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3月の天候の特徴(PDF:149KB)

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3月の天候の特徴(PDF:149KB)
【気象と気象用語】松山地方気象台(H21《2009》年)
3 月 の天 候 の特 徴
1 3月の気象
(1) 3月の気象の特徴
3 月は陽射しが日に日に強まり、春の訪れを実感できる日々が増えてきます。移動性高気圧や低気圧
が交互に日本付近を通過するため天気は周期的に変化し、高気圧に覆われて穏やかな 5 月並みの陽気に
なることもあれば、低気圧が日本の東へ抜けた後、冬型の
気圧配置が強まって真冬に逆戻りすることもあります。
低気圧が日本海を発達しながら通過すると、日本列島に
は暖かい南風が吹き荒れることがあります。2 月の立春か
ら 3 月の春分の間に初めて吹く南よりの強い風を
「春一番」
と呼んでいますが、今年は 2 月 13 日(右図参照)
、四国地
方で「春一番」が吹きました(平成 20 年は無し、平成 19
年は 2 月 14 日)
。また、低気圧からのびる寒冷前線が通過
するときには、雷や突風が起こりやすく、ひょうが降るこ
ともあります。空気が乾燥し火災が起こりやすい時期でも
地上天気図 2009年2月13日15時
ありますので、火の元の管理には特に注意が必要です。
(2)愛媛県における3月の気象災害
愛媛県3月原因別災害回数表
右表は、気象庁の統計による昭和 20(1945)年∼平成 20(2008)
(統計期間:1945∼2008年)
年の愛媛県内で発生した原因別災害回数表です。3 月は冬型の気圧
原因
回数
配置や低気圧の影響によることが多くなっています。また、空気の
強風・波浪
5
乾燥による山火事にも注意が必要です。
乾燥(山野火災)
4
・ 3月の風と雪による農業被害
濃霧
雷
強風・雪
雨
4
3
3
1
平成 10(1998)年 3 月 20 日、日本海低気圧の影響で南よりの
強い風のため、当時の伊予市、双海町、砥部町等でビニールハウス
の破損、空豆、レタスなどの損傷で 1930 万円の農業被害が発生し
合計
20
ています。
平成 13(2001)年 3 月 4∼5 日、冬型の気圧配置の強まりにより、強風による被害や山間部では積雪
による凍結害等あわせて 563 万円の農業被害が発生しています。
・ 3月における林野火災
昭和 59(1984)年 3 月 30∼31 日東予市朝倉で林野火災 120ha 焼失。
昭和 62(1987)年 2 月 28∼3 月 3 日大三島町で林野火災 300ha 焼失。
平成 7(1995)年 3 月 9∼11 日岩城村で林野火災 155ha 焼失。
平成 7(1995)年 3 月 21 日大三島町で林野火災 9.5ha 焼失などの災害が発生しています。
2 気象用語の解説 = 「晩霜、菜種梅雨」
・
「晩霜」
移動性高気圧に覆われると、晴れて風の弱い穏やかな天気となりますが、夜間には、地面の熱が奪わ
れ地表付近の気温が下がり(放射冷却)著しいときには霜が降りることがあります。春先の霜は「遅霜
または晩霜」と呼ばれ、農作物に被害をもたらします。気象台では、晩霜による被害が予想されるとき
には、可能な限り前日の昼前に「霜注意報」を発表し注意を呼びかけています。
・
「菜種梅雨」
3 月中旬から 4 月にかけて高気圧が北に偏ると、日本の南岸沿いに前線が停滞し、まるで梅雨のよう
なぐずついた天気が続く場合があります。北にかたよった帯状の高気圧と日本の南岸沿いにのびる前線
が特徴で、菜の花が咲く頃にあたるため「菜種梅雨」と呼んでいます。
その4
4 気候の将来予測について
前回は雨の降り方が降るときには大量に降り、降らない時とのコントラストが大きくなってお
り、災害防止の面からも水資源の管理の面からも、より高度な対応が必要な降り方へと変わって
きているということを記述しました。
今回は気候の将来予測について紹介します。気象庁では気象研究所を中心に気候の将来予測に
ついて研究を行っており、その結果を「地球温暖化予測情報」として発表しています。2008 年
に第 7 巻が発行されています。第 7 巻は冬のことが主です。その前の第 6 巻(2005 年)には地
域ごとの細かい予測が発表されています。
将来予測はどのような社会で、どの程度の二酸化炭素排出を行うかによって異なりますが、21
世紀末の二酸化炭素濃度が現在の倍程度になる設定(A2 シナリオという)の予測結果を紹介し
ます。この場合の想定は、人口は 2100 年の時点で約 150 億人に達し、エネルギーも地域内の資
源に依存する割合が高く、技術進歩も相対的に低い。このため、アジアなど石炭の豊富な地域で
は石炭依存度が低下せず、温室効果ガス排出も高水準となるというものです。
四国は情報の中では西日本太平洋側という区分になっています。この地域の 21 世紀末の気候
は年平均気温が 2℃から3℃高くなり、冬の気温の上昇が大きくなっています。また夏は、気温
の年ごとの変動が大きいという結果になっています。年降水量は西日本では現在より 1 割から 2
割ほど増加し、増大は夏季が主で、また年ごとの変動も大きくなる予想になっています。大雨の
日数も増えるようです。
前回に現在までの気候の変化は水資源管理や災害防止に、より高度な対応が必要となるように
変化していると述べましたが、将来はその傾向がさらに顕著になる可能性があるようです。
次回は予測の科学的根拠について紹介する予定です。
A2 シナリオにともなう年降水量変化率(%)
A2 シナリオにともなう年平均気温変化量(℃)
(2081∼2100 年平均値)÷(1981∼2000 年平均値)
(2081∼2100 年平均値)−(1981∼2000 年平均値)
地球温暖化予測情報第 6 巻(気象庁 2005 年)による
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