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機関投資家の不動産投資に関するアンケート調査
NEWS RELEASE A16-124 平成 28 年 11 月 4 日 一般社団法人 不動産証券化協会 第 16 回「機関投資家の不動産投資に関するアンケート調査」集計結果について 一般社団法人不動産証券化協会(会長:岩沙弘道 三井不動産株式会社代表取締役会長)は、第 16 回「機関投資家の不動産投資に関するアンケート調査」の集計結果をまとめた。 本アンケート調査は、年金基金(原則、総資産額 140 億円以上)および生保・損保・信託銀行・ 銀行等の機関投資家(以下それぞれ「年金」 、 「一般機関投資家」と表記)を対象に、資産運用にお ける不動産(不動産証券化商品を含む。以下同じ)への投資の実態と課題を把握することを目的と して平成 13 年度より毎年実施しているものである。本年度は、年金 69、一般機関投資家 54 の計 123 件の回答を得た(調査期間 平成 28 年 7 月 25 日∼9 月 16 日) 。 主な調査結果 ➢実物不動産あるいはいずれかの不動産証券化商品への投資を行っている投資家の比率は基金 数(機関数)ベースで、年金では 52%(前年調査 46%)と調査開始以来初めて過半数を超え た。一般機関投資家においても 94%(同 81%)と大幅に増加している。 ➢「投資済み」とする投資対象は、年金では「私募リート」36%(前年調査 21%)が大きく、 「J リート」14%(同 18%) 、 「国内不動産プライベートファンド」14%(同 28%)が続いて いる。一般機関投資家では「不動産を裏付けとする債券」57%(同 51%)、 「私募リート」45% (同 35%) 、 「国内不動産プライベートファンド」26%(同 20%)の割合が増加している。 ➢インフラファンド投資(海外含む)については、年金で 24.6%が「投資済」であり、2011 年 の調査開始以来 2.5 倍に増加している。一般機関投資家においても 2011 年に対して 2.5 倍と 大幅に増加し今回調査では 20.4%であった。 <特別調査の結果> ➢英国の EU 離脱決定に伴い、国内不動産の魅力(国外不動産との比較、不動産以外の資産との 比較)にどのような変化が見られるか尋ねたところ、年金・一般機関投資家ともに変化が見 られるという回答はほとんどなかった。 この資料は 兜倶楽部、国土交通記者会、国土交通省建設専門紙記者会に配布しております。 <本件に関するお問い合わせ先> 一般社団法人不動産証券化協会 企画広報部・市場調査部 〒107-0052 東京都港区赤坂 1-1-14 NOF 溜池ビル 3 階 TEL:03-3505-8001 FAX:03-3505-8007 1 第 16 回 機関投資家の不動産投資に関するアンケート調査 集計結果【資料】 本調査は、 「年金」と「一般機関投資家」による実物不動産・不動産証券化商品への投資の実態と 課題を把握することを目的に、平成 13 年度から毎年実施しているものである。 調査対象の投資商品は、 「実物不動産」 「Jリート」 「不動産プライベートファンド等への出資」 「私 募リート」 「不動産を裏付けとする債券」 「海外リート」である。一部の質問項目については、 「海外 不動産プライベートファンド等への出資」も調査対象である。 質問項目は、投資対象ごとの「投資の有無」 、 「対象不動産として関心のあるもの」 「投資を検討す るにあたり重要と思われるもの」 「期待投資収益率(総合収益率) 」 「アセットクラスの位置付け」 「投 資の目的」 「投資期間」 「運用委託形態(年金) 」等である。 (1)調査対象(アンケート送付先) ①年金 原則として総資産額 140 億円以上の厚生年金基金、基金型または規約型の確定給付企業年金、 共済組合、公的年金から抽出した 477 機関。 ②一般機関投資家 生命保険会社、損害保険会社、信託銀行、都市銀行、地方銀行、第二地方銀行 190 社 (2)調査期間 ∼平成 28 年 7 月 25 日・・・アンケート調査票発送 ↓ 平成 28 年 8 月 12 日・・・回答一次締切り | |督促作業 ↓ 平成 28 年 9 月 16 日・・・回答締切り(最終) (3)調査方法 郵便によるアンケート調査票の送付・回収 年金・一般機関投資家別に調査票作成・集計 (4)調査機関 一般社団法人不動産証券化協会 (5)主な調査項目 (1)実物不動産・不動産証券化商品への投資の有無とアセットクラスの位置付け (2)政策的資産配分比率(年金)と現在の資産配分比率 (3)投資対象ごとの投資目的 (4)投資対象として関心のある不動産のタイプ (5)投資を検討する際に重視する項目 2 (6)投資を行う際の投資期間 (7)投資を行う際の期待投資収益率(総合収益率) (8)投資を行う際の運用委託形態(年金) (9)投資を行わない理由 (10)不動産プライベートファンド・私募リートの LTV 水準 (11)不動産を裏付けとする債券に投資する場合の不動産の見方 (12)投資を拡大するための課題 (13)インフラ・ファンドへの投資状況 (14)今後の金融・資本市場ならびに不動産市場の見通し (15)アウトバウンド投資に対する関心 <特別調査> (1)マイナス金利の影響 (2)英国のEU離脱による影響 (6)アンケートにおける投資の区分 実物不動産 投資 実物不動産 及び不動産 証券化商品 投資(不動 産運用) Jリートへの投資 国内 国内不動産プライベート ファンド等への出資 ファンド 私募リート 不動産を裏付けとする 債券への投資 不動産証券化 商品投資 海外リートへの投資 海外 ファンド (定義) 海外不動産プライベート ファンド等への出資 A.実物不動産投資 :実物不動産もしくは不動産信託受益権への直接投資 B.J リートへの投資 :J リート(上場不動産投資信託)の投資口への投資。または、J リートをポートフォリオに組み 込んだ証券投資信託の購入。証券投資信託を通じた J リートへの間接投資。 C.国内不動産プライベートファンド等への出資(クローズド・エンド型) :クローズド・エンド型のプライベートな形態の国内籍不動産ファンドへの出資(合同会社 SPC への匿名組合出資など) 。その他エクイティ型不動産証券化商品への投資(資産流動化法上の特 定目的会社が発行する優先出資証券への投資など) 。 D.私募リート(オープン・エンド型) :非上場オープンエンド型国内不動産投資法人の投資口への投資。または、私募リートをポートフ ォリオに組み込んだ証券投資信託の購入。証券投資信託を通じた私募リートへの間接投資。 3 E.不動産を裏付けとする債券への投資 :CMBS、RMBS を含む不動産または不動産担保ローンを裏付けとする債券型不動産証券化商品へ の投資。 F.海外リートへの投資 :海外リート(上場不動産投資信託)の投資口への投資。または、海外リート(一部に J リートを 含むものも可)をポートフォリオに組み込んだ証券投資信託の購入。証券投資信託を通じた海外 リートへの間接投資。 G.海外不動産プライベートファンド等への出資 :クローズド・エンド型又はオープン・エンド型のプライベートな形態の海外籍不動産ファンドへ の出資。 (7)アンケート回収結果 ①送付先別回収結果 アンケート送付先 年金(A) 総資産額 140 億円以上の年金から抽出 (A) 厚生年金基金 内 確定給付企業年金 訳 共済組合・公的年金 一般機関投資家(B) (B) 生命保険会社 内 損害保険会社 訳 都市銀行等 信託銀行 地方銀行・第二地銀 合計(A)+(B) ( )内は昨年度実績 送付 回収 回収率 477 69 14.5% (528) (76) (14.4%) 99 9 9.1% (238) (20) (8.4%) 351 58 16.5% (270) (53) (19.6%) 27 2 7.4% (20) (3) (15.0%) 190 54 28.4% (172) (54) (31.4%) 40 10 25.0% (31) (12) (38.7%) 25 5 20.0% (18) (6) (33.3%) 9 4 44.4% (8) (3) (37.5%) 13 5 38.5% (13) (7) (53.8%) 103 30 29.1% (102) (26) (25.5%) 667 123 18.4% (700) (130) 4 (18.6%) ②年金資産規模別回収結果 (時点/原則として 2016 年 3 月末) 運用資産額 ∼200 億円 回答年金数 200 億円超 500 億円超 ∼500 億円 ∼1,000 億円 1,000 億円超 無回答 合計 17 24 10 16 2 24.6% 34.8% 14.5% 23.2% 2.9% 10 27 8 25 6 13.2% 35.5% 10.5% 32.9% 7.9% 69 (参考:昨年度実績) 回答年金数 5 76 アンケート調査結果の主な内容 (1)不動産投資状況 1.不動産投資比率 実物不動産あるいはいずれかの不動産証券化商品への投資を行っている投資家の比率は基金数 (機関数)ベースで、年金において 52%(前年調査 46%) 、一般機関投資家において 94%(同 81%) で増加している(図表 1-(1)) 。不動産投資を行う年金の比率は、低金利・マイナス金利を背景に経 年的に増加し過半数となったと推察される。なお、不動産投資を行う機関投資家の比率は、マイナ ス金利の影響により増加したと推察される。 100% [図表: 1-(1)] 実物不動産あるいはいずれかの不動産証券化商品 への投資を行っている比率 90% 80% 70% 86 90 94 87 94 90 81 78 82 85 88 87 86 81 60% 50% 40% 30% 20% 10% 37 24 42 35 31 31 19 34 39 39 年金 43 46 46 52 一般機関投資家 6 2016 2015 2014 2013 2012 2011 2010 2009 2008 2007 2006 2005 2004 2003 0% 2.投資対象別投資の有無 年金の投資対象別の投資状況をみると、 「投資済」の比率は「私募リート」36%(前年調査 21%) が大きく、 「J リート」14%(同 18%) 、 「国内不動産プライベートファンド」14%(同 28%)が続い ている。一般機関投資家の投資状況については、 「不動産を裏付けとする債券」57%(同 51%) 、 「私 募リート」45%(同 35%) 、 「国内不動産プライベートファンド」26%(同 20%)の割合が増加して いる(図表 1-(2) 、 (図表 1-(3) ) 。 「投資に興味がある」の比率は、 年金ではいずれも 10%台であるが、 「不動産を裏付けとする債券」 19%(同 7%)の割合が増加している。一般機関投資家では、 「国内不動産プライベートファンド」 「私募リート」の割合が他に比べて高い。 [ 図表:1-(2)] 投資対象別投資の有無(年金) 86% 12% 実物不動産 1% Jリート 14% 国内不動産 プライベートファンド 14% 72% 13% 68% 17% 36% 私募リート 不動産を裏付け とする債券 6% 9% 海外リート 海外不動産 プライベートファンド 48% 14% 19% 74% 16% 75% 72% 12% 13% 0% 投資済 1% 20% 40% 投資を検討中 60% 80% 投資に興味がある 100% 投資に興味はない [ 図表:1-(3)] 投資対象別投資の有無(一般機関投資家) 17% 実物不動産 77% 4% 国内不動産 プライベートファンド 0% 26% 13% 60% 8% 45% 私募リート 不動産を裏付け とする債券 57% 15% 海外リート 海外不動産 プライベートファンド 8% 0% 投資済 6% 6% 13% 34% 0% 9% 34% 68% 11% 9% 20% 投資を検討中 23% 6% 6% 66% Jリート 77% 40% 60% 投資に興味がある 7 80% 投資に興味はない 100% 年金の運用資産規模別の不動産投資の有無については、 「私募リート」が増加している。前年調査 に比べてどのカテゴリーにおいても「投資に興味がある」とする割合が増えており、マイナス金利 を背景に増加しているものと推察される(図表 1-(4)) 。 投資に興味はない 投資に興味がある 投資を検討中 投資済 [ 図表: 1-(4)] 運用資産規模別投資の有無(年金) 100% 90% 38% 96% 100% 13% 0% 40% 30% 6% 24% 0% 実物不動産 30% 0% Jリート 国内不動産 プライベートファンド 8 1,000億円 超∼ 200億円 超∼ 500億円 500億円 超∼ 1,000億円 ∼200億円 1,000億円 超∼ 0% 38% 0% 25% 0% 24% 8% 20% 18% 12% 10% 0% 4% 4% 0% 0% 200億円 超∼ 500億円 500億円 超∼ 1,000億円 200億円 超∼ 500億円 500億円 超∼ 1,000億円 0% ∼200億円 10% 13% 0% 6% 6% 8% 0% 0% ∼200億円 18% 1,000億円 超∼ 20% 29% 10% 0% 8% 0% 29% 80% 92% 10% 38% 10% 56% 38% 30% 18% 0% 19% 私募リート 6% 0% 10% 0% 8% 10% 0% 1,000億円 超∼ 50% 76% 6% 0% 200億円 超∼ 500億円 500億円 超∼ 1,000億円 92% 88% 1,000億円 超∼ 81% 60% 70% ∼200億円 76% 65% 69% 44% 54% 50% 200億円 超∼ 500億円 500億円 超∼ 1,000億円 70% 60% 47% 53% 50% ∼200億円 80% 不動産を 裏付けとする 債券 (2)資産配分状況∼「不動産」への資産配分 運用資産の資産配分における「不動産」 (注: 「不動産」に何が含まれるかは各回答者の定義によ る)の割合(単純平均)は、年金の政策的(目標)資産配分については 1.8%(前年調査 1.1%) 、 現在(実際)の資産配分については 1.7%(同 1.5%)である。一般機関投資家の実際の資産配分に ついては、2.2%(同 1.6%)である(図表 2-(1)∼(3)) 。いずれも増加傾向にある。 [図表:2-(1)] 政策的(目標)資産配分の状況(年金) 4.1% 1.1% 12.6% 平成27年度 14.4% 35.3% 11.1% 10.1% 11.3% 1.8% 11.9% 平成28年度 0% 国内株式 13.3% 10% 33.6% 20% 外国株式 30% 国内債券 13.3% 40% 50% 不動産 外国債券 60% 13.4% 11.0% 70% オルタナティブ 1.7% 80% 90% 現金及び短期資金 100% 生保一般勘定 [図表:2-(2)] 現在(実際)の資産配分状況(年金) 1.5% 14.3% 平成27年度 13.8% 30.3% 11.1% 7.8% 9.0% 12.3% 1.7% 12.1% 平成28年度 0% 国内株式 11.5% 10% 30.9% 20% 外国株式 30% 国内債券 12.7% 40% 外国債券 50% 不動産 11.5% 60% オルタナティブ 5.1% 70% 14.4% 80% 90% 現金及び短期資金 100% 生保一般勘定 [図 表:2-(3)] 資 産配分の状況(一般機関投資家) 1.6% 1.5% 平成27年度 10.9% 5.3% 61.7% 16.9% 2.2% 2.2% 0.7% 平成28年度 13.0% 0% 57.7% 6.4% 10% 現金及び短期金融資産 20% 30% 株式 40% 債券 50% 貸付 9 20.0% 60% 不動産 70% 80% オルタナティブ 0.1% 90% その他 100% (3)投資目的 「投資済」 「投資を検討中」または「投資に興味がある」との回答先が、各投資対象についてどの ような投資目的を有しているかについては、年金では「収益率の向上」が多かった。個別商品でみ ると、 「国内不動産プライベートファンド」 「私募リート」で「安定的キャッシュフローの獲得」の 比率も高い。 一般機関投資家では「収益率向上」 「安定的キャッシュフローの獲得」の比率が高い。一方で「イ ンフレヘッジ」の割合が減っている。個別商品でみると、 「私募リート」で「安定的キャッシュフロ ーの獲得」の比率が特に高く、 「海外リート」では「ポートフォリオのリスク分散」の比率が高い(図 表 3-(1)、図表 3-(2)) 。 [ 図表:3-(1)] 投資対象別投資の目的(年金) 100% 83% 74% 80% 60% 60% 77% 68% 58% 53% 50% 53% 50% 44% 45% 37% 40% 71% 65% 67%67% 58% 35% 29% 30% 18% 20% 14% 11% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 6% 0% 0% 実物不動産 Jリート 安定的 キャッシュフロー獲得 国内不動産 プライベートファンド 収益率向上 私募リート ポートフォリオの リスク分散 不動産を裏付け とする債券 インフレヘッジ 海外リート 流動性のある 不動産投資 その他 [ 図表:3-(2)] 投資対象別投資の目的(一般機関投資家) 100% 86% 80% 67% 74% 71% 68% 67% 66% 62% 62% 76% 60% 60% 40% 53% 34% 33% 29% 27% 25% 20% 38% 23% 8% 0% 2% 2% 5% 23% 12% 10% 0% 3% 0% 0% 6% 0% 0% 0% 0% 0% 実物不動産 安定的 キャッシュフロー獲得 Jリート 収益率向上 国内不動産 プライベートファンド ポートフォリオの リスク分散 10 私募リート インフレヘッジ 不動産を裏付け とする債券 流動性のある 不動産投資 海外リート その他 (4)投資を検討する際に重視する項目 投資を検討する際に重視する項目としては、前年調査同様、年金、一般機関投資家ともに多くの 商品で「収益の安定性」が 1 位になっている。この他では、 「不動産の質」 ( 「保有する資産内容」 ) も上位を占めている。 「国内不動産プライベートファンド」 「私募リート」では、 「運用会社の実績及 び能力」が重視されており、 「J リート」 「私募リート」では、 「運用会社のスポンサー特性」も重視 されている(図表 4) 。 [図表:4] 投資を検討する際に重視する項目 1位 実物不動産 Jリート 国内不動産 プライベートファンド 私募リート 海外リート 2位 1位 2位 3位 1位 2位 1位 2位 3位 1位 2位 3位 【年 金】 収益の安定性 (1位) 取得不動産の質 (2位) 投資収益率(3位) 保有する資産内容(2位) 運用会社の実績及び能力(3位) 収益の安定性 (1位) ファンド保有の不動産の質(3位) 収益の安定性 (1位) 運用会社の実績及び能力(1位) 収益の安定性 (1位) ファンド保有の不動産の質(2位) 運用会社の実績及び能力 (3位) 収益の安定性 (1位) 投資収益率(4位) 運用会社の実績及び能力(2位) 1位 2位 3位 1位 2位 3位 1位 2位 3位 1位 2位 3位 1位 2位 【一般機関投資家】 収益の安定性 (1位) 取得不動産の質 (2位) 投資収益率(3位) 不動産市場の今後の見通し(4位) 収益の安定性 (1位) 流動性(2位) 運用会社のスポンサー特性(6位) 収益の安定性(4位) 運用会社の実績及び能力(1位) ファンド保有の不動産の質(2位) 収益の安定性 (1位) 運用会社のスポンサー特性(6位) 運用会社の実績及び能力 (2位) 不動産市場の今後の見通し(2位) 収益の安定性 (1位) 運用会社の実績及び能力(6位) ( )内は昨年度順位 11 (5)投資対象として関心のあるプロパティタイプ 投資対象として関心のある不動産のプロパティタイプは、年金、一般機関投資家いずれも、近年 では「オフィス」 「賃貸住宅」 「商業施設」 「物流施設」が多かったが、他のプロパティも認識され関 心が分散してきているとみることができる(図表 5-(1)、図表 5-(2)) 。 [ 図表:5-(1)] 投資対象として関心のあるプロパティ ( 年金) 100% 80% 60% 40% 30% 30% 20% 20% 26% 21% 26% 21% 26% 20% 0% 5% 0% 50% 45% 37% 37% 36% 32% 40% 40% 50% 44% 32% 27% 39% 31% 5% 19% 14% 9% 36% 6% 0% 実物不動産 オフィスビル 賃貸住宅 Jリート 商業施設 ホテル 国内不動産プライベートファンド 物流施設 ヘルスケア施設 ・シニア住宅 私募リート 複数の種類 の混合型 不動産の種類 には拘らない [ 図表:5-(2)] 投資対象として関心のあるプロパティ ( 一般機関投資家) 100% 80% 75% 63% 57% 60% 44% 34% 42% 40% 20% 25% 8% 33% 39% 15% 8% 8% 0% 32% 38% 43% 43% 43% 29% 19% 15% 7% 37% 29% 19% 14% 34% 11% 34% 23% 9% 0% 実物不動産 オフィスビル 賃貸住宅 Jリート 商業施設 ホテル 国内不動産プライベートファンド 物流施設 12 ヘルスケア施設 ・シニア住宅 複数の種類 の混合型 私募リート 不動産の種類 には拘らない (6)期待投資収益率 投資対象別にみた期待投資収益率の中央値は、前年調査比で、年金の「実物不動産」を除くとほ ぼ横ばいにあるものが多く、下落が落ち着いてきている(図表 6) 。 [図表:6] 投資対象別 期待投資収益率 【年 金】 【一般機関投資家】 平成24年度 平成25年度 平成26年度 平成27年度 平成28年度 平成24年度 平成25年度 平成26年度 平成27年度 平成28年度 実物不動産 5.0 % 5.0 % 5.3 % 4.5 % 5.0% 5.0 % 5.0 % 4.8 % 4.0 % 3.9% Jリート 5.0 % 5.0 % 5.0 % 5.0 % 5.0% 5.0 % 4.8 % 4.3 % 4.0 % 4.0% 国内不動産 プライベートファンド 5.0 % 5.0 % 5.5 % 5.0 % 5.0% 6.0 % 8.0 % 8.0 % 6.0 % 5.0% 私募リート - 5.0 % 5.0 % 4.5 % 4.0% - 5.0 % 4.5 % 4.5 % 4.1% 不動産を裏付けとする 債券 5.0 % 4.0 % 4.3 % 3.0 % 3.0% 2.0 % 2.0 % 1.8 % 1.5 % 1.0% 海外リート 5.0 % 5.5 % 6.0 % 6.5 % 6.0% 6.0 % 6.0 % 6.0 % 5.0 % 5.0% ※掲載の値は各サンプルのメディアン(中央値) 13 (7)不動産投資を行うために必要なこと ∼「不動産評価の信頼性の向上」「市場規模・投資対象不動産の拡大」が重要な課題 不動産投資を行うために必要なものとしては、年金では、 「不動産評価の信頼性の向上」 「ベンチ マークとなる不動産投資インデックス」 「個別の不動産投資情報開示の向上」の比率が高い。一般機 関投資家では、 「不動産に精通した運用担当者(投資家サイド)の育成」 「市場規模・投資対象不動 産の拡大」 「信頼性の向上」が高い比率となっている。 (図表 7-(1)) 。 [図表:7-(1)] 不動産投資を行うために必要なこと 62.7% 70% 年金 一般機関投資家 60% 50% 40% 43.1% 42.2% 41.2%39.1% 37.5% 35.9% 33.3%34.4% 31.4% 30% 26.6% 25.5% 19.6% 20% 18.8% 9.8% 10% 0% 21.9% 15.6% 7.8% 14.1% 10.9% 5.9% 0.0% 不動産評価 の信頼性の 向上 ベンチマーク となる不動産 投資インデックス 個別の 不動産投資 情報開示の向上 不動産投資 関連情報の 標準化 リスクヘッジ手段の 不動産 不動産 充実 に精通した に精通した 運用担当者(受託者 運用担当者(投資家 サイド)の育成 サイド)の育成 投資アドバ イスをする コンサルタント 不動産投資 を一任できる 運用会社 市場規模 ・投資対象不動産の 拡大 資産運用に 関する受託 者責任の 明確化 なお、実物不動産・不動産証券化商品への投資に関心がない回答先に対して、 「投資を行わない理 由」を尋ねたところ、前年調査に引き続き「個別のファンドの情報が少ない」や「商品特性がわか らない」 「流動性が低い」が上位にランクされている(図表 7-(2)) 。 [図表:7-(2)] 実物不動産・不動産証券化商品に投資を行わない理由 実物不動産 1位 2位 3位 1位 2位 3位 1位 2位 【年 金】 流動性が低い(1位) 投資規模が課題となり合わない(4位) 個別(不動産)の情報が少ない(2位) 実物不動産の特性を理解していない(3位) 株式との相関の高まり(1位) 投資口価格のボラティリティが高い(3位) リスクヘッジ手段が少ない(6位) 流動性が低い(1位) 個別ファンドの情報が少ない(3位) 商品特性がわからない(2位) 流動性が低い(1位) 商品特性がわからない(3位) 3位 個別ファンドの情報が少ない(2位) 3位 1位 2位 3位 1位 2位 3位 商品特性がわからない(1位) 個別の情報が少ない(2位) リスクヘッジ手段が少ない(4位) 個別ファンドの情報が少ない(1位) 商品特性がわからない(2位) 為替リスク(3位) 1位 2位 3位 1位 1位 2位 3位 Jリート 国内不動産 プライベートファンド 私募リート 不動産を裏付けとする 債券 海外リート 1位 2位 3位 リスクヘッジ手段が少ない(5位) 1位 2位 3位 1位 2位 3位 1位 2位 投資口価格のボラティリティが高い(1位) 株式との相関の高まり(2位) 商品特性がわからない(-位) 流動性が低い(1位) 個別ファンドの情報が少ない(2位) 商品特性がわからない(4位) 流動性が低い(1位) 個別ファンドの情報が少ない(2位) 商品特性がわからない(7位) ベンチマークがない(5位) 期待投資収益率が合わない(2位) 流動性が低い(1位) 商品特性がわからない(4位) 個別ファンドの情報が少ない(1位) 為替リスク(2位) 商品特性がわからない(3位) ※「その他」を除く。( )内は昨年度順位。 2位 14 【一般機関投資家】 流動性が低い(1位) 個別(不動産)の情報が少ない(2位) (8) 今後の市場見通し(動向指数) 年金・一般機関投資家による今後1年間の金融・資本市場および不動産市場の見通しを示す動向 指数は、 「長期金利」 「株価」 「地価」 「オフィス賃料」については、前年調査よりもマイナスとなっ ているが、 「不動産の期待利回り」 「イールドギャップ」についてはプラス傾向にある(図表 8) 。 [図表:8] 今後の金融・資本市場および不動産市場の見通し(今後1年間) 【年 金】 【一般機関投資家】 長期金利 平成27年度 52 平成28年度 △ 13 平成27年度 37 平成28年度 △ 12 株 価 39 18 71 6 地 価 31 26 71 24 オフィス賃料 32 11 75 33 不動産の期待利回り △ 22 △ 20 △ 27 △ 20 イールドギャップ △ 16 △2 △ 43 △8 ※動向指数: 「上昇」と回答した比率(%)から「下降」と回答した比率(%)を差し引いた値、「0」が均衡値で、プラスなら上昇、 マイナスなら下降すると見通していることになり、値が 100 に近い程その傾向が強い。 (9) インフラファンド投資 インフラファンド投資については、年金で 24.6%が「投資済」であり、2011 年の調査開始以来 2.5 倍に増加している。一般機関投資家においても 2011 年に対して 2.5 倍と大幅に増加し今回調査では 20.4%であった(図表 9) 。 ※インフラ(infrastructure) ・・・本調査では、「国民福祉の向上と国民経済の発展に必要な公共施設」と定義している。具体的 には、運輸(道路・橋梁・トンネル、空港、港湾)、エネルギー(発電所、送電線、パイプライン) 、廃棄物処理、上下水道、通信 システム、太陽光発電等に関連した経済的施設が相当する。また、公共サービスに使用される学校や病院、刑務所等といった社会 的施設も含まれる。 [ 図表: 9]インフラファンドへの投資済割合 24.6% 25% 20.0% 20% 15.8% 17.0% 14.6% 15% 10% 20.4% 9.4% 8.5% 5.9% 8.5% 7.3% 6.8% 5% 0% 2011 2012 年金 2013 2014 2015 一般機関投資家 15 2016 (10)アウトバウンド投資に対する関心 1.ファンド保有不動産所在 海外に所在する不動産へ投資を行う場合(ファンド経由での投資も含む) 、投資対象となっている 不動産の所在については、 「海外所在不動産」のみを保有するファンドへの投資に拘りたい先の割合 が過半数を占めている(図表 10-(1)) 。年金は 54.5%(前年調査 44.0%)に、一般機関投資家は 68.4% (同 45.5%)といずれも増加している。 [図表:10-(1)]アウトバウンド投資・ファンド保有不動産所在 0% 20% 年金 40% 54.5% 一般機関投資家 60% 4.5% 68.4% ①海外所在不動産のみ 80% 100% 40.9% 0.0% ②日本所在不動産との混合 31.6% ①②いずれでもよい 2.対象国 1.の具体的な国・地域については、年金、一般機関投資家ともに「北米」 「英国」 「ドイツ」の 人気が高く、これらの他「豪州(及びニュージーランド)」 「その他欧州」も回答割合が高いが、英 国はEU離脱の影響もあり前年よりも減少している(図表 10-(2)) 。 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% [図表:10-(2)]アウトバウンド投資不動産所在対象国 95.7%94.7% 年金 一般機関投資家 82.6% 73.9% 68.4% 63.2% 69.6% 57.9% 63.2% 56.5% 39.1%36.8% 4.3% 北米 英国 ドイツ その他欧州 豪州及びNZ 16 10.5% 中国 0.0% シンガポール 5.3% 中南米 0.0% 0.0% 中東/アフリカ 3.アセット・マネージャ選択(不動産に最も近いポジションにいる運用者の選択) 海外に所在する不動産への投資をファンド経由で行う場合、年金及び一般機関投資家の選好する 不動産運用者のタイプは、「グローバル・プレーヤー」「当該国・地域のローカル・プレーヤー」が 拮抗している。なお、 「ドメスティック(日本の) ・プレーヤー」の回答はゼロであった(図表 10-(3)) 。 [図表:10-(3)] アセット・マネージャ選択(不動産に最も近いポジションいる事業者の選択) 0% 20% 年金 40% 60% 52.0% 一般機関投資家 80% 100% 48.0% 55.0% 45.0% グローバル・プレーヤー 当該国・地域のローカル・プレーヤー ドメスティック(日本の)・プレーヤー 4.アウトバウンド投資における運用戦略 海外に所在する不動産への投資をファンド経由で行う場合、 「コア戦略」を採用する比率が年金で 75.0%(前年調査 65.4%) 、一般機関投資家で 84.2%(同 84.6%)であった(図表 10-(4)) 。 [図表:10-(4)]アウトバウンド投資・運用戦略 0% 年金 一般機関投資家 コア 20% 40% 60% 80% 75.0% 25.0% 84.2% オポチュニスティック バリューアッド 17 100% 15.8% その他 5.投資形態 海外に所在する不動産への投資をファンド経由で行う場合、その投資や出資の形態の選好は、海 外のファンド・ビークル経由( 「海外上場リート」+「海外非上場ファンド」 )の投資を選好する比率 は、年金では 9 割弱、一般機関投資家では 9 割超であった。 (図表 10-(5)) 。 [図表:10-(5)]投資形態 0% 20% 年金 40% 32.0% 一般機関投資家 60% 80% 56.0% 36.8% 100% 4.0%8.0% 57.9% 5.3% 海外上場リート 海外非上場ファンド 国内上場リート(Jリート) 国内非上場ファンド(私募ファンド、私募リート) 6.ファンド・マネージャの選択(投資家に最も近いポジションにいる事業者の選択) 海外に所在する不動産への投資をファンド経由で行う場合、そのファンドへの投資についての判 断やレポーティング業務を担う事業者に対する機関投資家の選好は、年金・一般機関投資家ともに 「グローバル・プレーヤー」が多く、年金 54.2%(前年調査 64.0%) 、一般機関投資家 68.4%(同 61.5%)であった。 「当該国・地域のローカル・プレーヤー」は年金 25.0%(同 8.0%)では増加し、 一般機関投資家では 15.8%(同 30.8%)と減少した。 「ドメスティック(日本の) ・プレーヤー」を 選好する比率は、年金 20.8%(同 28.0%)では減少し、一般機関投資家 15.8%(同 7.7%)では増 加している(図表 10-(6)) 。 [図表:10-(6)] ファンド・マネージャ選択(投資家に最も近いポジションにいる事業者の選択) 0% 年金 一般機関投資家 20% 40% 54.2% 60% 80% 25.0% 68.4% グローバル・プレーヤー 当該国・地域のローカル・プレーヤー ドメスティック(日本の)・プレーヤー 18 100% 20.8% 15.8% 15.8% (11)マイナス金利の影響 年金・一般機関投資家による実物不動産及び不動産証券化商品等に関するマイナス金利の影響の 見通しを示す動向指数は、 「総合収益率」ではすべてのカテゴリーにおいて上昇効果を示している。 「インカム収益率」においては、年金・一般機関投資家ともに「国内の不動産を裏付けとする債券」 では下降効果を示しており。一般機関投資家においては、 「国内私募リート」においても下降効果を 示している(図表 11) 。 [図表:11] マイナス金利の影響 【年 金】 【一般機関投資家】 インカム収益率 総合収益率 インカム収益率 総合収益率 国内の実物不動産 8 22 2 41 上場Jリート 3 22 32 57 国内不動産プライベート ファンド等 6 20 2 16 国内私募リート 6 23 △8 37 国内の不動産を裏付け とする債券 △5 14 △5 2 ※動向指数: 「上昇」と回答した比率(%)から「下降」と回答した比率(%)を差し引いた値、「0」が均衡値で、プラスなら上昇、 マイナスなら下降すると見通していることになり、値が 100 に近い程その傾向が強い。 19 (12)英国のEU離脱による影響 英国のEU離脱についての国内不動産の優位性について、国外不動産との比較、不動産以外の資 産との比較について尋ねたところ、年金では「何とも言えない」が最も多く、 「変化なし」 「やや上 昇」と続いている。一般機関投資家では「変化なし」が最も多く、 「何とも言えない」 「やや上昇」 と続いている(図表 12-(1)、(2) ) 。 [図表:12-(1)] 英国EU離脱の影響(国外不動産との比較) 年金 0.0% 9.4% 35.9% 一般機関投資 0.0% 家 1.6% 1.6% 40.4% 26.9% 0% 10% 46.9% 20% 30% 40% 0.0% 50% 60% ①大きく上昇 ②やや上昇 ③変化なし ⑤大きく低下 ⑥何とも言えない ⑦その他 4.7% 0.0% 32.7% 70% 0.0% 80% 90% 100% ④やや低下 [図表:12-(2)] 英国EU離脱の影響(不動産以外の資産との比較) 年金 0.0% 14.1% 一般機関投資 0.0% 家 0% 25.0% 1.6% 0.0% 39.2% 27.5% 10% 54.7% 20% 30% 40% 50% 2.0% 60% ①大きく上昇 ②やや上昇 ③変化なし ⑤大きく低下 ⑥何とも言えない ⑦その他 20 4.7% 0.0% 70% 31.4% 80% ④やや低下 0.0% 90% 100%