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平成26年度アジア産業基盤強化等事業 (人材ネットワーク
平成26年度アジア産業基盤強化等事業 (人材ネットワーク構築によるBOPビジネ ス推進の可能性調査)に係る 最終報告書 平成27年2月 あらた監査法人 目次 1. 2. 本報告書の背景・目的及び調査の進め方 7 1.1 背景 7 1.2 目的 8 1.3 調査方法 9 概要 10 政府が優先的に取り組むべき BOP ビジネスの課題 10 2.1 2.1.1 会社の方針 10 2.1.2 資金 11 2.1.3 パートナー/人材 11 優先課題に対する提言 11 2.2 2.2.1 会社の方針の変革に関する提言 11 2.2.2 資金に関する課題の解決に向けた提言 12 (1) 事業立ち上げ段階における投融資支援 12 (2) 事業準備段階における資金に対する支援 13 (3) 商品開発段階における資金に対する支援 13 2.2.3 (1) 現地人材育成研修に関する支援 14 (2) ネットワークリストを用いたパートナー/人材発掘支援 14 BOP ビジネス促進と新興国戦略 15 2.3 3. パートナー/人材に関する課題の解決に向けた提言 14 調査を通じて得られた知見及び検討結果の詳細 16 日本企業が抱える課題と優先課題の特定 16 3.1 3.1.1 課題の分類〜BOP ビジネスの事業化を阻害する 9 つの課題〜 16 3.1.2 課題の構造化と優先課題分野の特定〜政府が取り組むべき 3 つの優先課題〜 16 3.1.3 (1) 優先課題① 会社の方針に関する 3 つの課題 17 (2) 優先課題② 資金に関する 4 つの課題 18 (3) 優先課題③ パートナー/人材に関する 5 つの課題 20 3.1.4 3.2 優先課題の詳細 17 事業モデル別 Key Success Factor と具体例 21 (1) 事業モデルによる BOP ビジネスの分類 21 (2) 事業モデル別 Key Success Factor 25 (3) 日本企業の BOP ビジネスの取り組み事例 25 (4) 他国の BOP ビジネスの取り組み事例 28 BOP ビジネス促進に向けた提言① (企業が抱える優先課題への対応) 30 2 3.2.1 (1) 3.2.2 資金に関する課題の解決に向けた提言 30 事業立ち上げ段階における直接的投融資支援 30 (2) 事業立ち上げ段階におけるファンドを通じた間接的投融資支援 33 (3) 事業準備段階における資金に対する支援 35 (4) 商品開発段階における資金に対する支援 36 パートナー/人材に関する課題の解決に向けた提言 37 (1) 現地人材育成研修に関する支援 38 (2) ネットワークリストを用いたパートナー/人材発掘支援 41 公的機関による既存支援 44 3.3.1 日本の既存支援 44 3.3.2 海外の既存支援 45 3.4 4. 経営者に対する勉強会/カンファレンス 30 (1) 3.2.3 3.3 会社の方針の変革に関する提言 30 (1) 各国政府が提供する支援 45 (2) 各国政府が提供する支援の具体例 49 (3) インパクトファンド設立を巡る世界の動き 50 現地パートナー/人材確保に関する要因と助言 54 3.4.1 現地パートナー/人材確保に関する要因と助言の概要 54 3.4.2 ケニア 55 3.4.3 エチオピア 55 3.4.4 インド 56 3.4.5 バングラデシュ 56 調査プロセス 57 4.1 調査対象国の選定 57 4.1.1 BOP ビジネスに取り組む企業のロングリスト化 57 4.1.2 各企業の事業対象国の洗い出し 57 4.1.3 調査対象国選定条件設定 57 4.1.4 調査対象国の選定結果 57 4.2 日本企業が抱える課題調査・分析 58 4.2.1 調査の進め方 58 4.2.2 Step1:アンケート調査 59 4.2.3 Step2:インタビュー調査 59 4.2.4 Step3:優先課題分野の特定 59 4.2.5 Step4:優先課題の深堀り 60 (1) 優先課題①会社の方針に関する 3 つの課題の同定プロセス 60 (2) 優先課題②資金に関する 4 つの課題の同定プロセス 60 3 (3) 4.3 企業が抱える優先課題への対応方法の検討 61 4.3.1 既存支援の有無の確認 61 (1) 資金に関する課題への対応方法 62 (2) パートナー/人材に関する課題の解決への対応方法 63 4.3.2 既存公的支援の活用方法に関する提言 64 4.3.3 新規公的支援制度策定に関する提言 64 (1) 4.4 ネットワークリストを用いたパートナー/人材発掘支援 作成プロセス 64 公的機関による既存支援の調査 65 4.4.1 5. 優先課題③パートナー/人材に関する 5 つの課題の同定プロセス 60 公的機関による既存支援の調査 65 (1) 調査の進め方 65 (2) 海外現地調査 65 (3) デスクトップ・インタビュー調査 66 Appendix 67 5.1 調査対象 BOP ビジネス内訳 67 5.1.1 調査対象企業の内訳 67 5.1.2 ビジネスモデル別企業数 68 5.2 アンケートシート 69 5.3 インタビューシート 70 5.4 各国のネットワーク一覧 71 5.5 日本の経済協力ツール一覧 77 4 図表一覧 図表番号 図表タイトル 掲載頁 図表 1-1 ボリュームゾーンとしての BOP 層 7 図表 1-2 BOP ビジネス・インクルーシブビジネスとは 7 図表 1-3 本調査の目的・目標 9 図表 3-1 BOP ビジネスの事業化を阻害する 9 つの課題 16 図表 3-2 政府が優先的に取り組むべき課題の抽出 16 図表 3-3 会社の方針に関する 3 つの具体的課題 17 図表 3-4 資金に関する 4 つの具体的課題 18 図表 3-5 パートナー/人材に関する 5 つの具体的課題 20 図表 3-6 事業モデルによる BOP ビジネスの分類 21 図表 3-7 複数事業モデルの適応例 25 図表 3-8 事業モデル別 KSF 25 図表 3-9 日本企業の BOP ビジネスの取り組み事例 1 26 図表 3-10 日本企業の BOP ビジネスの取り組み事例 2 26 図表 3-11 他国の BOP ビジネスの取り組み事例 1 28 図表 3-12 他国の BOP ビジネスの取り組み事例 2 29 図表 3-13 事業立ち上げ段階における既存直接的投融資支援 31 図表 3-14 公的機関による既存投融資支援制度と課題 32 図表 3-15 公的機関の制度を活用した直接的投融資支援 33 図表 3-16 新ファンドの運用展開計画と各ステップの資金拠出者 34 図表 3-17 BOP ビジネスが利用できる既存研修制度 38 図表 3-18 公的機関による既存人材育成の活用方針案 40 図表 3-19 販売員への人材育成研修の展開方法 41 図表 3-20 ネットワークリストの運用展開計画 43 図表 3-21 ネットワークリストの個別課題への対応【非公開】 図表 3-22 事業立ち上げに至るまでの事業フェーズの定義 44 図表 3-23 日本の公的機関による BOP ビジネス支援スキーム 45 図表 3-24 各国政府や国際機関の BOP ビジネス支援スキーム例 46 図表 3-25 各国政府や国際機関の BOP ビジネス支援スキーム例一覧 46 図表 3-26 戦略枠組の主要な柱 49 図表 3-27 DFID の Impact Fund の概要 50 図表 3-28 インパクトインベストメントの資金拠出者の変遷 51 図表 3-29 インパクトファンド事例 52 5 図表 3-30 インパクトインベストメントの経済的リターン 53 図表 3-31 インパクトインベストメントの市場規模 53 図表 3-32 プライベートエクイティ市場の変遷 54 図表 3-33 ケニアにおける BOP ビジネスの課題の要因と助言例 55 図表 3-34 エチオピアにおける BOP ビジネスの課題の要因と助言例 55 図表 3-35 インドにおける BOP ビジネスの課題の要因と助言例 56 図表 3-36 バングラデシュにおける BOP ビジネスの課題の要因と助言例 56 図表 4-1 対象国の選定 58 図表 4-2 BOP ビジネスに取り組む日本企業の実態調査の進め方 59 図表 4-3 パートナー/人材に関する課題の機能による分類 60 図表 4-4 事業モデル別機能別パートナー/人材に関する具体的課題 61 図表 4-5 資金に関する課題への対応方法 62 図表 4-6 BOP ビジネスに必要な現地人材育成研修 63 図表 4-7 公的機関による既存支援の調査方法 65 図表 5-1 調査対象企業内訳 67 図表 5-2 ビジネスモデル別企業数 68 図表 5-3 アンケートシート 69 図表 5-4 インタビューシート 70 図表 5-5 調査結果一覧【非公開】 図表 5-6 各国ヒアリング先【非公開】 図表 5-7 ネットワークリスト(ケニア) 71 図表 5-8 ネットワークリスト(エチオピア) 73 図表 5-9 ネットワークリスト(インド) 74 図表 5-10 ネットワークリスト(バングラデシュ) 75 図表 5-11 日本の経済協力ツール一覧 77 6 1. 1.1 本報告書の背景・目的及び調査の進め方 背景 近年、少子高齢化による先進国市場 図表 1-1:ボリュームゾーンとしての BOP 層 の縮小、イノベーション競争の限界、 PPP (USD) 既存市場における中国・韓国企業の追 $20,000 + い上げ等により、日本でも新しい市 $3,000 - 場・ビジネスモデルを模索する動きが Population ToP 75 – 100million MoP 1.5 billion BoP $1,500- $3,000 (Tier 3) 活性化している。そうした状況の中、 世界人口の 7 割を超える 40 億人を占 Next 4 billion BoP Under $1,500 (Tier 4) める BOP(Base of the Pyramid)層が ネクスト・ボリュームゾーンとして注 目されている。特に、2013 年 5 月に 出典:PwC, “Profitable growth strategies for the Global Emerging Middle” (2012.1) 開催された第 5 回アフリカ開発会議 (TICAD V)では、安倍総理が「アフリカに必要なものは民間の投資、それを活かす官民 の連携であり、これまでのアフリカ支援のやり方は一新する必要がある」と述べたこと、 また横浜宣言においては「民間セクター主導の成長の促進」が 6 つの重点項目の筆頭に掲 げられたこと等を受け、高い人口増加と経済成長を誇るアフリカ BOP 市場への注目が日本 国内でも急速に高まっている。 図表 1-2:BOP ビジネス・インクルーシブビジネスとは 世界的にも、途上国に バリューチェーン おける成長する市場を いち早く取り込むため 事業の 流れ 調達 生産 流通 販売 消費者 自営業者 消費者 に、BOP 層を積極的に 企業活動のバリューチ BOP層 の参画 の一例 小規模農家 労働者 女性起業家 ェーンに組み込み、経済 的利益と社会問題の解 決を両立する BOP ビジ 顧客またはビジネスパートナーとして バリューチェーンにBOPを組み込む ネス・インクルーシブビ ジネスに参画する企業、 出典:PwC,「BoP インクルーシブ・ ビジネス支援 ネクスト・ボリュームゾーン へのアクションはいかに」(2011) 社会起業家、NPO 法人 等が相次いでいる。 しかし、途上国では、高い経済成長を誇るものの、未だインフラやバリューチェーンが 整わない、生産の質が悪い、人材のキャパシティが不足している等のリスクがあるため、 BOP ビジネスを試みる企業は様々な困難に直面している。 7 そのため、BOP ビジネスに民間企業の進出を促すために、様々な方法で官民連携が行わ れてきた。わが国では、経済産業省(METI)による情報交換プラットフォーム設立、独立行 政法人国際開発機構(JICA)による補助金提供、独立行政法人日本貿易振興機構(ジェト ロ)による調査実施、企業支援等を通じて BOP ビジネスを支援している。また、世界的に も、英国国際開発省(DFID)の Business Innovation Facility(BIF)1、スウェーデン国際開発 協力庁(SIDA)の Innovation Against Poverty(IAP)2 等が民間企業による BOP ビジネスに 対する支援を行っている。 こうした官民連携の試みを通じ、わが国を含め世界的に、BOP ビジネスの成功要因と課 題に関する知見が蓄積されつつある。その中で、多くの企業が直面する課題の一つとして、 調達・生産・流通・販売・広告等における適切なパートナーの確保や人材のキャパシティ の問題が挙げられている。 このような状況の中、公共性が高い情報の共有や人材に係る分野において官民が連携し、 資金調達や適切なパートナー/人材の確保等、BOP ビジネス促進に向けた方策が求められて いる。 1.2 目的 本調査の目的は、日本企業の新興国市場進出の一手段としての BOP ビジネスを促進する ために、民間企業が抱える課題、特にパートナー確保、人材育成に関する課題に対し、効 果的な官民連携の方策を検討することである。そうすることにより、上位目的である日本 企業の新興国市場進出の促進に寄与することを図る。 この目的を達成するために、5 つの目標を設定した。 ① 成功要因分析:BOP ビジネスの成功要因と課題を産業やバリューチェーン別等に整理 し、企業が参考としやすいように工夫する ② 育成人材活用:日本が育ててきた人材(JICA、一般財団法人海外産業人材育成協会 (HIDA) 、日本への留学生等)と日本企業との連携可能性を探る 1 DFID が 2010 年 7 月から実施している 4 年間のパイロットプログラムであり、 計 GBP7Million(約 10 億 5000 万円)の資金を拠出している。PwC UK がプログラム全体のマネジメントを行い、PwC UK 及び提 携している International Business Leaders Forum(IBLF)と Accenture Development Partners (ADP)が側面支援 (TA)やアドバイザリーサービスを BOP ビジネス実施企業に提供している。 2 Innovation Against Poverty (IAP)プロジェクトは、SIDA が を 2011 年より開始し、BOP ビジネスに関わ っている民間企業へ資金提供及びアドバイサリーサービス提供を行っている。 8 ③ パートナー確保:現地事情に精通した人材やパートナーを企業が発掘し活用しやすく するための方策を検討する。さらにその継続的な維持/更新プロセスを工夫する ④ 支援制度の提案:官民連携による日本企業の新興国市場獲得支援の促進及び持続的か つ効果的な経済協力ツールの活用方法を提案する ⑤ 政策への提言:調査の結果から平成 26 年度「経済産業政策の重点」の新興国戦略 3 類 型×3 分野に対し「新興中間層」に関する政策提言を行う 図表 1-3:本調査の目的・目標 上位 目的 日本企業の新興国市場進出を促進するための方策を検討する 目的 日本企業の新興国市場進出の一手段としてのBOPビジネスを促進するために、民間企業が抱える課 題、特にパートナー確保、人材育成に関する課題に対し、効果的な官民連携の方策を検討する 当 調 査 の 目 標 目標1 目標2 目標3 目標4 目標5 【成功要因分析】 BOPビジネスの成 功要因と課題を産 業やバリューチェー ン別等に整理し、企 業が参考としやす いように工夫する 【育成人材活用】 日本が育ててきた 人材(JICA、一般 財団法人海外産業 人材育成協会 (HIDA)、日本への 留学生等)と日本企 業との連携可能性 を探る 【パートナー確保】 現地事情に精通し た人材やパート ナーを企業が発掘 し活用しやすくする ための方策を検討 する。さらにその継 続的な維持/更新 プロセスを工夫する 【支援制度の提案】 官民連携による日 本企業の新興国市 場獲得支援の促進 及び持続的かつ効 果的な経済協力 ツールの活用方法 を提案する 【政策への提言】 調査の結果から、 平成26年度「経済 産業政策の重点」 の新興国戦略3類 型×3分野に対し 「新興中間層」に関 する政策提言を行う 出典:調査団作成 1.3 調査方法 本調査は 2014 年 8 月から 2015 年 2 月の計 7 か月間に渡って取り組んだ。本調査では、 企業の支援ニーズ及び公的機関のシーズ把握を行い、両者のギャップを明らかにし、優先 課題の解決に繋がるツール活用法提言に取り組む方針とした。 まず調査を進めるため、調査対象国の選定を行った。BOP ビジネスに取り組む日本企業 の事業対象国をリスト化し、そこから選定条件に基づいて調査対象国を特定した。 次に企業の支援ニーズを把握するために、BOP ビジネスに取り組む各企業の活動実態を 調査した。調査方法としては、①アンケート調査、②インタビュー調査、③有識者研究会 9 における有識者の意見聴取、④調査団の知見整理の方法を用いた。これらの調査より、企 業の BOP ビジネス促進を阻害する課題の抽出を行い、さらにその課題の優先付を通じて、 「政府が優先的に取り組むべき課題」を特定した。 さらに公的機関のシーズを把握するために、公的機関の実態調査を行った。調査方法と しては、①デスクトップ調査、②国内及び海外 4 ヶ国(ケニア、エチオピア、インド、バン グラデシュ)における公的機関へのヒアリング、③有識者研究会における有識者の意見聴取、 の方法を用いた。これらの調査により、公的機関による既存支援や公的機関が有するネッ トワークの抽出を行った。 最終的に企業の支援ニーズに対する公的機関の支援状況を分析し、企業ニーズと公的機 関シーズのギャップを抽出した。そしてそのギャップに対し、経済協力ツール活用法の提 言内容を検討した。 2. 2.1 概要 政府が優先的に取り組むべき BOP ビジネスの課題 本調査を通じて整理された、 「政府が優先的に取り組むべき BOP ビジネスの課題」は、① 会社方針、②資金、③パートナー/人材に関する 3 つの課題である(課題整理の詳細は 3.1 章参照) 。具体的には以下の通り。 2.1.1 会社の方針 会社方針と BOP ビジネスが合致しないことにより、社内承認が得られず、事業化が阻害 される事例がみられる。これは特に大企業でしばしばみられる事例である。主に、経営層 の BOP ビジネスに対する理解不足がこうした事例の背景にはあると考えられる。 日本の経営層の多くは、BOP ビジネスは通常よりも準備にコストがかかり、更に投資回 収期間が長いため、ビジネスとして採算性が見込めないと考えている。そのため、事業部 が BOP ビジネスを推進しようとしても、経営層が他の事業を優先したり BOP ビジネスを承 認しなかったりという事例がみられる。 また、BOP ビジネスを実施している企業でも、経営者が、BOP ビジネスを CSR 事業の一 環と位置付け、事業化に必要なリソースが配分されない等の課題が生じることが多い。 更に、経営層は、従来型のビジネスモデルや日本の成長期における成功体験に縛られて いる傾向がある。BOP ビジネスには、先進国のビジネスと異なるニーズや事業環境への柔 軟な対応が求められるが、こうした経営層は BOP ビジネスを実現するためのイノベーティ ブな発想ができず、事業が失敗に終わる事例がみられる。 10 2.1.2 資金 資金調達ができないことにより、商品開発やスケールアップ等の費用が調達できず事業 化が阻害される事例がある。 多くの BOP ビジネスは、事業化の様々な段階において、資金調達で困難に直面している。 BOP ビジネスに対する経営層の理解が薄い場合には、社内リソースが配分される可能性は 低い。また、BOP ビジネスは、これまでと異なる国で、新しいビジネスモデルを実施する ことが多いため、従来型の金融機関からの資金調達には困難が伴う。欧米では、BOP ビジ ネスを支援する財団等も存在するが、日本ではこうした機関はほとんどない。BOP ビジネ スに対する公的支援は多数存在するが、事業立ち上げ時の投融資支援は少ないうえに、存 在する投融資支援は BOP ビジネスへの活用例はほとんどない。このように、資金源として 想定される、①社内リソース、②民間金融機関からの投融資、③公的機関、④NGO/財団か らの支援、全てが限定的である。 2.1.3 パートナー/人材 適切なパートナー/人材が見つからないことにより、BOP ビジネスに必要な体制が組めず、 事業化が阻害されることも多い。 日本企業の求めるキャパシティを有するパートナー企業や人材が少ない。そのため、現 地人材発掘や育成に通常よりも時間や労力がかかるため、企業への大きな負担となってい る。 2.2 優先課題に対する提言 上記、優先課題に対し、それぞれ考えられる対応案を提言した。 2.2.1 会社の方針の変革に関する提言 2.1.1 章で述べたように、日本企業には、BOP ビジネスは CSR であり、経済的にビジネス として成立しないと考えている経営者や、BOP 市場でも従来型のビジネスモデルを展開し ようとする経営者が多い。そのため、こうした経営者を対象とした勉強会/カンファレンス を継続的に実施することを提言する。このような課題は、短期的に解決することは難しく、 中長期的に企業文化の変化・経営層のマインドセットの改革に取り組む必要があるためで ある。 勉強会/カンファレンスでは、BOP 市場におけるビジネス機会、BOP ビジネスの戦略的位 置付け、BOP ビジネス実現における経営層のコミットメントの重要性、BOP ビジネスにお 11 けるイノベーション等をテーマとして取り上げること等が有効である。 2.2.2 資金に関する課題の解決に向けた提言 2.1.2 章で取り上げたように、BOP ビジネスに利用できる資金源は限られている。BOP ビ ジネスを通じた日本企業の長期的成長の可能性と、通常ビジネスに比べた BOP ビジネスの コストの高さを勘案すると、公的機関が資金面で BOP ビジネスを後押しする必要があると 考えられる。そのため、本章では、(②- c)公的機関による資金支援が得られないという課題 (詳細は、3.1.3 章、図表 3-4 を参照)に対し、特にニーズが高い事業立ち上げ期(詳細は、 3.2.2 章を参照)について優先的に取り上げる。(1)事業立ち上げ段階における投融資支援 では、既存の公的資金の活用と、新規支援の策定を提言する。また、それ以外の(2)事業 準備段階における資金に対する支援、(3)商品開発段階における資金に対する支援におい ても、既存の公的資金の活用を提言する。具体的な提言の概要は以下の通り。 (1) 事業立ち上げ段階における投融資支援 既存の公的資金を活用して、事業立ち上げに必要な投融資を BOP ビジネスが得られるよ うにするためには、①既存の融資支援を提供する金融機関に対し、採算性の高いと思われ る案件を紹介し、投融資の成功事例を形成すること、②そうした成功事例の情報発信を通 じて、金融機関の「採算性の取れる BOP ビジネスも存在する」という認知を高めていくこ との 2 点が重要である。 例えば BOP ビジネスの事業立ち上げに利用可能な公的支援スキームは、JICA の海外投融 資に加え、商工組合中央金庫(商工中金)や日本政策金融公庫(日本公庫)等が提供する 既存の融資制度が複数存在する。しかし、これまで BOP ビジネスへの投融資が行われた実 績はほとんどない。その理由として、BOP ビジネスが従来型のビジネスと、実施国、ビジ ネスモデル、リスク、投資回収期間等の点において大きく異なることが挙げられる。これ らの金融機関が BOP ビジネスに対して有している、 「よくわからない」ビジネスであるとい う認識を改善し、金融機関の BOP ビジネスに対する目利き力の改善を支援していくことが 必要である。 他方、公的機関の BOP ビジネスに対する目利き力を育てるには時間がかかるため、新規 支援としてインパクトファンドを立ち上げたうえで、既にこうした事業に投融資を行って いるファンドへの投融資を通じて、BOP ビジネスに対する資金的支援を行うことも可能で ある。更に、公的機関がこのようなファンドに取り組むことは、将来的に、民間の投融資 市場を育成し、スケールアップさせることにつながるため、非常に意義深い。海外市場に おいてインパクトファンドはファンドの成熟度合いによって資金拠出者が公的機関から民 12 間へと拡大している。そのため、公的機関には最初のファンド導入期で参画し、リスクが 高いことを理由に民間が非積極的になる状況を打破し、将来的に民間資金を巻き込んでい くことが求められる。また、公的機関の役割として、技術支援を提供することで事業確度 を高めることが同時に期待される。 (2) 事業準備段階における資金に対する支援 BOP ビジネスは、通常ビジネスよりも準備にコストがかかるため、準備段階における資 金支援を拡充することが必要である。 現在、BOP ビジネスに利用できる中心的な支援は、JICA の協力準備調査(BOP ビジネス 連携促進)である。これは、大企業・中小企業共に利用でき、また、産業も特定されてい ないため、多くの企業が利用している。しかし、支援対象としては、当然、JICA のミッシ ョンに沿った開発効果が高い事業が優先される。そのため、日本企業の海外進出、市場獲 得、長期的成長性の確保等の促進を目的とする機関等も BOP ビジネスに対する支援を拡充 することで、こうしたギャップが埋められる可能性がある。 更に、公的機関が提供する様々な情報の利用や公的機関の支援により実施された調査結 果の二次利用を促進することが有効である。JICA やジェトロは、BOP ビジネスに役に立つ 様々な情報や調査結果を公開している。こうした情報をより有効に活用することで、事業 対象地域を適切に選定したり、調査を効率的に実施したりすることが可能となる。具体的 には、JICA 民間連携事業部やジェトロの BOP/ボリュームゾーン・ビジネス支援スキーム等 を通じ、こうした既存情報の利用を積極的に促していくこと等が想定される。 (3) 商品開発段階における資金に対する支援 事業準備段階だけでなく、商品開発段階でも、従来の市場ニーズと異なる BOP 層のニー ズを的確に把握する必要があり、通常以上のコストがかかる。そのため、商品開発段階で の資金上の支援ニーズも存在する。 商品開発に関しても既存支援が存在するものの、中小企業向けかつ ODA 展開を念頭に置 いた案件に限定されている。そのため、大企業向け支援及び、中小企業向けにはその他の 分野における商品やサービス開発への支援が不足している点が課題として挙げられる。 上記のような課題を解決するために、BOP 向け商品/サービス開発やその検証に係る実証 事業支援を拡充することが考えられる。特に、BOP ビジネスと親和性の高い医療、食品や、 ICT を利用した農業・教育等、様々な分野で利用できるような、柔軟な支援の提供が求めら 13 れている。 2.2.3 パートナー/人材に関する課題の解決に向けた提言 2.1.3 で述べたように、新興国のパートナー/人材の発掘や育成には、通常以上の労力がか かる。そのため、公的機関が、(1)現地人材育成研修を支援するとともに、(2)ネットワ ークリストを用いたパートナー/人材発掘に対する支援の拡充を通じて企業のパートナー/ 人材発掘に係る労力の軽減を図ること、を提言する。 (1) 現地人材育成研修に関する支援 現地人材育成研修に対する公的機関による支援としては、多くの分野に対して利用でき る支援が存在する(詳細は、3.2.3 章、図表 3-17 を参照)。しかしながら、BOP ビジネスを 実施する企業が、こうした支援を知らないために、利用が進んでいないケースもみられる。 そのため、こうした既存制度を利用した BOP ビジネスの成功事例を作り、対外的に発信し ていくことが求められる。 他方、BOP ビジネスを実施する共通課題として、BOP 販売員の在庫管理や売上金管理等、 基本的なスキル不足が挙げられる。だが、本課題に対応する公的機関の支援は存在しない。 そのため、この点に関しては、どの企業でも利用できるような販売員トレーニングマニュ アルの作成と展開が有益である。 (2) ネットワークリストを用いたパートナー/人材発掘支援 ネットワークリストを用いたパートナー/人材発掘に対する支援は、既存の支援が存在し ない。そこで、本調査を通じてケニア、エチオピア、インド、バングラデシュの 4 か国で 試験的にネットワークリストを作成した(5.4 章参照)。企業からのニーズが高いことから、 ネットワークリストには、親日・知日人材や日本と関わりの深い機関を掲載している。例 えば、日本の大学の博士課程を卒業した人材を中間管理職として採用した結果、日本語、 英語ができ、日本文化を理解しているため文化的な摩擦が起きにくく、結果現地事業が円 滑に進んだという成功事例があった。作成したネットワークリストの活用方法として、適 切な現地パートナーや現地人材をつなぐマッチング支援が考えられる。リストを作成する だけでなく、積極的に企業との結びつきを支援すること、リストの信頼性を高めていくこ とが、リストの一層の有効活用に向けて必要である。 14 2.3 BOP ビジネス促進と新興国戦略 BOP ビジネスは、成長する新興中間層市場の早期獲得という側面を持つため、日本企業 の海外展開にとって戦略的に活用されうる。そのため、政府が経済支援ツールを活用して、 日本企業の BOP ビジネスを支援することは、新興国戦略の重点 3 分野の一つである「日本 企業の海外展開支援」の一環として位置付けられる。また、前述の通り、第 5 回アフリカ 開発会議(TICAD V)での安倍総理の発言や、横浜宣言等を通して日本国内においてもア フリカ BOP 市場への注目が高まっている。経済支援ツールによる日本企業のアフリカ BOP 市場への進出促進は、 「1 つでも多くの成功事例創出」というアフリカ地域の新興国戦略に もつながるものである。 特にアフリカ市場において今後日本企業の進出の強化が期待される分野としては、新興 国戦略に定義されている食品業界や医療業界等3が挙げられる。具体的なビジネスモデルと しては、BOP 層に向けた栄養食品の販売等が挙げられる。この様な BOP ビジネスは、アフ リカ市場におけるボリュームゾーンへの市場開拓と、栄養食品を通じた健康改善への寄与 というように、新興国における市場開拓と課題解決の両立が期待される。また、この分野 における、日本企業の取組が多い。 ビジネス面だけではなく、社会的意義も大きい BOP ビジネスの成功事例を構築すること は、日本とアフリカ諸国との関係性においても有意義である。成功事例を第 6 回アフリカ 開発会議(TICAD VI)における発表や関連する支援策に寄与する等が期待される。 3 経済産業省,「国際展開戦略の現状と課題について」(2014.4) <http://www.meti.go.jp/committee/sankoushin/tsusho_boueki/pdf/001_02_00.pdf>(2015.2.23 アクセ ス) 15 3.1 調査を通じて得られた知見及び検討結果の詳細 日本企業が抱える課題と優先課題の特定 3.1.1 課題の分類〜BOP ビジネスの事業化を阻害する 9 つの課題〜 3. 本調査を通じて抽出された 図表 3-1:BOP ビジネスの事業化を阻害する 9 つの課題 BOP ビジネスの事業化を阻害す 課題 事業化阻害要因 る課題は、①会社の方針、②資金、 ① 会社の方針 ③パートナー/人材、④許認可、 ② 資金 ⑤製品開発、⑥原材料調達/流通、 ③ パートナー/ 人材 適切なパートナー/人材が見つからない ⑦現地ニーズ、⑧事業環境、⑨採 ④ 許認可 現地事業に必要な許認可が得られない 算性、の 9 つに分類できる4。 ⑤ 製品開発 ⑥ 原材料調達/ 流通 ⑦ 現地ニーズ ⑧ 事業環境 ⑨ 採算性 目指すビジネスと企業方針が合致しない 商品開発やスケールアップ等、事業に必要な資金が得られえない 現地に適した商品が技術的に開発できない 原材料生産者の量や品質が安定しない シーズが現地ニーズと合致しない 政治経済、気候等事業環境が合わない 商品やサービスのコストが合わない 出典:調査団作成 3.1.2 課題の構造化と優先課題分野の特定〜政府が取り組むべき 3 つの優先課題〜 次に、分類された 9 つの課題を、企業側の観点から「(A)事業可否を大きく左右する課題」 、 「(B)個別に克服可能な課題」に分類した。それぞれの定義は以下の通り。 (A)事業可否を大きく左右する課題:企業が単独で解決することが困難であり、事業可否 に大きく影響する課題。 (B)個別に克服可能な課題:それぞれ重要な課題ではあるものの、(A)事業可否を大きく 左右する課題が克服されている場合、企業が個別に何等かの方法で解決することがで きる、もしくは解決しやす い課題。 図表 3-2:政府が優先的に取り組むべき課題の抽出 企業の視点 ①会社の方針、②資金、③パー トナー/人材は「(A)事業可否を大 きく左右する課題」に、④許認可、 ⑤製品開発、⑥原材料調達/流通、 政府の視点 (A) ① 会社の方針 ② 資金 ③ パートナー/ 人材 事業可否を 大きく左右する 課題 (B) (B) ④ 許認可 個別に 克服可能な 課題 ⑤ 製品開発 ⑥ 原材料 調達/流通 ⑦ 現地 ニーズ ⑧ 事業 環境 ⑨ 採算性 (Aが満たされる場合) ⑦現地ニーズ、⑧事業環境、⑨採 【凡例】 算性は「(B)個別に克服可能な課 題」に分類した(図表 3-2 参照) 。 4 (A) 優先的に 取り組むべき 課題 出典:調査団作成 調査団のこれまでの BOP ビジネス支援の知見に基づいて分類。 16 事業モデルに 依存しない課題 事業モデルにより具体的な課題 が分かれる課題 個別に 対応すべき 課題 なお、 「(A)事業可否を大きく左右する課題」に①会社の方針を分類した理由は、①会社の方 針は本来企業個別の課題ではあるが、産業横断的に共通しているため(詳細は、3.1.3(1)参 照) 、そして②資金や③パートナー/人材の課題同様に、残りの課題の克服可能性に大きく影 響するためである。 例えば、⑥原材料調達/流通に係る課題は、大きな阻害要因ではあるが、流通網構築のた めの資金(②資金)や、流通網を持つパートナー(③パートナー/人材)を活用できれば解決でき るといえる。反して、全ての課題を克服していたとしても、①会社の方針として BOP ビジ ネスに取り組まないと判断された場合、それを覆すことは難しいため、事業可否を大きく 左右する課題であると考えられる。 政府として BOP ビジネスを促進するためには、より大きなボトルネックとなる「(A)事業 可否を大きく左右する課題」に対して、優先的に取り組むべきと考えられる5。以降、以上 の 3 つの優先的に取り組むべき課題について、詳細を確認する。 3.1.3 優先課題の詳細 (1) 優先課題① 会社の方針に関する 3 つの課題 政府が優先して取り組むべき課 図表 3-3:会社の方針に関する 3 つの具体的課題 題である①会社の方針に関する具 体的課題は、大きく、(①-a)長期的 戦略の欠落、(①- b)コミットメント の欠落、 (①- c)イノベーティブな 思考の欠落の 3 つに分けられる。そ れぞれの詳細は以下の通りである。 ①-a 長期的戦略の欠落 ・短期的収益が優先される結果、企業の長期的戦略に BOPビジネスが位置付けられていない ①-b コミットメントの欠落 ・BOPビジネスの優先度が低いため、各課題に対する適切 なリソース配置がされない ①-c イノベーティブな思考 の欠落 ・既存商品やビジネスモデル等、過去の成功例から脱却で きず、BOPビジネスに必要なイノベーションが行われない 出典:調査団作成 (①-a)長期的戦略の欠落: 長期的戦略が欠如し、短期的収益が優先される結果、企業の長期的戦略に BOP ビジネス が位置付けられず、BOP ビジネスの阻害要因となる。例えば、短期的収益を優先して 3 年 以内に黒字化できない事業には取り組まない、という会社の方針がある場合、黒字化に長 時間を要する BOP ビジネスは実施しない経営判断を行うことなどが考えられる。この様な 会社の方針を変更するためには時間と労力を要するため、BOP ビジネスの着手に至ること が困難であり、BOP ビジネス実現の大きな阻害要因となっている。 5 第一回有識者研究会を通じて、 「(A)事業可否を大きく左右する課題」に対して、優先的に取り組むことの 有効性を確認した。 17 (①- b)コミットメントの欠落: 仮に長期的戦略の中に BOP ビジネスが位置付けられたとしても、経営層のコミットメン トが弱く、各課題に対する適切なリソース配置がされない場合、BOP ビジネスが阻害され る。適切なリソースの配置とは、BOP ビジネスのための資金を投入しない、もしくは現地 に優秀な人材を送り込まない等である。BOP ビジネスにおいては、販売員が商品の帳簿管 理ができない等、先進国におけるビジネスでは通常発生しない基礎的な課題に直面するた め、適切なリソース配置をなくして BOP ビジネスの実現は困難である。 (①- c)イノベーティブな思考の欠落: 長期戦略や経営層のコミットメントが存在したとしても、既存商品やビジネスモデル等、 過去の成功例から脱却できず、BOP ビジネスの実現に向けた独自のイノベーションが行わ れない場合、BOP ビジネスは成功しない可能性が高い。BOP ビジネスの市場は、先進国の 市場とは異なったニーズをもっている。異なるニーズの例としてインドのユニリーバのシ ャンプー販売を挙げると、通常先進国においてはボトル販売へのニーズがあるものの、BOP 市場においては資金力の違い等の理由で小分け袋に対するニーズがある。この市場ニーズ の違いを理解し、BOP 市場を先進国とは違った新たな市場として捉え、彼らに適した商品/ サービスを開発し価値を訴えていくことが重要である。だが、BOP 市場をイノベーション が必要な市場として認識できていない、もしくは認識が弱い場合、先進国や TOP/MOP6にて 成功した商品やビジネスモデルをそのまま当てはめてしまい、結果シーズとニーズが合致 せず、失敗に終わるケースがしばしばみられる。 (2) 優先課題② 資金に関する 4 つの課題 政府が優先して取り組むべき課題であ る②資金に関する具体的課題は、大きく、 図表 3-4:資金に関する 4 つの具体的課題 ②-a 社内から事業資金が 得られない ②-b 民間金融機関から事業 資金が調達できない ②-c 公的機関による資金 支援が得られない ②-d NGO/財団から 資金が得られない (②-a)社内から事業資金が得られない、 (②- b)民間金融機関から事業資金が調達 できない、 (②- c)公的機関による資金支 援が得られない、(②-d)NGO/財団からグ ラントが得られない、の 4 つに分けられ る。それぞれの詳細は以下の通りである。 ・社内から調査資金や事業活動資金等、BOPビジネスの 実現に必要な費用が得られない。 ・民間金融機関からBOPビジネスの事業立ち上げやス ケールアップに向けた投融資が得られない。 ・公的機関によるBOPビジネス促進のための投融資やグ ラントが得られない。 ・NGOや財団によるBOPビジネス促進のための資金供 与が得られない。 出典:調査団作成 6 Top of the Pyramid(TOP) :年間所得が USD20,000 以上の、所得ピラミッドの上部にいる人々。Middle of the Pyramid(MOP) :BOP と TOP の中間にいる、年間所得が USD3,000-20,000 の人々。 (PwC, “Profitable growth strategies for the Global Emerging Middle” (2012.1)参照。 ) 18 (②-a)社内から事業資金が得られない: 社内で経営陣が BOP ビジネスに対する理解やコミットメントがなく、限られた資金リソ ースしか許容されない場合、BOP ビジネスの阻害要因となる。限られた資金では適切な商 品開発や事業スケールアップの実現が困難となる。さらに BOP ビジネスは黒字化まで長期 間を要するという特徴を持つことを考慮すると、一層社内から事業資金が得られないこと は大きく影響する。 (②- b)民間金融機関から事業資金が調達できない: 民間の金融機関から BOP ビジネスの事業化やスケールアップに向けた投融資が得られな いことも BOP ビジネスを阻害する要因となる。国内で BOP ビジネスに投融資する民間の金 融機関は確認できていない。 (②- c)公的機関による資金支援が得られない: BOP ビジネスに係る資金支援が公的機関から得られないことも、BOP ビジネスの促進を 阻害する恐れがある。公的機関が提供する資金支援制度としては、投資、融資、さらに資 金供与(補助金)等が挙げられる。これらの支援が得られない理由としては、BOP ビジネスに 適した支援制度が限られていることや、支援を必要とする企業がそれらの制度を認知でき ていないこと等が挙げられる。 (②-d)NGO/財団から資金が得られない: NGO や財団が提供している資金供与が得られないことも BOP ビジネスを阻害する要因と なる。だが、国内の NGO や財団で直接 BOP ビジネスに対して支援を行っている組織は限 定的である。海外の資金供与スキーム(例:ロックフェラー財団によるグラント等)の活用も 考えられるが日本企業による実績が限られている現状にある。 19 (3) 優先課題③ パートナー/人材に関する 5 つの課題 ③パートナー/人材の課 図表 3-5:パートナー/人材に関する 5 つの具体的課題 題は、 (③-a)パートナー/ 人材の品質に係る技術や 能力レベルが不十分、(③ ③-a パートナー/人材の 品質に係る技術や 能力レベルが不十分 現地加工・組立や輸出型事業の場合、現地調達される 原材料や加工製品の品質が、必要基準を満たさない ③-b パートナー/人材を 用いた流通網が高コスト 公共性が高い事業や薄利多売事業の場合、農村やスラ ム等も含む流通網構築コストが高く、採算が取れない ③-c 販売員の 商品理解欠如 ハイテク技術製品(*)の場合、現地スタッフが商品特性を 理解できておらず、適切に販売することができない ③-d 経営・管理職人材の 不在 中小企業の場合、日本企業の要求を理解しながら、現 地オフィスを経営、もしくは営業等一部機能を管理できる 現地人材が見つからない ③-e 税務・法務・労務の 専門家不在 中小企業の場合、現地の法規制、税制度、労務制度等 を理解し、必要な各種手続きを行える現地人材がいない -b)パートナー/人材を用い た流通網が高コスト、(③-c) 販売員の商品理解欠如、(③ -d)経営・管理職人材の不在、 (③-e)税務・法務・労務の専 門家不在、の 5 つが挙げら れる。詳細は以下の通り。 (*)ハイテク技術製品:家電等で、必ずしも高度な技術製品を指すわけではな く、BOP 層が必要とする技術をシンプルに製品化したものを意味する。 出典:調査団作成 (③-a)パートナー/人材の品質に係る技術や能力レベルが不十分: 現地パートナーや人材の原材料や現地加工製品の品質管理技術・能力が十分でないため、 日本企業が求める必要基準を満たすことができないケースがある。例えば、現地農家のポ ストハーベストにおける倉庫管理技術や工場における 5S 等の品質管理能力の低さ等が挙げ られる。 (③-b)パートナー/人材を用いた流通網が高コスト: BOP 層の居住地域における流通網構築コストが高く、ビジネスとして採算性をとれない ケースがある。例として、BOP 層が住む地方の農村への流通は、幅広い対象地域に低価格 で流通できるパートナーの発掘が困難であり、高コストになってしまうことが挙げられる。 (③-c)販売員の商品理解欠如: 現地販売員が商品特性を理解できておらず、適切に顧客に対して販売することができな いケースがある。例として、ソーラーパネル販売時に、家庭での燃料費がどれほど節約で きるのかというセールスポイントを説明できず、商品価値を顧客に届けられない結果、商 品が売れないことが挙げられる。 (③-d)経営・管理職人材の不在: 日本企業の要求を理解しながら、現地ビジネスのマネジメントを任せられる人材が見つ からないケースがある。管理職レベルやさらに現地オフィスの経営を担える人材が不足し ている。例えば、現地工場長として日本企業が求める品質管理や納期管理ができる現地人 材を見つけることが困難なことが挙げられる。 20 (③-e)税務・法務・労務の専門家不在: 現地の法務、労務、税務を理解し、必要な行政手続きを行える人材を見つけることがで きないケースがある。例として、日本人の理解が難しい現地の税制度を理解し、現地国税 庁と直接やり取りができる人材が見つからないことが挙げられる。 3.1.4 事業モデル別 Key Success Factor と具体例 (1) 事業モデルによる BOP ビジネスの分類 BOP ビジネスを BIF 及び調査団が有している知見を基に、1)輸入事業、2)公共性が高い事 業、3)ハイテク技術製品販売事業、4)薄利多売事業、5)消費者教育を要する事業、6)大規模 調達(農業)事業、7)現地加工・組立事業、8)輸出事業、9)その他事業、の 9 つの事業モデル に分類(図表 3-6)した。 図表 3-6:事業モデルによる BOP ビジネスの分類 BOPの巻き 事業モデル名 込み方 消費者とし 1 輸入 て巻き込む # 2 (同上) 3 (同上) 4 (同上) 5 (同上) 6 説明 事例 海外で生産された商品を、輸入し現地BOP層に 小型農機販売事業 (*1) 販売する事業 飲料水供給事業 公共性(高) 水や教育等、公共性が高い事業 (ポリグルインターナショナル) ソーラーランタン販売事業 ハイテク技術製品販売 家電等、技術製品を販売する事業モデル。 (*2) (パナソニック) 栄養食品事業 薄利多売 大量販売により、利益化を図る事業 (アースバイオケミカル) 消費者教育を要する事 現地に存在しない商品/サービスについて、消費 アルコール消毒剤事業化調査 (サラヤ) 業 者を教育する必要がある事業 生産者とし 大規模調達(農業) て巻き込む 現地BOP農家から大量の農作物を調達する事 業 現地工場等で商品の加工/組立を行う工業関連 事業 7 (同上) 現地加工・組立 8 (同上) 輸出 現地で生産された商品を、輸出販売する事業 その他 その他事業モデル 9 その他 緑豆生産事業 (ユーグレナ) (*3) 現地工業生産事業 (川商フーズ) 皮革製品生産事業 (ヒロキ) 医療廃棄施設建設事業 (白井エコセンター) (*1):具体的な案件例ではないが、例えば小型農機を海外で生産し、現地農家に対して販売する事業が輸入事業モデル の 1 例として考えられる。 (*2):必ずしも高度な技術製品を指すわけではなく、BOP 層が必要とする技術をシンプルに製品化した事業を意味する。 (*3):旧雪国まいたけ。株式等取得により、現在は株式会社ユーグレナである。 出典:調査団作成 1)輸入事業: 海外で生産された商品を、輸入し現地 BOP 層に販売する事業。例えば小型農機を海外で 生産し、現地農家に対して販売する事業が輸入事業モデルの一例として考えられる。状態 のよい中古の製品を第三国から輸入する事業も含まれる。一国のニーズのみに合わせて製 品の開発・生産を行うと採算が合わないため、上手く現地のニーズに合った既存製品を探 し出し、輸入することが重要である。また、いかに効率の良い輸入ルートや現地流通網を 確立し、輸送コストを抑えるかが課題となることが多い。 21 2)公共性が高い事業: 水や教育等、公共性が高い事業。例えば、ポリグルインターナショナルが調査を実施し た、低所得者層を対象とした飲料水を製造・販売 するフランチャイズ事業が挙げられる。 同事業の調査では、インドで汚染などの問題により安全な飲料水アクセスが困難な地域を 対象としており、まずハラシュトラ州の村約 200 世帯に対してパイロット事業を実施した7。 ライフラインに関わる事業や教育事業等公共性が高いビジネスでは、現地政府からの許 認可取得が必要となる場合が多い。また、政府が支援し、無償/低価格で製品やサービスが 提供されているケースが多く、住民の支払意思額が低い。そのため、住民からの支払いだ けでビジネスの採算性を確保することは難しく、政府との連携が極めて重要となる。 3)ハイテク技術製品販売事業: 家電等、技術製品を販売する事業モデル。例えば、パナソニックは、同社の得意とする 技術を活用しながら、ケニア等アフリカ諸国やアジアにて、無電化地域にソーラーランタ ン事業を展開している。同事業では、煙が多く費用もかかるケロシンランプではなく、太 陽エネルギーを活用して繰り返し利用できるソーラーランタンという現地のニーズに合っ た製品を開発、販売している8。 技術製品販売事業のモデルでは、自社の既存製品を前提として現地で販売しようとする 企業が多い。そのため、現地の人々のニーズに合致しないハイスペックで効果な製品とな り、現地市場に受け入れられない事例が多くみられる。既成概念を捨て、現地のニーズに 沿ったシンプルな製品を、現地の人々に合った価格帯で販売することが、事業成功の鍵と なる要素の一つである。 4)薄利多売事業: 大量販売により、利益化を図る事業。例えば、アースバイオケミカルが検討する、イン ド BOP 層の子どもたちと妊婦・授乳婦向け栄養強化食品事業がある。同事業では、カルナ タカ州において、ターゲットとしている BOP 層の子どもたちや妊婦・授乳婦に商品を届け るため、通常の流通だけでなく、NGO による教育普及活動を検討した9。 7 国際協力機構、ポリグルインターナショナル、かいはつマネジメント・コンサルティング「インド国 凝 集剤を活用した 飲料水供給事業準備調査(BOP ビジネス連携促進)報告書」 (2014.4) 8 国際協力機構、三洋電機「ケニア共和国 協力準備調査(BOP ビジネス連携促進)ケニア国ソーラーランタ ン BOP ビジネス適合調査 ファイナルレポート」 (2012.2) 9 国際協力機構、アースバイオケミカル「インド共和国 栄養食品開発に係る事業準備調査(BOP ビジネス 連携促進)報告書」 (2013.12) 22 一般に日本企業の製品は、現地で販売されている競合他社の製品よりも価格が高くなる 傾向にある。薄利多売の事業モデルでは、現地の製品と同水準まで価格を抑えることが困 難な上に、薄利多売を実現しようとすると、大規模な流通網が必要となる。自社で流通網 を一から構築することは難しく、NGO や現地で既に流通網を有している優良なパートナー を見つけることが重要となる。 5)消費者教育を要する事業: 現地に存在しない商品/サービスについて、消費者を教育する必要がある事業。後述の図 表 3-10 の通り、サラヤの新式アルコール消毒剤事業準備調査が例として挙げられる。サラ ヤは、ウガンダにおける 2 つのモデル病院(スタッフは合わせて 200 名強の公立病院)に てパイロットプロジェクトを行い、現地生産による安価かつ良質なアルコール手指消毒剤 の生産・販売の実現可能性を調査した。 アルコール消毒剤による手指消毒のように、消費者にとって新しいライフスタイルや目 にしたことのない商品を提供するといった、消費者教育を要する事業では、消費者へのわ かりやすく丁寧な教育と広報による認知度向上が求められる。 6)大規模調達(農業)事業: 現地 BOP 農家から大量の農作物を調達する事業。例えば、ユーグレナ(旧雪国まいたけ) の緑豆生産事業が挙げられる。同事業では、貧困層が多いバングラデシュ国の農村地区に おいて、現地契約農民を活用してもやしの原料となる緑豆の栽培を行い、約 60%は日本向 けに輸出し、約 40%は同国の市場の販売を計画している。2012 年末の時点で 2000ha に農地 を拡大し、約 8000 人の現地農民の雇用を創出すると共に、栽培技術の指導を通して、緑豆 の収穫量や品質の向上に寄与した10。 大規模調達の事業では、安定した量・品質の原料の供給が課題となることが多い。現地 人材へのトレーニングは、こうした課題の解決のために重要となる。また、現地農家に新 しい作物の栽培を依頼する場合には、買い取り価格等農民とよく話し合って信頼関係を築 き、転作のインセンティブを提示することが必要となる。 7)現地加工・組立事業: 現地工場等で商品の加工/組立を行う工業関連事業。例えば、主原料をガーナで調達し、 GEISHA という青魚のトマト漬けの缶詰を、ガーナの現地工場にて加工するという、川商フ 10 Yunus Centre, 「グラミン雪国まいたけ」 <http://www.muhammadyunus.org/index.php/japanese/1260-grameen-yukiguni-maitake>(2015.2.26 アクセス) 。 23 ーズの現地工業生産事業が挙げられる。川商フーズは、BOP をバリューチェーンに取り込 んで、自社ビジネスおよび環境の持続可能性が確保可能な地産地消ビジネスモデルを構築 するための調査を実施した。その結果、魚の調達における冷蔵保管の方法等、工夫が必要 であることが明らかになった11。 現地加工・組立事業では、安定した原料の調達が課題となることが多い。また、調達に 問題がない場合でも、コールドチェーンがなく商品が傷んでしまう等、輸送の過程での管 理や工場での品質管理で課題となることもある。そのため、品質管理に関する現地人材ト レーニングが重要となる。 8)輸出事業: 現地で生産された商品を、輸出販売する事業。例えば、エチオピア・シープの皮革を現 地自社工場にて加工し、日本へ輸出販売しているヒロキの皮革製品生産事業が挙げられる。 以前は、材料を中国・北京の工場へ送り縫製をしていたが、2013 年 9 月、エチオピアの原 料取引先の敷地内に工場を設立した。日本から技術者を派遣し、現地人材(2013 年 12 月時 点では現地従業員 8 人)への技術移転を行っている12。 輸出事業では、輸出先の品質レベルに合った製品を生産しなくてはならないため、現地 人材のトレーニング及び品質管理が必要となる。 9)その他事業: 1)~8)のモデルに分類されない、9)その他事業としては、白井エコセンターの医療廃棄施 設建設事業がある。同社は、ケニア・ナイロビ市に医療廃棄物を含む有害廃棄物の焼却処 理・収集運搬を行うための現地法人を設立し、焼却炉を建設することを計画している。ナ イロビ市内半径約 25km 圏内を対象とする。また、収集運搬は、自社に限らず、同社の研修 を受けた現地パートナー企業とも提携する予定である13。 11 国際協力機構、川商フーズ、プライスウォーターハウスクーパース「ガーナ共和国 地産地消ビジネス事 業準備調査(BOP ビジネス連携促進)報告書」 (2013.3) 12 ジェトロ 通商弘報「日本企業では唯一、現地生産拠点を設立-革製品のヒロキ- (エチオピア) 」 (2014.1)<http://ab-network.jp/wp-content/uploads/2014/03/e9b66aa6d7490e9b1982e660f4fd2e88.pdf>(2015.2.26 アクセス) 13 白井グループ「メディア掲載情報」<http://www.shirai-g.co.jp/information/media/>掲載の記事を参照。 24 この事業モデル分類に関しては、一 つの企業が複数の事業モデルに該当 するということもあり得る。例えば、 図表 3-7:複数事業モデルの適応例 事業モデル 事業説明 ①大規模調達、②薄利多売、③消費者教育を必要とする事業 当事業は、原材料を現地調達した上で、新商品の現地製造及び現地販売に取り組む。原材料 調達が必要となるため、大規模調達モデルが当てはまり、また現地消費者には馴染みのない加 工食品を販売するため、薄利多売かつ教育を必要とする事業モデルである、と言える。 ある食品加工メーカーが新興国にお いて新商品の原材料調達・製造・販売 を行うビジネスモデルでは、①大規模 調達、②薄利多売、③消費者教育を必 要とする事業の 3 つの事業モデルが当 てはまる。 出典:調査団作成 事業モデル別 Key Success Factor (2) BOP ビジネスの事業化に至るための、事業モデル別 Key Success Factor(KSF)14の仮説は、 下記の表の通りである。 図表 3-8:事業モデル別 KSF KSF 説明 現地ニーズの検証 現地のニーズに適した商品/サービスを決めること 1 輸入(*1) 支払い方法の確立 現地販売店との資金の回収方法や支払方法(分割払い等)を確立すること 販路の開拓 商品の販売店舗数を拡大し、販売量を確保すること 公的機関と連携したビジネス 現地公的機関とバリューチェーンの構築、さらに公的機関を顧客として資金調達すること 2 公共性(高) モデル設計 等を含め、公的機関と連携したビジネスモデルを構築すること。 販売網の構築 商品販売網を農村やスラム等幅広い地域に低コストで構築すること ハイテク技術 3 現地調査を通じた潜在的ニーズを把握し、そのニーズに的確かつシンプルに対応する支 製品販売(*2) 潜在的ニーズに対応する ハイテク技術製品開発 払可能な技術製品を開発すること 販売網の構築 商品販売網を農村やスラム等幅広い地域に低コストで構築すること 4 薄利多売 潜在的ニーズに対応する 現地調査を通じて、潜在的なニーズを把握し、そのニーズに対応する低価格新商品を開 低価格商品の開発 発すること 消費者教育を 5 消費者への啓発活動 啓発活動を通じて、新しいライフスタイルや商品価値を訴え、共感者を増やすこと 要する事業 農民の転作促進 農民の転作インセンティブを提示し、農家の生産規模を確保すること 大規模調達 6 (農業) 生産性の確保 農家に対するトレーニング、農薬や農機の提供等を通じて、農作物の生産性を高めること 原料調達スキーム確立 現地生産された原料を品質及び生産量共に安定的に調達すること 現地加工・ 7 生産者に対するトレーニング、もしくは現地パートナーとの提携を通じて、生産コストを抑え 組立 現地生産の品質確保 た上で、生産品質を確保すること 生産者に対するトレーニング、もしくは現地パートナーとの提携を通じて、生産コストを抑え 8 輸出(*3) 現地生産の品質確保 た上で、生産品質を確保すること # 事業モデル (*1) 輸入モデル:海外で生産された商品を輸入し現地 BOP 層に販売する事業モデル。 (*2) ハイテク技術製品販売:家電等、技術製品を販売する事業モデル。必ずしも高度な技術製品を指すわけではなく、BOP 層が必要と する技術をシンプルに製品化した事業を意味する。 (*3) 輸出モデル:現地で生産された商品を輸出販売する事業モデル。 出典:調査団作成 (3) 日本企業の BOP ビジネスの取り組み事例 上記 KSF の仮説に対し、参考となる BOP ビジネス事業準備調査事例を下記に 2 つ示して いる。 14 Key Success Factor(KSF):事業の成功に必要となる要因のこと。Key Factor of Success(KFS)とも称される。 25 図表 3-9:日本企業の BOP ビジネスの取り組み事例 1 事業モデル 公共性(高) KSF 公的機関と連携したビジネスモデル設計 企業名 味の素株式会社 案件名 離乳期栄養強化食品事業化準備調査 公共性の高い製品を扱うビジネスモデルでは、公的機関と連携したビジネスモデルの設計 が事業化へ大きな影響を及ぼす。 ガーナでは、乳幼児の栄養不足等が原因で、5 歳未満の乳児の死亡率が未だ高い状況が続 いている。ガーナの乳幼児には離乳食として伝統的に koko(ココ)と呼ばれる、発酵したト ウモロコシから作られたおかゆが与えられてきたが、この離乳食には乳幼児の成長に必要な 栄養素が不足していた。このことに着目し、味の素は離乳食に添加する栄養サプリメント 「KOKO plus(ココプラス)」を開発した。 調査により、味の素は栄養改善の大きな柱が、栄養教育であることを実感し、行政機関に よる栄養教育の働きかけが住民の栄養問題への関心や商品への理解に大きく影響すると述べ ている。例えば、公的機関であるガーナ保健サービスのスタッフ(看護師/ヘルスワーカー) は、定期的に村を訪問しており、日常的に BOP 層と保健分野で関わりを持ち強固なネットワ ークを有している。こうしたネットワークをプロモーションに活用することにより、味の素 は調査中、順調に売り上げを伸ばし、販売目標を上方修正した。 このように、公共性の高い製品(例えば保健、教育等に関する製品)は政府の政策と重な る点があり、既に政府のネットワークが強く構築されている分野である。事業が政策に大き く左右される可能性が高い一方、こうした既存の公的機関のネットワークの活用は事業の成 功にプラスとなり得る。その意味で、公的機関と連携したビジネスモデル設計は KSF の 1 つ と言える。 出典:国際協力機構, 味の素,「ガーナ共和国 離乳期栄養強化食品事業化準備調査(BOP ビジネス連携促進)報告書」 (2014.3) 図表 3-10:日本企業の BOP ビジネスの取り組み事例 2 事業モデル 消費者教育を要する事業 KSF 消費者への啓蒙活動 企業名 サラヤ株式会社 案件名 感染症予防を目的とした新式アルコール消毒剤事業準備調査 消費者教育を要する事業では、消費者への啓蒙活動をどのように行うかが、事業の成功に 影響を及ぼす。 26 サラヤは、適切な衛生環境整備がなされれば予防が可能である病気が原因で、ウガンダで の乳幼児の死亡率が高くなっていることを問題視した。そして、現地生産による安価かつ良 質なアルコール手指消毒剤の生産・販売を通じた BOP 層の衛生環境改善、5 歳未満児死亡 率の低下や妊産婦の健康状態の改善等に貢献することを目指す事業の実現可能性調査を実施 した。 現地インタビュー等の調査の結果、現地医療従事者はアルコール手指消毒剤の効果につい て十分な知識を持っていないことが判明した。そこで、サラヤは、下記のような方法で手指 消毒の教育を行った。 教育のためのチャネルとして、①ポスター、②プロモーションビデオ、③外壁の広告、④ 国際シンポジウム、⑤インストラクター、を利用している。このようなチャネルを用いて、 広く大勢の人へリーチしていると共に、わかりやすいコンテンツを作成することで、効果を あげていると考えられる。 ①ポスター:医療従事者への啓発ツールとして 5 モーメンツ15に関するポスターを作成し、 壁に貼った。 ②プロモーションビデオ:ウガンダの有名ダンサーチームによる手指消毒剤のダンスプロ モーションビデオを制作した。 ③外壁の広告:約 20 件程度、主要道路沿いの家屋の外壁にサラヤの商品広告をペインテ ィングした。 ④国際シンポジウム:手指衛生に関する国際シンポジウムを、ウガンダ国内のみならず、 ケニア、タンザニア、ルワンダ、ジュネーブから参加者を募り開催し、東アフリカ全体 での手指衛生の必要性に関する意識啓発を行った。 ⑤インストラクター:公衆衛生関連の学部卒業生を対象に手指消毒に対する研修を実施。 彼らをインストラクターとして医療従事者への講習会が実施できるようになるようプレ ゼンテーション方法も指導した。インストラクターを利用しつつ、WHO が提供する 5 モ ーメンツに関する遵守状況の観察調査を行った。 サラヤは、市場規模を拡大、維持するためには 継続的な教育・啓発活動が欠かせないとし ている。このように、消費者教育を要する事業では、消費者への啓蒙活動の実施が KSF の 1 つであると言える。 出典:国際協力機構, SARAYA, 三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング,「ウガンダ共和国 感染症予防を目的とした新式 アルコール消毒剤事業準備調査ファイナル・レポート」(2014.3) 15 WHO が定める医療従事者が手指衛生を行うべき主要なタイミングを指す。 27 (4) 他国の BOP ビジネスの取り組み事例 他国での BOP ビジネスの取り組み事例として、DFID が資金を提供する BIF のパイロッ トプログラムの事例を紹介する。海外の企業が、BOP ビジネスの課題に対して、どのよう な工夫を行い事業の成功に至ったかという点で、今後の日本企業の BOP ビジネス展開に示 唆が得られる。 図表 3-11:他国の BOP ビジネスの取り組み事例 1 事業モデル 薄利多売 KSF 潜在的ニーズに対応する低価格商品の開発 企業名 mKRISHI(インド企業) 対象国 インド 事業概要 インドの農村部ではインターネット等情報メディアへのアクセスができ ないため、主に二つの問題が発生していた。まず一つ目は、メディアへのア クセスがないため農業を実施する上で重要となる天候情報や専門家のアド バイス等必要な情報へのアクセスがなかったこと。そしてもう一つは、適切 な市場価格が把握できず、適正価格による取引ができなかったことである。 mKRISHI は、こうした現地ニーズに対して当初テキストメッセージと写 真機能の付いた携帯電話を農民に販売して、農民と専門家を結びつけること を検討したが、調査を進めるうちに携帯電話自体への現地ニーズが低いこと が判明した。 そこで、同社は方針を変更し、携帯電話販売でなく、より安価に提供でき る携帯電話を活用したサービスを導入することによって、農民の情報アクセ スを改善した。具体的なサービス内容としては、天候等の農業に関連する情 報、専門家によるアドバイス、さらに顧客等ステークホルダーとの情報等を、 SMS を通して提供した。収益は、農民からの利用料や、農民ネットワーク の活用を期待する事業者からの利用料によって得ている。また、農民が情報 を得る場所は主に農民組合経由であることが判明し、同組合内で情報交換の プラットフォームを作成し、すぐに必要な肥料の購入や価格交渉ができるサ ービスも開発した。これらのサービスに対して、サービスの有効性が理解で きた後は、貧しい農民も利用料を支払うことに抵抗を示さなくなった。 mKRISHI の事例は携帯電話という既存製品に固執するのではなく、現地 28 ニーズに沿った低価格なサービスの提供により、ビジネスを確立したことが 特徴である。このように、薄利多売の事業モデルでは、低価格商品の開発が KSF の 1 つであると言える。 出典:The Practitioner Hub, “Project Profile TCS mKrishi: delivering services to farmers via mobile technology” <http://www.inclusivebusinesshub.org/page/project-profile-mkrishi-mobile-technology-for-farmers-in-india> (2015.2.24 ア クセス)より調査団作成。 図表 3-12:他国の BOP ビジネスの取り組み事例 2 事業モデル 薄利多売 KSF 販売網の構築 企業名 Sanergy(ケニア及び米国に拠点を有する企業) 対象国 ケニア 事業概要 ケニア都市部のスラム街では、約 800 万人もの人が衛生的なトイレへのア クセスを有していない。そのため衛生環境が悪く、健康にも影響を及ぼして いる。 Sanergy は新たに上流から下流までの汚物処理管理システムを構築する ことによって、この問題にアプローチした。まず、スラム街に低コストトイ レ施設を構築した。そして、それらの施設をフランチャイズ化し、現地起業 家に提供した。なお、一回利用料は 5 シリングに設定されており、トイレ自 体は$500 で提供される。各トイレで排出された排泄物を収集し、電気や肥 料として販売した。 通常、ラストワンマイルの販売網構築は高コストとなり課題となる。しか し、同社はトイレのフランチャイズ化を通じて現地起業家を巻き込むことに より、自社で実践するよりもトイレの管理コストや回収コストを軽減し事業 の成功につなげた。 このように、薄利多売の事業モデルでは、低コストでの販売網構築が KSF の 1 つであると言える。 出典:The Practitioner Hub, “Project Profile Sanergy, slum sanitation in Kenya” <http://www.inclusivebusinesshub.org/page/project-profile-mkrishi-mobile-technology-for-farmers-in-india> (2015.2.24 ア クセス)より調査団作成。 29 3.2 BOP ビジネス促進に向けた提言① (企業が抱える優先課題への対応) 3.2.1 会社の方針の変革に関する提言 (1) 経営者に対する勉強会/カンファレンス 会社の方針に関する課題として挙げられた(①-a)長期的戦略の欠落、(①-b)コミットメント の欠落、(①-c)イノベーティブな思考の欠落の 3 点に対するソリューションとして、経営者 に対する勉強会/カンファレンスを継続的に実施することを提言する。このような課題は、 短期的に解決することは難しく、中長期的に企業文化の変化・経営層のマインドセットの 改革に取り組む必要がある。 特に、日本企業には、BOP ビジネスは CSR であり、経済的にビジネスとして成立しない と考えている経営者が多い。このような経営層のマインドセットを変えるために、勉強会/ カンファレンスでは、BOP ビジネスにおけるビジネス機会、BOP ビジネスの戦略的位置付 け、事業実現における経営層のコミットメントの重要性等をテーマとして取り上げること 等が有効である。 3.2.2 資金に関する課題の解決に向けた提言 有識者研究会を通じて、資金に関しては、事業立ち上げ期の資金調達が特に困難である ため、この点に関して、公的支援の拡充を要望する声が多く聞かれた。 事業立ち上げに係る公的機関による資金的支援としては、公的機関が、(1)直接投融資 の支援を行う場合と、ファンドを通じて(2)間接的に投融資の支援を行う場合が想定され る。 (1)直接投融資の支援を行う場合に関しては、既に様々な既存支援スキームが存在する ため、今後、これらのスキームを活用することが有効である。 (2)間接的に投融資の支援 を行う場合に関しては、既存の支援がないため、新たにファンドを設立することを提言す る。 また、事業準備段階や商品開発段階における資金に対する支援ニーズも存在する。これ に対する既存支援は、限定的であるため、不足部分に対する支援の拡充を提言する。 (1) 事業立ち上げ段階における直接的投融資支援 BOP ビジネスに利用可能な公的支援 BOP ビジネスの金額レンジに該当し、かつ今後活用可能性のある支援として、JICA 海外 30 投融資16、商工中金 オーバーシーズ 21、日本公庫 海外展開資金が既に存在する。各制度の 概要は下記の通りである。 図表 3-13:事業立ち上げ段階における既存直接的投融資支援 No. スキーム名 機関 タイプ 対象企業 1 海外投融資(*1) JICA 融資/ 出資 特に 条件なし 2 オーバーシーズ 21(*2) 商工中金 融資 中小企業 日本公庫 融資 中小企業 3 海外展開資金 (*3) スキーム概要 ・①インフラ・成長加速、②MDGs・貧困削減、③ 気候変動対策の3つの分野を主な対象とする。 ・開発途上国において、民間企業等が行う開発 効果の高い事業であり、かつ、一般の金融機関 だけでの対応が困難な場合に、「出資」と「融資」 という 2 つの資金面から支える。 ・業種、売上等一定の要件を満たし、海外展開 を行う中小企業を対象とする。 ・資金の用途は、海外直接投資を行うための設 備資金等である。 ・融資額の幅は、実績では 1,000 万~5 億円程 度であるが、限度が定められているわけではな い。 ・経済の構造的変化に適応するために海外展 開することが経営上必要であり、かつ、次の 1~ 3 の全てに該当する方を対象とする。 1.開始または拡大しようとする海外展開事業 が、当該中小企業の本邦内における事業の 延長と認められる程度の規模を有するもの であること 2.本邦内において、事業活動拠点(本社)が 存続すること 3.経営革新の一環として、海外市場での取引 を進めようとすること ・資金の用途は、海外への直接投資、海外企業 への生産委託、海外への販売強化(輸出)等で ある。 対象国 ODA 対象国 特に条 件なし 特に条 件なし 出典: (*1) JICA ウェブサイト「海外投融資の概要」<http://www.jica.go.jp/activities/schemes/finance_co/loan/about.html> (2015.2.23 アクセス)参照。 (*2) 商工中金へのヒアリング等より調査団作成。 (*3) 日本公庫ウェブサイト「海外展開資金」<https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/kaigaitenkai.html>(2015.2.23 ア クセス)及びヒアリングより調査団作成。 16 JICA の支援制度は開発、ビジネス両方の目的で利用することが可能である一方で、商工組合中央金庫及 び日本政策金融公庫の支援制度は基本的にビジネスでの利用を目的としている。 31 BOP ビジネスに利用可能な公的支援の課題 これらは、BOP ビジネスに 利用可能であるものの、実際 図表 3-14:公的機関による既存投融資支援制度と課題 10億~ の活用事例がほとんどないこ とが課題としてあげられる。 JICA 海外投融資 5億~10億 通常 BOP ビジネスの立ち上 日本政策金融公庫 海外展開資金 BOPビジネスに 必要な投融額レンジ 1億~5億 げの初期段階では事業規模は 5千万~1億 小さく、必要とされる投融資 ~5千万 商工組合中央金庫 オーバーシーズ21(*2) 【凡例】 投融資資支援スキーム 融資支援スキーム 点線 中小企業限定スキーム の金額も 10 億円を超えないも 17 のと想定される 。このレンジ に対し融資を提供しているの 融資額(円) /対象分野 ビジネス 開発 課題:BOPビジネスに必要な金額レンジに対応する支援スキームはあるが、活用実績は少ない。 出典:調査団作成 は、商工中金や日本公庫である(図表 3-14 参照) 。 しかしながら、商工中金や日本公庫へのヒアリングによると、これらの金融スキームが BOP ビジネスに活用された実績はほとんどない。その理由としては、BOP ビジネスは、開 発援助の要素も強く、NGO や現地貧困層の捲き込み等、従来型のビジネスモデルと異なる 点が多いこと、貧困層の捲き込みには時間がかかるため、投資回収期間が従来ビジネスに 比べて長いこと、対象国のカントリーリスクが高いこと等が挙げられた。 BOP ビジネスに利用可能な公的支援の活用に向けた提言 上記で挙げたような既存投融資制度を BOP ビジネスに活用するためには、採算性の高い と思われる案件に対する投融資のモデル事例を形成すること、更に、そうしたモデル事例 の情報発信を通じて、金融機関の「採算性の取れる BOP ビジネスも存在する」という認知 を高めていくことが必要と考えられる。また、投資回収期間が通常ビジネスよりも長いも のの、最終的な事業の成長性が高い案件に関しては、初期段階はグラントで支援する等、 グラントと通常の投融資を組み合わせることが有効だと考えられる。 例えば、JICA が委託実施する協力準備調査(BOP ビジネス連携促進)の結果を基に、案 件を商工中金や日本公庫等の他機関へ共有すること等が有効であると考えられる。こうし たモデル事例の形成をより促進することが重要である。 また、BOP ビジネスの成功事例や JICA の F/S 調査と金融機関の連携モデル事例等を BOP ビジネスに関連するウェブサイトやセミナーで紹介すること等を通じて、BOP ビジネスを 17 本調査で取り組んだ日本企業へのアンケート結果に基づく。 32 実施する企業に対する投融資制度の認知度をさらに高める。さらに、BOP ビジネスが採算 の見込めるビジネスとして投融資対象となりうることを、金融機関に啓蒙していくことが 求められる。 他方、BOP ビジネスの性格上、投資回収期間が通常ビジネスよりも長期にわたる事例は 多々存在する。そのため、通常の金融機関の投融資対象とはなりにくい。しかしながら、 途上国の経済成長を考慮すると、BOP 市場への早期参入は、長期的に見て大きく成長する 可能性が高い。こうした長期的成長の可能性の芽を育てるためにも、事業化の初期段階に 関しては、グラント等を利用し、金融機関の投融資が受けられる状態まで支援することが 必要となる。 図表 3-15:公的機関の制度を活用した直接的投融資支援 支援概要 管轄 支援スキーム JICA 海外投融資 (i)公的機関の 商工組 制度を活用し 合中央 た直接的投融 金庫 資支援 日本政 策金融 公庫 BOPビジネスにおける 既存スキームの活用例 【F/S調査との連携】 ・融資審査に必要な情報のうち、調 査項目等について助言を行った上 で、企業がF/Sスキームを利用して 調査を行い、その結果を審査項目 の一部として取り入れ、融資を判断、 提供する。 今後の方針案 【モデル事例の形成】 ・BOPビジネスを支援している他公 的機関を通して、案件を発掘し、 融資につなげる等、他機関との連 携を強化し、モデル事例を形成す る。 【認知度の向上】 ・BOPビジネスを実施する企業に 対して、BOPビジネスに関連する ウェブサイトやセミナーでの紹介等 を通して形成されたモデル事例の 宣伝をし、支援スキームの認知度 をさらに高める。 オーバーシーズ21 海外展開資金 (国民生活事業、 中小企業事業) 出典:調査団作成 (2) 事業立ち上げ段階におけるファンドを通じた間接的投融資支援 新規支援制度設立に関する提言 ファンドを通じた間接的投融資支援に関しては、既存の公的支援がないため、新たに BOP ビジネスを支援するファンドの設立を提言する。 既存の直接投融資支援制度は、政府単体での運用が想定されており、民間機関投資家を 巻き込んだスケールアップが見込めない点が課題として挙げられる。その場合、投融資の 市場規模が公的機関の予算範囲に限定されてしまうという問題が発生する。しかし、新規 ファンドの設立により、機関投資家を巻き込んだ BOP ビジネス投融資市場の創造とスケー ルアップを図ることができる。さらに、技術支援を提供することで事業確度を高めること 33 も期待される。提言するファンドの概要は以下の通りである。 ファンド設立の目的 資金調達支援を行い、BOP ビジネスの立ち上げやスケールアップの資金不足に係る課題 を解消し、BOP ビジネスを促進する。 政府が新ファンドに取り組む意義 一般のファンド運営は民間が単体で実施することも多いが、BOP ビジネスへの投融資規 模を今後成長させるために、政府がインパクトファンドに取り組むことは、機関投資家を 巻き込む上で非常に意義がある。現状、日本における BOP ビジネスへの投融資は限定的で あり、ファンドマネージャのトラックレコードも存在しないに等しいため、機関投資家は リスクを恐れて投融資に対して非積極的となっている。こうした状況を打破するために、 政府が最初にリスクを負い、投資家のトラックレコードやその他ビジネスの基盤の構築を 支援することが、その他機関投資家を巻き込む上で重要である。 運用展開計画 将来的に民間資金を巻き込むためのステップとして下記の 3 つを挙げている。①ファン ド導入期、②ファンド成長期、③ファンド成熟期である。 「3.4.2(2)政府によるインパクトフ ァンド設立を巡る世界の動き」にて説明した通り、インパクトファンドの資金拠出者はフ ァンドの成熟に伴い公的機関から民間へと拡大する。①ファンド導入期には、公的機関が 主な資金拠出者であるが、②ファンド成長期では公的機関に加えて徐々に公益/財団法人等 の機関投資家や、年金基金、財団等に資金拠出を求める。そして、③のファンド成熟期で は、民間の機関投資家が主な資金拠出者となる。 図表 3-16:新ファンドの運用展開計画と各ステップの資金拠出者 <新ファンドの運用展開計画と各ステップの資金拠出者> 投 融 資 総 額 ファンド成熟期 資金拠出者 Step 2 Step 1 ファンド導入期 資金拠出者 ・公的機関 Step 3 ファンド成長期 資金拠出者 ・機関投資家(公益/財団法人) 例) 年金基金、財団等 ・公的機関 ・機関投資家(民間) 例) 銀行、ファンド等 ・機関投資家(公益/財団法人) 例) 年金基金、財団等 ・公的機関 時間 出典:調査団作成 有識者の意見 有識者研究会でも、BOP ビジネス(販売網構築等)に求められる 10 億円以下の少額投融資 34 を行うファンドを設立し、融資とは異なる性質の長期的事業資金を提供することは意義が あることが確認された。例えば下記のような意見が得られた。 金融機関からの融資では実績を重視し、新規事業の内容よりも本社の国内事業の審査 を重点的に行う。新規の BOP ビジネス事業が失敗したとしても返済できるかどうか、 という観点で審査するため、BOP ビジネスに対する融資が難しい傾向にある。よって、 融資ではなく、投資という形で資金を提供するファンドを通した支援は意義がある。 BOP ビジネスを対象としたファンドは、実績のない新たなビジネスに出資するという 意味でベンチャーキャピタルに似ている。国内でベンチャーキャピタルを利用して資 金を得る手法を海外の BOP ビジネスに対して適用することは、有効である。 他方、BOP ビジネスの市場は脆弱な国であることが多く、株式公開(IPO)の選択肢 がない場合もあり、出口戦略の検討が難しい。 ファンドには、投資と合わせて技術支援プログラムを行うことにより、BOP ビジネスの 事業確度を高めることが有効である。例えば、中小企業の場合、自社で事業計画を作成す る際分析力に課題を感じていることから、事業成功に向けての技術的な支援は有効である との意見があがった。 (3) 事業準備段階における資金に対する支援 事業立ち上げ期にとどまらず、BOP ビジネスの準備にはコストがかかるため、事業準備 段階における資金に対する支援ニーズが存在する。 この分野においては、BOP ビジネスが利用できる公的な支援が存在するが、支援対象分 野が限定的であるため、こうした支援の有効活用と更なる拡充が必要である。 BOP ビジネスに利用可能な公的支援 事業準備段階における公的機関からの資金を巡る支援は、JICA、独立行政法人中小企業 基盤整備機構(中小機構)等が提供している(3.3.1 章参照) 。 特に、JICA の「協力準備調査(BOP ビジネス連携促進) 」 (3.3.1 章参照)は、中小企業・ 大企業共に利用でき、また、対象ビジネスモデルも多岐にわたるため、BOP ビジネス実施 企業の事前準備段階に対する支援の中心的役割を担っている。その他、中小企業には JICA から「中小企業海外展開支援事業 中小企業連携促進基礎調査」や中小機構から「海外展開 のための F/S 支援事業」が提供されており、BOP ビジネスにも活用できる(3.3.1 章参照)。 35 BOP ビジネスに利用可能な公的支援の課題 上記の通り、JICA の「協力準備調査(BOP ビジネス連携促進) 」は、対象範囲が広く、 BOP ビジネス事前調査支援スキームとして、重要な位置付けにある。他方、JICA は開発援 助機関であるため、BOP ビジネスにより発現する開発効果を重視している。そのため、BOP ビジネスの中でも比較的、開発効果の低いビジネスモデルに対する支援は、優先度が低く なる。例えば、海外で生産した商品を途上国で BOP 層に販売するだけのビジネスや、美容 に関するビジネス等、開発効果が限定的である場合に、支援を受けにくい傾向がみられる。 BOP ビジネスに利用可能な公的支援の活用に向けた提言 BOP ビジネスは、通常ビジネスよりも準備にコストがかかるため、準備段階における資 金支援を拡充することが必要である。更に、限られた支援を有効活用するために、資金以 外の公的機関が提供する支援と組み合わせて、調査が効率的・効果的に実施されることが 望ましい。 BOP ビジネスは、新たなサプライチェーンを農村に築いたり、読み書きのできない販売 員に在庫管理や売上管理の方法を教示したりする方法を確立しなくてはならない。しかし、 上記で述べたとおり、現在は、開発効果の限定的な事業への支援にギャップが存在してい る。そのため、日本企業の海外進出、市場獲得、長期的成長性の確保等の促進を目的とす る他機関等も BOP ビジネスに対する支援を拡充することで、こうしたギャップが埋められ る可能性がある。 更に、公的機関が提供する様々な情報の利用や公的機関の支援により実施された調査結 果の二次利用を促進することも有効である。JICA やジェトロは、BOP ビジネスに役に立つ 様々な情報や調査結果を公開している。こうした情報をより有効活用することで、適切な 事業対象地域の選定や、調査の効率化が可能となる。具体的には、JICA の協力準備調査(BOP ビジネス促進)事務局やジェトロの BOP/ボリュームゾーン・ビジネス支援スキーム等を通 じ、こうした既存情報の利用を積極的に促していくこと等が想定される。 (4) 商品開発段階における資金に対する支援 事業準備段階だけでなく、商品開発段階でも、従来の市場ニーズと異なる BOP 層のニー ズを的確に把握する必要があり、通常ビジネス以上のコストがかかるため、こうした段階 での資金的支援のニーズも存在する。 商品開発に対する支援は既に存在するが、支援対象分野が限定的であるため、支援分野 の拡充を提言する。 36 BOP ビジネスに利用可能な公的支援 商品やサービス開発に利用できる支援として、JICA の「中小企業海外展開支援事業 普 及・実証事業」がある(3.3.1 章参照) 。 BOP ビジネスに利用可能な公的支援の課題 上記のように、既存支援が存在するものの、中小企業向けの支援であり ODA 展開を念頭 に置いた案件に限定されている。そのため、大企業向け支援及び、中小企業向けにはその 他の分野における商品やサービス開発への支援が不足している点が課題として挙げられる。 BOP ビジネスに利用可能な公的支援の活用に向けた提言 上記のような課題を解決するために、BOP 向け商品/サービス開発やその検証に係る実証 事業支援を拡充することが考えられる。特に、BOP ビジネスと親和性の高い医療、食品や、 ICT を利用した農業・教育等、様々な分野において、既存支援の拡充や BOP ビジネスでも 適用可能な制度設計が求められている。 3.2.3 パートナー/人材に関する課題の解決に向けた提言 パートナー/人材に関する課題の解決に向けては、特に、 (1)現地人材育成研修、及び(2) ネットワークリストを用いたパートナー/人材発掘に対する支援の拡充を要望する声が多く 聞かれた18。 (1)現地人材育成研修に対する公的機関による支援としては、多くの分野に対して利用 できる支援が存在する(3.3.1 章参照) 。これらの分野に関しては、既存支援の有効活用を提 言する。 他方、BOP ビジネスの共通課題として、BOP 販売員に対する、在庫管理や売上金管理等、 基本的なスキル不足が挙げられる。しかし、この点に対応する支援は存在しないため、新 規支援の策定を提言する。 ②ネットワークリストを用いたパートナー/人材発掘に対する支援に関しては、既存の支 援がないため、本調査を通じて、ケニア、エチオピア、インド、バングラデシュの 4 か国 で試験的に作成したネットワークリストの活用方法を提言する。 18 有識者研究会を通じて確認した。 37 (1) 現地人材育成研修に関する支援 BOP ビジネスが利用できる既存研修制度 BOP ビジネスの現地人材育成研修として、今後活用/連携可能性のある支援は、JICA 技 術協力プロジェクト、経済産業省 新興市場開拓人材育成支援事業(受入研修、専門家派遣) が挙げられる。 各制度の概要は下記の通りである。 図表 3-17:BOP ビジネスが利用できる既存研修制度 No. 1 2 3 スキーム名 技術協力プロジェクト (*1) 新興市 場開拓 人材育 成支援 事業 (*2) 機関 JICA 受入研修 METI 専門家派遣 METI スキーム概要 JICA の専門家の派遣、研修員の受入れ、機材の供与という 3 つの協力手段(協力ツール)を組み合わせ、一つのプロジェクト として一定の期間に実施される事業。 プロジェクト例 ・品質・生産性向上[カイゼン]プロジェクト 日本の品質・生産性向上に係る経験を踏まえた現地製 造業等の企業の支援を行うプロジェクト。 ・インド経営人材育成プロジェクト 日本の製造業に関する経営手法をインド製造業の経営幹 部へ教授し、製造業の変革を担うリーダーを育成するシステ ムを作るプロジェクト。 ・技術研修 製造技術等の固有技術を習得することを目的とした受入研 修。 ・管理研修 企業経営や工場管理に必要とされる各種管理技術の手法 等を講義、 演習、工場見学等を通じて学ぶ受入研修。 開発途上国の企業に対し、 その企業と出資・商取引の関係に ある日本の企業等から専門能力を有する技術者等を派遣し て、 生産性や品質の向上、経営の改善を図る事業 対象国 ODA 対象国 DAC リスト 記載の国 DAC リスト 記載の国 出典: (*1)JICA ウェブサイト「技術協力プロジェクト」<http://www.jica.go.jp/project/>(2015.2.23 アクセス)、「タンザニ ア品質・生産性向上(カイゼン)による製造業企業強化プロジェクト」等のプロジェクト基本情報 <http://gwweb.jica.go.jp/km/ProjectView.nsf/11964ab4b26187f649256bf300087d03/6726a22e7f05b41a49257af60079d6 04?OpenDocument>(2015.2.23 アクセス)、「製造業経営幹部育成支援プロジェクト」 <http://www.jica.go.jp/india/office/activities/project/25.html>(2015.2.23 アクセス)等を参照。 (*2)平成 26 年度の実施機関は HIDA である。HIDA ウェブサイト「新興市場開拓人材育成支援事業」 <http://www.hidajapan.or.jp/jp/ikusei/index.html>(2015.2.23 アクセス)を参照。 BOP ビジネスが利用できる既存研修制度の活用 今後の方針案としては、まずは研修を受講した人材が BOP ビジネス実施企業にて活用さ れる等、BOP ビジネスでの研修活用のモデル事例を形成することが求められる。また、各 研修制度に対する現地企業の認知度を上げ、そうしたトレーニングを受講した現地企業と 日本企業との連携を促進し、成功事例を形成することも考えられる。 さらに、成功事例を BOP ビジネスに関連するウェブサイトやセミナーでの紹介等を通し て宣伝をし、研修制度の認知度を高めることも重要である。 38 企業が現地で成功するためには、このようなトレーニングが重要となるため、国が限定 されている既存スキームについては、対象国を増やし、BOP ビジネスのニーズが高い国に も横展開することが求められる。また、現地人材育成には専門家を派遣し、地道な研修を することが必要であるが、中小企業にとっては工場立ち上げ時の日本人派遣費用を捻出す るのが難しい。そのため、専門家派遣事業について、1 社当たりで利用できる人数の枠を拡 大してほしい、という要請があった。 具体的な活用方法としては、以下のような事例が想定される。 「品質に係るトレーニングプログラム提供」 : 共通課題に対しては、品質・生産性向上[カイゼン]プロジェクトといった JICA の技術協 力プロジェクトや経済産業省の新興市場開拓人材育成支援事業にて提供している受入研修 [管理研修]等で、現地企業における品質管理責任者向けトレーニング受講者が勤務する現地 企業と、BOP ビジネスを実施する企業が連携する、といった活用例が考えられる。 個別課題に対しては、同じく経済産業省の新興市場開拓人材育成支援事業の専門家派遣 制度で必要な日本人専門家を現地に派遣したり、受入研修[技術研修]を通して現地人材を日 本の工場での研修に参加させたりといった方法により、日本企業が活用できる人材を育成 するといった活用例が考えられる。 「販売員のスキル向上のためのトレーニングプログラム提供」 : 経済産業省の受入研修[技術研修]を通して、現地拠点における販売管理責任者の管理能力 の向上が期待される。 「経営・管理職人材育成のためのトレーニングプログラム提供」 : インド経営人材育成プロジェクトのような JICA の技術協力プロジェクトや経済産業省の 受入研修〔管理研修〕を通して、現地拠点における工場責任者を日本の品質レベルで管理 できる様、育成することが考えられる。 39 図表 3-18:公的機関による既存人材育成の活用方針案 支援概要 課 題 管轄 JICA 共通 (i)品質に係る トレーニング プログラム提供 技術協力プロジェクト 【既存PJとの連携】 (例:品質・生産性向上[カイゼン]プ ・現地拠点における品質 ロジェクト等) 管理責任者を育成する。 METI 新興市場開拓人材育成支援事業 (受入研修〔管理研修〕) JICA 既存支援なし 個別 BOPビジネスにおける 活用例 支援スキーム 新興市場開拓人材育成支援事業 【個別技術の研修】 ・企業独自の技術を用い た生産方式を現地拠点に 移転する。 既存支援なし 活用例なし METI (専門家派遣/受入研修〔技術研修〕) (ii)販売員の 共通 スキル向上の ための トレーニング 個別 プログラム提供 (iii)経営人材 育成のための 共通 トレーニング プログラム提供 N/A 【技術製品の研修】 METI 新興市場開拓人材育成支援事業 ・現地拠点における販売管 (受入研修〔技術研修〕) 理責任者の管理能力向上 のために育成する。 JICA METI 技術協力プロジェクト (例:インド経営人材育成 プロジェクト等) 【管理職育成】 ・現地拠点における工場責 任者を、日本の品質レベ ルで管理できる様、育成す 新興市場開拓人材育成支援事業 る。 (受入研修〔管理研修〕) 今後の方針案 【モデル事例の形成】 ・研修を受講した人材がBOPビ ジネス実施企業にて活用される 等、BOPビジネスでの研修活用 のモデル事例を形成する。 【認知度の向上】 ・BOPビジネスを実施する企業に 対して、BOPビジネスに関連する ウェブサイトやセミナーでの紹介 等を通して形成されたモデル事 例の宣伝をし、支援スキームの 認知度をさらに高める。 【スケールアップ】 ・対象国を増やす、1社当たり利 用できる人数の枠を拡大する等 により、スキームをスケールアッ プさせる。 (*)赤い点線で囲まれている部分は、既存の支援スキームが存在しないため、新しい研修制度(販売員の基本的スキ ル向上のためのトレーニングプログラム提供)を提言する。 出典:調査団作成 BOP ビジネスが利用できる新しい研修制度(販売員の基本的スキル向上のためのトレーニ ングプログラム提供) BOP 層に商品/サービスを販売するビジネスの場合、共通して、現地販売員の基本的スキ ル(在庫管理や売上金管理)の低さに対する課題を抱えている。しかし、このような企業 に共通する課題については、図 3-18 の通り、既存の公的機関による支援は見受けられない ことから、新規トレーニングプログラムの開発・実施を提言する。プログラムの概要は以 下の通りである。 目的: ビジネスの基本スキルが低い販売員に対して在庫管理、経理、金銭の支払/受取等のトレ ーニングを実施することにより、BOP ビジネスに取り組む際に企業が抱える流通・販売に 係る課題を解消し、BOP ビジネスの展開を促進する。 内容: 具体的には在庫管理、経理、金銭の支払/受取等、現地販売員が有する共通課題の対応策 をマニュアル化し、公表する。また、中長期的には現地販売員及び販売員に研修を実施す る教育者に対してトレーニングを提供することでスケールアップを図る。 展開方法 40 展開方法として、下記 3 つのステップを検討している。Step1 では、準備期として、販売 員の有する共通課題に対応するマニュアルの作成を提言する。この段階では、教室等での トレーニングは想定せず、まずは Web 上への公開等で展開する。Step2 の小規模展開では、 作成したマニュアルをベースとして、トレーニングプログラムを開発する。例えば、日本 の公的機関や現地研修機関で既に現地にて研修を実施しているような機関と連携し、開発 したトレーニングを現地人材に対して試験的に実施する。こうした試験的実施によって得 られたフィードバックを元にマニュアルを改善し、Step3 のスケールアップ期には現地教育 者へのトレーニングプログラムを開発し、教育者の育成を行う。 図表 3-19:販売員への人材育成研修の展開方法 フェーズ Step1 Step2 Step3 準備 小規模展開 スケールアップ ・マニュアルを活用したト レーニングプログラムの作成。 ・対象国の選定。 ・連携する研修提供機関の 選定。 ・研修提供機関と連携した、 現場販売員へのトレーニン グ実施。 ・ Step2で選定した対象国に おける販売員への直接的な トレーニング実施(継続)。 ・販売員へのトレーニング実 施要員である、現地教育者 へのトレーニングプログラム の開発・実施。 ・対象国での教育者の育成 を通じたスケールアップ。 ・販売員の有する共通課題 に対応するマニュアルの作 成。 ・Web掲載による展開。 説明 出典:調査団作成 (2) ネットワークリストを用いたパートナー/人材発掘支援 パートナー/人材調査支援として、ネットワークリストを作成し、公開することが有益と 考えられる。本調査では、試行的に、ケニア、エチオピア、インド、バングラデシュにお いて、ネットワークリストの新規作成を行った。ネットワークリストの概要は以下の通り である。 ネットワークリストの概要と展開計画 目的: 現地にて親日な各種ネットワークを、ネットワークが有する人材スキルや産業別に分類 し、窓口となる連絡先を一覧化することで、BOP ビジネスに取り組む日本企業が適切なパ ートナー/人材を発掘する際のハードルを下げることである。企業は日本人と現地人材との コミュニケーションに課題を抱えることが多く、日本と現地の両方を知り活躍できる元留 学生等へのニーズは高い。例えば、日本の大学の博士課程を卒業した人材を中間管理職と して採用した結果、日本語、英語ができ、日本文化を理解しているため文化的な摩擦が起 きにくく、結果現地事業が円滑に進んだという成功事例があった。 41 活用例 BOP ビジネスを検討している企業が、当該国のネットワークリストに記載されている元 研修生/留学生や同窓会ネットワークを管理する機関にコンタクトし、同窓会に在籍する事 業者より、現地の視点から見た現地市場情報や適切なパートナー情報をヒアリングする、 といった利用方法が考えられる。 運用展開計画 Step1~3 の順に展開することを想定している。Step1 が現状のネットワークリスト運用状 況を示しており、ケニア、エチオピア、インド、バングラデシュにてヒアリングを実施し た機関、人材等の中から、各国 10~20 程度のコンタクト先を抽出し、掲載している。(ネ ットワークリストは 5.4 章を参照) 中長期的には、利用者のフィードバックに基づき、コンタクト先の信用性を高めることを 検討している。 Step2 では、同じ対象国4か国に対し、コンタクト先を各国 50 名程度とすることを目標 とする。この際、単に連絡先の数を増やすのではなく、これまでの利用者からのフィード バックを収集し、その結果を参考に、運営者内部でコンタクト先の精査を行う。また、パ ートナーや人材の紹介に留まらず、マッチング支援を通じた交流促進や、その後のフォロ ーアップを通じた更なるリレーション構築を行い、よりリストにある連絡先の信頼性を高 める。 Step3 では、対象国は 20 か国、コンタクト先は各国 100 程度とする。この段階では利用 者のフィードバックが Web 上に公開され、運営者の介入が無くとも自然に信頼のおけるコ ンタクト先が抽出され、品質管理が行われることを目指す。 42 図表 3-20:ネットワークリストの運用展開計画 対象国 Step1 (現状) Step2 4か国(インド、バングラデシュ、 エチオピア、ケニア) 4か国(インド、バングラデシュ、 エチオピア、ケニア) 10か国 ・当調査よりネットワークリスト への掲載コンタクト先を抽出 ・利用者より掲載コンタクトや 新規コンタクトに係るフィード バックを収集 ・運営者内部でフィードバック を精査し、ネットワークリストに 反映 ・マッチングイベントを通じた 交流促進 ・マッチング後のフォローアッ プを通じて更なるリレーション 構築を支援 ・利用者のフィードバックを収 集、内容をWeb上に公開 ・評価が提示されることにより、 自然にリストの品質管理が行 われることを想定 ・継続的なマッチングイベント を通じた交流促進 ・マッチング後のフォローアッ プを通じて更なるリレーション 構築を支援 10~20 50 50 リストの質 管理 国別 コンタクト数 Step3 出典:調査団作成 ネットワークリストの活用に関する提言 更に、作成したネットワークリストの活用方法として、適切な現地パートナーや現地人 材をつなぐマッチング支援が考えられる。日本企業へリストを公開した上で、Step1 や Step2 での対象国 4 か国にマッチング支援アドバイザーを設置し、積極的に企業との結びつきを 支援することがリストの有効活用として必要である。 43 3.3 公的機関による既存支援 3.3.1 日本の既存支援 日本の公的機関が提供する BOP ビジネスに係る支援を、 「課題」及び「事業フェーズ」に よって整理した。 「課題」としては、優先課題である①会社の方針、②資金、③パートナー/人材の 3 つと その他の課題に分類した。 「事業フェーズ」としては、企 業が BOP ビジネスを立ち上げる 図表 3-22:事業立ち上げに至るまでの事業フェーズの定義 • 企業の長期的戦略策定 例)長期戦略策定 サステナビリティ戦略 に至るまでの事業フェーズを、① 企業戦略、②事前事業準備調査、 事前事業準 備調査 企業戦略 • 事業の実行可能性調査 例)現地市場調査、 ビジネスモデル検証 商品/ サービス開発 及び検証 事業準備 調査 事業の立ち上げ (設備投資及び技術支援) 例)工場建設 農家のスケールアップ 立ち上げ 実施 ③事業準備調査、④商品/サービ • ス開発及び検証、⑤立ち上げ実施 の 5 つのフェーズに分類(図表 F/S調査前に実施すべき調査事項 例)国の選定、法環境調査 • 商品/サービスの再開発及びその検証 例)商品再開発、追加パイロット 出典:調査団作成 3-22)した。 整理結果は、図表 3-23 の通りとなった。①会社の方針の課題に対する公的機関による支 援制度は限定的であるが、その他については、ジェトロや JICA を中心に様々な支援制度が 現在展開されている。なお、②資金の課題に対応する支援制度は、様々な制度があるもの の、投融資額が BOP ビジネスに適した金額レンジであること、産業横断的であること、新 興国が対象地域であることの 3 つの条件を基に抽出した。また、立ち上げ実施フェーズに おける資金支援制度として、商工中金のオーバーシーズ 21、日本公庫の海外展開資金、そ して JICA の海外投融資の 3 つを挙げているが、それぞれ BOP ビジネスに対して投融資を 行った実績はほとんどない。なお、各支援制度の詳細は、5.5 章日本の経済協力ツール一覧 にまとめている。 44 図表 3-23:日本の公的機関による BOP ビジネス支援スキーム 事業フェーズ 課題 事業準備 調査 事前事業 準備調査 企業戦略 商品/サービス 開発及び検証 立ち上げ 実施 ①会社の方針 中小機構 海外 展開のための F/S支援事業 JICA 協力準 備調査(BOP 連携促進) JICA 中小企業海外 展開支援事業 ②資金 大 企業 商工中金 オーバーシーズ21 JICA JICA 中小企 業海外展開 支援事業 中小 企業 日本政策金融公 庫 海外展開資金 海 外 投 融 資 JICA(技術協力・青年 海外協力隊) HIDA(受入研修、専 門家派遣制度) ③パートナー/人材 ジェトロ (BOP/ボリュームゾーン・ビジネス支援スキーム)(*) 大使館 現地政府との合同協議 ジェトロ/JICA 海外市場調査・情報提供 その他 大使館 現地政府との合同協議 METI/ジェトロ/MOFA ポータルサイト METI/MOFA/ジェトロ/JICA セミナー 凡例: 公的機関による支援 ※グレー部分は論理的に対象無し (*)ジェトロの BOP/ボリュームゾーン・ビジネス支援スキームはパートナー/人材とその他両方にマッピングされる。 出典:調査団作成 3.3.2 海外の既存支援 (1) 各国政府が提供する支援 優先課題である①会社の方針、②資金、③パートナー/人材の 3 つに関し、海外の各国政 府や国際機関では、下記のような支援を提供している。支援は主に、情報共有、グラント、 投融資に分けられる。 日本の公的機関による BOP ビジネスに対する資金支援実績がまだ限られている中、イギ リス、オランダ、アメリカ、スウェーデン等諸外国は、BOP ビジネス立ち上げ実施期にお ける資金の課題に対応する支援を積極的に提供している。 45 図表 3-24:各国政府や国際機関の BOP ビジネス支援スキーム例 事業フェーズ 課題 企業戦略 事前事業 準備調査 商品/サービス 開発及び検証 事業準備調査 立ち上げ 実施 [UNDP等] Business Call to Action [DFID, SIDA] Practitioner HUB ①会社方針 [SIDA] アドバイザリーサービス (応札前アドバイザリー、エグゼクティブ向けワークショップ開催等) [SIDA] IAP、 ローン [SIDA] Innovations Against Poverty (IAP) 小口グラント(2万EUR) [オランダ] Dutch Good Growth Fund 大口グラント(2万~20万EU) [DFID]Impact Fund [DFID等]Global Innovation Fund (GIF) [DFID]GIF、ローン (£30,000~£10 millionのグラント) [DFID] Trade in Global Value Chains Initiative (企業とDFID間でコストシェアリングを実施、企業は最低50%を負担) [USAD] Development Innovation Ventures (パイロット:USD100T、ビジネスモデル検証:USD1M、多国展開:USD15M、 企業とDFID間でコストシェアリングを実施) ②資金調達 [USAID ]Global Development Alliance (パートナーマッチング、プロジェクトへのグラント) [SIDA] アドバイザリーサービス (ビジネスモデルのレビュー、パートナーマッチング等) [USAID] アドバイザリーサービス (パートナーマッチング、人材育成研修プログラム等) ③パートナー/ 人材 ※グレー部分は論理的に対象無し 凡例: 情報共有 グラント 投融資 出典:調査団作成 図表 3-25:各国政府や国際機関の BOP ビジネス支援スキーム例一覧 機関 支援スキーム 支援スキーム概要 2008 年に発足した、UNDP 等の開発機関・政府20が主導する、企業・ 政府・開発援助機関のグローバルな会員ネットワークである。下記 の様な活動を行っている。 -貧困を根絶し、MDGs の達成を支援するための世界を代表する企 国連開発計画 Business Call to 業などが集まる枠組みへの参加 (UNDP)等 Action19 -インクルーシブビジネス・モデルと、こうしたモデルのコアビジ ネスへの取り入れ方に関する専門的なサポート -開発関係機関とのパートナーシップの構築 -国連を含め、国、地域および世界的な場での、自社の取り組みの 成果の検証と発表の機会提供 19 Business Call to Action (BCtA)の英語サイト<http://www.businesscalltoaction.org/about/about-us/>及び日本語 サイト<http://www.jp.undp.org/content/tokyo/ja/home/partnerships_initiatives/privatesector/privatesector5.html>参 照。 20 オーストラリア国際開発庁(AusAid)、オランダ外務省、スウェーデン国際開発庁(SIDA)、英国国際開発 省(DFID) 、米国国際開発庁(USAID)、国連開発計画(UNDP)、国連グローバルコンパクト(United Nations Global Compact: UNGC)、クリントン・グローバル・イニシアチブ(Clinton Global Initiative: CGI)。 46 DFID と SIDA による BOP ビジネスの F/S ファンド(BIF 及び IAP)によって開発されたプラットフォームである。世界中に点在 英国国際開発 する BOP ビジネスの従事者(経営者、コンサルタント、研究員等) 省(DFID)、 スウェーデン 国際開発協力 Practitioner を繋げることで、ビジネスアイデアや事業実施の見識を共有し、 21 BOP ビジネス分野全体の底上げ、さらに個々の BOP ビジネス事 HUB 業の成長を促すことを目的として設立された。プラットフォームは 庁(SIDA) 4 つのメニュー、①プロジェクト、②ネットワーク、③ノウハウ、 ④リソースツールに大別されている。 申請企業に対して採択前にはビジネスプランや応募書類作成への アドバイザリーサービスを、採択後にはハンズオフ(経営方針には アドバイザリ 深く関与しない形)のアドバイザリーサービスを提供している。ビ ーサービス ジネスモデルのレビュー、仕入先、販売パートナーのマッチング支 援を行っており、定期的に進捗状況把握を行い、段階的グラント提 供している。 ①小口グラント(Small Grants):プロジェクト全体費用の 50%(上 限 EUR20,000)が SIDA より支給され、企業が残りの 50%を負担す スウェーデン るマッチングファンドの形式を取っている。助成金は出張費、フィ 国際開発協力 庁(SIDA) Innovations ージビリティスタディの費用を負担に提供している。 Against ②大口グラント(Large Grants):プロジェクト全体費用の 50%( Poverty 22 上限 EUR200,000)が SIDA より支給され、企業が残りの 50%を負 担するマッチングファンドの形式を取っている。製品、サービス、 システム開発、パイロットの実施及びマーケティングテストために 提供している。 途上国、新興国への投資ニーズに対応するために、開発分野を対象 ローン としたローンを提供する。グラントとローンを結びつけ、銀行や多 国籍金融機関と連携しながら支援している。 途上国の人々の生活を改善することを目的としたソーシャルイノ 英国国際開発 省(DFID) ベーションを対象とし、社会起業家、民間企業、非営利団体、国際 Global Innovation Fund 機関、研究者、政府機関に対して、GBP 30,000 - 10 Million の資金 23 的支援を行う。GIF は、DFID の他、USAID、オミダイアネットワ (GIF) ーク24、SIDA、オーストラリア外務省から支援を受けている。 21 Practitioner HUB ウェブサイト<http://www.inclusivebusinesshub.org/> SIDA, “Innovations Against Poverty” <http://www.sida.se/globalassets/documents/fact-sheet_sida-iap.pdf > 23 Global Innovation Fund(GIF)ウェブサイト< http://www.globalinnovation.fund/> 24 アメリカ ebay の創業者ピエール・オミダイアの設立したフィランソロピー団体で有限責任会社と非営利 公益法人の 2 つの法人格を有して活動しているファンドである。 22 47 GBP4Million 規模のマッチングファンド。グローバルなバリューチ Trade in Global Value Chains Initiative (TGVCI)25 ェーンに携わる企業や貿易機関、他アクターが、労働者のスキル向 上やより多くの労働力獲得のために初期/スケールアップの投資を 推進することを目的とする。ファンドの支援の対象は、英国企業に 限定されない。 DFID が提供する IMPACT Programme の一環として、英連邦開発公 Impact Fund 社(CDC)26を通じてインパクト投資を行う。全体のファンド規模 は GBP75Million であり、平均投資規模は GBP10 Million。 ローン DFID は様々なファンドを支援しており、これらのファンドを通し てローンを提供している。 外部から事業アイデアを申請してもらい、選ばれたパートナーに助 成金を出すことで、市場へのインパクトを生む可能性の高い起業家 Development Innovation Ventures (DIV)27 たちを直接的に支援できる仕組み。①新しいビジネスモデルや製品 のパイロットを実施するための USD100,000 の資金提供、②より大 きな市場調査やビジネスモデルの実証のための上限 USD1Million の資金提供、③多国籍に渡ってスケールをより大きくするための上 限 USD15Million の資金提供を行う。 米国国際開発 庁(USAID) USAID と企業が共同で資金を出し、企業のコアビジネスを通じて Global Development Alliance (GDA)28 途上国の開発課題の解決に貢献する取組み。通常、USAID と企業 は1対1の比率で費用を折半し、事業発掘から事業実施、評価に至 るまでの全行程において対等なパートナーシップを構築している。 限度額はないが過去の実績は USD50,000 -10Million29。 アドバイザリ 資金提供以外に、USAID はこれまでの開発援助の経験から得られ ーサービス た現地情報、 先方政府や現地 NGO とのネットワーク等を提供する。 オランダ企業 途上国、新興国市場でビジネスを行うオランダの中小企業や起業家 庁(Netherlands Dutch Good に対して支援するファンド・オブ・ファンズ31。現地雇用創出につ Enterprise Growth Fund30 ながる事業、現地企業の生産能力を高める事業、途上国への技術移 Agency:RVO) 転に寄与する事業が対象となる。ファンド規模は EUR 175Million。 出典:調査団作成 25 Trade in Global Value Chains Initiative(TGVCI)ウェブサイト< http://www.tgvci.com/> 開発途上国の民間部門に対するローン、株式投資の形態による支援を担当する機関。 27 Development Innovation Ventures(DIV) ウェブサイト< http://www.usaid.gov/div > 28 Global Development Alliance(GDA) ウェブサイト< http://www.usaid.gov/gda> 29 外務省「米国の助成制度① グローバル・デベロップメント・アライアンス」 <http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/doukou/mdgs/kanmin/pdfs/us_01.pdf > (2015.2.27 アクセス) 30 Dutch Good Growth Fund ウェブサイト< http://english.rvo.nl/subsidies-programmes/investments-dutch-smes> <http://english.rvo.nl/sites/default/files/2015/01/DGGF_spoor_2_EN-okt14.pdf > 31 投資信託に投資する投資信託を指す。 26 48 (2) 各国政府が提供する支援の具体例 DFID がインパクトファンドを支援する背景には、DFID が 2014 年に策定した「Economic Development for Shared Prosperity and Poverty Reduction: a Strategic Framework」 (以下、戦略枠 組)があると考えられる。インパクトファンドが成長することは、インクルーシブビジネ スの実現をめざす民間ビジネスに対する投資を促進することにつながる。そのため、以下 にあげる戦略枠組の主要な柱のうち、②、④、⑤が、DFID がインパクトファンドを支援す る政策的根拠となると考えられる。 図表 3-26:戦略枠組の主要な柱 ① 世界の貧困層が繁栄を分かち合えるために国際ルールを改善する。 ② 民間セクターの成長を促進する環境づくりを支援する。 ③ 困難な脆弱国において投資・貿易フローを促進する(ODA はその触媒になる)。 ④ ビジネスによる投資が開発に貢献するように、働きかける。 ⑤ 成長がインクルーシブ(包摂的)で、女性や女児の利益になることを確保する。 出典:大野泉, 長嶌朱美「GRIPS 開発フォーラム 英国・ドイツ出張報告」(2014.10) <http://www.grips.ac.jp/forum/pdf14/UKGermanyReport2014_final_rev1104.pdf> (2015.2.23 アクセス) DFID が支援するファンドは、リスク許容範囲が広いが、その背景には、①インパクトフ ァンドを支援する政策的関連性が明確であること、②全体で一定のリターンがあればよい というポートフォリオよる案件管理が行われているため、高リスクの案件を一定割合許容 することができること、の 2 点が挙げられる。 また、DFID が実施するインパクトファンドをはじめとした海外のインパクトファンドの 特徴の一つとして、現地に密着した案件発掘が挙げられる。ファンドスタッフを現地に派 遣する場合、現地人材に教育を提供した上でファンドマネージャとして採用する場合、あ るいは先進国で教育を受けた現地出身人材を採用する場合もあり、こうした人材の現地ネ ットワークから案件情報を入手する。現地に密着して、的確な情報を得ることで、投資リ スクの軽減を図っている。 49 図表 3-27:DFID の Impact Fund の概要 スキーム名 国 組織名 対象フェーズ 制度の種類 スキーム概要 特長 背景 ミッション 運営方法 Impact Fund イギリス DFID(運用は CDC が実施) 立ち上げ実施期 投融資(ファンド) ・Impact Fund は、DFID が提供する IMPACT Programme の一環として、 CDC を通じてインパクト投資を行うためのプロジェクトである。 IMPACT Programme には、Impact Fund 以外にも、BOP ビジネスを含め たインパクトの高いビジネスへの技術支援や開発効果測定に関する支 援も含まれる。 ・主にサブサハラアフリカと南アジアをターゲットにしている。 ・全体のファンド規模は GBP75Million である。 ・平均投資規模は GBP10 Million 程度であり小規模である。 リスクの許容範囲が広い。 リスクの許容範囲が広い背景として、下記 2 点が挙げられる。 明確なミッションに沿った支援プログラムの決定 Impact Fund のミッションは、民間投資家に対し、インパクトインベ ストメント32の市場が存在することを示し、民間投資を促すことであ る。したがって、商業的な利益と社会的リターン両方の確保は目指す ものの、リターンは一桁前半に設定されている。通常のファンド(中 程度のリターンで 5~15%)ほど高いリターンを求めることはないた め、リスクを許容できる。 ポートフォリオによる案件管理 投資先ごとの期待リターンはなく、プログラムが終了する 2025 年ま でに Impact Fund 全体で一定のリターンを上げられればよいという目 標が設定されている。そのため、投資先ごとのリスクを許容できる。 出典:調査団が有するネットワークから得られた知見より作成 (3) インパクトファンド設立を巡る世界の動き 歴史的変遷 次に、政府によるインパクトファンドの設立を巡る世界の動きを示す。 インパクトファンドの資金拠出者は、大きく 3 つに分類できる。①各国公的機関、②公 的/財団法人等の機関投資家、③民間の機関投資家である。海外でのインパクトインベスト メント市場の変遷(図表 3-28)を確認すると、拠出者が公的機関から民間へと移行してい く様子が見てとれる。2002 年、政府を資金拠出者とするインパクトインベストメントにフ ォーカスしたファンド Bridges Ventures(ファンド規模は GBP20Million)が英国にて設立さ 32 インパクトインベストメントの定義は、より積極的に、社会的インパクト(開発効果)を生み出す事業 に対する投資を行うことである。 50 れた33 。その後、2006 年には、米国の年金ファンドの一つである TIAA-CREF(Teachers Insurance and Annuity Association-College Retirement Equities Fund)が、Global Social Community Investing チームを立ち上げ34、2013 年には、Goldman Sachs35や Morgan Stanley36等の民間の 大型機関投資家が参入した。 図表 3-28:インパクトインベストメントの資金拠出者の変遷 各国公的機関による資金拠出 機関投資家(公益/財団法人)による資金拠出 機関投資家(民間) による資金拠出 2002 2006 2013 ・インパクトインベストメントにフォーカスした ファンド(USD60Million)が英国にて設立 ・米国の年金ファンドの一つである TIAA –CREF*が、Global Social Community Investing チームを立 ち上げ。 ・Goldman Sachsが USD250Millionのソーシャルイン パクトファンドを立ち上げ。 ・JP Morganが今後5年間で USD10Billionのインパクトインベス トメントを行うことをコミット。 *Teachers Insurance and Annuity Association – College Retirement Equities Fundの略 出典:調査団作成 ファンドの個別事例 資金拠出者の変遷の事例として、インパクトファンド運用会社 A を取り上げる。 同運用会社 A の 1 号ファンドでは、政府による出資が主流であり、民間出資は、民間フ ァンド ENAM Capital からの約 2,000 万円に限られていた。しかしながら、実績を蓄積37す ることで、2 号ファンドでは民間企業 Cisco が約 12 億円もの資金拠出を行っている。この ように、初期フェーズでは実績がなく、リスクを可視化することが困難なため、民間より も公的機関の出資が大きくなっているが、フェーズが進み、実績が積み上がるにつれて徐々 33 UK National Advisory Board to the Social Impact Investment Taskforce, “Building a Social Impact Investment Market The UK Experience”(2014.9) <http://www.socialimpactinvestment.org/reports/UK%20Advisory%20Board%20to%20the%20Social%20Investment %20Taskforce%20Report%20September%202014.pdf> (2015.2.23 アクセス) 34 J.P. Morgan, “Impact Investments: An Emerging Asset Class,” (2010.11) p.26, <http://ventureatlanta.org/wp-content/uploads/2011/11/JP-Morgan-impact_investments_nov2010.pdf>(2015.2.23 ア クセス) 35 Goldman Sachs は USD250Million のソーシャルインパクトファンドを立ち上げることを発表した。 (The Chronicle of Philanthropy, “Goldman Sachs Launches $250-Million Social-Impact Fund, (2013.11), <http://philanthropy.com/blogs/philanthropytoday/goldman-sachs-launches-250-million-social-impact-fund/77467 > (2015.2.24 アクセス)参照。 ) 36 Morgan Stanley は今後 5 年間で USD10Billion のインパクトインベストメントを行うことを発表した。 (Morgan Stanley, “Morgan Stanley Establishes Institute for Sustainable Investing,” (2013.11) <http://www.morganstanley.com/about-us-articles/a2ea84d4-931a-4ae3-8dbd-c42f3a50cce0.html >(2015.2.24 アク セス)参照。 ) 37 インパクトファンドは Exit までが 7-10 年程度であるため、実績の蓄積にも同様の期間がかかると想定さ れる。 51 に民間投資家が参入する傾向にあることがわかる。したがって、日本におけるインパクト インベストメント市場の発展のためには、初期フェーズでの日本政府の関与は非常に重要 となることが分かる。 図表 3-29:インパクトファンド事例 ・主にヘルスケア、水、教育、農業、再生可能エネルギー分野に取り組む企業に対して、資金提供を目的 とするインドのファンド。これまでファンドを5つ経営しており、投資先には技術支援も行っている。 概要 1st Fund 出資対象事業 開始時期 2nd Fund ・スタートアップステージにおける企業に対して出資 ・グロースステージにおける企業に対して出資 ・2002年~2007年(First Fund Raise) ・2007年~2009年(Final Fund Raise) ・2011年~2011年(First Fund Raise) ・2013年 (Final Fund Raise) クローズ迄の期間 ・約10年 エグジット迄の期間 ・出資からエグジットまでの期間は、約6~7年 IRR ・~約20% 出資額/案件 資金拠出者 (Fund Raiseのタイミ ングにより組み合わせ は異なる) ・USD5万~USD50万(約600万円~約6,000万円) ・USD50万~USD120万(約6,000万円~約1.4億円) ・ NABARD (印国National Development Bank) ・ FMO(オランダ開発金融会社) ・ Rockefeller Foundation(米国) ・ CORDAID Foundation (オランダ) ・ Dreilinden gGmbH Foundation(スウェーデン) ・ Noaber Ventures Foundation(オランダ) ・ CARE Canada (カナダ) ・ Oasis Fund (スイス) ・ ENAM Capital (民間Fund) ・ Aavishkaar International (関連企業) 等々 ・IFC ・CDC(英国の開発金融機関) ・KFW(ドイツ開発銀行) 1st Fundでは ・FMO(オランダ開発金融会社) 民間ファンドのENAMが ・Impact Investment Trust(不明) 約2,000万円出資。 ・Rinta Capital (民間Fund) 2nd Fundでは民間企業の ・Cisco(民間企業) CiscoがENAMより 等々 多額の約12億円出資した。 ※フォント配色 黒:公的機関 茶色: 機関投資家(公益/財団法人) オレンジ:機関投資家(民間) 出典:Aavishkaar Venture Management Services, “Aavishkaar's Annual Impact Report 2014” (2014) <http://www.aavishkaar.in/images/download/publications/Aavishkaar%20Impact%20Report%202014-Final.pdf>(2015.2. 23 アクセス), Impact Investing 2.0, "Case Study Aavishkaar India Micro Venture Capital Fund (AIMVCF)" (2013.11) <http://www.pacificcommunityventures.org/impinv2/wp-content/uploads/2013/11/casestudy_aavishkaar_v6.pdf>(2015.2. 23 アクセス), Vineet Rai Aavishkaar Venture Management Services, "Aavishkaar II Building Bharat Sustainably" (2010) <http://www.slideshare.net/adhersdomain/3-plenary-aavishkaar-ii-mrvineet>, Social Story, "Aavishkaar II raises US$ 94 million, announces its final close," (2013.8) <http://social.yourstory.com/2013/08/aavishkaar-ii-raises-us-94-million-announces-its-final-close/> より調査団作成。 52 インパクトインベストメント市場に民間投資家が参入するには、経済的リターンが得ら れることが重要である。海外では、既に BOP ビジネスを対象としたインパクトインベスト メントを通じて高い経済的リターンを確保しているインパクトファンドが多数ある。 図表 3-30:インパクトインベストメントの経済的リターン ネガティブ* 低* 中* 高* E13(India) E 12(India) E11(India) E10(UK) E9(UK) E8 (Switzerland) E6(UK) E7(India) E5(India) D16(UK)** LE7(Belgium) (E) D15(Norway) D14(Belgium) (E) D13(Finland) D12(Denmark) E4(Netherland) LE6(Switzerland) E3(Switzerland) LE 5(Switzerland) D11(US) ** D10(US) ** E2(US) ** F1(US) LE4(Belgium) D9(Netherland) LE 3(Netherland) LE 2(Belgium) (L) E1(Norway)** D8(Belgium)(L) D7(Denmark) (L) LE1(Switzerland) 凡例: 凡例: ()内は国名 <L>はローンを扱う特定ファンド <E>はエクイティを扱う特定ファンド 番号は、各組織を識別する個別番号 DFI- D 民間ファンド-Equity のみ-E 民間ファンド:ローン&エクイティ-LE 非営利民間ファンド -N 財団NGO -F N2(Netherland)** D6(UK) D5(Norway) SME N1(US) D 2 (Norway) D 1 (非公開) ファンド全体のリターン(概算) (%) PwC作成 *高は15%以上、中は5-15%、低は0-5%のレンジである。中と低の境界はリスクフリーレート又は 資本コスと考えられる。 **実質IRR率が出ないファンドについては、ターゲットIRR率を参考にした。 出典:JICA、あらた監査法人、ARUN 合同会社「BOP ビジネスの開発効果向上のための評価及びファイ ナンス手法に係る基礎調査」(2013 年 11 月) 高い経済的リターン 図表 3-31:インパクトインベストメントの市場規模 を得られることが徐々 に明らかになる中で、民 間投資家によるインパ $ 10 tn クトインベストメント が拡大しつつある。前述 の通り、Goldman Sachs や JP Morgan もインパ $ 500 bn $ 50 bn 2009年 x10 2019年 x20 2050年 クト投資を開始してい る。こうした流れを受け、 インパクトインベスト 出典:Monitor Institute,“Investing for Social and Environmental Impact”(2009.1) 及び J.P.Morgan Stanley,“Sustainable Investing” <http://www.morganstanley.com/sustainableinvesting/sustainable-investing.html> (2015.2.23 アクセス)より PwC 作成 メントの市場は、4 年後 の 2019 年には、5000 億 USD 規模に成長すると予測されている。 53 なお、ファイナンス市場の 図表 3-32:プライベートエクイティ市場の変遷 歴史をみると、インパクトイ ンベストメント同様に新たな ジャンルとして成長した市場 機関投資家の 参入により急成長 に、プライベートエクイティ 機関投資家による 投融資が開始 市場がある。プライベートエ クイティ市場の変遷をみると、 投融資は20年間限定的 当初 20 年間は、市場規模が限 定的であったことが分かる。 これは、新たなジャンルの投 資が高いリターンをもたらす 出典:Bain & Company, “Global Private Equity Report 2012” (2012.3) という実績が積み上がるまで、大規模な機関投資家は新ジャンルに参入しないこと背景に ある。インパクトインベストメント市場も同様に、政府支援がない場合、その形成に多大 な時間がかかると考えられる。しかしながら、その社会的側面を考慮すると、インパクト インベストメント市場を日本で促進するために、初期段階で政府が支援する意義があると 考えられる。 3.4 現地パートナー/人材確保に関する要因と助言 3.4.1 現地パートナー/人材確保に関する要因と助言の概要 調査対象国におけるヒアリング先より、様々な BOP ビジネスにおける課題の要因やそれ に対する助言が得られた。なお、政府が取り組むべき優先課題として①会社の方針、②資 金、③人材/パートナーの 3 つを挙げているが、現地調査にて得られた情報は主に③人材/パ ートナーに係る課題とその助言である。 54 3.4.2 ケニア ケニアのヒアリング結果より、人材・パートナーに関する課題の要因と助言をまとめた。 図表 3-33:ケニアにおける BOP ビジネスの課題の要因と助言例 国 課題 要因/助言 パートナーのアウトプット が期待値と合わない ③-a パートナー/ 人材の品質に係る 技術や能力レベル が不十分 要因 要因 適切なパートナー/人材 が見つからない 助言 適切な人材が 見つからない 助言 要因 ケニア 現地人材アウトプットが 期待値と合わない 助言 助言 助言 ③-d 経営・管理職 ミドルマネジメント層が 人材の 見つからない 不足 要因 要因 ヒアリングで確認した具体的な要因/助言の例 契約に必要事項を十分盛り込まず、役割分担が不明確になることは、アウトプットの認識差異を生む 要因の一つである。 日本人の説明不足で、パートナーに期待値が伝わっていないことが、品質が低くなる原因の一つで ある。 BOPビジネスは、簡単に利益が出にくいため、継続的な関係構築が重要である。そのため、給与等 の数字だけで人を探すのではなく、同じ志を持った人やパートナーを探すことが継続的な関係構築に は重要。 日本に留学していた経験があっても、ケニアに戻ると元の習慣に戻るので、ケニア人を雇用する場 合、日本企業は教育を続けないと日本人が求めるものは期待できない。 ケニア人は、日本人と比べ、プライベートを優先する傾向がある。その影響もあり、勤務態度にしても 時間にルーズであったり、責任感の欠如等の欠点が見られることもある。実際に現地企業において もそれらの欠点が極端なケースには、職員を首にしている。 日系企業がとりうる対策としては、日本人の価値観や考え方を訓練する必要がある。 日本人の阿吽の呼吸を期待せず、細かく説明することにより、意思疎通を細かく確認しながら業務を 進めること。そしてその後はケニア人を信用し、一定量任せることが重要。 日本人はケニア人とのコミュニケーションをもっと積極的に取ってほしい。コミュニケーションが少ない 結果、日本人が求めていることをケニア人が実行できないケースが多く、悪循環に陥っている様に思 われる。 経営人材クラスのケニア人が日本企業に就職しようとしても、魅力ある待遇で採用されるケースは少 ない。特に修士、博士等学歴が高い人材により顕著である。また欧米企業の方が好待遇であるた め、優秀な人材はそちらに流れてしまう。 BOPビジネスのボトルネックとして、アイデアを作る人は居るが、それを実現するために現場で作業を 実施できる能力を持った人がいない。 出典:調査団作成 3.4.3 エチオピア エチオピアにて現地調査を行った結果、ヒアリング先より、下記の様なフィードバック が得られた。 図表 3-34:エチオピアにおける BOP ビジネスの課題の要因と助言例 国 課題 要因/助言 優良パートナーと 提携できない エチオピア パートナーのアウトプット ③-a パートナー/ が期待値と合わない 人材の品質に係る 技術や能力レベル 適切な人材が が不十分 見つからない 現地人材アウトプットが 期待値と合わない 要因 助言 助言 助言 要因 助言 ヒアリングで確認した具体的な要因/助言の例 高品質なサービス/商品を提供してくれるパートナーとの提携が難しい。その背景には、現地企業も 含め、他者を信頼せず、親しい知り合いや家族としかパートナーシップを結ばない商習慣がある。 エチオピア商工会議所が現地企業を集めたトレードフェアを定期的におこなっている。当地にて日本 企業側の情報を提供することで、企業同士のマッチングをおこなえる可能性がある。 対応案として、JICAが実施しているカイゼンプロジェクトとの連携が考えられる。当該企業は日本企 業の経営コンセプトを理解し、基礎的な品質管理能力もあるため、日本企業との連携可能性が高 い。 JICA関連で日本へ留学した研修生や国費留学生、メケレ大学の日本語授業講座関連の人材を活 用すると、日本への理解もあるため、日本企業にとって有効と思料。 エチオピア人の弱みとして、労働生産性が低く、ものごとに対し受動的なカルチャーという点が挙げら れる。但し、逆にいえば、学習能力が高く、吸収しやすいともいえるので、日本企業のトレーニング次 第で高い効果は得られると思料。 エチオピア人は褒めて育てることが重要と思料。やってもらったことは、感謝の意を示すことがポイン トである。作業に関しては、リマインドシステムを細かく導入することで、漏れを防ぐことができる。 出典:調査団作成 55 3.4.4 インド インドにて現地調査を行った結果、ヒアリング先より、下記の様なフィードバックがあ った。 図表 3-35:インドにおける BOP ビジネスの課題の要因と助言例 国 課題 要因/助言 助言 優良パートナーと 提携できない 助言 適切なパートナー/人材 が見つからない インド ③-a パートナー/ 人材の品質に係る 技術や能力レベル が不十分 適切な人材が 見つからない 要因 助言 助言 要因 優秀な人材が定着しな い 助言 ③-d 経営・管理職 ミドルマネジメント層が 人材の不足 見つからない 助言 ヒアリングで確認した具体的な要因/助言の例 交渉の文化が日本とインドでは全く違う。インドのビジネスはスピードが速く、日本企業は関係構築 にまずお互いを知ろうとするので時間がかかる。従って、インドに長くいる日本人をパートナー、人材 として考えた方が良いのではないか。 投資するだけではなくビジネスにしっかり介入することが大切と考える。また、インド企業を今後の自 社ビジネスのプラットフォームや現地ネットワークへの窓口として利用するだけではなく、対等なパー トナーシップ関係を築くべきである。 インドは他の国と違って、人や団体を見極めることが非常に難しい。マッチングイベントを行っている 組織もあるが、成功例はほとんどないと考える。マッチングするのみでは、その後日本企業が経営権 を実質奪われる、日本企業の技術が流出する等の可能性がある。 インド人はブランドに弱い。コーポレートブランドを高めれば、それに魅力を感じて優秀なインド人も集 まるのではないか。 良い人材との出会いは、運であるため、基本的に足で回らないといけない。良い人材派遣会社数社 に依頼し、50-100人規模で面接を繰り返す覚悟でいてようやく適当な人材が見つかる。 インドの労働市場では転職は当たり前のことである。また、同業種でも企業によって給与に差がある ので、皆常にアンテナを張っている。同業界でさほど給与が変わらない日本の労働市場とは大きく異 なる。従って、他に良い機会があればそちらに移るのは当然だと思う。少なくとも改善のために辞め てしまった人材が「なぜ辞めたか」を常に把握すべきである。 安定して長期的に雇用するためには、以下の3点が有効と考える。なお、新卒はすぐに仕事を変える 傾向にあるので中途採用の方が長く会社にいてくれる可能性があると思う。 ①柔軟な働き方をさせてくれること。例) 出社時間の自由化や自宅勤務を推奨等 ②家族も含めて従業員の生活全般をサポートする。 ③教育・スキルアップに力を入れてこの会社にいれば成長できると感じさせること。 人事部長に良い人材を雇うことで、他社員の質も良くなるため、人事部長の採用にはリソースを費や して徹底的に探した方が良い。 出典:調査団作成 3.4.5 バングラデシュ バングラデシュにて現地調査を行った結果、ヒアリング先より、下記の様なフィードバ ックが得られた。 図表 3-36:バングラデシュにおける BOP ビジネスの課題の要因と助言例 国 課題 要因/助言 ヒアリングで確認した具体的な要因/助言の例 要因 パートナーシップ締結前にパートナーのスキル、評価、評判を確認することができていない。 現地企業のネットワークや銀行のネットワークを通じて、パートナーの事前評価を行うことが有効。だ 助言 がもしその様なネットワークにアクセスできない場合は、ネットワークを有する現地アドバイザリー企 業等の支援を求めることが重要である。 パートナーのアウトプット パートナーシップがうまくいかない原因の多くはコミュニケーションであると思料する。パートナーと連 要因 が期待値と合わない 携するためには、目標や役割分担を継続して明確化するコミュニケーションが必要である。 適切な人材確保のためには、採用にバングラデシュ人を交えることが重要である。日本人にとって、 ③-a パートナー/ バングラデシュ人のスキルに加えて、姿勢や倫理性を見抜くことは難しい。特に悪い人を見抜くことが 人材の品質に係る 助言 難しい。なお、ミドルマネジメント等重要なポストに充てる人材については、その様な手間をかけてで 技術や能力レベル 適切な人材が も選定すべきと思料する。但し採用時にバングラデシュ人を交えるプロセスを踏んでも、企業に100% が不十分 採用できない 適した人材を確保することは難しいため、同時にトレーニングが必要である。 現地人をリクルーターとして活用し、複数の視点で人材を評価する。また現地ネットワークを活用し、 バングラデシュ 助言 前職での評価等も調査することが重要である。 トレーニングしたから恩返しをすべきという考え方をなくし、人材の成長に合わせた給与や労働環境 優秀な人材が も含めた待遇を提供することがトレーニング後の離職率を下げる上で有効である。また、もしも離職 助言 定着しない 者が起業しているならやむを得ない部分もあるが、競合他社に転職しているのであれば、競合他社 の方が給与や労働環境が良かったと捉えて、改善すべきである。 通常ビジネスで見えてこないネットワークや重要人物を見つけることができていない。そのため、現 ③-b パートナーを 要因 現地ネットワークに 地企業が利用している、より効率の良い流通網等にアクセスすることができていない。 用いた流通網が アクセスできない 必ずしも大企業がネットワークを有しているとは限らないため、今後の成長が期待される中小企業に 高コスト 助言 対しても積極的に調査を行うべきである。 トップもしくはミドルマネジメントに関しては、募集をかけても人が来ない。やはりその様な人は他社か ③-d 経営・管理職 ミドルマネジメント層が 要因 らも人気が高く、よほど給与条件を上げない限り難しい。反面労働者層については問題なく確保でき 人材の不足 見つからない るが、結局マネジメントできる人がいない状態で、労働者を雇用してもうまくは回らない。 優良パートナーと 提携できない 出典:調査団作成 56 4.1 調査プロセス 調査対象国の選定 4.1.1 BOP ビジネスに取り組む企業のロングリスト化 4. BOP ビジネスに取り組む日本企業のロングリストを作成した。ロングリストは、アジア (東南アジア、南アジア、中央アジア含む)とアフリカにおいて活動する企業を対象とし、 JICA 協力準備調査(BOP ビジネス連携促進) 、JICA 中小企業連携促進基礎調査、JICA 民間 提案型普及実証事業、JICA 民間技術普及促進事業、外務省委託事業、AB-NET38掲載企業、 ジェトロ支援事業(一部) 、UNDP Business Call to Action39掲載事業等の情報源から作成した。 その結果、結果、BOP ビジネスに取り組む日本企業数は、アフリカで 71 件、アジアで 40 件の計 111 件が抽出された。 4.1.2 各企業の事業対象国の洗い出し ロングリストの企業を国別企業数に並べ替えた結果、アフリカではケニアが 32 社と最も 多く、次にタンザニアの 14 社が続いた。そして、アジアの中で最も多いのはインドの 19 社であり、次にバングラデシュの 14 社と続くことが明らかとなった。 4.1.3 調査対象国選定条件設定 調査対象国は、経済産業省の要請に基づきアフリカ地域とアジア地域からそれぞれ 2 か 国選定する方針とした。選定に当たっては、BOP ビジネスを展開している日本企業数と METI の重点戦略国を選定条件とすることとした。 4.1.4 調査対象国の選定結果 選定条件に基づき、本調査の対象国をケニア、エチオピア、インド、バングラデシュの 4 ヵ国とした。 38 アフリカビジネス振興サポートネットワーク<http://ab-network.jp/member/afdb>。日本とアフリカの間の ビジネス振興を通じて、TICAD V の主要テーマであるアフリカにおける民間主導の成長に貢献するため に、官民連携により設立された情報ポータルサイトである。 39 Business Call to Action <http://www.businesscalltoaction.org./>。2008 年に発足した企業・政府・開発援助機 関が集まるグローバルな会員ネットワークであり、長期的視点で商業目的と開発目的を同時に達成できる ビジネスモデルを模索し、促進するための活動を行っている。 57 図表 4-1:対象国の選定 出典:調査団作成 4.2 日本企業が抱える課題調査・分析 4.2.1 調査の進め方 本調査では、まず BOP ビジネスに取り組む日本企業の支援ニーズを把握するため、民間 企業の BOP ビジネスの実態調査に取り組んだ。 4.1 章にて抽出された 111 社のうち、対象国にて事業活動を行う企業は、ケニア 31 社、エ チオピア 4 社、インド 19 社、バングラデシュ 14 社の計 68 社であった。この中から、事業 確度が高いことを条件に選定した結果、ケニア 16 社、エチオピア 3 社、インド 4 社、そし てバングラデシュ 5 社の計 39 社を情報収集対象として抽出した(調査対象企業の内訳は 5.1.1 章を参照) 。 調査の進め方は下図の通りである。 58 図表 4-2:BOP ビジネスに取り組む日本企業の実態調査の進め方 Step3: 優先課題分野の特定 Step1: アンケート調査 Step2: インタビュー調査 課 題 取 り ま と め Step4: 優先課題の深堀 課題① ①-1 課題② 課題① 課題③ 課題② 課題④ 課題③ 優 先 課 題 課題① ①-2 ②-1 課題② ②-2 課題⑤ ③-1 課題③ ③-2 優 先 課 題 に 関 す る 具 体 課 題 対 検応 討方 法 出典:調査団作成 4.2.2 Step1:アンケート調査 アンケート調査では、主に 4 点について調査を行った。その 4 点は、BOP ビジネスの事 業内容、事業化可能性とその根拠、事業化に至る上での課題、そして公的機関への支援要 望である。なお、具体的な設問は、5.2 章のアンケート調査用紙を参照。 アンケート調査対象企業は 20 社とした。 4.2.3 Step2:インタビュー調査 インタビュー調査は、面談もしくは電話を通じて、主に 3 点について調査を行った。そ の 3 点は、現地人材に関する具体的な課題と解決策、現地パートナーに関する具体的な課 題と解決策、そして公的機関に求める支援である。なお、具体的な設問は、5.3 章のインタ ビュー調査項目を参照。またインタビュー調査対象企業のうち、調査団が既に知見を有し ていた企業に対しては、Step1 のアンケート調査を割愛している。 インタビュー調査対象企業は、対象国 4 ヵ国にて活動する日本企業計 13 社とした。イン タビュー調査の対象企業は、アンケート調査の回答受領企業、METI より受領した BOP ビ ジネスに取り組む企業等のリストのうち、現地パートナーや人材に対して課題を有してい る企業とした。 4.2.4 Step3:優先課題分野の特定 Step1、Step2 の調査で得られた結果から、BOP ビジネスに関して企業が抱える課題を 9 種類にグルーピングした。グルーピングされた課題群を、更に「(A)事業可否を大きく左右 する課題」と「(B)個別に克服可能な課題」の大分類に大別した。そして特に(A)に分類され た課題を政府が取り組むべき重要課題として定義し、優先課題として特定した。 59 4.2.5 Step4:優先課題の深堀り Step3 で定義された優先課題について、課題別に異なるアプローチで具体的課題を網羅的 にリスト化した。その上で、有識者研究会を通じて、更に具体的に優先課題を特定した。 課題別の同定プロセスは下記の通りである。 (1) 優先課題①会社の方針に関する 3 つの課題の同定プロセス アンケート及びインタビュー結果、そして調査団の知見を用いて、①会社の方針に関す る課題を抽出し、意味づけが似ている課題をグルーピングした。 (2) 優先課題②資金に関する 4 つの課題の同定プロセス アンケート及びインタビュー結果、そして調査団の知見を用いて、論理的に発生しうる ②資金に関する課題を抽出した。 (3) 優先課題③パートナー/人材に関する 5 つの課題の同定プロセス アンケート及びインタビュー結果、そして調査団の知見を用いて、③パートナー/人材に 関する課題を抽出した。5 つの課題の抽出には、1. 事業モデルと機能の 2 つの観点から BOP ビジネスを分類し、次に 2. 企業ニーズの同定とギャップ分析を行った。 1. 事業モデルと機能による分類 事業モデルの分類は、3.1.4 章図表 3-6 の通りである。次に、具体的な提携先や雇用対象 となるパートナーや人材は、各企業が求める機能やスキルによって異なるため、機能別に 分類を行った。機能別に分類することにより、企業が具体的にどの様なパートナーや人材 に課題を抱えているのか、明確にすることを図った。 機能の分類は、バリュー 図表 4-3:③パートナー/人材に関する課題の機能による分類 チェーンに基づいて、6 つ 機能による分類 原料生産 機能 の機能(原料生産機能、製 造加工機能、流通機能、営 業機能、経営機能、 その他) 分類した。例えば、営業機 能におけるパートナーで 事 例 製造加工 機能 流通機能 営業機能 経営機能 その他 パート ナー (提携先) 原料生産 業者 (農作物) 現地製造/ 加工業者 物流会社 販売代理店 N/A 法律事務所 人材 (雇用) 農家 技術者/ ライン 担当 配送/ ドライバー 営業/ 販売要員 経営者/ 経営幹部 弁護士 出典:調査団作成 あれば、販売代理店が対象となり、人材であれば営業/販売要員と定義できる。 60 3. 企業ニーズの同定とギャップ分析 事業モデル及び企業規模別と前ステップにて分類した機能別に表を作成し、アンケート 結果とインタビュー結果をプロットした。そして、特にビジネスモデル毎の共通性が高い 課題を重要課題として抽出した。その他の課題は、個別ビジネスの事情による要素が大き いため、解決策も個別になり、本調査で目指す BOP ビジネス促進に向けた提言に結び付く 可能性が低いため、優先度を下げることとした。 その結果、(③-a)パート 図表 4-4:事業モデル別機能別パートナー/人材に関する具体的課題 ナー/人材の品質に係る 機能による分類 分類 項目 原料 生産機能 技術や能力レベルが不十 製造 加工機能 流通 機能 営業 機能 経営 機能 その他 輸入 分、(③-b)パートナー/人 材を用いた流通網が高コ ハイテク技術製品販売 公共性(高) 薄利多売 事業モデル 消費者教育を要する事業 スト、(③-c)販売員の商品 大規模調達(農業) 理解欠如、(③-d)経営・管 輸出 現地加工・組立 その他 理職人材の不在、(③-e) 企業規模 税務・法務・労務の専門 ③-a 家不在、の 5 つの課題が 大企業 ③-b パートナー/人材の品 質レベルが不十分 【凡例】 抽出された。なお、経営 機能及びその他機能につ 中小企業 ③-c パートナー/人材を用 いた流通網が高コスト 事業モデル毎の共通 性が高い課題 ③-d 販売員の商品理解 欠如 事業毎の個別性が高 い課題 ③-e 経営人材の不在 当調査では該当企業 がなかった課題 税務・法務・労務の 専門家の不在 対象無し 出典:調査団作成 いては、論理的に事業モデルによって大きな差異はないと思われるが、今回のアンケート やインタビュー結果からは、図表 4-4 の通りとなった。 4.3 企業が抱える優先課題への対応方法の検討 4.3.1 既存支援の有無の確認 企業が抱える優先課題への対応提言の検討プロセスとしては、公的機関の支援制度とし て活用できる既存制度の有無を確認した。公的機関の支援が有る場合、さらにその支援が 企業によって内容の異なる課題に対応する支援か、企業横断的に共通する課題に対応する 支援か分類した。なお、②資金に関する課題は、企業横断的に共通する課題であるため、 企業個別の支援はなく、提言も不要と判断した。 61 (1) 資金に関する課題への対応方法 資金に関する課題である、(② - c)公的機関による資金支援が 図表 4-5:資金に関する課題への対応方法 得られないという課題への対 説明 既存支援 有無 対応 事業準備段階における 資金に対する支援 政府が、国選定や基礎的な法制度調査、ビジネス モデル検証、事業の実行可能性調査等に必要と される資金的支援を行う。 既存 あり 既存 支援 活用 商品開発段階における 資金に対する支援 政府が、BOP層向け商品やサービスの開発、追 加パイロット調査等に必要とされる資金的支援を 行う。 既存 あり 既存 支援 活用 事業立ち上げ段階 資金的支援 概要 商品開発 段階 応として必要となる、公的機関 公的機関の 制度を活用した 直接的投融資支援 政府が直接的に公的機関の投融資制度を通じて、 BOPビジネスの立ち上げに必要とされる金額レン ジを対象とした投融資支援を行う。 既存 あり 既存 支援 活用 ファンドを通じた 間接的投融資支援 政府が間接的にファンドを通じて、 BOPビジネス の立ち上げに必要とされる金額レンジを対象とし た投融資支援を行う。 既存 無し 新規 支援 作成 資金に関する課題 事業準備 段階 による資金的支援は、フェーズ 毎に大きく「事業準備段階にお ける資金に対する支援40」 「商品 開発段階における資金に対す る支援」「事業立ち上げ段階に おける資金に対する支援」の 3 つに分けることができる。各フ ェーズについて既存支援の有 ②- c) 公的機関によ ②-c. る資金支援が 得られない 9 出典:調査団作成 無を検討した。このうち、有識者研究会にて有識者より得られたコメント41に基づき、事業 立ち上げ段階における支援へのニーズが最も高いことが判明した。したがって、同フェー ズの支援をさらに検討し、既存支援の有無を確認した。 企業が事業立ち上げ実施において公的機関から事業投融資支援を得る際には、大きく分 けると直接的に公的機関から投融資を受ける場合と、ファンドを通じて間接的に支援を受 ける場合の 2 つに分けられる。そのため、考えられる支援制度は「公的機関の制度を活用 した直接的投融資支援」 、 「ファンドを通じた間接的投融資支援」の 2 つがあると特定した。 「公的機関の制度を活用した直接的投融資支援」は、政府が直接的に公的機関の投融資 制度を通じて、企業の BOP ビジネスの立ち上げに必要とされる金額レンジを対象とした投 融資支援を行うことを指している。このような直接的な投融資支援については、既存の公 的機関の制度が存在する。 「ファンドを通じた間接的投融資支援」は政府が間接的にファンドを通じて、企業が BOP ビジネスを立ち上げる際に必要とされる金額レンジを対象とした投融資支援を行うことを 指している。現状 BOP ビジネスを対象とした日本政府によるファンドは存在しない。 40 3.3.1 章図表「事業立ち上げに至るまでの事業フェーズの定義」にて分類したフェーズのうち、事前事業 準備フェーズと事業準備調査を含めている。 41 例えば、中小企業の場合、技術力はあるが、大企業と異なり資金力がなく、一方で民間の金融機関から の援助が難しいことから、公的機関による立ち上げ期の資金的な支援が特に必要であるとのコメントがあ った。 62 (2) パートナー/人材に関する課題の解決への対応方法 パートナー/人材に関する課題の解決に向けては、有識者研究会にて有識者より得られた コメント42に基づき、特に現地人材育成研修とネットワークリストを用いたパートナー/人材 発掘支援の 2 つの支援へのニーズが高いことが判明した。したがって、この 2 つについて、 既存支援の有無を確認した。 BOP ビジネスに必要な現地人材育成研修に関する支援 人材育成に関する課題で 図表 4-6:BOP ビジネスに必要な現地人材育成研修 ある、 「③-a パートナー/人材 の品質に係る技術や能力レ 人材育成に関する課題 ベルが不十分」 「③-b パート パートナー/人材の ③-a 品質レベルが不十分 ナー/人材を用いた流通網が 高コスト」 「③-c 販売員の商 品理解欠如」 「③-d 経営・管 ③-c 販売員の 商品理解欠如 ③-d 経営人材の不在 ③-e 税務・法務・労務の 専門家不在 務・法務・労務の専門家不 必要となる人材育成研修は、 大きく 4 つに分けられる。 説明 品質に係る トレーニング プログラム提供 日本企業の必要な品質基準を満たせる 様、品質や生産性向上に関するトレー ニングを実施する。 販売員のスキル 向上のための トレーニング プログラム提供 BOPビジネスに携わる現地販売員が共 通して有する課題の対応方法をマニュ アル化し、ビジネスの基本をトレーニン グする。 パートナー/人材を ③-b 用いた流通網が高コスト 理職人材の不在」「③-e 税 在」の 5 つの課題に対して 人材育成研修 概要 経営人材育成のための 営業、品質管理、生産管理等を実施で トレーニングプログラム きるマネージャーレベルの人材を育成 提供 するトレーニングを実施する。 専門職人材 育成のための トレーニング プログラム提供 税務/労務/法務等、現地事業に精通し た専門家を育成するトレーニングを実施 する。 共通/ 既存支援 個別課題 有無 対応 共通 既存有り 個別 既存有り 共通 既存 無し 新規 支援 作成 個別 既存 有り 既存 支援 活用 共通 既存有り 既存 支援 活用 ― ― ― 既存 支援 活用 出典:調査団作成 「品質に係るトレーニング プログラム提供」、 「販売員のスキル向上のためのトレーニングプログラム提供」、「経営・ 管理職人材育成のためのトレーニングプログラム提供」 「専門職人材育成のためのトレーニ ングプログラム提供」である。 上記で挙げたトレーニングを企業に共通する課題、個々の企業で内容の異なる課題それ ぞれ対応する支援に分類した。 「品質に係るトレーニングプログラム提供」、 「販売員のスキ ル向上のためのトレーニングプログラム提供」の個別課題、 「経営・管理職人材育成のため のトレーニングプログラム提供」の共通課題については、既存支援が存在する。 一方で、 「販売員のスキル向上のためのトレーニングプログラム提供」のうち、企業に共 通する課題に対応するスキームは存在しない。 42 現地人材育成研修については、例えば、 「人材の質が事業の方向性を大きく左右することから、研修事業 や専門家派遣事業の必要性は高い」との意見があった。ネットワークリストを用いたパートナー/人材調査 支援については、 「日本と現地の両方を知り活躍できる人材の紹介は有難い」 、 「メンテナンスによって質の 担保されたネットワークリストが Web サイトに掲載されているとよい」 、 「リストの提供だけでなく、その 後のフォローアップが必要」等のコメントを得られた。 63 なお、 「経営・管理職人材育成のためのトレーニングプログラム提供」において、企業個 別の経営人材にかかる課題は支援の対象外としている。これは、通常経営に関するトレー ニングは、一般的なものであり、企業個別の経営トレーニングは行われにくいためである。 また、 「専門職人材育成のためのトレーニングプログラム提供」には公的機関による支援提 供が難しいため、トレーニングではなく主にネットワークリストに掲載する当該分野の人 材情報の強化によって対応することを想定している。 ネットワークリストを用いたパートナー/人材発掘支援 BOP ビジネスにおいて日本企業が活用できるネットワークリストは、存在しない。 4.3.2 既存公的支援の活用方法に関する提言 上記分類に従い、公的機関の既存支援がある、直接的投融資支援、品質に係るトレーニ ングプログラム提供、販売員のスキル向上のためのトレーニングプログラム提供(個別)、 経営・管理職人材育成のためのトレーニングプログラム提供については、既存支援の活用 方法に関する具体的提言を行った。 4.3.3 新規公的支援制度策定に関する提言 公的機関の支援がないファンドを通じた間接的投融資支援、販売員のスキル向上のため のトレーニングプログラム提供(共通) 、ネットワークリストを用いたパートナー/人材発掘 支援については、新規支援制度策定に関する具体的提言を行った。なお、ネットワークリ ストは提言のみならず本調査の中でリストを作成したため、下記にプロセスを示す。 (1) ネットワークリストを用いたパートナー/人材発掘支援 作成プロセス 調査対象国における現地調査を通して、ネットワークリストへの登録が推奨されるコン タクトリストの情報を収集し、ケニア 21 件、エチオピア 9 件、インド 15 件、バングラデ シュ 18 件から成るネットワークリストを作成した。 コンタクト先は、ヒアリング先を通して集めた情報の中から、連絡先の掲載について承 諾を得られた機関に絞り、最終的に下記の基準を設けて整理した。 1) 人材・パートナー紹介の相談に対応しており、日本企業を対象としたビジネスに関 連した支援を提供している公的機関・国際機関・商工会。 2) 1) からの紹介で、日本との接点があり、以下の少なくともいずれかの点を満たす団 体・企業。 64 A) 特に BOP ビジネスやソーシャル分野での知見を有している。 B) 担当者が現地の事情に精通している43。さらに、日本人である/日本での研修や留 学経験を有している等の理由により、日本語を話すことができ、日本文化を理解して いる44。 3) その他、BOP ビジネスに関連した、日本との連携実績がある。 コンタクト先には、連絡先情報の他に組織概要、紹介可能な人材/パートナー、紹介可能 な人材の属性、紹介可能なパートナーの産業分野等の追加情報も合わせて記載した。なお、 相談内容によっては、有料サービスとなる場合がある。 4.4 公的機関による既存支援の調査 4.4.1 公的機関による既存支援の調査 (1) 調査の進め方 公的機関による既存支援 図表 4-7:公的機関による既存支援の調査方法 の調査は、海外現地調査とデ (A)日本の支援制度 (B)海外の支援制度 スクトップ調査の 2 つの方法 課題 ②資金調達 で実施した。この 2 つの方法 ・デスクトップ調査 ○ ○ ○ ○ N/A を用いて、②資金と③パート ・海外現地調査 ○ ○ × × ○ ③パートナー 及び 人材 ②資金調達 ③パートナー 及び (C)ネットワークリスト 人材 ナー/人材の課題に対する支 援を、(A)日本の既存支援、(B)海外の既存支援に分けて整理した。それぞれの具体的な調査 方法は、図表 4-7 の通り。また、海外現地調査を通じて調査対象国 4 か国における(C)ネッ トワークリストを作成した。 (2) 海外現地調査 本調査では、日本企業のニーズに対する公的機関のシーズを把握するため、各国現地に おける支援実態を調査した。 ヒアリング対象の特定 各国現地における支援実態調査は、調査対象国の 4 ヵ国(ケニア、エチオピア、インド、 バングラデシュ)において、現地公的機関や BOP ビジネスに関わるその他組織に対してヒア 43 但し、必ずしも現地のビジネスに精通していることは基準としておらず、官学等他分野において現地に 精通している人材も合わせて選定している。 44 企業は日本人と現地人材とのコミュニケーションに課題を抱えることが多く、日本と現地の両方を知り 活躍できる親日・知日人材へのニーズは高い。例えば、日本の大学の博士課程を卒業した人材を中間管理 職として採用した結果、日本語、英語ができ、日本文化を理解しているため文化的な摩擦が起きにくく、 結果現地事業が円滑に進んだという成功事例があった。 65 リング調査を行った。ヒアリング件数はケニア 8 件、エチオピア 6 件、インド 11 件、バン グラデシュ 5 件の計 30 件である。 ヒアリングは、各国現地で BOP ビジネスに対する支援を提供する在外公館、ジェトロ海 外事務所、JICA 事務所現地ビジネスに精通した組織や豊富な現地ネットワークを有する組 織/人に行った。 現地ヒアリング調査実施 各国現地における支援実態調査は、大きく 3 つの点について調査した。1 点目は、各国現 地における公的機関による日本企業に対する支援や BOP ビジネス促進に向けた取り組み状 況、2 点目は各国現地における BOP ビジネスが抱える課題の要因とそれに対する助言、そ して 3 点目がネットワークリストへの登録が推奨されるコンタクトリストである。 (3) デスクトップ・インタビュー調査 デスクトップ・インタビュー調査対象の特定 日本の既存支援に関しては、BOP ビジネス支援センターの情報を元に、外務省、経済産 業省、HIDA、ジェトロ、JICA、中小機構、商工中金、日本公庫、等を調査対象として選定 した。 海外の既存支援に関しては、調査団の過去の調査45から得た知見を元に、BOP ビジネスに 関して主要な支援を提供する海外政府機関である、米国国際開発庁(USAID)、英国国際開 発省(DFID) 、スウェーデン国際開発協力庁(SIDA) 、オランダ企業庁(RVO)を調査対象 として選定した。 デスクトップ・インタビュー調査実施 デスクトップ調査では、それぞれの機関が提供する支援スキームの概要を、ウェブサイト に記載のある情報を中心に取りまとめを行った。その後、有識者研究会や個別のインタビ ューを通して内容を確認した。 45 JICA、あらた監査法人、ARUN 合同会社「BOP ビジネスの開発効果向上のための評価及びファイナン ス手法に係る基礎調査」 (2013 年 11 月) 66 5. 5.1 Appendix 調査対象 BOP ビジネス内訳 5.1.1 調査対象企業の内訳 調査対象企業の内訳は下記の通りである。 図表 5-1:調査対象企業内訳 対象国 対象企業 ケニア、エチオピア、インド、バングラデシュ アンケート調査実施企業 20 社(うちアンケート結果受領 11 社) インタビュー調査実施企業 13 社(アンケートを実施した企業 7 社を含む) 協力準備調査(BOP ビジネ 19 社(インタビューを実施した企業 6 社を含む) ス連携促進)モニタリング企 業 調査対象企業数 調査情報取得企業数 39 社(*1)(うちアンケート回答不可/返信無し 9 社) 30 社(*2) (*1) アンケート調査、インタビュー調査、協力準備調査(BOP ビジネス連携促進)モニタリング企業を合わせると 52 社になるが、そのうちアンケートとインタビューの両方を実施した企業が 7 社、インタビューとモニタリング両方を 行った企業が 6 社あるため、合計調査対象企業数は 39 社(52 社-13 社=39 社)となった。 (*2)アンケートを送付した企業 20 社のうち、5 社からはアンケート回答不可の連絡を受け、4 社は回答がなかった。し たがって、調査対象企業数 39 社のうち、9 社からは情報を集めることができなかったため、合計調査情報取得企業数 は、30 社(39 社-9 社=30 社)となった。 67 5.1.2 ビジネスモデル別企業数 調査対象企業をビジネスモデル別に分類すると、下記の通りとなる。なお、1 社が複数のビ ジネスモデルにまたがる例を含む。 図表 5-2:ビジネスモデル別企業数 事業モデル 企業数 輸入 7 公共性(高) 7 ハイテク技術製品販売 4 薄利多売 14 消費者教育を要する事業 6 大規模調達(農業) 2 現地加工・組立 14 輸出 4 その他 3 68 アンケートシート 5.2 図表 5-3:アンケートシート アンケート表 提出日 貴社名 事業名 実施地域 各設問に当てはまる項目を回答欄にてお選びください。そのうえで、詳細を右記の空欄にてお知らせください。 ご協力賜り、有難うございます。 設問 1.貴社企業規模 2.事業概要 3.事業セクター 4.事業化の可否 4で①、② 5.判断根拠 を選んだ (事業化済/可能/検討中の場合) 場合 4で①、② 6.事業化スケジュール を選んだ (事業化済/可能/検討中の場合) 場合 設問詳細 ○貴社の企業規模を教えて頂けますでしょうか。 ①大企業 ②中小企業 ○事業について、概要及び現状をご教示頂けますでしょうか。 回答欄 企業規模 回答欄※下記空欄に記載をお願い致します。 ○事業分野は何でしょうか。①~⑧のうち、該当事業分野をお選びください。 ①水 ②エネルギー ③保健・医療 ④教育 ⑤農林水産業 ⑥金融 ⑦住宅 ⑧その他 ○実施案件の事業実施状況はいかがですか。 ①事業化済/決定(会社が事業に対し、投資判断を下している) ②事業化検討中(会社が事業に対し、投資判断を下していない) ③事業化見送り ※①、②の場合は設問5、6、9、10へ、③の場合は設問7、8、9、10をお答えください。 事業分野 事業実施状況 ○判断根拠は何ですか。以下、該当項目に○を選んでください。 ①採算性(短期・長期) ②将来性 ③新規性 ④その他(内容を記載ください) ○事業開始はいつですか。具体的な年月が決まっている場合は、併せて記載ください。 ①実施済 ②1年以内 ③3年以内 ④その他(想定されている年月を記載ください) 〇初期投資額はいくらですか。どのくらいの規模で実施する/実施見込みですか。(円換算) ①500万未満 ②500万以上~1000万未満 ③1000万以上~1500万未満 ④1500万以上(想定されている投資額を記載ください) 〇事業実施形態はどのような形ですか。 ①現地法人設立 ②工場設立 ③現地パートナーの設備活用 ④その他(内容を記載ください) ⑤未定 判断根拠 4で③を選 8.事業化見送りの判断を下した時 んだ場合 (事業化見送りの場合) 9.懸念事項 回答欄※事業化済の場合、事業化を決定づけるうえで重要なポイント等あれば記載ください。(例 適切な流通パートナーが見つかった) 事業開始時期 初期投資額 事業実施形態 ○現在、どのフェーズにいますか。 ①追加調査/パイロット事業 ②社内決裁 ③事業立ち上げ準備 ※事業化済の場合は、詳細記載下さい。 ○追加調査/パイロットの場合、必要検討項目があればご教示下さい。 4で③を選 7.判断根拠 んだ場合 (事業化見送りの場合) 回答欄※その他の場合、記載をお願い致します。 回答欄※1500万以上の場合は、規模を記載ください。 回答欄※sの他の場合は、内容を記載ください。 フェーズ 回答欄※下記空欄に記載をお願い致します。 ○事業化見送りの判断根拠は何ですか。 ①採算性(短期・長期) ②将来性 ③新規性 ④その他(資金の調達が困難、調査とは関係のない経営判断等。内容を記載下さい。) ○事業化見送りの意思決定はいつですか。 ①調査/パイロット事業中 ②調査終了後 ③その他 ○事業化を推進していくなかで直面した課題は何ですか。以下該当課題に○を記載下さい。 ①許認可 判断根拠 意思決定時期 課題 回答欄※左記で○をつけた課題の内容をご記載下さい。 ②製品開発 ③原料調達/流通 ④現地ニーズ ⑤パートナー ⑥事業環境 ⑦人材育成 ⑧採算性 ⑨資金調達 ⑩会社方針 10. 公的機関への要望 ○課題をどのようにして解決されましたか。 回答欄※下記空欄に記載をお願い致します。 ○残課題は何ですか。どのように今後対応されていく予定ですか。 回答欄※下記空欄に記載をお願い致します。 ○今後公的機関に期待する/求める支援はありますか。ある場合は、具体的に右記にご教示下さ い。 ○求める支援について、既に公的機関と連携されていますか。 ・されている場合は、具体的な連携方法をご教示ください。(例:青年海外協力隊と連携し、農業の 栽培方法に関するレクチャーを受けている等) ・されていない場合は、その理由をご教示ください。(例:公的機関の事業内容を知らない、公的機 関による事業実施場所が地理的に離れている等) 69 求める支援 連携 5.3 インタビューシート 図表 5-4:インタビューシート 回答欄 (該当番号記 入欄) 設問 問1 事業をおこなうにあたり、事業を推進していくための自社の現地人材はいらっしゃいますでしょう か。また、既に提携されている現地事業パートナーはいらっしゃいますでしょうか。下記より該当 項目をお選び頂き、回答欄に記入ください。併せて、状況詳細の記載もお願い致します。 ① 自社の現地人材がいない⇒問2へお進みください ② 自社の現地人材がいる⇒問3へお進みください ③ 現地事業パートナーがいない⇒問7へお進みください ④ 現地事業パートナーがいる⇒問8へお進みください ※複数回答がある場合は、回答欄に該当番号を複数記載をお願い致します。 問2 現地人材がいらっしゃらないとのことですが、不足している人材は下記6つのうち、どの分野の人 材か該当項目を上段回答欄に記入ください。具体的に不足しているスキルも併せて、詳細欄に てご教示下さい。また、現地人材のうち、既にうまく活用されている人材に関しても、下記5つのう ちどの分野の人材か併せて教えてください。同様に、下記より該当項目をお選びのうえ、下段回 答欄に記入頂き、状況詳細を右記の欄に記載下さい。 ①経営者(a.財務管理、b.マネジメント、c.ガバナンス、d.販売) ②技術者(a. 品質管理、b.製造スキル、c.在庫管理、d.モラル) ③営業・販売(a.ファイナンス(資金管理)、b.品質管理、c.在庫管理、d.モラル) ④農民(a.農業技術、b.品質管理) ⑤流通(a.ファイナンス(資金管理)、b.品質管理、c.在庫管理、d.モラル) ⑥その他 ⇒問5へお進みください。 問3 自社の現地人材がいらっしゃるとのことですが、現状人材の課題があればご教示ください。該当 項目をお選び頂き、状況詳細を右記の欄に記載下さい。 ①やめてしまう ②人件費が高い ③質が悪い ⇒問5へお進みください。 問4 問3で課題を抱えている現地人材はどの分野の方でしょうか。以下より該当項目をお選び、詳細 右記に記載ください。 ①経営者 ②技術者 ③営業・販売 ④農民 ⑤流通 ⑥その他 ⇒問5へお進みください。 問5 現地人材にかかる課題に対し、どのような解決策を検討しておりますでしょうか。下記3つのうち からお選び頂き、詳細右記に記載下さい。 ①自社で人材育成をおこなう(もし、既に育成/トレーニングを実施している場合、成功したポイン ト、課題を併せてご教示下さい) ②新しく人材採用する⇒問6へお進みください。 ③事業パートナーに、アウトソースする⇒問11へお進みください。 問6 新しく人材採用をおこなう場合、どのようにおこなう予定でしょうか。以下、該当項目をお選び頂 き、詳細右記に記載下さい。 ①現地の派遣会社を活用 ②社員の知り合い経由 ③事業パートナーの知り合い経由 ④商工会議所を活用 ⑤その他 ⇒問12へお進みください。 問7 現地事業パートナーがいらっしゃらないとのことですが、事業のどの工程においてパートナーが不 在なのでしょうか。以下、①~⑤からお選び頂き、該当項目を回答欄上段に記載ください。また、 ①~⑤のうち、パートナーと提携している工程があれば、回答欄下段に併せて記載をお願い致し ます。 ①原材料調達 ②製造・加工 ③流通(物流) ④販売 ⑤その他 ⇒問10へお進みください。 問8 現地事業パートナーがいらっしゃるとのことですが、現状パートナーの課題があればご教示下さ い。下記3つのうちからお選び頂き、回答欄にご記入ください。また、詳細の記載を右記にお願い 致します。 ①契約内容に合意できない ②契約破棄された ③事業の質が低い ⇒問9へお進みください。 問9 問8で課題となった内容のうち、何が課題となっていますか。下記5つのうちから該当項目お選び 頂き、詳細右記に記載下さい。 ①原材料調達 ②製造・加工 ③流通(物流) ④販売 ⑤その他 ⇒問10へお進みください。 問10 パートナーにかかる課題に対し、どのような解決策を検討していますか。下記4つのうちからお選 び頂き、詳細右記に記載下さい。 ①自社でパートナーを育成⇒問12へお進みください。 ②プロジェクト対象国内でアウトソース先のパートナーを見つける⇒問11へお進みください。 ③海外からパートナーを連れてくる⇒問12へお進みください。 ④自社で事業をおこなう⇒問12へお進みください。 問11 アウトソースする場合、どのようにパートナーをみつける予定でしょうか。 ①現地の派遣会社を活用 ②社員の知り合い ③事業パートナーの知り合い ④商工会議所を活用 ⑤その他 ⇒問12へお進みください。 問12 人材やパートナーに関する課題を解決するために、必要となる公的機関による支援はございます か。ある場合は、具体的な内容をご教示下さい。(例:親日人材の経営者ネットワークの紹介、日 本に留学していた現地人材の紹介がほしいなど)回答欄に該当項目を記載した後、詳細を右記 にご教示くださいますよう宜しくお願い致します。 ①ある ②ない アンケートは以上となります。ご協力賜り、誠に有難うございました。 70 詳細 5.4 各国のネットワーク一覧 図表5-7:ネットワークリスト(ケニア) 番号 国 カテゴリー 組織名 組織概要 紹介可能な人材(①)・パートナー(②) ※但し紹介対象は必ずしも下記に限定はされない。 在ケニア日本国大使館。現地ビジネスに関する ①ケニア政府機関に所属する人材。 マクロな情報提供を始め、商工会議所や政府 ②ケニアにおける日本企業、ケニア政府機関や 関連機関への紹介等を通じた日本企業の活動 国際機関。 支援を行っている。 2 ケニア 政府機関 在ケニア日本国大使館 3 ケニア 政府機関 日本政府の貿易投資促進機関として、国内外 に有する多数の拠点・ネットワークを活かし日 ②「BOP/ボリュームゾーン・ビジネス支援サー 独立行政法人 日本貿易振興機 本企業の海外展開ならびに外国企業の日本へ ビス(事前審査有)」を通じたビジネスパート 構(ジェトロ) の誘致活動を実施。また海外の経済情報の分 ナー候補のリストアップ等。 析・研究・政策提言などを通じ、日本の通商政 策へ貢献する。 4 ケニア 政府機関 JICAケニア事務所 ①BOP協力準備調査担当所員。JICA事業に関 日本政府の政府開発援助(ODA)を行う独立行 係するケニア政府機関、NGO、国際機関に所属 政法人。BOP協力準備調査等により中小企業 する人材。JICA研修生同窓会(JEPAK)に属す 等の日本企業の海外進出をサポートしている。 る元JICA研修生。 5 ケニア 国際機関 IFC(International Finance Corporation) ①アドバイザリーや投融資といった企業の事業 世界銀行グループの国際機関。途上国の民間 促進支援を行うIFC職員。 セクター開発を目的とし、企業に対してアドバイ ②パートナー候補となる現地企業。主に大企 ザリーや金融商品の提供を行っている。 業。 6 ケニア 国際機関 包括的な市場モデルの開発についての理解を 国連開発計画(UNDP)駐日代表 促進するための調査や啓蒙活動を実施。日本 事務所 企業の現地進出に関する個別相談を行ってい る。 7 開発途上国の産業人材を対象とした研修およ び専門家派遣等の技術協力を推進する人材育 一般財団法人海外産業人材育成 成機関であるHIDAが、海外の産業人材との ケニア ビジネス関連 協会(HIDA) ネットワークを活かし、日本企業の海外展開を HIDA総合研究所 支援することを目的として設立した機関。各国 の同窓会メンバーを活用したビジネス調査や パートナー企業紹介を行っている。 8 ケニア ビジネス関連 9 ケニア ビジネス関連 名南パートナーズ 10 ケニア ビジネス関連 デロイト トーマツ コンサルティング株式会社 Dalberg Global Development Advisors 11 ケニア ビジネス関連 一般社団法人OSAジャパン 12 13 NGO/ソー ケニア シャルセク ター ODA NGO Network 紹介可能な人材の属性 紹介可能なパートナーの産業分野 その その他の場合、 水 食品 農業 医療 金融 経営 技術 営業 他 属性名 連絡先 その他の場 合、産業名 担当者名 所属先 Email 電話 住所 - 高田龍弥 在ケニア日本国大使館 [email protected] +254-(0)20-2898000 Mara Road, Upper Hill, Nairobi, Kenya - 日本貿易振興機構(ジェトロ) [email protected] 途上国貿易開発部途上国貿易開発BOP班 03-3582-5203 東京都港区赤坂1-12-32 アーク 森ビル6階 ウェブサイト: http://www.jetro.go.jp/ theme/bop/ JICAケニア事務所 [email protected] +254-(0)20-2775000 JICA Kenya Office 10th Floor Rahimtulla Towers, Nairobi, Kenya - IFC Delta Center Menengai Road Upper Hill P.O Box 30577-00100 Nairobi, Kenya ウェブサイト(ケニア以 外も含むアフリカ): http://www.ifc.org/wp s/wcm/connect/regio n__ext_content/regions /subsaharan+africa/contac ts/africacontacts - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - ○ ビジネスプラン に基づいた パートナー候 補リストアップ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ - 電力 NGO職員 その他参考情報 その 他 JICAケニア事務所 担当 者 - - - ○ IFC職員 ○ ○ ○ ○ ○ - - 右記ウェブサイトより連絡 IFC(International Finance Corporation) - +254-(0)20-2937000/7200 ①当該ビジネスに関連する業務を担当している UNDP職員。 ②パートナー候補となる現地ネットワーク、企 業、NGO。 - - - ○ UNDP職員 ○ ○ ○ ○ ○ - - 西郡俊哉 国連開発計画(UNDP) 駐日代表事務所 [email protected] 03-5467-4751 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5-53-70 UNハウス8F - ①技術研修や管理研修に過去参加した、現地 HIDA(AOTS)同窓会に所属する元研修生。製 造業を中心とした企業経営者・管理者、相手国 政府・公的機関の有力者や技術者。 ②現地HIDA(AOTS)同窓会、元研修生が所属 する企業。 ○ ○ ○ ○ ○ 小川和久 一般財団法人海外産業人材育成協会 (HIDA) HIDA総合研究所 調査企画グループ長 [email protected] 03-3888-8215 北千住事務所 〒120-8534 東京都足立区千住東1-30-1 ウェブサイト: http://hri.hidajapan.or.j p/special/exchange ①日本在住のケニア人ビジネスコンサルタント や現地会計事務所員。 ②現地会計事務所や現地企業。主に会計事務 所のクライアントとなる大企業。 ○ - - ○ コンサルタント ○ ○ ○ ○ ○ - James Kuria デロイト トーマツ コンサルティング株式会社 [email protected] 03-5220-8600 〒100-6390 東京都千代田区丸の内2-4-1 丸の内ビルディング 在日本ケニア人 日本企業の東アフリカ進出支援を行うコンサル ティング会社。また一般社団法人JABiC(Japan ①日本企業の進出支援を行うコンサルタント。 Afrika Business Research Center) を設立して ②クライアントである日本企業。 おり、アフリカの現地情報提供や人材交流を 行っている。 ○ - - ○ コンサルタント ○ ○ ○ ○ ○ ○ 会計事務所、 法律事務所 佐分和彦 名南パートナーズ [email protected] 052-229-0703 460-0003 名古屋市中区錦二丁目4番15号 ORE錦二丁目ビル4階 - 途上国における事業展開支援業務をアフリカ40 ①BOPビジネスの支援を行うコンサルタント。 か国及びアジア数か国で実施(オフィスはケニ ②アフリカ現地企業、社会企業、アフリカに基盤 ア、南アフリカ、ナイジェリア、セネガル、インド) のある欧米企業、国際機関。 ○ - ○ ○ 開発金融機関、 現地金融機関、 NGO職員 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ICT、教育、エ ネルギー 古山修子 Dalberg Global Development Advisors ケニ [email protected] ア事務所 +254-(0)70-3698662 39 Apple Cross Road, Lavington, Nairobi, Kenya ウェブサイト: www.dalberg.com - 〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷5-5-1 - 一般社団法人OSAジャパン チーフエコノミ スト [email protected] KIJA Chairman - 在日本ケニア人 JICAケニア事務所 JICA Kenya Office 11th Floor Rahimtulla Towers, Nairobi, Kenya - ビジネスコンサルテイング会社。ケニアにもオ フィスを抱えている。 建築設計及びデザイン全般、技術の国際協力 に関連する事業を実施し、社会に貢献すること を目的とする団体。坂田氏は、建築家、JICA 派 遣専門家(ケニア共和国の農業・工業両分野の 中堅技術者の養成を目的としたジョモ・ケニヤッ タ農工大学に対する技術協力(1980年4月~ 2000年4月))としての経験を有する。 ①ジョモ・ケニヤッタ農工大学に対する技術協 力に際して派遣された専門家/JICA関係者 (例:建築設計、環境関連技術、再生可能エネ ルギー技術、建築技術教育、建築材料学、土 木工学、バイオテクノロジー、農学、高等/技術 教育分野)。 ②上記分野の研究機関。 - ○ - ○ 大学 - - - - - ○ Emmanuel Mutisya氏は、国連大学研究員で、 持続可能な開発教育の専門家。ケニア側の民 間企業全般、行政機関、学術・研究機関、 NGO、国際機関等との幅広いネットワークを有 する。日本との友好親善を目的とした在日本ケ ニア人の組織である在日本ケニア人協会 (Kenyans in Japan Association (KIJA))の Chairmanを務める。 ①在日本のケニア人全般。 ②国際機関(国連人間居住計画 /UNHABITAT、国連環境計画/UNEP、国連開 発計画/UNDP、等)。 - ○ - ○ 大学、NGO、国 際機関 - - - - - ○ ケニア国内のODA及びNGO26団体、大使館、 JICA。日本の政府開発援助と民間団体(非政 府組織)の仕事に携わる者達の交流組織。 NGOがケニア国内で活動を始める際の支援を 目的としている。 ①ケニアのNGO、大学等の職員。 ②ケニアにて活動するNGO。 ○ ○ ○ ○ NGO職員 ○ ○ ○ ○ ○ - 71 - 建築設計 デザイン全般 環境関連技術 坂田泉 再生可能エネ ルギー技術 環境関連技術 再生可能エネ Emmanuel Mutisya ルギー技術 - JICAケニア事務所 担当 者 一般社団法人OSAジャパン・会長 [email protected] [email protected] +254-(0)20-2775000 14 NGO/ソー ケニア シャルセク ター 道普請人 15 ○ ○ - ○ NGO職員 - - ○ - - ○ 土木、交通 ジョモ・ケニヤッタ農工大学大学の園芸 (Horticulture)分野。 - - - ○ 大学、学会関連 - ○ - - - ○ 園芸 Esther Kahangi (Horticulture) ○ 機械工学 (Mechanical engineering) ジョモ・ケニヤッタ農工大学の機械工学 (Mechanical engineering)分野。 16 17 ①「土のう」工法の研修担当者や学術振興会参 農村を中心に「土のう」工法による道路整備研 加者、「土のう」工法の研修生等。 修を実施するNPO法人。日本・ケニアの大学間 ②ケニアの大学や農業及び道路整備を主とし で学術交流も実施している。 た現地NGO。 ケニア 学術関連 18 ①園芸分野の大学教授/研究者。 ②園芸に関連する大学、研究機関、企業。 ①機械工学分野の大学教授/研究者。 ②機械工学に関連する大学、研究機関、企業。 - - - ○ 大学、学会関連 - - - - - 喜田清 Bernard W. Ikua 道普請人ケニア事務所CEO [email protected] +254-(0)787-650926 P.O.Box19539-00202 KNH, Nairobi, Kenya - ジョモ・ケニヤッタ農工大学, Deputy VC, Research Production and Extension Division [email protected] [email protected] +254-(0)726-052879 - 日本留学経験者 ジョモ・ケニヤッタ農工大学, Principal, College of Engineering and Technology [email protected] +254-(0)722-286264 - 日本留学経験者 ジョモ・ケニヤッタ農工大学 JKUAT Nissin Foods Ltd. [email protected] - - 日本留学経験者 ジョモ・ケニヤッタ農工大学(Jomo Kenyatta University of ジョモ・ケニヤッタ農工大学の食品化学工学 Agriculture and Technology)*1 (Food science and technology)分野。 ①食品化学分野の大学教授/研究者。 ②食品化学に関連する大学、研究機関、企業。 - - - ○ 大学、学会関連 - ○ ○ - - - 食品化学工学 (Food science Simon Muhoho Njoroge and technology) *1: 日本の無償資金協力により、1981 年に開校した大学。その後も、日本か ジョモ・ケニヤッタ農工大学の植物学(Botany) ら無償資金協力、専門家派遣・研修員 分野。 受入、技術協力支援を受けている。 ①植物学分野の大学教授/研究者。 ②植物学に関連する大学、研究機関、企業。 - - - ○ 大学、学会関連 - - ○ - - - 植物学 (Botany) Victoria Ngumi ジョモ・ケニヤッタ農工大学, Department of [email protected] Botany - - 日本留学経験者 Glaston Mwangi Kenji ジョモ・ケニヤッタ農工大学, Department of [email protected] Food Science +254-(0)733-815640 - 日本留学経験者 Kiruri Gachie ケニヤッタ大学 [email protected] - - 日本留学経験者 19 ジョモ・ケニヤッタ農工大学の天然物化学 (Natural products chemistry)分野。 ①天然物化学分野の大学教授/研究者。 ②天然物化学に関連する大学、研究機関、企 業。 - - - ○ 大学、学会関連 - ○ - - - ○ 天然物化学 (Natural products chemistry) 20 ケニヤッタ大学 秋田大学、広島大学、長崎大学等と MOU(Memorandum of Understanding)を締結し ①大学の教授/研究者及びケニア人元日本留 ている大学。日本語クラスを有する。連絡先に 学生。 あるKiruri氏は日本への留学経験者であり、政 ②大学と連携のある研究機関。 策研究大学院大学等含め5年滞在していた経 験がある。 - - - ○ 大学 - - - - - ○ 大学、教育 ○ ○ ○ - - ○ ○ ○ ○ ○ - - Samuel Kiiru ケニア日本同窓会協会(Kenya Japan Alumni Association(KEJAA)) [email protected] +254-(0)722-280651 - 日本留学経験者 - - - ○ ボランティア(青 年海外協力隊 員) - - - - - - - 右記ウェブサイトより連絡 - - - - ウェブサイト: http://jocvmr.webcro w.jp/contact.shtml ケニア 学術関連 21 ケニア その他 ケニア日本同窓会協会(Kenya Japan Alumni Association(KEJAA)) 日本の大学を卒業した留学生の同窓会(1,653 名)。留学生の他、配下に文科省が支援した国 費留学生による同窓会(Kenya Japan MEXT Alumni)、日本学術振興会が支援した留学生に よる東部アフリカJSPS同窓会(Eastern Africa JSPS Alumni)、内閣府が取り組む青年国際交 ①日本の大学を卒業した元留学生。産業や属 性は多岐に渡る。 流事業「世界青年の船」参加者による同窓会 ②元留学生が所属する企業や政府機関。 (Kenya Ship for World Youth Alumni Association)、JICA帰国研修員同窓会(JICA EX-PARTICIPANTS ALUMNI OF KENYA, JEPAK)が存在する。特に、JEPAKはメディカ ル・キャンプ、全国会議、教育ツアー等、様々な 活動を行っている。 22 ケニア その他 青年海外協力隊 フィールド調査 団 青年海外協力隊有志による村の様子や個人の 消費行動等のミクロ情報の調査及び発信を行う ①地方や貧困層の現地事情に精通した青年海 ボランティア団体*2。 外協力隊員。 *2: 有志による活動であり、JICAの公式団体で はない。 留意点:コンタクト先及び相談内容により有料サービスとなる場合がある。 72 図表5-8:ネットワークリスト(エチオピア) 番号 国 カテゴリー 組織名 組織概要 紹介可能な人材(①)・パートナー(②) ※但し紹介対象は必ずしも下記に限定はされない。 在エチオピアの日本国大使館。安全情報の発 出などを含む各種行政サービスを提供するとと ②在エチオピア日本企業、エチオピア商工会議 もに、現地ビジネスに関する情報交換をはじめ 所、エチオピア政府機関や国際機関など。 日本企業支援全般の窓口となっている。 1 エチオピア 政府機関 在エチオピア日本国大使館 2 エチオピア 政府機関 日本政府の貿易投資促進機関として、国内外 に有する多数の拠点・ネットワークを活かし日 ②「BOP/ボリュームゾーン・ビジネス支援サー 独立行政法人 日本貿易振興機 本企業の海外展開ならびに外国企業の日本へ ビス(事前審査有)」を通じたビジネスパート 構(ジェトロ) の誘致活動を実施。また海外の経済情報の分 ナー候補のリストアップ等。 析・研究・政策提言などを通じ、日本の通商政 策へ貢献する。 3 エチオピア 政府機関 JICAエチオピア事務所 技術協力、有償資金協力(円借款)、無償資金 協力の援助手法を一元的に担う、総合的な政 府開発援助(ODA)の実施機関。 日系企業向けに、JICAプロジェクトにかかるカ ウンターパートを中心に、現地企業、NGOや人 材紹介を行っている。 IFC(International Finance Corporation) 5 エチオピア 国際機関 日本におけるエチオピアビジネス関連イベント の実施や企業との個別面談を行っている。 在エチオピア事務所では、現地ビジネスに関す る情報提供を始め、現地パートナー企業の紹 国際連合工業開発機関(UNIDO) 介、政府関連機関との面談の取りつけ、通訳と 東京投資・技術移転促進事務所 して同行するなど、日本企業の投資・技術移転 の取り組みを支援している。また、ビジネス投資 セミナーの開催他、アドバイザーを日本へ招聘 して企業との個別面談を行うなどの活動を実施 している。 6 エチオピア 国際機関 包括的な市場モデルの開発についての理解を 国連開発計画(UNDP)駐日代表 促進するための調査や啓蒙活動を実施。日本 事務所 企業の現地進出に関する個別相談を行ってい る。 7 開発途上国の産業人材を対象とした研修およ び専門家派遣等の技術協力を推進する人材育 一般財団法人海外産業人材育成 成機関であるHIDAが、海外の産業人材との エチオピア ビジネス関連 協会(HIDA) ネットワークを活かし、日本企業の海外展開を HIDA総合研究所 支援することを目的として設立した機関。各国 の同窓会メンバーを活用したビジネス調査や パートナー企業紹介を行っている。 8 エチオピア ビジネス関連 エルミ・ツアー・エチオピア ①JICA事業に関係するエチオピア政府機関、 NGO、国際機関に所属する人材。またJICA帰 国研修員同窓会に属する元JICA研修員、 African Business Education Initiative for the Youth(ABEイニシアティブ)参加者。 ②JICAの国際協力事業に関連するエチオピア 政府機関、NGO、国際機関。また、品質・生産 性向上(カイゼン)普及能力開発プロジェクトの対 象となっている現地企業やJICA技術研修受け 入れ先機関(大学、自治体、研究機関等)の紹 介も可。 その 他 連絡先 その他の 場合、産 担当者名 業名 - - - - - ○ ○ ○ ○ ○ - - - - - - - - - - - ○ ビジネスプ ランに基づ いたパート ナー候補 リストアッ プ ○ 繊維、皮 革、化学、 鉄鋼、電 力/地熱、 運輸交通 ○ ①アドバイザリーや投融資といった企業の事業 世界銀行グループの国際機関。途上国の民間 促進支援を行うIFC職員。 セクター開発を目的とし、企業に対してアドバイ ②パートナー候補となる現地企業。主に大企 ザリーや金融商品の提供を行っている。 業。 エチオピア 国際機関 4 紹介可能な人材の属性 紹介可能なパートナーの産業分野 その他の その 水 食品 農業 医療 金融 経営 技術 営業 場合、属 他 性名 ○ ○ ○ NGO職員 ○ ○ ○ ○ ○ - 笹木和彦 その他参考情報 所属先 在エチオピア日本国大使館 日本貿易振興機構(ジェトロ) 途上国貿易開発部途上国貿易開 発BOP班 A) 福田佳奈 (日 本語対応) JICAエチオピア事務所 B) NigussieFekadu (英語対応) [email protected] 03-3888-8215 エルミ・ツアー・エチオピア [email protected] [email protected] [email protected] +251-(0)911-057030(古 賀:エチオピアの連絡 先) 050-3706-5384(古賀: Addis Ababa 日本の連絡先) P.O.Box: 1628 code 1110 Ethiopia +251-(0)911-512439(代 表取締役エリアス:英語 対応のみ) 日エチオピア帰国留学生会 (Japan Ethiopia Alumni Society (JEAS)) 在エチオピア日本国大使館 [email protected] +251-(0)11-551-1088 +251-(0)911-753486 - 右記ウェブサイトか IFC(International Finance ら連絡 Corporation) ①企業の現地での活動に関する個別相談等に 対応するUNIDO職員。例えば在エチオピア事務 所のタデッセ・セグニ氏(投資家調査や現地サ プライヤー調査のエチオピア国内チームリー ダーとして政府機関や現地企業と幅広いネット ワークを有する)の紹介が可能。タデッセ氏を経 由して、エチオピア商工会議所の紹介も可能。 ②セミナーや展示会等を通じ、パートナー候補 となる現地企業、政府機関の紹介。 - - - ○ UNIDO職 員 ○ ○ ○ ○ ○ - - 村上秀樹 ①当該ビジネスに関連する業務を担当している UNDP職員。 ②パートナー候補となる現地ネットワーク、企 業、NGO。 - - - ○ UNDP職 員 ○ ○ ○ ○ ○ - - ①技術研修や管理研修に過去参加した、現地 HIDA(AOTS)同窓会に所属する元研修生。製 造業を中心とした企業経営者・管理者、相手国 政府・公的機関の有力者や技術者。 ②現地HIDA(AOTS)同窓会、元研修生が所属 する企業。 ○ ○ ○ ○ ○ - ○ ○ ○ ○ 大学、学 会関連、 新聞記 者、ラジオ 番組プロ デュー サー ○ ○ ○ ○ ○ ○ - 古賀美夕紀 上記①②ともに、依頼内容に応じて、料金の見 積もりを行う。 9 エチオピア その他 日エチオピア帰国留学生会 (Japan Ethiopia Alumni Society (JEAS)) 文部科学省の奨学生として、1年以上日本へ留 学したエチオピア人の卒業生ネットワーク。新た に選ばれた奨学生のサポートの他、日エ関連 の文化イベント等を実施している。 ①元文科省の国費留学生。帰国後研究者や大 学教授となることが多いが、民間に所属する人 もいる。また、担当者のDejene氏はメディア関 係者と交流があり、日本を訪問したことのある 親日メディア関係者の紹介も可能。 ②元留学生が所属する研究機関や企業。 留意点:コンタクト先及び相談内容により有料サービスとなる場合がある。 73 Africa Avenue (Bole Road) Wollo Sefer by River Side near Caramara Bridge Kirkos Sub-City, P.O Box 5515 Addis Ababa, Ethiopia 一般財団法人海外産業人材育成 協会(HIDA) HIDA総合研究所 調査企画グループ長 - ○ B) [email protected] (英語対応) 小川和久 ○ ○ +251-(0)11-550-4755 Kirkos sub-city, Kebele 02, House No.676/05, Addis Ababa, ETHIOPIA (MINA Building, 6-7F) P.O.Box 5384, Addis Ababa, Ethiopia A) [email protected] (日本語対応) 03-5467-4751 ○ ○ ウェブサイト: http://www.jetro.go.jp/theme/bop/ [email protected] ○ ○ 東京都港区赤坂1-12-32 アーク森ビル6階 国連開発計画(UNDP) 駐日代表事務所 ○ ○ 03-3582-5203 西郡俊哉 ○ - ウェブサイト: http://www.et.emb-japan.go.jp/about_j.htm 03-5275-3321(代表) 〒102-0092 03-5275-3325(ダイヤル 東京都千代田区隼町2-19 イン) いちご半蔵門ビル7階 IFC職員 - Kirkose KifleKetema K19 H653 Addis Ababa Ethiopia [email protected] ○ ○ +251-(0)11-551-1088 国際連合工業開発機関(UNIDO) 東京投資・技術移転促進事務所 - ○ [email protected] 住所 +251(0)11-517-6000 / 662-7700 - ○ [email protected] 電話 - - ①エチオピア主要企業に勤める人材の紹介が 可能。 ②エチオピア投資庁 (Ethiopian Investment Agency (EIA))が保有するエチオピアの主要企 エルミ・ツアー・エチオピア(観光会社)がBOPビ 業(産業別)の概要リストに掲載されている現地 ジネスコーディネーターとして、エチオピアビジ 企業。エルミ・ツアー・エチオピア経由で投資庁 ネスに関心のある日系企業向けに現地ネット 窓口への問い合わせが可能であり、3日程度で ワーク・人材紹介やビジネス支援を行っている。 情報が入手できる。 Email メディア、 Sakoume Dejene 学会関連 品質・生産性向上(カイゼン)普及能力開発プロ ジェクトは、現在、現地企業約250社(大中企 業50社、零細小企業200社)を対象とし、品質・ 生産性向上に向けた取り組みがおこなわれて いる。 ウェブサイト: http://www.jica.go.jp/ethiopia/office/about/in dex.html ウェブサイト(エチオピア以外も含むアフリカ): http://www.ifc.org/wps/wcm/connect/region __ext_content/regions/subsaharan+africa/contacts/africacontacts - 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5-53-70 UNハウス8F - 北千住事務所 〒120-8534 東京都足立区千住東1-30-1 ウェブサイト: http://hri.hidajapan.or.jp/special/exchange Athletics Village/Sululta Northern Addis Ababa/Oromia Ethiopia ウェブサイト: www.elmitourethiopia.com 日本留学経験者 図表5-9:ネットワークリスト(インド) 番号 国 カテゴリー 組織名 組織概要 紹介可能な人材(①)・パートナー(②) ※但し紹介対象は必ずしも下記に限定はされない。 1 インド 政府機関 在インド日本国大使館 紹介可能な人材の属性 その 経営 技術 営業 他 在インドの日本国大使館。現地経済情勢に関す る情報提供を始め、商工会議所や政府関連機 関への紹介など日本企業の現地での事業活動 ②インド政府機関や国際機関、商工会等。 支援を行っている。支援窓口を通し、適宜ビジネ ス相談可能。 - - - - 紹介可能なパートナーの産業分野 その他の場 合、属性名 水 食品 農業 医療 金融 その 他 - - - - - - - 連絡先 その他の場 担当者名 合、産業名 - 在インド日本大 使館 日本企業支援 窓口担当者*1 その他参考情報 所属先 Email 電話 住所 在インド日本国大使館 [email protected] (日本企業支援窓口) +91-(0)11-4610-4610 50-G Shantipath, Chanakyapuri, New Delhi 110021, India - 03-3582-5203 東京都港区赤坂1-12-32 アーク森ビル6階 ウェブサイト: http://www.jetro.go.jp/theme/bop/ *1: Emailにてご 連絡頂き、適宜 対応。 2 インド 政府機関 独立行政法人 日本貿易振興機 構(ジェトロ) 日本政府の貿易投資促進機関として、国内外に 有する多数の拠点・ネットワークを活かし日本企 ②「BOP/ボリュームゾーン・ビジネス支援サービ 業の海外展開ならびに外国企業の日本への誘 ス(事前審査有)」を通じたビジネスパートナー候 致活動を実施。また海外の経済情報の分析・研 補のリストアップ等。 究・政策提言などを通じ、日本の通商政策へ貢 献する。 - - - - 3 インド 政府機関 JICAインド事務所 ①JICA事業に関係するインド政府機関、NGO、 国際機関に所属する人材。また在インドJICA帰 独立行政法人国際協力機構。BOP協力準備調 国研修員同窓会(JAAI)に所属する元JICA研修 査等により中小企業等の日本企業の海外進出 生。 をサポートしている。 ②JICAの国際協力事業に関連するインド政府 機関、NGO、国際機関。 ○ ○ ○ ○ 4 インド 国際機関 IFC(International Finance Corporation) 世界銀行グループの国際機関。途上国の民間 セクター開発を目的とし、企業に対してアドバイ ザリーや金融商品の提供を行っている。 ①アドバイザリーや投融資といった企業の事業 促進支援を行うIFC職員。 ②パートナー候補となる現地企業。主に大企 業。 - - - 5 インド 国際機関 国連開発計画(UNDP)駐日代表 事務所 包括的な市場モデルの開発についての理解を 促進するための調査や啓蒙活動を実施。日本 企業の現地進出に関する個別相談を行ってい る。 ①当該ビジネスに関連する業務を担当している UNDP職員。 ②パートナー候補となる現地ネットワーク、企 業、NGO。 - - - 6 開発途上国の産業人材を対象とした研修および ①技術研修や管理研修に過去参加した、現地 専門家派遣等の技術協力を推進する人材育成 HIDA(AOTS)同窓会に所属する元研修生。製造 一般財団法人海外産業人材育成 機関であるHIDAが、海外の産業人材とのネット 業を中心とした企業経営者・管理者、相手国政 インド ビジネス関連 協会(HIDA) ワークを活かし、日本企業の海外展開を支援す 府・公的機関の有力者や技術者。 HIDA総合研究所 ることを目的として設立した機関。各国の同窓会 ②現地HIDA(AOTS)同窓会、元研修生が所属 メンバーを活用したビジネス調査やパートナー企 する企業。 業紹介を行っている。 ○ ○ ○ 7 インド ビジネス関連 株式会社インドビジネスセンター 8 インド ビジネス関連 9 インド ビジネス関連 La Ditta Limited 10 インド ビジネス関連 11 12 - - - - - ○ ビジネスプラン に基づいた パートナー候 補リストアップ 日本貿易振興機構(ジェトロ) 途上国貿易開発部途上国貿易開 発BOP班 [email protected] NGO職員 ○ ○ ○ ○ ○ - インフラ各分 野 JICAインド事務所 [email protected] (事務所代表 +91-(0)11-4768-5500 アドレス) ○ IFC職員 ○ ○ ○ ○ ○ - - 右記ウェブサイ IFC(International Finance トから連絡 Corporation) ○ UNDP職員 ○ ○ ○ ○ ○ - - 西郡俊哉 ○ ○ - - 2nd Floor, Dr. Gopal Das Bhawan, 28 Barakhamba Road, New Delhi 110-001, India - +91-(0)11-4111-1000/ 3000 Maruti Suzuki Building 3rd & 4th floor, 1 Nelson Mandela Road Vasant Kunj, New Delhi 110 070, India ウェブサイト(インド以外も含む南アジア): http://www.ifc.org/wps/wcm/connect/REGIO N__EXT_Content/Regions/South+Asia/Contact s/ 国連開発計画(UNDP) 駐日代表事務所 [email protected] 03-5467-4751 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5-53-70 UNハウス8F - 小川和久 一般財団法人海外産業人材育成 協会(HIDA) HIDA総合研究所 調査企画グループ長 [email protected] 03-3888-8215 北千住事務所 〒120-8534 東京都足立区千住東1-30-1 ウェブサイト: http://hri.hidajapan.or.jp/special/exchange インドにおけるビジネスの総合的なコンサルティ ング会社。調査・リサーチ、現地法人設立支援、 駐在員事務所設立支援、人材斡旋紹介、現地 サポート、講演・研修を行っている。 ①インドでのビジネス実施に総合的支援を行うコ ンサルタント。 ②パートナー候補となる現地ネットワーク、企 業。 ○ - - ○ コンサルタント ○ ○ ○ ○ ○ - - 島田卓 株式会社インドビジネスセンター [email protected] 03-5282-4277 東京都千代田区神田駿河台3-3- ウェブサイト: http://www.ibcjpn.com/ 10 三島ビル3F 日印に事務所を持つコンサルティング会社。各 種調査、事業戦略・計画の作成、インド進出業 務支援、マーケティングプロモーションを行って いる。 ①現地進出時の各種調査や戦略立案支援を行 うコンサルタント。 ②パートナー候補となる現地ネットワーク、企 業。 - - - ○ コンサルタント ○ ○ ○ ○ ○ - - 繁田奈歩 株式会社インフォブリッジマーケ ティング&プロモーションズ [email protected] +91-(0)98-1108-2577 03-5770-3134 東京都港区北青山1-4-6 246 青山4F ウェブサイト: http://www.infobridgeasia.com/ 日本企業のインド進出支援を行うコンサルティン グ会社。日本食・製品・文化・コンテンツのプロ モーション、商品開発、輸出入、販路拡大を強み としている。 ①現地進出支援行うコンサルタント、日本に関 連するプロモーションを行う人材。 ②パートナー候補となる現地ネットワーク、企 業。 ○ - ○ ○ コンサルタント ○ ○ ○ ○ ○ ○ La Ditta Limited 代表取締役 [email protected] 090-3963-1674 - ウェブサイト: http://www.laditta.jp/jp/ Nakajima Consultancy Services LLP 一般ビジネス関連情報の提供、貿易支援、現地 パートナー紹介、人材採用・育成支援、資金調 達サポート、工場用地紹介、会計・税務等の支 援、日本人派遣者の支援を専門とするコンサル ティング会社。 ①日本企業の現地進出や事業・業務提携の支 援を行うコンサルタント。 ②パートナー候補となる現地ネットワーク、企 業。 ○ - - ○ コンサルタント ○ ○ ○ ○ ○ - Nakajima Consultancy Services LLP 代表取締役会長 [email protected] m +91-(0)98-1842-7031 303, The Hermitage Group Society, Plot No. GH-2, Sector 28, Gurgaon, Haryana, India ウェブサイト: http://nakajimaconsultancy.jp/ インド ビジネス関連 Catalysts Management Services Pvt. Ltd. インドのコンサルティング会社。開発やソーシャ ル分野に関連したビジネスのコンサルテーション を行っている。12)に掲載しているNGOのSwasti と共働しており、Swastiと同様広くネットワークを 有する。 ①開発分野に関連したビジネスの支援を行うコ ンサルタント。 ②パートナー候補となる現地ネットワーク、企 業。 - - - ○ コンサルタント ○ ○ ○ ○ ○ ○ Catalysts Management Services Pvt. Ltd. [email protected] - 36, Bhoopasandra Main Rd, Vinayaka Layout, Bhoopasandra, Sanjay Nagar Bengaluru, Karnataka 560094, India ウェブサイト: http://cms.org.in/ NGO/ソー インド シャルセク ター Swasti 現地保健系NGO。アジア・アフリカへ医療保健系 の支援を実施。過去のJICABOP協力準備調査 において現地パートナー候補となっていたことも ①保健分野で知識を有するNGO職員。 あり、広くネットワークを有し、ビジネス経験が豊 ②保健分野の現地政府機関や企業。 富。Wal-Mart、GapのCSRプロジェクトデザイン の経験有。 - - - ○ NGO職員(保 健、教育) - - - ○ - - Swasti [email protected] +91-(0)98-4562-4994 H. No. 41, 1st Main, 1st Cross, Behind Govt. High School, Ashwathnagar, Bangalore, India ウェブサイト: http://www.swasti.org/ ○ ○ ○ ○ 世界機関、学 界(科学、技 術、経営)と産 業界 ○ ○ ○ ○ ○ ○ 東京大学インド事務所 [email protected] 株式会社インフォブリッジマーケ ティング&プロモーションズ 13 インド その他 東京大学インド事務所 東京大学が全学で持つ3つの海外事務所の一 つ。2012年1月バンガロールに設立。文部科学 省が進めるグローバル30プロジェクトの海外大 学共同利用事務所でもある。使命は3つ。①日 本への優秀インド人留学生の受け入れ促進、② 日本人学生のインドへの受け入れ促進。③イン ①東大留学を含めた日本留学経験者とポスドク ドにおける学界、産業界とのネットワーク強化と 研究経験者。主にインドの大学や研究機関や日 通じた日印学術交流、産学連携の推進。 系企業に勤務する留学経験者。 2014年10月、東大は文科省の留学コーデイネー ター配置事業(インド)を採択して、日本の大学を 代表して陣頭指揮をとり、インド人留学生受け入 れ推進を行う新たな使命を頂いた。2015年中に デリーに事務所を開設する予定である。 14 インド その他 日本学術振興会同窓会(Indian JSPS Alumni Association) 日本学術振興会が提供する特別奨励制度を通 ①元日本学術振興会の留学制度を利用して博 した日本留学経験者による同窓会インド支部。 士課程を修了している研究者。 同窓会のメンバーは全員2年以上の日本在住経 ②現地研究機関。 験がある。 - ○ - ○ 大学、学会関 連(特にサイエ ンス学部出身 者) ○ ○ ○ ○ ○ - 15 インド その他 インド文部省留学生協会 (MOSAI) 25年間の歴史を持つ国費留学生同窓会のイン ド支部。日本留学の経験を持つ125人のインド人 メンバーにて構成され、そのうち50人は文部科 ①元文科省の国費留学生。帰国後研究者となる 学省の国費留学生。日本語スピーチコンテスト ことが多いが、民間に所属する人もいる。 の実施や日本・インド両大学間の協力推進、日 ②元留学生が所属する研究機関や企業。 本語教育や帰国留学生間のミーティング実施等 の活動を行う。 - - - ○ 大学、学会関 連 - - - - - ○ 製造、日本文 化、ウェブコン 小里博栄 テンツ - 中島敬二 開発、社会課 Nitin Rao 題の解決 - Shama Karkal 社会基盤学、 電気工学、機 吉野宏 械工学、農学, 医療など - 日本学術振興会同窓会(Indian Shakthi Kumar JSPS Alumni Association) 会長 東洋大学 A) Ashok Jain (技術関連) 科学、経済学 B) Pankaj Singla(法律関 連) 留意点:コンタクト先及び相談内容により有料サービスとなる場合がある。 74 [email protected] A) インド文部省留学生協会 (MOSAI)プレジデント EMPI Business School A) [email protected] B) インド文部省留学生協会 [email protected] (MOSAI) B) [email protected] Corporate Professionals, Advisors & Advocates +91-(0)80-4150-8509 090-9964-7605 #408, 4th Floor, Prestige Meridian ウェブサイト: -1, No.29 M.G.Road Bangalore http://www.indiaoffice.dir.u560001, India tokyo.ac.jp/jp/about/index.html 〒350-8585 埼玉県川越市 A) 1210-11 New Delhi House 27, Barakhamba Road, New Delhi A) +91-(0)98-1018-9116 B) D-38, 1st Floor, South B) +91-(0)99-7150-8320 Extension, Part - I, New Delhi 49, India インドに設置された同窓会だが、2013年8月~ 2017年12月の任期でDr. Shakthi Kumarが会長 を務めているため、所属機関の東洋大学が連 絡先となってる。 Ashok Jain氏は日本留学経験者であり、現在 ビジネススクールにて学術研究を行っている。 Pankaj Singla氏も元留学生。企業弁護士で、日 本で法律の勉強・トレーニングを受けた実績 有。日系企業のJV投資、法務アドバイザリー、 対外投資、貿易、雇用に関する法律を専門とし ている。 図表5-10:ネットワークリスト(バングラデシュ) 番号 国 カテゴリー 組織名 組織概要 紹介可能な人材(①)・パートナー(②) ※但し紹介対象は必ずしも下記に限定はされない。 連絡先 その その他の場合、 担当者名 他 産業名 その他参考情報 所属先 Email 電話 住所 在バングラデシュ日本国大使館 書 記官 [email protected] p - - 日本貿易振興機構(ジェトロ) 途上国貿易開発部途上国貿易開発 BOP班 [email protected] 03-3582-5203 東京都港区赤坂1-12-32 アーク森ビル6階 ウェブサイト: http://www.jetro.go.jp/theme/bop / バングラデシュ 政府機関 在バングラデシュ日本国大使館 ①日本企業やバングラデシュ政府機関に所属 する人材。 ②バングラデシュにおける日本企業、バングラ デシュ政府機関や国際機関。 ○ ○ ○ - - ○ ○ ○ ○ ○ - 2 バングラデシュ 政府機関 日本政府の貿易投資促進機関として、国内外 に有する多数の拠点・ネットワークを活かし日 ②「BOP/ボリュームゾーン・ビジネス支援サー 独立行政法人 日本貿易振興機 本企業の海外展開ならびに外国企業の日本へ ビス(事前審査有)」を通じたビジネスパート 構(ジェトロ) の誘致活動を実施。また海外の経済情報の分 ナー候補のリストアップ等。 析・研究・政策提言などを通じ、日本の通商政 策へ貢献する。 - - - - - - - - - - ○ 3 バングラデシュ 政府機関 JICAバングラデシュ事務所 ①民間セクター開発担当職員。JICA事業に関 日本政府の国際協力機構。BOP協力準備調査 係するバングラデシュ政府機関、NGO、国際機 等により日本企業の海外進出をサポートしてい 関に所属する人材。 る。 ②JICAの国際協力事業に関連するバングラデ シュ政府機関、NGO、国際機関。 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ - - 弓削泰彦 JICAバングラデシュ事務所 企画調査員(民間セクター開発) [email protected] +880-(0)2-989-1897 Uday Tower(7th Floor), 57&57A, Gulshan Avenue (South), Circle-1, Gulshan, Dhaka-1212, Bangladesh - 4 バングラデシュ 政府機関 (現地) Small & Medium Enterprise Foundation Ministry of Industry傘下のバングラデシュにお ける中小企業支援機関であり、パートナー候補 ①現地中小企業の経営者。 となる中小企業の情報を広く有している。また、 ②現地中小企業。 青年海外協力隊による支援先である。 ○ - - - - ○ ○ ○ ○ ○ - - Mamunur Rahman Small & Medium Enterprise Foundation Deputy General Manager [email protected] +880-(0)2-814-2983 Royal Tower, 4 Panthapath, Dhaka 1215, Bangladesh - 5 バングラデシュ 国際機関 IFC(International Finance Corporation) ①アドバイザリーや投融資といった企業の事業 世界銀行グループの国際機関。途上国の民間 促進支援を行うIFC職員。 セクター開発を目的とし、企業に対してアドバイ ②パートナー候補となる現地企業。主に大企 ザリーや金融商品の提供を行っている。 業。 - - - ○ IFC職員 ○ ○ ○ ○ ○ - - 右記ウェブサイトよ り連絡 IFC(International Finance Corporation) - +880-(0)2-8833752-66 United House, 10 Gulshan Avenue Gulshan, Dhaka - 1212 Bangladesh ウェブサイト(バングラデシュ以外 も含む南アジア): http://www.ifc.org/wps/wcm/con nect/REGION__EXT_Content/Reg ions/South+Asia/Contacts/ 6 バングラデシュ 国際機関 包括的な市場モデルの開発についての理解を 国連開発計画(UNDP)駐日代表 促進するための調査や啓蒙活動を実施。日本 事務所 企業の現地進出に関する個別相談を行ってい る。 ①当該ビジネスに関連する業務を担当している UNDP職員。 ②パートナー候補となる現地ネットワーク、企 業、NGO。 - - - ○ UNDP職員 ○ ○ ○ ○ ○ - - 西郡俊哉 国連開発計画(UNDP) 駐日代表事務所 [email protected] 03-5467-4751 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5-53-70 UNハウス8F 7 開発途上国の産業人材を対象とした研修およ び専門家派遣等の技術協力を推進する人材育 一般財団法人海外産業人材育成 成機関であるHIDAが、海外の産業人材との バングラデシュ ビジネス関連 協会(HIDA) ネットワークを活かし、日本企業の海外展開を HIDA総合研究所 支援することを目的として設立した機関。各国 の同窓会メンバーを活用したビジネス調査や パートナー企業紹介を行っている。 ①技術研修や管理研修に過去参加した、現地 HIDA(AOTS)同窓会に所属する元研修生。製 造業を中心とした企業経営者・管理者、相手国 政府・公的機関の有力者や技術者。 ②現地HIDA(AOTS)同窓会、元研修生が所属 する企業。 ○ ○ ○ ○ ○ 小川和久 一般財団法人海外産業人材育成協会 (HIDA) kazuhisaHIDA総合研究所 [email protected] 調査企画グループ長 03-3888-8215 北千住事務所 〒120-8534 東京都足立区千住東1-30-1 8 バングラデシュ ビジネス関連 バングラデシュ政府認定の業界団体。二国間 ①進出日本企業に所属する人材及び日本と取 の合同商工会議所のため、登録機関は進出日 引のある現地企業経営者/代理店経営者。 Japan Bangladesh Chamber of 本企業と現地企業の両方から成る。パートナー ②団体に所属する進出日本企業及び日本と取 Commerce and Industry (JBCCI) 候補の紹介、商事トラブルの調停なども手掛け 引のある現地企業。 る。 ○ ○ ○ - - ○ ○ ○ ○ ○ - - A.B.M. Shamsul Alam Japan Bangladesh Chamber of Commerce and Industry (JBCCI) [email protected] [email protected] 二国間の合同商工会議所であり、 Flat #3B (3rd Floor) バングラデシュ商工会議所連合会 House # 30, Road # 18, Block とは異なる団体である。 +880-(0)2-984-0105, #A +880-(0)2-881-8222 Banani, Dhaka 1213, ウェブサイト: Bangladesh http://www.jbccibd.com ○ ○ ○ ○ コンサルタント、 IT、教育、大 学、学会関連 ○ ○ ○ ○ ○ - - 岡崎透 バングラビジネスパートナーズ [email protected] 080-3086-3614 東京都渋谷区道玄坂1-9-43F - ウェブサイト: http://www.f-d-nex.co.jp/ 1 在バングラデシュの日本国大使館。現地ビジネ スに関するマクロな情報提供を始め、商工会議 所や政府関連機関への紹介等を通じた日本企 業の活動支援を行っている。 紹介可能な人材の属性 紹介可能なパートナーの産業分野 その その他の場合、 水 食品 農業 医療 金融 経営 技術 営業 他 属性名 NGO職員 - 川上貴之 ビジネスプラン に基づいたパー トナー候補リス トアップ ウェブサイト: http://hri.hidajapan.or.jp/special/ exchange 9 バングラデシュ ビジネス関連 バングラビジネスパートナーズ ①バングラデシュに特化した進出支援(会社設 立や会計業務、リサーチ、投資アドバイザリー、 パートナー紹介等)を行うコンサルタント。 バングラデシュに特化した進出支援会社。会社 ②現地パートナー企業であるダフォディルグ 設立や会計業務、リサーチ、投資アドバイザ ループのダフォディルコンピュータ(コンピュータ リー、パートナー紹介等を実施。社長は日本の 販売会社)、ダフォディル大学(日本との連携に 元公認会計士。 積極的な私立大学大手)、合弁会社として設立 したダフォディルジャパンIT(IT・教育事業を実 施)の紹介が可能。 10 バングラデシュ ビジネス関連 株式会社フィールド・デザイン・ ネットワークス 日本、バングラデシュに拠点を有するコンサル 会社。代表は元バンカーであり、現地進出や事 業・業務提携に精通している他、バングラデシュ ①現地進出や事業・業務提携の支援を行うコン のNorthern Universtyの客員教授も務める等、 サルタント。 産学官金民との豊富なネットワークを有してい ②パートナー候補となる現地企業。 る。国内でも複数の省庁で行政委員を兼務し、 政策にも精通している。 ○ - - 〇 コンサルタント ○ ○ ○ ○ ○ ○ 全般 見山謙一郎 株式会社フィールド・デザイン・ネット ワークス [email protected] 080-6730-2991 横浜市港北区綱島上町1-1 11 バングラデシュ ビジネス関連 株式会社プリアディス・ジャパン 東京とダッカに事務所をもつコンサルティング会 社*1。バングラデシュ進出支援,出張手配,各 種調査,ブランドプロモーションなどを行ってい る。グループ会社でアパレルと建設業務も行っ ている。 *1: Pleiades Bangladesh Ltd.(ダッカ事務所)。 〇 〇 〇 〇 コンサルタント 〇 〇 〇 〇 〇 ○ 製造業全般 工場建設 Zubair Rony 株式会社プリアディス・ジャパン [email protected] 080-6730-2991 〒152-0032 東京都目黒区平 ウェブサイト: 町1-26-18 第1ベルハウス http://www.pleiades-group.com/ 303 12 バングラデシュ ビジネス関連 Amader Ltd. 元金融マンが09年に当地で立ち上げたIT会社。 ①IT分野に強みのある人材。企業進出支援や 現在は、中小機構の認定アドバイザーとして、 調査を実施するコンサルタント。 スポット的に企業進出や調査も請け負ってい ②パートナー候補となる現地企業。 る。個別案件への機動性が期待できる。 ○ - ○ ○ ITサービス、コ ンサルタント ○ ○ ○ ○ ○ - 抜水義浩 Amader Ltd. yoshihiro_nukumizu@amaderg +880-(0)17-3371roup.com 1739 13 バングラデシュ ビジネス関連 Cocoro Limited バングラデシュで日本企業のBOPビジネスや社 会起業を支援するコンサルティング会社。豊富 な知識、ネットワークと経験を生かし、市場調 査、事業戦略、事業提携、資金調達等の支援を 行う。 ①バングラデシュで日本企業のBOPビジネスや 社会起業の支援(市場調査や事業戦略や事業 提携の支援)を行うコンサルタント。 ②パートナー候補となる現地企業。 ○ - - ○ コンサルタント ○ ○ ○ ○ ○ ○ 再生可能エネ ルギー、情報通 鈴木ゆかり 信、教育 等 Cocoro Limited 代表取締役社長 [email protected] 14 バングラデシュ ビジネス関連 NewVision Solutions Ltd 40年以上に渡り日系企業のバングラデシュ進 出支援、合弁事業を行ってきたコンサルティン グ会社。政府関係、ビジネス界において幅広い ネットワークを有し、会社設立代行、各種市場 調査、F/S、社会調査、人材雇用支援等を行っ ている。 ①日系企業のバングラデシュ進出支援(会社設 立代行、各種市場調査、F/S、社会調査、人材 雇用支援等)を行うコンサルタント。 ②パートナー候補となる現地企業。 ○ - - 〇 コンサルタント ○ ○ ○ ○ ○ ○ 産業全般(教 育、エネル ギー、化粧品、 飲食店、建設資 材、保険、IT、 不動産、縫製、 工場設立等) ①バングラデシュ進出支援,出張手配,各種調 査,ブランドプロモーションなどを行うコンサルタ ント。 ②パートナー候補となる現地企業。 75 - A) Tareq Rafi Bhuiyan (Jun) NewVision Solutions Ltd B) 望月咲樹 A) 社長 メールでのご連絡は B) 日本人スタッフ 両方の宛先を入れ て送信ください。 A) [email protected] [email protected] B) [email protected] ご連絡は両方の宛先を入れ て送信ください。 +880-(0)17-55603508 5B Union Erin, 9/1 North ウェブサイト: Dhanmondi Kalabagan, Dhaka, http://www.amadergroup.com/jp/ Bangladesh Apt 4-A, House SB(E) 12, Road 135, Gulshan 1, Dhaka 1212, Bangladesh A) +880-(0)17-1307House 456 (1st floor), Road 9617 (社長携帯) B) +880-(0)2-98831, Mohakhali DOHS, Dhaka1206, Bangladesh 9687 JICAバングラデシュ事務所の進 める日本企業のBOPビジネス支 援のためのプラットフォームの運 営委託先として活動中。 パートナー企業が日本にもあり日 本での対応も可。社長は日本とバ ングラデシュのハーフ。 ウェブサイト: http://newvision-bd.com 15 バングラデシュ ビジネス関連 一般財団法人 アライアンス・ フォーラム財団 ①日本企業が途上国での事業立ち上げを行う 日本、バングラデシュ、ザンビアに事務所をもつ ための、F/S、事業戦略・計画の作成、マーケ 財団。日本企業が途上国での事業立ち上げを ティングプロモーション支援を行うコンサルタン 行うための、F/S、事業戦略・計画の作成、マー ト。 ケティングプロモーション支援を行っている。 ②パートナー候補となる現地企業。 - - - ○ コンサルタント - ○ ○ - - ○ 16 バングラデシュ ビジネス関連 東京コンサルティングファーム ①日本企業のバングラデシュ進出支援(会社設 会計事務所が母体のコンサルティング会社。日 立、現地企業信用調査等)、進出後の会計税 本企業のバングラデシュ進出支援(会社設立、 務、労務などの管理部門のサポートを行うコン 地企業信用調査等)、進出後の会計税務、労務 サルタント。 などの管理部門のサポート・コンサルティング。 ②パートナー候補となる現地企業やNGO。 - - - ○ 会計税務、 コンサルタント ○ ○ ○ ○ ○ - 17 NGO/ソー バングラデシュ シャルセク ター EKMATTRA Entrepreneurs Ltd. NGO エクマットラ(ストリートチルドレンの支援、 啓蒙活動を行っている)の関連会社。幅広い NGOネットワークを有している。さらにNGOが映 ①ストリートチルドレン等の支援を行うNGO職 画製作を行っている関係上、映像製作受注、 員、メディア・映画関係に知識を有する人材。 TV番組制作サポート、PRコンサルを非常に得 ②現地NGO、メディア・映画関係の企業 意としている。日系企業進出時の、通訳・翻訳 や会社設立業務といったサポートなどを広く 行っており、ビジネスに関連した実績も有する。 ○ - ○ ○ NGO職員、映像 制作、PRのコン サルタント - - - - - ○ 18 バングラデシュ 学術関連 Rural Development Academy (RDA) バングラデシュの農村開発の研究センター。 Ministry of Local Government, Rural Development & Co-operativesの傘下で研修や ①農村開発に関する研究者。 リサーチを実施。日本のODAバングラデシュ農 村開発実験事業でカウンターパートであった。 - ○ - ○ 大学、学会関連 ○ ○ ○ - - - 留意点:コンタクト先及び相談内容により有料サービスとなる場合がある。 76 サステーナブル エネルギー、防 稲田史子 災、健康 一般財団法人 アライアンス・フォーラ ム財団 [email protected] バングラデシュ事務所 03-6225-2795 +880-(0)19-54846400 Apt #4E, House #18,Road #9, Baridhara, Dhaka 1212, Bangladesh ウェブサイト: http://www.allianceforum.org/ House No.30, Road No.20, Flat ウェブサイト: No.6/A, Block-K, Banani, http://www.kunoDhaka-1213, Bangladesh cpa.co.jp/tcf/bangladesh/ 北口実加 Tokyo Consulting Firm Limited kitaguchi.mika@tokyoconsulti +880-(0)17-8777(株式会社東京コンサルティングファー nggroup.com 5740 ム バングラデシュ法人) [email protected] 映像メディア 渡辺大樹 EKMATTRA Entrepreneurs Ltd. [email protected] +880-(0)17-11445779 1025, Kathaltala, East Monipur, Mirpur-10, Dhaka1216, Bangladesh ウェブサイト: http://ekmattra.org/ - M.A. Matin Rural Development Academy (RDA) Director General [email protected] +880-(0)51-78603 Bogra, 5842, Bangladesh - - 5.5 日本の経済協力ツール一覧 当調査を通じて明らかとなった、日本の経済協力ツールは以下の通りである。 図表 5-11:日本の経済協力ツール No 機関 1 国際協力機構(JICA) 制度名 対象企業規模 中小企業海外展開支援事業 中小企業 (中小企業連携促進基礎調査) 対象国 ODA対象国 対象事業フェーズ ①事前事業準備調査 対象優先課題 資金 金額 上限金額1,000万円 制度詳細 URL 開発途上国への進出を志し、途上国の開発課題に資するビジネス展開を検討中の中 小企業からの提案に基づき、現地での事業実施に向けた情報収集と事業計画立案を 支援し、ODA事業との連携を検討する。 調査の対象となる海外事業分野に係る現地の開発課題の現状、同事業を通じ期待さ れる開発効果、現地の投資環境・事業環境に係る情報収集・分析、海外事業計画案 http://www.jica.go.jp/sme_supp の策定、現地ODA事業との連携可能性の検討を網羅した調査を実施する。 ort/activities/fs.html 開発途上国の社会経済開発に裨益する分野(保健・衛生・医療、運輸交通(道路・橋 梁・港湾・空港)、水資源・防災、水供給、教育・訓練、エネルギー、農業・農村開発、水 産、自然環境保全、環境管理、金融サービス等)が対象となる。 2 国際協力機構(JICA) 中小企業海外展開支援事業 (案件化調査) 中小企業 ODA対象国 ①事前事業準備調査 資金 上限金額3,000万円 機材(同時携行できる小 型の機材を除く)の輸送 が必要な場合は、上限 金額は5,000万円) 中小企業からの提案に基づき、製品・技術を途上国の開発へ活用する可能性を検討 する。 開発途上国の開発ニーズと我が国の中小企業の有する優れた製品・技術等とのマッ チングを行うことによって、途上国の開発課題の解決と我が国の中小企業の海外事業 http://www.jica.go.jp/sme_supp 展開との両立を図り、もってODAを通じた二国間関係の強化や経済外交の一層の推 ort/activities/itaku.html 進に資することを目的とする。 対象分野は「環境・エネルギー」「廃棄物処理」「水の浄化・水処理」「職業訓練・産業育 成」「福祉」「農業」「医療保健」「教育」「防災・災害対策」である。 3 中小企業基盤整備機構 (中小機構) 4 国際協力機構(JICA) 海外展開のためのF/S支援事 業 中小企業 特に条件なし ①事前事業準備調査 ②事業準備調査 資金 中小企業による経費負 担120万(一定の条件を 中小企業が海外展開を目指す際に必要となる、国内での調査や海外現地での調査 満たす企業については に、中小機構の専門家が同行し、事業化可能性を検討する。 上限を240万円とする) 協力準備調査 (BOPビジネス連携推進) 大企業・中小企業 原則として、 JICA事務所・ 支所所在国 ②事業準備調査 資金 上限金額5,000万円 (中小企業は上限2,000 万円もしくは5,000万円 のいずれか選択可能) http://www.smrj.go.jp/keiei/kok usai/fs/069550.html 開発途上国でのBOPビジネスを計画している本邦法人からの提案に基づき、ビジネス モデルの開発、事業計画の策定、並びにJICA事業との協働事業の可能性について検 http://www.jica.go.jp/activities/ 討・確認を行う。ミレニアム開発目標(MDGs)をはじめ開発課題の改善に資する事業、 schemes/priv_partner/BOP/ また、JICA事業との連携により更なる開発効果がのぞめる事業を対象とする。 中小企業からの提案に基づき、製品・技術に関する途上国の開発への現地適合性を 高めるための実証活動を通じ、その普及方法を検討する。 5 国際協力機構(JICA) 6 商工組合中央金庫 (商工中金) 日本政策金融公庫 7 (日本公庫) 8 国際協力機構(JICA) 中小企業海外展開支援事業 (普及・実証事業) 中小企業 ODA対象国 ③商品/サービス開発及 資金 び検証 上限金額1億円 オーバーシーズ 21 中小企業 特に条件なし ④立ち上げ実施 資金 融資金額は、実績では http://www.chusho.meti.go.jp/k 1,000万~5億円程度で 資金の用途は、海外直接投資を行うための設備資金等である。業種、売上等一定の eiei/kokusai/download/17fy/04. あるが、限度が定めら 要件を満たし、海外展開を行う中小企業を対象とする。 pdf れているわけではない。 資金 ・国民生活事業:融資限 度額7,200万円(うち運 転資金4,800万円) ・中小企業事業: 直接貸付 7億2千万円 (うち運転資金2億5千万 円) 代理貸付 1億2千万円 資金 ・融資:原則として総事 業費の 70%を上限とす る。特に必要と認められ る場合には 80% (案件の特性等に応じて 必要性は個別に検討) ・出資:出資比率は 25%以下、かつ、最大 株主の出資割合を超え ないものとする。 海外展開資金 海外投融資 中小企業 大企業・中小企業 特に条件なし ODA対象国 ④立ち上げ実施 ④立ち上げ実施 77 http://www.jica.go.jp/sme_supp 対象分野は「環境・エネルギー」「廃棄物処理」「水の浄化・水処理」「職業訓練・産業育 ort/activities/teian.html 成」「福祉」「農業(食料・食品分野を含む)」「医療保健」「教育」「防災・災害対策」等で ある。対象国・対象分野の検討に際しては、国別援助方針に定める当該国への援助 重点分野との整合性があることが、望ましい。 資金の用途は、海外への直接投資、海外企業への生産委託、海外への販売強化(輸 出)等である。経済の構造的変化に適応するために海外展開することが経営上必要で あり、かつ、次の1~3の全てに該当する企業を対象とする。 https://www.jfc.go.jp/n/finance 1.開始または拡大しようとする海外展開事業が、当該中小企業の本邦内における事業 /search/kaigaitenkai.html の延長と認められる程度の規模を有するものであること 2.本邦内において、事業活動拠点(本社)が存続すること 3.経営革新の一環として、海外市場での取引を進めようとすること 開発途上国において、民間企業等が行う開発効果の高い事業であり、かつ、一般の金 融機関だけでの対応が困難な場合に、「出資」と「融資」という2つの資金面から支え る。 ①インフラ・成長加速、②MDGs・貧困削減、③気候変動対策の3つの分野を主な対象 とする。 http://www.jica.go.jp/activities/ schemes/finance_co/loan/ No 機関 制度名 対象企業規模 対象国 対象事業フェーズ 対象優先課題 金額 制度詳細 URL 9 国際協力機構(JICA) 技術協力(技術協力プロジェク ト) - ODA対象国 ④立ち上げ実施 パートナー/人材 - JICAの専門家の派遣、研修員の受入れ、機材の供与という3つの協力手段(協力ツー http://www.jica.go.jp/project/ ル)を組み合わせ、一つのプロジェクトとして一定の期間に実施される事業。 10 国際協力機構(JICA) JICAボランティア事業(青年海 外協力隊) - アジア、アフリ カ、中南米、大 ④立ち上げ実施 洋州、中東の 約70カ国 パートナー/人材 - 開発途上国からの要請(ニーズ)に基づき、それに見合った技術・知識・経験を持ち、 「開発途上国の人々のために生かしたい」と望む人材を募集し、選考、訓練を経て派 遣する。 ③商品/サービス開発及 DACリスト記載 び検証 パートナー/人材 の国 ④立ち上げ実施 受入研修: ・技術研修 製造技術等の固有技術を習得することを目的とした受入研修。 ・管理研修 企業経営や工場管理に必要とされる各種管理技術の手法等を講義、 演習、工場見学 http://www.hidajapan.or.jp/ 等を通じて学ぶ受入研修。 専門家派遣: 開発途上国の企業に対し、 その企業と出資・商取引の関係にある日本の企業等から 専門能力を有する技術者等を派遣して、 生産性や品質の向上、経営の改善を図る事 業。 ①事前事業準備調査 ②事業準備調査 パートナー/人材 ③商品/サービス開発及 その他 び検証 ④立ち上げ実施 - 途上国の低中所得者層を対象とした製品で新たに市場参入を検討している企業のビ http://www.jetro.go.jp/theme/b ジネスアイデアの検証からビジネスの具体化に向けたパートナーの発掘まで一貫して op/advice/ 支援(事前審査有)。 日本企業のビジネス環境(法・規制)に関する声を集め、日本政府が日本企業を代弁し て現地政府と協議することによって、事業環境の課題に対応する。協議される内容の 例として、外資企業への許認可制約の規制緩和やコピー商品に対する規制強化等が 挙げられる。 経済産業省(METI) 新興市場開拓人材育成支援事 11 (※平成26年度の実施機関は 大企業・中小企業 業 海外産業人材育成協会 (HIDA)) http://www.jica.go.jp/volunteer /outline/ 12 日本貿易振興機構(ジェトロ) BOP/ボリュームゾーン・ビジネ ス支援スキーム 大企業・中小企業 インドネシア、 インド、バング ラデシュ、パキ スタン、ウズベ キスタン、カザ フスタン、ケニ ア、タンザニ ア、エチオピ ア、ナイジェリ ア、ペルー(*) 13 外務省(MOFA) 現地政府との合同協議 大企業・中小企業 特に条件なし ①事前事業準備調査 ②事業準備調査 ④立ち上げ実施 その他 - インド、バング ラデシュ、ミャ ンマー、インド ネシア、フィリピ ン、ベトナム、 エチオピア、ケ ニア、タンザニ ア、ナイジェリ ア(*) ①事前事業準備調査 ②事業準備調査 その他 ③商品/サービス開発及 び検証 - - 記事や調査レポートの公開を通じて企業の現地ニーズ把握に寄与する。なお、提供さ れている情報量については国によって変わる。例えば、JICAバングラデシュ事務所で (例)Bangland は、Bangland(バングランド)というプラットフォームを運営し、バングラデシュの社会開 http://www.jica.go.jp/banglades 発の現状やビジネスとしての機会を調査・取材して情報発信する他、BOPビジネスを検 h/bangland/index.html 討する日本の企業へのコンサルティングやビジネスマッチングなどのサービスを提供し ている。 BOP/ボリュームゾーン現地事 14 日本貿易振興機構(ジェトロ) 情の把握(潜在ニーズ調査、先 大企業・中小企業 行事例調査) 15 国際協力機構(JICA) 16 経済産業省(METI)・日本貿 易振興機構(ジェトロ) 17 外務省(MOFA) 18 途上国の特定分野に焦点を当て、生活実態を踏まえて潜在ニーズを明らかにするとと もに、潜在ニーズを踏まえた製品・サービスの仕様・、ビジネスモデルを提案した調査 http://www.jetro.go.jp/theme/b 報告書等。 op/precedents/needs.html 掲載分野は、栄養、保険・医療・衛生等である。 海外市場調査・情報提供 大企業・中小企業 特に条件なし ①事前事業準備調査 ②事業準備調査 その他 ③商品/サービス開発及 び検証 BOPビジネス支援センター 大企業・中小企業 特に条件なし ①事前事業準備調査 ②事業準備調査 その他 ③商品/サービス開発及 び検証 - 経済産業省によって設立された、BOPビジネスを総合的に支援する仕組み。企業、 NGO/NPO、国際機関、支援機関、学術機関等に向けて、ポータルサイトによる一元的 http://www.bop.go.jp/ 情報提供機能、マッチング等の活動を展開する。また、公募やイベントの情報をメール マガジンで配信している。 MDGs 官民連携ネットワーク 大企業・中小企業 特に条件なし ①事前事業準備調査 ②事業準備調査 その他 ③商品/サービス開発及 び検証 - ミレニアム開発目標(MDGs)達成に向けた官民連携を促進するための枠組みとして立 http://www.mofa.go.jp/mofaj/g ち上げられた。途上国の開発ニーズ、MDGs達成に貢献する民間企業の取組、途上国 aiko/oda/doukou/mdgs/kanmin の現場で開発支援を行う際に必要とされる情報の発信などを通じて、MDGs達成に向 / け官民の連携を進め、民間企業や市民社会の活動を推進していくことを目指す。 大企業・中小企業 特に条件なし ①事前事業準備調査 ②事業準備調査 その他 ③商品/サービス開発及 び検証 - BOP・インクルーシブビジネス支援セミナー・名刺交換会、BOPビジネス展示関連セミ ナー等のBOPビジネスに関するセミナー。詳細は、BOPビジネス支援センターのウェブ http://www.bop.go.jp/events サイトの「イベント情報」に掲載される。 経済産業省(METI)・外務省 (MOFA)・日本貿易振興機構 セミナー (ジェトロ)・国際協力機構 (JICA)等 (*)2015年2月時点。 78