...

国・地方IT化・BPR推進チーム 第一次報告書(PDF/643KB)

by user

on
Category: Documents
4

views

Report

Comments

Transcript

国・地方IT化・BPR推進チーム 第一次報告書(PDF/643KB)
第
一
次
報
告
書
平成 27 年6月 29 日
国・地方IT化・BPR推進チーム
Ⅰ.はじめに
ITを活用した公共サービスの多様化や質の向上を、実感のある形で国民各層に
届け、その利用の促進を図るとともに、新たな産業の創造等を通じた経済成長の実
現に向けた環境整備に資するため、国・地方を通じて行政のIT化と業務改革の抜
本的な取組を加速化することが必要である。
このため、eガバメント閣僚会議(平成 26 年6月高度情報通信ネットワーク社会
推進戦略本部長決定。議長:内閣官房長官)の下に、ワーキンググループとして内
閣情報通信政策監(政府CIO)を主査とする「国・地方IT化・BPR推進チー
ム」(以下「推進チーム」という。)を開催し、Ⅱ.に掲げる当面の主要課題につい
て検討を行い、その状況を取りまとめ、公共サービスの刷新に取り組むこととして
いる。
推進チームでは、その設置(平成 27 年4月 13 日)以降、時間と手間の掛かる紙
による手続や業務処理及び来所を原則減らし、国民にとって利便性の高い行政を実
現することを目指して、議論を重ねてきた。本報告書は、当該議論を整理したもの
であり、現時点で整理した今後の目標及び目標達成に向けた取組スケジュールを含
む対応策を示す。今後さらに対応策が取りまとまった段階で報告を行うこととす
る。また、IT利活用は国民の安全・安心が確保された上で行われることが前提で
あり、今後取りまとめられるサイバーセキュリティ戦略を踏まえつつ、着実な対策
を講ずるものとする。
なお、主要成果指標(KPI)については、各項目において今後施策を推進する
中で、必要な検討を行い、適宜追加・見直しを行う。
Ⅱ.当面の主要課題
○
テーマ1:マイナンバー・個人番号カード活用によるオンラインサービス改
革(マイナンバー・個人番号カードの導入にあわせ推進するもの)
○
テーマ2:国の業務改革・IT化の推進
(これまでの既往の取組を、さらに加速し、推進するもの)
○
テーマ3:自治体クラウド推進・自治体の業務改革
1
Ⅲ.検討状況等(詳細は別冊参照)
1.マイナンバー・個人番号カード活用によるオンラインサービス改革(テーマ1)
マイナンバーは、行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平かつ公正な社会を
実現する社会基盤であり、この導入に合わせて、これまでのオンラインサービス
の在り方を見直し、より国民から使いやすく、便利なものとなるように改善を図
ることが重要である。
添付書類の削減など、行政手続を簡素化するとともに、行政機関等の情報連携
により、様々な情報の照合、転記、入力の時間と労力や、作業の重複などの無駄
を削減する。それに加え、オンラインサービスの使いやすさを向上させ、国民の
負担を軽減させ、その利用を促進していくため、次の取組を推進する。
(1)コンビニ交付サービス【総務省】
全国約 45,000 のコンビニエンスストアで住民票の写しをはじめとする各種証明
書の取得が可能なコンビニ交付サービスについて、平成 28 年1月の個人番号カー
ドの導入に伴い、同カードに標準的に搭載される公的個人認証サービスの電子証明
書を利用したサービス提供を積極的に展開し、個人番号カードの導入当初約1年と
なる平成 28 年度中に、コンビニ交付の実施団体数を3倍の 300 団体とし、実施団
体の人口の合計も3倍の 6,000 万人を超えることを目指す。これにより、住民にお
ける証明書の取得に要する時間など、社会的コストを削減するとともに、土日祝日
を含め早朝から夜まで(6:30~23:00)の取得を可能にし、利便性を高める。加え
て、市区町村における証明書の交付に要する行政コストを削減し、行政サービスの
重点化や新たな行政需要への対応を図る。
(2)年金・税分野での利便性の高い電子行政サービスの提供等【内閣官房、総務省
財務省、厚労省】
国民の利便性の向上及びマイナンバー制度の利用促進等のため、「マイナンバー
制度の活用等による年金保険料・税に係る利便性向上等に関するアクションプログ
ラム」(平成 27 年6月 22 日年金保険料の徴収体制強化等のための検討チーム)を
着実に実施する。
(3)子育てに係る申請等手続関係【内閣官房・内閣府・文部科学省・厚生労働省・
総務省】
自治体における子育てに係る申請等手続について、平成 29 年7月に予定される
地方の情報提供ネットワークシステムの運用開始等を踏まえ、平成 28 年度までに
各種検討・整理を行い、手続を行う者が、必要書類をそろえて自治体の窓口へ赴く
ことや郵送することなく、個人番号カードを用いてオンラインで一括して手続が行
える「子育てワンストップサービス(仮称)」の検討を進める。
自治体においては、面談による世帯の状況把握や他の必要な支援との連携など対
面手続としている趣旨を十分に踏まえた上で、オンライン化が適当と認められる申
請等手続については、電子的に行う事務処理を確立し、利用者の利便性向上等を図
る。
2
2.国の業務改革・IT化の推進(テーマ2)
公共サービスのエンドユーザである国民を志向し、行政サービスの改善、業務の
効率化・迅速化等に向け、次に掲げる取組を推進する。このうち、各府省業務の改
革、内部管理業務の集約化等の取組については、本年7月までを目途に、具体的な
措置の方針、スケジュール、効果指標その他の組織・業務の今後の取扱い等につい
て検討を行い、「国の行政の業務改革に関する取組方針」に反映し、具体的な取組
に早々に着手する。
なお、現時点で約 4,000 億円/年のうち▲約 920 億円/年の運用コスト削減を見
込む政府情報システムの改革については、本取組にみられるようなBPRにあわせ
てシステムの統廃合、クラウド化その他システム構成・機器等の見直しを行い、引
き続き運用コスト3割削減に向けた取組を推進する。
(1)各府省業務の改革
① ハローワーク、年金、国税、登記【厚生労働省・財務省・法務省】
業務の体系を来所・紙を前提としたものからオンライン・デジタルを前提とし
た業務の体系に刷新し、国民負担の軽減及び行政運営の効率化を図りつつ、各業
務分野における課題解決に向けて取り組む。
また、法人番号の導入を契機に、企業が活動しやすいビジネス環境整備に向け
た横断的な取組を推進することとし、法人設立等に必要な各種手続を行う際の
登記事項証明書の添付省略やオンライン手続におけるワンストップ化などの見
直しを行う。
BPRに合わせて情報システムの刷新に取り組み、運用経費の削減を図る(計
約 1,600 億円/年のうち▲約 580 億円/年(現時点の試算値)の削減の見込み)。
②
その他各府省の業務【全府省】
業務の効率化・省力化、行政サービスの改善等に向けた業務改革を、多様なニ
ーズ(働く女性、高齢者、外国人等)、地域における中小企業の行政サービスI
T化への期待、オープン化に伴う市民・企業の公共サービスへの参加、民間にお
ける技術・サービスの進展等を踏まえつつ、システム改革と合わせて実施する。
平成 27 年度は計 24 の業務について、ア)国民・事業者等の利便性の向上、イ)
各府省内の部局間連携、ウ)関係省庁共通的な課題への対応、エ)自治体との連携、
オ)他省庁への横展開等を実現することを目指して取り組む。
(2)内部管理業務の見直し
① 内部管理業務の集約化【総務省・全府省】
本省各局各課で処理している業務の集約、都道府県単位以下の地方出先組織
で処理している業務のブロック機関集約を中心に、人事・給与関係業務情報シス
テムの改善状況も踏まえつつ、各省の組織・業務の特性に即した最適な取組を推
進する(早期の成果が期待できる組織・業務から順次着手、効果的な取組の横展
開)。あわせて、共同調達や電子決裁拡大等、業務の一層の効率化・合理化、柔
軟な業務運営に努め、生産性の高い行政運営を追求する。
3
②
共通システム関係【人事院・経済産業省・総務省・内閣官房・全府省】
人事・給与、旅費、調達、文書管理・決裁について、次に掲げる取組等により、
共通システムの全省導入と利活用を早期に進め、事務処理の原則電子化、蓄積す
るデータの分析、共有等を通じて、適正かつ効率的・効果的な予算執行を確保し
つつ、コスト削減を図るとともに、間接事務を省力化し、効率的に遂行する。
1) 人事・給与関係の業務について、「人事給与業務効率化に向けた改善計
画」
(平成 27 年3月 27 日人事給与業務効率化推進会議決定)に基づき、平
成 27 年度から順次業務の統一化・合理化等を実施する。また、システムの
性能、品質、機能の改善を平成 28 年度に実施し、人事・給与関係業務情報
システムの安定的な運用と利活用を早期に進め、業務の簡素化・効率化を
図る。
2) 旅費関係の業務について、平成 27 年度中に、各府省で活用可能なモデ
ル仕様書を作成し、旅費計算等の旅行代理店等へのアウトソーシングを推
進するとともに、必要に応じて標準マニュアルを改定し、業務改革を徹底
する。あわせて旅費システムについて、出先機関を含め全府省での導入を
進めるとともに、機能改修を行い、業務の一層の省力化を図る。
3) 調達関係の業務について、法人の代表者から委任を受けた者が対面・書
面なく電子申請・電子契約等を可能とする制度的措置及びシステム構築に
向けた検討を行い、政府調達に関する入札参加資格審査から契約までの一
貫した電子化を平成 29 年度から順次開始する。電子調達システムを自治体
の利用を可能とし、入札資格情報や調達情報について国・地方間での共有
の在り方を検討する。
4) 文書管理・決裁関係の業務について、平成 28 年度に、タブレット利用
型アプリを開発し、大臣等の政務が行う決裁を含め、いわゆるデスクワー
クと異なるワークスタイルに対応した決裁のシステム化を促進する。また、
平成 28 年度までに、決裁処理の見直しが遅れている府省への取組を促進す
る等、電子決裁を定着させる取組を行い、文書管理全般の電子化及び行政
事務の迅速化を図る。
(3)ワークスタイルの変革【内閣官房・総務省・全府省】
会議のペーパーレス化、法制執務の電子化、府省間協議ルールの見直し、フリ
ーアドレスなどオフィス改革等を通じ、庁舎中心の国家公務員のワークスタイ
ル、ペーパーワークの慣例を改革し、メリハリの効いた働きやすい職場作りに取
り組む。こうした取組を、2.
(1)及び(2)の取組並びに政府部内で行う他
の施策と歩調を合わせ、整合的・補完的に進めることにより、職員の勤務時間を
有効に事務遂行に充て、職員の能力を最大限に引き出すとともに、公務の労働生
産性及び能率の増進を促し、職員各自の生活と調和するワークスタイルを確立
する。
3.自治体クラウド推進・自治体の業務改革(テーマ3)【総務省】
4
自治体クラウドの推進・自治体の業務改革については、「電子自治体の取組みを
加速するための 10 の指針」
(平成 26 年3月 24 日総務省)や、平成 26 年6月 24 日
に閣議決定された「「日本再興戦略」改訂 2014」、「世界最先端IT国家創造宣言」
等を踏まえ取組を行っている。平成 26 年4月1日現在、550 団体がクラウド化(う
ち自治体クラウド(複数団体共同でのクラウド化)211 団体、単独クラウド(単独
団体でのクラウド化)339 団体)を行ったところである。
しかしながら、この取組においては、自治体クラウド導入に伴う業務改革や、自
治体クラウドグループの取組事例についての深掘り・分析が必ずしも十分に行われ
ておらず、その成果が十分に共有されていなかったことから、今後、これまで進め
られた取組について、改めてレビューを行うことにより、自治体に対して必要な助
言、情報提供等の支援を実施する。
このような取組を通じ、自治体の業務の共通化・標準化を行いつつ自治体クラウ
ドの取組を積極的に展開することで、削減されたコストやそこに投入されていた人
的資源を他の分野で有効活用すること(セキュリティ強化やより付加価値の高いサ
ービス提供)が可能となる。
その結果、より質の高い公共サービスの提供や、よりセキュアな情報システムが
確保されることが期待される。このような考えにより、次の取組を推進する。
今後、更に効率的・効果的な自治体クラウドを加速するため、自治体クラウドに
よる運用コスト削減や業務改革等、取組事例(全国で 54 グループ)の効果分析を
行い、その成果を踏まえ、自治体に対して、必要な助言・情報提供等の支援を行う。
このような取組を通じて、自治体クラウドを中心にクラウド導入市区町村数を更に
増加させ、平成 29 年度までに倍増(約 1,000 団体)することを図る。
自治体クラウド未実施の団体においては、業務の共通化・標準化を行いつつ、自
治体クラウド導入の取組を加速することにより、当該情報システムのコスト削減を
図る。また、自治体クラウド導入団体にあっても更なる業務の共通化・標準化の実
施によるクラウド化業務範囲の拡大等自治体クラウドの質の一層の向上を図る。さ
らに、国の「政府情報システム改革ロードマップ」の進捗を受け、自治体の情報シ
ステム改革を推進する。これらの取組を通じて、自治体の情報システムの運用コス
トの圧縮(3割減)を図るとともに、更なるコスト削減に向けた方策や自治体クラ
ウドの質の向上策について、平成 28 年夏を目途に結論を得るべく検討を進める。
具体的な今後の取組として、既に自治体クラウドを導入したグループの取組事例
について、
(1)業務の共通化・標準化の実施によるクラウド化業務範囲の検討、カスタマイ
ズ抑制や、自治体クラウド導入に当たり実施した職員の新システムへの適応に
係る具体的な方策
(2)関連経費詳細項目の比較等や、ベンダが提供するパッケージソフト、サービ
ス等の状況等を踏まえた導入コスト(データ移行経費等)、運用コスト及び制
度改正対応経費の削減方策及び効果
(3)円滑な導入のための推進体制構築、スケジュール及び業務担当部局(職員)
との具体的な調整の進め方
(4)導入経緯等を踏まえた市町村同士の組合せやグループ統合の進め方
(5)自治体クラウド導入を契機とした住民サービスの向上方策
5
(6)自治体クラウド導入に伴うセキュリティ水準の向上対策
などを深掘り・分析し、今後導入する自治体の取組に資するよう整理・類型化して、
その成果を、総務省より通知する等により、自治体に対して必要な助言、情報提供
等の支援を実施し、自治体クラウド導入の取組を加速する。
なお、今後、次のような点について引き続き検討する必要がある。
① 政令指定都市などの大規模団体を中心とした、クラウド推進に向けた技術的
課題を検討し、技術支援策や、クラウド移行のためのシステム標準策定等を検
討する。
② ①の検討状況を踏まえつつ、制度改正対応等を踏まえたクラウドベンダの提
供する自治体クラウド向けパッケージソフトの共通化・標準化を検討する。
(以上)
6
別 冊
各主要課題の検討状況等について
1.テーマ1 マイナンバー・個人番号カード活用によるオンライン
サービス改革・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1頁
(1)コンビニ交付サービス・・・・・・・・・・・・・・・・・1頁
(2)子育てに係る申請等手続関係・・・・・・・・・・・・・・2頁
2.テーマ2 国の業務改革・IT化の推進・・・・・・・・・・・3頁
(1)各府省業務の改革・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3頁
① ハローワーク関係・・・・・・・・・・・・・・・・・・3頁
② 公的年金関係・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4頁
③ 国税関係・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5頁
④ 登記・法人設立等関係・・・・・・・・・・・・・・・・7頁
⑤ その他各府省の業務・・・・・・・・・・・・・・・・・7頁
(2)内部管理業務の見直し・・・・・・・・・・・・・・・・・12 頁
① 内部管理業務の集約化・・・・・・・・・・・・・・・・12 頁
② 共通システム関係・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 頁
ア 人事・給与関係・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 頁
イ 旅費関係・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14 頁
ウ 調達関係・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15 頁
エ 文書管理・決裁関係・・・・・・・・・・・・・・・・16 頁
(3)ワークスタイルの変革・・・・・・・・・・・・・・・・・17 頁
3.テーマ3
自治体クラウド推進・自治体の業務改革・・・・・・18 頁
0
1.マイナンバー・個人番号カード活用によるオンラインサービス改革(テーマ1)
(1)コンビニ交付サービス
全国のコンビニ等で、住民基本台帳カードを利用することにより住民票の写しを
はじめとする各種証明書の取得が可能となるコンビニ交付サービスを平成 22 年2
月より実施している。現在、土日祝日も含め、早朝から夜まで(6:30~23:00)、全
国約 45,000 のコンビニ等の店舗で、住民票の写し、印鑑登録証明書、住民票記載
事項証明書、各種税証明書、戸籍の記載事項証明書、戸籍の附票の写しといった証
明書が取得可能である。現在 100 市区町村が導入し、約 2,000 万人が利用可能とな
っており、住民の利便性向上や窓口業務の負担軽減、証明書交付事務コストの低減
に寄与しているところである。
【目標】
平成 28 年1月に導入される個人番号カードを利用した、住民票の写しや印
鑑登録証明書、戸籍の記載事項証明書等のコンビニ交付サービスについて、個
人番号カードの導入当初約1年となる平成 28 年度中実施団体の人口の合計が
6,000 万人を越えることを目指す。
これにより、住民における証明書の取得に要する時間など、社会的コストを
削減するとともに、土日祝日を含め早朝から夜まで(6:30~23:00)の取得を可
能にし、利便性を高める。加えて、市区町村における証明書の交付に要する行
政コストを削減し、行政サービスの重点化や新たな行政需要への対応を図る。
主要成果指標(KPI):
・コンビニ交付実施団体数(目標(平成 28 年度)300 団体)
・コンビニ交付実施団体の人口の合計(目標(平成 28 年度)6,000 万人)
【取組施策】
① 個人番号カードの導入に伴い、カードに標準的に搭載される公的個人認証
サービスの電子証明書を利用することによるコンビニ交付サービスが実現
可能となり、コンビニ交付サービスの導入に伴う事務コストやコスト負担が
低減されることとなる。これを契機として、導入コストに対する財政措置を
講ずる等により、コンビニ交付実施団体(現在 100 市区町村)及び実施団体
の人口の合計(現在約 2,000 万人)の拡大を図り、個人番号カードを活用し
たコンビニ交付サービスを積極的に展開する。
② 取得できる証明書として、現在は住所地と本籍地が同一の住民に限られて
いる戸籍の記載事項証明書について、住所地と本籍地が異なる住民でもコン
ビニ等で交付を受けられるよう、機能を追加する。
③ 現在、全国約 45,000 のコンビニ等の店舗で各種証明書の取得が可能であ
るが、更なる参加事業者・店舗数の拡大を図るとともに、庁舎等におけるマ
ルチコピー機の設置も含め、更なる導入市区町村の拡大を図る。
1
(2)子育てに係る申請等手続関係
子育てに係る申請等手続については、手続を行う者が種々の書類をそろえ
て提出することが必要である。
自治体においては、手続のプロセスの一部を電子化しているケースもある
が、総じて、対面・書面で申請等を行うことが必要となっている。
マイナンバー制度の下、平成 29 年1月からは国において、さらに、同年7
月からは自治体において、情報提供ネットワークシステムの運用を開始する
こととしている。また、利用者は、個人番号カードを用いて、マイナポータ
ル(自己情報表示機能、情報提供等記録表示機能、プッシュ型サービス、ワ
ンストップサービス等を提供する基盤)にアクセスすることで、様々な官民
のオンラインサービスが受けられるようになる。
【目標】
自治体における子育てに係る申請等手続について、平成 29 年7月に予定さ
れる地方の情報提供ネットワークシステムの運用開始等を踏まえ、平成 28 年
度までに各種検討・整理を行い、手続を行う者が、必要書類をそろえて自治
体の窓口へ赴くことや郵送することなく、個人番号カードを用いてオンライ
ンで一括して手続が行える「子育てワンストップサービス(仮称)」の検討を
進める。
自治体においては、面談による世帯の状況把握や他の必要な支援との連携
など対面手続としている趣旨を十分に踏まえた上で、オンライン化が適当と
認められる申請等手続については、電子的に行う事務処理を確立し、利用者
の利便性向上等を図る。
主要成果指標(KPI)
・当該手続の対象者数
・省力化される手続数と提出書類数
・当該手続に利用可能な端末の種類
・子育てワンストップサービス実現後の利用者数
※ 主要成果指標(KPI)については取組施策の中で再検討・整理す
る。
【取組施策】
平成 27 年度から平成 28 年度にかけ、次の取組を実施する。
① 妊娠・出産から学校教育までの子育てに関する自治体への申請等手続に
ついて、必要書類等を洗い出し、個人番号カードや情報提供ネットワーク
システム等の利用を前提に、それらのオンライン化について検討・整理す
る。
② 自治体が申請等手続の実施主体となることから、自治体での取組を促進
する方策についても検討を行う。
③ ①と②について、平成 27 年度から検討を進め、平成 28 年度末を目途に
結論を得る。
2
2.国の業務改革・IT化の推進(テーマ2)
国の業務改革・IT化の推進に当たっては、公共サービスの多様化や質の向上を実
感のある形で国民各層に届け、その利用の促進を図るため、次に掲げる事項に取り組
む。今後とも、公共サービスのエンドユーザである国民を志向した変革が行政内部の
各現場から自律的・多発的・継続的に起こるような行政の風土と意識を涵養すること
に留意する。
(1)各府省業務の改革
内閣情報通信政策監(以下「政府CIO」という。)の総合調整及び適時の直接的
な指導の下、次に掲げる業務の改革、関連する情報システムの改革を実行する。総
務省は、これを後押しするとともに、政府CIOと連携し、各府省の取組について、
その状況に応じた適切な助言等を行い、業務・システムの改革を推進する。
① ハローワーク関係(厚生労働省)
【目標】
ハローワーク憲章に掲げられている「懇切」、
「公正」、
「迅速」の業務運営の
基本理念に基づき、
「全員参加の社会」の実現に向け、労働市場のセーフティネ
ットの役割を果たすため、セーフティネットとして誰もが容易にアクセスでき
るサービスを提供するとともに、特に民間人材ビジネス等では就職に結び付け
ることが難しい就職困難者の就職の実現、人手不足の中小企業に対する必要な
人材の確保に向けた迅速かつ確実な支援等、
「真に支援が必要な利用者」の支
援を充実し、重点化する。
主要成果指標(KPI):
・OCR削減率(目標(平成 31 年度)対平成 27 年度 80%減)
・求人情報提供端末の削減率(目標(平成 31 年度)対平成 27 年度 30%減)
・システム運用経費削減額(目標(平成 31 年度)対平成 25 年度 155 億円/
年減)
【取組施策】
ア 現在、原則来所が前提となっている求職登録、求人申込み、職業紹介等の
サービスをオンライン化するとともに、求人検索等既にオンライン化された
サービスについて利便性を高め、求職・求人活動一般について、来所を要せ
ず、オンラインサービスでそれぞれ自主的に行えるようにし、利用者のオン
ラインサービスへの誘導を図る。このような取組に合わせ、従来の紙を前提
とした業務プロセスからデジタルを前提としたものに見直す。
イ 定型的な事業所サービスのオンライン化により効率化を図る一方で、不採
用が続く求職者、指導等が必要な求人者の支援に対しては、窓口へ来所勧奨
を行うなど個々の求職者の状況を踏まえた個別支援や就職後の定着支援を
強化し、また、求人者に対しては、事業所の実態把握を踏まえた充足支援を
3
徹底するなど、
「真に支援が必要な利用者」への支援を充実し、マッチング機
能の強化を図る。
ウ 個人番号を活用した自治体との情報連携により、失業等給付の手続におけ
る添付書類(住民票)を省略するなど国民負担の軽減を図る。
《提出が不要になる添付書類の例》
・住民票:約1万1千件(介護休業給付支給申請など)
エ 業務を通じて把握、蓄積した同一人物・同一事業所の情報が、業務ごとの
サブシステム間でひも付けされていないことから、これを人及び事業所を起
点としたデータとして再構築し、さらに個人番号、法人番号による情報整備
を行うことを通じて、蓄積されたこれらのデータを基に効率的、効果的な分
析を行う。その結果を活用して、女性や高齢者、あるいは広域での求職・求
人活動など多様なニーズに対応した効果的なマッチングを実現するととも
に、業務の簡素化、効率化を図る。
オ 平成 31 年度から全国稼働を予定しているシステムの刷新に当たっては、
上記のような業務プロセス改革に取り組むとともに、サーバ等機器の使用実
績を踏まえた削減や業務フローの見直しに合わせた機器・消耗品の削減によ
り、同システムの年間運用経費を 155 億円/年(試算値)削減する。(455 億
円/年→300 億円/年。約 34%の減)
※
今回の目標、取組施策は、現時点の業務・システムを前提としたものであ
り、今後、取りまとめが行われる日本年金機構不正アクセス事案に関する検
証を踏まえた厚生労働省としての対応方針により変更があり得る。
② 公的年金関係(厚生労働省)
【目標】
公的年金が国民の共同連帯の理念に基づき、国民の信頼を基礎として常に安
定的に実施されるべきものであることに鑑み、公的年金業務の運営に際しては、
提供するサービスの質の向上を図るとともに、業務運営の効率化並びに業務運
営における公正性及び透明性の確保を図る。
主要成果指標(KPI):
・厚生年金保険関係届書平均処理期間(目標(平成 34 年度)4日 ※年次
の届書を除く。)
・事務処理結果の確認用書面出力枚数の削減率(目標(平成 34 年度)対平
成 25 年度 90%減)
・システム運用経費削減額(目標(平成 35 年度)対平成 28 年度 251 億円/
年減)
【取組施策】
ア 年金記録の適正管理を図るため、これまで制度単位であった記録管理を個
人単位に改めるとともに個人番号の活用により唯一性を確保する。また、手
作業処理のシステム化や業務プロセスのモニタリング強化により、入力誤り
や不適正な処理を防止する。
4
イ
個人番号を活用した自治体等との情報連携により、新規裁定請求等の手続
における添付書類(住民票、所得情報等)を省略するなど国民負担の軽減を
図る。また、ねんきんネット等からの情報提供を充実し、サービスの改善を
図る。
《提出が不要になる添付書類の例》
・住民票・所得情報:約230万件(新規裁定請求)
・雇用保険受給者証:約102万件(国民年金保険料免除・納付猶予等の申請)
ウ 業務の効率化の観点から、従来から外部委託の拡大や事務の集約化に努め
てきたところであるが、今後、年間約 1.5 億件発生する各種届書のうち厚生
年金保険関係届書について事務処理プロセスの自動化・標準化による処理期
間の短縮(概ね5日程度→4日程度 ※年次の届書を除く。)及び有期雇用
職員に係る年間約 6.8 億円相当の作業時間の削減を図るとともに、事務処理
全般のペーパーレス化を進め、年間 7,200 万枚の出力がある事務処理結果の
確認用書面を 90%削減する。
エ 平成 29 年1月から段階的に稼働させる記録管理システムの刷新及び番号
制度の導入と合わせて、上記のような業務プロセス改革に取り組むとともに、
情報セキュリティの一層の確保に努めつつ、同システムのオープン化・集約
化・共通化等に取り組み、同システムの年間運用経費を 251 億円/年(試算
値)削減する(550 億円/年→299 億円/年。約 46%の減)。
オ 年金給付システムについても、国民の利便性向上及び行政運営の効率化の
観点から、業務・システム改革に取り組む。
※
今回の目標、取組施策は、現時点の業務・システムを前提としたものであ
り、今後、取りまとめが行われる日本年金機構不正アクセス事案に関する検
証を踏まえた厚生労働省としての対応方針により変更があり得る。
③ 国税関係(財務省国税庁)
【目標】
国税庁は、「納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現する」
との使命を果たすため、納税者サービスの充実に努めるとともに、適正な申告
を行った納税者に不公平感を与えないよう、適正・公平な課税・徴収に努めて
いる。しかしながら、経済活動の国際化、ICT化の進展等、税務行政を取り
巻く環境は変化しており、そうした中で引き続きその使命を果たしていくべく、
様々な取組を行っている。
国税分野における業務・システムの改革として、国税電子申告・納税システ
ム(e-Tax)の利便性向上や社会保障・税番号制度の導入を契機とした納税者の
利便性向上等の取組を進めていく。
主要成果指標(KPI):
・e-Tax の利用率
公的個人認証を要する申告(2手続)
25 年度実績:51.9%、目標(28 年度):58%
公的個人認証を要しない申告(4手続)
5
25 年度実績:66.9%、目標(28 年度):72%
申請・届出(9手続)
25 年度実績:57.7%、目標(28 年度):62%
・システム運用経費削減額
e-Tax(目標(平成 34 年度)対平成 25 年度 13 億円/年減)
国税総合管理(KSK)システム(目標(平成 33 年度)対平成 25 年度
80 億円/年減)
【取組施策】
ア e-Tax の利用によって、納税者や税理士にとっては、事務の省力化やペー
パーレス化などのサービスの向上が図られるほか、国税当局にとっても、窓
口・郵送での申告書収受事務やデータ入力事務の削減、文書管理コストの低
減などの効果が期待され、税務行政の効率化が図られることになる。e-Tax
は、平成 16 年に全国拡大し、平成 25 年度における利用率は、公的個人認証
を要する申告(2手続)は 51.9%、公的個人認証を要しない申告(4手続)は
66.9%、申請・届出(9手続)は 57.7%となっているが、引き続き財務省改
善取組計画等に沿って、次のとおり、利用率の向上、利便性の向上に取り組
む。
・ スマートフォンやタブレットに対応した納付手続等のサービスを段階
的に拡大する。
・ 個人の納税者が e-Tax で所得税申告等を行う場合について、これまで
の認証方式に加えて、新たな認証方式を導入する。(平成 29 年1月)
・ e-Tax で申告等を行う際の添付書類について、イメージデータによる提
出を平成 28 年4月から順次可能とするほか、法人税申告を行う場合、
税務・会計ソフトウェアで作成した財務諸表や勘定科目内訳明細書に
ついて、e-Tax で受付可能なデータ形式に変換する機能を提供する。
(平成 28 年4月)
イ 社会保障・税番号制度においては、国税庁が、法人番号の付番機関になる
とともに、個人番号及び法人番号の利活用機関となることから、システム整
備等を的確に進める。さらに、制度の導入を契機として、納税者の利便性を
向上させるとともに、課税・徴収事務が一層充実し、より効率的なものとな
るよう、業務・システムの見直しを進める。
・ 住宅ローン控除等の申告手続における住民票の添付省略を可能とする。
・ 申告書、法定調書等の書類に番号が記載されることを踏まえて、法定
調書の名寄せや申告書との突合を、より正確かつ効率的に行えるよう
にするとともに、所得把握の正確性の向上を図る。
・ 納税者が地方税当局の申告書作成システムにより作成した申告書等に
ついて、国税当局に対し直接データで引き継ぐことを可能とする。
ウ e-Tax については、平成 33 年度のハードウェア更改に向けて、帳票出力機
能のセンター集約、技術動向を踏まえた更なる機器の削減等を検討する。ま
た、KSKシステムについては、平成 32 年度のハードウェア更改に向け、
システムのダウンサイジング、最新技術(仮想化技術等)を導入したサーバ
6
等の集約・統合、及び拠点用サーバの廃止・センターへの集約等を検討する。
これらの取組により、e-Tax については平成 34 年度までに約 13 億円/年(72
億円/年→59 億円/年。約 18%の減)を、KSKシステムについては平成 33
年度までに約 80 億円/年(312 億円/年→232 億円/年。約 26%の減)を削減
する(いずれも試算値)。今後とも、外部専門家の支援も受けつつ、更なる経
費削減策について引き続き検討する。
④ 登記・法人設立等関係(法務省及び関係府省)
【目標】
登記、税務、社会保険等の法人設立及び事業開始時に必要な各種手続に関し
て、法人番号を活用した手続の簡素化やオンライン手続におけるワンストップ
化を推進し、国民負担の軽減及び行政の効率化を図りつつ、企業が活動しやす
いビジネス環境整備に貢献する。
主要成果指標(KPI):
・登記情報システム及び地図情報システム運用経費削減額(目標 84 億円/年
減)
登記情報システム運用経費削減額(目標(平成 33 年度)対平成 23 年
度 67 億円/年減)
地図情報システム運用経費削減額(目標(平成 29 年度)対平成 25 年
度 17 億円/年減)
【取組施策】
ア 法人設立の際に必要な各種手続の簡素化・迅速化を図るため、次の取組を
行う。
ⅰ 法人番号の導入を契機に、各種手続の際に必要とされている登記事項証
明書の添付を省略することができるよう、関係機関間での情報連携を図る。
ⅱ 各種手続における添付書類の見直しや社会保険関係手続のワンストッ
プ化など、オンライン手続の利便性向上を図る観点からの見直しを行う。
イ 登記情報システム及び地図情報システムの刷新に当たっては、業務プロセ
ス改革に取り組むとともに、サーバ等機器の使用実績を踏まえた削減等によ
り、同システムの年間運用経費を 84 億円/年(試算値)削減する(280 億円
/年→196 億円/年。約 30%の減)。
⑤
その他各府省の業務
上記のほか、各府省は、業務の効率化・省力化、行政サービスの改善等に向け
た業務改革を、多様性ニーズ(働く女性、高齢者、外国人等)、地域における中小
企業の行政サービスIT化への期待、オープン化に伴う市民・企業の公共サービ
スへの参加、民間における技術・サービスの進展等を踏まえつつ、システム改革
と合わせて実施する。
平成 27 年度は次に掲げる計 24 の業務について、ア)国民・事業者等の利便性
の向上、イ)各府省内の部局間連携、ウ)関係省庁共通的な課題への対応、エ)自治
体との連携、オ)他省庁への横展開等を実現することを目指して取り組む。
7
各府省及び総務省は、これらの業務について、本年7月までを目途に、BPR
の具体的内容やスケジュール、主要成果指標(業務処理時間、待ち時間、オンラ
イン利用率、紙書類の削減量等)について検討を行い、総務省はそれらの結果を
「国の行政の業務改革に関する取組方針」(平成 26 年7月 25 日総務大臣決定)
に反映し、各府省は具体的な取組に早々に着手する。
ア
内閣官房に係る事務処理業務
内閣官房に係る事務処理業務については、他府省と異なり、それぞれの業務に
応じ各オフィスに分散する多数の関係政務が関わるため、より効率的に行うこと
が課題となっていることを踏まえ、電子決裁の推進など業務プロセスの見直しに
取り組む。これにより、意思決定の迅速化を図ることを目指す。(内閣官房)
イ
内閣法制局に係る事務処理業務
内閣法制局に係る事務処理業務については、定例的・定型的な業務を中心に意
思決定プロセスの簡素化を図ることが課題となっていることを踏まえ、決裁階層
の見直しなど業務プロセスの見直しに取り組む。これにより、意思決定の迅速化
を図ることを目指す。(内閣法制局)
ウ
公益認定申請等業務
公益認定申請等業務については、電子申請等の受付業務等を行う公益認定等総
合情報システムの運用に関してヘルプデスクに寄せられたユーザの声等を踏まえ
て利便性向上・負担軽減を図ることが課題となっている。このため、ユーザにと
って操作しやすいシステムへの変更など業務プロセスの見直しに取り組む。これ
により、高齢者を含むユーザの目線に立って、ユーザの利便性向上・負担軽減等
を実現することを目指す。(内閣府)
エ
書陵部所蔵資料等公開業務
書陵部が所蔵する歴史的・文化的資料については、広く希望する者がより簡便
に閲覧できるようにすることが課題となっていることを踏まえ、システムによる
公開画像の充実、システムの機能向上など業務プロセスの見直しに取り組む。こ
れにより、資料閲覧についての国民の要望に応えるとともに閲覧者の利便性向上
を図る。(宮内庁)
オ
企業結合審査業務
一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる企業結合を防止す
るために行っている企業結合審査については、事業者とのやりとりの効率化など
業務プロセスの見直しに取り組む。これにより、事業者の負担軽減を実現するこ
とを目指す。(公正取引委員会)
カ
情報技術の解析業務
スマートフォン等電子機器の新機種の登場、不正プログラムの複雑化・巧妙化
等に伴い、犯罪の取締りにおける電子機器等の解析の重要性がより一層高まって
8
いることを踏まえ、都道府県警察による円滑な犯罪の取締りを可能とするため、
各都道府県情報通信部における業務量格差を是正する。これにより、的確・迅速
な対応を可能とし、より安全・安心な社会につなげていく。(警察庁)
キ
特定個人情報保護委員会に係る事務処理業務
特定個人情報保護委員会に係る事務を処理する業務については、マイナンバー
制度の本格施行や個人情報保護法改正に伴う業務拡充への対応が課題となってい
ることを踏まえ、不要なプロセスの廃止、決裁の電子化など業務プロセスの見直
しに取り組む。これにより、意思決定の迅速化を図ることを目指す。
(特定個人情
報保護委員会)
ク
金融モニタリング関係業務
金融検査については、金融機関や金融市場の動向をリアルタイムで把握し、変
化に即応したより実効性の高い情報収集・分析が求められており、現在、オンサ
イト・オフサイト一体となった金融モニタリング体制の構築を進めている。一方
で、モニタリングを受ける金融機関の負担軽減を図ることも課題となっているこ
とを踏まえ、監督局・検査局の部局間連携により、金融機関から徴求している情
報について共有し、真に必要な情報のみを新規徴求の対象とするよう二重請求を
排除するほか、金融機関に対する検査結果のフィードバックを速やかに行うなど
の業務プロセスの見直しに取り組む。これにより効率的かつ効果的なモニタリン
グを実施することで、金融機関の負担を軽減しつつ、金融システム・金融機関の
健全性の維持と金融仲介機能の発揮につながる好循環の実現を目指す。(金融庁)
ケ
消費者被害に係る情報収集業務
現状、消費者被害に係る情報収集については、国民生活センターが管理してい
る PIO-NET に拠っている場合が多いが、より迅速かつ効率的に行うことが課題
となっていることを踏まえ、本年 10 月予定の当該システムの改良に合わせて、情
報活用や分析方法について検討を行う。これにより、業務処理のスピードアップ
を図り、消費者被害の未然防止・拡大防止につなげることを目指す。(消費者庁)
コ
経済センサス‐活動調査業務
我が国の全産業分野における事業所の経済活動の実態を全国及び地方別に明ら
かにする経済センサス‐活動調査業務については、小規模零細事業所も含め効率
的・効果的に行うことが課題となっていることを踏まえ、オンライン化を推進す
る業務プロセスの見直しに取り組む。これにより、報告者の利便性や業務の効率
性の向上等を実現することを目指す。(総務省・経済産業省)
サ
公害紛争処理業務
公害紛争の迅速・適正な解決を図るための公害紛争処理業務については、準司
法的手続であることに留意しつつ、より迅速・簡易に行うことが課題となってい
ることを踏まえ、資料提出の電子化など業務プロセスの見直しに取り組む。これ
により、紛争当事者の利便性向上等を図り、国民が利用しやすい公害紛争処理手
9
続を実現することを目指す。(公害等調整委員会)
シ
保護観察対象者に対する専門的処遇プログラム業務
特定の犯罪的傾向を有する保護観察対象者に対する専門的処遇プログラムに
ついては、より一層効果的に行うことが求められていることを踏まえ、集団処遇
の導入に取り組む。これにより、再犯防止を期し、より安全・安心な社会の実現
につなげることを目指す。(法務省)
ス
外交政策に係る国会関連業務
国民等への説明責任の観点から重要な国会関連業務について、その質の向上や、
各種外交課題への対応との両立等の観点から、在外公館を含む省外からのアクセ
ス及びテレワークが可能な関連システムの導入に合わせ、業務プロセスの見直し
等に取り組む。これにより、国会対応の効率化とともに、国民/国会の関心も踏ま
えた上での各種外交課題への対応力の強化と、その取組についての国内における
十分な説明の実施、及び在外公館において関連システムを活用し、国内における
議論の最新動向を踏まえた上で行う発信を通じて我が国の外交政策に対する諸外
国からの十分な理解を得ることを目指す。(外務省)
セ
輸入貨物検査関係業務
海外からの貨物の輸入については、迅速な通関の確保が期待される一方、近年、
大量破壊兵器の拡散防止やテロ対策の強化、指定薬物を含む不正薬物や知的財産
侵害物品等の取締りの強化に対する国際的・社会的要請も寄せられていることか
ら、貨物に係る事前情報の入手に向け取り組むなど業務プロセスの見直しに取り
組むことにより、国民の安全・安心を確保しつつ円滑な通関を目指す。(財務省)
ソ
大学設置関係認可業務
大学設置関係の認可業務については、教育の質を確保する観点から審査内容が
多岐にわたる一方で、申請者等の事務負担を考慮して、必要に応じて関係書類の
電子化をはじめとする業務プロセスの見直しやその環境整備の検討に取り組む。
これにより申請者の負担軽減や業務の効率化等を実現することを目指す。(文部
科学省)
タ
労災保険給付業務
被災労働者又はその遺族に対し、療養・休業・障害・遺族等の保険給付を行う
労災保険給付業務については、近年、脳・心臓疾患、精神障害等の複雑・困難事
案が増加しており、労災認定に当たっての調査等に係る労力や所要時間の削減が
課題となっていること等を踏まえ、労災認定事務に係る指導・助言を行う要員の
効果的配置や、マイナンバーの活用による添付書類の削減等の更なるIT活用な
ど業務プロセスの見直しに取り組む。これにより、労災保険給付業務を効率的か
つ効果的に実施し、処理時間等の削減を図りつつ、労働者の迅速かつ公正な保護
を図ることで、労働者の福祉の増進に寄与することを目指す。(厚生労働省)
10
チ
輸出証明書発給業務
日本の食品等の輸出に際して、東京電力福島第一原子力発電所の事故以来、諸
外国から求められている食品等の放射性物質規制に係る輸出証明書の発給事務に
ついては、より迅速・簡便に行うことが課題となっていることを踏まえ、オンラ
イン化の推進をはじめとする業務プロセスの見直しに取り組む。これにより、申
請受付の 24 時間化や処理期間の短縮を図り、申請者の利便性向上や日本の食品
産業の輸出力強化等を実現することを目指す。(農林水産省)
ツ
農林水産統計調査業務
農林水産分野に係る政策の企画立案の基礎データ、国の財政支出の算定根拠等
となる統計を作成するための調査業務については、職員が行っている実査業務等
の外部化を図るとともに、
「公的統計の整備に関する基本的な計画」
(平成 26 年3
月 25 日閣議決定)に基づき、オンライン調査化の推進等に取り組む。これによ
り、統計調査の質を確保しつつ統計調査の効率的な実施を目指す。(農林水産省)
テ
特許審査関係業務
特許審査については、
「世界最速・最高品質」を目指していることを踏まえ、登
録調査機関による先行技術調査対象の拡大及びテレビ会議による面接審査の拡大
に取り組む。これにより、特許審査の迅速化及び質の向上につなげ、我が国産業
の国際競争力の強化を図ることを目指す。(経済産業省)
ト
空港運営業務
空港における効果的・効率的なインフラ運営が求められていることを踏まえ、
民活空港運営法のスキームを活用しつつ、国管理空港における空港運営の効率化
や空港施設内営業に関する申請手続の見直しに取り組む。これにより、着陸料等
の低廉化を通じた利用者への還元(航空運賃の低下、就航路線や便数の拡大等)
や関係事業者の申請手続の負担軽減を目指す。(国土交通省)
ナ
河川関係事務所(出張所)業務
河川関係事務所業務については、いつ発生するか分からない災害発生時の対応
を行いつつ、今後急速に老朽化する河川管理施設の維持管理・更新業務の円滑な
実施等を両立することが困難な状況となってきていることを踏まえ、維持管理・
更新の業務プロセスの見直しや平準化に取り組む。これにより、各般の業務への
迅速・的確な対応を可能とし、適切な河川管理を通じて、災害リスクを軽減し、
国民の安全・安心の確保を図る。(国土交通省)
ニ
土壌汚染状況に関する調査機関指定等業務
土壌汚染対策法に基づく土壌汚染状況の調査については、その適切な実施を担
保するため環境大臣等が指定する機関に実施が限られているところ、当該指定、
更新等の申請については、書類の記載事項が不明確等の指摘があることを踏まえ、
申請マニュアルの作成による業務処理の標準化に取り組む。これにより、申請に
係る業務をより迅速、確実に行い、申請者の利便性の向上及び更なる公平性の確
11
保につなげることを目指す。(環境省)
ヌ
主要な防衛装備品の取得に係る業務
主要な防衛装備品の取得に係る業務について、その適切な取得や適切なコスト
管理の観点から、構想段階から研究開発、取得、維持・整備といったライフサイ
クルを通じたプロジェクト管理を実施するなど、業務プロセスの見直しに取り組
む。これにより、主要な防衛装備品の取得についての一元的かつ一貫した管理の
手法を確立し、更なる透明性の確保や調達の効率化の実現を目指す。(防衛省)
ネ
CIQ関係業務
出入国におけるいわゆるCIQの業務については、訪日外国人旅行者数が急
増する中、より的確・迅速な対応が求められていることを踏まえ、関係省庁共
通的な課題として、機動的体制の構築などの業務の充実・強化に取り組む。こ
れにより、入国審査に要する待ち時間を短縮する等、観光立国の実現に一層寄
与することを目指す。(関係省庁)
(2)内部管理業務の見直し
①
内部管理業務の集約化(総務省・全府省)
内部管理業務の集約化について、本省各局各課で処理している業務の集約、都
道府県単位以下の地方出先組織で処理している業務のブロック機関集約を中心
に、人事・給与関係業務情報システム(以下「人給システム」という。)の改善状
況も踏まえつつ、各省の組織・業務の特性に即した最適な取組を推進する。その
際、既に一部を集約化している等により、早期の成果が期待できる組織・業務か
ら順次着手し、効果的な取組の横展開を行う。さらに、集約化の取組と合わせて、
次の②に掲げる取組のほか、共同調達、電子決裁拡大、決裁階層の削減、発生源
入力の拡大、出張・会議の縮減、紙使用量の削減等の取組を行うことにより、業
務の一層の効率化・合理化、柔軟な業務運営に努め、生産性の高い行政運営を追
求する。これらの取組については、本年7月までを目途に、当面の取組の対象組
織・業務、措置方針、措置スケジュール、効果指標と、その他の組織・業務の今
後の取扱い等を整理し、
「国の行政の業務改革に関する取組方針」
(前掲)の改定
に反映する。
②
共通システム関係
各府省に共通する内部管理業務のうち、これまで共通システム化の導入とその
利用による事務遂行の定着が遅れている次のアからエまでに掲げる業務につい
て、平成 27 年度・平成 28 年度を中心に、業務改革を推進するとともに、速やか
な共通システムの導入を進め、事務の一貫したIT化の定着と業務の効率化を図
る。
ア
人事・給与関係(人事院・内閣官房・全府省)
人給システムは、平成 22 年度から運用を開始し、既に 12 府省等で導入済み
12
であるが、システム構築前の業務の整理等が十分でなかった結果、効果が上が
っておらず、また、システムの性能面等に問題が発生している。
「人事・給与等
業務・システム最適化計画」における移行目標である平成 27 年度末までに全
ての府省等が移行することが困難となったため、問題点を整理し、改善策を示
すものとして、人事給与業務効率化推進会議において、平成 28 年度中に全て
の府省等が人給システムへの移行を行うことを目指して「人事給与業務効率化
に向けた改善計画」
(以下「改善計画」という。)を本年3月に決定した。同年
4月から速やかに実施可能な改善施策を実施している。
また、人事院において、人給システムの改革に関する施策について、その的
確性及び効果等の確認・検証並びに改修スケジュール及び移行スケジュールの
策定作業を、各府省等と十分に調整しつつ実施中である。その結果を踏まえ、
速やかに改善計画を改定する予定である。
【目標】
人事・給与業務の改革、人給システムの機能改善を通じた人給システムの安
定的な運用と利活用を早期に進め、人事・給与業務の簡素化・効率化を図る。
主要成果指標(KPI):
・アクセス数のピーク時(1,200 件/分:推計値)におけるオンライン処理の
レスポンス時間(目標(平成 28 年度):5秒以内)
・人事給与業務のピーク時(最大規模府省約 5.6 万人を想定)における夜間
バッチ処理時間(目標(平成 28 年度):4時間以内)
・平成 26 年度以前に発生したインシデントと同一原因によるインシデント
の発生数(目標(平成 29 年度末以降)
:0件) ※ 継続的に発生し得る操作
方法に関する単純な質問等を除く。
【取組施策】
改善計画に基づき、次の施策に取り組む。
ⅰ 人事給与業務の改革として、
a)業務の統一化・合理化(各種調書等の様式の統一化、調査報告業務の合理
化、運用ルールの統一化等)
b)電子化の推進(辞令交付等の省力化・合理化、各種届出の電子申請の推
進、給与簿監査の監査手法の見直し等)
c)実施体制等の見直し(業務の集中化・決裁ルートの最小限化、人事給与業
務改革専門官の配置等)
を、改善計画に掲げる時期に応じ、人給システムの改善状況を踏まえつつ、
実施する。
ⅱ また、人給システムの改革として、
a)性能向上の取組(バッチ処理方法の改善、インフラ構造の見直し、共通基
盤の見直し)
b)品質向上の取組(システムの維持運営に必要な設計書等の整備、総合テス
トの充実・強化、公開前のテスト実施のための環境整備、業務影響を迅速
に共有・解決できる運用体制の整備)
13
c)機能向上の取組(システム機能と使用方法の統一化、基本機能の充実・強
化(サブシステムの構成再編等)、他システムとの連携内容の改善、その他
利便性等向上のための改修)
d)運用体制強化の取組(人事・給与システム事務局等の体制の強化、各府省
等との情報共有、性能検証評価体制の強化等)
を、政府CIOの指導の下、その的確性及び効果等の確認・検証等を行った
上で、必要なシステム改修等を実施する。
ⅲ なお、ⅰ及びⅱの取組を推進するに当たっては、費用対効果に十分留意す
るとともに、特に個人情報の保護については万全を期するものとする。
イ
旅費関係(経済産業省・総務省・全府省)
年間約 600 万件発生する政府職員等の出張手続について、平成 26 年9月か
ら旅費等内部管理業務共通システム(旅費システム)の運用を開始し、出先機
関を含めて全府省への導入を展開している。現在、外務省等の一部の省を除く
各府省の内部部局での利用を開始しており、平成 27 年度中に出先機関を含め
た全府省で導入することとしている。
また、当該システムの運用に先立ち、旅費業務自体の政府内での統一化・効
率化を図るため、平成 20 年度に旅費業務に関する標準マニュアルを整備し、
これまで2回の改定を行い、業務改革とシステム活用の双方から旅費業務の効
率化を継続的に実施している。
【目標】
出張時に生じる旅行計画、旅費精算、支出決定の各手続について旅費システ
ム等を用いて一貫して電子的に行う事務スタイルを確立し、適正な予算執行の
確保と旅費の合理化を図りつつ、公務執行に伴う間接事務を省力化し、効率的
に遂行する。
主要成果指標(KPI):
・平均旅費支給日数(平成 25 年調査実績 46.5 日→目標(平成 30 年度)1
ヶ月以内)
・旅費精算電子化率(目標(平成 28 年度):60%)
【取組施策】
ⅰ 旅程の立案、交通費・宿泊料の計算、旅行商品の選定等について、迅速性、
正確性の観点から、費用対効果を十分に勘案した上で、専門性を有する旅行
代理店等へのアウトソーシングを推進し、平成 27 年度中に、各府省で活用
可能なモデル仕様書を作成するとともに、必要に応じて標準マニュアルを改
定し、職員業務の省力化・効率化と旅費の適正執行を図る。
ⅱ 標準マニュアルに基づく業務の見直しについて、平成 27 年度において、
全ての官署支出官から取扱いについて疑義等が生じている事項を収集し、解
決策を明示するFAQを整理し、全府省で共有するとともに、必要に応じて
標準マニュアルの改定を行い、旅費業務の改革を徹底する。
ⅲ 上記と並行して旅費システムについて、行程作成作業の簡略化、入力作業
14
の効率化、画面表示の改善による審査の効率化等、機能改修を行い、システ
ム利用の簡便性を高め、旅費業務の一層の省力化を図る。
ⅳ 下記(3)のワークスタイルの変革に係る取組(リモートアクセス、会議
のペーパーレス化等)を通じ遠隔地間のコミュニケーションをITで補うこ
とにより出張を要する会議の縮小等を図るとともに、旅費システムに蓄積す
るデータの分析や有効な利活用を検討し、旅費の合理化を旅費業務の省力化
に合わせて推進する。
ウ
調達関係(総務省・全府省)
平成 26 年3月から電子調達システムの運用を開始し、出先機関を含めて全
府省への導入を展開している。現在、警察庁及び特定個人情報保護委員会を除
く各府省において利用を開始しており、平成 27 年度中に出先機関を含めた全
府省で導入することとしている。
【目標】
政府調達に関し、入札参加資格審査から契約までの事務を一貫して電子化し、
対面・書面によらない応札・契約を原則とするとともに、公共調達市場におけ
る事業者の参加機会を拡充・柔軟化し、入札参加コストの軽減と調達コストの
低減をもたらす。これに合わせ入札資格情報や調達情報を国・地方間で共有す
るとともに、自治体のシステム利用を可能とすること等により、国・地方にお
ける調達業務に係る事務量の総量を低減する。
主要成果指標(KPI):
・電子応札率(目標(平成 30 年度)60%)
【取組施策】
ⅰ 各府省における調達事務を見直し、電子調達システムの利用を原則とする
事務遂行の早期の定着を図るとともに、事業者に対して理解を求め、電子応
札を勧奨するものとする。
ⅱ 各府省は、電子調達システムに蓄積される他府省における契約結果等の情
報を参考にする等により、契約に係る仕様等の見直しや共同調達等の一層の
推進等を行い、調達コストの低減に努める。
ⅲ 事業者の入札参加コストを抑え、電子応札・電子契約を簡易に行える環境
を提供するため、法人の代表者から委任を受けた者が対面・書面なく電子申
請・電子契約等を行うことを可能とする制度的措置及びシステム構築に向け
た検討を行い、個人番号カード及び法人番号を用いて、政府調達に関する入
札参加資格審査から契約までの一貫した電子化を平成 29 年度から順次開始
する。
ⅳ 平成 31 年度以降については、全府省において、特殊な入札案件を除き電
子応札を競争に参加する者の条件とする等、電子入札を原則とする運用を行
う。
ⅴ 上記の電子調達システムを自治体が利用できる道を開き、自治体のシステ
ム投資の負荷を軽減するとともに、国・地方を通じた電子入札・電子契約を
15
推進する環境整備の一助とする。
ⅵ 電子調達システムによる入札資格情報や調達情報について、国・地方間で
の共有の在り方について、平成 27 年度に検討を行い、調達事務における業
務の効率化を推進する。
エ
文書管理・決裁関係(総務省・全府省)
行政文書の作成等は、全ての府省・職員に共通する行政活動の根幹的事務で
あり、政府全体で一様なシステム利用の定着を図るため、平成 20 年度から各
府省の文書管理・決裁を電子的に行う一元的な文書管理システムの運用を開始
し、平成 25 年度までに出先機関を含めた全府省(警察庁を除く。)への導入を
進めてきた。日々の行政事務における迅速な意思決定とも関係する決裁の電子
化については、平成 27 年度の政府全体の電子決裁率を 60%(内部部局 80%)
まで引き上げることを達成目標とするアクションプランを定め、現在、取り組
んでいる。なお、平成 26 年度上半期の電子決裁率は 61.9%(内部部局 91.5%)
に到達しているが、その半数を特許関係事務等の特定の事務が占め、これを除
くと 22.0%(内部部局 28.9%)であり、また、府省別・部局別に大きな差が生
じている。
【目標】
文書の受付、作成、起案、決裁、施行、保管、移管等のライフサイクルを一
貫して電子的に行う行政運営を定着させ、文書の散逸や喪失の防止はもとより、
テレワーク等の庁舎勤務に依存しない勤務形態でも行政事務の遂行に遅延・停
滞を生じさせない事務スタイルを確立し、業務の迅速化や進捗管理、施策の適
時・的確な実施を図る。
主要成果指標(KPI):
・電子決裁率(目標(平成 27 年度):60%(内部部局 80%))
・電子決裁に要する期間の短縮(平成 27 年3月実績平均 40.1 時間→目標
(平成 30 年度)32 時間以内)
【取組施策】
ⅰ 電子決裁を完結するために必要となる大臣等の政務における決裁処理、移
動時の決裁処理の電子化を進めるため、平成 28 年度に、タブレット利用型
アプリを開発し、大臣等の政務が行う決裁を含め、いわゆるデスクワークと
は異なるワークスタイルに対応した決裁のシステム化を促進する。
ⅱ 行政文書の作成過程の要諦である決裁処理のシステム化は、文書管理全般
の電子化及び行政事務の迅速化につながることから、その政府全体を通じた
底上げを図るため、平成 28 年度までに、電子決裁を定着させる取組(電子
決裁の原則化や決裁段階の簡素化等の見直しが遅れている府省への取組促
進、今後の各府省における業務プロセス分析を踏まえた業務フローの改善等)
を進めるほか、一元的な文書管理システムの利用向上の支援(政府内の全職
員に向けてeラーニングによる研修を行える環境の提供やユーザビリティ
向上を図るための改修等)を行い、システム利用(電子決裁率)の促進を図
16
る。
ⅲ 各府省において定める行政文書取扱規則等に基づく決裁以外の意思決定
に相当するワークフローについて、文書管理システムにおける決裁機能の各
種システムでの活用を進め、事務処理の一貫した電子化及び文書管理の電子
化を促進する。
(3)ワークスタイルの変革
1990 年代に一人一台のコンピュータ配備を行い、政府職員のコンピュータ利用
環境は充実していると言えるものの、各府省で多く行われている会議や法案等作成
業務においては、今なおペーパーワークが主流となっているものがある。また、執
務室勤務が国家公務員のワークスタイルの中心であり、自宅でのテレワーク、出張
中・移動中のモバイルワークは、現在、普及の途上にある。他方で、公務と介護・
育児等の生活との調和は、近年、国家公務員の人材確保、継続的勤務のほか、公務
の能率的な運営及び持続可能性の観点から課題となっている。
【目標】
ペーパーワークで生じる事務量・従事時間を減らし、また、自宅や出張・移
動中における業務遂行など庁舎以外でのワークスタイルを普及・拡充し、メリ
ハリの効いた働きやすい職場作りに取り組む。こうした取組を、2.
(1)及び
(2)の取組並びに政府部内で行う他の施策と歩調を合わせ、整合的・補完的
に進めることで、職員の勤務時間を有効に事務遂行に充て、職員の能力を最大
限に引き出すとともに、職員の超過勤務の縮減、公務の労働生産性及び能率の
増進を促し、職員各自の生活と調和するワークスタイルを確立する。
主要成果指標(KPI):
・国家公務員のテレワークの比率(目標(平成 32 年)
:政府全体として、国
全体の雇用型在宅型テレワーカー比率に係る目標(全労働者数の 10%以
上)と遜色のないレベルを目指す)
・事務用紙購入数(目標(平成 30 年度):対平成 26 年度 10%減)
【取組施策】
① 各府省で行われている大小各種の打合せ・会議について、会議室の規模や
会議の性格に応じて、テレビやスクリーン等を用いる等し、会議資料の印刷、
配布等を極力少なくするよう工夫に努め、会議のペーパーレス化・印刷物の
減量・極小化を推し進める。(内閣官房・総務省・全府省)
② 政府において毎年度多数発生し、ペーパーワークの代表とも言える法律
(閣法)、政令、府省令、規則等の法案等作成業務について、新旧対照表から
改め文の自動的な作成など法案等関係資料の作成から官報入稿、公表までの
一連の事務処理の電子化を支援する「法制執務業務支援システム」
(e-LAWS)
を開発(平成 28 年 10 月を目途に本格運用を開始)し、短期間に集中する膨
大な業務量の発生を抑制するとともに、正確性を確保しつつ、業務の合理化
を図る。(総務省・全府省)
17
③
法令協議、政策協議等における府省間・府省内のコミュニケーションにつ
いて、協議元・協議先の双方の業務量・勤務時間をいたずらに増やしかねな
い霞が関の慣習を見直し、新たなルールを整理の上、それらを平成 27 年度
における「国の行政の業務改革に関する取組方針」(前掲)の改定に反映す
る。(総務省・全府省)
④ 政府共通プラットフォームの共通機能を活用する等し、各府省のネットワ
ークへのアクセス方法を見直し、モバイル端末を利用した出張中や移動中の
リモートアクセス、在宅でのテレワーク等、執務室勤務を前提としない働き
方を積極的に導入する。また、オフィスにおけるレイアウトの見直し、フリ
ーアドレス制の導入等、ペーパーレス化・職員間のコミュニケーション活発
化につながるオフィス改革を、各行政組織においてそれぞれ創意工夫によっ
て行い、国家公務員の労働生産性を高め、メリハリの効いた働きやすい職場
作りに取り組む。(内閣官房・総務省・全府省)
3.自治体クラウド推進・自治体の業務改革(テーマ3)
自治体クラウドの推進・自治体の業務改革については、「電子自治体の取組みを加
速するための 10 の指針」
(平成 26 年3月 24 日総務省)や、平成 26 年6月 24 日に閣
議決定された「「日本再興戦略」改訂 2014」、「世界最先端IT国家創造宣言」等を踏
まえ取組を行っている。平成 26 年4月1日現在、550 団体がクラウド化(うち自治体
クラウド(複数団体共同でのクラウド化)211 団体、単独クラウド(単独団体でのク
ラウド化)339 団体)を行ったところである。
【目標】
更に効率的・効果的な自治体クラウドを加速するため、自治体クラウドによ
る運用コスト削減や業務改革等、取組事例(全国で 54 グループ)の効果分析
を行い、その成果を踏まえ、自治体に対して、必要な助言・情報提供等の支援
を行う。このような取組を通じて、自治体クラウドを中心にクラウド導入市区
町村数を更に増加させる。
自治体クラウド未実施の団体においては、業務の共通化・標準化を行いつつ、
自治体クラウド導入の取組を加速することにより、当該情報システムのコスト
削減を図る。また、自治体クラウド導入団体にあっても更なる業務の共通化・
標準化の実施によるクラウド化業務範囲の拡大等自治体クラウドの質の一層
の向上を図る。さらに、国の「政府情報システム改革ロードマップ」の進捗を
受け、自治体の情報システム改革を推進する。これらの取組を通じて、自治体
の情報システムの運用コストを圧縮するとともに、更なるコスト削減に向けた
方策や自治体クラウドの質の向上策について、平成 28 年夏を目途に結論を得
るべく検討を進める。
(このような自治体クラウド導入の取組の結果、システム関係のIT人材の
余剰が見込まれ、そのシフトによりセキュリティ人材の充実が期待される。)
主要成果指標(KPI):
・クラウド導入市区町村数(平成 29 年度までに倍増(約 1,000 団体)を図
18
る)
・自治体の情報システムの運用コストの圧縮(3割減)を図る
・自治体クラウド導入団体にあっては更なる業務の共通化・標準化を図る
【取組施策】
自治体クラウドグループの取組事例について、
(1)業務の共通化・標準化の実施によるクラウド化業務範囲の検討、カスタ
マイズ抑制や、自治体クラウド導入に当たり実施した職員の新システムへ
の適応に係る具体的な方策
(2)関連経費詳細項目の比較等や、ベンダが提供するパッケージソフト、サ
ービス等の状況等を踏まえた導入コスト(データ移行経費等)、運用コス
ト及び制度改正対応経費の削減方策及び効果
(3)円滑な導入のための推進体制構築、スケジュール及び業務担当部局(職
員)との具体的な調整の進め方
(4)導入経緯等を踏まえた市町村同士の組合せやグループ統合の進め方
(5)自治体クラウド導入を契機とした住民サービスの向上方策
(6)自治体クラウド導入に伴うセキュリティ水準の向上対策
などを深掘り・分析し、今後導入する自治体の取組に資するよう整理・類型化
して、その成果を、総務省より通知する等により、自治体に対して必要な助言、
情報提供等の支援を実施し、自治体クラウド導入の取組を加速する。
【今後において検討すべき課題】
① 政令指定都市などの大規模団体を中心とした、クラウド推進に向けた技術
的課題を検討し、技術支援策や、クラウド移行のためのシステム標準策定等
を検討する。
② ①の検討状況を踏まえつつ、制度改正対応等を踏まえたクラウドベンダの
提供する自治体クラウド向けパッケージソフトの共通化・標準化を検討する。
(以上)
19
Fly UP