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クラウドコンピューティングとどう向き合うか

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クラウドコンピューティングとどう向き合うか
クラウドコンピューティングとどう向き合うか
∼クラウドはビジネス系情報システム構築技法の革命となりうるか∼
2010年度第1回SWIM研究会
2010年6月4日
宮西洋太郎
宮城大学客員教授
仙台ソフトウェアセンター嘱託
㈱アイエスイーエム
2010/6/4版
クラウドコンピューティングとどう向き合うか
1
クラウド出現の背景(情報技術へのニーズ)
•
•
•
•
①ユーザの観点から1つのコンピュータを多数のユーザ
が利用するというマルチユーザ(→マルチテナント)の考
え,
②1つのコンピュータでは処理能力や処理機能(サービ
ス)が不十分の場合に,複数のコンピュータによって
サービスを提供するインターネット経由の広域的な分散
システムの考え,さらには,
③自己(自社)でコンピュータを所有せず,外部でサービ
スとして提供されているコンピューティング機能を共同利
用するという考え,これらが融合してきたものと考えられ
る.
ただし,実現技術として,主にGoogle社が大量の情報を検索するた
めに築いてきた従来に比べてきわめて大規模かつ柔軟な規模の拡
張可能性(scalability)を実現するための様々なソフトウェア技術が
用いられている.その点において,やはり新しいコンピューティング
の形態の出現ともいえるのではないだろうか.
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クラウドコンピューティングとどう向き合うか
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情報技術の進歩(ハードウェア)
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
リレー(継電器)によるディジタルコンピュータ
真空管によるディジタルコンピュータ
トランジスタによる(ディジタル)コンピュータ
ICによるコンピュータ
LSIによるコンピュータ
ダウンサイジング(どんどん小さくなる)の流れ
メインフレーム(大型コンピュータ)から
ミニコン、オフコン、パソコンへ
マイクロプロセッサ、パーソナルコンピュータ(PC、パソコン)
個人が所有するコンピュータ
機器に組み込まれたコンピュータ(携帯電話、ゲーム機、家庭電気
製品、自動車など)
別の流れは、並列コンピュータ、スーパーコンピュータ、グリッドコン
ピュータなど
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クラウドコンピューティングとどう向き合うか
3
情報技術の進歩(ネットワーク)
•
•
•
•
•
•
•
•
専用線による遠隔端末からコンピュータを使用
(ホスト集中処理)
専用線によるコンピュータネットワーク
(分散処理のはじまり→クライアントサーバ処理へ)
電話線によるコンピュータネットワーク
インターネットの出現(ARPAネット)
LANの出現、高速化 物理層IEEE802.3
10Mbps→100Mbps→1000Mpbs
プロトコルの自然淘汰(TCP/IPへ)
ISO対TCP/IP→TCP/IPに淘汰された
広域ネットワークの帯域幅の拡大(ブロードバンド)
アナログ回線→ADSL→光ファイバー
(クライアントサーバ処理→Webアプリケーションへ)
無線通信ネットワーク、高速化 物理層IEEE802.11
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クラウドコンピューティングとどう向き合うか
4
情報技術の進歩(ソフトウェア作成)
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
マシン言語によるプログラミング
アセンブラ言語によるプログラミング
コンパイラ言語、インタープリタ言語によるプログラミン
グ
ソフトウェア危機(Software Crisis)
ソフトウェアエンジニアリング(Software Engineering)の
誕生
構造化プログラミング
大規模ソフトウェアの開発技法の整理(ウオータフォー
ル開発プロセス、構造化分析設計技法)
オブジェクト指向、データ中心
サービス指向
クラウドコンピューティング
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クラウドコンピューティングとどう向き合うか
5
情報技術の進歩
(ソフトウェアアーキテクチャ)
•
•
•
•
•
•
•
ホスト集中処理(ホスト−周辺端末)
ホスト−遠隔端末(リモートターミナル)
分散処理、コンピュータネットワーク
クライアント・サーバ
3層(three tiered)クライアント・サーバ
(クライアント+サーバ+バックエンド(DB))
Webアプリケーション
(クライアントとサーバとの組み合わせが地理的に自由
になったが、論理的には固定的)(URLで接続)
クラウドコンピューティング
(クライアントとサーバとの組み合わせが完全に自由、ク
ラウド側でサーバとの対応の面倒をみている)
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クラウドコンピューティングとどう向き合うか
6
情報システム構築技法の変遷(1)
クラウド
サービス指向
オブジェクト指向技法
上流
歴史的な推移
構造化技法
ウォーターフォールモデルの誕生
要求定義
構造化分析
クラウドフィーバー
2010年
オブジェクト指向分析
外部設計
オブジェクト指向設計
構造化設計
内部設計
下流
プログラミング
構造化プログラミング
別々の手法
オブジェクト指向
プログラミング
結合テスト
歴史的な推移
総合テスト
運用テスト
歴史的な推移
時代とともに
下流から上流へ広がる
個別的な手法
ソフトウェア工学の誕生
1970年ころ
全工程
統一的な手法
オブジェクト指向の普及
1990年ころ
サービス指向の出現
2000年ころ
図 ソフトウェア工学の誕生から、構造化技法、オブジェクト指向技法、サービス指向、クラウドへ
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クラウドコンピューティングとどう向き合うか
7
情報システム構築技法の変遷(2)
原材料
現実の世界
情報の世界
•情報処理対象
•ビジネスプロセス
ビジネスプロセス
の運用中の
情報の収集
成果品
ビジネスプロセス
の操作・運用に必要な
情報の提供
•(情報処理機能)
•(情報蓄積機能)
•情報システム
図1 構造化技法による情報システム
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クラウドコンピューティングとどう向き合うか
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情報システム構築技法の変遷(3)
情報処理対象
(ビジネスプロセス)
原材料
ビジネスプロセスの中を
行き交う情報のかたまり
ビジネスプロセス
現実の世界 の運用中の
情報の収集
モデリング
成果品
ビジネスプロセス
の操作・運用に必
要な情報の提供
情報の世界
オブジェクトの集合による
•
ビジネスプロセスのモデル
情報システム
図2 オブジェクト指向技法による情報システム
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クラウドコンピューティングとどう向き合うか
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情報システム構築技法の変遷(4)
情報処理対象
(ビジネスプロセス)
原材料
ビジネスプロセスの中を
行き交う情報のかたまり
ビジネスプロセス
現実の世界 の運用中の
情報の収集
モデリング
成果品
ビジネスプロセス
の操作・運用に必
要な情報の提供
情報の世界
オブジェクト
情報システム
オブジェクトの集合によるビジネスプロセスのモデル
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クラウドコンピューティングとどう向き合うか
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情報システム構築技法の変遷(5)
情報処理対象
(ビジネスプロセス)
成果品
原材料
ビジネスプロセスを
構成する業務(サービス)
ビジネスプロセス
ビジネスプロセス
の操作・運用に必
現実の世界 の運用中の
モデリング
情報の収集
要な情報の提供
情報の世界
サービスの集合による
ビジネスプロセスのモデル
既存のサービスを再利用
情報システム
図3 サービス指向技法による情報システム
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クラウドコンピューティングとどう向き合うか
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情報システム構築技法の変遷(6)
情報処理対象
(ビジネスプロセス)
原材料
ビジネスプロセスの中を
行き交う情報のかたまり
ビジネスプロセス
現実の世界 の運用中の
情報の収集
モデリング
成果品
ビジネスプロセス
の操作・運用に必
要な情報の提供
情報の世界
サービス
情報システム
サービスの集合によるビジネスプロセスのモデル
2010/6/4版
クラウドコンピューティングとどう向き合うか
12
情報システム構築技法の変遷(7)
ソフトウェア設計エンジニアの主要留意点
1.
2.
3.
4.
5.
ソフトウェア工学以前(Before Software Engineering)の時代
ハードウェアリソース(主メモリの容量、実行ステップ数)に留意。
構造化の時代
スパゲッティプログラムの排除(goto less)、ソフトウェアの構造に留意、「連
接、選択、反復」のパターンにはめる。
オブジェクト指向の時代
ソフトウェア体系の中を動き回る情報の塊(オブジェクト)に留意、できるだけ
自律的単位(属性、メソッドをもつ)としてまとめ、不要な情報は隠蔽する。
人間社会のモデリング(モデル化)、情報の擬人化、そのモデリング。
サービス指向の時代
オブジェクトの粒度をさらに大きく、サービスという単位で捉える。
3∼4の流れで、アプリケーションプログラムの視線は、上へ上へと、用途(業
務)のほうを向いてきた。ビジネスプロセスモデリングなど。
クラウドコンピューティングの時代
再び、インフラ(仕組み、メカニズム)を意識する必要がでてきた。
(PaaS、SaaSを利用した情報システムの構築)
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クラウドコンピューティングとどう向き合うか
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情報システム構築技法の変遷(8)
インフラ(仕組み)を意識し
た設計、ただし、インフラで
他社との差別化は困難
ソフトウェア設計エンジニアの主要留意点
(縦軸スケールは定性的かつ主観的)
よって、ビジネスプロセスの
モデリングが、やはり重要
ハードウェアの高性能化に
よりインフラをあまり意識し
なくてもよい
上向き視線(ビジネスプロ
セスモデリング)に注力
処理対象のモデリングの重
視
インフラ(仕組み)
利用のノウハウを
蓄積し、
下向きの労力を省
くことが望ましい
構造化以前
構造化
オブジェクト指向
サービス指向
クラウド
下向きの視線(インフラ(仕組み)、ハードウェア)への注力度
上向きの視線(ビジネス、業務、プロセス)への注力度
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クラウドコンピューティングとどう向き合うか
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情報システム構築技法の変遷(9)
分散システム構築方法が目指してきた方向(原則)の1つ
透過性(Transparency)
分散していることを意識し
なくても良い、位置透過性
オブジェクト指向が目指してきた方向(原則)の1つ
情報隠蔽(Information hiding)
オブジェクト内部のことは
外にださない、自律動作
どちらも、上位レベルの機能を実現するために働いている下位レベルの事柄
は、上位レベルから見え(意識し)なくてもよい。見えないようにする。
クラウドコンピューティングでは、
サーバの所在場所はユーザからまったく見えない。その意味では透過的であ
る。ただしソフトウェア構築の際、インフラ(仕組み)を意識する必要がある。
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クラウドコンピューティングとどう向き合うか
15
クラウドコンピューティングとは(1)
雲の上のコンピュータ
サーバ
・・・・・
サーバ
・・・・・
サーバ
クラウド(雲 Cloud)
すなわちインターネット
クライアント
・・・・・
クライアント
・・・・・
クライアント
クライアントからの情報処理要求は、雲の上(インターネット上)にある、場所を意識
しなくても良いどこかのサーバで処理されて、結果が戻ってくる。このような形態での
情報処理をクラウドコンピューティングという
2010/6/4版
クラウドコンピューティングとどう向き合うか
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クラウドコンピューティングとは(2)
雲の中のコンピュータ
・・・・・
サーバ
・・・・・
サーバ
サーバ
クラウド(雲 Cloud)
すなわちインターネット
クライアント
・・・・・
・・・・・
クライアント
クライアント
Wikipedia クラウドコンピューティングとは、ネットワーク、特にインターネットをベー
スとしたコンピュータの利用形態である。ユーザはコンピュータ処理をネットワーク経
由で、サービスとして利用する。
2010/6/4版
クラウドコンピューティングとどう向き合うか
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クラウドコンピューティングとは(3)
NISTでのクラウドコンピューティングの定義
5つの本質的特徴(Essential Characteristic)
• 「On-demand self-service」
• 「Broad network access」
• 「Resource pooling」
• 「Rapid elasticity」
• 「Measured Service」
サービスのレイヤ(Service Model)によって,
• IaaS(Infrastructure as a Service),
• PaaS(Platform as a Service),
• SaaS(Software as a Service)
サーバ配置(Deployment Model)によって,
• プライベートクラウド,
• コミュニティクラウド,
• パブリッククラウド,に分類され,これらの混合である
• ハイブリッドクラウドの形態もある
2010/6/4版
クラウドコンピューティングとどう向き合うか
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クラウドコンピューティングの
メリット/デメリット
メリット
• 自社にサーバを設けなくてもよい(初期費用、維持費用の節減)
• スケール(ユーザ数、データ量などの規模)について気にしなくてもよい(従
来とは桁違いのスケーラビリティをもつ)
• 広い範囲からサービス(機能)を借用することにより、開発期間を短縮できる
可能性がある(開発の高速化)
• 総合的に安価に情報システムを構築できる可能性がある(使用期間にわた
る総合費用の節減) TCO(Total Cost of Ownership)からTCU(Total Cost of
Usage)へ
• 大規模計算を並列処理で高速化できる可能性がある(処理の高速化)
デメリット
• 外部にデータが漏れる恐れがある
• サービス利用に費用がかかる(運用費用)
• ブラックボックスの利用で、トラブル時の対応に不安
• ブラックボックスの利用で、テストのやりかたに注意が必要
• 従来のデータベース、トランザクションの考えを使えない
• インフラを意識したシステム構築が必要→ノウハウ獲得の要あり
• 任意の情報処理と言うより、元はと言えば、やはり大量の情報を検索するし
くみから発生していることがいろいろな面での制約になっている(ようだ)
2010/6/4版
クラウドコンピューティングとどう向き合うか
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クラウドコンピューティングは本命であろうか
では、一体、クラウドコンピューティングは、エンタープライズ用途(ビジ
ネス系、業務系)の情報システムに本格的に使用できるのであろうか?
・ビジネスの遂行に役立つのであろうか?
・さらに一歩進んで、ビジネスの革新(イノベーション)を推進する原動力
になるのであろうか?
もし、YESならば、クラウドコンピューティングを用いたエンタープライズ
用の情報システムの構築方法を早急に獲得する必要がある。
従来の分散システム構築方法と、根本的に異なってくる可能性がある。
早くノウハウを獲得すれば、アドバンテージになる。
電子情報通信学会SWIM研究会での取り組み
「クラウドコンピューティングトライアルプロジェクトCCTP」
2010/6/4版
クラウドコンピューティングとどう向き合うか
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クラウドコンピューティングの要素技術(1)
ユーザ(クライアント)とプロバイダ(サーバ)間のインタフェース技術
ユーザとプロバイダの間は、通常は標準化されたインターネットの
技術が使用されるが、専用の技術(プロトコル、ソフトウェア、ハー
ドウェア)を使用するものもある。( Wikipediaから引用)
プロバイダ内部の技術
従来技術を利用可能とする考え
オープン標準に準拠したソフトウェアや、ユーザ数や処理量の増減
に対応できる仮想化技術が使用される。(Wikipediaから引用)
クラウド特有の技術を前面に押し出す考え
Googleなどは、スケーラビリティ確保のために自社独自技術を多
様している。(Wikipediaから引用)
→この場合、クラウドの特長を最大にひきだすため、クラウド特有
技術を利用して情報システムを構築するには、独自技術(クラウド
を実現している仕組み)をよく理解し、その条件下で構築すること
が必要となる。
2010/6/4版
クラウドコンピューティングとどう向き合うか
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クラウドコンピューティングの要素技術(2)
データベース
リレーショナルDBからKeyValueデータストア(NoSQL)
「スケーラビリティ」を厳しく優先する場合、リレーショナルDBは使用できない
トランザクション
ACIDトランザクションからBASEトランザクションへ
上記のデータベースと関係、(スケーラビリティ優先の場合)
並列処理
MapReduce
仮想化技術
1つの物理的なCPUに複数の論理的なCPUを保持する
複数の物理的なCPUを1つの論理的なCPUとして働く→分散処理
従来型(非クラウド)情報システムを比較的容易にクラウド化する方法で、従来システムへ
の影響は少ない
スケールアウト
担当サーバの割り当て、探索 (ハッシング)(コンシステントハッシング)
担当サーバへの到達、ルーティング(構造化オーバーレイ)
2010/6/4版
クラウドコンピューティングとどう向き合うか
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クラウドコンピューティングの要素技術(3)
データベース リレーショナルDBからKeyValueデータストア(NoSQL)
クラウド前
クラウドコンピューティング
サーバ
サーバ
サーバ
・・・・
クラウドコンピューティングの雲
インターネットの雲
クライアント
クライアント
KeyValueデータ
i 行(タプル)
PK i
Vi1
Vi2
Vi3
基本的に、すべての行が1つのサーバ
に配置される(PK: Primary Key)
2010/6/4版
i 番目
Key i
Vi1
Vi2
Vi3
基本的に、この単位で、多数のサー
バにバラバラに配置される
クラウドコンピューティングとどう向き合うか
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クラウドコンピューティングの要素技術(4)
トランザクション
ACID (Atomicity, Consistency, Isolation, Durability)トランザクションから
BASE (Basically Availability, Soft state, Eventually consistency)トランザクションへ
一貫性(整合性)の維持
一貫性(整合性)の維持
強い一貫性制御方式 ACID, 2PC, WAL
弱い一貫性制御方式 BASE
主サイト(サーバ)
すべてが正常に完了するま
で待たされる
トランザクション開始
主サーバ
トランザクション開始
従サイト(複数あり)
更新指示
第
1
相
更新処理
更新処理
セキュア指示
ACK
セキュア状態
セキュア状態
ACK
コミット処理
コミット処理
コミット指示
第
2
相
トランザクション終了
ACK:肯定応答
AllOrNothing:1つでも失敗
なら全体で「なし」にする
2010/6/4版
すべてが正常に完了するま
で待たない、待てない
クラウドコンピューティングとどう向き合うか
サーバ群(膨大な数)
更新処理
更新処理
更新処理
更新処理
更新処理
時間の経過、やがて整合
Eventually consistent
楽観的一貫性制御
24
クラウドコンピューティングの要素技術(5)
並列処理
MapReduce
要素1
Map処理:要素ごとに行う処理
Reduce処理:要素をまとめる処理
要素1
要素2
Map
要素2
要素3
Map
要素3
要素4
Map
要素4
Map
・
・
・
・
・
・
2010/6/4版
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
要素n
Reduce
結果
・
・
・
・
・
・
Map
要素n
クラウドコンピューティングとどう向き合うか
25
クラウドコンピューティングの要素技術(6)
仮想化技術
1つの物理的なCPUに複数の論理的なCPUを保持する
複数の物理的なCPUを1つの論理的なCPUとして働く→分散処理
CPU(物理的なサーバマシン)
仮想的CPU(論理的なサーバマシン)
仮想的CPU
物理的CPU
仮想的CPU
物理的CPU
仮想的CPU
2010/6/4版
クラウドコンピューティングとどう向き合うか
物理的CPU
26
クラウドコンピューティングの要素技術(7)
スケールアウト
担当サーバの割り当て、探索 (ハッシング)(コンシステントハッシング)
担当サーバへの到達、ルーティング(構造化オーバーレイ)
担当サーバの割り当て、探索
ハッシング、
Key
コンシステントハッシング
どのサーバにこのKeyのデ
ータを格納(割当)するか、
または存在するか(探索)
クラウド(インターネット)の
中を通過して、どうやって、
到達するか
担当サーバへの到達
どのサーバにこのKeyのデ
ータを格納(割当)するか、
または存在するか(探索)
が決まった
2010/6/4版
(データ格納の要求、データ
送信の要求、データ処理の
要求etc)
このKeyのデータを
担当(格納)してい
るサーバ
ルーティングのしくみに類似
クラウドコンピューティングとどう向き合うか
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クラウドコンピューティングの要素技術(8)
(各社の比較、参考文献(3)から作成、要継続調査)
KeyValue
データストア
RDB
Google
Amazon EC2
Windows Azure
Salesforce.com
○
○
○
×
GFS(Google
File System),
Bigtable
Amazon Simple
DB
Windows Azure
Table
×
○
○
○
Amazon
RDS(MySQL)
SQL Azure
Force.com
Database
○
○
○
△
ACID
トランザクション
限定的な対応(同
一ノード上のデー
タ間)
BASE
トランザクション
○
MapReduce
並列処理
Amazon Elastic
MapReduce
2010/6/4版
クラウドコンピューティングとどう向き合うか
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クラウドコンピューティングサービス提供者
マイクロソフト
(PaaS)
.Net、Azure
(SaaS)
Microsoft Online Services
グーグル
(PaaS)
Google App Engine
(SaaS)
Google Apps
SaaS
PaaS
IaaS
アマゾン
(IaaS)
Amazon EC2、 Amazon S3
セールスフォース
(PaaS)
Salesforce AppExchange
(SaaS)
Salesforce CRM
2010/6/4版
(SaaS:Software as a Service)
(PaaS:Platform as a Service)
(IaaS:Infrastructure as a Service)
(SaaS:アプリケーションの提供)
(PaaS:アプリ構築の基盤提供)
(IaaS:HW、基本ソフトウェア提供)
クラウドコンピューティングとどう向き合うか
29
参考文献
(1) Wikipedia,“クラウドコンピューティング,”
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%89%E3%82
%B3%E3%83%B3%E3%83%94%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%86%E3%82%A3%E
3%83%B3%E3%82%B0
2010年5月5日確認
(2) 松本正雄編著,“Webサービス時代の経営情報技術,”電子情報通信学会,2009年2月
(3) http://csrc.nist.gov/groups/SNS/cloud-computing/cloud-def-v15.doc
(4) 丸山不二夫,“クラウドの成立過程とその技術的特徴について,”情報処理,Vol.50, No.11巻,
号,pp.1055−1061,Nov. 2009.
(5) 中田秀基,“Googleのクラウド技術,”情報処理,Vol.50, No.11,pp.1062−1067,Nov. 2009.
(6) 石田愛,“Amazon EC2,”情報処理,Vol.50, No.11,pp.1068−1073,Nov. 2009.
(7) 藤田昭人,“クラウド技術とオープンソース,”情報処理,Vol.50, No.11,pp.1074−1079,Nov.
2009.
(8) 首藤一幸,“スケールアウトの技術,”情報処理,Vol.50, No.11,pp.1080−1085,Nov. 2009.
(9) 萩原正義,“クラウドアプリケーションの分析と開発手法,”情報処理,Vol.50, No.11,pp.1092
−1098,Nov. 2009.
(10) 浦本真彦,“クラウドコンピューティングにおけるセキュリティとコンプライアンス,”情報処理,
Vol.50, No.11,pp.1099−1105,Nov. 2009.
(11) たとえば,2010年5月12日日経新聞一面記事,“パナソニック クラウド使い生産管理 システ
ム費,4割削減”
(12) http://www.ieice.org/~swim/jpn/CCTPPlan.pdf
2010/6/4版
クラウドコンピューティングとどう向き合うか
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おわりに
クラウドコンピューティングは、本当に、企業用または行政
用の情報システムに役立つものかどうかを見極めなければ
なりません。
もし、そうならば、そのための知識と実践方法を身につけな
ければなりません。
一般論では、世の中の変化に常に敏感で、世の中の変化
に取り残されないようにしましょう。
さらに願わくば、私たちが世の中の変化を惹き起こす原動
力になれるように精進しましょう。
ご清聴(ご注目)、ありがとうございました。
2010/6/4版
クラウドコンピューティングとどう向き合うか
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