Comments
Description
Transcript
投資戦略コメント - Northern Trust
投 資 戦 略 コメント 今 後 5 年 間 の 見 通 し:2 0 1 3 年 版 ノー ザ ン・トラスト・キャピタル・ マ ー ケット・アサンプ ション 作 業 部 会 のプ ロ セス 毎年、 ノーザン・トラストのキャピタル・マーケット・アサンプ ション作業部会(CMA)が招集され、 そこで景気や金融市場 のリターンに関する長期予想が策定される。 これらの予想は、 「過去を踏まえつつ将来を見据える」ためのものである。 こ れは、弊社が各種資産クラスおよびクラス間の過去のリスク、 リターン、相関性の関係を理解した上で、今後そうした関係 が過去のトレンドとどのように異なりうるか、およびその理由 を予想しようと努めていることを意味する。CMAが毎年挙げ る一連の投資テーマには、かかる見通しが凝縮されている。 またこうした「過去を踏まえつつ将来を見据える」 という考え 方に基づき、弊社の基本的な予想も組み立てられている。 CMAは、今後5年間のリターン予想を策定する他に、弊 社の運用チームが見極めた特定のリスクも検討している。 リ ターンとリスクに関する予想および他のポートフォリオ構築 ツール(標準偏差、相関等)に基づいて、 ノーザン・トラストが 運用する全ポートフォリオ向けに推奨する戦略的資産配分 が毎年見直しまたは更新されている。 目次 概要 2 今後5年間の投資テーマ 3 今後の見通し 4 過年度の分析 8 債券 10 キャッシュ 11 ダニエル・J・フィリップス、CFA 投資ストラテジスト 株式 12 [email protected] 実物資産 13 コモディティ 13 オルタナティブ投資 14 オルタナティブ投資内のリターン格差 15 添付書類1: 債券のリターン予想 16 リスク資産のリターン予想 17 添付書類2: 世界の株式によるリターン獲得機会 18 添付書類3: キャピタル・マーケット・アサンプション作業部会 19 ノーザン・トラスト・ グローバル・インベストメンツ 住所:50 South La Salle Street Chicago, Illinois 60603 northerntrust.com ジェームス・D・マクドナルド 主席投資ストラテジスト [email protected] ピーター・J・フラッド キャピタル・マーケット・アサンプシ ョン委員会委員長 [email protected] フィリップ・B・グラント 投資アナリスト [email protected] northerntrust.com | 今後5年間の見通し | 1 of 20 概要 今年のCMA会議は、世界の株価の過去1年間の上昇率が20%に達した直後で、投資家が米国連邦準備制度理事会 (FRB)の超緩和策の余命を危ぶみ始めた頃に、開催された。2012年のCMAの予想は、各国の中央銀行による大規模 な景気支援の継続が予想されたこと、および当時それらの政策が早々と打ち切られるとは考え難かったこと (現在でも、 必ずしもそうとは思われない)を大きな拠り所としていた。2013年のCMAの予想も、世界経済の成長が徐々に回復する という昨年の見通しを踏襲しており、政策金利は予想期間を通して過去の平均を大きく下回る水準にとどまる、 という 考えにも変わりはない。各国の中央銀行は依然として、大胆な取り組みによって健全で持続可能な経済成長を実現し、 さらに重要なことに、最終局面における金融緩和策の段階的縮小を効果的に運営できる、 となかなか実証できずにい る。 これらは新たな不確実要素で、金融市場を通じて取り沙汰される結果、ボラティリティが上昇すると予想される。 他方、政治的背景は今後も引き続き波乱含みなものの、政府が実際に採る政策は驚くほどこれまでと変わらないと 思われる。議会が分裂している一方、予算が限られていることは、今後も金融政策が主要な景気回復策であり続けるこ とを意味する。2012年以降、米国と中国の景気は、国民と議会内の支持を維持するのに「十分なほど好調」に推移してい るが、他国の経済成長を生み出すほどの力はない。 こうした状況に際し、他の先進国は景気回復を目指した新たな戦 略と行程表を盛り込んだ「軌道修正」に着手している。 その実例が、欧州の緊縮財政の緩和や日本のアベノミクスである。 これらの政策が成功すれば、世界経済成長の原動力がG-2からG-5に増える可能性がある。 また、 インフレ率は潜在的に それほど上昇しておらず(実質インフレ率は現在小幅プラス) 、 さほど厄介な状況にもなっていない(ディスインフレが 引き続き浸透)ため、弊社のインフレ率予想を昨年の値から下方修正した。 金融資産価格の上昇と世界経済の情勢が昨年と異なっていることは、特筆すべき点である。債券市場は今後も引き 続きファンダメンタルズ以外の要因に主に左右され、株式は売上高の構成(必ずしも出身国別の構成と同じではない) とポートフォリオ内で当該銘柄が果たす役割に基づいて判断されると思われる。 図表1:まだ通常の状態に戻っていない 各種資産クラスの今後5年間の見通し 債券 総じて、債券のリターン予想を昨年の値から若干上方修正した。弊社は言われているような金利上昇環境になるとは考え ていないが、 スポットレートには既に織り込まれている。 スプレッド縮小が金利上昇を相殺していることを理由に、社債型 の資産クラスのリターン予想は概ね据え置きとした。 株式 バリュエーションが予想よりも短期間で上昇したため、株式のリターン予想を昨年の値から下方修正した。ただし新興国 株には、バリュエーション格差と今でも高い成長性を鑑みて、妥当な水準のリスク・プレミアムがつくと予想する。 実物資産 インフレがそれほど懸念されなくなったと思われること (ただし市場のインフレ予想は低すぎる可能性がある)を理由 に、実物資産のリターン予想を昨年の値から下方修正した。中国が消費主導型経済への転換を進めているため、今後も 引き続き実物資産の伝統的な関係に影響が及ぶと思われる。 オルタナティブ 投資 プライベート・エクイティには、引き続き流動性プレミアム (対上場株式) を加味した。 ヘッジファンドに関しては、平均リターン予想をやや下方修正した。マネジャー間のリターン格差は、 この非伝統的な資産 クラスにおけるマネジャー選定の重要性を浮き彫りにしていよう。 northerntrust.com | 今後5年間の見通し | 2 of 20 今後5年間の投資テーマ 政治は不安定ながら政策は安定 政治について大言壮語が並び立てられたにもかかわらず、投票で示された民意(およびそれに伴い、政府の政策で具 現化された民意)は、驚くほどそれまでと変わっていない。 こうした展開は、若干分裂した議会、政府の財政難、それでも いまだに大盤振舞いの社会的セーフティーネットの産物と言えよう。政治が実質的に左翼化または右翼化しない限り ( 我々はどちらも予想していない)、各国の中央銀行(および選挙で選ばれていない政府高官)は経済成長への道筋を再 建することが主な仕事になろう。 脱緩和策の進展に伴い、市場のボラティリティが上昇 金融危機により、各国の中央銀行は、危機の後に残された問題に対処するための新たな金融政策手段の開発を余儀 なくされた。参考にできる量的緩和策の先例が少ない中、 これらの中央銀行は、緩和策解消プロセスに着手した時に、 未知の不確実要素や問題に直面する羽目になろう。他方、投資家は、現在の金余りの市場から軟着陸するための明確 な案内図やコミュニケーションが必要になると思われる。出口プロセスは容易いものではなく、 また緩やかに進められ る公算が大きいが、それはリスク指標やボラティリティ指標の上昇を意味する。 財政面の逆風により軌道を修正 中央銀行がもたらした猶予時間と超低金利を活かして、難しい労働市場や社会保障制度の改革に踏み込んだ政治家 は少ない。財政再建に成功した国と再建が進んでいない国の差が開けば、当該する国、地域、および世界全体の将来 の経済成長にも大きく影響する。重要なことに、後者になる代償をよく分かっている国ほど、予想外の軌道修正を行っ ている (日本等) ことから、長期的には世界経済成長の原動力が(G-5に?)増える期待が高まっている。 G-2:金融政策による景気支援を変更 米国と中国というG-2両国で、政権の顔ぶれ、目標、行程表が変わって、金融政策や経済成長の方程式も変更されたこ とから、投資家は今後の金融政策による景気支援の程度、期間、および恩恵を再検討している。長期的には、 これらの変 化によって両国の経済成長見通しが一層確かなものになるだろうが、その反面、他の先進国における期待外れの回復 状況、および世界経済が危機前の成長率を取り戻す上での問題点が浮き彫りになっている。 資産クラスのボーダレス化 資本市場のグローバル化および企業の多国籍化を背景に、 グローバルな資産配分方法の肯定論が引き続き広がって いる。今後の資産配分では、発行体の国籍はそれほど重視されなくなり、むしろ如何に個々の資産を組み合わせて、釣 合の取れる形のリスクに対して具体的なエクスポージャーを取れるか、 といった点により多くの関心が集まるだろう。 ポートフォリオ全体で利回り追及 投資家は伝統的な債券を中心とする資産クラスに満足していないことから、幅広い資産クラスを組み入れたポートフォ リオで利回りを獲得するという総力型の現代的な手法の採用が増えるとみられる。その結果、意図的ながらも従来以上 に賢明にリスク増加を想定するようになろう。場合によっては、 こうした新しい手法が伝統的な資産配分の枠組みや旧 来のリスクまたは規制上の制約になかなかそぐわないこともあろうが、高利回り重視型の商品やソリューションを切望 する投資家の思いが、かかる障害も乗り越えさせ、技術革新の限界を押し広げると予想される。 インフレ率はそれほど上昇しておらず、さほど厄介な状況にもなっていない インフレ率は依然として低く、 ここ1年に限れば低下している。中央銀行が最善と考える対策を講じても、インフレ率の 引上げが難しいことは実証済である。だが、各国の中央銀行がインフレ率の引上げと画期的な金融政策手段の継続的 活用にかつてないほど力を注いでいることから、インフレ・デフレ論争は、予想可能な将来にわたって決着がつかない とみられる。 northerntrust.com | 今後5年間の見通し | 3 of 20 今後の見通し 米国の大統領選、中国指導部の交代、 日本の安倍首相の返り咲き、 イタリアを初め欧州で相次いで行われた総選挙な ど、 ここ1年で政治面に多くの動きがあった。 これらに伴い、いつものように議会内外で論戦が繰り広げられたが、財政難 という金融危機後の経済環境の割に、批判のトーンはそれほど強くなかった模様だ。他方、やや意外なことに、過去1年 間で政治が金融市場に及ぼした影響は、一時的なものにとどまっている。 その一因は、政策が安定した成果を出してい るためである。金融危機で湧き上がったすべての批判に関しては、大半の国が使用している市場経済モデルを変えるよ うな深刻な是正案は出ていない。残念ながら、政策が安定している (すなわち有権者と政治家は現状維持を容認)結果、 先進国では、持続的な経済成長を取り戻すには双方とも不可欠な手続と考えられている労働市場と社会保障制度の改 革がほとんど進んでいない。 しゃにむになっている中央銀行は、政治家の負担を一部肩代わりしてまでも、 ここ1年で金融政策の枠をさらに押し 広げた。そうした中、前面に躍り出てきたのが、大胆な量的緩和策に踏み切った日銀である。だがFRBの方が先行して おり、過去5年間を費やして 「低金利の長期化」は一時的なブームではないことを投資家に納得させた。その経緯は、政 策金利であるフェデラル・ファンド(FF) ・レートの様々な時点における水準と当時の投資家のFFレート予想を示した図 表2で見てとれる。つまり、2009年から2011年までの間、投資家は通常の金利サイクルを予想していただけだったが、 よ うやく2012年にFRBのメッセージを受け止め始めた結果、先物のカーブの勾配が急に緩やかになった。現在の見通し は1年前からの予想を概ね反映したもので、市場は今ではFRBの金融政策の将来の行方を適切に織り込んでいること を示していよう。 図表2:ようやくメッセージを受け止めたか? FFレート先物 2.5 1.5 1.0 FFレート 2.0 0.5 12/08 7/09 2/10 9/10 4/11 11/11 6/12 1/13 8/13 3/14 10/14 FFレート FFレート先物(2011年6月30日現在) FFレート先物(2009年6月30日現在) FFレート先物(2012年6月30日現在) FFレート先物(2010年6月30日現在) FFレート先物(2013年6月30日現在) 5/15 12/15 0.0 出所:ノーザン・トラスト、 ブルームバーグ 金融政策の伝統的な手段の場合、市場はその行方をより的確に理解できるかもしれないが、市場が混乱するのは、非 伝統的な手段の場合である。2013年6月の記者会見で、バーナンキFRB議長がFRBの月額850億ドルの資産買入枠の段 階的縮小を近いうちに金融政策決定会合で決議して開始し、2014年中盤までに完全に打ち切る可能性があると発言 すると、金融市場がこれを金融引締めに向かっていると解釈したため、市場金利が急上昇した。 この顛末から、中央銀 行の政策金利だけでなく、将来の指針、バランスシートの規模、および買入枠に関する決定にも目を配り、それらすべ てが失業率、インフレ率、 または名目国内総生産(GDP)の改善といった目標に繋がっている、 という現在のはるかに複 雑化した金融政策の構図を理解する段になって、投資家が問題に直面することがうかがえる。ただし、ボラティリティが 上昇する可能性があるにもかかわらず、我々は、現在の経済成長軌道を続けるには、今後5年間の大半の期間を通して、 金融緩和策を維持する必要があると考えている。簡略化するため、我々は中央銀行の金融政策を導入期、据置期、出口 期に分けて (すなわち新規緩和策を導入しているか、既存の緩和策を据え置いているか、緩和策を打ち切りつつあるか に分けて)判断している。 これに従うと、主要国の中央銀行に関しては、今後5年間内に出口期近くに達するのはFRBだ けだと思われる。. northerntrust.com | 今後5年間の見通し | 4 of 20 2012年版の本誌では、世界経済成長に対する両国経済の寄与度が計45%近くにのぼる点を鑑み、米中のG-2を大 きく採りあげた。 ここ1年の両国の経済成長は「十分に好調」に推移した。米国は議会と国民が揃ってFRBの超緩和策を 引き続き支持するのに十分なほど好調で、中国も社会の秩序を維持するのに十分なほど好調であった。だが中国の「 十分に好調」な経済成長は、他の新興市場の多くを助けられるほどの力はない。金融市場、特に新興国の株式市場は、 ここ数年でGDP成長率が9%強から7.5%近くに減速している最近の中国経済成長の鈍化を懸念している。かかる鈍化 の主な原因は、政府の腐敗・公費乱用の厳重な取締り、潜在的な住宅バブルの舵取り、 シャドーバンキング(非正規金 融) ・セクターの掌握など、中国新指導部の「新しい方向」への動きにある。 また中国は、 自国経済を消費主導型に転換 するための措置に、 ようやく着手している。図表3に示すように、2011年には過去10年間で初めて消費のGDP成長率寄 与度が投資と輸出の寄与度を上回った。 このような軌道修正で、 より長期にわたって一層安定する代わりに、短期的に は過渡期の痛みが生じる可能性があろう。 図表3:中国の軌道修正 中国におけるGDP成長率寄与度 80 60 50 40 30 GDP成長率寄与度 70 20 10 2001 ■ ■ 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 0 消費 投資および純輸出 出所:ノーザン・トラスト、 ブルームバーグ 注:2012年のデータは第3四半期までの値 中国の軌道修正に加えて、他の主要国経済も同様の修正に着手している。最も顕著な日本は、大胆な金融政策、財政政 策の拡大、構造改革から成る 「3本の矢」政策に着手し、欧州は一部の脆弱な加盟国に求める緊縮財政策を軽減した。 こ れらの経済成長策を受けて、我々は注視する国をG-2からG-5(現在、ユーロ圏、 日本、英国を含めた5ヵ国/地域)に増や した。ただし、 これらの国/地域の経済も様々な問題に直面していることから、経済成長見通しに関する我々の期待は削 がれている。例えば、 日本の政策は有権者に広く支持されているが、生産性は既に高い上、社会の高齢化が進んでいる 反面、女性の社会参加率は低く、移民も少ないというように、人口動態面の見通しは芳しくない。 よって、デフレの罠か ら脱却するにあたり、賃金の上昇と物価上昇予想の浸透が寄与するかもしれないが、見劣りする日本の人口動態により、 潜在的な経済成長率が伸び悩んでいる。欧州の人口動態による足かせは日本よりややましな上、 (ドイツを除けば)経 済競争力や生産性の改善余地は大きい。だが、 日本にせよ欧州にせよ、構造的経済改革が実を結ぶまでには数年かか るとみられる。 これは、如何なる対策が講じられても、その恩恵は我々の翌5年間の経済予想になかなか反映されない ことを意味するが、金融市場は、改革が有益か否かを問わず、GDP成長率で成果が顕在化するよりはるか前に、改革を 織り込み始めると思われる。 northerntrust.com | 今後5年間の見通し | 5 of 20 インフレ率に関しては、世界の3大経済大国のうちの2ヵ国の中央銀行が、黙示的(FRBは、失業率を少なくとも6.5% に改善する取り組みの中で、長期目標である2%よりも0.5%高い水準までのインフレ率を「容認」 している) または明示 的に(日銀は、20年以上続くデフレ・サイクルからの脱却を目的に、現在2%のインフレ率を目指している)、インフレ率 の引上げを目指している。インフレ率引上げを実現すれば、経済成長に寄与するだけでなく、債務負担にも対処しやす くなるとはいえ、 ここ1年で、金融政策だけで継続的なデレバレッジ(債務削減)、一時的な景況感の改善、過剰設備の圧 倒的な影響力をねじ伏せるのが如何に難しいかを目の当たりにした。多くの国では民間の債務削減は進んでいるが、 政府部門の債務(多くの場合、民間の債務の肩代わり)はまだ道半ばである。財政赤字は縮小しているとはいえ高水準 であることに変わりはなく、全体的な債務負担を増やしている。 よって総合すると、大半の先進国はデレバレッジ・プロ セス全体の中盤にさしかかったところにすぎない。設備投資や銀行借入で景況感を測定すると、やや改善しているよう に見受けられるが、GDPギャップで測定した全体的な設備は依然として多い。 これらの影響で、 ここ1年間でインフレ率 が概ね低下している。インフレ率(およびインフレ期待)の低下と最近の金利上昇の相乗効果で、新発10年物ソブリン 債の実質利回りは小幅プラス近辺の水準にある。 図表4:実質利回りが天井を打った インフレ率(%) 実質利回り(%) 6 2 5 1 4 3 0 2 1 –1 0 12/10 6/11 12/11 6/12 –1 1/13 12/12 12/10 6/11 英国 米国 ドイツ 日本 12/11 6/12 12/12 –2 1/13 出所:ノーザン・トラスト、 ブルームバーグ これらの国の実質利回り (現在、米国は0.5%、 ドイツは0.2%、 日本は-0.2%、英国は-0.5%)には市場のインフレ期待が 織り込まれているが、かかる低いインフレ期待は下方に振れ過ぎと思われる。各国の中央銀行が様々な問題に直面し ているとはいえ、依然としてインフレ再来の種まきに熱心に取り組んでおり、現在先進国では賃金引上げ(日本の場合) や新興国においては生活水準の継続的改善を目指した政策も並行して実施されている。我々はインフレ予想を昨年 の値から下方修正し、過去の平均を下回る水準にしているが、それでも上記のようなかなり低い市場予想をやや上回 るインフレ率を見込んでいる。 よって、インフレ率はさほど厄介な状況にならず潜在的にもそれほど上昇しないものの、 市場予想を若干上回ると考えている。 デレバレッジは経済成長の足かせになっており、上値予想に歯止めをかけている。投資家は割高な価格(バリュエ ーション) で株式を購入することを躊躇っているが(バリュエーションはここ1年で上昇しているものの、特に現行の金利 水準のもとでは合理的な水準と思われる)、企業の経営者や資本配分を決定する他の責任者は、熟慮の上、進んで請け 負うようなプロジェクトを選定している。その結果、景気回復は緩やかなペースにとどまっているが、各国の中央銀行が、 軌道修正や金融システム内の余剰資金の対処を行う必要もなく、粛々と政策を進めることができた環境も形成された。 市場や経済の参加者がこのように控えめながらも明るい見通しを描いていることから、米国経済が今後5年間を通して 拡大し続ける可能性が高まっている。緩やかだが着実に景気回復が進んでいる環境は、現状でボラティリティを押し上 げている他の要素を相殺するのにも寄与しよう。 northerntrust.com | 今後5年間の見通し | 6 of 20 企業と企業の国籍を切り離すという昨年の投資テーマは、今年、資産クラスのボーダレス化という新テーマに進化 した。図表5に示すように、各種地域別指数構成銘柄の売上先を理解することは、当該地域の見通しを判断する上で欠 かせない。例えば、ユーロの存続可能性や緊縮財政策の下振れに対する懸念を理由に、欧州企業への投資を警戒して いる投資家は、欧州企業全体を見渡してみれば、ユーロ圏諸国からの需要は半分強を占めるにすぎないことを知るべ きだろう。実際、急成長を続ける新興国市場に対するエクスポージャーは、先進国市場の中で欧州企業が最も大きい。 図表5:収益源はまちまち MSCI インデックス時価総額の売上先別構成比 MSCIノース・アメリカ・ インデックス 新興国市場・ フロンティア市場 4 MSCIヨーロッパ・ インデックス 米国 16 新興国市場・ フロンティア市場 24 太平洋地域(日本を除く)1 日本 3 米国 70 欧州 12 太平洋地域(日本を除く)2 日本 4 欧州 54 MSCI ジャパン・ インデックス 米国 10 欧州 6 新興国市場・ フロンティア市場 14 太平洋地域 (日本を除く)1 日本 69 MSCIエマージング・ インデックス 欧州 7 米国 6 日本 2 太平洋地域 (日本を除く)1 新興国市場・ フロンティア市場 84 出所:ノーザン・トラスト、MSCI 金融市場のグローバル化が進展していることから、今後ポートフォリオ組入銘柄の出身国に対する投資家の興味は薄 れ、投資ポートフォリオ全体への寄与度、すなわちインフレ対策としての有効性、インカム、統計的に有意なリスク要因 に対するエクスポージャー等に関心が移ることがうかがえる。現在の低金利を鑑み、インカムは特に重要な存在になっ ている。現在ポートフォリオを構築する際には、従来よりインカムの源泉の獲得のため総合的アプローチが採用されて いる。利回り追求の第一段階が債券型資産からより高いリスクを伴う投資収益セグメントへの移行ならば、第二段階は、 希望するインカムの水準に達するための最善の道を求めて、ポートフォリオ全体、採用しうるあらゆる手法、およびす べての潜在的リスクを評価することだろう。 northerntrust.com | 今後5年間の見通し | 7 of 20 ヒストリカル分析 2012年版の本誌で最初に指摘したように、バリュエーション、特にキャッシュ・フロー利回りは、先進国株の名目トータ ル・リターンを示す最良の「把握・観察が可能な」指標と思われる。具体的に言うと、我々は、キャッシュ・フロー利回りで 翌5年間のトータル・リターン変動の48%を説明できることを解明した。特に現在のバリュエーションは確信をもって把 握できるのに対し、翌5年間の経済成長率は確信を持てないため、キャッシュ・フロー利回りで説明がつく部分と翌5年 間の経済成長で説明がつく部分(34%)の差異は印象的だ。 さらには、バリュエーションがトータル・リターンに及ぼす 影響は統計的にも有意な値で、95%以上の確率で、かかる影響の原因は単なる偶然ではないことを意味する。換言す ると、バリュエーションではリターン変動の約半分しか説明できないが、かなりの信用性を持って説明できるということ だ(残りの半分は、当然のことながら知り得ない材料に大きく影響される)。 よって、我々はバリュエーションが示唆する事柄に基づき、今後5年間の世界の株式のリターンを予想している。過去 の平均だけに頼るよりも、 この手順の方がはるかに有効であることが判明しており、図表6ではそれが浮き彫りになって いる。青い線は先進国株の実際の5年ローリング・リターン (現地通貨建) を、赤い線はキャッシュ・フロー・バリュエーシ ョン・モデルから導出した予想を、黄色の線は過去の長期平均を、 それぞれ示している。一目瞭然のように、長期平均だ けを見ていたらリターンの変動は分からない。長期平均だけを用いた場合、例えば、1980年代初頭のリターンは20% 過少に評価されることになる。バリュエーションの予測能力に基づきリターン予想を区分できるため、 このバリュエーシ ョン・モデルは、平均だけを用いる場合よりも、かなり 「目的に適って」いる (ただし唯一の例外が、1990年代の株式市場 のバブル発生に至るまでの期間とバブル期) 。予測能力が高い理由は株式のリターンが平均回帰するためで、バリュエ ーションが低下すると、 その後「平均に回帰する」傾向にあるので、 リターンが増加する。 図表6: 「平均」 より優れた実績 1/70 ■ ■ ■ 1/75 1/80 1/85 1/90 1/95 1/00 1/05 35 30 25 20 15 10 5 0 –5 –10 1/10 トータル・リターン(%) 世界の株式の5年のローリング・リターン 予想-キャッシュ・フロー利回りに基づく 実際値 過去の平均 出所:ノーザン・トラスト、サンフォード・バーンスタイン、 ブルームバーグ 一方新興国株においては、 トータル・リターンとバリュエーションの連動性は先進国株ほど高くないが、先進国株のトー タル・リターンとの連動性は高く、現在も一層高まっている。実際、先進国株のトータル・リターン変動で、新興国株のト ータル・リターン変動の78%を説明できる (1988年以降) ことが判明した。一般的には、先進国の株価が1%上昇するた びに、新興国の株価は1.3%上昇する。 このように先進国株に対する新興国株の「ベータ値」が高いことを分かっていれ ば、伝統に準じて新興国株に期待すべきリターン水準を設定する際に役立つ(無論リターンは、今後の見通しに加えて、 伝統的な連動性が今後どのように変化しうるかによっても影響される。詳しくは12ページの株式欄を参照)。 northerntrust.com | 今後5年間の見通し | 8 of 20 天然資源、世界の不動産、世界の上場インフラ関連銘柄といった主要な「実物資産」のクラスに関しても、同様の手 順を用いて各種リスク・ファクターに対するエクスポージャーを理解した上で、 これまでも予想に基づいて判断してき た。 これら3種類の資産クラスがすべて株式志向である点を考えると当然のことながら、図表7に示すように、すべての クラスにおいて最大のエクスポージャーを有するファクターは、市場リスクである。 こうした市場に対するエクスポージ ャーに加えて、各資産クラスは他のリスク・エクスポージャーにも直面している。天然資源は新興国市場やコモディティ といったリスク要因に対して、世界の不動産は期間リスク (すなわち金利変動) と信用リスク (ハイイールド債のスプレッ ド変動)に対して、世界のインフラ関連銘柄は期間リスク (信用リスクではなく)に対して、それぞれエクスポージャーを 有する。参考までに言うと、エクスポージャー(天然資源の場合は市場に対するエクスポージャー)が0.7の場合、 (他の 要因がすべて一定と仮定すると)市場ファクターの値が1.0%上昇/増加する度に、当該資産クラスの値も0.7%増加する。 リスク・ファクターに対して 「エクスポージャー」を有するということは、95%の確率で、個々のリスク・ファクターが当該資 産クラスのリターンに影響を及ぼすことを意味する。実物資産について、詳しくは13ページを参照。 図表7:エクスポージャーの水準 ファクター・リスクに対する実物資産のエクスポージャー 世界の不動産 0.9 ■ ■ ■ 市場 新興国市場 コモディティ 世界のインフラ関連銘柄 0.9 0.9 0.8 0.7 0.7 0.7 ファクター・ エクスポージャー 0.8 ファクター・ エクスポージャー 0.8 ファクター・ エクスポージャー 天然資源 0.6 0.6 0.6 0.5 0.5 0.5 0.4 0.4 0.4 0.3 0.3 0.3 0.2 0.2 0.2 0.1 0.1 0.1 0.0 0.0 0.0 ■ ■ ■ 市場 期間 信用 ■ ■ 市場 期間 出所:ノーザン・トラスト、 ブルームバーグ。要因に対するエクスポージャーは、2003年3月から2013年3月までのリターン・データを用いて算定。 ヘッジファンドのリターンもリスク・ファクター・モデルを用いて分析し、予想すべきリターンの種類や獲得したアルファ (個別のリスク要因では説明がつかない分のリターン)の水準を判断できる。HFRIファンド加重総合インデックスで代用 したところ、平均的なヘッジファンドのリターンは上記のすべてのリスク・ファクターに対してエクスポージャーを有する ことが判明した。ヘッジファンドは、 「ロング/ショート・ポジション」に伴うリスク・ファクター(規模、値、およびモメンタム 等)に対してもエクスポージャーを有する。 さらにヘッジファンドのアルファは、統計的に有意な値を示している。詳しく は、14ページのオルタナティブ投資欄を参照。 株式に基づくリターンの平均回帰性を鑑みると、ヒストリカルな状況を分析はリスク資産に関する有益な情報を入 手できるが、過去30年間という長期にわたって金利が低下傾向にあるため、かかる分析の有益性(金利とインフレの関 連性の理解以外)は損なわれる。だが、 フォワードカーブ(すなわち、将来の金利に関する市場の予想)は「把握・観察が 可能な」指標で、債券市場に織り込まれている金利水準を教えてくれる。 また、 クレジット・スプレッドはこれまで平均回 帰傾向を示していることから、我々は、投資適格債とハイイールド債の今後5年間の予想を策定する際に過去の平均も 留意した。債券資産クラスについて、詳しくは次ページを参照。 northerntrust.com | 今後5年間の見通し | 9 of 20 債券 超緩和策の段階的縮小に関するバーナンキFRB議長の最近の発言が盛んに取り沙汰され、到来しうる金利上昇サイク ルまで債券を保有し続けたいという多くの投資家の思いの強さが試されている。前述のとおり、我々では、各国の中央 銀行は今後5年間の大半を通して緩和策を維持すると考えているが、 この予想が誤っていると実証されても、金利上昇 が必ずしも債券のパフォーマンス低迷に直結する訳ではない。すなわち、金利の変動は、市場に織り込まれている水準 と比較する必要があるのだ。図表8は、今後5年間の1年物金利に関する市場の予想を示したものである。例えば米国で は、5年後の債券に係る1年物金利は現在3.0%と予想されている (これに対し、現行の金利は0.1%) 。5年債は実際にこ れらの各年の金利が積み重なったものであるため、5年債の価格が下落するためには、5年物の市場金利が次のグラフ に記載されているフォワードレートを上回る必要がある。 それによると、米英の債券市場には現在かなりの上値余地が ある。 これに対し、 ドイツ(我々が欧州中核国の代表とみなしている国) と日本の余地は少ない。 図表8:勾配がスティープ化 各年限の1年先フォワードレート 米国 1 2 3 欧州 4 4 5 英国 4 日本 4 4 3 3 3 3 2 2 2 2 1 1 1 1 0 1 2 3 4 5 0 1 2 3 4 5 0 1 2 3 4 5 0 出所:ノーザン・トラスト、 ブルームバーグ 繰り返しになるが、我々は、金利は最終的にフォワードカーブ(市場の予想の指針)が現在示唆する水準を下回るとみて いる。我々が個別銘柄の代わりに使用する指数のリターン特性にとっては、 この予想はやや好ましい追い風である。今 後5年間という予想期間が終了する時点における主要通貨の政策金利に関する我々の予想は、次のとおりである (括弧 内の値は2013年6月30日現在の水準)。 米国: FRB:1.25% (0%~0.25%) 10年物米国国債:3.25% (2.48%)) 英国: イングランド銀行:1.25% (0.5%)) 10年物英国国債:3.50% (2.44%)) 欧州: ECB:0.50% (0.5%)) 10年物ドイツ国債:2.75% (1.73%)) 日本: 日銀:0.10% (0.1%)) 10年物日本国債:2.00% (0.85%) 欧州非中核国(フランス、 スペイン、イタリア等)の国債利回りは、欧州中央銀行(ECB)による無制限の国債買入れとい う支援もあって、過去1年間でドイツ国債の水準に著しく収斂している。昨年の時点では、非中核国の国債の平均スプレ ッド(対ドイツ国債)が2.75%だったことから、翌5年間で同スプレッドが1.25%に縮小すると予想していた。現在の非中 核国の国債の平均スプレッドは2%である。継続的なユーロ支援(我々はユーロが現在の形のまま存続すると予想)を 受けて、今後5年間という予想期間内に1%に縮小するというように、昨年の値から予想を下方修正した。 northerntrust.com | 今後5年間の見通し | 10 of 20 同様に、 クレジット・スプレッドも過去1年間で縮小した。 これは、 「利回り追求」 という投資テーマが引き続き展開さ れたためである。現在、投資適格債のスプレッド(昨年予想した当時は2%)は、2012年から翌5年間について我々が予 想していた水準である1.4%近辺にある。ハイイールド債のスプレッドは過去1年間で6%から5%に縮小したが、2013年 のスプレッド予想は昨年の5%から3.5%に下方修正した。FRBの資産買入れが段階的に縮小されるにもかかわらず、長 引く低金利を踏まえて、投資適格債とハイイールド債双方のスプレッド予想は長期平均よりも小幅になっている。 米国地方債の予想は、通常、国債利率、発行体の信用の質、および連邦、州、 または地方の税務上や財政上の新規 政策に関する見通しを織り込んでいる。今後5年間に関しては、中央銀行がやがて景気刺激策を打ち切る中、地方債の 個人投資家がとる行動も、追加して考慮することになろう。米国経済が小幅プラスの成長率を示すという我々の見通し に即して、州と地方自治体の予算は、段階的な税収改善および公務員給与のさらなる削減の恩恵を享受すると予想さ れる。ただし、公的年金と退職者健康保険制度の積立不足(双方とも、格付機関による消極的な調査を受けている)が 慢性化しているため、緊縮財政の姿勢は変わらないとみられる。総合すると、地方債の信用面のファンダメンタルズは、 横ばいか小幅改善にとどまる公算が大きい。有権者は米国議会の現行の形の政治停滞(すなわち、政策に行き詰って いるが瀬戸際政策ではない)に不満を抱いていない、 という我々の見方を踏まえ、2014年と2016年の選挙が終わって も、連邦レベルでは左翼化や右翼化への有意な政治転換は起こらないと予想される。その結果、予想期間に歳出や税 制に大なたが振るわれるという見通しは限定されよう。ただし、量的緩和策の段階的縮小が進められている最中に、地 方債の個人投資家の売買意欲が突然変わり、流動性が異常に高まるテクニカル相場になる可能性もある。 プラス要因 とマイナス要因を差し引きすると、結果的に地方債のイールド・レシオ (対米国国債)は、過去の平均より割安な水準を 維持すると思われる。 他方、新興国債券(EMD)は興味深い岐路に差し掛かっている。中央銀行による潤沢な流動性供給を背景に、EMD が投資先としてスポットライトを浴びているが、投資家は(少なくとも先進国のソブリン債よりも)堅調な財政指標に安 堵している。その結果、EMDのリターンが高水準に達し、EMDポートフォリオに投資資金が流入している。今後に関して は、政治の見通しが対照的であること (今でもEMD分析の主軸)、および中央銀行が様々な問題に直面していることか ら、EMDは先進国債券とは一層異なるパフォーマンスを示すと予想される。税制、指数構成銘柄、および市場の流動性 も、 リターン予想で一定の役割を果たしている。注意すべき点は、大半の投資可能指数で中国の存在感が薄いことであ る。上記のような新興市場内のファンダメンタル要因に加えて、為替変動もEMDのパフォーマンスで大きな役割を果た している。EMDとハイイールド債のどちらを選択するかという問題は、それぞれの先進国通貨(本稿で明示的な予想を 示していない変動要因)の見通しに大きく左右される。 キャッシュ キャッシュ (短期金融商品)のリターン予想は依然として低く、今後5年間の大半の期間にわたり利回りはゼロ近辺 を維持する公算が大きい。従来より、キャッシュのリターンはFF実効レートに対する感応度が高い。我々は、FFレートは 今後5年間内に1.25%に上昇するとみている。ただし短期金融市場セクターが、展開中の規制、発行、および商品の改革 ならびに広義の金融改革に対応するにつれ、質の高い短期金融商品は一層限定されると思われる。米国政府発行の 短期証券や短期格付が最も高い短期証券の需要が増加すると予想されるものの、様々な理由から、 これらの銘柄の供 給は先細りする可能性が高い。 よってテクニカル要因が考慮された結果、米国財務省短期証券の価格は高止まりし、FF レートが徐々に上昇しても、同証券の利回りは小幅プラスのゼロ近辺にとどまると予想される。今も進められているマ ネー・マーケット・ファンド投資制限の厳格化が、今後5年間のキャッシュのリターンを左右する重要な要素になろう。 northerntrust.com | 今後5年間の見通し | 11 of 20 株式 従来より世界の株式の構成比は、北米株が約50%、欧州およびアジアの他の先進国株はこれを若干下回り、新興国株 はわずかである (ただし年々増加している)。 しかし時価総額に基づく構成比は、根本的な真の経済的エクスポージャー を正確に反映していない。銘柄の収益源に基づいて世界のリターン獲得機会を見直してみると、構成比は北米、北米以 外の先進国(欧州とアジアの先進国がほぼ半々)、新興国市場の三つにほぼ均等に分かれる。 こうした収益源別の内訳 は世界経済の構成比とかなり似通っており、進化している新興国の勢力を理解する重要性が増していることが浮き彫り になる。時価総額と収益源それぞれに基づく世界の株式の構成比は、図表9に示すとおりである。 図表9:世界のリターン獲得機会の2とおりの内訳 時価総額別構成比 収益源別構成比 新興国市場 13 太平洋地域 (日本を除く)5 米国 28 新興国市場 32 日本 8 米国 47 カナダ 3 欧州 (英国を除く)15 カナダ 4 英国 8 英国 4 欧州 (英国を除く)17 太平洋地域 (日本を除く)3 日本 13 出所:ノーザン・トラスト、MSCI 先進国株のバリュエーション(8ページのヒストリカル分析欄で概説)から、今後5年間の年率トータル・リターンが約 7%になることがうかがえる。だが、売上高予想のサム・オブ・パーツ分析(売上高および将来のバリュエーション予想を 名目GDP成長率予想で代用)を行うと、若干高めのトータル・リターン予想(7.4%)が導出される。 また地域別に見ると、 米国株は最近著しくアウトパフォームしているため、およびバリュエーションがその影響を受けているため、 トータル・リ ターン予想は他の先進国株(日本株を除く)を若干下回る。 日本株のトータル・リターンは、制度改革の最中であるため、 主にバリュエーションの行方に左右されると思われる。 「アニマル・スピリット (企業家の投資行動の動機となる、将来に 対する主観的な期待)」を思い起こして、構造改革で長期的な成長性を高められる限り、高いリターンを継続的に獲得 できよう。ただし、過去1年間で株価が大幅に上昇している点を踏まえ、我々は一層慎重なスタンスをとることにした。 新興国市場リスクをとった投資家は報われる、 という我々の見方に変わりはなく、新興国市場リスク・プレミアムを 2.7%と予想しているが、 これは過去のプレミアムである3.3%を下回る。だが、先進国市場とのバリュエーション格差を 鑑みれば合理的な水準で、中国の現行の経済転換を鑑みても妥当な水準と考える。MSCIによれば、 カタールとアラブ 首長国連邦は揃って2014年5月に(フロンティア市場から)新興国市場に昇格しつつあるため、ポートフォリオにおける 新興国市場への配分の一部として、 フロンティア市場を含める可能性が浮上している。 これに対し、ギリシャは(先進国 市場から)新興国市場に、モロッコは(新興国市場から) フロンティア市場に格下げされた。 northerntrust.com | 今後5年間の見通し | 12 of 20 実物資産 実物資産は、インフレ率を直接相殺するか(インフレ連動債など)、消費者物価の変動との相関性が高い資産クラスを 所有することで黙示的な対策になるかを問わず、予想外のインフレへの対策になることで、ポートフォリオに組み入れ られている目的を果たしている。実物資産には、世界の不動産と世界の上場インフラ関連銘柄が含まれる。 これらの資 産クラスは債券型の収益源になるだけでなく (そのため、9ページに記載するように金利リスクをある程度伴う)、イン フレ率と連動した(すなわち額面と連動していない)配当金やバリュエーションの増加によって、インフレ圧力の調整弁 にもなる。 日本と物価上昇に対する同国の新たな取り組みを除き、大半の主要国に関する我々のインフレ予想を昨年の値か ら下方修正した。ただしその大半の国に関しては、市場の予想は我々以上に低下している。図表10に示すように、米国 の今後5年間の平均インフレ率の市場予想は1.8%である (これに対し、我々の予想は2%)。インフレ予想がFRBの修正 後目標インフレ率の上限である2.5%を超えているのは、5年目(2017年中盤から2018年中盤までの期間)だけである。 欧州市場は今後1年間のインフレ率を約1.0%(我々の予想は1.6%)、 日本市場は約1.1%(我々の予想は1.3%) と見込ん でいる。前述のとおり、 (これまでのところ)不可能であることが実証されているにもかかわらず、各国の中央銀行は引き 続きインフレ率引上げに力を注いでいる模様だ。低いインフレ予想と各国の中央銀行のかなり積極的な取り組みを受 けて、分散投資型ポートフォリオにおけるインフレ対策が引き続き求められている。 図表10:インフレ予想の低下 今後5年間のインフレ予想(%) 3 GDP成長率への寄与度 2.8 1.9 1.8 2 2.1 1.8 1 0.7 5年間の平均 ■ ■ 1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 0 平均 予想 出所:ノーザン・トラスト、 ブルームバーグ。データは2013年6月30日現在。 グラフは米国のインフレ予想。 コモディティ 特筆すべきは、天然資源に関する我々の予想の下方修正である。 これは、中国がインフラ建設などのコモディティ集約 型経済活動から消費重視の緩やかな成長を目指す経済へ軌道修正を図っている事態に応じたものである。 こうした修 正はこれまでも俎上に載せられていたが、新指導部は予定を前倒しして進めている。 とはいえ、今や中国経済は10年前 (その頃前回のコモディティ・ブームが開始)の4倍以上の規模に達している。我々は中国経済の規模が8兆ドルという前 提に立ち、成長率を6.9%と予想しているが、 これは成長率が10%の2兆ドル規模の経済において絶対値で3倍近くの需 要を生み出す計算となる。換言すると、 コモディティのスーパーサイクルが終焉したとは考え難いが、萎みつつあるよう に思われる。中国の軌道修正が懸念されるものの、絶対値で大きい需要と天然資源資産に関する市場の低い予想(既 に価格に織込済)を受けて、我々の予想の下方修正幅を抑えた。 northerntrust.com | 今後5年間の見通し | 13 of 20 オルタナティブ投資 我々は、オルタナティブ投資を、ポートフォリオのリスク調整後リターンを拡大する反面、非伝統的なリスクをポートフ ォリオにもたらす資産クラスと定義している。例えば、 プライベート・エクイティ (PE)投資は、従来より、ポートフォリオ に低い流動性という要素をもたらす代わりに、ポートフォリオのリターンを押し上げてきた。ヘッジファンドは、従来より、 (他の資産クラスとの)相関性が低い収益源によるポートフォリオ全体のリターン平準化を目指す投資家に、ポートフォ リオの分散投資先を提供してきた。ただしヘッジファンドは透明性において大きなリスクを伴い、場合によっては流動 性リスクも付随する。 さらに、割高な手数料を正当化するのに十分なほどのアルファ (個々のリスク・ファクターに起因 しない分のリターン)を獲得するという特殊な重荷も背負っている。 PEのリターンに関する我々の予想は、株式のリターン予想に流動性プレミアムを加味するといった昨年と同じ手順 で算定されている。昨年版に記載したように、PEのリターン分析および加味する適切なプレミアムの算定は、 リターン の開示が不十分であること、キャッシュ・フローが一律ではないこと、および資産のバリュエーションに関する仮定事項 が異なることから、複雑な作業になっている。我々は、ハリス、 ジェンキンソン、 カプランの3氏による研究 に基づき、パ ブリック・マーケット・イクイバレント (PME) ・マルチプルと称する指標を算定した。 これを用いれば、PEのリターンと同 じ年のS&P 500指数のリターンを比較できる。PMEマルチプルが1.0を超えると、指数をアウトパフォームしていると示 す。上記研究の対象期間を通した平均PMEマルチプルは、バイアウト・ファンドが1.22倍、ベンチャー・キャピタル・ファン ドが1.36倍であった。 よってこの研究から、実績に基づくPE投資の支援材料と上場株式の値に加味するべき加重平均 プレミアムの予想値を算定する手段を入手できる。尚、加重平均プレミアムの予想値は、広義のPE(バイアウト・ファンド の構成比を75%、ベンチャー・キャピタル・ファンドを25%と仮定) で約2.5%になる計算である。 ヘッジファンドは、マーケット・タイミングや個別銘柄の選択(アルファ獲得の場合)および非伝統的なリスク・プレミ アムに対するエクスポージャー(モメンタム、キャリートレードの場合) といった形の他の資産クラスとの相関性が低い 収益源により、分散投資のメリットを提供できる。過去のデータは、ヘッジファンドの平均リターン(ヘッジ・ファンド・リ サーチ・インスティテュート (HFRI)のファンド加重総合平均インデックスで代用)は、実質的に「ロング/ショート・ポジシ ョン」に伴うファクター(サイズ、バリュー、モメンタム等) と他の独立したリスク・ファクター(株式、期間、信用、新興国市 場、 コモディティ等)によって説明がつくことを示している。合計すると、 これらのリスク・ファクターで、ヘッジファンドの リターンの93%(自由度調整済み決定係数で測定)の説明がつく。我々の予想を策定する際には、各リスク・ファクター に対する構成銘柄のエクスポージャー(ベータ係数)に今後5年間の予想リスク・プレミアムを乗じる。我々が予想を出 していないリスク要因(サイズ、バリュー、モメンタム)に関しては、過去の実績を拠り所とした。 この値に過去10年間の 平均アルファ (約1.2%)を加算して、7.5%というリターン予想(手数料控除前)を導出した。そこから商慣習となっている 2/20の手数料率(2%の年間手数料と20%の成功報酬)を控除して、広義のヘッジファンドのリターン予想4.4%を導き 出し、 これを公表した。 個別戦略の予想も、大半の戦略に関して説明力があるファクター・モデルを用いて同様の手順で導出した。唯一の 例外がマクロ戦略で、モデルではリターン変動の50%しか説明がつかなかった。 1 ロバート・ハリス氏他著「Private Equity Performance: What Do We Know?」2011年9月9日発行 northerntrust.com | 今後5年間の見通し | 14 of 20 オルタナティブ投資内のリターン格差 オルタナティブ投資の資産クラスに関しては、次の二つの理由により、予想を立てる上で問題がある。 ■■ 投資可能な指数の欠如: ヘッジファンドはHFRIファンド加重総合平均インデックスで、 PEはベンチャー・エコノミッ ク・プールド・アベレージ・インデックスが代表的に用いられている。双方の代表的指数は一連の戦略の平均リター ンを示す。実際に店頭に出向いて指数の各ポジションを買い付けること (または最適化技法を用いて指数のパフォ ーマンスに連動させること)ができる世界の株式の代表的指数とは異なり、オルタナティブ投資においては指数で測 定するのは実用的ではない。 よって、予想を立てるための代表的指数と、投資可能な指数を区別する必要がある。 ■■ マネジャー間のリターン格差: オルタナティブ投資の指数の平均リターン以外について掘り下げて検証したところ、 リターンはマネジャーによって大きく異なりうることが判明した。世界の株式で運用するマネジャーとは異なり、オ ルタナティブ投資で運用するマネジャーには、ベンチマークになる投資可能な指数がない(および、個別戦略の追 及において、ベンチマーク指数を設定したがらない) ことから、 こうした事態になるのも当然で、ヘッジファンド業界 ではこの問題は核心を突いている。過去3年間の平均リターンは5%だが、個別戦略のリターンは最高20%から最 低-10%までの範囲に分散していると聞いても、全く驚かない。HFRIの分類に従った戦略内でもリターン格差は大き く、その幅は伝統的な世界の株式で運用するマネジャー間の格差よりもはるかに大きい(図表11参照)。 図表11:マネジャーの選定が命 各種資産クラスにおけるマネジャー間のリターン格差 25 20 15 10 5 0 –5 –10 HFRIファンド加重 総合インデックス ■ ■ ■ 株式ヘッジ イベント・ ドリブン グローバル・ マクロ レラティブ・ バリュー 世界の株式 –15 (+1標準偏差) 年率平均 (-1標準偏差) 出所:ノーザン・トラスト、ヘッジ・ファンド・リサーチ・インスティテュート、モーニングスター。 過去3年間のリターンは2013年3月31日現在の値。 我々は、ヘッジファンドを、従来より持続的なリスク・プレミアムをもたらしてきたロング/ショート・ポジションに伴うリス ク・ファクター(割安な銘柄をロングし、割高な銘柄をショートする等)に対するエクスポージャーを提供するものと考え ている。 これらのリスク・ファクターに対するエクスポージャーだけでなく、ヘッジファンドのおかげで「平均的な」 アルフ ァ (リスク・ファクターに対するエクスポージャーでは説明できない分のリターン)を獲得できる点も踏まえて、CMAのリ ターン予想を策定した。個別戦略(またはリターン上位1/4のマネジャー)のアルファの予想はCMAに任された業務で はないが、 (総体的なリターンと同様に) アルファはマネジャー間で大きく異なりうることを承知している。 この件に関し て、次の2点の考察を述べる。 1. ポートフォリオ構築時に異なるアルファ仮定値(すなわち平均の1.2%以外)を用いても、同仮定値を文書に記録して 残し、ポートフォリオのパフォーマンスを検証する際に、それに留意する限り、問題はないと思われる。 2. 進化し続けるヘッジファンド業界ではスキルの水準にも大きな差があるため、マネジャー選定時には、定量データ と定性データを併用してしっかりと分析する必要がある。 northerntrust.com | 今後5年間の見通し | 15 of 20 別紙1:債券のリターン予想 CMAによる今後5年間の債券の予想(すべてのリターンの単位は%) 資産クラス 2013年 2012年 2011年 過去 5年間 過去 10年間 過去 15年間 バークレイズ・キャピタル3ヵ月物U.S.トレジャリー・インデックス 0.5 0.5 1.5 0.3 1.8 2.5 ソブリン債 バークレイズ・キャピタル・U.S.トレジャリー・インデックス 2.5 1.2 2.5 4.5 4.1 5.3 インフレ連動債 バークレイズ・キャピタル・U.S. TIPSインデックス 2.7 1.4 2.7 4.4 5.2 6.7 投資適格債 バークレイズ・キャピタル・U.S.総合インデックス 2.8 2.0 3.3 5.2 4.5 5.5 長期国債 バークレイズ・キャピタル・ロング・U.S.トレジャリー・インデックス 3.5 2.4 6.1 7.0 バークレイズ・キャピタル・ロング・U.S.クレジット・インデックス * 7.5 長期社債 5.5 4.8 9.2 6.2 6.9 ハイイールド債 バークレイズ・キャピタル・U.S.ハイイールド・インデックス 6.1 6.1 * 5.6 10.9 8.9 6.9 地方債 バークレイズ・キャピタル・ミュニシパル・ボンド・インデックス 3.0 2.9 3.5 5.3 4.4 5.0 米国 英国 欧州 カナダ 過去のリターン (年率) キャッシュ ハイイールド 地方債 バークレイズ・キャピタル・ミュニシパル・ボンド・ハイイールド・インデックス 4.6 4.5 4.5 キャッシュ 3ヵ月物英国国債 0.6 1.0 2.3 ソブリン債 バークレイズ・キャピタル・スターリング・ギルツ・インデックス 3.0 2.5 2.8 7.3 5.3 N/A インフレ連動債 バークレイズ・キャピタル・グローバル・インフレーション・リンクトUKインデックス 3.2 2.7 2.8 6.8 6.8 N/A 投資適格債 バークレイズ・キャピタル・スターリング総合 インデックス 3.5 3.1 2.6 7.1 5.1 N/A キャッシュ 3ヵ月物ドイツ国債 1.0 1.3 2.4 ソブリン債 バークレイズ・キャピタル・ユーロ・トレジャリー・インデックス 3.0 2.7 3.7 5.8 4.2 5.0 インフレ連動債 バークレイズ・キャピタル・ユーロ・インフレーション・リンクト・ユーロゾーン・インデックス 3.2 3.1 3.3 3.7 N/A N/A 投資適格債 バークレイズ・キャピタル・ユーロ総合インデックス 3.0 2.9 3.6 6.0 4.3 5.0 ハイイールド債 バークレイズ・キャピタル・パンヨーロピアン・ハイイールド・インデックス 8.0 9.0 5.9 13.6 9.7 N/A 6.5 N/A N/A 6.2 N/A N/A N/A N/A N/A キャッシュ 3ヵ月物日本国債 0.1 0.3 0.3 N/A N/A ソブリン債 バークレイズ・キャピタル・アジア・パシフィック・ジャパン・トレジャリー・インデックス 0.8 0.7 0.5 2.3 1.5 N/A インフレ連動債 バークレイズ・キャピタル・インフレーション・リンクトJGBインデックス 0.6 0.5 0.8 2.3 N/A N/A 投資適格債 バークレイズ・キャピタル・アジア・パシフィック・ジャパニーズ総合インデックス 0.8 0.7 0.5 2.2 キャッシュ 3ヵ月物オーストラリア国債 3.3 4.0 投資適格債 バークレイズ・キャピタル・オーストラリアン総合インデックス 3.6 3.3 オースト ラリア 日本 先進国市場 代表的指数 CMA予想対象年 * N/A N/A 8.1 1.4 N/A N/A N/A N/A N/A キャッシュ 91日物カナダ国債 1.5 1.5 * 3.0 1.1 2.2 ソブリン債 DEXオール・ガバメント・インデックス 3.0 2.0 3.3 5.9 6.2 インフレ連動債 DEXリアル・リターン・ボンド・インデックス 3.2 2.3 3.3 7.0 7.8 投資適格債 DEXユニバース・インデックス 3.5 2.5 3.5 5.8 6.1 ハイイールド債 2.9 6.1 8.4 6.1 メリルリンチ・カナディアン・ハイイールド・インデックス 6.1 6.1 5.6 14.7 世界全体の合計 バークレイズ・キャピタル・グローバル総合インデックス 2.6 2.0 2.1 3.6 4.7 世界のハイイールド債 バークレイズ・キャピタル・グローバル・ハイイールド・インデックス 6.5 6.5 10.5 9.5 新興国債券 JPモルガンGBI-EMダイバーシファイド・インデックス 7.0 6.1 5.8 9.4 N/A 今後5年間の見通し | 16 of 20 * 6.9 11.2 N/A 5.3 8.3 *予想は立てていない。 northerntrust.com | 別紙1(つづき) :リスク資産のリターン予想 新興国市場 先進国市場 CMAによる今後5年間の株式の予想(すべてのリターンの単位は%) CMA予想対象年 2013年 2012年 2011年 過去 5年間 過去 10年間 過去 15年間 MSCI USインデックス 7.1 8.5 7.5 6.8 7.4 4.2 資産クラス 代表的指数 米国 欧州 MSCIヨーロッパ(英国を除く)インデックス 7.8 7.0 7.0 –0.1 5.7 1.7 日本 MSCIジャパン・インデックス 5.8 5.0 4.0 –1.3 4.3 0.6 英国 MSCI UKインデックス 8.4 8.0 7.5 6.0 8.1 3.9 カナダ MSCIカナダ・インデックス 7.6 8.0 7.5 –1.2 8.3 6.3 環太平洋地域 MSCIパシフィック (日本を除く)インデックス 9.4 8.5 8.0 3.8 10.4 N/A 先進国市場 MSCIワールド・インデックス 7.4 7.8 7.3 4.1 7.0 3.5 アジア MSCI EMアジア・インデックス 9.9 11.5 11.5 4.6 12.6 N/A 中南米 MSCI EMラテン・アメリカ・インデックス 10.6 11.0 10.0 0.3 17.1 N/A 欧州 MSCI EMヨーロッパ・インデックス 10.4 9.5 8.5 –3.1 10.2 N/A 新興市場 MSCIエマージング・マーケッツ・インデックス 10.1 11.1 10.7 2.4 13.4 11.1 世界の株式 MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス 7.7 8.4 7.8 3.9 7.4 3.9 CMAによる今後5年間の株式の予想(すべてのリターンの単位は%) 実物資産 資産クラス 代表的指数 CMA予想対象年 2012年 2011年 過去 5年間 5.3 –11.4 2.4 4.1 13.9 N/A 天然資源(先物) DJ-UBSコモディティーズ・インデックス 3.0 5.0 天然資源(株式) モーニングスターGUNRインデックス 7.2 7.9 世界の上場不動産関連銘柄 EPRA/NAREITグローバル・リアル・エステート・インデックス 8.0 8.4 世界の上場インフラ関連銘柄 S&Pグローバル・インフラストラクチャー・インデックス 7.5 8.9 世界のインフレ連動型商品 バークレイズ・キャピタル・グローバル・インデックス 2.9 1.3 PE 資産クラス 代表的指数 バイアウト・ファンド ベンチャー・キャピタル・ファンド ファンド・オブ・ファンズ 過去のリターン (年率) 2013年 CMAによる今後5年間の株式の予想(すべてのリターンの単位は%) ヘッジファンド 過去のリターン (年率) 過去 10年間 過去 15年間 * –5.6 9.4 4.2 N/A N/A * * 0.2 10.8 N/A 2.4 5.7 6.7 CMA予想対象年 過去のリターン (年率) 2011年 過去 5年間 過去 10年間 過去 15年間 10.8 10.5 N/A N/A N/A 11.8 12.0 N/A N/A N/A 9.6 11.0 11.0 N/A N/A N/A 2013年 2012年 なし 9.2 なし 10.6 ベンチャー・エコノミック・プールド・アベレージ・インデックス 株式ヘッジ HFRIエクイティ・ヘッジ・インデックス 3.6 5.1 7.6 2.0 5.8 7.6 イベント・ドリブン HFRIイベント・ドリブン・インデックス 5.9 7.3 10.0 4.8 7.6 8.1 レラティブ・バリュー HFRIレラティブ・バリュー・インデックス 4.4 5.0 7.9 6.2 6.6 7.3 マクロ HFRIマクロ・インデックス 4.2 5.3 8.5 1.5 5.5 6.4 総合 HFRIファンド加重総合インデックス 4.4 5.5 8.4 2.9 6.4 7.2 注:上表の予想は主要資産クラスのトータル・リターン予想の幾何平均。投資収益内訳、算術平均、 リスク、およびポートフォリオ構築のために用いた相関性の仮定値、 または上表に記載されていない資産 クラスの予想については、お客様担当のリレーションシップ・マネジャーにお問合せください。 * 予想は立てていない。 northerntrust.com | 今後5年間の見通し | 17 of 20 別紙2:世界の株式によるリターン獲得機会 先進国市場 新興国市場 フロンティア市場 世界の株式、GDP、人口の構成比 合計 新興国市場 先進国市場 国名 世界の株式 の構成比 世界のGDP の構成比 世界の人口 の構成比 国名 世界の株式 の構成比 世界のGDP の構成比 世界の人口 の構成比 米国 48.9 21.9 4.5 イタリア 0.7 2.8 0.9 日本 8.0 8.3 1.8 シンガポール 0.6 0.4 0.1 英国 7.9 3.4 0.9 ベルギー 0.4 0.7 0.2 0.1 カナダ 3.7 2.5 0.5 デンマーク 0.4 0.4 フランス 3.5 3.6 0.9 ノルウェー 0.3 0.7 0.1 スイス 3.3 0.9 0.1 フィンランド 0.3 0.3 0.1 ドイツ 3.2 4.8 1.2 イスラエル 0.2 0.3 0.1 オーストラリア 3.0 2.2 0.3 アイルランド 0.1 0.3 0.1 スウェーデン 1.1 0.7 0.1 オーストリア 0.1 0.6 0.1 香港 1.1 0.4 0.1 ポルトガル 0.1 0.3 0.2 スペイン 1.0 1.9 0.7 ニュージーランド 0.0 0.2 0.1 オランダ 1.0 1.1 0.2 中国 2.0 11.5 19.5 韓国 1.6 1.6 台湾 1.3 ブラジル 南アフリカ ギリシャ 0.0 0.3 0.2 トルコ 0.2 1.1 1.1 0.7 チリ 0.2 0.4 0.3 0.7 0.3 ポーランド 0.2 0.7 0.6 1.3 3.3 2.9 コロンビア 0.1 0.5 0.7 0.8 0.5 0.7 フィリピン 0.1 0.3 1.4 インド 0.7 2.5 17.7 ペルー 0.1 0.3 0.4 ロシア 0.6 2.8 2.0 エジプト 0.0 0.4 1.2 メキシコ 0.6 1.6 1.7 チェコ 0.0 0.3 0.2 マレーシア 0.4 0.4 0.4 ハンガリー 0.0 0.2 0.1 インドネシア 0.3 1.2 3.5 モロッコ 0.0 0.1 0.5 タイ 0.3 0.5 0.9 0.7 4.5 12.7 94.7 83.0 先進国市場 88.0 59.1 13.5 フロンティア市場 新興市場 11.2 31.1 56.8 投資可能市場合計 100 出所:ノーザン・トラスト、MSCI、国際通貨基金(IMF)。株式構成比は2013年6月30日現在、GDPおよび人口の構成比は2012年現在の値。 northerntrust.com | 今後5年間の見通し | 18 of 20 別紙3:キャピタル・マーケット・アサンプション作業部会 キャピタル・マーケット・アサンプション作業部会は、組成部門の投資のスペシャリスト (アナリスト、ポー トフォリオ・マネジャー、 ストラテジスト)、 日頃から顧客に接している投資のスペシャリストの双方を含め、 ノーザン・トラストの世界各地の拠点から結集した投資の上席スペシャリストで構成されている。主なメ ンバーの役職は、以下のとおりである。 ■■ ノーザン・トラストの最高運用責任者 ■■ ノーザン・トラストの首席投資ストラテジスト ■■ 特定の資産クラスを担当するマネージング・ディレクターおよびリサーチ・ディレクター ■■ 様々な事業部門および地域の最高運用責任者 2013年CMA参加者 ピーター・フラッド CMA委員会委員長 ピーター・ムラディナ ポートフォリオ・リサーチ、 ウェルス・マネジメント・ ディレクター デビッド・ブレイク グローバル債券、ディレクター ボブ・モルガン オルタナティブ、マネージング・ディレクター ウェイン・バウアーズ インターナショナルCIO アブドゥル・ニメリ ポートフォリオ・リサーチ、 ウェルス・マネジメント ボブ・ブラウン ノーザン・トラストCIO ケイティ・ニクソン ウェルス・マネジメントCIO ブラッド・カムデン 米国債券 マット・ペロン アクティブ株式、マネージング・ディレクター マーク・カールソン 天然資源 ダン・フィリップス 投資ストラテジスト マイケル・デュワン ポートフォリオ構築デスク、 リード・ストラテジスト コリン・ロバートソン 債券、マネージング・ディレクター ケリー・フィネガン グローバル不動産 ジェフ・ローゼンブラム グローバル・インフラストラクチャー フィリップ・グラント 投資アナリスト アンドリュー・スミス クライアント・ソリューションズCIO トニー・リスーゾ ヘッジファンド エドワード・トラフォード 天然資源 アダム・マグヤー ヘッジファンド ピーター・イ 米国短期債券 ジム・マクドナルド 主席投資ストラテジスト アンソニー・ザノーラ ヘッジファンド northerntrust.com | 今後5年間の見通し | 19 of 20 当資料は、情報提供を目的として、特定の投資家を対象に作成されたものであり、 ファンドの取得の勧誘を行うものではありません。 当資料は、作成時点において信頼できると判断した情報を基に作成されていますが、その正確性・完全性について、当社が保証するも のではありません。 また、運用 実績等は、今後の成果を保証するものではありません。 当資料中の情報・データ等は、市場環境の変化等に伴い、今後、予告なしに変更されることがあります。 © northern trust 2013 northerntrust.com | 今後5年間の見通し | 20 of 20 northerntrust.com Q 54022JP (9/13)