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P
■
大学生の化粧行動の実態解明と社会的スキル・性役割・自意識・他者意識との関連性
のイヒ瀞行動の窯熊隅即
出割・自意識・他者意識との塵
大学生の化粧行動の実態を解明し、社会的ス
ラーリング以外の化粧行動について男女差がみ
キル、公的自意識、男性性、女性性、内的他者
られた。また個人差要因との関連性を検討した
意識、外的他者意識、空想的他者意識という個
結果、化粧行動ごとに異なる個人差要因が関連
人差要因との関連性を明らかにするため、男女
することが明らかとなった。
大学生378名を対象に質問紙調査を実施した。
男女それぞれを対象とする化粧行動を23項目設
キーワード:化粧心理、化粧行動、社会的スキ
定し年間の化粧行動回数を回答させた結果、力
ル、性役割、自意識、他者意識
Iはじめに
な「清潔感のある爽やかな」男らしさであった。
女性と同様に日常的な身体や顔への手入れを
そのため、美容業界と若者とのあいだの化粧期
行う男性が増加している。しかしながら、化粧
待のギャップから当時の男性化粧か人々に広く
を行う男性が増加するのと同時に、化粧を行わ
受け入れられることはなく、その後、男性化粧
ない女性も増加している'・
はメイクアップから保湿やクレンジングといっ
化粧の表現法や期待は、時代、文化、社会、
たスキンケアとして行われるようになった。
流行などによって変化する。例えば1980年代前
1990年代後半に入り、女子高生たちのあいだで
半までの男性化粧は、坂本龍_や沢田研二らに
「ガングロ」や「マンバ」とよばれる「顔をファ
代表される-部の音楽家や芸能人たちが採用す
ンデーションで黒く、目元や唇を白く塗る」化
るのみであった2.一般の多くの人々に男性化
粧が流行すると、2003年頃には渋谷センター街
粧が認知されるようになったのは、1985年に男
や梅田HEPNAVIOに出没し、この「ガングロ」
性化粧品が日本において発売されたことがきっ
や「マンバ」化粧を行う「センターGUY」や「ナ
かけであるといわれている3.当時、美容業界
ビ男」とよばれる若い男性たちの姿もみられる
が意図した化粧品演出による男性像はチャール
ようになり、一部の若い男性を中心にメイク
ズ・プロンソンのような「肉体的な力強いワイ
アップ化粧が流行した。他方、女性化粧は1960
ルド」な男らしさであり、その表現方法は「日
年代の貿易自由化とともに、海外の色彩豊かな
焼け色のファンデーションに太い眉」というも
化粧品が日本に登場し始めると、「目と眉を強
のであった。しかしながら、女性や若い男性が
調」した「カリプソ・メイク」などが行われた。
求めていた男性像はSMAPの木村拓哉のよう
しかしながら、1970年代からはウーマンリブ運
165
佛教大学教育学部学会紀要第4号
動の影響を受け、なぜ女性だけが化粧をしなく
ている。また平松・牛田9の大学生を対象とし
てはいけないのかという批判のもと、素顔状態
た研究において、男女共通して公的自意識、女
の女性の姿も多くみられるようになった。
子学生は女性性の高い者、男子学生は男性性の
我々が化粧を行う場合、そこには単なる流行
高い者ほど、より化粧関心と化粧行動を示すと
性やファッション性だけが目的となるわけでは
いうことを明らかにしている。さらに社会的ス
ない。飽戸4は化粧行動の起因となる化粧の機
キルについて大坊loは、女子学生について化粧
能として「対自的機能」と「対他的機能」を明
との正の相関を明らかにしている。しかしなが
らかにしている。対自的機能とは化粧の行為者
ら、これらの研究は主に女性を対象に検討され
自身の効果をめぐる化粧機能であり、また対他
たものであり、男性化粧に対する個人差要因に
的機能とは同性・異性に関わらず他者や社会を
ついての検討は、平松・牛田を除いてほとんど
意識することによって生じる化粧機能である。
行われていない。
すなわち「化粧をすることが楽しい」「気分が
本研究では、男女大学生を対象として化粧行
よくなる」という主体的な楽しみや効果として
動の実態を明らかにするとともに、先行研究を
の側面と、「男性からも女性からもきれいだと
参考に社会的スキルや性役割や自意識、またこ
思われたい」「改まった場ではきちんと化粧を
れまで化粧行動との関連がほとんど検討される
しないとおかしい」という他者からの目を意識
ことのなかった他者意識といった個人差要因に
しての印象管理の側面が化粧の機能としてい
より化粧行動がいかに異なるかを検討する。
る。同様に松井ら5は、化粧の役割を「他者へ
の印象管理」と「自己補完」とする。すなわち
H調沓
化粧行動には、自己の心身に対する自己効用だ
けではなく、対人関係を円滑に行うため自己を
よりよくみせたいなどの対人相互作用の役割が
存在する。
1)調査時期と方法および被調査者
2003年12月に、複数の京都と滋賀の4年制大
学の学生を対象に集合法によって質問紙調査を
このように自己効用や対人相互作用として機
行った。有効回答者数は男子149名、女子229名、
能しつつも、個人がどのような化粧行動を採用
合計378名であり、彼らの平均年齢は男子20.12
するかについては社会や他者からの期待だけで
歳(SD=1.31)、女子19.59歳(SD=0.88)であ
はなく個人における性格特性、すなわち個人差
る。
要因の影響も小さくはない。個人差要因につい
2)社会的スキル
ては、これまで主に自意識や性役割や社会的
社会的スキルとは、対人関係を円滑に運ぶた
スキルと化粧行動との関連が検討されている。
めに役立つスキルのことでありⅡ、対人関係に
それらの結果を要約すると、Cash&Cash6や
ついて初歩的なスキル、高度のスキル、感情処
Miller&Cox7は、公的自意識の高い女性ほど
理のスキル、攻撃に代わるスキル、ストレスを
化粧の利用度や程度が高いことを明らかにして
処理するスキル、計画スキルの6つのスキルが
いる。松井8は、自意識にともなう外向性と内
含まれる1次元の性格特性である。
向性によって化粧行動が相違するかという研究
本研究では、菊池'2のKiSSl8を用い、「あて
において、外向性の高い女性ほどメイクアップ
はまらない(1)」から「あてはまる(5)」まで
化粧品利用率が高く、内向性の高い女性ほど基
の5件法で回答させ、得点化した。
礎化粧品利用率が高いということを明らかにし
166
大学生の化粧行動の実態解明と社会的スキル・性役割・自意識・他者意識との関連性
3)性役割
確認のため因子分析(主因子法・Varimax回
性別は、生物学的性であるセックス(男性・
転)を行い、既存の尺度である2因子を得た。
女性)と心理・社会的性であるジェンダー(男
内的整合性および因子構造の点から不適切な
性性・女性性)に大別される。性役割とは、ジェ
「世間体など気にならない」「自分自身の内面の
ンダーが含有する認知的枠組みにおける男女そ
ことにはあまり関心がない」の項目を除去し、
れぞれがどのように行動するべきかという社会
公的自意識10項目、私的自意識9項目でそれぞ
からの期待において、男女にそれぞれふさわし
れ得点化した。
いとみなされる行動やパーソナリティに関する
5)他者意識
社会的期待・規範およびそれらに基づく行動で
他者意識とは他者への注意、関心、意識が向
あるとされる'3.性役割に関する自己概念にお
けられた状態をいい、他者への注意の向けやす
いて男性的であるとする「男性性」、女性的で
さに関する性格特性のことである'8.他者の気
あるとする「女性性」の2次元について検討す
持ちや感情などの内面情報を敏感にキャッチし
る。
理解しようとする意識や関心である「内的他者
本研究では、東'4.'5によって邦訳されたBSRI
意識」、他者の化粧、服装、体形、スタイルな
(BemSexRolelnventory)から、社会的望ま
どの外面に現れた特徴への注意や関心である
しさの尺度項目を省いた40項目を用いて、「あ
「外的他者意識」、他者について考え・空想をめ
てはまらない(1)」から「あてはまる(5)」ま
ぐらせその空想的イメージに注意を焦点付けそ
での5件法で回答させた。その後、確認のため
れを追いかける傾向である「空想的他者意識」
因子分析(主因子法・Varimax回転)を行い、
の3次元を検討する。
既存の尺度である2因子を得た。内的整合性及
本研究では、辻18の他者意識尺度の15項目を
び因子構造の点から不適切な「危険を犯すこと
用い、「あてはまらない(1)」から「あてはま
をいとわない」「個人主義である」「分析好き」「人
る(5)」までの5件法で回答させた。その後、
に頼らず生きていけると思う」「明るい」「おだ
確認のため因子分析(主因子法・Varimax回
てにのりやすい」「言葉遣いがていねいだ」「は
転)を行い、既存の尺度である3因子を得た二
にかみ屋である」「女性的である」「だまされや
内的整合性および因子構造の点から不適切な
すい」の項目を除去し、男性性16項目、女性性
「人のことをあれこれ考えていることが多い」
14項目でそれぞれ得点化した。
の項目を除去し、外的他者意識4項目、内的他
4)自意識
者意識7項目、空想的他者意識3項目でそれぞ
自意識とは、自分自身にどの程度注意を向け
やすいかに関する性格特性である'6.自分の外
れ得点化した。
6)化粧行動
見や他者に対する行動など外から見える自己の
平松・牛田'9の化粧行動項目を参考に、男女
側面に対する注意を向ける程度の個人差の「公
それぞれを対象とする化粧行動を計23項目選定
的自意識」、自分の内面や気分など外からみえ
した。そして、それらの化粧行動について、日
ない自分の側面に注意を向ける程度の個人差の
常どのくらい行っているかを「しない(0)」か
「私的自意識」の2次元を検討する。
ら「毎日する(365)」までの年間の行動回数を
本研究では、菅原17の自意識尺度の21項目を
用い、「あてはまらない(1)」から「あてはま
る(5)」までの5件法で回答させた。その後、
回答させ、得点化した。
7)デモグラフィック変数
被調査者の性別と年齢を回答させた。
167
佛教大学教育学部学会紀要第4号
Ⅲ結果F(1,303)=8660p<1%)について有意な主
1)個人差要因の基礎統計量効果がみられた。
Tablelに各個人差要因の平均値と標準偏差すなわち、男性は女性よりも男性性が高く公
を示す。それぞれについて、性別を独立変数と的自意識、私的自意識、外的他者意識が低いこ
するl要因の分散分析を行ったところ、男性性とがわかった。
(男性>女性:F(1,303)=7.887p<1%)、公2)男女別化粧行動の基礎統計丘
男女別に化粧行動の平均値と標準偏差を検討
的自意識(男性く女性:F(1,303)=18.078p
く0.1%)、私的自意識(男性く女性:F(1,303)した結果(Table2)、男性が週1回以上行う
=4274p<5%)、外的他者意識(男性く女性:
化粧行動は8項目、女性では17項目であった。
Tablel個人差要因の基礎統計丘と男女差(分散分析:F値と有正水準)
男性女性性差
男性は「髪スタイリング」
を、女性は「顔クレンジン
平均値S、平均値SDF値有意水狼グ」「顔保湿」「唇保湿」「ぺ-
社会的スキル3.100.6530u10.500.75
男性性3280703.080.587.89**
スメイク」「アイメイク」
女性性3.420.663.460.520.38をほぼ毎日行っていること
公的自Z覆3.420.733740.5918.08***
私的自意塗3.370.623.520.634.27*
内的他者恵撞3.330.813.440.741.79
外的他者恵皮3.090.913.360.728.66**
空想的他者迂濠3.190.9035230930.15
力《わかった。各項目の平均
値をみると、男性では「髪
スタイリング」が最も高
***p〈001,**p〈.01,*p〈05〈、「髪トリートメント」「顔
Table2化粧行動の平均イ■・標準偏差。t検定結果(男女別)
男性
女性
平均値SD
平均値S、
性差
t値有意水準
67.01134.00
296.85132.74
-16.13***
1.4510.55
273.71140.81
-28.81***
髪トリートメント
158.27165.47
251.46148.01
-5.46***
唇保湿
86.64150.25
295.72138.38
-13.70***
-16.74***
顔保湿
ペースメイク
UV予防
香水
マニキュア
顔クレンジング
アイメイク
5.2933.43
197.50164.10
65.3212490
100.7014395
29730.60
54.2011078
-6.55***
127.42171.69
322.12111.52
-1204***
-28.30***
4.33
269.58141.96
歯のホワイトニング
6060132.49
99.76161.99
ピアスノイヤリング
19.5579.18
1618817212
-10.73***
髪スタイリング
18880168.63
297.4913275
-6.51***
デオドラント
44.54107.80
135.78156.33
-6.58***
手・足・肘・膝保湿
228884.90
156.69165.28
-10.20***
頭皮クレンジング
47.87121.62
90.78153.31
-296**
5.4443.04
44.15116.90
-4.48***
アイトリートメント
0.36
-250*
-252*
-2.30*
4.35
8.6954.02
脱毛
6.9244.56
95.96114.34
-10.41***
-9.47***
エクステンション
0.37
整眉
414176.48
137.6511680
カラーリング
10.905240
17.3267.54
-0.97
パック
6.0633.25
26.1065.72
-3.85***
パーマ
1.01
5.73
8.5849.55
オイルコントロール
60.15122.14
206.37165.72
全項目
44.8482.69
154.31127.16
-2.25*
-9.70***
-9.27***
***p<001,**p<、01,*p<、05
168
大学生の化粧行動の実態解明と社会的スキル・性役割・自意波・他者意繊との関連性
クレンジング」が相対的に高いことがわかっ
以上の結果から、相対的に男性は髪に関する
た。最も低いものは「アイメイク」であり、「パー
化粧行動を、女性はメイクアップに関する化粧
マ」「ベースメイク」「マニキュア」が相対的に
行動を相対的に行っていることがわかった。「カ
低いことがわかった。女性では「顔クレンジン
ラーリング」においては男女差がなく月1回程
グ」が最も高く、「髪スタイリング」「顔保湿」「唇
度行っているが、その他の化粧行動については
保湿」「ベースメイク」「アイメイク」「髪トリー
顕著な男女差があることがわかった。そのた
トメント」が相対的に高いことがわかった。最
め、より詳しく内容を検討し男女の違いを明確
も低いものは「パーマ」であり、「エクステン
にするために以後の分析は男女別に行う。
ション」「カラーリング」「パック」が相対的に
3)化粧行動と個人差要因との相関関係
低いことがわかった。
化粧行動と個人差要因の関連性をみるため
次に化粧行動の男女差をLevene検定により
に、男女別に相関分析を行った。
等分散性を確認後、t検定で調べた。その結果、
男性では(Table3)、社会的スキルが「UV
化粧行動23項目の全項目を合計した平均値は男
予防」と1%水準の正の、「髪スタイリング」
性44.84、女性154.31と女性の方が男性より高
と5%水準の正の有意な相関を示した。男性性
く、0.1%水準の有意差がみられた。各化粧行
が「髪スタイリング」と1%水準の正の有意な
動項目においては「カラーリング」では有意差
相関を示した。公的自意識が「髪スタイリング」
がみられなかったが、「香水」「歯のホワイトニ
と5%水準の正の有意な相関を示した。内的他
ング」「エクステンション」「パーマ」において
者意識が「髪スタイリング」と1%水準の正の、
は5%水準の、「頭皮クレンジング」において
「手・足:肘・膝保湿」と5%水準の正の有意
は1%水準の、その他は0.1%水準の有意差が
な相関を示した。外的他者意識が「髪スタイリ
みられた。
ング」と1%水準の正の、「唇保湿」「マニキュ
Table3男性の化粧行動と個人差要因との相関
社会的スキル男性性女性性公的自定厳私的自な崖内的他者危憧外的他者定職空想的他者亡銭
顔保湿
0.010.050020.00-0.16-0.080.10006
ペースメイク-0130.020020.00-0.01-0.11-0.06-0.05
髪トリートメント0.13-OOHIOO50.160.050.110140.05
●
、
唇保沮
0080120.00011-0050.11019*008
UV予防
023**-0.05-004-011-002000-0.02-0.05
香水
008009-005-0.06-0.120.01010-0.06
マニキュア
0060020090.140060060.17*015
顔クレンジング0120070110.110020.12qlOOO5
アイメイク
-0.01-0.07-011-0.08-005-007-0.03-0.11
■のホワイトニング-007-008-004005005-0030.11-0OUI
ピアスノイヤリング012003-0.05-009-0.130.OjI-0.02-008
髪スタイリング0.22*024本*013022*0.14025**0.22**018本
デオドラント
0.050.07007-0020030020.160.00
手・足・肘・膝保湿-0010060.080.09001018*0.040.03
頭皮クレンジング010-0010.02-0.06-004002015-0.05
アイトリートメント-012-008-0.05-0.08-005-0.04-0.05-0.01
エクステンション-001-007-0.11-0.08-005-006-0.03-0.11
脱毛
0140060.03003-001-0050.070.05
整眉
-0.03-0.07-0.060.05000-0.030.160.07
カラーリング-0.09-003-001OpHl-0.050.050090.02
パック
-0.03-005-003-0.13-0040.02-0.02-005
パーマ
015-005-007-0.OMI-005-0.030.06-003
オイルコントロール0.08-0.01-003-006-0.010.100.03-007
***p<、001.**p<01.*p<05
161
佛教大学教育学部学会紀要第4号
ア」と5%水準の正の有意な相関を示した。空
を一層行い、公的自意識が高い者ほど「髪スタ
想的他者意識が「髪スタイリング」と5%水準
イリング」を一層行い、内的他者意識が高い者
の正の有意な相関を示した。他方、女性では
ほど「髪スタイリング」「手・足・肘・膝保湿」
(Table4)、社会的スキルが「唇保湿」「アイ
を一層行い、外的他者意識が高い者ほど「唇保
メイク」と1%水準の正の有意な相関を示し
湿」「マニキュア」「髪スタイリング」を一層行
た。男性性が「唇保湿」と5%水準の正の有意
い、空想的他者意識が商い者ほど「髪スタイリ
な相関を示した。女性性が「顔保湿」と,%水
ング」を一層行うという関連性のあることがわ
準の正の有意な相関を示した。公的自意識が
かった。他方、女性では社会的スキルが高い者
「唇保湿」と5%水準の正の、「髪トリートメン
ほど「唇保湿」「アイメイク」を一層行い、男
ト」と5%水準の負の有意な相関を示した。内
性性が高い者ほど「唇保湿」を一層行い、女性
的他者意識が「唇保湿」と5%水準の正の、「髪
性が高い者ほど「唇保湿」を一層行い、公的自
トリートメント」と5%水準の負の有意な相関
意識が高い者ほど「髪トリートメント」を行わ
を示した。外的他者意識が「アイメイク」「ピ
ず「唇保湿」を一層行い、内的他者意識が高い
アス/イヤリング」と1%水準の正の、「ベー
者ほど「髪トリートメント」を行わず「唇保湿」
スメイク」「髪スタイリング」と5%水準の正
を一層行い、外的他者意識が高い者ほど「パー
の、「パーマ」と5%水準の負の有意な相関を
マ」を行わず「ベースメイク」「アイメイク」「ピ
示した。空想的他者意識が「髪トリートメント」
アス/イヤリング」「髪スタイリング」を一層
と5%水準の負の有意な相関を示した。
行い、空想的他者意識が高い者ほど「髪トリー
以上の結果から、男性では社会的スキルが高
い者ほど「UV予防」「髪スタイリング」を_
トメント」を行わないという関連性のあること
がわかった。
層行い、男性性が高い者ほど「髪スタイリング」
Table4女性の化粧行動と個人差要因との相関
社会的スキル只性性女性性公的自垣厳私的目定職内的他者亡塵外的他者亡麓空惣的他者危僅
Rn保湿
005-0010060.OuIOOO-008005003
ペースメイク
0.07-0070.090.12-0.080.02017本010
髪トリートメント-005009-0.04-017本-0.11-0.17本-0.05-0.14*
唇保湿
0.19**017*022**014*0.120.14*0.03006
UV予防
0.110.010130.01-0.03-0.04004-001
香水
マニキュア
0.000010.00006008-0.070.040.10
-0.01-0.09-0.010.ONI-008-0010.05001
顔クレンジング0.100010.0N10.OoOO3-0.030.10000
アイメイク
019**0.080.040.06-002004021**013
■のホワイトニング-001003-005-0.07-007-005-005-005
ピアスノイヤリング0.05-002-0.030.09-003-0090.20**OOul
髪スタイリング0.13-006-006-0.07-012-0120.14*-013
デオドラント-001-0.01-0.03-0.03-007-008-0.01008
手・足・肘・膝保湿0.000060040.00007-002-0.03-0.05
頭皮クレンジング-0.10003-005-0.010OUI-002-0.13008
アイトリートメント-0030.060.02-00M10.0巴I-0.09-0120.00
エクステンション0080.060.04-003-001002-007-0.06
脱毛
004008-0.04-0.08-003000-0.06-0.08
整旧
0.060.03-0.040.03-001-0.13-0.08-0.03
カラーリング-0010000.02-0.07-001-006-009-0.07
パック
001002-0.06-0.06-003-003-0.10-0.08
パーマ
0070040.04-006006-004-0.16*-0.OUI
オイルコントロール0.10007-0100.01-0010030.03-003
中中*p<、001.**p<01,*p<05
170
大学生の化粧行動の実態解明と社会的スキル・性役割・自意識・他者意織との関連性
4)化粧行動を規定する個人差要因
次に化粧行動が個人差要因によっていかに異
要因のそれぞれに基づく高低の2群を独立変数
とする分散分析を行った。
なるかを検討するため、男女別に個人差要因そ
Table5に男性の個人差要因別平均値と標準
れぞれの評定点の中央値に基づき、被調査者を
偏差、Table6に男性の化粧行動の個人差要因
高群と低群に分けた。そして化粧行動の評定平
による差異に関する分散分析結果(F値と有意
均値を従属変数とし、社会的スキルはl要因
水準)を示す。「香水」が、公的自意識との5%
の、性役割と自意識は2要因の、他者意識は3
水準の有意な主効果を示した。すなわち、公的
Table5男性の化粧行動の平均値と標準偏差(個人差要因別)
社会的スキル男性性女性性公的自亡厳私的自丘厳内的他者定叢外的他者定復空想的他者亡蛍
低群石群低群商群低群商群低群高群低群商群低群商群低群高隣低群石群
顔保湿
ベースメイク
髪トリート
メント
唇保湿
UV予防
香水
マニキュア
顔クレン
ジング
アイメイク
平均63.5475.5568.42738586a1511871.8266.2778.3659.7171.1669576Z8179.9464.2575.85
S、1307214095133.901407714834119.8914227125.11147.12122.241400713305134.06139.47131.8014168
平均1.650.000980.690.750840601.180720.881.370.001280.001.42000
S、9,190.007.146006.266.605.577846.136.778.380.008.120008.55000
平均138.081898115255159.87171.41145.65137.25194.34149.761672215287160481461717680149.11169.02
S、165.61164.62167.331641.2317287156.64161.60166.44165.47167.09167921632816241169.47158.55173.84
平均66.43104.0366.5797.52912573.3289.8968.5780.6085,4168.6610u1.1571.3099.3567.8299.85
S、131.69163.99133A8158.72154.75140.40154.1213522M8.64148.09138.3716012139.0315983136.68159.18
平均3.2980311.382.118L782506863.686.754.665.576267.473.069.141.59
S、148846.1852J8612.4145.4713.6341.4916.1043811993422122.074296150045.591172
平均481681.00502667.6474.684168762325.1157285s0563.50539155.1964.0659.495753
S、113.161319111089124.8012994101.49134.2165.90122.09106.88127821“、62111180127.5311932116.74
平均1.020.000.980.160.750190600.270.890.000.680220.640.24088000
S、6.700007.141.396.261.525571.816.270.005.961635.781.686230.00
平均104.6715264106.72138.33102.36150.53118.94137.4511693129.02101.1716124103.79156.65117.48132.54
S、162.30178.9216467174.73160,16179.66168.29176,7616804173.03161.04179.851626617891169.63172.48
平均0.830.000.980000.750.000.600.000.720000.680.000.640.000.710.00
S、6.550.007J40.006.260.005.570006.130.005.960.005,780.006.09000
歯のホワイト平均64.541506269.83516076.3037j9L540765j6550354986037552447.63728072」23908
ニングS、135.2912390139.05124.90143.7910899126.53136.39127.08127.42133.83125.35120.941409814083111.43
ピアスノ
平均24838.548u8525.032267126121.5710.66210014.1411.66270415.“214722.141237
イヤリング
S、11.1611120508591.6785.99652085.4855.75842466.9659.3696.4969.6886.7483.7766.62
髪スタイ
リング
平均154.6023229167.08213.01193.67185.81165.02235.6815590231.49154.9623594160.44233.0816489217.73
デオドラント
SD168、17161.51174.701“81175.2616523174.17155.21173.2015761169.27160.72170751608916813169.45
平均568739.5549.92処2550.6544.6845.36526837.8959.9548.644080410557.6547.5547.36
S、119.27104.15116.39111.351130611151113.12110.71102.96121.801149210049109.45115.2610995114.53
手・足・肘・
平均24.22203518.8725.7319.5825.4721.7423.59210024.035.6646.3021.3523.5521.4123.17
膝保湿
so89.69775173.00920776.94908785.4580.618A1.2483384221116.6481.05874383.7083.39
頭皮クレン
ジング
平均41.38455556.3641.7156.6735-5653.3333.5246.5640.64150.9641.5239.4」1572553.7737.12
S、115.52118.19131.59114.“129.50108.73126.72106.06121.37112.11124.48115.66110.10134僻06126.4511127
アイトリート平均6.620007870006.OUICoo4.79-ooo5790Do5、490005.150005.710.00
メントS、46.350.0050.510.0044290.0039.460.0043.360.0042210.0040.890.0043.070.00
エクステン
ション
脱毛
益用
カラーリング
パック
パーマ
平均0.830000.980000.750.000600.000.720.000.680000.640.000710.00
S、6.550007.140.006.260005.570.006.130.005.960005.780.006.09000
平均0.8313.682969802.3313.477.208.413.6812.398290.023.2214.417.148.05
S、6.5563.62158559.1913.9266.0442.19550118.1566.6245.070.1417」471.5444.5749.17
平均45.4140.4137.5540.5144.2632.0336.38425734.4243.4239.7228.7427.3355.4137.1539.46
S、93.4763.2977.3969.628204588966.7482]369.8874.8379.1541.1056.1389.31689075.84
平均20683.291023120819.0122411.0311.1113.03869126419041122106378514.88
S、78176.17503959.0374.705.2955.0554.9260.3847.5058.7749.67570750.9643.0266.38
平均9.1028410893.798714.199.111.558294.476.496817-275.338783.73
S、47.32108551.4715.66452317.1042208.01“、3117.5042.54203041821a77“3016.37
平均0.921261.790.671230.971.071.181.490.641.121.111.091.121270.88
S、6.555.“7934幟306854.936.195.676.904.696535286.415.286.7948」I
オイルコント平均56.0867.1967.3259.9671.3250.71678348,053.7670.2056.20702660.2862.3967.1153.66
ロールS0123.53124.50125餌125.50133871123413085110.19118.26131.58118.9913249121.72128.11127.1012013
171
佛教大学教育学部学会紀要第4号
Table6男性の化粧行動と個人差要因(分散分析結果:F値と有恵水準)
社会的スキル男性性女性性公的自な淀私的自定崖内的他者定旗外的他者亡戊空想的他者丘崖
顔保湿
0.260,052.26005-0.610.00050024
ペースメイク
2.230.060.010.240.021.“1.271.64
髪トリートメント3230.060.793.570.360071.080.47
唇保湿
2.081.340.480.610031821.131.55
UV予防
0612.151.050.240.110010.50153
香水
2340.662.58567*0010210180.01
マニキュア
1.590.940.470141.180.310241.17
顔クレンジング2.591.072630.3410.163.98*3,06025
アイメイク
1.101.420.900.500錘071063081
歯のホワイトニング0.380603.020.21000005119216
ピアスノイヤリング6.56*1.350560.590261260190.53
髪スタイリング7.33**2.300.075.16*669*7.53**592*320
デオドラント
0.790010.090121260160.690.00
手・足・肘・膝保湿0070.200.16001o0Hl781**0.020.01
頭皮クレンジング0.040451.010790080.190.690.63
アイトリートメント1.411831.150651.050.910.811.0MI
エクステンション1.101.420.900500820.710.630.81
脱毛
2550.671870021.131811.820.01
整旧
0.130.050.940.210.510874.93*003
カラーリング
3400.033J10.000200.130.00054
パック
1141270551.390.390.000.100.69
パーマ
0111070.060.010.640.000.00014
オイルコントロール0.260110.900.740570.400.01038
***、<,001,**p<01,本p<,05
自意識の高群は低群に比べ「香水」を行ってい
を示した。すなわち、外的他者意識の高群は低
ないことがわかった。「顔クレンジング」が、
群に比べ「整眉」を一層行っていることがわ
内的他者意識との5%水準の有意な主効果を示
かった。男性性と女性性の交互作用は、「オイ
した.すなわち、内的他者意識の高群は低群に
ルコントロール」において5%水準で有意で
比べ「顔クレンジング」を一層行っていること
あった(F(3.101)=2.907p<5%)。しかし
がわかった。「ピアス/イヤリング」が、社会
ながらBonferroniの多重比較の結果、有意差
的スキルとの5%水準の有意な主効果を示し
はみられなかった。公的自意識と私的自意識の
たすなわち、社会的スキルの高群は低群に比
交互作用は、「髪スタイリング」において5%水
べ「ピアス/イヤリング」を一層行っているこ
準で有意であった(F(3.105)=2.952p<5%)。
とがわかった。「髪スタイリング」が、社会的
Bonferroniの多重比較の結果、公的自意識と私
スキルや内的他者意識との1%水準の、公的自
的自意識のともに高群はともに低群に比べ「髪
意識や私的自意識や外的他者意識との5%水準
スタイリング」を一層行っていることがわかっ
の有意な主効果を示した。すなわち、社会的ス
た。内的他者意識と外的他者意識の交互作用は、
キルや公的自意識や私的自意識や外的他者意識
「髪スタイリング」において5%水準で有意であっ
や内的他者意識の高群は低群に比べ「髪スタイ
た(F(3.105)=3.698p<5%)。Bonferroni
リング」を一層行っていることがわかった。「手・
の多重比較の結果、内的他者意識と外的他者意
足・肘・膝保湿」が、内的他者意識との1%水
識のともに高群はともに低群に比べ「髪スタイ
準の有意な主効果を示した。すなわち、内的他
リング」を一層行っていることがわかった。内
者意識の高群は低群に比べ「手・足・肘・膝保
的他者意識と空想的他者意識の交互作用は、「髪
湿」を一層行っていることがわかった。「整眉」
スタイリング」において5%水準で有意であり
が、外的他者意識との5%水準の有意な主効果
(F(3.105)=3.219p<5%)、「手・足・肘。
172
大学生の化粧行動の実態解明と社会的スキル・性役割・自意識・他者意繊との関連性
膝保湿」において5%水準で有意であった(F
的スキルとの5%水準の有意な主効果を示し
(3105)=2.908p<5%)。しかしながらBon‐
た。すなわち、社会的スキルの高群は低群に比
ferroniの多重比較の結果、「髪スタイリング」
べ「ベースメイク」を一層行っていることがわ
「手・足・肘・膝保湿」とも有意差はみられな
かった。「唇保湿」が、男性性や女性性や公的
かった。外的他者意識と空想的他者意識の交互
自意識との5%水準の有意な主効果を示した。
作用は、「髪スタイリング」において5%水準
すなわち、男性性や女性性や公的自意識の高群
で有意であった(F(3.107)=3.031p<5%)。
は低群に比べ「唇保湿」を一層行っていること
Bonferroniの多重比較の結果、外的他者意識と
がわかった。「顔クレンジング」が、社会的ス
空想的他者意識のともに高群はともに低群に比
キルとの1%水準の有意な主効果を示した。す
べ「髪スタイリング」を一層行っていることが
なわち、社会的スキルの高群は低群に比べ「顔
わかった。内的他者意識と外的他者意識と空想
クレンジング」を一層行っていることがわかっ
的他者意識の交互作用は、「髪スタイリング」に
た。「アイメイク」が、社会的スキルとの0.1%
おいて5%水準で有意であり(F(7.101)=2.236
水準の、外的他者意識との1%水準の有意な主
p<5%)、「手・足・肘・膝保湿」において5%
効果を示した。すなわち、社会的スキルや外的
水準で有意であった(F(7.101)=2.764p
他者意識の高群は低群に比べ「アイメイク」を
<5%)。Bonferroniの多重比較の結果、「髪ス
一層行っていることがわかった。「ピアス/イ
タイリング」については有意差はみられなかっ
ヤリング」が、社会的スキルや女性性や外的他
たものの、「手・足・肘・膝保湿」について内
者意識との5%水準の有意な主効果を示した。
的他者意識と外的他者意識と空想的他者意織の
すなわち、社会的スキルや外的他者意識の高群
ともに高群はともに低群と、内的他者意織と外
は低群に比べ「ピアス/イヤリング」を一層行
的他者意識がともに低く空想的他者意識が高い
い、女性性の高群は低群に比べ「ピアス/イヤ
群、内的他者意識と空想的他者意識がともに低
リング」を行っていないことがわかった。「髪
く外的他者意識が高い群、内的他者意識が低く
スタイリング」が、社会的スキルとの1%水準
外的他者意識と空想的他者意識がともに高い群
の有意な主効果を示した。すなわち、社会的ス
に比べ「手・足・肘・膝保湿」を一層行ってい
キルの高群は低群に比べ「髪スタイリング」を
ることがわかった。内的他者意識と外的他者意
一層行っていることがわかった。「頭皮クレン
識と空想的他者意識の交互作用は、「カラーリ
ジング」が、女性性との5%水準の有意な主効
ング」において1%水準で有意であった(F
果を示した。すなわち、女性性の高群は低群に
(7.101)=3.186p<1%)。Bonferroniの多重
比べ「頭皮クレンジング」を行っていないこと
比較の結果、内的他者意識と空想的他者意繊が
がわかった。「整眉」が、女性性との5%水準
ともに低く外的他者意識が高い群は内的他者意
の有意な主効果を示した。すなわち、女性性の
識と外的他者意識と空想的他者意識がともに低
高群は低群に比べ「整眉」を行っていないこと
群やともに高群に比べ「カラーリング」を一層
がわかった。「パック」が、外的他者意識との
行っていることがわかった。
5%水準の有意な主効果を示した。すなわち、
次にTable7に女性の個人差要因別平均値と
外的他者意識の高群は低群に比べ「パック」を
標準偏差、Table8に女性の化粧行動と個人差
行っていないことがわかった。「パーマ」が、
要因による差異に関する分散分析結果(F値と
外的他者意繊との5%水準の有意な主効果を示
有意水準)を示す。「ベースメイク」が、社会
した。すなわち、外的他者意識の高群は低群に
173
佛教大学教育学部学会紀要第4号
Table7女性の化粧行動の平均値と標準偏差(個人差要因別)
社会的スキル男性性女性性公的目正雄私的自定厳内的他者近護外的他者正雄空想的他者定雄
低群商群低群商群低群局群低群石群低群商解低鮮商群低群石群低群店群
顔保湿
ベースメイク
髪トリート
メント
唇保湿
UV予防
香水
マニキュア
顔クレン
ジング
アイメイク
平均281.98306.36305.75283.90298.75300.54289.33309.85301.93294.01296.56295.3528729305.39295.29298.18
SD142.06126.59128.39139.3513329129.26139.18121.76130.7613dIPHI13」1.89133.0614043125.98134.3713251
平均245.11297.0528157253.6826220276.70256.02286.5128275262.00268.47267.6925107289.70267.51269.65
S、153.32128.69139.71149.08146.21140.34151.3113108135.33146.85147.15142.42M8.691360314523143.23
平均248.5224217245.10249.72248L53250.62268.77229.52259.72234.69265」6229.15242.6625187260.70235.38
S、148.21152.06149.98151.07149.56149.33144.3015069144.10153.50142.68155.1814886151.36147.94150.00
平均279.“303.36273.07319.3527227319.2827402316922830631127279.10309.75291.09297.12285.21301.06
S、149.54133.61153.67115.11153.16118.17156.03115.36149.39123.03147.03130361“03135.491“、28133.93
平均173.71219881958220035194A0205.“186.55216892OUI、OuI20H1.86205.08191.“195.492060720394196.90
SD162.3016602165.23166.11165.69164.6816173166.46166.7116272160.69168881638716528159.62169.71
平均91.55105.0193.4598.11105.308Aし1697.3193.6187.5699.2395.4890.9885.08990781.60106.60
SDM4.36142.43142“142.85146.2013826146.90139.06139.98143.34149.511326814066141.“139.76143.97
平均52.726124578752.5745.6160.2554.32600874.5446.18522457.67458069.71583155.00
SD112.361205011691114.721029812038117.56115.34134.341013110924119.17103.72127.71116.4411545
平均296.943478131773325.86308L10334.73312.01334.51314.77329.53316.15327.74311.09333.3631991324.55
SD135.9074.48117.13106.76124.7597.52124.6795.27119.301040111807106.96124.959698114.7911000
平均213.653138824850278.04254.39265.17266.26264.13274.23256.7425608266.112352329387252.83271,13
S、164.51103.53154.12136.89146.7814783148.30141.32141.31147.4415332140.04155.56129.5115357139.10
歯のホワイト平均82.99101.4792.51102.49103.718659104.4587.43102.9992.43106.7683.96980293.1797.7695.65
ニングS、153.1616277159]31640.071649315520165.78155.26165.25158L27166四1529916193159.27162.4316003
ピアスノ
イヤリング
平均133.74185.91151“165.251707513585151.33173.72176.11153.04170.0815023137.0619081161.66160.34
残スタイ
リング
平均268.97327.6329809288.11289.20302.17298.772960730083293.58305.42292.60285.12310.67312.0028」1.78
デオドラント
SD167.20170.2317273170.121730116567171.64171.06172.6117017170.65172.19168.3817087172.55170.67
so150.21100.34132.99137.89136.63130.41133.79130.451327213253126.12135.34141.58119.5111761142.39
平均133.86143.73135231“、251518011875143.46136081411313831M8561252414988124.16134.28141.70
S、157.21160.70154.73163.8716152151.1516Z76155.6316285157.9H$162.78153.54161.74153.9515738160.37
手・足・肘・
膝保湿
平均160.4115056150.7615963158L141507515056169.11135.92175.8116589145-2914983170.61168.71148.19
頭皮クレン
ジング
平均97.5290.2389.6997.79116.17690280.21103.1088.89960397.2782.05100.3」174.1389869198
SD167.65161.02163.59165.69167.6716107166.70162.70158.77167.47167.5316007164.09165631688016029
S、155.11155.78152.09158.45164.51140.03146.13160501541.99154.“158.98145.66155.471459115326153.81
アイトリート平均4890382037.5756.1141.6341.3654.0037.9156.7238扇8349.3537.5454畷593611527437.91
メントS、123.39111.10109.10132.12114.7211529128蟹11050132.95110.51125.32108.39129.31108.2512759110.50
エクステン
ション
脱毛
整后
カラーリング
パック
パーマ
平均12.048.977.3210.928.769068.739.0711.397,318.8246412.475.0412.77497
SD64.8454895063605853.7356.9955.9854.6161.0151.3654.5939.8865.8840.4067.363907
平均98.0897.729023109.40106.6693.41106.3792.279503102.“100.699M4.35101.9094.84112.9185.31
S、114.74120.58106.42127.70123.4810825119.12114.25113.39119.75118.57111.7111896114.35124.20106.79
平均126.6814283136.85133.7515123114.72128811“、7413248140.08142.5212525135.97135.9214066130.66
SD111.981192811381122.16128999688111.11122.71109.45124.07117.45115.7412262112961229111198
平均23.5616.6021.7619.311985225125.69168530.1114.742008178024.3017.63287013.38
S、81.9965.9478.0672.7274.1078.7586.0365.5692.94620M075.3467.4783.27678192.7053.93
平均28.4126852a2325.4229.60248832.9222.9032.7524.5027.62232437.5416.5335.5219.91
SD67.5067.5972396205681269.34179.515623759163A8683458.188A182424886.564271
平均85611.9411.70883108710.3211999.3813“a7013.473.3218821.7615.575.66
S、53.1456.68615246.4055.5356.8558.07542463.0351.2466.0517.1776.863.1368.9038.65
オイルコント平均181.55219.48199.56193.92226.7016865198.08206.74196.17207.98188.67209.15203.97195.96205.44195.76
ロールSD168.36161.64162.42169.63159.61165.57165.29165.6616482164.92164.49166.29167.27164,53164.62166.56
比べ「パーマ」を行っていないことがわかった。
コントロール」と5%水準で有意であった(F
「オイルコントロール」が、女性性との5%水
(3.145)=3.060p<5%)。Bonferroniの多重
準の有意な主効果を示した。すなわち、女性性
比較の結果、「唇保湿」について、男性性が低
の高群は低群に比べ「オイルコントロール」を
く女性性が高い群は男性性と女性性がともに低
行っていないことがわかった。男性性と女性性
群に比べ「唇保湿」を一層行っており、男性性
の交互作用は、「唇保湿」と1%水準で有意で
と女性性がともに低群は男性性が低く女性性が
あり(F(3.145)=3.954p<1%)、「オイル
高い群に比べ「オイルコントロール」を一層
174
大学生の化粧行動の実態解明と社会的スキル・性役割・自意識・他者意織との関連性
Table8女性の化粧行動と個人差要因(分散分析結果:F値と有意水準)
社会的スキル■性性女性性公的目定雄私的自定厳内的他者屯騰外的他者匝厳空想的他者E臣
顔保湿
1481.140.011070.150000.79002
ペースメイク
606*1.600.442.010880.003.16001
髪トリートメント008o0ulOO13.061.162.530.161.26
唇保湿
1.284.69*5.01*4.26*1.822.10008080
UV予防
3.580030201.480.000300.18008
香水
0400050950.030.280040431.36
マニキュア
0240090740.112.480.101.DlOOu4
顔クレンジング9.60本*0.222401.790.740461.700.07
アイメイク
23.76***1.710230.010.60020.7.19**0.68
直のホワイトニング0.620.160.490.490180.870.OHlOO1
ピアスノイヤリング4.32*027182*0740.750.584.341本000
髪スタイリング9.43**0.230.410020.120.421.63189
デオドラント
0.170141.920090.010.941.140.10
手・足・肘・膝保湿0.160.120.090.552.460.680.690.68
頭皮クレンジング0,10012406*0.960090.431.30001
アイトリートメント0371030.000.780.920.44103068
エクステンション0120.180000.000220.330.78089
脱毛
0001.160560.630.170.130.16249
整眉
0.880.03434*0.800.170950000.32
カラーリング
0390.“0.050.581.6800凶10.331.80
パック
0020070.200.920.590204.14*2.31
パーマ
0170.110.000.090.301864.08*139
オイルコントロール2390.055.50*0120210660.100.15
***p<,001,**p<01,*、<05
行っていることがわかった。内的他者意識と外
男性では(Table9)、「髪トリートメント」
的他者意識の交互作用は、「髪スタイリング」と
について公的自意識が5%水準で、「唇保湿」
5%水準で有意であった(F(3.145)=3.093p
について外的他者意識が1%水準で、「UV予
<5%)。Bonferroniの多重比較の結果、内的
防」について社会的スキルが0.1%水準、男性
他者意識と外的他者意繊のともに高群は内的他
性が1%水準で、「マニキュア」について外的
者意識が高く外的他者意識が低い群に比べ「髪
他者意識が5%水準で、「髪スタイリング」に
スタイリング」を一層行っていることがわかっ
ついて男性性や外的他者意識が5%水準で、
た。内的他者意識と外的他者意識と空想的他者
「手.足・肘・膝保湿」について内的他者意識
意識の交互作用は、「髪スタイリング」と5%水
が5%水準で有意に選択された。他方、女性で
準で有意であった(F(7.141)=2.368p<5%)。
は(TablelO)、「ベースメイク」について外的
Bonferroniの多重比較の結果、内的他者意識と
他者意識が1%水準で、「髪トリートメント」
外的他者意識と空想的他者意識がともに低群は
について内的他者意識が1%水準、男性性が
内的他者意識と空想的他者意識がともに高く外
5%水準で、「唇保湿」について社会的スキル
的他者意識が低い群に比べ「髪スタイリング」
が1%水準、公的自意識が5%水準で、「マニ
を一層行っていることがわかった。
キュア」について私的自意識が5%水準で、「ア
さらに化粧行動を規定する個人差要因を明ら
イメイク」について外的他者意識が0.1%水準、
かにするため、男女別に化粧行動のそれぞれを
社会的スキルが1%水準で、「ピアス/イヤリ
目的変数とし、個人差要因を説明変数とする
ング」について外的他者意識が1%水準で、「髪
Stepwiseによる変数選択法を用いて重回帰分
スタイリング」について空想的他者意識や社会
析を行った。
的スキルが1%水準、外的他者意識や男性性が
175
佛教大学教育学部学会紀要第4号
Table9男性の化粧行動の個人差要因の豆回帰分析結果(stepwise法:標準傭回帰係数と決定係数)
髪トリートメント唇保湿UV予防
標準βt値
標準βt値
楓単βt値
公的自恵厳0212.34*外的他者広NRO23266**
R20.05**
Ra0.OMI*
社会的スキル0.444.06***
男性性-0.32-295**
R20.12***
手・足・肘・膝保湿
髪スタイリング
マニキュア
標準βt値
標準βt値
標準βt値
男性性
0.23
2.59*
内的他者意厳0.192.18*
外的他者意蛍
0.20
2.33*
R20.04*
外的他者恵戊0.19212*
R20.04*
R20.11**
***p<、001,**p<、01,*p<05
TablelO女性の化粧行動の個人差要因の丘回帰分析結果(stepwise法:標準信回帰係数と決定係数)
ベースメイク髪トリートメント回保湿
R2
標準βt値
標準βt値
標準βt■
外的他者定厳0.19265**
内的他者意崖-0.23-3.14**
男性性0.141.99*
0.04**
社会的スキル
0.25
3.48**
公的自意症
0.16
228*
R20.08**
序0.07**
マニキュア
ピアスノイヤリング
アイメイク
標準βt値
私的自定蛍-0.16-219*
外的他者恵繊
0.26
R20.03*
社会的スキル
0.20
R2
髪スタイリング
外的他者恵繊0.192.65**
R20.04**
280**
0.10***
社会的スキル
0.23
299
外的他者意識
0.19
2.54
-0.19
-2.37
標準βt値
**
-3.17
****
-0.24
男性性
3.63***
オイルコントロール
標準βt値
空想的他者厄撞
標準βt値
標準βt値
女性性-0.16-2.12*
R20.11***
5%水準で、「オイルコントロール」について
女性性が5%水準で有意に選択された。
R20.02*
***p<,001,**p<01,*p<05
Ⅳ考察
1)化粧行動の評定平均値を検討した結果、多
以上の結果から部分的ではあるが、男性の化
くの化粧行動に男女差のあることが判明した。
粧行動を社会的スキル、男性性、公的自意識、
行動回数について化粧行動の可逆性や不可逆性
内的他者意識、外的他者意識が規定し、女性の
を考慮すれば、男性がほぼ毎日行う化粧行動は
化粧行動を社会的スキル、男性性、女性性、公
「髪スタイリング」のみであり、多くの化粧行
的自意識、私的自意識、内的他者意識、外的他
動について習慣性のないことがわかった。他方、
者意識、空想的他者意識が規定することがわ
女性がほぼ毎日行う化粧行動は「顔クレンジン
かった。
グ」「顔保湿」「唇保湿」「ベースメイク」「アイ
メイク」などであり、顔ケアやメイクアップに
176
大学生の化粧行動の実態解明と社会的スキル・性役割・自意識・他者意識との関連性
関する化粧行動で習慣性のあることがわかっ
る。このことから、村澤20も指摘しているよう
た。平松・牛田'9の男女大学生の化粧行動を検
に男性による男らしさの演出のための化粧利用
討した結果によれば、男性では相対的にメイク
に至る心理作用として男性性が関連していると
アップ・技術者加工が低く、オーラルケア.整
考えられる。そのため《「Uv予防」は日焼け
髪が高いこと、他方、女性では技術者加工が低
という男らしさである作動性の表現とは負の化
く、ケア・メイクアップや髪加工が相対的に高
粧表現であるため「UV予防」について男性性
いことが明らかとなっている。本研究において
は負の関連がみられたと推測される。さらに、
も、男女において「ベースメイク」「アイメイク」
社会的スキルについても先行研究'oと同様、化
というメイクアップに関する化粧行動で差が大
粧行動と関連していることから、概して、対人
きなことから、男性はメイクアップについてま
関係に関するスキルの高さが化粧行動を規定し
だまだ行っていないことがわかった。しかしな
ていることがわかった。他者意識については、
がら、「カラーリング」「パーマ」「エクステンショ
内的他者意識と外的他者意識が化粧行動と関連
ン」という髪に関する化粧行動や「香水」「歯
していることから、概して、他者の内面や外面
のホワイトニング」「頭皮クレンジング」とい
を意識する程度の高さが化粧行動を規定してい
う香りや汚れ除去に関する化粧行動については
ることがわかった。その理由として、外的他者
男女差が小さいことから、これらの行動は回数
意識や内的他者意識における他者とは現前する
は少ないものの、相対的に男女で同様に行われ
他者であることから、同性や異性の友人などの
ている化粧行動であることがわかった。
他者に対する外面への意識と他者が自己につい
2)男女別に化粧行動と個人差要因との関連性
てどのように考えているのかという内面への意
について検討を行った結果、男性の「髪トリー
識が化粧行動に関連していると推測される。
トメント」について公的自意識、「唇保湿」に
他方、女性の「ベースメイク」について外的
ついて外的他者意識、「UV予防」について社
他者意識、「髪トリートメント」について内的
会的スキルや男性性(-)、「マニキュア」につい
他者意識(-)や男性性、「唇保湿」について社
て外的他者意識、「髪スタイリング」について
会的スキルや公的自意識、「マニキュア」につ
男性性や外的他者意識、「手・足・肘.膝保湿」
いて私的自意識(-)、「アイメイク」について外
について内的他者意識が規定していることがわ
的他者意識や社会的スキル、「ピアス/イヤリ
かった。男性では、自意識について公的自意識
ング」について外的他者意識、「髪スタイリン
が先行研究6.9と同様、化粧行動と関連してい
グ」について空想的他者意識(-)や社会的スキ
ることから、概して他者からみられる自己を意
ルや外的他者意識や男性性(.)、「オイルコント
識する程度の高さが化粧行動を規定しているこ
ロール」について女性性(-)が規定しているこ
とがわかった。また性役割について先行研究,
とがわかった。女性では、自意識について公的
では、男性性と正の関連を明らかにしている
自意識が先行研究6.9と同様、化粧行動と関連
が、本研究では「UV予防」と負の関連がみら
していることから、概して他者からみられる自
れたことから、概して化粧行動による男らしさ
己を意識する程度の高さが化粧行動を規定して
の演出性の低さが化粧行動を規定していること
いることがわかった。私的自意識については、
がわかった。その理由として、一般的には現代
これまで化粧行動との関連は松井8が私的自意
は男女平等のもと社会的にもファッションにお
識と基礎化粧品と正の関連を明らかにしている
いてもジェンダーフリーであるといわれてい
が、本研究では負の関連ではあるものの「マニ
177
佛教大学教育学部学会紀要第4号
キュア」との関連が明らかとなったことから、
などであり、顔ケアやメイクアップに関する化
概して、自分の内面や気分を意識する程度の低
粧行動で習慣性のあることがわかった。
くさが化粧行動を規定していることがわかっ
2)男性の「髪トリートメント」について公的
た。その理由について、化粧とは外面を飾り、
自意識、「唇保湿」について外的他者意識、「UV
また外面を利用しての自己や他者に対する効果
予防」について社会的スキルや男性性(_)、「マ
を目的とする行動であるため、内面への意識と
ニキュア」について外的他者意識、「髪スタイ
は負の関連がみられたと推測される。性役割に
リング」について男性性や外的他者意識、「手.
ついて、平松・牛田9は女性性と正の関連を明
足.肘・膝保湿」について内的他者意識が規定
らかにしているが、本研究では、男性性や女性
していることがわかった。他方、女性の「ベー
性との関連が明らかとなったことから、概して
スメイク」について外的他者意識、「髪トリー
男性性や女性性の高さが化粧行動を規定してい
トメント」について内的他者意識(_)や男性性、
ることがわかった。その理由として、髪ケア・
「唇保湿」について社会的スキルや公的自意識、
髪メイクに関する「髪トリートメント」や「髪
「マニキュア」について私的自意識(_)、「アイ
スタイリング」について男性性、スキンケアに
メイク」について外的他者意識や社会的スキ
関する「オイルコントロール」について女性性
ル、「ピアス/イヤリング」について外的他者
が関連していることから、化粧行動により規定
意識、「髪スタイリング」について空想的他者
される性役割が異なるためと推測される。他者
意識(-)や社会的スキルや外的他者意識や男性
意識については、内的他者意識や外的他者意識
性(-)、「オイルコントロール」について女性性
や空想的他者意識が化粧行動と関連しているこ
(-)が規定していることがわかった。
とから、他者の内面を意識する程度の低さや他
者の外面を意識する程度の高さ、他者の空想的
本研究では、男女大学生の化粧行動の実態解
イメージを想像する程度の低さが化粧行動を規
明と化粧行動と個人差要因との関係性について
定していることがわかった。その理由として、
検討を行った。平松・牛田型は化粧意識を規定
女性は内面より外見を重視する傾向にあるた
する個人差要因として、他者意識の検討を行
め21、現前する他者の内面や現前しない他者の
い、化粧意識と外的他者意識との関連を明らか
イメージよりも現前する他者の外面、すなわち
にしているが、化粧行動については男性では内
他者の化粧への意識がより関連していると推測
的他者意識や外的他者意識と、女性では内的他
される。
者意識や外的他者意識や空想的他者意識との関
連が明らかとなった。
しかしながら、決定係数が0.30以上であれば
Vまとめ
本研究で得られた知見を要約すると以下のよ
信頼性・説明性が十分に認められるとされる多
変量解析の一般的な指標に従うならば、本研究
うになる。
で得られた数値は相対的に小さく、今後の課題
l)男性がほぼ毎日行う化粧行動は「髪スタイ
として、多様なサンプルを対象とする知見の一
リング」のみであり、多くの化粧行動について
般性の吟味や他の個人差要因に対する検討が必
習'慣性のないことがわかった。他方、女性がほ
要となってくるであろう。
ぼ毎日行う化粧行動は「顔クレンジング」「顔
保湿」「唇保湿」「ベースメイク」「アイメイク」
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「
大学生の化粧行動の実態解明と社会的スキル・性役割・自意識・他者意識との関連性
謝辞
日頃、御指導御鞭捷をいただく佛教大学教授
井上修一先生をはじめ諸先生方、関係各位に深
く感謝いたします。
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