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Ⅴ - 経済産業省

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Ⅴ - 経済産業省
5.まとめ
5.1.光ディスクのリサイクルの可能性
5.1.1.現在の再利活用状況のまとめ
記録型、再生専用型製造における製造不良品、流通における不良在庫品、レンタル業に
おける不要品として、再生利用可能なある程度まとまった量として、2009 年基準で、約 8,
660 トンの排出光ディスクがあると推定した。
記録型光ディスクと再生専用型光ディスクの生産では、約 29,300 トンのポリカーボネー
トが光ディスク製品となり、生産に際して 5,860 トンのポリカーボネートに相当する廃棄
ディスク等が排出されたと推定した。この中で透明廃棄品が 1,870 トン、機能膜付廃棄品
が 3,990 トンあり、それらはいずれもすべて再利活用されたと推定される。
国内市場に出回ったものは輸入品も含めて、記録型でポリカーボネート量にして 22,464
トンあり、一方、再生専用型光ディスクはポリカーボネート量で 16,000 トンと推定した。
記録型光ディスクの場合には、使用後にまとめて排出され再利用されている例は見つか
らなかった。かなりの量が事業所や家庭にストックされているものと思われるが、少量単
位で排出され、産業廃棄物や一般のゴミ焼却・埋め立てに回されるものが相当量あると推
定される。
再生専用型光ディスクからは、2,800 トン程度のポリカーボネートに相当する排出ディス
クがまとめて排出され、再利用されているものと推定した。ここでも市場に出回った数量
は多く、まとめて排出されたもの以外に、かなりの量が家庭内等にストックされているも
のの、一部、少量単位で排出され、一般のゴミとして埋め立てや焼却処分にされているも
のと考えられる。
回収された 8,660 トンのポリカーボネートに相当する排出ディスクのうち、1,510 トンの
ポリカーボネート(=排出ディスクリサイクル原料)が排出者(光ディスク製造事業者)
のグループで自家消費され、2,020 トンのポリカーボネート(=排出ディスクリサイクル原
料)が再生ポリカーボネート業者にて再生ポリカーボネートの原料となったものと推定し
た(一部は、ポリカーボネート樹脂メーカーのエコ・グレードの原料となった)。
燃料化された 115 トンと焼却に回った 60 トンを除く、残りの 4,955 トンは輸出(主に中
国向け)され、輸出先で機能膜剥離・精製後、再利用されたものと推定した。
以下、それぞれの事業者における排出状況についてまとめた。
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プレス事業者における製造不良品について
1)製造不良品として、2,200~2,800 トン/年程度が発生すると推定される。
2)製造不良品、射出成形時のスプルーロス、ロット切り替え時のロスなどが不良品として
排出される。
3)製造不良品の排出に関しては、引き取り時に再生業者が買い取る市場が形成されている。
4)これらのうち記録層を貼り付ける前のバージン樹脂に近い、射出成形時時のスプルーロ
ス、ロット切り替え時の発生ロスなどの透明品が、製造不良品に対して、高値で取引さ
れている。
5)国内のプレス事業者と海外の業者の役割がある程度役割分担化している。
・音楽、映像のディスク製造(スタンピング)は国内が多い。アプリケーション、雑誌
付録、成人向けは
海外(台湾)でのスタンピングが多い。
・量が少なく、納期が短いものは、国内生産。音楽CDなど。量が多く、納期が遅いも
のは、海外生産が多い。
6)今後、再生専用型 CD/DVD の市場が減少し、一方で、BDの市場の伸びが期待される
が、製造装置が高いことなど、新規設備投資が大手に限られている状況にある。
流通における不良在庫品について
1)不良在庫品として 1,900 トン/年程度が発生すると推定される。
2)多いのは、出版における返本、映像 DVD、レコード CD などの不良在庫である。
3)不良在庫品の排出に関しては、引き取り時に再生業者が買い取る市場が形成されている。
4)排出時の記録の消去方法、消去事業者は、それぞれの業界・事業所で異なっている。
5)書籍雑誌添付 CD 等の返本では、CD・DVD に穴を空けて、排出を行っている場合があ
る。
6)分別については、パートタイマーが手作業で実施している場合もあるが、さらに人件費
の安いボランティア施設や作業施設などの利用も行われている。情報の内容にもより、
適用されない場合もある。例えば、成人向けや映画などパートタイマーの方が好まれる
場合がある。
7)書誌雑誌添付CD等のように時間あたりの処理量が多い場合、廃棄物の滞留を嫌って、
コスト以外にも滞留しないように引き取りの迅速さを優先して、処理業者を選定してい
る例もある。
8)業種によって、廃棄物の内容、処理量、処理の迅速さなどにより処理への要求が異なっ
ている。それぞれの業種によって、処理業者との関係が形成されている。
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レンタル業などにおける不要品について
1)レンタル業特有のレベニューシェア方式による不要商品の廃棄が行われており、560 ト
ン/年程度の処理量がある。
2)その他に中古品の廃棄が行われている。
3)排出時の業者の選定は、映像メーカーやタイトルの違いにより、焼却になったり、リサ
イクルになったりする。処理方法の選択は、所有者である映像会社からの指示による。
4)焼却が一番高く、リサイクルはその 1/4 程度のコストである。この場合、廃棄物とし
てレンタル業者が処理業者に処理費用を支払っている。
5)処理業者にて、分別・廃棄などを行い、廃棄証明書を発行している。
6)著作権については、CD・DVD の情報だけでなく、紙タイトルなども該当している。
企業事業所からの R 系ディスク、家庭からの排出における不要品について
1)両社の場合には、複数の種類のディスクの混合物として廃棄される可能性が高い。この
場合、各ディスク(CD、DVD、BDとそれぞれの規格、また、ハードコートの有無な
ど)、それぞれの最適な処理方法が異なるために、分別を行って、単品として再生処理
をする必要がある。
2)そのためには、フォーマットの違いを気にしない処理方法を選択するか、或いは、回収
後の分別を容易にするシステム作りが必要である。
3)例えば、それぞれのフォーマットや製品の規格に関する情報を表示して、瞬時に分別で
きるようなシステムを構築することが考えられる。
4)或いは、コストが高くなるが、ポリカーボネート分子レベルで溶解をして、回収するな
どのシステムが必要であると考えられる。
5)また、記録型ディスクでは、銀が記録層に含まれていることから、回収を想定したシス
テムの構築も考えられる。
6)R 系ディスクについては、記録媒体として、公文書など紙から光ディスクへの移行など
の社会的な動きもあり、今後、流通量や廃棄量が増加する可能性もある。
69
5.1.2.再利活用拡大の可能性
ディスク to ディスクとして、光ディスクに再利用できれば、直接的な材料の循環使用と
して、望ましいものであるが、前述したように、解決すべき課題が多い。
DVD ダミー板への採用ができれば、
記録用、再生用合わせて約 9,000 トンの需要があり、
直接的な材料循環利用の一つとなるが、これも前述したように解決すべき課題が多い。考
えられる課題としては、
・ある銘柄のバージンポリカーボネートによる記録読み取り面と、外部から購入する排出
ディスクリサイクル原料からの再ペレット化品によるダミー板を貼り合わせた際の反り
の発生
・排出ディスクリサイクル原料からの再ペレット化品に残る微量の不純物による記録面へ
の悪影響の有無
といった検討が必要である。ただし、DVD ダミー板への排出ディスクリサイクル原料から
の再ペレット化品の使用は、一般のディスク to ディスクよりは、技術的なハードルが低い
面もあると考えられる。従って、何らかのインセンティブあるいは規制があれば、採用が
進む可能性がある。現状の排出ディスクリサイクル原料からの再ペレット化品として 720
トンが使用されているが、大幅に再生利活用量を増やせる可能性がある。
ガラス繊維強化ポリカーボネート(PC/GF)やポリカーボネート/ABS アロイ(PC/
ABS)等のコンパウンド原料として、排出ディスクリサイクル原料が活用されているが、
今後も進展するものと思われる。また、地球環境保全の観点からも重要な用途である。
これらの PC/GF、PC/ABS コンパウンドに使用できる排出ディスクリサイクル原料の
使用比率は、コンパウンドの最終的なポリカーボネート分子量、必要物性に影響を与える
度合い等によって異なるが、コンパウンド全体の 10~30%程度となっている。
2008 年には、国内で PC/GF が 11,000 トン、PC/ABS が 86,000 トン、合わせて 97,000
トンの需要があったと推定され、この 10%に排出ディスクリサイクル原料を使用すれば
9,700 トン、30%に使用すれば 29,100 トンの排出ディスクリサイクル原料が使用されるこ
とになる。
この用途でも、何らかのインセンティブあるいは規制があると、排出ディスクリサイク
ル原料の使用が現状の使用量である 800 トン程度から大幅に増加する可能性がある。
PC/GF、PC/ABS 以外のコンパウンドには、排出ディスクリサイクル原料を利活用す
る用途は見あたらない。ただし、PC/GF、PC/ABS 以外のポリカーボネートコンパウン
ドの需要量は 2008 年で 16,000 トン程度2と見られ、大きな影響は無いと考えられる。
排出ディスクリサイクル原料は再生ポリカーボネートの原料としても使われている。
2009 年に 24,000 トンの再生ポリカーボネートが生産されたと推定され、この用途に 2,000
トン近くの排出ディスクリサイクル原料が原料として使われたものと推定される。しかし
2
コンパウンド市場の展望と世界戦略
2010(富士経済)
70
ながら、この再生ポリカーボネートは生産量の 8~9 割は輸出されており、国内での資源の
循環利用にはあまり貢献していない。ほとんどのユーザーが高機能エンジニアリングプラ
スツックスとしてバージンポリカーボネートを求めるため、国内には再生ポリカーボネー
トの市場が育っていない。
文具では、グリーン購入法により再生プラスチック使用の規定があり、再生ポリカーボ
ネートが使われている。インセンティブあるいは法規制があれば再生ポリカーボネートの
使用が進むと考えられる。具体的には、グリーン購入法の対象分野拡大、再生プラスチッ
ク使用の強制等が考えられる。
現状では、再生ポリカーボネートの 1~2 割が国内で使用されているので、排出ディスク
リサイクル原料の国内向け使用量は 200~400 トンと推定される。この用途にインセンティ
ブ等で新たな市場が加われば、排出ディスクリサイクル原料の使用増が期待できる。
再生ポリカーボネートの使用が進めば、国内にリサイクル市場ができあがり、海外に輸
出されるよりも、国内での需要が拡大する。それに伴い、現在機能膜付の状態で大量に輸
出されている排出ディスクも、国内で機能膜剥離・精製されるようになる可能性がある。
排出ディスク再利活用の現状と拡大の可能性を図 29 に示す。なお、まとまって排出され
る量は、ヒアリングに基づいてMCTR にて推定した数字を使用した。
再利活用状況
光ディスク国内出荷量 廃棄ディスク量
(ポリカーボネート量として) (まとまった排出量)
記録用
22,500
再生専用
16,000
再生自消
1,510
透明品
1,870
国内再生メーカー
2,020
機能膜付品
6,790
海外で使用
4,955
燃料化
115
合計
38,500
図 29
焼却
60
合計
8,660
合計
8,660
光ディスクリサイクルの可能性
(2009 年基準データをもとにMCTR 作成
単位:トン/年)
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可能性のある国内市場
DVDダミー板
9,000
PC/GF,PC/ABS原料
9,700~29,100
文具他
200~
400+α
合計
18,900~38,500+α
5.1.3.再利活用拡大のための問題点
再生材使用の市場の拡大を図ることがまず求められる。このためには、前述したように
インセンティブ、再生材使用の推奨、あるいは法規制が必要であろう。
記録型光ディスクの廃棄品の回収、家庭からの排出ディスク(記録型及び再生専用型)
の回収が進んでいない。これらについては、「いかに集めるか」、「集めた後のディスク
の区別をどう行うか」の 2 つの課題がある。
「集める」ことに関しては、現在細々と行われているメディア回収ボックスのシステム
を拡大すること、スーパー・コンビニ・家電量販店等に回収ボックスを設置すること等が
考えられる。大々的に行うには「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する
法律」(=容リ法)にて、PET ボトルを含む容器包装材が集められているように、法規制
の策定が必要であろう。
次に、排出ディスクの機能膜剥離・精製には、ディスクの種類毎に区別されていること
が必要である。CDと DVD、ROMと R と RW、ハードコートの有無等が区別されている
と薬品処理による機能膜剥離がやりやすくなり、区別されていないと機能膜剥離がほとん
ど困難という場合もある。現在まとめて排出される排出ディスクは、ほとんどそれらが区
別された状態で排出されている。つまりディスク製造段階から出る排出物は素性が分かっ
ており、市場に出回った後の排出ディスクも、まとめて回収されるものは排出者のところ
で素性が把握されている。一方、事業所や家庭から排出される排出ディスクは種々のディ
スクの混合品であり、回収した場合に目視では判別できず、区別が困難である。このため、
区別するための方法を検討する必要がある。
例えば、ディスクの種類を明確にするための記号を円板に成形時に刻印する、とか印字
するという方法が考えられる。
ROM
HC有
HC無
R
HC有
HC無
RW
HC有
HC無
ROM
HC有
HC無
R
HC有
HC無
RW
HC有
HC無
CD
廃棄ディスク
DVD
BD
図 30
排出ディスク回収後の区別(注:HC=ハードコートの略)
72
一方、最初からCDと DVD、ROMと R と RW、ハードコートの有無等の区別を必要と
しない再生処理技術の開発といった方法も考えられる。
光ディスクの市場が縮小傾向にあるという問題もある。リサイクルシステムを完成させ
ても、まとまった廃棄ディスクの排出が激減しているという恐れもある
記録型光ディスクの生産では 2007 年の 1,595 百万枚をピークに縮小に転じ 2009 年には、
対 2007 年比:35 %減の 1,034 百万枚となった(年率 20%減)。
音楽用CD・DVD は 2000 年のCD:414 百万枚から、2009 年にはCD・DVD 合わせ
て 269 百万枚まで減少し、年率約 5%の減少となっている。
映像用 DVD・BDも 2005 年の DVD:110 百万枚をピークに 2009 年は DVD・BD合わ
せて 87 百万枚と年率 4.5%の減少となっている。
一方、記録型光ディスクについては、記録媒体として、公文書など紙から光ディスクへ
の移行などの社会的な動きも起きている。このような用途が拡大していくようであれば、
今後、流通量や廃棄量が増加する可能性もある。
5.1.4.再利活用拡大のための条件
まず(3)項で述べた市場、回収、区別の諸課題が解決されることが必要である。
次に、排出ディスクリサイクル原料の品質がある程度のレベルに達していることが必要
であり、主な要求品質としては、
・分子量が安定していること、±1000 程度に納まっていること
・異物が入っていないこと
があげられる。
さらに、価格がバージン材より十分に安価であることが必要である。再生ポリカーボネ
ート使用のインセンティブや規制の程度により必要な価格差は変わってくるが、一例とし
て、
・バージン材市況マイナス 50~100 円/kg
で排出ディスクリサイクル原料が販売できれば市場が広がって来るものと思われる。
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5.2.リサイクルに向けた提言
調査結果にもとづき、リサイクルに向けた提言を以下に記載する。
2009 年基準の光ディスクの記録型及び再生専用型の「製造不良品」、「流通在庫品」、
「レンタル業などにおける不要品」としての排出量としては、8,300~8,700 トン/年程
度の量がある。
特許情報及びヒアリング結果にもとづくコスト試算結果から、1,000 トン/年の処理製
出量の場合に、切削剥離処理法(含むPケース)で 304 円/kg、薬品洗浄処理法(含む
Pケース)で 328 円/kg程度であり、新品の原料価格(約 330~350 円/kg-2011 年
1 月現在)と比較しても、処理操作の合理化などを行うことで、コスト的には処理が可能な
範囲にあると考えられる。また、この数値は、データ消去処理、分別処理などを処理数量
の 100%に適用した場合の数値であり、実際の処理コストはさらに低減が可能であると考え
られる。(データ消去、分別、Pケースの分を除くと切削剥離処理法で 94 円/kg、薬品
洗浄処理法で 145 円/kgとなる。)
従って、リサイクルを推進していくためには、数 100 トン/年~3,000 トン/年程度の
処理設備を国内で数カ所持つことで、国内でのリサイクル処理が可能であると考えられる。
ただし、一方で、リサイクル処理を行う上で幾つかの考慮するべき点がある。
①記録型、再生専用型の製造業者では、製品の品質の問題から、リサイクル原料よりも新
品の原料を好む傾向がある。
②再生専用型の製造や流通においては、製品の所有権や著作権などの問題があり、記録さ
れた情報の取り扱いに注意した処理対策(処理場所、処理方法、処理の証明など)が必要
とされる。また、業種毎に再販制度などの商習慣上の違いがあり、それぞれの業界にあっ
た処理システムを考える必要がある。
③海外では、リサイクル原料に対するスペックが甘いことがあり、国内のように厳密な処
理が必要ではなく、低コストで処理したものでも商取引の対象になり、国内処理品では価
格競争力が低くなっている。現状は、海外に輸出されている量が全体の 6~8 割あると推定
される。特に、再生専用型は、海外輸出比率が高いと推定される。
④再生専用型光ディスクの需要量が減少傾向にあり、BD については市場の立ち上がりがま
だである。一方、記録型光ディスクでは、記録物の紙から電子媒体への移行の可能性もあ
り、流通量が増加し、リサイクル対象の光ディスクの内容が変化していく可能性がある。
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これらを取り進めていく上での方策として以下のことが考えられる。
①記録型、再生専用型の製造業者において、DVD ダミー板のような部分にリサイクル原料
を利活用していくような自主的な取り組みや行政主導でのリサイクル使用を促進する施策
を実施するとともに、リサイクル品使用の啓発活動を行う。米国の主導で行われている
EPEAT(Electronic Products Environmental Assessment Tool)規格なども参考となる。
特に、リサイクルを行う拠点を国内数カ所で運営できるように処理を実施する担い手の
企業を育成し、設備投資面での補助金や資金調達における優遇策の検討。
また、光ディスク以外の用途としてガラス繊維強化ポリカーボネート(PC/GF)やポリ
カーボネート/ABS アロイ(PC/ABS)等のコンパウンド原料などへの利活用を促進する。
②再生専用型の製造や流通において、製品の所有権や著作権などの問題、業種毎の再販制
度などの商習慣上の違いなどを統一的に取り扱う横断的な組織などを設けて、それぞれの
業界の特徴にあった処理システムを処理対策(処理場所、処理方法、処理の証明など)と
して立案・構築すると同時に横断的に対応するような実行組織が必要であると考えられる。
③排出された光ディスクが、海外に流出しないためには、国内のリサイクル品の利活用を
促進する啓発活動を行うとともに国内で利活用する事業者を優遇する補助金や税制面での
優遇策などの施策的な対策の実施を検討。
④光ディスクの需要の変化に対しては、今回の調査対象外であるが、一般家庭や企業にス
トックされており、一般廃棄物として処分されている記録型光ディスクのリサイクルにつ
いても検討を行うことが考えられる。PET ボトルや使用済みトナーインクの回収などで実
施されているリサイクル拠点の設定などを考慮すべきである。
一方、一般家庭や企業にストックされている記録型光ディスクの回収の場合には、効率
的なリサイクル処理を行うためには、最初からフォーマットの違いを気にせず処理出来る
技術を選定すべきである。また、メディアの違いやハードコートの有無にも着目した分別
を行った上での処理が必要であり、システムを構築する必要がある。
ポリカーボネートの需要は伸びており、CD/DVD などの光ディスク以外のポリカーボ
ネート製品の処理についても考慮して検討対象とする。例えば、高速道路透明フェンス、
大型薄型 TV の導光板及び自動車でのカーナビ部品などのポリカーボネート製品で、将来的
に洗浄・再生処理が必要な製品などにも適用できる技術開発を行うことも考えられる。
なお、国内におけるリサイクルシステムの構築は、海外での処理に伴う環境問題の発生
(外部不経済)の防止や将来的に海外での需要が低下した場合のリスク分散といった意味
でも重要である。また、家庭にストックされている不要光ディスクのストック量を把握し
て、きちんとリサイクルに誘導していくことなどの課題も提起される。
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