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ルーターの性能測定について

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ルーターの性能測定について
技術知識③
ルーターの性能測定について
---------皆さん、こんにちは。
皆さんは、どのような基準でルーターの機種選定をしていますか?
QoS やセキュリティーなどの機能や価格も重要ですが、やはり一番気にしているのは性能
ではないでしょうか?
せっかく 100Mbps の WAN 回線を契約していても、もしかしてルーターの性能が 50Mbps
で限界になっていたら、むだな回線コストを払い続けることになってしまいますよね。
そんなとき真っ先に参考にするのは、メーカーがカタログなどに記載しているスループッ
ト値でしょう。
例えば、Yamaha RTX1200 のホームページを見ると、以下のように記載されています。
●スループット最大 1Gbps
※SmartBits による当社測定値です。(NAT なし・フィルタなし、双方向)
<出展>
http://netvolante.jp/products/rtx1200/
今日は、この「スループット」の意味を探ってみたいと思います。
* * *
ネットワーク機器の性能評価の標準的な方法として、RFC2544 があります。
<参考 URL>
http://ietfreport.isoc.org/rfc/rfc2544.txt
この RFC は Informational(参考情報)という位置づけであり、必ず準拠しなければいけ
ないスタンダードではありませんが、ルーターのベンチマークテストを行う際のよりどこ
ろとして、よく用いられています。
この中で「スループット」とは、
<測定器から測定対象機器への入力フレームと、測定対象機器からの出力が同じである最
大のレート>
というような定義になっています。
ちょっと分かりにくいので以下に図を使って解説します。
まず、測定対象のルーターなどにテスト用のトラフィックを送受信する測定器を接続しま
す。
なお、このようなテストが可能な測定器としては、
・スパイレント社の SmartBits
・イクシア社の IxNetwork
・アンリツ社の MD1230
などがあります。
このとき、測定器からルーターへ入力するデータの量(イーサネットであればフレームの
数)をどんどん増やしていき、ルーターから測定器へ戻ってくるデータ量をカウントしま
す。
理想的には入力した全てのデータが出力されるべきですが、実際にはルーターの性能が限
界に達したところで転送できないデータ(すなわちフレームの損失)が発生します。
RFC2544 が定義するスループットは、フレームの損失が生じない最大のデータ量(1 秒間
あたりのフレーム数)のことです。
また、同じく RFC2544 では、測定に使用するイーサネットのフレーム長について、以下の
種類でテストすることを求めています。
・64, 128, 256, 512, 1024, 1280, 1518 (全て単位はバイト)
当然ながら、短いフレームには少しのデータしか入れることができませんし、長いフレー
ムを使えばたくさんのデータを一度に運ぶことができます。
だから、長いフレームを使ったほうがルーターの「見かけ上の」性能をよく見せることが
できるのです。
実際に Yamaha RTX1200 を使って、フレーム長が 64Byte の場合と 1518Byte の場合で性
能を測定してみました。
(注:私が独自に測定した結果であり、メーカーが保証する値ではありません)
●フレーム長が 64Byte のとき:
最大スループット=約 110,000 フレーム毎秒 =約 56Mbps
●フレーム長が 1518Byte のとき:
最大スループット=約 110,000 フレーム毎秒 =約 1.3Gbps
つまり、1 秒あたりの転送フレーム数は同じですが、帯域に換算するとぜんぜん違う数値に
なってしまう、ということです。
この結果から、Yamaha のホームページでうたわれている「スループット最大 1Gbps」の
表記に偽りがなかったことが分かりました。しかし、フレーム長が短い場合には、たった
の 56Mbps しかでないのも事実です。
* * *
では、現実のネットワークでは、どのくらいの長さのフレームが使われているのでしょう
か?
これは使用するアプリケーションや OS の種類などに依存するので、一概には言えません。
そこで、実際にインターネット上を流れているトラフィックに似せたテストパターンを作
って測定しましょう、ということで、いくつかの測定器では Internet Mix Traffic (略して
IMIX)と呼ばれるテスト用トラフィックを発生する機能が備えられています。
IMIX にも幾つかの定義があるようですが、最も一般的と思われるのは、
・58.33% の 64 byte フレーム
・33.33% の 570 byte フレーム
・8.33% の 1518 Byte フレーム
を混ぜたもので、平均フレーム長は 354Byte になります。
IMIX トラフィックを発生できる測定器は比較的に高価なものが多いので、私は簡易版の
IMIX として 354Byte フレームでの性能測定を行い、
「利用者が実際に体感できる速度」と
してお客様などへ示すようにしています。
最後にフレーム長 354Byte で測定した場合のスループット計測値の一例を示しますので、
参考にしてください。
※これは私が測定した値であってメーカーが保証する数値ではないことをご了承のうえご
参照ください
※くどいようですが、これは 354Byte 長のフレームで測定した場合の結果です。メーカー
が公表している最大スループットは長いフレームを使用して測定しているため、大きく異
なる値になる場合がありますが、どちらも間違いではありません
※測定値は双方向トラフィックの合計を示します
Written by Keiichi Takagi.
as of Nov 16,2009
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