズマプロセスの役割に関して活発な議論
が交わされました。
現在、ナノテクノロジー、バイオテクノロジー
の発展は目覚しいのもがあり、その中でのプラズ
マプロセスの重要性は益々大きくなっている。し
かし、プラズマプロセスが産業に大きく貢献して
いくためには、そのデータベース化が必要不可欠
であり、世界的な連携の中で実行していくことが
極めて重要であることを本会議を通して感じた。
本国際会議を一つのきっかけにして、そのような
流れが加速することが期待される。
次回は 2014 年の初め頃にスロベニアで開催さ
れる予定となっている。ふるってのご参加を期待
する。
(写真)会議後、奈良東大寺の前で、
慶応大学・真壁教授と招待講演者
32
国内会議報告
2012 年春季第 59 回応用物理学関係連合講演会
第 7 回分科内招待講演報告
京都工芸繊維大学
比村 治彦
2008年より企画・実施されてきているプラズマエ 畠山力三先生(東北大)
レクトロニクス分科内招待講演の第7回目が、2012 「プラズマ応用ナノカーボンナノバイオトロニク
年春季第59回応用物理学会学術講演会にて行われ ス」11:45 ~ 12:15
ました。今回は定年でご退職されるお二人の先生か
続きまして、畠山先生がいつものようにエネルギ
ら、学会2日目の午前後半の時間帯に30分ずつご講 ッシュにお話を始められました。微細化の限界を突
演頂きました。
破するためにナノカーボン、特にフラーレンやカー
河野明廣先生(名大)
ボンチューブが盛んに研究されていますが、それら
「常識になっていないプラズマ現象2題(シース・ をプラズマ屋がプラズマテクノロジーを用いて実
対流)」11:15 ~ 11:45
現するという、まさに職人と思わずうなるような畠
河野先生は「シース」から話されました。流体モ 山ワールドに引き込まれました。
デルの支配方程式からスタートされており、これを
ご講演は、これまで畠山先生が最前線に立って切
磁場なし下での無衝突条件で解かれています。一般 り開いてこられたと言っていい多種多様な研究開
に、考えている系においての偏微分方程式の解を得 発内容が盛り込まれていました。しかもそれらほぼ
るためには、準中性条件などを境界にて決める、つ 全ての研究に対しまして、現在の国家戦略として掲
まり境界条件が必要です。先生は、このときシース げられているグリーンイノベーションとライフイ
端での電場の値の与え方でシースの厚みが変わる ノベーションに密接に関係づき、しかも極めてイン
シースエッジ(プレシースの端)をプラズマエッジ パクトの強い標題が与えられていました。この点に
(ボーム速度に達するところ.ここからイオン密度 おきましても、畠山先生が研究力だけを持たれてい
と電子密度がずれ始める)と定義し、一方、イオン るのではなく、プロデューサーとしての手腕をもっ
シースの端をシースエッジ(電子密度はない.イオ て、学術分野におけるプラズマ科学の位置づけに心
ン速度はボーム速度の1.7倍)と呼んだらいいこと 血を注いでこられてきた事を感じ取れました。
いくつか列挙させていただきますと、「新規プラ
を提案されてこられましたが、先生曰く、この考え
方は学会では受け入れられていないとのことです。 ズマ生成・制御法の開発による進化高品質ナノカー
この点に対する思いが、本講演の表題に表れている ボンの創生、電子内包プラーレンベースのナノエレ
感じがします。講演には衝突性シースの話もありま クトロニクス・ナノバイオメディカル技術の開発、
グリーン・ライフ双機能創出の新しいナノ・バイオ
したが、ここでは省略させて頂きます。
つづいて、プラズマ中での対流生成の可能性につ 融合科学、プラズマナノバイオトロニクス、ナノエ
いて議論なされました。例えばマイクロ波によるプ コプラズトロニクス」などです。畠山先生のご講演
ラズマでは、局所的に加熱される領域がある一方で, は30分ではなく、チュートリアルと同じく講義2コ
壁は冷却されています.このように大きな温度勾配 マ分の3時間でお伺いしたい大変豊富な内容でした。
最後に、定年退職前の非常にご多忙な中を早稲田
のある場ですが、シミュレーションによるとプラン
ドル数が1/16より小さいと定常流れができること 大まで足をお運びくださり、ご講演下さりました両
になり、この値が非現実的であることから定常対流 先生に深く御礼申し上げると共に、講演会場にお集
はおこらないと予想されることを述べられていま まり頂き、熱心にご聴講頂きました会員各位に感謝
いたします。
した。
33
国内会議報告
2012 年春季 第 59 回応用物理学会関連連合講演会
プラズマエレクトロニクス分科会 チュートリアル講演報告
東北大学 金子俊郎
応物学会では,2011 年秋季講演会からチュート
リアル講演を実施しております.内容は大学の講
義のスタイルで,最近のトピックスに繋がる基礎
的内容をこれから新たに学ぼうとする学生や企業
人を対象として講義を行っていただくことが,チ
ュートリアル講演の趣旨となっています.
プラズマエレクトロニクス分科会では,今回の
2012 年春季講演会から実施することになり,その
第 1 回目のチュートリアル講演として,マイクロ
プラズマの新領域を立ち上げられ,プラズマ計測
の基礎から最先端のマイクロプラズマや液中プラ
ズマの応用まで展開されている橘邦英先生(大阪
電気通信大学)にお願いいたしました.チュート
リアル講演は,
下記の開催案内にありますように,
学会初日の午前中に設定しておりまして,ここで
勉強することによって,午後のプラズマエレクト
ロニクス分科会企画のシンポジウム,および翌日
以降の一般講演での理解が深まることを意図して
おります.
日時:2012 年 3 月 15 日(木)9:00~12:00
題目:マイクロプラズマの基礎と応用
講師:橘邦英(大阪電気通信大学)
概要:大気圧下の気体や液体中で生成される mm
以下の大きさのマイクロプラズマは,従来の低圧
気体中で生成されるマクロスケールのプラズマと
は違ったプラズマパラメータや,微小空間に起因
する外部パラメータで特徴づけられる.そのよう
な特性をプラズマ本来の反応性,発光性,導電・
誘電性と組み合わせることによって,ナノ材料の
合成,微量化学分析,フォトニックデバイス,さ
らには環境・バイオ・医療技術等の新しい応用技
術への展開が進められている.本講義では,マイ
クロプラズマの特性を分析した上で,現在の各種
マイクロプラズマ源とその応用技術の基礎につい
て解説し,将来への発展性について展望する.
当日は,講演開始 30 分前から受講者が集まり,
事前予約と当日参加を含めて,
定員の 70 名を上回
る約 80 人の受講者がおり,
チュートリアル講演へ
の期待が大きいことを実感いたしました.
講義では,放電の基礎から分かりやすく説明さ
れ,特に電子衝突による励起・電離における電離
係数αの意味,エネルギー分布関数の計算例,プ
ラズマ周波数と分散関係など,知っているつもり
でも意外と分かっていない部分もあり,学生はも
ちろんのこと,教員の立場でも大変勉強になりま
した.また,水中放電プラズマやマイクロプラズ
マの生成法・測定法について説明されるとともに,
その応用例についても,薄膜形成,表面処理,水
浄化処理,さらには医療応用で細胞に対するプラ
ズマ照射の効果等,大変興味深い内容で講義して
いただきました.
将来展望として,今後の発展が期待できる分野
を挙げていただき,環境応用,バイオ・医療応用,
新規デバイス(メタマテリアル)開発等がその候
補であり,従来の低圧・大容量プラズマで実現で
きないパラメータ領域での特性を活用し,できる
だけ単純化した系での実験を行い(モデルとの比
較)
,
異なった系でも類似性を見出すことで物理法
則を明らかにする(サイエンスを構築)ことが重
要であることを強調されました.最後に,
『新しい
プラズマ・サイエンスの領域は創製できるか?』
との,いまプラズマ研究者が直面している極めて
重要な課題を提起していただき,講義を締めくく
られました.
3 時間という非常に長い時間ではありましたが,
その時間を感じさせない,分かりやすい,興味深
い講義でありました.また,講義で使用するテキ
ストも大変丁寧に作成していただきまして,橘先
生の本講義に対する熱意が伝わって参りました.
あらためまして,ご講演いただきました橘先生
と,会場にお集まり頂きました方々に感謝申し上
げます.
講演される橘先生(左)と受講者(右)
34
国内会議報告
2012 年春季応用物理学関係連合講演会シンポジウム
カーボンナノ材料プラズマプロセスの将来展望
~合成から機能化まで~
(独)産業技術総合研究所 山田英明
当分科会企画で、表記シンポジウムが 3 月 15
日に早稲田大学に於いて開催された。カーボン系
材料は、グラフェンやナノチューブ(CNT)など
比較的新規な材料から、ダイヤモンド、特にダイ
ヤモンド・ライク・カーボン(DLC)など、より
実用に近い材料まで多種多様だが、全てプラズマ
を用いて合成可能な点が共通している。本シンポ
ジウムでは、プラズマと結びつきの深いこれらの
カーボン系材料の合成技術及びその機能化に関し
て第一線で活躍する研究者による講演が行われた。
講演会場は 300 人程度収容可能だったが、立ち見
が出る程盛況で、質疑応答も活発であった。関心
の高さに加え、複数領域からの参加があったこと
が要因の一つと思われる。本シンポジウムでは、6
件の招待講演者に加え、一般講演投稿者の中から
希望があった1件の講演が行われた。以下に、そ
れぞれの講演の概要をまとめる。
斎藤氏(産総研)から、e-DIPS 法と呼ばれる
気相(流動)法による CNT の高速・大量合成技
術、及び、その半導体としての機能特性を確認し
た研究結果が紹介された。実際に合成されていく
様子が動画で示され、およそ 5 cm 径の CNT 凝集
体が 180 m/hr 程度の速度で成長する、大量合成
技術として極めて高いポテンシャルを見せ付けた。
作製方法としては、スプレーで噴射された原料液
(触媒=フェロセンを含むトルエンなどの液体炭
化水素)とキャリアガス中のエチレンの 2 種類の
炭素源を加熱し、CNT が気相で析出する。長さと
直径とが CNT の機能を左右する重要な制御パラ
メータであるとし、講演では、ガスの種類やその
分解する領域の制御、及び、エチレンガスの流量
の制御による、直径及びカイラリティの制御が達
成した結果が紹介された。直径の違いはバンドギ
ャップの違いに影響し、トランジスタのオフ電流
の大きさの違いとして現れることを示した。
一方、
光吸収スペクトルを用いて、CNT の直径を比較的
簡易に同定する技術が既に ISO にて技術仕様と
して採用されているとのことであった。大竹教授
(東工大)からは、カーボン系材料の中で最も実
用技術に近い、DLC コーティング技術及びそのト
ライボロジー特性について紹介された。
「硬い」一
方で、相手も自分も傷が付き難い点が DLC だけ
が持つ特長である点や、グラフェンや CNT、単結
晶ダイヤモンド合成と異なり、イオンビームプロ
セス(イオン衝撃が必須)である特徴などが紹介
された。後者については DLC 業界では広く知ら
れた点とのことだが、Sp2(グラフェン・CNT)
や Sp3(ダイヤモンド)構造作製が必要としない
イオン衝撃を DLC が何故必要とするのかは未解
明とのことであった。タングステンメッシュによ
るマスクを用いて DLC を賽の目上に合成するこ
とで磨耗特性を飛躍的に改善した。更に、メッシ
ュサイズや表面の機能化などにより更なる改善が
可能ということであった。DLC は、製法・膜質な
ど、定義に依っては極めて広い範疇のカーボン材
料を含む。実用が近いこともあり、ニューダイヤ
モンドフォーラム(http://www.jndf.org/、後述の
川原田教授が会長)により標準化へ向けての活動
中とのことであった。金氏(産総研)からは、表面
波プラズマを用いたグラフェンの大面積合成技術
が紹介された。熱 CVD と比して低温で合成可能
であり、且つ高い電子温度・密度を達成できる点
から、表面波プラズマの優位であるとして、既に
A3 サイズのグラフェンシートを Roll-to-Roll で作
製できる装置の開発を紹介した。また、作製した
グラフェンシートを透明タッチパネルとして実際
に利用できる試作機を示し、材料合成からアウト
プットとなる製品にまで幅広いアクティビティが
35
紹介された。グラフェン量産機としての難点とし
て、
Roll-to-Roll 機構を真空チャンバ中に格納する
などを挙げた。CNT と並び大量合成技術が確立さ
れつつあるので、今後は、コスト低減と品質向上
などが課題となると思われる。堀教授(名大)か
らは、カーボンナノウォールの合成とその機能化
について紹介された。グラフェンが基材に対して
垂直に配向しており、各々のグラフェンシートの
エッジが密集して露出している点から、エッジが
使用可能な点などが特長とした。同教授らは、ノ
ーベル賞受賞へと繋がるグラフェンシート作製と
電気的特性に関する英国研究者による発表と同時
期である 2004 年に、既に触媒を使用せずにグラ
フェン合成に成功していたという。カーボンナノ
ウォールの形態(シートの直線性など)や、密集
度(ウォール同士の間隔)
、に加え電気的特性など
を合成条件に依ってある程度自由に制御できるこ
とを示した。表面積の高さを利用して燃料電池へ
の応用が紹介され、超臨界状態を用いることで、
作成後のナノウォール表面に TiO2 を高い分散性
で付着させることが可能であることが紹介された。
この TiO2 はルチル型ではなく、アナターゼ型と
して選択的に形成されているとのことであった。
「第 2 のノーベル賞」に期待したい。川原田教授
(早大)からは、同教授が 20 年余かけて取り組
んできた、プラズマ CVD を用いたダイヤモンド
合成技術、及び、CNT 合成技術、また、これらの
電子デバイス応用について紹介された。ECR プラ
ズマを用いた合成装置や、マイクロ波を導入する
同軸アンテナの先端で放電する(先端放電型)合
成装置などの開発を行ってきた。また、その折の
プラズマ診断について触れ、エチレンの光吸収強
度が合成速度と良く対応しているとした。SiC や
Ir 上のダイヤモンドのヘテロエピタキシャル成長
についても触れ、やはり核生成のためにはバイア
スが必要とした。先に述べた先端放電型合成装置
を用いたリモートプラズマにより、CNT の合成も
可能とした。同位体制御ガスを用いて、CNT の成
長は先端ではなく触媒金属側から持ち上がる様に
して進行していること示す結果を示した。電子デ
バイス応用研究例としては、ダイヤモンドに関し
ては表面伝導層を利用した高周波デバイスやバイ
オセンサへの応用、CNT については、微細配線へ
の応用などが紹介された。酒井氏(東芝、LEAP)
からは、次世代超低消費電力デバイスを達成する
ための、CNT を用いた 3 次元配線技術の確立を
目指した研究開発の現状について紹介された。こ
れは 2010 年から METI プロジェクトとして開始
され、昨年より NEDO プロジェクト(100 億円/
年規模)として継続実施されており、早期の実用
化を目指している。TIA-nano(つくば)にあるΦ
300 mm ラインを用いて実施されている。次々世
代の不揮発性メモリの高集積化において、線幅の
縮小に伴う高抵抗化を抑制するため、Cu と比較
すると、微細化に伴う抵抗の上昇が少ない CNT/
グラフェンに期待し、その制御されたプロセスに
取り組んでいるという。サブミクロン径のトレン
チ内に CNT を成長させる技術や、段差を起点と
してグラフェンシートを選択的に成長する技術な
どが紹介された。加藤助教(東北大)は、合成時
間や触媒金属組成の選択から、カイラリティ制御
を試みた結果が紹介された。
上記した手法により、
熱力学的に安定な(6,5)のカイラリティを持った
CNT を選択的に成長させられることを示した。し
かしながら、成長時間が限定されることから、
CNT 長さの制御が難点で、今後の課題とした。更
に、合成条件の最適化による、SiO2 上への高品質
グラフェンシートへ直接合成した例が紹介された。
SiO2 上へ Ni 薄膜を塗布し、プラズマ相で生成さ
れたカーボン源がこの薄膜内を拡散した後に
SiO2 上へグラフェンシートとして析出するとい
う“マイルド”な合成条件が重要とした。作製し
たリボン状のグラフェンシートのエッジのみへ、
室温下で選択的に化学修飾することに成功した様
子を示した。これにより、電気的特性の制御にも
成功したとした。
追記:本シンポジウムは、金子先生(東北大)
を中心に、栗原先生(東芝)
、佐藤先生(東北大)
、
安部先生(新潟大)
、坪井先生(アルバック)
、比
村先生(京都工繊大)
、平松先生(名城大)
、及び、
小職を含む担当幹事間での議論を元に企画・実施
されたことを付記致します。また、開催に当り、
金子先生と共に司会のご協力頂いた須田先生(豊
橋技科大)と、ご参加頂いた皆様に御礼申し上げ
ます。
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国内会議報告
第 9 回プラズマ新領域研究会「微粒子プラズマ応用の最前線」
九州大学 内田儀一郎
第 9 回プラズマ新領域研究会「微粒子プラズマ
応用の最前線」を平成 22 年度 11 月 19、20 日の両
日、核融合科学研究所(岐阜県土岐市)で開催し
ました。
第 12 回微粒子プラズマ研究会に応用セッ
ションを設けさせて頂き、共同開催とさせて頂き
ました。土日の休日にもかかわらず 32 名(国内
28 名、外国 4 名)が参加し、最新の微粒子プラズ
マに関する研究発表、並びに活発な討論を行うこ
とができました。研究会では 5 名の講師の先生方
に英語でご講演をお願い致しました。カーボン微
粒子生成(静岡大 三重野先生)に関しては、ア
ーク放電プラズマ中で発生するカーボン微粒子の
レーザー散乱その場計測についてご紹介頂き、気
相中微粒子の密度と粒径計測についての実験結果
をご発表頂きました。ポリマー微粒子生成(金沢
大 田中先生)においては、アーク放電プラズマ
とポリマー材料表面との相互作用に関する研究を
ご紹介頂き、ポリマー基板からポリマー微粒子が
気相中にダイナミックに放出される最新の実験・
解析結果をご発表頂きました。微粒子の基板配置
技術(京都工芸繊維大 高橋先生)に関しては、
100 ミクロンオーダーのマスクを気相中に設置し、
プラズマ中浮遊微粒子群をマスク形状に合わせて
基板に配置する最新パターニング技術をご紹介頂
きました。バイオ応用(
(株)アイエスアイ 竹田
先生)に関しては、微粒子の化粧品への応用とそ
の最新動向をご紹介頂きました。微粒子の気相中
構造形成(横浜国立大 石原先生)に関しては、
微粒子プラズマの最も有名な物理現象であるクー
ロン結晶構造形成について、最新の研究成果をご
紹介頂きました。プラズマを利用した微粒子生成
には、微粒子の凝集を制御できる等のプラズマプ
プロセス特有の大きな利点があります。本研究会
ではプラズマ微粒子の産業応用に向けた活発な議
論を行うことができ、大変有意義な研究会となり
ました。ご多忙の中ご講演頂いた先生方に、この
場を借りて改めて御礼申し上げます。
プログラム
26 日(土)
16:20-17:00 静岡大学 三重野 哲
Shizuoka Univ., T. Mieno
“Production and coagulation of carbon
clusters by plasma”
17:00-17:40 (有) アイエスアイ 竹田 篤
ISI Inc., A. Takeda
“Plasma application and processing of
nanobio particles for bio protection”
27 日(日)
9:30-10:10 金沢大学 田中 康規
Kanazawa Univ., Y. Tanaka
“Dynamic behaviors of spallation particles
from polymers during irradiation of Ar
thermal plasmas with different molecular
gases”
10:10-10:50 京都工芸繊維大学 高橋 和生
Kyoto Instisute of Technology, K. Takahashi
“Trapping and Pattering of dust particles in
13.56 MHz RF plasmas”
11:00-11:40 横浜国立大学 石原 修
Yokohama National Univ., O. Ishihara
“Low dimensional structure in complex
plasma”
37
国内会議報告
第 10 回 プラズマ新領域研究会
(於 東京工業大学すずかけ台キャンパスすずかけホール)
東北大学流体科学研究所 佐藤岳彦
第 10 回応用物理学会プラズマエレクトロニク
ス分科会プラズマ新領域研究会「大気圧プラズマ
生成における気相反応シミュレーション」が,2011
年 12 月 15 日に東京工業大学すずかけ台キャンパ
スにて開催された.本研究会は,電気学会プラズ
マ技術委員会プラズマ研究会(岐阜大学,神原信
志先生ご担当)の協力を頂き共催とした.
大気圧プラズマは,低温で化学的活性種を簡便
に生成できることから,材料プロセスから医療ま
で幅広く研究が進められている.大気圧プラズマ
は,マルチスケールな時空間軸を包含する現象だ
けでなく,熱流動場,化学反応場,電磁場などを
重畳する複雑な物理現象を形成している.近年,
これらの現象を数値解析により解明できるように
なってきたため,大気圧プラズマの生成や化学反
応に関する最新の数値解析による研究について講
演を頂いた.
本研究会は,招待講演 5 件からなり,講演者と
講演内容は下記の通りである.神原信志先生(岐
阜大学)は,
「大気圧プラズマ生成における気相反
応シミュレーション」の演題で,低温水素酸化処
理プロセスの化学反応モデルの構築と解析につい
て,小野亮先生・小室淳史氏(東京大学)は,
「大
気圧ストリーマ放電シミュレーション-活性種計
測結果の再現を目指して」の演題で,空気中の1
次・2次ストリーマの数値モデル構築と解析に加
え,実験結果との比較を通したモデルの妥当性の
検証について,高奈秀匡先生(東北大学)は,
「高
温.高圧下における空気・メタン混合気中のスト
リーマ進展過程とラジカル生成特性」の演題で,
CH3 や酸素ラジカルの生成量の圧力・温度依存特
性について,大西直文先生(東北大学)は,
「大気
圧プラズマによる流れ場生成過程の粒子シミュレ
ーション」の演題で,PIC-MCC 法による DBD プ
ラズマアクチュエータの放電過程について,野崎
智洋先生(東京工業大学)は,
「大気圧プラズマ・
触媒の複合反応系のシミュレーション」の演題で,
マイクロプラズマを利用してメタンからメタノー
ルを直接合成する手法とその反応シミュレーショ
ンについて,ご講演頂いた.
大気圧プラズマの放電・熱流動・反応モデルの
構築や数値解析法の開発では,より実際の現象に
近づける工夫や計算時間の短縮の工夫などが紹介
されるだけでなく,実験解析の結果との違いにつ
いての考察など,深く討論を進めることができた.
講演者は,電気,化学,機械などを基盤とする研
究者であり,異分野を横断する内容で,大気圧プ
ラズマの数値解析の発展を大いに期待できる研究
会となった.
最後に,
本研究会の招待講演者ならびに参加者,
プラズマ研究会,プラズマエレクトロニクス分科
会,
応用物理学会事務局の皆様に謝意を表します.
プラズマ研究会各位におかれましては,会場の準
備も頂きました.重ねて謝意を表します.
38
国内会議報告
第 26 回光源物性とその応用研究会報告
室蘭工業大学 佐藤孝紀、愛媛大学 神野雅文
第26 回光源物性とその応用研究会は、平成
24 年3 月2 日(金)午後、社団法人 照明学会 光
源・照明システム分科会、公益社団法人 応用物理
学会 プラズマエレクトロニクス分科会および千
葉工業大学先端放電プラズマ研究センターの共催
で開催された。開催場所は昨年に引き続き千葉工
業大学津田沼キャンパス 新1号館2階会議室であ
った。発表件数は5件であり、昨年よりも1件少な
かったが、大気圧放電特性の解析、液晶バックラ
イト光源や無水銀HIDランプの始動特性、蛍光ラ
ンプの高効率化の検討など、バラエティーに富ん
だ発表内容であった。
ヘリウムガス直流グロー放電構造のガス圧力依
存性に関する報告では、
荷電粒子密度、
電界強度、
ガス温度に対する圧力変化の影響が検討され、ガ
ス圧増加に伴ってHe+ イオンとHeの三体衝突で
生成されるHe2+ イオン密度が急激に増加するこ
となどが示された。
DBDの二次電子放出係数に関する報告では、イ
オンおよび準安定励起原子による誘電体からの二
次電子放出が放電特性に与える影響が検討され、
これらが放電開始電圧を低下させる一つのモデル
を示した。
液晶バックライト用の細管冷陰極ランプに関す
る発表では、正弦波交流励起周波数を100Hz以上
にすると再点弧電圧が急激に低下すること、直流
パルス励起放電の周波数特性からNe準安定励起
励起原子寿命を求めることが可能であること、が
報告された。
無水銀HIDランプに関する報告では、一般に
23kV程度のランプ始動電圧を低減させるため、始
動特性を調査した結果が示された。発光管と外管
の間に封入されるシュラウドガスガスをArガス
にすること、および発光管近傍に導体を設置する
ことにより、始動電圧を低減できることが明らか
になった。
蛍光ランプの効率化に関する報告では、キセノ
ン傾向ランプの駆動電圧をバーストパルスにする
ことでキセノンの電離と共鳴電子や準安定原子生
成に寄与するパルスを分離する方法が検討された。
補助波形を三角波にすると主パルスと分散して電
力を注入でき、最大投入電力の向上が可能となる
こと、および補助波にパルス波を用いると高効率
点灯が可能であることが示された。
最後になるが、今回の研究会実施に当って、会
場提供・準備等で多大なるご協力をいただいた千
葉工業大学の伊藤晴雄先生、鈴木進先生、小田昭
紀先生と同研究室の学生諸氏、照明学会 光源・照
明システム分科会 明石治朗先生、
ならびに電気学
会事業サービス課に謹んで御礼申し上げたい。
第26 回光源物性とその応用研究会 プログラム
LS-11-03・PE-11-01:ヘリウムガス直流グロー放
電構造のガス圧力依存性に関する計算機解析
小田 昭紀(千葉工業大学)
LS-11-04・PE-11-02:Ar DBDの二次電子放出係
数に関する一次元流体モデル計算
吉永 智一、 明石 治朗(防衛大学校)
LS-11-05・PE-11-03:細管冷陰極Ne 放電中の放
電開始電圧と準安定原子の寿命計測
後藤 みき 荒井俊彦 (神奈川工科大)
LS-11-06・PE-11-04:自動車用無水銀HIDラン
プの始動電圧の低減の可能性検討
植月 唯夫* 大田貴史(津山工業高等専門学校)
志藤 雅也 津田俊明 小野田幸央
(株式会社 小糸製作所)
LS-11-07・PE-11-05:バーストパルス駆動による
蛍光ランプの高効率化の試み
本村英樹* 山田真也 山本雄大 神野雅文
(愛媛大)
39
行事案内
2012 年秋季第 73 回応用物理学会学術講演会
プラズマエレクトロニクス分科主催シンポジウム
「プラズマのバイオ・医療への応用 -生体支援のためのプラズマ-」
京都工芸繊維大学
松山市において開催されます今秋の応物学会に
おきまして、表題のような分科主催のシンポジウ
ムを開催いたします。以下では、その概要等を会
員各位にお知らせいたします。
開催日時
この行事案内を執筆している段階では、学会 2
日目(9/12)の午後に開催させていただく予定と
なっておりますが、未定です。正式な日時は、応
物学会から公開されます学会プログラムにてご確
認いただきますよう、
よろしくお願いいたします。
趣旨
近年、低温で小型かつ比較的高気圧下でのプラ
ズマ生成が安定に行えるようになってきた事に伴
い、その応用分野の裾野は他分野との境界領域を
超えた奥底へと急速な広がりを見せています。そ
の領域の一つに「医療・バイオ」があります。本
シンポジウムでは、医療や農業へのプラズマ応用
に関する研究開発を幅広い分野の方々から紹介し
ていただき、現在の研究開発の状況から残されて
いる未解決研究開発課題まで、新たな研究者がこ
の分野へと入って仕事を始めるのに有益な情報を
開示していただきます。また、すでに欧米におい
ても複数のプラズマ研究者がそれぞれのオリジナ
リティーをもって「医療・バイオ」分野へとアプ
ローチを開始しています。このような諸外国での
動向も本シンポジウムでご紹介いただき、今後日
本のプラズマ研究者がどのような手段や組織で
「医療・バイオ」分野へのプラズマ応用研究に取
り組むのが効率的か全体討論します。
トピックス性
本シンポジウムは、一昨年の六月に閣議決定さ
比村 治彦
れた新成長戦略において掲げられました「ライフ
イノベーションによる健康大国戦略」を受けて設
定されたものです。現在、科学技術全分野を貫い
ているタイムリーなホットトピックスのプラズマ
科学分野版という位置づけになります。
講演予定者・講演題目一覧
以下のように、研究所、企業、大学から幅広く
ご講演いただきます。
○榊田 創(産総研)
「プラズマ物理・技術とその展開
(~医療への道~)
」
○板橋直志(日立)
「半導体技術を用いた医療バイオ向け
アレイデバイスの製造と評価」
○山内俊之(パナソニック)
「静電霧化技術による室内有害物質の浄化」
○林 信哉・三沢達也(佐賀大)
「プラズマの農産物への応用
-殺菌から成長促進まで-」
○秋山秀典(熊本大)
「プラズマ・パルスパワーの
細胞への作用と利活用」
○堀 勝(名大)
「大気圧プラズマによるがん及び
細胞の不活性化と未来医療への展開」
○(プラス)一般講演より 2~3 名の方
「・・・・・・・・・・・・」
会員各位におかれましては本シンポジウムにて当
該研究領域に関する理解を深めて頂きますととも
に、今後の研究の展開につきましてもご議論いた
だきたく、よろしくお願いいたします。
40
行事案内
第 6 回 プラズマエレクトロニクスインキュベーションホール案内
大阪大学
このたび、ションホールを企画致しましたので会
員の皆様に御案内申し上げます。学生の皆様を初め
若手研究者および技術者の皆様お誘い合わせのうえ
多数参加頂けますよう、会員の皆様からお勧め下さ
いますようお願い申し上げます。
開催日時:
2012 年 9 月 19 日(水)13:00 ~ 21 日(金)13:00
開催場所:
国立中央青少年交流の家
〒412-0006 静岡県御殿場市中畑 2092-5
内容:
プラズマエレクトロニクス研究を始めたばかりの
初学者(学生・若手研究者・社会人技術者)を対象
として、一流の講師陣を招きプラズマエレクトロニ
クスへの理解を深めて頂くための講習会です。
プラズマ生成・制御,プラズマ診断計測等の基礎
分野から、プラズマ CVD およびエッチングに加えて、
進展著しい大気圧プラズマ等の応用分野に関する専
門講座を開講し,初学者が基礎プラズマ工学の知識
が一通り習得できます.この専門講座では、従来形式
の単なる受身の講義ではなくディベート的要素(問
答)をも加味し受講者参加型の人材育成プログラム
の構築を目指しています。講述内容そのものは、初
学者が基礎学理をしっかりと理解したうえで、当該
分野における最新科学の話題にも触れられるように
構成されています。そのうえで、海外経験,企業経
験,産学連携経験などの豊富な講師陣からは、留学・
在外研究経験,企業で必要とされる資質,産学連携
のエピソードなどを適時交えた講義を頂き、受講生
のプラズマプロセス研究への興味を喚起します。さ
らに、特別講義では、新たな研究分野を切り拓いて
きた一流研究“指導者”を招き、当該分野の最新動
向や指導者に必要とされる資質について、加えて理
科系の英語力向上に関して多数の著書をもつ講師招
き英語力の強化について学ぶ機会を提供します。ポ
スターセッションやレクレーションでは、受講者と
講師の全員がお互いの垣根なく議論することで、参
唐橋 一浩
加者間の人脈形成が促されます。
【専門講座】
① 「プラズマの生成・制御」
中村圭二 先生(中部大学)
② 「プラズマ診断計測」
山形幸彦 先生(九州大学)
③ 「プラズマ CVD」
白藤 立(大阪市立大)
④ 「プラズマエッチング」
伊澤 勝 先生(日立ハイテクノロジ)
⑤ 「大気圧プラズマの基礎」
酒井 道 先生(京都大学)
【英語講座】
「理科系のための英語力強化法(仮題)」
志村史夫 先生 (静岡理工科大学)
【特別講座】
「リーディング学際プラズマを目指して」
畠山力三 先生 (東北大学名誉教授)
【ポスターセッション】
参加者間の交流が深まるよう、ポスターセッション
を中心とする談話会を行います。参加者自身のバッ
クグランドに関連したもの、例えば、

学生の場合:現在の研究テーマにまつわるも
の、学部での卒業研究など(4年生の場合これ
から行う研究など)

社会人の場合:仕事まつわるもの、企業・自
社製品の PR,入社前の大学での研究など
であれば、内容・分量は一切問いません。幅 0.9m×
高さ1m 程度のボードが用意されますので、あらか
じめポスターのご準備をお願いします。また、参加
申込書にポスター内容を示すキーワードを3つ程度
ご記入下さい。キーワードを元にポスター掲示場所
をアレンジ致します。本ポスターセッションは全員
の方の発表を原則としますが、発表に支障がある場
合は事前参加申申込書のポスターセッションキーワ
ード欄にその旨をご記入下さい。なお、優秀なポス
ター発表者には表彰を行います。
41
【その他】懇親会,レクレーションを予定していま
す。本企画 HP に当日の詳細スケジュールを記載して
おりますので参考にして下さい。
参加申込:
【申込方法】
本企画ホームページから参加申込書をダウンロー
ドいただき,e-mail,FAX あるいは郵送の何れかの
方法で唐橋までお申し込みください.申込を受け次
第,参加登録確認を通知します.その後に参加費を
振り込んでください.なお,参加費の振り込みには
必ず個人名と「PEIH」という 4 文字のアルファベッ
トを記載してください(例:木村さんの場合“キム
ラ PEIH”
)
。一旦振り込まれた参加費は,原則として
返却いたしません。
【定員】
60 名
【申込締切】 8 月 30 日(水)
【振込先】 三井住友銀行 本店営業部(本店でも可)
口座(普通)3339808 (社)応用物理学会プラズマエ
レクトロニクス分科会 (入金締め切り 8 月 31 日)
【問合せ・申込先】
〒565-0871 大阪府吹田市山田丘 2-1 大阪大学大学
院工学研究科原子分子イオン制御理工学センター
唐橋一浩 TEL: 06-6878-6411,FAX: 06-6879-7916
e-mail: [email protected]
学生会員への交通費補助:
下記の交通費補助の条件をみたした場合、補助
金をインキュベーションホール終了後に振り込み
ます。補助希望される方は、参加申込書に必要事
項を記入のうえ、領収書のコピーを持参下さい。
<交通費補助の条件>
在学する大学の最寄り駅から御殿場駅まで片道
13,000 円以上の交通費がかかる学生会員若しくは
今回学生会員(大学院を含む)になられた方を対象
とします。ただし、大学院生についてはポスターセ
ッションでの発表を必須条件とします。
本企画の詳細情報:
Homepage: http://annex.jsap.or.jp/plasma/PE_files
/PE_SS_2012/index.html
担当幹事:
校長: 豊田浩孝(名古屋大学)
幹事: 佐藤孝紀(室蘭工業大学)
榊田 創(産業技術総合研究所)
平松美根夫(名城大学)
坪井秀夫(アルバック)
吉木宏之(鶴岡高専)
前田賢治(日立製作所)
三沢達也(佐賀大学)
石川善恵(香川大学)
唐橋一浩(大阪大学)
交通案内:
東海道新幹線を利用する場合:
三島駅…[東海道線]…沼津駅…[御殿場線]…
御殿場駅(40 分),JR 御殿場駅から御殿場駅富士山
口 1 番のりば富士急行「青少年交流の家行き」路
線バス(約 20 分)
本企画 HP に詳細な交通案内を記載しておりますの
で参考にしてください。
参加費
43,000 円
協賛学協会の個人会員とプラズ
マエレクトロニクス分科会の個
人会員
48,000 円
53,000 円
17,000 円
22,000 円
27,000 円
プラズマエレクトロニクス分科
会と応用物理学会の個人会員
応用物理学会
個人会員
一般
40,000 円
学生
14,000 円
その他
*応用物理学会賛助会社およびプラズマエレクトロニクス分科会賛助会社所属の方はそれぞれの個人会員扱いとさ
せて頂きます.**遠方からの会員学生(含大学院生)に対して交通費の一部を補助する予定.詳細はHPをご覧下さ
い.***本分科会会員(年会費3000円)に同時入会頂くと,今回から会員価格で参加出来ます.会員には,年2回の
会報(非売品),過去26回の研究会プロシーディングス Web 閲覧,各種スクールへの会員料金での参加などのメリッ
トがあります.入会手続きは https://www.jsap.or.jp/jsapweb/system/do/signInSelect より行って下さい.
【協賛団体】日本物理学会,電気学会,プラズマ・核融合学会,日本化学会,電子情報通信学会, 高分子学
会,日本セラミックス協会,放電学会,日本真空協会,日本学術振興会プラズマ材料科学第 153 委員会,静
電気学会,日本金属学会,表面技術協会,日本鉄鋼協会,日本オゾン協会、電気化学会,日本表面科学会,原
子衝突研究協会
42
行事案内
第 23 回プラズマエレクトロニクス講習会
~プラズマプロセスの基礎と新しい応用に向けて~
主催: 応用物理学会 プラズマエレクトロニクス分科会
5. 『大気圧プラズマとその応用』
東京工業大学 野崎 智洋 先生
協賛: ドライプロセスシンポジウム、AEC/APC シンポジウ
ム、日本物理学会、電気学会、プラズマ・核融合学会、日
本化学会、電子情報通信学会、放電学会、日本真空協
会 (一部打診中)
6. 『設備管理(EES/FDC 等)技術』
ルネサスエレクトロニクス(株) 土山 洋史 先生
7. 『DPS2011 に見るプラズマ技術の新展開』
東北大学 木下 啓藏 先生
日時: 2012 年 11 月 14 日(水) 9:30~18:00
場所: 東京大学 本郷(浅野)キャンパス 武田先端知ビル
東京都文京区弥生 2-11-16
千代田線根津駅 或いは 南北線東大前駅下車
http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_04_16_j.html
※各講義は日本語で行います
参加費: (テキスト代を含む。かっこ内は学生)





内容/プログラム:
プラズマプロセスは、エレクトロニクス分野の先進デ
バイス開発の基幹技術であると共に、医療やエネルギ
ー・環境応用を始めとする幅広い分野でも欠くことのでき
ない基盤技術となりつつあります。この背景を踏まえ、
本講習会では開発・製造の現場で必要とされるプラズマ
の生成、制御、モニタリング技術の基本を、各分野にて
第一線でご活躍の先生方よりご講義頂きます。
また今回は 11/15(本講習会翌日)より開催されるプロ
セス関連の国際学会である第 34 回 ドライプロセスシン
ポ ジ ウ ム http://www.dry-process.org/2012/index.html
との連携も行い、基礎から応用まで最先端の技術動向
にも触れつつご紹介致します。初学者から先端の研究
者まで幅広い皆様のご参加をお待ち申し上げます。
応物・PE 分科会個人会員
応物個人会員 ※
分科会のみの個人会員
協賛学協会・応物法人賛助会員
その他
18000 円(4000 円)
21000 円(5000 円)
22000 円(6000 円)
22000 円(6000 円)
24000 円(8000 円)
※参加申込時に PE 分科会(年会費 3,000 円)に御入会
頂ければ、分科会個人会員扱いとさせて頂きます。
定員: 100 名
お申込み: プラズマエレクトロニクス分科会ホームページ
http://annex.jsap.or.jp/support/division/plasma/ より
お申し込みの上、下記指定口座へ振込み願います。
----------------------------------------------三井住友銀行 本店営業部 普通預金 3339808
(公社) 応用物理学会 プラズマエレクトロニクス分科会
----------------------------------------------※Web 申し込み期限 10/30。参加費入金(11/7 まで)の
確認をもって申し込み完了といたします。
■ 第1部:プラズマプロセスの基礎 9:30~12:30 ■
1. 『プラズマの生成と制御・装置』
名古屋大学 掘 勝 先生
お問合せ:
上村 さつき (応物事務局) ・・・ 申し込み手続き関連
TEL 03-5802-0863 FAX 03-5802-6250
e-mail: [email protected]
2. 『表面反応の制御とドライエッチング技術』
ラムリサーチ(株) 野尻 一男 先生
辰巳 哲也 (ソニー、担当幹事代表) ・・・ 開催内容関連
e-mail: [email protected]
3. 『プラズマ計測/モニタリング技術』
名古屋大学 豊田 浩孝 先生
・担当幹事
安部 隆 (新潟大学)、池田 太郎 (東京エレクトロン)、
池田 知弘 (三菱電機)、市川 尚志 (東芝)、
坪井 秀夫 (アルバック)、西澤 厚 (ルネサスエレ)、
前田 賢治 (日立)
■ 第2部:プラズマ技術の最前線 13:30~18:00 ■
4. 『シミュレーション技術』
慶應義塾大学 八木澤 卓 先生
43
行事案内
Gaseous Electronics Conference 2012
GEC Executive Committee Member
GEC は,電子・イオン衝突などの放電基礎過
程,プラズマ生成と診断に関する基礎物理,プラ
ズマ応用を 3 本柱とする 65 回の伝統を誇る米国物
理学会が主催する学会ですが,米国だけでなくヨ
ーロッパやアジアからも多数参加しているインタ
ーナショナルな会議となっています GEC の国際
会議としての拡がりを示すイベントとして,1997
年には第 3 回反応性プラズマ国際会議(ICRP-3)
と合同でハワイのマウイ島で,そして 2010 年 10
月に,フランスパリ市内で第 7 回反応性プラズマ
国際会議(ICRP-7)と合同で盛況のうちに開催され
たのは記憶に新しいところです.さて,今年の
GEC2012 です,
2011 年 10 月 22 日〜26 日に ア メ
リ カ テキサス 州 の The University of Texas at
Austin campus 内の AT&T Conference Center で開
催されます.
今年の GEC では4つの Workshop が下記のよう
に計画されています.
(http://www.gec.org/gec2012/specialevents.php)
* Title: Workshop on Plasma Biomedicine
Organizer: David Graves, University of California,
Berkeley ([email protected])
Date: Monday, October 22 (all day)
*Title: Workshop on Plasma Cross Field Diffusion
Organizers: Rod Boswell, Australian National
University, Australia ([email protected]) and
Igor Kaganovich, Princeton Plasma Physics
Laboratory ([email protected])
Date: Monday, October 22 (all day)
*Title: Workshop on Verification and Validation of
Computer Simulations in Low Temperature Plasma
Physics
Organizers: Miles Turner, Dublin City University,
Ireland ([email protected]) and Mirko Vukovic,
Tokyo Electron ([email protected])
Date: Monday, October 22 (evening)
白谷
正治
*Title: Workshop on Plasma Data Exchange
Organizers: Leanne Pitchford, University Paul
Sabatier, France ([email protected]) and
Annarita Laricchuita, CNR IMIP Bari, Italy
([email protected])
Date: Tuesday, October 23 (evening)
一般講演の申し込みは,6 月 15 日までに米国物
理 学 会 の サ イ ト the American Physical Society
online web submission process (http://abs.aps.org/)
から投稿してください.
Key Dates:
• The deadline for receipt of abstracts: June 15,
2012
• GEC Student Award for Excellence
Nominations: June 15, 2012
• Early Registration Deadline: 未定
• Deadline for hotel reservations (at conference
rate): September 21, 2012
その他の詳細情報については website
(http://www.gec.org/gec2012/) をご覧く
ださい.なお,GEC Excom の日本人メンバーは
伝統的に応用物理学会プラズマエレクトロニクス
分科会関係者が就任しております.今後も,GEC
との良好な関係を続けるために,一人でも多くの
日本人参加者の御講演・御出席をお願いする次第
です.
44
行事案内
第34回ドライプロセス国際シンポジウム(略称: DPS 2012)
34th International Symposium on Dry Process (DPS 2012)
(株)富士通セミコンダクター 小倉 輝
東京大学
高度情報化社会を担うマイクロエレクトロニ
武田先端知ビル
武田ホール
クス技術の高度化が進むなかで、 ドライプロセ
〒113-8656 東京都文京区弥生 2-11-16
スの役割はますます大きくなってきている。ドラ
TEL: 03-5841-1180
イプロセスにおける様々な物理的・化学的現象の
【招待講演】
Norikatsu Takaura (LEAP),
解明は、今後のマイクロエレクトロニクス、マイ
“Non-volatile memory device”
クロマシンやナノテクノロジー分野を中心とし
Koukou Suu (Ulvac),
た電気・電子、半導体工学のみならず、医療やバ
イオを含めた先端技術産業の発展と新たなる応
“The development of etching technology for
用の開拓に大きく寄与すると期待される。
non-volatile memory”
Tetsuji Shimizu (Max Planck Institut),
特に、半導体技術を中心とするドライプロセス
の基礎および応用に関して、日本は世界のトップ
“Non-thermal atmospheric plasma for use
レベルにあり、研究者・技術者の数も多い。この
in medical application”
Toshiya Hirai (Sony),
ような背景のもと、ドライプロセスの基礎から応
用に携わる世界の研究者が一堂に会して、先端的
“Quality control for dry process through
成果を発表・討論し、相互の理解を深める本国際
APC/EES”
Toshiaki Kato (Tohoku University),
会議を開催することは、電気分野の基礎・材料の
発展のみならず情報システム、マイクロエレクト
“Controllable graphene growth using novel
ロニクス、ディスプレイ、半導体デバイス、バイ
plasma catalytic deposition”
オテクノロジー、マイクロマシン、機能性材料を
基盤とする電気・電子・情報・バイオ分野および
【トピックス・スコープ】
ナノテクノロジー分野における次世代のブレー
一般講演分野:
クスルー的技術の創製が期待される。詳細は以下
・ドライエッチング技術
のURLをご覧ください。
・プラズマプロセスを用いた製造サイエンス
URL:
・表面反応およびプラズマ誘起ダメージ
http://www.dry-process.org/2012
・プラズマおよび表面のモニタリングと診断技術
【主催】応用物理学会
・モデリングとシミュレーション
【協賛】電気学会、電子情報通信学会,放電学会,
・プラズマ生成技術
日本真空協会(依頼中を含む)
・製膜(PVD/CVD/ALD)技術
【開催期間】
・3次元デバイス,フラットパネルディスプレイ,
2012年11月15日(木)~16日(金)
太陽電池へのプラズマ応用
【開催場所】
・新デバイス材料(メモリ、パワー、ロジック
45
(http://jjap.jsap.jp/special/)から投稿してくださ
デバイス)へのプラズマ応用
・医療、薬理作用、マイクロメカニカル
い。特集号の特別編集委員会により通常の JJAP
エレクトロシステム(MEMS)、ナノ科学
審査手順を経て掲載を判断します。
・大気圧、液体プラズマプロセス
・新規のプラズマ応用技術
【参加費】
主催協賛学会会員 30,000(35,000)円
アレンジセッション:
非会員 35,000(40,000)円
・不揮発性メモリのプロセス技術
学生 8,000(10,000)円
・プラズマの医療薬理アプリケーション
(カッコ内は、2012 年 10 月 17 日以降)
※プロシーディングス代含む、
【会議使用言語】
懇親会費は含まない
英語
【会議関連スケジュール】
【懇親会】
講演申込締切
2012 年 7 月 29 日
日時:2012 年 11 月 15 日
講演採択通知
2012 年 9 月初旬
開催場所:武田先端知ビル
事前参加申込締切
2012 年 10 月 16 日
JJAP 特集号投稿締切
2012 年 11 月 15 日
18 時 30 分~
ホワイエ
【関連委員】
【講演申込に関して】
申込みの際には所定の書式に従った A4 版2頁
の英文プロシーディングスを下記の URL から投
[組織委員長]:伊澤
勝(日立ハイテク)
[実行委員長]:一木
隆範(東京大)
[論文委員長]:小倉
輝(富士通)
[出版委員長]:東
清一郎(広島大)
稿してください。その後の審査の結果、口頭発表、
ポスター発表、不採択に分類します。採択された
【問合せ先】
場合は提出された原稿がそのままプロシーディ
DPS2012 事務局
ングスとして発刊されます。詳細は HP 参照。
〒113-8656 東京都文京区弥生 2-11-16
一木
隆範
東京大学大学院 工学系研究科
http://www.dry-process.org/2012
バイオエンジニアリング専攻
TEL/FAX : 03-5841-1180
【JJAP 特集号に関して】
E-Mail: [email protected]
2012 年 11 月 15 日までに JJAP の Website
46
行事案内
『企業 Oriented』を基軸とする初めての国際会議
第 11 回 Asia Pacific Conference on Plasma Science and
Technology(APCPST) / 第 25 回 Symposium on Plasma
Science for Materials(SPSM)
~ Plasma Science and Technology towards Innovation and
Business ~
名古屋大学
平成 24 年 10 月 2 日~5 日、京都大学ローム
記念館において、独立行政法人日本学術振興会
プラズマ材料科学第 153 委員会主催、応用物理
学会プラズマエレクトロニクス分科会後援で
APCPST/SPSM が開催する運びとなりました。
詳細は(http://www.apcpst2012.org/)をご高覧く
ださい。
この合同会議は、プラズマに関与する物理化
学的な現象やプラズマプロセスを利用した材料
創製に関して発表・議論・情報交換をする会議
であり、関係する分野は、プラズマ・物理・化
学・材料・バイオ・環境といった分野を横断的
に網羅した複合領域です。
1992 年から開催され、アジア太平洋地域の
日・中・韓・豪で隔年開催されます。アジア太
平洋各国企業のプラズマ技術に関する取り組み
を本交流の場を通して知ることにより、我が国
の産業活性化を促進し、一国で実現することが
困難な課題に取り組むきっかけにつながるかと
考えます。
特に今回の開催にあたっては、
「企業への貢献
を基軸に、アカデミックの活性化と若者の育成
を図る」ことを目指し、以下を基軸に開催する
予定です。
堀
勝
・ アカデミック、インダストリーとの出会い。
企業と学生、大学人の出会いの場を意図的
に作り、国際共同研究・開発、事業連携、
ビジネスの促進
・ 企 業 レ ポ ー ト セ ッ シ ョ ン ( Non Scientist
Report)を設定
従来の国際会議での発表では、学術的な議論
に主眼が置かれていることから、各社の製品紹
介やビジネスに直結する話題については、学術
的な内容を除いて忌避するようにとの制約があ
り、単に企業展示での紹介のみに制限されてい
ることが通例です。
一方、今回の APCPST 国際会議は、各社の製
品・技術・優位性をはじめとする多様な御発表
を通じたビジネス指向の議論こそが、イノベー
ションへの源泉であるとの信念のもと、『企業
Oriented』を基軸とする初めての国際会議であり、
古今無双の果敢な企画といえます。これらによ
り、企業・大学間の情報交換、産業における課
題の理解とアカデミアからの提案、(国際)共同
研究 等が促進されることを期待しております。
すでに、400 件に近い論文投稿があり、プラ
ズマの基礎科学からビジネスに関する貴重な情
報交換やコミュニケーションを図ることができ
る舞台が整っております。ぜひ多くの皆様にご
参加を検討いただきたく、よろしくお願い申し
上げます。
・ 企業の皆様が参加しやすい会議
・ 役に立つサイエンス
・ 役に立つ情報交換と企業現場等の課題への
ソリューションの提示
・ 教育(企業人、大学、若手:学生)の重視
47
行事案内
第 30 回プラズマプロセシング研究会(SPP-30)案内
静岡大学
永津雅章 (現地実行委員会
委員長)
第 30 回プラズマプロセシング研究会を下記
いるナノテクノロジー分野(ナノ粒子、ナノ構
の要領にて開催致します。会場は JR 浜松駅の
造物質、ナノ加工)
、プラズマ医療・バイオ応用
すぐ近くにあり、交通の便も良く、気候も温暖
分野、環境・エネルギー応用分野もスコープに
な地域であるため学術会合の開催に適していま
加え、総合的な議論ができるように配慮されて
す。皆様のご参加を心よりお待ち申しておりま
います。また、次世代を担う大学院生等の人材
す。懇親会へのご参加も是非よろしくお願い申
育成の観点より、第一線で活躍する著名な研究
し上げます。
者を招待して、
「特別講演」や「指定テーマ講演」
を企画しています。
[1] 特別講演 (2 件を予定しております)
記
【会期】2013 年 1 月 21 日 (月)〜1 月 23 日 (水)
[2] 指定テーマ講演 (2 件を予定しております)
【会場】アクトシティ浜松・研修交流センター
[3] 一般講演
〒430-7790 静岡県浜松市中区中央 3-9-1
1) プロセシングプラズマの発生・制御
(JR 浜松駅から徒歩約 5 分)
2) プロセシングプラズマの診断・計測・モニ
タリング
3) プロセシングプラズマにおける素過程・モ
【会議の概要】
デリング
プラズマプロセシング研究会は、
(社)応用物
理学会プラズマエレクトロニクス分科会主催で、
4) プラズマによるエッチング
毎年 1 月下旬から 2 月初旬にかけて開催され、
5) プラズマによる薄膜形成
今回で第 30 回目を迎えます。
プロセシングプラ
6) プラズマによる表面改質
ズマの物理的・化学的基礎科学の解明およびそ
7) 大気圧・マイクロプラズマの基礎と応用
の制御と応用技術の開発をテーマに掲げ、プラ
8) 液相及び気液界面プラズマの基礎と応用
ズマ物理・プラズマ化学の研究者をはじめとし
9) プラズマ応用技術
て、原子・分子物理、薄膜・表面の物理・化学、
9-1)ナノテクノロジー
電子工学など多分野の研究者が一堂に会して、
9-2)プラズマ医療・バイオ応用
プラズマを接点とする境界分野の成果発表・討
9-3)環境・エネルギー応用
論を行うと共に、新たな問題点の発掘や、新し
9-4)光応用・発光デバイス用プラズマ
いプロセシングの可能性を追求することが目的
9-5)上記以外のプラズマ応用
10) 上記以外のプラズマプロセシング
です。
ここで、プラズマ応用技術に関わる基礎的研
究は勿論のこと、次世代の応用技術と目されて
48
【参加費】
(事前参加申込み期限:2012 年 11 月 19 日 (月)
プロシーディングス代含む)
応物・PE会員
PE会員
応物・協賛学協会会員
その他
一般
12,000 円
15,000 円
15,000 円
18,000 円
学生
3,000 円
5,000 円
5,000 円
8,000 円
※事前参加申込み期限後は、一般 2,000 円増、学生 1,000 円増となります。
【主催・共催・協賛】 (依頼中含む)
【懇親会】
日時:2013 年 1 月 21 日 (月) 18:30 ~ 20:30
主催:応用物理学会プラズマエレクトロニクス
分科会
会場:ホテルクラウンパレス浜松
(SPP-30 会場から約 300 m)
共催:静岡大学(予定)
協賛:日本物理学会、プラズマ・核融合学会、
会費:5,000 円
電気学会、電子情報通信学会、日本化学
会、電気化学会、高分子学会、日本真空
【締切】
・講演申込み:2012 年 10 月 15 日 (月)
協会、日本セラミックス協会、表面技術
・事前参加申込み:2012 年 11 月 19 日 (月)
協会、静電気学会
・プロシーディングス原稿 (英文、A4 版 2 ペー
ジ) 提出:2012 年 12 月 3 日 (月)
【問い合せ先】
第 30 回プラズマプロセシング研究会(SPP-30)
現地実行委員会 委員長 永津雅章
(静岡大学 創造科学技術大学院)
TEL / FAX: 053-478-1081
E-mail: [email protected]
Web: http://annex.jsap.or.jp/plasma/ に学会情報を
掲載予定
以上
49
2012(平成 24)年度プラズマエレクトロニクス分科会幹事名簿
氏名
幹事長
寺嶋和夫
所属
東京大学
新領域創成科学研究科
物質系専攻
住所・電話
〒277-0882
柏市柏の葉5-1-5基盤系研究棟504
TEL: 04-7136-3799
FAX: 04-7136-3799
E-mail
[email protected]
副幹事長 豊田浩孝
名古屋大学
工学研究科
電子情報システム専攻
〒464-8603
名古屋市千種区不老町
TEL: 052-789-4698
FAX: 052-789-3150
[email protected]
副幹事長 辰巳哲也
ソニー(株)
R&DPF コアデバイス開発本部
セミコンダクタテクノロジー開発部門
プロセス設計部
〒253-0014
厚木市旭町4-14-1
TEL: 046-202-4793
FAX: 046-202-6374
[email protected]
m
副幹事長 野崎智洋
東京工業大学
大学院理工学研究科
機械制御システム専攻
〒152-8550
目黒区大岡山2-12-1(I1-23)
TEL: 03-5734-2681
FAX: 03-5734-2681
[email protected]
幹事
任期
安部隆
2013年3月
新潟大学
大学院自然科学研究科
材料生産システム専攻
〒950-2181
新潟市西区五十嵐2の町8050
TEL: 025-262-6795
FAX: 025-262-6795
[email protected]
池田知弘
三菱電機(株)
先端技術総合研究所
〒661-8661
兵庫県尼崎市塚口本町8-1-1
TEL: 06-6497-7524
FAX: 06-6497-7285
[email protected]
hiElectric.co.jp
〃
市來龍大
大分大学
工学部
電気電子工学科
〒870-1192
大分市旦野原700
TEL: 097-554-7826
FAX: 097-554-7820
[email protected]
〃
唐橋一浩
〒565-0871
大阪大学
大阪府吹田市山田丘2-1A12棟
大学院工学研究科
TEL: 06-6878-6411
原子分子イオン制御理工学センター
FAX: 06-6879-7916
〃
榊田創
産業技術総合研究所
エネルギー技術研究部門
先進プラズマ技術グループ
〒305-8568
茨城県つくば市梅園1-1-1 つくば中央第2
[email protected]
TEL: 029-861-5775
FAX: 029-861-5754
〃
佐藤孝紀
室蘭工業大学
大学院工学研究科
情報電子工学系専攻
〒050-8585
室蘭市水元町27-1
TEL: 0143-46-5506
FAX: 0143-46-5501
[email protected]
坪井秀夫
(株) アルバック
生産技術開発センター
〒253-8543
神奈川県茅ヶ崎市萩園2500
TEL: 0467-89-2424
FAX: 0467-58-5773
[email protected]
〃
西澤厚
ルネサスエレクトロニクス株式会社
生産本部
プロセス技術統括部
プロセス加工技術部
〒252-5298
神奈川県相模原市中央区下九沢1120
TEL: 042-779-9925
FAX: 042-771-0329
atsushi.nishizawa.kc@renesa
s.com
〃
比村治彦
京都工芸繊維大学
工芸科学研究科
電子システム工学専攻
〒606-8585
京都市左京区松ヶ崎御所海道町5号館405
[email protected]
TEL: 075-724-7437
FAX: 075-724-7437
〃
名城大学
平松美根男 理工学部
電気電子工学科
〃
〃
〒468-8502
名古屋市天白区塩釜口1-501
TEL: 052-838-2298
FAX: 052-832-1298
50
[email protected]
[email protected]
氏名
幹事
任期
池田太郎
2014年3月
所属
東京エレクトロン山梨株式会社
技術開発センター
MiPSグループ
住所・電話
〒407-0192
山梨県韮崎市穂坂町三ツ沢650
TEL: 0551-23-2327
FAX: 0551-23-4260
E-mail
[email protected]
石川善恵
香川大学
工学部
材料創造工学科
〒761-0396
香川県高松市林町2217-20
TEL: 087-864-2400
FAX: 087-864-2438
[email protected]
〃
市川尚志
(株)東芝
デバイスプロセス開発センター
インテグレーション・キャラクタリゼー
ション技術開発部
〒235-8522
横浜市磯子区新杉田8番地
TEL: 045-776-4673
FAX: 045-776-4104
[email protected]
o.jp
〃
北野勝久
〒565-0871
大阪大学
大阪府吹田市山田丘2-1
大学院工学研究科
TEL: 06-6878-6412
原子分子イオン制御理工学センター
FAX: 06-6879-7916
〃
金 載浩
産業総合技術研究所
エネルギー技術研究部門
先進プラズマ技術グループ
〒305-8568
茨城県つくば市梅園1-1-1 中央第2
TEL: 029-861-4889
FAX: 029-861-5754
[email protected]
〃
堤井君元
九州大学
総合理工学研究院
融合創造理工学部門
〒816-8580
福岡県春日市春日公園6-1(D棟304号室)
TEL: 092-583-7097
FAX: 092-583-7097
[email protected]
〃
首都大学東京
杤久保文嘉 理工学研究科
電気電子工学専攻
〒192-0397
八王子市南大沢1-1
TEL: 042-677-2744
FAX: 042-677-2756
[email protected]
〃
前田賢治
(株)日立製作所
中央研究所
ナノプロセス研究部
〒185-8601
東京都国分寺市東恋ヶ窪 1-280
TEL: 042-323-1111 (ext. 2142)
FAX: 042-327-7708
[email protected]
〃
三重野哲
静岡大学
理学部
物理学科
〒422-8529
静岡市駿河区大谷836
TEL: 054-238-4750
FAX: 054-238-4750
[email protected]
〃
三沢達也
佐賀大学
大学院工学系研究科
電気電子工学専攻
〒840-0027
佐賀県佐賀市本庄町1
TEL: 0952-28-8639
FAX: 0952-28-8651
[email protected]
向川政治
岩手大学
工学部
電気電子・情報システム工学科
〒020-8554
岩手県盛岡市上田4-3-5
TEL: 019-621-6877
FAX: 019-621-6877
[email protected]
吉木宏之
鶴岡工業高等専門学校
電気電子工学科
〒997-8511
山形県鶴岡市井岡字沢田104
TEL: 0235-25-9146
FAX: 0235-24-1840
[email protected]
〃
〃
〃
51
[email protected]
2012(平成 24)年度分科会幹事役割分担
役割分担
幹事長
副幹事長
1. 分科会ミーティング
2. シンポジウム総合講演
合同セッション
3. プラズマプロセシング
研究会
4. 光源物性と
その応用研究会
5. プラズマ新領域研究会
6. インキュベーション
ホール
7. プラズマエレクトロニクス
講習会
8. 会誌編集・書記
9.
10.
11.
12.
13.
14.
ホームページ
会員名簿
庶務
会計
プラズマエレクトロニクス賞
アカデミックロードマップ
(戦略企画室)
15. PE 懇親会
秋:愛媛大学
16. PE 懇親会
春:神奈川工科大学
GEC 委員
白谷正治
寺嶋 和夫
豊田 浩孝
辰巳 哲也
野崎 智洋
三沢 達也
野崎 智洋
北野 勝久
金 載浩
市川 尚志
豊田 浩孝
三重野 哲
堤井 君元
金 載浩
池田 太郎
新任
東京大学
名古屋大学
(株) ソニー
東京工業大学
佐賀大学
東京工業大学
大阪大学
(独) 産業技術総合研究所
(株) 東芝
名古屋大学
静岡大学
九州大学
(独) 産業技術総合研究所
東京エレクトロン山梨 (株)
向川 政治
岩手大学
佐藤 孝紀
室蘭工業大学
豊田 浩孝
栃久保 文嘉
石川 善恵
堤井 君元
吉木 宏之
豊田 浩孝
前田 賢治
三沢 達也
石川 善恵
吉木 宏之
辰巳 哲也
池田 太郎
前田 賢治
市川 尚志
市川 尚志
向川 政治
北野 勝久
名古屋大学
首都大学東京
香川大学
九州大学
鶴岡工業高等専門学校
名古屋大学
(株) 日立製作所
佐賀大学
香川大学
鶴岡工業高等専門学校
(株) ソニー
東京エレクトロン山梨 (株)
(株) 日立製作所
(株) 東芝
(株) 東芝
岩手大学
大阪大学
市來 龍大
西澤 厚
榊田 創
大分大学
ルネサスエレクトロニクス
(独) 産業技術総合研究所
三沢
北野
寺嶋
野崎
寺嶋
佐賀大学
大阪大学
東京大学
東京工業大学
東京大学
佐藤
榊田
唐橋
坪井
平松
坪井
池田
西澤
安部
市來
池田
唐橋
佐藤
市來
平松
室蘭工業大学
(独) 産業技術総合研究所
大阪大学
(株) アルバック
名城大学
(株) アルバック
三菱電機 (株)
ルネサスエレクトロニクス
新潟大学
大分大学
三菱電機 (株)
大阪大学
室蘭工業大学
大分大学
名城大学
達也
勝久
和夫
智洋
和夫
九州大学
太字:取りまとめ役
52
留任
平松
安部
比村
坪井
平松
榊田
池田
安部
比村
西澤
市來
佐藤
美根男
隆
治彦
秀夫
美根男
創
知弘
隆
治彦
厚
龍大
孝紀
孝紀
創
一浩
秀夫
美根男
秀夫
知弘
厚
隆
龍大
知弘
一浩
孝紀
龍大
美根男
名城大学
新潟大学
京都工芸繊維大学
(株) アルバック
名城大学
(独) 産業技術総合研究所
三菱電機(株)
新潟大学
京都工芸繊維大学
ルネサスエレクトロニクス
大分大学
室蘭工業大学
榊田 創
(独) 産業技術総合研究所
安部 隆
新潟大学
比村 治彦
京都工芸繊維大学
2012(平成 24)年度分科会関連の各種世話人・委員
1.応用物理学会講演分科の世話人
8.1 プラズマ生成・制御
林 信哉
中村 圭二
山形 幸彦
野崎 智洋
林 久貴
佐藤 孝紀
明石 治朗
(佐賀大)
(中部大)
(九州大)
(東工大)
(東芝)
(室蘭工大)
(防衛大)
2.応用物理・編集委員
野崎
(東工大)
3.応用物理学会代議員
豊田 浩孝
金子 俊郎
林 信哉
(名古屋大)
(東北大)
(佐賀大)
4.GEC 組織委員会委員
白谷 正治
(九州大)
5.その他:本部理事
斧
(京都大)
6.評議員
河野 明廣
白谷 正治
中山 喜萬
畠山 力三
藤山 寬
堀 勝
真壁 利明
宮崎 誠一
(名古屋大)
(九州大)
(大阪大)
(東北大)
(長崎大)
(名古屋大)
(慶應大)
(名古屋大)
7.フェロー
岡本 幸雄
寒川 誠二
菅井 秀郎
高井 治
橘 邦英
中山 喜萬
藤山 寬
真壁 利明
渡辺 征夫
(東洋大)
(東北大)
(中部大)
(名古屋大)
(愛媛大)
(大阪大)
(長崎大)
(慶應大)
(九州電気専門学校)
8.名誉会員
後藤
(中部大)
8.2
8.3
8.4
8.5
8.6
プラズマ診断・計測
プラズマ成膜・表面処理
プラズマエッチング
プラズマナノテクノロジー
プラズマ現象・新応用・融合分野
53
智洋
高一
俊夫
平成 23 年度後期および平成 24 年度前記活動報告
第 62 回プラズマエレクトロニクス分科会ミーテ
ィング/平成 23 年度第 4 回幹事会議事録(応用
物理学会インフォーマルミーティング内)
さらに今回、選出のアドバイスのためレーティン
グ担当委員を新たにお願いし、口頭とポスターの
振り分けの評価基準には奨励賞の基準を用いる事
とした。選出された委員は理事会など分科会外で
認めることも必要との意見が出た。新しいものと
悪いものの見分けは困難であるので基本的には講
演者の希望を受け入れる他、ポスター発表をもっ
と重視する必要があるとの意見が出た。
日時:平成 24 年 3 月 15 日(木)12:00-13:15
場所:早稲田大学 10 号館 207 教室
1.
「8.プラズマエレクトロニクス」大分類分科意
見交換会
学会の講演会企画運営委員会の議論を経て、大
分類ミーティングをインフォーマルミーティング
の冒頭に並列開催することにした。
宮崎講演会企画運営委員(名大)から、講演会
の活性化のための改革について説明があった後、
堀幹事長(名大)
、中村教授(中部大)を中心に大
分類 8 の現状について意見交換がなされた。概略
は以下の通り。
・大分類の中には硬直化し、分類のねじれがある
ものや、時代の変化に弾力的でないものもある。
大分類 8 は常に中分類の見直しを進めており、
合同セッションも企画しており問題はない。
・シンポジウムは一般投稿を受けつけ、申し込み
などのスケジュールは前倒しになった。会場から
応募型シンポジウムは初日に集約され講演時間も
短いのは魅力をなくすとの指摘があった。分科企
画のシンポジウムの開催はプログラム委員の裁量
でどこにも置けるとのこと。
・今後の学会の継続的な会員の増加を図るために
は、今後アジアを中心とする国際化に対応する必
要がある。今後、秋の学会を中心に英語セッショ
ン、海外招待講演を増やす。本年秋には分光関係
の会議との合同セッションが予定されている。
大分類 8 では、MRS とのジョイントを進めて
いるが、英語セッションは中分類 8.6 に集中して
いる。今後中分類を基礎・計測と材料・応用のグ
ループに分類し講演会ごとに英語セッションを持
ち回りとする。会場からは、持ち回りにこだわら
ず重要テーマは海外招待講演などを招くべきとい
う意見、募集や予稿なども英文化するのかという
質問があった。
・会場から一般会員への目に見える周知をお願い
したいとの希望が出た。
3.科研費の新細目について
堀幹事長からプラズマエレクトロニクス細目の新
設のアナウンスがあった。
4.平成 24-25 年度、幹事選挙結果報告、新幹事
紹介
堀幹事長から寺嶋新幹事長(東大)と次期幹事
の紹介があった。副幹事長は、豊田先生(名大)
、
野崎先生(東工大)
、辰巳様(ソニー)が選出され
た事が報告された。また、新設の諮問委員として
現役教授の幹事長経験者と企業選出の副幹事長経
験者に就任をお願いした。
・講演会の規模は順調に拡大してきたが、講演会
場の数や収容人数の確保が困難となっている。講
演形式を講演者に選択してもらいポスター講演を
積極的に活用する。そのため、プログラム委員に
は講演の査読権限も持たせる代わりに選出法も
明確にする必要がある。
大分類 8 ではプログラム委員や企画委員は幹事
会で推薦されており現状で選出の問題は無い。
5.平成 23 年度収支決算報告
平松幹事(名城大)より収支決算報告がなされ
54
た。2011 年度収支差額は-30 万であった。前年度
との違いとして SPP29 がプラズマカンファレン
スと共催のため収入がなく赤字の原因になった。
会場から、課税対策として ICRP の積立金の扱い
について質問があったが、法人化後は学会が対応
するためそのような問題はないとの回答があった。
6.会員数について
堀幹事長から会員数が 520 名を越えたが、学生
の入会をさらに薦めて欲しいとの依頼があった。
11.MRS 合同セッションについて
白谷教授から 4 月 9~13 日サンフランシスコの
MRS の WW セッションへの参加が呼びかけられ
た。2013 年 9 月 16~20 日の学会(同志社)でも
MRS とのジョイントを申請中。今後、秋の MRS
の秋のホールミーティングにも参加したいとのこ
とであった。
12.第 30 回プラズマプロセシング研究会につ
いて
永津教授(静大)から、アクトシティ浜松・研
修交流センターで 2013 年 1 月 21~23 日開催さ
れる SPP30 について準備状況が報告された。会
場の確保、助成金の申請、予算案が示された。30
回記念の何らかの行事も用意してはとの意見が出
た。
7.プラズマエレクトロニクス分科会会報
(No.56)について
池田幹事(三菱電機)から概要案が示され、研
究室紹介や研究紹介について議論がなされた。
8.プラズマ新領域研究会について
松浦幹事(大阪府大)から研究活性化支援金申
請についての報告がされ、3 月開催予定の研究会
の延期がアナウンスされた。
13.プラズマカンファレンスについて
栗原幹事(東芝)から金沢のプラズマカンファ
レンスに 1000 人を越える参加者があり、3 学会
以外からの参加も多かったことが報告された。
9.GEC について
白谷 GEC 委員(九大)から、テキサス州オー
スチンで開催の本年会議の締め切りが 5 月に早ま
るので注意するようにアナウンスがあった。
14.その他
堀幹事長からプラズマエレクトロニクス賞の表
彰式と分科会シンポジウムの案内があった。
10.ICRP-8 について
白谷実行委員長から、2014 年 2 月 4~7 日に福
岡国際会議場で開催されること、実行委員の打診
中であることが報告され、協力が依頼された。
55
第 63 回プラズマエレクトロニクス分科会ミーテ
ィング/平成 24 度 第 1 回幹事会議事録
がなされた。
4/9~4/13:MRS(San Francisco, CA)
9/11~9/14:秋季応物(愛媛大・松山大)
10/22~26:65th GEC(Austin, TX)
10/28~11/2:59th AVS(Tampa, FL)
10/29~11/2:54th DPP(Providence, RI)
1/28~2/1:5th ISPlasma(名大)
3/27~3/30:春季応物(神奈工大)
また、2013/7/14~19 の APPC12(幕張メッセ)
、
2013/9/16~20 の JSAP-MRS Joint Symposia
(同
志社大)
、2014/2/4~7 の ICRP-8/SPP-31(福岡
国際会議場)についても報告された。
日時:平成 24 年 3 月 31 日(土)12:30~16:30
場所:東京工業大学 田町キャンパス・キャンパス
イノベーションセンター2階(多目的室1)
1.幹事紹介(退任・留任・新任)
・寺嶋幹事長(東大)及び、出席した各幹事より
自己紹介がなされた。
2.幹事役割確認
・寺嶋幹事長(東大)より、各担当幹事の職務内
容について説明及び、新年度の役割分担案が紹介
され承認された。
・池田幹事(三菱電機)より、プラズマエレクト
ロニクス分科会会報(No.56)の目次案及び、編
集進捗状況について報告された。
・内田幹事(九大)より、会計報告が行われ、内
容について承認された。
3.2012 年度活動進捗報告・審議事項
・寺嶋幹事長(東大)より、年間スケジュール案
が紹介された。幹事会については 9、1、3 月に開
催予定。
・比村幹事(京工繊大)より、秋季シンポジウム
招待講演の講演者と題目の申請内容が紹介された。
また、分科内招待講演の講演者の選定について議
論され、シンポジウム担当幹事で候補者を挙げて
頂くことになった。チュートリアルが実施される
場合には、プラズマエレクトロニクス分科会から
実施する方向で後日、候補者を挙げることが承認
された。
・清水幹事(静大)より、SPP-30(30 回記念)
の準備状況について説明が行われ、テーマ、特別
講演候補者について議論された。2013/1/21~23
にアクトシティ浜松・研修交流センターにおいて
開催予定。
4.各活動説明
・林幹事(佐賀大)より、分科会ミーティングの
状況について説明され、毎回内容が盛り沢山で時
間的に厳しいこと、参加者は、春が 40~50 名、
秋が 30 名程度であったとの報告がなされた。
・栗原幹事(東芝)より、シンポジウム総合講演
及び、プラズマプロセシング研究会について説明
され、Plasma Conference2011 の参加者によるア
ンケート結果の紹介がなされた。3学会合同で開
催されたものであったが、今回の反省点としてパ
ラレル色が強過ぎて融合が出来ていなかった点、
開催時期が他 PE 関連会議との日程が近かった点
等が挙げられた。
・佐藤幹事(室蘭工大)より、3/2 に開催された
「第 26 回 光源物性とその応用研究会」の内容に
ついて紹介され、日程決定と案内のタイミングが
合わなかった点が課題であった。
・松浦幹事(大阪府大)より、プラズマ新領域研
究会の準備状況について報告された。他学会との
合同等も含めて3回の開催予定。
・松浦幹事(大阪府大)より、プラズマ新領域研
究会について説明され、年末開催では会計締めに
対して余裕がないため、開催時期の見直しと、新
・白谷諮問委員(九大)より、プラズマエレクト
ロニクス分科会関連会議の紹介と進捗状況の説明
56
なされた。会報 No.55 で既報の通り、実演等を試
し好評だったが、参加人数の減少、関連学会 Rush
の開催時期も課題であり、DPS との同時開催等、
対策を検討中との報告があった。
テーマの募集が提案された。
・林幹事(佐賀大)
、坪井幹事(アルバック)より、
インキュベーションホールについて説明され、学
生を中心に 50 数名の参加者があり、台風の直撃
による早期解散のため、参加者アンケートが取れ
なかったとの報告があった。
・唐橋幹事(阪大)より、プラズマエレクトロニ
クス分科会ホームページについて紹介され、有効
利用、リニューアルについての提案を随時募集中
であるとの報告がなされた。
・清水幹事(静大)
、木下副幹事長(東北大)より、
プラズマエレクトロニクス講習会について説明が
57
第 11 回プラズマエレクトロニクス賞受賞候補論文の募集
東京大学
応用物理学会プラズマエレクトロニクス分科会
では、毎年、プラズマエレクトロニクスに関する
学術的あるいは工業的に価値のある優秀な論文を
対象とし、その著作者に「プラズマエレクトロニ
クス賞」を贈り表彰を行っています。候補論文は
自薦・他薦を問いません。下記の要領により, 奮
ってご応募下さい。
http://annex.jsap.or.jp/plasma/
授賞対象論文
プラズマエレクトロニクス分科会が主催する研
究会、国際会議等で発表され、且つ 2010、2011,
2012 年の発行の国際的な学術刊行物(JJAP 等)
に掲載された原著論文。受賞者は、表彰の時点に
おいてプラズマエレクトロニクス分科会会員ある
いは応用物理学会会員とする。
提出書類
以下の書類各1部、及びそれらの電子ファイル
(PDF ファイル)一式
 候補論文別刷(コピーでも可、第1ページに候
補論文と朱書すること。関連論文があれば2件
以内の別刷またはコピーを添付。
)
 当該論文の内容が発表されたプラズマエレクト
寺嶋和夫
ロニクス分科会が主催する研究会、国際会議等
の会議録等のコピー。2 件以内
 著者全員について和文で以下を記入した書類。
氏名、会員番号、勤務先(連絡先)
 推薦書(自薦、他薦を問わず、論文の特徴、優
れた点などを 400 字程度わかりやすく記すこ
と。
)
表彰
2013 年春季応用物理学会期間中に行います。受
賞者には賞状および記念品を贈呈いたします。ま
た 2013 年秋季講演会期間中に記念講演を依頼す
る予定です。
書類提出期限
2012 年 12 月 25 日(火)当日消印有効
書類提出先
〒113-0034 東京都文京区湯島 2-31-22
湯島アーバンビル 7 階
社団法人応用物理学会
プラズマエレクトロニクス分科会幹事長
(封筒表に「プラズマエレクトロニクス賞応募」
と朱書のこと。
)
なお下記の賞規定もご参照下さい。
プラズマエレクトロニクス賞規定
1.
2.
3.
この規定はプラズマエレクトロニクスに関す
る学術的あるいは工業的に価値のある優秀な
論文を表彰の対象論文とし、その著作者にた
いして社団法人応用物理学会プラズマエレク
トロニクス分科会(以後プラズマエレクトロ
ニクス分科会と言う)が行う表彰について定
める。
この表彰を「プラズマエレクトロニクス賞」
という。
4.
5.
58
表彰の対象論文は、原則として、プラズマエ
レクトロニクス分科会が主催する研究会、国
際会議等で発表され、且つ募集期間から過去
3年の間に国際的な学術刊行物に掲載された
原著論文とする。
受賞者はプラズマエレクトロニクス分科会会
員あるいは応用物理学会会員とする。
受賞者は公募に応じた自薦および他薦候補者
から選考する。
6.
エレクトロニクス分科会幹事会に選考の経過
および結果を報告する。
13. プラズマエレクトロニクス分科会幹事長は、
選考の経過および結果を応用物理学会理事会
に報告する。
14. この賞の実施に関する必要な事項の審議およ
び決定はプラズマエレクトロニクス分科会幹
事会がお行う。
15. 本規定は、理事会の承認を経て改訂すること
ができる。
すでに公に顕著な賞を受けた論文は、プラズ
マエレクトロニクス賞の対象論文としない。
7. 表彰は原則として毎年2件以内とする。
8. 表彰は賞状授与および記念品贈呈とする。
9. 表彰は毎年応用物理学会春季講演会において
行う。
10. プラズマエレクトロニクス分科会幹事会は、
毎年 11 月までに授賞候補者募集要項を「プ
ラズマエレクトロニクス分科会会報」および
応用物理学会機関誌「応用物理」誌上に公表
し、広く募集する。
11. 受賞者の選考はプラズマエレクトロニクス分
科会幹事長が委嘱した「プラズマエレクトロ
ニクス賞」選考委員会が行う。
12. 受賞者が決定したときは、
「プラズマエレクト
ロニクス賞」選考委員会委員長が、プラズマ
付則:この規定は、平成 14 年 4 月 1 日より施行す
る。
59
プラズマエレクトロニクス関連会議日程
国際会議
July 4-6, 2012
International Conference on Microelectronics and Plasma Tcehnology (ICMAP-2012)
Ramada Plaza Jeju Hotel Jeju Island, Jeju, Korea
http://www.icmap.or.kr/
July 8-12, 2012
39th IEEE International Conference on Plasma Science (ICOPS2012)
Edinburgh, UK
http://icops2012.lboro.ac.uk/
September 5-8, 2012
9th International Bioelectrics Symposium (BIOELECTRICS 2012)
KKRホテル熊本
http://bioelectrics2012.coe.kumamoto-u.ac.jp/
October 2 –5, 2012
11th Asia Pacific Conference on Plasma Science and Technology (APCPST) /
25th Symposium on Plasma Science for Materials (SPSM)
京都大学 ローム記念館
http://www.apcpst2012.org/
October 22-25, 2012
65th Gaseous Electronics Conference (GEC2012)
Austin, Texas
https://www.ae.utexas.edu/gec2012/
October 28 –November 2, 2012
AVS 59h International Symposium and Exhibition
Tampa, Frorida, USA
http://www2.avs.org/symposium/AVS59/pages/info.html
October 29 –November 2, 2012
54th Annual Meeting of the APS Division of Plasma Physics
Providence, Rhode Island, USA
http://www.aps.org/units/dpp/meetings/dpp12/
November 14-16, 2012
International Conference on Plasma Physics (ICPP 2012)
Venice, Italy
http://www.waset.org/conferences/2012/venice/icpp/index.php
November 15-16, 2012
34th International Symposium on Dry Process (DPS2012)
東京大学 武田先端知ビル
http://www.dry-process.org/2012/index.html
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January 28 –Feburuary 1, 2013
5th International Symposium on Advanced Plasma Science and its Applications for Nitrides and
Nanomaterials
(ISPlasma2012)
名古屋大学
http://www.isplasma.jp/
April 1-5, 2013
2013 MRS Spring Meeting
San Francisco, California
http://www.mrs.org/spring2012/
July 14-19, 2013
The 12th Asia Pacific Physics Conference (APPC12) / The 3rd Asia-Europe Physics Summit (ASEPS)
幕張メッセ国際会議場
http://www.jps.or.jp/APPC12/index.html
July 15-19, 2013
31st International Conference on the Physics of Ionised Gases (ICPIG)
Granada, Spain
August 4-8, 2013
International Symposium on Plasma Chemistry (ISPC 21)
Cairns, Australia
http://www.ispc-conference.org/
http://ispc20.plasmainstitute.org/home/ISPC-2013-for-Philadelphia.pdf (older info)
September 16-20, 2013
2013 JSAP Autumn Meeting (JSAP-MRS Joint Symposium)
同志社大学
http://www.mrs.org/jsap-2013/
61
国内会議・会合
2012. 9. 11-14
第 72 回応用物理学会学術講演会
愛媛大学・松山大学
http://www.jsap.or.jp/activities/annualmeetings/regularmeeting.html
2012. 9. 18-21
日本物理学会 2012 年秋季大会
横浜国立大学
http://www.jps.or.jp/activities/meetings/future.html
2012. 9. 19-21
第 6 回プラズマエレクトロニクスインキュベーションホール
国立中央青少年交流の家
http://annex.jsap.or.jp/plasma/PE_files/PE_SS_2012/index.html
2012. 11 月中
第 11 回プラズマエレクトロニクス新領域研究会
「光・レーザーを用いたプラズマ計測技術の最前線(仮)」
(第 28 回九州・山口プラズマ研究会と合同開催)
詳細は追って下記分科会 HP に掲載していく予定です。
http://annex.jsap.or.jp/support/division/plasma/
2012. 11. 14
第 23 回プラズマエレクトロニクス講習会
東京大学 本郷(浅野)キャンパス 武田先端知ビル
http://annex.jsap.or.jp/support/division/plasma/
2012. 12 月予定
第 12 回プラズマエレクトロニクス新領域研究会
詳細は追って下記分科会 HP に掲載していく予定です。
http://annex.jsap.or.jp/support/division/plasma/
2013. 1. 21-23
第 30 回プラズマプロセシング研究会(SPP-30)
アクトシティ浜松・研修交流センター
詳細は追って下記分科会 HP に掲載していく予定です。
http://annex.jsap.or.jp/support/division/plasma/
62
2013. 3. 26-29
日本物理学会第 68 回年次大会
広島大学
http://www.jps.or.jp/activities/meetings/future.html
2013. 3. 27-30
応用物理学会 春季講演会
神奈川工科大学
http://www.jsap.or.jp/activities/annualmeetings/regularmeeting.html
2013. 9. 16-20
応用物理学会 秋期講演会
同志社大学 京田辺キャンパス
http://www.jsap.or.jp/activities/annualmeetings/regularmeeting.html
2013. 9. 20-27
日本物理学会 2013 年秋季大会
高知大学 (9. 20-23) [素、核、宇]
徳島大学 (9. 24-27) [物性]
http://www.jps.or.jp/activities/meetings/future.html
63
東日本大震災で被災された方への会費免除のお知らせ
(社)応用物理学会
2011年3月11日の東日本大震災で被害に遭われた会員の方々に心からお見舞い申し上げ
ます。
すでに本会ホームページならびにメールでもお知らせ申し上げておりますが、本会では、被害に
遭われた会員の方に対し会費を免除させていただくことになりました。
つきましては、地震で被災されたことを証明する書類(注)を添えて学会事務局までお申し出下
さい。お申し出でいただいた会員の方には、直近の会費を1年間免除させていただきます。
●免除対象会費:正会員(社会人)会費、正会員(大学院生)会費、学生会員会費、分科会会費
(A 会員会費・B 会員会費)
(注):例えば所属機関ないし上長による被災証明書、指導教官による被災証明書、支部発行の
被災証明書など
被災証明郵送先および問合せ先:
〒113-0034
東京都文京区湯島 2-31-22 湯島アーバンビル 7 階
公益社団法人 応用物理学会 会員係 宛
電話:03-5802-0862
FAX:03-5802-6250
e-mail:[email protected]
64
編集後記
平成24年度4月より、プラズマエレクトロニクス ですが、それらに柔軟に対応して解決策を提案して
分科会幹事長が堀勝教授(名古屋大学)から寺嶋和 いけるプラズマエレクトロニクスの懐の深さと、そ
夫教授(東京大学)へと引き継がれ、新しいスター れを可能にするため基礎原理を深く理解すること
トを切りました。プラズマエレクトロニクス分科会 の重要さを改めて感じる次第です。
すぐに役立つプラズマエレクトロニクスは前回
会報No.56をお届け致します。本誌にご寄稿頂きま
がCVDであったこともあり、プロセスプラズマ応用
した皆様に心よりお礼申し上げます。
の双璧をなすエッチングについて、安部先生にご寄
さて、前回55号はプラズマエレクトロニクス25
周年、分科会20周年の特集号でした。実は私事なが 稿いただきました。反応性イオンエッチング(RIE)
ら昨年はちょうど30歳になった年でもあり、なにか をベースに従来の半導体応用からMEMSへの展開
奇妙な縁を感じております。そのような節目の折、 まで、丁寧にわかりやすく解説していただいており
ます。ご多忙な中ご執筆頂き、感謝申し上げます。
前回の特集号を経て今回編集を担当するにあたっ
この他にも研究紹介、海外の研究事情、会議報告、
て、これまで偉大な先輩方が築いた物を次の20年い
かに盛り立てていくか、次世代に繋いでいくかなど、行事案内などなど、多くの方々にご執筆頂きました。
ご多忙の折にもかかわらず快諾して頂き、すばらし
様々な思いに駆り立てられる日々でした。
今回、以前より分科会内でも関心の高かった環 い記事を執筆して頂けましたこと、心よりお礼申し
境・バイオ関連の応用についてご寄稿を頂きました。上げます。今後も研究会や国際会議などの際には、
下名も所属する三菱電機の大森にSiCのデバイス応 ぜひ本誌に案内記事や会議報告をご寄稿いただけ
用について、小長井教授(東工大)に太陽電池応用 ますよう改めてお願いいたします。
について、また高木准教授(岩手大)に農作物の促
成応用の話を伺うことが出来ました。震災後のエネ (平成24年度会報編集担当:市來、市川、向川、池田)
(文責:池田)
ルギー需給問題や、TPPにともなう農作物の輸入・
輸出問題など、社会情勢がめまぐるしく変わる昨今
プラズマエレクトロニクス分科会会報 No.56
2012年 6 月 29 日 発行
編集:公益社団法人 応用物理学会
プラズマエレクトロニクス分科会
幹事長 寺嶋 和夫
発行:公益社団法人 応用物理学会
〒113-0034 東京都文京区湯島2-31-22
湯島アーバンビル7階
(©2012 無断転載を禁ず)
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