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地 球 環 境 保 全 と 環 境 創 造

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地 球 環 境 保 全 と 環 境 創 造
02
2011年度の活動実績と
新中期目標
低減させるゼロエミッション活動を実施しています。この
2011年度は2009年度にスタートした環境に関する中
スク管理の観点も含め指定委託業者の使用を徹底してい
社会基盤整備を担う建設事業者として、
鹿島は良質
期目標の最終年度でした。2011年度を中心に3か年の活
ます。次期中期目標は、活動の継続的な維持・向上を目指
動について、重点4課題それぞれの目標に対する実績を
し最終処分率3%未満としました。
な建設プロジェクトを通じて社会の低炭素化に貢
ます。
そのためにも、
プロジェクトの完成に至る各プ
ロセスごとに環境に配慮し事業を進めています。
「100年をつくる会社として」
鹿島は低炭素・資源循
環・環境共生の三つの側面から持続可能な社会の
実現に貢献します。
地球環境の保全は「次世代への
責務」
と考え、顧客への前向きな
企画提案とともに、
日々の事業活
05
鹿島では、建築物のライフサイクルでのCO2排出量を
に基づく早期からの先手管理を推進しています。また、石
1990年度比30%削減を中期目標として設定していまし
綿に関しては、管理不備事例の発生を受け、管理標準を見
た。ライフサイクルでの大きな削減率が見込みにくい工場
直し強化しています。次期中期目標としても重大事故の未
建築の割合が急増したこともあり、実績は27%削減に留
然防止を掲げ、汚染土壌対応、石綿対応を重点課題として
まりました。次期中期目標ではベースを現行の省エネ法
取り組みます。
重点課題4 : 生物多様性保全
として16.4%の削減を達成しました。夏季の節電活動も
会長企業として参画しています。事業を通じて都市の生態
建設業の事業特性には、資源多消費、製品としての建物・構造物の
大きく寄与しています。次期中期目標では節電活動の継
系のネットワークを強化する
「生物多様性都市づくり」
を目
長期間使用、自然環境の直接改変などがあります。鹿島ではこれらを
続も含め、1990年度比18%削減を目指します。
標とし、その成果は地域的な広がりも含めプロジェクトで
「生物多様性保全」
の4つを重点課題と定め、環境マネジメント活動
の生物多様性提案の増加として表れています。次期中期目
重点課題2 : 資源循環・有効利用
を推進しています。環境マネジメントシステム体制は、社長を委員長
建設現場では発生抑制や分別の徹底・メーカーリサイ
とする全社環境委員会の下に、事業部門別に6部門を配置し、部門横
クルの活用等により、廃棄物発生量および最終処分率を
標でも
「生物多様性都市づくり」
を継続し、活動としてはプ
ロジェクト提案の拡大を目指すとともに、社員・社会の認
を推進します。
知向上として広報・教育・普及啓発
(CEPA※)
断的な課題については各部会で取り組んでいます。
鹿島の使命
目指す社会
100年をつくる会社
持続可能な社会
環境マネジメントシステム体制図
:
業でありたいと思っています。
関係社員を対象にフォロー講習会を開催し、的確な知識
鹿島は
「企業と生物多様性イニシアティブ
(JBIB)
」
に副
:
常に感度が高く、礼儀正しい企
重点課題1 : 地球温暖化防止
改正土壌汚染対策法への対応として、引き続き全社の
出量を1990年度比16%削減でしたが、2011年度は実績
委員長代理 副社長
︵EMSでの最高経営者︶
委員長 社長
04
多い産業です。環境に対しては
重点課題3 : 有害物質の管理
す。また、施工における中期目標は、施工高当たりCO 2排
環境マネジメントシステム
全社環境委員会
り、
自然環境に手を加えることが
から新たな中期目標を掲げて取り組んでいます。
基準値に変更し、運用時CO2排出量35%削減を目指しま
ふまえ、
「地球温暖化防止」
「 資源循環・有効利用」
「 有害物質の管理」
建設業は資源多消費産業であ
の5%未満を大幅に上回る3.1%を達成しました。また、リ
分析・評価し、その評価と社会動向をふまえて、2012年度
献する等、
本業を通じた環境への寄与を目指してい
03
活動は着実に成果を上げており、最終処分率は中期目標
地球環境保全と環境創造
地球環境保全と環境創造
01
建設事業を通じた
環境を
「守る」
と
「創る」
土木部門
建築部門
土木管理本部
支店
現場
支店
現場
土木設計本部
建築管理本部
建築設計本部
環境エンジニアリング部門
環境本部
エンジニアリング部門
エンジニアリング本部
研究開発部門
技術研究所
海外事業部門
海外土木支店
部門横断的な課題対応
●
●
環境マネジメント部会
グリーン調達部会
4つの重点課題
●
●
施工環境部会
生物多様性部会
事務局 : 環境本部地球環境室
動における環境負荷の低減に注
*2012年度からオフィス部門は審査対象範囲から除外しています。
力していきます。
■環境マネジメントシステム監査
部門ごとの取組みについては、部門内および各部門の主管部署に
対する地球環境室の内部監査を実施しており、2011年度は、全体で
軽微な不適合17件という結果でした。既に全件とも是正もしくはそ
の計画を確認済みです。また、外部審査における不適合の指摘もな
く、システムが適切かつ有効に運用されていることを確認していま
す。今後はリスク管理とともに、顧客提案水準の向上等、環境を通じ
た事業拡大に資する目標を強化し、環境経営の中核システムとして
活用していきます。
(次世代の評価に耐え得る良質な社会基盤の提供)
1
低炭素社会
2011年度
中期目標
(2009∼2011年度)
建物ライフサイクルの低炭素化
ライフサイクルCO2を
1990年度比30%削減
● 施工におけるCO2削減
原単位1990年度比16%減
目標
27%
16%
16%
ゼロエミッション活動の推進
5%未満
● 最終処分率5%未満
(汚泥除く)
3 有害物質の管理
予防的対応の促進
生物多様性保全
「生物多様性都市」
の実現
評価
自然共生社会
新中期目標
(2012∼2014年度)
建物運用時CO2
省エネ法基準値比35%削減
● 施工時CO2
原単位1990年度比18%削減
●
30%
2 資源循環・有効利用
4
実績
●
地球温暖化防止
資源循環社会
重大事故・
トラブル0件
3.1%
最終処分率
3%未満
重大事故・
トラブル1件
予防的対応の促進
重点:汚染土壌、石綿
重点プロジェクト
10件
10件/年以上
●
●
生物多様性プロジェクトの増加
広報・教育・
を推進
普及啓発(CEPA※)
※生物多様性条約第13条、生物多様性基本法第24条に位置付けられている普及啓発を意味する用語
30
KAJIMA CSR REPORT 2012
KAJIMA CSR REPORT 2012
31
プロセスごとの
「守る」
と
「創る」
付加価値向上を目指す事業計画段階
鹿島では建物・構造物のライフサイクル全体を考
えて環境課題と向き合っています。建物は完成し
人々が活動を行う
「運用時」
のエネルギー消費量
の割合が大きいのに対して、土木構造物は施工段
階が大半を占めます。ライフサイクル全体をふま
え、各段階で効果的な取組みを行い、持続可能な
社会の実現に寄与しています。
「エコ・デザイン」
や、実
際にその建物を利用す
施工段階は多くの資材を消費し、廃棄物も多く発生する
するように提案や支援を行っています。特に、鹿島は生物
る人々の住まい方や働
プロセスです。地形改変、濁水・騒音、建設廃棄物や汚染土
多様性をはじめとした先駆的な取組みが礎となり、価値を
き方などを観点とする
壌、重機・車両からのCO2排出等、地球環境・地域環境への
最大化するような技術の組合せをニーズに合わせて提案
「エコ・ワークスタイル」
しています。
は、まさに事業計画・設
また、土壌汚染や埋設物の調査など、事業主と鹿島がと
計段階から取り込むこ
もにリスクマネジメントの一環として有害物質の適切な処
とが 不可欠です。加え
理や管理を行うよう、本社・支店など関係者が一体となっ
て、運用開始後のエネ
て取り組んでいます。
ルギーマネジメントや
建築部門では、運用時におけるエネルギー消費を最小
な段階であり、ハード・ソフトの両面からアプローチを行
限にするために、窓や外壁の断熱・日射遮蔽の性能向上、
い、生物多様性に配慮した提案を積み重ねています。また
自然換気・自然採光の利用、効率のよい空調・照明設備の
調達にあたって、資源採取による枯渇や、資材製造・運搬に
採用など、設計段階から建築・設備でのアプローチを進め
よるエネルギーの消費、廃棄物の排出、生態系への影響、
ています。
大気・水質・土壌の汚染などの環境影響が考えられるため、
これに対して、ダムや橋などの土木構造物は、施工段階
これらについて十分な配慮を行っています。
でのエネルギー消費量を抑えるために、設計段階におい
1 地球温暖化防止
2 資源循環・有効利用
3
●
●
グリーン調達品目の検討
● ライフサイクルでの
廃棄物最小化設計
●
●
有害物質の管理
4 生物多様性保全
●
●
●
汚染土壌対策
シックハウス対策
生物多様性都市を目指した提案
自然復元技術の利用
鹿島生物多様性行動指針
鹿島は、
「鹿島生態系保全行動指針」
を2005年
8月に定め、
2009年7月には
「鹿島生物多様性
行動指針」
として改訂を行い、それに基づいた
さまざまな活動を進めています。
基本理念
鹿島は、
「100年をつくる会社」
として、
将来にわ
たり豊かな環境を維持し、良質な社会基盤を
整備していくことを使命としている。
地球規模での環境への影響が顕在化するな
か、生物多様性の劣化は地球温暖化と並ぶ重
要な課題であり、
その解決には企業として果た
すべき役割も大きい。
鹿島は、生物多様性に関し建設事業を通じて
32
KAJIMA CSR REPORT 2012
1 地球温暖化防止
2
再生可能エネルギーの
見込んでいます。
大規模テナントビルのモデルプロジェクトとし
てい るAKASAKA K-TOWER。CO2排 出 量
40%削減
鹿島のZEBに対する考え方
エコ・デザイン
従来の取組みの枠を大きく超えた建物や設備の
省エネルギーデザインの試行や実用化に取り組みます。
エコ・ワークスタイル
建物を利用する人のエコ・ライフスタイル、
エコ・ワークスタイルを検討・提案していきます。
エネルギーマネジメント
運用開始後のモニタリング・適正な運用と改善など
を通じた実効ある省エネルギー管理を支援します。
再生可能エネルギー
て、①部材厚・材料使用量低減、②選定材料・材料仕様変
太陽光発電や地中熱などの活用を
推進します。
更、③工期短縮を考慮した施工方法の3つの観点から検
●
●
施工の合理化 ● 高効率機器の採用
省エネルギー活動
自然エネルギーの利用
グリーン調達
ゼロエミッション活動 廃棄物の発生
量抑制 最終処分率の低減
4 生物多様性保全
●
●
●
●
●
汚染土壌対策
シックハウス対策
生物多様性に配慮した調達
地域生態系への負荷低減
設計段階との連動による環境への寄与
鹿島で設計・施工を担当するプロジェクトでは、設計段
階から全体の施工計画や施工方法をふまえ、設計・施工
の両面から検討することで、より精度の高い検討や互いの
長所を活かした進行が可能となっています。構造上、発注
者や顧客のニーズに合った耐震性能や耐用を満たしてい
ることは当然ながら、さらにより生産性が高い施工方法
や資材・部材の検討なども行っています。建設業の大きな
課題として
「施工の合理化」
「生産性の向上」
が挙げられま
討しています。特に構造物の性能や耐用年数を確保したま
ま、単位当りのエネルギー消費量がより低い代替材の使用
●
●
資源循環・有効利用
3 有害物質の管理
活用によりZEB実現を
いる資材や材料、施工方法なども併せて検討することで、
計画・設計段階は、全ステージの環境影響に関わる重要
直接的な影響が考えられます。
地球環境大賞 国土交通大臣賞を受賞
すが、これらの追求は低炭素化やエネルギー消費量の低
減につながります。
や材料使用量の削減に努めています。
■ZEB実現への取組み
フジサンケイグループ主催の第21回地球環境大賞
鹿島では2020年に建物運用時における正味のエネル
で、鹿島の
「ZEBを軸とするサスティナブル建築への
資材・機械設備による工夫
ギー消費量をゼロにするZEB(ゼロ・エネルギービルディ
取組み」
が評価を受け国土交通大臣賞を受賞しまし
建設現場では多くの資材とともに、多種多様な機械設
ング)
を実現し、
2025年をめどに設計から施工まで担当す
た。鹿島は第18回の同賞で、
「生物多様性に配慮した
備を用いています。資材については減量化を検討したり
る案件の8割をZEB化することを目指しています。
都市づくり」
の取組みが環境大臣賞を受賞していま
再生材を用いることによって環境負荷の低減を図り、資
す。いずれも時代のニーズに応える姿勢と実績が評
材搬入時の負荷まで配慮した先進的な取組みも行って
価されたものです。
います。
その保全と持続可能な利用に取り組み、人と
自然が共生する社会の実現に貢献していく。
行動指針
全社員の参加
鹿島は、
自然の恵みに対する社員の意識を高め、
生物多様性の保全と持続可能な利用に関する知
識を普及展開し、
全社的に取組みを推進する。
建設事業への展開
鹿島は、生物多様性に関する情報・技術を活用
した提案、工事における環境配慮を推進する
ことで、生物多様性の保全と持続可能な利用
を目指す。
調達における配慮
鹿島は、調達において生物多様性への影響を
考慮し、
その回避・低減を図る。
研究開発の推進
鹿島は、生物多様性の保全と持続可能な利用
に関する情報や技術的知見を集積し、関連す
る研究・技術開発を推進する。
社会的要請の尊重
鹿島は、生物多様性に関する法令等の遵守に
とどまらず、関連施策や社会的要請を把握し、
その知見を事業活動に反映させるよう努める。
コミュニケーションの促進
鹿島は、生物多様性の保全と持続可能な利用
に関する活動、研究内容を開示し、顧客、地域
社会、行政、研究機関、企業、
NGO等との連携・
対話を図る。
地球環境保全と環境創造
設計段階では建物・構造物の構造や形状だけでなく、用
省エネ設計
長寿命設計
再生可能エネルギーの利用
施工段階
プトなどを共有し、各プロジェクトの付加価値がより向上
品質向上にもつながります。
●
す。建物や設備を総合的に捉えて省エネルギーを考える
建築事業では、事業計画段階で事業主と鹿島がコンセ
ライフサイクルを見越した環境配慮設計
事業計画・設計段階
具体的には、4フェーズから実現に向けて進めていま
機械設備については、現場の状況や施工内容に合わせ
た高性能なものを利用し、施工の高速化や合理化が実現
できます。2006年から3年間の実績によると、建設工事
で排出されるCO 2のうち、場内重機50%、車両23%と計
73%が軽油使用に起因しています。また、その大半をク
レーンと油圧ショベルが占めています。さらに重機のハイ
ブリッド化や燃料のクリーン化を進めるため、メーカーや
協力会社と様々な取組みを行っています。
上段左から2番目が中村満義社長
KAJIMA CSR REPORT 2012
33
■バイオディーゼル燃料の活用
あった場合にはそれらを迅速に情報展開し再発防止に努
などの過去の埋設廃棄物が混入していることに気付かな
一部に充当するというもので、発電量をウェブサイト上で
鹿島では2009年からバイオディーゼル燃料
(BDF)
を
め、リスク事例をイントラネットでも掲載するなど取組み
いまま、残土の再利用場所に搬出してしまうという事案が
見られるようになっています。
用いた重機も一部で活用しています。鹿島グループの都市
を強化しています。また、各現場ではゼロエミッション活動
発生しました。前述の管理方針の徹底はもとより、こうし
環境エンジニアリングで都内の大型オフィス・テナントビ
を推進し、
最終処分率の低減を図っています。
た施工中のリスク管理を徹底し、廃棄物の適正処理に一
ルを中心に収集した植物油のうちリサイクル可能なもの
■メーカーリサイクル制度の活用推進
層努めていきます。
を用いてグループ内で供給が可能な体制をとっています。
建設廃棄物のゼロエミッション化を進める方策の一環
■アスベスト除去工事の管理
特に首都圏ではより精製度の高いBDFでなければ用いる
として、メーカーリサイクル
(広域認定制度)
の活用を推進
鹿島は従来から、
関係法令の遵守はもとより、
過去の施
ことができませんが、2011年度からは当該規格にも対応
しています。これはメーカー等が環境大臣の認定を受け
工実績をふまえ、
アスベスト濃度の測定方法や集塵機の管
することができるようになりました。本規格のBDFを用い
て、自社製品である建材等の廃棄物
(製品端材等)
を回収
理方法等に関する全社標準を策定し、独自の施工管理を
たクローラクレーンが国発注のPFI事業である東雲合同
し、リサイクルまたは適正処理する制度のことです。例えば
行ってきました。
しかし、
名古屋市内の店舗改修工事におい
庁舎
(仮称)新築工事の現場で稼働しています。また愛知
石膏ボードであれば、メーカーの工場において紙と石膏粉
て、
現場敷地境界でのアスベスト濃度は法の基準値を満た
県内の土木現場をは
に分離し、紙は段ボール等に、石膏粉は再び石膏ボードの
していたものの、
作業室からの排出口付近で多くのアスベ
じめ、2011年度は全
原料へとリサイクルすることができます。
スト繊維が確認されるという事案が発生しました。
これを
国 で9現 場 という 実
鹿島では石膏ボードのほか、ALC・グラスウール・塩ビ床
受け、
集塵機の管理方法をさらに強化することにより、
アス
績となりました。これ
シートなどでの制度活用実績がありますが、これらは再び
ベスト除去工事のより適切な施工に努めていきます。
からもグル ープ 内の
同じ製品の原料とすることができ、より質の高いリサイク
■現場deソーラープロジェクトを継続中
連携と総合力で、環境
ルを行えることが大きな特徴です。
2009年度から展開している
「現場deソーラープロジェ
■適正な廃棄物処理の徹底
クト」
は2012年4月現在延べ25現場で実施しています。
BDFを用いた重機には独自の専用ステッカー
をつけている
■省燃費運転講習
鹿島の現場では、廃棄物の適正処理を確保するために、
重機・車両の中では、トラックと油圧ショベルが多くを
不法投棄のリスクが高いとされる汚泥・混合廃棄物・廃石
しめており、その効率的な運転を実現するために、現場ご
綿等の廃棄物について、各支店管理部門が視察のうえ利
とに省燃費運転講習を行っています。これまでに11カ所、
用を認めた処理業者の中から処理委託先を選定すること
延べ19回開催し、415名が受講。グループ会社でも、鹿島
としています。これら3品目については、現場所長名ではな
の資料を活用して研修を2回実施し、105名が受講しまし
く支店長名で処理委託契約を締結し、指定業者制が確実
た。
に運用されていることを管理部門でチェックしています。
現場における取組み
また、廃棄物の排出事業者として適正な対価を負担する
プロジェクトで用い
ている看板。写 真は
新三重県立博物館新
築JV工事事務所(中
部支店)
ために、処理費は収集運
奥胎内ダム建設地周辺には、
貴重な動植物種が数
多く生息しているため、
建設による影響を最小限にと
どめるよう様々な取組みを行っています。施工中には
多くの重機を用いるため、低騒音・低排出ガスの機械
を選定し、
貴重猛禽類の警戒色である赤・黄・オレンジ
ではない重機の塗装を採用するとともに、
仮設機械設
備についてもなるべく自然環境に溶け込む色を採用し
ています。工事は2011
年 秋 に 定 礎 を 迎 え、
2019年の本格運 用に
向けて本体コンクリート
を打設中です。
太陽光パネルとともに風力発電も用いる北の峰トンネル
JV工事事務所(北海道支店)
着工前に各現場で環境管理計画書を作成し、支店等の
搬業者・処分業者に直接
本プロジェクトは現場事務所の屋根などに太陽光パネル
チェックを経て、環境事故の未然防止に努めています。具
支払うことをルール付け
を取り付け、発生した電力を工事事務所での使用電力の
体的な対応方策を示した
「現場における環境管理の手引
ています。2011年度は富
き」
を定期的に改定して、現場社員に配付しています。ま
山市内の土木工事におい
た、法令の制改定情報や好事例とともに、不適切な事案が
て、掘削残土にがれき類
現地確認を行う様子
北陸支店 奥胎内ダム工事事務所
地球環境保全と環境創造
に寄与していきます。
生態系に配慮した重機を利用
環境実務担当者会議の開催 青系の油圧ショベルなどを採用
(右上)
現場内のプラント類も色彩に配慮
(下)
環境管理教育のe-ラーニングを拡充 省燃費運転講習を実施
各支店管理部門の環境管理担当者のレベル向上を目
過去に発生した環境事故を二度と繰り返さないと
東京土木支店 新砂工事事務所
的に、
環境実務担当者会議を定期開催しています。
会議
の決意から、全社員を対象とした環境管理教育を強化
では、環境法令改正時の内容周知や対応方針の検討、
しています。
2011年度は社員が毎年継続的に受講す
当現場では、
千葉県幕張沖において揚土船で油圧ショ
新たな社内ルール策定時の内容検討、
環境事故の再発
る
「鹿島グループ企業行動規範」
に係るe-ラーニングの
ベル2台を用いて海底の埋戻しを行っています。
油圧ショ
防止を目的とした事例の水平展開、
進んだ取組みを行っ
うち、
環境管理に関するセクションを大幅に拡充しまし
ベルの省燃費運転は、
CO2排出量およびコストに直結す
ている現場や廃棄物処理施設等の視察を行うなどして
た。
るため大きな課題です。そこで2012年1月に21人を対象
います。
内容は、建設会社の社員として最低限理解しておい
に省燃費運転講習を行いました。
その後、
1カ月間実作業
当会議は、
会議を単なる周知の場ではなく、
実務担当
てほしい環境法令や鹿島方針に関する基礎知識の解
で効果を検証した結果、ハイアイドリング回転数を5%
者同士の意見交換や問題提起等を通して、
会社が環境
説と、知識習熟度を確認するQ&Aで構成されていま
下げることで燃費が2.2%改善しました。これを継続す
管理について目指すべき方向性を共有する場としてい
す。Q&Aを、実際に現場で起こりうる状況での正しい
る点が特徴です。
2004年から計21回開催しており、
今
対応を問うものにするなど、
より実践的な教育となるよ
後も継続します。
う工夫をしています。
るとCO2排出量は年間で27tの削減となり、大きな効果
が得られました。
34
KAJIMA CSR REPORT 2012
省燃費運転講習で質問する様子
(左上)
大型揚土トレミー船の外観
(下)
KAJIMA CSR REPORT 2012
35
運用段階
■
「鹿島スマート電力マネジメントシステム」
の
■水循環を創出するレインガーデン
開発・運用を開始
2011年10月に完成した鹿島技術研究所本館研究棟
鹿島では2011年度本社ビル群をはじめ支店ごとに各
では、外構の植栽にレインガーデンを用いています。これ
建造物の中でも、特に建物は人々の生活や活動の場で
種節電対策を実施し需要抑制目標を上回る効果を達成
は土壌下部に貯水する構造を用いた緑化技術で、降った
あり、竣工後の運用段階はエネルギー消費が長年続き、
しました。これまで鹿島が培ってきた省エネ技術のノウハ
雨水が土壌を通り自然の力で浄化された上で貯水するた
さらに一定期間でのリニューアル工事では、施工段階と
ウに加え、快適性を損なうことなく確実な節電が実現で
運用段階を繰り返します。また、建造物のライフサイクル
きる
「鹿島スマート電力マネジメントシステム」
を開発しま
の終末は解体工事で、廃棄物が大量に発生し、騒音や振
虎ノ門タワーズ
め環境に寄与しており、湿地に近い環境を生み出すこと
した。2011年度夏季の節電時に実施した項目と実際にオ
オフィスでは、テナント各社が自らのエネルギー消費動向
も見込まれています。このほかにも技術研究開発を行っ
動など周辺への影響も大きい時期にあたります。建物・構
フィスにいる社員への快適性に関するアンケートを検証
を確認できるよう見える化システムを導入し、状況を専用
たものとして、貯水構造をもった屋上緑化で、植物の蒸発
造物は運用期間が長いため、環境影響も長い期間にわ
し、あらかじめ設定したレベルで自動的に最適な制御を
ウェブサイトで公開しています。施設の運営主体である鹿
散量に注目した国内初の屋上緑化技術である
「エバクー
たって捉える必要があります。
行う制御ロジックを構築。この結果ピーク電力の抑制を
島を中心に鹿島建物総合管理などグループ一体となって
ルガーデン」
も用いています。
合理的かつ確実に実施でき、今後の運用で実証データを
日常管理運営体制を構築し、問題点の早期発見と対策を
積み重ねることにより緻密なシステム構築を進めていく
講じるとともに、全テナントが参加する省エネルギー推進
予定です。
委員会を年2回開催し取組みを継続しています。これらが
2 資源循環・有効利用
建物・構造物の長寿命化、免震化、
耐震補強
ダムの嵩上げ等機能強化 3 有害物質の管理
4 生物多様性保全
●
(リニューアル・解体時)
● アスベスト等の適切な取扱いと処理
● PCB機器や蛍光管廃棄の適切な処理
評価され、
東京都環境確保条例
(2010年度申請)
において
使用電力の見える化
デマンドレスポンス制御時間帯
制御レベルの設定
レベル3
快適性に直接影響のない調整
●
30
●
●
需要調整量
レベル2
知的生産性に直接影響の
ない調整
周辺生態系のモニタリング
プロジェクトを利用した
環境教育の実施
●
●
ソフト面でのサポート
改正省エネ法や東京都環境確保条例への対応に加え、
執務室照度300Lx
外気量50%
空調設定温度 1℃
16 時
時刻
もグラントウキョウサウスタワーなど4件が
「準トップレベ
レベル1
執務に直接影響の
ない調整
物を指標種とする技術研究開発を進めてきました。建設
段階での省エネルギーへの関心が急速に高まっていま
鹿島では、改正省エネ法や東京都環境確保条例等に対
陸域だけではなく水域についても研究や保全活動をして
す。設備の最適な条件での使用を目指したBEMS(ビル
応するため、全国の社有施設管理に向けガイドラインを
います。
エネルギー管理システム)
や、ビルのエネルギー使用状況
整備するとともに、対象となる全国150余の施設において
■生き物を利用した緑地管理手法を研究
を
「見える化」
しつつ維持管理の省エネルギー計画をサ
前述の
「EneMASTER」
を活用するなどエネルギー管理
調整池、河川公園などは、都市
ポートする
「EneMASTER」等を活用して、モニタリング・
を効率的に行うよう社内体制を構築しました。
部の貴重な環境資源ですが、生物
検証から運用指導、設備改修・更新提案などのサポート活
一方、賃貸オフィスビルで省エネルギーを推進するため
多様性の質を保つためにも維持
動を進めています。
には、消費エネルギーの70 ~ 80%を占めるテナントの
管理は重要です。鹿島ではヤギや
協力が不可欠です。鹿島の開発事業である虎ノ門タワーズ
烏骨鶏といった生き物によって緑
り豊かな空間となると考えています。また植物についても
地の除草を行う研究を重ね、機械
ながら、ハード面も併せて対応することが可能であるこ
鹿島KIビルにおいて、2011年にフロアの一部を改修
とから、
“既存建物の高付加価値化を実現する”という今
し、その後モニタリングを行うことで実地検証を続けて
後の社会ニーズに対応する有力な手法と考えています。
います。照明をLEDに替えたり、各種太陽光パネルを用
ZEB化を目指しています。
実際の工事では、経済活動における不利益やリスクを
KAJIMA CSR REPORT 2012
実際には緑地の質の向上も見られ、生き物にとっても触れ
合う人々にとっても有用な手法となる可能性を秘めている
ことがわかりました。この研究は、平成23年度の土木学
改修工事の様子
(左)
鹿島KIビル
(右)
▲
行して行うことで、鹿島が主導しながら産業界全体で
36
き、コスト面でも効率的な維持管理技術を確立しました。
ヤギ除草前
島独自の技術と、各業界のスペシャリストとの実証も並
少なくする目的で、利用者が建物に居ながらでの改修を
を用いた除草作業に比べて騒音やCO 2の排出が低減で
会賞環境賞を受賞しました。
いて発電、蓄電等の検証を今後も続けます。ここでは鹿
レインガーデンの概略構造
な生態系のネットワークを構築する拠点とすることで、よ
オフィスにおける取組み
行いました。“居ながら®”改修は、ソフト面での補強をし
地下貯水による
雨水流出抑制
プロジェクトエリアを周辺の生態系と順応させたり、新た
2011年度は節電が喫緊の課題であったこともあり、運用
ZEB化改修を実施
雨水浸透による
水質浄化
土壌
生物と共生してより豊かな空間を創る
鹿島ではニホンミツバチやコゲラといったさまざまな生
共用部照明50%
給湯器停止
エアー抜き管
貯水皿
執務室照度500Lx
● 外気量75%
●
蒸散による
ヒートアイランド化抑制
ル事業所」
の認定を受けています。
●
●
13 時
「トップレベル事業所」
の認定を受けています。これ以外に
地球環境保全と環境創造
1 地球温暖化防止
モニタリングやコンサルティングによる
適正な検証
● BEMS(ビルエネルギー管理システム)
の利用
●
ができるというもので、ヒートアイランド現象の緩和効果
ヤギ除草後
2012年度の目標
2012年度から新しくスタートした中期目標を実現する
ために、今年度の目標を設定しています。
4つの重点課題
2012年度目標
1 地球温暖化防止
⃝建物運用時CO2
省エネ法基準値比35%削減
⃝施工時CO2削減
原単位1990年度比17%削減
2 資源循環・有効利用
最終処分率
3%未満
4 生物多様性保全
重点プロジェクト10件/年以上
広報・教育・普及啓発
(CEPA※)
を
推進
3 有害物質の管理
予防的対応の促進
重点:汚染土壌、石綿
※生物多様性条約第13条、生物多様性基本法第24条に位置付けられている普及
啓発を意味する用語
KAJIMA CSR REPORT 2012
37
施工によるCO2排出量の推移
■総量
マテリアルフロー
化石燃料
鹿島の建設事業を対象としたマテリアルフローを
示します。建設業は鋼材、セメント、砕石など資源
60,649kℓ
灯油
1,484kℓ
軽油
建設発生土
しては施工時の排出量とともに、社会への長期的
12,608万kWh
電力
な影響という観点で建築物の使用時排出量を算
126.2万㎥
有害物質
効果を公表しています。
建設廃棄物
最終処分量
1990
2009
建設 資材に関するグリーン
調達は現場提案による採用率
の向上を目指しました。2011年
度の提案による採用率は13%
と20 0 9年度と比べ向上は見
られませんでした。品質・価格
総使用量
鋼材
46.6万t
34.8万t
75%
セメント
18.7万t
8.4万t
45%
生コンクリート※
砕石
に遜色のないエコ資材はすで
アスファルト
に使用されていること、施工段
合計
階における提案機会が少ない
ということが主な要因です。ま
た、主 要5品目
( アスファルト、
砕 石、セメント、コンクリート、
鋼材)
の再生材利用率
(重量比)
は51%でした。今後は設 計で
の提案を目標化し、取組みを推
進していくこととし、2012年度
上半期に目標を設定し、下期か
ら運用する予定です。
83.9万t
(551.3万t)
279.4万t
26.2万t
90.7万t
65.4万t
72%
4.8万t
4.2万t
88%
244.7万t
(712.1万t)
資源
化
0.4
0.0
0
対象品目
40
2011年度採用率
今後の対応
0
他現場発生土
再生砕石
83∼88%
現在の活動を継続
5 品目平 均 3 1%
(要因内訳:仕様
高炉コンクリート等
書 指 示 1 8%、現
型枠(打込、
リサイクル等) 場提案13%)
再生材利用OAフロア
汚泥利用有機肥料
3%
14%
提案による採用率は前
年度と変わらず、
目標
未達であり、
次年度以
降も対象品目を見直し
つつ、
現場での採用状
況をフォロー
いずれも使用を検討
できる現場数が少な
く、今後は管理品目か
ら除外予定
99.6
2009
100.0
2010
3 発生木材
再生アスコン
高炉セメント等
0
1990
20.8
2009
2010
2011
21.9
263.0
156.9
3.6
2009
発生量(万t)
最終処分量(万t)
(右列は汚泥を含む)
150.6
153.8
37.0
3.4
279.4
※4
237.1
30.7
2010
2.2
14
2.4
13 ※4
3.9
4.5
4.6 26.2
2011
3.1
9
4.7
最終処分率(%)
最終処分率
(汚泥を含む)
(%)
混合廃棄物発生量(万t)
2 アスファルト・コンクリート塊
最終処分量
減量化量
リサイクル量
(%)
(万t)
20
建設廃棄物
発生量
279.4万t/年
0.2
0.0
最終処分
2011(年度)
最終処分量
減量化量
リサイクル量
(%)
(万t)
10
0.6
1.4
5
98.0
15
2009
10
1 コンクリート塊 37%
4 建設汚泥 46%
2 アスファルト・ 5%
コンクリート塊
5 混合廃棄物 2%
3 発生木材 1%
6 その他 9%
4 建設汚泥
最終処分量
減量化量
リサイクル量
(%)
(万t)
200
5
0
0.6
0.0
99.4
2009
1.0
0.0
99.0
2010
5 混合廃棄物
1.3
0.0
98.7
2011(年度)
最終処分量
減量化量
リサイクル量
(%)
(万t)
10
150
2.0
2.0
96.0
0
0
2011(年度)
目標値
※4 2010年度の集計で1現場において誤りがあったため2011年版報告書から修正を実施
最終処分量
減量化量
リサイクル量
(%)
99.8
5
建物の省エネルギー設計に伴う
CO2削減量※3
80
グリーン調達 実績・対応
再生コンクリート
KAJIMA CSR REPORT 2012
51%
0.0
0.0
2011(年度)
20.8
建設廃棄物の発生量と最終処分量
0
(万t)
120
2010
※生コンクリートのうちセメント分のみを集計。
( )
内は生コンクリート総重量
再生材利用カーペット
38
124.8万t
(191.8万t)
再
20.8
※1
21.2
(万t)
400
100
1 コンクリート塊
5
19.8
10
24.9
※3 建物運用に伴うCO2削減効果は毎年継続するため、
当社がこの数値を公開した2003年度からの累積
建設廃棄物の発生量と最終処分量
14%
10
5.2
グリーン調達量 グリーン調達率
12.0万t
(79.0万t)
10
2
建 設 現 場
主要資材
15
20
グリーン調達(高炉セメント・コンク
リート)
に伴うCO2削減量
200
グリーン調達率
16.0
間接的な削減量(万t-CO )
300
現場における
グリーン調達の促進 ※1
16.4
※1 震災後の復旧工事を中心に施工高の修正を反映し2011年版報告書から変更
※2 原単位は土木・建築原単価を施工高比率(3カ年移動平均値)
で加重平均
OUTPUT
INPUT
24.2
16.4
(%)
20
地球環境保全と環境創造
244.7万t
10,836.8t
7.1t
61.2t
9.6
9.1
45.2
目標値16%
※1
14.6
15
10.7
10
0
アスベスト含有建材
フロン・ハロン回収量
蛍光管
定しており、当社の省エネルギー設計による削減
鋼材・建材
40
20
原単位(t-CO2/億円)
削減率(%)
(千億円/年) (t-CO2/億円)
20
30
(万t-CO2)
50
18.2
30
を大量に使用する産業として、ゼロエミッション
活動に積極的に取り組んでいます。またCO2に関
20.8万t
CO2排出量
■原単位 ※2
総排出量(万t-CO2)
施工高(千億円/年)
2010
4.6
1.6
92.9
2011(年度)
100
50
31.7
21.3
47.0
0
2009
16.7
32.6
15.4
52.0
2010
※4
31.2
5
20.1
13.8
66.1
52.1
2011(年度)
0
2009
27.0
12.0
61.0
2010
31.1
12.7
56.2
2011(年度)
KAJIMA CSR REPORT 2012
39
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