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類似ドキュメントに基づく プレゼンテーションデザイン支援システムの設計

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類似ドキュメントに基づく プレゼンテーションデザイン支援システムの設計
類似ドキュメントに基づく
プレゼンテーションデザイン支援システムの設計・開発
Designing Presentation Documents with Similar Documents
*2
上中 裕介*1, 柏原 昭博*2
Yusuke Uenaka*1, Akihiro Kashihara*2
*1
電気通信大学 電気通信学部 情報通信工学科
*1
Dept. of Information and Communication Engineering, The University of Electro-Communications
*2 電気通信大学大学院 情報理工学部研究科 総合情報学専攻
Graduate School of Informatics and Engineering, The University of Electro-Communications
Email: [email protected], [email protected]
あらまし:研究活動においてプレゼンテーションを行う場合,プレゼンテーションドキュメントを作成す
るスキルは不可欠である.本研究では,研究室内に蓄積された様々なドキュメントを研究初学者に参照さ
せることで,プレゼンテーションドキュメント作成スキルの向上を支援するシステムを開発した.本シス
テムの特徴は,作成しようとするプレゼンテーションスライドと類似したスライドを探索・提示すること
で,スライドのデザインを支援しようとする点にある. キーワード:プレゼンテーション,スライドデザイン,類似スライド,類似セグメント,研究活動 1.はじめに
研究活動を進める上で,プレゼンテーションは自
分の研究内容を伝達する手段として極めて重要で
ある.本研究グループでは,プレゼンテーションを
行うために必要なスキルを三つに分けている.つま
り,「何を・どのような順序で」提示するのかとい
った意味的構造を構成するスキル,聴衆が理解しや
すいドキュメントをデザインするコンテンツデザ
インスキル,どのように聴衆にわかりやすく話すか
といったオーラルスキルである.特に,プレゼンテ
ーションドキュメント(以下,P-ドキュメントと呼
ぶ)を作成するには,意味的構造構成スキルとコン
テンツデザインスキルの2つが必要不可欠である.
本研究では,P-ドキュメントの意味的構造を作成す
る過程で,スライドのコンテンツをデザインする文
脈に着目し,コンテンツデザインスキルの向上支援
について検討している.
2.研究背景・目的
一般に,研究初学者は P-ドキュメントを作成する
機会が少ないため,コンテンツデザインスキルは低
いと考えられる.そのため,研究初学者の多くは,
他者の P-ドキュメントのスライドのデザインを参
考にすることを有用な手段として用いている.しか
し,参照しようとするスライドは,作成者や研究内
容によって多種多様なデザインがあり,その数は膨
大である.そのため,研究初学者にとって,自分が
参照すべきスライドを同定することは困難である.
また,参照しようとするスライドは発表内容や発表
の流れにそってデザインされているため,研究初学
者にはなぜそのようにデザインされたか,その経緯
を理解することが難しい.したがって,研究初学者
はスライドだけではなく,参照したいスライドを含
むスライドの系列も参照する必要がある.
本研究では,研究初学者が作成しようとする P-
ドキュメントの意味的構造をもとに,研究室に蓄積
されたドキュメント群から類似スライドを同定す
るとともに,類似のスライド系列となるドキュメン
トのセグメントを同定し,これらを用いてスライド
コンテンツのデザインを支援するシステムの開発
を目指している.
3.スライドデザイン支援
ここでは,P-ドキュメントの意味的構造に基づく
コンテンツデザインのスキル向上を支援する枠組
みについて述べる.
3.1 意味的構造
P- ドキュメントの意味的構造は,スライドメタ
データ,セグメントメタデータ,ファイルメタデー
タの三種類で表現される.スライドメタデータは,
各スライドが説明する内容や果たす役割を表す.セ
グメントメタデータは,P-ドキュメント全体をいく
つかの意味的まとまりで分割した区切り(スライド
系列)を表す.ファイルメタデータは,P-ドキュメ
ントを用いたプレゼンテーションで想定されてい
る文脈情報(発表時間,発表の場など)を表す.図
1 に,各メタデータを示す.
3.2 類似スライド・類似セグメント
類似スライドとは,同じスライドメタデータを持
つ異なる P-ドキュメントのスライド群を指す.
類似セグメントとは,同じセグメントメタデータ
をもつ異なる P-ドキュメントのセグメントを指す.
3.3 類似スライド,類似セグメントの同定
研究初学者が P-ドキュメントの意味的構造とと
もにスライドをデザインする文脈において,研究室
に蓄積されたドキュメント群から参照すべき類似
スライド,類似セグメントを同定する.この際,ス
ライドのメタデータ(あるいはセグメントメタデー
タ)をインデックスとする.研究初学者にとっては,
同定されたスライドやセグメントは,スライドデザ
インの手本となる.
の先頭スライドが順に表示され,ここで任意のスラ
イドを選択すると,そのセグメント内のスライド系
列が展開されて図3右図のように表示される.ユー
ザは表示されたスライド,スライド系列を参照しな
がら,現在のスライドのデザインを進めることがで
きる.
図 2:ユーザインタフェイス例
図 1:P-ドキュメントのメタデータ
4.支援システム
類似スライド・セグメントに基づく P-ドキュメン
トデザイン支援を実現するために,Microsoft 社の
PowerPoint2010 のアドインとして支援システムを
開発した.本システムは,
「スキーマ表示機能」,
「意
味的構造作成支援機能」,
「類似スライド検索・提示
機能」を有する. 図 2 に,ユーザインタフェイス
を示す.
4.1 スキーマ表示機能
スキーマ表示機能は,意味的構造構成の足場とな
るプレゼンテーションスキーマを木構造として表
示する機能である.プレゼンテーションスキーマと
は,研究室に蓄積された P-ドキュメントの意味的構
造の共通構造を取り出したものである.
図 3:類似セグメントの表示の例
5.まとめ
4.2 意味的構造作成支援機能
意味的構造作成支援機能では,P-ドキュメントの
意味的構造を木構造として作成する場を提供する.
木構造の各ノードはメタデータを表現し,葉ノード
は P-ドキュメントのスライドに対応する.作成後,
保存ボタンを押せば作成した P-ドキュメントの各
スライドが画像化され,画像の保存先と付与された
メタデータがデータベースに格納される.
本稿では,研究初学者による P-ドキュメントデザ
インを対象として,研究室に蓄積された P-ドキュメ
ント群から類似スライド,類似セグメントを同定し,
それらを参照させることでスライドコンテンツの
デザインスキルの向上を支援するシステムについ
て述べた.今後は,支援手法の洗練,システムの改
良およびシステムの有効性を検証したい.
4.3 類似スライド・類似セグメント検索・提示機能
類似スライド.類似セグメント検索・提示機能で
は,ユーザが任意のメタデータを選択することで,
類似スライド,類似セグメントを P-ドキュメントデ
ータベースから検索し,その結果がユーザインタフ
ェイス上に表示される.スライドメタデータを選択
した場合,検索された類似スライドが順に表示され
る.セグメントメタデータを選択した場合,図3の
左図に示すように,P-ドキュメント毎にセグメント
本 研 究 の 一 部 は , 科 学 研 究 費 基 礎 研 究 (B)
(No.23300297)の援助による.
謝辞
参考文献
(1)Yasuo SHIBATA, Akihiro KASHIHARA, Shinobu
HASEGAWA: ”Schema-based Scaffolding for Creating
Presentation Documents”, Proc. of ICCE2012, Singapore,
pp.324-326 (2012)
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