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各種社会資源提供者の

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各種社会資源提供者の
-2
6
1-
大阪市立大学生活科学部紀要 ・第4
4
巻 (
1
9
9
6
)
各種社会資源提供者 の
特性の相違 に関す る研究
一民生委員 ・ボ ラ ンテ ィア ・ホームヘルパ ーを素材 に して 栄 セ ツコ ・山根頼子 ・権
弦珠
岡田進一 ・小滞 温 ・白樺政和
Di
f
f
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encesi
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f
JudgementonSoci
alSuppor
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Ac
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s
SETUKO SAKAE,YoRI
KO YAMANE.KwEON HYuNJU.
OKADA SHI
NI
CHI
,
ATUSIOzAWA andM ASAKAZU SHI
RASAWA
は じめに
要援護者 に対す る 「
食事」 の支援を一つの例 に示 してみ
る (
図 1)
0
近年、社会福祉の動向が施設福祉か ら地域福祉へ と移
行す る中で、要援護者のニーズを満たす システムのあ り
「
食事がつ くれない」 とい う要援護者 の食生活上 のニ
方 に変化がみ られ るようになって きた。従来、施設福祉
ーズに対 して、 ホームヘルパ ーが調理を し,食事を提供
サー ビスが中心であった時代 には、要援護者 の社会生活
す る場合ばか りではない。 ボ ランテ ィアが給食サー ビス
上 のニーズは全て施設内の社会資源を駆使 した処遇で、
の配食や会食活動 を行 い食事 を提供す る場合や時 には民
自己完結的に充 た して きたといえる。 しか し、今 日の在
生委員が地域住民 と協力 し 「
配食」や 「
会食」 とい った
宅でのケアを求め る時代にあっては、要援護者 のニ ーズ
サー ビスで食生活 の支援を提供す る場合 も見受 け られ る。
を充足す るためには、地域 に散在 している社会資源をか
その他 にも、 デイサー ビスでの給食サー ビスや配食 サー
き集 め活用す ることで、個々の要援護者 のニーズに合 っ
ビス、民間企業の給食サー ビスを利用す る方法 もある。
たサー ビスを提供 しなければな らな くな って きている1
)
。
このように、単 に、要援護者 の 「
食事 をっ くれない」 と
要援護者 の在宅生活 を支えるニーズには、 1日の2
4
時
いうニーズに対 して 「
食を提供す る」 とい う支援一つを
間、 さらには週や月を単位 として連続 した生活 を維持 ・
とって も、その提供主体 は多種多様 あることがわか る。
充実す るための様 々な ものがある。 たとえば、食事、排
ところが、現状では、要援護者 のニーズを きめ細かにア
他、入浴 などの基本的な生活 ニーズか ら、社会的な交流、
セスメン トし、多種多様 な社会資源の中か ら個 々の特性
機能訓練、趣味や生 き甲斐など、 より高次 な社会的ニー
に合致 した提供主体を、要援護者 の自己決定 を支援す る
ズまでが含 まれ る。 さらに、それ らのニーズが多様化 ・
形で結 びっ けることが十分 に行われているとは言 い難 い。
高度化 して きていることは言 うまで もない。 これ らのニ
今後、 ます ます要援護者 のニーズが長期 にわた り、複
ーズに応ず る社会資源提供主体 も多元化 し、一人の要援
雑かつ高度 にな ってし
い くなかで、 よ り適切な社会資源を
護者 に多 くの社会資源提供者が関与す る傾向がみ られ始
提供 してい くためには、社会資源提供者 の特性 を もとに
めている. この結果、多様化 ・高度化 したニーズに合致
した援助内容を、利用者 に的確 に提示出来 ることが不可
したサー ビスと結 びつけられた場合には要援護者 の在宅
欠である。つ ま り、.
社会資源提供側である民生委員、 ホ
生活 の 「生活 の質 (
QOL)」 を高 め る ことが可能 とな
ームヘルパー、 ボランテ ィアなど、社会資源 それぞれの
る2
)
。
特徴を把握す ることが 、利用者 のニーズと適切 に見合 っ
しか し、反面、一つのニーズに対 して多 くの社
会資源提供者が行 う支援内容 は個 々の社会資源を越えて、
オーバーラップ しているもの も少 な くない。 た とえば、
(1)
た社会資源を提供 して い く上 で重要 とな って きている。
-2
6
2-
人間福祉学科
デイサービスの
図 1
要 援 護 者 の 食 事 ニ ー ド充 足 の 方 法 (例 )
本調査の目的と対象 ・方法
2
.民生委員、ボランテ ィア、 ホ ーム ヘルパ ーに関す る
1
.調査の目的
近年の先行研究
以上のような問題提起を うけて、本研究の目的は民生
ここでは、今回調査対象 とした民生委員、 ボランテ ィ
委員、 ボランテ ィア、 ホームヘルパーといった社会資源
ア、 ホームヘルパーの特性 について、 これまでどのよ う
提供主体がどのような特徴を もって活動を しているかを
な研究がなされて きたかをみてみたい。
明 らかにす ることである。民生委員 は厚生大臣の委嘱を
民生委員 に関す る研究で は、古川孝順 らの 「
民生 ・児
受 けて福祉活動 を実施す る人々であ り、 ボランテ ィアは
童委員活動 の実態 と今後のあ り方 に関す る調査」がある
無償で 自発的 に福祉的な活動 を実施す る者である。一方、
が、 この調査結果か ら、民生委員が媒介的な役割を実施
(
1
9
9
0
)
3
)
。全国民生委
ホームヘルパーは有給で在宅要援護者 を援助す る職員で
していることを明 らかに している
ある。 これ ら 3者 は、民生委員やボランテ ィアがインフ
員協議会 ・全国社会福祉協議会 による 「
地域福祉の推進
ォーマルな支援の中心 となるものであ り、その内で前者
と民生委員 ・児童委員活動 -地域推進 と民生委員 ・児童
は委嘱により、後者 は自発的に活動 している。 ホームヘ
委員の役割 とあ り方委員会」
一
)がまとめた調査報告
(
1
9
9
ルパ ーはフォーマルサー ビスの主要 な担 い手であり、 こ
1
) では、地域 における相談 ・支援 の役割、 行政 と住民
れ ら 3者 は在宅福祉活動を支える中心的な担い手である。
のパイプ役、在宅福祉サー ビスを促進す る役割が民生委
つ まり、本研究 は、要援護者の最 も身近 なところで在
員 に求め られているとしている。 その他、東京都民生委
宅生活支援を行 っている、「
人的」社会資源 と言 われ る
員連合会 の r
東京都民生委員 ・児童委員活動実績 とその
民生委員、 ボランテ ィア、ホームヘルパーを調査対象 と
事例 一第 6集 -』(
1
9
9
0
)
8
)
、大阪市 民生委 員児童委員連
して、「自己の活動 に対す る意識」つ ま り、 自己の活動
盟の 「
大阪市民生 ・児童委員意識調査」(
1
9
9
0
)
6
)
、大阪
をどのように捉えているのか、および 「
社会福祉 に対す
府民生委員児童委員協議会連合会の 「
民生委員児童委員
る意識」つ まり、 自己の活動 の基底 にある社会福祉に対
活動強化方策基礎調査」(
1
9
9
6
)
7
)
、 それを もとに した堺
して どのよ うに考えているのかについて尋ね、民生委員、
市民生委員児童委員協議会連合会の 「
民生委員児童委員
ボランテ ィア、 ホームヘルパ ー間での意識面での特性の
の活動 に関す る調査」(
1
9
9
6
)
8
)などの調査報告書がある
違 いを明確 にす ることを狙いとしている。その結果 とし
が、 これ らのいずれの調査 も、民生委員の基本属性、活
て、要援護者のニーズに合わせて、的確に人的な社会資
動状況、研修状況 などを明示 し、民生委員 の活動の実態
源を提供 してい くための根拠づけを得 ることを研究 目的
を明 らかに した ものである。
と している。
ボランテ ィアに関す る調査研究では、在宅 サー ビスが
強調 され始めた1
9
8
0
年以降の調査をみると、全国社会福
祉協議会 ・全国 ボランティア活動振興 セ ンターがボ ラン
(2)
栄 ・山根 ・権 ・岡田 ・小津 ・白樺 :社会資源間での特性の相違
-2
6
3-
テ ィアの活動内容や活動回数 を調査 し、在宅福祉サー ビ
観点か らみたその機能 のあ り方 に関す る調査であ り、地
スの多様性 に対 応 す るボ ラ ンテ ィア像 を明 らか に した
域福祉の観点 か ら捉 え ると、 サー ビス利用者 の視点か ら
1
9
9
1
)
9
)が あ る。 ま
「
全国 ボ ランテ ィア活動実態調査」(
みた、民生委員 ・ホームヘルパ ー ・ボランテ ィアの社会
た大阪府福祉部福祉政策課が行 った 「ボランテ ィアグル
資源提供 の特徴や提供内容 に関す る相互関連的な調査 ・
1
9
9
4
)
1
0
)で は、 福 祉分野 のみ な らず環
ープ実態調査」(
研究が必要不可欠であると言 え る。
境 ・国際交流 ・文化 ・スポーツ等 の分野 につ いて、大阪
その意味で、本研究 は、民生委員 ・ボ ランテ ィア ・ホ
府下 のボ ランテ ィアグループの実在数 とその活動領域 な
ームヘルパーの活動 に対す る意識面での特性 の違 いを明
9
9
0
年代 に入
ど、 ボ ランテ ィアの全体像を捉 えている。 1
らかにす るとい う点 で、非常 に意義深 い ものである。
り、「
有償 ボランテ ィア」 とい う言 葉 が使 われ るよ うに
な り、 これにつ いて全国社会福祉協議会 は 「
平成 4年度
3
.調査対象 ・方法
住民参加型在宅福祉サー ビス調 査 」(
1
9
9
3)
l
l
)を行 い、
ボ ランテ ィアの多様化 とともに 「
企業 ボランテ ィア」 の
0市内の民生委員連盟 に加入 している民生委員3
0
4
人、
0
0人、 社
社会福祉協議会 に登録 して いるボラ ンテ ィア3
0
0人 を調査対 象 と
会福祉協議会 の常勤 ホームヘルパ ー3
0
して、郵送調査を実施 した。調査期間 は平成 7年 9月2
日∼1
1
月末 日までの約 2ケ月間である。有効回答票 は、
活動が見 られ るよ うにな った。全国社会福祉協議会 は老
民生委員2
5
7
票、 ボランテ ィア2
4
2
票、 ホームヘルパー2
8
人福祉施設及 び高齢者 の在宅福祉 サー ビスにお ける企業
ボ ランテ ィアの活動内容 を 「
老人福祉施設 における企業
0
票であ り、回収率 は、民生委員8
4.
5%、 ボ ランテ ィア8
3.
3% と、 いずれ も、 8
0%を越
0.
7
%、 ホームヘルパ ー9
1
9
9
2
)
1
2
)で検討 して
ボ ランテ ィアの可能性 につ いて 」 (
え、極 めて高 い率 とな った。
住民参加型在宅福祉サー ビスを行 っている団体 を種類別
し、社協運営型 が最 も多 いことを明 らかに し、運営上 の
問題点 と して 「担 い手 の確保」 をあげている。 その他、
い る。 さ らに職域 ボランテ ィア開発委員会 は大阪府下 の
調査内容 は、「自己の活動 に対す る意識」 および 「
社
企業、労働組合 に対 してボランテ ィアの意識調査を行 い、
0の項 目を作
会福祉 に対す る意識」 について、 それぞれ3
ボ ランテ ィア活動 の事例 も盛 り込み、 「職域 ボ ラ ンテ ィ
成 し、「そ う思 う」か ら 「そ う思 わな い」 の 5段 階評 価
1
9
9
0
)
1
3
)として まとめて いる。
ア活動 の現状 と課題」(
で調査 した。調査項 目については、 あ らか じめ、 「自己
ホームヘルパーに関す る調査研究 をみ ると、神奈川県
社会福祉 とは○○で あ る」 とい
の活動 は○○である」「
ホームヘルプ協会 による 「ホームヘルプサー ビスについ
う設問をっ くり、 それぞれ3
0
項 目ずっ選定 した。 た とえ
ての実態調査」(
1
9
8
4.
1
9
8
9.
1
9
9
2
)
1
4
)がある..
この調査 で
ば、「自己の活動 に対す る意識」で は、「自己の活動 は感
は、協力会員の概況、活動状況、利用会員 (
本人 ・家族)
動的な行為である」「自己の活動 は人間 を思 いや る優 し
の概況、利用状況 などを明確に している。 また横浜市民
い心が必要である」「自己の活動 は助 け合 いで あ る」 な
生局のホームヘルプサー ビスの参画意向 とその条件、 ヘ
どである (
表 1)
0
ルパ ーの活動実態 を明 らかに した 「ホームヘル プサー ビ
「
社会福祉 に対す る意識」 で は、「社会福 祉 はその人 ら
1
9
9
1
)
1
5
)がある。 さ らにホー ムヘルパ ーの訪
ス調査」(
しい生活を守 るための もので ある」「社 会福 祉 は生 きが
問サー ビスの必要性 を検討 した東京都福祉局 「東京都 に
いを もて る明 るい社会 を作 る ものであ る」「社 会福祉 は
おけるホームヘルパー等訪問サ ー ビスのあ りかたについ
0
人を助 けることである」 とい う具合である (
表 2)
て」 の調査 (
1
9
91
)
1
6
)
、 ホームヘルプの事業分析 を行 い、
ホームヘルパーの資質向上 と他職種、他機関 との連携 の
調査結果
強化を課題 にあげた北海道市町村振興協会 の 「ホームヘ
分析 は、 1.
基本属性、 2.
自己の活軌 .
こ対 す る意識 、
3.
社会福祉 に対す る意識 の 3点 について行 った。
1
9
9
3
)
1
7
)などがあ る。
ルプサー ビス事業実態調査」(
以上 の ことか ら、民生委員 ・ホームヘルパー ・ボラン
1.基本属性
テ ィアに関す る従来 の調査研究 は、各単体の機能 に関す
る研究をそれぞれ深めて きたことは評価で きるが、 これ
a.性別 (
図 2)
らの社会資源間の活動内容を比較検討す る相互 関連的な
民生委員 は、「
男性 」7
7.
4%、「女性」1
9.
8%と 「
男性」
研究 は全 くみ られない。 そのため、個 々の社会資源提供
の占める割合が圧倒的 に高 くな っている。逆 に、 ボ ラン
主体 の役割 は把握 で きるものの、他の社会資源提供主体
8.
6%、 「女性」 が 8
0.
6%で、
テ ィアで は、 「男性」 が 1
との特徴の違 いを もとに役割分担 を論議す ることは不可
「
男性」 に比べ、「
女性」 の割合が 4倍 に もな っている。
能である。 さらに、従来の調査研究 は社会資源提供者 の
ホームヘルパーで は、「
男性」 はわずか2
.
9
%で、「女性」
(3)
-2
6
4-
人間福祉学科
表
1 自己の活 動 に対 する意識
●●●● ●
質問 1.感動的な行為 である
2 物事 を分析 する力がある
3 伝統的な習慣である
4 住みや すい地域環境 をつ くるための活動 である
5 余暇を充実 させるための活動である
●●●●●
6.人間を思いや る優 しい心が必要である
7 地域参加の一環である
8 ゆ とりのある文化 的な生活 を保障するための活動であ る
9 専門的な知識や技能 を必要 とする活動で ある
1
0 気楽 に糞 しめ る活動である
●●● ● ●
l
l
.助 け合 いであ る
1
2 臭突的な行為 である
1
3 隣近所 とのつ き合いをよ くするための活動 である
1
4. 困った ときに援助 するだけの新 しい人間関係である
1
5 活動 内容 に比べて社会 的地位が低 い活動である
●●●●●
1
6
.生活 に余裕のあ る人がする活動である
1
7 見返 りを求めてはいけない
1
8.自分 にプラスになるための活動である
精神的な援助が大切である
援助 によって最低限度の生活が保 障で きれ ばよい
●●●
21
. 治安 をよ くするための活動である
22 自分の生活 を支えるための仕事 と して活動 している
2
3 道徳的な考え を もっている必要が ある
2
4.物質的な援助 が大切である
2
5
.世 間か らの評価 を得 るための活動である
2
6
.様 々な経攻 を積 んだ人 にふ さわ しい活動であ る
27.社会問題 を解決 するための活動、
である
2
8.平等な社会 をつ くるための活動である
2
9.地域のつなが りを強 くす るための活動である
30.人間関係 を円滑 にするための活動 である
(4)
栄・山根・権・岡田・小津・白樺:
社会資源間での特性の相違
表 2 社 会 福祉 に対 す る意 識
質 問 1.その人 らしい生活 を守 るための もので ある
2.平等 に受 け られ るべ 草権利であ る
3. 自発 的にする ものである
4.地域 ぐるみで行 うものである
5.貧困者のための ものである
6.生 きがいをもて る明るい社会 を作 る ものであ る
7.国民 すべての もである
8.お互 い理解 し助 け合 うことであ る
9.サー ビスを捷供 することである
1
0.住みやすい地域 を自 ら進 んでつ くるものである
ll
.人 を助 けることである
1
2. 市町村の責任で行 うものである
1
3.問題 (老齢 ・障害者等 )を抱えている人のための ものであ る
1
4.人間愛 ・博愛である
1
5.充実感 を得 るための ものである
1
6. 金銭給付 を行 うことであ る
1
7.近所つ き合 いである
1
8. 自立 を援助 する ことである
1
9.地球環境 を守 り、人類全体の豊かな未来 を作 る ものである
2
0.豪族 の負担 を軽減 するための ものであ る
21
. 国の責任で行 うものである
22.奉仕活動であ る
23.社会 間凄 く
高齢 ・少子化等 )を解決 してい くための ものである
2
4. 自己満足でする ものである
25.豪族が 中心 とな るものであ る
26.最低 限度の 日常生活 を援助 するための ものである
2
7. 国民 の努力で行 うものである
28.制度 ・政策であ る
2
9.個人 の問題であ る
3
0.地域 での生活が継続で きるよ うにする ことであ る
(5)
-2
6
5-
-2
6
6-
人間福祉学科
民生委員
(N=257)
ボラ ンテ ィア
(N-24 )
t
不一ムヘル′
ヾ
(
_
∼
=2
8
0)
4
0
2
0
図 2
6
0
性
1
∞ (%)
別
代代 代代代
幻8
囲2
0
琶
3
■
-二0
4
0
∼
_
●
∼
'
′
.
.
●
■
●
●
●
■
●
●
●
.
■
.
●
ヽ
■
ヽ
ヽ
ヽ
ヽ
●
●
●
●
●
■
′
●
●
●
■
●
′
●
●
E37
0 代;
恋 無回答 ;
は9
6
.
8
%とな ってお り、 ホームヘルパーはほとん ど 「女
2.自己の活動 に対する意識
性」 によって占め られている。
まず、民生委員 ・ボランテ ィア ・ホームヘルパーが 自
己の活動を どのよ うに捉えて いるのか とい う意識 を明 ら
b.年齢 (
図 3)
かにす る目的で、 その意識構造 をなるべ く数少 ない因子
民生委員 は、 「
6
0
歳代」の4
9
.
8
%が最 も高 く、次 いで、
で説明す るため、因子分析を実施 し、バ リマ ックス回転
「
7
0
歳代」
3
8
.
9
%となってお り、 「
6
0
歳以上」 が8
8
.
7%と
を行 った (
表 3)
0
全体 の 9割近 くを占めている。 ボランテ ィアで は、 「
6
0
.
0
以
その結果、 自己の活動意識 につ いて は、 固有 値 1
歳代」 の3
2
.
2
%を ピークとして、続 いて、「
5
0
歳代 」3
0
.
上 の因子 は 8因子抽 出された。 その うち、因子寄与率 の
4
0
歳代」1
6
.
1
%の順にな って い る。 最後 に、 ホ
6
%、 「
ームヘルパーでは、 「
4
0
歳代」 が6
1
.
4%と最 も高 く、 次
に 「
3
0
歳代」 の2
4
.
6
%とな っている。 ホームヘルパ ーで
は、 「
3
0
歳代」 と 「
4
0
歳代」 とで、全体 の約 9割 を 占め
高 い 4因子 を検討 した。第 1因子 の負荷量 で は、 「地域
ている。
「
相互支援」 の因子 とした。第 2因子 の負荷量 で は、「生
とのつなが りの強化」 が最 も高 い数 値 とな り、 続 いて
「
人間関係の円滑化」「
平等な社会づ くり」「近 所 づ きあ
いをよ くす る」の順 に高 い数値を得たため、第 1因子 を
(6)
-2
6
7-
栄 ・L
l
」
根 ・権 ・岡田 ・小津 ・白樺 :社会資源間での特性の相違
表3
自己の活動意識 につ いての因子分析
因 子 負 荷 量
第 1因子 第 2国子 第 3国子 第 4因子
6
5
6
6
1
0
3
0人間関係の円滑化
.
8
01
.
071
.
0
8
8
.
0
3
4
2
8平等な社会づ くり
.
.
0
6
6
.
2
0
0
-.
02
5
1
3近所つき合いをよ くする
.
.
0
0
4
-.
0
02
.
1
3
7
7地域への参加の一環
.
48
0
-.
3
32
.
2
09
.
2
61
4住みやすい地域環境づ くり
.
45
6
-.
25
5
.
2
47
.
1
47
.
4
1
2
1
8
3
.
7
1
3
1
0
8
-.
0
4
7
3
1
-.
b
1
2
6
7
-.
0
6
6
.
61
4
.
0
8
5
-.
01
7
2
5世間か らの評価 を得る活動
.
1
6
7
.
4
82
-.
1
5
8
.
1
6
9
1
7見返 りのない活動
.
1
8
3
-.
3
66
.
1
53
-.
1
5
5
.
0
1
3
0
6
3
-.
3
1
2
7
5
.
3
6
5
7
4
8
-.
0
1
8
7
3
2
1
9精神的な支援が必要な活動
.
1
3
0
.
0
2
6
.
5
9
6
-.
1
45
2
3道徳的な考えが必要な活動
.
1
51
.
1
3
2
.
5
5
0
-.
1
6
8
-.
3
01
5
3
-.
0
1
9
4
4
3
-.
3
0
9
1
4
.
30
8
2
8
9
.
1
3
2
-.
0
07
-.
2
57
.
67
6
0
1
9
8
.
4
.
0
2
8
%
.
0
6
5
6
2
.
0
%
.
0
2
0
5
4
.
3
9
5
%
2
1生活
2
治安をよ
を支えるための活動
くする活動
1
5社会的地位の低 い活動
6専門的知識
優 しい心が必要な活動
.技術の必要な活動
9
1
1助
5
余暇を充実させる活動
け合い
1
0気楽 に楽 しめる活動
2
9地域
とのつなが
1
8
自分 にプラスになる活動
国 子 りの強化
寄 与 率
.
8
6
5
1
7
.
1
.
0
7
%
6
(7)
-.
3
8.
4
%
-2
6
8-
人間福祉学科
活 を支 え るための活動 」「
社会的地位 の低 い活動 」が高
「
社会への貢献」 のイメージで捉え て い る割 合 が高 い こ
い数値 とな り、「
社会への貢献」 の因子 と した。 第 3因
とが明 らか にな った。 ボランテ ィアは、 自己の活動 に対
子 の負荷量で は、「
優 しい心が必要」「
精神的な支援が必
す るイメー ジを 「自己充実」 と して お り、 民 生 委 員 は
要 な活動」が高
く、「
情緒的関与」 の因子 と読み とったb
●
「
相互支援」「
情緒的関与」 と捉えて活動 して いることが
第 4因子 の負荷量で は、「
余暇 を充実 させ る活動」「
気楽
示 された。
に楽 しめ る活動」「自分 にプラスになる活動」 が高 く、
3.社会福祉 に対す る意識
「自己充実」 の因子 と命名 した。
社会福祉 に対す る意識 につ いて は、 その意識構造 をな
自己の活動意識 において、各因子 の説 明力を示す因子
寄与率 は、第 1因子 「
相互支援 」1
7.
7%、第 2因子 「社
るべ く少 ない因子で説明す るため、因子分析 を実施 し、
会へ の貢献」8.
2%、第 3因子 「情緒的関与」6.
6%、 第
バ リマ ックス回転 を行 った (
表 5)
。
4因子 「自己充実」5.
9% とな り、 第 4因子 まで の累積
.
0
以上 の因子 は 7因子抽 出 され た。
その結果、固有値 1
その うち、因子寄与率の高 い 3因子 の検討 を行 った。第
寄与率 は3
8.
4%だ った。
1因子 の負荷量 は、「住みやすい地域 を 自 らつ くる」 が
次 に、民生委員 ・ボ ランテ ィア ・ホームヘルパー間で
の 自己の活動意識 の特性 を明確 にす るため、 0.
5以上 の
最 も高 い数値 にな り、続 いて 「お互 いに理解 し助け合 う」
因子 負荷量 を もつ項 目を選 び出 し、 それ らの項 目の個々
「
生 きがいある社会づ くり」「
地域 ぐるみで行 う」「人 間
の グループの因子得点 を合計 し、その平均値を もとに し
愛 ・博愛活動」 の順 に高 く、「
相互扶助」 の因子 と した。
て、一元配置 の分散分析を行 った。
第 2因子 の負荷量 で は、「問題を持 って い る人 のた め の
もの」「
貧困者 のための もの」「人 を助 け る こ と」「金 銭
その結果、 まず、 自己の活動意識 についてみ ると、第
1因子
「
相互支援」で は 5%水準で有意差があ り
給付」 とい う項 目が高 い数値であ り、 「救済 ・援 助 」の
(
p<.
0
5
)、民生委員が高 く、 ボランテ ィア は低 い もの とな っ
因子 とした。第 3因子 の負荷量 で は、「国の責任で行 う」
た。第 2因子 「
社会への貢献」で は 1%水準で有意差が
「市町村の責任で行 う」「
制度 ・政策 」で高 い数値 にな り、
0
1
)
、 ホームヘルパ ーが高 く、 ボランテ ィア、
あ り (p<.
「公的責任」 の因子 と命名 した。
情緒的関与」
民生委員 は低 い もの とな った。第 3因子 「
社会福祉意識 の因子寄与率 は、第 1因子 「
相互扶助」
で も有意差がみ られ (p<.
0
01
)
、 民生 委 員 が高 く、 ボ
1
8.
4%、第 2因子 「救済 ・援 助 」9.
1%、 第 3因子 「公
ランテ ィアは低 くな った。第 4因子 「自己充実」で も有
的責任」7
.
4%であ る。第 3因子 までの累積寄与率 は、 3
0
0
1
)
、 ボ ラ ンテ ィアが平均 値 よ り高
意差 があ り (p<.
4.
9%であ った。
次 に、民生委員 ・ボ ランテ ィア ・ホームヘルパー間で
く、民生委員、 ホームヘルパ ーは低 い結果 とな った (
義
4)
0
の社会福祉意識の特性 の違 いを明確 にす るため、 自己の
活動意識 と同様 の方法で、一元配置 の分散分析 を行 った。
以上 の ことか ら、 ホー ムヘ ルパ ー は、 自己 の活動 を
轟4
第
1田子
第
相互支鐘
2
3
1
民
轟
ヘ`
生
ラ
ルン
委
テ
パィ
員
丁
ー
活
動
意
兼 3田子
2田子
社 会 へ の貴 献
0
0
)
(
4
3.
0
7
8
2
1
2
1
)
故
情 緒 的関与
ヘ
長
義`生
ラ
ルン
f
垂
パL
T
鼻
ー (
(2
1.
6
3
2
9
3
4
1
)
民
轟
ヘ●
生
ラ
ル'
/テ
委
パL
T
員
ー
(
4.
6
9
8
9
2
5
3
1
)
第
4田 子
自 己充 実
民
養
ヘ●生
ラ
ルン
テ
垂
パィ
ア
良
ー
(
く
2
1.
4
32
7
5
5
6
1
)
叢 ( ) 内 は ケ ー ス こ との 田子 得 点 の 合 計 の 平 均 値
(8)
-2
6
9-
栄 ・山根 ・権 ・岡田 ・小津 ・白樺 :社会資源間での特性の相違
轟 5 社 会 福 祉 イ メー ジにつ い て の 因子 分 析
因 子 負 荷 量
第 2因 子
第 3因子
.
08
3
-.
0
6
6
8 お互 い に理 解 し助 け合 う
.
06
3
-.
07
0
6 生 きが い あ る社 会 づ く り
.
00
8
-.
0
41
.
1
33
1
4 人 間愛 ・博 愛活 動
-.
05
6
.
22
0
2
7 国民 の努 力
-.
1
02
.
21
7
.
11
5
-.
1
2
7
.
307
.
0
47
第 1国子
1
0 住 み や す い地 域 を 自 らつ くる
4 地 域 ぐるみ で 行 う
3 自発 的な活 動
2
2 奉仕活動
.
07
2
.
0
0
8
.
1
67
5 貧困者 の た め の もの
1
1 人 を助 け る こ と
-.
0
0
6
.
32
5
.
01
6
.
2
46
1
6 金銭給付
-.
09
2
.
21
5
1
3 問題 を もって い る人 の もの
9 サ ー ビス の提 供 者
.
1
8
8
.
46
4
.
1
49
21 国 の 責任 で 行 う
1
2 市 町村 の 責 任 で 行 う
2
8 制 度 ・政 策
3
4.
9
%
田 子 寄 与 率
固
有
値
その結果、第 1因子、第 2因子、第 3因子のいずれにお
委員の方がホームヘル パーよりも高 くな って いる。 「公
いて も有意差がみ られた (
第 1因子、第 3因子 は p<.
0
的責任」 については.
、 ホームヘルパーが他 に比べて高 く
、第 2因子 は p<0
.
0
5
)(表 6)
0
0
1
なっていた。
相互扶助」では民生委員が高 く、 ボランテ
第 1因子 「
以上のことか ら、社会福祉 に対する意識 として、 ホー
ィァ、ホームヘルパーは低 くなった。第 2因子 「
救済 ・
ムヘルパーは 「
公的責任」のイメージで捉えていること
援助」で も民生委員が高 く、ホームヘルパー、 ボランテ
が明 らかにな った.丁
民生委員 は 「
相互扶助」や 「
救済 ・
ィアは低 くなった。第 3因子 「公的責任」では、ホーム
援助」が強 くなっているのに対 して、ボランテ ィアはそ
ヘルパーが高 く、民生委員、ボランティアは低 いものと
れ ら3つの特性が他に比べて弱い傾向が示 された。
従来より、民生委員 は地域住民の生活実態 と福祉 ニー
なった。 ボランティアは、 3つの因子 とも、低 い平均値
ズを把握する役割や住民の立場に立 って公的な機関など
となった。
と連携 し問題解決 してい く役割があり、 「相互扶助」 や
民生委員 とホームヘルパーの 「
社会福祉に対する意識」
に着 目してみると、「
相互扶助」「
救済 ・援助」では民生
「
救済 ・援助」 といった因子が高 くな るの は妥 当な結果
(9)
-2
7
0-
人間福祉学科
表6
1
3
2
社
福
祉
意
識
第 1田子
第 2因子
第 3国子
相 互扶 助
救済 .轟 助
公 的責 任
民
*
ヘ'
生委
ラ
ルパ
'
/
テL
員
T
ー
(
4.
4
2
0
4
5
3
5
1
)
民
轟
ヘ
●
生委
ラ
ルパ
ン
チL
員
T
ー
(
2
3.
9
0
3
9
0
5
2
3
1
)
民
ホ
ヘ●
生
ラ
ルン
委
テ
パィ
7
員
ー
(
4
3.
糾8
2
8
0
2
4
7
)
薫 く ) 内 は ケ ー ス こ との 田子 得 点 の合 計 の平 均 値
だ と言 える。 また、ホームヘルパーは、 その役割が市町
ホームヘルパーは、元来、「
家庭養護婦」 といわれ、
村や国の制度 ・政策よ り行われて きた歴史 があ り、 「公
ホームヘルプサービスは、不時の疾病、傷害等 のため家
的責任」 とい う因子が高いことも合点のい く結果である。
事を処理す る人が通常の家事業務を行 うことが困難 とな
考
その後、昭和3
0
年代 に入 り、人 口の都市集中や核家族化
った場合に派遣 された、一部の市町村 による事業だ った。
察
今回明 らかになった調査結果を個々について検討を加 .
9
に伴 う老夫婦世帯や単独世帯 の高齢化 を背景 と して、 1
6
3
年老人福祉法のなかに、「
家庭奉仕 員派遣制度」 が明
えてみ る。
民生委員 は、 自己の活動を 「
相互支援 」「
情緒的関与」
文化 され、現在では所得制限 もな くな り、利用対象者 の
とし、 その活動を基底する社会福祉 に対す る意識 を 「
相
枠 も拡大 している。 このようにホームヘルプサー ビスは
互扶助」「
救済 ・援助」 としていることがわか った。
市町村や国の制度 ・政策か ら発展 して きた。 それ故、 ホ
「
民生委員制度創設 7
0
周年活動強化方策」 において、
ームヘルパーが、社会福祉 とは 「
国の責任 」「市 町村 の
民生委員の三つの性格、三つの原則、七っの働 きが確認
責任」「
制度 ・政策」 といった 「
公的責任」 で理解 し、
されている。つまり、民生委員の三つの性格 とは 「自主
自己の活動 を 「
社会への貢献」 とい うイメージで捉えて
性」「
奉仕性」「
地域性」で、三つの原則 とは 「
住民性」
いるの も理解で きることである。
「
継続性」「
包括 ・総合性」である。七っの働 きは 「
社会
ボランテ ィアは、 自己の活動を 「自己充実」 として捉
相談」「
情報提供」「
連絡通報」「意見具 申」「
調
調査」「
えていた。 しか し、 その活動 を基底す る社会福祉 に対す
整」「
支援態勢づ くり」である1
8
)
。 また、 民生委 員法で
る意識では、「
相互扶助」「
救済 ・援助」「公 的責任」 の
は、民生委員 は、社会奉仕の精神を もって、保護指導に
因子 において、民生委員、 ホームヘルパーよ りも低 い も
当た り、社会福祉の増進 に努める[
第 1条]人であるとな
のとなった。
ボランテ ィアとい う言葉 は、 ウオ ロ [
Vol
o]とい うラ
っている。
l
l
]と同 じ 「
意志 す る」 とい う言葉
テ ン語、英語の[Wi
このような性格、 原則、 働 きをみて も、 民生委員 は
「
地域性」 を重視 し、社会福祉を地域で の 「相互扶助」
か ら派生 した [
Vol
unt
as
]とい う自由意志 を意 味す る言
や 「救済 ・援助」で展開 してい くものであ り、 自らの活
葉か らで きている。 また、 ボランテ ィア活動 は 「ために」
動を援助対象者 との 「
情緒的な関わ り」で 「
相互支援」
(
f
or
) ではな く 「ともに」(
Wi
t
h)す る活動 と言 われて
を してい くといったイメージで捉えることも当然 といえ
いることか らも、 自己の活動 を 「自己充実」 としている
る。
証左 と言え る。
先行研究で示 したように、民生委員 ・ボランテ ィア ・
次 に、 ホームヘルパーは、 自己の活動 を 「
社会への貢
献」 とし、その活動を基底す る社会福祉 に対す る意識を
ホームヘルパーの個 々の社会資源提供者側の機能 のあ り
「
公的責任」と捉えていることが明確 になった。
方を検討 したにす ぎなか った。 しか し、今回の調査 によ
(
1
0
)
栄 ・山根 ・権 ・岡田 ・小帯 ・白樺 :社会資源問での特性の相違
-2
7
1-
特性を も明 らかにす ることである。 た とえ ば、 「ホー ム
って、民生委員 ・ボランテ ィア ・ホームヘルパ ー間での
自己の活動 に対 す る意識、その活動 を基底す る社会福祉
ヘルパー」 を とって も、 シルバーサー ビスなどの企業が
に対す る意識 における違 いが明 らかにな った。
行 うものと公的な機関が行 うもの、住民参加型 の行 うも
のではその意識 に違 いがあ ると考 え られ る。
この ことは、社会資源提供者 間の自己の活動意識 ・社
会福祉意識 にみ られ る特性 の違 いを考慮す ることにより、
第 4に、高度化 ・複雑化す るサー ビス利用者 のニーズ
利用者側のニーズに即 して人的社会資源を適切 に結 びつ
を敏感 に受 け止 め、多元化 ・多様化す る社会資源提供主
けるケースマネージメン ト援助が有効 に機能で きるとい
体か ら、利用者 の立場 に立 ち、本論文で明 らかに した提
え る。今回の研究結果か ら明 らかにな った人的社会資源
供者間の特性 を配慮 して、的確 な社会資源 と結 びっ ける
の うちの民生委員、 ボランテ ィア、 ホームヘルパーの意
ことがで きるケアマネージャーの育成があげ られ る。 1
9
9
4
年1
2
月に出 された厚生省研究会報告書 『新 たな高齢者
介護 シI
xテムの構築 を 目指 してJ
)で は 「高齢者が 自 らの
識 の違 いを考慮す ることによって、要援護者 のニーズに
よ り即 した、 よ りきめの細かい社会資源が提供 で きる。
意思 に基づ き、 自立 した質 の高 い生活を送 ることがで き
たとえば、研究 の目的のところで述べた 「家事援助サ
ー ビス」 のなかの 「
食事」 の支援 にお いて、 「食事 が作
るよ うに支援す ること (
高齢者 の自立 支援 )」 を基 本理
れない」 とい う要援護者 の食生活の問題 におけるニーズ
念 としている19
)
。 この 「質 の高 い生活」 とは、 サ ー ビス
が、「
金銭的な負担を代償 として食事 サ ー ビスが受 けた
を利用す る権利主体 と しての要援護者が複雑 なニーズを
い」 とい う "
提供者 と利用者" の関係 の場合 はホームヘ
みたすために、多様 なサー ビス提供主体か ら最 も適 した
ルパ ーと結 びっ け、「食事 サー ビスを通 じて、 人 と人 と
サー ビスを、 自らが選 び、 自 らが決定 し利用す るがで き
の暖かい関わ りを望み、隣近所 とのつ きあいをよ くした
ることに他な らない。要援護者 のニーズに見合 ったサー
い」 とい う場合 は、民生委員 とつ なげる。 ニーズが 「
相
ビスを、的確 に、適切 に、迅速 に提供す ることが、 よ り
手 に負担 をかけず、対等で、気楽 な気持 ちで食事 を頼み
要援護者の自立 とQOLの向上 につ なが り、 安心 して、
たい」 とい う場合 はボランテ ィアにつなげることが具体
充実感 あふれ る在宅生活を継続で きる要件 になるといえ
的 に考 え られ る。
る。 このためには、利用者 の ニーズに鋭敏であ り、かつ、
ニーズに合致 した社会資源を即刻提示で きるケアマネー
ジャーが不可欠 である。
今後の課題
具体的に、 まず、 ケアマネージメ ン トのアセスメ ン ト
今回の調査結果 を踏 まえ、今後 の課題 を検討 してみた
段階では、要援護者 の情緒的 な面 を もアセスメ ン ト項 目
い。
第 1に、今回の調査で再検討すべ き点 として、「
性別」、
を加えることが必要 である。今回例示 した 「
食事の支援」
「
年齢別」 とい った基本属性 と 「自己の活動 に対 す る意
において、単 にサ ー ビスのみ を調 整 す るの で はな く、
識」 と 「
社会福祉 に対す る意識」 における関連性 の有無
「
金銭的な負担 を代償 と して食事 サー ビスが受 けたい」
を明確 にす る必要 がある。「
性別」 で は、 民生 委 員 は圧
のか 「食事 サー ビスを通 じて、人 と人 との暖かい関わ り
倒的 に 「
男性」が多 く、反対 に、 ボ ランテ ィア、 ホーム
を望み、隣近所 とのつ きあいをよ くしたい」 のか、 ある
ヘルパーに関 して は 「
女性」が多 い。「年 齢 別」 で は、
いは 「
相手 に負担 をか けず、対等で、気楽 な気持 ちで食
民生委員で は 「
6
0
歳以上」の占め る割合が 9割近 くある。
事 を頼みたい」 のか、要援護者 の観点か らみた社会資源
ホームヘルパ ーは、 「
3
0
歳代」「
4
0
歳代」で全体の 9割近
に接合す るためには、情緒的な側面 を考慮 したアセスメ
くを占め、 ボ ランテ ィアでは 「
6
0
歳代」が最 も多 く 3割
ン トが必要であ る。次 に、 ケア計画段階で は、今回の研
近 くある。 このよ うな属性 と、「自己の活動 に対 す る意
究 テーマである社会資源提供者 側 の意識面 の違 いに も配
識」 と 「
社会福祉 に対す る意識」 において、関連 がある
慮を加えることが、 よ りきめ こまやかなケア計画 の作成
のか再検討す る必要 がある。
とな り、適切 な社会資源を提供 で きることになる。
第 2に、社会資源提供主体の対象をさ らに広 げ ること
で、 それぞれの社会資源が有 している意識面での特性 を
本研究 は、平成 7年度厚生 省科学研 究費 ・長 寿科学
明 らかにす ることがあげ られ る。今後、社会資源提供主
総合事業 による 『
高齢化社会 を支 え る住民福祉力 に関す
体が ます ます多様化す るなかで、今回調査対象 と した枠
る研究 (
代表 白樺政和 )
』 の一部 と して実施 した もので
をよ り広 げ、機能面 ばか りでな く、意識面での特性 の違
あ る。
いを明 らかにす る必要がある。
第 3に、設置母体 の違 う同一職種 における意識面での
(
l
l
)
-2
7
2-
人間福祉学科
態調査』、 1
9
9
4
年。
l
l
)全国社会福祉協議会 『平成 4年度住民参加型在宅福
参考文献
祉 サー ビス調査報告書』、 1
9
9
4
年。
1) 白樺政和 『ケースマネージメ ン トの理論 と実 際山
中央法規、 1
9
9
2
年。
1
2
)全国社会福祉協議会 『老人福祉施設 にお ける企業 ボ
ランテ ィアの可能性 について』、 1
9
9
2
年。
1
3
)職域 ボ ランテ ィア開発委員会 『職域 ボ ラ ンテ ィア活
動 の現状 と課題』、 1
9
9
0
年。
1
4
)神奈川県 ホームヘルプ協会 『ホームヘル プサー ビス
2)上野谷加代子 「日本の在宅 ケア第 1章 」『明 日の高
齢者 ケアNo2』中央法規出版、 1
9
9
3
年。
3)古川孝順他 「民生 ・児童委員活動 の実態 と今後のあ
り方 に関す る調査」『日本社会事 業大 学社 会事 業研究
所年鑑』No
2
6
、1
9
9
0
年。
につ いての実態調査
Ⅰ』
、1
9
8
4
年、『ホームヘルプサ ー
ビスにつ いての実態調査 Ⅱ』、 1
9
8
8
年、『ホームヘルプ
4) 全国民生委員協議会 ・全国社会福祉協議会 『
地域福
サー ビスについての実態調査 Ⅲ』、 1
9
9
2
年。
祉 の推進 と民生委員 ・児童委員の役割 とあ り方委員会
報告』
、1
9
9
1
年。
1
5
)横浜市民生局 (財)横浜市 ホームヘルプ協会 『横浜
市 ホームヘルプサ ー ビス調査研究 事 業報告 書』、 1
9
9
1
5) 東京都民生委員連合会 『東京都民生委員 ・児童委員
9
9
0
年。
活動実績 とその事例 一第 6集 -』、 1
年。
6) 大阪市民生委員児童委員連盟 『大阪市民生 ・児童委
1
6
)東京都民生局 『東京都 古
.
=おけるホームへルパ -等訪
員意識調査報告書』、 1
9
9
0
年。
問サー ビスのあ り方 につ いて (ホームヘル プサ ー ビス
の充実 のために) 一最終報告書 -』、 1
9
9
1
年。
7) 大阪府民生委員児童委員協議会連合会 『
民生委員児
童委員活動強化方策基礎調査報告書』、 1
9
9
5
年。
1
7
)北海道市町村振興協会 『北海道 の地域福祉 をすす め
るために』、 1
9
9
3
年。
8) 堺市民生児童委員協議会連合会 『民生委員児童委員
9
9
5
年。
の活動 に関す る調査報告書』、 1
1
8
)大阪市民生局 大阪市民生委員児 童委 員 連 盟 『平 成
7年度民生委員 ・児童委員の手引 き』、 1
9
9
5
年。
9)全国社会福祉協議会 ・全国 ボランテ ィア活動振興セ
1
9
)厚生省高齢者介護対策本部事務局監修 『新 たな高齢
ンター 『
全国 ボラ ンテ ィア活動事情 一全国 ボ ランテ ィ
ア活動実態調査報告書』、 1
9
9
4
年。
者介護 システムの構築 を 目指 して∼高齢者介護 ・自立
支援 システム研究会』ぎ ょうせい、 1
9
9
5
年。
1
0
)大阪府福祉部福祉政策課 『ボ ランテ ィアグループ実
Summar
y
Thec
ur
r
e
nts
t
udy c
l
a
r
i
f
i
e
st
hes
o
c
i
a
ls
upp
o
r
ta
c
t
i
v
i
t
i
e
sa
nd t
hei
ma
get
owar
ds
oc
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