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早稲田大学 大聖 泰弘 氏 - 平成23年度エコドライブ推進シンポジウム

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早稲田大学 大聖 泰弘 氏 - 平成23年度エコドライブ推進シンポジウム
経済産業省資源エネルギー庁
平成23年度 エコドライブ普及推進事業
『エコドライブ推進シンポジウム』
自動車の環境・エネルギー技術と
エコドライブの効果
早稲田大学大学院
環境・エネルギー研究科
大聖 泰弘
2
運輸部門における環境対策のための
3つのアプローチ
従来車の技術改善 (対象:ガソリン車,ディーゼル車,ハイブリッド車)
【1】従来車の技術改善
・技術的に確実で,排気浄化と燃費改善で当面高い効果
・2010年度燃費基準はすでに達成され,2015年度基準への適合が進展
・2020年度燃費基準が提示されている。
【2】新動力システム・新燃料の開発
新動力システム・新燃料の開発 (対象:次世代自動車)
・プラグインハイブリッド車 ・電気自動車 ・燃料電池車
・新燃料・エネルギー(電気,バイオ燃料,天然ガス等)
- 今後の開発・実用化,普及が期待される。
自動車のスマートな利用に関わる取組み
【3】自動車の利用に関わる取組み
<交通流の円滑化,活動量(走行量)の抑制,ITS,ICTの高度化と活用>
・輸送(積載効率の改善,自営転換,モーダルシフト等)
・業務(ITを使って移動の削減,マイカー通勤の自粛等)
・私的な利用(エコ・安全運転,カーシェアリング゙等)
3
関東地方の浮遊粒子状物質濃度
SPM濃度
○一般局 □自排局
0~ 50
51~100
101~200
201~400
401~600
601~
g/m3
2006年12月5日
19時現在
「そらまめ君」による
■大気環境行政の最重要目標である2010年でのNO2とSPMの大気環境
基準の達成は,ディーゼル車排出ガス規制の強化と地域的な取組み(自動車
NOx・PM法等や首都圏ディーゼル車対策等)により概ね可能となった。
■2009年9月,PM10に加えてPM2.5の環境基準が告示された。
4
従来車の排出ガス対策の進展
■ガソリン車は
ガソリン車: 電子制御燃料噴射装置と三元触媒の高度化で超低排出ガス
特性を実現。今後は,燃費基準の強化に対応した一層の燃費改善が課題。
■ディーゼル車は
ディーゼル車: 2010年前後に行われる日米欧の規制強化で大幅な排気浄
化が進展。 耐久性確保とコスト低減,,長期的には一層の高効率化が課題。
■先進国では,対策に不可欠な低硫黄化等の燃料性状の改善が進展。
エア・フィルタ
スロットル弁
酸化触媒+DPF+
NOx還元触媒
E
新 気
E
ターボ過給器 E
(可変機構,2段化)
還元剤
供給システム
インター
クーラ
E
吸気スロットル弁
スロットル弁
EGR
クーラ
ERG弁
E
EGR
クーラ
E
電子制御高圧
噴射システム
(多段噴射)
E
排気
スーパークリーン
ディーゼル車の
排出ガス対策
各部温度圧力
入力
各部制御
ECU
出力
E :電子制御入出力
5
日米欧におけるディーゼル重量車のNOxとPMの規制
~
~
0.20
試験モードは日米欧で異なるが,将来
WHDCとして国際調和が図られる。
0.15
0.04
新短期’03
・EUでは粒子数規制を検討中
・挑戦目標と2015年度燃費基準の同
時達成が必要。(2016年以降WHDC
を導入し,冷始動を考慮して
~
~ NOx:0.4g/kWh,PM:0.01g/kWhとする。)
米国 2010
NOx: 0.27
PM: 0.013
EURO6
2013-’14
NOx:0.46
PM: 0.01
ポスト新長期
2009-’10
NOx:0.7-0.23
PM: 0.01
0.15
米国’04
(NOx+HC) ~
~
0.02
新長期’05
挑戦目標NOx: 0.23
0
0
0.5
米国’07
ガソリン車
1
0.04
EURO5 ’08
EURO4’05
0.02
~
~
PM
g/kWh
0.20
0
1
2
3
NOx g/kWh
4
6
世界の年間一次エネルギー需要の推移
~基準ケース~ (IEA World Energy Outlook 2009)
石油換算量
億t/年
180
160
140
120
100
80
60
40
20
0
1980
その他の再生
可能エネルギー
バイオマス
WEO 2008
水力
ガス
原子力
石油
石炭
1990
2000
2010
2020
2030
■WEO2008に対して,同2009では,世界的経済不況の影響を考慮。
■現状が維持される基本ケースでは,石油換算量は2007年現在の120億 t
から2030年には40%増加し,168億tに達すると予想される。
■運輸部門では,石油の6割を消費し,全世界のCO2の23%を排出している。
7
わが国の運輸部門におけるCO2排出量の推移
国交省資料
燃費改善効果
自営転換等によ
る輸送の合理化
と大型化の効果
8
わが国の自動車用燃料年間消費量の推移
千万 kL
6.5
6.0
●
●
●
ガソリン
5.0
●
● ●
●
●
●
●
●
4.0
● ●
● ● ●
●
●
● ● ●
3.0
2.0
1.0
● ● ● ●
●
●
● ●
●
● ●
● ● ● ●
●
●
●
●
● ●
● ●
●
●
●
●
●
●
●
燃費改善で
減尐傾向
● ● ●
● ●
●
●
トラック輸送の合理化
で減尐傾向
●
軽 油
●
● ● ● ● ●
● ●
●
●● ●
●
●
● ●●
ドラム缶4本/人を消費
石油危機 ’73
0
1971 75
80
85
1990
95
2000
■国民1人当たり,年間ドラム缶10本消費。
■石油の約4割を自動車に使っている。
05 08
9
2008年度におけるわが国の運輸部門のCO2排出量
各部門の排出割合
分 類
万トン
割合 %
20,543
87.2
自家用乗用車
11,506
48.9
自家用貨物車
4,120
17.5
営業用貨物車
4,078
17.3
バ ス
433
1.8
タクシー
406
1.7
内航海運
1,166
5.0
航 空
1,028
4.4
鉄 道
801
3.4
自動車
その他
12.7%
運輸
19.4%
CO2総排出量
産 業 12.140億トン 業務等
34.5%
19.3%
家庭
14.1%
自動車から排出されるCO2はわが国全体の排出量の17%を占めている。
10
ディーゼル重量車と乗用車等の2015年度燃費基準
☆トップランナー方式により,車両区分別に燃費基準が設定されている。
ディーゼル重量車 (車両重量3.5t超)
【ディーゼル重量車】
■世界初の燃費基準。2002年度比で2015年度までに平均で12.2%の改善。
■2009年からのポスト新長期排出ガス規制による燃費悪化の克服が必要。
■車体の種類や形状が多いことを考慮し,定常運転でのエンジン燃費特性を
もとに数値シミュレーションによる評価を行う。
【乗用車等】
乗用車等
■現 状:1995年度比で22.8%改善する2010年度の乗用車燃費基準はすでに
達成されている。(2004年度に約22%改善)
■車両の重量区分を一層細分化。
■エンジンと動力伝達技術の改善効果で2010年度基準値に対して平均で
29.2数%の改善が可能な見通し。2004年度比で23.5%改善,2015年度基
準が達成されれば,1995年度に対して約40~50%の改善
■ガソリン車とディーゼル車の区別廃止でディーゼルには有利。
■2020年度燃費基準が検討開始。2012年に基準値が決定される予定。
11
2015年度重量車の燃費基準 (車両総重量>3.5トン)
< トラック >
車 種
基準2002年度
6.56
トラクター以外
2.67
トラクター
6.32
全 体
2015年度
7.38
2.93
7.09
<バ ス>
車 種
路線バス
一般バス
全 体
基準2002年度
4.51
6.19
5.62
(L/km)
改善率
12.2%
9.7%
12.2%
(L/km)
2015年度
5.01
6.98
6.30
改善率
11.1%
12.8%
12.1%
12
乗用車の2020年度燃費基準案と
燃費改善率(2011年8月)
車両重量別の燃費目標値に対応した販売台数で重み付けして調和平均値としての企
業平均燃費(CAFE)の基準達成が求められる。新燃費基準を達成した場合、目標年度
(2020年度)における燃費改善率は、下表のとおりである。
<2009年度実績値に対する燃費改善率>
2009年度
実績値
2020年度
推定値
2009年度実績
からの燃費改善率
16.3(km/L)
20.3(km/L)
24.1%(年率2%)
<現行燃費基準の水準に対する燃費改善率>
2015年度
基準相当平均値
2020年度
推定値
2015年度基準
からの燃費改善率
17.0(km/L)
20.3(km/L)
19.6% (年率4%)
※ 上の表の燃費値は、JC08モードによる燃費値。
※ それぞれの燃費改善率は、目標年度(2020年度)における各区分毎の出荷台数
比率が、2009年度と同じと仮定して試算。
13
各国の乗用車燃費基準によるCO2排出量の比較
270
■NEDC(新EU運転サイクル)による比較
250
カナダ
CO2
g/km
230
210
カリフォルニア州
オースト
ラリア
韓国
実線:過去の実績値
破線:達成された目標値
点線:決定した目標値
○ □ :提案目標値
米国
205
190
中国
172
170
170
167
150
EU
150
130
130
日本
125
110
117
<資料:ICCT>
90
2000
注)米国とカナダは軽量
商用車を含む。
2005
107
95
2010
2015
2020
2025 年
14
自動車の燃費改善技術
燃費改善率
対 象
◎: 10%以上 ○:5~10% □:5%以下
技 術 (G:ガソリン車)
◎ハイブリッド化
新方式 ◎直噴ガソリン(G)
◎ミラーサイクル
○リーンバーン,HCCI
□減速時燃料カット
制 御 ○アイドルストップ
□空燃比,点火時期制御の高精度化(G)
エンジン
□4弁化
○可変・多段ターボ過給
機 構 ○可変弁機構(VVT等による可変圧縮比)
◎可変気筒機構
◎エンジンダウンサイジング
摩擦低減 □潤滑特性の改善 □運動部の軽量化
駆動・
ATの改善 ○無段変速機(CVT) ○自動化MT(DCT)
□ATの電子制御化 □ATの多段化
伝達系
◎軽量化(樹脂,軽金属,高張力鋼の利用)
車 体
◎空気抵抗低減(高速時)
□低転がり抵抗タイヤ
その他
□補機類の高効率化(電動化) □廃熱利用
15
ディーゼル商用車の高効率化
■物流と公共交通を担うディーゼル車の一層の高効率化は極め
て重要な共通課題。 スーパークリーン化が前提
①エンジンシステムの高効率化
②高過給システム
③ターボコンパウンド
④ハイブリッド化
⑤軽量化(超高張力鋼等の利用)
⑥空力特性の改善
⑦低転がり抵抗タイヤの利用
■信頼耐久性,保守の容易性の確保,低コスト化が重要
★小型車・中量車(域内輸送用),路線バス
④ハイブリッド化
★長距離高速輸送用の重量車
③,④(シリーズハイブリッド?),⑥,⑦
16
今後の電気自動車の発展
中・小型EV
-1990年代~要素技術の開発~
モータ 電 池 ディバイス 電子制御
エンジン 軽量化
小型EV
燃料電池車
ハイブリッド車
17
将来各車種のCO2排出量比較
(現在のガソリン車基準,将来:2020~2030年,大聖)
【仮 定】 ・総合効率=燃料効率×車両効率
・EV電源における化石燃料火力の熱量割合:50~70%
・車両の軽量化:20~40%
・バイオマスの熱量換算混合割合:6~12%
<相対CO2量 %> 0
■現在のガソリン車
☆将来のガソリン車
■現在のディーゼル車
☆将来のディーゼル車
☆将来のガソリンHV
☆将来のディーゼルHV
☆将来の中小型EV
●車両の軽量化
●新燃料の利用
20
40
60
80
100
18
2020~2030年の乗用車車種別普及見通し
(経産省,次世代自動車戦略研究会,2010年4月)
< 民間努力ケース > (企業の開発実用化の努力による場合)
車 種
従来車
次世代自動車
ハイブリッド自動車
EV,プラグインハイブリッド自動車
燃料電池自動車
クリーンディーゼル車
2020年
80%以上
20%未満
10 ~15%
5~10%
わずか
かずか
2030年
60~70%
30~40%
20~30%
10~20%
1%
~5%
< 政府目標 > (政策的支援を実施した場合)
車 種
従来車
次世代自動車
ハイブリッド自動車
EV,プラグインハイブリッド自動車
燃料電池自動車
クリーンディーゼル車
2020年
50~80%
20~50%
20~30%
15~20%
~1%
~5%
2030年
30~50%
50~70%
30~40%
20~30%
~3%
5 ~10%
19
自動車の利用に関わる取組み
■交通流の円滑化と適切な交通量の抑制
・交通需要マネージメント(TDM) ・公共交通機関の利用促進
・ロードプライシング ・ETC ・優先レーン ・パークアンドライド ・デマンドシステム
・高度ナビゲーションシステム ・信号の最適制御 ・フレックスタイム ・テレワーク
■貨物輸送の合理化と積載効率の向上
・自家用車から営業車への転換 ・共同輸配送
■鉄道・海運輸送等への転換(モーダルシフト)
(現状の輸送容量は限定的で長期的な取り組みが必要)
■低公害車・低燃費車の導入と普及拡大
・グリーン税制 ・価格増加に対する購入助成 ・燃料・充電インフラ整備
■自動車に依存した商習慣,生活様式の見直し
・エコドライブ゙
・カーシェアリング
・自転車の利用
■環境に配慮した長期的な都市・道路計画
ITS(高度道路交通システム),IT(情報技術)の活用
20
ITS (高度道路交通システム) の役割
人とクルマと道路を先進的な情報通信技術で結び,安全で
環境に優しく便利なモビリティ社会を実現する。(ITS Japan)
カーナビゲーション
交通管制
商用車運行管理
ETC
道路管理
歩行者支援
安全運転支援
公共交通運行管理
緊急車両管理
21
プローブ情報を活用した大震災時の自動車・
通行実績マップの提供(ITS Japan, 2011年3月~)
■ITS Japanでは,ITS技術によるプローブ情報を有効活用し,被災地の通行実績情
報をGoogle Crisis Response Map をベースに作成して提供。自動車による物資の
輸送と個人の移動を効果的にサポートしている。
■プローブ統合交通情報は,ホンダ,パイオニア,トヨタ,日産が匿名かつ統計的
に収集された通行実績情報を使用している。 サイトは下記のとおり
http://www.google.co.jp/intl/ja/crisisresponse/Japanquake2011_traffic.html
<各社のシステム>
□ホンダとパイオニア:それぞれ,
インターナビ・プレミアムクラブと
スマートループ渋滞情報から作成し,
ホンダから情報を提供
□トヨタ:G-BOOK □日産:カーウィング
■渋滞抑制,燃費(CO2)削減,災害対応へ
の活用が期待される。そのような 狙い か
ら,エネルギー使用合理化技術開発等
事業 「プローブ情報の集約化・ 共有化の
推進事業」が開始(経産省,平成23年度)。
22
輸送量当たりの二酸化炭素排出量
164
自家用乗用車
108
航空
【旅 客】
48
バス
鉄道
19
g-CO2/人km
945
自家用貨物車
【貨 物】
(国交省,2008年)
営業用貨物
135
航空
39
鉄道
22
g-CO2/ t・km
23
エコドライブ促進のための取組の現状
■エコドライブ普及促進協議会:交通関係の民間団体を中心とする組
織。平成9年に第1回協議会が開催されている。
■エコドライブ普及連絡会: 警察庁,経産省,環境省,国土交通省の4
省庁では,平成18 年には エコドライブ普及推進アクションプランを
策定し,上記協議会等とも連携しながら, エコドライブ10箇条の励行,
啓発や普及活動を支援。
■(独)環境再生保全機構,(財)省エネルギーセンター,交通エコロジ
ー・モビリティ財団,運輸低公害車普及機構:各種の普及支援や情報
提供を行っている。
■地方自治体:独自に取り組んでいる例も多くある。
■ 「e燃費」や「ReCoo」:エコドライブに熱心な事業者の事例の公表や,
燃費を管理しエコドライブを支援するサイト。
★企業や個人ベースでの取組が行われているものの,必ずしも一般ド
ライバーにまで広く浸透するには至っていないのが現状であり,今後
わが国全体として一層推進すべき状況にある。
24
エコドライブ10のすすめ
1.ふんわりアクセル「eスタート」
2.加減速の尐ない運転
3.早めのアクセルオフ
4.エアコンの使用を控えめに
5.アイドリング
6.暖機運転は適切に
7.道路交通情報の活用
8.タイヤの空気圧はこまめにチェック
9.不要な荷物は積まずに走行
10.駐車場所に注意
<環境省チーム・マイナス 6%HPから>
☆ MT車では,早めのギアチェンジ
25
エコドライブを可能にするポイント ①
★ふんわりアクセル「eスタート」
急激な発進では燃料を多く使うので,例えば5秒程度で時速20kmに達するのを
目安にする発進感覚を身に付けるとよい(省エネルギーセンター)。加速をあまり遅
くし過ぎると,かえってエンジンを効率の悪い条件で使うことになるので燃費が悪化
する上,後続のクルマも迷惑することになる。
★加減速の尐ない運転
頻繁な加減速を行うと加速での燃料消費が増える。加減速を抑えるスピードの出
し過ぎも抑えられ,車間距離も保たれ事故防止に繋がる効果もある。
★早めのアクセルオフ
惰性を利用してエンジンブレーキで減速する。一定のエンジン回転数に達するま
では,燃料がカットされ,フットブレーキの減りも抑えられる。
★アイドリングストップ
ブレーキを踏みながらニュートラルにしてエンジンを止め,その際エンジンキーは
ACCの位置にする。その間,発電も止まるので,あまり頻繁なストップは控える。先
行車の動きをよく見てあわてずに始動,発進することも大切。アイドリングストップ機
能を装備した車種も増えつつあり,10%程度の改善を可能にしている例もある。
★エアコンの使用を控えめに
室内の冷やし過ぎはエアコンのコンプレッサの作動が増えるので燃費の悪化に
繋がる。エアコンを入れっぱなしにするのもよくない習慣である。
26
エコドライブを可能にするポイント ②
★暖機運転は適切に
最近のクルマはエンジンを掛けたらすぐスタートしてよい。停車して暖機するよりも
全体として燃料の消費量が抑えられるが,スタート直後の空ふかしや急激な加速,高
速走行は避けた方がよい。
★道路交通情報の活用
ナビゲーションシステムやラジオ,インターネット等で交通情報を把握して渋滞する
道路や時間を避ける。プローブカー情報による渋滞状況の分析から最適ルートを誘
導する先進ナビシステムも登場しており,ITSの取組みの一環として有用な手段。
★タイヤの空気圧はこまめにチェック
空気圧の低下は燃費悪化とともに高速走行時の事故にも繋がるので,給油の機会
等にこまめにチェックする。なお,タイヤプレッシャーモニター(TPM)の装着も進んで
おり,指示値に注意すべきである。
★不要な荷物は積まずに走行
車両重量の増加は燃費の悪化に直結する。例えば,車両の重量全体が5%増える
と3%から4%燃費が悪化する。荷物の積みっぱなしは,その間燃費の悪化が続く。
★駐車場所に注意
出先で駐車場を探し回ると,その分燃料を使うことになる。予めインターネットで調
べておくか,ナビシステム等を使って探す。違法駐車は渋滞を発生させ,他のクルマ
に対する時間の浪費と燃費の悪化の原因ともなり,マナー違反行為である。
27
エコドライブが排出ガス特性に及ぼす効果
~平成20,21年度 環境省・環境再生保全機構の調査~
■対 象:ガソリン車4台(軽自動車,排気量1.5L,2.5L,3.5Lの乗用車)
ディーゼル車6台(2.5L車1台,5t積2台,8t積2台,25t積1台)
■方 法:一般道での通常運転とふんわりアクセル 「eスタート」を意識したエコドライブに
よる排出量を比較
ガソリン車
ディーゼル車
★最新の排出ガス規制に適合したガソリン車では,高度な排出ガス低 減システムに
よってエコドライブの有無にかかわらずNOx排出量が非常に尐ない。
★ディーゼル微粒子フィルター(DPF)を装着したディーゼル車では,エコドライブの有無
によらず微粒子の排出は微量である。
28
トラック事業者におけるエコドライブの効果
(自動車技術会講演論文2006年,間地,大聖他)
平均燃費 km/L
5.0
4.0
4.58
4.98
3.0
2.0
1.0
0
実施前 実施後
[ 17社1020台 ]
<燃費比較>
51%減
年間平均事故件数/社
8.7%増
12
12.1
10
8
6
5.9
4
2
0
実施前 実施後
[ 11社1310台 ]
<交通事故件数比較>
29
エコドライブ活動コンクール得点分布と分析 ①
審査項目別に比較するため、前提として、母数をそろえてグラフ上で得点分布
を比較した。受賞事業者の母数を4.8倍し、受賞事業者が45×4.8=216、受
賞していない事業者が218となっている。
取組体制の整備(15点満点)
70
60
◆受賞事業者
■受賞事業者以外
50
事
業 40
者 30
数 20
10
(株)アスア
0
0
← 得点 低
5
10
点数
受賞事業者(×4.8)
15
得点 高 →
桂野氏作成
受賞事業者以外
■受賞事業者の最低点は9点。最高値は14点。
■受賞していない事業者の最高値は11点と、点数的には受賞事業者と
差はないものの、低い点での分布が多くなっている。
30
エコドライブ活動コンクール得点分布と分析 ②
教育の実施(20点満点)
70
60
事
業
者
数
50
40
30
20
10
0
0
5
10
15
20
点数
受賞事業者(×4.8)
受賞事業者以外
■受賞事業者の最低点は6点。最高値は18点。
■受賞していない事業者の最高値は7点で、教育のレベルの差がエコ
ドライブ活動の差となっていることが分かる。
31
エコドライブ活動コンクール得点分布と分析 ③
燃費管理(20点満点)
70
60
事
業
者
数
50
40
30
20
10
0
0
5
10
15
20
点数
受賞事業者(×4.8)
受賞事業者以外
■受賞事業者の最低点は11点。最高値は19点。
■受賞していない事業者の最高値は9点で、燃費管理のレベルの差が
エコドライブ活動の差となっていることが分かる。
32
エコドライブ活動コンクール得点分布と分析 ④
活動成果と評価(30点満点)
70
60
50
事
業 40
者 30
数 20
10
0
0
5
10
15
20
25
30
点数
受賞事業者(×4.8)
受賞事業者以外
■受賞事業者の最低点は10点。最高値は25点。
■受賞していない事業者の最高値は6点と、受賞事業者との間に大き
な差が見られる。
燃費だけでなく、事故低減や修繕費低減といったエコドライブ活動の
成果を追い求めた結果と、それを評価に結びつける動きが、受賞事業
者の高いレベルに表れているといえる。
33
エコドライブ活動コンクール得点分布と分析 ⑤
継続実績と方策(15点満点)
70
60
事
業
者
数
50
40
30
20
10
0
0
5
10
15
点数
受賞事業者(×4.8)
受賞事業者以外
■受賞事業者の最低点は4点。最高値は14点。
■受賞していない事業者の最高値は5点で、継続性ということがエコド
ライブ活動を進化させるといえる。
34
エコ・安全運転行動を可能にする因子とは?
エコ・安全運転教育
知識・情報
行動
エコ・安全技術と運転法
法規制,取締り・罰 則
講習会
認識の持続
エコ・安全運転の
継続的実践
認識
★人と車と環境への優しさ
★エコ・安全運転に
対する気づき
無意識・
無自覚運転
体験
ヒヤリハット,
エコ体験,事故体験
ドライブ歴
不注意,心身不調
反社会性,環境・経済
意識の欠落
反エコ
資源のムダ
事 故!
35
2011年度エコドライブ活動コンクールにおける
ユニークな活動例(その1)
A.評価手法
■燃費改善実績の上位25名には,会社全体の燃費改善分(金額)の50%を
分配し,ボーナスとして還元支給している。
■社用車の燃費管理だけでなく,通勤車などのマイカーのエコドライブ教育や,
燃費管理も行うなど,マイカーに対するエコドライブ活動がとても進んでいる
事業者もある。
■社内で「褒める仕組み」の向上のため、『ありがとうカード』を社内の褒めた
い人に渡す仕組みがあり,社内表彰とともに,社員のモチベーションの向上
に貢献。
B.意識面での工夫
■トラック荷台にキャラクター(トレーマン)のイラストを描き,子どもたちから,
注目されるトラックとした。人から見られることをドライバーに意識させ,エコ
ドライブや安全運転に対する意識を向上させている。
■行政と協力して、いち早くEVタクシーを導入。地域内で走らせることで、
人々が注目するようになり、環境問題への啓発にも繋がっている。
36
2011年度エコドライブ活動コンクールにおける
ユニークな活動例(その2)
C.教育手法
■「エコドライブは十分な訓練から」として,研修や実習を徹底して行う。成績
優秀者が成績不振者に実践的に教育する。
D.燃費管理手法
■ドライバー自身が帰庫時に毎回その日の給油量等をパソコンに入力する。
その際,ドライバーの所感や管理者コメントの入力を行う。ドライバー自身
でパソコンに入力することで,PC教育の場としても活用している。
■毎月2回燃費実績のチェックし,ドライバーの運転振り返りの機会を増やし
て、速やかな目標の見直しを行う。
E.自治体の取り組み
■約1000台の公用車を使用する大規模自治体であるが、環境対策室と庁舎
管理課が協力して公用車を一元管理している。また、庁内紙『スマイル・ドラ
イビング・ニュース』を毎月発行し、充実した内容で、エコドライブや環境問
題の啓発を行っている。
37
「エコドライブ10のすすめ」の認知率
出典:日本自動車工業会アンケート
80
燃費意識者
60
認
知
率
40
%
20
全体
燃費
非意識者
0
ふ
ん
わ
り
ア
ク
セ
ル
加
減
速
の
少
な
い
運
転
早
め
に
ア
ク
セ
ル
オ
フ
エ
ア
コ
ン
使
用
を
控
え
め
に
ア
イ
ド
リ
ン
グ
ス
ト
ッ
プ
暖
機
運
転
は
適
切
に
道
路
交
通
・
情
報
の
活
用
こ
ま
め
に
チ
ェ
ッ
ク
タ
イ
ヤ
空
気
圧
を
不
要
な
荷
物
は
積
ま
な
い
駐
車
場
所
に
注
意
38
「エコドライブ10のすすめ」の実施率
出典:日本自動車工業会アンケート
80
燃費意識者
60
全体
常
時
実 40
施
率
燃費非意識者
% 20
0
ふ
ん
わ
り
ア
ク
セ
ル
加
減
少速
なの
い
運
転
シ
フ
ト
ダ
ウ
ン
減
速
エ
ア
控コ
えン
め使
に用
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ア
イ
スド
トリ
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プグ
暖
機
運
転
は
適
切
に
道
路
情交
報通
の
活
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タ
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まヤ
め空
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ク
不
要
な
積荷
ま物
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い
駐
車
場
所
に
注
意
39
エコドライブの普及施策 (参考:環境省)
普及啓発
意識付け
(教育)
広報・キャンペーン
各種メディアの利用
教授法の標準化
講 習
インストラクターの養成
免許取得時の教育プログラム化
見える化
実施度の評価指数・手法の確立
支援機器の標準装備化
継続実施
対策
自発的取組み
の推進
保険料の割引等の特典付与
習慣性の醸成 宣言ステッカー貼付
ネットワークの形成(SNS等の活用)
40
エコドライブの効果と課題
■効果はいずれ飽和するが,その状態を維持するには,ドライバーに対する
持続的な動機付け(教育)が重要。
■燃費とCO2の削減を定量的に把握し,経済的なメリットを認識する。
車種,走行パターン,業態別の燃費平均値を知り,自社(自己)のエコドライ
ブ目標を明確化する。
■燃費の記録には透明性が重要。それによりわが国全体の効果を推定する。
■営業車の場合,燃費改善の取組みとしてエコドライブ活動が進展している
反面,普及が進んでいない一般ドライバーへの働き掛けが必要である。
■トラックで平均年間1㌧ のCO2削減。全体で数百万トン削減?
■副次効果
☆交通事故防止(保険料の割引制度の適用)
・車間距離の確保 ・スピードの出し過ぎ抑制
☆社内の環境・燃費(経営)に関わる意識改革
☆労使関係の改善
☆保守管理コストの低減
・タイヤやブレーキの損耗の減尐 ・オイル劣化の抑制
41
自動車分野エネルギー消費量予測
資 料:平成23年度 環境省中央環境審議会 2013年以降の対策・施策に関する
検討小委員会(自動車WG,平成24年2月27日報告)
9,000
-4.5%
8,000
7,000
万原油換算kL/年
-7.4%
6,000
-22.4%
-27.8%
-11.9%
5,000
-42.3%
4,000
3,000
2,000
-36.4%
・ 図中のパーセンテージは1990
年度比での削減率を示す。
・ 電力は二次エネルギーベース
で換算
-49.8%
-56.4%
1,000
0
1990
2005
2010
2020
2030
2040
2050
※固定ケース:燃費と車種構成を固定するが,走行量は変化するケース
固定
低位
中位
高位
42
自動車分野 エネルギー消費削減量内訳(2020年)
資 料:平成23年度 環境省中央環境審議会 2013年以降の対策・施策に関する
検討小委員会(自動車WG,平成24年2月27日報告)
7,600
※固定ケース:燃費と車種
構成を固定するが、 走行
量は変化するケース
燃料消費量・削減量(石油換算万kL)
7,400
7,200
319
-4.3%
7,000
-1.4%
103 15
192
505
128
単体対策
-0.3%
259
313
6,400
6,779
6,571
6,000
6,243
5,800
5,600
固定
低位
中位
-3.5%
28
-1.7%
7,348
6,200
-6.9%
-2.6%
21
-1.8%
6,600
-5.9%
-0.2%
132
6,800
435
高位
エコドライブ
カーシェアリング
-0.4%
交通流対策(暫定)
-4.3%
対策後燃料消費量
43
自動車分野 エネルギー消費削減量内訳(2030年)
資 料:平成23年度 環境省中央環境審議会 2013年以降の対策・施策に関する
検討小委員会(自動車WG,平成24年2月27日報告)
7,500
※固定ケース:燃費と車種
構成を固定するが、 走行
量は変化するケース
燃料消費量・削減量(石油換算万 kL)
7,000
1,182
6,500
1,494
-17%
1,693
-21%
-24%
6,000
-1.7%
5,500
7,111
120
256
16
エコドライブ
-0.2%
カーシェアリング
-2.9%
-3.6%
203
23
233
-0.3%
262
-3.3%
5,000
-8.2%
4,544
4,000
低位
29
-0.4%
5,158
固定
-3.7%
582
5,537
4,500
単体対策
中位
高位
交通流対策(暫定)
対策後燃料消費量
44
自動車分野 エネルギー消費削減量内訳(2050年)
資 料:平成23年度 環境省中央環境審議会 2013年以降の対策・施策に関する
検討小委員会(自動車WG,平成24年2月27日報告)
燃料消費量・削減量(石油換算万 kL)
8,000
※固定ケース:燃費と車種
構成を固定するが、 走行
量は変化するケース
7,000
6,000
2,206
-32%
2,678
-39%
2,785
-40%
単体対策
エコドライブ
5,000
6,953
127
457
4,000
カーシェアリング
-1.8%
15
-0.2%
-6.6%
-2.5%
171
385
-3.2%
22
-0.3%
-5.5%
226
763
3,696
3,152
2,000
固定
低位
-0.4%
-11%
4,147
3,000
28
中位
高位
交通流対策(暫定)
対策後燃料消費量
45
中長期的な自動車CO2排出量の削減予測
基 準
△30-40% △45-55% △65-85%
Δ20%
Δ5-10
Δ5-10
100%
6070%
Δ30%
Δ40%
【削減手段】
<従来車の燃費
改善技術>
動力システムの高効率化
ハイブリッド化, 車両軽量化
Δ10-15
Δ5-10
Δ15-25
4555%
Δ10-20
1535%
現 在 2020年 2030年 2050年
<非化石燃料・
エネルギーの利用>電気,
天然ガス,バイオ,CCS
<自動車利用の
改善と高度化> ITS,
モーダルシフト,エコドライフ,゙
カーシェアリング
(早大・大聖)
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