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技能実習生向け技能実習ガイドブック - JITCO

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技能実習生向け技能実習ガイドブック - JITCO
技能実習生向け技能実習ガイドブック
財団法人
国際研修協力機構
JITCO
は
し
が
き
日本の技能実習制度は、諸外国の青壮年労働者等を日本に受け入れて、日本の産業・職
業上の技能等を修得してもらうことにより、帰国後、本人の職業生活を向上させるととも
に母国の産業や企業の発展に貢献することを目的とした制度です。
この目的を達成するためには、日本の受入れ団体・企業や外国の送出し機関等のみなら
ず、技能実習活動に従事する技能実習生本人が制度を十分に理解し、制度に沿った行動を
とることが重要となります。
しかしながら、この制度ができて以来様々な問題が発生したため、日本政府は制度の見
直しが必要と判断しました。その結果、2009年7月に出入国管理及び難民認定法が改
正され、新たな技能実習制度が2010年7月1日から施行されました。新制度では、技
能実習生の法的地位が確立し、入国1年目から労働関係法令上の保護が受けられるように
なるとともに、受入れ団体の責任及び監理も強化されました。
本制度の適正かつ円滑な施行を通じ、国際的な人材育成の成果が上げられるようすべて
の関係者を支援・指導している財団法人国際研修協力機構(JITCO)は、技能実習生が本
制度を正しく理解し、安心して技能実習活動が行えるよう技能実習生向けに技能実習ガイ
ドブックを作成いたしました。本書は、日本語版のほかに、英語、中国語、インドネシア
語、ベトナム語、タイ語、フィリピン語にそれぞれ翻訳した外国語版も作成しています。
技能実習生をはじめ、送出し機関、受入れ機関等関係者皆様方が、本書を積極的にご活
用いただければ幸いに存じます。
財団法人
国際研修協力機構
目
<本ガイドブックの利用方法について>
Ⅰ
日本の技能実習制度について
次
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 1
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 2
1.制度の目的
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 2
2.制度の概要
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 2
(1)技能実習1年目の在留資格と活動内容
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 2
(2)技能実習2年目・3年目の在留資格と活動内容
(3)技能実習生の在留期間
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 2
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 2
(4)技能実習生の受入れ要件
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 2
(5)技能実習1年目から2年目への在留資格変更要件について
(6)技能実習2年目に移行できる職種・作業
3.制度の枠組み図
Ⅱ
技能実習生に求められるもの
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 4
1.技能実習制度の正しい理解
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 4
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 4
3.日本での生活に必要なルールの学習
4.健康であること
技能実習生の処遇について
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 5
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 5
2.日本の受入れ企業との雇用契約の締結
3.雇用条件の内容確認
5.講習期間中の処遇
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 6
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 6
日本の労働関係法令について
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 6
1.労働時間、休日、休暇について
(1)労働時間及び休憩
2.賃金について
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 5
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 5
4.送出し機関との契約締結
(2)休日及び休暇
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 4
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 4
1.求人情報の確認
Ⅳ
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 3
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 3
2.基礎的な日本語の学習
Ⅲ
‥‥‥‥‥‥‥ 3
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 6
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 6
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 7
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 7
(1)賃金支払いの5原則
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 7
(2)賃金の口座振り込み
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 7
(3)賃金から控除されるもの
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 7
(4)割増賃金
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 8
(5)最低賃金
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 8
3.安全衛生と健康管理について
4.労働保険について
Ⅴ
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 8
(1)労災保険
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 8
(2)雇用保険
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 9
日本の社会保険等について
1.国民健康保険
2.健康保険
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 9
3.国民年金
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 9
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 9
5.脱退一時金について
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 9
日本滞在中に留意すべき点
1.資格外活動の禁止
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥10
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥10
2.外部からの誘惑に乗らないこと
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥10
3.旅券や外国人登録証の自己管理
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥10
4.交通ルールの遵守
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥10
5.預貯金通帳等の管理
6.健康管理
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥11
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥11
7.技能実習中の事故防止
8.ゴミの処理
9.住民税
Ⅶ
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 9
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 9
4.厚生年金保険
Ⅵ
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 8
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥11
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥11
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥11
困ったときの対応について
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥12
1.JITCOの母国語相談
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥12
2.JITCOの健康・医療相談
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥12
3.JITCOのメンタルヘルス相談
4.地方入国管理局
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥12
5.労働基準監督署
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥13
6.各国大使館・領事館
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥13
7.送出し機関の日本駐在員
Ⅷ
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥12
JITCOについて
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥13
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥13
参
考
資
料
1.雇用契約書
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥14
2.雇用条件書
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥15
<本ガイドブックの利用方法について>
1.このガイドブックは、日本での技能実習を希望する人たちが、日本の技能実習制度を
良く理解した上で来日し、安心して技能実習活動に従事し、予定通りに技能実習活動を
終了して母国に帰国できるようにすることを目的に作成したものです。
2.2010年7月から施行された新しい技能実習制度では、1年目から日本の労働関係
法令が適用されます。また、技能実習生は来日前に受入れ企業と雇用契約書を締結しな
ければなりませんので、日本の労働関連法令の概要を十分に把握しておいた方がよいで
しょう。
3.日本の技能実習制度は複雑で、関係する人も多いため、このガイドブックでは技能実
習生の皆様が理解しやすいよう平易に説明しています。日本滞在中に何か疑問を感じた
ときに、一人で悩まず、是非このガイドブックを読み直してみて下さい。きっと役に立
つはずです。
なお、このガイドブックで使用している用語の定義は以下のとおりです。
(1)受入れ団体:入国管理法上の「監理団体」のことです。
(2)受入れ企業:入国管理法上の「実習実施機関」のことで、技能実習生が実際に働く
こととなる会社などのことです。
(3)受入れ機関:監理団体と実習実施機関のことです。
(4)送出し機関:受入れ団体と技能実習生の送出し・受入れに関する協定を締結し、技
能実習生を日本に派遣する機関のことです。
-1-
Ⅰ
日本の技能実習制度について
1.制度の目的
外国人技能実習制度は、諸外国の青壮年労働者等が技能実習生として日本の企業等
で、産業・職業上の技能等を修得すると共に、修得した技能等を更に実践的に習熟し、
母国に帰国後、その修得・習熟した技能等を経済・産業発展のために役立ててもらう
仕組みのことです。言い換えれば、本制度は、日本の技術等の移転を通じて諸外国の
産業発展に寄与する人材の育成を目的としているといえます。
2.制度の概要
技能実習生の受入れは、「団体監理型受入れ」と「企業単独型受入れ」の2つに区
分されます。
技能実習生受入れタイプ
団体監理型受入れ
企業単独型受入れ
このガイドブックでは、日本の受入れ団体が海外の送出し機関を通じて技能実習生
を受け入れる「団体監理型受入れ」について説明します。
(1)技能実習1年目の在留資格と活動内容
技能実習1年目の在留資格は、「技能実習1号ロ」となります。この在留資格で
行うことができる活動は次の2つです。
①受入れ団体の下で日本入国直後に行われる講習による「知識の修得活動」
②受入れ企業との雇用契約に基づいて行う「技能等の修得活動」
(2)技能実習2年目・3年目の在留資格と活動内容
技能実習2年目・3年目の在留資格は、「技能実習2号ロ」となります。この在
留資格で行うことができる活動は次のとおりです。
「技能実習1年目の活動に従事して技能等を修得した者が、更に技能等に習熟す
るため、雇用契約に基づき1年目と同じ会社で同じ業務に従事する活動」
(3)技能実習生の在留期間
在留資格「技能実習」で日本に滞在できる期間は、「技能実習1号ロ」と「技能
実習2号ロ」を合わせて3年以内です。
(4)技能実習生の受入れ要件
技能実習生として日本に入国できる要件は法務省関係法令等で次のように定めら
れています。
①修得しようとする技能等が単純作業でないこと
②年齢が18歳以上で、帰国後日本で修得した技能等を必要とする業務に従事する
ことが予定されていること
-2-
③本国で修得することが不可能または困難である技能等を修得しようとすること
④日本で従事する技能実習職種と同種の業務に従事した経験があること
⑤母国の国や地方公共団体等から推薦を受けていること
⑥技能実習生、その配偶者、親族等が送出し機関等から保証金を徴収されていない
こと
(5)技能実習1年目から2年目への在留資格変更要件について
技能実習2年目の在留資格である「技能実習2号ロ」へ在留資格を変更できる要
件は次のように定められています。
①帰国後日本で修得した技能等を必要とする業務に従事することが予定されている
こと
②基礎2級の技能検定またはこれに準ずる試験に合格していること
③技能実習計画に基づき、更に実践的な技能等を修得しようとするものであること
④2年目・3年目の技能実習が1年目と同じ企業で同じ職種で行われること
(6)技能実習2年目に移行できる職種・作業
技能実習1年目から2年目に移行できる職種・作業は、2010年4月1日現在
66職種123作業となっています。
3.制度の枠組み図
制度の枠組み図は以下のとおりです。
受入れ団体の責任及び監理
技能検定基礎2級等合格
1年目
2年目
3年目
「技能実習1号ロ」
「技能実習2号ロ」
講習
《技能実習2号移行対象職種について企業での技能実習》
企業での技能修得
2ヶ月
在留資格変更手続
労働関係法令適用
-3-
「技能実習2号ロ」
Ⅱ
技能実習生に求められるもの
これまでのトラブル事例をみると、送出し側と受入れ側双方がこの制度を十分に理解
せずに研修生・技能実習生の送出し・受入れを行ってきたことが大きな要因としてあげ
られます。本制度は、単純労働力の受入れではありませんし、また金銭目的を追求する
人を受け入れるものでもありません。ここでは、日本での技能実習を希望する人たちが
留意すべき事柄について説明します。
1.技能実習制度の正しい理解
この制度は、技能実習を通じて修得した日本の産業・職業の技能等を、帰国後、母
国の産業の発展のために活用してもらうという「人材育成」を目的とするものです。
したがって、日本での技能実習を希望する場合には、技能実習制度の目的をよく理解
し、技能等の修得に強い意欲を持つことが必要です。
2.基礎的な日本語の学習
技能実習生が日本で安全かつ健康的な生活を送り、産業上の技能等を確実に修得す
るためには、日本語を理解できることが極めて重要です。受入れ機関の日本人とのコ
ミュニケーションが上手く行かないために、一人で悩む場合も生じるかもしれません。
こうした事態を避けるためにも、来日する前から毎日一定時間日本語を学習する習慣
を身につけ、日本語の発音や基本的な表現に慣れておくとよいでしょう。
3.日本での生活に必要なルールの学習
技能実習生は、最大限3年間日本で生活
することになりますので、日本での生活ルール
を事前に勉強しておく必要があります。最近、
交通事故が増えていますので、自転車の乗り方
等日本の交通ルールを良く理解しておくことが
大事です。また、公共乗り物の利用方法、国際
電話のかけ方、買い物の仕方、ゴミの出し方、
銀行・郵便局の利用方法等について勉強して
おくとよいでしょう。
他人のものと自分のものは区別し、トラブルが
ないようにしなければなりません。
4.健康であること
技能実習生の母国と日本とでは、気候・風土・生活習慣・食べ物・宗教・国民性・
言葉等において大きな違いがあります。日本の生活に適応し、技能等の修得活動に専
念するためには、心身ともに健康であることが必要です。
-4-
Ⅲ
技能実習生の処遇について
2010年7月1日から施行さた新制度において、技能実習生は日本に入国する前に、
受入れ企業との間で雇用契約を締結しなければならなくなりました。このため、受入れ
機関による最終面接が終了し、技能実習生として選抜された時に、技能実習生は受入れ
企業と雇用契約を締結する必要があります。その際の注意点について説明します。
1.求人情報の確認
送出し機関は、日本の受入れ団体から求人情報を入手すると、技能実習生候補者の
募集を開始します。技能実習の内容が自分の目的にあったものであれば、家族の了解
を取り付けた上で応募したらよいでしょう。応募するに際し、求人情報の内容を確認
することが重要です。特に、次の点には注意しましょう。
・従事すべき業務内容(職種)
・技能実習の実施場所
・1日の労働時間数
・1週間の労働時間数
・1ヶ月あたりの賃金概算額
・各種控除額
2.日本の受入れ企業との雇用契約の締結
技能実習生候補者の募集に応募すると、
まず最初に送出し機関による簡単な筆記
試験や面接が行われ、次に受入れ機関による
筆記試験、実技試験、面接などが行われます。
こうした試験に合格した人が、日本の受入れ
企業と雇用契約を締結することになります。
雇用契約は「技能等の修得活動」を開始する
時点から、効力を生じます。
3.雇用条件(労働条件)の内容確認
雇用契約を締結する際に、受入れ団体又は企業から雇用条件について詳しい説明が
ありますので、自分に適用される条件について良く理解して下さい。納得できない条
件であれば、納得できるものに変更するような話し合いを持つと良いでしょう。説明
された条件で満足できる場合には、雇用契約書に署名するとともに、雇用条件書また
は労働条件通知書にも署名することになります。この雇用条件書への署名は、「受入
れ機関から雇用条件について十分な説明をうけ、良く理解できた」ことを意味します。
雇用条件書は次の項目から構成されています。
①雇用契約期間
②就業の場所
③業務の内容(職種・作業)
④労働時間等
⑤休日及び休暇
⑥賃金
⑦退職に関する事項
⑧社会保険、労働保険、健康診断
-5-
4.送出し機関との契約締結
日本の受入れ企業と雇用契約を締結することと相前後して、最終試験に合格した人
は、送出し機関と派遣に係る契約を締結することとなります。この派遣契約では、技
能実習生として日本に派遣される技能実習生が遵守すべき事項や権利等が定められま
す。特に日本での処遇は、受入れ企業との雇用契約書の内容と一致していなければな
りません。
5.講習期間中の処遇
入国直後に受入れ団体により行われる講習は、受入れ企業が雇用契約に基づく技能
等の修得活動を開始する前に行われますので、講習期間中に技能実習生が必要とする
生活実費は受入れ団体が講習手当として支給することとなります。技能実習生は、受
入れ企業と雇用契約を締結する際に、1ヶ月あたりの講習手当金額について、必ず確
認してください。この講習手当は賃金ではありませんので、所得税の対象とはなりま
せん。
Ⅳ
日本の労働関係法令について
ここでは、入国直後の講習が終了し、受入れ企業で技能等を修得する活動を開始する
時点から適用される日本の労働関係法令について説明します。
1.労働時間、休日、休暇について
(1)労働時間及び休憩
①労働時間とは、始業時刻から終業時刻までの拘束時間から、休憩時間を差し引い
た時間のことで、通勤時間は労働時間に含まれません。
②1日の労働時間は8時間、1週間の労働時間は40時間と定められています。
この法定労働時間を超過した残業については、割増賃金が支払われます。
③受入れ企業は、1日の労働時間が6時間を超える場合には少なくとも45分、8
時間を超える場合には少なくとも1時間の休憩時間を労働時間中に与えなければ
なりません。
③仕事が忙しい時期と余裕のある時期がある場合には、受入れ企業は所定の手続き
を済ませた上で、変形労働時間制を採用することができます。
-6-
(2)休日及び休暇
①受入れ企業は毎週1回または4週4日以上の休日を与えなければなりません。
②技能実習生が技能等の修得活動を開始してから6ヶ月が経過し、その間の全労働
日の80%以上出勤している場合には、技能実習生に対し10日間の有給休暇が
与えられます。以後1か年継続勤務するごとに1日有給休暇が加算されます。
③この有給休暇は、技能実習生に休暇を与え心身の疲労を回復させることに意味が
あるので、技能実習生の方から受入れ企業に休暇の買い上げを要求してはいけま
せん。
2.賃金について
(1)賃金支払いの5原則
賃金の支払いが確実に行われるために、労働基準法では、賃金支払いの5原則が
次のように定められています。
①通貨払いの原則
賃金は、通貨(日本円)で支払わなければなりません。
②直接払いの原則
賃金は、直接技能実習生本人に支払わなければなりません。
③全額払いの原則
賃金は、全額支払わなければなりません。
④毎月払いの原則
賃金は、毎月1回以上支払わなければなりません。
⑤一定期日払いの原則
賃金は、一定の期日を定めて支払わなければなりません。
(2)賃金の口座振り込み
賃金の口座振り込みは、通貨払いの原則の例外として、受入れ企業内で口座振り
込みに関する労使協定が締結されていることを前提に、次の要件を充足すれば可
能です。
①技能実習生本人の同意があること
②技能実習生が指定する本人名義の預貯金等の口座に振り込まれること
③振り込まれた賃金の全額が所定の賃金支払日に引き出せること
(3)賃金から控除されるもの
全額払いの原則の例外として、以下のものを賃金から控除することができます。
①所得税・住民税及び社会保険料や労働保険料
所得税・住民税を源泉徴収すること及び社会保険料や労働保険料を控除すること
が法令で認められています。
②寮費や光熱費等
これらの費用を賃金から控除する場合には、受入れ企業は労使協定を締結しなけ
ればなりません。
-7-
(4)割増賃金
受入れ企業は、時間外労働、休日労働または深夜労働をさせた場合には、通常の
賃金に一定率以上の割り増しした賃金を支払わなければなりません。
①時間外労働(法定労働時間を超える労働)
25%以上(原則)
②深夜労働(午後10時~午前5時までの労働)
25%以上
③休日労働(法定休日の労働)
35%以上
(5)最低賃金
日本では、最低賃金法で賃金の最低基準が定められており、最低賃金以上の賃金
を支払わないと最低賃金法違反となります。最低賃金には次の2種類が有り、①
の地域別最低賃金は毎年10月に改正されます。
①地域別最低賃金
都道府県ごとに決定され、その都道府県内で働く労働者に適用
②特定(産業別)最低賃金
その都道府県内の特定の産業に従事する労働者に適用
3.安全衛生と健康管理について
(1)講習を終了し技能修得活動を開始すると(雇入れ時)、受入れ企業から安全と衛
生に関する教育が行われますので、必ず教育を受けて必要事項を守ってください。
(2)クレーンの操作、玉掛け業務、フォークリフトの運転等資格を有するか又は特別
の安全衛生教育を受けた後でなければ就業できない業務に従事する場合には、必
ず事前に免許の取得、技能講習の修了又は特別教育の受講を済ませてから従事し
て下さい。
(3)健康管理のため、雇入れ時とその後は毎年定期的に必要な健康診断が行われます
ので、必ず受診して下さい。
4.労働保険について
労働者災害補償保険(労災保険)と雇用保険を合わせて、労働保険といいます。同
居の親族のみを使用する事業を除き、労働者を一人でも雇用していれば、受入れ企業
は労働保険に加入しなければなりません。労働者が5人未満の個人農家の場合は、労
働保険は強制適用ではありませんが、従業員が農作業中にケガをした場合に備える必
要があることから、加入するよう勧めています。
(1)労災保険
業務上または通勤による労働者の負傷・疾病・傷害・死亡等に対して保険金が支
払われます。保険料は、受入れ企業が全額負担します。
-8-
(2)雇用保険
技能実習生が失業した場合や、雇用の継続が困難となった場合に、必要な保険金
が支払われます。保険料は、受入れ企業と技能実習生が一定の割合で負担します。
Ⅴ
日本の社会保険等について
日本では、公的医療保険として国民健康保険と健康保険が、公的年金として国民年金
と厚生年金があります。この4つの種類の保険は次のとおりです。
1.国民健康保険
国民健康保険は、国民健康保険法に基づき、病気やケガを被った場合の医療費の給
付を行う社会保険です。病院で治療を受けた場合、本人が治療費の30%を自己負担
しなければなりません。
2.健康保険
健康保険は、民間企業で働く人たちが業務外の事由により病気やケガを被った場合
に医療費の支給を行う医療保険制度です。本人が治療費の30%を負担しなければな
りません。保険料は受入れ企業と本人が折半します。
3.国民年金
国民年金は、全ての国民(日本国内に住所を有する外国人を含む。)を対象とする
強制適用の年金制度で、老齢・障害・遺族年金の支給を目的としています。
4.厚生年金保険
厚生年金保険は、常時従業員を使用する法人企業に強制的に適用される年金制度で、
老齢・障害・遺族年金の支給を目的としています。保険料は受入れ企業と本人が折半
します。
5.脱退一時金について
外国人の場合には、在留期間が短い等の事情もあり、国民年金、厚生年金保険とも
に脱退一時金給付制度あります。次の要件をすべて充足する場合には、帰国後2年以
内に請求すれば脱退一時金を受給できます。
-9-
(1)日本国籍を有していない者
(2)国民年金または厚生年金保険の保険料を6ヶ月以上納めていた者
(3)日本に住所を有していない者
(4)年金(障害手当金を含む。)を受ける権利を有したことがない者
Ⅵ
日本滞在中に留意すべき点について
日本での生活を円滑に健康で楽しいものにするためには、日本の法律や規則、社会生
活上のルールやマナーを守らなければなりません。生活上の留意点を説明しますので、
日本に行く前に良く理解してください。
1.資格外活動の禁止
技能実習生が行うことのできる活動は、日本の入管法令で定められており、内職や
アルバイトをすることは資格外活動となり、禁止されています。資格外活動を行った
場合は、強制送還されることもありますので、絶対に行わないでください。
2.外部からの誘惑に乗らないこと
他の企業で働けば今よりもたくさんのお金がもらえると、外部の人が誘惑してくる
例があります。このような誘惑に乗って、受入れ企業から失踪し他の日本企業で働い
てはいけません。
3.旅券や外国人登録証の自己管理
技能実習生は、入国後外国人登録証明書が交付されるまで、旅券を必ず携帯しなけ
ればなりません。外国人登録証明書が交付されたら、それ以降は旅券ではなく外国人
登録証明書を常時携帯しなければなりません。在留期間更新または在留資格変更手続
きをするとき以外は旅券を使うことはありませんので、盗まれないよう自分で大切に
保管してください。
4.交通ルールの遵守
毎年、交通事故に遭う技能実習生が見受けられ
ます。日本では、「車は左、人は右」が基本的な
ルールですので、絶対に守ってください。また、
日本では信号に従って自動車を運転しているので、
歩行者用信号が赤の時は絶対に道路を横断しない
でください。自動車用信号が青の時は車は止まり
ませんので、横断すると命が危険です。
自転車に乗るときも、信号に従って道路の左側を
慎重に運転し事故に遭わないようにしましょう。
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5.預貯金通帳等の管理
技能実習生は、現金、預貯金通帳、印鑑、銀行カード等を自分自身で管理してくだ
さい。受入れ企業や団体が技能実習生の代わりにこうしたものを保管することは禁止
されています。
6.健康管理
技能実習中にケガをしたり、病気になったり、または初めて経験する海外生活に対
する違和感から心の病に罹る例が発生しています。技能実習生は、栄養バランスのと
れた食事を心掛けるとともに、悩み事がある場合には一人で悩まず、同僚・生活指導
員に相談したり、母国にいる家族と連絡を取りあうことが大事です。JITCOでは
メンタルヘルス相談にも応じています。
7.技能実習中の事故防止
技能実習期間中の安全管理や健康管理は、受入れ機関の責務ですが、技能実習生も
事故に遭わないで済むよう、受入れ機関の指示に従い安全に努めて下さい。特に、次
の点に注意してください。
(1)職場の技能実習指導員や上司の指示に従うこと
(2)作業手順を守り、勝手な行動はとらないこと
(3)高所での作業、落下する危険のある原材料や高熱の原材料を取り扱う場合には、
必ず安全確認をすること
(4)安全帽、安全靴、手袋、メガネ、マスク、安全ベルト等の着用が義務づけられて
いる場合は、必ず着用すること
(5)職場の整理整頓に努めること
8.ゴミの処理
日本では、環境汚染を防止し二酸化炭素を
削減するために、市町村が生活上出てくる
ゴミを分別して回収しています。分別された
ゴミの回収日は市町村によって異なります
ので、技能実習生は生活指導員の指示に従っ
て定められた曜日に定められた種類のゴミを
搬出して下さい。
9.住民税
日本の住民税は、前年の所得に対して課税されます。したがって、日本に入国した
年は住民税を支払わなくて済みますが、帰国する年には前年の所得に対する住民税を
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全額支払わなければなりません。この場合、受入れ企業が最後の給与から住民税残額
を一括控除して納税する場合がありますので、留意してください。
Ⅶ
困ったときの連絡先について
新しい制度では受入れ団体は技能実習生からの相談に対応しなければならなくなりま
した。入国後の講習で、受入れ団体は技能実習生に対し「何時誰にどのように相談した
らよいか?」という点について必ず説明することとなりました。したがって、技能実習
生が困ったときまたはトラブルを抱えたときは、先ず第一に受入れ団体に相談すること
となります。
受入れ団体に相談して全ての問題が解決できれば良いのですが、いつも上手に解決で
きるとは限りません。そういう場合のために、参考までに相談できる連絡先がどこにな
るかお知らせします。
1.JITCOの母国語相談
制度やその運用に詳しい中国人、インドネシア人、ベトナム人のスタッフが、電話
や手紙による技能実習生からの相談に母国語で応じています。
フリーダイヤル:0120-022332
一般電話:03-6430-1111
言語
インドネシア語
中国語
ベトナム語
相談日
受付時間
毎週火曜日
11時~19時(13時~14時昼休み)
毎週土曜日
13時~20時
毎週木曜日
11時~19時(13時~14時昼休み)
毎週土曜日
13時~20時
毎週金曜日
11時~19時(13時~14時昼休み)
毎週土曜日
13時~20時
2.JITCOの健康・医療相談
一般の健康診断や病院のかかり方などの相談を毎月第1水曜日(14時~17時)
にJITCOの顧問医が日本語で行っています。電話でも来訪でも受け付けています。
電話:03-6430-1118
来訪の場合は、予約して下さい。
3.JITCOのメンタルヘルス相談
技能実習生の心の悩みなどの相談に専門のカウンセラーが日本語で応じます。
毎日(土・日・祝祭日は除く)9時~17時
電話:03-6430-1173
4.地方入国管理局
地方入国管理局は、技能実習制度が受入れ団体・企業によって適正に運営されてい
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るか指導、監督を行っています。問題の内容によっては、地方入国管理局に相談した
方が良いことがあります。判断がつかない場合には、JITCOに相談してください。
5.都道府県労働局監督課
都道府県労働局監督課は、受入れ企業が労働基準法、最低賃金法、労働者災害補償
保険法等の労働関係法令を守っているか指導、監督を行っています。技能実習生は労
働条件が守られていない場合には、労働局監督課の外国人相談コーナーに相談してく
ださい。
6.各国大使館・領事館
各国政府は、日本に大使館や領事館を設置し、自国民の保護という重要な役割を果
たしています。技能実習生にとり、大使館・領事館は頼りになる存在です。日本に来
る前に、大使館・領事館の連絡先を確認しておくことが大切です。
7.送出し機関の日本駐在員
日本に事務所を設置して駐在員を配置している送出し機関が増えています。こうし
た駐在員に母国語で気軽に相談できると思いますので、日本に来る前に連絡先を確認
しておくと良いでしょう。
Ⅷ
JITCOについて
JITCOは、1991年に法務、外務、厚生労働、経済産業、国土交通の5省共管
により設立された公益法人で、外国人技能実習制度の適正かつ円滑な推進に寄与するこ
とを基本として、以下のことを使命としています。
1.技能実習生の受入れを行っている民間団体・企業や諸外国の送出し機関に対する総
合的な支援・援助や適正実施に向けた助言・指導を行うこと
2.技能実習生の悩みや相談に応えるとともに、日本の法令等で定められた法的権利の
確保のため助言・援助を行うこと
3.制度本来の目的である技能実習の成果が上がるよう、受入れ機関、技能実習生、送
出し機関等を支援すること
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