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ロマンポルシェ。の 独占!オトコの 60 分

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ロマンポルシェ。の 独占!オトコの 60 分
DVD 紹介 梶原祥平
04.6.14
『ロマンポルシェ。の 独占!オトコの 60 分』
1. はじめに
本レポートでは男の夢を過積載する難クセニューウェイヴコアの金字塔であ
られるロマンポルシェ。の DVD 作品『ロマンポルシェ。の 独占!オトコの 60
分』を解説する。
ロマンポルシェ。は 80 年代のニューウェイヴのコンピレーションアルバム
(『DJロマンポルシェ。のNEWWAVE愚連隊』シリーズ)を現在までに3作品
発表していることからもわかるようにニューウェイヴから多大な影響を受けて
いる。そこで本レポートではニューウェイヴという音楽ジャンルについて最初
に解説し、ロマンポルシェ。についての理解を深める。
2. ニューウェイヴ
2.1.ニューウェイヴ概説
1977 年ニューヨーク・パンクの動きがロンドンに飛び火し、続々とパンク・
バンドが現れるが、それと同時に単純にパンクと呼ぶには抵抗がある新しいバ
ンド、アーティスト達も現れ、それらをニューウェイヴと呼ぶようになってい
った。
ニューウエイヴはパンク同様、旧来のロックに対し疑問を投げかけ、新たな
サウンドを探求していった人々によるムーブメントであり、必ずしも音に関し
て共通点があるというわけではない。さまざまな価値観、アイデアを自由に音
楽に持ち込もうという姿勢は現在のアーティストに大きな影響を与えた。ロマ
ンポルシェ。もそんなアーティストの中の一組である。
また、この時代はレコーディング機材、楽器などの飛躍的な進歩ともシンク
ロしており、エレクトロニクス・サウンドに大きな比重を置いたグループも多
かった。
2.2.ニューウェイヴのサウンド
いくつかのニューウェイヴの音源を紹介する。必ずしも音に関して共通点が
あるとは限らない、と書いたが、何らかのつながりを感じることはできると思
われる。
・The Flying Lizards
デヴィッド・カニンガムという1人の青年による架空のバンド。楽器の演奏
もロクにできない人間が、自らの感覚のみを頼りに非楽音(楽音も)を編集し
て音楽を作り上げ、そこに確信犯的にバンドの名を掲げてみせるなどという行
為は、それまでのロックにとって、まったくもって前代未聞の事件だったので
ある。(アルバム「Music Factory」ライナーノートより)
こういった感覚は後のテクノなどの精神に通じていく。1人で全て作ってし
まう人の作品は結構信用できる。
・DEVO
1978 年プロデュースにブライアン・イーノ、エンジニアにコニー・プランク
というニューウェイヴ史上最強の布陣を迎えてドイツでレコーディングした
1st アルバム『Q:AreWeNotMen?A:WeAreDevo!』(邦題:『頽廃的美学論』)
をリリース。
『Q:AreWeNotMen?A:WeAreDevo!』に収められたローリング・ストー
ンズ「Satisfaction」のカヴァーは、既存のロックに対する悪意に充ち満ちて
いてすばらしい。天才。
・PublicImageLimited
SEXPISTOLS を脱退したジョニー・ロットンが始めたバンド。金属的なギタ
ー、ダブに大きな影響を受けているジャー・ウォブルのベース、ロットンのピ
ストルズ時代とは全く違うボーカルによるサウンドは、旧来のロックを変えて
しまったパンクさえも裏切ってしまった。
ロックとは裏切りの歴史であるといえよう。
・ThrobbingGristle
ジェネシス・P・オリッジによるアート・パフォーマンス集団、クーム・ト
ランスミッションズを母体として誕生したスロッビング・グリスル(意味は"
脈打つ男根")。77 年に1st アルバム『セカンド・アニュアル・リポート』を
自主レーベル<インダストリアル>からリリースする。レーベル名からもわか
る通り彼らのサウンド及び姿勢は後のインダストリアル・シーンに多大な影響
を及ぼしたのである。リズム・ボックスやテープ・コラージュを多用した前衛
的なサウンド・プロダクションと、シーン及び社会への辛辣な批評精神を仕込
んだ歌詞うんぬんÛ。(WEB ページ ListenJapan より)
2.3.ニューウェイヴのまとめ
ニューウェイヴな方々は要するに、既存のものに対しとにかく反抗したかっ
たわけである。そこにうまいタイミングでテクノロジーが発展してきて多様な
形態、多様なサウンドが生まれた幸せな時代だったのである。こうして若者特
有の「ああ!俺(わたし)そろそろ何かやんなきゃ!」というのがいい按配で
はじけとんだのである。つまり、ニューウェイヴとはロックという音楽の本質、
ロックそのものであったといえる。この時代は、ロックの自己の再認識の時期
であったのだろう。
そして 20 年。ニューウェイヴが蒔いた種はどのように進化をとげたのであ
ろうかÛ。
3.ロマンポルシェ。について
3.1.ロマンポルシェ。概説
男独自の曲がった価値観の啓蒙と、いにしえの 80 年代ニューウェイヴサウ
ンドだけが持ついかがわしさの復権を旗印に結成し、80 年代エレクトロ・ポッ
プ
無機質なスーサイドスタイルの打ち込み音楽に、「男とは何か」について
聞いてもいない客に向かって一方的に説教するという相当強引なパフォーマン
スをゴッチャにした唯一無二のライブで注目を集め、ライブ
DJ イベントから
プロレス興行、お笑い興行、終いには SONY の新入社員諸君への訓辞まで幅広
くボヤキ中。世の男性諸氏のヘソ下三寸の活性化を促すべく夜のマイクロ
フォンしごきに余念無く精進している 1997 年結成の男性二人によるユニット。
3.2.メンバー構成
ロマン優光(DELAY 担当):写真右
掟ポルシェ(VOCAL,ALLINSTRUMENTS,説教担当):写真左
4.作品の分析
4.1.『ロマンポルシェ。の 独占!オトコの 60 分』概要
本作品は大まかに以下のように分けられる。
・説教
・ライブ
・プロモーションビデオ
・コント
・アシッド寄席
・全裸格闘技
この作品は、現在の一般的なポピュラーミュージックのビデオのようにプロ
モーションビデオを寄せ集めただけじゃなくて、単なるライブビデオというわ
けでもない。内容が多彩であり、それぞれが笑える内容になっている。ミュー
ジシャンだから音楽をやる、というような縛られた考えをせずに多様な展開を
みせるこのロマンポルシェ。のようなアーティストにとって DVD というメディ
アは非常に有効であることがわかる。
4.2.作品解説
・全裸で書いたラブレター(PV)
錯綜する 80 年代のイメージ。TV ゲーム、白い学ラン(長ラン)、ミラーボー
ルÛ。全裸になるということも 80 年代のバラエティ番組を彷彿とさせる。崩
壊する 80 年代ニューウェイヴのクールネス。
・説教
掟ポルシェさんによるありがたいお説教。男とはなにかを真剣に考えさせら
れる。
・モルタル王子(Live)
注目は掟ポルシェさんの肉体美、マイクアクションに、ロマン優光さんが本
当に Delay のみを担当しているという事実。
・ロマン優光の Delay 講座
ロマン優光先生による Delay 講座。無口なロマン優光先生の手元の緊張感に
シビれる。
5.まとめ
何事にもニューウェイヴの精神で取り組もう。
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