Comments
Description
Transcript
平成22年度 - 佐賀大学大学院工学系研究科技術部
平成22年度 Vol.2 佐賀大学大学院工学系研究科技術部 目 次 1.支援業務報告 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 2.専門技術研修報告 ・・・・・・・・・・・・・・・・・12 3.技術部全体会議議題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・21 4.佐賀大学技術研究会 ・・・・・・・・・・・・・・・・・24 1.支援業務報告 資料1 別紙10 学科外業務内訳 依頼業務内訳 1) 技術相談 依 頼 者 内 容 対応部門 7/30 卓上ボール盤故障相談 教員(物理) 機械 2) 運営支援業務 依 頼 者 内 容 担当部門及び担当者 工学系研究科事務室 6/23 工業系高校校長との懇談会会場設営・撤収 環境・情報 工学系研究科事務室 8/12 理工学部後援会総会 会場設営 機械 工学系研究科事務室 3/23 工学系研究科博士号学位伝達式 会場設営 機械 工学系研究科長 11/1~現在 技術支援 議事録等登録システム構築業務 田中、村岡、羽根 3) 技術支援業務 部門 機械 電気電子 環境・情報 依頼件数 12 0 1 内 容 依 頼 者 従事者数 従事日数 1 4/5 材料切断(入学式式次第用) 職員(総務課) 1 1 2 4/8 技術安全指導(機械操作等) 教員(物理) 3 1 3 6/22 フライス溝加工 学生(物理) 1 1 4 7/23 アクリル加工 教員(農学部 生物環境) 1 2 5 7/27 プーリーキー溝加工(立削り盤) 職員(電気電子) 1 1 6 9/21 角パイプ切断 教員(循環機能科学) 1 1 7 10/28 突固め、締固め試験用部品(旋盤加工) 学生(低平地研究センター) 1 2 8 11/15 床 セメント補修 職員(機械) 1 2 9 11/19 支柱製作(旋盤加工) 職員(総合分析センター) 1 1 10 11/30 試験機部品加工(ワイヤカット、旋盤) 職員(都市工) 2 2 11 1/5 突固め、締固め試験用部品(旋盤加工) 学生(低平地研究センター) 1 5 12 1/24 試験機部品ねじ切り(旋盤加工) 学生(低平地研究センター) 1 2 13 2/23 平板三脚部品(旋盤加工) 職員(都市工) 1 1 16 22 合 計 -1- 4)社会貢献業務 きてみんしゃい! 佐賀大学へ 光と遊ぼう! ~光の不思議体験~ 目 的:光にまつわる不思議な現象とそのしくみを体験して、もっと科学が好きになってもらう。 対 象:小学生・中学生・高校生 会 場:佐賀大学本庄キャンパス 工学系研究科 開催日時:平成 22 年 8 月 20 日(金) 9:30~16:00 スタッフ:工学系研究科技術部、工学系研究科教員 実施報告 8 月 20 日(金)、本庄キャンパにおいて、 「きてみんしゃい!佐賀大学へ」が開催されました。今年 度は工学系研究科技術部と教員で「光で遊ぼう! ~光の不思議体験~」と題し、10 テーマを実際 に体験してもらいました。技術部では 10 テーマのうち、5 つのテーマを担当しました(表-1)。 表-1 テーマと担当 番号 テ ー マ 名 担 当 1 アインシュタインの相対性理論の世界を両眼立体視してみよう 教 員 2 見えない「光」を見よう 教 員 3 距離・角度を測ろう! 技術部 4 誕生日の夜空へタイムスリップ 技術部 5 とまってみえる ~ストロボ発光~ 技術部 色がみえる ~ベンハムのこま~ 6 ”チクタク・チクタク”色時計 教 員 7 夜光ペンダントをつくろう 教 員 8 ふしぎな箱 教 員 9 立体映像の不思議 技術部 10 光で会話しよう! 技術部 ~鉛筆が壁をつきぬける!~ 当日は小学生・中学生・高校生あわせて 83 名とその保護者の方も参加されました。最初 に行われた全体説明では、大学院工学研究科 長の林田行雄先生から開会挨拶があり、その 後、渡 孝則先生が班分けや実験に対する注 意事項等の説明を行われました。(写真-1)。全 体説明終了後、参加者は 1 テーマ 30 分で全て のテーマを体験して頂きました。 終了後、アンケートを回収し解散となりま 写真-1 全体説明 した。 -2- アンケート集計結果 回答者数:63 名(保護者 5 名を含む) 1. あなたについて 【学年】 選択肢 小1 小2 小3 小4 小5 小6 中1 中2 中3 高3 大人 計 人数 3 11 4 11 5 13 7 2 1 1 5 63 【性別】 選択肢 人数 男性 39 女性 18 計 57 % 5% 17% 6% 17% 8% 21% 11% 3% 2% 2% 8% 中2 3% 高3 中3 2% 2% 小1 5% 大人 8% 小2 17% 中1 11% 小3 6% 小6 21% 小4 17% 小5 8% 回答者 学年 % 68% 32% 女性 32% 男性 68% 回答者 男女比 【住所(県)】 選択肢 人数 佐賀県 59 福岡県 3 熊本県 1 計 63 福岡県 5% 熊本県 1% % 94% 5% 2% 佐賀県 94% 回答者 住所(県別) -3- 【住所(佐賀県詳細)】 選択肢 人数 佐賀市 47 唐津市 4 小城市 2 多久市 3 東与賀町 3 計 59 小城市 3% % 80% 7% 3% 5% 5% 東与賀町 5% 多久市 5% 唐津市 7% 佐賀市 80% 回答者 住所(佐賀県詳細) 2. 開催情報取得方法(複数回答) 【開催情報取得方法(複数回答)】 選択肢 人数 教師 19 友人 11 保護者 13 チラシ 27 ネット 0 その他 2 回答者数63名 30 人 25 20 15 10 5 0 教師 友人 保護者 チラシ ネット 開催情報取得方法 3. 今までに科学に興味があったか わからない 3% 【科学に興味があったか】 選択肢 人数 % とてもあった 31 49% 少しあった 28 44% わからない 2 3% あまりなかった 2 3% なかった 0 0% 計 63 あまりな かった 3% 少しあった 45% なかった 0% とてもあっ た 49% 今まで科学に興味があったか 4. 体験の時間の長さは 短すぎ 2% 【体験の時間】 選択肢 人数 長すぎ 10 ちょうどよい 37 やや短い 14 短すぎ 1 計 62 やや短い 22% % 16% 60% 23% 2% 長すぎ 16% ちょうどよ い 60% 体験の時間の長さ -4- その他 5. 参加してみての感想(複数回答) ① おもしろかった ② 佐賀大学に入学してみたくなった ③ 科学に興味がもてた ④ ちょっとむずかしかった ⑤ いまいちおもしろくなかった ⑥ その他 【感想(複数回答)】 選択肢 人数 ① 55 ② 22 ③ 37 ④ 7 ⑤ 0 ⑥ 4 回答者数 63 100% % 87% 35% 59% 11% 0% 6% 80% 60% 40% 20% 0% ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ 感想(複数回答) 6. 同じようなイベントがあったら参加してみたいか いいえ 0% 【次回参加したいか】 選択肢 人数 % はい 62 100% いいえ 0 0% 計 62 はい 100% 次回参加したいか -5- 7. 具体的な感想や意見 小1 小1 小1 小2 小2 小2 小2 男 小2 男 小2 男 小2 男 小3 小3 小3 小3 小4 小4 小4 小4 小4 小4 小4 小4 小4 小4 小5 小5 小5 小5 小6 小6 小6 小6 小6 小6 小6 小6 小6 小6 小6 小6 中1 中1 中1 中1 男 男 中1 男 中1 中2 男 女 男 男 男 男 男 男 女 男 男 男 男 男 女 女 男 男 女 女 女 男 女 男 男 男 女 女 男 女 男 女 女 女 男 男 中3 高3 男 保護者 男 保護者 女 保護者 女 保護者 女 (保護者記入) 小学1年生には、ちょっと難しかったようです。高学年や中学生に参加させてあげたいなと思う内容でした。 (保護者記入) 学校では体験できないことをさせていただき、有り難うございました。 とても楽しかった。 はじめてしった光のことがいろいろわかりました。 楽しかった。 おもしろくて、またきたいです。 先生がやさしくて、さいごのペンダントとふしぎのはこがたのしかったです。この二つが来年もあったらいいなーっと思いました。 (保護者記入) 子供達は理科実験や科学にすごく興味を示しますので、次もまた開催して欲しいです。プレゼントもあって大よろ こび☆ (保護者記入) 暑い中、一人一人丁寧に、ありがとうございました。 (保護者記入) とても興味深い実験でしたが、会場案内が非常に分かりづらかったです。地図など事前に送っていただくか、申 込用紙にHPのURLが書いてあると良いと思いました。(FAXだけだったので) 駐車場・建物の場所が分からず、遅刻した人が あったので。実験自体は、どれもとても興味深く、楽しかったです。 夏休みの宿題が減りました。 (保護者記入) 測量の実習では、cmとmの単位についての理解が深まった。デジタル通信もおもしろかった。 楽しかった。 おもしろかった。 今日はとても楽しかったです。 もっとたくさんやりたかった。またきてみたい。たくさん記念品がもらえたので良かったです。 たのしかった。 ここに来てとても科学にきょうみが持てたのでうれしかったです。次あったらまた来たいです。 今日はちょっと長かったけど、いっぱいじっけんができたからたのしかった。 一番楽しかったのは、色時計。時間は長すぎたけどとてもおもしろかった。 実験とかとてもおもしろかったです。説明も分かりやすかったです。また来年もやって下さい。 記念品などをもらえてたのしかった。実験がとてもおもしろかた。 とてもおもしろい実験でした。 おもしろかった。 楽しかった。また来たいです。 ③(距離・角度を測ろう!)、⑥(チクタク・チクタク色時計)がとてもおもしろくて、せっきょくてきに参加でき、とてもおもしろかった。 1つ1つは時間が短かったけど、作ったりするのがおもしろかった。 3Dとかが見れて楽しかった。また参加してみたいです。 全部面白かったです。特に、色時計とこま(ベンハムのこま・ストロボ発光)がすごくおもしろかったです。 とてもおもしろかった。④番(誕生日の夜空へタイムスリップ)をもっとしたかった。 たのしかった。 光をあてるとひかるペンダントなどのしくみが分かって、とてもおもしろかったです。 解読不能(ダウン症の子供) 今まで分からなかったことや、おどろくことがたくさんあっておもしろかった。 お兄さんやおねえさんがやさしくて、説明とかも分かりやすく説明してくれた。 教えてくれた、お兄さんやおねえさんが、とてもやさしくてわかりやすかったです。 他のいろいろな実験をしているより楽しかった。 自分で作ったものや、記念品などがあってよかっかた。(記念に残る) いろんなことが全部できたのでよかった。 今度来るときは光のみではなく、それ以外のこともやってもらいたいです。楽しかったのでまた開いて下さい。 きょりをはかるのがおもしろかった。 話が難しい。小2でこれるような内容がいい。 一部むずかしい所がありました。もう少し分かりやすくしてください!! 測量の実習では、アシスタントの方?が元気が良くて、指導も良くておもしろかった。 もう少し長くてもよかったけど、ちょうどよかったし、わかりやすくおしえてもらえてよかった。 もうすこしたくさんしたかったです。一番楽しかったのは③距離・角度と④誕生日の夜空と⑥色時計と⑦夜光ペンダントと⑩光で 会話でした。 全体的に分からない事はなかった。おもしろいのはいっぱいあった。暑い日だったので外の移動や外での実験はきつかった。 途中で1度ぬけたんですけど、けっこう楽しめました。時間がもう少し長く取れればいい所、少し長い所がありました☆ 今まで科学的なイベントには参加したことがなかったので、今回参加できてよかったです。ちょっと難しくて、私にはちょっと分か らなかったことはあったけど、丁寧な説明をしてくださり、うれしかったです。 もともと光について興味を持っていたので、楽しい時間を過ごすことができました。やっぱり光はおもしろいものだと思いました。 光についてもっといろいろなことを理解したいと思えました。」 保護者として参加させて頂きましたが、普段触ることのできない科学の世界を体験することができ、子供達にとっては、大変意 義のある時間を過ごすことができました。 開催時期も夏休み中で、子供達の自由研究のテーマになったので、今後もぜひ続けてもらいたいと思います。 遊びながら楽しみながら科学・化学ができる機会でおもしろかったです。障害児を連れていたので、どうなるかと思いましたが、 一日すごすことができました。ありがとうございました。 子どもが科学大好きになるように、このようなイベントは経費があるかぎりしてほしいです。私の小学生の頃は全くなく、又、学校 の中学では実験は一度もなく教科書で理解するという感じでした。子どもにはこのような機会があれば参加させます。とても良 かったです。ただ、10項目は多いし、伝達連絡不足だと思います。個人情報主義とはいえ、お弁当持参なのか、班ごと行動か連 絡してほしい。そういう事務連絡がないのは残念だった。 先生方や学生の方がやさしく、ていねいに教えて下さったので楽しく学ぶことができました。長い時間、たくさんの実験がありまし たが、1つ1つちょうどよい時間だったと思います。子どもと一緒に来ましたが、又こういうイベントをぜひやって欲しいと思います。 体験して良かったと思いました。 -6- 距離・角度を測ろう! 環境・情報部門 第 1 班 概要:参加者に、担当者が指定する距離と思う位置にポールを立ててもらい、実際にトータルステー ション(以降 TS:光波測距儀)を使用し距離の測定を行う。同様に、角度の予測と測定も行 う。 手順:①20m の距離を歩き、その間の歩数を計測する。これ を 4 回繰り返し、歩数の平均を求め自分の歩幅の計算を 行う。 ②指定される距離と角度と思われる位置にポールを 立ててもらい、TS を使用して距離と角度の計測を行 い、指定された数値と比較する。 まとめ:測量機器である TS を 6 台使用し、このテーマを行 った。TS では距離と角度を計測する事ができ、距離を計測す 写真 1 説明風景 る際に光波を用いている。 唯一、屋外で行うテーマであり、猛暑の中行わなければな らないことから、テントを準備し、その中で計測や計算を行 った。 当日は、技術職員 5 名、都市工学科教員 1 名、都市工学科 学生 3 名のスタッフで行った。最初に技術職員が簡単に説明 を行い(写真 1)、TS1 台を参加者 2 名で使用し、それぞれに技 術職員が担当についた。内容としては、まず歩測(一定の距離 を何歩で歩くかを数える)を 4 回行い、歩数の平均を計算し、 自分の歩幅を求めた(写真 2)。次に、担当者が参加者に距離と 角度を示し、その距離が何歩になるか計算し、示された角度 方向に計算した歩数分歩いてもらい、そこに計測用ポールを 立て、TS でポールまでの距離と角度を計測した(写真 3)。示 された数値と自分が予測した点の実測値と比較を行った。 写真 2 計算中 参加者が小学生から大人までと年齢の幅が広く、小学生に 対しては平均,距離の単位換算(m と cm),角度などの学習状 況を確認し、小学校低・中学年までは距離だけの計測、小学 校高学年以上は距離・角度の計測を行った。平均や歩数の計 算を行う際は電卓を使用し、使用した電卓はお土産として持 ち帰ってもらった。 1 グループ当たり 30 分程度の時間しかなく、当初予定して いた説明を大幅にカットしなければならなかった。もう少し 時間に余裕があれば丁寧な説明・指導を行うことができたの ではないかと思う。 -7- 写真 3 計測風景 誕生日の夜空へタイムスリップ! 機械部門、環境・情報部門第 2 班 概要:天体シミュレーターソフト(StellaTheaterPro)で誕生日の星の配置を調べ、それを下絵とし てし、蓄光塗料を使い星空を再現した。 手順:①参加者の誕生日の夜空を天体シミュレーターソフトで再現し星空下絵として印刷する。 ②星の位置に蓄光塗料を参加者に塗布してもらう。 ③塗料が乾いたら担当者がラミネート処理をおこなう。 ④部屋の照明を消し、暗闇の中で光り輝く誕生日の星空を鑑賞する。 総括:地下鉄やビルの中で停電した時に安全に避難することが出来るように避難誘導標識用塗料とし て蓄光塗料が使用されている。この蓄光塗料を使って、何か夢のあるものが出来ないかと思い、プラ ネタリウムのように誕生日の夜空を再現することにした。 蓄光塗料が暗闇の中で星空のように光り輝くところを見ても らうために、このテーマ専用の遮光設備を備えた部屋を確保した。 事前に照明を消した時の遮光性を確認し、遮光が不十分な個所に は暗幕や黒い紙を貼り付け、当日に備えた。 当日は、技術職員4名で全体説明、天体シュミレーターソフト 操作およびラミネーター処理を分担して実施した。 最初にデモ用の星空を使い蓄光と蛍光の違いを説明した。部屋 写真 1 説明風景 の照明を消し、ブラックライトを照射すると、蓄光塗料と蛍光塗 料の両方が光るが、ブラックライトも消し、真っ暗になると蓄光 塗料だけが光り、これより蓄光材料は光を蓄え、暗闇でも光り続 けることを示した。そのあと星空下絵への塗料の塗りかたのポイ ントを説明した(写真 1)。 次に各参加者の誕生日をコンピューターに入力し、星空下絵を 印刷して渡した。この時、星占いで使う自分の星座がないとの質 写真 2 蓄光塗料塗布中 問が出され、「星占いの星座はその人が生まれた時に太陽が位置 していた星座をいい、夜の星座には表れない」と天体に詳しい技 術職員が説明を行い、尊敬の目を集めた。 参加者は 2 種類の蓄光塗料を塗布しそれぞれの下絵を星空へ と変えていった(写真 2)。途中で出来栄えを確認するため部屋の 照明を消すと、星空が光り輝き、一斉に「ウアーッ」と歓声が上 がった。この歓声でこれまでの苦労が報いられた気がした。 最後にそれぞれラミネート処理をしたものを記念に持ち帰っ 写真 3 星空下絵印刷とラミネ ート処理担当スタッフ てもらった(写真3) 。 今回は時間の関係で A4 サイズの星座だったが、もっと大きなサイズで作る時間があったらもっと 喜んでもらえたのではないかと少し残念だった。 -8- とまってみえるストロボ発光 色がみえるベンハムのこま! 機械部門 概要: ストロボ発光 通常、回転している自動車タイヤのデザイン、回転している CD などの文字は読むことができ ません。しかし、決まった時間間隔で発光するストロボスコープを使うと見ることが可能です。 この便利な装置を使って、色々な回っているものを観察します。また、どのくらいの速さで回っ ているのか調べます。 ベンハムのこま ベンハムのこまを回すと、弧状の薄い色があちこちに見えます。この色はフェヒナー色と呼ば れ、見る人によって異なる色となります。なぜ このような現象が起こるのか完全には理解され ていません。今回は、色々なデザインの CD こまを作って実験します。 手順: ストロボ発光 ①回転している CD、扇風機にストロボを向ける。 ②発光周期調整つまみをゆっくり回し、画像(文字)が静止 するように調整する。 ③画像(文字)の確認及び発光周期(回転数)を調べる。 ベンハムのこま 写真 1 ストロボと回転装置 ①あらかじめ半未完成の CD 模様 6 種類から1つを選ぶ。 ②グレイ又は白部分を黒マジックにて塗りつぶす。 白黒の境がはっきりするように、丁寧に塗ること。 ③回転スピードが変えられる装置に取り付ける。 ④回転数をゆっくり変化させて、色の変化を観察する。 写真 2 ベンハムのこま製作手順 ⑤どんな色が現れたかメモをする。回転数、色、位置など。 ⑥CD の穴の周りに瞬間接着剤を薄く塗り、その穴の上にビー玉をのせ、接着する。 (外れる場合はセロテープ接着) ⑦CD の周辺を両手で支えるか又はビー玉をつまみ勢いよく回転させて、色の変化を観察する。 まとめ: 止まってみえるストロボ発光では、ストロボスコープを2台使用した。絵が描いてあるCD及 び羽根に文字を書いた扇風機を回転させ、決まった時間間隔で発光させ絵や文字が止まって見える 様を観察した。また、その時の回転数を調べた。発光の時間間隔によっては、絵や文字が2個、3 個と見える様も観察させた。 色がみえるベンハムのこまでは、CDに幾通りかの模様を黒マジックにて塗りつぶし、回転装 置で回転させ弧状に色が見えるのを観察させた。その後、実験したCDを用いてこまを製作した。 小学生低学年では、こまの回転を強く回すことが多く、色が見えにくかったと思われたが、低速回 転になると色が見え、不思議そうで大変喜んでいた。参加者は、小学生から大人までと幅広く、今 回の対象者は小学生を対象に考えたため、中学生以上ではあまり面白くなかったかもしれない。ま た、止まってみえるストロボ発光ではストロボ装置が熱を持つため、参加者が火傷しないように、 また、扇風機は文字がくっきり見えるようにカバーを外したため、指を羽根に近づけたりして怪我 がないように安全に十分注意し、参加者一人一人に十分目が届くように技術職員7名で行った。 -9- 立体映像の不思議 概 電気部門 築地,石峯,上地, 機械部門 村岡 要:3D 映像技術のひとつであるアナグリフ法 により Web カメラとパソコンを用いて(図1参照)一 般の静止画像や動画を立体視できる映像に変換する 実験を行い,鑑賞する.さらに,より自然な立体視 ができるホログラムを鑑賞することで,それらの違 いを体感しながら,立体視が可能な映像のしくみを を学ぶ. 手 順:①立体感の原理を認識させる目的で, 図1 構築した3D カメラ 3cm 角の立方体の積み上げ実験をさせ,両目では 容易く積み上げることができるが片目では難しいことを体験させる.②被写体をデジタルカメラに より静止画,あるいは動画で撮影し専用アプリケーションソフトにて写真1に示すようなアナグリ フ映像に変換し,専用めがねを用いて鑑賞する.静止画についてはプリントアウトして,専用めがね と共に持ち帰ってもらう.③同じ立体映像でありながら,まったく原理の違うホログラムを用いて その再生映像(写真2参照)を鑑賞する.④ホログラム再生映像とアナグリフ映像との違いを体感する. まとめ: 身近な例として近年販売中の 3DTV の原理などについても 3D の動画や静止画を観察さ せながら説明した.同時に参加者各自の3D 写真撮影を行い記念として手渡した.さらに,将来的に 応用が期待されているホログラムも展示し,観察することで現行の3D 技術との相違を視覚的に理解 できるよう配慮した.今回,技術部としては初めて“きてみんしゃい佐賀大学”に参加したが,開催 側と受講側全員が終始楽しい雰囲気で進行できた.理科教育の手助けの一つになれるよう,技術部の 地域貢献として参加できる機会が今後あれば幸いである. 写真1 アナグリフ映像の一例 写真2 - 10 - ホログラム再生像の一例 光で会話しよう 電気部門 永渕,吉田,藤崎, 光石,築地 概 要:光源に可視光 LED,受光素子にフォトトランジス タを利用した音声の AM 光通信実験回路(図1)を使 用して,音声が光に変換されて送受信できる実験を体 験させる.また音声が電気信号へ,電気信号が光へと 変換されていく様子がわかる回路も準備し,その変換 の流れを観察できるようにした. 手 順:①音声から電気信号へ(写真1),音声の大きさが 光の強弱へ変換される様子(写真2)を体験しながら 確認する.②マイクを使い,自分の音声が離れた場所 図1 製作した光通信実験回路 へ送信できることを確認するほか,送信側と受信側の 距離や角度を変えて,光の伝わり方が受信側での再生音声に影響することを実験で確認する. まとめ:当日は,技術職員4名で説明を行った.小学生が中心であった参加者には,自らの音声がマ イクによって電気信号へ変換されていく様子,さらに電気信号が LED 光の強弱に変換される様子を, その解説を交えながら実験してもらった.また,参加者の興味や理解を深めるために,こちらから積 極的に質問を行い,参加者が考えながら実験が進むような配慮を心がけた. 写真1 音声から電気信号へ 写真2 音声から光へ 参加した子供たちは興味深く実験を楽しんでいた.こちらが驚くほどマイクや LED といった装置 や素子の名前を知っていた.また光の伝送手段として「光ファイバー」を使い,光をより遠方へ送る 実験を行い「光」が通信手段として使われていること,電話機など身近なものに利用されていること を説明した.今回は PCM 方式のデジタル通信装置も準備し,とくに 1 名参加していた高校生には, 高度な通信装置に興味を持ってもらえたと思う.今後は装置を双方向通信もできるように改良したい. 写真3 実験の様子 - 11 - 2.技術研修報告 第5回 研 修 名: 技術部技術研修(平成 22 年度) 報告 専門技術研修(機械分野) 「コンピュータによる計測と制御の基礎」 講 師: 村岡昭男 技術専門職員 研修期間: 研修に使用する機器と人数の関係から 2 度にわけて実施した。 両会ともに内容は同一である 平成 22 年 9 月 16 日(木)~平成 22 年 9 月 17 日(金) 平成 22 年 9 月 21 日(火)~平成 22 年 9 月 22 日(水) 研修場所: 工学系研究科技術部室(佐賀大学理工学部一号館中棟 2 階) 参加人員: 20 名 機械部門 :青沼、松岡、杉町、大隈、松本、宮部、川平 電気部門 :吉田、藤崎、築地、石峯、永渕、上地、光石 環境・情報部門 :鳥飼、山内、齋藤、佐々木、川崎、野口 研修の概要 1. Visual Basic の基礎 2. PIO 制御 3. モータコントロール 4. A/D 変換を用いた測定 研修を終えて 本年度より、技術部における研修は専門技術研修とし、初年度は機械分野にて行うこととなった。技術 部にて企画される研修として、機械部門での 3 回目の研修となる。「コンピュータによる計測と制御の基 礎」と題した研修で、コンピュータによる外部機器の on/off やモータコントロール、A/D ボードによる計 測の基礎、および Visual Basic による制御/計測の基礎的なプログラミング技法を学んだ。 また、本年度よりアンケートを実施し、参加者の意見・感想を調査するようにした。これにより、受講 者が求めている研修を提供できるようになれば良いと考える。なお、アンケート調査結果は別紙にて報 告する。 研修風景 -12- 平成 22 年度工学系研究科技術部専門技術研修(機械分野)に関するアンケート集計結果 1. アンケートの目的 技術部にて実施した研修に対し,受講者の満足度や意見・要望を調査することにより,今 後の研修の方向性や,企画・運営の改善点を見いだすことを目的とする. 2. アンケートの実施方法 研修終了後,受講者に対し,アンケート票の配布・回収を行った. 評価の段階については 4 段階評価,(4)良い・(3)おおむね良い・(2)どちらかというと良くな い・(1)良くない,とした. また,研修の方向性を問う設問では,選択肢を以下のように定め,複数回答可とした. a) ソフトウエア.マイクロプロセッサ(PIC など)のプログラミング. b) ソフトウエア.C 言語の基礎. c) ハードウエア.回路の基礎と基盤の作成法 d) ハードウエア.マイクロプロセッサを用いた回路作成 e) ハード&ソフト.ロボット製作を通じた制御実習 f) その他 アンケートの配布・回収結果 ・ 配布対象人数(研修受講者) 20 名(研修は 1 回 10 名とし,2 回行った) ・ 回収枚数 20 枚 ・ 回収率 100% - 13 - 3. 集計結果 (1) 研修内容についての評価 (a) 研修内容 研修内容は(4)良いと(3)おおむね良いで全てを占めている 評価 回答数 1 0 2 0 3 1 4 19 1 0% 2 0% 3 5% 4 95% (b) 量 量については(4)良い・(3)おおむね良いで,全体の 85%を占める.(2)どちらかとい うと良くない,の回答理由は,全てが,時間に対して量が多すぎるという内容であ った. 評価 回答数 1 0 2 3 3 7 4 10 1 0% 2 15% 4 50% 3 35% - 14 - (c) 時間 時間においても,前項の量と同じ傾向であり,不満な理由として「短い」という意 見がみられた. 1 0% 評価 回答数 1 0 2 2 3 9 4 9 2 10% 4 45% 3 45% (d) 講師 (4)良い・(3)おおむね良いである. 評価 回答数 1 0 2 0 3 1 4 19 1 0% 2 0% 3 5% 4 95% - 15 - (e) テキスト 全体の 95%を,(4)良い・(3)おおむね良いで占める.意見として,量が少ない・より詳 しくしてほしい・基礎的な言葉の解説があると良い,と言ったものがあった. 1 0% 評価 回答数 1 0 2 1 3 6 4 13 2 5% 3 30% 4 65% (2) 企画・運営に対する評価 (a) 日程 (4)良い・(3)おおむね良いで占められている.大学の夏期休暇中に行ったことが評 価されていた. 1 0% 評価 回答数 1 0 2 0 3 7 4 13 2 0% 3 35% 4 65% - 16 - (b) 受講者数 意見として,PC を一人 1 台用意して欲しい・3 人で 1 台は厳しい,と言った意見が あった. 1 0% 評価 回答数 1 0 2 1 3 5 4 14 2 5% 3 25% 4 70% (c) 場所 特に問題となる意見はなかった. 1 2 0% 0% 3 10% 評価 回答数 1 0 2 0 3 2 4 18 4 90% - 17 - (d) 運営 特に問題となる意見はなかった. 1 0% 評価 回答数 1 0 2 0 3 3 4 17 2 0% 3 15% 4 85% (3) 今後の研修の方向性に関する希望 (a) 回答項目数 複数回答が可能な項目のため,各人の項目回答数をカウントした. 2 項目選択した受講者が最も多く,全体の 40%を占める.一方で,全く選択しなか った受講者も 15%見られた. 9 8 7 人数 6 5 4 3 2 1 0 0 1 2 3 回答数 - 18 - 4 5 (b) 希望項目 〇がつけられた項目をのべにて集計した.最大値が 10,最小値が 6 であり,ばらつ きが少ない. 12 人数 人数((のべ のべ)) 10 8 6 4 2 0 a b c d e 項目 (4) その他,研修に関する意見・感想 述べられた内容の一部を箇条書きにて示す. ・ パソコンは一人 1 台が良かった. ・ 講習前に予備知識を学べるようにしておくと,より内容が理解できたかもしれな い. ・ 研修時間が足りなかった. ・ 分野が異なった技術職員の研修は計画に時間がかかる.何を学びたいか,限られた 時間で最大の効果を得るにはどうすればよいか.しかし,とりあえず実行し,デバッ グし,より良い研修にしていく姿勢で良いと思う. ・ 普段の業務では触れることのない,コンピュータによる計測と制御について「基 礎の基礎」だが,触れることができ,有意義であった. ・ 実践的な内容が良かった.機材を保存し,定期的に反復学習を希望したい. - 19 - 4. 総括 (1)研修内容についての評価で,(a)研修内容の回答から,今回の研修は,ほぼ技術職員が 求めている内容であると思われる.(b)量および(c)時間では,量に対して時間が短いとい った意見がみられる.また,(e)テキストの内容でも,より詳しく記載して欲しい・基礎的な 言葉の解説があると良いと言った意見があった.これらの意見は,より初歩からの研修を 望んでいると考えられ,およそ全体の 10%である.今回の研修では,全技術職員の 90%近 い 20 名が受講し,全員が同じ内容であったため,このような意見がでたと思われる.これ に対応するためには,多レベルに対応できる内容を提供する必要があり,受講者の多様性 と,それを満足させるためのレベル設定が難しいことを示している. (2)企画・運営に対して,(a)時期は,大学の夏期休暇中が適当である.これはアンケートの 集計結果,意見にも現れている.(b)受講者数では,PC の台数が少ないという意見があった 今回の研修では,1 台の PC を 2~3 名で使用したが(1 回の研修を 10 名とし,4 台の PC を利用した),最低でも 2 名で 1 台,可能であれば 1 名 1 台の PC を準備すべきであった. (c)場所・(d)運営については,特に問題となる意見はなかった.なお, 研修場所は,技術部室 を利用した. (3)今後の研修の方向性に関する希望は複数回答可能な項目である.回答項目選択数が 1 または 2 である受講者が 65%をしめた.一方,回答項目 0 である受講者も 15%見られ た.15%の受講者は,この選択肢の中に希望する項目が無いことがわかる.選択された回答 項目は,多い順に,1) C 言語の基礎(ソフトウエア),2)回路の基礎と基盤の作成法(ハードウ エア),3)マイクロプロセッサのプログラミング(ソフトウエア)の順である.これからの技 術職員の職務に C 言語が必要であると考えられていることがわかる.また,2)と 3)は,今回 の研修を発展させた軸上にあり,今回の研修にて使用した機器類についての,より深い研 修が望まれていることを示している. 技術職員の業務は幅広く,多様性がある.アンケートの結果からも,技術職員全ての要 望を満たすことが難しいことがわかる.アンケート結果を生かし,より多くの要望が満た せるような研修が行われることを期待する. - 20 - 3.技術部全体会議議題 庶務委員会 【平成 22 年度 技術部全体会議議題】 第 1 回 平成 22 年 4 月 15 日(木) 8 時 40 分~10 時 00 分 出席者 1. 実務委員会体制の確認について 2. 学内研修計画について 3. 学外研修・出張計画について 4. 年度計画について 5. その他 ・専攻業務依頼書について ・専攻業務従事記録書提出について ・運営委員会議題について ・技術職員の業務のあり方について 21 名 第 2 回 平成 22 年 5 月 19 日(木) 8 時 45 分~9 時 25 分 出席者 1. 運営委員会議題について ・資料 1 平成 21 年度 理工学部技術部活動報告(案) ・資料 2 平成 21 年度 決算書(案) ・資料 3 平成 22 年度 工学系研究科技術部活動計画(案) ・資料 4 平成 22 年度 予算書(案) 22 名 第 3 回 平成 22 年 6 月 25 日(金) 8 時 40 分~9 時 10 分 出席者 1. 運営委員会報告 2. 機械分野技術研修について 3. 支援業務記録について 4. 「来てみんしゃい!佐賀大学へ」関連について 5. その他 ・情報統一研修の連絡について ・不要品を譲り受けについて 21 名 第 4 回 平成 22 年 7 月 29 日(木) 8 時 40 分~9 時 07 分 出席者 1. 「来てみんしゃい! 佐賀大学へ」関連について 2. 佐賀大学技術発表会(仮)開催形式と名称について 3. 昼食会開催について 4. その他 ・後援会総会設営について ・振り替え日について 20 名 第 5 回 平成 22 年 8 月 27 日(金) 8 時 40 分~9 時 00 分 出席者 1. 専門分野研修について 2. 昼食会について 3. 健康診断の結果について 4. 技術部の鍵について 19 名 第 6 回 平成 22 年 10 月 4 日(水) 8 時 40 分~10 時 00 分 1. 自己評価について 2. 技術職員の採用に関する方針について 3. 熊本大学技術研究会について 4. 平成 23 年度社会貢献事業について - 21 - 出席者 24 名 5. 後援会旅費の使用計画について 6. その他 ・技術部行事の専攻への開催通知について ・佐賀大学技術研究会(仮)について 第 7 回 平成 22 年 10 月 28 日(木) 8 時 40 分~9 時 10 分 出席者 1. 熊本大学総合技術研究会について 2. 後援会旅費の使用計画について 3. 佐賀大学技術研究会(仮)について 4. 工学系研究科情報共有システム構成依頼について 5. 「冬フェス」について 6. その他 ・自己評価について ・来年度の「来てみんしゃい佐賀」について 23 名 第 8 回 平成 22 年 11 月 25 日(木) 8 時 40 分~9 時 05 分 出席者 1. 熊本大学総合技術研究会について 2. 後援会旅費について 3. 佐賀大学技術研究会について 4. その他(報告事項) ・議事録閲覧システム作成のための打ち合わせについて 22 名 第 9 回 平成 22 年 12 月 24 日(木) 8 時 40 分~9 時 07 分 出席者 1. 「来てみ・・・」企画応募について 2. 熊大技術研究会について 3. 佐大技術研究会について 21 名 第 10 回 平成 23 年 1 月 27 日(木) 8 時 40 分~9 時 06 分 1. 佐賀大学総合技術研究会について 2. 熊大技術研究会について 3. 情報システム統一研修について 4. その他(報告事項) ・実施済み出張旅費連絡について 23 名 出席者 第 11 回 平成 23 年 2 月 28 日(金) 8 時 35 分~9 時 05 分 出席者 23 名 1. 平成 23 年 1 月の全体会議議事録の取り扱いについて 2. 佐賀大学技術研究会について 3. 熊本大学総合技術研究会(3/17、18)について 4. 佐賀大学技術研究会、熊本大学総合技術研究会参加について専攻長への連絡 5. 技術部報告書関連について 第 12 回 平成 23 年 3 月 28 日(木) 8 時 40 分~9 時 35 分 1. 議事録データベース作成業務について 2. 社会貢献事業計画について ・今後の実施の有無について ・経費について 3. 統一システム情報研修について 4. その他(報告事項) ・遠隔大学施設への移動について ・出張手続きについて - 22 - 出席者 24 名 ・海洋エネルギー研究センター成果発表会(3/29)について ・九州地区総合技術研究会 設立懇談会報告 ・技術部予算残額について ・人事評価の準備について ・3/31 工学系研究科 志波事務長 定年の挨拶について ・来年度の計画について(技術研修・学会発表等) ・技術部の HP に「技術部集」をアップロード予定 - 23 - 4.佐賀大学技術研究会 ご 挨 拶 平成22年度佐賀大学技術研究会は、本年3月4日に理工学部大学院棟の講義室を会 場に開催されました。この研究会は、本学技術系職員の皆さんが、日頃従事されている 技術的教育研究支援業務に関して、創意工夫したこと、あるいは失敗したことなどを含 む事例発表を行い、職員相互の情報交換並びに業務に必要な知識・技術等を広く習得す ることで、自らの能力・資質の向上を図ることを目的としています。 技術職員の皆さんは、これまでも学外の各種研究会やセミナー、研修会等に参加され、 知識や技術の習得・研鑽に努めるとともに、学内においても、毎年、職員自ら部局・専 門分野別にテーマを決めて研修会を開催し、他分野の職員にも参加を呼び掛け、知識や 技術の向上、情報の共有化を図ってきたところですが、今回の研究会は、佐賀大学の技 術職員の皆さんが、全学的取り組みとして組織的に計画・実行されたもので、極めて意 義深いことです。 本研究会を契機として、佐賀大学技術職員の皆様が、お互い切磋琢磨してスキルアッ プを図られるとともに、専門分野や所属部署を越えて相互理解を深められ、本学の教育・ 研究を一丸となって支援・推進して頂くことを期待申し上げる次第です。 2011年6月 佐賀大学理事・副学長 - 24 - 中 島 晃 平成22年度 佐賀大学技術研究会 発表プログラム 3月4日(金) 理工学部大学院棟3階301室 13:00~13:40 セッション 1(座長:武藤 文博) 1 「手術のビデオ撮影における現場の状況と注意点」 =人工股関節全置換術(佛淵先生執刀)の映像を参照= 医学部先端医学研究推進支援センター 情報メデイア活用支援室 立石 洋二郎 2 「重粒子放射線によって生じる特異的 DNA 損傷の定量」 総合分析実験センター 鍋島地区機器分析部門 徳山 由佳 13:50~14:45 セッション 2(座長:小野 隆久) 3 「伊万里事業場における業務内容」 海洋エネルギー研究センター 浦田 和也 4 「教職員用メールサービスの外注化」 総合情報基盤センター 松原 義継 5 「蔬菜・花卉部門における教育支援業務」 農学部附属資源循環フィールド科学教育研究センター 森 太郎 14:55~15:30 セッション 3(座長:松岡 宗治) 6 「機械工作実習Ⅱ 旋盤実習」 ― 技能検定課題・軸のねじ切りとリング加工 - 工学系研究科技術部 機械部門 宮部 義久 7 「小型精密旋盤のインバータ制御化への試み」 工学系研究科技術部 機械部門 大隈 善文 15:40~16:15 セッション 4(座長:吉田 浩) 8 「簡単な光通信実験回路の製作」 -小学生を対象とした地域貢献事業への参加- 工学系研究科技術部 電気部門 永渕 一成 9 「技術部における新技術開発プロジェクトの一提案」 工学系研究科技術部 電気部門 築地 浩 16:25~17:00 セッション 5(座長:山内 直利) 10 「人事評価における自己目標について」 工学系研究科技術部 環境・情報部門 佐々木 広光 11 「学生実験における実験操作改善の紹介」 工学系研究科技術部 環境・情報部門 鳥飼 紀雄 以上 - 25 - 機械工作実習Ⅱ旋盤実習 機械工作実習Ⅱ旋盤実習( 技能検定課題・軸のねじ切りとリング加工 旋盤実習(技能検定課題 検定課題・軸のねじ切りとリング加工) ・軸のねじ切りとリング加工) 佐賀大学 工学系研究科 技術部 宮部 義久(Yoshihisa Miyabe) 1. 機械工作実習Ⅱについて 機械工作実習Ⅰ(前期)では,「機械や工具に慣れること」を目的とし,基本的な作業内容を学習した.こ れに対し,機械工作実習Ⅱ(後期)は,選択的・集中的な実習を行い,特定の作業についてのスキルを身に つけることを目的とする.具体的には,8 つの項目が用意され,これらは長期(8 週または 7 週)と短期(4 週 または 3 週)にわけられる.学生は,これらのうち 3 項目(長期 1,短期 2 項目)を受講する. 本稿では,機械工作実習Ⅱにおける,旋盤実習について紹介する. 2. 旋盤実習 学生は,実習Ⅰ(前期)にて旋盤の基礎について学ぶ.具体的には,段付き軸の外丸削り・正面削り・テー パ削り・センタ穴あけ作業を行っている.実習Ⅱでは,技能検定普通旋盤 3 級の加工課題,および,段付き 軸およびリングに対しての,ねじ切・溝入れ・R 面・中ぐりの各作業を行う.前述のように,旋盤実習は長期 に区分され 7 または 8 週行われる.最初の 5 週は,技能検定普通旋盤 3 級の課題を行う,学生自身が,図面 を基に加工手順や条件を考え加工を行う.加工図面を図 1 に示す.残りの週で,前期に加工した段付軸を 元に,テーパ・ねじ切り・溝入れ・R 加工を行う. 3. 技能検定普通旋盤 技能検定は,技能修得意欲を増進させ,教育訓練の成果に対する社会一般の評価を高めることを目的 とし,厚生労働省が行っている.多くの職種(平成 22 年度は 41 職種)について行われており,旋盤はその うちの一つである.試験は,学科と実技があり,実習では実技についての指導を行う. 図 1 技能検定課題図面 4. まとめ 機械工作実習Ⅱにおける旋盤実習について紹介した.2 年次で実習を受講し,3 年次に技能検定普通旋盤 3 級を受ける学生がおり,本年度は 2 名受験し全員合格した.実習の内容・課題などを研鑽し,多くの学生が,機械加 工に興味を持ち,それが結果につながるような実習が提供できるようにしていきたいと考えている. - 26 - 小型精密旋盤のインバータ制御化への試み 佐賀大学工学系研究科技術部 機械部門 大隈 善文(Ohkuma Yoshifumi) 1. はじめに 知能機械システム学講座ではロボット、超音波、画像などを利用した研究が行われているが、研究 に使用されている実験装置部品加工に、㈱江黒鉄工所製 EL-3 形小型精密旋盤が重宝されている。こ の旋盤は大きさ縦、横 1.1m、主軸回転数は 2,700rpm から 400rpm で、小物精密部品の量産及び治工 具加工に適しているが、ねじ切り作業についてはこの高速回転が問題となり、学生の使用は機械の破 損、人体への危険性を伴うため、使用を制限していた。また、設置後 32 年を経過し老朽化と共に制 御盤機器の動作不良が目立つようになってきた。 今回、制御盤の修理と故障時の早急な対応を可能とするため、制御盤の取外し、分解を行い、使用 されているパーツの仕様を調べ、代替品の選定を行なった。 また、制御盤の取外しに伴い、主軸駆動モータのインバータ制御化を試み、主軸回転数、100rpm、 200rpm でのねじ切り加工実験を行い有効性を検討した。 2. 制御盤回路について 制御盤に使用されている、電磁開閉器、接触器の型式は通常ラベルに記載されている。これまでの 数回の設置場所の移動等により紙製ラベルが剥がれ紛失した状態であり、特定不可能であった。 今回はメーカーの回答を待たず、一から勉強を兼ねて分解組立てを行った。写真1、図1に使用さ れている制御盤の写真と全体の回路図を示す。 写真1 EL-3 形旋盤の制御部 図1 EL-3 形旋盤の制御部回路図 次に調べた回路図、メーカーマーク、形状より代替品の選定を行った。表 1 に代替品のリスト例を 示す。選定は富士電機(株)カタログにより行った。形状、配列に若干の違いがあるが代替可能である。 表1 電磁開閉器、接触器代替品の例 - 27 - 3. 旋盤によるねじ切りについて 普通旋盤によるねじ切り方法は、通常、ハーフナット落し法、主軸正逆転法、専用工具による方法 などがある。一般の教科書等ではハーフナット落し法での説明が多くなされているが、当大学実習工 場では主軸正逆転法での加工が主である。EL-3 形旋盤によるねじ切りは、送り停止レバーが小さい、 ねじ切りダイヤルが見づらいなどの点から、研究室でも主軸正逆転法を採用している。ただし、正逆 転を急激に行うと、機械へのダメージが多いため、正転と逆転の間に停止による慣性減速時間を入れ た運転を行っている。これらの使用方法により、機械に配慮した使用を心がけていため電磁開閉器、 電磁接触器接点、V ベルトなどへのダメージは一般の使用から比べると少ないと考えられる。 4. 制御盤のインバータ制御化 今回、修理のための制御盤取外しに伴い、インバータに置き換えての作業実験を行った。ただし、 この実験は予算に制限があるため、インバータ本体は現有の日立製 SJ100-037LFR を使用し、自己保 持回路、非常停止装置等の安全装置、回生制動ユニット等の保護回路を省いた。実験はねじ切り作業 に限定し、回生制動ユニットを省略しているため過激な正逆転運転の禁止し、元の状態に戻すことを 基本とした。 図2にインバータを用いた回路図、図3に配線に使用したケーブルなどを示す。配線は従来のケー ブルに一切加工を加えず、M4 ねじによる接続とジャンパー線1本、接続ケーブル、端子台の増設の みで行った。操作スイッチ、フットブレーキも使い慣れた本体のものを使用し、インバータの停止動 作と連動させ、安全性に配慮した配線を行った。 主軸回転数を 100rpm、200rpm、加速時間 10 秒(初期値のまま)、減速時間を 0.5 秒に設定し、今 回は主軸正逆転法によるねじ切り加工実験を行なった。正転と逆転の間に停止動作(減速時間 0.5 秒)が入ったことにより、慌てずに逆転操作を行わなくてすみ、熟練操作を必要とせず、良好な運転 操作性が得られた。 図2 インバータを用いた回路図 図3 配線に使用したケーブル類 5. まとめ 制御盤に使用されている電磁開閉器、電磁接触器について代替品の選定を行った。 今回、学生による操作実験は時期的な関係上実施できなかったが、従来の制御盤をインバータ装置 に変更することで、ねじ切作業が容易になり、十分に学生の使用が可能である。また、実用化には回 生制動ユニット等の保護回路、非常停止スイッチ、自己保持回路等の安全装置、高低速切換えスイッ チなどの増設が必要である。 - 28 - 簡単な光通信実験回路の製作 -小学生を対象とした地域貢献事業への参加- 佐賀大学工学系研究科 技術部電気部門 永渕 一成(Kazunari NAGAFUCHI) 1.はじめに 近年,佐賀大学の地域貢献事業など,一般の方に科学実験を体験してもらう機会が増えている. その中で,小・中学生を対象としたイベントでは,科学の複雑な原理を理解してもらうのは困難 であるため,直接見たり触ったりして体験できることが,科学への興味や関心を持ってもらうた めには重要である. ここでは,光を使った簡単な通信実験として,音声を光で相手方に飛ばす通信装置を製作した. この装置を佐賀大学が行う公開イベントで実演したので紹介する. 2.光通信実験装置の概要 光通信とは,信号を光に変調して送信し,その光を受信して信号を取り出す通信方法である. 信号の変調方式は数多くあるが,今回製作した装置は簡単な AM(振幅変調)を採用し,送信の 光源に,可視光で指向性のよい発光ダイオード(LED),受信に LED 光を効率よく電気信号に変 換するフォトトランジスタを使用した.ここでは製作した光通信実験装置の概要を述べる. 図1 光通信実験装置構成 図2 実際の光通信実験装置 装置の構成を図1,2に示す.信号の流れは,送信側で音声をマイクで電気信号に変え,それ を光の強弱に変換し,受信側で光の強弱を電気信号に変え,スピーカーで音声に変換している. 回路の動作は,送信側は音声をマイクで電気信号に換え,トランジスタの電流増幅回路を利用 して LED 光の強弱に変換する.受信側では LED 光の強弱からフォトトランジスタを介して電気 信号を取り出し,音声帯域の増幅回路を経て,スピーカーへと接続し音声を再生している. LED には可視光(赤)領域の波長(625nm)を用い,目で確認することができるようにした. 製作した送信機では,マイクに大きな声を入力すると,LED 光が変化するのがわかる. - 29 - 3.「来てみんしゃい!佐賀大学へ」での公開 佐賀大学では「来てみんしゃい!佐賀大学へ」として,市民参加型の公開授業などで大学の紹 介を行っている.今回は,工学系研究科が主体となり「光と遊ぼう -光の不思議体験-」と題し て 10 テーマの実験を実施した.技術部電気部門では本テーマのほか「立体映像の不思議」の2テ ーマを担当し,実演を行った. 今回は対象が小・中学生ということで,マイクとシロスコープで音声が電気信号へ(図3),マ イクと LED 発光回路で音声が光に変わる様子がわかる実験装置(図4)も用意し,音声が光に変 換される様子が見てわかるようにした. 図3 音声から電気信号へ 図4 音声から光へ 参加者は興味深く実験装置を手に取り,楽しく実験をしている様子であった.その様子を図5 示す(写真提供:佐賀大学広報室) .この実験を通して科学を身近に感じ,興味を持ってくれるこ とを期待したい. 図4「来てみんしゃい!佐賀大学へ」での実演 4.今後の課題 今回製作した光通信実験装置では光の伝送距離が数十㎝であったが,光ファイバーを使えば遠 距離での実験ができる.また電話機のように双方の声が伝送できれば,さらにおもしろい実験が できるのではないかと思われる.今後装置の改良を行いたい. 5.まとめ 今回は小・中学生を対象に実演を行ったが,楽しみながら学ばせることの難しさを実感した. 今後は,さらに工夫をして科学のおもしろさを伝える実験装置を充実させたい. 最後に,回路製作および技術指導等様々なご指導を戴いた電気部門の方々に謝意を表する. - 30 - 技術部における新技術開発プロジェクトの一提案 工学系研究科技術部電気部門 築 地 浩 (Hiroshi TSUKIJI) 1.はじめに 配属先研究室の研究テーマのひとつにホログラムを用いた光情報処理がある[1].現在,当研究室独 自の方法で物体認識するシステムの開発に携わっている.この方法はマッチドフィルタリングという 従来の 2 次元パターン認識における一手法[2]を 3 次元空間に応用したのものであるが,観点を変えれ ば物体の位置決めにも利用できる.例えば,機械加工時において工作物に定位置からの変位(ズレ)が 発生した場合,熟練者でない限りその高精度な修正は容易ではないが,本手法を用いれば比較的簡単 に高精度で,しかも自動的に本来の位置へ復帰させうる可能性をもつ.そこで本稿では,マッチドフ ィルタリングを用いた自動位置決めシステムの開発を技術部におけるプロジェクトの一つとして提案 すべく,その基本的原理ならびに手法や開発内容,さらにその課題について報告する. 2.位置決めマッチドフィルタリングの原理 立体写真として知られるホログラムをフィルタとして文字などのパターン(2 次元)を識別もしくは PC などに認識させる(以下,識別とする)方法を光学的マッチドフィルタリング[3]という.一般にホロ グラム作製には無限遠での回折光を扱うフーリエ変換が用いられるが,ホログラムを有限距離での回 折光を扱うフレネル変換により作製すれば,図1に示すような物体(3 次元)識別への応用も可能となる [4].以下にその原理を簡潔に述べる. ラインレーザ Web カメラ 図 1.物体認識の一例 図 2.DLS による基本的手動スキャン ホログラムは被写体からの物体光と参照光の干渉縞を記録したもの[5]であるが,これに参照光を入 射すれば透過光中に物体が再生され,また同一の物体光を入射することで透過光中に参照光が得られ る.一方,異なる物体光を入射しても参照光は得られない.参照光は平面波と呼ばれる広がりのない 光(地上での太陽光など)であるためレンズにより集光すれば 1 点に収束できる.これを相関スポッ トと呼び,その検出により物体の識別が可能となる.例えば様々な物体のホログラムを多数データベ ース化して設けておき,ある物体(データベースに含まれるもの)光をそのデータベースへ入射すれば, 入射光と同じ情報をもつホログラムのみが相関スポットを出現させ得るので,物体を特定できる. 以上がホログラムを用いた物体識別法の原理である.しかしホログラムに物体光を入射する際,も しホログラムを作製したときの位置との間にズレがある場合には,同一物体であっても相関スポット はズレに応じて強度が減衰し,ズレが大きいときは出現しない.これは物体識別手法の観点からはデ ィメリットであるが,逆に同じ物体であるということを前提にすれば,相関スポットの最高強度を探 索し検出することで物体のズレを修正するなどのいわゆる位置決めに応用できる.これら一連の光学 的作用はすでに数式化[1][4][6]できており,PC などの計算機を用いて仮想空間で演算できる. - 31 - 3.開発内容 以上の概念に基づき,位置決めシステムの処理手順に沿って開発内容の概要を以下に示す. (1)物体の形状情報の取得 本システムで用いるホログラムは,簡便さと融通性の面から基本的に計算機にて作製する.計算機 により生成されるホログラムを一般に計算機ホログラムと呼ぶ(以下,ホログラムと称す)が,そのた め物体の形状の 3 次元情報を取得する必要がある.この手法には様々な研究がされている[7]が,既に 3D スキャナとして商品化されて利便性が高い非接触型スキャンを用いる.一般の非接触型レーザス キャナは高価なため,開発初期段階では安価な DAVID-LASER-SCANNER(以下,DLS と称す)[8] が適当であろう.DLS はスキャンに必要な較正用パネルのパーツと計測ソフトが無償で入手でき,形 状走査のための簡易ラインレーザと Web カメラがあれば,手軽に物体の形状情報を PC 内に取得でき る.なお,物体は位置調整が微小に行えることを考慮し XYZ 方向への精密 3 軸ステージに固定して おく.また,開発初期においては回転による変位は考慮せず,平行移動による変位のみを対象とする. (2)レーザ走査の自動化 DLS による走査は,図 2 に示すようにラインレーザ光を物体に対して水平に当て,レーザ本体をピ ッチ回転させ物体の上下方向へ移動させることで行う.精度よくスキャンするにはこのようなレーザ 走査を自動化し, 毎回の走査速度や走査開始点あるいは終了点を一定にしなければならない. 従って, 走査駆動部にはステッピングモータなどを用いた回転量や回転速度の PC 制御システムの開発が必要 となる. 図 3.物体の形状情報の一例(円錐) 図 4.計算機ホログラムの作製の概念 (3)ホログラム作製 スキャンにより取得した物体(一例として円錐)の形状情報は図 3 に示すような 3 次元座標における 点群である.これらを点光源としてホログラムを作製する.その際,光学式乾板と同様にホログラム に対する物体光と参照光の強度や入射角度,距離などの適当な値が必要となる.図 4 にその概念を示 す.また,ホログラムの画像解像度や処理速度に応じて,適度に点光源群の密度調節も必要となる. ホログラムの最良な仕上がりにはそれらを試行錯誤的に繰り返し行うことが必要な場合もある. (4)マッチドフィルタリングの実行 上述の原理にもとづき,ホログラムへの物体光の入射(以下,入力と称す),透過光中の参照光のレ ンズによる収束効果などをもたらすフーリエ変換(以下,出力と称す)をすべて計算機により行う.こ の手法は当研究室にてある程度確立している[1][4]が,処理速度向上のため計算プログラムの改善など を行う必要はある.また入力データには,位置決めを必要とする物体から形状情報を(1)の手法で改 めて取得後,点群の適度な密度調整を行ったうえでフレネル変換を施したものを用いる. - 32 - (5)相関スポットの強度分布検出 上記の処理による出力データ(図 5 参照)より相関スポットの強度検出を計算機上で行う.本手法の 特長として,スポットの出現位置は参照光の入射角度であらかじめ指定が可能である.出現位置は計 算でも求められるが,あらかじめホログラムを作製する際に用いた形状情報をマッチドフィルタリン グにそのまま入力することで,その出力結果により特定できる.従って,出力データ全域に渡り検出 作業を行う必要はなく,指定出現位置とその近傍(画像全域の約 16 分の1以下)でよい.よって,この 領域における強度解析のアプリケーションソフト開発が必要となる. 相関スポット 相関スポット 検出領域 (a)マッチドフィルタリング出力画像表示 (b)マッチドフィルタリング出力 3 次元表示 図 5.マッチドフィルタリングの出力における相関スポットの一例 (6)位置調整量の決定 図 6 に示すようにスポット近傍の強度分布を把握することでスポット強度が指定出現位置で最大と なるように(4)(5)を繰り返し入力データの位置調整を行う.図 7 に示すような入力データにおける移動 量とスポットの関係を用いて,基本的に縦横(XY)方向を先に行い,最後に奥行方向(Z)の調整を行う. 以上より最終的に 3 方向の調整量が決定される. 図 6.スポット強度分布(変位なし) 図 7.X 方向の変位量とスポット強度変化 (7)調整量の実空間への変換と調整実行 以上の過程は仮想空間で行うため,(6)での調整量を実空間での値に変換し,実際の物体の位置調整 を 3 軸ステージにて行う.自動的に位置調整を行うのであれば,(2)を応用することで対応できよう. なお,実空間での調整量の分解能は,仮想空間における物体を構成する点光源密度とホログラムの大 きさや精度に依存する. - 33 - 4.開発プロジェクト実施における課題と展望 (1)予算面 ・技術部における開発ゆえ,実用規模(対象物の大きさが数十 cm 程度)の仕様を目標としたいが,当面 は基礎開発として数 cm の単純な物体(立方体や球など)を対象とする. ・小規模であれば,プロジェクト遂行に対応可能な機器類は当配属先研究室にある程度既存しており 配属先研究室の了解を得た上で使用も可能である. ・アプリケーションソフト開発・改良は技術部あるいは配属先研究室に既存の PC でも可能ではあるが, 演算処理の高速化を図るため PC 自体のハイスペック化が必要な場合もある. ・自動化を行うためのモータやその周辺機器の購入あるいは設計製作, およびソフト開発が必要となる. (2)時間面 ・プロジェクトの実施時間に関してはミーティングなども含めて,参加者ができる限り勤務時間に行 えるよう教員や事務側の了解を得る必要がある. もし,このような開発プロジェクトを技術部の目標項目の一つとして挙げることができれば,正式 な職務として扱われることにより,上述の予算,時間の課題を大まかに解決できると考える. おわりに 今回,新技術開発プロジェクト案の一例として述べた自動位置きめシステムは新規性をもつ反面, システムの能力自体にも課題は多い.ゆえに開発過程をひとつひとつ克服していくには難しいところ は多々ある.しかし技術部において何らかの技術開発などに関連するようなプロジェクトを立案・実 行し,一定の成果を得ることができれば,地場産業への波及効果や地域貢献なども含め外部へのアピ ール効果も期待でき,技術部全体の評価をさらに高めることに貢献できると予想する.技術職員の職 務には受動的なものばかりでなく,能動的な面もありたいものだと願う. 参考文献 [1]築地浩, 徳島尚生, 野口義夫,”計算機ホログラムと液晶空間光変調器を用いたフレキシブル光相関検出システ ム,”電子情報通信学会論文誌 C, vol.J90, no.2, pp.116-124,2007 [2]稲葉利江子,相澤清晴,小館香椎子,”個人顔認証のデータベースにおけるメタベースの提案,”電子情報通信学会 論文誌, vol.J86, no.7, pp.1005-1014, 2003 [3]F.T.S. Yu and X.J. Lu,”A real-time programmable joint transform correlator,”Optics Communications.,vol.52, pp.10-16, Nov. 1984 [4]田中麻美, 堂園浩, 築地浩,”3D スキャンによる物体認識の基礎実験,”FIT2010, H-044 [5]Francis T.S.Yu 他 著,”光情報処理の基礎と応用,”森北出版,1998 [6]例えば,飯塚啓吾 著,”光工学,”共立出版,1983 [7]例えば, 大西昇, 杉江昇, YANG J,”2 枚の画像を用いたフォトメトリック・ステレオ,”情報処理学会論文誌, Vol.34, no.10, pp.2143-2152,1993 [8] Simon Winkelbach, Sven Molkenstruck, and Friedrich M. Wahl,”Low-Cost Laser Range Scanner and Fast Surface Registration Approach,”DAGM 2006, LNCS 4174, pp. 718–728, 2006, Springer Berlin Heidelberg 2006 - 34 - 人事評価における自己目標について 工学系研究科 技術部 環境・情報部門 佐々木 広光(Hiromitsu SASAKI) 1. はじめに 本学では人事評価が 6 か月ごとに行われている。目標達成度評価は年 2 回、職務遂行能力評価は年 1 回実施されており、人事評価実施要領では、「目標達成度評価は原則二つの自己目標を設定し、各 自己目標ごとに 4 段階の難易度を付け、また、二つの自己目標全体で 100%となるように、各自己目 標にウエイトを付す。 」と記載されている。今回は、今期自己目標について発表を行う。 2. 自己目標について 現在、都市工学科に所属し、通常行っている業務は主に学科支援業務、研究支援業務、教育支援業 務である。自己目標は学科支援業務と研究支援業務から1つずつ立てた。以下、この説明を行う。 1) 都市工学科在学生の成績分析 昨年の後援会総会時に行われた学科保護者懇談会・個人面談の報告を学科・専攻会議で行った。 その際に個人面談を担当された教員から、「保護者は自分の子どもの成績がどれくらいのレベルで あるのかを知りたがっているので、成績の分布が分かるようなものがあれば説明しやすい。」とい う意見があった。 個人面談資料として準備していた学生成績表の GPA を使用しグラフ作成を行い、 教員から意見を参考に再度分析を行った。最終的に分析結果は 22 ページの冊子になり、数人の教 員に配布した。分析は入試区分別分析、学期毎成績推移やコース別成績分析などを学科全体と入学 年別で行った。 2) 10 月に研究室配属された 3 年生へのゼミ 以前から研究室配属された学生(4 年生)に対し、プログラミングや情報処理試験に関するゼミな どを行ってきた。3 年生にとっては就職活動に取りかかる時期となり、今回新しく、就職活動に役 に立つゼミを行うことにした。ゼミの内容は、 ①学生自身が興味があったニュース・記事など5分間を目標に発表を行い、質問に答える。 ②私が準備した新聞記事やインターネット上の記事などを読み、議論を行う。 このゼミにより、コミュニケーション力の向上、一般常識の習得や就職活動に関する現状の理解な どの効果を期待している。 3. まとめ 今回の自己目標 2 つは継続的に行うことが重要と考える。成績分析においては、学期ごとに新しい データを追加し分析を行い、また、データ項目を増やすことで何らかの相関関係が見つけることが出 来るのではないかと思われる。ゼミに関しては、学生が 4 年生になるので現在より時間を長く取り、 多様な記事を用い議論を行っていく予定である。学生が様々な事に興味が持てるようになり、また、 物事をいろんな角度から見ることができ、正しい判断力が身につくようなゼミにしていきたいと考え ている。 - 35 - 学生実験における実験操作改善の紹介 工学系研究科技術部 環境・情報部門 鳥飼 紀雄(Toshio TORIKAI) 1 はじめに 機能物質化学実験Ⅱの「半水セッコウの水和硬化と多孔性」を担当しているが、提出された実験レポー トに関して口頭試問を行なうと実験内容をほとんど理解できていないことが多い。また、現在の実験器具 についても改良すべき点がある。 以上のことより、実験器具の改良ならびに教材や資料による学生の理解度向上支援などの改善について 紹介する。 2 実験の概要 半水セッコウ(CaSO4・1/2H2O)と水を所定比で混合し撹拌後、塩化ビニール管(以後、塩ビ管)に流 し込む。一定時間毎に金属棒を塩ビ管中の懸濁液に落下させ、侵入深さを測定する。侵入しなくなる時間 を硬化時間とする。また、温度も測定し、混合比および硬化時間との関係を調べる。 3 実験における問題点 1)実験器具について アクリル板と塩ビ管の密着性が悪く、液漏れ防止とセッコウ硬化体取り出しを容易にするために真空グ リースを使用している。しかし、液漏れの完全防止はできず、さらに実験終了後、器具や実験台からのグ リース除去が非常に困難である。 2)実験内容の理解について 半水セッコウの水和硬化メカニズムや硬化時間と混合比の関係が理解できず、モデル図が描けない。 4 改良および改善 1)実験器具改良と塗布剤変更 ①流し込み用塩ビ管の形状精度を高め、底板との密着性を向上した。 ②底板に塩ビ管をはめ込む浅いくぼみを作り、底部からの液漏れ防止性を向上した。 ③真空グリースの代わりに水溶性であるカリ石鹸を用いることにより、型離れ性と液漏れ防止性を保ち つつ、終了後の塗布剤の完全除去を可能にした。 2)実験内容の理解度向上支援 ①ガラスビーズを水分子、アルミナビーズを半水セッコウ、針金を二水セッコウの針状結晶に見立て、 水和硬化メカニズムを説明した。 ②結晶形状が強度発現に重要な役割をはたすことをガラスビーズと爪楊枝を用いて説明した。 ③セッコウ硬化体の SEM 写真を実験テキストに追加し、微細構造を示した。 ④原料(CaSO4・1/2H2O)と反応生成物(CaSO4・ 2H2O)の密度データを示し、理論空隙率算出の考 え方を示した。 ⑤金属棒侵入深さ及び温度の時間変化を図示する 場合、混合開始あるいは流し込み開始のどちらを始 点にするかで結果考察の仕方が変わることを説明し た。 5 最後に 今後、実験レポートの口頭試問結果を通し、改善 の有効性検証をおこなう。 図 半水セッコウ懸濁液流し込み型枞一式 - 36 - 機械工作実習 機械工作実習Ⅱ 旋盤加工 技能検定課題 軸のねじ切りとリング加工 技能検定課題・軸のねじ切りとリング加工 科目名 目的 履修時期 機械工作 実習Ⅰ 機械や工具に慣れ,基本的な作 業内容を学習する 前期 機械工作 実習Ⅱ 選択的・集中的な学習を行い, 特定の作業についてのスキル を身につける 後期 技術部機械部門 宮部 義久 1 機械工作実習Ⅱ 旋盤について 項目名 内容 旋盤実習 旋盤検定3級の課題およびねじ切りと リング加工を行う 区分 溶接実習 平鉄とアングルの溶接を行う NC実習 CAD/CAMにおけるプログラムを学ぶ 手仕上げ実習 立横フライス ゲ ジ製作とキサゲ作業を行う ゲージ製作とキサゲ作業を行う フライスの操作方法を体得する シーケンス制御 リレー回路の基礎を学び,電気回路の 取り扱いを学ぶ マイクロマウス メカトロニクス技術の基礎を学ぶ 精密測定 長期 (7または8週) 短期 (3または4週) 種々な測定器の基礎と原理を学ぶ ※ 学生は長期1,短期2の合計3項目を受講する 2 3 旋盤実習の概要 旋盤について2 週 内容 1 Z 回転方向 2 技能検定普通旋盤3級 3 与えられた図面を基に,加工方法・条件 を学生自身で考え 加工を行う を学生自身で考え,加工を行う. 4 5 6 7 X 8 4 軸のねじ切りとリング加工 実習Ⅰにて加工したパーツに 追加加工を行う. 5 - 37 - 技能検定普通旋盤3級 技能検定普通旋盤3級 図面 技能検定とは 技能を一定の基準により検定し,国として証明する国家 検定制度 φ55 φ31 φ40 Ra 1.6 φ30±0.1 -0.05 -0.10 Φ40 φ55±0.05 φ45 φ40 Ra 25 +0.1 0 技能検定の目的 技能修得意欲を増進さ 教育訓練 成果 対する社 技能修得意欲を増進させ,教育訓練の成果に対する社 会一般の評価を高める 試験内容 学科と実技があり,実習では実技についての指導を行う 6 7 技能検定普通旋盤3級 部品A 加工前 技能検定普通旋盤3級 部品B 加工後 加工前 加工後 8 9 軸のねじ切り・テーパ加工・溝きり 図面 10 φ25 φ330 φ226 0 -0.05 技能検定普通旋盤3級 部品A・B 11 - 38 - リング加工 図面 軸のねじ切りとリング加工 加工後 φ50 加工前 C1 12 13 まとめ 興味がもてる楽しい実習 14 - 39 - 目次 1. インバータ制御化への背景 小型精密旋盤のインバータ制御化への試み 2. 制御盤回路について 3. ねじ切作業について 佐賀大学 大学院 工学系研究科 技術部 機械部門 4. 制御盤回路のインバータ制御化について 大隈 善文 5. 終わりに 2 1 ㈱江黒鉄工所製 EL-3形小型精密旋盤(昭和53年設置) EL-3形旋盤制御盤 3 4 1. インバータ制御化への背景 2.制御盤回路について ○ 制御盤の老朽化による誤作動の発生など (代替品の選定) 1.使用されてる電気機器についてメーカー、型式、配線について 調べる。 ・電磁開閉器、電磁接触器接点の不良 ・接点部への異物の混入(切子) •設置後32年経過のため、紙製ラベルのはがれ。 •旧製品カタログの処分 旧製品カタログの処分 •メーカーからの未回答 •勉強のため ・接続端子ねじの緩み ○ 学生自身によるねじ切り作業の実施 (故障時の早急な対応、インバータ化) (低速度での使用) 2.回路図の作成 ・主軸回転数 最低 400rpm 3.代替品の選定 ・ねじ切ダイヤル、送り解除レバー操作難 5 6 - 40 - モータ正転・逆転回路 EL-3形旋盤制御盤(モータ正転・逆転回路) 6 6 電磁開閉器 電磁接触器 1 3 5 15 13 1 3 5 15 13 2 4 6 16 14 2 4 6 16 14 10 2’ 4’ 10 6’ 21 10 22 端子台2 端子台1 E 7 R S T R1 S1 T1 U1 V1 W1 U2 V2 W2 1 2 電源 200V EL-3形旋盤制御盤(送り用モータ保護回路) 3 4 正 逆 5 6 8 安全 送り用モータ保護回路 栓形ヒューズ 定格電圧 AC600V 定格電流 3A 規格 BLA003 E R S T 電源 200V R1 S1 T1 U1 V1 W1 U2 V2 W2 送りモータへ 主軸低速へ 1 2 3 4 5 6 主軸高速へ 1,2: 単相200V 3: 正転信号 4: 逆転信号 5: 安全装置 (リミットスイッチ) 6: 高速、低速信号 E: フレームアース 9 10 主軸高速、低速切替回路 EL-3形旋盤制御盤(主軸高速、低速切替回路) 電磁開閉器 電磁接触器 2’ 4’ 6’ 1-2: A接点 15-16: B接点 端子番号表 15 1 2 16 b E R S 電源 200V T R1 S1 T1 U1 V1 W1 U2 V2 W2 送りモータへ 主軸低速へ a 19 23 27 3 5 13 4 6 14 20 24 28 1 2 3 4 5 6 主軸高速へ 1,2: 単相200V 3: 正転信号 4: 逆転信号 5: 安全装置 (リミットスイッチ) 6: 高速、低速信号 E: フレームアース 11 12 - 41 - ベット、刃物台送り用安全装置 EL-3形旋盤制御盤(操作部回路図) 主軸停止用スイッチ 4 3 4 2 1 2 高 OFF 低 3 1 逆 低 正 ON 操作部回路図(表面) パイロットランプ E R 安全装置ON,OFF S 電源 200V T R1 S1 T1 U1 V1 W1 U2 V2 W2 送りモータへ 主軸低速へ 操作部回路図 操作部回路図(内部) 高速、低速 逆転、停止、正転 1 2 3 4 5 6 主軸高速へ 1,2: 単相200V 3: 正転信号 4: 逆転信号 5: 安全装置 (リミットスイッチ) 6: 高速、低速信号 E: フレームアース 14 13 逆 止 正 200V R S T EL-3形旋盤 全体配線図 ○代替品の選定例(1) Fuse 3A EF3A 旧 送り用モータ 4P/100W R1 S1 T1 EF3A 低速 THR 主軸モータ 2P/6P 0.75KW/0.25KW U1 MS1 MS3 V1 W1 新 電磁開閉器(正逆切換え) Fuji 富士電機機器制御株式会社 定格容量4kW、主接点3a、補助接点2a ヒートエレメント定格8A以下 SW-5-1(SC-5-1 +TR-5-1) 詳しい型式はカタログ参照 電磁接触器 (正逆切換え) Fuji 富士電機機器制御株式会社 定格容量4kW、主接点3a、補助接点2a SC-5-1 詳しい型式はカタログ参照 電磁接触器 (高低速切換え) 富士電機機器制御株式会社 定格容量4kW、主接点3a3b SH-4(補助継電器) 詳しい型式はカタログ参照 U2 MS2 V2 W2 THR OFF MS1 正逆切替スイッチ ブレーキ 縦 主軸自動停止スイッチ ON 高速 MS2 横 MS3 高速低速切替スイッチ 15 16 ○代替品の選定例(2) 旧 3. ねじ切作業について 新 電磁開閉器(正逆切換え) Fuji 富士電機機器制御株式会社 定格容量4kW、主接点3a、補助接点2a ヒートエレメント定格8A以下 SW-5-1(SC-5-1 +TR-5-1) 詳しい型式はカタログ参照 電磁接触器 (正逆切換え) Fuji 富士電機機器制御株式会社 定格容量4kW、主接点3a、補助接点2a SC-5-1 詳しい型式はカタログ参照 電磁接触器 (高低速切換え) 富士電機機器制御株式会社 定格容量4kW、主接点3a3b SH-4(補助継電器) 詳しい型式はカタログ参照 ハーフナット落とし法 問題点 主軸回転数が400rpm(最低)なので、ハーフナットが 落としにくい。 送り停止レバーが小さいため、解除しにくい。 ねじ切ダイヤルが見づらい。 主軸正逆転法 問題点 主軸回転数が400rpm(最低)なので、正逆転の 操作が難しい。 その他 17 18 - 42 - ㈱江黒鉄工所製 EL-3形旋盤 ㈱江黒鉄工所製 EL-3形旋盤 ねじ切りバイト 左右送り停止レバー ハーフナット操作ハンドル ねじ切用ダイヤル 左右送り停止レバー ハーフナット操作ハンドル 正逆転スイッチ 横送りハンドル 縦送りハンドル 19 20 ベット、刃物台送り用安全装置 4.制御盤回路のインバータ制御化について ジャンパー線 主軸停止用スイッチ インバータ化への回路の検討 条件: パーツ、配線への追加工、切断等を行わない。 現有の部品を使用し、新たに部品を購入しない。 3 4 2 1 2 高 OFF パイロットランプ E R S T 低 3 1 逆 低 正 ON 安全装置ON,OFF 電源 200V 日立インバータ(SJ100-037LFR) 4 高速、低速 R1 S1 T1 U1 V1 W1 U2 V2 W2 送りモータへ 主軸低速へ 正転、停止 逆転、 1 2 配線用ケーブル、ジャンパー線及び端子台 4 5 6 インバータ使用時の操作部回路変更図 1,2: 単相200V 3: 正転信号 4: 逆転信号 5: 安全装置 (リミットスイッチ) 6: 高速、低速信号 E: フレームアース 21 22 電源 200V R S T 日立インバータ 3 主軸高速へ 日立インバータ(SJ100-037LFR) 主回路端子図 注意 今回、回生制動ユニット 未接続のため、激しいON、 OFF、正転、逆転運転は 行わないこととする。 E R S 電源 200V T R1 S1 T1 U1 V1 W1 U2 V2 W2 送りモータへ 主軸低速へ 1 2 3 4 5 6 主軸高速へ インバータ使用時の回路図 1,2: 単相200V 3: 正転信号 4: 逆転信号 5: 安全装置 (リミットスイッチ) 6: 高速、低速信号 E: フレームアース 23 24 - 43 - 日立インバータ(SJ100-037LFR) 制御回路端子図 日立インバータ(SJ100-037LFR) モニタコード・基本設定モード表 設定 F03のみ 0.5秒に設定した。 (F02: 10.0s) 25 26 実際の接続状態 ねじ切作業風景(今回は正逆転法による比較を行った。) 低速モータ側 インバータ部 インバータ未使用 主軸回転数:400rpm ねじピッチ: 0.8mm 材質: 真鍮 操作信号入力部 27 ねじ切作業風景(今回は正逆転法による比較を行った。) インバータ使用 主軸回転数:100rpm ねじピッチ: 0.8mm 材質: 真鍮 インバータ使用 主軸回転数:200rpm ねじピッチ: 0.8mm 材質: 真鍮 28 ねじ切作業風景(今回は正逆転法による比較を行った。) インバータ使用 主軸回転数:100rpm ねじピッチ: 0.8mm 材質: 真鍮 インバータ未使用 主軸回転数:400rpm ねじピッチ: 0.8mm 材質: 真鍮 29 30 - 44 - ねじ切作業風景(今回は正逆転法による比較を行った。) 5. 終わりに ・制御盤に使用されている電磁開閉器、接触器について代替品の 選定を行った。 ・従来の制御盤をインバータ装置に変更すると、ねじ切作業が安易 になり、学生の使用が可能である。 ・今回は新たにパーツの購入を行わず、簡易的に実験を行ったため、 回生電流などを無視しました。実際のねじ切作業時は頻繁に正逆転 操作を行うため回生制動ユニット、非常停止ボタン等の増設が必要 である。 インバータ使用 主軸回転数:200rpm ねじピッチ: 0.8mm 材質: 真鍮 ・今後は、予算があれば自動送り部分を含めた、インバータを使用 したシステムを構築したい。 32 31 - 45 - はじめに 発表番号 8 地域貢献事業や公開授業など,一般の方に科学 実験を体験してもらう機会が増えている 簡単な光通信実験回路の製作 小・中学生対象のイベントでは,原理や動作を理解 してもらうのは困難であり 実際に体験できることが してもらうのは困難であり,実際に体験できることが, 科学への興味や関心を持ってもらうためには重要 -小学生を対象とした地域貢献事業への参加- 佐賀大学 工学系研究科 技術部 電気部門 永渕 一成 音声を光で相手方に送信する簡単な通信装置を 製作し,この装置を佐賀大学が行う公開イベント で実演したので紹介する 製作した光通信実験回路 光通信とは • 構造が簡単であり,光通信が眼で確認できること 信号源 発光素子 受光素子 変調方式 •デジタルまたはアナログの電気信号を光の強弱 に変換して通信する方式 •変調方式,発光素子,受光素子,光ファイバーな ど その技術や分野は多様である ど,その技術や分野は多様である :アナログ信号(マイクなど) :発光ダイオード(LED) :フォトトランジスタ :AM(振幅変調) •最近では光ファイバー通信でのインターネット回 線,電話回線,ケーブルTVの利用が可能である 3 光通信実験回路における信号の流れ 電気 市民参加型の公開授業などで佐賀大学を紹介 「光と遊ぼう -光の不思議体験-」で10テーマを実施 技術部電気部門では,「光で会話しよう!」(本テーマ) のほか「立体映像の不思議」の2テーマを担当した スピーカー マイク 音 「来てみんしゃい!佐賀大学へ」での公開 電流 増幅 送信側回路 送受信 分離型 光 光 電気 電流 増幅 音 受信側回路 送受信 一体型 - 46 - 「光で会話しよう!」で使用した回路の紹介 マイクとシロスコープで 音声が電気信号 音声が電気信号へ マイクとLED発光回路で 音声が光に 来てみんしゃいでの様子 光ファイバー マイク 音 電気 電流 増幅 光 光ファイバー 光 受信側回路 送信側回路 音声が光に変換される一連 の流れがわかるようにした 光ファイバーが伝送路に なることを確かめさせた 7 8 光通信回路の今後の課題 まとめ 今回製作した光通信実験装置では光の伝送距 離が数十㎝であったが,光ファイバーを使えば遠 距離での実験ができる 今回は小・中学生を対象に実演を行ったが,楽 しみながら学ばせることの難しさを実感した 今後は,さらに工夫をして科学のおもしろさを伝 える実験装置を充実させたい また電話機 また電話機のように双方の声が伝送できれば, う 方 声が伝送 きれば さらにおもしろい実験ができるのではないかと思 われる.今後装置の改良を行いたい 最後に,回路製作および技術指導などのご指 導を戴いた電気部門の方々に謝意を表する 参考文献 山下真司,“光ファイバ通信のしくみがわかる本”,技術評論社,2002年 佐賀大学理工学部電気電子実験委員会,“実験Cテキスト”,2010年 東芝,TPS601Aデータシート - 47 - 基礎研究から実用化へ向けた開発プロジェクト 技術部における新技術開発プロジェクトの一提案 工学系研究科技術部 電気部門 マッチドフィルタリング • 技術開発の基礎 : 大学などの研究機関 大学における技術部 光情報処理 ホログラムの応用 築地 浩 入力 研究開発の支援 2つの情報の相関性を出力 参照データ 基礎研究成果 フーリエ変換ホログラム リエ変換ホログラム 従来: フ パタ ン識別(2次元) パターン識別(2次元) 応用例:文字判別、個人認証など 基礎研究から実用化へ近づける技術開発 新規: フレネル変換ホログラム 物体識別(3次元) 発表 : 開発プロジェクトの一案についての内容とその課題 研究室で基礎実験 ズレなどを修正する物体の位置決めシステムへ応用 ホログラムによる3次元物体識別とは ホログラムの原理と特徴 物体の形状をホログラムとして記憶 ライオン です 3Dスキャナな どで入力 回折光 参照光 感光媒体 物体光 ホログラム 参照光 (平行光) 観測者 入力情報 (3次元) 記憶と照合 マッチトフィル タリング PCなどの情報処理機 干渉縞 物体光 参照光が再生 物体光のみ入力 ホログラム (a) 情報の記録 識別法:マッチトフィルタリングの流れ 記憶の一部となる計算機合成ホログラムの作り方 フィルタ(ホログラム) フレネルホログラム 作成時の参照光:R、フィルタに用いたモデルの物体光:O1 理論的な計算に置き換え可能 干渉縞の強度分布: |R+O1|2 レーザー光 レーザー光 レ ザ 光 参照光 レンズ ミラー R レンズ |O1+R|2 干渉縞の強度分布を 画像化 出力光 2 ⇒|R+O1| ・O2 物体光がホログラムに回折 O1 物体光 レンズ 入力モデルの 物体光 O2 入力モデル 計算機合成ホログラム (CGH : Computer Generated Hologram) ハーフミラー (b)情報の再生 | R O1 | 2 O2 (| R | 2 | O1 | 2 ) O2 R O1 O2 R O1 O2 干渉縞の形を記録 した乾板 (ホログラム) 振幅と位相情報を 持っている ↓ 複素数で表す - 48 - 物体光O2の透過光 重畳像 フィルタ用モデル 入力モデル O1 O2 | O1 | 2 R 参照光 (平行光) 識別法:マッチトフィルタリングの流れ 実際の物体形状の情報を仮想空間へ 全て計算機で処理! フィルタ=ホログラム 出力光 ⇒|R+O1|2・O2 物体 f 焦点距離f レンズ 物体光がホログラムに回折 スポットとなって出力 相関スポット レンズ 入力モデルの 物体光 O2 ラインレーザ スクリーン 干渉縞の強度分布:|R+O1|2 ー光 校正用パネル 物体の形状を 点光源の集まりとして扱う 作成時の参照光:R、フィルタに用いたモデルの物体光:O1 カメラ 座標校正用 パネル DAVID LASER SCANNER F2 [| R O1 | O 2 ] ( F 2 [] :2次元のフーリエ変換) F2 [| R O1 | 2 O2 ] F2 [(| R | 2 | O1 | 2 ) O2 R O1 O2 R O1 O2 ] フィルタ用モデル O1 ラインレーザ (He-Ne) スキャンする 物体 電動雲台 F2 [| O1 | 2 R] O2 入力モデル カメラ 形状情報の扱い方と処理の流れ スキャンの様子 •点光源数:937個 Z[mm] 物体の奥行き(Z方向) 座標較正用 パネル カメラ レーザー スキャンする 物体 Y[mm] X[mm] 実験器具を上から見た図 フレネル変換 出力 PC制御が必要 Y スピード コントローラ 入力 Y X X 0 Z 実験器具を横から見た図 フーリエ変換 0 CGH面 回折面 10 相関スポット マッチドフィルタリングの出力(同一物体を入力) 入力のズレに伴うスポットの変化 平行移動(X軸・Z軸) Z 0 相関スポットおよび近傍の断面 - 49 - Y X X 出力結果 位置修正 平行移動(X軸・Z軸) 平行移動(X軸) 平行移動(Z軸) 移動しながら低下 移動に応じてぼける 変位量を計算 Z ズレがない (基準となるモデル) 最低値を合わせる (ズレ:モデル幅2%分) ピーク位置を合わせる 相関スポットの断面 実空間へ転送 物体位置修正 0 X 相関スポットの断面 (ズレ:モデル高100%分) 課題とまとめ • 予算面 ・物品調達:小規模化で既存機器類をできる限り使用 ・ソフト・ハード両面での開発・改良が必要 ・PCの高性能化や部品の設計製作 ども!! • 実施場所 ・プロジェクトの内容次第、本プロジェクトなら当研究室を使用可 • 時間面 ・勤務時間内で遂行できるか? 事務・教員側の理解 *技術部の目標項目の一つになれば、解決できるか? - 50 - 目標達成度評価 人事評価 目標達成度評価 職務遂行能力評価 年2回 年1回 実施 別紙様式第1 評 評価期間 人事評価面談日 平成22年度 佐賀大学技術研究会 佐々木 年 月 年 月 日 ~ 平成 年 月 日 価 記 評価対象者 日 録 書 所属: 個人番号: 職名: 氏名: 年齢: 職務の級: ㊞ ※年齢,職務の級は年度始め現在で記入する。 目標達成度評価 番号 人事評価における自己目標について 標 環境・情報部門 平成 平成 自己目標 (A) (B) 難易度 ウエイト 広光 自己評価所見 自己評価 (D) 一次 二次 難易度調整 調整決定 評価者 評価者 A×B C+D 一次評価者所見 100% (何を,なぜ,どうやって,どれだけ,いつまでに,どのように) (C) 目標達成度評価 ・原則二つの自己目標を設定 ・各自己目標ごとに4段階の難易度 ・二つの自己目標全体で100%となるように、 各自己目標にウエイト 1 2011年3月4日(金) 2 (備考) 計 注1 :自己目標は,1項目につき100字程度を目安として作成すること。 目標達成度評価 注2 : データで一次評価者へ提出する場合は,被評価者の「氏名」欄へは押印しないこととする。 平成 一次評価者 (目標達成度) 年 月 日 目標達成度評価の番号 一次評価者 (目標達成度) 職名 氏名 平成 ㊞ 年 月 日 目標達成度評価の番号 職名 氏名 平成 二次評価者 ㊞ 年 月 日 職名 工学系研究科長 氏名 林田 行雄 ㊞ 2 自己目標について 都市工学科在学生の成績分析(1) 理工学部後援会総会時に行われた学科保護者懇談会・個人面談 1.都市工学科在学生の成績分析 学生成績表のGPAを使用 GPA(Grade Point Average)とは 講義科目の成績 秀(90点以上) :4ポイント 優(80点~89点):3ポイント 良(70点~79点):2ポイント 可(60点~69点):1ポイント 不可(60点未満)及び放棄:0ポイント ポイントを全受講科目にわたって平均した値がGPA 学期ごとGPA と 総合GPA がある 保護者:子どもの成績がどれくらいのレベルなのかを知りたい (高校までは試験の順位が出ていた) どちらも 今回が初めて 教員:成績の分布が分かるようなものがあれば説明しやすい 2.10月に研究室配属された3年生へのゼミ 個人面談用に準備した学業成績通知書のGPAで成績分布をグラフ化 就職活動に役に立つゼミ 教員の意見を参考に、最新のデータで成績の分析を行う 3 4 都市工学科在学生の成績分析(3) 都市工学科在学生の成績分析(2) データの性質上、詳細な結果を示すことはできない 成績分析に用いたデータ ・学期ごとGPA、総合GPA(理工学部教務) ・入学試験区分 ・コース分け状況 (2年後期にコース分け:都市環境基盤、建築・都市デザイン) ・研究室配属状況 成績分析 ・学期ごとGPAと総合GPAで分析 ・入学試験区分別分析 ・コース別分析 など 学科全体と入学年別で分析 成績(GPA)の分布、成績の推移、頑張り度などの分析 頑張り度=総合GPA - 1年前期GPA と定義 頑張り度 > 0.0 頑張っている 入学年ごとの分布も作成 5 6 - 51 - 都市工学科在学生の成績分析(4) 進級判定 研究室配属 コース分け 10月に研究室配属された3年生へのゼミ(1) 今までは研究室に配属された4年生 ・プログラミング ・Word,Excel ・情報処理試験 などの、パソコン関連ゼミ GPAで決定する 場合がある 研究室に配属された3年生 研究 属 年 就職活動に役に立つゼミ ・コミュニケーション力の向上 ・一般常識の習得 ・就職活動に関する現状の理解 追加進級判定 研究室配属 分析結果は22ページの冊子 個人面談、コース分け、研究室配属、修士推薦入試、 カリキュラムの検討など資料 卒業研究 就職活動 ゼミ参加者:研究室に配属された3名(3月に追加配属有り) 他研究室から1名 7 8 10月に研究室配属された3年生へのゼミ(3) 10月に研究室配属された3年生へのゼミ(2) ①学生自身が興味があったニュース・ 記事など5分間を目標に発表を行い、 質問に答える。 ①学生自身が興味があったニュース・記事など5分間を目標に 発表を行い、質問に答える。 ②私が準備した新聞記事やインターネット上の記事などを読み、 議論を行う。 現状は ・就職に関すること ・一般常識 ・都市工学に関すること など 分からない 例えば 郵便事業株式会社は、2012年度新 卒者採用中止(1200~1500人) ・年齢分布のバランスは? ・仕事に支障は出ないのか? 質問 なぜ採用中止に なったのか? ・就職に関する発表が多い ・5分間話せない ・調べてくる内容が浅い 昨年7月、日本通運の「ペリカン便」との事 業統合した「ゆうパック」で、大規模な遅配 が発生。多大な営業損益。 ・朝日新聞 ・インターネット上のニュース ・ダイヤモンド社のビジネス情報サイト DIAMOND online スキル・キャリア コラム バブルさんとゆとりちゃん みんなの就活悲惨日記 石渡嶺司 就職難・大学3年生のリアル~お“ゆとり”さま訪問日誌 「内定なう」への道 就活生のための企業調査入門 採用を中止す ると黒字になる のか? 9 10 10月に研究室配属された3年生へのゼミ(4) まとめ ②私が準備した新聞記事やインターネット上の記事などを読み、議論を行う。 ・二つの自己目標は指示されて行ったものではない。 朝日新聞2010/12/25 ニュースがわからん! 「すごい借金。国は破産しないの?」 来年度予算案 総 額 税 収 国債発行額 国の借金? ・継続的に行うことが重要。 国債について の説明 92兆4千億円 40兆9千億円 44兆3千億円 ・成績分析においては、新しいデータを追加し再分析を行い、 また、データ項目を増やすことで何らかの相関関係が見つける ことが出来るのではないかと思われる。 宿題:予算の内訳 ・ゼミに関しては、多様な記事を用い議論を行っていく予定である。 学生が様々な事に興味が持てるようになり、また、物事をいろんな 角度から見ることができ、正しい判断力が身につくようなゼミに していきたいと考えている。 ・話すことによってお互いのことが分かる。 ・自分自身がいろんな記事を読み、学生に対し説明ができるよう 努力する必要がある。 社会保障関係費の支出が大きい 支出を減らす 年金の支給開始年齢を遅らせる ことが考えられている 退職者が減る 就職新規採用は なぜあるのか? 新規採用が減る 11 12 - 52 - 機能物質化学科学生実験 学生実験における 実験操作改善の紹介 学期 学年 工学系研究科技術部 環境・情報部門 鳥飼 紀雄 (Toshio TORIKAI) 前 期 後 期 1 基礎化学実験Ⅰ 基礎化学実験Ⅱ 2 機能物質化学実験Ⅰ 機能物質化学実験Ⅱ 3 機能物質化学実験Ⅲ 機能物質化学実験Ⅳ ・機能材料化学コース(JABEE) ・物質化学コース 両コースあわせて 100名前後 セッコウの利用分野 セッコウの利用について (セッコウの利点) 1 硬化する時に膨張するので、微妙な細部が再現できる 2 型は化学的にも物理的にも安定である 3 吸収性は希望する用途に対して広範囲に変えられる 4 滑らかで耐久性のある表面の形成が容易である 5 均 均一な物理的、化学的性質が維持できる な物理的 化学的性質が維持できる 6 気孔は簡単にはコロイドで目詰まりを起こさない 7 価格が安価である [工業模型用石膏]タイヤのパターン作成、工具部品の試作、プラスチッ ク成型、建築模型など各種模型製作 [鋳造用石膏]自動車、航空機関連のアルミ合金、亜鉛合金の小ロット試 作成型、パート・ドゥ・ベール、ガラス工芸 [陶磁器型材用石膏・彫塑美術用石膏]食卓を彩る食器や陶磁器の型、 室内装飾、ショーウィンドウのディスプレイとマネキンの製作、美術大学、 テーマパークの造型物製作 [義肢装具用石膏]下肢装具、コルセット、大腿部ソケットなど装具のモデ ル製作 [特殊用途石膏]鑑識用、二水石膏、光学製品の研磨固定用、凝結促進 剤、グランド白線用 [石膏パテ]石膏ボードの継目処理 引用文献 「入門ファインセラミックス製造技術」(技報堂出版) [造形材料]離型剤・石膏補強材 吉野石膏販売株式会社ホームページより http://yoshino-others.seesaa.net/category/3838563-1.html セッコウ硬化体の微細構造 実験テーマ「半水セッコウの水和硬化と多孔性」 金属棒 実験操作 アルミパイプ 半水セッコウ懸濁液の流し込み 侵入深さ測定 使用実験道具 - 53 - 実験における問題点 流し込み工程の見直し 1.実験器具および薬品 ①アクリル製底板と塩ビ管の密着性不良 塩ビ管の精度が低く液漏れ発生 ②グリースの使用 液漏れ防止、セッコウ硬化体離型剤 ③有機溶剤の使用 グリース除去に石油ベンジンやアセトンの使用 (有機溶剤中毒予防規則で使用量が規制) 代替品としてエタノール使用 除去に時間がかかるため長時間吸入 ④半水セッコウの劣化 硬化時間がばらつく 2.実験内容の理解不良 ①水和硬化メカニズム ②混合比と硬化時間の関係 ③モデル図を用いた説明 改良点 ①塩ビ管の形状精度の向上 ②底板に浅いはめ込み穴の設置 ③離型剤にカリ石鹸使用 改善点 ①液漏れ解消 ②シリコングリース不要 ③有機溶剤不要 120 20 直径 32.2 深さ 1.5 80 原料と硬化体のX線回折パターン 微細構造の比較 Intensitty/a.u. CaSO4・1/2H2O + 3/2H2O CaSO4・2H2O 原料 二水セッコウ#21-0816 半水セッコウ#41-0224 乾燥硬化体 原料 硬化体 5 15 25 35 45 55 65 75 2θ/ degree 物質の形状および構造と強度 モデルを使った説明 球状 針状結晶成長過程モデル 水 水 + 半水セッコウ 針状結晶析出 少 >>> 多 - 54 - 針状 針状 まとめ 半水セッコウと二水セッコウ ①半水セッコウ 品名:硫酸カルシウム1/2水和物(β型半水セッコウ) 密度:2.64 g/cm3 特徴:硬化体は多孔質なのでスラリー鋳込み成形用の型材として 使用されている。 ②セッコウ硬化体 品名:硫酸カルシウム2水和物(二水セッコウ) 密度:2.32 g g/cm3 1 実験器具改良と塗布剤変更 ①流し込み用塩ビ管の形状精度を高め、底板との密着性を向上した。 ②底板に浅いくぼみを作り、塩ビ管底部からの液漏れ防止性を向上した。 ③水溶性であるカリ石鹸を用いることにより、型離れ性と液漏れ防止性を保ちつつ、 終了後の塗布剤の完全除去を可能にした。 2 実験内容の理解度向上支援 ①ガラスビーズを水分子、アルミナビーズを半水セッコウ、針金を二水セッコウの針 状結晶に見立て 水和硬化メカニズムを説明した 状結晶に見立て、水和硬化メカニズムを説明した。 ②結晶形状が強度発現に重要な役割をはたすことをガラスビーズと爪楊枝を用いて 説明した。 ③セッコウ硬化体のSEM写真を実験テキストに追加し、微細構造を示した。 ④原料(CaSO4・1/2H2O)と反応生成物(CaSO4・2H2O)の密度データを示し、理論 空隙率算出の考え方を示した。 ⑤金属棒侵入深さ及び温度の時間変化を図示する場合、混合開始あるいは流し込 み開始のどちらを始点にするかで結果考察の仕方が変わることを説明した。 水 H 2O 水 H 2O 水和反応 半水セッコウ CaSO4・ CaSO 1/2H 2O 2O 4・1/2H 二水セッコウ CaSO4・2H2O - 55 - 技術部報告 第 2 号 行 2011 年 6 月 佐賀大学大学院工学系研究科技術部 編 集 工学系研究科技術部編集委員 所在地 〒840-8502 佐賀市本庄町一番地 TEL 0952-28-8485 ホームページ http://tech.se.saga-u.ac.jp/index.html 発 佐賀大学 工学系研究科技術部