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3.特別講演「第12次防と機械安全対策」
平成26年2月18日 日本機械工業連合会講演会 第12次防と機械安全対策 厚生労働省労働基準局 安全衛生部安全課 機械による労働災害発生状況 ・全労働災害における約1/4が機械災害 ・死亡災害や身体に障害が残る災害も多い H13機械包括安全指針 (通達H19改正) H18ユーザー側のリスクアセスメ ントを努力義務化(安衛法改正) H24機械危険情報の提供を努力 義務化(安衛則改正) 50 50000 40 40000 機械災害 (%) 30 30000 20 20000 10 10000 0 0 H13H14H15H16H17H18H19H20H21H22H23H24 機械災害の推移(休業4日以上の死傷災害) 資料出所:労働者死傷病報告書(厚生労働省調べ) 全災害に対する機械 災害の割合 (件数) 機械の包括的な安全基準に関する指針 (平成19年7月31日基発第0731001号) 平成24年 改正労働安全衛生規則第24条 の13 機械譲渡者等が行う機械に関する危険性等 の通知の促進に関する指針 平成18年労働安全衛生法 第28条の2(努力義務) 平成24年 機械災害発生状況 機械の種類 木材加工用機械 (丸のこ盤、帯のこ盤、チェーンソー等) 災害件数(休業4日以上) ※カッコ内は死亡で内数 2,515(4) 建設機械 (ドラッグショベル、ローラー、解体用機械等) 1,649(72) 金属加工用機械 (工作機械、プレス機械等) 3,016(17) 一般動力機械 (食品機械、ロール機、印刷機械等) 6,434(36) 動力クレーン等 (クレーン、移動式クレーン、リフト等) 1,822(47) 動力運搬機 (トラック、フォークリフト、コンベヤー等) 原動機、動力伝達機構(回転軸、歯車等) 合計 12,357(235) 425(1) 28,218(412) 1 第12次労働災害防止計画 について ~機械安全対策関係~ 第12次労働災害防止計画 (平成25~29年度) 計画の目標 ■死亡災害の撲滅を目指して、労働災害に よる死亡者の数を15%以上減少させること (平成29年/平成24年比) ■労働災害による休業4日以上の死傷者の 数を15%以上減少させること (平成29年/ 平成24年比) ~第12次防 機械安全対策関係~ ○機械災害防止対策の推進 ①機械災害が発生した事業場における原因 の究明と機械設備の本質安全化を図ると ともに、機械設備の安全性に問題がある事 案については、製造者等の機械設備の提供 者による改善を促進する。 ○機械の本質安全化の促進 ①機械の本質安全化を促進し、機械による労 働災害をさらに減少させるためには、設計・ 製造段階及び改造時のリスクアセスメントと リスク低減措置の実施や危険性等の通知の 徹底を図る必要があるため、労働現場で使 用されるあらゆる機械設備について、製造者 等の機械設備の提供者に対する当該措置を 強化する。 ②機械関連業界と連携して、機械の種類 ごとの安全基準・規格を評価し、活用する 仕組みの構築を検討するとともに、一定 水準の安全基準・規格が確保された機械 の使用を推奨する。 ③機械による労働災害情報をもとに、機械の 重大な欠陥により、重篤な労働災害が発生 し、当該機械の販売先が特定できない等、 同種災害を防止する必要がある場合は、発 生した労働災害の内容、機械の製造者名等 の公表や、製造者による機械の回収・改善を 図る制度を検討する。 ④ユーザーによる使用方法に明らかに問題が あり、製造段階で対処できないような事案に ついては、誤った使用方法により発生する労 働災害の事例を具体的に公表し、広く周知す ることで同種災害を防止する。 ○機械等の技術基準の見直し ①機械等による労働災害を防止するため、技 術の進歩等に合わせて機械等の技術基準 に関する労働安全衛生関係法令を見直す。 また、構造規格等の技術基準を設定する際 は、技術基準の整合化等を促進するため、 日本工業規格(JIS規格)等を積極的に引用す る。 機械の回収・改善命令制度の概要(安衛法第43条の2) 概 要 動力プレス機械など一定の危険を有する機械等は、国の定める規格を具備しなければ、 譲渡、貸与又は設置できないが、実際には規格を具備しない機械等が流通、使用されて いる事例がある。この場合、国(厚生労働大臣又は都道府県労働局長)が譲渡者等(製 造者又は輸入者)に対して、当該機械等の回収又は改善を図ることを命ずることができ ることとされている。 厚生労働本省又は都道府県労働局 ①労働災害の発生等を端緒に、規格を具備しない 欠陥機械を把握 ②譲渡者等に対して、回収・改善を命令 ③履行状況の確認 譲渡者等 国が定める規格を具備しない機 械等を製造、譲渡(販売) ユーザー 左記機械等を設置、使用 ※労働災害の発生のおそれ 労働安全衛生法における機械等の回収・改善命令制度のあり方等に関する検討会報告書 <欠陥のある機械等の回収・改善制度> <機械等の種類と規制対象> A:特定機械等(ボイラー、クレーン 等) <製造者等に規制> B:個別検定対象機械等 型式検定対象機械等 <製造者等、譲渡者等に規制> 回収・改善に係る制度はないが、製造時等に全数検査を 実施し、検査証がないと使用できない。 構 造 規 格 C:構造規格のある機械等 <譲渡者等に規制> D-1:安衛則で規定のある機械等 (その① 作動部分上の突起物、動 力伝導部分の防護措置) <譲渡者等及び機械等のユーザー (事業者)に規制> D-2:安衛則で定めのある機械等 (その② 多数の機械が対象) <機械等のユーザー(事業者) に規制> E:未規制機械等 労 働 安 全 衛 生 規 則 な し 回収・改善命令 (安衛法43条の2) 引き続き回収・改善要請 (多数の実績あり) 1 回収・改善のあり方 欠陥が見つかったD-2, Eの機械等についても、製造 者又は輸入者が回収・改善を 行うことが災害の再発防止を 図る上で効率的と考えられる 場合は、製造者又は輸入者に 回収・改善を行うよう要請す る方向。 2 回収・改善を促 進させるための方 策 ・回収・改善を要 する機械等が不特 定多数に流通し回 収・改善が困難な 場合は、まず製造 者又は輸入者に対 し公表を指導し、 製造者又は輸入者 の取組のみでは回 収・改善が進まな い場合には、必要 に応じ国が公表に 協力する方向。 ・十分に回収・改 善が進んでいない 事例について、国 は流通業者にも情 報提供を要請する 方向。 2 直近の機械安全に関する法令 等の改正について ○食品加工用機械関係 ○安衛則107条の改正 ○産業用ロボット関係 食品加工用機械について労働安全衛生規則に規定を新設 食品加工用機械の災害防止対策について (平成25年10月1日施行) <食品加工用機械に係る労働災害発生状況> 必要性 食品加工用機械災害の推移 休業4日以上死傷災害件数 3000 食品加工用機械による労働災 害は年間約2,000件発生して おり、他の産業用機械と比較し ても多発している。 このうち障害を伴う、切断・挫 滅の割合が1/4を占める。(年 間約500件発生) 機械種類別労働災害発生状況 休業4日以上の死傷災害件数(H22) 2500 2500 2000 1500 1500 1000 1000 500 500 0 平成23年 平成22年 平成21年 平成20年 平成19年 平成18年 平成17年 平成16年 平成15年 平成14年 0 食品加工用機械の作業の特性 に応じた規制がないことから、 機械の危険な部分への覆いの 設置や送給時・取り出し時の用 具の使用等を義務付ける必要 がある。 食品加工用機械による労働災害 は他の産業用の機械災害と比較 して も多発傾向 2000 業種別の割合 切断、挫滅の割合が約1/4を占める 3% 傷病の種類別割合(H22) また、第12次労働災害防止計 画では、第3次産業が最重点業 種にされているところ、食品加 工用機械による災害の1/3は 第3次産業で発生しており、こ の改正は、第3次産業の安全対 策にも資するものである。 切断 15% 4% 挫滅 21% 3% 14% 切創 32% 31% 第3次産業 挫創 骨折 11% 食料品製造業 熱傷 その他 66% その他 改正の概要 <食品加工用機械に係る労働災害発生原因> 切断・切削 粉砕・混合 25% 44% ロール 供給・コンベヤ・ベル ト・歯車 4% 7% 成形・圧縮 7% 13% 1 切断等を行う機械(例:チョップカッター) その他 2 混合等を行う機械 (例:ミキサー) 1 食品加工用機械について、次の措置を義 務付け (1) 切断機・切削機による切断・切削の危険 の防止 ①機械の危険な部分に覆い等を設置 ②原材料の送給・取り出し時には、原則と して、機械の運転を停止・用具等を使用 (2) 粉砕機・混合機による巻き込まれの危険 の防止 ①機械の開口部に蓋等の設置 ②原材料の送給・取り出し時には、原則と して、機械の運転を停止・用具等を使用 (3) ロール機による巻き込まれの危険の防 止 機械の危険な部分に覆い等を設置 (4) 成形機等による挟まれ・巻き込まれの危 険の防止 挟まれ・巻き込まれの危険があるときは、 機械に覆い等を設置 2 機械の目詰まり等の調整時には、原則とし て、機械の運転を停止する等の措置を義 <主な災害原因(共通)> ① 加工作業中、手を入れた。(カバーなし。又は、カバーが不十分。) 務付け ② 加工物が詰まって、手を入れた。(機械の運転停止せず。) 平成25年10月1日から、機械の「調整の作業」が、機械の 運転停止義務の範囲に追加されました。 (労働安全衛生規則第107条) 安衛則第107条(掃除等の場合の運転停止等) 1 事業者は、機械(刃部を除く。)の掃除、給油、検査、修理 又は調整の作業 を行う場合において、労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、機械の運転を 停止しなければならない。 ただし、機械の運転中に作業を行わなければならない 場合において、危険な箇所に覆いを設ける等の措置を講じたときは、この限りでな い。 2 事業者は、前項の規定により機械の運転を停止したときは、当該機械の起動装 置に錠を掛け、当該機械の起動装置に表示板を取り付ける等同項の作業に従事 する労働者以外の者が当該機械を運転することを防止するための措置を講じな ければならない。 留意事項 「平成25年4月12日付基発0412第13号通達」(抄) ①「調整」の作業には、原材料が目詰まりした場合の原材 料の除去や異物の除去等、 機械の運転中に発生する 不具合を解消するための一時的な作業や機械の設定の ための作業が含まれます。 ②第1項ただし書きの「覆いを設ける等」の「等」には、次の 全ての機能を備えたモードを使用することが含まれます。 ア 選択したモード以外の運転モードが作動しないこと。 イ 危険性のある運動部分は、イネーブル装置、ホール ド・ツゥ・ラン制御装置又は両手操作式制御装置の操 作を続けることによってのみ動作できること。 ウ 動作を連続して行う必要がある場合、危険性のある運 動部分の動作は、低速度動作、低駆動力動作、寸動動 作又は段階的操作による動作とすること。 (機械包括安全指針、JIS B9700の制御モードより) 産業用ロボットと人との協働作業が可能となる 安全基準を明確化しました。 (労働安全衛生規則第150条の4関係) 安衛則第150条の4(運転中の危険の防止) 事業者は、産業用ロボットを運転する場合(教示等のために 産業用ロボットを運転する場合及び産業用ロボットの運転中 に次条に規定する作業を行わなければならない場合において 産業用ロボットを運転するときを除く。)において、 当該産業 用ロボットに接触することにより労働者に危険が生ず るおそれのあるときは、さく又は囲いを設ける等当該 危険を防止するために必要な措置を講じなければな らない。 平成25年12月24日付け厚生労働省 労働基準局長通達(基発1224第2号) 1 リスクアセスメントにより危険のおそれが無くなったと評価 できるときは、協働作業が可能です。 労働安全衛生法第28条の2による危険性等の調査(リスクアセスメン ト)に基づく措置を実施し、産業用ロボットに接触することにより労働者に 危険の生ずるおそれが無くなったと評価できるときは、本条の「労働者に 危険が生ずるおそれのあるとき」に該当しません。 なお、評価結果は、指針により記録・保管が必要です。 また、リスクアセスメントは指針に基づき実施するとともに、「はさまれ等 の物理的な作用」の危険性による負傷の重篤度又はそれらが発生する 可能性の度合の見積りに当たっては、特に以下の事項に留意。 ①産業用ロボットのマニプレータ等の力及び運動エネルギー ②産業用ロボットのマニプレータ等と周辺構造物に拘束される可能性 ③マニプレータ等の形状や作業の状況(突起のあるマニプレータ等が眼 などに激突するおそれがある場合、マニプレータ等の一部が鋭利であ る場合、関節のある産業用ロボットのマニプレータ間にはさまれる可能 性がある場合等) 参考(平成25年12月24日付け基安安発第1224第1号) ・上記①の力及び運動エネルギーについては、ISOの産業用 ロボットの規格の技術仕様書(TS15066)において、人に危 害を加えないと判断される数値を審議中です。本技術仕様書 が制定され、制御によらず構造的に、当該数値以下となること が担保される場合、①の観点で危険の生ずるおそれが無いと 判断できる一例となります。 ・上記②について、マニプレータ等と周辺構造物との間隔(最接 近距離)を500mm以上とするか、又は人体がマニプレータ等 と周辺構造物の間に拘束された場合、駆動用動力なしで人力 で開放できる場合は、②の観点で危険の生ずるおそれが無い と判断できる一例となります。 2 ISO規格に定める措置を実施した場合も、協働作業が可能 です。 産業用ロボットの規格(ISO 10218-1:2011及びISO 1 0218-2:2011)よりそれぞれ設計、製造及び設置された産 業用ロボット(産業用ロボット の設計、製造者及び設置者が技 術ファイル及び適合宣言書を作成しているもの に限る。)を、そ の使用条件に基づき適切に使用してください。なお、ここでいう 「設置者」とは、事業者(ユーザー)、設置業者、製造者(メー カー)などの者のうち、設置の安全条件に責任 を持つ者が該 当します。 参考(平成25年12月24日付け基安安発第1224第1号) ・ISO 10218-1:2011及びISO 10218-2:2011の規格について は、それぞれ対応する日本工業規格(JIS B 8433-1(予定)及びJIS B8433-2(予定))を作成準備中です。 厚生労働省HPの機械安全情報 ○職場のあんぜんサイト 労働災害統計、労働災害事例、機械災害データベースなどを掲載 http://anzeninfo.mhlw.go.jp 厚生労働省HP>分野別の政策>雇用・労働>労働基準>職場のあんぜんサイト (労働基準のページの下の方に入り口があります。) ○リスクアセスメント関連資料 http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei14/ 厚生労働省HP>分野別の政策>雇用・労働>労働基準>安全・衛生> リスクアセスメント ○職場の安全対策資料 http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei01/ 厚生労働省HP>分野別の政策>雇用・労働>労働基準>安全・衛生> 職場における安全対策について 機械による災害のさらなる減少 のため、ご協力をお願いします。 ご清聴ありがとうございました 厚生労働省労働基準局 安全衛生部安全課