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SESSION 11 の分析に用いたデータ

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SESSION 11 の分析に用いたデータ
DATA
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データ
SESSION 11 の分析に用いたデータ
この分析データは,ある学生が,看護師と子どもとの関わりを観察し,作成
したテクストの一部を抜粋したものです.8 分間にわたる観察の中から,看護
師と子どもとの相互作用が詳細に記録された 2 つの場面(各 1 分)を選択し,
分析のトレーニングに使用しました.
■ リサーチ・クエスチョン ■
看護師は,ケアを嫌がる子どもにどう対応するのか?
■ 場 面 ■
看護師が嫌がる子どもの身体を拭き,足を洗い,傷口のガーゼを交換すると
いう一連のケアの状況
■ 登場人物 ■
Y くん:虫垂炎(一般的に「盲腸」と言われているもの)で,小児外科病棟の 4
人部屋に入院となった 5 歳の男の子.アニメキャラクターの絵がついた赤
い長袖 T シャツを着て,紺色のジャージ素材の半ズボンを履いており,素
足である.身長 105 cm,体重 21 kg でぽっちゃりとした体格.3 人兄弟の
末っ子で,人なつっこく,甘えん坊.病室内のテレビで,アニメの DVD
を見て過ごしていることが多い.両親は毎日,夕方 4 時頃に面会に来る.
5 日前に腹痛を訴えて外来を受診したところ,虫垂炎と診断されて緊急手
術を受けた.手術は無事に終了し,右下腹部には 3 cm 程の傷がある.傷口
を本人が触ってしまうのを防ぐため,ガー
ゼ で 覆 い, 医 療 用 の テ ー プ で 留 め て あ る
.看護師が 1 日 1 回,ガーゼを交
(図 D ─ 1)
換し,傷口の観察を行う.手術直後は傷口
の痛みがあり,痛み止めの薬を使っていた
が,今は痛みがなく,自力で歩くことがで
きる.ガーゼ交換に対する恐怖心が強く,
前日は「やだっ!」と泣き叫んで暴れたた
め,複数の看護師に手足を押さえつけられ
図 D─1 データ ●
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図 D─2 Y くんが入院している病室の見取り図
た.前日までのガーゼ交換は,身体拭きと別に行われていたため,Y くん
は,上半身を拭いた直後に,ガーゼを交換するとは思っていなかったと推
測される.
X 看護師:卒後 3 年目の看護師.20 代半ば.身長 160 cm 位で細身.ショート
ヘアで,ピンク色のパンツ型のユニフォームを着て,白いスニーカーを履
いている.左胸のポケットには名札がついており,右腰のポケットからピ
ンク色の聴診器の一部が見える.
Y くんを担当するのは今日がはじめて.前日のガーゼ交換の様子につい
ては,看護記録から情報を得る.前日にガーゼ交換を担当した先輩看護師
から,「昨日はガーゼ交換の必要性をいろいろと説明したけど,なかなか納
得してくれなくて….今日は,嫌がっても,短時間で終わらせてあげたほ
うがよいかもしれない」というアドバイスをもらった.Y くんが朝食を終
えた頃に,挨拶に行き,午前中に足を洗ったり身体を拭いたりすることを
Y くんと約束した.
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データ
■ 観察場面 ■
小児外科病棟の一室(図 D ─ 2).
■ 時間の流れ ■(太字の部分が,今回の分析データとして使用した場面)
9:44 『観察開始』
X 看護師の促しで,Y くんが洗面器のお湯に足を入れる(場面 1)
9:45
Y くんが T シャツを脱ぎ,X 看護師がタオルで Y くんの胸のあたり
を拭く
9:47
X 看護師が Y くんの背中と腕をタオルで拭き,足を洗って,洗面器の
お湯から足を出させる
9:50 X 看護師が傷口のガーゼ交換を促し,Y くんが嫌がる(場面 2)
9:51
X 看護師が Y くんに新しい T シャツを着せる
9:52 『観察終了』
■ テクスト ■
場面 1:X 看護師の促しで,Y くんが洗面器のお湯に足を入れる
Y くんは,ベッドの真ん中でテレビのほうを向いて,両手を殿部の横につき,
両足を前に伸ばし,上半身を 45 度位後ろに傾けて,背中を丸めた姿勢で座って
おり,リラックスしているように見える.テレビから一時も目を離さず,1 m
程の距離に近づくと聞こえる位の大きさの声を出して笑っている.X 看護師は,
足を洗うための洗面器を両手で持って,Y くんの左側から 60 cm 位離れたベッ
ドの横に立ち,目元と口元を少し緩めたにこやかな表情で,「Y く∼ん,洗おう
か∼」と語尾を上げて,普段より 1 オクターブ位高く,病室中に聞こえる程の
大きな声で明るく,ゆっくりと話しかける.そして,洗面器を椅子の上に置き,
首を左に 45 度位傾け,身体を動かさず,Y くんを 10 秒位見続けて,ベッドの
柵越しから様子をうかがう.このとき,Y くんは声を出して笑っていたのを止
めて口をつぐむが,テレビから視線をはずすことはなく見続け,X 看護師を見
ない.X 看護師は,ベッドの柵を両手でつかむと,にこやかな表情のまま,
「じゃあ,下ろすね∼」と語尾を伸ばし,普段より 1 オクターブ位高く,病室中
に聞こえる程の大きな声で,明るく話しかけ,ベッドの柵を下段まで下ろす.
その後,X 看護 師は前かがみになり,Y くんを覗き込み,顔を 20 cm 位まで
近づけて,目尻を下げ,口角を上げて微笑みながら,
「はじめよっか∼」と,
1 m 程の距離に近づくと聞こえる位の大きさの声で,穏やかな口調で言う.Y
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くんは左側から振り返り,X 看護師を見つめて,「足を洗うの?」と語尾を下げ
てたずねると,左斜め下の床に視線を落とす.X 看護師は顔全体を緩め,笑顔
で Y くんを見ながら,
「うん.がんばって,早く済ませちゃおう」と,ゆっくり
とした穏やかな口調で答えると,背すじを伸ばす.Y くんは視線を床に落とし
たまま,
「う∼ん,わかった…」と答えた後,10 秒位かけて,のろのろと両膝を
立てて,殿部を中心に右方向に 180 度位回転して身体の向きを変えて移動し,X
看護師に向き合う.Y くんは,「あのさ…,ママが来てからじゃだめ?」と,X
看護師の顔を見上げながら言う.
これまで笑顔だった X 看護師は,徐々に頬を下げ,目に力が入り,少し険し
い表情になり,Y くんから 20 cm 位まで顔を近づけ,Y くんの目を見ながら,
「あのね,ママが来る前にきれいにしといたら,ママといっぱい遊べるんだよ.
今,がんばったほうがいいよ」と,一語ずつはっきりと,説得するように言う.
Y くんは自分の足もとに視線を移し,看護師にしか聞こえない位小さな声で,
途切れ途切れに,
「だって….テレビ,まだ終わってない….やだよ….後がい
い…」と言い,口をとがらせ,眉間にしわを寄せて,不満そうである.X 看護
師は少し険しい表情のまま,「テレビを見ながらでもいいから,がんばって,
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やってしまおうよ.X さんは,早く終わらせたほうが絶対いいと思うよ」と,
早口かつ強い口調で説き伏せるように言う.Y くんは眉間にしわを寄せ,口を
への字にしたまま,首を横に小さく 1 回振るが,X 看護師は素早く Y くんの殿
部に両手を回し,殿部を引きずらせて,Y くんの身体をベッドの端まで 40 cm
程,引き寄せる.ベッド端に動かされた Y くんは,ゆっくりと視線を洗面器に
落として,眉尻を下げ,諦めたように,椅子の上に置かれた直径 40 cm 程の洗
面器の中のお湯に,右足,左足の順にゆっくりと入れる.
場面 2:X 看護師が傷口のガーゼ交換を促し,Y くんが嫌がる
上半身が裸の Y くんは,ベッドの真ん中で,床頭台の前に立つ X 看護師のほ
うを向いて両足を伸ばし,両手を殿部の横につき,上半身を 30 度位後ろに傾け
て,背中を丸めた姿勢で座っており,リラックスしているように見える.顔を
左側に向けて,目尻を下げ,歯が見える位に口を開け,笑顔でテレビを見てい
る.
X 看護師は,テレビを見る Y くんのほうに,10 秒に 1 回位視線を送りながら,
ガーゼと 8 cm 位の長さのテープ 2 本を床頭台の上に準備すると,Y くんを上か
ら見おろして,目元と口元を少し緩めたにこやかな表情で,「じゃあ,ガーゼか
えるよ」と,はっきりとした強い口調で言う.Y くんは,さっと顔を正面に戻
して,目を丸く見開き,驚いた表情になり,X 看護師を見上げ,「えっ⁉ やだ,
やだっ!」と,病室中に聞こえる程の大きな声で,はっきりと言う.X 看護師
は前かがみになり,自分の顔を Y くんの顔から 20 cm 位の所まで近づけ,目に
力を込めて,真剣な表情になり,正面から Y くんを見つめて,
「だって,ガーゼ
かえなくっちゃね!」と,語尾の「ね」を強調して言いながら,Y くんの右下
腹部に貼ってあるガーゼに右手を伸ばす.Y くんは上半身を後ろへ引き「やだ
∼!」と高くて,病室中に聞こえる程の大きな声をあげ,両目に涙を浮かべて
泣き出す.
X 看護師の右手がガーゼから 5 cm 位まで近づくと,Y くんは顔を右にそむけ,
口をへの字にして,X 看護師の肩を両手で押して突き放す.押されたはずみで,
X 看護師の身体は Y くんの身体から 30 cm 位離れるが,すぐに体勢を前かがみ
に戻して,目を通常より大きく開き,眉を吊り上げて,険しい表情になり,
「じゃあ,寝っころがってやろうか? そのほうが痛くないから」と,今までで
1 番大きな声を出し,早口で言って,再度,Y くんの右下腹部のガーゼに右手を
伸ばす.
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Y くんは泣いて肩を震わせながら,X 看護師が近づくことができないように,
両手の指をひろげて前に突き出し,自分の身体をガードする.X 看護師は険し
い表情のまま,背すじを伸ばし,1 m 程の距離に近づくと聞こえる位の大きさ
の声で「やめるの?」と,首を右に 30 度位傾けながらたずねる.Y くんは X 看
護師を見ず,床のほうに視線を向け,眉間にしわを寄せて,「今はやだっ! 昨
日怖かったもん! ママと一緒がいい!」と,強い口調で言う.X 看護師は Y
くんから 40 cm 位離れた所に立ち,Y くんの顔を 3 秒程見つめた後,「昨日怖
かったのか∼.じゃあ,今はやめる? ママが来てからにするのね?」と,語
尾の「ね?」に力を込めて確認する.X 看護師は険しい表情を緩め,Y くんを
見つめて,「そうだね.後でママが来たら,かえようね」と,ゆっくりとした口
調で言う.
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データ
■ 切片化した後のテクスト ■
切片
番号
データ
プロパティ
ディメンション
ラベル名
9:44 ∼ 45 場面 1:X 看護師の促しで,Y くんが洗面器のお湯に足を入れる
1
Y くんは,ベッドの真ん中でテレビのほうを向い
て,両手を殿部の横につき,両足を前に伸ばし,
上半身を 45 度位後ろに傾けて,背中を丸めた姿
勢で座っており,リラックスしているように見え
る.
2 テレビから一時も目を離さず,1 m 程の距離に近
づくと聞こえる位の大きさの声を出して笑ってい
る.
3 X 看護師は,足を洗うための洗面器を両手で持っ
て,Y くんの左側から 60 cm 位離れたベッドの横
に立ち,目元と口元を少し緩めたにこやかな表情
で,「Y く∼ん,洗おうか∼」と語尾を上げて,普
段より 1 オクターブ位高く,病室中に聞こえる程
の大きな声で明るく,ゆっくりと話しかける.
4 そして,洗面器を椅子の上に置き,首を左に 45
度位傾け,身体を動かさず,Y くんを 10 秒位見
続けて,ベッドの柵越しから様子をうかがう.
5 このとき,Y くんは声を出して笑っていたのを止
めて口をつぐむが,テレビから視線を外すことは
なく見続け,X 看護師を見ない.
6 X 看護師は,ベッドの柵を両手でつかむと,にこ
やかな表情のまま,
「じゃあ,下ろすね∼」と語尾
を伸ばし,普段より 1 オクターブ位高く,病室中
に 聞 こ え る 程 の 大 き な 声 で, 明 る く 話 し か け,
ベッドの柵を下段まで下ろす.
7 その後,X 看護師は前かがみになり,Y くんを覗
き込み,顔を 20 cm 位まで近づけて,目尻を下
げ,口角を上げて微笑みながら,
「始めよっか∼」
と,1 m 程の距離に近づくと聞こえる位の大きさ
の声で,穏やかな口調で言う.
8 Y くんは左側から振り返り,X 看護師を見つめて,
「足を洗うの?」と語尾を下げて尋ねると,左斜め
下の床に視線を落とす.
9 X 看護師は顔全体を緩め,笑顔で Y くんを見なが
ら,「うん.がんばって,早く済ませちゃおう」
と,ゆっくりとした穏やかな口調で答えると,背
すじを伸ばす.
10 Y くんは視線を床に落としたまま,「う∼ん,わ
かった…」と答えた後,10 秒位かけて,のろのろ
と両膝を立てて,殿部を中心に右方向に 180 度位
回転して身体の向きを変えて移動し,X 看護師に
向き合う.
11 Y く ん は,「 あ の さ …, マ マ が 来 て か ら じ ゃ だ
め?」と,X 看護師の顔を見上げながら言う.
12 これまで笑顔だった X 看護師は,徐々に頬を下げ,
目に力が入り,少し険しい表情になり,Y くんか
ら 20 cm 位まで顔を近づけ,Y くんの目を見なが
ら,「あのね,ママが来る前にきれいにしといた
ら,ママといっぱい遊べるんだよ.今,がんばっ
たほうがいいよ」と,一語ずつはっきりと,説得
するように言う.
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13 Y くんは自分の足もとに視線を移し,看護師にし
か 聞 こ え な い 位 小 さ な 声 で, 途 切 れ 途 切 れ に,
「だって….テレビ,まだ終わってない….やだよ
….(足を洗うのは)後がいい…」と言い,口をと
がらせ,眉間にしわを寄せて,不満そうである.
14 X 看護師は少し険しい表情のまま,「テレビを見な
がらでもいいから,がんばって,やってしまおう
よ.X さんは,早く終わらせたほうが絶対いいと
思うよ」と,早口かつ強い口調で説き伏せるよう
に言う.
15 Y くんは眉間にしわを寄せ,口をへの字にしたま
ま,首を横に小さく 1 回振るが,
16 X 看護師は素早く Y くんの殿部に両手を回し,殿
部を引きずらせて,Y くんの身体をベッドの端ま
で 40 cm 程,引き寄せる.
17 ベッド端に動かされた Y くんは,ゆっくりと視線
を洗面器に落として,眉尻を下げ,諦めたように,
椅子の上に置かれた直径 40 cm 程の洗面器の中の
お湯に,右足,左足の順にゆっくりと入れる.
9:50 ∼ 51 場面 2:X 看護師が傷口のガーゼ交換を促し,Y くんが嫌がる
18 上半身が裸の Y くんは,ベッドの真ん中で,床頭
台の前に立つ X 看護師のほうを向いて両足を伸ば
し,両手を殿部の横につき,上半身を 30 度位後
ろに傾けて,背中を丸めた姿勢で座っており,リ
ラックスしているように見える.
19 顔を左側に向けて,目尻を下げ,歯が見える位に
口を開け,笑顔でテレビを見ている.
20 X 看護師は,テレビを見る Y くんのほうに,10 秒
に 1 回位視線を送りながら,ガーゼと 8 cm 位の
長さのテープ 2 本を床頭台の上に準備すると,
21 Y くんを上から見おろして,目元と口元を少し緩
めたにこやかな表情で,「じゃあ,ガーゼかえる
よ」と,はっきりとした強い口調で言う.
22 Y くんは,さっと顔を正面に戻して,目を丸く見
開 き, 驚 い た 表 情 に な り,X 看 護 師 を 見 上 げ,
「えっ⁉ やだ,やだっ!」と,病室中に聞こえる
程の大きな声で,はっきりと言う.
23 X 看護師は前かがみになり,自分の顔を Y くんの
顔から 20 cm 位の所まで近づけ,目に力を込め
て,真剣な表情になり,正面から Y くんを見つめ
て,「だって,ガーゼかえなくっちゃね!」と,語
尾の「ね」を強調して言いながら,
24 Y くんの右下腹部に貼ってあるガーゼに右手を伸
ばす.
25 Y くんは上半身を後ろへ引き「やだ∼!」と高く
て,病室中に聞こえる程の大きな声をあげ,両目
に涙を浮かべて泣き出す.
26 X 看護師の右手がガーゼから 5 cm 位まで近づく
と,
27 Y くんは顔を右にそむけ,口をへの字にして,X
看護師の肩を両手で押して突き放す.
(つづく)
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28 押されたはずみで,X 看護師の身体は Y くんの身
体から 30 cm 位離れるが,すぐに体勢を前かがみ
に戻して,目を通常より大きく開き,眉を吊り上
げて,険しい表情になり,「じゃあ,寝っころがっ
てやろうか? そのほうが痛くないから」と,今
までで 1 番大きな声を出し,早口で言って,
29 再度,Y くんの右下腹部のガーゼに右手を伸ばす.
30 Y くんは泣いて肩を震わせながら,X 看護師が近
づくことができないように,両手の指をひろげて
前に突き出し,自分の身体をガードする.
31 X 看護師は険しい表情のまま,背すじを伸ばし,
1 m 程の距離に近づくと聞こえる位の大きさの声
で「やめるの?」と,首を右に 30 度位傾けなが
ら尋ねる.
32 Y くんは X 看護師を見ず,床のほうに視線を向け,
眉間にしわを寄せて,「今はやだっ! 昨日怖かっ
たもん! ママと一緒がいい!」と,強い口調で
言う.
33 X 看護師は Y くんから 40 cm 位離れた所に立ち,
Y くんの顔を 3 秒程見つめた後,「昨日怖かったの
か∼.じゃあ,今はやめる? ママが来てからに
するのね?」と,語尾の「ね?」に力を込めて確
認する.
34 X 看護師は険しい表情を緩め,Y くんを見つめて,
「そうだね,後でママが来たら,かえようね」と,
ゆっくりとした口調で言う.
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