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メゾテリンは免疫療法の標的として用いることが可能であり、細胞溶解性
JP 2006-521090 A 2006.9.21 (57)【 要 約 】 メ ゾ テ リ ン は 免 疫 療 法 の 標 的 と し て 用 い る こ と が 可 能 で あ り 、 細 胞 溶 解 性 T細 胞 応 答 を 誘 導する。そのような応答を誘導するメゾテリンの部分を同定する。ワクチンはポリヌクレ オ チ ド ま た は ポ リ ペ プ チ ド の い ず れ か に 基 づ い た も の で あ り う る 。 細 胞 溶 解 性 T細 胞 応 答 を高めるための担体には細菌およびウイルスが含まれる。ワクチンならびに他の抗腫瘍療 法および予防法を試験するためのマウスモデルは、強力にメゾテリンを発現する、形質転 換された腹腔細胞株を含む。 (2) JP 2006-521090 A 2006.9.21 【特許請求の範囲】 【請求項1】 下 記 の 段 階 を 含 む 、 腫 瘍 の 由 来 元 で あ る 正 常 組 織 に 比 べ て メ ゾ テ リ ン ( mesothelin) を 過 剰 発 現 す る 腫 瘍 へ の T細 胞 応 答 の 誘 導 法 : 該 腫 瘍 を 有 す る 、 ま た は 該 腫 瘍 を 切 除 し た 患 者 に 、 メ ゾ テ リ ン の MHCク ラ ス I結 合 エ ピ ト ー プ を 含 む ポ リ ペ プ チ ド を 含 む ワ ク チ ン ( エ ピ ト ー プ は 、 患 者 に よ っ て 発 現 さ れ る MHCク ラ ス Iの 対 立 形 質 体 に 結 合 し 、 そ れ に よ り メ ゾ テ リ ン へ の T細 胞 応 答 が 誘 導 さ れ 、 ワ ク チ ン は全腫瘍細胞を含まない)を投与する段階。 【請求項2】 腫瘍が卵巣癌、膵臓癌、中皮腫、および扁平上皮癌からなる群より選択される、請求項 10 1記 載 の 方 法 。 【請求項3】 腫 瘍 が 膵 臓 癌 で あ る 、 請 求 項 1記 載 の 方 法 。 【請求項4】 腫 瘍 が 卵 巣 癌 で あ る 、 請 求 項 1記 載 の 方 法 。 【請求項5】 エ ピ ト ー プ が 下 記 か ら な る 群 よ り 選 択 さ れ る 、 請 求 項 1記 載 の 方 法 : 20 【請求項6】 ポ リ ペ プ チ ド が 成 熟 メ ゾ テ リ ン で あ る 、 請 求 項 1記 載 の 方 法 。 【請求項7】 ポ リ ペ プ チ ド が メ ゾ テ リ ン の 一 次 翻 訳 産 物 で あ る 、 請 求 項 1記 載 の 方 法 。 【請求項8】 ポ リ ペ プ チ ド の 混 合 物 を 投 与 す る 、 請 求 項 1記 載 の 方 法 。 【請求項9】 ポ リ ペ プ チ ド が MHCク ラ ス I分 子 の 複 数 の 対 立 形 質 体 に 結 合 す る 、 請 求 項 8記 載 の 方 法 。 30 【請求項10】 ポ リ ペ プ チ ド が MHCク ラ ス I分 子 の 単 一 の 対 立 形 質 体 に 結 合 す る 、 請 求 項 8記 載 の 方 法 。 【請求項11】 ポ リ ペ プ チ ド が 1つ の ア ル ゴ リ ズ ム を 用 い て MHCク ラ ス I結 合 エ ピ ト ー プ で あ る よ う に 選 択 さ れ る 、 請 求 項 1記 載 の 方 法 。 【請求項12】 ポ リ ペ プ チ ド が 2つ の ア ル ゴ リ ズ ム を 用 い て MHCク ラ ス I結 合 エ ピ ト ー プ で あ る よ う に 選 択 さ れ る 、 請 求 項 1記 載 の 方 法 。 【請求項13】 T細 胞 応 答 が 特 異 的 CD8 + T細 胞 の 誘 導 で あ る 、 請 求 項 1記 載 の 方 法 。 40 【請求項14】 ワ ク チ ン が 無 細 胞 で あ る 、 請 求 項 1記 載 の 方 法 。 【請求項15】 ワクチンがフレキシネル菌、大腸菌、リステリア菌、エンテロコリチカ菌、ネズミチフ ス菌、チフス菌、およびマイコバクテリウムからなる群より選択される細菌を含む、請求 項 1記 載 の 方 法 。 【請求項16】 腫 瘍 の 退 行 を 誘 導 す る の に 十 分 な 量 で ワ ク チ ン を 投 与 す る 、 請 求 項 1記 載 の 方 法 。 【請求項17】 腫瘍切除後に患者を腫瘍のない状態に維持するのに十分な量でワクチンを投与する、請 50 (3) JP 2006-521090 A 2006.9.21 求 項 1記 載 の 方 法 。 【請求項18】 下記の段階を含む、腫瘍の由来元である正常組織に比べてメゾテリンを過剰発現する腫 瘍 へ の T細 胞 応 答 の 誘 導 法 : 該 腫 瘍 を 有 す る 、 ま た は 該 腫 瘍 を 切 除 し た 患 者 に 、 メ ゾ テ リ ン の MHCク ラ ス II結 合 エ ピ ト ー プ を 含 む ポ リ ペ プ チ ド を 含 む ワ ク チ ン ( エ ピ ト ー プ は 、 患 者 に よ っ て 発 現 さ れ る MHC ク ラ ス IIの 対 立 形 質 体 に 結 合 し 、 そ れ に よ り メ ゾ テ リ ン へ の T細 胞 応 答 が 誘 導 さ れ 、 ワ ク チンは全腫瘍細胞を含まない)を投与する段階。 【請求項19】 下記の段階を含む、腫瘍細胞の由来元である正常細胞に比べてメゾテリンを過剰発現す 10 る 腫 瘍 細 胞 へ の T細 胞 応 答 の 誘 導 法 : メ ゾ テ リ ン を 過 剰 発 現 す る 腫 瘍 発 生 の リ ス ク が 高 い 患 者 に 、 メ ゾ テ リ ン の MHCク ラ ス I結 合 エ ピ ト ー プ ま た は メ ゾ テ リ ン の MHCク ラ ス II結 合 エ ピ ト ー プ を 含 む ポ リ ペ プ チ ド を 含 む ワ ク チ ン ( エ ピ ト ー プ は 、 患 者 に よ っ て 発 現 さ れ る MHCク ラ ス Iま た は ク ラ ス IIの 対 立 形 質 体 に 結 合 し 、 そ れ に よ り メ ゾ テ リ ン へ の T細 胞 応 答 が 誘 導 さ れ 、 ワ ク チ ン は 全 腫 瘍 細 胞 を 含まない)を投与する段階。 【請求項20】 患者が腫瘍の由来元である正常組織に比べてメゾテリンを過剰発現する腫瘍を誘導する こ と が 知 ら れ て い る 発 癌 物 質 に 曝 露 さ れ た 、 請 求 項 19記 載 の 方 法 。 【請求項21】 20 発 癌 物 質 が ア ス ベ ス ト で あ る 、 請 求 項 20記 載 の 方 法 。 【請求項22】 下記の段階を含む、腫瘍の由来元である正常組織に比べてメゾテリンを過剰発現する腫 瘍 へ の T細 胞 応 答 の 誘 導 法 : 該 腫 瘍 を 有 す る 、 ま た は 該 腫 瘍 を 切 除 し た 患 者 に 、 メ ゾ テ リ ン の MHCク ラ ス I結 合 エ ピ ト ープを含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド含むワクチン(エピトープは、患 者 に よ っ て 発 現 さ れ る MHCク ラ ス Iの 対 立 形 質 体 に 結 合 し 、 そ れ に よ り メ ゾ テ リ ン へ の T細 胞応答が誘導され、ワクチンは全腫瘍細胞を含まない)を投与する段階を含む方法。 【請求項23】 腫瘍が卵巣癌、膵臓癌、中皮腫、および扁平上皮癌からなる群より選択される、請求項 30 22記 載 の 方 法 。 【請求項24】 腫 瘍 が 膵 臓 癌 で あ る 、 請 求 項 22記 載 の 方 法 。 【請求項25】 腫 瘍 が 卵 巣 癌 で あ る 、 請 求 項 22記 載 の 方 法 。 【請求項26】 エ ピ ト ー プ が 下 記 か ら な る 群 よ り 選 択 さ れ る 、 請 求 項 22記 載 の 方 法 : 40 【請求項27】 ポ リ ペ プ チ ド が 成 熟 メ ゾ テ リ ン で あ る 、 請 求 項 22記 載 の 方 法 。 【請求項28】 ポ リ ペ プ チ ド が メ ゾ テ リ ン の 一 次 翻 訳 産 物 で あ る 、 請 求 項 22記 載 の 方 法 。 【請求項29】 ワクチンがポリペプチドの混合物をコードする一つまたは複数のポリヌクレオチドを含 む 、 請 求 項 22記 載 の 方 法 。 【請求項30】 50 (4) JP 2006-521090 A 2006.9.21 ポ リ ペ プ チ ド が MHCク ラ ス I分 子 の 複 数 の 対 立 形 質 体 に 結 合 す る 、 請 求 項 29記 載 の 方 法 。 【請求項31】 ポ リ ペ プ チ ド が MHCク ラ ス I分 子 の 単 一 の 対 立 形 質 体 に 結 合 す る 、 請 求 項 29記 載 の 方 法 。 【請求項32】 ポ リ ペ プ チ ド が 1つ の ア ル ゴ リ ズ ム を 用 い て MHCク ラ ス I結 合 エ ピ ト ー プ で あ る よ う に 選 択 さ れ る 、 請 求 項 22記 載 の 方 法 。 【請求項33】 ポ リ ペ プ チ ド が 2つ の ア ル ゴ リ ズ ム を 用 い て MHCク ラ ス I結 合 エ ピ ト ー プ で あ る よ う に 選 択 さ れ る 、 請 求 項 22記 載 の 方 法 。 【請求項34】 T細 胞 応 答 が 特 異 的 CD8 10 + T細 胞 の 誘 導 で あ る 、 請 求 項 22記 載 の 方 法 。 【請求項35】 ワ ク チ ン が 無 細 胞 で あ る 、 請 求 項 22記 載 の 方 法 。 【請求項36】 ワクチンがフレキシネル菌、大腸菌、リステリア菌、エンテロコリチカ菌、ネズミチフ ス菌、チフス菌、およびマイコバクテリウムからなる群より選択される細菌を含む、請求 項 22記 載 の 方 法 。 【請求項37】 腫 瘍 の 退 行 を 誘 導 す る の に 十 分 な 量 で ワ ク チ ン を 投 与 す る 、 請 求 項 22記 載 の 方 法 。 【請求項38】 20 腫瘍切除後に患者を腫瘍のない状態に維持するのに十分な量でワクチンを投与する、請 求 項 22記 載 の 方 法 。 【請求項39】 下記の段階を含む、腫瘍の由来元である正常組織に比べてメゾテリンを過剰発現する腫 瘍 へ の T細 胞 応 答 の 誘 導 法 : 該 腫 瘍 を 有 す る 、 ま た は 該 腫 瘍 を 切 除 し た 患 者 に 、 メ ゾ テ リ ン の MHCク ラ ス II結 合 エ ピ トープを含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むワクチン(エピトープは 、 患 者 に よ っ て 発 現 さ れ る MHCク ラ ス IIの 対 立 形 質 体 に 結 合 し 、 そ れ に よ り メ ゾ テ リ ン へ の T細 胞 応 答 が 誘 導 さ れ 、 ワ ク チ ン は 全 腫 瘍 細 胞 を 含 ま な い ) を 投 与 す る 段 階 。 【請求項40】 30 下記の段階を含む、腫瘍細胞の由来元である正常細胞に比べてメゾテリンを過剰発現す る 腫 瘍 細 胞 へ の T細 胞 応 答 の 誘 導 法 : メ ゾ テ リ ン を 過 剰 発 現 す る 腫 瘍 発 生 の リ ス ク が 高 い 患 者 に 、 メ ゾ テ リ ン の MHCク ラ ス I結 合 エ ピ ト ー プ ま た は メ ゾ テ リ ン の MHCク ラ ス II結 合 エ ピ ト ー プ を 含 む ポ リ ペ プ チ ド を コ ー ド す る ポ リ ヌ ク レ オ チ ド を 含 む ワ ク チ ン ( エ ピ ト ー プ は 、 患 者 に よ っ て 発 現 さ れ る MHCク ラ ス Iま た は ク ラ ス IIの 対 立 形 質 体 に 結 合 し 、 そ れ に よ り メ ゾ テ リ ン へ の T細 胞 応 答 が 誘 導 され、ワクチンは全腫瘍細胞を含まない)を投与する段階。 【請求項41】 患者が腫瘍の由来元である正常組織に比べてメゾテリンを過剰発現する腫瘍を誘導する こ と が 知 ら れ て い る 発 癌 物 質 に 曝 露 さ れ た 、 請 求 項 40記 載 の 方 法 。 40 【請求項42】 発 癌 物 質 が ア ス ベ ス ト で あ る 、 請 求 項 41記 載 の 方 法 。 【請求項43】 下記の段階を含む、抗腫瘍ワクチンの候補として有用な免疫原の同定法: 腫瘍によって発現され、腫瘍由来元の正常組織によって最小限に発現される、または発 現されないタンパク質を選択する段階; 該タンパク質を含むワクチンを接種したヒトのリンパ球を試験して、該リンパ球が該タ ン パ ク 質 に 特 異 的 な CD8+ T細 胞 ま た は CD4+ T細 胞 ( 該 CD8+ T細 胞 ま た は CD4+ T細 胞 の 存 在 は 、 タ ン パ ク 質 が 抗 腫 瘍 ワ ク チ ン と し て 用 い る た め の 候 補 で あ る こ と を 示 す )を 含 む か ど うかを調べる段階。 50 (5) JP 2006-521090 A 2006.9.21 【請求項44】 ヒ ト が 抗 腫 瘍 免 疫 応 答 を 示 し て い る 、 請 求 項 43記 載 の 方 法 。 【請求項45】 ワ ク チ ン が 全 腫 瘍 細 胞 を 含 む 、 請 求 項 43記 載 の 方 法 。 【請求項46】 抗腫瘍免疫応答が、ワクチン接種を受けていない類似の個体群に比べて、外科的腫瘍切 除 後 の 無 疾 患 生 存 の 延 長 を 引 き 起 こ す 、 請 求 項 44記 載 の 方 法 。 【請求項47】 抗 腫 瘍 免 疫 応 答 が 腫 瘍 の 退 行 を 引 き 起 こ す 、 請 求 項 44記 載 の 方 法 。 【請求項48】 10 抗 腫 瘍 免 疫 応 答 が 生 存 期 間 の 延 長 を 引 き 起 こ す 、 請 求 項 44記 載 の 方 法 。 【請求項49】 抗 腫 瘍 免 疫 応 答 が 自 己 腫 瘍 細 胞 に 対 す る 遅 延 型 過 敏 で あ る 、 請 求 項 44記 載 の 方 法 。 【請求項50】 リ ン パ 球 を 試 験 し て 、 そ れ ら が ワ ク チ ン に よ っ て 発 現 さ れ な い 抗 原 に 特 異 的 な CD8+ T細 胞 ま た は CD4+ T細 胞 を 含 む か ど う か も 調 べ る 、 請 求 項 43記 載 の 方 法 。 【請求項51】 ヒ ト を そ の ワ ク チ ン へ の 応 答 に 基 づ い て 第 1群 は 応 答 者 を 含 み 、 第 2群 は 非 応 答 者 を 含 む 2群 に 分 割 し 、 前 記 CD8+ T細 胞 ま た は CD4+ T細 胞 が 非 応 答 者 よ り も 応 答 者 で よ り 高 頻 度 に 認められる場合、タンパク質は抗腫瘍ワクチンにおいて有用である可能性が高いと同定さ 20 れ る 、 請 求 項 43記 載 の 方 法 。 【請求項52】 応 答 者 は 自 己 腫 瘍 細 胞 へ の DTH応 答 を 示 す が 、 非 応 答 者 は 応 答 を 示 さ な い 、 請 求 項 51記 載の方法。 【請求項53】 応 答 者 は 非 応 答 者 よ り も 無 疾 患 生 存 の 期 間 が 長 い 、 請 求 項 51記 載 の 方 法 。 【請求項54】 下記の段階を含む、腫瘍ワクチン接種を受けた患者における、少なくとも一つのメゾテ リ ン の T細 胞 エ ピ ト ー プ を 含 む 腫 瘍 ワ ク チ ン へ の 将 来 の 応 答 の 予 測 法 : 患 者 の リ ン パ 球 を 試 験 し て 、 リ ン パ 球 が メ ゾ テ リ ン に 特 異 的 な CD8+ T細 胞 ま た は CD4+ T 30 細 胞 ( 該 CD8+ T細 胞 ま た は CD4+ T細 胞 の 存 在 に よ り 、 該 CD8+ T細 胞 が な い 場 合 よ り も 長 い 生存期間が予測される)を含むかどうかを調べる段階。 【請求項55】 ワ ク チ ン が 全 腫 瘍 細 胞 を 含 む 、 請 求 項 54記 載 の 方 法 。 【請求項56】 ワ ク チ ン が 膵 臓 腫 瘍 細 胞 を 含 み 、 抗 原 が メ ゾ テ リ ン で あ る 、 請 求 項 54記 載 の 方 法 。 【請求項57】 ワ ク チ ン が 卵 巣 腫 瘍 細 胞 を 含 み 、 抗 原 が メ ゾ テ リ ン で あ る 、 請 求 項 54記 載 の 方 法 。 【請求項58】 ワ ク チ ン が 中 皮 腫 細 胞 を 含 み 、 抗 原 が メ ゾ テ リ ン で あ る 、 請 求 項 54記 載 の 方 法 。 40 【請求項59】 + + 下 記 を 含 む 、 CD8 T細 胞 ま た は CD4 T細 胞 応 答 を 誘 導 す る ワ ク チ ン : メ ゾ テ リ ン の MHCク ラ ス Iま た は ク ラ ス II結 合 エ ピ ト ー プ を 含 む ポ リ ペ プ チ ド ( エ ピ ト ー プ は 、 患 者 に よ っ て 発 現 さ れ る MHCク ラ ス Iま た は ク ラ ス IIの 対 立 形 質 体 に 結 合 し 、 そ れ に + + よ り メ ゾ テ リ ン へ の CD8 T細 胞 ま た は CD4 T細 胞 応 答 が 誘 導 さ れ 、 ワ ク チ ン は 全 腫 瘍 細 胞 を 含まない);および + + CD8 T細 胞 ま た は CD4 T細 胞 免 疫 応 答 を 刺 激 す る た め の 担 体 。 【請求項60】 ポ リ ペ プ チ ド が MHCク ラ ス I結 合 エ ピ ト ー プ を 含 む 、 請 求 項 59記 載 の ワ ク チ ン 。 【請求項61】 50 (6) JP 2006-521090 A 2006.9.21 ポ リ ペ プ チ ド が 6か ら 20の 間 の ア ミ ノ 酸 残 基 を 含 む 、 請 求 項 59記 載 の ワ ク チ ン 。 【請求項62】 ポ リ ペ プ チ ド が 下 記 か ら な る 群 よ り 選 択 さ れ る エ ピ ト ー プ を 含 む 、 請 求 項 59記 載 の ワ ク チン: 【請求項63】 10 担 体 が CD40/CD40リ ガ ン ド で あ る 、 請 求 項 59記 載 の ワ ク チ ン 。 【請求項64】 担 体 が OX-40/OX-40リ ガ ン ド で あ る 、 請 求 項 59記 載 の ワ ク チ ン 。 【請求項65】 担 体 が CTLA-4ア ン タ ゴ ニ ス ト で あ る 、 請 求 項 59記 載 の ワ ク チ ン 。 【請求項66】 担 体 が GM-CSFで あ る 、 請 求 項 59記 載 の ワ ク チ ン 。 【請求項67】 + + 下 記 を 含 む 、 CD8 T細 胞 ま た は CD4 T細 胞 応 答 を 誘 導 す る ワ ク チ ン : メ ゾ テ リ ン の MHCク ラ ス Iま た は ク ラ ス II結 合 エ ピ ト ー プ を 含 む ポ リ ペ プ チ ド を コ ー ド す 20 る ポ リ ヌ ク レ オ チ ド ( エ ピ ト ー プ は 、 患 者 に よ っ て 発 現 さ れ る MHCク ラ ス Iま た は ク ラ ス II + + の 対 立 形 質 体 に 結 合 し 、 そ れ に よ り メ ゾ テ リ ン へ の CD8 T細 胞 ま た は CD4 T細 胞 応 答 が 誘 導 され、ワクチンは全腫瘍細胞を含まない);および + + CD8 T細 胞 ま た は CD4 T細 胞 免 疫 応 答 を 刺 激 す る た め の 担 体 。 【請求項68】 担 体 が CD40/CD40リ ガ ン ド で あ る 、 請 求 項 67記 載 の ワ ク チ ン 。 【請求項69】 担 体 が OX-40/OX-40リ ガ ン ド で あ る 、 請 求 項 67記 載 の ワ ク チ ン 。 【請求項70】 担 体 が CTLA-4ア ン タ ゴ ニ ス ト で あ る 、 請 求 項 67記 載 の ワ ク チ ン 。 30 【請求項71】 担 体 が GM-CSFで あ る 、 請 求 項 67記 載 の ワ ク チ ン 。 【請求項72】 ポ リ ペ プ チ ド が 下 記 か ら な る 群 よ り 選 択 さ れ る エ ピ ト ー プ を 含 む 、 請 求 項 67記 載 の ワ ク チン: 40 【請求項73】 細 菌 を 含 む 、 請 求 項 59記 載 の ワ ク チ ン 。 【請求項74】 細 菌 を 含 む 、 請 求 項 67記 載 の ワ ク チ ン 。 【請求項75】 細菌がフレキシネル菌、大腸菌、リステリア菌、エンテロコリチカ菌、ネズミチフス菌 、 チ フ ス 菌 、 お よ び マ イ コ バ ク テ リ ウ ム か ら な る 群 よ り 選 択 さ れ る 、 請 求 項 73記 載 の ワ ク チン。 【請求項76】 細菌がフレキシネル菌、大腸菌、リステリア菌、エンテロコリチカ菌、ネズミチフス菌 50 (7) JP 2006-521090 A 2006.9.21 、 チ フ ス 菌 、 お よ び マ イ コ バ ク テ リ ウ ム か ら な る 群 よ り 選 択 さ れ る 、 請 求 項 74記 載 の ワ ク チン。 【請求項77】 下 記 か ら な る 群 よ り 選 択 さ れ エ ピ ト ー プ を 含 む 、 9か ら 25ア ミ ノ 酸 残 基 の 単 離 ポ リ ペ プ チド: 10 【請求項78】 第 1の 部 分 が 下 記 か ら な る 群 よ り 選 択 さ れ エ ピ ト ー プ を 含 む 9か ら 25ア ミ ノ 酸 残 基 の ポ リ ペプチドを含み: 第 2の 部 分 が 少 な く と も 6ア ミ ノ 酸 残 基 の セ グ メ ン ト を 含 む ( 第 2の 部 分 の 配 列 は メ ゾ テ リ ン で は な い ) 、 第 1お よ び 第 2の 部 分 を 含 む 融 合 タ ン パ ク 質 。 20 【請求項79】 下 記 か ら な る 群 よ り 選 択 さ れ エ ピ ト ー プ を 含 む 、 9か ら 25ア ミ ノ 酸 残 基 の ポ リ ペ プ チ ド をコードする発現ベクター: 【請求項80】 請 求 項 79記 載 の 発 現 ベ ク タ ー を 含 む 細 菌 。 30 【請求項81】 フレキシネル菌、大腸菌、リステリア菌、エンテロコリチカ菌、ネズミチフス菌、チフ ス 菌 、 お よ び マ イ コ バ ク テ リ ウ ム か ら な る 群 よ り 選 択 さ れ る 、 請 求 項 80記 載 の 細 菌 。 【請求項82】 請 求 項 78記 載 の 融 合 タ ン パ ク 質 を コ ー ド す る 発 現 ベ ク タ ー 。 【請求項83】 請 求 項 82記 載 の 発 現 ベ ク タ ー を 含 む 細 菌 。 【請求項84】 フレキシネル菌、大腸菌、リステリア菌、エンテロコリチカ菌、ネズミチフス菌、チフ ス 菌 、 お よ び マ イ コ バ ク テ リ ウ ム か ら な る 群 よ り 選 択 さ れ る 、 請 求 項 83記 載 の 細 菌 。 【請求項85】 下記からなる群より選択されるエピトープに結合する単離抗体: 【請求項86】 下 記 か ら な る 群 よ り 選 択 さ れ る エ ピ ト ー プ に 結 合 す る T細 胞 株 : 40 (8) JP 2006-521090 A 2006.9.21 【請求項87】 MHCク ラ ス I分 子 に 結 合 す る 、 請 求 項 77記 載 の ポ リ ペ プ チ ド 。 【請求項88】 MHCク ラ ス I分 子 に 結 合 す る 、 請 求 項 78記 載 の 融 合 タ ン パ ク 質 。 10 【請求項89】 担 体 が MHCク ラ ス I分 子 で あ る 、 請 求 項 59記 載 の ワ ク チ ン 。 【請求項90】 MHCク ラ ス I分 子 が 樹 状 細 胞 上 に あ る 、 請 求 項 87記 載 の ポ リ ペ プ チ ド 。 【請求項91】 MHCク ラ ス I分 子 が 樹 状 細 胞 上 に あ る 、 請 求 項 88記 載 の 融 合 タ ン パ ク 質 。 【請求項92】 MHCク ラ ス I分 子 が 樹 状 細 胞 上 に あ る 、 請 求 項 89記 載 の ワ ク チ ン 。 【請求項93】 MHCク ラ ス I分 子 が 抗 原 提 示 細 胞 上 に あ る 、 請 求 項 87記 載 の ポ リ ペ プ チ ド 。 20 【請求項94】 MHCク ラ ス I分 子 が 抗 原 提 示 細 胞 上 に あ る 、 請 求 項 88記 載 の ポ リ ペ プ チ ド 。 【請求項95】 MHCク ラ ス I分 子 が 抗 原 提 示 細 胞 上 に あ る 、 請 求 項 89記 載 の ワ ク チ ン 。 【請求項96】 下記の段階を含む、ワクチン接種を受けた患者における腫瘍ワクチンへの将来の応答の 予測法: 患 者 を 試 験 し て 、 患 者 が メ ゾ テ リ ン へ の 遅 延 型 過 敏 ( DTH) 応 答 ( 該 応 答 の 存 在 に よ り 、該応答がない場合よりも長い生存期間が予測される)を有するかどうかを調べる段階。 【請求項97】 30 ワ ク チ ン が 全 腫 瘍 細 胞 を 含 む 、 請 求 項 96記 載 の 方 法 。 【請求項98】 ワ ク チ ン が 膵 臓 腫 瘍 細 胞 を 含 む 、 請 求 項 96記 載 の 方 法 。 【請求項99】 ワ ク チ ン が 卵 巣 腫 瘍 細 胞 を 含 む 、 請 求 項 96記 載 の 方 法 。 【請求項100】 ワ ク チ ン が 中 皮 腫 細 胞 を 含 む 、 請 求 項 96記 載 の 方 法 。 【請求項101】 HPV-16 E6お よ び E7な ら び に 活 性 化 癌 遺 伝 子 に よ っ て 形 質 転 換 さ れ た 腹 腔 細 胞 を 含 む 組 換えマウス細胞株であって、免疫適格マウスへの腹腔内注入により腹水および腫瘍を生成 40 することが可能である細胞株。 【請求項102】 活 性 化 癌 遺 伝 子 が 活 性 化 c-Ha-rasで あ る 、 請 求 項 101記 載 の 組 換 え マ ウ ス 細 胞 株 。 【請求項103】 メ ゾ テ リ ン を 発 現 す る 、 請 求 項 101記 載 の 組 換 え マ ウ ス 細 胞 株 。 【請求項104】 WF-3で あ る 、 請 求 項 101記 載 の 組 換 え マ ウ ス 細 胞 株 。 【請求項105】 請 求 項 101記 載 の 組 換 え マ ウ ス 細 胞 株 を 注 入 さ れ た マ ウ ス を 含 む 、 マ ウ ス モ デ ル 。 【請求項106】 50 (9) JP 2006-521090 A 2006.9.21 免 疫 適 格 で あ る 、 請 求 項 105記 載 の マ ウ ス モ デ ル 。 【請求項107】 下記の段階を含む、物質が卵巣癌、膵臓癌、中皮腫、および扁平上皮癌からなる群より 選択される癌を治療する可能性のある薬物であるかどうかを調べるための試験法: 請 求 項 105記 載 の マ ウ ス モ デ ル を 試 験 物 質 と 接 触 さ せ る 段 階 ; お よ び 試験物質がマウスモデルの腫瘍の退行、マウスモデルの腹水量の減少、またはマウスモ デルの生存期間の延長を引き起こすかどうかを評価する段階。 【請求項108】 下記の段階を含む、物質が卵巣癌、膵臓癌、中皮腫、および扁平上皮癌からなる群より 選択される癌を治療する可能性のある薬物であるかどうかを調べるための試験法: 10 マウスを試験物質と接触させる段階; マ ウ ス に 請 求 項 101記 載 の 組 換 え 細 胞 株 を 注 入 す る 段 階 ; 試験物質がマウスの腫瘍の退行、マウスの腹水量の減少、またはマウスの生存期間の延 長を引き起こすかどうかを評価する段階。 【請求項109】 ポ リ ペ プ チ ド が メ ゾ テ リ ン で あ る 、 請 求 項 59記 載 の ワ ク チ ン 。 【請求項110】 ポ リ ペ プ チ ド が メ ゾ テ リ ン で あ る 、 請 求 項 1記 載 の 方 法 。 【請求項111】 ポ リ ペ プ チ ド が メ ゾ テ リ ン で あ る 、 請 求 項 22記 載 の 方 法 。 20 【請求項112】 ポ リ ペ プ チ ド が メ ゾ テ リ ン で あ る 、 請 求 項 67記 載 の ワ ク チ ン 。 【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 下 記 の 各 出 願 の 内 容 は 特 に 本 明 細 書 に 組 み 込 ま れ る : 2002年 7月 12日 出 願 の 米 国 特 許 仮 出 願 第 60/395,556号 、 2002年 7月 24日 出 願 の 第 60/398,217号 、 2002年 9月 30日 出 願 の 第 60/4 14,931号 、 お よ び 2003年 6月 5日 出 願 の 第 60/475,783号 。 【0002】 本 発 明 は 米 国 政 府 か ら の 基 金 を 用 い て 行 っ た 。 助 成 金 NCI CA62924、 NCI RO1 CA72631、 30 NCI RO1 CA71806、 U19 CA72108-02、 お よ び NCDDG RFA CA-95-020の 条 件 は 、 米 国 政 府 が 本 発明において特定の権利を有することを定めている。 【0003】 本特許文書の開示の一部は、著作権保護下の内容を含む。著作権所有者は、これは特許 および特許商標庁の特許ファイルまたは記録に記載されるため、特許文書または特許開示 のいずれによる複写再生にも異論はないが、それ以外は何があってもすべての著作権を所 有する。 【0004】 発明の分野 本発明は、癌の治療法、癌の予後、および抗癌剤開発の分野に関する。いくつかの局面 40 に お い て 、 本 発 明 は 治 療 標 的 と し て の メ ゾ テ リ ン ( mesothelin) に 関 す る 。 も う 一 つ の 局 面において、本発明は他の治療標的の開発に関する。 【背景技術】 【0005】 発明の背景 正常から悪性細胞への形質転換は、多数の遺伝子に影響をおよぼす複雑な遺伝的および 後 成 的 変 化 を 含 む ( 1、 2) 。 こ れ ら の 変 化 し た 遺 伝 子 の 多 く は 、 免 疫 拒 絶 の 標 的 候 補 と な りうる新しい、変化した、または過剰発現されたタンパク質に翻訳される。腫瘍細胞から 単 離 さ れ た cDNAラ イ ブ ラ リ の T細 胞 ス ク リ ー ニ ン グ 、 主 要 組 織 適 合 複 合 体 ( MHC) 結 合 抗 原 の生化学的溶出および精製、ならびにファージディスプレイライブラリの抗体スクリーニ 50 (10) JP 2006-521090 A 2006.9.21 ン グ ( SEREX法 ) は 、 腫 瘍 抗 原 、 特 に 悪 性 黒 色 腫 に よ り 発 現 さ れ る も の の 同 定 を お お い に 促 進 し た ( 3∼ 13) 。 そ の 結 果 、 い く つ か の 抗 原 特 異 的 ワ ク チ ン ア プ ロ ー チ が こ の 疾 患 に 対 し て 臨 床 開 発 中 で あ る ( 3∼ 6、 14) 。 残 念 な こ と に 、 こ れ ら の 抗 原 同 定 ア プ ロ ー チ は 、 多くの他の一般的な癌により発現される抗原の同定には成功していない。主な制限は、免 疫 関 連 腫 瘍 標 的 を 同 定 す る た め に 用 い る こ と が で き る 患 者 由 来 T細 胞 株 お よ び ク ロ ー ン の 生 成 が で き な い こ と で あ っ た 。 さ ら に 、 特 異 的 ヒ ト 腫 瘍 抗 原 に 対 す る T細 胞 応 答 は 免 疫 療 法後の臨床応答と相関付けられていない。 【0006】 ヒト組織内の遺伝子発現を定量することができる高処理量技術の最近の発展は、腫瘍由 来 元 の 正 常 組 織 に 比 べ て 腫 瘍 で 差 次 的 に 発 現 さ れ る 多 数 の 遺 伝 子 の 同 定 に つ な が っ た ( 15 10 ∼ 18) 。 こ れ ら の 遺 伝 子 発 現 デ ー タ ベ ー ス は 、 免 疫 に よ る 機 能 的 ス ク リ ー ニ ン グ 法 を 適 用 す る 最 初 の フ ィ ル タ ー と し て 用 い る こ と が で き る ( 19) 。 連 続 的 遺 伝 子 発 現 解 析 ( serial analysis of gene expression( SAGE) ) 法 を 用 い て 膵 腺 癌 で 差 次 的 に 発 現 さ れ る こ と が 明 ら か に さ れ た 、 徐 々 に 増 え つ つ あ る 遺 伝 子 が 表 に ま と め ら れ 、 報 告 さ れ て い る ( 20∼ 22 )。しかし、これらの差次的に発現される遺伝子のどれが抗腫瘍応答に免疫学的に関連し ているのかは不明である。当技術分野において、腫瘍および正常組織で差次的に発現され るタンパク質のうち、免疫学的に関連するタンパク質を同定する方法が必要とされている 。 【発明の開示】 【0007】 20 発明の概要 第一の態様において、腫瘍の由来元である正常組織に比べてメゾテリンを過剰発現する 腫 瘍 へ の T細 胞 応 答 の 誘 導 法 が 提 供 さ れ る 。 腫 瘍 は 、 例 え ば 、 卵 巣 癌 、 膵 臓 癌 、 中 皮 腫 、 ま た は 扁 平 上 皮 癌 で あ り う る 。 メ ゾ テ リ ン の MHCク ラ ス Iま た は ク ラ ス II結 合 エ ピ ト ー プ を 含むポリペプチドを含むワクチンを、前記腫瘍を有する、または前記腫瘍を切除した患者 に投与する。患者はそのような腫瘍発生の高リスク患者であってもよい。エピトープは、 患 者 に よ っ て 発 現 さ れ る MHCク ラ ス Iま た は MHCク ラ ス IIの 対 立 形 質 体 に 結 合 す る 。 そ れ に よ り メ ゾ テ リ ン へ の T細 胞 応 答 が 誘 導 さ れ る 。 ワ ク チ ン は 全 腫 瘍 細 胞 を 含 ま な い 。 ポ リ ペ + + プ チ ド は 選 択 的 に メ ゾ テ リ ン で あ る 。 T細 胞 応 答 は CD4 T細 胞 応 答 お よ び /ま た は CD8 T細 胞 応答でありうる。 30 【0008】 第二の態様において、腫瘍の由来元である正常組織に比べてメゾテリンを過剰発現する 腫 瘍 へ の T細 胞 応 答 の 誘 導 法 が 提 供 さ れ る 。 腫 瘍 は 、 例 え ば 、 卵 巣 癌 、 膵 臓 癌 、 中 皮 腫 、 ま た は 扁 平 上 皮 癌 で あ り う る 。 メ ゾ テ リ ン の MHCク ラ ス Iま た は ク ラ ス II結 合 エ ピ ト ー プ を 含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含むワクチンを、前記腫瘍を有する、 または前記腫瘍を切除した患者に投与する。患者はそのような腫瘍発生の高リスク患者で あ っ て も よ い 。 エ ピ ト ー プ は 、 患 者 に よ っ て 発 現 さ れ る MHCク ラ ス Iま た は ク ラ ス IIの 対 立 形 質 体 に 結 合 す る 。 そ れ に よ り メ ゾ テ リ ン へ の T細 胞 応 答 が 誘 導 さ れ る 。 ワ ク チ ン は 全 腫 瘍細胞を含まない。ワクチンのポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドは選 + + 択 的 に メ ゾ テ リ ン で あ る 。 T細 胞 応 答 は CD4 T細 胞 応 答 お よ び /ま た は CD8 T細 胞 応 答 で あ り 40 うる。 【0009】 第三の態様において、抗腫瘍ワクチンの候補として有用な免疫原の同定法が提供される 。腫瘍によって発現され、腫瘍由来元の正常組織によって最小限に発現される、または発 現されないタンパク質を選択する。好ましくは、タンパク質は、一つの腫瘍タイプで試験 し た 腫 瘍 単 離 物 の 10% よ り も 多 く で 発 現 さ れ る 。 タ ン パ ク 質 を 発 現 す る ワ ク チ ン を 接 種 し + た ヒ ト の リ ン パ 球 を 試 験 し て 、 リ ン パ 球 が そ の タ ン パ ク 質 に 特 異 的 な CD8 T細 胞 ま た は CD4 + + + T細 胞 を 含 む か ど う か を 調 べ る 。 こ の CD8 T細 胞 ま た は CD4 T細 胞 の 存 在 は 、 タ ン パ ク 質 が 抗腫瘍ワクチンとして用いるための候補であることを示す。 【0010】 50 (11) JP 2006-521090 A 2006.9.21 本発明の第四の態様は、腫瘍ワクチン接種を受けた患者における腫瘍ワクチンへの将来 の応答の予測法を提供する。患者のリンパ球を試験して、リンパ球がワクチン中の抗原に + + + + 特 異 的 な CD8 T細 胞 ま た は CD4 T細 胞 を 含 む か ど う か を 調 べ る 。 こ の CD8 T細 胞 ま た は CD4 T + + 細 胞 の 存 在 に よ り 、 CD8 T細 胞 ま た は CD4 T細 胞 が な い 場 合 よ り も 長 い 生 存 期 間 が 予 測 さ れ る。 【0011】 + + 本 発 明 の 第 五 の 態 様 は 、 CD8 T細 胞 ま た は CD4 T細 胞 応 答 を 誘 導 す る ワ ク チ ン を 提 供 す る 。 こ の ワ ク チ ン は メ ゾ テ リ ン の MHCク ラ ス Iま た は MHCク ラ ス II結 合 エ ピ ト ー プ を 含 む ポ リ ペ プ チ ド を 含 む 。 エ ピ ト ー プ は 患 者 に よ っ て 発 現 さ れ る MHCク ラ ス Iま た は ク ラ ス IIの 対 立 形 質 体 に 結 合 す る 。 そ れ に よ り メ ゾ テ リ ン へ の T細 胞 応 答 が 誘 導 さ れ る 。 ワ ク チ ン は 全 腫 10 瘍 細 胞 を 含 ま な い 。 ワ ク チ ン は T細 胞 免 疫 応 答 を 刺 激 す る た め の 担 体 を さ ら に 含 む 。 ポ リ ペプチドは選択的にメゾテリンである。 【0012】 + + 本 発 明 の も う 一 つ の 態 様 は 、 CD8 T細 胞 ま た は CD4 T細 胞 応 答 を 誘 導 す る も う 一 つ の ワ ク チ ン を 提 供 す る 。 こ の ワ ク チ ン は メ ゾ テ リ ン の MHCク ラ ス Iま た は MHCク ラ ス II結 合 エ ピ ト ープを含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む。エピトープは患者によっ て 発 現 さ れ る MHCク ラ ス Iま た は ク ラ ス IIの 対 立 形 質 体 に 結 合 す る 。 そ れ に よ り メ ゾ テ リ ン + + へ の CD8 T細 胞 ま た は CD4 T細 胞 応 答 が 誘 導 さ れ る 。 ワ ク チ ン は 全 腫 瘍 細 胞 を 含 ま な い 。 ワ ク チ ン は T細 胞 免 疫 応 答 を 刺 激 す る た め の 担 体 を さ ら に 含 む 。 ワ ク チ ン の ポ リ ヌ ク レ オ チ ドによってコードされるポリペプチドは選択的にメゾテリンである。 20 【0013】 本 発 明 の も う 一 つ の 態 様 は 、 9か ら 25ア ミ ノ 酸 残 基 の 単 離 ポ リ ペ プ チ ド を 提 供 す る 。 ポ リペプチドは下記からなる群より選択されるエピトープを含む: 【0014】 本発明のさらにもう一つの態様は、下記からなる群より選択されるエピトープに結合す 30 る抗体を提供する: 【0015】 本発明のさらにもう一つの態様は、ペプチドが下記からなる群より選択されるエピトー + + プ を 含 む 、 MHCク ラ ス Iペ プ チ ド 複 合 体 に 結 合 す る CD8 T細 胞 ま た は CD4 T細 胞 株 を 提 供 す る : 40 【0016】 本発明の第十の態様は、ワクチン接種を受けた患者における腫瘍ワクチンへの将来の応 答 の 予 測 法 を 提 供 す る 。 腫 瘍 ワ ク チ ン は 少 な く と も 一 つ の メ ゾ テ リ ン の T細 胞 エ ピ ト ー プ を 含 む 。 患 者 を 試 験 し て 、 患 者 が メ ゾ テ リ ン へ の 遅 延 型 過 敏 ( DTH) 応 答 を 有 す る か ど う かを調べる。この応答の存在により、この応答がない場合よりも長い生存期間が予測され 50 (12) JP 2006-521090 A 2006.9.21 る。 【0017】 本 発 明 の 第 十 一 の 態 様 は 、 HPV-16遺 伝 子 E6お よ び E7な ら び に 活 性 化 癌 遺 伝 子 に よ っ て 形 質転換された腹腔細胞を含む組換えマウス細胞株を提供する。この細胞株は免疫適格マウ スへの腹腔内注入により腹水および腫瘍を生成することが可能である。 【0018】 同じく、組換えマウス細胞株を注入されたマウスを含むマウスモデルも提供される。組 換 え マ ウ ス 細 胞 株 は HPV-16遺 伝 子 E6お よ び E7な ら び に 活 性 化 癌 遺 伝 子 に よ っ て 形 質 移 入 さ れた腹腔細胞を含む。前者の遺伝子は不死化し、後者は形質転換する。この細胞株は免疫 適格マウスへの腹腔内注入により腹水および腫瘍を生成することが可能である。 10 【0019】 本発明のもう一つの局面は、物質が癌を治療する可能性のある薬物であるかどうかを調 べるための試験法である。癌は、例えば、卵巣癌、膵臓癌、中皮腫、または扁平上皮癌で ありうる。試験物質をマウスモデルと接触させる。マウスモデルは、組換えマウス細胞株 を注入したマウスを含む。注入は、試験物質をマウスと接触させる前または後に実施する こ と が で き る 。 組 換 え マ ウ ス 細 胞 株 は HPV-16遺 伝 子 E6お よ び E7な ら び に 活 性 化 癌 遺 伝 子 に よって形質移入された腹腔細胞を含む。この細胞株は免疫適格マウスへの腹腔内注入によ り腹水および腫瘍を生成することが可能である。試験物質が、マウスモデルの腫瘍形成の 遅延もしくは腫瘍の退行、マウスモデルの腹水量の減少、またはマウスモデルの生存期間 の延長を引き起こすかどうかを評価する。これらの効果のいずれも、試験物質が癌を治療 20 する可能性のある薬物であることを示している。 【0020】 発明の詳細な説明 遺伝子発現を定量する高処理量技術の最近の発展は、ヒトの癌で差次的に発現される多 くの遺伝子の同定につながった。しかし、差次的発現は、それ自体では、抗原が治療標的 であることを示すものではない。したがって、免疫学的に関連する腫瘍抗原を同定するた め に 、 機 能 的 免 疫 学 的 ス ク リ ー ン を SAGE遺 伝 子 発 現 デ ー タ ベ ー ス に 適 用 し た 。 発 明 者 ら は 以 前 、 膵 臓 腫 瘍 ワ ク チ ン 接 種 を 受 け て い る 患 者 14名 の う ち 3名 で 、 無 疾 患 生 存 の 延 長 お よ び抗腫瘍免疫のインビボ誘導が合わせて見られることを報告した。ここで、発明者らはメ ゾ テ リ ン が 、 こ れ ら の ワ ク チ ン 接 種 を 受 け た 患 者 か ら 単 離 さ れ た 未 培 養 CD8+ T細 胞 に よ っ 30 て認識される腫瘍抗原であることを同定する。さらに、同じワクチン接種を受けたが、再 発 し た 11名 の 他 の 患 者 で は 、 メ ゾ テ リ ン 特 異 的 T細 胞 の 誘 導 は 見 ら れ な か っ た 。 腫 瘍 抗 原 としてのメゾテリンの有効性を確認するために、発明者らはもう一つの差次的に発現され た遺伝子産物、前立腺幹細胞抗原に対して、患者は一名も応答しないことを示す。これら のデータは、メゾテリンが臨床抗癌応答に相関するワクチン誘導性免疫応答のインビトロ マーカーであることを同定するものである。発明者らは、他の免疫学的に関連するヒト腫 瘍抗原を同定および有効性確認するための、機能的ゲノムアプローチについても記載する 。 【0021】 本 発 明 の ワ ク チ ン は 、 T細 胞 の 細 胞 溶 解 応 答 を 誘 導 す る た め に 当 技 術 分 野 に お い て 公 知 40 のいかなる手段によっても投与することができる。これらの手段には、経口投与、静脈注 射、経皮乱切、皮下注射、筋肉内注射、および鼻腔内投与が含まれる。ワクチンは、遺伝 子 銃 に よ っ て 皮 内 投 与 す る こ と も で き る 。 DNAで コ ー テ ィ ン グ し た 金 粒 子 を 遺 伝 子 銃 で 用 いてもよい。当技術分野において公知の他の接種経路も用いることができる。 【0022】 細 胞 溶 解 T細 胞 応 答 を 高 め る の に 有 益 な 他 の 物 質 も 用 い る こ と が で き る 。 そ の よ う な 物 質 は 本 明 細 書 に お い て 担 体 と 呼 ば れ る 。 こ れ ら に は 、 B7同 時 刺 激 分 子 、 イ ン タ ー ロ イ キ ン -2、 イ ン タ ー フ ェ ロ ン -γ 、 GM-CSF、 CTLA-4ア ン タ ゴ ニ ス ト 、 OX-40/OX-40リ ガ ン ド 、 CD40 /CD40リ ガ ン ド 、 サ ル グ ラ モ ス テ ィ ム 、 レ バ ミ ゾ ー ル 、 ワ ク チ ニ ア ウ イ ル ス 、 カ ル メ ッ ト ゲ ラ ン 杆 菌 ( BCG) 、 リ ポ ソ ー ム 、 ミ ョ ウ バ ン 、 フ ロ イ ン ト 完 全 ま た は 不 完 全 ア ジ ュ バ ン 50 (13) JP 2006-521090 A 2006.9.21 ト、解毒エンドトキシン、鉱油、リポレシチン、プルロニックポリオール、ポリアニオン 、ペプチド、および油などの界面活性物質、または炭化水素乳剤が含まれるが、これらに 限 定 さ れ る こ と は な い 。 抗 体 応 答 に 対 し て 細 胞 溶 解 T細 胞 応 答 を 優 先 的 に 刺 激 す る T細 胞 免 疫応答を誘導するための担体が好ましいが、両方のタイプの応答を刺激するものも用いる ことができる。物質がポリペプチドである場合、ポリペプチド自体またはポリペプチドを コ ー ド す る ポ リ ヌ ク レ オ チ ド を 投 与 す る こ と が で き る 。 担 体 は 抗 原 提 示 細 胞 ( APC) ま た は樹状細胞などの細胞であってもよい。抗原提示細胞にはマクロファージ、樹状細胞およ び B細 胞 な ど の 細 胞 型 が 含 ま れ る 。 他 の プ ロ フ ェ ッ シ ョ ナ ル 抗 原 提 示 細 胞 に は 、 単 球 、 帯 域クッパー細胞、ミクログリア、ランゲルハンス細胞、嵌合樹状細胞、濾胞樹状細胞、お よ び T細 胞 が 含 ま れ る 。 条 件 的 ( facultative) 抗 原 提 示 細 胞 も 用 い る こ と が で き る 。 任 意 10 抗原提示細胞の例には、星状細胞、濾胞細胞、内皮および線維芽細胞が含まれる。担体は 、ポリペプチドを発現するため、または後にワクチン接種された個人の細胞内で発現され るポリヌクレオチドを送達するために形質転換される細菌細胞であってもよい。水酸化ア ルミニウムまたはリン酸アルミニウムなどのアジュバントを加えて、ワクチンが免疫応答 を誘発、増強、または延長する能力を高めることもできる。サイトカイン、ケモカイン、 お よ び CpGの よ う な 細 菌 核 酸 配 列 な ど の 他 の 材 料 も ア ジ ュ バ ン ト で あ る 可 能 性 が あ る 。 ア ジュバントの他の典型例には、キラヤの樹皮から精製した均質サポニンを含む合成アジュ バ ン ト QS-21お よ び コ リ ネ バ ク テ リ ウ ム -パ ル ブ ム が 含 ま れ る ( McCuneら 、 Cancer, 1979; 43:1619) 。 ア ジ ュ バ ン ト を 最 適 化 に か け る こ と は 理 解 さ れ る と 思 わ れ る 。 す な わ ち 、 当 業者であれば、用いるのに最良のアジュバントを決定するための日常的実験に携わること 20 ができる。 【0023】 保存剤、安定化剤、アジュバント、抗生物質、および他の物質などのさらなる添加物も 用 い る こ と が で き る 。 チ メ ロ サ ー ル ま た は 2-フ ェ ノ キ シ エ タ ノ ー ル な ど の 保 存 剤 を 、 不 注 意による混入、特に複数回使用または用量を意図したワクチンバイアルで起こりうる混入 による細菌または真菌の増殖を遅延または停止させるために加えることもできる。乳糖ま た は グ ル タ ミ ン 酸 ナ ト リ ウ ム ( MSG) な ど の 安 定 化 剤 を 、 温 度 の 変 動 ま た は 凍 結 乾 燥 工 程 などの様々な条件に対してワクチン製剤を安定化させるために加えることもできる。 【0024】 メゾテリンエピトープを含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを投与するた 30 めに、ウイルスベクターを用いることができる。そのようなウイルスベクターには、ワク チニアウイルスおよびニューカッスル病ウイルスなどのトリウイルスが含まれる。当技術 分野において公知の他のものも用いることができる。 【0025】 ポ リ ペ プ チ ド ワ ク チ ン を 投 与 す る た め の 一 つ の 特 定 の 方 法 は 、 ポ リ ペ プ チ ド を APCま た は 樹 状 細 胞 上 に イ ン ビ ト ロ で 適 用 す る こ と に よ る 。 ポ リ ペ プ チ ド は APCま た は 樹 状 細 胞 の 表 面 で MHC分 子 に 結 合 す る 。 APCま た は 樹 状 細 胞 の イ ン タ ー フ ェ ロ ン -γ に よ る 事 前 処 置 を 用 い て 、 APCま た は 樹 状 細 胞 上 の MHC分 子 の 数 を 増 や す こ と が で き る 。 次 い で 、 適 用 し た 細 胞 を ポ リ ペ プ チ ド の 担 体 と し て 投 与 す る こ と が で き る 。 ペ プ チ ド 適 用 は Meleroら 、 Gene T herapy 7:1167(2000)に お い て 教 示 さ れ て い る 。 40 【0026】 裸 の DNAを 宿 主 に 直 接 注 入 し て 、 免 疫 応 答 を 生 じ さ せ る こ と が で き る 。 そ の よ う な 裸 の D NAワ ク チ ン を ヒ ト 筋 肉 組 織 中 に 筋 肉 内 注 入 し て も よ く 、 ま た は 典 型 的 に は バ イ オ リ ス テ ィ ッ ク に よ る 遺 伝 子 導 入 ( す な わ ち 遺 伝 子 銃 ) を 用 い た ワ ク チ ン DNAの 経 皮 も し く は 皮 内 送 達 に よ っ て 投 与 し て も よ い 。 DNA免 疫 化 の た め の 遺 伝 子 銃 お よ び 筋 肉 注 入 送 達 戦 略 に つ い て 記 載 し て い る 最 近 の 総 説 に は 、 Tuting, Curr. Opin. Mol. Ther. (1999) 1: 216-25、 R obinson, Int. J. Mol. Med. (1999) 4:549-55、 な ら び に Mumperお よ び Ledbur, Mol. Bio technol. (2001) 19: 79-95が 含 ま れ る 。 他 の 可 能 な プ ラ ス ミ ド DNA送 達 法 に は 、 電 気 穿 孔 法およびイオン導入法が含まれる。 【0027】 50 (14) JP 2006-521090 A 2006.9.21 も う 一 つ の 可 能 な 遺 伝 子 送 達 系 は 、 DNAと ポ リ カ チ オ ン リ ポ ソ ー ム と の 間 で 生 成 し た イ オ ン 複 合 体 を 含 む ( 例 え ば 、 Caplenら (1995) Nature Med. 1: 39参 照 ) 。 静 電 相 互 作 用 によって結合しているため、これらの複合体は生体液中の高分子電解質の電荷遮蔽効果に より分解することもある。強塩基性脂質組成物は複合体を安定化することができるが、そ の よ う な 脂 質 は 細 胞 毒 性 で あ り う る 。 他 の 可 能 な DNA送 達 法 に は 、 電 気 穿 孔 法 お よ び イ オ ン導入法が含まれる。 【0028】 DNAワ ク チ ン に お け る 細 胞 内 お よ び 細 胞 間 タ ー ゲ テ ィ ン グ 戦 略 の 使 用 は 、 メ ゾ テ リ ン 特 異的抗腫瘍効果をさらに増強する可能性がある。以前は、細胞内ターゲティング戦略およ び 細 胞 間 拡 散 戦 略 を 用 い て 、 抗 原 の MHCク ラ ス Iま た は MHCク ラ ス II提 示 を 促 進 し 、 そ れ ぞ 10 れ 強 力 な CD8+ま た は CD4+ T細 胞 仲 介 性 抗 腫 瘍 免 疫 を 得 て い た 。 例 え ば 、 DNAワ ク チ ン の 場 合 に 、 モ デ ル 抗 原 HPV-16 E7の MHCク ラ ス I提 示 が 、 結 核 菌 熱 シ ョ ッ ク タ ン パ ク 質 70( HSP70 ) ( Chenら 、 (2000), Cancer Research, 60: 1035-1042) 、 カ ル レ チ キ ュ リ ン ( Chengら 、 (2001) J Clin Invest, 108:669-678) ま た は 緑 膿 菌 外 毒 素 A( ETA(dII)) の 転 座 ド メ イ ン ( ド メ イ ン II) ( Hungら 、 (2001) Cancer Research, 61: 3698-3703) の E7へ の 連 結 を 用 い て 促 進 さ れ た 。 MHCク ラ ス II抗 原 処 理 を 促 進 す る た め に 、 リ ソ ソ ー ム 膜 タ ン パ ク 質 ( L AMP-1) の 局 在 化 シ グ ナ ル ( sorting signal) を E7抗 原 に 連 結 し 、 Sig/E7/LAMP-1キ メ ラ が 作 成 さ れ て い る ( Jiら 、 (1999), Human Gene Therapy, 10: 2727-2740) 。 裸 の DNAワ ク チ ンの効力をさらに増強するために、細胞間の抗原の拡散を促進する細胞間戦略を用いるこ とができる。これは、細胞間輸送の顕著な性質を示し、タンパク質を多くの周辺細胞に分 20 配 す る こ と が で き る 単 純 疱 疹 ウ イ ル ス ( HSV-1) 外 被 タ ン パ ク 質 、 HSV-1 VP22を 用 い て 明 ら か に さ れ て い る と お り 、 DNAワ ク チ ン の 効 力 を 改 善 す る ( Elliotら 、 (1997) Cell, 88: 223-233) 。 そ の よ う な 連 結 タ ン パ ク 質 の 細 胞 間 拡 散 の 促 進 は 、 抗 原 特 異 的 CD8+ T細 胞 仲 介 性 免 疫 応 答 お よ び 抗 腫 瘍 効 果 を 増 強 す る こ と に な る 。 メ ゾ テ リ ン 発 現 腫 瘍 に 対 す る DNA ワクチンの効力を増強するために、いかなるそのような方法を用いることもできる。 【0029】 メゾテリンは、卵巣癌、膵臓癌、中皮腫、ならびに食道、肺、および子宮頸部の扁平上 皮癌で発現されることが知られている。したがって、本発明のワクチンは少なくともこれ らの型の腫瘍を治療するために有用である。メゾテリンを発現する他の腫瘍も同様に治療 することができる。 30 【0030】 一 つ の 態 様 に お い て 、 本 発 明 の ワ ク チ ン は 、 少 な く と も 一 つ の メ ゾ テ リ ン の MHCク ラ ス I 結 合 エ ピ ト ー プ ま た は 少 な く と も 一 つ の メ ゾ テ リ ン の ク ラ ス II結 合 エ ピ ト ー プ を 含 む ポ リ ペ プ チ ド を 含 む 。 ま た は 、 本 発 明 の ワ ク チ ン は 、 少 な く と も 一 つ の メ ゾ テ リ ン の MHCク ラ ス I結 合 エ ピ ト ー プ ま た は 少 な く と も 一 つ の メ ゾ テ リ ン の ク ラ ス II結 合 エ ピ ト ー プ を 含 む ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを選択的に含む。選択的に、ワクチンのポリ ペプチド(またはワクチンのポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド)は、 メ ゾ テ リ ン の MHCク ラ ス I結 合 エ ピ ト ー プ お よ び /ま た は メ ゾ テ リ ン の ク ラ ス II結 合 エ ピ ト ー プ の 複 数 を 含 む 。 ポ リ ペ プ チ ド の 複 数 の エ ピ ト ー プ は 、 同 じ ま た は 異 な る MHC対 立 形 質 分子に結合することができる。一つの態様において、ポリペプチドのエピトープは広範な 40 MHC対 立 形 質 分 子 に 結 合 す る 。 【0031】 MHCク ラ ス I結 合 エ ピ ト ー プ は 本 発 明 の 実 施 に お い て 有 効 で あ る が 、 MHCク ラ ス II結 合 エ ピ ト ー プ も 用 い る こ と が で き る 。 前 者 は CD8 CD4 + + T細 胞 を 活 性 化 す る の に 有 用 で あ り 、 後 者 は T細 胞 を 活 性 化 す る の に 有 用 で あ る 。 公 に 利 用 可 能 な ア ル ゴ リ ズ ム を 用 い て 、 MHCク ラ ス Iお よ び /ま た は ク ラ ス II分 子 に 結 合 す る エ ピ ト ー プ を 選 択 す る こ と が で き る 。 例 え ば 、 予 測 ア ル ゴ リ ズ ム 「 BIMAS」 は 、 ペ プ チ ド /HLA複 合 体 の 分 離 予 測 半 減 時 間 に よ り 可 能 性 の あ る HLA結 合 エ ピ ト ー プ を 評 価 す る ( 23) 。 「 SYFPEITHI」 ア ル ゴ リ ズ ム は 、 一 次 お よ び 二 次 HLA結 合 ア ン カ ー 残 基 の 有 無 に よ る ス コ ア で ペ プ チ ド を 評 価 す る ( 25) 。 こ れ ら の コ ンピューターによるアルゴリズムはいずれも、所与のタンパク質内の過去に発表されてい 50 (15) JP 2006-521090 A 2006.9.21 る HLA結 合 エ ピ ト ー プ と 類 似 の 結 合 モ テ ィ ー フ を 有 す る ア ミ ノ 酸 配 列 に 基 づ い て 候 補 エ ピ トープを評価する。さらなる生物学的試験の候補を同定するために、他のアルゴリズムも 用いることができる。 【0032】 細 胞 溶 解 T細 胞 応 答 を 高 め る た め の 免 疫 化 用 ポ リ ペ プ チ ド は 、 選 択 的 に 8か ら 25ア ミ ノ 酸 残 基 の 長 さ で あ る 。 9量 体 を 本 明 細 書 に お い て 特 に 開 示 す る が 、 9量 体 の い か な る 8つ の 近 接アミノ酸も同様に用いることができる。ポリペプチドを他のそのようなエピトープポリ ペ プ チ ド に 融 合 す る こ と も で き 、 ま た は B-7、 イ ン タ ー ロ イ キ ン -2、 も し く は イ ン タ ー フ ェ ロ ン -γ な ど の 担 体 に 融 合 す る こ と も で き る 。 融 合 ポ リ ペ プ チ ド は 組 換 え 産 生 に よ っ て 作成することもでき、または化学結合により、例えば、ヘテロ二価性結合試薬を用いて作 10 成 す る こ と も で き る 。 ポ リ ペ プ チ ド の 混 合 物 を 用 い る こ と が で き る 。 こ れ ら は MHC分 子 の 単一の対立形質型のエピトープ混合物であってもよく、または様々な対立形質型のエピト ープ混合物であってもよい。ポリペプチドはエピトープ配列の一連の繰り返しを含むこと もでき、または一連の配列中に異なるエピトープ配列を含むこともできる。 【0033】 メ ゾ テ リ ン の MHCク ラ ス I結 合 エ ピ ト ー プ ま た は メ ゾ テ リ ン の MHCク ラ ス II結 合 エ ピ ト ー プのワクチン中の免疫原としての有効性は、エピトープを含むペプチドが抗原提示細胞上 の MHC分 子 に 結 合 し 、 適 当 な 条 件 下 で Tリ ン パ 球 を 活 性 化 す る の に 十 分 な 時 間 接 触 し た 場 合 、メゾテリンを過剰発現(腫瘍由来元の正常組織に比べて)する腫瘍に対してうまく免疫 応 答 を 示 し て い る 個 人 か ら の Tリ ン パ 球 を 活 性 化 す る こ と が で き る か ど う か を 査 定 す る こ 20 と に よ り 評 価 す る こ と が で き る 。 そ の よ う な 査 定 の 具 体 例 を 下 記 の 実 施 例 1∼ 4に 例 示 す る 。 【0034】 複 数 の グ ル ー プ が メ ゾ テ リ ン を コ ー ド す る cDNAを ク ロ ー ニ ン グ し 、 cDNAク ロ ー ン の 配 列 、 な ら び に コ ー ド さ れ る メ ゾ テ リ ン ポ リ ペ プ チ ド の 配 列 が 米 国 特 許 第 6,153,430号 、 Chang お よ び Pastan、 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93:136-140 (1996)、 Kojimaら 、 J. Biol. Chem., 270:21984-21990 (1995)、 な ら び に 米 国 特 許 第 5,723,318号 に 報 告 さ れ て い る 。 こ れらの引用文献は、メゾテリンをコードする核酸、対応するメゾテリンポリペプチド、お よびその中に記載されている断片の配列を含め、その全体が参照として本明細書に組み込 ま れ る 。 メ ゾ テ リ ン cDNAは 分 子 量 約 69kDの タ ン パ ク 質 、 す な わ ち 一 次 翻 訳 産 物 を コ ー ド す 30 る 。 メ ゾ テ リ ン の 69kD体 は タ ン パ ク 分 解 処 理 に よ り 、 膜 に 結 合 す る 40kDの 成 熟 メ ゾ テ リ ン タ ン パ ク 質 を 生 成 す る ( Changお よ び Pastan (1996)) 。 本 明 細 書 に お い て 用 い ら れ る 「 メ ゾテリン」なる用語は、タンパク質が発現される細胞または組織には関係なく、メゾテリ ンのすべての天然変異体を含む。一つの態様において、メゾテリンタンパク質は一つまた は複数の下記のアミノ酸配列を含む: 40 例 え ば 、 メ ゾ テ リ ン タ ン パ ク 質 は 1、 2、 3、 4、 ま た は 5つ の こ れ ら の エ ピ ト ー プ を 選 択 的 に含む。もう一つの態様において、メゾテリンタンパク質は下記のアミノ酸配列のそれぞ れを含む: 【0035】 本発明のワクチンは、メゾテリンまたはメゾテリンをコードするポリヌクレオチドを選 50 (16) JP 2006-521090 A 2006.9.21 択的に含む。例えば、ワクチンはメゾテリンの成熟体、メゾテリン遺伝子の一次翻訳産物 、または全長翻訳産物を含むか、またはコードしてもよい。一つの態様において、ワクチ ン は メ ゾ テ リ ン の cDNAを 含 む 。 メ ゾ テ リ ン の 天 然 体 ( ま た は 天 然 体 を コ ー ド す る ポ リ ヌ ク レオチド)の使用に加え、メゾテリンの断片を含むポリペプチド、またはメゾテリンの断 片をコードするポリヌクレオチドもワクチンで用いることができる。ワクチン中、または ワクチンのポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドは、メゾテリンと選択的 に 少 な く と も 約 95% 、 少 な く と も 約 90% 、 少 な く と も 約 85% 、 少 な く と も 約 80% 、 少 な く と も 約 75% 、 少 な く と も 約 70% 、 少 な く と も 約 65% 、 少 な く と も 約 60% 、 少 な く と も 約 55 % 、 ま た は 少 な く と も 約 50% 同 一 で あ る 。 【0036】 10 本発明のもう一つの態様において、ワクチンのポリペプチドまたはワクチンのポリヌク レオチドによってコードされるポリペプチドは成熟メゾテリンタンパク質、メゾテリンの 一次翻訳産物、または成熟巨核球増強因子などの天然メゾテリンタンパク質ではない。 【0037】 一 つ の 態 様 に お い て 、 メ ゾ テ リ ン の MHCク ラ ス I結 合 エ ピ ト ー プ は 、 長 さ 15未 満 の ア ミ ノ 酸 、 14未 満 の ア ミ ノ 酸 、 13未 満 の ア ミ ノ 酸 、 12未 満 の ア ミ ノ 酸 、 ま た は 11未 満 の ア ミ ノ 酸 を 含 む 。 も う 一 つ の 態 様 に お い て 、 メ ゾ テ リ ン の MHCク ラ ス I結 合 エ ピ ト ー プ は 、 下 記 か ら な る 群 よ り 選 択 さ れ る ペ プ チ ド 中 に 存 在 す る 少 な く と も 7つ ま た は 少 な く と も 8つ の 近 接 ア ミノ酸を含む: 20 メ ゾ テ リ ン の MHCク ラ ス I結 合 エ ピ ト ー プ は 長 さ が 少 な く と も 7ア ミ ノ 酸 、 長 さ が 少 な く と も 8ア ミ ノ 酸 、 ま た は 長 さ が 少 な く と も 9ア ミ ノ 酸 で あ る 。 【0038】 加 え て 、 本 発 明 の ワ ク チ ン で 用 い ら れ る メ ゾ テ リ ン の MHCク ラ ス I結 合 エ ピ ト ー プ お よ び メ ゾ テ リ ン の MHCク ラ ス II結 合 エ ピ ト ー プ は 、 メ ゾ テ リ ン 内 の 天 然 エ ピ ト ー プ 配 列 と 配 列 が 必 ず し も 同 一 で な く て も よ い 。 天 然 エ ピ ト ー プ 配 列 は 、 必 ず し も CTL応 答 を 刺 激 す る た 30 め の 最 適 ペ プ チ ド で は な い 。 例 え ば 、 ( Parkhurst, M. R.ら 、 J. Immunol., 157:2539-25 48, (1996); Rosenberg, S. A.ら 、 Nat. Med., 4:321-327, (1998)) 。 し た が っ て 、 CTL 応答をより容易に誘導するようにエピトープを修飾することは有用でありうる。一般に、 エ ピ ト ー プ は 2種 類 の 位 置 で 修 飾 す る こ と が で き る 。 エ ピ ト ー プ は MHC分 子 と 相 互 作 用 す る ことが予測されるアミノ酸残基で修飾してもよく、この場合、ゴールは親エピトープより も 高 い MHC分 子 へ の 親 和 性 を 有 す る ペ プ チ ド 配 列 を 作 る こ と で あ る 。 エ ピ ト ー プ は CTL上 の T細 胞 受 容 体 と 相 互 作 用 す る こ と が 予 測 さ れ る ア ミ ノ 酸 残 基 で 修 飾 す る こ と も で き 、 こ の 場 合 、 ゴ ー ル は 親 エ ピ ト ー プ よ り も 高 い T細 胞 受 容 体 へ の 親 和 性 を 有 す る ペ プ チ ド 配 列 を 作ることである。これらの種類の修飾はいずれも、親エピトープに関連するが、親エピト ー プ よ り も 良 好 に CTL応 答 を 誘 導 す る こ と が で き る 変 異 エ ピ ト ー プ を 生 成 す る こ と が で き 40 る。 【0039】 し た が っ て 、 下 記 の 実 施 例 で 同 定 さ れ た メ ゾ テ リ ン の MHCク ラ ス I結 合 エ ピ ト ー プ ( SEQ ID NO: 1∼ 6) 、 ま た は 本 発 明 の 方 法 の 適 用 に よ り 同 定 さ れ た も の 、 お よ び 本 発 明 の 方 法 の 適 用 に よ り 同 定 さ れ た メ ゾ テ リ ン の MHCク ラ ス II結 合 エ ピ ト ー プ は 、 エ ピ ト ー プ 配 列 内 の異なる、おそらくは選択的部位での一つまたは複数の残基の置換により修飾することが できる。そのような置換は、保存的性質、例えば、疎水性アミノ酸を別の疎水性アミノ酸 で置換するなどの、一つのアミノ酸を類似の構造および特徴のアミノ酸で置換する性質の ものでありうる。さらにより保存的置換は、ロイシンをイソロイシンで置換するなどの、 同じまたは類似のサイズおよび化学的性質のアミノ酸の置換である。天然同種タンパク質 50 (17) JP 2006-521090 A 2006.9.21 のファミリーにおける配列変動の研究において、特定のアミノ酸置換は他のものよりも耐 容される頻度が高く、これらは元のアミノ酸とその置換体との間のサイズ、電荷、極性、 および疎水性の類似性と相関を示すことが多く、これは「保存的置換」を定義するための 基礎である。 【0040】 本 明 細 書 に お い て 保 存 的 置 換 は 下 記 の 5群 の 一 つ の 中 で の 交 換 と 定 義 さ れ る : 1群 --小 さ い 脂 肪 族 の 非 極 性 ま た は わ ず か に 極 性 の 残 基 ( Ala、 Ser、 Thr、 Pro、 Gly) ; 2群 --極 性 で 負 に 荷 電 し た 残 基 お よ び そ れ ら の ア ミ ド ( Asp、 Asn、 Glu、 Gln) ; 3群 --極 性 で 正 に 荷 電 し た 残 基 ( His、 Arg、 Lys) ; 4群 --大 き い 脂 肪 族 の 非 極 性 残 基 ( Met、 Leu、 lie、 Val、 Cy s) ; お よ び 5群 --大 き い 芳 香 族 残 基 ( Phe、 Tyr、 Trp) 。 酸 性 ア ミ ノ 酸 は 異 な る 酸 性 ア ミ 10 ノ酸によって置換されてもよく、または塩基性(すなわちアルカリ性)アミノ酸は異なる 塩基性アミノ酸によって置換されてもよい。保存性がより低い置換は、アラニンのイソロ イシン残基による置換などの、一つのアミノ酸が類似の特徴を有するが、サイズが幾分異 なるもう一つのアミノ酸で置換されることを含むと考えられる。 【0041】 プラスミドおよびウイルスベクターは、例えば、宿主細胞中で腫瘍抗原タンパク質を発 現するために用いることができる。したがって、例えば、全長タンパク質のすべてまたは 選択された部分をコードする、メゾテリンタンパク質のクローニング由来のヌクレオチド 配列を用いて、微生物または真核細胞プロセスを介してメゾテリンポリペプチドの組換え 体を産生することができる。コード配列をベクター中にライゲーションすることができ、 20 負荷ベクターを用いて真核(例えば、酵母、鳥類、昆虫または哺乳類)または原核(細菌 )細胞いずれかの宿主を形質転換または形質移入するために用いることができる。そのよ うな技術は当技術分野において公知の標準的方法を含む。 【0042】 典型的には、インビボまたはインビトロでポリペプチドを発現するために用いる発現ベ クターは、少なくとも一つの転写調節配列に操作可能に連結された、抗原ポリペプチドを コードする核酸を含む。調節配列は当技術分野において認められており、所望の様式(時 間および場所)で目的のタンパク質の発現を誘導するために選択することができる。転写 調 節 配 列 は 、 例 え ば 、 Goeddel, Gene Expression Technology: Methods in Enzymology 1 85, Academic Press、 カ リ フ ォ ル ニ ア 州 サ ン デ ィ エ ゴ (1990)に 記 載 さ れ て い る 。 30 【0043】 HLA結 合 エ ピ ト ー プ を 含 む ポ リ ペ プ チ ド の 発 現 に 適 し た ベ ク タ ー に は 次 の タ イ プ の プ ラ ス ミ ド が 含 ま れ る : 大 腸 菌 な ど の 原 核 細 胞 に お け る 発 現 の た め の pBR322由 来 プ ラ ス ミ ド 、 pEMBL由 来 プ ラ ス ミ ド 、 pEX由 来 プ ラ ス ミ ド 、 pBTac由 来 プ ラ ス ミ ド お よ び pUC由 来 プ ラ ス ミ ド。哺乳類発現ベクターは、細菌中のベクターの伝播を促進するために原核細胞および真 核細胞両方の配列と、真核細胞中で発現されうる一つまたは複数の真核細胞転写ユニット を 含 ん で い て も よ い 。 pcDNAI/amp、 pcDNAI/neo、 pRc/CMV、 pSV2gpt、 pSV2neo、 pSV2-dhfr 、 pTk2、 pRSVneo、 pMSG、 pSVT7、 pko-neo、 お よ び pHyg由 来 ベ ク タ ー は 真 核 細 胞 の 転 写 に 適した哺乳類発現ベクターの例である。これらのベクターのいくつかは、原核細胞および 真 核 細 胞 両 方 に お け る 複 製 お よ び 選 択 を 容 易 に す る た め に 、 pBR322な ど の 細 菌 プ ラ ス ミ ド 40 か ら の 配 列 で 修 飾 さ れ て い る 。 ま た は 、 ウ シ パ ピ ロ ー マ ウ イ ル ス ( BPV-1) 、 も し く は エ プ ス タ イ ン -バ ー ウ イ ル ス ( pHEBo、 pREP由 来 、 お よ び p205) な ど の ウ イ ル ス の 誘 導 体 を 、 真核細胞中のタンパク質の一過性発現のために用いることができる。ワクチニアおよびト リウイルスベクターも用いることができる。ベクターの調製および宿主生物の形質転換に おいて用いることができる方法は、当技術分野において公知である。原核細胞および真核 細 胞 両 方 に 適 し た 他 の 発 現 系 、 な ら び に 一 般 的 組 換 え 法 に つ い て は 、 Molecular Cloning: A Laboratory Manual、 第 2版 、 Sambrook, Fritsch、 お よ び Maniatis編 (Cold Spring Ha rbor Laboratory Press: 1989) 第 16お よ び 17章 を 参 照 さ れ た い 。 【0044】 他のタイプの発現カセットも用いることができる。例えば、下記の引用文献はウイルス 50 (18) JP 2006-521090 A 2006.9.21 、細菌、および酵母ベクターに関して、本発明において用いることができるその他の発現 ベクターを例示している。 【0045】 本発明のもう一つの態様において、本明細書に記載のポリペプチド、またはポリペプチ ドをコードするポリヌクレオチドは、酵母を含む免疫原性組成物中で宿主生物に送達され る 。 抗 原 送 達 の た め の 生 酵 母 DNAワ ク チ ン ベ ク タ ー の 使 用 が 最 近 再 検 討 さ れ 、 マ ウ ス モ デ ル で 腫 瘍 ま た は HIV-1抗 原 を 発 現 す る 全 組 換 え サ ッ カ ロ ミ セ ス -セ レ ビ ジ エ 酵 母 を 用 い て 有 効 で あ る と 報 告 さ れ て い る ( Stubbsら (2001) Nature Medicine 7: 625-29参 照 ) 。 【0046】 生酵母ワクチンベクターの使用は当技術分野において公知である。さらに、米国特許第 10 5,830,463号 ( そ の 内 容 は 参 照 と し て 本 明 細 書 に 組 み 込 ま れ る ) は 、 本 発 明 に お い て 用 い るのに特に有用なベクターおよび系を記載している。酵母はその他のアジュバントの必要 な く 細 胞 性 免 疫 を 誘 発 す る と 考 え ら れ る た め 、 酵 母 送 達 系 の 使 用 は 、 本 発 明 の 腫 瘍 /癌 ワ クチン法および製剤における使用に特に有効であると思われる。特に好ましい酵母ワクチ ン送達系は、免疫応答を調節することができる少なくとも一つの組換え発現系を有する、 非病原性酵母である。 【0047】 細菌も、本発明のエピトープのための担体として用いることができる。典型的には、用 いる細菌は突然変異体または組換え体である。細菌は選択的に弱毒化する。例えば、フレ キシネル菌、大腸菌、リステリア菌、エンテロコリチカ菌、ネズミチフス菌、チフス菌、 20 またはマイコバクテリウムを含むが、これらに限定されることはない、いくつかの細菌属 菌がワクチンとして用いるために開発されており、本発明において用いることができる。 免疫原性組成物において用いられる細菌ベクターは、条件的細胞内細菌ベクターであって もよい。細菌は、本明細書に記載のポリペプチドを宿主生物中の抗原提示細胞に送達する ために用いることもできる。抗原送達のための生細菌ワクチンベクターの使用が最近再検 討 さ れ て い る ( Medinaお よ び Guzman (2001) Vaccine 19: 1573-1580; Weissお よ び Krusch , (2001) Biol. Chem. 382: 533-41; な ら び に Darjiら (2000) FEMS Immunol and Medical Microbiology 27: 341-9) 。 さ ら に 、 米 国 特 許 第 6,261,568号 お よ び 第 6,488,926号 ( そ の内容は参照として本明細書に組み込まれる)は癌ワクチンのために有用な系を記載して いる。 30 【0048】 細菌による遺伝子導入は、プラスミドの筋肉内、皮内、または経口投与による遺伝子ワ クチン接種において特に有用であり、そのようなワクチン接種はワクチン被接種者におけ る抗原発現を引き起こす。さらに、細菌はアジュバント効果および免疫系の誘導部位を標 的とする能力を提供することができる。さらに、細菌ワクチンベクターはほとんど無制限 のコーディング能力を有する。細菌担体の使用は、直接粘膜または経口送達の可能性など の、さらに他の著しい利点を伴うことが多い。用いることができる他の直接粘膜送達系( 生 ウ イ ル ス ま た は 細 菌 ワ ク チ ン 担 体 の 他 に ) に は 、 粘 膜 ア ジ ュ バ ン ト 、 ウ イ ル ス 粒 子 、 IS COM、 リ ポ ソ ー ム 、 お よ び 微 小 粒 子 が 含 ま れ る 。 【0049】 40 弱毒および共生微生物はいずれもワクチン抗原の担体としてうまく用いられている。本 発明において用いることができる弱毒粘膜病原体には下記が含まれる:リステリア菌、サ ルモネラ属菌、コレラ菌、シゲラ属菌、マイコバクテリウム、エンテロコリチカ菌、およ び 炭 疽 菌 。 本 発 明 に お い て 用 い る こ と が で き る 共 生 菌 株 に は 下 記 が 含 ま れ る : S.ゴ ル ド ニ ー、ラクトバチルス属菌、およびブドウ球菌属菌。製剤中で用いられる担体菌株の遺伝的 背景、弱毒化を行うために選択された突然変異のタイプ、および免疫原の固有の性質は、 誘発される免疫応答の程度および質を最適化するために調節することができる。細菌担体 によって刺激される免疫応答を最適化するために考慮すべき一般的因子には下記が含まれ る:担体の選択;特定の背景菌株、弱毒突然変異および弱毒化のレベル;弱毒表現型の安 定化ならびに最適用量の確立。考えるべき他の抗原関連因子には下記が含まれる:抗原の 50 (19) JP 2006-521090 A 2006.9.21 固有の性質;発現系、抗原提示型および組換え表現型の安定化;調節分子の同時発現なら びにワクチン接種計画。 【0050】 本発明の免疫原性組成物における細菌ベクターとしてネズミチフス菌を用いることがで きる。ワクチンのための有効なベクターとしてのこの細菌の使用が当技術分野において示 されている。例えば、経口体細胞導入遺伝子ワクチン接種のための弱毒ベクターとしての ネ ズ ミ チ フ ス 菌 の 使 用 が 記 載 さ れ て い る ( Darjiら (1997) Cell 91: 765-775; お よ び Darj iら (2000) FEMS Immun and Medical Microbiology 27: 341-9参 照 ) 。 事 実 、 細 菌 に よ る 遺伝子導入のほとんどの知識は、弱毒ネズミチフス菌を担体として用いて得られている。 用 い ら れ て き た 2つ の 代 謝 的 に 弱 毒 化 さ れ た 菌 株 に は 、 芳 香 族 ア ミ ノ 酸 を 合 成 す る こ と が 10 で き な い ネ ズ ミ チ フ ス 菌 aroA、 お よ び プ リ ン 代 謝 が 欠 損 し て い る ネ ズ ミ チ フ ス 菌 22-11が 含まれる。いくつかの抗原がこれらの担体を用いて発現されている:最初は、リステリオ ラ イ シ ン お よ び actA( リ ス テ リ ア 菌 の 2つ の ビ ル レ ン ス 因 子 ) な ら び に 大 腸 菌 の ベ ー タ -ガ ラ ク ト シ ダ ー ゼ ( β -gal) が う ま く 試 験 さ れ た 。 組 換 え サ ル モ ネ ラ の 1回 用 量 を 経 口 適 用 し た 後 に 、 細 胞 毒 性 お よ び ヘ ル パ ー T細 胞 な ら び に 特 異 的 抗 体 を こ れ ら の 抗 原 に 対 し て 検 出することができた。加えて、リステリオライシンをコードする発現プラスミドを有する サルモネラで免疫化すると、リステリア菌による致死的攻撃に対する防御応答が誘発され た。経口導入遺伝子ワクチン接種法は、現在、粘膜レベルで検出される細胞性免疫応答を 伴 う 、 単 純 ヘ ル ペ ス ウ イ ル ス 2お よ び B型 肝 炎 感 染 モ デ ル に お け る 防 御 応 答 を 含 む よ う 拡 大 されている。 20 【0051】 代 理 腫 瘍 抗 原 と し て β -galを 用 い る 腫 瘍 モ デ ル に お い て 、 β -galを コ ー ド す る プ ラ ス ミ ドを有するサルモネラを経口投与することにより、進行性線維肉腫に対する部分防御免疫 が 誘 導 さ れ た ( Pagliaら (1998) Blood 92: 3172-76参 照 ) 。 マ ウ ス 腎 細 胞 癌 系 統 RENCAの β -gal発 現 形 質 移 入 体 を 用 い た 類 似 の 実 験 で 、 Zoellerお よ び Christ( Wooら (2001) Vacci ne 19: 2945-2954) は 、 裸 の DNAを 用 い る の に 対 し て 、 抗 原 を コ ー ド す る プ ラ ス ミ ド を 細 菌担体中で送達した場合に優れた有効性を示した。興味深いことに、サルモネラを、マウ ス 黒 色 腫 B16に 対 す る 腫 瘍 増 殖 遅 延 応 答 を 誘 導 す る た め に 用 い る こ と が で き ; こ の サ ル モ ネ ラ は ユ ビ キ チ ン に 融 合 し た 自 己 腫 瘍 抗 原 gp100お よ び TRP2の エ ピ ト ー プ を コ ー ド す る ミ ニ遺伝子を有する。これは、そのような環境においては、自己抗原に対する末梢性寛容を 30 克服しうることを示唆している。このことは、同じグループにより、マウス神経芽細胞腫 系で自己抗原としてチロシンヒドロキシラーゼのエピトープの類似の構築物を用いて確認 さ れ た ( Lodeら (2000) Med Ped Oncol 35: 641-646。 さ ら に 、 こ れ ら の 知 見 は 最 近 、 完 全 ヒ ト 発 癌 性 抗 原 ( hCEA) の 膜 結 合 型 を コ ー ド す る プ ラ ス ミ ド を 用 い て 、 hCEAに 対 し て 遺 伝 子 導 入 さ れ た 免 疫 化 マ ウ ス に よ っ て 拡 大 さ れ た 。 こ の 場 合 に 、 hCEA発 現 結 腸 癌 系 を 試 験 し 、腫瘍による致死的攻撃に対する防御を、作動相の間にアジュバントとしてインターロイ キ ン 2( IL-2) を 全 身 適 用 す る こ と に よ り 改 善 す る こ と が で き た ( Xiangら (2001) Clin Ca ncer Res 7: 856s-864s参 照 ) 。 【0052】 本明細書に記載の免疫原性組成物において用いることができるもう一つの細菌ベクター 40 は チ フ ス 菌 で あ る 。 免 疫 化 に よ く 用 い ら れ る チ フ ス 菌 株 − Ty21a galE− は 細 胞 壁 合 成 に 必 要 な 成 分 を 欠 い て い る 。 最 近 開 発 さ れ た 改 善 菌 株 に は 、 guaBAの 突 然 変 異 に よ り 弱 毒 化 さ れ た も の が 含 ま れ 、 こ れ は グ ア ニ ン 生 合 成 経 路 の 必 須 酵 素 を コ ー ド す る ( Pasettiら 、 Inf ect. Immun. (2002) 70:4009-18; Wangら 、 Infect. Immun. (2001) 69:4734-41; Pasetti ら 、 Clin. Immunol. (1999) 92:76-89) 。 DNAワ ク チ ン の 送 達 ベ ク タ ー と し て の チ フ ス 菌 お よ び /ま た は 他 の サ ル モ ネ ラ 菌 株 の 使 用 に つ い て 記 載 し て い る そ の 他 の 引 用 文 献 に は 下 記 が 含 ま れ る : Lundin, Infect. Immun. (2002) 70:5622-7; Devicoら 、 Vaccine, (2002) 20:1968-74; Weissら 、 Biol. Chem. (2001) 382:533-41; お よ び Bumannら 、 FEMS Immuno l. Med. Microbiol. (2000) 27:357-64。 【0053】 50 (20) JP 2006-521090 A 2006.9.21 本発明のワクチンおよび免疫原性組成物は、送達媒体としてフレキシネル菌を用いるこ と が で き る 。 フ レ キ シ ネ ル 菌 は 宿 主 細 胞 の 液 胞 か ら 細 胞 質 ゾ ル へ 逃 れ る た め 、 細 菌 DNA導 入媒体の原型である。フレキシネル菌のいくつかの弱毒突然変異体を用いて、インビトロ で DNAを 細 胞 系 統 に 導 入 す る こ と に 成 功 し て い る 。 栄 養 要 求 性 菌 株 は 細 胞 壁 合 成 ( Sizemor eら (1995) Science 270: 299-302お よ び Courvalinら (1995) C R Acad Sci Ser III, 318: 1207-12) 、 芳 香 族 ア ミ ノ 酸 の 合 成 ( Powellら (1996) Vaccines 96: Molecular Approach e s t o t h e C o n t r o l o f I n f e c t i o u s D i s e a s e ; C o l d S p r i n g H a r b o r L a b o r a t o r y P r e s s) ま た は グ ア ニ ン ヌ ク レ オ チ ド の 合 成 ( Andersonら (2000) Vaccine 18: 2193-2202) に 欠 陥 が あった。 【0054】 10 本 発 明 の ワ ク チ ン お よ び 免 疫 原 性 組 成 物 は リ ス テ リ ア 菌 を 含 む こ と が で き る ( Portnoy ら 、 Journal of Cell Biology, 158:409-414 (2002); Glomskiら 、 Journal of Cell Biol ogy, 156:1029-1038 (2002)) 。 リ ス テ リ ア 菌 の ワ ク チ ン ベ ク タ ー と し て 役 立 つ 能 力 に つ い て の 総 説 が 、 Wesikirchら 、 Immunol. Rev. 158:159-169 (1997)に 記 載 さ れ て い る 。 リ ス テ リ ア 菌 の 菌 株 は 最 近 、 癌 ( 米 国 特 許 第 6,051,237号 ; Gunnら 、 J. Of Immunology, 167 :6471-6479 (2001); Liauら 、 Cancer Research, 62: 2287-2293 (2002); 米 国 特 許 第 6,09 9,848号 ; 国 際 公 開 公 報 第 99/25376号 ; お よ び 国 際 公 開 公 報 第 96/14087号 ) お よ び HIV( 米 国 特 許 第 5,830,702号 ) な ど の 、 病 原 物 質 を 注 入 す る こ と が で き な い 臨 床 状 態 に 対 す る 免 疫応答を誘導するための免疫系に抗原を送達する、異種タンパク質の有効な細胞内送達媒 体 と し て 開 発 さ れ た 。 リ ン パ 球 性 脈 絡 髄 膜 炎 ウ イ ル ス ( LCMV) 抗 原 を 発 現 す る 組 換 え リ ス 20 テリア菌ワクチンも、抗原に対する細胞性防御免疫を誘導することが明らかにされている ( Shenら 、 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 92:3987-3991 (1995)。 【0055】 条件的細胞内細菌として、リステリア菌は液性および細胞性両方の免疫応答を誘発する 。リステリア菌は宿主生物の細胞内に入った後、それが貪食宿主細胞のファゴリソソーム からその細胞の細胞質ゾルへ逃れるのを可能にする、リステリア特異的タンパク質を産生 する。ここで、リステリア菌は、生存に必要なタンパク質を発現するが、同時にリステリ アプロモーターに操作可能に連結された異種遺伝子も発現して、増殖する。貪食細胞表面 上 で の MHCタ ン パ ク 質 に よ る こ れ ら の 異 種 タ ン パ ク 質 の ペ プ チ ド の 提 示 に よ り 、 T細 胞 応 答 の発現が可能になる。ワクチンとして用いるために異種遺伝子を細菌に導入するのに有用 30 な 2つ の 組 み 込 み ベ ク タ ー は 、 Lauerら 、 Journal of Bacteriology, 184: 4177-4186 (200 2)に 記 載 さ れ て い る p L1お よ び p L2を 含 む 。 【0056】 加えて、免疫原性組成物において有用なリステリア菌の弱毒体が生成されている。リス テ リ ア 菌 の ActAタ ン パ ク 質 は 、 細 胞 内 運 動 を 担 う ア ク チ ン 漸 増 お よ び 重 合 事 象 を 促 進 す る の に 十 分 で あ る 。 ヒ ト 安 全 性 試 験 で 、 成 人 で リ ス テ リ ア 菌 の actA/plcB欠 失 弱 毒 体 を 経 口 投 与 し て も 重 篤 な 続 発 症 は 起 こ ら な い こ と が 報 告 さ れ た ( Angelakopoulosら 、 Infection and Immunity, 70:3592-3601 (2002)) 。 リ ス テ リ ア 菌 の 他 の タ イ プ の 弱 毒 体 も 記 載 さ れ ている(例えば、異種抗原を発現するリステリアの栄養要求性弱毒菌株について記載して い る 、 国 際 公 開 公 報 第 99/25376号 お よ び 米 国 特 許 第 6,099,848号 参 照 ) 。 40 【0057】 エンテロコリチカ菌は、本発明の免疫原性組成物における細菌ベクターとして選択的に 用いることができるもう一つの細胞内細菌である。エンテロコリチカ菌の弱毒菌株のワク チ ン ベ ク タ ー と し て の 使 用 は 、 PCT国 際 公 開 公 報 第 02/077249号 に 記 載 さ れ て い る 。 【0058】 本 発 明 の さ ら な る 態 様 に お い て 、 本 発 明 の 免 疫 原 性 組 成 物 は カ ル メ ッ ト -ゲ ラ ン 杆 菌 ( B CG) な ど の マ イ コ バ ク テ リ ウ ム を 含 む 。 カ ル メ ッ ト -ゲ ラ ン 杆 菌 は マ ウ ス モ デ ル に お け る ワ ク チ ン ベ ク タ ー と し て 用 い ら れ て い る ( Gicquelら 、 Dev. Biol. Stand 82:171-8 (1994 )) 。 Stoverら 、 Nature 351: 456-460 (1991)も 参 照 さ れ た い 。 【0059】 50 (21) JP 2006-521090 A 2006.9.21 または、ウイルスベクターも用いることができる。ウイルスベクターは典型的には高度 に弱毒化された、非複製型ウイルスを含むことになる。ウイルスベクターには、アデノウ イルス、単純疱疹ウイルス、ニューカッスル病ウイルスなどのトリウイルス、ワクチニア ウイルスなどのポックスウイルス、およびアデノ関連ウイルスを含むパルボウイルスに基 づ く も の な ど の DNAウ イ ル ス ベ ク タ ー ; な ら び に レ ト ロ ウ イ ル ス ベ ク タ ー を 含 む が 、 こ れ ら に 限 定 さ れ る こ と は な い RNAウ イ ル ス ベ ク タ ー が 含 ま れ る が 、 こ れ ら に 限 定 さ れ る こ と は な い 。 免 疫 化 プ ロ ト コ ル に お い て 有 用 な ワ ク チ ニ ア ベ ク タ ー お よ び 方 法 が 米 国 特 許 第 4, 722,848号 に 記 載 さ れ て い る 。 レ ト ロ ウ イ ル ス ベ ク タ ー に は 、 マ ウ ス 白 血 病 ウ イ ル ス お よ び ヒ ト 免 疫 不 全 ウ イ ル ス な ど の レ ン チ ウ イ ル ス が 含 ま れ る 。 Naldiniら (1996) Science 27 2:263-267。 本 発 明 の ポ リ ヌ ク レ オ チ ド を レ ト ロ ウ イ ル ス ゲ ノ ム の 一 部 と し て 有 す る 複 製 10 欠陥レトロウイルスベクターを用いることもできる。そのようなベクターは詳細に報告さ れ て い る ( Millerら (1990) Mol. Cell Biol. 10:4239; Kolberg, R. (1992) J. NIH Res. 4:43; Cornettaら (1991) Hum. Gene Therapy 2:215) 。 【0060】 本発明において有用なアデノウイルスおよびアデノ関連ウイルスベクターは、当技術分 野 に お い て す で に 教 示 さ れ て い る 方 法 に 従 っ て 調 製 す る こ と が で き る 。 ( 例 え ば 、 Karlss onら (1986) EMBO 5:2377; Carter (1992) Current Opinion in Biotechnology 3:533-539 ; Muzcyzka (1992) Current Top. Microbiol. Immunol. 158:97-129; Gene Targeting: A Practical Approach (1992) A. L. Joyner編 、 Oxford University Press, NY) 。 い く つ かの異なるアプローチが可能である。 20 【0061】 ベ ネ ズ エ ラ ウ マ 脳 炎 ( VEE) ウ イ ル ス 、 セ ム リ キ 森 林 ウ イ ル ス ( SFV) お よ び シ ン ド ビ ス ウイルスベクターなどのアルファウイルスベクターを、効率的な遺伝子送達のために用い ることができる。複製欠陥ベクターが利用可能である。そのようなベクターは、例えば、 鼻腔内または腫瘍内などの、当技術分野において公知のいかなる様々な手段によっても投 与 す る こ と が で き る 。 Lundstrom, Curr. Gene Ther. 2001 1:19-29を 参 照 さ れ た い 。 【0062】 本発明の方法において用いることができるウイルスベクターを記載しているその他の引 用 文 献 に は 下 記 が 含 ま れ る : Fields, B.ら ( 編 ) Virology、 第 2巻 、 Raven Press New Yor kの Horwitz, M. S., Adenoviridae and Their Replication, pp. 1679-1721, 1990); Gra 30 ham, F.ら 、 Methods in Molecular Biology、 第 7巻 の pp. 109-128: Gene Transfer and E xpression Protocols, Murray, E.( 編 ) 、 Humana Press、 ニ ュ ー ジ ャ ー ジ ー 州 ク リ フ ト ン (1991); Millerら (1995) FASEB Journal 9:190-199、 Schreier (1994) Pharmaceutica Acta Helvetiae 68:145-159; Schneiderお よ び French (1993) Circulation 88:1937-1942 ; Curielら (1992) Human Gene Therapy 3:147-154; 国 際 公 開 公 報 第 95/00655号 ; 国 際 公 開 公 報 第 95/16772号 ; 国 際 公 開 公 報 第 95/23867号 ; 国 際 公 開 公 報 第 94/26914号 ; 国 際 公 開 公 報 第 95/02697号 ( 1995年 1月 26日 ) ; お よ び 国 際 公 開 公 報 第 95/25071号 。 【0063】 ワ ク チ ン の も う 一 つ の 形 に お い て 、 DNAを リ ポ ソ ー ム ま た は 細 胞 表 面 受 容 体 を 標 的 と す る こ と が 多 い リ ガ ン ド と 複 合 体 形 成 さ せ る 。 複 合 体 は 、 DNAの 分 解 か ら の 保 護 を 助 け 、 プ 40 ラスミドを特定の組織に向けるのを助けるため、有用である。複合体は典型的には静脈内 または筋肉内に注射する。 【0064】 ワクチンとして用いられるポリヌクレオチドは、コロイド分散系の複合体で用いること ができる。コロイド系には、高分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズ、な らびに水中油乳剤、ミセル、混合ミセル、およびリポソームを含む脂質を基にした系が含 ま れ る 。 本 発 明 の 好 ま し い コ ロ イ ド 系 は 、 脂 質 複 合 ま た は リ ポ ソ ー ム 製 剤 DNAで あ る 。 前 者 の ア プ ロ ー チ に お い て 、 DNAを 例 え ば 脂 質 と 製 剤 す る 前 に 、 所 望 の DNA構 築 物 を 有 す る 導 入 遺 伝 子 を 含 む プ ラ ス ミ ド を ま ず 実 験 的 に 発 現 の た め に 最 適 化 し て も よ い ( 例 え ば 、 5'未 翻 訳 領 域 中 の イ ン ト ロ ン の 包 含 お よ び 不 必 要 な 配 列 の 除 去 ( Felgnerら 、 Ann NY Acad Sci 50 (22) JP 2006-521090 A 2006.9.21 126-139,1995) 。 次 い で 、 DNAの 例 え ば 様 々 な 脂 質 ま た は リ ポ ソ ー ム 材 料 と の 製 剤 を 公 知 の 方 法 お よ び 材 料 を 用 い て 行 い 、 受 容 哺 乳 動 物 に 送 達 し て も よ い 。 例 え ば 、 Canonicoら 、 Am J Respir Cell Mol Biol 10:24-29, 1994; Tsanら 、 Am J Physiol 268; Altonら 、 Nat Genet. 5:135-142, 1993お よ び 米 国 特 許 第 5,679,647号 を 参 照 さ れ た い 。 【0065】 加 え て 、 複 合 体 コ ア セ ル ベ ー シ ョ ン は 、 反 対 に 荷 電 し た 2つ の 多 価 電 解 質 を 水 溶 液 中 で 混合した時に起こる、自発的相分離過程である。二種の高分子の間の静電相互作用は、上 清(重合体が少ない相)からのコアセルベート(重合体を多く含む相)の分離を引き起こ す。この現象を用いて、ミクロスフェアを形成し、様々な化合物をカプセル化することが できる。カプセル化過程は完全に水溶液中、低温で実施することができ、したがって、カ 10 プセル化物の生物活性を保存する確率が高い。注射用制御放出系の開発において、いくつ かの薬物およびタンパク質をカプセル化するためのゼラチンおよび硫酸コンドロイチンの 複 合 体 コ ア セ ル ベ ー シ ョ ン が 開 発 さ れ ( Truongら (1995) Drug Delivery 2: 166参 照 ) 、 癌ワクチン接種のためにサイトカインがこれらのミクロスフェア中にカプセル化された( Golumbekら (1993) Cancer Res 53: 5841参 照 ) 。 抗 炎 症 薬 も 、 骨 関 節 炎 を 治 療 す る た め の 関 節 へ の 関 節 内 送 達 に 組 み 込 ま れ て い る ( Brownら (1994) 331: 290) 。 米 国 特 許 第 6,193, 970号 、 第 5,861,159、 お よ び 第 5,759,582号 は 、 本 発 明 の DNAワ ク チ ン 送 達 系 と し て 用 い る ための、複合体コアセルベートの組成物および使用法を記載している。特に、米国特許第 6,475,995号 ( そ の 内 容 は 参 照 と し て 本 明 細 書 に 組 み 込 ま れ る ) は 、 経 口 投 与 し た 場 合 に 有効なワクチンとして役立つ、核酸およびポリカチオンのナノ粒子コアソルベートを用い 20 た DNAワ ク チ ン 送 達 系 を 教 示 し て い る 。 【0066】 メ ゾ テ リ ン の 特 定 の MHCク ラ ス II結 合 エ ピ ト ー プ の ク ラ ス Iに 対 し て 特 異 的 な 抗 体 を 単 離 することができる。これらの抗体はモノクローナルでもポリクローナルでもよい。これら は、ワクチンとして用いるためのポリペプチドを単離および精製するために、特に用いる こ と が で き る 。 メ ゾ テ リ ン の 特 定 の MHCク ラ ス II結 合 エ ピ ト ー プ の ク ラ ス Iを 含 む MHCク ラ ス Iま た は ク ラ ス IIペ プ チ ド 複 合 体 に 結 合 す る T細 胞 株 は 、 T細 胞 ア ジ ュ バ ン ト お よ び 免 疫 応答増強物質をスクリーニングするために有用である。そのような細胞株は、メゾテリン 含 有 ワ ク チ ン で 免 疫 化 さ れ 、 メ ゾ テ リ ン に 対 す る 有 効 な T細 胞 応 答 を 有 す る 患 者 か ら 単 離 することができる。 30 【0067】 マウスモデルで癌ワクチン候補を試験するために、所望の腫瘍抗原を含むワクチン候補 を、本発明の腫瘍細胞株で攻撃する前または後のいずれかにマウス群に投与することがで きる。したがって、マウスモデルを用いて治療および予防両方の効果について試験するこ とができる。ワクチン候補によるワクチン接種を、ワクチン接種していない、媒体単独で ワクチン接種された、または無関係の抗原を発現するワクチンで接種された対照個体群と 比較することができる。ワクチンが組み替え微生物である場合、その相対的有効性を、ゲ ノムが抗原を発現するように修飾されていない微生物群と比較することができる。ワクチ ン候補の有効性を、腫瘍もしくは腹水の量に対する効果について、または生存率について 評価することができる。ワクチン候補でワクチン接種したマウスにおける腫瘍または腹水 40 の量は、ワクチン接種していない、または媒体もしくは無関係の抗原を発現するワクチン で 接 種 さ れ た マ ウ ス に お け る 腫 瘍 の 量 よ り も 約 5% 、 約 10% 、 約 25% 、 約 50% 、 約 75% 、 約 90% 、 ま た は 約 100% 少 な い 可 能 性 が あ る 。 腫 瘍 ま た は 腹 水 の 量 の 差 を 、 腫 瘍 細 胞 の マ ウ ス へ の 移 植 か ら 少 な く と も 約 10日 、 少 な く と も 約 17日 、 ま た は 少 な く と も 約 24日 後 に 観 察してもよい。核酸修飾微生物でワクチン接種したマウスにおける生存率中央値は、例え ば、ワクチン接種していない、または媒体もしくは無関係の抗原を発現するワクチンで接 種 さ れ た マ ウ ス よ り も 少 な く と も 約 2日 、 少 な く と も 約 5日 、 少 な く と も 約 7日 、 ま た は 少 な く と も 約 10日 長 い 可 能 性 が あ る 。 【0068】 マウスモデルを用いて当技術分野において公知のいかなる種類の癌治療も試験すること 50 (23) JP 2006-521090 A 2006.9.21 ができる。これらは通常の医薬品でも相補的医薬品でもよい。これらは免疫学的薬剤でも 細胞毒性薬剤でもよい。例えば、癌治療法候補は放射線療法、化学療法、または手術であ ってもよい。癌治療法候補は、抗癌剤、抗腫瘍ワクチン、放射線療法、化学療法、および 手術を含むが、これらに限定されることはない、複数の治療法または予防法の組み合わせ であってもよい。 【0069】 マウスモデルを作成するための腹腔または中皮細胞株を作るために、当技術分野におい て 公 知 の い か な る 癌 遺 伝 子 も 用 い る こ と が で き る 。 そ の よ う な 癌 遺 伝 子 に は Ki-ras、 ErbB2、 N-ras、 N-myc、 L-myc、 C-myc、 ABL1、 EGFR、 Fos、 Jun、 c-Ha-ras、 お よ び SRCが 含 ま れるが、これらに限定されることはない。 10 【0070】 本発明のワクチン、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、細胞、およびウイルスは、ヒト または他の哺乳動物のいずれにも投与することができる。他の哺乳動物は、ヤギ、ブタ、 ウシ、ウマ、およびヒツジなどの家畜でもよく、イヌ、ウサギおよびネコなどのペットで もよい。他の哺乳動物は、マウス、ラット、ウサギ、サル、またはロバなどの実験対象物 であってもよい。 【0071】 本発明の治療法において用いる試薬は、薬学的組成物中に存在する。薬学的組成物は典 型的には、無菌性、等張性、安定性、および非発熱原性についての工業基準に適合し、用 いる用量および濃度で受容者にとって非毒性である、薬学的に許容される担体を含む。用 20 いる特定の担体は、組成物中の治療薬の種類および濃度、ならびに意図される投与経路に 依存する。望まれる場合には、安定化化合物を含むこともできる。薬学的組成物の製剤は よ く 知 ら れ て お り 、 例 え ば 、 米 国 特 許 第 5,580,561号 お よ び 第 5,891,725号 に 記 載 さ れ て い る。 【0072】 治療上有効な用量の決定は、十分に当業者の能力の範囲内である。治療上有効な量とは 、 治 療 上 有 効 な 量 が 存 在 し な い 場 合 に 比 べ て 抗 腫 瘍 性 細 胞 溶 解 T細 胞 の 活 性 を 高 め る 、 活 性成分の量を意味する。 【0073】 いかなる物質についても、治療上有効な用量は最初は細胞培養アッセイまたは動物モデ 30 ル、通常はマウス、ウサギ、イヌ、もしくはブタのいずれかにおいて推定することができ る。動物モデルは、適当な濃度範囲および投与経路を決定するためにも用いることができ る。次いで、そのような情報を用いて、ヒトにおける有用な用量および投与経路を決定す ることができる。 【0074】 治 療 の 有 効 性 お よ び 毒 性 、 例 え ば 、 ED50( 個 体 群 の 50% で 治 療 が 有 効 な 用 量 ) お よ び LD 50( 個 体 群 の 50% で 致 死 的 な 用 量 ) は 、 細 胞 培 養 ま た は 実 験 動 物 に お け る 標 準 の 薬 学 的 手 順によって決定することができる。治療効果に対する毒性の用量比は治療指数で、これは LD50/ED50の 比 で 表 す こ と が で き る 。 【0075】 40 大きい治療指数を示す薬学的組成物が好ましい。細胞培養アッセイおよび動物試験で得 たデータを、ヒトに使用する用量範囲の算出に用いる。そのような組成物に含まれる用量 は 、 好 ま し く は 、 毒 性 が ほ と ん ど 、 ま た は 全 く な く 、 ED50を 含 む 範 囲 内 の 循 環 濃 度 で あ る 。用量は、用いる剤形、患者の感受性、および投与経路に応じて、この範囲内で変動する 。 【0076】 正確な用量は医師により、治療を必要とする対象者に関係する因子に照らして決定され ることになる。用量および投与は、十分なレベルの活性成分を提供する、または所望の効 果を維持するために調節する。考慮に入れることができる因子には、疾患状態の重症度、 対象者の全般的健康、対象者の年齢、体重、および性別、食餌、投与の時間および頻度、 50 (24) JP 2006-521090 A 2006.9.21 薬 物 の 組 み 合 わ せ 、 反 応 感 度 、 な ら び に 治 療 に 対 す る 耐 容 性 /応 答 が 含 ま れ る 。 長 時 間 作 用 性 の 薬 学 的 組 成 物 を 、 特 定 の 製 剤 の 半 減 期 お よ び ク リ ア ラ ン ス に 応 じ て 、 3か ら 4日 毎 、 毎 週 、 ま た は 2週 間 に 1回 投 与 す る こ と も で き る 。 【0077】 通 常 の 用 量 は 、 投 与 経 路 に 応 じ て 、 0.1か ら 100,000マ イ ク ロ グ ラ ム 、 合 計 用 量 約 1gま で で変動してもよい。特定の用量および送達法に関しての指標が文献に記載されており、当 業者には一般に入手可能である。当業者であれば、ヌクレオチドについては、タンパク質 またはその阻害剤とは異なる製剤を用いることになる。同様に、ポリヌクレオチドまたは ポリペプチドの送達は、特定の細胞、状態、位置などに特異的である。ポリヌクレオチド お よ び ポ リ ペ プ チ ド の 有 効 な イ ン ビ ボ 用 量 は 、 約 100ngか ら 約 200ng、 約 500ngか ら 約 50mg 10 、 約 1μ gか ら 約 2mg、 約 5μ gか ら 約 500μ g、 お よ び 約 20μ gか ら 約 100μ gの 範 囲 で あ る 。 【0078】 抗腫瘍ワクチンとして用いるための望ましい免疫原は、腫瘍とそれらの対応する正常組 織との間で高度に差次的に発現されるものである。発現の差は、好ましくは、少なくとも 2倍 、 3倍 、 4倍 、 5倍 、 ま た は 10倍 で さ え あ る 。 発 現 は 、 SAGE、 マ イ ク ロ ア レ イ 、 ノ ー ザ ン ブロット、およびウェスタンブロットを含むが、これらに限定されることはない、当技術 分野において公知のいかなる手段によっても測定することができる。免疫原としてのその ようなタンパク質における興味は、ヒトがタンパク質(またはそれをコードする遺伝子) に よ る 免 疫 化 に 対 し て 、 そ の タ ン パ ク 質 に よ り 特 異 的 に 活 性 化 さ れ る CD4ま た は CD8 T細 胞 を生成することによって応答することを調べることにより増強される。そのような活性化 20 に つ い て の 試 験 は 、 特 に 、 MHC複 合 体 中 の 可 能 性 が あ る 抗 原 を 提 示 す る た め に 、 ヒ ト T2細 胞 株 な ど の TAP欠 損 細 胞 株 を 用 い る こ と に よ っ て 行 う こ と が で き る 。 活 性 化 は 当 技 術 分 野 において公知のいかなるアッセイによっても測定することができる。一つのそのようなア ッ セ イ は ELISPOTア ッ セ イ で あ る 。 引 用 文 献 33∼ 35を 参 照 さ れ た い 。 【0079】 腫 瘍 ワ ク チ ン に 対 す る 将 来 の 応 答 を 、 CD8+お よ び ま た は CD4+ T細 胞 の 応 答 に 基 づ い て 予 測することができる。腫瘍ワクチンがメゾテリンまたは少なくとも一つのメゾテリンのT 細 胞 エ ピ ト ー プ を 含 む 場 合 、 メ ゾ テ リ ン に 対 す る CD8+お よ び /ま た は CD4+応 答 を モ ニ タ リ ン グ す る こ と で 有 用 な 予 後 情 報 が 得 ら れ る 。 強 い CD8+お よ び /ま た は CD4+応 答 は 、 患 者 が 有効な免疫応答を獲得しており、そのような応答を獲得していない者よりも有意に長く生 30 存するであろうことを示している。腫瘍ワクチンは全腫瘍細胞、特に膵、卵巣または中皮 細胞を含んでいてもよい。腫瘍ワクチンは腫瘍細胞および樹状細胞のポリエチレングリコ ール融合物を含んでいてもよい。腫瘍ワクチンは、樹状細胞と共にインキュベートしたア ポトーシスまたは壊死性腫瘍細胞を含んでいてもよい。腫瘍ワクチンは、樹状細胞と共に イ ン キ ュ ベ ー ト し た mRNAま た は 全 RNAを 含 ん で い て も よ い 。 メ ゾ テ リ ン に 対 す る T細 胞 応 答 は 、 ELISPOTア ッ セ イ を 含 む 、 当 技 術 分 野 に お い て 公 知 の い か な る ア ッ セ イ に よ っ て も 測 定することができる。または、そのような腫瘍ワクチンに対する将来の応答を、メゾテリ ンに対する遅延型過敏応答についてアッセイすることによりモニターすることができる。 そのような応答は、正の予後指標として認められている。 【0080】 40 薬物または免疫増強剤の可能性があるものとしての使用について試験することができる 試験物質は、当技術分野において公知のいかなる物質でもありうる。物質は別の目的のた めに以前から公知のものであってもよく、またはいかなる目的のためにも知られていない ものであってもよい。物質は単一のタンパク質、核酸、または低分子などの精製された化 合物であってもよく、天然原料からの抽出物などの混合物であってもよい。物質は天然物 でも、合成生成物でもよい。物質はこの目的のために特別に意図して合成することもでき 、スクリーニング可能な化合物ライブラリ中の物質であってもよい。 【0081】 本発明を、現時点で好ましい本発明の実施様式を含む特定の例について説明してきたが 、当業者であれば、添付の特許請求の範囲に示す本発明の精神および範囲内に入る、前述 50 (25) JP 2006-521090 A 2006.9.21 の系および技術の多くの変種および置換物があることを理解すると思われる。 【0082】 実施例 実施例1 大多数の膵腺癌患者のための免疫標的として役立ちうる遺伝子を同定するために、発明 者らは突然変異しておらず、大多数の膵臓癌患者によって過剰に発現され、かつワクチン 細胞株によって過剰発現される遺伝子だけに焦点を合わせた。このリストの一番上にある 一 つ の 遺 伝 子 は メ ゾ テ リ ン で あ っ た ( 20、 21) 。 比 較 お よ び 確 認 の た め に 、 発 明 者 ら は 前 立 腺 幹 細 胞 抗 原 ( PSCA) も 観 察 し た 。 SAGEデ ー タ よ り 、 PSCAが 膵 腫 瘍 に よ り メ ゾ テ リ ン と ほ ぼ 同 等 の レ ベ ル で 発 現 さ れ る こ と が 明 ら か と な っ た ( 22) 。 10 【0083】 発 明 者 ら は 、 三 つ の 一 般 的 な ヒ ト 白 血 球 抗 原 ( HLA) -ク ラ ス I分 子 に 結 合 す る ペ プ チ ド 九 量 体 を 予 測 す る た め に 、 2つ の 公 共 用 コ ン ピ ュ ー タ ー ア ル ゴ リ ズ ム ( 23∼ 25) の 組 み 合 わ せ を 用 い た 。 同 種 GM-CSFワ ク チ ン で 治 療 し た 14名 の 患 者 は 全 員 、 こ れ ら の HLA-ク ラ ス I 分 子 の 少 な く と も 一 つ を 発 現 す る ( 表 2) 。 予 測 ア ル ゴ リ ズ ム 「 BIMAS」 は 、 ペ プ チ ド /HLA 複 合 体 の 分 離 予 測 半 減 時 間 に よ り 可 能 性 の あ る HLA結 合 エ ピ ト ー プ を 評 価 す る ( 23) 。 「 S YFPEITHI」 ア ル ゴ リ ズ ム は 、 一 次 お よ び 二 次 HLA結 合 ア ン カ ー 残 基 の 有 無 に よ る ス コ ア で ペ プ チ ド を 評 価 す る ( 25) 。 こ れ ら の コ ン ピ ュ ー タ ー に よ る ア ル ゴ リ ズ ム は い ず れ も 、 所 与 の タ ン パ ク 質 内 の 過 去 に 発 表 さ れ て い る HLA結 合 エ ピ ト ー プ と 類 似 の 結 合 モ テ ィ ー フ を 有するアミノ酸配列に基づいて候補エピトープを評価する。発明者らのワクチン試験で治 20 療 し た 14名 の 患 者 に よ っ て こ れ ら 三 つ の HLAク ラ ス I分 子 の 少 な く と も 一 つ が 発 現 さ れ る ( 表 2) た め 、 発 明 者 ら は 、 HLA-A2、 HLA-A3、 お よ び HLA-A24に つ い て は 上 位 2つ の メ ゾ テ リ ン エ ピ ト ー プ 、 な ら び に 両 方 の ア ル ゴ リ ズ ム で 支 持 さ れ た 各 MHC分 子 に つ い て は 上 位 6つ の PSCAエ ピ ト ー プ を 合 成 し た ( 表 1) 。 【0084】 ( 表 1 ) HLA A2、 A3、 お よ び A24に 結 合 す る と 予 測 さ れ る メ ゾ テ リ ン ペ プ チ ド 30 40 【0085】 3つ の ペ プ チ ド 、 HIV-gag A27 7 - 8 5 ( SLYNTVATL) ( 48) 、 HIV-NEF A39 4 - 1 0 3 ( QVPLRPMTY K) ( 49) 、 お よ び チ ロ シ ナ ー ゼ A242 0 6 - 2 1 4 ( AFLPWHRLF) ( 50) は 過 去 に 発 表 さ れ た エ ピ 50 (26) JP 2006-521090 A 2006.9.21 ト ー プ で 、 そ れ ぞ れ HLA-A2、 A3、 お よ び A24結 合 の 対 照 ペ プ チ ド と し て 用 い た 。 メ ゾ テ リ ン Al3 0 9 - 3 1 8 結 合 エ ピ ト ー プ ( EIDESLIFY) は す べ て の 結 合 試 験 で 陰 性 対 照 ペ プ チ ド と し て 用 い た 。 MIペ プ チ ド ( GILGFVFTL) 5 8 - 6 6 ( Gotchら 1988)は す べ て の HLA-A2試 験 で 陽 性 対 照 として用いた。 【0086】 ( 表 2 ) 同 種 GM-CSF分 泌 膵 腫 瘍 ワ ク チ ン で 治 療 し た 14名 の 患 者 の 選 択 し た 特 徴 10 20 略 語 : Pt= 患 者 、 # = 番 号 、 T= 手 術 時 の 腫 瘍 サ イ ズ 、 LN= 陽 性 リ ン パ 節 数 /採 取 し た リ ン パ 節 総 数 、 HLA= ヒ ト 白 血 球 抗 原 、 DTH= 遅 延 型 過 敏 試 験 、 Auto= 自 己 由 来 、 N/A= DTH細 胞 試薬が得られなかったため評価していない、+=引き続き生存かつ無疾患。 1 HLA型 の 決 定 を 血 清 学 的 に 行 い 、 分 子 的 に 確 認 し た 。 2 自己腫瘍細胞に対する遅延型過敏反応を、継代していない自己腫瘍細胞を用いて評価し 6 た 。 ワ ク チ ン 接 種 前 と 、 ワ ク チ ン 接 種 後 28日 の 時 点 で 、 10 の 自 己 腫 瘍 細 胞 を 配 置 し た 。 30 報 告 値 は 細 胞 配 置 の 48時 間 後 に 観 察 さ れ た 硬 結 の 垂 直 直 径 ( mm) の 積 に お け る ワ ク チ ン 接 種後の変化である。 【0087】 こ れ ら の エ ピ ト ー プ の そ れ ぞ れ の HLAク ラ ス I分 子 へ の 結 合 を 、 対 応 す る HLAク ラ ス I分 子 を 発 現 し た TAP欠 損 T2細 胞 ( T2-A2、 T2-A3、 ま た は T2-A24細 胞 ) を 適 用 す る こ と に よ り 試 験 し た 。 図 1Aに 示 す と お り 、 HLA-A2へ の 結 合 が 予 測 さ れ る 2つ の メ ゾ テ リ ン 由 来 エ ピ ト ー プ の 適 用 に よ り 、 フ ロ ー サ イ ト メ ト リ ー と 、 続 い て HLAク ラ ス I特 異 的 抗 体 、 W6/32で の 染 色 を 行 っ て 、 T2-A2細 胞 の 細 胞 表 面 上 の HLA-A2を 検 出 す る こ と が で き る 。 こ れ と は 対 照 的 に 、 非 適 用 T2細 胞 ま た は HLA-A1へ の 結 合 が 予 測 さ れ る メ ゾ テ リ ン エ ピ ト ー プ は 同 じ 抗 体 で 染 色 さ れ な い 。 2つ の メ ゾ テ リ ン 由 来 HLA-A3エ ピ ト ー プ 候 補 お よ び 2つ の メ ゾ テ リ ン 由 来 HL 40 A-A24エ ピ ト ー プ 候 補 を 適 用 し た T2細 胞 の 結 合 を 、 そ れ ぞ れ 図 1Bお よ び 1Cに 示 す 。 類 似 の 結 合 実 験 を 、 PSCA由 来 ペ プ チ ド で HLA-A2、 HLA-A3、 お よ び HLA-A24に つ い て 行 っ た ( 図 1D 、 1E、 お よ び 1F) 。 【0088】 材料および方法:遺伝子候補の同定およびエピトープ選択 以 前 に 報 告 さ れ て い る と お り ( 20、 21) 、 SAGEを 用 い て 膵 臓 癌 細 胞 株 お よ び 新 鮮 組 織 で 過剰発現される遺伝子の一つとしてのメゾテリンを同定した。公共利用可能でインターネ ッ ト か ら ア ク セ ス で き る 2つ の コ ン ピ ュ ー タ ー ア ル ゴ リ ズ ム を 用 い て 、 HLA A2、 A3、 お よ び A24分 子 に 結 合 す る ペ プ チ ド を 予 測 し た 。 最 も 一 般 的 な HLAク ラ ス I分 子 型 に つ い て 最 適 な 結 合 を 調 べ る 「 BIMAS」 は 、 K. C. Parkerら http://bimas.dcrt.nih.gov/( NIH) に よ り 50 (27) JP 2006-521090 A 2006.9.21 開 発 さ れ た ( 23) 。 「 SYFPEITHI」 は Rammenseeら に よ っ て 開 発 さ れ 、 一 次 お よ び 二 次 MHC 結 合 ア ン カ ー 残 基 の 有 無 を 考 慮 す る ス コ ア に よ り ペ プ チ ド を 評 価 す る http://www.uni-tue bingen.de/uni/kxi( 24) 。 【0089】 材 料 お よ び 方 法 : ペ プ チ ド お よ び T2細 胞 株 ペ プ チ ド は 、 下 記 の 既 発 表 の 配 列 に 従 い 、 Macromolecular Resources( コ ロ ラ ド 州 フ ォ ー ト コ リ ン ズ ) が 合 成 し た : イ ン フ ル エ ン ザ マ ト リ ク ス タ ン パ ク 質 由 来 の M1ペ プ チ ド GILG FVFTL( SEQ ID NO: 10) ( ア ミ ノ 酸 58∼ 66位 ) 、 表 1に 示 す メ ゾ テ リ ン A2ペ プ チ ド お よ び P SCA A2ペ プ チ ド は 利 用 可 能 な デ ー タ ベ ー ス を 用 い て 同 定 し 、 HIV-gag A2ペ プ チ ド SLYNTVAT L( SEQ ID NO: 7) ( ア ミ ノ 酸 75∼ 83位 ) ( 29) は HLA-A2結 合 モ テ ィ ー フ を 含 む 。 メ ゾ テ 10 リ ン A3ペ プ チ ド お よ び PSCA A3ペ プ チ ド な ら び に HIV-NEF A3ペ プ チ ド QVPLRPMTYK( SEQ ID NO: 8) ( ア ミ ノ 酸 94∼ 103位 ) ( 20) は HLA-A3結 合 モ テ ィ ー フ を 含 む 。 メ ゾ テ リ ン A24ペ プ チ ド お よ び PSCA A24ペ プ チ ド な ら び に チ ロ シ ナ ー ゼ ペ プ チ ド AFLPWHRLF( SEQ ID NO: 9 ) ( ア ミ ノ 酸 206∼ 214位 ) ( 31) は HLA-A24結 合 モ テ ィ ー フ を 含 む 。 各 ペ プ チ ド の 保 存 溶 液 ( 1mg/ml) を 10% DMSO( JTBaker、 ニ ュ ー ジ ャ ー ジ ー 州 フ ィ リ ッ プ ス バ ー グ ) 中 で 調 製 し 、 細 胞 培 養 培 地 中 で さ ら に 希 釈 し て 、 各 ア ッ セ イ に つ い て 最 終 ペ プ チ ド 濃 度 10ng/mlと し た 。 対 照 M1ペ プ チ ド は 、 同 じ 保 存 溶 液 お よ び 最 終 濃 度 を 用 い て 、 ま ず 100% DMSOに 溶 解 * し 、 細 胞 培 養 培 地 中 で さ ら に 希 釈 し た 。 T2細 胞 は 、 HLA-A 0201対 立 遺 伝 子 だ け を 発 現 す る ヒ ト Bお よ び Tリ ン パ 芽 球 ハ イ ブ リ ッ ド で あ る ( 26) 。 ヒ ト T2細 胞 株 は TAP欠 損 細 胞 株 で 、 新 し く 消 化 さ れ た HLAク ラ ス I結 合 エ ピ ト ー プ を 細 胞 質 ゾ ル か ら 、 こ れ ら の エ ピ ト ー プ が 通 20 常 は 新 生 HLA分 子 に 結 合 し 、 細 胞 表 面 上 で の 発 現 の た め に そ れ ら を 安 定 化 さ せ る 小 胞 体 に 移 行 さ せ る こ と が で き な い ( 26) 。 T2-A3は 、 HLA-A301対 立 遺 伝 子 を 発 現 す る よ う 遺 伝 子 修 飾 さ れ た T2細 胞 で 、 Walter Storkus博 士 ( University of Pittsburgh) か ら 御 供 与 い た だ い た ( 32) 。 T2-A24は 、 HLA-A24対 立 遺 伝 子 を 発 現 す る よ う 遺 伝 子 修 飾 さ れ た T2細 胞 で あ る 。 HLA-A24遺 伝 子 は Paul Robbins博 士 ( 米 国 国 立 癌 セ ン タ ー 、 外 科 部 門 ) か ら 御 供 与 い た だ い た ( 31) 。 T2細 胞 を 200μ M L-グ ル タ ミ ン ( Gibco、 ニ ュ ー ヨ ー ク 州 グ ラ ン ド ア イ ラ ン ド ) 、 50ユ ニ ッ ト -μ g/ml Pen/Strep( Gibco) 、 1% NEAA( Gibco) 、 お よ び 1% ピ ル ビ ン 酸 ナ ト リ ウ ム ( Gibco) を 補 足 し た RPMI-1640( Gibco、 ニ ュ ー ヨ ー ク 州 グ ラ ン ド ア イ ラ ン ド ) 、 10% 血 清 ( Hyclone、 ユ タ 州 ロ ー ガ ン ) 中 の 懸 濁 培 養 で 増 殖 さ せ た 。 【0090】 30 材 料 お よ び 方 法 : ペ プ チ ド /MHC結 合 ア ッ セ イ 5 目 的 の HLA分 子 を 発 現 す る T2細 胞 を AimV無 血 清 培 地 ( Gibco) 中 に 、 2.5× 10 細 胞 /mlま で 再 懸 濁 し 、 100∼ 200マ イ ク ロ グ ラ ム の ペ プ チ ド を 室 温 で 終 夜 適 用 し た 。 室 温 で の 適 用 に よ り 、 各 エ ピ ト ー プ の 結 合 に 利 用 可 能 な 空 の HLA分 子 の 数 を 最 適 化 す る こ と が で き る ( 30 5 ) 。 細 胞 を 洗 浄 し 、 1× 10 細 胞 /mlで 再 懸 濁 し た 。 ペ プ チ ド 結 合 を FACS( Beckon Dickenso n、 カ リ フ ォ ル ニ ア 州 サ ン ホ セ ) 分 析 で 評 価 し た 。 【0091】 実施例2 メ ゾ テ リ ン お よ び PSCAが CD8+ T細 胞 に よ っ て 認 識 さ れ る か ど う か を 調 べ る た め に 、 発 明 者 ら は 、 同 種 GM-CSF分 泌 膵 臓 腫 瘍 ワ ク チ ン 接 種 を 受 け た 患 者 か ら の CD8+ T細 胞 を 多 く 含 む 40 PBLで 抗 原 適 用 T2細 胞 を ス ク リ ー ニ ン グ し た 。 発 明 者 ら は 以 前 、 最 高 の 二 段 階 の 用 量 で ワ ク チ ン 接 種 を 受 け た 8名 中 3名 の 患 者 で 、 イ ン ビ ボ で の 自 己 腫 瘍 に 対 す る ワ ク チ ン 接 種 後 遅 延 型 過 敏 ( DTH) 応 答 の 関 与 を 報 告 し た 。 診 断 後 4年 以 上 経 過 し て 臨 床 上 膵 臓 癌 を 再 発 し て い な い 患 者 は こ れ ら の 「 DTH応 答 者 」 ( そ れ ぞ れ 一 次 外 科 切 除 時 に は 予 後 指 標 が 悪 か っ た ( 27) の み で あ る ( ( 27) 、 表 2) 。 ワ ク チ ン 接 種 後 お よ び 最 初 の ワ ク チ ン 接 種 の 28日 後 に 得 た PBLを ま ず 分 析 し た 。 2つ の A3結 合 エ ピ ト ー プ を 適 用 し た T2-A3細 胞 を 、 患 者 10( 非 D TH応 答 者 で 、 診 断 後 9ヶ 月 で 再 発 ) お よ び 13( DTH応 答 者 で 、 再 発 し て い な い ) の 末 梢 血 か ら 単 離 し た 、 CD8+ T細 胞 を 多 く 含 む リ ン パ 球 と 共 に 終 夜 イ ン キ ュ ベ ー ト し 、 ガ ン マ イ ン タ ー フ ェ ロ ン ( IFN-γ ) ELISPOTア ッ セ イ を 用 い て 分 析 し た 。 ELISPOTア ッ セ イ は 比 較 的 少 な い リ ン パ 球 し か 必 要 と せ ず 、 抗 原 特 異 的 T細 胞 を 定 量 す る た め の 最 も 感 度 の 高 い イ ン ビ ト 50 (28) JP 2006-521090 A 2006.9.21 ロ ア ッ セ イ の 一 つ で あ り 、 か つ 抗 原 特 異 的 T細 胞 の 数 を 機 能 ( サ イ ト カ イ ン 発 現 ) に 相 関 さ せ る た め 、 こ の ア ッ セ イ を 選 択 し た ( 33∼ 35) 。 2名 の 患 者 の 末 梢 血 中 、 ワ ク チ ン 接 種 前 と 最 初 の ワ ク チ ン 接 種 の 28日 後 に 、 2つ の HLA-A3結 合 メ ゾ テ リ ン ペ プ チ ド に 応 答 し て 検 5 出 さ れ た CD8+ T陽 性 細 胞 1× 10 個 あ た り の IFN-γ ス ポ ッ ト の 数 を 図 2Aに 示 す 。 【0092】 メ ゾ テ リ ン 特 異 的 T細 胞 の 誘 導 が 、 患 者 13( DTH応 答 者 ) で ワ ク チ ン 接 種 の 28日 後 に 検 出 さ れ た が 、 患 者 10( 非 DTH応 答 者 ) で は 検 出 さ れ な か っ た 。 同 様 に 、 A2( 図 2B) お よ び A24 ( 図 2C) 結 合 エ ピ ト ー プ を そ れ ぞ れ 適 用 し た T2-A2お よ び T2-A24細 胞 で 試 験 し た 場 合 、 メ ゾ テ リ ン 特 異 的 CD8+ T細 胞 の ワ ク チ ン 接 種 後 誘 導 が 、 他 の 2名 の 無 疾 患 DTH応 答 者 ( 患 者 8 お よ び 患 者 14) で 観 察 さ れ た が 、 他 の 2名 の 非 DTH応 答 者 で は 観 察 さ れ な か っ た 。 本 試 験 で 10 最 初 の ワ ク チ ン 接 種 後 の メ ゾ テ リ ン 特 異 的 CD8+ T細 胞 誘 導 の た め に 、 同 種 ワ ク チ ン で 治 療 し た 全 14名 の 患 者 を 分 析 し た ELISPOTの 結 果 を 、 図 2Dに 示 す 。 こ れ ら の デ ー タ は 、 本 臨 床 試 験 に お い て 観 察 さ れ た ワ ク チ ン 接 種 後 の 自 己 腫 瘍 に 対 す る イ ン ビ ボ DTH応 答 、 長 期 無 疾 患 生 存 、 お よ び メ ゾ テ リ ン 特 異 的 T細 胞 応 答 の ワ ク チ ン 接 種 後 誘 導 の 間 に 直 接 の 相 関 性 が あ る こ と を 示 し て い る 。 特 に 、 3名 の 各 DTH応 答 者 は 、 そ れ ぞ れ の HLA型 に 適 合 す る 全 て の メ ゾ テ リ ン ペ プ チ ド に 対 す る T細 胞 応 答 に お い て ワ ク チ ン 接 種 後 誘 導 を 示 し た が 、 11名 の D TH非 応 答 者 で は 、 ワ ク チ ン 接 種 後 の メ ゾ テ リ ン 特 異 的 T細 胞 応 答 の 増 大 を 示 し た の は 1名 の み で 、 単 一 の ペ プ チ ド に 対 す る も の で し か な か っ た 。 し た が っ て 、 メ ゾ テ リ ン 特 異 的 T細 胞応答のインビトロ測定は、どの患者がこのワクチン療法に応答するかを予測するための 、新しいインビトロ免疫マーカー候補である。 20 【0093】 材 料 お よ び 方 法 : 末 梢 血 リ ン パ 球 ( PBL) お よ び 供 血 者 末 梢 血 ( 100cc、 ワ ク チ ン 接 種 前 お よ び 各 ワ ク チ ン 接 種 の 28日 後 ) を 、 以 前 に 報 告 し た 第 I相 ワ ク チ ン 試 験 ( 27) の 一 部 と し て 同 種 GM-CSF分 泌 膵 臓 腫 瘍 ワ ク チ ン の 接 種 を 受 け た 1 4名 の 患 者 全 員 か ら 採 取 し た 。 患 者 の 試 験 登 録 時 に 、 本 抗 原 同 定 試 験 に 用 い る た め の リ ン パ 球 を 保 存 す る こ と に つ い て 告 知 に 基 づ く 同 意 を 得 た 。 ワ ク チ ン 前 お よ び 後 の PBLを 、 フ ィ コ ー ル -ハ イ パ ー ク ( Pharmacia、 ス ウ ェ ー デ ン 、 ウ プ サ ラ ) を 用 い た 密 度 勾 配 遠 心 法 に よ り 単 離 し た 。 細 胞 を 無 血 清 RPMI-1640で 2回 洗 浄 し た 。 PBLを 10% DMSOを 含 む 90% AIM-V培 地 中 、 -180℃ で 凍 結 保 存 し た 。 【0094】 30 材 料 お よ び 方 法 : CD8+ T細 胞 の た め の PBLの 強 化 CD8+ T細 胞 を 解 凍 PBLか ら 、 Magnetic Cell Sorting of Human Leukocytesを 製 造 者 ( MA CS, Miltenyi Biotec、 カ リ フ ォ ル ニ ア 州 オ ー バ ー ン ) の 指 示 通 り に 用 い て 単 離 し た 。 細 胞 を CD8-PE抗 体 ( Becton Dickenson、 カ リ フ ォ ル ニ ア 州 サ ン ホ セ ) で 染 色 し て 、 陽 性 集 団 が CD8+ T細 胞 を 含 む こ と を 確 認 し 、 フ ロ ー サ イ ト メ ト リ ー で 分 析 し た 。 こ の 方 法 に よ り 一 貫 し て > 95% の CD8+ T細 胞 純 度 を 得 た 。 【0095】 材 料 お よ び 方 法 : ELISPOTア ッ セ イ マ ル チ ス ク リ ー ン の 96穴 ろ 過 プ レ ー ト ( Millipore、 マ サ チ ュ ー セ ッ ツ 州 ベ ッ ド フ ォ ー ド ) を 60μ l/ウ ェ ル の 10μ g/ml抗 hIFN-γ マ ウ ス モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 ( Mab) 1-D1K( Mabte 40 ch、 ス ウ ェ ー デ ン 、 ナ ッ カ ) に よ り 4℃ で 終 夜 コ ー テ ィ ン グ し た 。 次 い で 、 ウ ェ ル を 1× PB Sで 各 3回 洗 浄 し 、 T細 胞 培 地 で 2時 間 ブ ロ ッ ク し た 。 ELISPOTプ レ ー ト 上 で 6つ ず つ 重 複 し て 、 T細 胞 培 地 100μ l中 の ペ プ チ ド ( 10ng/ml) を 適 用 し た 1× 10 5 T2細 胞 を 、 T細 胞 培 地 100 5 μ l中 の CD8+ T細 胞 を 選 択 す る た め に 精 製 さ れ る 1× 10 解 凍 PBLと 共 に 終 夜 イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。 プ レ ー ト を 5% CO2 中 、 37℃ で 終 夜 イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。 PBS+ 0.05% ト ゥ イ ー ン 20 ( Sigma、 ミ ズ ー リ 州 セ ン ト ル イ ス ) で 6回 洗 浄 す る こ と に よ り 、 ELISPOTプ レ ー ト か ら 細 胞 を 除 去 し た 。 ウ ェ ル を 5% CO2 中 、 37℃ で 2時 間 、 60μ l/ウ ェ ル の 2μ g/mlビ オ チ ン 化 Mab 抗 hIFNガ ン マ 7-B6-1( Mabtech、 ス ウ ェ ー デ ン 、 ナ ッ カ ) を 用 い て イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。 P BS/ト ゥ イ ー ン 0.05% で 6回 洗 浄 し た 後 、 ア ビ ジ ン ペ ル オ キ シ ダ ー ゼ 複 合 体 ( Vectastain E LITE ABC kit、 Vetcor Laboratories、 カ リ フ ォ ル ニ ア 州 バ ー リ ン ゲ ー ム ) を 100μ l/ウ ェ 50 (29) JP 2006-521090 A 2006.9.21 ル で 加 え 、 室 温 で 1時 間 イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。 AEC-基 質 溶 液 ( 3-ア ミ ノ -9-エ チ ル カ ル バ ゾ ー ル ) を 100μ l/ウ ェ ル で 加 え 、 室 温 で 4∼ 12分 間 イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。 水 道 水 で 洗 浄 す る ことにより発色を停止した。プレートを室温で終夜乾燥し、着色スポットを自動画像シス テ ム ELISPOT読 み 取 り 器 ( Axioplan2、 Carl Zeiss Microimaging Inc.、 ニ ュ ー ヨ ー ク 州 ト ムウッド)を用いて計数した。 【0096】 実施例3 前 述 の デ ー タ は 、 自 己 腫 瘍 に 対 す る イ ン ビ ボ DTH応 答 お よ び 長 期 無 疾 患 生 存 の メ ゾ テ リ ン 特 異 的 CD8+ T細 胞 応 答 の ワ ク チ ン 接 種 後 誘 導 と の 相 関 を 明 ら か に 示 し て い る 。 し か し 、 こ の 相 関 は 、 無 疾 患 の ま ま 推 移 し て い る DTH応 答 患 者 に お け る メ ゾ テ リ ン へ の T細 胞 応 答 の 10 ワクチン特異的誘導ではなく、一般化された免疫抑制(自己腫瘍に対するワクチン接種後 DTH応 答 を 示 す こ と が で き な か っ た 患 者 、 お よ び 疾 患 の 進 行 が 認 め ら れ た 患 者 に お い て ) を 示 し て い る 可 能 性 も あ る 。 メ ゾ テ リ ン 特 異 的 CD8+ T細 胞 の ワ ク チ ン 接 種 後 誘 導 が 腫 瘍 抗 原 特 異 的 で あ る こ と を 示 す た め に 、 発 明 者 ら は 各 HLA-A2陽 性 患 者 を HLA-A2-結 合 イ ン フ ル エ ン ザ マ ト リ ク ス ペ プ チ ド 、 M1( 28) に 対 す る T細 胞 応 答 に つ い て 評 価 し た 。 ワ ク チ ン 試 験中のほとんどの患者は登録前のある時点でインフルエンザワクチン接種を受けていたた め 、 発 明 者 ら は イ ン フ ル エ ン ザ M1ペ プ チ ド を 選 択 し た 。 図 3に 示 す と お り 、 HLA-A2陽 性 患 者 は 全 員 、 同 様 の M1ペ プ チ ド に 対 す る ワ ク チ ン 接 種 前 お よ び 接 種 後 T細 胞 応 答 を 示 し た 。 ワ ク チ ン 接 種 前 応 答 は 105の 全 CD8+ T細 胞 あ た り 19か ら 50の IFN-γ ス ポ ッ ト の 範 囲 で あ り 、 ワ ク チ ン 接 種 後 応 答 は そ れ ぞ れ の 患 者 で ほ ぼ 同 じ ま ま で あ っ た ( 図 3) 。 HLA-A3お よ び A 20 24陽 性 患 者 に つ い て は 、 こ れ ら の HLA分 子 に 結 合 す る こ と が 知 ら れ て い る イ ン フ ル エ ン ザ M 1エ ピ ト ー プ は 発 表 さ れ て い な い た め 、 同 様 の 試 験 は 行 わ な か っ た 。 【0097】 発 明 者 ら は 、 同 じ 14名 の 患 者 か ら の リ ン パ 球 を 、 第 二 の 過 剰 発 現 さ れ る 抗 原 、 PSCAに 対 す る CD8+ Tリ ン パ 球 の ワ ク チ ン 接 種 後 誘 導 に つ い て 評 価 し た 。 メ ゾ テ リ ン と は 対 照 的 に 、 PSCAは 3名 の DTH応 答 者 で 免 疫 応 答 を 誘 発 し な か っ た 。 こ こ で も 、 発 明 者 ら は 両 方 の ア ル ゴ リ ズ ム で 支 持 さ れ た HLA-A2、 HLA-A3、 お よ び HLA-A24の 上 位 2つ の エ ピ ト ー プ を 合 成 し 、 こ れらをメゾテリン実験で用いたものと同じプロトコルに従って分析した。発明者らは、ど の 患 者 で も PSCA特 異 的 T細 胞 の い か な る ワ ク チ ン 接 種 後 誘 導 も 認 め ず 、 し た が っ て 、 免 疫 原 エ ピ ト ー プ を 失 っ て い な い こ と を 確 認 す る た め に 、 各 HLAク ラ ス I分 子 に つ い て さ ら に 4 30 つ の PSCAペ プ チ ド を 合 成 し た 。 こ れ ら の ペ プ チ ド の 分 析 で も 、 PSCA特 異 的 CD8+ T細 胞 応 答 の ワ ク チ ン 接 種 後 誘 導 を 示 す こ と は で き な か っ た ( そ れ ぞ れ 図 4A、 4B、 お よ び 4C) 。 PSCA 特 異 的 応 答 は 8名 の 非 応 答 者 で も 示 す こ と は で き な か っ た ( 図 4d) 。 こ の 結 果 は 、 SAGE分 析 に お い て PSCAは 膵 臓 癌 で 同 様 に 過 剰 発 現 さ れ る が 、 PSCAに 対 す る ワ ク チ ン 誘 導 性 免 疫 応 答は認められなかったことから、メゾテリンが適切な膵臓腫瘍抗原であることをさらに裏 付 け て い る 。 加 え て 、 PSCAデ ー タ は 、 腫 瘍 に お け る タ ン パ ク 質 の 過 剰 発 現 は タ ン パ ク 質 の ワクチン標的としての有用性を予測するのに十分であることを示している。 【0098】 2つ の 同 種 ワ ク チ ン 細 胞 株 に よ る メ ゾ テ リ ン お よ び PSCA発 現 の フ ロ ー サ イ ト メ ト リ ー 分 析 を 図 5に 示 す 。 興 味 深 い こ と に 、 メ ゾ テ リ ン は 両 方 の ワ ク チ ン 細 胞 株 に よ っ て 同 等 に 発 40 現 さ れ る が 、 PSCAは ワ ク チ ン 細 胞 株 の 一 方 ( Panc 6.03) に よ っ て の み 発 現 さ れ る 。 【0099】 材 料 お よ び 方 法 : CD8+ M1特 異 的 T細 胞 株 M1特 異 的 T細 胞 株 を 、 HLA-A201陽 性 PBLを ま ず 放 射 線 照 射 自 己 樹 状 細 胞 と 、 続 い て 放 射 線 照 射 自 己 エ プ ス タ イ ン -バ ー ウ イ ル ス ( EBV) 転 換 B細 胞 ( い ず れ も HLA-A201制 限 エ ピ ト ー プ を 適 用 し た ) に よ り 反 復 イ ン ビ ト ロ 刺 激 し て 生 成 さ せ た 。 こ の 細 胞 株 を 、 10μ gペ プ チ ド /mlの そ れ ぞ れ の ペ プ チ ド を 37℃ で 2時 間 適 用 し た 自 己 EBV細 胞 を 用 い て 2週 間 に 1回 刺 激 し 、 RPMI-1640で 2回 洗 浄 し 、 10,000ラ ド で 放 射 線 照 射 し た 。 T細 胞 を 、 20 cetusユ ニ ッ ト I L-2/ウ ェ ル お よ び 10ng/ウ ェ ル IL-7を 補 足 し た T細 胞 培 地 ( 200μ M L-グ ル タ ミ ン 、 50ユ ニ ッ ト -μ g/ml Pen/Strep、 1% NEAA、 お よ び 1% ピ ル ビ ン 酸 Naを 含 む RPMI-1640、 10% ヒ ト 血 50 (30) JP 2006-521090 A 2006.9.21 清 ( Johns Hopkins Hemapheresis Unitで 採 取 し た 保 存 血 清 ) ) 中 、 T細 胞 : EBV細 胞 比 1: 2で 刺 激 し た 。 こ の 株 を す べ て の ア ッ セ イ で 陽 性 対 照 T細 胞 株 と し て 用 い た 。 【0100】 材料および方法:フローサイトメトリー ワ ク チ ン 株 に お け る メ ゾ テ リ ン お よ び PSCAの 発 現 を フ ロ ー サ イ ト メ ト リ ー 分 析 で 評 価 し た 。 ワ ク チ ン 株 を 2回 洗 浄 し 、 「 FACS」 緩 衝 液 ( 1% PBS、 2% FBS、 お よ び 0.2% ア ジ 化 ナ ト リ ウ ム を 補 足 し た HBSS) 中 に 再 懸 濁 し 、 次 い で FACScan分 析 器 ( BD Immunocytometry Syst ems) で の フ ロ ー 分 析 の た め に 、 マ ウ ス モ ノ ク ロ ー ナ ル メ ゾ テ リ ン ( CAK1) ( Signet Labo ratories、 マ サ チ ュ ー セ ッ ツ 州 デ ダ ム ) ま た は PSCAに 対 す る マ ウ ス モ ノ ク ロ ー ナ ル ( ク ロ ー ン 1 G8、 R.E.R.か ら 入 手 ) と 、 続 い て FITC-標 識 ヤ ギ 抗 マ ウ ス IgG( BD PharMingen、 カ 10 リフォルニア州サンホセ)で染色した。 【0101】 こ れ ら の デ ー タ は 、 メ ゾ テ リ ン 特 異 的 CD8+ T細 胞 は DTH応 答 者 で は 同 種 GM-CSF分 泌 腫 瘍 ワ ク チ ン に よ る 1回 接 種 後 に 検 出 さ れ る が 、 非 DTH応 答 者 で は 検 出 さ れ な い こ と を 示 し て い る 。 既 発 表 の ワ ク チ ン 試 験 で 治 療 し た 患 者 は 、 膵 十 二 指 腸 切 除 の 8∼ 10週 間 後 で 、 6ヶ 月 ク ー ル の ア ジ ュ バ ン ト 化 学 療 法 を 受 け る 4週 間 前 に 、 最 初 の ワ ク チ ン 接 種 を 受 け た ( 27) 。 こ れ ら の 患 者 の う ち 6名 は 6ヶ 月 終 了 時 に 無 疾 患 の ま ま で 、 1ヶ 月 お き に さ ら に 3回 ま で の ワ ク チ ン 接 種 を 受 け た 。 複 数 回 の ワ ク チ ン 治 療 後 に こ れ ら 6名 の 患 者 か ら 採 取 し た 一 連 の CD8 + T細 胞 強 化 PBL試 料 で 、 反 復 ELISPOT試 験 を 行 い 、 メ ゾ テ リ ン 特 異 的 T細 胞 応 答 に 対 す る 化 学放射線照射および複数回ワクチン接種の効果を評価した。 20 【0102】 図 6に 示 す と お り 、 3名 の DTH応 答 者 の う ち の 2名 は 、 2回 目 の ワ ク チ ン 接 種 後 に メ ゾ テ リ ン 特 異 的 T細 胞 応 答 の 低 下 を 示 し た 。 ど ち ら の 患 者 で も 、 メ ゾ テ リ ン 特 異 的 T細 胞 応 答 は 4 回 目 の ワ ク チ ン 接 種 ま で に 初 回 接 種 後 に 得 ら れ た レ ベ ル ま で 戻 っ た 。 2回 目 の ワ ク チ ン 接 種 後 に 観 察 さ れ た メ ゾ テ リ ン 特 異 的 T細 胞 応 答 の 抑 制 は 、 各 患 者 が 1回 目 と 2回 目 の 接 種 の 間 に 受 け た 化 学 療 法 の 結 果 で あ る と 考 え ら れ る 。 興 味 深 い こ と に 、 3名 の 患 者 の う ち の 1名 は 1回 目 お よ び 2回 目 の ワ ク チ ン 接 種 後 に 同 様 の メ ゾ テ リ ン 特 異 的 T細 胞 応 答 を 示 し た 。 こ の DTH応 答 者 は 引 き 続 い て マ イ ト マ イ シ ン -Cが 原 因 の 遅 発 型 自 己 免 疫 抗 体 仲 介 性 合 併 症 を 発 症 し 、 医 学 的 介 入 と ワ ク チ ン 試 験 の 中 止 を 必 要 と し た た め 、 ワ ク チ ン 接 種 は 2回 し か 受 け な か っ た 。 こ れ と は 対 照 的 に 、 初 回 ワ ク チ ン 接 種 後 に 初 期 の メ ゾ テ リ ン 特 異 的 T細 胞 応 30 答 を 示 さ な か っ た 患 者 で は 、 反 復 ワ ク チ ン 接 種 を し て も メ ゾ テ リ ン 特 異 的 T細 胞 応 答 を 誘 導 す る こ と は で き な か っ た ( 図 6) 。 【0103】 同 種 GM-CSF-分 泌 膵 臓 腫 瘍 ワ ク チ ン に よ り 誘 導 さ れ た CD8 + T細 胞 応 答 に つ い て 記 載 し て いるこれらのデータは、以下の結論を支持するものである。第一に、メゾテリンはワクチ ンにより誘導された免疫応答のインビトロ生物マーカーとして役立ち、これは膵腺癌患者 におけるインビボ応答に相関している。第二に、臨床応答に関連してインビボ免疫応答の 証 拠 を 示 す 、 患 者 か ら の 未 培 養 ワ ク チ ン 接 種 後 CD8 + T細 胞 に よ り 、 メ ゾ テ リ ン は 認 識 さ れ 、 も う 一 つ の 過 剰 発 現 遺 伝 子 産 物 で あ る PSCAは 認 識 さ れ な い こ と で 、 CD8 + T細 胞 の 免 疫 関 連腫瘍標的を同定するための迅速で機能的なゲノムによるアプローチとしてのこの抗原同 40 定アプローチの有効性が確認される。 【0104】 メ ゾ テ リ ン は ほ と ん ど の 膵 腺 癌 に よ り 発 現 さ れ る メ ゾ テ リ ン /巨 核 球 増 強 因 子 フ ァ ミ リ ー の 40キ ロ ダ ル ト ン の 膜 貫 通 糖 タ ン パ ク 質 メ ン バ ー で あ る ( 36) 、 ( 37∼ 39) 。 ま た 、 メ ゾテリンは卵巣癌、中皮腫、およびいくつかの扁平上皮癌によって発現されるとの報告も あ る ( 37∼ 39) 。 メ ゾ テ リ ン は グ リ コ シ ル ホ ス フ ァ チ ジ ル イ ノ シ ト ー ル ア ン カ ー に よ っ て 細胞膜に結合することが知られており、細胞接着において機能するとの仮説が立てられて い る ( 36) 。 メ ゾ テ リ ン お よ び そ の 遺 伝 子 フ ァ ミ リ ー の 他 の メ ン バ ー は 、 限 定 さ れ た 正 常 組織発現を示す。したがって、膵腺癌およびメゾテリンを過剰発現する他の腫瘍タイプの 患者に対する将来の抗原によるワクチンの開発において、免疫原として使用する際に非常 50 (31) JP 2006-521090 A 2006.9.21 に 好 都 合 な 3つ の 重 要 な 基 準 に 適 合 し て い る 。 す な わ ち 、 ほ と ん ど の 膵 臓 お よ び 卵 巣 癌 が 広く共有しており、正常組織では限定された発現を示し、この抗原を発現する腫瘍細胞で の ワ ク チ ン 接 種 後 に CD8 + T細 胞 応 答 を 誘 導 す る 。 【0105】 共有された、生物学的に関連する腫瘍抗原の同定により、現行の全細胞ワクチンよりも 抗腫瘍免疫を誘導する際に有効である可能性を有する抗原によるワクチンを設計する機会 が得られる。加えて、組換え抗原によるアプローチの規模拡大は、現在用いられている全 腫瘍細胞ワクチンよりも技術的に可能である。しかし、組換え抗原によるワクチンは、患 者 に よ り 広 く 発 現 さ れ 、 免 疫 原 性 で あ る 抗 原 の 同 定 が 必 要 で あ る 。 こ れ ま で の と こ ろ 、 cD NAラ イ ブ ラ リ の T細 胞 ス ク リ ー ニ ン グ 、 フ ァ ー ジ デ ィ ス プ レ イ ラ イ ブ ラ リ の 抗 体 ス ク リ ー 10 ニ ン グ 、 ま た は MHCに 結 合 し た 抗 原 の 生 化 学 的 溶 離 お よ び 精 製 に よ っ て 、 大 多 数 の 公 知 の 腫瘍抗原が同定されており、その多くは正常組織に比べて腫瘍細胞で過剰発現されるか、 ま た は 再 活 性 化 さ れ る 、 共 有 、 非 突 然 変 異 遺 伝 子 由 来 で あ る と 考 え ら れ る ( 3∼ 13) 。 残 念 な が ら 、 T細 胞 に よ っ て 認 識 さ れ る 腫 瘍 関 連 抗 原 の こ の 拡 大 し つ つ あ る リ ス ト は 、 他 の 型 の 癌 の ワ ク チ ン 接 種 患 者 か ら の T細 胞 株 お よ び ク ロ ー ン の 単 離 お よ び 増 殖 が 技 術 的 に 困 難であるため、ほとんどが黒色腫に限定されている。本明細書に開示されている腫瘍抗原 同定アプローチは、所与の腫瘍内で差次的に発現された遺伝子のデータベース、およびワ ク チ ン 接 種 患 者 か ら の 保 存 未 培 養 バ ル ク PBLし か 必 要 と し な い た め 、 実 行 可 能 で あ る 。 し たがって、この抗原同定アプローチは迅速で、ほとんどの型の癌に一般化することができ る 。 加 え て 、 長 期 間 培 養 さ れ た T細 胞 株 お よ び ク ロ ー ン で は な く 、 未 培 養 リ ン パ 球 の 使 用 20 により、新しい生物学的に関連する免疫標的を同定する利点がある。 【0106】 PSCAは 発 明 者 ら の SAGE膵 臓 遺 伝 子 発 現 デ ー タ ベ ー ス で 過 剰 発 現 さ れ る こ と が 明 ら か と な っ た 第 二 の 遺 伝 子 産 物 で あ る 。 事 実 、 PSCAは メ ゾ テ リ ン と 比 べ て も 、 よ り 高 い レ ベ ル で 過 剰 発 現 さ れ る こ と が 見 い だ さ れ て い る 。 し か し 、 ワ ク チ ン 接 種 PSCA特 異 的 T細 胞 応 答 は 、 D TH応 答 患 者 お よ び DTH非 応 答 患 者 に お い て 検 出 さ れ な か っ た 。 こ の 時 点 で は 、 な ぜ GM-CSF 分泌同種ワクチンが一つの過剰発現される抗原に対しては応答を誘導し、第二の同様に過 剰 発 現 さ れ る 抗 原 に 対 し て は 誘 導 し な い の か は 不 明 で あ る 。 こ れ ら 2つ の 抗 原 が 最 初 の 初 回 抗 原 刺 激 中 に 異 な る 処 理 を 受 け 、 提 示 さ れ て い る 可 能 性 も あ る ( 58) 。 【0107】 30 本 試 験 に お い て 、 発 明 者 ら は メ ゾ テ リ ン 特 異 的 T細 胞 が 3つ の 異 な る HLA-A遺 伝 子 座 の 対 立 遺 伝 子 に よ り 提 示 さ れ る 、 少 な く と も 6つ の 異 な る ペ プ チ ド に 対 し て 誘 導 さ れ う る こ と も示している。この知見は、メゾテリンが共有抗原として役立ちうることをさらに支持す る も の で あ る 。 本 試 験 に お い て 、 そ れ ら の モ テ ィ ー フ に 基 づ き 最 良 の HLA-A対 立 遺 伝 子 結 合 エ ピ ト ー プ で あ る と 予 測 さ れ る 最 高 順 位 の 抗 原 エ ピ ト ー プ は 、 そ れ ぞ れ の HLA対 立 遺 伝 子 に 結 合 し 、 メ ゾ テ リ ン 特 異 的 T細 胞 に よ っ て 認 識 も さ れ た 。 他 の 腫 瘍 抗 原 を 分 析 し て い る 報 告 は 、 最 高 順 位 の エ ピ ト ー プ が 必 ず し も T細 胞 に よ る 最 適 な 認 識 と 相 関 し て い な い こ と を 明 ら か に し て い る ( 25) 。 発 明 者 ら は 2つ の 黒 色 腫 抗 原 、 チ ロ シ ナ ー ゼ お よ び MAGE 1 に お い て も コ ン ピ ュ ー タ ー ア ル ゴ リ ズ ム を 実 施 し て 、 そ れ ら の 既 発 表 の HLA-A2結 合 ペ プ チ ド が こ の 方 法 に よ り い か に 評 価 さ れ る か を 調 べ た 。 発 明 者 ら は 、 我 々 の HLA-A2結 合 メ ゾ テ 40 リ ン エ ピ ト ー プ が 公 知 の チ ロ シ ナ ー ゼ お よ び MAGE 1 HLA-A2結 合 エ ピ ト ー プ と ほ ぼ 同 等 の スコアを与えられていることを見いだした。これは、我々の分析で対照抗原として用いた 、 既 発 表 の HLA-A2 HIV GAGお よ び HLA-A3 HIV NEFエ ピ ト ー プ に つ い て も あ て は ま っ た 。 両 方 の ア ル ゴ リ ズ ム に よ り 高 い 順 位 の エ ピ ト ー プ を 選 択 す る こ と は 、 そ れ ぞ れ の HLA分 子 に 対する結合の確立の重要な予測因子であると考えられる。 【0108】 発明者らは、膵臓腫瘍抗原候補を同定する機能的ゲノムアプローチを開発した。この抗 原同定へのアプローチは、生物学的に関連する免疫標的である他のヒト癌抗原の同定を容 易 に す る 。 イ ン ビ ト ロ T細 胞 応 答 と 、 応 答 の イ ン ビ ボ 尺 度 と の 相 関 性 は 、 こ の ア プ ロ ー チ の生物学的重要性を確認するものである。このアプローチは迅速かつ実行可能で、他の型 50 (32) JP 2006-521090 A 2006.9.21 の癌によって発現される抗原を同定するために容易に適応させることができる。これはま た、ほとんどのヒト癌治療のための組換え抗原によるワクチンの開発を加速させると思わ れる。 【0109】 発 明 の 背 景 お よ び 実 施 例 1∼ 4の 引 用 文 献 (33) JP 2006-521090 A 2006.9.21 10 20 30 40 (34) JP 2006-521090 A 2006.9.21 10 20 30 40 (35) JP 2006-521090 A 2006.9.21 10 20 30 40 (36) JP 2006-521090 A 2006.9.21 10 20 30 40 (37) JP 2006-521090 A 2006.9.21 10 20 30 40 (38) JP 2006-521090 A 2006.9.21 10 20 30 40 (39) JP 2006-521090 A 2006.9.21 10 20 30 40 (40) JP 2006-521090 A 2006.9.21 10 20 30 40 【0110】 実施例5 HPV-16 E6お よ び E7な ら び に 活 性 化 ras癌 遺 伝 子 で の 同 時 形 質 転 換 に よ る マ ウ ス 腫 瘍 細 胞 の 構築 C57BL/6マ ウ ス の 初 代 培 養 腹 腔 細 胞 を HPV-16 E6お よ び E7で 不 死 化 し 、 次 い で pEJB発 現 活 性 化 ヒ ト c-Ha-ras遺 伝 子 で 形 質 転 換 し た 。 こ の 同 時 形 質 転 換 に よ り 腫 瘍 発 生 性 細 胞 株 が 得 られた。 【0111】 C57BL/6マ ウ ス 腹 腔 細 胞 を 採 取 し 、 1× HBSSで 洗 浄 し た 。 初 代 培 養 単 一 細 胞 懸 濁 液 を 、 10 50 (41) JP 2006-521090 A 2006.9.21 % ウ シ 胎 仔 血 清 、 50ユ ニ ッ ト /mlペ ニ シ リ ン /ス ト レ プ ト マ イ シ ン 、 2mM L-グ ル タ ミ ン 、 1m Mピ ル ビ ン 酸 ナ ト リ ウ ム 、 お よ び 2mM可 欠 ア ミ ノ 酸 を 補 足 し た RPMI1640中 、 37℃ お よ び 5% C O2 で 増 殖 さ せ て 、 イ ン ビ ト ロ 培 養 し た 。 HPV-16 E6お よ び E7遺 伝 子 の 初 代 培 養 腹 腔 細 胞 へ の 形 質 導 入 を 、 Denise A. Galloway( Fred Hutchinson Cancer Research Center、 ワ シ ン ト ン 州 シ ア ト ル ) か ら 御 提 供 い た だ い た LXSN16E6E7レ ト ロ ウ イ ル ス ベ ク タ ー を 用 い て 実 施 し た ( Halbertら 、 (1991) J Virol, 65:473-478) 。 HPV-16 E6-お よ び E7-含 有 LXSN16E6E7 を 用 い て 、 CRIP細 胞 を 感 染 さ せ 、 広 い 宿 主 範 囲 の 組 換 え ウ イ ル ス を 生 成 し た 。 初 代 培 養 腹 腔 細 胞 は 以 前 に 記 載 さ れ て い る と お り に ( Halbertら 、 (1991) J Virol, 65:473-478) 形 質 導 入 に よ り 不 死 化 し た 。 形 質 導 入 後 、 レ ト ロ ウ イ ル ス 上 清 を 除 去 し 、 細 胞 を G418( 0.4m g/ml) 培 地 中 で さ ら に 3日 間 培 養 し 、 組 換 え レ ト ロ ウ イ ル ス 遺 伝 子 の 挿 入 お よ び 発 現 を 可 10 能 に し た 。 次 い で 、 不 死 化 肺 ( E6+E7+) 細 胞 を 、 Chi V. Dang( The John Hopkins Hospit al、 メ リ ー ラ ン ド 州 バ ル チ モ ア ) か ら 御 提 供 い た だ い た 、 活 性 化 ヒ ト c-Ha-ras遺 伝 子 を 発 現 す る pVEJBで 形 質 導 入 し 、 G418( 0.4mg/ml) お よ び ハ イ グ ロ マ イ シ ン ( 0.2mg/ml) で 選 択した。 【0112】 実施例6 WF-3の 組 織 学 的 お よ び 病 理 学 的 特 徴 の 分 析 5× 10 4 WF-3腫 瘍 細 胞 を C57BL/6マ ウ ス に 腹 腔 内 注 入 し た 。 4週 間 後 、 マ ウ ス を 屠 殺 し て 腹 水 も 予 備 腫 瘍 の 形 成 を 調 べ た 。 摘 出 臓 器 を 4% 緩 衝 化 ホ ル ム ア ル デ ヒ ド で 固 定 し 、 組 織 検 査 用 切 片 を 調 製 し た 後 、 通 常 の ヘ マ ト キ シ リ ン -エ オ シ ン 染 色 を 行 っ た 。 ス ラ イ ド を 光 20 学顕微鏡下で観察した。 【0113】 マ ウ ス に 5× 10 4 WF-3腫 瘍 細 胞 を 腹 腔 内 注 入 し 、 4週 間 後 に 屠 殺 し た 。 こ の 細 胞 株 は 腫 瘍 細 胞 で 腹 腔 内 攻 撃 し た マ ウ ス で 腹 水 を 生 成 す る こ と が で き た ( 図 7A参 照 ) 。 形 態 学 的 に 、 WF-3腫 瘍 細 胞 は ヒ ト 卵 巣 /腹 腔 で 見 い だ さ れ る 漿 液 性 腫 瘍 に 似 た 乳 頭 状 構 造 を 示 し た ( 図 1 B) 。 さ ら に 、 腫 瘍 は 高 レ ベ ル の 有 糸 分 裂 活 性 、 多 態 性 核 、 異 常 有 糸 分 裂 、 お よ び 高 い 核 / 細 胞 質 の 比 を 示 し 、 こ れ は 高 度 悪 性 新 生 物 に 一 致 し て い る ( 図 7C参 照 ) 。 【0114】 図 7は 、 腹 水 生 成 卵 巣 腫 瘍 細 胞 株 ( WF-3) の 生 成 お よ び 特 徴 付 け を 示 す 。 WF-3腫 瘍 細 胞 5 を C57BL/6マ ウ ス に 1× 10 細 胞 /マ ウ ス の 用 量 で 腹 腔 内 注 入 し た 。 腫 瘍 攻 撃 の 4週 間 後 に マ 30 ウ ス を 安 楽 死 さ せ た ( 図 7A参 照 ) 。 マ ウ ス に お け る 腹 水 生 成 を 示 す 典 型 的 肉 眼 図 。 注 : 腫 瘍 攻 撃 の 4週 間 後 に マ ウ ス は 腹 囲 の 増 加 を 伴 う 著 し い 腹 水 を 生 じ た 。 図 7Bは 外 植 腫 瘍 の ヘ マ ト キ シ リ ン お よ び エ オ シ ン 染 色 を 100× の 倍 率 で 示 し て い る 。 腫 瘍 は 乳 頭 状 の 形 状 を 示 し 、 腹 腔 ま た は 卵 巣 由 来 の 腫 瘍 に 形 態 上 一 致 し て い た 。 図 7Cは 腫 瘍 を 400× の 倍 率 で 示 し て い る 。 挿 入 図 は WF-3腫 瘍 細 胞 の 特 徴 を 詳 細 に 示 し て い る 。 【0115】 実施例7 WF-3腫 瘍 細 胞 の MHCク ラ ス Iお よ び ク ラ ス II提 示 WF-3腫 瘍 細 胞 を 回 収 し 、 フ ロ ー サ イ ト メ ト リ ー 分 析 の た め に 調 製 し た 。 WF-3腫 瘍 細 胞 に お け る MHCク ラ ス Iお よ び ク ラ ス II発 現 の 検 出 の た め に 、 抗 H-2Kb/H-2Dbモ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 40 体 ま た は 抗 I-Abモ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 を 加 え た 。 【0116】 WF-3腫 瘍 細 胞 を 回 収 し 、 ト リ プ シ ン 処 理 し 、 洗 浄 し 、 FACScan緩 衝 液 中 に 再 懸 濁 し た 。 抗 H-2Kb/H-2Dbモ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 ( ク ロ ー ン 28-8-6、 PharMingen、 カ リ フ ォ ル ニ ア 州 サ ン デ ィ エ ゴ ) ま た は 抗 I-Abモ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 ( ク ロ ー ン 25-9-17、 PharMingen、 カ リ フ ォ ル ニ ア 州 サ ン デ ィ エ ゴ ) を 加 え 、 氷 上 で 30分 間 イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。 FACScan緩 衝 液 中 で 2回 洗 浄 し た 後 、 FITC結 合 ヤ ギ 抗 マ ウ ス 抗 体 ( Jackson ImmunoResearch Lab. Inc.、 ペ ン シ ル ヴ ァ ニ ア 州 ウ ェ ス ト グ ロ ー ブ ) を 加 え 、 氷 上 で 20分 間 イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。 試 料 を FACScan緩 衝 液 に 再 懸 濁 し た 。 分 析 を CELLQuestソ フ ト ウ ェ ア を 用 い て Becton Dickinson F ACScan( Becton Dickinson Immunocytometry System、 カ リ フ ォ ル ニ ア 州 マ ウ ン テ ン ビ ュ 50 (42) JP 2006-521090 A 2006.9.21 ー)で行った。 【0117】 発 明 者 ら の デ ー タ は 、 WF-3は MHCク ラ ス I発 現 に つ い て は 陽 性 で あ る ( 図 8A) が 、 MHCク ラ ス II発 現 に つ い て は 陰 性 で あ る ( 図 8B) こ と を 示 し て い る 。 特 に 、 図 8は 、 WF-3腫 瘍 細 胞 上 の MHCク ラ ス Iお よ び II提 示 を 示 し て い る 。 WF-3腫 瘍 細 胞 を 回 収 し 、 ト リ プ シ ン 処 理 し 、 洗 浄 し 、 FACSCAN緩 衝 液 中 に 再 懸 濁 し た 。 抗 H2Kb/H-2Dモ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 ま た は 抗 I-Ab モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 を 加 え 、 続 い て フ ロ ー サ イ ト メ ト リ ー 分 析 を 行 っ て 、 WF-3腫 瘍 細 胞 上 の MHCク ラ ス Iお よ び ク ラ ス IIの 発 現 を 検 出 し た 。 図 8Aは 、 MHCク ラ ス I陰 性 対 照 ( 細 い 線 ) に 比 べ て MHCク ラ ス I提 示 陽 性 で あ っ た ( 太 い 線 ) WF-3腫 瘍 細 胞 を 示 し て い る 。 図 8Bは 、 MH Cク ラ ス II提 示 に つ い て は 陰 性 で あ っ た WF-3腫 瘍 細 胞 を 示 し て い る 。 細 い 線 は MHCク ラ ス II 10 陰性対照の染色を示している。 【0118】 実施例8 致 死 的 腹 水 の 生 成 を き た す WF-3腫 瘍 細 胞 の 最 低 腫 瘍 供 与 量 の 定 量 4 4 5 WF-3腫 瘍 細 胞 を C57BL/6マ ウ ス に 様 々 な 供 与 量 ( 1× 10 、 5× 10 、 1× 10 、 お よ び 1× 10 6 細 胞 /マ ウ ス ) で 腹 腔 内 注 入 し た 。 マ ウ ス を 1週 間 に 2回 、 腹 水 お よ び 腫 瘍 の 生 成 に つ い て モ ニ タ ー し 、 90日 後 に 屠 殺 し た 。 腫 瘍 攻 撃 後 の 生 存 に つ い て は 、 マ ウ ス に 様 々 な 供 与 量 の 4 4 5 6 WF-3( 1× 10 、 5× 10 、 1× 10 、 お よ び 1× 10 細 胞 /マ ウ ス ) で 腹 腔 内 攻 撃 し 、 腫 瘍 攻 撃 後のそれらの生存をモニターした。 【0119】 20 4 5 6 図 9Aに 示 す と お り 、 5× 10 、 1× 10 、 お よ び 1× 10 細 胞 を 腹 腔 内 注 入 し た マ ウ ス は す べ 4 て 30日 以 内 に 腹 水 を 生 成 し た 。 一 方 、 1× 10 /マ ウ ス を 注 入 し た マ ウ ス の 20% は 、 腫 瘍 攻 4 撃 の 90日 後 に 腫 瘍 は な く 、 腹 水 生 成 も 見 ら れ な か っ た 。 5× 10 腫 瘍 細 胞 以 上 の 供 与 量 を 注 入 し た マ ウ ス は す べ て 、 腫 瘍 攻 撃 か ら 50日 以 内 に 死 亡 し た ( 図 9B) 。 こ れ ら の デ ー タ は 、 WF-3腫 瘍 細 胞 が マ ウ ス の 腹 腔 内 で 腹 水 お よ び 固 形 腫 瘍 の 生 成 を 引 き 起 こ す こ と が で き 、 特 定の腫瘍攻撃供与量でついには注入したマウスを死亡させることを示唆している。 【0120】 実施例9 メ ゾ テ リ ン は WF-3前 臨 床 卵 巣 癌 モ デ ル に お い て 高 度 に 発 現 さ れ る 。 発 明 者 ら は 、 pre-WF 0に 比 べ て WF-3の 遺 伝 子 発 現 プ ロ フ ァ イ ル を 特 徴 付 け る た め に 、 マ イ ク ロ ア レ イ 分 析 ( Inc 30 yte Genomics Corporation、 カ リ フ ォ ル ニ ア 州 パ ロ ア ル ト ) を 行 っ た 。 pre-WF0細 胞 株 は 、 以 前 に 報 告 さ れ た 方 法 ( Linら 、 (1996) Cancer Research, 56:21-26) を 用 い て マ ウ ス 初 代 培 養 腹 腔 細 胞 を HPV-16 E6お よ び E7遺 伝 子 を 有 す る レ ト ロ ウ イ ル ス ベ ク タ ー で 不 死 化 す る こ と に よ り 生 成 し た 。 発 明 者 ら は 、 卵 巣 癌 後 期 に お け る 腫 瘍 発 生 性 に 関 連 す る WF-3の 遺 伝 子 を 同 定 す る た め に 、 pre-WF0を 基 準 細 胞 株 と し て 選 択 し た 。 表 4( 下 記 ) は pre-WF0 に 比 べ て WF-3に 存 在 す る 高 度 に 発 現 さ れ る 遺 伝 子 を ま と め て い る 。 下 記 の 表 4に 示 す と お り 、 メ ゾ テ リ ン は WF-3に お い て ア ッ プ レ ギ ュ レ ー ト さ れ る 遺 伝 子 の 上 位 10個 の 1つ で 、 WF3は 卵 巣 癌 に 対 す る メ ゾ テ リ ン 特 異 的 癌 免 疫 療 法 を 開 発 す る た め の 適 当 な 前 臨 床 モ デ ル で あることが示唆される。 【0121】 ( 表 4 ) WF-3に お い て 特 異 的 に 発 現 さ れ る 遺 伝 子 の ま と め 40 (43) JP 2006-521090 A 2006.9.21 10 20 30 【0122】 実 施 例 10 WF-3腫 瘍 細 胞 に お け る メ ゾ テ リ ン mRNAお よ び タ ン パ ク 質 の 発 現 発 明 者 ら は 、 RT-PCRを 用 い て WF-3細 胞 株 に よ る メ ゾ テ リ ン の 発 現 を さ ら に 確 認 し た 。 【0123】 RNAを WF-3腫 瘍 細 胞 か ら 、 RNAzol( Gibco BRL、 メ リ ー ラ ン ド 州 ゲ イ ザ ー ス バ ー グ ) を 製 造 者 の 指 示 に 従 っ て 用 い て 抽 出 し た 。 RNA濃 度 を 測 定 し 、 全 細 胞 RNA 1mgを 、 プ ラ イ マ ー と し て オ リ ゴ (dT)お よ び Superscript逆 転 写 酵 素 ( Gibco BRL) を 用 い 、 20ml量 に 逆 転 写 し た 40 。 cDNA 1mlを 一 組 の プ ラ イ マ ー ( そ れ ぞ れ SEQ ID NO: 11お よ び 12) を 用 い て PCRに よ り 増 幅 し た 。 プ ラ イ マ ー は 既 発 表 の マ ウ ス メ ゾ テ リ ン cDNA配 列 由 来 で あ っ た ( Kojimaら 、 (1995) J Biol Chem, 270:21984-2199 0) 。 PCRは 250mMの 各 dNTP、 100nMの プ ラ イ マ ー 、 5mlの 10× 緩 衝 液 ( New England Biolabs 、 マ サ チ ュ ー セ ッ ツ 州 ベ バ リ ー ) 、 お よ び 1Uの Vent DNAポ リ メ ラ ー ゼ ( New England Biol 50 (44) JP 2006-521090 A 2006.9.21 abs) の 反 応 混 合 物 50ml中 、 30サ イ ク ル ( 94℃ 、 1分 間 の 変 性 ; 55℃ 、 1分 間 の ア ニ ー リ ン グ ; お よ び 72℃ 、 2分 間 の 伸 長 ) を 用 い て 実 施 し た 。 反 応 混 合 物 ( 試 料 10ml) を 、 0.2mg/m lの 臭 化 エ チ ジ ウ ム を 含 む TAE緩 衝 液 中 の ア ガ ロ ー ス ゲ ル 電 気 泳 動 ( 1% ) を 用 い て 分 析 し た。 【0124】 マ ウ ス メ ゾ テ リ ン タ ン パ ク 質 は ヒ ト メ ゾ テ リ ン タ ン パ ク 質 と 65% の 類 似 性 を 共 有 し て い る 。 図 10に 示 す と お り 、 発 明 者 ら は RT-PCRに よ り WF-3腫 瘍 に お け る マ ウ ス メ ゾ テ リ ン の mR NA発 現 を 検 出 す る こ と が で き た ( レ ー ン 2) が 、 対 照 B-16腫 瘍 細 胞 で は 検 出 で き な か っ た ( レ ー ン 3) 。 ウ ェ ス タ ン ブ ロ ッ ト 分 析 を 実 施 し て 、 WF-3腫 瘍 細 胞 に お け る メ ゾ テ リ ン タ ンパク質の発現を評価した。腫瘍細胞を抗メゾテリンマウスポリクローナル抗体で染色し 10 た 。 ウ ェ ス タ ン ブ ロ ッ ト 分 析 の 結 果 よ り 、 WF-3は メ ゾ テ リ ン タ ン パ ク 質 に つ い て 陽 性 で あ る が 、 B16黒 色 腫 細 胞 は メ ゾ テ リ ン 陰 性 で あ る ( デ ー タ は 示 し て い な い ) こ と が 確 認 さ れ た 。 し た が っ て 、 発 明 者 ら の 結 果 は 、 WF-3細 胞 が メ ゾ テ リ ン mRNAお よ び タ ン パ ク 質 を 発 現 することを示している。 【0125】 図 10は 、 RT-PCRお よ び ゲ ル 電 気 泳 動 で 示 さ れ た WF-3腫 瘍 細 胞 に お け る マ ウ ス メ ゾ テ リ ン の発現を示している。ウェスタンブロット分析も実施して、発現を確認した(示していな い ) 。 図 10に 示 す と お り 、 RT-PCRを Superscript One-Step RT-PCR Kit( Gibco、 BRL) お よび次の一組のプライマーを用いて実施した: 20 ( そ れ ぞ れ SEQ ID NO: 11お よ び 12) 。 ウ ェ ス タ ン ブ ロ ッ ト 分 析 も 用 い て 、 WF-3腫 瘍 細 胞 におけるメゾテリンタンパク質の発現を示した。腫瘍細胞を抗メゾテリンマウスポリクロ ー ナ ル 抗 体 と 、 続 い て FITC結 合 ヤ ギ 抗 マ ウ ス IgG二 次 抗 体 ( デ ー タ は 示 し て い な い ) で 染 色した。 【0126】 実 施 例 11 30 メ ゾ テ リ ン DNA癌 ワ ク チ ン 免 疫 療 法 前 述 の 腹 腔 腫 瘍 モ デ ル を 用 い て 、 発 明 者 ら は メ ゾ テ リ ン を コ ー ド す る DNAワ ク チ ン の 、 メ ゾ テ リ ン 特 異 的 細 胞 毒 性 Tリ ン パ 球 応 答 お よ び 空 の プ ラ ス ミ ド DNAよ り も 大 き い 抗 腫 瘍 効 果 を 生 じ さ せ る 能 力 を 示 し た 。 こ れ ら の デ ー タ は 、 メ ゾ テ リ ン を 標 的 と す る DNA腫 瘍 ワ ク チンを、卵巣癌および他のメゾテリンが高度に発現される癌の治療または制御において用 いうることを示している。 【0127】 プ ラ ス ミ ド DNA構 築 メ ゾ テ リ ン ン 発 現 腫 瘍 細 胞 株 の WF-3が 利 用 可 能 で あ る た め 、 発 明 者 ら は メ ゾ テ リ ン を コ ー ド す る DNAワ ク チ ン を 作 成 し て 、 C57BL/6マ ウ ス の WF-3に 対 す る そ れ ら の 抗 腫 瘍 効 果 を 試 40 験 し た 。 発 明 者 ら は 、 マ ウ ス 全 長 メ ゾ テ リ ン タ ン パ ク 質 ( 全 長 : 625ア ミ ノ 酸 ) を コ ー ド す る DNAワ ク チ ン を 作 成 す る た め に 、 哺 乳 動 物 細 胞 発 現 ベ ク タ ー を 用 い た 。 【0128】 pcDNA3-メ ゾ テ リ ン の 構 築 の た め に 、 ま ず メ ゾ テ リ ン を コ ー ド す る DNA断 片 を WF-3抽 出 RN Aお よ び 一 組 の プ ラ イ マ ー ( そ れ ぞ れ SEQ ID NO: 11お よ び 12) か ら 、 Superscript One-Step RT-PCR Kit( Gibco、 BRL ) を 用 い て の RT-PCRに よ り 増 幅 し 、 pcDNA3の EcoRI/BamHI部 位 に ク ロ ー ニ ン グ し た 。 プ ラ 50 (45) JP 2006-521090 A 2006.9.21 イ マ ー は 既 発 表 の マ ウ ス メ ゾ テ リ ン cDNA配 列 由 来 で あ っ た ( 11) 。 DNA構 築 物 の 正 確 度 を D NA配 列 決 定 法 に よ り 確 認 し た 。 【0129】 メ ゾ テ リ ン タ ン パ ク 質 を コ ー ド す る DNAワ ク チ ン の 接 種 は メ ゾ テ リ ン 発 現 卵 巣 腫 瘍 に よ る 攻 撃 に 対 し て 防 御 す る 。 発 明 者 ら は 、 こ の pcDNA3-メ ゾ テ リ ン DNAワ ク チ ン の 、 WF-3細 胞 に よ る 攻 撃 に 対 し て 防 御 す る 能 力 を 試 験 し た 。 DNAコ ー テ ィ ン グ 金 粒 子 の 調 製 お よ び ヘ リ ウ ム 推 進 遺 伝 子 銃 ( Bio-rad、 カ リ フ ォ ル ニ ア 州 ハ ー キ ュ リ ー ス ) を 、 以 前 に 記 載 さ れ た プ ロ ト コ ル ( Chenら 、 (2000) Cancer Research, 60: 1035-1042に 従 っ て 実 施 し た 。 DNAコ ー テ ィ ン グ 金 粒 子 ( 1mg DNA/弾 丸 ) を C57BL/6マ ウ ス の 剃 毛 し た 腹 部 に 、 ヘ リ ウ ム 推 進 遺 伝 子 銃 ( Bio-rad、 カ リ フ ォ ル ニ ア 州 ハ ー キ ュ リ ー ス ) を 発 射 圧 400p.s.iで 用 い て 送 達 し 10 た。 【0130】 腫 瘍 防 御 実 験 の た め に 、 マ ウ ス ( 各 群 10匹 ) を 2mgの pcDNA3-メ ゾ テ リ ン DNAで 皮 内 に ワ ク チ ン 接 種 し た 。 1週 間 後 、 マ ウ ス に 同 用 量 の 追 加 免 疫 を 行 っ た 。 追 加 免 疫 の 1週 間 後 に 、 致 死 量 の 5× 10 4 WF-3腫 瘍 細 胞 の 腹 腔 内 注 入 に よ り マ ウ ス を 攻 撃 し た 。 1週 間 に 2回 、 マ ウ ス を 触 診 お よ び 視 診 に よ り 腹 水 生 成 の 徴 候 に つ い て モ ニ タ ー し 、 第 90日 に 屠 殺 し た 。 各 ワ クチン接種群の腹水を生じていないマウスの割合を求めた。 【0131】 発 明 者 ら の デ ー タ は 、 pcDNA3-メ ゾ テ リ ン は WF-3腫 瘍 攻 撃 に 対 し 高 度 の 防 御 ( 60% ) を 提 供 す る こ と を 示 し て い た 。 対 照 群 は pcDNA3ベ ク タ ー 単 独 ( 0% ) で ワ ク チ ン 接 種 し た か 20 、 ま た は 接 種 を 行 わ な か っ た ( 0% ) 。 図 11は 、 メ ゾ テ リ ン 特 異 的 DNAワ ク チ ン を 用 い た 、 WF-3腫 瘍 増 殖 に 対 す る イ ン ビ ボ 腫 瘍 防 御 実 験 を 示 し て い る 。 【0132】 実 施 例 12 pcDNA3-メ ゾ テ リ ン に よ る ワ ク チ ン 接 種 は メ ゾ テ リ ン 特 異 的 細 胞 毒 性 免 疫 応 答 を 生 じ る 。 CD8+ Tリ ン パ 球 は 、 抗 腫 瘍 免 疫 を 仲 介 す る た め の 重 要 な 効 果 細 胞 で あ る 。 細 胞 毒 性 Tリ ン パ 球 ( CTL) ア ッ セ イ を 実 施 し て 、 pcDNA3-メ ゾ テ リ ン DNAワ ク チ ン に よ り 生 成 し た メ ゾ テ リ ン 特 異 的 CD8+ T細 胞 の 細 胞 毒 性 効 果 を 調 べ た 。 ワ ク チ ン 接 種 し た マ ウ ス か ら の 脾 細 胞 を、メゾテリンタンパク質を含む細胞溶解物と共に培養した後、効果細胞として用いた。 WF-3腫 瘍 細 胞 を 標 的 細 胞 と し て 用 い た 。 30 【0133】 形 質 移 入 し た 293 Db,Kb細 胞 か ら の メ ゾ テ リ ン 含 有 細 胞 溶 解 物 の 生 成 CTLア ッ セ イ の た め の 脾 細 胞 に 適 用 す る メ ゾ テ リ ン 含 有 細 胞 溶 解 物 を 生 成 す る た め に 、 合 計 20mgの pcDNA3-メ ゾ テ リ ン ま た は 空 の プ ラ ス ミ ド DNAを 、 lipofectamine 2000( Life Technologies) を 製 造 者 の プ ロ ト コ ル に 従 っ て 用 い て 、 5× 10 6 Db,Kb細 胞 に 形 質 移 入 し た 。 形 質 移 入 し た 293 Db,Kb細 胞 を 移 入 の 40∼ 44時 間 後 に 回 収 し 、 次 い で 凍 結 -解 凍 を 3回 繰 り 返 し て 処 理 し た 。 タ ン パ ク 質 濃 度 を Bio-Radタ ン パ ク 質 ア ッ セ イ ( Bio-rad、 カ リ フ ォ ル ニア州ハーキュリース)を製造者のプロトコルに従って用いて定量した。以下に記載する とおり、メゾテリン含有細胞溶解物を用いて、様々なワクチン接種マウスから得た脾細胞 に適用した。 40 【0134】 細 胞 毒 性 Tリ ン パ 球 ( CTL) ア ッ セ イ 細 胞 溶 解 を 、 CytoTox96非 放 射 性 細 胞 毒 性 ア ッ セ イ キ ッ ト ( Promega、 ウ ィ ス コ ン シ ン 州 マ デ ィ ソ ン ) を 製 造 者 の プ ロ ト コ ル に 従 っ て 用 い て 、 乳 酸 デ ヒ ド ロ ゲ ナ ー ゼ ( LDH) の 定 量 的 測 定 に よ り 評 価 し た 。 要 す る に 、 ワ ク チ ン 接 種 し た マ ウ ス ( 各 群 5匹 ) か ら 脾 細 胞 を 採 取 し 、 最 後 の ワ ク チ ン 接 種 後 1週 間 プ ー ル し た 。 脾 細 胞 を 効 果 細 胞 と し て 、 24穴 組 織 培 養 プ レ ー ト で 、 10( vol/vol) ウ シ 胎 仔 血 清 、 50ユ ニ ッ ト /mlペ ニ シ リ ン /ス ト レ プ ト マ イ シ ン 、 2mM L-グ ル タ ミ ン 、 1mMピ ル ビ ン 酸 ナ ト リ ウ ム 、 2mM可 欠 ア ミ ノ 酸 を 補 足 し た 全 量 2m lの RPMI 1640中 、 20mgの 細 胞 溶 解 物 を 6日 間 適 用 し た 。 WF-3腫 瘍 細 胞 を 標 的 細 胞 と し て 用 い た 。 WF-3細 胞 を 脾 細 胞 と 、 様 々 な 効 果 細 胞 /標 的 細 胞 ( E: T) 比 で 混 合 し た 。 37℃ で 5時 50 (46) JP 2006-521090 A 2006.9.21 間 イ ン キ ュ ベ ー ト し た 後 、 培 地 50μ lを 回 収 し て 、 製 造 者 の プ ロ ト コ ル に 従 い 、 培 地 中 の L DHの 量 を 評 価 し た 。 溶 解 物 の 割 合 を 次 の 式 か ら 計 算 し た : 100× (A-B)/(C-D)( 式 中 、 Aは 効 果 細 胞 シ グ ナ ル の 実 験 値 、 Bは 効 果 細 胞 の 自 然 バ ッ ク グ ラ ウ ン ド シ グ ナ ル 値 、 Cは 標 的 細 胞 か ら の シ グ ナ ル 最 高 値 、 Dは 標 的 細 胞 の 自 然 バ ッ ク グ ラ ウ ン ド シ グ ナ ル 値 で あ る ) 。 【0135】 統計解析 統 計 学 的 評 価 を 、 ス チ ュ ー デ ン ト t-検 定 を 用 い て 行 っ た 。 両 側 P値 を す べ て の 実 験 で 示 し 、 有 意 性 を P< 0.05と 定 め た 。 統 計 学 的 評 価 か ら 除 外 し た マ ウ ス は な か っ た 。 【0136】 図 12に 示 す と お り 、 pcDNA3-メ ゾ テ リ ン に よ る ワ ク チ ン 接 種 は 、 pcDNA3に よ る ワ ク チ ン 10 接種またはワクチン接種なしの場合に比べて、有意な割合の特異的溶解を引き起こした( P< 0.001、 一 元 配 置 ANOVA) 。 こ れ ら の 結 果 は 、 pcDNA3-メ ゾ テ リ ン DNAに よ る ワ ク チ ン 接 種 が メ ゾ テ リ ン 特 異 的 T細 胞 仲 介 性 の WF-3の 特 異 的 溶 解 を 引 き 起 こ し う る こ と を 示 し て い る。 【0137】 メ ゾ テ リ ン 特 異 的 DNAワ ク チ ン で の ワ ク チ ン 接 種 に よ り 誘 導 さ れ た 特 異 的 溶 解 を 示 す 細 胞 毒 性 Tリ ン パ 球 ( CTL) ア ッ セ イ マ ウ ス ( 各 群 5匹 ) を 様 々 な DNAワ ク チ ン で 皮 内 に 免 疫 化 し た 。 1週 間 後 に 同 じ 用 量 で 追 加 免 疫 を 行 っ た 。 マ ウ ス か ら の 脾 細 胞 を ワ ク チ ン 接 種 後 14日 間 プ ー ル し た 。 細 胞 毒 性 ア ッ セ イ を 行 う た め に 、 脾 細 胞 を メ ゾ テ リ ン タ ン パ ク 質 と 共 に 6日 間 培 養 し 、 効 果 細 胞 と し て 20 用 い た 。 WF-3腫 瘍 細 胞 を 標 的 細 胞 と し た 。 WF-3細 胞 を 脾 細 胞 と 様 々 な E: T比 で 混 合 し た 。 細 胞 溶 解 を LDHの 定 量 的 測 定 に よ り 評 価 し た 。 注 : pcDNA3-メ ゾ テ リ ン DNAワ ク チ ン に よ り 、 他 の DNAワ ク チ ン よ り も 有 意 に 高 い 割 合 で 特 異 的 溶 解 が 認 め ら れ た ( p< 0.001) 。 こ の 図 で 示 し た デ ー タ は 2つ 行 っ た う ち の 一 つ の 典 型 的 実 験 か ら の も の で あ る 。 【0138】 実 施 例 13 この実施例では、発明者らは経口遺伝子免疫のための媒体として、ネズミチフス菌の弱 毒 株 を 用 い る 。 メ ゾ テ リ ン の myc標 識 版 を 発 現 す る pcDNA3.1/myc-His(-)ベ ク タ ー を 構 築 し た 。 メ ゾ テ リ ン 発 現 ベ ク タ ー を 有 す る 組 換 え ネ ズ ミ チ フ ス 菌 aroA株 に よ る 免 疫 化 の 後 、 発 明 者 ら は イ ム ノ ア ッ セ イ に よ り 抗 myc抗 体 を 用 い て メ ゾ テ リ ン /myc融 合 タ ン パ ク 質 の 高 レ ベ ル の 発 現 を 検 出 す る こ と が で き る 。 ネ ズ ミ チ フ ス 菌 栄 養 要 求 性 aroA株 の SL7202ネ ズ ミ チ フ ス 菌 2337-65誘 導 株 hisG46、 DEL407[ aroA::Tn10(Tc-s)])を 、 こ れ ら の イ ン ビ ボ 試 験 の た め の 担 体 と し て 用 い る ( Darjiら (1997) Cell 91: 761-775; Darjiら (2000) FEMS Immun ology and Medical Microbiology 27: 341-9参 照 ) 。 次 い で 、 こ の ネ ズ ミ チ フ ス 菌 に よ る メ ゾ テ リ ン DNAワ ク チ ン 送 達 系 を 用 い て 、 こ の ワ ク チ ン が 発 明 者 ら の WF-3腫 瘍 モ デ ル 系 を 用いた卵巣癌細胞攻撃を防御しうるかどうかを試験する。 【0139】 実 施 例 5∼ 13の 引 用 文 献 30 (47) JP 2006-521090 A 2006.9.21 10 20 (48) JP 2006-521090 A 2006.9.21 10 20 30 40 (49) JP 2006-521090 A 2006.9.21 10 20 30 40 【図面の簡単な説明】 【0140】 ( 図 1 ) 図 1Aか ら 1Fは 、 HLA-A2、 A3、 お よ び A24分 子 に 結 合 す る メ ゾ テ リ ン お よ び PSC Aタ ン パ ク 質 由 来 エ ピ ト ー プ を 同 定 す る T2結 合 ア ッ セ イ を 示 す 図 で あ る 。 フ ロ ー サ イ ト メ ト リ ー 分 析 前 に 、 T2細 胞 に 100∼ 400マ イ ク ロ グ ラ ム の ペ プ チ ド を 室 温 で 終 夜 適 用 し た 。 図 1A HLA-A2を 発 現 す る T2細 胞 に 次 の い ず れ か を 適 用 : 無 ペ プ チ ド ( 黒 線 ) 、 メ ゾ テ リ ン A1 309∼ 318結 合 ペ プ チ ド ( 緑 線 ) 、 メ ゾ テ リ ン A220∼ 29( ピ ン ク 線 ) 、 お よ び メ ゾ テ リ ン A2 530∼ 539( 青 線 ) 。 ペ プ チ ド 適 用 細 胞 を 非 標 識 マ ウ ス 抗 HLAク ラ ス I分 子 モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 W6/32お よ び ヤ ギ 抗 マ ウ ス FITC標 識 IgG2a二 次 抗 体 で 染 色 し た 。 図 1B A3を 発 現 す る よ う 遺 伝 子 修 飾 さ れ た T2細 胞 に 次 の い ず れ か を 適 用 : 無 ペ プ チ ド ( 黒 線 ) 、 メ ゾ テ リ ン A1309 50 (50) JP 2006-521090 A 2006.9.21 ∼ 318結 合 ペ プ チ ド ( 緑 線 ) 、 メ ゾ テ リ ン A383∼ 92( ピ ン ク 線 ) 、 お よ び メ ゾ テ リ ン A3225 ∼ 235( 青 線 ) 。 ペ プ チ ド 適 用 細 胞 を 非 標 識 マ ウ ス 抗 ヒ ト HLA-A3特 異 的 モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 GAPA3お よ び FITC標 識 IgG2a二 次 抗 体 で 染 色 し た 。 図 1C A24を 発 現 す る よ う 遺 伝 子 修 飾 さ れ た T2細 胞 に 次 の い ず れ か を 適 用 : 無 ペ プ チ ド ( 黒 線 ) 、 メ ゾ テ リ ン A1309∼ 318結 合 ペ プ チ ド ( 緑 線 ) 、 メ ゾ テ リ ン A24435∼ 444( ピ ン ク 線 ) 、 お よ び メ ゾ テ リ ン A24475∼ 484( 青 線 ) 。 ペ プ チ ド 適 用 細 胞 を 非 標 識 汎 HLA抗 体 W6/32お よ び FITC標 識 IgG2a二 次 抗 体 で 染 色 し た 。 図 1D HLA-A2を 発 現 す る T2細 胞 に 次 の い ず れ か を 適 用 : メ ゾ テ リ ン A1309∼ 318結 合 ペ プ チ ド ( 緑 線 ) 、 PSCA A25∼ 13( ピ ン ク 線 ) 、 PSCA A214∼ 22( 青 線 ) 、 PSCA A2108∼ 1 16( 橙 線 ) お よ び PSCA A243∼ 51( 赤 線 ) 。 ペ プ チ ド 適 用 細 胞 を 非 標 識 マ ウ ス 抗 HLAク ラ ス I分 子 モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 W6/32お よ び ヤ ギ 抗 マ ウ ス FITC標 識 IgG2a二 次 抗 体 で 染 色 し た 。 10 図 1E A3を 発 現 す る よ う 遺 伝 子 修 飾 さ れ た T2細 胞 に 次 の い ず れ か を 適 用 : メ ゾ テ リ ン A130 9∼ 318結 合 ペ プ チ ド ( 緑 線 ) 、 PSCA A399∼ 107( ピ ン ク 線 ) 、 A35∼ 13( 青 線 ) 、 A314∼ 2 2( 橙 線 ) 、 A3109∼ 117( 紫 線 ) 、 A343∼ 51( 赤 線 ) 、 お よ び PSCA A320∼ 28( 黄 線 ) 。 ペ プ チ ド 適 用 細 胞 を 非 標 識 マ ウ ス 抗 HLA-A3特 異 的 モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 GAPA3お よ び FITC標 識 I gG2a二 次 抗 体 で 染 色 し た 。 図 1F A24を 発 現 す る よ う 遺 伝 子 修 飾 さ れ た T2細 胞 に 次 の い ず れ か を 適 用 : メ ゾ テ リ ン A1309∼ 318ペ プ チ ド ( 緑 線 ) 、 PSCA A2476∼ 84( ピ ン ク 線 ) 、 PS CA A24108∼ 116( 青 線 ) 、 PSCA A2499∼ 107( 橙 線 ) 、 PSCA A24109∼ 117( 紫 線 ) 、 お よ び PSCA A2477∼ 85( 赤 線 ) 。 ペ プ チ ド 適 用 細 胞 を 非 標 識 汎 HLA抗 体 W6/32お よ び FITC標 識 Ig G2a二 次 抗 体 で 染 色 し た 。 ( 図 2 ) 図 2Aか ら 2Dは 、 PBMC由 来 CD8+ T細 胞 の ELISPOT分 析 を 示 す 図 で あ り 、 膵 臓 癌 20 に 対 す る 同 種 GM-CSF-分 泌 腫 瘍 ワ ク チ ン 接 種 を 受 け た DTH応 答 者 3名 で は メ ゾ テ リ ン 特 異 的 T 細 胞 の ワ ク チ ン 接 種 後 誘 導 を 示 す が 、 非 DTH応 答 者 11名 で は 誘 導 を 示 さ な い 。 図 2A HLA-A 3陽 性 で あ っ た 患 者 2名 か ら の PBLの ELISPOT分 析 。 図 2B HLA-A2お よ び HLA-A3陽 性 で あ っ た 患 者 2名 か ら の PBLの ELISPOT分 析 。 図 2C HLA-A24陽 性 で あ っ た 患 者 2名 か ら の PBLの ELISPO T分 析 。 図 2D ELISPOT分 析 を 第 I相 同 種 GM-CSF分 泌 膵 臓 腫 瘍 ワ ク チ ン 試 験 で 治 療 し た 患 者 1 4名 全 員 か ら の PBLで 実 施 し た ( 28) 。 IFN-γ -発 現 細 胞 の ELISPOT分 析 を 、 ワ ク チ ン 接 種 前 日 ま た は 第 1回 ワ ク チ ン 接 種 の 28日 後 に 単 離 し た PBMCを 用 い て 行 っ た 。 リ ン パ 球 を フ ィ コ ー ル -ハ イ パ ー ク 分 離 法 に よ り 単 離 し 、 ア ッ セ イ 日 ま で 液 体 窒 素 中 で 凍 結 保 存 し た 。 CD8+ T細 胞 濃 縮 を 分 析 前 に 行 っ た 。 T2-A3細 胞 に 2つ の メ ゾ テ リ ン 由 来 エ ピ ト ー プ MesoA3( 83∼ 9 2) ( 白 四 角 ) 、 MesoA3( 225∼ 234) ( 黒 丸 ) 、 お よ び HIV-NEFA3( 94∼ 103) ( 白 三 角 ) 30 を 適 用 し た 。 T2-A2細 胞 に 2つ の メ ゾ テ リ ン 由 来 エ ピ ト ー プ MesoA2( 20∼ 29) ( 黒 四 角 ) 、 MesoA2( 530∼ 539) ( 白 丸 ) 、 お よ び HIV-GAG( 77∼ 85) ( 黒 三 角 ) を 適 用 し た 。 T2-A24 細 胞 に 2つ の メ ゾ テ リ ン 由 来 エ ピ ト ー プ MesoA24( 435∼ 444) ( 白 菱 形 ) 、 MesoA24( 475∼ 484) ( 黒 菱 形 ) 、 お よ び チ ロ シ ナ ー ゼ A24( 206∼ 214) ( 星 形 ) を 適 用 し た 。 す べ て の DT H応 答 者 は 赤 線 で 表 し 、 DTH非 応 答 者 は 黒 線 で 表 す 。 非 特 異 的 バ ッ ク グ ラ ウ ン ド の 検 出 の た め に 、 無 関 係 な 対 照 ペ プ チ ド に 特 異 的 な CD8+ T細 胞 に つ い て IFN-γ ス ポ ッ ト の 数 を 計 数 し た 。 HLA-A2結 合 HIV-GAGタ ン パ ク 質 由 来 エ ピ ト ー プ ( SLYNTVATL; SEQ ID NO: 7) 、 HLA-A3 結 合 HIV-NEFタ ン パ ク 質 由 来 エ ピ ト ー プ ( QVPLRPMTYK; SEQ ID NO: 8) 、 お よ び HLA-A24結 合 チ ロ シ ナ ー ゼ タ ン パ ク 質 由 来 エ ピ ト ー プ ( AFLPWHRLF; SEQ ID NO: 9) を こ れ ら の ア ッ セイにおいて陰性対照ペプチドとして用いた。データは三重にアッセイした各状態の平均 40 を 表 し 、 標 準 偏 差 は 5% 未 満 で あ っ た 。 プ ロ ッ ト は CD8+ T細 胞 105個 あ た り の ヒ ト イ ン タ ー フ ェ ロ ン ガ ン マ ( hIFNg) ス ポ ッ ト の 数 で あ る 。 各 患 者 の PBLの 分 析 を 少 な く と も 2回 行 っ た。 ( 図 3 ) HLA-A2陽 性 で あ っ た 試 験 上 の 患 者 5名 ( 非 DTH応 答 者 4名 お よ び DTH応 答 者 1名 ) 全 員 か ら の PBLに 対 す る イ ン フ ル エ ン ザ マ ト リ ク ス タ ン パ ク 質 HLA-A2結 合 エ ピ ト ー プ M1 ( GILGFVFTL; SEQ ID NO: 10) の 認 識 を 評 価 す る た め に 行 っ た ELISPOT分 析 を 示 す 図 で あ る 。 こ の 分 析 は 前 述 の 図 2Aか ら 2Dに つ い て 記 載 し た 同 じ PBL試 料 に 対 し て 行 っ た 。 DTH応 答 者 は 赤 線 で 表 し 、 DTH非 応 答 者 は 黒 線 で 表 す 。 非 特 異 的 バ ッ ク グ ラ ウ ン ド の 検 出 の た め に 、 無 関 係 な 対 照 ペ プ チ ド に 特 異 的 な CD8+ T細 胞 に つ い て IFN-γ ス ポ ッ ト の 数 を 計 数 し た 。 HLA-A2結 合 HIV-GAGタ ン パ ク 質 由 来 エ ピ ト ー プ ( SLYNTVATL; SEQ ID NO: 7) 、 HLA-A3結 合 50 (51) JP 2006-521090 A 2006.9.21 HIV-NEFタ ン パ ク 質 由 来 エ ピ ト ー プ ( QVPLRPMTYK; SEQ ID NO: 8) 、 お よ び HLA-A24結 合 黒 色 腫 チ ロ シ ナ ー ゼ タ ン パ ク 質 由 来 エ ピ ト ー プ ( AFLPWHRLF; SEQ ID NO: 9) を こ れ ら の ア ッセイにおいて陰性対照ペプチドとして用いた。データは三重にアッセイした各状態の平 均 を 表 し 、 標 準 偏 差 は 5% 未 満 で あ っ た 。 プ ロ ッ ト は CD8+ T細 胞 105個 あ た り の ヒ ト イ ン タ ー フ ェ ロ ン ガ ン マ ( hIFNg) ス ポ ッ ト の 数 で あ る 。 各 患 者 の PBLの 分 析 を 少 な く と も 2回 行 い 、 す べ て の ELISPOTア ッ セ イ は 盲 検 様 式 で 実 施 し た 。 ( 図 4 ) 図 4Aか ら 4Dは PBMC由 来 CD8+ T細 胞 の ELISPOT分 析 を 示 す 図 で あ る 。 膵 臓 癌 に 対 す る 同 種 GM-CSF-分 泌 腫 瘍 ワ ク チ ン 接 種 を 受 け た DTH応 答 者 で も 、 非 DTH応 答 者 で も 、 PSC A特 異 的 T細 胞 の ワ ク チ ン 接 種 後 誘 導 は 観 察 さ れ な か っ た 。 図 4A HLA-A3陽 性 で あ っ た 患 者 2名 か ら の PBLの ELISPOT分 析 。 図 4B HLA-A2お よ び HLA-A3陽 性 で あ っ た 患 者 2名 か ら の PBL 10 の ELISPOT分 析 。 図 4C HLA-A24陽 性 で あ っ た 患 者 2名 か ら の PBLの ELISPOT分 析 。 図 4D 非 応 答 者 で あ っ た 患 者 8名 か ら の PBLの ELISPOT分 析 。 IFN-γ -発 現 細 胞 の ELISPOT分 析 を 、 ワ ク チ ン 接 種 前 日 ま た は 各 ワ ク チ ン 接 種 の 28日 後 に 単 離 し た PBMCを 用 い て 行 っ た 。 リ ン パ 球 を フ ィ コ ー ル -ハ イ パ ー ク 分 離 法 に よ り 単 離 し 、 ア ッ セ イ 日 ま で 液 体 窒 素 中 で 凍 結 保 存 し た 。 CD8+ T細 胞 濃 縮 を 分 析 前 に 行 っ た 。 T2-A3細 胞 に 次 の 6つ の PSCA由 来 エ ピ ト ー プ を 適 用 し た : PSCAA3( 7∼ 15) ( 黒 四 角 ) 、 PSCAA3( 52∼ 60) ( 黒 菱 形 ) 、 PSCAA3( 109∼ 117) ( 黒 三 角 ) 、 PSCAA3( 43∼ 51) ( 白 四 角 ) 、 PSCAA3( 20∼ 28) ( 白 菱 形 ) 、 お よ び PSCAA3 ( 99∼ 107) ( 白 三 角 ) 。 陰 性 HIV-NEFA3( 94∼ 103) の 値 を 差 し 引 い た 。 T2-A2細 胞 に 次 の 三 つ の PSCA由 来 エ ピ ト ー プ を 適 用 し た : PSCAA2( 5∼ 13) ( 黒 四 角 ) 、 PSCAA2( 14∼ 22) ( 黒 菱 形 ) 、 PSCAA2( 108∼ 116) ( 黒 三 角 ) 。 陰 性 HIV-GAG( 77∼ 85) の 値 を 差 し 引 い た 20 。 T2-A24細 胞 に 次 の 5つ の PSCA由 来 エ ピ ト ー プ を 適 用 し た : PSCAA24( 76∼ 84) ( 黒 菱 形 ) 、 PSCAA24( 77∼ 85) ( 星 形 ) 、 PSCAA24( 109∼ 117) ( 黒 三 角 ) 、 PSCAA24( 108∼ 116) ( 黒 丸 ) 、 お よ び PSCAA24( 99∼ 107) ( 白 三 角 ) 。 陰 性 チ ロ シ ナ ー ゼ A24( 206∼ 214) の 値 を 差 し 引 い た 。 す べ て の DTH応 答 者 は 赤 線 で 表 し 、 DTH非 応 答 者 は 黒 線 で 表 す 。 非 特 異 的 バ ッ ク グ ラ ウ ン ド の 検 出 の た め に 、 無 関 係 な 対 照 ペ プ チ ド に 特 異 的 な CD8+ T細 胞 に つ い て IFN-γ ス ポ ッ ト の 数 を 計 数 し た 。 HLA-A2結 合 HIV-GAGタ ン パ ク 質 由 来 エ ピ ト ー プ ( SLYNTVA TL; SEQ ID NO: 7) 、 HLA-A3結 合 HIV-NEFタ ン パ ク 質 由 来 エ ピ ト ー プ ( QVPLRPMTYK; SEQ I D NO: 8) 、 お よ び HLA-A24結 合 チ ロ シ ナ ー ゼ タ ン パ ク 質 由 来 エ ピ ト ー プ ( AFLPWHRLF; SEQ ID NO: 9) を こ れ ら の ア ッ セ イ に お い て 陰 性 対 照 ペ プ チ ド と し て 用 い た 。 デ ー タ は 三 重 に ア ッ セ イ し た 各 状 態 の 平 均 を 表 し 、 標 準 偏 差 は 5% 未 満 で あ っ た 。 CD8+ T細 胞 105個 あ た 30 り の ヒ ト イ ン タ ー フ ェ ロ ン ガ ン マ ( hIFNg) ス ポ ッ ト の 数 を プ ロ ッ ト す る 。 各 患 者 の PBLの 分 析 を 少 な く と も 2回 行 っ た 。 ( 図 5 ) Panc 6.03お よ び Panc 10.05ワ ク チ ン 系 統 に お け る 表 面 メ ゾ テ リ ン お よ び PSC Aの 発 現 を 示 す 図 で あ る 。 膵 臓 腫 瘍 ワ ク チ ン 系 統 Panc 6.03( 上 の 2つ の 図 ) お よ び Panc 10 .05( 下 の 2つ の 図 ) を 、 フ ロ ー サ イ ト メ ト リ ー で 一 次 抗 体 と し て メ ゾ テ リ ン 特 異 的 モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 CAK1( 左 図 ) お よ び PSCA特 異 的 モ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 1G8( 右 図 ) と 、 二 次 抗 体 と し て ヤ ギ 抗 マ ウ ス IgG FITCを 用 い 、 表 面 メ ゾ テ リ ン お よ び PSCAの レ ベ ル に つ い て 分 析 した。実線はアイソタイプ対照を表し、緑の網がけ部分はメゾテリン染色を表し、ピンク の 網 が け 部 分 は PSCA染 色 を 表 す 。 ( 図 6 ) 図 6Aか ら 6Cは 、 メ ゾ テ リ ン 特 異 的 CD8+ T細 胞 は 、 DTH応 答 者 に お い て 同 種 GM- 40 CSF分 泌 腫 瘍 ワ ク チ ン を 複 数 回 接 種 し た 後 に 検 出 さ れ る が 、 非 DTH応 答 者 で は 検 出 さ れ な い こ と を 示 す 図 で あ る 。 図 6A HLA-A3陽 性 で あ っ た 患 者 2名 か ら の PBLの ELISPOT分 析 。 図 6B HLA-A2お よ び HLA-A3陽 性 で あ っ た 患 者 2名 か ら の PBLの ELISPOT分 析 。 図 6C HLA-A24陽 性 で あ っ た 患 者 2名 か ら の PBLの ELISPOT分 析 。 IFN-γ -発 現 細 胞 の ELISPOT分 析 を 、 図 2Aか ら 2 Dに 記 載 の と お り 、 ワ ク チ ン 接 種 前 日 ま た は 各 ワ ク チ ン 接 種 の 28日 後 に 単 離 し た PBMCを 用 い て 行 っ た 。 各 ペ プ チ ド は 図 2Aか ら 2Dに 記 載 の も の と 同 じ 記 号 を 有 す る 。 DTH応 答 者 は 赤 線 で 表 し 、 DTH非 応 答 者 は 黒 線 で 表 す 。 非 特 異 的 バ ッ ク グ ラ ウ ン ド の 検 出 の た め に 、 無 関 係 な 対 照 ペ プ チ ド に 特 異 的 な CD8+ T細 胞 に つ い て IFN-γ ス ポ ッ ト の 数 を 計 数 し た 。 HLA-A2 結 合 HIV-GAGタ ン パ ク 質 由 来 エ ピ ト ー プ ( SLYNTVATL; SEQ ID NO: 7) 、 HLA-A3結 合 HIV-NE Fタ ン パ ク 質 由 来 エ ピ ト ー プ ( QVPLRPMTYK; SEQ ID NO: 8) 、 お よ び HLA-A24結 合 黒 色 腫 チ 50 (52) JP 2006-521090 A 2006.9.21 ロ シ ナ ー ゼ タ ン パ ク 質 由 来 エ ピ ト ー プ ( AFLPWHRLF; SEQ ID NO: 9) を こ れ ら の ア ッ セ イ において陰性対照ペプチドとして用いた。データは三重にアッセイした各状態の平均を表 し 、 標 準 偏 差 は 5% 未 満 で あ っ た 。 プ ロ ッ ト は CD8+ T細 胞 105個 あ た り の ヒ ト イ ン タ ー フ ェ ロ ン ガ ン マ ( hIFNg) ス ポ ッ ト の 数 で あ る 。 各 患 者 の PBLの 分 析 を 少 な く と も 2回 行 っ た 。 ( 図 7 ) 図 7Aか ら 7Cは 、 マ ウ ス に お け る 腹 水 生 成 卵 巣 腫 瘍 細 胞 株 ( WF-3) の 生 成 お よ 5 び 特 徴 付 け を 示 す 図 で あ る 。 WF-3腫 瘍 細 胞 を C57BL/6マ ウ ス に 1× 10 細 胞 /マ ウ ス の 用 量 で 腹 腔 内 注 入 し た 。 腫 瘍 攻 撃 の 4週 間 後 に マ ウ ス を 安 楽 死 さ せ た 。 ( 7A) マ ウ ス に お け る 腹 水 生 成 を 示 す 典 型 的 肉 眼 図 。 注 : 腫 瘍 攻 撃 の 4週 間 後 に マ ウ ス は 腹 囲 の 増 加 を 伴 う 著 し い 腹 水 を 生 じ た 。 ( 7B) 90倍 で 観 察 し た 外 植 腫 瘍 の ヘ マ ト キ シ リ ン お よ び エ オ シ ン 染 色 。 腫 瘍 は 乳 頭 状 の 形 状 を 示 し 、 腹 腔 ま た は 卵 巣 由 来 の 腫 瘍 に 形 態 上 一 致 し て い た 。 400倍 で 観 10 察 し た 腫 瘍 。 挿 入 図 は WF-3腫 瘍 細 胞 の 特 徴 を 詳 細 に 示 し て い る 。 ( 図 8 ) 図 8Aお よ び 8Bは 、 マ ウ ス WF-3腫 瘍 細 胞 上 の MHCク ラ ス I( 図 8A) お よ び MHCク ラ ス II( 図 8B) 提 示 を 示 す 図 で あ る 。 WF-3腫 瘍 細 胞 を 回 収 し 、 ト リ プ シ ン 処 理 し 、 洗 浄 し 、 FACSCAN緩 衝 液 中 に 再 懸 濁 し た 。 抗 H2Kb/H-2Dモ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 ま た は 抗 I-Abモ ノ ク ロ ー ナ ル 抗 体 を 加 え 、 続 い て フ ロ ー サ イ ト メ ト リ ー 分 析 を 行 っ て 、 WF-3腫 瘍 細 胞 上 の MHCク ラ ス Iお よ び ク ラ ス IIの 発 現 を 検 出 し た 。 ( 8A) WF-3腫 瘍 細 胞 は MHCク ラ ス I陰 性 対 照 ( 細 い 線 ) に 比 べ て MHCク ラ ス I提 示 陽 性 で あ っ た ( 太 い 線 ) 。 ( 8B) WF-3腫 瘍 細 胞 は MHCク ラ ス II提 示 に つ い て は 陰 性 で あ っ た 。 細 い 線 は MHCク ラ ス II陰 性 対 照 の 染 色 を 示 し て い る 。 ( 図 9 ) 図 9Aお よ び 9Bは 、 図 9Aお よ び 3Bに 示 す 2つ の 独 立 し た 試 験 に お い て 、 腹 水 生 成 に 対 す る WF-3腫 瘍 供 与 量 の 影 響 を 示 す 図 で あ る 。 WF-3腫 瘍 細 胞 を C57BL/6マ ウ ス に 様 々 4 4 5 20 6 な 供 与 量 ( 1× 10 、 5× 10 、 1× 10 、 お よ び 1× 10 細 胞 /マ ウ ス ) で 腹 腔 内 注 入 し た 。 マ 4 5 ウ ス を 1週 間 に 2回 、 腹 水 生 成 お よ び 腫 瘍 増 殖 に つ い て モ ニ タ ー し た 。 5× 10 、 1× 10 、 お 6 よ び 1× 10 細 胞 を 腹 腔 内 注 入 し た マ ウ ス は す べ て 30日 以 内 に 腹 水 生 成 お よ び 腫 瘍 増 殖 を 示 4 し た 。 1× 10 細 胞 を 注 入 し た マ ウ ス の 20% は 、 腫 瘍 注 入 の 90日 後 に 腫 瘍 は な く 、 腹 水 生 成 も 見 ら れ な か っ た 。 デ ー タ は 2つ 行 っ た う ち の 一 つ の 典 型 的 実 験 か ら の も の で あ る 。 ( 図 1 0 ) RT-PCRお よ び ゲ ル 電 気 泳 動 で 示 さ れ た WF-3腫 瘍 細 胞 に お け る マ ウ ス メ ゾ テ リ ン の 発 現 を 示 す 図 で あ る 。 図 10 RT-PCR。 RT-PCRは Superscript One-Step.RT-PCR Kit ( Gibco、 BRL) お よ び 次 の 一 組 の プ ラ イ マ ー を 用 い て 実 施 し た : 30 レ ー ン 1: サ イ ズ マ ー カ ー 。 レ ー ン 2: W-3細 胞 か ら の RNA、 お よ び レ ー ン 3: メ ゾ テ リ ン 陰 性 B16腫 瘍 細 胞 か ら の RNA。 特 異 的 増 幅 ( 矢 印 で 示 す ) が レ ー ン 2( WF-3細 胞 ) で 観 察 さ れ た が 、 レ ー ン 3( B16細 胞 ) で は 見 ら れ な か っ た 。 ( 図 1 1 ) メ ゾ テ リ ン 特 異 的 DNAワ ク チ ン を 用 い た 、 WF-3腫 瘍 増 殖 に 対 す る イ ン ビ ボ 腫 瘍 防 御 実 験 を 示 す 図 で あ る 。 マ ウ ス に 1週 間 後 に 同 じ 用 量 で 追 加 免 疫 を 行 い 、 続 い て 1週 4 間 後 、 5× 10 WF-3細 胞 /マ ウ ス で 腹 腔 内 攻 撃 し た 。 マ ウ ス の 腹 水 生 成 を 触 診 お よ び 視 診 に よ り モ ニ タ ー し た 。 マ ウ ス を 第 90日 に 屠 殺 し た 。 注 : pcDNA3-メ ゾ テ リ ン DNAで の ワ ク チ ン 接 種 に よ り 、 他 の DNAで の ワ ク チ ン 接 種 よ り も 有 意 に 高 い 割 合 で 腫 瘍 の な い マ ウ ス が 認 め ら れ た 。 ( p< 0.001) 。 こ こ で 示 し た 結 果 は 2つ 行 っ た う ち の 一 つ の 典 型 的 実 験 か ら の も 40 のである。 ( 図 1 2 ) メ ゾ テ リ ン 特 異 的 DNAワ ク チ ン で の ワ ク チ ン 接 種 に よ り 誘 導 さ れ た 特 異 的 溶 解 を 示 す CTLア ッ セ イ を 示 す 図 で あ る 。 マ ウ ス ( 各 群 5匹 ) を 様 々 な DNAワ ク チ ン で 皮 内 に 免 疫 化 し た 。 1週 間 後 に 同 じ 用 量 で 追 加 免 疫 を 行 っ た 。 マ ウ ス か ら の 脾 細 胞 を ワ ク チ ン 接 種 後 14日 間 プ ー ル し た 。 細 胞 毒 性 ア ッ セ イ を 行 う た め に 、 脾 細 胞 を メ ゾ テ リ ン タ ン パ ク 質 と 共 に 6日 間 培 養 し 、 効 果 細 胞 と し て 用 い た 。 WF-3腫 瘍 細 胞 を 標 的 細 胞 と し た 。 WF-3細 胞 を 脾 細 胞 と 様 々 な E: T比 で 混 合 し た 。 細 胞 溶 解 を LDHの 定 量 的 測 定 に よ り 評 価 し た 。 注 : pcDNA3-メ ゾ テ リ ン DNAワ ク チ ン に よ り 、 他 の DNAワ ク チ ン よ り も 有 意 に 高 い 割 合 で 特 異 的 溶 解 が 認 め ら れ た ( p< 0.001) 。 こ の 図 で 示 し た デ ー タ は 2つ 行 っ た う ち の 一 つ の 典 型 的実験からのものである。 50 (53) 【図1】 【図2】 【図3】 【図4】 JP 2006-521090 A 2006.9.21 (54) 【図5】 【図6】 【図7】 【図8A】 【図8B】 JP 2006-521090 A 2006.9.21 (55) 【図9A】 【図9B】 【図10】 【図11】 JP 2006-521090 A 2006.9.21 (56) 【図12】 【配列表】 2006521090000001.app JP 2006-521090 A 2006.9.21 (57) JP 2006-521090 A 2006.9.21 フロントページの続き (51)Int.Cl. FI C07K 19/00 C12N 1/21 A61K 38/00 C12N 5/06 テーマコード(参考) (2006.01) (2006.01) C07K 19/00 C12N 1/21 (2006.01) (2006.01) A61K 37/02 C12N E 5/00 (31)優先権主張番号 60/475,783 (32)優先日 平成15年6月5日(2003.6.5) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 AP(GH,GM,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT, BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IT,LU,MC,NL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA, GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ, EC,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,M W,MX,MZ,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,YU,ZA ,ZM,ZW (72)発明者 ウー ツィ−チュウ アメリカ合衆国 メリーランド州 スティーブンソン ナシレマ レーン 11002 (72)発明者 ハン チェン−フ アメリカ合衆国 メリーランド州 ティモニウム バリーヘアン コート 13 (72)発明者 フルバン ラルフ アメリカ合衆国 メリーランド州 バルティモア ダンケルク ロード 101 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA36 BA54 CA04 CA07 DA05 EA04 FA02 GA01 GA11 HA01 4B065 AA01X AA93X AA93Y AB01 AB02 BA01 BA08 CA24 CA25 CA45 4C084 AA02 AA07 BA01 BA08 BA17 BA23 CA18 NA14 ZB02 ZB05 ZB07 ZB26 4C085 AA03 BA09 BA21 BA23 BA24 BB01 CC21 4H045 AA10 AA11 AA30 BA15 BA16 BA17 BA18 CA41 DA76 DA86 EA28 FA72 FA74