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Microsoft Word - 0609_3誘導弾
事業番号 3 事業名 誘導弾:ペトリオット・システムの改修(BMD) 【6 月 9 日(水)】 時間:14:30-15:20(50 分) ◇担当局 防衛政策局 防衛計画課 経理装備局 システム装備課 【出席者(敬称略)】 ◆行政刷新会議外部有識者 近藤 早利 弁護士 永久 寿夫 株式会社 PHP 総合研究所常務取締役 中村 卓 元草加市市長付特命理事(地方主催推進担当) ◆防衛省予算監視・効率化チーム外部有識者 郷原 信郎 名城大学総合研究所教授、 コンプライアンス研究センター長、弁護士 清水 涼子 関西大学会計専門職大学院教授、公認会計士 松村 昌廣 桃山学院大学法学部教授 → 取りまとめ役 ◆コーディネーター 小村 雄大 行政刷新会議事務局 榛葉 賀津也 防衛副大臣 ◆取りまとめ役 (欠席) ◆防衛省予算監視・効率化チーム事務局 西 正典 経理装備局長 鎌田 昭良 大臣官房審議官 1 小村:そうしましたら、3つ目の事業になります。 誘導弾ペトリオット・システムの改修につきまして、まず担当部局のほうから7分程度でご説 明をよろしくお願いいたします。 説明者:それでは事業レビューシート 28 ページについてご説明させていただきます。 予算事業名、ペトリオット・システムの改修(BMD)と書いてございます。BMD バリスティ ック・ミサイル・ディフェンス、弾道ミサイル防衛の略語でございます。 事業の目的、弾道ミサイル攻撃に対して、我が国国民の生命を守るため、純粋に防衛的な、ほ かに代替手段のない唯一の手段として、平成 16 年度以降に諸情勢の変化を踏まえまして整備して きているものでございます。防衛計画の大綱にもとづいて、既存のペトリオット部隊のうち、3 個高射群及び教育所要等、計 16 個高射隊相当、高射隊ファイヤーユニットという表現をいたしま すけれども、16 個高射隊相当を弾道ミサイル対処能力を付加するために PAC-3化に改修する。 改修という表現を使ってございます。先にそこのところがわかりやすいように、参考資料の 10 ページの絵で改修の意味だけご説明させていただきます。 現在のペトリオット・シリーズは PAC-2とわれわれ通常呼んでおりますけれども、PAC-2 でありますものを PAC-3に能力を変えるものでございます。具体的に迎撃方法のところ、PAC -2、これは近接信管により飛び散った自らのミサイルの破片で敵のミサイルを迎撃するという システムに対して、直撃方式ということで、弾道そのものを破壊する等々でございますが、迎撃 目標のところ見ていただきますと、PAC-2は基本的には主たる目標は航空機でございまして、 弾道ミサイル対処能力は基本的には低いというものでございます。これを主に弾道ミサイルを含 む迎撃目的に変えるというものでございます。それにともないまして、ペトリオットの主要構成 品という、右に出てございます弾以外の部分、具体的にはレーダー装置、射撃管制装置、無線中 継装置、そして発射機という現在の地上装置がございます。これを PAC-3が撃てるように所要 の改修をするというのが事業の目的でございます。 自己点検のところをご覧いただきたいと思います。自己点検につきましては、後ほどページを めくってお金の流れを申し上げますけれども、本事業はライセンス国産による三菱重工をプライ ム企業とする随意契約のスタイルを取ってございます。 見直しの余地のところでございますが、本事業は、平成 16 年以降、諸情勢を踏まえて、非常に 速いペースで我が国の所要の防衛ができるように4個高射群ごとに4つの契約に分けて整備を進 めてまいっておりまして、最終の契約もすでに行われておる次第でございます。 見直しの余地、23 年度予算面という意味におきましては、金額的な意味も含めまして、あまり 大きな変化、余地は少ないと見込まれておりますけれども、事業の目的の重要性、金額の規模等 を含めて、こういった場でご議論いただくのにふさわしいということでご説明させていただいて おります。 29 ページをご覧いただきますと、全体の契約、お金の流れがご覧いただけると思います。契約 は4つに、A、B、C、Dというふうに分かれておりますけれども、これは先ほど申し上げたよ うに、三菱重工をプライムとするライセンス国産による改修事業というふうにご理解をいただい たほうがよろしいかと思います。一番右に出ております、随意契約 FMS、米空軍から買っている 2 ものがございます。これは GPS 装置でございます。GPS は米軍仕様ですので精度は民生品とは 圧倒的に違うものでございます。FMS にせざるを得ないというものでございます。 それから、一部中継機等と通じて電波を渡す無線機の部分、これはブラックボックスで特化さ れて、すでに暗号化されたものを電波だけ飛ばす無線の部分でございますので、一般競争入札を した上での随契という形ですが、全体の金額はご覧いただいてわかりますとおり、AとBで大層 を占めてございます。AからEとFというふうに 18 社、及び6社に一部部品等の製造が出ており ます。これにつきましては、31 ページ、32 ページに各社防衛大臣の承認を得た上での下請とい うことでお金の流れも把握されておるところでございます。 当方からの説明は以上でございます。 小村:ありがとうございました。 そうしましたら、この事業の論点につきまして、取りまとめ役の松村さんからお願いします。 松村:はい、論点は大まかに言って2つあるかと思いますが、21 年度の予算で見ると、15 億円 使い残しているということですが、約 15 億円残しているということですが、何で残ったんだろう かと、その分は節約できなかったのかどうかというようなところです。要因を分析して見直しが できないであろうかということです。 それから2つ目は、私のほうで見ると、これです。先ほども議論になりましたけれども、今度 PAC-2から PAC-3に改修するということで、いろんな地上設備であるとか、その他の部品を 変えなくちゃいけないわけですが、現在はライセンス国産だと、しかし、ほかの方法としてはも ちろん FMS もあると、どちらがいいのか、ライセンス国産でいいのかということかと思います。 このあたりを中心に議論を行っていただきたいと思います。 小村:そうしましたら、先ほどの論点ともかなり重なる部分がありますので、今回はちょっとご 提示いただいた流れに沿って執行のほうからまず何かございましたらこのあたりお願いできれば と思います。 説明者:先にご質問がございました執行残が 15 億出ている中身だけ簡単にご説明をさせていただ きます。これ、ほとんどの要因が契約時点におきます予算、及び契約における為替レート、設定 されていたレートが実施時点において円高に振れたことによる一部部品を米国から輸入をいたし ております。そういう輸入部品についての為替レートによる残が説明要因のほとんどだというふ うにお考えをいただきたいと思います。 小村:なかなか実態的な理由はないですよということになってしまうということですかね? 松村:これは逆に振れた場合は当然オーバーしてしまうわけですよね? リスクというのはどのように管理されるんですか? 余った場合とか、為替 このような調達においては。 説明者:為替が逆に円安に振れますれば、当然製造コストは高くなるわけですけれども、それは それを反映した形で、当方が負担するという形でございます。 小村:清水さん。 清水:この契約内容について、もうちょっとお伺いしたいんですが、ライセンサーがいて、ライ センシーがいて、さらにサブライセンシーがいるということなんでしょうか? 説明者:サブライセンシーというよりは、米国のレイセオン及びロッキード・マーチン社と三菱 重工が技術援助契約という民民ベースの排他的な契約をまず結びます。ただし、この排他的な契 3 約を結ぶことについては、米国政府がこういう相手のこういうものに対する技術援助契約なら認 めるということを了承した上で結ばれたものがまず技術援助契約でございます。で、その下をど ういうころに出すかという下請部分については、その技術援助契約の中身にもよりけりですけれ ども、基本的には防衛省がきちんと認識した上で、適当な技術を持ち、その部分を外注すること が妥当であるという判断が認められる範囲において行われるというふうにご理解いただきたい。 清水:そうしますと、それは完全に重工側の裁量でというふうなことになるんですか? 実はこ れは調達審議会でも議論になったことがありまして、たしかそのときの議論ではサブライセンシ ーがいるということで、いくつか下にくっついていますよということで、再実施権があるという ご説明だったかと思うんですけれども。要するに再実施権があれば、すべてを重工が取りまとめ ることなく直接防衛省が調達です。 説明者:もともとの PAC-3システム全体としてロッキードと重工が契約をしておりますので、 もちろん考え方としてパーツパーツだけ防衛省が1個1個調達をして官給品として出すというこ とは論理的にはあり得るのかもしれませんが、ちょっと確認をいたしますけれども、全体的な効 率性の意味においてプライムたる三菱重工が全体をマネージしていただくほうがむしろ効率的で はないかと思っている次第です。 清水:繰り返しになりますが、その点については、PAC-3に進化していくというふうな過程の 中で、最初の段階においては再実施権があると、最新のものについて PAC-3の段階ではたしか ないというふうなお話で、最初の段階のものについては直接調達の可能性もあるというたしかご 説明だったと思うんですが。 説明者:具体的に申し上げますと、先ほどの地上設備等で、これらが例えば移動するときに、ト レーラーが必要だったりするような部分もあるんですけれども、こういったようなものについて は防衛省が直接調達をして、そこに給しているというふうな部分もございますけれども、今回の PAC-3の特に改修部分といいますと、ほとんど直に、先ほど申し上げた技術援助契約の対象と なる部分が大層でございます。 清水:続けてすみません、そうしますと、それは別の契約ではそういうことがされているという ことですね? 今回の事業ではなく。 説明者:そういうことです。 清水:それに関連してなんですけれども、ドル建ての価格というものが全体の 46%を占めている というふうなことですが、これのうちのロイヤリティの部分が多いのではないかと思うんですが、 それはどのぐらいですか? 額、あるいは%でも結構なんですか。 説明者:基本的にまずドル建てになっておりますのは、おっしゃるとおりライセンス料はドル建 てでございます。それから部品のうち購入部品については多くがドル建てということになると思 いますけれども、ロイヤリティの部分は全体の中での6%前後ぐらい、一桁の中ぐらいというウ エイトでございますので、購入部品のところが大きいというふうにご理解をいただいたほうがい いと思います。 清水:6%といってもかなりの額だと思うんですが、調達審議会の議論では、そのロイヤリティ の計算方法1つで非常に額が変わってくると、特にこの事業については非常に政策的なものだと 思いますし、すぐ廃止とかっていう話ではないと思いますが、なるだけそれを効率的、経済的に 4 調達するにはどうしたらいいかという話になると思うんですけれども、先ほどの再実施の話も1 つの方策としてあるというふうなことと、もう1つはロイヤリティの払い方がどうなのかという ふうなことで、理不尽に多く払いすぎるようなことがあってはならない。ロイヤリティにかかる GCIP 部分であるとか、相手国に支払う額をまたそれに GCIP をかける、それがまた対象になる とか、そういったふうなことを検討していただくという話になっていたと思うんですけれども、 その辺のところは改善されているという理解でよろしいんでしょうか? 小村:すぐ答えられますか? 大丈夫ですか? 説明者:いや、ちょっとお時間いただければ。 小村:じゃあ、永久さん。 永久:BMD って非常に重要な装備だというふうに認識しております。とすれば、安価で十分に 配備するのがいいんだろうというふうに思います。そうすると単体安価なほうがいいという結論 になりますよね。そのときに、じゃあライセンス国産のほうがいいのか、それとも単純に輸入し たほうがいいのか、あるいはこの改修に関しても、つくったところがレイセオン社というところ ですか? ね? に来てもらってやったほうがいいのか、特にこれは単純に言ってしまえば弾ですよ それとあと周辺のもの。多分メンテナンスでも相当難しいことがあるのかもしれませんけ れども、普通の例えば飛行機だとか戦車とかそういうものとは多少違う性格を持っている。そう いうときにライセンス国産の優位性というか、あるいはなぜそれをやっているのか、あるいはレ イセオン社等、そうした海外からのこうしたものを直でやるデメリットというか、そういうもの をちょっとご説明いただきたいと思うんですが。 説明者:まずメリットのほうから申し上げたいと思います。先ほど来ライセンス国産のメリット 出ておりますので重複した部分は避けますけれども、こと誘導弾、特にこの弾道ミサイル対処と いう部分につきましては、今後軍事上の重要性は増すことはあっても減ることは一切ない分野、 これは異論がないところかと思います。その中において当該分野で我が国は国産技術を有してお りません。少なくともこれはまず決定的な今までの装備品との違いかと思っております。すなわ ち、ライセンス国産をすることで学ぶ要素が非常に大きい、 1点目でございます。これは現に BMD のもう1つの主たるミサイル SM3、イージス艦から発射して制空圏で迎撃をして、我が国本土 全体をカバーする防衛手段ですけれども、これの後継機種、SM3ブロック 2A についてはさらに 一歩踏み出して米国と共同開発をしているわけでございます。こういった意味において、代替手 段を持てるからこそバーゲニングパワーを持てる、自分でつくれるからもっと安く売れるという いろんなバーゲニングが選択肢があるんだと思うんですけれども、少なくともこの BMD につい ては現時点で買うかライセンス国産するかというこの二択しかない、この二択しかないものを、 将来選択肢を増やせるようにしていくために、さまざまなメリットがあるということが最大のメ リットかと思っております。 デメリットについては先ほど来出ていることと重複いたします。修理、整備等で、まず武器輸 出の手続きが必要で、かつ1回送り返すといつ返ってくるかわからない、優先順位は先方がつけ るということでございます。 永久:それはわかりました。単純に改修をライセンスじゃなくて頼んだ場合、どのぐらいの価格 差がありますか? 5 説明者:まず PAC-2から PAC-3への改修という事業、弾の要素は非常にもちろん高うござい ます。具体的に言いますと、先ほどの写真で言いますランチャーに PAC-2だと4つついている ランチャーに1本ずつ入るような大きさなんですけれども、1つの箱の中に4本入るぐらいの大 きさで、まず小型化されているんですが、当然性能がアップしています。ただし、その性能を満 たすものはむしろ地上設備、具体的にはフェーズドアレイレーダーの能力の向上であったり、追 尾能力の向上であったり、もちろん弾道部におけるシーカー機能等、すべてがトータルとして組 まれたものでございますので、単純に弾だけいくら安くなったという比較は非常に難しいという のがまず結論でございます。 それから、弾の単価につきましては、これは各国とも共通でございますけれども、総予算額で はもちろん国会のご承認を含めて予算としていただくわけですけれども、単価がいくらと申し上 げた途端に配備数、本数、撃ち切れる弾、全部これを明かすことになりますので、単価について は申し上げないことにしてございます。 永久:おおよそどれぐらい安くなるとかいう%とかでも難しいですか? 説明者:この比較は、要は PAC-2という目的の違うものの弾と、PAC-3というものの比較を するというのはなかなか難しい。PAC-3という同じ弾の FMS で米国から買っている国のデー タというものは、われわれももちろん常に参考までにいろんな情報を集めているわけですけれど も、基本的には当該国が一式一発これこれで買っておりますというふうな発表をしている国はご ざいません。米国に問い合わせても当然のことながら非開示というお答えをいただきます。 小村:永久さん、引き続き。 永久:ミサイルの部分と、ここで米軍から調達しているのが受信機、GPS という話ですけれども、 そのミサイルの部分の技術移転というのはこれで多分ライセンス国産でかなりできるのかなとい うふうな感じはいたしますけれども、この肝心な GPS、ここが本当に肝なんだと思うんですけれ ども、これに関する技術移転というのはどういうふうに進むんでしょうか? これはできないよ うな気がするんですが。 説明者:そこはやはり GPS 衛星を持っているのはアメリカですから、そのアメリカの GPS 衛星 をしっかりと民生的ではなくて軍用で使える、本当に精度の高いのを入れるとなれば、そこはア メリカに依存しなきゃいけないんだと思います。じゃあそれを日本がそもそもそういう衛星も含 めて測位情報をやるかというところは、ちょっとなかなかそういうことをやるよりは、アメリカ のシステムで使っていたほうが効果的ではないかということはあると思います。 永久:というか、それ以外にないということですよね? 説明者:そうです。 小村:郷原さん。 郷原:この価格ですけれども、これは概算契約ということなんですか? まだ始めたばっかりな ので、確定じゃなくて概算になるんですね? 説明者:概算でございます。それから先ほど清水先生からお話がありましたロイヤリティに GCIP が乗っていることについての見直しのご要請等については、来年度予算要求に向けて現在検討し ているところでございます。 郷原:先ほどのご説明によると、迎撃弾に関する技術を国内でもこれからある程度定着させてい 6 く必要があるということであれば、おそらくずっとこの特定の企業がこの関連の仕事を受注し続 けることはもう確実ですよね。それを前提にして考えたときに、この価格の合理性をどうやって 担保するかというのは、これはもう民生品の市場がないものであるだけに結構大変なことだと思 うんですよ。今概算ということなんですけれども、概算ということは結局実際にかかった費用を 後を監査という形で全部確認するわけですよね? それが本当に適切な価格かどうかというと、 かなりの金額ですから、どうやってチェックするのか。ほかの装備品にも言えることですけれど も、この場合その点についての努力が十分にできているかどうかということなんですが。 説明者:価格の妥当性というのは非常に難しい問題だと思うんです。つまり、事業の見積りとい うもので、ほかに比較がないわけですよね。そして、今そういう価格の標準的な見積り方法とい うのも、それを含めて考えなきゃいけないと思うんですが、その見積り方法には主としてパラメ トリックとかアナロジートとかアクチャルコストがやると思うんですね。そのためにはやっぱり パラメトリックのためにはデータベースが必要だとか、コストドライバーは何だとかいうことを、 それをしっかりとこれから、これはライフサイクルコストを今始めたばかりですけど、そういう ときに、中長期的な価格見積りをする際の方法論というのはちょっと今しかかり途上というか、 しかかりの著についたところだということだと思います。ですからこれから実際に開発する際に 当たっては、どれぐらいな金額の開発投資をかけて、どれぐらいのコストを調達、取得価格で、 どれぐらいの運用コストだということをしっかり測定できる方法論を確立しなきゃいけないとい うのは課題だというふうに思っています。 小村:近藤さん。 近藤:技術の蓄積の観点で1点お聞きしたいんですが、ライセンス国産の場合、技術情報は 100% 開示されているんでしょうか、ということをお伺いしたいんですけれども、どのぐらいさっきの 話じゃないですけどブラックボックスに入っているのかというのは。 説明者:結論を申し上げると、どの程度ブラックボックスかということを申し上げることも含め て、開示は困難ですけれども、ブラックボックスがあることはもちろん事実でございます。ただ、 実際に生産現場、それから開発をされている、ないしはライセンス国産をされている民間企業の 方々とお話をする、ないしは現場に足を運んで眺めてみますと、実際にものをつくり、検査し、 出荷をするという一連のシステマティックな行為が、どれだけ技術の蓄積、需要に役立っている かという点については、大変に学ぶべき点が多いというのが私の認識でございます。 小村:すみません、シートを書きながらでお願いいたします。 今のは、言えないというのは、向こうの業者さんとアメリカ本国&アメリカの業者さんとの協 定なり契約条項でそういう比率も含めてお話することはできないという契約になってますよとい うことなんですか? ちょっと確認だけ。 説明者:米国政府と日本政府との間の MOU の中で、そこについては非開示ということになって おります。それはすなわち、どのぐらいの情報をどの部品について依存させているのか、依存し ているのかということ自体が当然に秘匿度の高い情報だというふうにご理解ください。 小村:はい、わかりました。 中村さん。 中村:直接これは 21 年、22 年度までの執行のレビューということになるんですが、要は次期中 7 期防との関係で、この前の事業仕分けで追加配備みたいな話もあったと思うんです、議論の中で。 そうすると今後政府で次期中期防をどうするかということを含めてですが、今後この PAC-3化 というものは、基本的な考えとしては防衛省さんとしてはやっていくというお考えですよね? 今の案の中では。おそらくそうだろうと思うんです。そうすると、このライセンス国産を続けな がら一定の規模まで PAC-3化を進める。これはあと3機でしたっけ? そういう事実でよろし いですか? 説明者:PAC-3化につきましては、昨年、22 年度予算では7個 FU、7個単位の要求をしまし て、そのうちの6機については PAC-3ではないんですけどバージョンアップの経費は予算をい ただいたと。ですから残り7つのランチャー、発射機の分ということと、それから1つのバージ ョンアップというのが去年との比較であれば、まだ今後やらなきゃいけないというふうな引き算 になるのかと思います。 中村:そうすると、その路線というか、今のお考えの中では、それはすべて今の方式のライセン ス国産を継続されるということが基本的なスタンスだという理解でよろしいわけですよね? そ うですね? 説明者:具体的な調達方法は個々の執行段階だと思いますが、今それをあえて変える要素という のは特にないんではないかなというふうに考えられます。 中村:契約上縛られているということはないんですよね? ですね? それはまた個別の契約ですからない あくまでも要するに国益をベースにして、どういう手法が最適かということを考える ということでよろしいですね? 小村:では永久さん。 永久:BMDには PAC-3以外にはほかにないんですよね? 要はそういうことですよね? 実 際に弾としては。 説明者:我が国の弾道ミサイル防衛は2段階、先ほど申し上げたようになっておりまして、基本 的にはイージスから撃つ SM3 で迎撃をして。 永久:地上から撃つやつはこれしかない。 説明:撃ち漏らしを PAC-3で撃つ。で、その撃ち漏らしについては代替手段はこれしかないで す。 永久:ないですよね、そうするとそれを海外から買うか、国内でライセンス生産するかというオ プションがあると。で、輸入するのはそうしたメリット、デメリットを考えたときにデメリット のほうが大きいと。じゃあこういうことって可能なんですか? ライセンス生産を2つの、例え ば日本の企業が持つと、で、お互いに競争させるというようなことは可能なのかどうかというこ と。 もう1つが、半分輸入して半分ライセンス国産と、こんなことってあり得るんでしょうか? そ うすると、要は何を言いたいかというと、競争環境をつくりたいわけですよね。そうするとコス ト削減につながると、それがもしできないのならばもうしょうがないというか、競争環境できな いんでしょう。そういうことは可能なのかどうかについて。 説明者:まず前者、複数社がライセンス国産社になれるかという点については否でございます。 これはもともと米国の方針としてライセンス国産をエクスクルーシブに与えるという方式ですの 8 で、1社が取ったら変わることはもちろんあり得ます。その1社というのはある年から別のB社 に変わることはあり得ますけれども、排他的ですので、前者は論理的にありません。 FMS とライセンス国産の併存ということ、バージョンによってはあり得るのかもしれませんけ れども、一般的には当方が考えるメリット、デメリット、先方が考えるメリット、デメリットが なかなか一致しにくい、特に現時点では状況ではないかと思っております。 小村:郷原さん。 郷原:競争性を高めていくことがほとんど困難だとすると、そうなるとこれだけ明確な政策目的 で行われている事業が、実質一民間企業にすべて依存するような形になるのが本当に望ましいの かという、むしろその迎撃弾の技術というのは、国を守るために本当に不可欠なものなんだから、 自由競争の中で基本的にやっていかないといけない民間企業にその技術を確保させるよりも、何 か公的なところで確保したほうがいいという考え方は出てこないんですか? 説明者:今我が国は工廠を持っておりませんので、装備品の製造に関しては基本的にすべて民間 に依存していると。他方でさらにそのシステムとかの構想とかコンセプト、戦術、戦略みたいな ところは、この官の中でやっているという住み分けでやっていると思います。で、そこで仕様の 策定とか技術のトレンドとかというのは官で策定しながら、実際の製造とか技術開発、実際のも のつくり、またそれのシステムインテグレート的な部分について民に依存するという形の形態で やっていくということになるんではないかと思います。 郷原:先ほど言った価格の合理性にも関連するんですけども、そういう政策目的からかなり公的 な部分の価値とか、業務みたいなところが全部込み込みになってしまって、かえって価格を高く してしまうとかという可能性だってなくはないと思うんですよね。そういう意味では公的な国防 のための技術というところを製造のところから若干切り離して、別途それを確保した上で、本当 に民間でやらせるべきところを分けていくことのほうが、価格を少しでも合理的にすることに役 に立つんじゃないか、そういう検討の余地はないのかなと思うんですけど。 説明者:1つは先ほど申し上げたように、例えばあるB社が国産を開発しましたと、代替できま すというものが生まれてくる状況になれば、それは当然価格競争力もわれわれの選択肢も増える わけですし、その技術をどうやって需要し、やっていくか、これは技術開発も含めた全体の中で の課題かなというふうに思っております。 小村:シートを出していただきながらでお願いいたします。 松村さん。 松村:お話を聞いて、まず PAC-2から PAC-3に改修するという言葉の使い方ですけれども、 ある種ミスリーディングなところがあって、お話を聞くとミサイル本体も、弾そのものもそうで すけれども、かなり違うもので、実体的にはかなりこう、大幅な変更になっているということで 640 億円というのはそんなものなのかなと思いましたが、他方、価格の合理化ができるのかどう かというところでお話を聞くと、おっしゃったように、今のところ何が合理的なのかというよう な方法論が確立されてないということを聞いて少し驚いたわけですが、そういうことになると、 ある種アメリカの言い値というところの部分があって、それは本質的にアメリカとの関係の部分 においては、これは外交問題というか、そういう性格のものなんですか? という質問と、アメ リカが関係していない部分で、どの程度日本の企業側のほうで圧縮が可能なのかという、具体的 9 な数字はお出しになれないということなんですけども、どの程度楽観的なのか批判的なのか、そ のあたりをちょっと説明していただければと思います。 説明者:1点目、米国の言い値かどうか、これは当然われわれも十分米国と協議しながら、もの ごとを進めているわけでございますけれども、FMS という制度自体、そもそも同盟国、友好国に 対して非常に先進的な技術を兵器として提供すると、ライセンス国産権を与えるということも同 様ですけれども、そういったところに端を発しているものでございますので、当然当該このよう なレベルの兵器になると、これをある国に米国が売るか売らないかということ自体が外交問題に なっているような状況というのが私の認識でございます。 一方で、じゃあ米国と関連ない部分をどれだけ節約できるのかということについては、先ほど 計画課長が申し上げたとおり適正な単価をどう模索していくかということで現在検討を深めてい るという段階だと思っております。 小村:まだの方はちょっとお出しいただくようお願いいたします。 説明者:若干補足しますと、価格についてメジャメントがないわけじゃなくて、例えば今までの 蓄積の価格、なにしろ類似の装備から見れば大体こんなもんだというのは推定しながらやってい るというのが実態ですけれども、じゃあさらにそれをより効果的、効率的に、中長期的な目線、 ライフサイクルコストまで含めて実際に測定していける方法ということに、これから今取り組ん でいかないといけないというところがちょっとあります。 後は米国なんかですと、構想段階ぐらいのところで、いわば2社で競争環境ができるというこ とがあって、その中で切磋琢磨させながら開発コントロールをやっているという面もあります。 ところが日本の場合はそこまですそ野が広くないから、実際にものを調達するときには、海外か らそれを入れるのか、もしくはそれを国内でやったらどうなるのか、その2つの選択肢の比較と いうのは主として行われてますので、それは海外から導入するときに、必要なわれわれのスペッ クのものをどう入れてくるかのときに、コスト情報、限られた情報ですが、それを見ながら、オ ペレーションまで含めて安定的に調査できるものか、または国内に対する機はどうなのか、他方 で国内で今度ものづくりをさせるとなると、これは莫大な投資がかかるということ。時間がかか るというのがありますから。そのトレードオフなんかを見ながら、ちょっと意志決定をしてると いうのが今の実態だということだと思います。特にこのハイスペックなものに関しては、やはり アメリカの装備品というのは非常に優れておりますので、そこから得るものを得ながら国内での 生産基盤を確保しながらオペレーションなどにつなげていくというようなことでやっているとい うのが実態だと思います。 小村:先ほどの清水さんの質問で宿題でお返しきれてないのが1問あったかと思うんですけれど も、準備としてご回答いただくことは可能…。してますか? 大丈夫ですね。はい、わかりまし た。じゃあ中村さん。 中村:一番最初に微妙な話があったので、そのことに関連して、要は SM3 はアメリカと共同開発 みたいな話で、それはこのライセンス国産を含めて、こういう軍事技術、アメリカと日本とのい ろんな関係性の中で、そのつながりの中で SM3 の共同開発みたいなプロセスに入っているという ような主旨ですよね、それで非常に私なんかどういう評価をすべきかと悩んでいるわけですが、 例えば PAC-3の話になりますが、その PAC-3の枠の中だと、まさにそういう形を継続せざる 10 を得ないという話の中で、例えば NATO 軍なんかは MEADS か何かの新しいシステムを独自に 開発するという領域に多分入っているんだろうと思いますよね。それはかなり早いうちに実用化 されるというような情報も、私なりのネット検索で調べた範囲なんですが。そうすると、要はそ の辺を含めて、今みたいな PAC-3体制というものを中期防なりその次まで含めて、今の共同開 発のようなものを問題視としてお持ちだったときに、どういうふうにつなげていこうとするお考 えなのか、これは非常に微妙な問題なんですが、何かそういうことについてご見解いただければ と思うんですが。 説明者:まさに微妙なところですけれども、やっぱりもっと長い目で見ますと、我が国はライセ ンス国産やってますけど、今現在似たような装備、防空を任とする中距離ミサイル、誘導弾とい う陸上自衛隊が装備しているいわゆる中 SAM というのを持っています。これは BMD 対処はで きないんですが、CM 対処、クルージングミサイル対処ができるような能力を持っているものも あります。さらにその先の一歩先の先進ミサイルの要素技術のというのをやっていまして、そこ ではさらにポストペトリとかポスト中 SAM の技術研究をやっていまして、そういうことが成熟 したところで諸外国の関係なんかも踏まえながら、どういうような、我が国の技術能力と外国の 装備品の様子を見ながら、国内でいくのか、輸入でいくならラ国でいくか、場合によっては共同 開発をやるのかという選択肢を広げていくということはやっています。 小村:そうしたら結果が取りまとまっておりますので、取りまとめ役、松村さんのほうから発表 したていただきます。 松村:はい、レビューシートの説明、情報、このあたりですけれども、 「十分な把握水準となって いる」というのは1票、 「おおむね把握できている」というのが3票、 「把握できていない」とい うのが1票でした。 それから結論部分ですけれども、本事業を「一部改善すべき」が3票、それから「現状維持」 というのが2票ということで、難しいところですが「一部改善」と「現状維持」の真ん中ぐらい という意味で「一部改善」ということなのかなと。したがって本事業については見直すと。具体 的にはもう少し自主的に厳しいコストチェックをすべきであると。それから価格の合理性につい ては客観的に担保する方法論を早急に確立するように努力すべきである。それからロイヤリティ の算出方法については、おっしゃっていましたけれども、再検討すべきであるということになる のかと。これが結論です。 小村:そうしましたら、3つ目の事業、ペトリオット・システムの改修につきましては、現状維 持に近い一部改善という結論となりました。 ここで、先ほどちょっと休みを長く取っていますので、そのまま説明の方だけ入れ替わってい ただいて、引き続き 35 分ぐらいから始めたいと思います。よろしくお願いいたします。 (終了) 11