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深圳人たちのライフスタイル

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深圳人たちのライフスタイル
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ジオラマ風に撮影した集合住宅。
繁華街では建物がかなり密集している
豊かな経済に支えられて〝マイホーム&マイカー〟も現実に
深圳人たちのライフスタイル
30 年前に経済特区に指定される以前の深圳は、人口
に建築されたアパートでもかなり古びて見える)を抜け
3 万人の漁村だった。それが今では約 1400 万人が住
だし、自宅マンションを購入する。生活が豊かになるに
む大都市となっている。わずか 30 年の間に、人口がこ
したがい、多くの人にとって、マイホーム購入が直近最
れまでの約 500 倍にも増えた。続々と押し寄せてくる
大の夢となっている。
移民たちのための住まいとなったのが、集合住宅であ
家の次はマイカー。P10 のアンケート調査では、車
るアパート群である。そのため、深圳にも一軒家はある
を所有していると答えた人の全員が自分の家を持ってお
ことにはあるが、その数は非常に少なく、住民のほぼ
り、賃貸暮らしだけど車はあるという人はゼロだった。
100% が団地やマンションなどの集合住宅に住んでいる。
家は持ち運べないが、車は自分で運転して人に見せるこ
経済特区初期のころは、集合団地のような同じ形の建
とができる。つまり車は、マイホームの夢を実現した後
物がズラリと並ぶアパート群がほとんどだったが、経済
に購入するステータスシンボルともいえる。
が発達した現在ではその形態も多様になり、日本の高級
結婚、マイホーム、子供、そしてマイカー。これが深
マンション並みの豪華な造りの物件が続々誕生している。
圳人たち、特に若い人たちが夢見る、そして目指してい
これまで住んでいた古い賃貸アパート(10 ∼ 20 年前
る将来の姿といえる。
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深圳人のお宅拝見
一人暮らし・共同生活・家族住まい
深圳人たちのお宅を訪問
名前 : 林さん(25歳 広東省出身)
場所 : 福田区
広さ : 41㎡(1DK)
購入時期 : 2009年6月
金額 : 60万元(30年ローン)
住人 : 自分一人
独身 25 歳にして自宅マンションを所有
「不動産はもっとも効率のいい投資よ」
「そんなに広くないけど、
いつも家にいな
いし、
一人で住むには十分」
と林さん
林さんは独身 OL。両親とも深圳にいるが、マンショ
ンを買って一人で住んでいる。しかも、親に買ってもらっ
たのではなく、自分のお金で買ったのだという。
「近くにはスーパーもあるし、バス停や地下鉄の駅も
近いから買うことに決めたの。頭金を払ったから、月々
のローンは 2500 元よ。これなら私でも払えるわ」
まだ住み始めて 1 年半、しかし、会社の都合で近く
北京に転勤するという。
「でも、両親はこっちにいるから、2 か月に 1 回は帰っ
てくる。だから、この家はこのままにしておくの。北京
上)液晶テレビはシ
ャープ製。テレビ番
組 よ り DVD を 観 る
ことが多い
下)部屋を買ったあ
と、約 1 万元をかけ
て部屋の内装をした
という
に慣れたら向こうでも家を探すつもり。私は会社の宿舎
に住むから、人に貸す。家賃収入だけでも毎月のローン
額以上になるのよ。不動産はもっとも効率のいい投資よ」
独身 20 代半ばにしてマイホーム。こういう若い人が、
これからもどんどん増えていくのかもしれない。
左)お母さんが家によ
く訪ねて来て、ご飯を
作ったり掃除をしてく
れたりするという
右)ゴルフが趣味。近
所の打ちっ放しで練
習し、1 ∼ 2 か月に 1
回はゴルフ場へ
見 晴 ら し の 良 さ も、
このマンションを選
んだ理由だという
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男 2 人の共同生活がいつの間にか男女 4 人に
ちょっと窮屈だけれど、互いに助け合える
日本語学校に通う暁娜さ
んは、インターネットで
日本のテレビドラマをよ
く見ている
ソフトウェア開発の学校で知り合った房暁龍さんと朱
書昇さんが宝安区にあるこの部屋に引っ越してきたのは
2010 年のこと。
「会社までバスで 1 時間くらいかかる
けど、
家具なしの 2DK(※)で家賃 900 元は魅力的だっ
狭いながらもベランダが
ある。部屋の前に建物が
ないので、陽当たり良好
たんです。部屋は広くないけど、男二人で住むには充分
だったし」
(房さん)
しかし、その年の 10 月に房さんの彼女(劉洪梅さん)
が同居するようになり、さらに 12 月には房さんの妹で
学生の暁娜さんまでもが兄を頼って居候状態となり、い
つの間にか狭い部屋での 4 人暮らしとなった。
「男 2 人女 2 人の生活ですが、晩ご飯を作るのは僕ら
男性陣。彼女たちは料理が作れないんです。まだ引っ越
してきて 1 年たちませんが、さすがに窮屈なので、今、
福田区で部屋を探しています。3LDK で家賃 3000 元く
らい。家賃はアップするけど、4 人それぞれの会社や学
校がすぐ近くになるから、生活はずっと便利になります」
深圳ではこのように、若い人たちが共同でアパートを
借りるスタイルが一般的。まだ給料の安い彼らにとって、
家賃や光熱費など
を折半できる利点
毎 日 こ こ で 晩 ご 飯 を 作 る。
周囲の食堂は衛生的ではな
いので、外で食べることは
ほとんどない
2つの寝室は男性陣用と女性陣用
に分けている。こちらは房さんと
朱さんの寝室
がある。ここから
彼らはスタートし、
深圳で自らを発展
朱さん(左)と房さん
( 右 )。 二 人 と も 2005
年に深圳にやって来た
させていくのだ。
貿易会社に勤める劉さんは、この日
は出張で不在。4人がそろっている
ときは、
おしゃべりに花を咲かせる
※中国では家具・電化製品付きのアパートも一般的。
当然家賃は高くなる。
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名前:房暁龍さん(25歳
房暁娜さん(23歳
朱書昇さん(24歳
劉洪梅さん(25歳
場所:宝安区
広さ:2DK
家賃:900元/月
黒龍江省出身)
黒龍江省出身)
江西省出身)
貴州省出身)
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夫婦 2 人で深圳に来て、10 年前にマンション購入
大人数の家族は珍しい。でも、一家そろえば幸せな日々
リビングは一家6人がそろっても充
分な広さ。深圳の南山区で働いてい
る娘2人は週末には帰ってくる
名前 : 梅さん一家(広東省出身)
家族 : お父さん(50歳)、お母さん(40歳)
、
娘3人(双子23歳、13歳)、
息子1人(5歳)
場所 : 龍崗区
広さ : 3LDK
金額 : 40万元(中古マンション)
広東省江門市から梅さん一家が深圳に引っ越してき
たのは 10 年前。それまでは子供たちを祖母に預け、お
父さんとお母さんだけが深圳に来て働いていた。そして、
龍崗区に家を購入したのをきっかけに、再び一家そろっ
梅さん夫婦の寝室。
5 歳の息子も一緒
にここで寝ている
て暮らせるようになった。
「まだ深圳の不動産が今のように高くなる前だったの
で、無理なく買うことができました。3 人の娘は江門生
まれですが、末の息子は香港で出産しました」と梅さん。
最近はこのように、中国本土の人が香港で出産する
ケースが増えている。香港の医療水準が高いからという
のもあるが、香港で生まれた子供は香港の戸籍を得るこ
とができるというのが大きな理由だ。
「上の 2 人の娘が深圳市内の会社に就職してからは会
リビングに冷蔵庫
を置くのは、中国
では一般的
社の宿舎に住むようになり、一家全員がそろう機会は少
なくなりました。でも、娘たちは給料の一部を仕送りし
てくれます。これはうちの一族の決まり事なんです」
移民として深圳に来て、この地に根を下ろし、一家で
助け合って暮らしていく。このような人々が増えていく
ことで、近い将来には、深圳が「移民都市」ではなく、
「深
圳人の都市」となっていくことだろう。
湯(スープ)を作るための鍋。 双子の娘さんは、江門で写真
館の撮影用モデルを務めてい
広東人の食事に、スープは欠
かせない
たことも
梅一家のペット・毛毛(マオ
マオ)。最近はマンションで小
型犬を飼う家族が増えている
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深圳の不動産事情
マンション価格の高さは全国一!
不動産投機の過熱でマイホームが高根の花に
近年の中国における不動産価格の高騰はバブル状
態になっており、崩壊も間近と言われながらも、深
圳の不動産価格上昇の勢いは止まりそうにない。特
に 2010 年後半のマンション価格は上海や北京を押
さえて全国第 1 位となっており、11 月のマンショ
ショッピングモールに展示されたマンションの模型。これら高
級マンションは大型ディベロッパーが広大な敷地に開発する
ン価格は 1 ㎡あたり 24,601 元と、中国 10 大都市
の平均価格 15,407 元と比べて 9,000 元以上も高い。
この高騰の主な原因は不動産投機。将来の値上が
深圳に住む香港人たち
住宅価格・物価の安さから移住する人が増加
りを見込んで、資金に余裕のある人々が投資として
マンションを買うケースが増えているのだ。そのた
香港政府の調査によると、香港よりマンション価格も物
め、庶民にとってはマイホームなど夢のまた夢にな
価も安い深圳に暮らす人が増えており、深圳に約 6 万人の
香港人が住み、その 3 分の 2 が深圳から香港に通勤してい
るという。深圳と香港を結ぶ口岸(イミグレーション)では、
りつつある。
香港に通勤する深圳在住香港人らしき姿を数多く目にする。
そして彼らの子供たちも、深圳から香港の幼稚園などに毎
日通っている。
しかし最近では深圳の物価が上昇し、香港ドルに対する人
民元の価値も上がり、物(特に野菜など)によっては香港
のほうが安いという逆転現象が起きている。そのため、香
港の市場で野菜を買っ
てから深圳に帰宅する
サラリーマンも見かけ
るようになっている。
口岸では、毎朝夕、深圳から香
港の幼稚園に通う香港人の児
童で賑やかになる
庶民向けアパートと一般マンション、
そして高級マンションが
混在する地域も
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深圳のマイカー事情
リッチ層のステータスシンボルから
一般庶民に手の届く
〝移動の足〟に
これまで自動車は一部の裕福な人のものだったが、現
在では一般庶民が自動車を購入している。マンションの
多くは地下駐車場があり、止める場所には困らない。
中国では車を買うと、日本のように平日は車庫に置い
て週末にドライブなどということはせず、毎日乗る。平
日は奥さんを乗せて会社まで送り、そのあと自分の勤務
先へ。週末は子供の習い事への送り迎え。深圳は道路が
整備されて走りやすいため、気軽に車で出かけられる。
深圳市交警局の発表によると、2010 年末時点で、深
圳の自動車登録台数は 170 万台以上。この年の後半
は、月平均 2 万 4000 台ずつの割合で自動車の数が増
車線の多い道路が整備されている深圳でも、
自動車数の増加による渋
滞は大きな問題
えたという。道路状況から見た深圳の許容自動車台数は
210 万台と概算されており、将来の自動車社会を想定
して都市設計された深圳でも、今のペースで車が増え続
ければ、2 年以内にはこの数字をオーバーし、車があふ
れかえる状況になる可能性も指摘されている。
とはいえ、隣の人が車を持っていたら自分も持ちたく
なるもの。持ったら乗りたくなるもの。これからもます
ます深圳の街中に車は増え続けることだろう。
市内の各地で開催される自動車展示即売会
で展示されるのはファミリーカーが多い
金持ち層向けには
超高級外車のディーラーも
深圳では多くの〝外車〟が通りを走って
いる。といっても、外資系自動車メーカー
が中国国内で生産したものがほとんど。そ
れだけでは飽き足らず、人とは違う車を持
ちたい、もっと目立ちたいというお金持ち
は、外国で生産された超高級車に目がいく
ことになる。
深圳にはメルセデスや BMW といった
お馴染みの高級外車はもちろん、ロールス
ロイスやフェラーリ、ランボルギーニ、ポ
ルシェといった、セレブ御用達のクルマの
ディーラーが街中に軒を構えている。
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子供の教育と将来
住宅ローン&物価高で厳しい台所事情
それでも削れない子供の教育費
バイオリンやピアノなど、
子供が小さいうちから本
格的な音楽教育に力を入れる親も多い
深圳は南国だが、ショッピングモールに屋内スケートリンクがあり、
子
供向け教室も盛ん
子供の教育費 = 老後への投資 ?
ンや近年の物価高を考えると、かなりの出費だ。それで
深圳に限らず、中国では一般的に子供の教育には熱心
も子供の教育費には糸目をつけない。
だ。日本以上に学歴社会であるため、子供の将来を思い、
というのも、中国では年老いて引退してからは子供に
子供のうちからできるだけ高い教育を受けさせるよう努
養ってもらうという考えが一般的で、子供が大人になっ
力する。そのため、子供が就学する前からさまざまな塾
て高い収入を得られるようになれば、自分の老後が安泰
に通わせる親も増えている。
だから。つまり、子供の教育費 = 自分の老後への投資
深圳のホワイトカラー層の平均月収は推定約 8000
というわけだ。この投資に対するリターンは何十年も先
元。そのうちの 1000 ∼ 5000 元を子供の教育費に充
の話だが、先のことを考えると、子供の教育費はやはり
てている家庭が多い。夫婦共働きだとしても、住宅ロー
削れないのである。
ひとりっ子はツラいよ?
難しい
〝80後〟
の結婚相手探し
1980 年代に生まれた〝80 後〟
(バーリンホウ)と呼ばれる
現在の 20 代は、ひとりっ子がほとんど。となると、結婚後は、
夫婦それぞれの親2人ずつ、計4人の面倒を見ることになる。
出身地が同じ夫婦なら互いの両親の家へ行くのも楽だが、
深圳は移民都市。同じ出身地の相手に巡り会うのは難しい。
相手の出身地など気にしないが、親のことを考えると……多
くの 20 代がそんなジレンマを抱えている。
しかも、みな深圳には働くために来た。仕事に忙しく、恋
人探しなどする暇がない人も多い。結局、親に勧められるま
ま、帰郷した際に地元の人とお見合いをするケースも多い。
週末の蓮花山公園の一角。親が自分の子供のウリを書いた紙を張り
出し、同じく独身の子を持つ親たちにアピールする
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地元発行月刊誌の編集者が語る深圳人
深圳人にとって今の生活は重要ではなく
今後の生活を良くするほうがもっと重要
深圳のことを知るのなら、現地のメディアで活躍する人に話を聞くのが一番。深圳
で編集・発行する女性向け生活誌『女報』の編集者に、深圳とはどんな都市なのか、
深圳人の特徴などについて話を聞いた。
郝歌さん(甘粛省出身)
『女報』の編集者。そのほか地
元週刊誌でも、深圳の恋愛事
情についてコラムを連載。
深圳はどのような街 ?
くするほうがもっと重要なのです。
深圳の発展のスピードはとても速く、わずか 30 年で
また、深圳人同士の付き合いは他人行儀な感じがしま
北京や上海と肩を並べるまでになりました。北京は悠久
す。故郷では友人を家に誘って御馳走しますが、深圳で
の歴史があり、上海は国際貿易の中心、そして深圳は中
友人を誘うといったら、それはレストランで御馳走する
国が向かう方向と発展の勢いを内外に示す窓口といえま
こと。食べ終わったら解散、あとはそれぞれ自分のやり
す。深圳はとても新しく、清潔で、スピードと効率の
たいことをやる。
代名詞ともいえます。国外から入る情報がもっとも多く、
もっとも速い。そして、中国全体から見て仕事の効率が
結婚しない女性が増えている ?
確かに増えています。その原因の一つは、今の若い女
もっともよく、深圳発展の歴史を知れば、中国の他都市
性は人生に対する期待が高く、結婚で束縛されたくない
の過去と未来を知ることができると思います。
という思いが強いから。自分に合った人と出会えば結婚
深圳人ってどんな人たち ?
しますが、結婚するために結婚するということはしませ
外から来た人が多いとはいえ、深圳はやはり広東省に
ん。二つめの原因は、女性が経済的に自立できる環境に
あるので、人々の生活は広東人のスタイルと似ています。
あるから。独身でも自分の収入だけで満足のできる生活
早茶(朝の飲茶)を好み、家庭を重視して、商売が好き
ができ、多くの選択肢と変化の余地があるからです。
で、新聞や雑誌はあまり読まない(笑)
。そういった広
三つめは、深圳という都市に原因があります。一人で
東風生活様式のなかに、中国各地の特徴が混ざっている
深圳に来て、知り合いも少なく、多くの企業ではオフィ
感じです。
ス内の恋愛は禁止されている。社交範囲が狭く、仕事の
製造業と輸出入業が主な産業なため、経済状況がこの
プレッシャーは大きく、自分の時間は少なくなっていく。
都市に与える影響は大きく、不況時には人が少なくなっ
そうしていくうちに恋愛に対する欲求が薄れていってし
てしまいます。例えば 2008 年の金融危機の際、仕事
まうのです。
を探しに来た若者の多くが深圳を離れて故郷に帰ってし
いずれにせよ、結婚に対しては人生に変化をもたらす
まいました。このように、深圳に愛着を持たず、なにか
ことを期待しています。移動はいつもバスで、ご飯は定
あると離れていってしまう人が多いのも、深圳人の特徴
食屋というような人だったら、深圳の女性は決して伴侶
の一つです。
として選びません。
深圳人たちの生活は ?
深圳人には生活を楽しむ部分が欠けており、あくせく
働く人が多いように思えます。みんなお金を稼ぐために
深圳に来ており、
〝もっとお金を稼がねば〟という考え
になっています。残業するのは当たり前で、残業しない
深圳経済特区成立 30 周
年の看板の前で記念撮影。
この人たちのほとんどが
深圳に来て数年
と充実感を得られない。だから、娯楽にもあまりお金を
使いません。今の生活は重要ではなく、今後の生活を良
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若夫婦たちの新婚生活
将来の夢と希望にあふれる若夫婦たち
苦労の多い生活ながらも毎日が幸せ
不動産価格と物価の上昇、仕事の圧力……深圳での生活はラクではない。それでも、
幸せな日々と将来の夢が語れる若い夫婦たち。経済が右肩上がりの深圳で暮らしてい
るからこそ、今の苦労もいつかは報われると実感できるのだろう。
結婚前に二人で家を購入
夫婦二人とも
自分の会社を経営
兄弟でそれぞれ両親の面倒を
見ながら生活
活を送っている。奥さんの仕事は毎
奥さんは定時の 6 時に退勤できる
旦那さんが結婚以前から母親と一緒
日定時に終わるので、料理や家事は
が、旦那さんは帰宅が毎日 10 時過
に住んでいる 3LDK に、若夫婦と
主に奥さんの役目だ。
ぎになるほど忙しい。晩ご飯も別々
子供、母親の 4 人で暮らしている。
奥さんの目下の不満は、旦那さん
だ。そのため、大きな支出について
父親は、同じく深圳に住む旦那さん
が暇とあればパソコンゲームに夢中
は二人で相談してから決めているが、
の弟が面倒を見ているが、両家は互
になり、奥さんと一緒の時間を大事
家庭内のこまごまとしたことは奥さ
いの家をひんぱんに往き来している。
にしないこと。一方の旦那さんは、
んが管理している。
「深圳の生活は便利だし、生活環
やりくり上手、家事上手の奥さんに
自宅は 2009 年に購入した 120
境もいいけど、ときには故郷に帰っ
不満を持つなどとんでもないと笑う。
㎡の 3LDK。二人の両親がときどき
て、田舎ののんびりしたペースにい
まだしばらくは新婚の甘い日々が
遊びに来るので、ちょうどいい広さ。
やされたい」と旦那さん。近い将来
続きそう。そして今は、マイカー購
しかも、奥さんは現在妊娠中。生ま
は車を買って家族を遊びに連れてい
入のために倹約する毎日だという。
れくる子供のためにも、旦那さんは
きたいが、ガソリン代が上がってい
事業をもっと拡大していこうと意気
るから、維持費だけでもお金がかか
込んでいる。
りそうと嘆いている。
妻 : 香香さん(33歳 湖南省出身)
夫 : 岳岳さん(34歳 四川省出身)
収入 : 二人で20万元以上/年
結婚5年 子供なし
夫 : 張蕭さん(35歳 広東省出身)
妻 : 林恵英さん(32歳 広東省出身)
収入 : 二人で1万5000元前後/月
結婚3年 子供1人(3歳 男児)
李さん夫婦は結婚前に家を購入。
部屋は狭いながらも、幸せな新婚生
李さん夫婦
(ともに28歳 湖北省出身)
収入 : 二人で1万6000元/月
結婚1年 子供なし
二人はそれぞれ自分の会社を経営。
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深圳で知り合い、結婚した二人。
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日本人から見た深圳の暮らし
慣れれば快適な住環境
日本食材も簡単に手に入る
現在、約 6000 人の日本人が深圳で暮らして(= 働いて)いる。以前は
単身赴任がほとんどだったが、2008 年に日本人学校ができ、子供連れで
生活する環境も整っている。
ジャスコには日本の食材が各種そろう。鮮魚は日
本ほどのものは望めないが、刺身も数種ある
日本人向け物件のリビングルーム。見晴らしがよく、
周囲の環境が整った物件が人気
蛇口フェリーターミナル近くにある日本人学校では、
小中学校合わせて約150名の生徒が学ぶ
気に入った物件を見つけたら
素早い決断を
家族連れで赴任する人も増加中
深圳には、日本人駐在員が家族と暮らすための基本的なインフラが整って
いる。日本人が住んでいるのは主にホテル、マンション、サービス式アパー
トメント、別荘風の一戸建て住宅。日本とまったく同じというのは難しいが、
それに近い住環境は得られる。これに中国語が少し話せるようになれば、生
活はさらに快適になる。
食の面に関しても、深圳市内に 5 店舗あるジャスコに行けば日本の食材が
そろい、新鮮な魚は少ないが、無農薬・有機野菜はある。また、深圳では手
に入らないものでも、すぐ近くの香港に行けばたいていのものがある。
子供がいる家庭で気になるのが教育面の環境だが、日本人学校(小中学校)
が 2008 年に創設され、インターナショナル校も幼稚園からあるので、家族
連れで赴任してくる人も増えてきている。
日本料理屋は羅湖区を中心に数
多い。味はそこそこで、現地の
料理よりは高いが、日本の値段
から見れば手頃。食べ飲み放題
で 170 元 前 後 と い う 店 も 多 い。
日本人向けの店なら、ほとんど
の店で日本語が通じる
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百特豪世房地産咨詢
(上海)有限公司
(ベターハウス)
華南地区総支配人
加藤秀樹氏
「単身なら羅湖区のサービス式アパ
ート、ご夫婦 2 人なら福田区の 2LDK、
お子様連れなら南山区の 3LDK にお住
まいになることが多いですね。部屋は
家具付きがほとんどなので、契約の際
の大家さんとの交渉次第では、希望す
る家具や電化製品を入れてもらうこと
も可能です。
お客様の要望でよくあるのが、浴室
のバスタブとトイレのウォシュレッ
ト。バスタブのある物件は少なく、ウ
ォシュレットにいたっては、トイレに
取り付けられないものが多いのが現状
です。いい物件は競争率も高い。その
ため、気に入った物件があっても、決
定に時間がかかると他の人に契約され
てしまうことも。いい物件を見つけた
ら早い決断が必要です」
Fly UP