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Page 1 Page 2 金銭的な利益相反への対応のための枠組みになる文書
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資料6
金銭的な利益相反への対応のための枠組みになる文書(アメリカ大学協会)
出典:
FrameworkDocumentonManagingFunancialConflictsofInterest
May1993,AssociationofAmericanUniversities
(http://m.tulane.edu/∼aau/Frwk.COI.html)
金銭的な利益相反への対応のための枠組みになる文書り
******************************************************************************
目 次
序文・・・・・・・・・・・・・
・1
金銭的利益相反のマネジメント
大学のポリシーと責任・・・・
利益相反の施策の要素・・・・・
・2
・3
・4
定義・・
・事例A
・事例B
・事例C
公開・・・・
審査過程・・
・第1段階審査
・第2段階審査
反論過程・・
= … ● − ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●
・4
・4
・4
・4
・5
・5
・5
・6
・7
違反………… ……… …………‥7
参考文献…… ……… …………… ….7
******************************************************************************
序 文
コンフリクト・オブ・インタレスト(利益相反)に対処するための施策の重要性は大学では古くから認
識されてきた。1964年に・theCounciloftheAmeric孤AssociationofUniversityProfessors
(AAUP)とtheAmericanCouncilonEducation(ACE)は協同でOn Pteventlng Confllcts of
血e∫eSと7月Gove川me山一5po那0∫ed尺e5e∂∫Cムa亡U血ve∫SJ冒esという声明を発表した。同声
明は・知識と技術の大学から産業界への移転の重要性,ならびに,大学が主体性を維持するための制度上
の基準と手続きについての細かい配慮の必要性を強調しており,その後,多くの大学の施策の基礎になっ
ている。
政府支援の研究の増加,大学一政府一産業間の連携促進施策ならびに法律の進展につれて,大学が利益
相反施策を構築し,さらに精緻化するのを助けるための声明や報告書が逐次出されている。1978年には
the Association of American Universities(AAU),ACE,the NationalAssociation。f State
UniversitiesandIAnd−Grant Co11eges(NASULGC)はPtlncIples to Govetn College and
U月∫ve∫Si亡yCo乃1pe那∂打0月ニfo〃cfe5forf∂C廿圧y 加g∂ged∫月5po月SO′ed尺e5e∂∫Cムを
発行した。1985年には,AAUはUnlvetsltyPollclesonConfllctof]ntetestandDelayof
PubllcatIonという標題で産学連携の指針を出版した。theAssociationofAmeri飴nMedicalColleges
(AAMC)とtheAssociationofAcademic=ealthCenters(A=C)はいずれもコンフリクト・オブ・コミッ
トメント(職務専念責任の相反,以下責務相反)2)と利益相反に関する報告書を刊行した。
1)FrameworkDocumentonManagingFinancialConflictsofInterest(May1993,byAssociationof
AmericanUniversities;http‥//w.tulane.edu/∼aau/Frwk.COI.html)を和訳。
2)大学教員が勤務時間を学外活動にどの程度までに使っていいか。
−1−
1990年代になって技術移転が改めて強調されるようになり,経済的競争力が国の優先施策の一部になっ
た。したがって,大学の主体性の維持,知識とアイディアの自由な流れの促進,公共的ならびに大学のリ
ソース1)を適正に利用するため;各大学が自らの利益相反の施策をもう一度見直すことは極めて時宜を得
ているといえる。本文書は各大学が,一定の枠内で,特に金銭的なコンフリクトへの対応を中心に・自ら
の利益相反の施策を検討し直すための標準的な枠組みを提供することを企図して作成されたものである。
例えば,企業によって支援された研究やその他の活動に学生を動員する七いったことは大学組織としては
重要な施策であるが,ここでは金銭的な利益相反のみを取り上げる。また・特に大学教員と教員の行う研
究に焦点をあてて記載しているが,概念的には事務職員を含むすべての大学職員にあてはまる問題である。
本文書は大学の金銭的な関心と大学研究者の研究成果の実用化との聞から発生する組織レベルの利益相反
の施策の展開については取り上げていない。しかし,各大学はそのことについても明確な施策を設定すべ
きことを勧告する。
金銭的利益相反のマネジメント
教員と職員は勤務先の大学に忠誠をつくす義務がある○それを前提として何に重点を置くべきかを考え
ることになる。教員は学部学生に講議をし,大学院生を指導し,研究を実施,公表し,大学の運営に関与
する。大学教員としてのこのような責任を果たしながら,教員は私的ならびに公的な団体や機関へのアド
バイザーやコンサルタント活動をし,専門分野の学会等へのサービス活動をする。このような内外におけ
る各種任務をどのようなバランスでこなすかは難しく,リソースと時間をどのように配分するかといった
コンフリクトが必然的に起こってくる。どの活動にどの程度時間を割くか(責務相反)に関する大学のポ
リシーが吟味されてきた。また,大学のリソースを個人的な利益に利用することに関するコンフリクトが
利益相反の施策には記載されている。事実上,すべての大学が利益相反の施策に対応するための制度と手
続き基準を設定しているが,アカウンタビリティーを果たすためにはそれらを周知徹底し・かつ履行しな
ければならないのである。
学界から産業界への知識や情報の移転は,極めて高い公益をもたらすことのできるさまざまな活動や関
係を大学外で発生させる。教員が私企業や国立研究所に関わることは・今や国家的な優先課題にもなって
いる技術移転のための有効な手段である。しかし,大学等の研究機関が実社会の問題に取り組むときには・
多少とものコンフリクトは避けることができない。ここで重要なのは・そのようなコンフリクトは大学等
の研究機関の目的や使命が犯されないように,公共と学生の投資が保護されるように,そして学問的な活
動の本来あるべき姿に対する社会の信頼が保たれるように処理することである。筋の通った利益相反の施
策は産学連携の助けになるばかりでなく,大学の使命の健全化にもなる。
したがって,大学にとっての課題は,教員と他の職員の大学内での任務と外部での活動の関係を大学機
関が適切に審査し,処理できるような仕組みを構築することである。これは・大学で行われる研究にバイ
アスがかからないようにするために必須なのである。特定の外部の研究資金を受けることの恩恵・その他
さまざまな予想されるバイアスが考えられる。場合によっては,公開されたコンフリクトを適切に処理す
ることが即,例えば外部との関係や外部活動といったコンフリクトを取り除くことを意味する。また・あ
る場合には研究活動と活動記録データを報告させ,それを注意深くモニターする。モニターすることによっ
て科学と大学の主体性を保証し,他方では重要な研究も併せて実施できるといったことが適切に処理され
るということもある。そのためには,プロジェクトの全過程を通して,注意深く審査し・モニターし,記
録にとどめることが必要であろう。もし政府資金が関係していれば,大学は金鍔的なコンフリクトを公開
し,これに適切に対処しているということを政府と市民に説明する義務がある。
1)人,施設・設備等の公共財を指すが,訳文では原文の「リソース」をそのまま用いる。
− 2 −
利益相反の制度と手続きを構築して改良するのはそれぞれの大学の責任である。しかし,金銭的な利益
相反に対応するためには,どの大学も共通に考えなければならない幾つかのキーになる要素がある。その
要素とは以下の通りである。定義,公開,審査過程,勧告と決定,反論の余地,違反の場合の大学による
適切な処分等である。それぞれの項目に対する管理責任を明記し,その制度の適用を受ける者全てが,制
度に関わる自らの責任を認識できるよう情報を周知徹底させる必要がある。この文書では各項目について,
それらが利益相反の施策の中でどのような位置付けにあり,どのように実行に移されるかということを助
言を加えながら説明する。
大学のポリシーと暮任
利益相反の制度と手続きを構築して改良するのは,それぞれの大学の責任とすべきである。個々の制度
と手続きを構築,改良する方法は様々であろう。というのは,その方法が各大学にある文化的な背景や管
理スタイルを反映するからである。各州の法律や規制を遵守することも必要なので,各大学が独自の利益
相反の施策を構築しなければならなくなる。新たな施策を,教員と職員の任務と行動に関する既存の大学
ポリシー全体と調和させることもまた必要である。
学生,同僚,大学組織,ならびに地域社会に対し教員がとる行動に関して,倫理上の原則に基づく行動
規範というものを各大学は持っている。ここでの行動規範とは教授(インストラクション),学問,およ
び公共サービスについての容認できない行動に関する問題を扱うものである。容認できない行動には,学
生を個人の益になるよう利用する,知的な公正さに関する規範に違反する,個人的な目的のために許可な
く大学のリソースを利用する,などがある。こうした規範に付随しているのが,施行と制裁に適用する施
策と手続きである。教員については,その専門家としての任務を全うする際の主体性に関する専門額域内
での規範も守らねばならない。
上記に加え,大学が採用している教員の昇進についての手順は,専門的な活動が同僚によって評価され
るようになっている。これらの手順は金銭的利益相反以外のコンフリクトを処理するのに適している。教
員の昇進にあたっては,教授法がいかに創造的ですぐれているか,研究成果を挙げているか,大学組織に
サービスしているか等がきびしく審査されている。教員は発表論文,教授法評価,専門分野へのサービス,
関係機関へのサービス,ならびに知識の発展への寄与によって同僚から専門的な業績についての評価がな
され 処遇されるのである。研究実績を含めて,こういった務めを如何に誠実に,開放的に,客観的に見
て妥当に,かつ正確な判断の下に果たしているかが,学界における評価・処遇の構造において極めて重要
な要素になっているのである。
大学には研究に附随した,利益相反に関係する別のメカニズムもある。通常,契約(コントラクト)と
助成金(グラント)に関する施策と手続きに盛り込まれており,研究環境の開放性,学術発表の権利,
知的財産権,大学名の使用,および大学施設の適正利用といった問題が取り上げられている。
さらに,利益相反は教員による研究のみに限られたものではない。大学を運営する際,管理業務上の判
断を行う事務職員の一部に関わる利益相反も大学はマネージしている。例えば,購買判断を下す職員につ
いては,その職務の客観的遂行を損なう恐れのある業者との結びつきを抑制する必要がある。
最後に,金銭的な利益相反を審査し,マネージするための施策と手続きにあたっては,提起されている
問題についての既存の規範,基準,施策,手続き,慣習,ならびにガイドラインを認識しておかければな
らない。新たな施策を策定・実施することは,既存施策を改良された方法で実施することとは区別すべき
である。中でも重要なことは,その施策と手続きを実施する際に大学が採用している組織構造と,大学内
における責任体制である。適切な施策を備えることだけでは不十分である。これらが利用され,かつ何に
対して誰が責任を持つかを明確にすることが必須である。
ー 3 −
利 益 相 反 の 施 策 の 要 素
定義
利益相反をどう定義づけるかは複雑な作業である。取り扱っている具体的な問題に焦点が絞られていな
いと,個々人の意欲,研究の性質,学術機関の性質,その他大変重要ではあるが利益相反を定義する際に
必ずしも必要ではないものを含めて利益相反の定義が論じられてしまうことになる。むしろ,その定義は
大学内における個人の活動が,その個人による大学外での活動に影響される際に発生するコンフリクトに
的を絞る必要がある。
利益相反の定義は大学外での雇用,顧問,株式の保有など,対象とする活動を幅広くカバーするもので
なければならない。その定義は,ある特定の活動または関係が承認できるかできないか,もしくはさらな
る審査と慎重なモニタリングを要するかを,慎重に検討し,評価する必要のある活動に関する公開事項に
的を絞るべきである。
大学によっては施策の中に,具体的な公開事項,境界,そして定義の一部として影響を受ける個人を含
めている。その他は大まかな定義を盛り込み,公開用書式に境界と事項を明らかにしている。ほとんどの
大学が家族を対象に入れているが,「家族」に該当するのは誰であるかを明記することが重要である。
以下にいくつかの大学で採用されている定義の例を示す。
事例A
利益相反は様々な形態をとるが,教員が本人,またはその家族の個人的利益につながる,あるいは大学
の損失になるような形で他に対して不当に便宜を図るような方法で,大学の管理運営,研究,あるいはそ
の他の決定に影響を与える,もしくは与えうる地位にある場合に利益相反は発生する。
事例B
利益相反が発生しうる,あるいは実際に発生するのは,大学,または広い意味で認識されている専門分
野の基準に対するコミットメントと義務が,特に金銭的な意味での個人によるその他の利益,またはコミッ
トメントにより損なわれうる場合で,特にその利益またはコミットメントが公開されない場合である。
事例C
大学の決定において職員が金銭的利益を受けるときに利益相反は発生する。金銭的利益とlま以下を言う。
・スボンサ⊥に対する1,000ドル等価を超す直接的,あるいは間接的投資
・スポンサー内における取締役,執行役員,共同出資者,理事,従業員,もしくは他の管理職といった
地位
・金銭授受が行われる1年以内に,顧問料および250ドル等価以上の進物を含め,研究代表者がスポン
サーから受け取る,もしくは約束される収入(本施策のため,「収入」は政府条例セクション82030
にさらに詳しく定義されている。)
研究代表者は以下の場合はスポンサーに対し「間接的投乳をしている,または「間接的な金銭的利益」
を持つ。
・その配偶者,もしくは扶養している子どもがスポンサーから金銭的利益を経る。
・研究代表者,その配偶者,もしくは扶養している子どもが研究のスポンサーに対して金銭的利益を持
っ企業体または信託会社に,直接的,間接的,あるいは収益を受けるべく・株式の10%以上を保有し
ている。
一 4 −
公開
定義に加え・利益相反の施策は公開すべき情乳ならびにその公開が誰に対して行われるべきかを規定
しなければならない。公開書式の範囲は限るべきであるが,公開の外部審査者にとって外部での活動が,
研究者の主たる責任と大学に対する忠誠義務,および研究プロセスの主体性に抵触するかどうかを判断で
きる程度に十分な内容を含んだものであるべきである。利益相反の施策を制定し,手続きを定めるにあたっ
ては・外部での活動による金銭的受益の可能性が教員の学術活動にバイアスをかけるかもしれないという
ことを想定すべきである。
公開書式は大学の利益相反の問題にのみ関わる情報を,できるだけ有効にとらえるよう作成されるべき
である。ほとんどの教員とスタッフがコンフリクトを報告することがなく,彼らの公開した情報が第1段
階を終わった段階で・それ以上の審査をしなくてもよいと認識できるようフォームを作る必要がある。公
開書式は金銭的利益相反を特定すべき種類の情報を明確にし,話し合い,審査,そして適切な対応手続き
の機会に導けるようなものがいい。全国の大学で利用されている公開書式の見本を本文書の付録AからC
として添付している(訳者注‥原典を参照したインターネットの公開情掛こは載っていなかったので,別
の資料で幾つかの大学の例を示す)。
幸査過程
第1段階審査
公開フォームは適任の大学役職者に公開書式を提出し,審査されるべきである。提出先は,当該教員に
対して監督的な立場にある人物である場合が多い。大学によってこの役職者の役職は様々で,学部長であっ
たり・学科長であったりする。それぞれの公開書式はネガティブ公開(金銭的コンフリクトを示さない公
開)とポジティブ公開(さらなる審査を必要とする公開)を区別するよう設定された基準に従って審査が
行われるべきである。多くの場合・この基準は公開書式上に表記された質問と分類から判別できる。記録
システムを設定し,あらゆる公開,ネガティブ,ポジティブについての記録をすべて保存すること。
審査過程を明確に提示し,統一的に実践すべきである。あらゆるポジティブ公開の審査は,コンフリク
トの性質と程度をより明確に理解し,それに対応する選択肢を検討することを目的とすべきである。ほと
んどの場合,ポジティブ公開でも,審査者と教員による話し合いによって利益相反を排除することができ
るか,あるいは研究者からの歩み寄りで緩和することができる。コンフリクトが排除されなければ,こう
した段階の経過は慎重に文書化し,第1段階の公開書式と共に保存すべきである。
AAMCによるGuldellnes foT Deallng wlth Paculty Confllcts of Commltment and
Co月f〃c亡50f山一e∫eSr∫n尺ese∂∫Cム(前出)には,次に例示するような第1段階の審査者がポジティ
ブ公開を評価するのに助けになる質問集が記載されている。
・教員の活動に関わるあらゆる情報が得られたか(すなわちすべて公開されているか)
・教員に関わる金銭的利益が,事前に定められた容認できる限界を超えていないか
・教員が報告している外部活動への関与の量(時間)が許容範囲を超えていないか
・研究結果が忠実,かつ正確に報告されていないことを示唆するものがないか
・教員自身の専門的役割が外部団体に対する貢献が適切さを欠いていないか,もしくはそのようにする
誘因があると考えられることを示唆するものがないか
・教員が大学外の団体を不当に代表していないか
・教員が不当なバイアスにつながるような誘因の対象になっているように考えられないか
・大学に対する義務が果たされていないことを示唆するものがないか
・教員の置かれている状況が,国,州,あるいは地元の法律および要請に違反するような可能性がない
・教員が現在締結している契約が外部の機関同士の間の利益の競合を生じさせていないか(競合企業体
のためのプロジェクトに同時に参加しているなど)
− 5 −
大学によっては全教員に対して毎年公開させるように決めている。外部研究契約の承認,あるいは技術
移転契約の履行を大学側が意図した際,もしくは教員がこうした活動に従事したときに公開させる(また
は更新する)よう求めている大学もある。後者の場合,大学は第1段階の利益相反の審査と既存の管理審
査過程とを一本化することも考えられる。
第2段階審査
第1段階審査において金銭的コンフリクトが解決されないという場合は第2段階審査に委ねられる。こ
の審査は別の審査者,または委員会で行われる。この時点で配慮すべきことは,ケースの審査とコンフリ
クトにどのように対応するかを決定するための組織構造および責任体制である。このプロセスを中央に集
中する程度を定めなくてはならない。中央に集中することで,統一性とポリシーを逐次発展させるために
必要な経験が得られる可能性が強まる。一方,分散しておけば,その時々に個々の研究分野で生じる個別
の問題への対処がより効果的に行なえる。組織構造がどのようなものであるにせよ,第2段階審査の目的
は公開の評価であり,金銭的コンフリクトにいかに対応するかについて勧告できるものとすべきである。
承認できないもの,そして条件付きで承認できるものを決定する基準を作成することが最重要であり,大
学の方針と経験に鑑みて行われるべきである。基準には学外活動への参加の程度と性質・活動の開放性・
その活動に関する自由な情報交換,活動によって生じる知的財産権の管理,そして学生の動員を含めた大
学リソースの利用といった要素を含めるべきであるが,これに限定されるべきではない。第2段階審査過
程に参加する大学内の人物として,学部の管理職,教員,契約および助成金担当職員,技術移転担当者・
ならびに大学本部の学術管理職員等である。公平で厳正な審査過程に教員を加えることによって,その過
程の信頼性,および勧告を受けた結果の成果が著しく向上したとする大学もある。
それを維持した場合,科学または大学の主体性を保証することが不可能となるような性質の外部との関
係または活動もありうる。このような場合,コンフリクトは受け入れられないものと見なすべきで・研究
が進んでしまう前に外部との関係または共同活動を排除すべきである。外部との関係または共同活動を排
除することまでは必要はないとか,または慎重に行う方がよいと考えられる場合もあるであろうが・こう
した事態には科学の客観性と大学の主体性を守るために,注意深いモニタリングと報告が不可欠となる。
次に再蜘C(前出)の例示する質問例を挙げる。これらは第2段階審査において,科学と大学の主
体性を守ることができる金銭的コンフリクトヘの適切な対応方法を決定するのに役立つ。
・当該研究提携またはその他契約の交渉は,真に利害関係のない大学代表者によって行われるか
・研究計画は開始に先立ち同分野の学者による独立の外部審査を受けることになっているか
・研究プロジェクトにかかるバイアスを防ぐための手段が講じられているか(プロトコルは二重盲検に
なっているか。研究対象がランダムに選定されているかなど)
・プロジェクトは権限を持つ,利害関係のない人物によって監督されているか
・研究結果を実証する方法があるか(例えば別の研究室による独立した確証だて・mレビューなど)
・データと研究材料は外部研究者と共有されるか。もしそうでないならこうしたリソースヘのアクセス
を誰が決定するか
・外部組織との共同研究の成果は,査談つきの科学雑誌に公表されるか
・研究結果を公表する学会発表で,研究支援行為と関連して受擬した利益に謝意が示されるか
反論過程
公開された金銭的利益相反の承認または非承認に関わる公式決定に対して反論するプロセスは,大学の
利益相反の施策に含めるべきである。この反論プロセスの中では,どのような状況で下された決定に反論
でき,また誰に対して反論するかを詳細に記述すべきである。
− 6 −
違反
大学の利益相反の施策の違反に対しては,可能な範囲で教員行動規範に対する違反の調査および制裁に
関して大学内にある手続きを採用すべきである。これに当たって大学側は,利益相反を大学の方針および
規範に基づき解決するという具体的な記載を加える必要があるだろう。
参 考 文 献
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