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研究論文 - 秋田大学

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研究論文 - 秋田大学
Akita University
8
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研究論文
熱処理CAEソフトウェアを活用した低合金鋳鋼材の焼割れ発生シミュレーション
内田富士夫,*進藤亮悦,*鎌田健一,**後藤正治**
Simulation of Quenching Craek Generation in Low Alloy Cast Steel
by Using Heat−treatment CAE Software
Fujio UcHIDA†,Ryoetsu SHINDo†,Ken−ichi KAMADA††and Shoji GoTo††
In or(ler to understand the quenching crack phenomenon in cast steel,a(iisk shape(i low alloy
cast steel specimen having a opening was quenche(l in water at l123K,The behavior of a quench
crack was investigated by microstructure observation and analyzed by the Heat treatment CAE
software, The results obtaine〔1are as follows。 (1)The quench cracking easily occured as the
volume of specimen increased. The mass effect for quenching crack was significant. (2)The
quench cracking was due to time lag in martensitic transformation at surface side and inner side
of the quenched specimen,but not due to the thermal stress in the specimen. (3)The behavior
of a quenching crack wεls able to be predicted by the Heat treatment CAE software. (4)There−
fore,the Heat treatment CAE software is useful for a counterplan preventing the quenching crack.
K砂四〇745:10w alloy steel casting,heat treatment,water quenching,quenching crack,heat treat−
ment CAE software
究は行われているが,焼割れ現象のシミュレーション手法にっ
緒言
いての研究は少ないのが現状である。
鋼や鋳鋼の焼入れ・焼もどし処理は,機械部品等に高強度や
そこで,本研究では鋳鋼における焼割れ現象を明らかにし,
高耐摩耗性を付与する方策として,一般的に広く用いられてい
かっ焼割れに対する熱処理CAEソフトウェアの有効性を確認
る。また,焼入れ性の向上や質量効果の改善を目的に,種々の
することを目的として,低合金鋳鋼材の水焼入れ処理における
合金元素の添加が行われている・しかし,一般には焼入れには
焼割れ原因と焼割れ発生時間にっいて実験と解析の両面から検
必ず焼入れ応力,歪みが伴い種々の欠陥が発生する。熱処理条
討した。
件や部品形状によっては部品に焼割れが発生する場合がある。
この中でも焼割れは他の欠陥と異なり修復することが非常に困
2.実験方法
難であるため,材料および製造工程上のコスト損失が極めて大
2.1試験片
きい。
焼割れ実験に用いた試験片(以後「焼割れ試験片」と略す)
一方,焼入れ時の冷却媒体を水から油等に変更することによっ
はアーク炉により0.45mass%Cをベースに数種の合金を少量
て焼割れを防止する対策が図られている。しかし,冷却媒体を
変更しても製品材質・形状等の影響から焼割れが発生したり,
添加し溶製した低合金鋳鋼材(規格SCM440相当)とし,鋳
造時の偏析をなくすために函型電気炉(炉内寸法400W×400
仕様条件として要求される製品硬さが十分に得られない等の問
H×700Lmm,最高温度1373K)を使用し,試験片を1203K
題が発生することが多く,従来からトライアンドエラーを繰り
にて2時間等温保持後,炉冷(303K/h)する焼鈍処理を行っ
返すことによる焼入れ条件の最適化を行ってきた。
た。その後,放電加工等によりFigure lに示すような質量と
近年では,鋳鋼品の高品質化,省力化,低コスト化の弊害と
形状の異なる2種類の寸法に加工仕上げを行った。なお,本試
なる熱処理欠陥などの問題を解決するために熱処理CAEソフ
験片形状はr日本熱処理技術協会焼割れ研究部会」にて焼割れ
トウェアによる熱処理応力解析の実用化がされつつある図)。
試験片として採用されている試験片5)を参考に焼割れが発生し
しかし,これまで熱処理CAEソフトウェアを活用した熱処
理時の焼入れ変形現象等のシミュレーション手法についての研
Specimen2
Speoimen1
2
平成16年3月22日受付1平成16年8月20日受理
*秋田県工業技術センター
〒010−1623 秋田市新屋町字砂奴寄4−11
**秋田大学工学資源学部 材料工学科
〒010−8502秋田市手形学園町1
1
†Akita Prefectural Industrial Technology Center,4−11aza Sanuki
Araya−machi Akita city OlO−1623Akita prefecture Japan
††Faculty of Engineerlng and Resource Sience,Aki亡a University,1−1
Tegata Gakuen−cho Akita City O10−8502Akita prefecture Japan
素材物性学雑誌
Figure l Shape of specimens for quenching crack tests.
第17巻 第1号(2004年6月)
Akita University
9
熱処理CAEソフトウェアを活1冒した紙合金鋳鋼材の焼割れ発生シミュレーション
と組織の関係にっいて検討した。さらに熱処理CAEソフトウェ
やすいように内径10mmの偏心孔を設けた外径30mm,厚さ
12mmの円盤試験片(以後「焼割れ試験片1」と略す)と内径
ア(クオリカ㈱製GRANTAS門を用いて焼割れ発生状況にっ
30mmの偏心孔を設けた外径100mm,厚さ70mmの円盤試験
いて言平f面した。
片(銀後「焼割れ試験片2」と略す)とした。また,焼入れ過
程における試験片の冷却温度の測定は,Figure2に示すよう
3.実験結果および考察
なA点(偏心孔上端表面)とB点(偏心孔下端と試験片下端
3.1水焼入れ処理実験結果
との中央に深さ5mm)を代表点に選び,熱電対をA点に溶
質雛の異なる2種類の焼割れ試験片を各々水焼入れ処理を行っ
た結果をFigure4に示す。体積(質簸)の小さい焼割れ試験
蕊し,B点には挿入して行った。
片1では全く焼割れは発生しなかったのに対し,質量の大きい
2.2 実験手順
焼入れ処理における冷却媒体を298Kの水(水道水)とし,
焼入れ加熱には函型電気炉を使用した。試験片は,試験片温度
1123Kにて2時闇等温保持後,Figure3に示すポンプ(流速8
L/min)により携絆を行一・ている水槽中(液温298K,液量200
L)に浸漬して完冷を行った。なお,この際の冷却過程におけ
る焼割れ試験片の冷却温度測定はFigure2に示す試験片表面
に溶著および内部に挿入した2本の熱電対によって函型電気炉
より取喜)出した直後からσ)温度の時闇的変化を動歪み解析装置
(㈱共和竃業製EDX−1、500)を用いてサンプリング周期100Hz
で記録して行ったG
次に実体顕微鏡を胴いて試験片表面における焼割れ発生状況
を観察するとともに,ロックウェル硬さ試験機を用いて表面お
よび断面硬さを測定した。
また,倒置型金属写真顕微鏡,電界放射走査電チ顕微鏡を期
じ搬
壌︷㎜
いて試験片の表面および内部の金属組織を観察し,焼割れ発生
焼割れ試験片2では図に示すように焼き割れが孔内面に左右対
称状に発生した。孔内面中央部では長さ7mm程まで割れが進
展していたが,試験片表面までには達していなかった。これに
より焼割れは,孔内面中央部から発生し表面近傍に向かって伝
播したと考えられる。孔内面中央部にみられる焼割れ状況の一
例をFigure5に示す。
焼入れ試験片2の表面および内部における金属細織の観察結
果をFigure6に示す。試験片表面から内部にかけて全てマル
テンサイト組織を呈していた。また試験片における観察位置に
よる組織憂)違いは認められなかった。従って,試験片は焼ぺれ
によって全て均一にマルテンサイト組織に変態したものと判断
される。Figure7は焼割れ試験片2の中央部における円周方
向から中央内部にかけて‘冊霧ure2参照)コックウェル硬さ
測定を行った結果であるo硬さは平均約54HRCであり,ほぼ
均一な{直を示していることがわかる。以上σ)結果より,本実験
における水焼人れ処理が十分に行われ,マルテンサでト変態が
ト分に行われて’いたことが誘える。
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Schemati(!viewsof(111enchingcracksillthe
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the positioll for measuring Rockwell h&rdness
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Figure5
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第1隠第1号12〔魍年6月〕
Akita University
10
内田富士夫・進藤.遙悦・鎌田健一・後藤正治
このように焼割れ試験片1では焼割れが発生しなかったのに
測が可能なソフトウェアであり,172種類もの鋼材データペー
対し,焼割れ試験片2では発生したことから低合金鋼材の水焼
スを備えているのが特徴である。
入れ処理では質量が大きくなることによって焼割れが発生しゃ
Figure8に熱処理CAEソフトウェアに使用した解析モデ
すいと考えられる。
ルを示す。解析モデルは解析時間の短縮を図るために焼割れ試
すなわち焼割れの発生原因としては,試験片質量が大きくな
験片2の形状の1/4(要素数13500)とし,insideには対象条
ると表面と内部におけるマルテンサイト変態に時間的な遅れ
件,surfaceには熱境界条件をそれぞれ設定した。使用する鋼
(差)が生じ,その変態応力の緩和がスムーズに行われなかっ
材データは熱処理CAEソフトウェアのデータベース内にある
SCM440のデータを採用した。さらに,水焼入れ処理パターン
たためと考えられる。
(2。2実験手順参照)を入力し,試験片温度が常温(298K)
3.2熱処理CAEソフトウェア解析による評価
熱処理CAEソフトウェアによるに焼入れ処理中の温度変化,
焼入れ組織,応力集中箇所等にっいて検討を行うとともに焼割
れが発生する原因がマルテンサイト変態であるか否かにっいて
検討した、、
なお,今回焼割れの評価として用いた熱処理CAEソフトウェ
アは,熱処理過程で生じている物理現象を有限要素法(FEM)
による拡散解析,熱伝導解析および熱弾塑性解析に熱処理特膏
の現象である金属組織変態現象を考慮することにより,炭素濃
度,温度,冷却速度,金属組織,硬度,応力およびひずみの予
になるまでの焼入れ処理中の温度変化,焼入れ組織,熱応力,
および熱応力と組織変態を考慮した応力(取後「変態応力」と
略す)等について解析を行った。
Figure9に熱処理CAEソフトウェァによる温度解析結果
を示し,Figure lOに水焼入れ処理における焼割れ試験片2の
2箇所(Figure2参照)での実測温度および熱処理CAEソフ
トウェアによる温度解析結果を示す。このように測定点Aと
Bにおける実測温度と熱処理CAEソフトウェアによる解析温
度結果がほぼ一致した。さらに,完冷後の焼入れ組織は実観察
および熱処理CAEソフトウェアによる解析結果は共に全てマ
ルテンサイト組織であり,この結果にっいても一致した。以、L
a)Surfaee region qow magnifieationタ
b)Surfacg regionピh畳gh m愈gnification‘
のように熱処理CAEソフトウェアによる解析結果は焼入れ処
理における冷却過程を忠実にシミュレ「一ションすることが酊能
であると考えられる。
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Figure g Temperatllre profile analyz費d by the He&rt
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棚7巻第1E諏2004年6彫
Akita University
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Scanning electron micrograph of a qllenching
crack in specimen 2.
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6
,
Akita University
12
内田富士夫・進藤亮悦・鎌田健一・後藤正治
考えられる。すなわち本解析の結果,熱応力は降伏応力値より
れ発生時期の把握が可能であることから,焼割れ防止対策
低い値を示していることから,熱応力では焼割れが発生しない
には熱処理CAEソフトウェアの活用が有効である。
と判断できる。この結果に対し,変態応力では冷却時間約30
参考文献
sec後約534MPaであり,低合金鋳鋼材の降伏応力値490MPa
より高い値を示している。このことより冷却時問30sec後付近
1)門河昌弘,長岐 滋,井上達雄,鋼の焼入れと低温焼もど
で焼割れが発生した可能性が高いことが判る。以上の結果,焼
しにおける組織変化と応力の解析,材料,29巻,327号(昭
割れの発生原因は熱処理時の熱応力ではなくマルテンサイト変
和55年12月)1173−1179、
態によるものであることが明らかとなった。
4.まとめ
2)王志剛,井上達雄,相変態の応力依存性を考慮した鋼の焼
入れにおける温度,組織および応力の解析,材料,32巻,3
60号(昭和58年9月)991−996.
鋳鋼の焼割れ現象の解析に対する熱処理CAEソフトウェア
3)Tatsuo Inoue and Kyouzo Arimoto,Development and Im−
の有効性を確認することを目的として,低合金鋳鋼材を1123K
plementation of CAE System”HEARTS冒冒for Heat Treat−
からの水焼入れ処理における焼割れ原因と焼割れ発生時間にっ
ment Simulation based on Metallo−thermo−mechanics,
いて検討した結果,以下のことが判った・
」.Materials Engineering and Performance,ASM In
1. 低合金鋼材は質量が大きくなることによって焼割れが発生
temational,vol.6,No1(1997−1)51−60.
しやすい。
4)井上達雄,有本享三,変態・熱。力学に基づいた熱処理シ
2. 熱処理CAEソフトウェアの活用によって低合金鋳鋼材に
ミュレーション用CAEシステム“HEART”の開発と応用,
おける焼割れの発生原因は,熱応力によるものではなく表
材料,44巻,496号,(1995−1)103−109.
面と内部におけるマルテンサイト変態に時間的な遅れ(差)
5)大和久重雄:鋼の焼割れ研究部会報告,熱処理,29,239
が生じ,その変態応力の緩和がスムーズに行われなかった
(1989).
ためであることが確認できた。
6)Y。Nagasaka et.a1,Mathematical Model of Phase Trans−
3.熱処理CAEソフトウェアの活用によって焼割れが発生す
formations and Elasto.Plastic Stress in the Water
る時期を把握することが可能である。
spray Quenching of Steel Bars,METALLUGICAL
4.熱処理CAEソフトウェア活用によって焼割れ原因と焼割
TRANSATIONS A,1993,VOL.24A,795−808、
素材物性学雑誌
第17巻第1号(2004年6月)
Fly UP