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テレビスポーツ報道の送り手に影響を与える 具体的要因

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テレビスポーツ報道の送り手に影響を与える 具体的要因
2012 年 度 修 士 論 文
テレビスポーツ報 道 の送 り手 に影 響 を与 える
具 体 的 要 因 に関 する研 究
A 県 プロバスケットボールチームとテレビメディア間 の
質 的 調 査 に基 づいて
早 稲 田 大 学 大 学 院 スポーツ科 学 研 究 科
スポーツ科 学 専 攻 スポーツクラブマネジメントコース
5012A304-1
小笠原 大 介
研究指導教員: 間野 義之 教授
目次
第 一 章 緒 言 ....................................................................................... - 3 第 一 節 研 究 の背 景 ............................................................................. - 3 第 二 節 問 題 意 識 ............................................................................ - 4 第 二 章 先 行 研 究 ................................................................................ - 6 第 一 節 メディアスポーツを定 義 する研 究 ................................................. - 6 第 二 節 スポーツ競 技 団 体 とテレビメディア ........................................... - 7 第 三 章 研 究 の目 的 と 方 法 .................................................................... - 9 第 一 節 研 究 の目 的 ............................................................................. - 9 第 二 節 調 査 概 要 ............................................................................ - 9 第 三 節 分 析 方 法 ........................................................................ - 11 第 四 章 研 究 の結 果 および考 察 ............................................................- 13 第 一 節 プロスポーツチーム側 における具 体 的 要 因 ..................................- 13 第 二 節 テレビメディアにおける具 体 的 要 因 .........................................- 18 第 三 節 考 察 ...............................................................................- 25 第 五 章 結 論 ......................................................................................- 34 第 一 節 まとめ .....................................................................................- 34 第 二 節 研 究 の限 界 と 今 後 の課 題 .....................................................- 36 引 用 ・参 考 文 献 ...................................................................................- 37 -
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第一章
緒言
第 一 節 研 究 の背 景
1936 年 オリンピックベルリン大 会 が初 めてのテレビで中 継 されて以 来 、テレビは
様 々なスポーツを我 々に伝 えてきた。 1953 年 には日 本 で白 黒 テレビの本 放 送 が開
始 され、街 頭 放 送 で人 々の熱 気 を集 めた「 プロレス」「相 撲 」「プロ野 球 」などの人
気 スポーツコンテンツはテレビ普 及 の大 きな原 動 力 となったと言 えよう。
その後 1960 年 にはカラーテレビが登 場 し、日 本 の高 度 成 長 期 時 代 に合 わせテレ
ビは人 々の生 活 の中 に 溶 け込 んでいく訳 だが、スポーツは「する」ものであるという
考 えに、新 たに「みる」スポーツという概 念 を持 ち込 んだテレビの 役 割 は大 きい。
図 1-1 ロンドンオリンピックでのメディア接 触 状 況 ( n=2,000)
出 所 :「【速 報 】2012 年 スポーツマーケティング基 礎 調 査 」
三 菱 UFJ リサーチ&コンサルティングとマクロミルによる共 同 調 査
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図 1-2 情 報 入 手 先 の比 較 (n=2,000)
出 所 :「【速 報 】2012 年 スポーツマーケティング基 礎 調 査 」
三 菱 UFJ リサーチ&コンサルティングとマクロミルによる共 同 調 査
図 1-2 と 1-2 は三 菱 UFJ リサーチ&コンサルティングと株 式 会 社 マクロミルが共 同
調 査 をおこない、2012 年 のロンドンオリンピック期 間 中 の情 報 メディアの接 触 状 況
をデータにしたものであるが、昨 今 の新 たな情 報 ツールとして定 着 しつつあるインタ
ーネットを抑 えて、9 割 近 くの人 々がオリンピックに関 する情 報 をテレ ビ経 由 で得 て
いたことが分 かる。この事 は 依 然 、媒 体 メディアとしてテレビの力 が強 く、コンテンツ
であるスポーツそのものとの結 びつきの強 さが続 いている事 を表 していると言 える。
第二節 問題意識
これら「見 るスポーツ」を中 心 とした 「スポーツ」と「メディア」の関 係 は「メディアスポ
ーツ」という分 野 に範 疇 され、欧 米 を中 心 に研 究 がおこなわれてきた。
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マスコミュニケーション研 究 の基 礎 を作 った Lippmann(1922) はマスコミュニケーショ
ンにおける情 報 の流 れ を「送 り手 」「メッセージ」「メディア」「受 け手 」という4つのカテ
ゴリーに分 類 した。その中 から派 生 した「送 り手 」⇒「メッセージ」⇒「メディア」の関 係
性 に着 目 した「送 り手 研 究 」。そして「メッセージ」⇒「メディア」⇒「受 け手 」の関 係
性 に着 目 した「受 け手 研 究 」について様 々な研 究 がおこなわれてきた 。
神 原 (2001)は「メディアスポーツの研 究 も同 様 のフレーム、つまり、①文 章 や映 像 の
内 容 分 析 を主 な手 法 と する送 り手 研 究 と、②情 報 を与 える事 による影 響 の測 定 と
いう実 験 社 会 心 理 学 的 な手 法 を用 いた受 け手 研 究 によって研 究 が進 められてき
た」と述 べ、「社 会 的 影 響 力 」と「公 共 性 」といった観 点 からメディアスポーツ研 究 の
重 要 性 を説 いている。
しかし、メディアスポーツの送 り手 研 究 に着 目 した場 合 、最 初 の発 信 者 、つまり情
報 の「送 り手 」であるスポーツ競 技 団 体 や チーム自 身 がメディアによっ て伝 えられる
「メッセージ」に対 して「何 を求 め」「何 を感 じているのか」といった視 点 に立 った研 究
はそれほど多 くはない。
早 川 (2005)は「メディアとスポーツの関 係 において『プロダクト』⇒『メッセージ』⇒
『オーディエンス』の分 析 も『メディアサイドからの検 討 』に終 始 している」と送 り手 研
究 の中 に問 題 意 識 を 提 示 してい る。
以 上 の 理 由 か ら メデ ィ アス ポーツ の 送 り 手 研 究 に おいて 「 メデ ィア サ イ ドか ら の視 点 」
に加 えて「競 技 団 体 サ イドの視 点 」から分 析 を 進 める事 は意 義 があると考 えられる。
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第二章
先行研究
第 一 節 メディアスポーツを定 義 する研 究
「メディアスポーツ」と いう概 念 を 歴 史 的 変 遷 を論 じ ながら検 証 し てきた早 川 ( 2005)
は「メディアスポーツは A:従 来 のスポーツ(プレ ーヤー、組 織 、観 衆 )+ B:メディア+
C:視 聴 者 でそれぞれが関 係 し合 うトライアングルを指 す 」という関 係 性 を提 示 した。
B メディア
A スポーツ
C 視聴者
図 2-1 「メディアスポーツの構 成 」 に一 部 加 筆
出 所 :早 川 ( 2005)「“メディアスポーツ”その概 念 について:スポーツの本 質 にね
ざすメディアスポーツ論 に向 けて」
早 川 ( 2005 ) は 「 こ の 過 程 で こ れ ま で 多 く の 論 者 が 指 摘 し て き た メ デ ィ ア ス ポ ー ツ
に関 わる様 々な問 題 が介 在 し、その時 々の力 関 係 でメディアスポーツの有 り様 は
変 わる」と述 べており、「多 くの場 合 は B(メディア)の力 が強 く、頭 でっかちな構 図 に
なる」と定 義 している。
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この理 由 として「B が介 在 する時 点 でもはや A そのものは A’にトランスファーされて
しまう。そして A’を A である様 に仕 向 ける為 に独 自 の判 断 が加 え られ、 A では見 え
ない、 あ るい は 存 在 し な い 世 界 を カ メ ラ 、 音 声 、 解 説 など の 編 集 技 術 に よっ て 部 分
的 に創 造 していく。この B の判 断 には、コスト(経 済 的 な要 件 )と要 求 (視 聴 者 ニー
ズ)が働 き、技 術 がこれを支 える 」と B のメディア自 体 が意 思 を持 っ て A のスポーツ
情 報 を変 容 させていると述 べている。
早 川 ( 2005 ) は こ の 「 ス ポ ー ツ 情 報 」を 変 容 さ せ る メ デ ィ ア 側 の 判 断 は 「 コ ス ト 」 と 「 要
求 」が働 い てい るとし てい るが、それ らの 背 景 には触 れ ておらず、またその他 の要 因
については語 られていない。
また橋 本 (2002)は「これ まで のメディアスポーツ研 究 は「テク スト」で あれ 、「儀 礼 」で
あれ、「メディアスポーツ」を下 支 えしている人 々の「生 活 」にどれほど迫 っているのか
疑 問 」とし 、メ ディア スポーツと い う枠 組 みの中 で 働 く人 々の「思 い」や 「感 情 」といっ
た内 面 的 なも のに着 目 する必 要 性 を強 く指 摘 している。
第 二 節 スポーツ競 技 団 体 とテレビメディア
「スポーツ競 技 団 体 」と「テレビメディア」を 対 象 とした研 究 では片 上 ・仲 澤 ・吉 田 ら
(2012)による 「スポーツ・アスリートを 対 象 とし たメディアトレーニングの必 要 性 」が挙
げられ る 。 メデ ィア トレ ー ニ ングと は「ア スリ ート が メデ ィアを 通 し て 社 会 と 関 係 を 構 築
する為 の適 切 なメディア対 応 を資 するトレーニング 」(片 上 ら 2012)としており、片 上
らはイ ンタ ビューなど 、 メ ディアと アス リートが 接 点 を 持 つ場 において、 ど の様 な問 題
や課 題 が両 者 間 にあるのかを テーマ に、 「中 央 競 技 団 体 」と「スポーツ放 送 従 事 者 」
に対 してアンケート調 査 とヒアリング調 査 を用 いて調 査 をおこなっている。
この研 究 で着 目 したいのはこれまで「取 材 現 場 」という競 技 関 係 者 とメディア関 係
者 のみし か知 る事 ができなかっ たいわば “密 室 空 間 ”において 、イ ンタビュー取 材 を
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通 した両 者 の関 係 と内 包 的 事 情 が明 らかになった事 である。
特 に 結 論 で 導 き だ され た メ ディ ア側 の「 取 材 対 象 者 へ の 貪 欲 な取 材 姿 勢 の背 景 」
や「報 道 の演 出 や加 工 が一 種 の技 術 としてもはや一 般 的 になりつつあること 」、そし
て何 よりも「ジレンマと闘 いつつもスポーツの面 白 さや魅 力 をいかに取 り込 む かを
日 々模 索 する取 材 者 の姿 」と い っ たエ ビデンスは 現 場 担 当 者 からの ヒアリング調 査
で な けれ ば 明 ら か に なら な か っ た 事 で あ ろ う 。橋 本 ( 2002 ) の 「 メ デ ィ ア ス ポ ー ツを 支
え る 人 々 の 生 活 」 にど れ ほど 迫 っ てい るの か? とい う観 点 か ら 見 た場 合 、 少 な くと も
メディア従 事 者 の取 材 活 動 にまつわる「深 い心 情 」を 浮 かび上 がらせた片 上 らの研
究 の意 義 は大 きいと思 われる。
この研 究 の限 界 としては“アスリートのメディアへの対 応 ”を柱 とした「メディアトレ
ー ニ ン グ の 必 要 性 と 標 準 化 の 方 向 性 」 が 主 な 目 的 と な っ てお り 、 最 初 の 情 報 の 発
信 者 である「競 技 団 体 」がメディアを通 した放 送 や報 道 に「何 を求 め 、何 を意 図 し
ているのか」といった視 点 は語 られていない点 が挙 げられる。
以 上 の内 容 から、これらの先 行 研 究 を包 括 して本 研 究 では「メディアスポーツ」の
枠 組 み の 中 で これ まで あま り語 ら れ て こ なかっ た 、送 り 手 側 の 「 スポ ー ツ競 技 団 体 」
と「テレ ビスポーツメディア」に関 わる人 々の日 々の業 務 活 動 を 通 し て、情 報 発 信 の
内 容 に及 ぼす「具 体 的 な要 因 」にスポットを当 ててい くこととする。
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第三章
研究の目的と方法
第 一 節 研 究 の目 的
本 研 究 で はテレ ビニ ュ ース報 道 を 通 し て「 スポ ーツ競 技 団 体 」と「 テレ ビメデ ィア」
の情 報 発 信 に影 響 を 与 えうる具 体 的 要 因 を検 証 、比 較 する事 を目 的 とする。
第二節 調査概要
本 研 究 はテレビニュース報 道 という“媒 体 装 置 ”を通 して「競 技 団 体 」と「テレビメ
ディ ア」 が 日 頃 ど の 様 に接 し 、 何 を 意 図 し て いるのか という 具 体 的 要 因 を 質 的 な 側
面 から分 析 する為 、 ヒアリング調 査 を用 いた質 的 調 査 をおこなった。
インタビューイーは A 県 プロバスケットボールチーム の関 係 者 3人 と、 A 県 テレビ放
送 従 事 者 3人 の計 6人 であった。
インタビューイーには研 究 の概 要 と目 的 、さらに匿 名 表 記 により、チーム名 や個 人
情 報 、プライバシーは守 られる旨 を事 前 に説 明 し、会 話 の録 音 の承 諾 を得 た。
また個 人 情 報 保 護 の観 点 から録 音 されたインタビュー内 容 を元 に筆 者 自 身 が文
字 起 こし、逐 語 集 作 成 の作 業 を担 当 した。
なお、対 面 式 でおこなわれたヒアリング調 査 だが、 6 人 中 1人 のみ電 話 を使 用 したイ
ンタビューとなった。
インタビュー方 式 は事 前 に質 問 や流 れは決 めておくが(表 3-2 参 照 )、インタビュ
ーの経 過 内 容 次 第 で 質 問 や順 番 を変 える「半 構 造 化 インタビュー」を採 用 した。
またインタビュー時 間 は1人 につき約 40分 ~60分 間 で場 所 はチーム運 営 会 社 や
放 送 局 の会 議 室 、また喫 茶 店 などを利 用 した。
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【本 調 査 】
日 時 :2012 年 10 月 26 日 ~31 日
方 法 :半 構 造 化 インタビュー
表 3-1 インタビューイーの属 性
イ ン タ ビ ュー イ ー
性別
現職
勤続年数
A さん
女性
プロバスケチーム PR プロモーション
6年
B さん
男性
プロバスケチーム広 報 ・営 業 担 当
8年
C さん
男性
プロバスケチーム取 締 役
9年
D さん
女性
テレビ局 報 道 局 スポーツキャスター
5年
E さん
男性
テレビ局 実 況 アナウンサー兼 記 者
7年
F さん
男性
テレビ局 実 況 アナウンサー兼 記 者
15 年
表3-2
インタビューイーへの基本質問項目
・互いの存在(チーム・TVメディア)をどう捉えているか?
・報道における(チーム・TVメディア)のスタンスは?
・報道を通じて得られた反響について(プラス面とマイナス面)
・過去と現状の報道内容について、またその変化は?
・スポーツ報道に求めるものは?
・チームのメディア戦略について
・TVメディアにとってのコンテンツとして
・チームとメディアの関係性について、また今後について
・A県ならではの特性について
・互いに望むことは?
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第三節 分析方法
本 研 究 で の 分 析 には 大 谷 ( 2007 ) に よっ て提 唱 され た 質 的 デー タ の 分 析 手 法 で
ある SCAT 法 (Steps for Cording and Theori zation ) を用 いた。
この分 析 法 は言 語 データをセグメント化 し、それぞれに(1)データ中 の注 目 すべき
語 句 、 (2)それを言 い換 える為 のデータ外 の語 句 、 (3)それを説 明 する為 の語
句 、 (4)そこから浮 き上 がるテーマ・構 成 概 念 の順 にコードを考 案 しつけていく、
4ステッ プコーデ ィングと 、そのテーマ や構 成 概 念 を 紡 いで ストーリ ーラ イ ンと理 論 を
記 述 する手 続 きとからなる分 析 手 法 である(大 谷 2007)
またこの手 法 の特 徴 と して、1つだけのケースデータやアンケートの自 由 記 述 欄 など
比 較 的 小 さな質 的 データの分 析 にも有 効 であり、結 果 的 にマトリクスの中 に分 析
過 程 が記 述 され る為 、分 析 と 理 論 化 の過 程 を 分 析 者 が振 り返 り、再 検 討 する事 が
容 易 になる 。つまり分 析 過 程 の「省 察 可 能 性 ( reflectability)」を 高 める事 が で きる。
この事 は検 討 の過 程 の省 察 や結 論 の「妥 当 化 」にとっ てきわめて有 効 である(大 谷
2007)としている。
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表 3-3
4ステッ プコーディングのマ トリクス
第四章
研究の結果および考察
本 章 で はプロスポーツチーム、テレ ビメディア間 のニュース報 道 に影 響 を 与 えうる具
体 的 要 因 についてのインタビューを SCAT 法 によって得 られた 分 析 結 果 を元 に6つ
のカテゴリー (1)意 識 の変 化 (2) コミュニケーション (3)知 識 ・スキル (4)地
域 とのつな がり (5) ブ ランデ ィ ング (6 )人 的 ・金 銭 的 ・ 時 間 的 に 分 けて整 理 し、
プロスポーツチーム、テレビメディアそれぞれの視 点 から 考 察 をおこなう。
第 一 節 「プ ロ スポー ツ チーム にお ける 具 体 的 要 因 」、 第 二 節 「 テレ ビ メデ ィア におけ
る具 体 的 要 因 」に分 け それぞれ項 目 において具 体 的 に説 明 をする。
ま た 、 第 三 節 「 考 察 」 で は 結 果 で 得 られ たイ ンタ ビ ュ ー 結 果 を 全 体 的 に 把 握 し 、 理
論 的 考 察 をおこなう。
第 一 節 プロスポーツチーム側 における 具 体 的 要 因
(1) 意 識 の変 化
ニュース報 道 を 通 し た先 、 つまり視 聴 者 に対 し て発 信 され る放 送 され る内 容 に対 し
て時 間 経 過 とともに意 識 の変 化 があった事 が以 下 のインタビューに言 及 されてい
た。
インタビューイーA さん
1年 目 はチ ームを 分 かって欲 しいという 所 で楽 しいで すよ というのを 言 ってき たんで
すけど、その時 期 はもう過 ぎたと球 団 では考 えていまして、その次 のステップを私
がやっていくのかなとは思 います。社 会 の模 範 としてどう見 えたほうが良 いのかと
いう所 。みんなの夢 を託 せる球 団 がどういうものなのか?そういったものだと思 いま
す。
インタビューイーB さん
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最初に署名活動している時に、○○リーグを知っていますか?と聞いた時に誰も知らなかっ
た。プロのリーグってなんだろうって。まずはそこからの教育というか、周知ですよね。PR 広
報の部分でも、営業の部分でもそこが一番苦労した所です。
優勝をした事でその時に報道がスゴかったし、そこでかなり知名度がぐっと上がったのはあり
ますね。例えばタクシーに乗って(球団名)知ってます?って聞いたら、『優勝したよねって』も
う1年前とは全然違う訳ですよ。
「広報担当としては1年目、2年目、3年目になった時に試合の勝った負けただけではなくて、
もっと選手個人を深く掘り下げた報道というのを僕は欲しかったんですよ。言ったら30分は大
変ですけど15分ぐらいの密着番組をやって欲しいなという思いはずっとあって、そうする事で
見ている人も選手の深い部分も知れるし、その選手を好きになってチームを好きになってと
いう方向付けができるから。
以 上 の事 から、チーム側 は設 立 当 初 は「認 知 度 アップ」を目 的 に周 知 や PR といっ
た要 素 をテレ ビ報 道 に求 めていたが、2年 目 の「優 勝 」を契 機 に時 間 が経 つに連 れ
て「深 く掘 り下 げた報 道 」や「社 会 の模 範 」といった新 たな視 点 を求 めていることが
分 かる。
(2) コミュニケーション
ここで のコミュニ ケーションと はチーム に関 する情 報 を 発 信 する 広 報 担 当 者 と ニュー
ス原 稿 や放 送 内 容 に関 わるディレク ターやアナウンサーといっ たテレ ビメディア 担 当
者 間 の情 報 のやりとりを 指 す。
インタビューイーA さん
今年、球団代表と相談をしてもう少し弊社の代表の考えた方をメディアの人に分かってもらい
たいという風に思っています。懇親会を開いたりとか、何を考えているかをメディアさんと共有
していくスタイルを取って行く。これまでは球団の代表が何を考えて、どうしたいかというのが
分からないので皆さん手探りの報道をしていたと思う。ある程度、球団のトップの考え方の指
針とかが出る事でもう少しチームの方向性に準じた報道が出来ると思う。もちろん一線は引
かないといけないが、もうちょっと球団の考えをお伝えしていく方法でやっていこうと思いま
す。
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インタビューイーB さん
僕らが思っていてもなかなか伝えられない状況。それは逆に言えば伝える努力をしなければ
いけないかな。コミュニケーションをとったり、普段から広報や球団の人間が仕事抜きにつき
合うとか、ビジョンみたいなものを共有していく事が大切かなと思います。僕らはこう思ってい
て、こういう風になっていきたいという。ただ今それがあまり出来ていないんですよ。それはコ
ミュニケーションですね。個人レベルのコミュニケーション。もちろん組織同士のコミュニケー
ションも足りないと思うんですけど、それこそ担当者がメディアの方々と仲良くなるというか。
それは僕の考えですけどね。
チーム広 報 担 当 者 であるインタビューイー A さん・B さんによると、球 団 自 身 がメディ
アに対 して“こうなりたい ”という「 伝 える努 力 」の先 に「ビジョンの共 有 」があると話 し、
そ の 為 に は 「 組 織 レ ベル 」 と 「 個 人 レ ベ ル 」で の 「 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 」が 必 要 で あ る と
話 し た 。 そ の 為 には 「 球 団 代 表 が メ デ ィ ア に 対 し て 発 言 を す る 機 会 」や 、 「 懇 親 会 」
といった機 会 を積 極 的 に利 用 する必 要 があると話 した。
(3) 知 識 ・スキル
スポーツ報 道 に は伝 え る 側 の 視 点 や 情 報 量 など が大 き く影 響 する。 イ ンタビュ ーの
中 から求 め られ たそれ らの技 術 的 な要 素 を 本 研 究 で は 「知 識 ・ スキ ル 」というカテゴ
リーに記 した。
インタビューイーB さん
帰 ってきた選 手 もいるので、き っとファンはこれまでのいき さつを 知 りたいと思 うんで
す よ 。 でも 球 団 側 がそう い う部 分 を 出 さな い、出 せ ないの で、 選 手 のサ イド スト ーリ
ー的 なものを出 して欲 しい。本 流 +アルファみたいな部 分 で。うちもネットを使 って
そういう動 画 配 信 を一 時 期 やっていたが、撮 る側 も素 人 だし、小 さいカメラで音 も
取 れてないし、みたいなでぐだぐだで。結 局 出 来 なかった。やはりそこをメディアに
焦 点 を当 ててもらえれば。
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インタビューイーC さん
練習を週一回公開して取材に来てもらっても、横並びにしても全部一緒になりますよ。シビア
に言うとわざわざこれをニュースで見ますかと。じゃあ何しろのというと、逆にあなたたちがそ
こを引っ張りだすんでしょと。そういう取材のやり方をしていたらチーム側ももっともっとメディ
アに対して出し方を勉強しないといけなくなるんですよ。もっとやり方はあるんじゃないと。
あと相手チームに対する取材がない。世の中の動きが少ない。地元でももう少し相手を切る
みないな論調で書けばそこにまた興味が湧く。会場に来るお客さんは黙っても来てくれる。で
はそうでない人達にどう訴えかけるか?他のチームがどうなっているか。好きな人は分かり
ますけど、そうでない人からすれば何も情報がない。自分たちでは相手の事を上げたりけな
したりもできないので。
以 上 の 内 容 か らチーム 側 はニ ュース 報 道 に求 める技 術 的 要 因 とし て 、試 合 結 果 と
いう主 な情 報 に加 えて「サイドストーリー」や「対 戦 相 手 や地 域 外 の情 報 」など 「チー
ム側 が発 信 できない情 報 」を求 めており、それらの情 報 がメディア側 の取 材 で引 き
出 され る事 で チームの「対 メディア意 識 の向 上 」 や「潜 在 顧 客 へのアピール」 につな
がる事 が読 み取 れる。
(4) 地 域 とのつながり
このカテゴリーではインタビューイーの ニュース報 道 を通 じた「地 域 」や「社 会 」との
関 わりを概 念 化 した。
インタビューイーA さん
チームの代表として顔として出て行くのである程度の管理をした中で取材を受けて欲しいと
思っています。なのでメディアさんに対してもちゃんと筋を通した取材方法が良いのかなと思
っています。広報担当者がついて話す事はフロントオフィスが責任を持つ事ができるんです
けど、それ以外に関しては知らないというのが通らないと思うんですね。フロントを通さずにそ
れが(外に)出てしまった場合にそれが子供達の教育の部分に対して、A 県の代表するチー
ムとして正しい行動なのかという判断が難しい時がある。うちとしてはかっこ良く見られたい。
また社会の模範として見られたいという事がすごく大きいので、それらが画面を通してちゃん
と伝わるかという所を考えて取材を受けて欲しい。
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イ ンタビューイーは発 言 の中 で 報 道 され た先 にある「子 供 達 の教 育 」への影 響 を 挙
げ、その指 針 と し て県 を 代 表 するチー ムとし て「正 し い行 動 」や「かっ こ 良 くみ られ た
い」、「社 会 の規 範 」と い っ た語 句 を 並 べるなど 、 報 道 を 通 し た地 域 社 会 とのつなが
りに言 及 した。
(5) ブランディング
インタビューの中 でチーム側 関 係 者 は今 後 進 んでいきたい方 向 性 や付 加 価 値 や
知 名 度 、イメージに関 する発 言 をブランディングという言 葉 で表 した。
インタビューイーC さん
うちは自立したチームを目指している。もし仮にうちがもう運営をやりたくないとなった時にき
っと誰かは買ってくれるはず。それはうちがそういう付加価値があるから。
今は勝っているから観に行っている人も多い。その勝っているうちに拡げておかないという思
いはある。ずっと連敗したらと考えたらぞっとはしますが、そこで勝った負けたではないよとい
う事を球団として押し進める。ブランディングとしてチームだという事を全面に出す。選手の名
前よりもチームの名前を出す事が大切ですね。
イ ンタ ビ ューイ ー C さん はチー ム 成 績 が 集 客 に 貢 献 し ているとし なが ら も 、球 団 とし
ては「自 立 したチーム」を目 指 しており、その為 には「勝 敗 に左 右 されない価 値 」を
得 る事 が必 要 と 明 言 し てい る。選 手 名 よりもチーム名 のブランド 力 を 上 げていくとは
っきり方 向 性 を述 べている。
(6) 人 的 ・金 銭 的 ・時 間 的
ここではニュース報 道 業 務 に関 する 人 間 的 、金 銭 的 、時 間 的 要 因 に関 する発 言 を
カテゴリーとしてまとめた。
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インタビューイーA さん
テレビに関しては特に最近思うんですけど(基地の問題)の話題がスゴく大きくて、その陰で
スポーツは限られた枠の中で色んな競技を取り上げて行かないといけないので、やっぱりち
ょっと弱くなるのかな?という様には思っています。ですけどもその中でメディアさんがバスケ
ットボールの面白さというのも編集の中で伝えようとする努力は有り難く思っています。
インタビューイーC さん
A 県ではストーリーをカバーしない。試合の中のストーリーはカバーするけど、それまでの1
週間までを追っかけていたらもっと深いものが分かると思うんですよね。
そうなるとやはり番記者という所になってくる。それは各社がやる気と余裕がどこまであるか
になってくるんですけど、出来るとは思うんですよね。そこはまだ日本はスポーツがお金にな
らないという考えをされているのかなと。特にテレビはお金も払わずにチャンネルだけを選ぶ
訳でその人にどう訴えかけるの?そこでもっと努力があっても良いと思う。
以 上 の内 容 からチーム側 は地 方 局 ニュース報 道 におけるスポーツニュースには他
のニュ ース トピ ッ ク や他 競 技 と の 競 合 に よる 「 時 間 的 制 約 」 があ る事 を 理 解 し ている
事 が分 かる。またインタビューイー C さんは報 道 内 容 に「ストーリー性 」を裏 付 ける為
にはチームに絶 えず密 着 取 材 ができる「番 記 者 」の必 要 性 を説 いているが、各 社
の「やる気 」と「余 裕 」という言 葉 にテレビメディアの人 材 的 、金 銭 的 事 情 への認 識
がうかがえる。
第 二 節 テレビメディアにおける具 体 的 要 因
(1) 意 識 の変 化
報 道 に求 める視 点 の変 化 についてメディア側 関 係 者 にインタビューを 実 施 した。
インタビューイーE さん
チームが2年目に優勝して観客も一気に増えて、今や平均3000人ぐらいのリーグの中でも
トップクラスのチームに成長しましたし、ずっと応援してきてそれは間違えてないなと思います
が、この先チームが6年目となって勝って当たり前な所がある中で、そういった球団をもっと
長いビジョンを立ててではどこに持って行くんだろうと僕らは。みたいな視点をもたないとチー
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ムは長続きしなんいんじゃないかと。常に勝ち続ける事の難しさと同時に、県民が少し勝ち慣
れしている圧勝したらあまり面白くないという意見も出始めているし、そういう所をどう変化さ
せながら伝えていけば面白くなるのかなとは常に考えています。
インタビューイーF さん
とにかくこの県のメディアはこのチームをしっかりと取材するので、それは最初から変わって
いない。でも敢えて言うならこれまでプロが無いので、いわゆるほめる取材。負けても頑張っ
てみたいな取材しかできなかったとおもう。そこにチームからの要望があって、みなさんも勉
強してくれと。もっとダメなところを報道指摘してくれという流れがあって、うすうすは皆さんわ
かっていたが、球団から言われた時にどこの局も気が付き始めたんじゃないかと。それでここ
2年ぐらいは徐々に変わってきたんじゃないかという気はします。
以 上 の事 からメディア側 関 係 者 における 報 道 視 点 の変 化 の要 因 とし て 、競 技 報 道
への「長 期 的 なビジョンの必 要 性 」、観 衆 の勝 って当 たり前 という空 気 が作 り出 す
「マ ンネ リ化 への 問 題 意 識 」と ダ メ なと ころ へ の指 摘 報 道 を 望 む 「チ ームか ら の要 望 」
といったものが関 与 している事 が考 えられる。
(2) コミュニケーション
チームとメディア間 の情 報 のやりとり や意 思 疎 通 に関 するイ ンタビューは以 下 の通 り
である。
インタビューイーD さん
比較的はうまくいっていると思いますね。スポーツという視点でも観光とかスポーツツーリズ
ムという視点でチームも出来る様になってきている。そういう視点でも色々切り口ができる。
そうやってこちらのアイデアを膨らましてくれるこのチームは面白いと思う。
選手が辞める時や HC が辞める時ですね。もうちょっとコミュニケーションをとらしてもらえたか
ったなと。もう電話も無く、FAX とメールだけで来た感じ。しかも金曜の夜、ニュースも終わった
時間で。結局、私もネットで知った感じで。なんとなく雰囲気は感じてはいましたけど…。球団
は一選手、一監督ですからと言われたらそれまでですけど、やはり取材している身。ブースタ
ーさんの声を聞いている一個人としてはやはりニュースバリューが他の人とは違うというのが
あったので、その辺はもう少し別の広報の仕方があったんじゃないかと。
- 19 -
チームのやり方なのであまり言い過ぎてもですけど、ブースターさんから有り難うの一言は言
いたかったなという声を聞いた時は、チームと私たちの関係というよりも、ブースターさんに一
つのけじめをつけさせてあげる事が、そこだけは私たちはやるべきだったというか、やりたか
ったですね。それは会見開いて下さいなり…、別にチームに文句を言う訳ではないですけど、
報道している立場としてはブースターさんに納得させてあげられる情報を出して上げたかった。
そこはチームとブースターの間をつなぐ私たちだからこそ出来たんじゃないかと、今反省して
いますね。改めて自分たちのやるべき事を見つめさせられた。怒りというよりは自分がやるべ
きだったとジレンマを感じた。
でも新しい広報の人と話したんですけど、開幕からしばらく経って新しいヘッドコーチ体制の
良いスタートが切れたので、ようやく前 HC の話題、比較が出来る様になってきた。今までは
敢えて出せなかった。でも個人的には出してないから逆に不自然なんだよと思いましたけど
ね。最近は少しずつそういう話も出来るようになってきた。これからも絶対、引退や退任は出
てくるトピックなので、これからはもっとコミュニケーションをとって上手にできれば。
インタビューイーE さん
そこは信頼関係じゃないですか。お互いの。普段から密に連絡を取り合う事でこの人だったら
大丈夫だとか。この人に託したら良い部分も悪い部分もしっかり伝えてくれるだろうというお
互いの信頼関係によって多くの情報を引き出せるし、チームとしてももう一歩踏み込んだ所ま
でカメラを入れさせる事にもつながるんじゃないかと思いますね。ローカルはそこが一番大事
じゃないですか視聴者が何を求めているかは常に考えないといけないし、一方通行になって
しまうとダメですよね。常に僕ら伝えたいメッセージと視聴者が求めているニーズが合致すれ
ば。難しいですけど、そこは常に考えながらやっていますね。
チーム側 とのコミュニケーションを巡 っては新 たな視 点 ももたらしてくれる情 報 を 発
信 し てくれるなど 、その関 係 は 概 ね良 好 とし ながらも、 ヘッ ドコーチ退 任 時 の情 報 の
出 し方 に不 満 の意 見 が見 受 けられた(イ ンタビューイー D さん)。その理 由 としてはメ
ディアにとっ て「ニュースバリュー」のある人 物 であり、会 見 など の露 出 機 会 を 希 望 し
ていた事 。そして「チームとファンをつなぐ存 在 」であるべき自 分 達 が フ ァンが望 む報
道 をできなかった事 に「ジレンマ」を感 じたとしている。
またインタビューイーE さんはチームとメディアは「信 頼 関 係 」の厚 さによって情 報 量
も変 わってくるとし、D さんと同 じく報 道 によって伝 えられる情 報 は「視 聴 者 が求 める
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ニーズ」に応 えているべきという認 識 を示 している。」
またチ ーム が 新 体 制 へ の影 響 から 「 意 図 的 」 に前 ヘッ ド コーチ の 露 出 を 減 らし た事
はメディア側 に「違 和 感 」を持 って捉 えられていた事 になる。
(3) 知 識 ・スキル
報 道 手 法 に対 する 知 識 ・ スキ ルの 部 分 に関 する質 問 に 対 し 、イ ン タ ビュ ーイ ーか ら
以 下 の内 容 のコメントが聞 けた。
インタビューイーD さん
少し他局でやられたなと思うのは応援する人をずっと追っかけていたんですよ。企画としては
面白いなと。ちょっとやられたなと思いましたね。今回開幕戦でうちが工夫したのは、行列で
きます。楽しみにしています。はい試合ですというのは毎回やってきた事なので、今回は(選
手名)だけにスポットを絞ってやりました。復活のプレーだったので。カメラマンともなんか工
夫したいよねって。毎回同じ感じだったので。私ももう4季やっていて当たり前の様にやってし
まうんですけど色んな人にアドバイスを求めたりしながらやっていかないとなと。切り口は
色々変えて行かないと。
インタビューイーF さん
ストレートニュース(短いニュース)の中ではプロもアマもあまり伝え方は変わりはないと思う
が、自分は実況をやっているので、もう少し尺を割けるような長い企画では、プロと同じような
視点をもって伝えていなかいと全部がすごいと思って終わってしまう。指摘するところはしっ
かりするべき。だけどまだ自分がそこまではいっていないので、もっと勉強が必要だと思う。
以 上 の内 容 からメディア側 の担 当 者 はニュース企 画 の視 点 や手 法 に対 して、「視
点 のマ ンネリ化 への抵 抗 感 」を 感 じ ており、 毎 回 何 らか の 「工 夫 」を 意 図 し ている事
が分 かる。またインタビューイー F さんによると、長 い企 画 ニュースでは「プロと同 じ視
点 を 持 つ こ と 」を 提 起 し てお り、 ま たそ の為 に は 「メ デ ィア 側 の 勉 強 」 も 必 要 と 話 し て
いる。
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(4) 地 域 とのつながり
こ こで はメ デ ィア の 立 場 から ニ ュ ー ス 報 道 を 通 し た 地 域 と の 関 わりを 示 唆 す るイ ンタ
ビューイーの発 言 を以 下 にまとめた。
インタビューイーD さん
やっぱり開幕戦見ておもったんですけど、A 県を元気にするチームだなと改めて実感したの
で、そういうのを報道を通じて伝えられたらと改めて試合を通じて感じた。老若男女というか、
普段こんなに叫んだりしないんだろうなという人が叫んでたり、興奮している姿を見ていると、
スポーツで元気にというのは口で言うだけのチームがある中でこのチームは出来ているなと
思ったので、そういうエッセンスを入れながら報道したいなと思った。
インタビューイーE さん
お互い地域を盛り上げたいという思いは1つで、ある一定の距離感を保ちながら、互いに言
い合える関係。どちらが上ではダメだと思います。そのバランスをとりながら良いものは良い。
悪い所は改善。というスタンスを大事に根底はスポーツと地域を愛する思いを持ちながらや
っていけば地域はちゃんとついて来るはずです。
インタビューイーF さん
基本的にはすべてのプロ、アマスポーツにおいてまずは子供たちの夢になる報道。ニュース
を見る事によって、こういう目標ができれば子供たちも自分たちも頑張りたいと思えるような
報道を心掛けている。次にプロだったらそこに携わる人たちなどにスポットを当てて報道して
います。そこに自分たちのフィルターを通してスポーツがもりあがるような報道を心掛けてい
ます。
以 上 の内 容 からメディア側 関 係 者 が報 道 を 通 じて地 域 とのつながりを 意 識 し ている
ことが分 かる。特 にイ ンタビューイー E さんはチームに対 し て「一 定 の距 離 感 」と「互
いに言 い合 える関 係 」を持 つ事 で地 域 の理 解 につながると発 言 。
またインタビューイーF さんはプロ、アマに関 係 なくスポーツ報 道 は「子 供 達 の夢 」に
なるし、その為 に自 分 達 が「フィルター」となっ てスポーツを盛 り上 げる報 道 を心 掛 け
ているとした。
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(5) ブランディング
チーム側 が位 置 付 けて い る「ブラ ンデ ィン グ」 に 対 し てメデ ィア 側 から の 意 見 は 以 下
の通 りである。
インタビューイーD さん
要望としてはチームが作りたいブランディングという部分であっても、うちは伝えていかないと
いけない自分達の指針もあるから、アイデアはアイデアとしてもらうが、ただあなた達がいうこ
とばかりを私たちはやらない。企画の部分まであまり入ってこられると、ちょっとそれは違いま
すと思うので、その辺の壁は崩しすぎないようにというか、逆にあまりにも高すぎる壁は向こ
うに破ってもらわないという時もあるので、注意しながらやらないといけないですね。
インタビューイーE さん
向こうは向こうでこういうスタンスでチームを作って行きたいから、もっと品格のあるチームに
育て上げたいからマスコミとしてもこういう報道をして欲しいというのはありましたけど、難しい
ですよね。こういう小さな県で品格があるのは良いですけど、あまりにも遠い存在になりすぎ
ると人は寄り付かないだろうし、かといってあまり近くになり過ぎても憧れにならないし、その
バランスが非常に難しい。僕もマスコミとして考えながらやっていますけど、答えが見つから
ないですね。
以 上 の内 容 からメディア側 がチーム側 の意 図 する「ブランディング」に対 し て慎 重 な
姿 勢 が見 られた。その1つの要 因 としては「メディアの独 立 性 の担 保 」であり、自 分
達 (メディア側 )の指 針 も チームに感 化 され 過 ぎてはいけないというスタンスからの意
見 である。
またインタビューイーE さんは「チームの品 格 」という言 葉 を引 用 し、小 さな地 域 にお
いてその品 格 をどの様 にメディアとして伝 えていくかという「バランスの難 し さ」を 指 摘
している。
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(6) 人 的 ・金 銭 的 ・時 間 的
メディア側 のインタビューイーにおける人 的 ・金 銭 的 ・時 間 的 要 素 に関 わる発 言 を
以 下 にまとめた。
インタビューイーE さん
会社的な事は言えばきりがないが、限られた予算の中でどう伝えて行くかになりますが、例
えばアウェーとかは系列局とバーターしたりとか。
インタビューイーF さん
番記者はもちろんできればいいと思うし、うちの系列局の番記者なんかはシーズン中、シー
ズンオフ中も通しで取材しているし、選手との信頼関係もすごく厚いし、それぞれの強みを持
てている。ただ僕らみたいな地方局で1人番記者を置けるかというと正直厳しい。1人の人間
が2倍、3倍動くか、会社の考え方が変わってプロ対応の人員配置をするか。でも現状、会社
を変えることはものすごく困難なので、そういう意味では1人の人間がフル回転するしかない。
でも番記者の存在は必要。
以 上 のコ メント より メデ ィ ア側 のイ ンタ ビューイ ーは「会 社 的 な問 題 」 の 中 で 「予 算 的
限 界 」があるともしながらも系 列 局 との映 像 交 換 など、最 大 限 の「工 夫 」をしている
事 がうかがえる。またイ ンタビューイー F さんは「番 記 者 の必 要 性 」を 肯 定 しているが、
地 方 局 での設 置 は現 状 として困 難 であると言 及 し、その代 案 として現 場 に配 置 さ
れている1人 の人 間 が「フル回 転 」してカバーするしかないと話 している。
以 上 のインタビュー結 果 を以 下 の表 にまとめた。
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インタビュー内容
チーム側
メディア側
・設立当初は「認知度向上」「PR」に主眼
・「優勝」「時間の経過」が契機となり、「深く
掘り下げた報道」や「社会の模範」といった新
たな視点が生まれてきた。
・長期的ビジョンの必要性
・報道手法の「マンネリ化への危機感」
・面白くするには?という「課題意識」
・「ほめる取材」から「指摘する取材」への必要
性
・チーム側からの「要望」
カテゴリー
意識の変化
コミュニケーション
知識・スキル
地域とのつながり
ブランディング
人的・金銭的・時間的
・チーム自身が”こうなりたい”という「ビジョン
をメディア側と共有」する事が前提
・「組織的」「個人的」コミュニケーションの必
要性。
・球団代表の発言機会や懇親会の積極的活
用
・取材に新しい視点をもたらしてくれる情報な
ど関係は良好
・球団人事に関わる情報の出し方に「不満」
・視聴者にとってのニーズが「ニュースバ
リュー」なのに球団は理解を示さなかった。
・チームと視聴者をつなぐ存在の「メディア」を
強く意識
・勝敗報道以外に「サイドストーリー」や「対 ・信頼関係の厚さによる情報量
・視点のマンネリ化への危機感による「創意工
戦相手・地域外の情報」など「チーム側が発 夫」
信できない情報」の要望
・プロと同じ視点の確保
・それらの情報がメディア側の取材で引き出 ・上記知識を得るための勉強の必要性
される事による「チームのメディア意識向上」
と「潜在的顧客の開拓」
・地域の子供達の憧れや夢であるという意識 ・報道のフィルターを通して地域を盛り上げた
・地域の模範でありたいという意識
い
・チーム側と「一定の距離」を持つことで地域
の理解・信頼が得られる
・自立したチーム
・勝敗に左右されない価値作り
・選手名よりもチーム名のブランド力向上
・チームブランディングへの慎重姿勢
・ブランディングによるメディア干渉と独立性確
保の関係
・「チームの品格」と地域感情とのバランス取り
・ローカル局の時間的制約への理解
・番記者の必要性
・テレビ局のやる気を試す姿勢
・番記者の必要性を理解
・会社的な理解が必要
・人的・金銭的にも現状は困難
・現場の担当者が倍の業務でカバーする
表 4-1 インタビュー結 果 内 容 とカテ ゴリー
次 節 で はイ ンタビューイーの記 述 を 踏 まえ 結 果 で 示 し た各 カテゴリー間 について理
論 的 考 察 をおこなう。
第三節 考察
(1) 意 識 の変 化
ニュー ス報 道 にお ける 意 識 の 変 化 で ある が 、 チーム 設 立 当 初 は リー グ自 体 が認 知
されていない中 での厳 しい広 報 活 動 であったが、インタビューイー B さんの「優勝をし
た事でその時に報道がスゴかったし、そこでかなり知名度がぐっと上がったのはありますね。
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例えばタクシーに乗って(球団名)知ってます?って聞いたら、『優勝したよねって』もう1年前
とは全然違う訳ですよ。」と い うコメントにも あるよ う に「優 勝 」を 機 にチー ムへの認 知 度
が格 段 に上 がっ たとし ている。その後 2年 目 、3年 目 とチーム活 動 を 続 けていく中 で
「勝った、負けただけではなくて、もっと選手個人を深く掘り下げた報道というのを僕は欲しか
ったんですよ。」(B さん)とニュース報 道 に求 める意 識 が変 化 している事 が分 かる。
この事 は小 林 (2007)が「競 技 、チームはメディアを意 識 する以 前 に、まずは競 技 場
を いっ ぱい にで きるだけ の力 を 自 らつける 事 が 先 決 で ある。 競 技 とチ ームの 認 知 度
と人 気 をつけた上 で、初 めて“メディア戦 略 ”が始 まる」と述 べている様 に、「優 勝 」を
契 機 に人 気 と 実 力 をつけ始 め たチームが“メディア戦 略 ”を積 極 的 に活 用 しようとし
た姿 勢 が伺 える。
一 方 、メディア側 ではインタビューイーE さんがチーム創 設 当 初 から「応 援 報 道 のス
タンス 」を 取 っ てきて間 違 い なかっ たと肯 定 し ているが、チームが 6年 目 となっ てきて
今 後 メデ ィ ア側 も 「 長 期 的 な ビジ ョン 」を 報 道 に 持 つ こと が必 要 とし て いるよう に 、時
間 と共 に意 識 の変 化 があった事 を示 唆 している。
この事 には取 材 者 が持 つ「視 点 のマンネリ化 への課 題 意 識 」が関 与 し ていると思 わ
れる。また F さんはこれ まで A 県 にはプロチームが無 かった事 に触 れ 、「ほめる」 「一
緒 に応 援 する」といったスタンスで報 道 していた A 県 メディアがチーム側 からの「要
求 」により、「指 摘 する報 道 」へ の意 識 が強 くなっていっ たと言 える。いわばチーム側
の「メディア戦 略 」の活 用 をきっかけに、潜 在 的 に報 道 手 法 の変 容 を課 題 意 識 に
持 っていたメディア側 が追 従 する形 となったのではないだろうか。
(2)コミュニケーション
チーム広 報 と メデ ィア担 当 者 間 のコ ミュニケー ション については「 比 較 的 上 手 くいっ
ている」(D さん)としながらも、1つの事 例 であるヘッドコーチの退 任 会 見 が実 施 され
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なかっ た事 を 巡 っ ては チームのやり方 はあるがメディア とし ては「ブースターを納 得 さ
せてあげられる情 報 を 出 したかった」( D さん)と不 満 を表 している。
これはメディアとし て「ヘッドコーチ退 任 のニュースバリュー」がブースター =視 聴 者 に
とって高 いものであり、その要 求 に応 えられなかった事 が大 きな理 由 の1つとなる。
このメディア側 の反 応 は 「い ずれ のスポーツ放 送 従 事 者 にも共 通 し て意 識 化 にある
のは、視 聴 者 が知 りたい情 報 、すなわち視 聴 者 にとってのメディアバリューが高 い
情 報 で あるかと い う事 である 」(片 上 ら 2012)や 原 田 (1999)による「自 由 主 義 社 会
で はジャ ーナリズムは民 間 企 業 によっ て支 え ら れ ており、受 け手 に指 示 され るメディ
アは繁 栄 し 、支 持 されない メディアは消 えるという市 場 メカニズムが民 意 を 代 表 する
ジャ ーナリズムと い う擬 制 の根 拠 になっ ている」という論 点 を 少 なからず表 し ているも
のと言 えよう。
また原 田 ・藤 本 ・ 松 岡 ら (2008 )はそ の著 書 の 中 で 「高 名 な監 督 の 存 在 がチー ムの
資 産 価 値 を 高 め る 事 は 事 実 で あ る 」 と し ている 事 か ら 、 2 度 の 優 勝 に 導 い た 前 ヘ ッ
ドコーチはファンにとっても大 きな存 在 であっ たと言 える事 ができる。
一 方 で メ デ ィア 側 の 反 応 に 対 し てチ ー ム の行 動 決 定 権 を 持 つ 取 締 役 イ ン タビ ュー
イーC さんは以 下 の様 なコメントをしている。
インタビューイーC さん
何が正しいかという問題になりますが、コメントを取る、取らない。会見をやるやらないは自由
と思うんですね。NBA でよく見ていたのは HC が解任されたらもう見ないんですよファンは。あ
と契約中かどうかが大事。契約が切れているのに会見をやってもらうのはおかしい話なんで
すよ。Win-Win でハッピーエンドは絶対ないんですよ。ただ今回の場合にお互いオブラートに
包んでやるべきかは必要かというとそうは思わない。
そこはまだ慣れてないのかなと思います。じゃあ好きだった選手が突然トレードされて次の日
から他のチームとして戦う事になったらお別れを言うチャンスもない。そこはまだファンが慣れ
ていないのかな。もちろん愛着があって思いがあるのは素晴らしい事だが、ではそこを記者
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会見で補えるのかと。選手もそうですけど、途中で辞める時は結構ドライで寂しいものだと思
います。
日本は特になんとかジャパンという監督が全てという考えがある。だから勝てないんじゃない
かと。組織で戦っているので、一人スゴい HC が来たから勝てるかというと違うと思う。その象
徴化がヘッドコーチに言ってしまったのかなと思います。そういう風潮は感じますね。ある意
味日本的ですが。退任してこれで終わる人とまだまだこれからがある人とでは違うでしょ。
以 上 のコメントからも分 かるように C さんはヘッ ドコーチとの契 約 期 間 が一 番 重 要 で
あるとし 、 NBA を 例 に「プロの世 界 は厳 し くドライ なもの」とし 、プロの世 界 にメディア
もファンもまだ慣 れていないという意 見 を語 っている。 この発 言 は C さんのアメリカ
NBA チームでの業 務 経 験 「僕はスタンダードが NBA の経験なので…(C さん)」が大 きく
影 響 していると言 えよう。
また C さんは日 本 の「監 督 が全 てという風 潮 」に異 論 を唱 え、監 督 一 人 でなく、「組
織 で 戦 う」とい うチーム概 念 を 表 すと同 時 に、「これ からがある人 」 という言 葉 から「チ
ーム新 体 制 」 への意 識 が強 く表 れ ている。 さら にこの事 はイ ンタビュー イ ー D さんの
「チー ム 側 が 敢 え て前 ヘッ ドコ ーチ の話 題 を 出 さなかっ た 事 へ の 違 和 感 」を 裏 付 け
るコメントともなっている。
要 するに両 者 間 のギャップはチーム側 の意 図 するチーム作 りや将 来 設 計 がメディ
ア側 に 十 分 な メッ セ ー ジと し て 伝 わっ てい なか っ た 事 と 、メ デ ィア やフ ァン にと っ ての
前 ヘッドコーチのニュースバリュー がチーム側 に十 分 に伝 えられていなかった事 で
引 き起 こされたものと考 えられる。
しかしこの一 件 を、チーム側 もメディア側 も大 きな課 題 として感 じており、 「球 団 トッ
プの考 え方 の指 針 が出 ることで方 向 性 に準 じた報 道 ができ る のでは」(A さん)「懇
親 会 などを 利 用 する事 で組 織 的 、個 人 的 コミュニケ ーシ ョンの向 上 に つながる 」(B
さん)「信 頼 関 係 に応 じた情 報 量 」(E さん)とある様 に、両 者 間 でコミュニケーション
環 境 向 上 への姿 勢 が見 られる。
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小 林 ( 2007 ) は 「 メ デ ィ ア と の 信 頼 関 係 を 構 築 し て い く 為 に 、 メ デ ィ ア と の 懇 親 会 を
開 催 し たり、 試 合 を わ かりやす く解 説 する デ ータを 揃 え るなど 細 や かな神 経 が 必 要 。
情 報 を 発 信 するプレ ス リリ ー スやデ ー タ作 成 に もテク ニッ ク が 求 め られ る」とし ている
事 から特 に情 報 発 信 におけるチーム広 報 担 当 者 の役 割 は重 要 度 を増 していると
言 えよう。
(3)知 識 ・スキル
報 道 手 法 に関 する知 識 ・スキルに関 しては両 者 の視 点 から改 善 余 地 ありを 意 図 す
るコメントが多 く得 られ た。
チーム側 は(1)意 識 の 変 化 で 記 し た「 より掘 り 下 げた 報 道 」 の具 体 的 な内 容 と し て、
「勝 敗 結 果 以 外 のサイドストーリー」や「対 戦 相 手 ・地 域 外 の情 報 」など「チーム自
身 が発 信 で きない 情 報 」の 重 要 性 が語 られ 、 その 根 拠 を 「チー ム の メ ディ ア 意 識 の
向 上 」と「潜 在 的 顧 客 の獲 得 」としているが、その理 由 をチーム取 締 役 D さんの以
下 のコメントに見 出 す事 ができる。
インタビューイーD さん
僕らが選手達の怪我の情報を出さないので、そういう小さい情報が出るのが大切。僕らが出
すべき情報と出すべきではない情報と2つあって、出すべきじゃない情報は興味がある人に
とっては面白いものであり、それが積み重なってより価値が出てくると思う。そこに面白みが
出てくる。うちがやらない事をやってくれる事が大切。情報が増える事でより多くのお客さんに
興味を持ってもらえる。
ここで の意 図 はチームが伝 え られ ない細 かい情 報 を メディアが出 し続 ける事 で 価 値
ができ、まだ観 戦 に訪 れていない潜 在 顧 客 へのアピールになるという様 に読 み取 れ
る。
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一 方 、メディア側 も 視 点 のマ ンネリ化 への危 機 感 から「創 意 工 夫 」といっ たキーワー
ドが導 き出 された。
この事 にはテレビ報 道 分 野 にいた山 本 (1995) の著 書 の中 に「定 期 的 にある時 間 枠
を埋 めなければならないニュース番 組 では、ビッグイベントや注 目 ゲームのない平 凡
な日 にも、それなりに凌 いで放 送 に耐 えうる話 題 を提 供 しなければならない。言 い
換 えればそうしたニュースのない『ネタ枯 れ』の日 こそ、何 をどう見 せるかが一 番 問 わ
れ ている」 と あ る様 に 、 絶 え ず 放 送 の 話 題 を 考 え な けれ ばな ら ない、 取 材 者 の 内 面
的 な葛 藤 が内 包 されていると言 えよう 。
またアナウ ンサーと して試 合 を 実 況 する機 会 が多 いイ ンタビューイ ーの F さんは取
材 者 が「プロの視 点 を持 つ事 」に加 えて以 下 の様 にコメントしている。
インタビューイーF さん
たぶんこのチームは全体的に取材しやすくて、選手でも監督へのアプローチでも自分たちの
この視点でやりたいというは通る気がします。だけどチーム側がここ1年ぐらいもっとプロに近
づけたいという事で規制がかかって、一部からは不満の声も出始めているとは思いますが、
これも含めてプロの取材という割にはまだ僕らはアマチュア取材との差別化がうまくできてい
ないんじゃないかと。まだこれを出したいあれを出したいというところまで行っていないかもし
れない。それこそプロとしてしっかり取材するならもっと年俸や契約や戦力面などもっと独自
取材でやらないと。まだ基本広報からの情報に頼っている気がする。まだ何を取材したいと
か、全面に出したいという所を明確に出していく必要性はあるとおもう。
上 記 のコメントはアマ チュア 競 技 と の差 別 化 が出 来 ていないメディアの報 道 手 法 や
独 自 取 材 の不 足 など 、 「 チーム広 報 依 存 体 質 」へのアンチテーゼで もあり、報 道 手
法 への改 善 余 地 に対 してのメディア側 の強 い課 題 意 識 がうかがえる。
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(4)地 域 と のつながり
ニ ュ ー ス 報 道 を 通 じ た 地 域 と の 関 わ り が 示 さ れ た こ の カ テ ゴ リ ー で は 「地域の子供達
の憧れや夢である意識」(A さん)、「大事なのは子供達のモチベーションをどうあげるか」(C
さん)、「子供達の夢になる報道を」(F さん)と、チーム側 、メディア側 共 に「子 供 」を意 識
した発 言 が目 立 った。
相 原 ( 2007 ) は 「 他 ス ポ ー ツ や 、 他 エ ン タ ー テ イ メ ン ト と の 競 争 の 中 で 勝 利 し 、 消 費
者 ( 観 客 ) か ら 選 ば れ る コ ン テ ン ツ に な る た め に は 、 積 極 的 な CSR(Corporate
Social Responsibility= 企 業 の社 会 的 責 任 )活 動 によるコーポレートブランド構 築 が
今 後 ますます重 要 になってくる」とし、「昨 今 のスポーツ界 の大 きな潮 流 として挙 げ
られる『地 域 密 着 戦 略 』こそ、プロスポーツチームならではの CSR 活 動 の方 向 を示
している」と述 べている。
この事 は「強 くてかっこよく、地 域 の模 範 」になる事 で地 域 社 会 の子 供 達 にアピー
ルを図 りたい A 県 のチームと「報 道 のフ ィルター」を通 して子 供 達 に夢 を与 えたい メ
ディア側 のそれぞれ動 機 を少 なからず裏 付 けるものであると言 える。
一 方 で、「チーム側との一定の距離感と、互いに言い合える関係があってこそ地域からの理
解と支持を受けられる」(E さん)と あ る 様 に 、 メディ ア 側 の 「 独 立 性 」 が あっ て こ そ 地 域
への信 頼 につながると いうメディア側 の意 見 も見 ら れ た。この事 は報 道 機 関 としての
「中 立 性 」や「監 督 機 能 」が地 域 からの信 頼 につながるというメディアの社 会 的 使 命
を表 しているとも言 える。
(5)ブランディング
「自 社 ブ ラ ンド を マ ス メ ディ アを 通 し て 広 く 知 ら し める広 告 宣 伝 機 能 を 『ブ ラ ンデ ィン
グ』(branding)と呼 ぶ」(原 田 ら 2008)
この「付 加 価 値 を生 み出 す」ブランディングについてチーム取 締 役 の C さんは
- 31 -
「勝敗に左右されない価値づくり」「勝っているうちに広げておかないと」と発言。
こ れ は 「プ ロ ス ポー ツ の場 合 は 中 核 プ ロダ ク トで あ るチ ー ムパフ ォ ーマ ン ス が コ ン ト ロ
ールで きない と い う不 確 定 要 素 が強 く、 これ が資 産 価 値 を 不 安 定 なものにし ている 」
(原 田 ら 2008)の言 葉 をまさに裏 付 けるコメントであり、この「不 確 定 要 素 」を少 しで
も取 り除 きたい C さんの意 向 が「ニュース報道にストーリー性がないと価値が出ない」「(ニ
ュース報道が)前を引きずってしまっているなという感じはありますよね。優勝した事もありま
すし。でも僕らはさらにその先を見ているのでそこを見て欲しいなと。そこをシビアにやってい
る事を分かって欲しい」(C さん)と い っ たメ デ ィア 側 へ の 積 極 的 な 働 き か け に つな がっ
ていると考 えられる。
こ れ に 対 し メ デ ィ ア 側 の 「 ブ ラ ン デ ィ ン グ 」 に 対 す る 意 見 は 「要望としてはチームが作り
たいブランディングという部分であっても、うちは伝えていかないといけない自分達の指針も
あるから」(D さん) 「もっと品格のあるチームに育て上げたいからマスコミとしてもこういう報
道をして欲しいというのはありましたけど、難しいですよね。」(E さん)と、ブランデ ィン グに
対 して慎 重 な意 見 が寄 せられた。この事 は(4)地 域 とのつながりでも示 された「独
立 性 、中 立 性 を守 りたいメディアの意 向 」が大 きく影 響 していると考 えられる。
しかしインタビューの中 で は
「今は勝ち続けているけど、負け続けた時に、浦和レッズや阪神みたいに応援してもらえる様
な球団になるような報道の仕方が大事。それは選手1人1人の内面を出して上げる。選手が
好きだからチームが好きとなるような報道を」(E さん)
「 プロスポーツが衰退しないように、競技の魅力を出し続ける。でもチームが未熟であるとこ
ろを気づいている自分たちはどうやったらチームが成長できるかをしっかり提案する。その為
には県外や外国の事例を取材して、今後は球団にもプラスになるような取材をしていかない
とどこかで頭打ちになると思う。」(F さん)
とある様 に、チ ーム の 意 向 を 理 解 し 、 自 分 達 の 視 点 で チー ムや 競 技 の 価 値 を 高 め
育 てていかないと A 県 のプロスポーツが衰 退 してしまうというメディア側 の危 機 意 識
が表 れていることも読 み取 る事 ができる。
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(6)人 的 ・金 銭 的 ・時 間 的
このカテゴリーでは第 二 節 の結 果 の中 でチーム側 より「もっとお互 い重 要 なもので
ある認 識 を高 める為 に何 が必 要 かと。その中 で番 記 者 の必 要 性 とかも出 てくる 」
( C さ ん ) と、球 団 専 属 記 者 で ある「番 記 者 の 必 要 性 」 を 示 し 、「 各 社 のやる気 と余
裕 」を試 す発 言 をした。
これ に対 し メディア側 は番 記 者 の必 要 性 は理 解 し ながらも、現 状 としては設 置 が困
難 であるいう見 解 がなされたが、インタビューの中 で実 況 アナウンサーの F さんはこ
う話 している。
インタビューイーF さん
「地方局に関しては放送局側のジレンマの方が大きいと思うんですよ。人員であったり、配置
であったり、会社としてはスポーツは若手がやるべきみたいな風潮もあって、実況以外の現
場に行くことが少しずつなくなっている。でも会社と戦いながらも自分の最終的にやりたい事
は守っていく。なので現状はチームではなくて、自分の方にジレンマはある。結局、この県の
スポーツチームで、チーム側に対してどんなに頑張ってもそこは突き崩せないみたいなところ
はまだないんじゃないかな。全部こちら側で頑張れば打破できる問題しかないんじゃないかと
思う」
F さん は球 団 か らの 新 たな試 み へのチャ レ ン ジを 提 示 され てもそれ に応 え られ ない
地 方 局 の現 状 を 「自 分 たち のジレ ンマ で あ る」 と表 現 し た 。こ こ に テレ ビ局 自 体 の ス
ポーツコンテンツに対 するスタンスと現 場 担 当 者 の葛 藤 が内 包 されていると言 える。
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第五章
結論
第 一 節 まとめ
本 研 究 ではテレ ビスポーツ報 道 に与 え う る具 体 的 影 響 要 因 を明 らかにする為 に A
県 のプロバスケットボールチームと民 放 テレビメディアを事 例 に質 的 な側 面 から調
査 を おこなってきた。その結 果 、 (1) 意 識 の変 化 (2) コミュニケーション (3) 知 識 ・ス
キル (4)地 域 とのつながり (5)ブランディング (6)人 的 ・金 銭 的 ・時 間 的 の 6 つの
カテゴリーを形 成 する事 ができた。
(1) 意 識 の 変 化 で は 「 優 勝 」 に よ り 集 客 力 と 知 名 度 を つ け た チ ー ム 側 がニ ュ ー ス 報
道 に対 して「認 知 度 向 上 」から「より掘 り下 げた視 点 」という新 たなメディア戦 略
を 持 つようになっ た。 こ れ らの意 識 は潜 在 的 に 「勝 敗 報 道 」 に対 する 「 潜 在 的 な
課 題 意 識 」を抱 えていたメディア側 に変 革 意 識 を植 え付 ける事 となった。
(2) コミ ュニ ケー ショ ン に 関 し ては 1つ の 事 例 ( 前 ヘッ ド コーチ の 退 任 を 巡 る 報 道 ) に
おいてチー ムと メデ ィア 間 で 意 識 ギャ ッ プが 認 められ た 。 この 事 はチー ム側 の意
図 する「将 来 設 計 」や「チーム方 針 」といっ た情 報 とメディア側 の意 図 する「前 ヘ
ッドコーチのニ ュースバリュー」といっ た情 報 が 互 いに共 有 されていなかった事 に
起 因 さ れ る と 言 え る 。 ただ こ の 一 件 以 降 、 両 者 間 の 「 コ ミュニ ケ ーシ ョン 」 に 対 す
る意 識 は高 くなり、 「球 団 代 表 の 方 針 を 伝 え る 場 」や「 懇 親 会 」 の活 用 など が提
案 されるなど、課 題 解 決 への姿 勢 が表 れている事 が示 唆 される。
(3) 知 識 ・スキ ルについ ては 「勝 敗 以 外 のス トー リ ーや」「対 戦 相 手 、地 域 外 の情 報 」
など「チーム自 身 が発 信 できない情 報 」の重 要 性 が語 られ、その理 由 としては
「 チ ー ム の メデ ィ ア 意 識 の 向 上 」 と 「 潜 在 顧 客 の 獲 得 」 が 示 唆 され た。 ま た メ デ ィ
ア側 で はアマ チュア競 技 と の取 材 手 法 の差 別 化 がで きていない現 状 と、「 独 自
取 材 の不 足 」や「チーム広 報 担 当 への依 存 体 質 」などを挙 げ、取 材 手 法 改 善
への強 い課 題 意 識 が示 されたと言 える。
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(4) 地 域 と の つ な が り に 関 し て は チ ー ム 、 メ デ ィ ア 側 か ら 共 通 の 「 地 域 の 子 供 達 」 と
いうキーワードが導 きだされた。この事 はスポーツが持 つ CSR 活 動 とし ての機 能
と し て 「 地 域 密 着 戦 略 」と 結 び つ け る 事 がで きる 。 ま た 、 メ デ ィ ア 側 はチ ー ム と 一
定 の距 離 を置 く「中 立 性 、独 自 性 」の担 保 が地 域 との信 頼 を得 るとした。
(5) ブランディングに関 しては「勝 敗 に左 右 されない価 値 づくり」を目 的 にニュース報
道 にその役 割 を担 ってもらいたいチーム側 に対 し、メディア側 は「報 道 の中 立 性 、
独 自 性 」を 理 由 に 慎 重 な 姿 勢 を 見 せ た が、 チー ム の 意 向 を 理 解 し た上 で 自 分
達 の視 点 でチーム価 値 を高 めていく報 道 をしていかないと、 A 県 のプロスポーツ
文 化 は育 たないというメディア側 の危 機 意 識 も読 み取 る事 ができた。
(6) 人 的 ・金 銭 的 ・時 間 的 につい てはチーム側 から両 者 が重 要 なもので ある認 識 を
高 める手 段 としてチーム専 属 記 者 で ある「番 記 者 」の必 要 性 が求 められたが、メ
ディア側 は番 記 者 の重 要 性 は理 解 しながらも、現 状 では人 的 にも予 算 的 にも
設 置 は 困 難 で あ ると し 、 チ ー ム 側 の発 展 的 な提 案 に 対 し て も 応 え る事 が で き な
い「地 方 局 としてのジレンマ」が語 られた。
全 体 的 に 見 た 場 合 、 い く つ か の 差 異 は 認 め られ る が 多 く の カ テ ゴ リ ーに お い て 、 チ
ーム 側 か らの 要 求 や 働 きかけ に よ り、 メデ ィ ア 側 がニュ ー ス報 道 への 視 点 や 姿 勢 を
変 化 させている傾 向 が考 えられる。大 きな理 由 としては A 県 におけるプロバスケット
ボールチームの「スポーツコンテンツとしての価 値 」が高 まっている事 を 示 唆 するもの
であるが、それはまた同 時 に両 者 間 の WIN-WIN の関 係 を表 すものではないだろ
うか。
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第 二 節 研 究 の限 界 と今 後 の課 題
本 研 究 ではこれまであまり語 られてこなかったメディアスポーツ産 業 に関 わる当
事 者 達 のそれぞれの立 場 に応 じた「考 え方 」や「背 景 事 情 」また「それらに影 響 を
与 える具 体 的 な要 因 」を明 らかにする為 、質 的 な側 面 から調 査 をおこなった。
特 にメ デ ィア ス ポー ツ の 最 初 の 情 報 発 信 者 と なる スポ ーツ 競 技 団 体 に スポッ トを 当
てた 事 で 導 き 出 され た「 地 域 と のつ な がり 」とい うキ ー ワー ドは 昨 今 の プロ ス ポー ツリ
ーグが進 め る「地 域 密 着 戦 略 」を表 し 、スポーツとメディアが協 力 する事 で実 現 する
「地 域 貢 献 」の可 能 性 を 示 せた事 はメディアスポーツ研 究 発 展 の一 助 となっ たと言
えよう。
し かし 本 研 究 はごく限 定 的 な地 域 とスポーツ 競 技 団 体 を 対 象 とし た単 一 事 例 に過
ぎず、中 央 競 技 団 体 と 在 京 キ ー局 への適 用 や、 定 量 的 な 指 針 を 用 いた 明 確 な因
果 関 係 を実 証 などまだまだ課 題 は多 い。
また本 研 究 は送 り手 側 である「競 技 団 体 」「メディア」に焦 点 を絞 った調 査 であり、
今 後 は そ の 先 にあ る 情 報 の 受 け 手 、 つま り「 視 聴 者 」 が テレ ビ 報 道 に求 め るニ ー ズ
や傾 向 とい った「受 け手 側 の側 面 」から見 た メディアスポーツという視 点 も今 後 注 目
すべき点 であると考 えられる。
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謝辞
本 研 究 を執 筆 するにあたり、指 導 教 官 である間 野 義 之 先 生 より様 々なご指 導 、
ご指 摘 を賜 りました事 を 厚 く御 礼 申 し上 げます。
1 年 間 という短 い時 間 の中 でしたが、 学 術 研 究 への取 り組 み方 、そして何 よりも
日 本 スポーツ界 の地 位 向 上 の為 のミッションにどう取 り組 むべきかという高 いスポー
ツマインドをご教 示 頂 きました。
また口 頭 試 問 にて副 査 を引 き受 けて頂 いた礒 繁 雄 先 生 、作 野 誠 一 先 生 、そして
忙 しい業 務 の時 間 を割 いて本 研 究 の調 査 に快 く応 じて頂 いた A 県 プロバスケット
ボールチーム関 係 者 と 報 道 関 係 者 の方 々。
そして社 会 人 修 士 とし てこの1年 間 の苦 楽 を 共 にしてきた間 野 ゼミ同 期 の皆 さんと
何 かとアドバイスをして頂 いた M1、M2 の院 生 の皆 さん。
この場 を借 りてお世 話 になった全 ての 方 々へ心 より感 謝 の意 を申 し 上 げます 。
本 当 に有 難 うございました。
平 成 25 年 2 月 21 日
小笠原 大介
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