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排出権取引とCDM事業 - 日本経済研究センター
首文 排出権取引と CDM 事業 一一供給独占への日本の対応 爲近英恵* 大阪大学 伴金美* 大阪大学 京都議定書は、批准 した附属書 B締約国間排出権取引を導入 しているが、大量の ホットエアを所有する ロシアが排出権を独占的に供給することが予想されている L 本論文では、排出権取引を組み入れた応用一般均衡モデルを構築 し、京都議定書に よる二酸化炭素排出量削減をシミュレー トする。分析では、 ロシアが排出権取引市 場において価格支配カを持っと仮定 し、それが ロシアの排出権供給量と他の附属書 B 締約批准国の削減費用に及ぼす影響 を分析する。その上で本論文では、日本が中国 と CDM (Clean Development Mechanism クリ ー ン開発メカニズム)を実施すること で、ロシアが吊り上げた排出権価格をどの程度低減できるかについて分析する。分 析結果によれば、ロシアは排出権を独占的に供給する際、供給量はホッ トエアの 41% となり、排出権緬格は二酸化炭素トンあたり 1 .1 9 ト γレとなる。 これに対 し、日本は 中固との C D Mにより 排出権価格 を lト γレ低下させることができる。 l はじめに 京都議定書に批准 した附属書 B締約国(以下、 「 附属書 B締約批准国j とし、う)は、 第 l約束期間である 2008年から 2012年の 5年間にそれぞれの 二酸化炭素排出量を定め られた排出枠内 に収まるように削減義務を 負 れ し か し、京都議定書を遵守することの 難易度は附属書 B締約批准国それぞれで異なる。日本は、京都議定書では 1 990年排出 レベノレから 6%の削減義務があるが、 2002年ですでに 1 9 9 0年排出レヘノレか ら 16%増加 本論文は、環境経済・政策学会2伺 7 年大会で発表したものに加量 産 、修正を加えたものである. 本論文を完成 するにあたり、大阪大学大学院工学研 究 科 西 村 陽 客員教授、滋賀県立大学環境科学部林宰司講師から貴重な さ意 見を頂いた. また、論文の改訂にあたり、本誌匿名レフェリ ーか ら有益なコメントを頂いた.記して感謝 申 し上げる.なお、本論文における 槙り あるいは不十分な点は全て筆者の責 任に帰する ものである。また、本 研究は、日本学術療興会科学研究費補助金 f特別研究員奨励 費、辞題番号 1 8• 8 6 9 6 (矯近 ) Jを受けている. 合 G 車絡先住所)〒 5剖 ω43 大阪府豊 中市待兼山町l 番7 号 ( E " " i )l (属近) d g0 6 9 t h m@ a i 12 . e c o n . o s a k a u . a c . j p (伴 ban~ec 叩 osaka-u . 大阪大学大学院経済学研究科 a c.j p ホットヱアとは、二酸化炭素排出量削減を講じなくとも、二酸化炭 素排出量が京都 議 定書 で定められた排出枠 を下回 る国が所有する達成余剰分である. l 0. 2 0 0 91 日本経済研究比 6 唱 しており、京都議定書の遵守が困難である。旧ソ連と 一部の東欧諸国は、 1990年代の経 済活動の低迷なとの理由により、 2 0 0 2年の排出量が京都議定書で定められた排出枠を下 回っている。これらの国は、第 l 約束期間においても、二酸化炭素排出量の削減対策を 講じない場合の、すなわち B u s i n e s s-a sU s u a l (以下、 排出量が京都議定書で定められた排出枠を下回り、 “ B a U " という)の二酸化炭素 「 ホットエア」 とよばれる達成余剰 分を所有すると E I A( 2 0 0 5 ) 等により予測されている。つまり、旧ソ連と 一部の東欧諸 国は京都議定書目標を相当の余裕をもって達成することが見込まれているの京都議定書 では、京都メカニズムの lつである、附属書 B締約批准国間で排出枠の売買を行う国際 排出権取引が導入されており、ホットエアを所有する国は、ホットエアを国際排出権取 引市場で供給 し、利益を得ようとすることが予測される。ノレーマニアなど東欧諸国とバ ルト 3が拡大 E Uという lつの地域に含まれると見なすならば、ホットエアを所有する 地域は ロシアのみである 2, 九 このことから、国際排出権取引市場では、ロシアが市場支 配力 をもって独占的に排出権を供給すると考えられる。 京都メカエズム には、上述の国際排出権取引のほかに、附属書 B締約批准国が削減目 標の設定されていない非附属書 I 国 (発展途上国) において技術移転を行うことにより 削減 した排出量を附属書 B締約批准国の新たな排出枠と して計上するとし、うクリーン開 発メカニズム(以下、 “ C C M " という)もある 。日本のように単独の削減が困難な国は、 国際排出権取引以外に CDM を活用することが考え られる。 本論文では、応用一般均衡モデルを構築 し、京都議定書による 二酸化炭素排出量削減 をシミュレーシ ョンする。分析に際しE重要な仮定と して、国際排出権取引市場は競争的 でなくロシアが価格支配力をもっとし、それが ロシアの排出権供給量と他の附属書 B締 約批准国の削減費用 に与える影響 を分析する。 さら に、本論文では新たに、日本が中国 とC C Mを実施する場合についてもシミュレーシ ョンを行い、それによってロシアが吊り 上げた削減費用をどの程度低減させ得るかについて分析を行う 。 本論文の構成は以下のとおりである。第 2節において関連する先行研究を概観 し、第 3節で分析に用いるモデノレとシミ ュ Lーシ ョンを行うシナリオについて述べる。次に、 第 4節でシミュレーション結果を示 L、その考察を行い、第 5節でまとめ・結論を述べ る。なお、 6の補節で感応度分析を行う 。 ルーマニアなど拡大 EU に揖する国のなかにはホットエアを所有するものもある。 とはパルト 3 国を除く 1日ソ連の別称である.し たがって、本論文のロシアには、ロシア 国以外に、アルメ ェア、アゼルパイジャン、ワクライナ、ウスゐ ベキスタン、カザフスタン、キルギス、グルジ ア 、 ベ ラルーシ、タジキスタン、トルグメ ニスタン、モル ドパが吉まれる. 2 3本論文におけるロシア Z 日本経済研究 比 60,2009,1 2 . 先行研究排出権の独占的供給 表 lは排出権の独占的供給を考慮、 Lた環措平価モデノレにつし、ての主要な先行研究をま とめたものである。それらは概 して 、旧ソ連を中心とする排出権供給国は排出権市場に おいて市場支配力をもち、自閣の目的変数を最大にするよう に独占的に排出権を供給す るものと仮定 している。シミュレーションの際に、排出権供給量を段階的に変化させな がら供給国の目的変数が最大になる排出権供給量を導出 L ている。その供給量は、先行 研究 によ れば旧ソ連のホッ トエア の 30%から 40%程度 になる。 排出権供給国が排出権の供給量を決定する 際に最大化する目的変数は、排出権収入、 社会厚生など先行研究によってさまざまである。 この目的変数により 排出権供給量が異 l e p p e randP e t e r s o n( 2 0 0 5 ) があ る 。 彼 らは、 なるか否かに焦点をあてた研究と して、K 目的変数が排出権収入である場合と社会厚生である場合の比較を行っているが 、それに 表 1 排出権の独占的供給に関す る先行研究、2 0 1 0年 モヂノ レ‘ 目的変数 供 給薗 供総量 ". Q ta .1 ( 2 叫 2 ) .1 9 9 9 ) 2.B"rnshin ~ t 8 ca ca 神出楢収入 ロシア/ウクヲイナ 社会厚生 闘 プ連/聴取時 国 》 3.B 品h r i n & " G T( 2 0 0 2 ) ca 消費 •. B 品h ringer!L品"h 1( 2 0 0 3 ) h ol / .!hZ ng ( ZOOZ) 5.oL se P I 到 P , " 闘プ連/中欧時 国' 間 プ連/東 欧 時国』 .1 Ba bi rk .. 1( ・ 排出 櫨 収 入 排出権収入 . ホットエアの 6%8 U-l( S ), ホy ト エ ア の 40事 ホ ット ェ ア の 耳 s3 !( ) aI Y連 独 占棋 給 者 j 東 欧 陪 国 T:c o .opetitIYa fringe ( 2 )aI Y速 と 東欧 崎 直匂 t 裡占 6.danE16zen/ dB:M oor (200h 2001b:::明言) 7 . IMMo/Richel:; ( 2 0 0 )1 B.Kl o p p or/ P8hrson ( 2 0 0 5 ) , , , " P 排出櫨収入 閉 ソ連 E c a GDP 栢 ブ連:1 東欧 蹄国』 CGE 1( )排出権収入 恒プ連/.東欧蹄 国』 (2)社会厚生 注) aCGE b 排 出 槽価格f 6.621$ t C O : 35.1S$!t :uC ( .u s ) 凡 a 日 7 3 $ /t C O : , ホtソト ェ アの"再 9.71!S tCQ: ホ ァト エ ア の 154耳 ( 2 ) 恒プ 連 ホ γ ト ヱ アの 事 2) 1 2.4 4 !S tCO: 東 欧 崎国 ホ ッ ト エア町125事 ホ ット ェ ア の 30-ら哨 ())旧プ連 東欧 蹄 国 ホッ ト ~r の"再 ソエ ア の 3桶 )1( ホtト ( 2 )ホ ットエアの 25再 九 E 九 置 5.3 3$ /t C O : 6.99$ :/ :t uC は応用一般均衡モデル、 P 聞は部分均衡モデルを指す. 東欧諸国には、プルガリア、チエコ 、ハンガリ 一、ポーランド、ルーマニア、ス ロヴァキア、スロヴヱ ニア、ラトヴィア、リトアニア、エストニアが吉まれる. c中欧諸国には、グロアチア、チェコ、ハンガリ ー、ポーランド、ルーマニア 、スロヴァキア、スロヴェ ニアが含まれる, d 東欧諸国は価格受容的行動をと る排出権供給者 (CC叩 引 口 iv ef r i n g e ) . e同 ) 1 減閣に米国を吉む. f g “$/t C , O/ は二酸化炭素1 トンあた りの排出権価格であり、 川ル/二酸化炭素 ト ンj の こ とを指す。 附属書 B締約批准国は排出権取引以外に非附属書 I国 と l億 21uO万四 2 ト ンのC聞を実施する。 論文排出権取引と CDM事業 3 よると、目的変数によって排出権供給量は異なる。一方で、Ba bikere ta .1 (2002) は、 目的変数が排出権収入である場合 と社会厚生であ る場合の排出権供給量は同程度であ ると述べている九 また、排出権取引 に加えて C闘 を 考慮 した研究 として、Be rnstaine ta .1 1( 999)と denElezenandd eMoor ( 2 0 0 1 a,2001b,2(0 2 ) があ る。Bernstaine ta .1 1( 9 9 9 )は 、 附属書 B締約閣が非附属書 I国 と C C Mを実施する場合についても分析 を している が、そ の際に旧ソ i車・東欧は排出権を供給 L ないと いう仮定 をおいている。 denElezenandde Moo r( 2 0 0 1 a,2001b,2(0 2)は、附属書 B締約批准国が非附属書 I国 と 1億 2100万二 匝 変化炭素 トン (以下、 r c o2 トンJという)の C C Mを実施する としづ 仮定のもと で、旧 ソi車が排出権を独占的に供給する行動について分析を している。ただ し、部分均衡モデ ノ レを用いた分析である。また、附属書 B締約批准国が C 酬 を実施 しない場合についての 分析はな し したがって CDMが旧ソ連の市場支配力 に及ぼす分析はな されていない。 LoschelandZhan g( 2 0 0 2)は、CDMが旧ソ i車の市場支配力 を弱め る可能性を示唆 してい るが、分析は行 っていない。 本論文では、多くの先行研究にしたがってロ シアが排出権収入を最大化するように排 出権供給量を決定するも のとして分析を行 う。 目的変数を変更 させたと きの分析は 6の 補節において紹介 してい る。 3 . モデル・シナリオ .3 1 モデル 本論文で用いるモデルは、Rutherford ( 2 0 0 5 ) の GT AP6恥 d e l に基づいて構築した もので、経済活動に伴っ て発生する 二酸化炭素排出量を取り 込んだ、10地域 1 2部門の 静学的応用一般均衡モデルである。 各国・各地域には家計、政府、企業の 3つの取引主 体が存在する。家計は、生産要素である労働 、 資本、土地、天然資源 、 を保有 しており 、 これ らの生産要素を企業に供給 し対価と して所得を得 る。家計は予算制約のもと効用 を 最大化する ように各財の消費と 貯蓄を決定する。ただ し、消費には最終需要税が課 され る。モデルでは、労働、土地、 天然資源は国内・地域内のみ移動可能であり 、資本は国 際間で移動可能であ ると仮定 している。次に、政府は、企業の生産物および中関投入財 に対 して課 され る税 、 資本所得および労働所得に課される税、輸入関税な どを収入と し て得てい る。それぞれの税率は一定であり 、政府は税収に基づいて政府の効用 を最大化 4ただ し、B a 4 b i k町 引 a l 印刷 2 ) は目的変教が社会車生である場合の試算結果の詳細を記民主 していない. 日本経済研 究 比 6 0,20 0 9. 1 す るように各財の消費を決定する。 最後に、企業は規模に関 して収穫一定の技術を持 ち、 生産量を所与と して中間投入財 と生産要素の投入量を費用最小化原理に基づいて決定 する 。 各国・各地域は財の貿易 を通 して世界経済 と関係 している。なお、 各国・各地域 で生産 された財は同質ではな く不完全に代替す る財であると 仮定している ( Anningt on, 1 969) 本論文で扱 うモデルにおける 生産構造は、図 1に示されるように多段複合型である。 化石燃料財である石炭 、 石油 、 天然ガスと 石油・石炭製品については、まず、輸入財 と 国内財がともに二酸化炭素排出量と レオ ンチェフ型関数で結合され、 その上で両者がア ーミ ン トン仮定に基づいて C E S型で集計 され る 一方で、生産要素である労働 、 資本 、 土地、 天然資源が C E S型で合成 されて付加価{直 を形成する。この付加価値とエネノレギー 財が CE S型で結合され 、 さらに、非エネルギー中間投入財 とレオ ンチヱブ型で合成され て、生産が行われ る 。 図 1 生産 生産 σ yt 十 ア オ J 職入 国1 繍入 図r 綿入 綿入 園 " " 中間投入財(非エネルギ ) 電力 捕入園内 貰本 棚 剤 師 土地グ汁 綿入 繍入 1図 r函 σぷ ・ e -'= >)1 γσ=0 汁 σ= 少ι「σ= 砂町 c r i= '>.J1 σ σ = u ノ寸 σ =~円' σ =à; 綿 入 C O ,綿 入C O , 入 C O ,繍 入 C O ,繍 入 C O ,繍入 C O ,紛入 C O ,槍入 C O , 冊lII r a, 宙 1 3 1' 13i r 園 園F ι 注)σ は弾力性であ る. ; r石油 ・石炭製品Jとは精製された石油(ガソリ ンや灯油など)と精製された石炭を 意味する。 論文排出権取引と CDM 事業 5 家計の効用関数は図 2で示されるようなコブ・ダグラス型関数で表されている。化石 燃料財である石炭、石油、天然ガスと石油・石炭製品 については、まず、輸入財と園内 財がともに二酸化炭素排出量とレオンチェフ型で結合され、その上で両者がアー ミント ン仮定に基づいて C E S型で合成される。一方、電力と非エネノレギー財についても輸入財 と国内財は C E S型で合成される。その上で全ての財がコブ ・ダグラス型で合成される。 本論文で重要な役割を持つ二酸化炭素排出量は、企業や家計が直俊使用する化石燃料、 あるいは石油 ・石炭製品の量に比例すると仮定する。モデノレでは、排出枠の繰せ られた 附属書 B 締約批准国においては、BaU 排出量が排出枠を上回るとき実際の排出量が排出 枠 に一致するように単位あたり排出に価格が付くようになっており、それを排出権価格 としている。なお、排出枠はすべて家計が保有 しており 、 したがって排出権収入は家計 に帰属する としている。国際排出権取引市場がない場合の排出権価格は各国で異なるが、 ある場合の排出権価格は取引市場に参加する各国間で等しくなる。 図 2 民間消費 民間消 費 向 田 尊』 ムfi 齢相 41 氏 ド l ll入 / w σ / 入国 ア ヂ ↑ σ=o/,,-γσ=o)"t' σ=~σ=砂ザ a=少ザ a=Oテγσ=少., a= 繍入 CO,・ a入 CO,・8入 CO, ・a入 CO,繍入 C02 繍 入 CO, ・a入 C O, ・a入 C02 国1 閤r 注)σ は弾力性である. 6 日本経済研 究 比 6 0,2 0 0 9 . 1 国1 図 . " 闘 r 国1 国v 本論文では、国 ・地域 と 産 業を表 2で示 される よ うに区分する。世界 の 国 ・地域 の 区 分 を 10地域 に集計する。 附 属書 B締約 国のう ち批准 した国 ・地域 を、日 本、カナダ ・ ニュージー ラン ド、拡 大 EU とロシアの 4 地域 に集計する 。拡 大 EUには、 E1U 5以 外に EFT A諸 国、ブ、 ノレガ リア、チェ コ、ハ ンガ リ一、ポー ラン ド、ル ーマ ニア、ス ロヴァキア 、 ス ロヴ土 ニア、バノレト 3国が含 まれる 6。ロ シアには、バル ト3国以外の 旧 ソビエ ト連邦 諸国が含まれる 。京都議定書を離脱 した附 属 書 B 締 約 国は 、米国 と オー ス トラリアの 2 ヶ国である 。非 附属 書 I 国の区分については、二酸化炭 素排 出量 の増大が見込まれる 中 Ne wly 国 、 イ ン ドを そ れ ぞ れ 単 独 で 扱 う と と も に 、 経 済 成 長 の 著 しい 、 NIEs ( 日 s les 新 興 工 業 経 済地域 ) 諸 国 お よび ASEA N (Associatio n of I ndustrializi ng Ecor South~East Asi anN a tions 東 南 ア ジア諸国連合)諸国を東アジアと して 集 計 している。 産 業については 12産 業に集計する 。エネノレギー産 業 は、化司王燃料産業の石炭、石油、 天然ガス とエネノレギ一生産産業の石油 ・石炭製品 、電力の 5産 業である 。非 エネルギー 産 業 の うちエネ ル ギー集 約 産 業につい て は、鉄 鋼 業、化 学、そ の他 製 造 業に集 計する。 その ほか の 非エネ ル ギー産 業には、農 業、機械 、輸送業、サー ビスの 4産業がある。 表 2 地域 と産 業の区分および代替の弾力性 7 代替の弾力性 国地域 産業 σV A σ開 σ胤 σV lJ! 日本 1 日本 2 カナダ ・ニュー シーラン ド U 3 拡大 E 4 ロシア 5 米国 6 オースト ラリ ア 7 中国 8 東アンア 9 イン ド 1 0 その他地域 1 2 3 4 5 6 7 8 石炭 石油 天然ガス 石油 ・石炭製品 電力 農業 鉄鋼業 化学 日 機械 1 0 その他製造業 1 1 輸送業 1 2 サー ピス 0. 200 0. 200 0. 60 8 .1 2 60 .1 2 60 0. 6 0 6 .1 2 60 .1 2 60 .1 2 6 0 .1 1 9 9 .1 6 80 .1 2 7 7 3. 050 5 . 2 0 0 1 .1 6 39 2.1 0 0 2. 800 2. 545 2. 950 3. 3 0 0 3. 86 4 3. 244 .1 9 0 0 .1 9 09 明 6.1 1 0. 40 0 3 3. 288 4 .200 開 5. 6 4. 998 5. 9 00 6. E 7. 8 24 7. 024 3. 800 3. 8 0 3 。 賞 0. 150 0. 150 0.1 5 0 0. 150 0. 150 0.1 50 0 . 150 0.1 5 0 0. 150 0.1 50 0. 150 0. 150 日本以外 0.1 0 0 0. 100 1 0 0 O.1 朋 0. 100 0. 100 0. 100 0.1 0 0 0. 100 0.1 0 0 0. 100 0. 100 。 注) σ"は生産要素間グバモ替の弾カ性、σ. .は圏内財 輸入財閥σ バ モ替の弾力性、σ出は輸入財の輸入国 ・斡入 地域開σ 替 ;の 'パ ¥- 6 弾力性、σ田は付加価値エネルギ一間の代替の弾力性である。 本論文においては 、 批准国のうちホットエア を所有する国 ・地域はロシアのみである。 実際には一部の拡大 E U加盟国(スロヴェニアを除いた新規加盟国など)にもホ ットエア は存在するが、拡大 E U全体と してホッ ト エアは存在しない。 7σ n ' -は E d wi nv a nd e rWe r f 印刷 7 )を 君 参考に決め、σ四以外の弾力性は GT A Pテータに基づいている。 論文排出権取引と CDM事業 7 .3 2 データ 本論文で用いるデータは 2001年 を基準 とす るベンチマークデータである。 生産、最 AP6データベース 終需要、輸出入などのデータについては基準年が 2001 年である GT ( D i m a r a n a n andoD ug a l 1 . 2006)をへ 同年の二酸化炭素排出量のデータについては l E A EnergyStati s ti cs を用 いる 。 本論文は京都議定書の 定 める 第 l 約束期間 (2伽 ヨ 年~2012 年)の 中間時点である 2010年 について 、静学制 に分析する ことを主旨と しているた め 、 2010年のBa Uデー夕、すな わちベースライ ン均衡データを構築す る必要がある。本論文 では、2001年のデータをベンチマークと して、2001年から 2005年までは各国の経済成 ∞ 長率 と二酸化炭素排出量の実績値 ( 1臥 . 2ω6;l E A . 2007)、2 6年以降は Internation a l Ene rgy O u t look2005 ( E IA.2005) が想定する 2010年までの経済成長率 と二酸化炭素 Au ton二 恥 us 排出 量を 参考に し、それ と整合的 になるようにエネル ギー技術進歩塁手 ( 主要素 である労働 、 資本、土地、天然資 Energy E f f ici e nc yI m p r ov e m e n t . AE E I) と生E 源 についてカリプレーシ ョンし 、2010年のベースラ イ ン均衡 データを求めている。 附属書 B締約批准国の排出枠は、京都議定書 ( UNFC C C .1 9 9 7) に定め られた排出枠に UN FCCC,200 )1 ボン・ マラケシュ合意 ( に定められた シン クを力 目算する ことにより 設定 している。 これ よ り算出 した附属書 B締約批准国の排出枠 と削減量、削減率は以下の表 3のとおりである 9 表 3 排出枠と削減量 ・削減率、 2010年 排出枠 削 減量 ( 100万 CO 100万 CO ,トン) , 2トン) , ( 国・地域 官京一一 9 9 9 .70 カナダ・ ニュ ージー ラン ド 拡大 EU ロシア 注) a r l 的 方 ∞ 2 トンj は 4 .17 1 2 3857 .1 5 .1 61 335 r l 帥 万二酸化炭素トンj .1 81 22 1 8 8 .89 .1 64 44 9 1 8 .32 削減率 ( % ) 1 8 .1 6 2 8 .62 1 0 .27 3 7 .74 の ことを指す. . H e r t e l教授グル←プが中心に作成した国際的な産業 ・貿易 取引デ S G T A Pデータベース は米国パヂュ 一大学の T ータをまとめたデー タベースであ り、応用一般均衡モデルのデータとして広く用いられる, とは、新規檀林、再植林、森 林減少、森林管理、放牧地管理などによる二酸 化炭素の純吸収量であり、 京都 議 定書で定められた排出枠 に加揮するこ とができる。 8 ンンク 8 日本経済研 究 比 6 0,20 0 9. 1 3 . 3 シナリオ 本論文でシミュレーションを行うシナリオは以下 4つであり、 二酸化炭素排出量の削 減を行う NTR 以下 3 つのシナリオの各均衡解のBa U の均衡解からの羊離を比較する。 Ba U 附属書 B 締約批准国は二酸化炭素排出量の削減を行わない。 NTR 附属書 B 締約批准国は京都議定書目標を単独で達成する。 rDRT 附属書 B 締約批准国間で国際排出権取引を行うが、口シアは排出権収入を最大 化するように排出権を供給する。 C帥! 6 r 附属書 B締約批准国間で国際排出権取引を行うが、 ロシアが排出権収入を最大 化するように排出権を供給する。同時に、日本は中国との CDM 事業を行い、中 ω o万 ω 2トンの二E変化炭素排出量を削減する。 国で 6 3 . 4 ロシアの排出権の供給行動 ロシアは排出権市場において市場支配力をもち、排出権収入を最大にするように独占 的に排出権を供給するものと仮定する。具体的には、シミュレーションに際 し、ロシア から 1 00%まで変化させ、排出権収入が が排出権と して供給するホットエアの量を 0% 最大になる排出権供給量を求める。第 2節で述べたよう に、ロシアが排出権供給量を決 定する際に最大化を行う目的変数には排出権収入以外にも考えられるが、それら他の目 的変数については補節において考察する。ロ シアのホッ トエアの量は、ロシアの排出枠 と2 01 0年の B a Uの二酸化炭素排出量の差であるので、本論文のロシアのホッ トエアの 8 3 2万 C O 量は 9億 1 2 トンである。 5.3 MDC の導入 日本・中国間の CDM とは、日本が中国に対 してエネルギー効率を改善させる技術移転 を行い、中国で削減 した二酸化炭素排出量を日本の新排出枠と L て計上するというもの である。本論文では、 CDM ∞ で獲得する排出量を 6 0 万C0 2 トンと仮定する。 中国の二酸化炭素排出削減は、表 4 に示されるようにBa U 、NTR 表4 CDMft 、TRDr CDM による で用いられる中 中国のエネルギー技術進歩率)IEEA( し C D M 6千 万 C O 2トン 2 0 0 1~2007 .1 6 首 .1 6首 2008~20 1O .1 6 怖 2 .1 首 論文排出権取引と CDM 事業 9 国のエネルギー技術進歩率 ( A E E I、年率表示)を改善させることで実現されると仮定し ている。ここでエネルギー技術進歩は単位あたり生産に必要な化石燃料投入量が減少す ることを意味 しており、モテソレでは悶 l に示 した生産関数において、各産業で使われる 石炭、石油、天然ガス、石油 ・石炭製品の投入単位が一律に減少すると して扱われる。 本論文で想定する 6 千万 ω d トンの C聞は、中国のエネノレギー技術進歩率が、 BaU 、NTR 、 T R D rで仮定される年率l. 6%から年率 2.1%へ、すなわち、エネノレギ ー効率の改善率が 毎年 0. 5%ポイント上昇することで実現できると している。 C C M事業の実施に際し、現実には案件発掘などの CDM実施前に必要な費用や、技術移 転 に伴う中国 との人的 ・物的なやりとりに必要な取引コス ト等、諸費用が発生するが、 本論文では C C M事業の費用について以下のような仮定をおく。モテソレにおいて日本 ・中 国間の CCM事業費は、日本 ・中国間の排出権取引額と して表されるとする。つまり、日 本が中国において C D M事業を実施するための費用は C C Mで得られる排出権に国際排出権 取引市場で評価した排出権価格を乗じたものと等しく、その費用を日本から中国へ所得 移転としづ形で支払うと仮定する。 C C M取引で日本と中国の G D Pが増加することから、 当然、その分も機会費用と して事業費に含めることができる。 シミュレーション結果 .4 本節では、シミュレーション結果を示 し、その考察を行う。 NTRケースの結果は表 5 に 、 T R D rケースと C C M 6 rケースの結果は表 6にまとめている。また、ロシアの排出権収 入関数は図 3に示す。 表5N T Rケースの結果、20 1 0年 国 ・地 域 限界削減費用 日本 カナダ・ニュ ーシー ヲンド 拡 大E U ロシア 品届 唱。 日本経済研 究 比 6 0,2 0 0 9 . 1 ($ I t C0 ) 2 7 0 . 9 9 6 2 . 4 7 1 6 . 2 7 0 . 0 0 GDP 変 化 率 (Ba U から の君 主離 %) 2 . 9 2 6 . 5 9 -.1 0 8 0 . 2 9 O .2 2 , GDP 変化額 (B U か らの傘離 10 (1ド ル) 一1 0 8 . 9 7 52 .8 0 88. 4 2 .1 8 6 4 . 6 2 表 6 排出権の独占的供給の結果、 2010年 Tl む p CDM6r ホットエア(%) 41% 38% tC02) 排 出 権 価 格 ( $/ 排出権輸入量(百万 CO2トン) 日本 カナダ・ニュージーランド 拡 大EU ロシア 国内削減量(百万 CO2トン) 日本 カナダ・ ニュージーランド 拡 大EU ロシア 1 .1 9 3 1 0 . 9 5 160 1. 3 1 3 0 . 9 4 85 4. 4 376 5. 1 104 4. 5 1. 9 1 3 5 10 7. 99 3 4 8 . 9 6 6 .1 6 7 57. 9 5 356 2. 0 .1 69 2 57. 36 5 3 . 7 0 3 3 3 . 6 5 1 8 . 8 4 CDM購入 量(百 万 CO2トン) 日本 カナダ・ニュージーランド 拡 大EV ロシア 中国 6 0 . 0 0 6 0 . 0 0 GDP 変化率 (BaVからの書 官離 % ) 日本 カナダ・ ニュージーランド 拡 大EU ロシア 中国 0 . 5 3 5.1- 2 0 . 8 8 0 3. 4 0 . 0 8 4.D- 9 4. 0 1 D- . 8 1 0 . 2 8 3. 5 0 GDP 変化額 (BaVからの需離 1 0 億ドル) 日本 カナダ ・ ニュージーランド 拡 大EV ロシア 中国 排出権収入 ( 1 0億ドノレ ) ロシア 中国 1 9 . 9 2 1 2 1. 6 7 .1 9 1 2 1. 9 .1 64 1 8 4. 3 1 1 . 2 4 6 6 . 6 4 7.1 9 7 4. 9 4 4. 9 3. 82 0 . 6 6 論文排出権取引と CDM事業 唱唱 図3 ロシアの排出権収入、20 01 年 1 0 億ドル 、 司 5 4 . 5 /ノ /〆/ 広/ dグ ぷ グ 3. 5 3 2 .5 2 .1 5 0 .5 0 h /〆 4 h 、 旬 、 、¥ 、¥¥ ¥¥¥ ¥¥ ¥¥ J / ノ o 5 1 0 . 5 W ¥¥ ¥¥ 、 - ~ ~ ~ @ ~ w ~ ~ ~ r o hT ~ ~ 0 0 排出権と して供給するホ ッ トエアの量 (%) -・ -TRD r・ -CDM6 r .4 1 各国が単独で削減する時の限界費用 まず、附属書 B締約批准国が単独で削減を行 うN T Rケースについて考察を行 う。限界 削減費用は、日本が最も高 く 7 0. 9 9 ドル/二酸化炭素 トン (以下、 “$ /tω" という ) 、 . O O$ /t Co 次いでカナダ ・ニュージーラン ド6 2 .4 7 $/t Co,、拡大即 1 6. 2 7$ /t 0C 2、ロシア O , と続く 。 ロシアは 9 0年代の経済の後退によ り BaU の二酸化炭素排出量が排出枠を大きく下回 るため、削減することな く京都議定書の 目標を達成でき削減費用は 0 ドル となる。 つま り、 ロシアはホッ トエアの恩恵を受け る 。 拡大 UE の限界削減費用は、日本やカナダ ・ニュージーラン ドのそれ と比較 し約 4 分 の l と低 し また、先行研究の試算す る 即 の限界削減費用 よ りも低しぺ これは、新規 加盟国がホッ トエアを所有 してい るか、あるいは、削減すべき二酸化炭素排出量が少な いため、新規加盟国を 含めた拡大 EU 域内排出権取引 により 削減費用の低減が可能とな るからであるヘ w例 えば 、 B δh ri n g e r( 2 0 0 2 ) では日}の限界削減費用は 3 5. 4 5$ 1 正弘、 Bδhring e ra n dL o s chel( 2 00 3 )では 3 .1 9 1 $ / t C 句、L o s chela n dZ h a ng( 2 削2 ) では、米国を含めた削減枠組みのも とでE¥Jの限界 削減費用は 3 4 . 6 4 $ 1 目見、 Bohri n g e ra n duR t her fo r d( 20 0 4 ) では、米国を吉めた間引竣枠組みのも とで EU. 5 .EfF A 諸国の両目戒費用は 27 .82 $ / t , )O と拭揮してい る , H 脚 注 .0 で紹介した先行研究では、E J¥ .5 と FE TA 諸国をE¥J と して集計してお り、E日新規加盟国が吉まれてい 諸 国と EU 新実 助目盟国に 2 分 骨l ない。 そ こで、 本論文における拡大 UE の集計を、先行研究と 同様 に 即 時 EFTA L 、実際にシミュレーシ ヨンを行った ところ、目U.5 'EFTA 諸 国の限界削減費用は 3 9 . 7 0 $ / t 2、回新規加盟国の ∞ 唱Z 日本経済研 究 比 6 0, 20 0 9. ' 一方で、日本およ びカナダ ・ヱュージーランドは限界削減費用が高く、京都議定書の 目標達成が困難であ るこ とが分かる 叱 日本とカナダ ・エュージーラン ドは園内で削減 する以外に排出権を購入するな ど京都メカ ニズムを利用するこ とによ りその限界削減 費用 を低下させること が必要になる。 PDG 変化塁手については、日本、カナダ ・=ュ ージーラン ド、拡大 UE は、削減の負担が あるため負の値を とっている。一方で、 ロシアの GDP 変化率は正の値を とっ ている。 こ れは、 ロシアは削減負担がないので他の附属書 B締約批准固に対 してエネルギー集約産 業が相対的に優位 になっている ためと考え られる。 4. 2 排出権の独占的供給 本節では、附属書 B締約批准国が国際排出権取引 を行う T R D rケースについて考察を 行う 。国際排出権取引市場においてはロ シア政府が排出権収入を最大にする よ うに排出 権 を独占的に供給する。留意すべき点は、排出権取引 の結果、 ロシアを除く他の附属書 B締約批准国で限界削減費用が等し くな り排出権の供給固 と需要因は内生的に決定する、 というこ とであ る。例えば、ロシア政府の排出権供給量がロ シアの所有するホッ トエア の 0~2 8% のとき 、 NTR ケー ス での限界削減費用 が 16. 2 7$/t , CO と低い拡 大 即 は排出権 供給固と なる。そして、ロシア政府の排出権供給量がロ シアの所有するホットエアの 28 ~ 100 % のとき 、拡大即 は排出権需要因と な る。 ロシア政府が排出権収入を最大にす るよ うに排出権 を独占的に供給する とき 、ロシア 1%である に とって最適な排出権供給量は 、 ロシアが所有するホッ トエアの半分以下の 4 (図 3)。結果、排出権価格は 1 .1 93$/t 0C 0 13方 0C 得る。 この場合、日本は l億 6 万 C0 2 トン、拡大 2となり ロシアは約 4 5億 ト γレの排出権収入を 2 トン、カナダ・ ニュージーラン ドは 1億 3094 EU は 85 44万 CO , ト ンの排出権を、それぞれロシアから購入する。すな わち、日本、 カナダ ・エュージーラン ド、 拡 大 印 は、それぞれに課せ られた、削減す 2%、69%、1 9% を排出権の購入により 削減す べき 二酸化炭素排出量のう ち、それぞれ 7 る 。 国際排出権取引 によりロ シアを除く他の附属書 B締約批准国で限界削減費用が等 しく なると いう点で、TRDrケースは NTRケースと比較 して費用効率的である。日本、カ ナダ ・ ニュ ージーラン ド、拡大 EU は削減費用を低下させるこ とができる ので、PDG 変化率は 日 本では-2.92%から -0.53%、カナダ ・ニュージーラン ドでは-6.59%からー .1 5 2%、拡大 限界削減費用は 0ω$ t! α2 となる。ンミュレーンヨンの詳細については筆者より入手可能である。 "カナダは 2 0 0 7年 4月 3 0日に京都 議 定書 目標を達成することは不可能 と正式表 明している e 論文排出権取引 とCDM 事業 唱3 即では1. 08%から-D . 88%と 、 NTRケースと比較して改善される。限界削減費用の高い 日本とカナダ・ エュ ージーランドは、排出権取引を行うことで削減費用 を大きく低下さ せることが可能である。 3.4 日本・中国聞の MDC 日本が、中国と C 闘を実施するこ とで国際排出権取引における ロシアの価格支配力を どの程度低減させ得るかについて考察する。日本が国際排出権取引と併せて中国と 6000 万C0 2 トンの Ca.!を実施するとき、ロシアは排出権供給量をホットエアの 41%か らホッ .1 93$/tC02から 10. 95$/t C 02に トエアの 38%に減少させる。その結果、排出権価格は 1 約 1$/t0C 2低下する。排出権価格の低下は、すなわち、限界削減費用の低下を意味する。 の減少が改善すること に見られるように、 C 聞 による排出権価格の低下により、日 GDP 本の京都議定書道守費用は低下する。日本は C で !.a 量の 27%) 、排出権購入で l 億 445方 Co,トン ω00方 CO 2 トン(総 二酸化炭素削減 ( 4 7 粉 、 園 内 で 5736方C0 ン 2ト ( 2 6 唱 ) の排出量削減を行うことになる。 日本 ・中国間の C !.a による排出権価格の低下に{料、ロシ アの排出権収入はお億 ドル に減少する。一方で、日本・中国間の C a.!事業は、 限界削減費用を TR Drケースから ロシア以外の附属書 B締約批准国の 1$/tC o,低下させるため、ロシア以外の附属書 B 締約批 准国の京都議定書遵守費用 を低下させる。 日本以外にも、カナダ ・ニュージーランド、 拡大 EU の GDP 減少率は TRDr ケースより改善する。 なお、中国は 日本との ω00万 CO2トンの Ca.!事業により 7億ドルの排出権収入を得る。 この中国が獲得する排出権収入は、言い換えれば、日本が Ca.!事業と う費用でもある。 また、 CDM により日本は TRDr ケースより GDP して技術移転を行 が1 5億ドル改善するの レσ 〉便益が残る。対 して、中国 で 、 C帥{事業費の 7 億 ドノレを差 し号|し、ても、なお 8 億 ドノ もまた、 C 聞 に伴う日本からの技術移転によるエネルギー効率の向上により、 GDP 億ドル精力日させる。 中国が CDM ω00万C0 2 トンの CDM を 58 事業か ら受け取る便益は大きい。これら を考慮すると、 の効果は費用に対 して小さいものではない。 5 . おわりに 本論文では、応用一般均衡モデルを用いて、 ロシアの排出権の独占的供給が ロシア以 外の附属書 B締約批准国の南 IJ減費用 に及ぼす影響 と、日本が排出権取引と併せて中国と C 酬を実施すること により、 ロシアが吊り上げた排出権価格をどの程度低減させ得るか 唱4 日本経済研究 比 6 0,2 0 0 9 . 1 について分析を行った。 ロシアが排出権を独占的に供給するとき、その供給量はロシアが所有するホッ トエア .1 9 3 $/t 0C 2となる。 日本は、排出権取引市場 の 41%程度であり、結果、排出権価格は 1 において ロシアが価格支配力を持つこ とを考慮 しても、排出権取引を行うことで限界削 減費用を 7 0 .9 9 $/t C , JCか ら 1 .1 9 3 $/t 0C 2 に大幅に低減させるこ とができる。さらに、日本 J:Mを実施することで は中国と C 、ロシアの市場支配力を低下させることが可能である。 日本は中国と 6 0 0 0万 ω2 トンの C 加を実施すること により、日本の排出権購入量を減少 $/t ω2 程度低減させる。そ して、日本の G D Pが排出権取引のみの させ、排出権価格を 1 場合と比較 Lて 1 5億 ドノレ改善する。仮に京都議定書唾守費用を G D Pの損失額で計算す るならば、日本は C M:J により、遵守費用を排出権取引のみの場合と比較 して 8% 程度低 下させる。嗣虫で京都議定書の目標達成が困難である日本は、国際排出権取引だけでな く 、 1 井せて C J:M事業も活用 6 . していくこ とが望ま しいと考えられる。 体制行)目的変数に関する感応度分析 第 4節では、 ロシアが排出権収入を最大にする よ うに排出権供給量を決定すると して シミュレーシ ョンを行ったが、第 2節で述べたように、ロシアが排出権供給量を決定す る際 に最大化する目的変数に よって排出権供給量が異なる場合がある ( K l e p p e ra n d R D rと C D M 6 r、それぞ P e t e r s o n .2 0 0 5 ) 。そこ で本節では、第 4節で分析 したシナリオ T れ について、ロシア政府が排出権供給量を決定する際に最大化する目的変数を、排出権 収入から、社会厚生、 G D P、G N Iに変更 した場合について考察する。G NIは G D Pに排出権 収入を加算 した国民総所得である。新たにシミュレーションを行ったシナリオは、目的 変数が社会厚生である T 、 R wD C 応 .a wと目的変数が G D Pである T R D d、C D M 6 dと目的変数が G N Iである T R D n、C M:J 6 nの計 6つである。 これ らのシミュレーション結果は表 7にま と めている。 表 7によれば、目的変数が G D Pの場合では、 T R D d、C 閃6 dにおいて、目的変数が排出 権収入の場合と比較 してその排出権供給量は少なくなる。 これに対 し、目的変数が社会 厚生である T 、 R wD MC :J 6 wの場合、 G N Iである T 、 R nD MC :J 6 nの場合のいずれにおいても、 ロシアの排出権供給量は、目的変数が排出権収入である場合と比較 して、間程度である。 これらの結果は以下の理由で説明できる。 G D P とは閣内で生産された付加価値の合計 であり、排出権収入は含まれない。 ロシアが排出権を供給するとい うことは、 ロシア に おいては排出権収入を得ることになるが、同時にその他附属書 B締約批准国の削減負担 論文 排出権取引と CD M 事業 唱5 表 7 各目的変数による排出権独占的供給の結果 排出権価格 排出権収入(l( シナリオ名 目的変数 ホット エ ア (%) T R Dw 社会厚生 4 1% 1 .1 9 3 4 .4 9 ($!tuC ,) ロシア 億 ドル) 中国 Dd T R 日D P 3 2 覧 1 4 .7 3 4 .3 3 Dn T R G NI 拡 3 8 1 2 . 8 4 4 .4 8 39 覧 1 0 . 6 7 3 .8 2 0 .6 4 C 聞6 w 社会自 主生 凶 6 d C ωp 2 9 世 1 3. 6 6 3 . 6 4 0 . 8 2 聞6 0 C 日N I 3 6 免 1 .1 5 3 3 .8 1 0 . 6 9 を低下させ、結果、 その他附属書 B締約批准国のエネル ギー集 約産業の競争力の低下を 改善させるこ とになる。つまり 、京都議定書の もとでは、ホッ トエアを所有するロ シア は削減の負担がないと いう点で削減負担のあるその他の附属書 B締約批准国に対 してエ ネノ レギー集約産業について宮町立になるが、 しか し、ロシアは排出権供給により その相対 的優位笈を低下 させてしまうと 考え られる。一方で、GNIは GDPに排出権収入を加算 し たものであ り、社会厚生につい ても排出権収入が家計に一括移転 される とし 、 う意味で排 出権収入が反映されるこ とになる。これよ り両目的変数については、排出権収入を目的 変数にする際 と同程度の結果とな ると考えられる。 参考文献 Armi ng ot n ,P . 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S .W it h d r a w a lf r o mt h eK y o t oP r o t o c o l," AppliedEc 3 5, p p.6 5 1 6 6 3 ,C .a n dT .F .R u t h e r f o r d( 2 0 0 4 ) “W h oS h o ul dP ayH o wM u ch ? " C 1llO p ut a t i o n a l B δ h r in g er JJl i c s2 3,p t.7 1-1 0 3 Ec o n o d e nE l z e nM.G .] .a n dA.P .G .d eM o or( 2 0 0 1a ) 乃θBo n nand胎 rr ak e c hAcc o r d s:AnU pdated A n a l y s i s ,R IV Mr e p o r t7 28 0 0/1 0 1 7,N e t h e r l a n d sN a t i o n alI n s t it u t eo fP u b l i cHe al t h a n dt h eE n v i r o n m e nt( R IV M ) d e nE l z e n ,M .G .] .a n dA.P .G .d eM o o r( 2 0 0 1b )Ev a l u a t i ngt h eBo nnAgr e 四 回 ta ndSOJJl e ルl yI s s u e s ,R IV Mr e p o r t7 2 8 0 0/1 0 1 6 ,N e t h e r l a n d saN t i o n a lI n s t it u t eo fP u b l i cH ea lt h 開 t( R IV M ) a n dt h eE n v i r o n m E v a l u a t i n gt h eoB n n M a r ra k e s hA g r e開 閉 t" d e nE l z e nM .G .] .a n dA.P .G .d eM o o r( 2 0 0 2)“ C 1 1 潤印 P o i1 cy2, p p.1 1 1-1 1 7 Di m a r a n a n ,B .V .a n dR .A.oD u g a ll( 2 0 0 6 )“ G l o b a lT r ad e,A s s i st a n c e, a n dP r o d u c ti o n:T h e e c l m i c alR e p o r t, C e n t e rf o rG l o b alT r a d eA n a l y s i s, uP r d u e G T A P6D a t aB as e," T U n i v e r s i t y E d w i nv a nd 町 W e r f( 2 0 0“ )7 P r o d u c t i o nF u n c t i o n sf o rC l i m at eP ol i c yM od e l i n g:A nE m p i r i c a l elW or k i n gP a p e rN o .1 3 1 6 A n a l y s i s," Ki nte r n a ti o n alE nerg yα l t l ω) k20 , 0 5 E n e r g yI n f o r m a t i o nA g θ n c y( E IA ) E I A( 2 0 05 )I 臥 ( 2 0 0 6)偽 Em i s s io n sか 沼 Fu e lc 11lO b u s t i o n1 9刀 200 頃 I n t e r n a t io n a lE n e r g yA g 四 c y , I O E C D / l E A ,P a r i s, F r a n ce 臥 ( 2 0 0 )7 CO ,Em issions,rf I 岨 Fu e lc o m b u s t i o n1 9刀 20 , 0 5 I n t e r n a t i o n a lE n e r g yA g e n c y , O E C D / l E A ,P a r i s, F r a n c e .a n dS .P e t e r so n( 2 0 0 5 )“T r a d i n gH o t A i r.T h eI n f l ue n c 8o fP e r m i tAl l 田 抗 K l e p p e r, G a r l 日 tP o w e ra n dt h eU SW i t h d r a w a lf ro mt h eK y o t oP r o t o c o l," Envi r 1o ll1l R u l e s,M lO n t a l eJ ヲ andRe s o u r c eEc o no mics3 2 ,p p.2 05 2 2 7 L os c h el ,A .a n dZ .X .Z h a n g( 2 口0 2 )“ T h eE c o n o mi ca n dE n v i r o n m e n t a lI m pl i c a t i o n so ft h e na n dM a r r a k e c h ," U SR ep u di a t i o no ft h eK y o t oP r o t o c ola n dT h es u b se q u e n tD e a l si noB n Di s c u s s i o nP a p e r0 22 8, Z E W ,M a n n he i m .S .a n dR .G .R i c he l s( 2 0 0 1)“ U SR ej e c ti o no ft heK y o t oP r o t o c o l:T h eI m p a ct M a n n e,A 。江 C o m pl i a n c eC o s t sa n dC 0 2E m i s s io 江s , W o r k i n gP a pe r0 1-1 2,A E IB r o o ki n gs] oi n t 論文排出権取引と C DM事業 唱7 Center f o rRegul atoryStudi e s Rutherford ,.T F. ( 2 0 0 5 ) “GTAP6 i nG A M S:T h eaD t a s e tandStaticModel, " Paperprepared n gf o rTradeP oli cyAnal y s i s f o rt h eWorkshoponA p pli e dG θ n e r a lE q u i l i b r i四 Modeli i nRussiaand t h eC I S, TheWorldBankR e s i d e n tMission ,Moscow ,D ecember 1 9 UNFCCC ( 1 9 9 7 ) UnitedNations F r a meworkConventi ononCl i mate Change, K y o t ofケo t o c o lt o t h eU n it e dN a t i o n sF r a m e w o r kC o n v e n t i o no nC l j m a何 αange,FCCC/CP.L/ 7 / Add.1 ,K yoto UNFCCC ( 2 0 0 1 ) UnitedNations FrameworkCon v阻 む ononCli m a t e Change, Reviewof t h e , ImplementationofCommitments andofOther Provisions of t h e Convention FCCC/CP/2001/L.7, V I, 5 唱8 日本経済研 究 比 6 0,2 0 0 9 . 1