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外国為替レートの決定理論
・ 為替レートの決定要因については,理論的には一定の結論が得られる.しかし,理論的に一
定の結論が得られたとはいえ,為替の実証的な予測では不十分な成果に終わっている.
・ これは,為替レートの変動には数多くの要因が作用し,またその作用が一定でないため,為
替変動を常に説明しうる理論はない.
・ 以下は,為替決定理論の代表的なもの.
<為替レートの決定理論>
1. 購買力平価説
(絶対的購買力平価説)
・ 同じ財(品質も同質)にはどこでも同じ価格が成立するという一物一価の法則を各国間に当て
はめ,通貨の交換比率を決定基準としたもの
・ 仮に,二国間で購入される財の組合せが共通であるとし,自国(日本)の物価水準を P (単位
*
は円),外国(アメリカ)の物価水準を P (単位はドル)とすれば,自国通貨建ての為替レート
e は以下の通り表せる.
P = e ⋅ P * (⇒ 「日本の物価水準=アメリカの物価水準」を意味する)
e=
P
P*
(⇒ 「為替レートの水準は各国の物価水準の比で決定」を意味する)
(相対的購買力平価説)
・ 上記の式を変化率の関係で示せば,以下のようになる.
eの変化率=Pの変化率 − P *の変化率
(物価の変動と為替レート)
・ 日本の物価が上昇すれば( P の変化率が大きくなれば),円の購買力は低下する(国内で買
えるものが少なくなる).
・ 為替レートに変化がなければ,円を売ってドルを買って,アメリカの同じ財を購入して輸入する
方が特になる.
・ したがって,円売りドル買いが進み,円安になる( e の変化率は大きくなる).
⇒ 日本でのインフレ=円安
(そもそも,インフレは通貨価値の下落を意味する)
・ では,日本の生産における生産性が向上(=輸出競争力の向上)した場合,為替レートはど
のように変化するか..考えてみよう.
2. 金利平価説
・ 金融資産(株式,債券など)を,国際間で運用する場合を考える.
*
・ ここで,国内債権の利子率を r ,外国債券の利子率を r , t 期の自国通貨建て(円建て)の為
替レート et とすると,それぞれの債券へ投資したときの1年間後の収益は以下の通り表せる.
自国債券への投資収益
1+ r
外国債券への投資収益
(1 + r ) ee
(⇒利息込みの円建ての収益合計)
*
t +1
(⇒ドル建ての収益合計を円に換算)
t
・ 外国への投資では,為替レートの変動を考える必要がある.購入時の為替 et (円⇒ドルへの
交換)と1年後の円建てへの転換時の為替 et +1 に変化がなければ問題はない.
・ しかし,仮に, et < et +1 であれば為替差益が生じ, et > et +1 であれば為替差損が生じる.
*
・ そこで,国際間で自由に投資ができるとすれば,債券の利子率 r , r と為替レートの変動
et +1
との間には以下のような関係が成立する.
et
(1 + r ) = (1 + r * ) et +1
et
・ 1年後の為替レート et +1 は,投資時点では予測の対象であるので,その予測値を ete+1 とすると
⎛
⎞
(1 + r ) = (1 + r * )⎜⎜1 + et +1 − et ⎟⎟
⎝
e
et
⎠
(1 + r ) = 1 + r * + r * et +1 − et
e
⇒
et
+
ete+1 + et
et
ete+1 − et
を無視すると,
・ 相対的に小さな項 r
et
*
ete+1 + et
r=r +
et
*
⇒
ete+1
et =
r − r* −1
(
)
*
・ 内外の利子率 r , r と1年後の為替レートの予測値 et +1 が与えられると,今期の為替レート
et が決定される.これを金利平価説という.
(金利の変動と為替レート)
・ 日本の金利が低下すれば,日本の債券の利子は減少する.上式の分母は小さくなる.
・ 1 年後の為替レートに変化がなければ,アメリカで運用する方が特になる.
・ したがって,円売りドル買いが進み,円安になる( et は大きくなる).
⇒ 日本での金利低下(金融緩和)=円安
(そもそも,金融緩和は通貨量を増やす政策,通貨量の増加は当該通貨の価値下落を意味する)
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