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鉱物の安定供給とパッケージ化した 南部アフリカ諸国
資源エネルギー庁 平成23年度 インフラ・システム輸出促進調査等事業 鉱物の安定供給とパッケージ化した 南部アフリカ諸国におけるインフラ調査 にかかる調査報告書 平成 24 年 3 月 プライスウォーターハウスクーパース株式会社 1 目次 第1章 1. 2. 調査の概要 ........................................................................................................ 4 調査の背景と目的 ..................................................................................................... 4 (1) 調査の背景 ........................................................................................................ 4 (2) 調査の目的 ........................................................................................................ 4 概要 .......................................................................................................................... 4 (1) プロジェクトの概要.............................................................................................. 4 (2) 調査の対象 ........................................................................................................ 5 第2章 ビジネスプラン .................................................................................................... 7 1. 対象国ニーズの分析 ................................................................................................. 7 2. 競合の分析 ............................................................................................................... 9 3. 日本の SWOT 分析 ................................................................................................ 10 4. ビジネスプランの策定 ............................................................................................... 11 (1) 施策案1: ロードエクステンション(道路拡張)パッケージ .................................... 12 (2) 施策案2: 資源のハイバリュー化パッケージ .................................................... 12 (3) 施策案3: エコテクノロジーパッケージ .............................................................. 12 (4) 施策案4: ICT ネットワークパッケージ ............................................................. 13 (5) 施策案5: リハビリテーションパッケージ ........................................................... 13 (6) 施策案6: サステナブルビジネスパッケージ ..................................................... 13 (7) 施策案7: フィージビリティスタディパッケージ ................................................... 14 第3章 調査報告.......................................................................................................... 15 1. レアメタルと南部アフリカ諸国................................................................................... 15 2. レアメタルと、今後の主要回廊の考え方 ................................................................... 17 (1) 南部アフリカ諸国のレアメタル産出状況 ............................................................ 17 (2) 各国の鉱山開発について ................................................................................. 20 (3) 各国の開発計画............................................................................................... 28 2 3. 4. (4) 海外企業の参画状況 ....................................................................................... 32 (5) 主要回廊の在り方 ............................................................................................ 34 (6) 現在の開発状況~ナカラ回廊の状況 ............................................................... 37 (7) 今後日本に可能性があると考えられるインフラ計画 .......................................... 63 各国の輸送インフラの整備状況 ............................................................................... 65 (1) モザンビーク .................................................................................................... 65 (2) マラウィ ............................................................................................................ 77 (3) ザンビア ........................................................................................................... 88 (4) ジンバブエ........................................................................................................ 97 ソフトインフラ .......................................................................................................... 111 (1) 越境輸送(CBTI) .............................................................................................. 111 (2) ガバナンスと透明性 ....................................................................................... 121 3 第1章 調査の概要 1. 調査の背景と目的 (1) 調査の背景 新興国による需要拡大に伴い、日本の資源の安定供給の確保はますます重要化している。特 に近年、電子工業など先端産業に利用されるレアメタルは、その生産が政情不安定な国を含めた 尐数国に限定されており、供給構造は極めて脆弱である。 モザンビーク、マラウィ、ザンビア及びジンバブエは、レアメタルの一種であるレアアース・チタ ン・タンタル・ニオブ・ニッケル・白金族の潜在力が高いものの、鉄道・道路・港湾等のインフラが未 発達のため、鉱山開発および資源の輸送が困難であるのが現状である。 これらの南部アフリカ諸国から日本へのレアメタル安定供給を実現するためには、「新成長戦 略 2011」でも述べられているように、案件形成の初期段階から関与し、鉱山開発と交通インフラ開 発を含めたパッケージ型インフラの展開が重要である。 (2) 調査の目的 レアメタル鉱山開発をパッケージとして盛り込んだ日本のインフラ・システム輸出を南部アフリカ 諸国に展開するため、以下の二点を明確にすることが本調査の目的である。 ① レアメタル等の鉱山開発に必要となるインフラの現状及び今後の開発計画 日本がインフラを輸出する機会の有無、または輸出する際の課題や条件を把握するために、レ アメタルを鉱山から港まで輸送するための交通インフラの整備状況および、今後整備の強化が予 定されている地域・設備を、現地特有の事情等(賄賂など)も含めて明らかにする。 ② 周辺国からの陸上運送路の実態 上記 4 カ国のインフラ利用による、周辺国の資源輸送の可能性も含めて検討するため、周辺の 資源国から上記 4 カ国への陸上輸送路について、現地特有の事情(賄賂など)も含めて明らかに する。 2. 概要 (1) プロジェクトの概要 本調査は、大きく分けて、資料調査、インタビュー、実地調査(現地訪問)の 3 つの方法により行 った。 4 ③ 資料調査 資料調査においては、過去に発表された資料やデータを集め、情報の再構成を行った。 ④ インタビュー 現地での意見や希望など、文献調査で知り得ないことや、現地でのアップデート情報、あるいは 文献では伝わらない実情などを質問内容の中心として、資源企業やインフラ関係の官庁等にイン タビューを実施した。 ⑤ 現地調査 PwC 日本法人からは、上記に訪問してヒアリング調査を行ったほか、ナカラ回廊を中心とする モザンビーク、マラウィの主要な交通拠点にて現地調査を行った。現地調査を行った地点は図表 1-1(次ページ)の赤丸のついた地域となる。 (2) 調査の対象 アフリカ南部の資源輸出の鍵となるインフラ(鉄道、道路、水路、電力)の状況を中心に調査を行 った。特に、ナカラ回廊は、後述するように資源輸出において鍵となる回廊であり、現地視察も含 めて重点的に調査を行った。 5 ナカラ回廊・道路 Lilongwe Chipoka Chiponde Dedza ナカラ回廊 Balaka ナカラ回廊・鉄道 Liwonde ベイラ(テテ)回廊・道路 Zomba Songwe Hill Moatize Mulanje Tete ベイラ(セナ)回廊・鉄道 図表 1-1 本調査における現地視察先1 1 出所:Google Map より PwC 作成 6 Nampula Nacala 第2章 1. ビジネスプラン 対象国ニーズの分析 ここでは、今回の調査対象国である、モザンビーク、マラウィ、ザンビア、ジンバブエの4か国に ついて、特に資源産業(特にレアメタル関連)に関連する部分でのニーズを、文献調査及び現地 調査、日本国内での大使館関係者とのミーティングなどから抽出し、分類・分析を行う。 まず、これら南部アフリカ諸国に共通のニーズや状況について押さえておく必要がある。共通 点として以下の点を挙げることができる。 ・ 資源産業を主要産業と位置付けており、政府の期待が非常に高い。 ・ 資源産業(Mining Industry)と言っても、必ずしもレアメタルを指すわけではなく、むしろ 鉄や銅などのベースメタルや、化石燃料である石炭、天然ガスなど、レアメタル以外の 資源を指すことが多く、レアメタルそのもののポテンシャルに関しての現地の認識は日 本のそれと比較すると温度差を感じる。 ・ 日本が南部アフリカ諸国の資源に興味があることは理解できているが、具体的な調査 や事業に関して多くを共有できておらず、世界各国と比較すると出遅れているという認 識を持っている。 ・ 資源産業を発展させるためには、国内のインフラについて改善や能力の拡張が必要で あると考えている。 ・ 日本に対して、技術的な協力への期待が非常に高い。 各国はそれぞれの地理的な要因や有するインフラ・資源などの差から各々に異なったニー ズを持っている。 【モザンビーク】 ・ 南部アフリカ諸国内において港を有する国であるため、港の能力拡張や開発に対する ニーズが高い。また港の開発に関連して、港までの交通網や鉄道網に対するニーズも 高い。 ・ 近年、テテ州の石炭開発の進展やモザンビーク北部での天然ガス田の発見により、こ れまでにないルートでのロジスティクス網の必要性が出てきている。 ・ 特にモザンビークは南北に長い国土を有するが、多くの交通網・物流網が東の港から 西に延びており、これが南北格差に繋がっていると考える政府関係者は多く、南北に延 びる交通網の整備が次の課題となっている。 7 ・ 基本的な物流網の拡張や新規計画は、石炭や天然ガスの物流を中心に考えてられて おり、その意味では、レアメタル関連の開発ニーズは現時点で相対的にはそれほど高く ないと言える。 ・ また、他の3か国と異なり、電力のニーズについて現時点での不足はないということで、 新たな発電所の建設計画などは出ていない。 【マラウィ】 ・ マラウィ南部の豊富な資源(特にレアメタル)について政府も認識しており、現地でも開 発ニーズが高まっている。また、現在発見されている資源や鉱床だけではなく、今後も まだまだ発見されるはずだ、という認識であり、調査ニーズ自体も非常に旺盛な状態に ある。 ・ 鉄道については、モザンビークからザンビアに延びるものが現時点での主要鉄道網で あり、その状態も十分とは言えず改善が求められている。ただし、マラウィ政府は鉄道 業務を民間に委託している(コンセッション)ため、政府関係者のその仕組みや事業者 への期待は非常に高い。一方の道路についても、主要道路の状態は悪くないものの、 それ以外の道はほとんど舗装されておらず、SUV やトラック、4WD 車でなければ通行 が困難なところがあるほど状態がよくなく、これらの道路に対する舗装や補修ニーズが 高い。 ・ 電力不足が課題で、現時点で既に必要な電力が不足している状況にあるが、今後の経 済や資源産業の発展には安定的な電力供給が必要不可欠であるが、現時点で電力付 属解消の目途が立っていない状態にある。 【ザンビア】 ・ 鉄道の老朽化が激しく、耐用年数を過ぎても修復や買い替えができていない設備や車 両が多数ある。特に、機関車や貨物車両などの老朽化により、全体の輸送量が増えな い状態にあり、買い替えニーズが高まっている。 ・ この鉄道網の能力不足により、道路網による鉱物資源の運び出しが行われるが、これ が道路の消耗を激しくし、多くの道路で補強が必要な状態にある。また、もともとこれら の道路の中には、鉱物資源を運ぶための舗装がしていない(耐久性がない)ところも多 く、現地では修復が急がれている。 ・ 電力ニーズも全体的には不足している状態にある。ただし、大使館関係者の話によれ ば、資源・鉱山関係の電力に不足はないはず、との認識であった。特にザンビアは国土 が広大である反面で人口が尐なく、人口密度は日本の 10 分の1である点などから、より 効率的な送電網や分電の技術、施設・設備が必要となっているはずである。 ・ また、現地大使館関係者の話によれば、ファイナンスシステムへのアクセス(資金調達 8 へのニーズ)も課題である、とのことであった。 【ジンバブエ】 ・ ジンバブエは電力が圧倒的に不足しており(必要量の 50%程度)、喫緊の対策が求めら れている。 ・ 電力不足解消のため、発電所の建設や事前調査などが並行で進められているが、技術 力や調査能力に課題があり、特に火力発電所の建設については、排出権の有効活用 の観点からの技術力ニーズが高まっている。 ・ 鉄道については、メンテナンス状態がよくない箇所や路線が多々あり、そのことで鉄道 輸送のキャパシティに影響が出ており、鉄道輸送の品質改善が求められている。 ・ 道路についても状態はマラウィと同じ状態である、舗装されている道路の割合は、全体 から見ればかなり尐なく、改善が求められている。 競合の分析 2. 日本の競合は大きく2つに分類される。一つは BRICS などの新興国を含めた海外の政府であ り、もう一つが各国の民間企業である。 海外政府を競合として見る場合、ODA などの協力による資金提供(有償・無償)やプロジェクト 実施を直接的に指し、間接的には自国民間企業の現地進出のバックアップを指している。例えば モザンビークは、国家予算の約半分が各国や国際機関からの資金だと言われており、各国のさま ざまな思惑により既に多額の ODA が流れている現状が読み取れる。 国 ①Net ODA ②国家予算(歳入) (百万 USD) ①/② (百万 USD) モザンビーク 1,959 2,346 83.5% マラウィ 1,027 1,735 59.2% ザンビア 913 3,200 28.5% ジンバブエ 738 2,250 32.8% 2 図表 2-1 調査対象国における ODA と国家予算(歳入)の金額(2010 年) 一方の民間企業は、資源メジャーをはじめとする世界中の国の企業が南部アフリカ諸国に興味 を示しており、すでに多くの企業が参入を果たしている。特に、オーストラリア、南アフリカ、中国、 ブラジル(主に Vale)など主に資源大国と言われる国からの参入が目立つ。参入は、鉱山の採掘 権を入手するものもあれば、Vale のように鉱山開発だけでなく、政府のコンセッション方式に参加 し、鉄道や港の運営や管理、拡張などの事業に参入するより積極的なパターンも存在する。また、 カザフスタンを拠点とする ENRC のように、モザンビークにおいてマラウィを迂回しナカラ回廊へ延 2 出所:OECD、世界銀行のデータより PwC 作成 9 びる新たな物流の調査を開始した企業もあり、各社で現地での資源に向けた動きが活発化してい る。 日本の現地参入としては、JICA(国際協力機構)のモザンビークにおけるナカラ港及びナカラ回 廊の再開発のための調査が現地の政府関係者の間での知名度が高く、民間企業では、商社を通 した共同進出や資本提供ビジネスはあるものの、鉱山開発や鉱山関連のビジネスに直接的に関 与している企業やプロジェクトをほとんど聞くことができず、海外企業のような特定企業単独での 現地進出となると、現時点では皆無に等しい状況ではないかと思われる。ただしこれについては 2012 年 2 月、枝野経済産業相はモザンビークのビアス鉱物資源相と会談し、同国で石炭などの 資源開発で協力することを盛り込んだ覚書きを締結している。この会談で枝野経産相は採掘権の 付与を要請し、鉄道や港湾などのインフラの整備にも協力する意向を示し、また石炭のほか石 油・天然ガス、レアメタルの開発でも協力することでも一致した。今後、石油・天然ガス分野での日 本企業の進出や、レアメタルの有望な鉱区の探査などを後押しすることで合意し、官民合同で資 源開発を進めることを決めており、今後の展開が期待される。 いずれにしても、南部アフリカ諸国の資源をめぐっては、各国政府や民間企業は現地において さまざまな活動を通じて市場参入を果たしており、日本政府や日本企業の本格的な参入が待たれ ている状況にあると言ってよい。特に、モザンビークやマラウィの政府関係者との現地インタビュ ーでは、「なぜ日本企業はもっと参入してこないのか?」、「日本企業や政府関係者とはいつも話 をしているが、いつになったら参入するのか?」、「日本は他国と比較するとだいぶ出遅れている が大丈夫なのか?」などの声が聞かれ、日本がすでに他国と比較して出遅れていることを指摘す る声が多く聞こえている。 3. 日本の SWOT 分析 ここでは、日本の政府および民間企業を含めた主体の製品・サービス提供の SWOT 分析を現 地の声や調査で得られた知見をもとに行い、市場への参入可能性を探る。 Strength 強み インフラや環境技術、自動化(自働化)に関する高い 技術力と調査能力 Weakness 弱み 意思決定や手続きのスピード 政府と民間企業との連携 トヨタなどに代表される現地での圧倒的なブランド力 製品・サービスの価格(他国よりも高い) 対アフリカに対する政治的な中立性やこれまでの友 文化や言葉の壁によるコミュニケーション能力 好的な協力関係 10 Opportunity 機会 Threat 脅威 資源ナショナリズムの高揚 中国やインド、ブラジルなど、BRICS をはじめとする 技術革新によるレアメタルの重要性の増大 近年の為替相場(円高) 新興国の資源マーケットへの参入 世界各国の資源メジャーをはじめとする主要民間企 鉱山現場での労働争議の多発による新しいマネジメ 業の市場参入 市場の競争激化によるさまざまな権利やビジネス条 ントのあり方の要請 件の悪化(価格の高騰や条件のつり上げ) 図表 2-2 日本の SWOT 分析 【SWOT 分析から想定されるビジネスの前提】 今後もレアメタルの重要性は増すことはあっても減ることはなく、近年の円高傾向や、時として 外交問題の一部としても扱われるレアメタルの貿易問題による資源ナショナリズムの高揚は、一 刻も早いレアメタルのより健全かつ安定的なポートフォリオの構築の後押しする形となっている (Opportunity/機会)。 一方で、他国もレアメタルや資源の重要性に十分気づいており日々競争は激しくなっていること から、早い決断と市場参入が求められている。慎重になればなるほど、ライバルである新興国と 条件を比較されたり、さまざまな権利などが値上げされる可能性も高くなるため、参入が遅くなれ ばなるほど不利になる環境であるといえる(Threat/脅威)。 日本は特に自動車産業など製造業で培われたブランド力や、世界最先端の技術力でアフリカ に参入できる基礎は十分に持っており、また日本を政治的、歴史的な理由で歓迎しないアフリカ 諸国もないと言ってよく、基本的な参入の素地はすでに達成されていると言ってよい(Strength/強 み)。 しかしながら、他国や他国企業との競争に勝ち、資源を安定的に確保していくためには、意思 決定のスピードを上げ、こちらからの製品・サービスを競合に対して競争力のある価格で提供でき るか、あるいはよりよいファイナススキームを構築できるかどうか克服すべき課題となるだろう (Weakness/弱み)。 4. ビジネスプランの策定 ここでは、これまでの分析状況から、特に現地において必要とされるインフラや協力内容につい て、それらをパッケージ化して提供する場合の、パッケージの在り方について施策案として説明す る。これらの施策案は事前にパッケージ化されることで自国と相手国双方で可視化され、相手国 ニーズによりダイレクトに働きかけることはもちろんのこと、事前のパッケージ化により日本の欠点 と考えられている意思決定のスピードを上げられるなどのメリットを有する。日本はこうしたパッケ ージ(施策のパターン)を事前に複数準備しカタログ化し各国との交渉にあたることで、複数の国 と同時並行的に交渉を進めることができ、他国と比較した場合の相対的な時間的な出遅れ感を解 消できるなどメリットの多い方式であると考えられる。 11 (1) 施策案1: ロードエクステンション(道路拡張)パッケージ 南部アフリカ諸国においては、特に主要道路(地図で明確に道路と認識されている箇所)の道路 状況は悪くないところが多い。その一方で、一旦主要道路から外れた場合には、ほとんどの道が 舗装されておらず、採掘現場との往復に非常に時間と労力が必要となる。 ・ 主要道路から採掘現場までを結ぶレアメタルブリッジ ・ -道路は主に高架式を想定 ・ -インターチェンジを設置し近隣の物流にも使用対象国ニーズの分析 (2) 施策案2: 資源のハイバリュー化パッケージ 南部アフリカ諸国は、数多くのレアメタルに恵まれながら、電力不足や技術力不足のため、十 分な精錬が行われないまま輸出されている。より資源に付加価値を付け、さらに輸送効率を上げ るためには、採掘地域でのより高度な精錬施設の導入とそれを実現するための電力供給が不可 欠。 ・ レアメタル採掘現場付近への精錬施設と技術の提供 ・ 精錬施設維持のための発電施設の建設や送電網の確保競合の分析 (3) 施策案3: エコテクノロジーパッケージ アフリカ諸国では電力不足のため、今後数年間でいくつかの発電所建設や事前調査の実施が 予定されている。特に大きな電力需要には火力発電所を、それ以外では水力発電所の建設を視 野に入れている現地政府関係者が多い。 12 ・ 火力発電所において発生する有害ガス排出量の軽減技術 ・ 水力発電における、より大きな電力を生み出す技術 ・ 大規模河川でのダム建設等による洪水・かんばつの制御 (4) 施策案4: ICT ネットワークパッケージ 現代の鉄道や交通網の管理には、ネットワーク技術を利用した総合的な運用管理が必須であ るが、南部アフリカ諸国では、これらネットワーク技術について、資源不足や技術力不足、予算不 足などで実現できていない。また、これらの技術はソーラーなど自家発電機能を備えたシステムで あることが望ましい。 ・ 鉄道ネットワークへの無線システムの導入 ・ 車輌の位置確認システムの導入 ・ 線路の切り替えなどのオペレーションの自動化 (5) 施策案5: リハビリテーションパッケージ 現地の多くの鉄道網や道路網の耐用年数(20 年~25 年)を大幅に経過した設備が数多く見受 けられる。これらのリハビリテーション(買い換え、置き換え、機能拡張、修理・修繕)は、現地オペ レーションの効率化に大きく寄与するものと考えられる。 ・ 機関車・車輌の交換 ・ ワゴン・コンテナ・カーゴの交換の買い替え ・ 道路の舗装(資源運搬用により耐久性を持たせる) (6) 施策案6: サステナブルビジネスパッケージ 資源を輸出するためには、海外からの積極的な投資や技術支援、経済的な基盤の整備を進め なければならない。ただし、アフリカの場合には、投資を呼び込み、かつビジネスを安定的・継続 的に運営できる基盤が他の地域よりも弱いと思われる部分があり、この点の解決が急務となって 13 いる。 ・ 鉱業関係の行政手続きや許認可の透明性・客観性の確保 ・ 越境手続き(税関)の手続きの統一や手続きの整備 ・ 労働者の質の強化(職業訓練) (7) 施策案7: フィージビリティスタディパッケージ 資源を豊富に有する国では、既存の資源採掘だけでなく、新たな資源確保や流通のための事 前調査等に力を入れようとしている国も多い。しかし、予算不足や技術力不足により、政府単独で はできない、もしくは民間企業が調査を行っているケースも散見される。 ・ リモートセンシングなど先端技術の積極的活用 ・ 相手国資源の埋蔵量調査 ・ 資源輸送路についての調査 ・ 資源開発が与える現地経済・社会活動への影響調査 ・ エネルギーやレアメタルの専門家の派遣 14 第3章 調査報告 レアメタルと南部アフリカ諸国 1. 昨今、我が国において希尐資源であるレアメタルが製造業等の発展にとって不可欠なものとな っている一方で、調達については特定国への依存度が高く、またアフリカにおいてはほぼ南アフリ カのみに依存している(図表 3-1)。そこで安定的な資源調達のために調達先の多角化が求めら れており、その新たな対象国としてアフリカ諸国が注目されている。 中国 タングステン 98% ペルー 中国 亜鉛鉱 30% 南アフリカ フェロクロム 51% プラチナ 76% フェロバナジウム 44% インドネシア ニッケル鉱 56% チリ 銅鉱 41% モリブデン鉱 50% オーストラリア 鉛鉱 36% 鉱種 アフリカにおける主な輸入相手国と依存度 1位 2位 3~5 位のアフリカ国 クロム 南アフリカ 51.7% カザフスタン 27.7% ジンバブエ(5 位) マンガン 南アフリカ 40.0% 豪州 29.4% なし バナジウム 南アフリカ 47.4% 中国 29.8% なし プラチナ 南アフリカ 76.2% スイス 9.9% なし パラジウム 南アフリカ 58.5% ロシア 25.5% なし チタン 南アフリカ 27.5% インド 15.5% なし ジルコニウム 豪州 58.7% 南アフリカ 21.4% 図表 3-1 レアメタルの主な輸入先 2.2% なし 3 次項に述べるとおり、今回調査対象となっている南部アフリカ諸国においては、多様なレアメタ ルのポテンシャルが存在するが、一方でボトルネックとなっているのが、輸送インフラの未整備で ある。図表 3-2 に示す通り、サブサハラ地域は、他の地域と比較しても、交通インフラ整備に大き く後れを取っている。 3 出所:JOGMEC ホームページ 15 図表 3-2 道路・鉄道インフラの地域別比較4 そのため、より効率的にレアメタルの探索、採掘、輸送を推し進めるためには、交通インフラの 整備がより重要となる。南部アフリカにおいては、交通網を表す言葉として、「回廊(Corridor)」とい う言葉が使われている(図表 3-3 参照)。回廊は基本的に海への出口につながっており、内陸国も 多い南部アフリカ諸国においては、国境を越えたこの回廊および回廊につながる交通網の整備 が、インフラの整備において非常に重要となっている。そのため、この回廊に着目しながら、交通 インフラの状況を調査分析していく必要がある。 図表 3-3 アフリカ南部の主要回廊5 4 出所:JICA The Research on the Cross‐Border Transport Infrastructure: Phase 3 16 特に、本調査で対象となるモザンビーク、マラウィ、ザンビア、ジンバブエの 4 カ国において注目 されるのが、モザンビーク北部に位置するナカラ回廊である。後に詳述する通り、ナカラ回廊の起 点となるナカラ港は、水深が深く大型船の利用にも適しており、マラウィ、ザンビア等の内陸国の、 資源輸出における出口として、現在も利用されているほか、今後の資源輸出の拡大においてさら に大きな役割を果たすことを期待されている。 本報告書においては、このナカラ回廊を中心に、南部アフリカ諸国の交通インフラ、および電力 などの現状および将来計画を分析し、資源確保のために日本に取りうる施策について検討を行 う。 2. レアメタルと、今後の主要回廊の考え方 (1) 南部アフリカ諸国のレアメタル産出状況 アフリカ南部は多くの天然資源を保有しており、今回の調査対象となる 4 カ国のうちでも、モザ ンビークはアルミニウム、ベリリウム、タンタリウム、チタニウム、等の世界有数の産出国である (図表 3-5、図表 3-6、図表 3-7)。ザンビアは、コバルト埋蔵量が世界第 4 位(図表 3-8)、銅の産 出量も多い。ジンバブエはリチウム、白金族、バーミキュライトの有数の生産国である(図表 3-9)。 マラウィは、現在の産出量において、世界のランキングに登場しているものはないものの、レアア ースの埋蔵量に期待されているほか、後述する通り、多くのレアメタルが探索状態である。マラウ ィ以外の 3 カ国も、現在産出が始まっているものだけでなく、探索中の鉱山も多く、今後更なるレア メタル開発が期待できる。 しかしながら、日本のこれらの国からの輸入量は多くない。今後のレアメタルのニーズの拡大を 鑑みると、日本においても早期の段階から、探索、産出に関与することが、今後の日本の資源政 策においても重要な鍵となると言える。 5 出所:在ザンビア日本大使館ホームページ 17 図表 3-4 調査対象国における鉱物資源6 (tons) 200 主な産出国におけるベリリウム生産量(2010) 170 150 100 50 20 2 0 United States China 図表 3-5 主な産出国におけるベリリウム生産量 6 7 Mozambique 7 出所:外務省パンフレット「日本とアフリカ-希望と機会の大陸を目指して」 出所:US Georgical Survey 「Mineral Commodity Summary 2011」 18 主な産出国におけるタンタル埋蔵量(2010) (tons) 80,000 65,000 60,000 40,000 40,000 20,000 3,200 0 Australia Brazil Mozambique 図表 3-6 主な産出国におけるタンタル埋蔵量 8 主な産出国におけるチタン埋蔵量(2010) (tons) 250,000 200,000 200,000 150,000 100,000 85,000 100,000 63,000 43,000 50,000 40,000 31,000 37,000 16,000 2,000 0 図表 3-7 主な産出国におけるチタン埋蔵量 8 9 9 出所:US Georgical Survey 「Mineral Commodity Summary 2011」 出所:US Georgical Survey 「Mineral Commodity Summary 2011」 19 5,900 (tons) 4,000,000 3,500,000 3,000,000 2,500,000 2,000,000 1,500,000 1,000,000 500,000 0 主な産出国におけるコバルト埋蔵量(2010) 3,400,000 1,400,000 500,000 33,000 89,000 150,000 80,000 20,000 370,000 250,000 270,000 10 図表 3-8 主な産出国におけるコバルト埋蔵量 (tons) 70,000,000 60,000,000 50,000,000 40,000,000 30,000,000 20,000,000 10,000,000 0 主な産出国における白金族埋蔵量(2010) 63,000,000 900,000 310,000 US Canada 1,100,000 Colombia Russia 図表 3-9 主な産出国における白金族埋蔵量 (2) 各国の鉱山開発について ① モザンビーク South Africa Zimbabwe 11 モザンビークの主な鉱業生産物は、前述のとおり、アルミニウム、イルメナイト、タンタル、ジル コン等である。また、エネルギー資源として石炭及び天然ガスが産出される。 モザンビークは 2008 年時点では全産業に占める鉱業のシェアは 1.6%しかない。1 位は、農業 27.4%、2 位は製造(アルミ地金製錬を含む)14.5%、3 位は金融サービス 11.1%、4 位は運輸通信 10.7%である。 しかし、今後のポテンシャルが期待できる探鉱案件があり、鉱業は今後さらに盛んになっていく 10 11 出所:US Georgical Survey 「Mineral Commodity Summary 2011」 出所:US Georgical Survey 「Mineral Commodity Summary 2011」 20 と考えられる。 例えば、モザンビークは南アフリカに次いでアフリカ第 2 位のアルミ生産国である。豪州からの アルミナを原料とし、BHP Billiton が 47%、三菱商事が 25%の権益を所有する Mozal アルミ製錬 所において生産を行っている。2010 年のアルミ生産量は、前年 55.1 万 t から 56.1 万 t へと増加 した。チタンも生産拡大を進めている。2007 年に生産を開始した Moma チタン鉱山は生産を拡大 しているところであるが、2010 年 11 月に沈殿池の堤防が決壊し、近隣の村に被害をもたらした。 同鉱山はこの事故の結果、約 1 ヶ月の操業停止となった。北西部の Tete 州にはアフリカ最大とも 言われる石炭資源が賦存している。12 モザンビークの主要鉱山の位置を、図表 3-10 に示す。 鉱山名 Moma 鉱山 権益所有企業(%) 鉱種 Nortrust Nominees Ltd.(16.42), State チタン(千 t) 生産量 備考 678.4 生産量:2010 年 25 生産量:2010 年 Street Nominees Ltd. BV(6.45), HSBC Global Custody Nominee(UK) Ltd.(4.93), Nedar Landes Financierings -FMO(4.71), その他(67.49) Muiane 鉱山 12 タンタル(t) Pacific Wildcat Resources(100.00) 出所:JOGMEC 鉱業の趨勢(2011) 21 Marropin 鉱山 タンタル(t) Novebta Ltd.(100.00) 13 生産量:2010 年 (限定的操業) 図表 3-10 モザンビークの主要鉱山 ② 13 マラウィ マラウィは 2000 年代前半まで農業主体の経済であったが、2004 年に就任したムタリカ大統領 は「マラウィ成長開発戦略(Malawi Growth and Development Strategy, MGDS)」を策定し、葉た ばこに取って代わる新たな外貨獲得源として、鉱業セクター、観光セクター、製造業セクターを掲 げた。鉱業セクターはそれまで GDP の 1%程度に過ぎず、これを 2011 年までに 10%にまで引き 上げることを目標とした。鉱業法改正など鉱業セクター拡大のための政策を積極的に進めている ものの、GDP 自体が急速に成長していることもあり、2011 年現在、鉱業セクターが GDP に占める 割合はいまだ 2%にとどまっている。14 鉱業生産高はおよそ 710 万 US ドル相当で、輸出はその 10%強にすぎない。マラウィの鉱業生 産は従来、瀝青炭。貴石、石灰石、建設用骨材が大半で、そのうち主に輸出用に生産されるのは 貴石のみであった。工業生産に従事する企業の数も 20 社程度に限られ、工業用鉱物の採掘ライ センスもいくつか交付されているが、操業企業は生産持続が困難と考えられている。最も進んで いるのは、Kayelekera ウラン鉱山(2009 年初頭に生産開始)である。同プロジェクト立ち上げの資 本支出は 2 億 US ドル余りで継続的な計画生産と長期契約価格が維持できたことで、年間売上高 は 1 億 5000 万 US ドル以上にのぼる予定である。生産された酸化ウランはすべて輸出されるた め、鉱業セクターは初めて、交換可能通貨の獲得と外貨準備創出に大きく貢献することになる予 定である(2007 年の輸出総額は 7 億 5000 万 US ドル)。15 マラウィの主要な鉱山の位置を、図表 3-11 に示す。 13 14 15 出所:JOGMEC 鉱業の趨勢(2011) 出所:JOGMEC 鉱業の趨勢(2011) 出所:JOGMEC 投資環境調査(2010) 22 鉱山名 権益所有企業(%) 鉱種 Kayelekera 鉱山 Paladin Energy Ltd.(85) ウラン 生産量 備考 2010 年生産量(U308 換算) 437t マラウィ政府(15) 図表 3-11 マラウィの主要な鉱山 16 【現地視察】 本調査では Songwe Hill において Mkango Resources Ltd.による試掘現場の訪問を行った。 訪問した現場はまだ調査段階のものであり、様々なサンプルが並べられていた。管理者によると ここはレアアースのポテンシャルが高く、試掘した結果によると深さ 350m までの TREO(total rare earth oxides)が 5%~6%、15m 地点では 11%であった。鉱物の種類としては、ジスプロシウム、 ユウロピウム、テルビウム、ニオビウム、マンガンがある。 16 出所:JOGMEC 鉱業の趨勢(2011) 23 このサンプルは大体 2 日分にあたり、サンプルの検査自体は設備的にマラウィでは 困難なため、イギリスやカナダの調査部門に空輸するとのこと 山肌を削り取って作られたサンプル採取用の採掘現場で、非常に急な傾斜がいたるところに ある。他にもサンプルを取りたい箇所があるとのことであったが、場所によって重機などを設置 できず、苦労しているとのこと 掘削は 12 時間シフトで 24 時間、最深 350m まで行っている。 関連インフラに関しては現状ではディーゼル発電機による電力を利用しており国の送電網への 接続が望まれるとともに、また現在建設中である舗装幹線道路までの道路はアップグレードが 必要な状況である。 24 サンプルを採取している様子 サンプル採取後の現場 Mkango Resources Ltd.では Nkholonje、Patoponi、Palone hills においてさらなる調査を計画 している(独占的試掘ライセンス(EPL)は 1,283 km2)が、ライセンス獲得にあたって大きな問題は 生じておらず、政府の手続は比較的透明性が高いとのことであった。唯一の不満として最近権益 料が大きく引き上げられた点が挙げられたが、この地域における常識的な範囲内として許容され ている。 ③ ザンビア ザンビアの銅鉱業は、同国鉱業における中心的な役割を果たしている。また、コバルトの生産 は、全世界の生産量の 4.8%(2010 年見込み)を占めている。2009 年の同国の GDP に占める鉱 業の割合は約 8.9%と前年 8.2%に比べ拡大している。これは、リーマンショック以後の銅価下落 からの回復を受け、生産を拡大したためである。2008 年のコバルトと銅地金の輸出額は 33 億 US ドルと同国の輸出総額の 74%を占めており、同国の外貨収入もこれら鉱業産品の輸出に依 存している。2008 年 4 月の改正鉱業法では、銅価が高騰している状況下で各種税制の変更(ロイ ヤリティ率の変更(0.6→3%)、法人税率の改正(25→30%)、最大 75%の超過利得税)がなされた が、その後 2008 年後半からの世界的な景気後退により、ザンビアにおける銅生産企業の多くは 資金繰りに窮し、生産の一時停止や休止に追い込まれた。ザンビア最大のコバルト生産を誇った Chambishi コバルト精錬所が休止、Nkana 銅鉱山及び Mufulira 銅鉱山の閉鎖が決定するなど鉱 業をめぐる状況は悪化した。17 17 出所:JOGMEC 鉱業の趨勢(2011) 25 ザンビアの主要な鉱山を、図表 3-12 に示す。 図表 3-12 ザンビアの主要な鉱山 鉱山名 Chambishi 鉱山 鉱種 生産量(千 t) 権益所有企業(権益:%) 銅、コバ 8.0 China Nonferrous Metals Group(中国有色鉱業集団有 ルト 2.6 限公司)(85),Zambia Cnsoildated Copper Mines Ltd (ZCCM)(15) Chibulma South 鉱山 銅 17.1 Metorex Ltd.(85) ZCCM(15) Kansashi 鉱山 銅、金 Bwana Mkubwa 銅鉱山 銅 7.4 First Quantum Minerals Ltd(100) Konkokla 鉱山 銅 78.9 Konkola Copper Mines plc(100) Nchanga 鉱山 銅 - 234.9 First Quantim Minerals Ltd(80) 3.4(t) ZCCM(20) <内訳> Vedanta Resources plc(79.4) ZCCM(20.6) Luanchya Division 鉱山 銅 24.0 Luanshya Copper Mines Plc(100) <内訳> China Nonferrous Metal Mining Corp(80) ザンビア政府(20) 26 Lumwana 鉱山 銅 146.7 Equinox Minerals Ltd(100) Mufulira 鉱山 銅、コバ 197.4 Mopani Copper Mines(100) Nkana 鉱山 ルト 1.1 <内訳> Glencore International AG(73.1) First Quantum Minerals Ltd(16.9) ZCCM(10) Muanali 鉱山 ニ ッ ケ 2.8 ル 、 白 0.2(t) 金 Albidon Ltd(100) <内訳> Jinchuan Group Ltd(50.4) African Lion Ltd(8.9) その他(40.7) 図表 3-13 主な鉱山と権益所有企業18 ④ ジンバブエ ジンバブエは金、石綿、クロム、石炭、ベースメタル等、様々な鉱物が存在する。 国土の北東から南西に数百 km 広がる Great Dyke と呼ばれる地域には、ニッケル、銅などの 鉱物以外に白金も含まれた合計約 4,500 百万 t の資源量が期待されている。BHP が 67%のシ ェアを有していた Hartley 白金鉱山(Harare の西 80km に位置)は、不安定な地質条件、設備や 労働投資の問題から 1999 年 6 月、BHP は Hartley と Mhondoro プロジェクトを Zimplats 社 に売却。売却された資産から Ngezi/SMC プロジェクトが生まれた。Ngezi 鉱山は 2002 年 1 月 に操業を開始。現在の白金類の生産は年間 9 万オンスとなっている。Zimplats 社は、20 万オ ンスの白金類の生産を見込む同鉱山の坑内採掘調査を 2003 年に実施。坑内部分も含めた同 鉱山全体の確認埋蔵量は、白金 240 万オンス、パラジウム 200 万オンスと発表されている。19 ジンバブエの主要な鉱山の位置を図表 3-14 に示す。 18 19 出所:JOGMEC 鉱業の趨勢(2011) 出所:JOGMEC 資源開発環境調査(2005) 27 図表 3-14 ジンバブエの主要な鉱山 (3) 各国の開発計画 ① モザンビーク 国営鉱山会社の設立が予定されており、ウラン・石炭・石灰石などの戦略的鉱種については、 政府が権益取得することが検討されている。2011 年中には見直しが完了する見込みである20 ステージ プロジェクト名 鉱種 所有企業(権益:%) 開発段階 Marropino タンタル Noventa Ltd. (100) F/S 段階 Manica 金 Pan African Resources plc.(100) 試錐探鉱段階 Mundoguara 銅、金、銀 Baobab Resources plc.(100) Niassa 金、チタン - Tete 鉄鉱石、チタン、バナ Baobab Resources plc.(85), International ジウム、マンガン Finance Corp.(15) 金 Noise Media Inc.(50), Head4 Solutions 物理探索段階 Chadzuca Inc.(50), Viceroy Exploration Ltd.(1.50) Evate リン鉱 Vale SA(100) Mavita ニッケル AXMIN Inc.(100) Mavuzi ウラン Jacana Resources Ltd.(80), North River Resources plc.(20) Mount Muambe 20 ランタン Globe Metals and Mining Ltd.(100) 出所:JOGMEC 鉱業の趨勢(2011) 28 初期探鉱段階 King Solomon 銅、金、銀 African Queen Mines Ltd.(100) Mimosa 金 ABM Resources NL(76.33), Local interest(23.67) Tulo Zambeji Valley 金 Gold One International Ltd.(100) ウラン、銅、金 ARMZ Uranium Holding Co.(100) 図表 3-15 モザンビークの主要な探鉱プロジェクト ② 21 マラウィ 2009 年より、世銀はマラウィの持続的経済成長に向け、鉱業セクターを経済の牽引役とすべく、 鉱業におけるガバナンスの向上、許認可手続きの効率化、環境社会配慮の適正化のためのレビ ューを実施した。このレビューでは、Kayelekera ウラン鉱山等の大型開発案件に係る許認可手続 きを適正に行うため、2009 年までに新鉱業法の制定、2012 年までに新鉱業法の実際的運用と 鉱業行政能力の向上を完了させる予定であった。しかしながら、新鉱業法はいまだ内閣で審議さ れているところであり、国会への提出は 2011 年 9 月以降、法案成立は早くても 2012 年初頭と見 込まれている。22 マラウィの主要な探鉱プロジェクトを図表 3-16 に示す。 ステージ F/S 段階 プロジェクト名 鉱種 ニオブ、ウラン、タンタ Kanyika 所有企業(権益:%) Globe Metals and Mining Ltd.(100) ル、ジルコニウム 試錐探鉱段階 Kangankunde ランタン Lynas Corp Ltd.(100) Livingstonia ウラン Resource Star Ltd.(80) Songwe Hill ランタン Mkango Resources Ltd. (100) Machinga ランタン, ニオブ, タン Globe Metals and Mining Ltd.(80) タル, ウラン, ジルコ Resource Star Ltd. (20) Globe Metals and Mining Ltd.(20) 物理探査段階 ニウム 初期探鉱段階 Ilomba Hill ウラン、ニオブ Resource Star Ltd.(90) Nyalihanga Enterprises Ltd.(10) 図表 3-16 マラウィの主要な探鉱プロジェクト ③ 23 ザンビア 鉱山・鉱業開発法(Mines and Minerals Development Act,2008)が 2008 年 4 月 3 日に制定、 2009 年 4 月 1 日に施行された。主な変更点は以下のとおり。 21 22 23 出所:JOGMEC 鉱業の趨勢(2011) 出所:JOGMEC 鉱業の趨勢(2011) 出所:JOGMEC 鉱業の趨勢(2011) 29 ①探鉱権の有効期間の明確化(探鉱面積により大規模または小規模に区分) ②探鉱権及び採掘権の鉱区面積の制限(探鉱面積により大規模または小規模に区分) ザンビアの主要な探鉱プロジェクトを図表 3-17 に示す。 ステージ 開発段階 プロジェクト名 鉱種 所有企業(権益:%) Hebei Jidong 銅、金 Hebei Jidong Construction Co Ltd(-) Kabwe 亜鉛、鉛、バナジウ Alberg Mining and Exploration plc(100) ム、銅、銀、マンガン Konkola Deep 銅、コバルト Vedanta Resources plc(79.4), Zambia Consolidated Copper Mines Ltd(20.6) Konkola North 銅、コバルト Teal Exploration and Mining Inc(80), Zambia Consolidated Copper Mines Ltd(20) Muliashi North 銅、コバルト China Non-ferrous Metal International Mining(85), ザンビア政府(15) Mushiba 銅 China Non-Ferrous Metal International Mining(85), ザンビア政府 (15) F/S 段階 Chirundu ウラン African Energy Resources(Guernsey) Ltd(100) Kabwe Tailings 鉛、亜鉛、バナジウ Berkeley Mineral Resources plc(100) ム、銅、マンガン、銀 Mkushi 銅 Ratel Group Ltd(51), African Eagle Resources plc(49) 試錐探鉱段階 Mutanga ウラン Denison Mines Corp(100) Mwambashi 銅、コバルト Teal Exploration and Mining Inc(100) Cheowa-Neningombe 銅、金、銀 Zambezi Resources Ltd(49), Glencore Chingola Dumps 銅 Zambezi Resources Ltd(100) Chongwe 銅、金 Zambezi Resources Ltd(49), Glencore International AG(51) International AG(51) Eagle Eye 銅、金 African Eagle Resources plc(100) Fishtie 銅 First Quantum Minerals Ltd(-) Kadola West 銅、コバルト、金 Caledonia Mining Corp(-) Kangaluwi 銅、金 Zambezi Resources Ltd(100) Luanshya 銅、コバルト Unnamed owner(100) Luiri Hill 金、銅 Luiri Gold Ltd(100) Lumwana Uranium ウラン、銅 Barrick Gold Corp(100) Mokambo 銅 North Western Plant Hire Ltd(100) Mokambo South 銅 African Eagle Resources plc(100) Mufulira Tailings 銅 China Nonferrous Metals Group, Zambia Consolidated Copper Mines Ltd Mufumbwe 銅 Earthstone Group, M/S Aupie Agro Foam Ltd 30 Mumbwa 銅、金,、ウラン Blackthorn Resources Ltd(100) Nama コバルト、銅、金、ニ Caledonia Mining Corp(100) ッケル Ndola 銅 African Eagle Resources plc(100) Rephidim 銅 Rephidim Enterprises Ltd(100) Sebembere 銅 Local Interest(100) Trident 銅、コバルト、ニッケ First Quantum Minerals Ltd(100) ル、ウラン 物理探査段階 金 Iron Cap Challenger Development Corp(70), Local Interest(30) Kawako ニッケル First Quantum Minerals Ltd(100) Kawanga ウラン First Quantum Minerals Ltd(100) Nyimba 亜鉛、銅、銀 Mukuba Resources Ltd(85), Lukusashi Zambezi 銅 Equinox Minerals Ltd(100) Zambian Copperbelt 銅、コバルト Korea Zinc Co Ltd(30), African Rainbow Mpande ウラン Zambezi Resources Ltd (100) Mulofwe Dome ウラン Zambezi Resources Ltd (100) Mwinilunga 銅、コバルト First Quantum Minerals Ltd (-),BHP Mining Ltd(15) Minerals Ltd(70) 初期探鉱段階 Billiton Group (-) Nambala 鉄 Luiri Gold Ltd (100) 図表 3-17 ザンビアの主要な探鉱プロジェクト ④ 24 ジンバブエ ジンバブエの鉱業政策は、国の鉱物資源の持続的な開発を行ない、雇用の機会を作り出すこ とにある。特に優先度をもたせた鉱種はない。開発における環境問題は、プロジェクトの開始時期 および開発の段階において義務付けられている。25 Rio Tinto Zimbabwe 社は、Patchway 鉱山、Renco 鉱山からの金生産で 2003 年 814kg を生産。2002 年の 1,182kg と比較して大幅に減尐した。また、Empress 精錬所からの 2003 年 のニッケル生産は、2002 年から 3.3%尐ない 6,198t であった。予測できない為替レートの問題 が影響している。Anglo American 社は、2003 年 4 月に Bindura Nickel 社を Mwana African Holding 社(本社南ア)に 8 百万 US ドルで売却。この売却は、グループの継続的なリストラの一 環で、大規模で低コストの鉱業活動に集中するためのものと説明している。26 24 25 26 出所:JOGMEC 鉱業の趨勢(2011) 出所:JOGMEC 資源開発環境調査(2005) 出所:JOGMEC 資源開発環境調査(2005) 31 海外企業の参画状況 (4) 前項にて一部記載したとおり、既に、南アフリカ、ブラジル、オーストラリアなどの資源メジャー が、対象 4 カ国において、多数のプロジェクトを行っている(図表 3-18)。 資源メジャー Anglo American 資源メジャー国名 南アフリカ、イギリ 探索国名 鉱山名 鉱物 ジンバブエ 権益% ステータス ニッケル、クロム ス 南アフリカ ザンビア ガーナ ジンバブエ BHP Billiton 南アフリカ モザンビーク ジブト重砂鉱床 ミネラルサンド ENRC カザフスタン ザンビア Chambishi コバルト精錬所 ENRC カザフスタン ザンビア Konkola North 銅カソード、コバルト地銀 Equinox オーストラリア ザンビア Lumwana 銅 Falconbridge ジンバブエ ジンバブエ Globe Metals & オーストラリア モザンビーク オーストラリア マラウィ Livingstonia ウラン 20% オーストラリア マラウィ Machinga レアアース 80% Arfican Reinbow Konkola North 銅カソード、コバルト地銀 Mineral Ashanti Gold 金 Fields Mining Globe Metals & 90% 動きなし 金 リン鉱石 Mount 最大 90% 2010 年 6 月よりボーリング 開始 Muanbe Mining Globe Metals & Globe Metals & オーストラリア マラウィ Salambidwe レアアース オーストラリア マラウィ Kanyika タンタル オーストラリア マラウィ Belele Dambl ウラン、ニオブ、タンタル、 オーストラリア マラウィ Kanyika 100% 2010 年 3~4 月より地質調 査開始 Mining Globe Metals & 2010 年 8 月よりボーリング 開始 Mining 75% Mining Globe Metals & 探鉱開始 ジルコニウム等 Mining Globe Metals & 100% 黒雲母片麻岩、花崗岩質 100% 片麻岩、カルクケイ酸塩片 Mining 麻岩 オーストラリア マラウィ Livingstonia ウラン オーストラリア マラウィ Machinga ウラン オーストラリア マラウィ Nthalire ウラン 100% アイルランド モザンビーク Moma レアアース 100% Leominex イギリス マラウィ Songwe レアアース 100% Lisungwe イギリス マラウィ Chimimbe Hill ニッケル 100% 予備分析評価中 Lynas オーストラリア マラウィ Kangankunde ランタン 100% 開発中 Globe Metals & 100% Mining Globe Metals & Mining Globe Metals & Mining Kenmare 生産開始 Resources 32 Lynas オーストラリア マラウィ Kangankunde レアアース 100% Noventa イギリス モザンビーク ザンベジア州 タンタル 100% Optichem マラウィ マラウィ Tundulu リン鉱石 100% Resource Star オーストラリア マラウィ Livingstonia ウラン 80% Resource Star オーストラリア マラウィ Machinga レアアース 20% 生産開始 2010 年 8 月よりボーリング 開始 Resource Star オーストラリア マラウィ Machinga ウラン Resource Star Ltd オーストラリア マラウィ Chinheche ウラン、ニオブ、ニッケル、 Rio Tinto イギリス、オースト ジンバブエ 100% タンタル、希尐土類 ニッケル、金 ラリア Riversdale オーストラリア モザンビーク Benga 石炭 Rockover 南アフリカ モザンビーク カーボデルガド ニッケル Sihayo Gold オーストラリア マラウィ Chinzani ウラン 100% Sihayo Gold オーストラリア マラウィ Chitunde ウラン、ニオブ 100% Teta インド モザンビーク Benga 石炭 35% Thuthuka 南アフリカ マラウィ Kanyika タンタル 25% Turner & Newall イギリス ジンバブエ Vale ブラジル モザンビーク Moatize 石炭 100% 生産開始 Vale ブラジル モザンビーク Xixano ニッケル 100% 2010 年 10 月より JOGMEC 65% 進行中 ボーリング探鉱中 州 進行中 アスベスト との JV 開始 Vale ブラジル モザンビーク Evate リン鉱石 Vale ブラジル ザンビア Konkola North 銅カソード、コバルト地銀 Zimplats 南アフリカ ジンバブエ Mimosa 白銀 南アフリカ開発公社 南アフリカ モザンビーク ジブト重砂鉱床 ミネラルサンド 100% 10% 2014 年より生産開始 動きなし 図表 3-18 資源メジャーの南部アフリカ諸国プロジェクト参入状況 また、特にザンビアは中国との関係が強く、多くの中国企業が進出している(図表 3-19)。 ステージ 生産中 開発段階 プロジェクト名 鉱種 所有企業(権益:%) Chambishi コバルト,銅 中国有色鉱業集団有限公司(85),ZCCM(15) Chambishi West 銅,コバルト 中国有色鉱業集団有限公司(85),ZCCM(15) Munal ニッケル,銅,コ Albidon Ltd.(100) バルト 金川集団有限公司が株式 50.42%を保有 Luanshya Division 銅,コバルト 中国有色鉱業集団有限公司(80),ザンビア政府(20) Hebei Jidong 銅,金 Hebei Jidong Construction Co Ltd Muliashi North 銅,コバルト 中国有色鉱業集団有限公司(85), ザンビア政府 Mushiba 銅 (15) 中国有色鉱業集団有限公司(85), ザンビア政府 (15) 33 F/S 段階 Mufulira Tailings 銅 中国有色鉱業集団有限公司,ZCCM Ichimpe 銅,コバルト Zhonghui Mining 図表 3-19 ザンビアにおける中国企業の主なプロジェクト (5) 主要回廊の在り方 ① モザンビーク、マラウィ 27 モザンビークはアフリカ東岸の地理的に恵まれた場所に位置しており、他国を経由せずに自国 の港からの輸出が可能である。モザンビークの主要鉱山は北側に多く位置することから、特にナ カラ港、ベイラ港の利用が主に期待される。 しかしながら、後に詳述する通り、ベイラ港は自然環境上の要因により定期的な浚渫が必要で あり、今後更なる生産量の拡大が期待される鉱物の運搬には限界がある。そのため、最も期待さ れているのがナカラ港であり、ナカラ港までの交通インフラとなるナカラ回廊の整備、およびナカラ 港自体のインフラの改善が今後重要となる(図表 3-20)。 モザンビークの北西に位置するマラウィは内陸国であり、鉱物資源輸出の際には同じくナカラ 回廊経由が最も効率的な運搬路となる。マラウィ国内の鉱山からモザンビークまでの交通につい ては後に詳述するが、モザンビークの交通路との接続が、鉱物資源輸出の際のポイントの 1 つと なる。 図表 3-20 モザンビーク、マラウィの主要な回廊 27 出所:JOGMEC 鉱業の趨勢(2011) 34 ② ザンビア アフリカの東西のほぼ中央部に位置するザンビアは、首都ルサカで、ロビト回廊、ナカラ回廊、 南北回廊が交差しており、それぞれ DRC、アンゴラを経てナミビアのロビト港、マラウィを経てモザ ンビークのナカラ港、ジンバブエを経て南アフリカのダーバン港へと接続している。また、ダルエス サラーム回廊経由で、タンザニアのダルエスサラーム港にもアクセスがある(図表 3-21)。 ザンビアからの銅輸送は、多くの場合、鉄道輸送能力の限界により、このダルエスサラーム回 廊の道路を利用している。28前項で述べたナカラ回廊の開発が進めば、マラウィを経て、ナカラ回 廊からの輸出の道が開けると考えられる。 図表 3-21 ザンビアの主要な回廊 28 出所:JICA「南アフリカ成長ベルト広域協力プログラム準備調査」 35 ③ ジンバブエ ジンバブエは、モザンビークのベイラ回廊、ナカラ回廊、およびアフリカを南北に縦断する南北 回廊につながっている(図表 3-22)。 図表 3-22 ジンバブエの主要な回廊 36 (6) 現在の開発状況~ナカラ回廊の状況 ① ナカラ回廊の位置 ナカラ回廊は、モザンビークの the Corredor de Desenvolvimento do Norte (“CDN”)とマラウ ィの Central East African Railways (“CEAR”)の路線が統合されたものである。CDN はアフリカ 東岸のナカラ港(モザンビーク島と Pemba の間)、およびモザンビークの Northern Railway を運営 している。Nothern Railway は trackage 42 miles (873 km)で、インド洋に面したナカラ港から、マ ラウィ国境を結んでおり、マラウィへの唯一の鉄道網となっている。CEAR はマラウィの鉄道シス テムで、全長 495 miles (797 km)、Blantyre や Lilongwe などマラウィの主要都市とモザンビーク の Northern Railway を結んでいる(図表 3-23)。 29 図表 3-23 ナカラ回廊の地図 ② 開発の歴史 (ア) 鉄道の歴史 【マラウィ側】 1970 年 7 月、Banda 首相はマラウィの主な開発プロジェクト~Nkaya ジャンクションからマラウ ィ モザンビーク国境までの 101km の鉄道~をスタートした。この路線はマラウィの鉄道システム を、ナカラから、Nova Freixo (Cuamba)を通って Vila Cabral (Lichinga)につなぐものである。ナカ 29 出所:Railroad Development Corporation (www.rrdc.com) 37 ラ回廊のモザンビーク部分は、Nova Freixo から東西に延び、1969 年に完成している。鉄道の運 営は 1970 年に開始した。 5.4 百万 GBP のコストを投資したこのプロジェクトは、the Industrial Development Corporation of South Africa からの長期低金利によってまかなわれていた。新しい全車両(210 ワゴンと 3 つ の機関車)は、さらに 981,000 ポンドかかった。建設は 1968 年 5 月 17 日に開始し、RiviRivi と Shire rivers を渡る主要な橋を含む 22 の橋を含んでいる。 新しい回廊が開発されるまで、ベイラ回廊はマラウィの主な港へのルートであった。しかし、ベイ ラ回廊は理想的なものとは程遠い状態であった。海岸に直接行くことができる道路はなく、鉄道か らも途絶され、交通の混乱の原因となっていた。 Blantyre からナカラまでの距離は 771 km、ベイラまでは 565km である。距離の点でいえば、 ナ カ ラ 港か ら のル ート はマラウ ィ の 輸 出 入に 対 して経 済 的 に 良い位 置 では ない。しか し、 rate/kilometer ベースでいえば、ナカラ港からのルートが有利である、なぜならベイラ港からのル ートは橋の料金がかかる上、Chiromo と Limbe-Blantyre の間が険しい急斜面となっているから である。ナカラの他の有利な点として、ナカラ港は水深が深く、浚渫なしで大型船に適しているとい う点もある。 マラウィの既存の路線を集約する他の動きとして、Salima から新首都 Lilongwe までの新しい 路線が建設された。全長 111km で、農業が盛んな内陸に続いている。この路線は 1979 年に開通 した。その後、ザンビア国境に近い Mchinji まで、さらに 103km が延長された。 【モザンビーク側】 1977 年から 1992 年までのモザンビークの内戦の結果、モザンビークの鉄道は大きく制限され た。いくつかの路線は戦争で破壊された。例えば、ナカラ線は、1984 年に鉄道爆破によってザン ベジ川にかかる橋が深刻にダメージを受けたため閉鎖されていた。 ナカラ回廊の修復のプランは 2000 年ごろ開始された。現在、モザンビーク、マラウィ、ザンビア の 3 政府が関与して、投資家や開発機関から出資を受け、路線の復旧を行っている。 北 部 の ナ カ ラ —Cuamba 線 は 、 1990 年 代 に 、 US の Overseas Private Investment Corporation (OPIC)の援助によって再建された。2005 年 1 月より、ナカラ回廊のモザンビーク部 分は、CDN による 15 年のコンセッション契約で運営されている。2005 年末に、Cuamba –Entre Lagos の間の 77km の建設が始まったばかりである。この修復も OPIC のファイナンスによって行 われているが、この区間は Nacala–Cuamba の基準に達するまでの修復を行うためには追加投 資が必要となっている。 2010 年、ザンビアはナカラ回廊のザンビア部分の、Mchinji-Chipata 間を完成させ、マラウィに ザンビアへの鉄道を通じて輸出を行う機会を与えた。 最近、CDN は既存の路線の修復を開始するとともに、既存の路線を補完する新路線の建設に 着手し、Moatize 鉱山の石炭生産の外へのフローを助けるとともに、内陸国マラウィとナカラ回廊 38 をつなげて、マラウィの商品の輸出を行って経済的に発展することに役立てている。 (イ) 港の歴史 1930 年代はナカラにある港はポルトガル当局にのみ認知されてきた。なぜなら、モザンビーク 島の港が、多くの交通の流入に耐えられなかったからである。Fernão Veloso 湾は、他の港や鉄 道駅より、自然条件的に恵まれている。そういった意味で、1937 年、ポルトガルはナカラを既存の Monapo 線とつなげる新路線の建設と、ナカラ港の建設のスタディを開始した。 そのプランを実現する当初のアクションは、バージ(はしけ)を引き寄せる小さなドックと、2 つの 大きな倉庫と、機械保存場所、作業場、液体燃料の保存場所を建設することであった。この作業 により米国、イギリス、フランス、ノルウェーからの大量の船、そしてポルトガル自身の船もより多く 寄港させることが可能になった。その時点では、港は基礎的なインフラしか有せず、既存の需要に 対応することができず、そのためポルトガル政府は南アフリカの会社 Chiristian & Nielsen Ltd に、 港の Ponta Maiaia.部分の改修を依頼した。その間、Monapo からナカラまでの路線が 1947 年に 開通した。 Chiristian & Nielsen Ltd による改修が終わったが、実際にはポルトガル政府が全ての長い航 路のポルトガル船がナカラ港に寄港することができると発表したのは 1953 年以降である。その後 港は下記のように、貨物の著しい増加を記録した(図表 3-24)。 年 取扱貨物(tons) 1952 58.000 1954 122.759 1956 107.429 1958 176.093 1960 156.981 1963 107.000 1964 185.565 1966 340.991 1967 338.171 1968 496.010 1969 520.554 1970 540.441 図表 3-24 ナカラ港における取扱貨物量 30 ナカラの新施設によって、ナカラ港はモザンビーク島や Angoche よりもより便利な港となった。 1971 年 8 月、既存のモザンビークの鉄道は、マラウィに接続し、マラウィはナカラ港を輸出入に使 用できるようになった。この新交通により、港はさらに発展し、ドックを 408 リニアメーター(=408m) 増加させ、1973 年までに 100,000 トンまでの船が寄港できるようになった。当時ナカラ港は鉱物 30 出所:Lima, A.P. (1971)-141 39 のターミナル、オイルタンカーを下す港、船の修復ヤードなどの設備を持つようになった。 ナカラ港の発展により、周辺産業が活発になり、特にセメント工場、CICOMO(植物の麻と繊維 の麻の両方を生産する)、SOCAJU(カシューを生産し、カシューから油を抽出する)の 3 社はナカ ラ界隈の産業の発展に大きく貢献した。 ③ 現状のインフラ (ア) ナカラ港の特徴 ナカラ港は深水港であり、モザンビーク北部の Baia de Bengo の東側に位置する。一般貨物を 取り扱う港で、大きな船の寄港に適している。 Baia de Bengo は入口の幅 800m の大きく囲まれた港で、 中央部は深さ 60m、既存の埠頭の 近くは浚渫なしでも 30m の深さである。特徴としては、すべての喫水の船を 1 日 24 時間受け入れ ることができる。外部係留エリアの船舶の最大のサイズは約 130,000DWT(積載重量トン)、喫水 18m までである。 ナカラ港は一般貨物、コンテナ船、燃料を取り扱う。燃料補給および給水サービスも行っている。 2008 年のキャパシティは 1,046mtpa だが、2010 年には 1.4mpta かつ 75,000TEU になると言 われている。 図表 3-25 に現在のナカラ港の位置を示す。 図表 3-25 現在のナカラ港の位置31 ナカラは 1,150 馬力のタグとパイロットボートを保有し、4 つの一般貨物の係留所および 2 つの 31 出所:Google Map 40 コンテナ係留所、液体バルクターミナルがある。 下記の図表 3-26 は 2009 年末時点の設備の状況である。 ターミナル キャパシティ ハンドリング装置 一般貨物 埠頭の長さ: 610 m 20t ショアクレーン (1) ターミナル 最大喫水: 7~10 m 5t ショアクレーン (4) 処理能力: [2.4 mtpa] 10t ショアクレーン (1) 倉庫: 壁つきの倉庫建物×8(合計面積 21.000 平方メート 4t フォークリフトトラック (1) ル、合計容量 50.000t)、オープンストレージ(80.000 平方 必要あればベールクランプ使用可 メートル) カーゴファンネル (5) Vacuvator (2) 要求すればバギングプラント使用可 コンテナターミナ コンテナ処理能力:最低でも 75,000 TEU 22t シップトゥショアクレーン ル 埠頭の長さ:372m 42t リーチスタッカ (3) 最大喫水: 14m 32t フォークリフト (1) 42t フォークリフト (2) 16t フォークリフト (空コンテナ用) (2) トラクター (2) トレーラー (4) リキッドバルク 一般貨物ターミナルにある専用ターミナル(no. 4) ターミナル 埠頭の長さ:900m 最大喫水:9.7m 燃料タンクへの 3.5km のパイプラインと繋がっている 食物油タンク×2(合計容量 2.400t) 32 図表 3-26 ナカラ港の設備 現在、石炭係留所はないが、Vale は 10 億 US ドルを投資してナカラに石炭ターミナルを建設す る予定である33。 32 出所:Arcus GIBB 出所:Financial Times article Infrastructure :Revamped transport links to plug in the world 33 41 ナカラ港の現在のキャパシティは、約 1.5mpta(million tons per annum:1 年あたりのトン数)で ある。年間約 250 隻の船、全体で 1,675,000DWT が寄港する。2009 年から 2010 年の間に、ナ カラ港のキャパシティは、1.27mpta から 1.38mpta まで、8.7%増加した。ナカラ港に寄港する船 の数も同時に増加し、2009 年は 236 隻のところ、2010 年は 273 隻に増えている。 ナカラ港の年間のコンテナ量の推移は下記の通り。 34 図表 3-27 ナカラ港の年間コンテナ量推移 【現地視察】 本調査において、実際にナカラ港を訪問した。左上の写真は遠方から見たナカラ港。コンテナを 積んでいる(おろしている)姿が見える。既に JICA がナカラ港の改善計画は策定積みであり、政府 には提出済み。現在、新たな港を対岸に建設中であるが、現在のこの港は船が 3 隻のみ停泊で きる小規模の港で、今後の物流量の増加に伴うキャパシティ向上が急務であるとのことであった。 34 出所:CFM Management and Arcus GIBB 42 ナカラ港の遠景で奥にコンテナ船が見える 今後のキャパシティ拡大によるコンテナの マネジメント能力向上が急務とのこと ナカラ港の貨物エリアの様子 (イ) 鉄道の特徴 現在、ナカラ鉄道はナカラ港から西に、Cuamba と Lichinga まで走っている。Cuamba からの 路線はマラウィとの国境 Entre-Lagos まで延び、マラウィからナカラ港へつながっている。 43 35 図表 3-28 CDN North 鉄道のネットワーク マラウィでは、軌間 1067mm、全長 797km の路線がザンビア(Chipata)まで続いているが、隣 のタンザニアには接続していない。タンザニアは軌間が 1,000mm でマラウィとは異なるからであ る。 ナカラ回廊の回廊交通計画センターは Nampula をベースとしており、路線プランニング、時刻 表作成、列車スケジュール、駅と運転手の間の無線の監視などを行っている。駅長は、駅の事務 所より、駅と回廊の間の列車の動きをコントロールしている。 図表 3-29 はナカラ回廊の鉄道の状況である。Cuamba から Entre-Lagos(Nayuchi の近辺)、 Cuamba から Lichinga までなど、一部务悪な状態にある。レールの多くは、30~45kg/m で、コン クリートの枕木の上に敷設されている。例外として、Cuamba から Lichinga までは、木の枕木が使 用されている。また、キャパシティにも制限がある。ワゴンは 25 までに限定されている。鉄道のキ ャパシティは、当初 18~20mtpa で設計されていたが、現在は 1mtpa である。Moatize の石炭を 輸出するため、キャパシティの大幅な増加が見込まれている。 このような、一部务悪な状況のため、列車のスピートは多くの場所で 20km/h に制限されている。 そのため、マラウィからの列車がナカラに到着するには 5~7 日かかる。 区間 長さ 線路の状態 Nampula ~ Nacala 180 km 良好 Nacala ~ Cuamba 533 km まあまあ Cuamba ~ Entre-Lagos 77 km 务悪 Cuamba ~ Lichinga 262 km 务悪 CDN 合計 772 km 39%が务悪な状態 図表 3-29 ナカラ回廊の鉄道の状況 35 36 出所:CDN 出所:Arcus GIBB 44 36 橋の状況は下記のとおりである(キャパシティについてはシミュレーション結果である) ・ 38 の鉄橋がある。5 が状況が悪いが、致命的ではなく、多くが許容範囲の状況である。 ・ 52 のコンクリート橋がある。状況はまあまあ~良いの間である。 ・ 353 の排水溝がある。多くが許容範囲であり、状況が悪いものが 40、致命的なものが 20 ある。 ・ カーブの最小半径は一部の区域では 150m、多くの区域では 250m 以上である。 ・ 傾斜は 1.6%である。 【現地視察】 本調査において、実際に、ナカラ線の主要駅である Nampla 駅を訪問した。この駅は物流の拠 点であるだけでなく、旅客列車も通っている。一番下の写真は、物流の倉庫で、穀物や商品など が積まれていた。線路の状態は悪くないようであるが、この写真には写っていない先方では、線 路の上で座り込んでいる人が居たり、商売を始めている人が居るなど、頻繁な列車の往来がある ようには思えない状況であった。 モザンビークでは鉄道は CDN という団体によるコンセッション方式(PPP)で運営される 線路は複線になっており、線路そのものの状態は他の場所と比較してよく管理されている 45 貨物用倉庫の外観。中で何人かの作業者と管理者が業務を行っていた。 コンテナを輸送するトラックが多い 線路も駅を離れると必ずしも状態はよくない 一方、ナカラ回廊のマラウィ国内の線路の状態はよくない状況であった。Balaka の居住地区の 線路を視察したが、電車の本数が尐ないのか、近隣の住民は線路であることを意識して横断して いる風ではなく、また線路の質も枕木がなく、砂で埋もれてしまっているなど、メンテナンス状態に は課題がある状況であった。なお、今回の訪問においては、電車が通過するところは確認できて いない。 46 加えて、Liwonde(マラウィ湖の最南端の真南に位置する交通の要所)の貨物駅の状況を視察 した。ここでの線路の質は、上記の居住地区のものほど悪くなかったが、オペレーションや運行を 支える仕組みに問題があると、現場の監督者から話を聞くことが出来た。 右写真下の線路の切り替えレバーはかなり傷んでおり、手動式となっている コンセッション方式による運用であるが、リハビリテーション(補修や補強)とメンテナンスの区別 が曖昧で、政府の責任範囲か請負側の責任範囲かが明確でなく、結果リハビリテーションもメンテ ナンスも行われていないという状況を垣間見ることが出来た。この駅の老朽化も著しいが、現時点 で特に補修などの計画はないとのこと。エアコンも稼動しておらず、室内も電球一つ程度が点灯し 47 ているだけの非常に暗い職務室であった。 また、マラウィ湖の Chipoka 近辺の線路の様子は下のとおりである。ここも整備がされていると は言い難い状況であった。 (ウ) 道路の特徴 鉄道と共に、道路ネットワークは港の都市部および経済の中心地をつなぐものであり、これらの 接続状態は十分なものではない。最近完成した National Road N1 を除き、東西を平行に走る道 路をむすぶ路線がない。図表 3-30 はモザンビークの主な道路を示したものである。 モザンビークは農業に依存しており、農業はおもに地方で行われているが、このエリアへの道 路ネットワークの有効性は低い。農産物の国際輸送だけでなくマーケットに運ぶ国内輸送にも、多 くの問題点がある。人口密集度と既存の道路の GIS を使用した分析によると、モザンビークの地 方で、主要な道路の 2KM 圏内に住んでいる人は 25%しかいない。国内で、地方に住んでいる人 口は全人口の 70%であり、GDP の 29%を農業に頼っているモザンビークでは、この地方への道 路ネットワークのアクセシビリティが持続的な経済発展の阻害となっていることを示している。 48 図表 3-30 モザンビークの道路ネットワーク ナカラ回廊の道路セクションは、2 つのモザンビークの州を横切っており(Nampla 州と Niassa 州)、全長 1,033km で、インド洋の Nampula 国境からマラウィとモザンビーク西の国境である Niassa まで続いている。東から西までの道路ネットワークは、約 800km で、マラウィとの Entre Lagos の国境をナカラ港と結んでおり、Lichinga まで南から北に延びている。 49 ナカラ回廊の道路の状態を分析のため、まず、回廊に存在する交通インフラのレベルを知るた めに、道路の密度を検討した。回廊内の既存ネットワークの密度と、モザンビークの道路ネットワ ーク密度、近隣国の密度を比較したものが図表 3-31 である。モザンビークの数値は 1000 平方 キロメートル内に 38.8 キロメートルであり、ベンチマークの 160.2 キロメートルや近隣諸国と比較 して明らかに状況は悪い。モザンビークの 4 つの北部の州を見ると、Nampula が最も高く 51.36、 Niassa は 25.46 である。 図表 3-31 道路ネットワークの密集度比較 37 道路ネットワークについて他の考えなければならないファクターは、道路のタイプ別状態である。 図表 3-32 に記載している。モザンビークは舗装している道路が 6,286km しかなく、全 30,056km の道路の 20.9%しかない。 37 出所:ANE2008 and CIA Factbook 50 道路のクラス 38 合計 幹線道路 舗装 未舗装 5,971 4,728 第二幹線 4,915 838 4,078 第三幹線 12,603 667 11,936 隣接道路 6,567 54 6,513 30,056 6,286 合計 1,243 23,770 39 図表 3-32 道路のタイプと状態(km) 図表 3-33 は道路のクラスとタイプである。この表によると、Nampula は 13.4%が舗装されてお り、Niassa は舗装されている道路がない。この情報は、Niassa の道路は Nampula に比較して务 っており、輸送コストと時間は Niassa の方が高いであろうという予測を導くことができる。 38 道路のクラスは下記のように定義される ・幹線道路:道路ネットワークのバックボーンとなる路線 ・ 州都 ・ 州都と他の都市 ・ 州都と主要な港 ・ 州都と主要な国境地域 ・第二幹線:バックボーンを補完する路線 ・ 幹線道路 ・ 幹線道路と港湾 ・ 幹線道路と主要な経済中心地 ・ 幹線道路と他の国境地域 ・第三幹線:下記の間を結ぶ路線 ・ 第二幹線と他の第二幹線、または幹線道路 ・ 地域の主なオフィス(都市部) ・ 地域の主なオフィスと行政機関 ・ 地域の主なオフィスと主要な経済中心地 ・隣接道路:下記の間を結ぶ路線 ・ 第三幹線同士 ・ 行政機関同士 ・ 行政機関と他の居留区 39 出所:ANE2008 51 Nampula 州 道路のクラス 合計 幹線道路 1,003 第二幹線 166 第三幹線 1,960 隣接道路 未舗装 合計 舗装 未舗装 508 495 423 - 423 166 - 240 - 240 35 1,925 1,836 - 1,836 - 935 935 966 - 966 543 3,521 4,064 3,465 - 3,465 100% 13.40% 86.60% 100% - 合計 合計% 舗装 Niassa 州 100% 40 図表 3-33 Nampula 州、Niassa 州の道路舗装状況 上記データから、Nampula と Niassa という北部の 2 つの州では、Nampula の方が Niassa よ りも開発されていると言うことができる。ANE の道路セクターの統合プログラム(2007~2009)では、 Nampula のいくつかの道路と道路インフラは、図表 3-34 にあるとおり投資がされており、現在の 修復状態は不明であるが、ANE は 2015 年には修復が完了すると予想している。 道路 N105 区間 Monapo - Ilha de クラス 状態 Km 幹線道路 47 第三幹線 作業計画 ファイナンス まあまあ 再舗装 - 164 - - MCC 第三幹線 96 - - MCC Moçambique Monapo - Liupo – R689 Angoche Corrane - Liupo – R687 Namige N324 Rio Ligonha – Boila 第二幹線 128 - - MCC N1 Rio Ligonha – 幹線道路 102 务悪または リハビリ MCC 非常に务悪 再舗装 幹線道路 148 务悪~まあ リハビリ Nampula N1 Namialo - Namapa MCC まあ 再舗装 N13 Cuamba – Nampula 幹線道路 335 未舗装 舗装 日本 N104 Nampula – Nametil 幹線道路 69 未舗装 舗装 MCC R683/R680 Nametil - Chalaua – 第三幹線 108 未舗装 舗装 MCC 53 (Rio Lurio) Moma R686 Nampula – Corrane 細い 未舗装 舗装 MCC N105 Bridge - Ilha de - 0.334 - - - - 0.3 - - - Moçambique / Ilha de Moçambique – Monapo N324 Bridge Meluli / Angoche - Moma 41 図表 3-34 Nampula の道路ネットワークにおける工事の状況 40 41 出所:ANE2008 出所:ANE - Implementation Plan 2007 – 2009 52 42 図表 3-35 Nampla の道路ネットワーク Niassa 州には Nampula-Cuamba 間と Cuamba-Lichinga 間の二つの幹線道路があるが、現 在どちらも舗装されておらず、状況は悪い。ただし the African Development Bank (AFDB)によ れば、改善された場合には Nampula-Cuamba 間の道路輸送コストは著しく低下し、下記の通り 経済的に大きな利益を得ることができる。 ・ 平均の輸送時間はモザンビークでは 2008 年に 9 時間であったのが 2014 年では 3~5 時間 と 41%減り、マラウィでは 2008 年の 50 分から 2013 年の 20 分まで 60%減る。 ・ モザンビーク/マラウィ、マラウィ/ザンビアの国境における遅れは 2015 年には 36 時間から 6 時間に減尐する。複合輸送機運用コストは、モザンビークは 2008 年の 1km あたり US ドル 0.958US ドルから 2014 年は 1km あたり 0.613US ドルに減り、マラウィは、2008 年の 1km あたり 0.584US ドルから 2013 年は 1km あたり 0.470US ドルに減る。 ・ 路面の状態の悪さは、輸出入だけでなく、市場競争性にも直接的に関係する。AFDB は Global Competitiveness Index が Nampula-Cuamba の間の道路に影響し、一度舗装され れば、2009 年の 3.1 から 2015 年の 4.1 まで上昇すると予測している。同じく、AFDB は、輸 42 出所:ANE 53 出入の CIF や FOB 価格における輸送コストの割合の減尐を予測しており、2015 年 1 月まで に 25%下がるとしている。 ANE の道路セクター統合プログラム(2007~2009)が収集した情報によると、図表 3-36 のとお り、Niassa のいくつかの道路および道路インフラは、投資を受けている。 クラス Km N360 道路 Cuamba – Marrupa 区間 第二幹線 236 - 状態 - 作業計画 MCC ファイナンス N14 Marrupa – Ruaça 幹線道路 87 - 舗装 Asdi N14 Lichinga – Litunde 幹線道路 67 舗装はあるが 拡張および再舗装 ADB-日本 - 修理と建設 - 务悪 N14 Bridges and 幹線道路 - Infrastructures N13 Cuamba – Lichinga 幹線道路 305 未舗装 舗装 MCC or Asdi N361 Maniamba – Metangula 第二幹線 15 未舗装 舗装 GOM/SBS 図表 3-36 Niassa 州の道路ネットワークにおける工事の状況43 Niassa 州の道路ネットワークは、図表 3-37 に示すような状態になっている。 44 図表 3-37 Niassa 州の道路ネットワーク 43 出所:ANE - Implementation Plan 2007 – 2009 54 Nacala 州において道路ネットワークの改善のために努力をしているにもかかわらず、大きな問 題が残されている。モザンビーク北部のおおまか 3 分の 1 を占める Nampula 州の道路は良いコ ンディションにある。つまり、3 分の 2 はまあまあもしくは大変悪い状態にあるということである。 【現地視察】 現地視察において、Nampula からナカラ港までの道路を実際に通過した。Nampla からナカラ 港に向かう道路の質は非常に良く、穴や凹凸も尐ない。 また、マラウィ(Lilonguwe~Balaka)においても、主要道路の状態は悪くなく、一本道が延々と 続くところも多い。こうしたところでは大型トラックを含めおおよそ時速 80-100Km 程度のスピード で走ることができる。 街中では自転車や歩行者が道路を利用するため、車の速度は落ちる。 44 出所:ANE 55 主要道路で状態がよくない箇所では写真のようなくぼみができているところが多い ただし、モザンビークもマラウィも主要な道路については舗装されているが、わき道に入る と道の質は極端に落ちる。これは、特に資源運搬の際には大きな課題となる。 56 写真はマラウィ南東部の採掘現場までの道の写真。採掘現場に近づくほど道幅は狭くなる (エ) 水路 鉄道、道路等の交通インフラの代替手段として、ザンベジ川を、石炭を運ぶ水路とする可能性 が浮上した。ザンベジ川の水源は標高 1,500m にあり、ザンビア、アンゴラ、コンゴの国境の近くで ある。ザンベジ川はザンビア、アンゴラ、ナミビア、ボツワナを流れ、ザンビアとジンバブエの国境 を沿って最後にモザンビークからインド洋に出る。この調査は 650km の長さのザンベジ川の低部、 Cahora Bassa からインド洋までにわたって行われた(図表 3-38)。 図表 3-38 ザンベジ川 57 Rio Tinto は、ザンベジ川をより適切に利用できるよう何回かの調査を行った結果、初期(2013) には 2mtpa の石炭を運ぶことができ、その後 20mpta に増加できるとした。モザンビーク政府は、 現在、Rio Tinto の環境への影響や社会的影響の分析(ESIA)を行っており、the Netherlands Commission for Environmental Assessment (NCEA)にレビューを依頼したレポートにおいて 3 つの問題点が指摘されている。 ・ ESIA は水位の低い季節における水面の高さ、およびこの水位に関連した排出量が正当化 できていない、また、ある水位を選ぶ環境上の結果の分析ができていない。 ・ 浚渫が必要な量の不確かさのインパクトを分析できていない。 ・ ESIA ではプロジェクト実行上のこれらの不確かさに対処するためのモニタリングプログラム の詳細な説明がない。 2011 年に行われた上記のレビューを受け、最近モザンビークは Reversdale によって提案され たこの環境プランを拒否した。ロイターによる交通通信大臣 Paulo Zucula への電話インタビュー によると、「悪影響が大きいと思われ、解決のためのプランもない。提案の内容は現実的ではない」 とのことであった。Zucula 大臣は、「ザンベジ川は 4 年ごとに洪水の問題があり、犠牲者が出てい る。ザンベジ川を浚渫し、土手を増やした場合、問題が起こるであろう」と述べた。 調査の再提出の可能性はまだ存在するが、Zucula 大臣は、水路を使用するよりも、鉄道を利 用する選択肢の方がずっと環境へのインパクトが尐ないと強調した。ロイターによると、モザンビ ークは、インフラプロジェクトがどのように計画され、数年内に港や鉄道へのアクセスを得るための 全てのプロジェクトが実現したら誰が利益を得るかについてフレームワークを作成する計画である。 本調査において行った、Ministry of Transports and Communications、Vale、Corredor de Desenvolvimento do Norte (CDN)とのミーティングによれば、港や鉄道へのアクセスを規制、計 画する組織が必要だといえそうである。過去にも組織を作る議論がなされたことはあるが、この議 論はまだ萌芽期の状況である。 (オ) ナカラ回廊マネジメント ナカラ回廊のモザンビーク部分は 2005 年から 15 年の港と鉄道のコンセッションによって運営さ れている。ナカラ回廊のマラウィ部分は、1999 年 11 月より 20 年間(5 年間の延長オプションあり) の CEAR 鉄道コンセッションによって運営されている。2 つの鉄道コンセッションの分岐点は国境 のある Entre-Lagos である。 モザンビークのコンセッションを行っている Corredor de Desenvolvimento do Norte, S.A.R.L (CDN)は、歴史的に株式の 51%を Sociedade de Desenvolvimento do Corredor do Norte SA (SDCN) 、 49% を CFM – the national railway of Mozambique が保有していた。モザンビーク の鉄道コンセッションの下で、CFM は鉄道インフラを保有している。マラウィのコンセッションは、 Central East African Railways (CEAR)で、株主構成は CDN と同様である。(図表 3-39) 58 VALE (ブラジル) 67% Others 33% SDCN (モザンビーク) 51% CFM (モザンビーク) 49% 51% 49% Corredor de Desenvolvimento do nortre, S.A.R.L. (“CDN”) Central East African Railways (“CEAR”) 鉄道(マラウィ) 鉄道、港湾(モザンビーク) 図表 3-39 ナカラ回廊のコンセッション SDCN の株主構成は、時間と共に変化した。例えば、CEAR コンセッションの下の SDCN の当 初の構成は、2004 年に変更し、マラウィのプライベートセクターの参画がより多くなった。その後、 US ベースの Railroad Development Corporation が株式を獲得して SDCN のコントロール権を 持ち、その後全株式をモザンビークの投資グループ Insitec に 2008 年 9 月に売却した。これによ って、SDCN はモザンビークの投資家のコントロール下になり、US ベースの投資家の下による過 尐投資の歴史から脱却したいと考えている。 しかし、SDCN の契約フレームワークは、ブラジルの資源会社である Vale(歴史的には CVRD もしくは Companhia Vale do Rio Doce として知られる)のコールオプション権が含まれている。 Vale は 2010 年 9 月にこの権利を行使し、SCDN の株式の 51%を取得した。このコールオプショ ンの行使により、Instec の SDCN の株式は廃止された。2011 年第 3 四半期に、Vale はさらに保 有株式比率を増やして 67%とした。未確認情報であるが、下記が SCDN の現在の株式構成であ る。 企業 SDCN のシェア Vale 67.00% MG Consultores 5.39% STP 5.39% GESTRA 5.39% Cabo Delgado 5.28% GEDENA 5.94% Niassa Desenvolvimento 5.61% 合計 100.00% 図表 3-40 SDCN の株主構成 59 2008 年の終わり、回廊の全車両は 19 の機関車と 403 のワゴンから成っていたが車両の多く は使用できないものであった。CFM のマネジメントによると、ナカラ回廊で使用されている車両は 使い物にならないほどひどい状態である。 Vale の SDCN に対する効果的なコントロールについての主な懸念は、鉄道は既に、新しい車 両の需要を喚起できるほど財政的に健常かつ自律できるものではないということである。回廊の 鉄道運営のある経済の側面は、効果的に車両の需要を決定づける妥当性を欠いており、Vale の 鉱物生産のオペレーションのビジネスを可能にしているだけである。鉄道運営は赤字を増やし、キ ャッシュを生むものではないとしても、信頼できる車両の需要は石炭の輸出を促進するために推し 進めなければならないものである。 ④ 将来計画 (ア) モザンビークを通過する回廊計画 この計画は、Moatize 炭田の近くの Cambulatsitsi (Caldas Xavier との名称でも知られる)から マラウィの Blantyre までの約 60km の鉄道の建設である。このポイントから、現在コンセッショネア の Central East Africa Railways (CEAR)が運営しているマラウィの鉄道に接続し、そこからナカ ラ港につながる。マラウィ政府と Vale の間の合意の一部として、Vale が CEAR に 10 億 US ドル を投資して 2015 年までに鉄道のアップグレードを完了させるとした。2015 年は、交通通信大臣 Paulo Zucula が石炭生産のピークを迎えると発表した年である。 Malawi Today のニュースリリースによると、「この合意により、一般貨物の運搬量が 1500 万ト ンから 5200 万トンに増加する」としている。マラウィの一般貨物に対する保証分以外にも、この路 線は Chapananga、Neno、Nkaya Junction、Liwonde Township、Nayuchi 等からの旅客にも 交通を提供するとしている。しかしマラウィの Minister of Transport and Public Infrastructure、 Sidik Mia は、優先度が高いのは、交通インフラが整っていない肥料と石油製品の運搬であると述 べている。 (イ) 開発計画 現在は、ナカラ回廊は石炭を運ぶ十分なキャパシティを有していないが、需要の拡大のため、 回廊への投資は最優先事項とされている。 Vale は 44.44 億 US ドルを投資する予定で、うち 34.35 億 US ドルはテテ州とマラウィを接続する路線を含めた鉄道に投資する予定である。港への 投資については、Vale は 10.09 億 US ドルの投資が期待されており、主に港から 8km 離れた Nacala Velha の石炭ターミナルに使用されると考えられている。しかし、港湾関係者によると、本 建築は 2020 年に終了予定であるため、Vale はそれまでは既存のナカラ港に投資すると述べいて る。ナカラ港は、2012 年 10 月からは、1mpta の鉱物貨物を取り扱えるようになると言われてい る。 また、同港湾関係者によると、港の修復によって滞留は大きく減尐する。現在は、船が港を発つ 60 のに平均 2~3 日、マラウィへのトランジットは平均 10 日かかっている。 (ウ) ナカラ港の修復 港湾関係者によると、JICA が現在ナカラ港の修復および開発についての調査をおこなっており、 本事業の環境に対する大きな影響はないとの結論を待っているとのことであった。このプロジェク トでナカラ港のキャパシティは石炭ターミナルを含めて 20.5mpta まで拡大するとされており、当該 事業は 2020 年に終了するとしている。 このプロジェクトは評価段階であるため、公開されている資料はないが、同港湾関係者によると、 下記のような成果が期待されているとのことである。 ・ コンテナターミナルと一般貨物ターミナルの交換 ・ TEU のキャパシティが年間 75,000 から 250,000 に増加 ・ 予想されるコストは 2 億 6000 万 US ドル ・ 現在 1 つしかないターミナルへの道路を尐なくとも 2 つ増加させる このプロジェクトはまだ初期段階であるため、それ以上の情報はないが、JICA が環境への影響 を計測した後は、より多くの情報が公開されると期待されている。 (エ) ENRC の計画 カザフスタンの企業 Eurasian Natural Resources Corporation (ENRC)は、Tete 州に 12 の採 鉱 ライ セ ン スを 持 ち 、 Tete か ら ナ カ ラ へ の 鉄 道 路 線 の 敷 設 を計 画 し て い る 。 Dow Jones Newswires によると、ENRC のゼネラルマネージャーは、2015 年完成の当該路線はマラウィの 国境を横断せずに「Vale のルートより短く安価」に 60mpta の石炭を運び、他の機関にも開放され るとしている。しかし、実際の建設を始める前に、社会的、環境的な調査を行い、モザンビーク政 府の承認を得る必要がある。 ナカラ港はまだ石炭ターミナルがないため、ENRC は Vale の施設に隣接して建築を計画してい る。Mr. Craven はこの施設は 40mpta のキャパシティを持ち、将来的には 60mpta から 100mpta に拡大するとしている。この計画は鉄道と同じく、社会的、環境的なスタディを行い、モザンビーク 政府の承認を得る必要がある。現時点では ENRC はモザンビーク政府と MOU は締結しておらず、 今後の調査の結果に依存している。 (オ) Ncondezi Coal の計画 Ncondezi Coal は Tete 州の石炭の輸送の代替手段への興味を示した。Ncondezi Coal の石 炭生産量は、10mpta と、他の鉱物会社と比較して低い。しかし、Mozambique Coal Industry Export Initiative (MCIEI)とのパートナリングを行って、Tete 州での未開発の鉄道路線を開発し、 新しい港につなげようと計画しているという話がある。ジョイントベンチャーのパートナーには Rio Tinto や Minas de Revuboe も含まれており、調査を 2011 年 9 月に終了させ、最近合意を締結し た。同社は「9 月に終了した MCIEI のインフラの影響調査によると、新しい鉄道路線と港は大きく、 61 コスト効率性も良く、信頼背も高く、Tete からの石炭輸出のための長期的な解決策になるであろう」 と述べている。また、Ncondezi Coal によれば、「JV は現在の回廊と同程度のキャパシティの 回 廊を建設しようとして」おり、新しい港は 25mpta を取り扱い、将来的には 100mpta に増やす予定 である。計画は長期的なものであり、同社はセナ線や修復の終了したナカラ線からキャパシティを 得ることも計画している。 【現地視察】 モザンビークの Moatize および Tete において、鉄道施設の現地視察を行った。 Moatize 駅の外観 物流用倉庫もあるが大規模でものはない 駅港内では複線だが、この先は単線の線路 テテ州の主要道路 テテの主要道路の様子。様々なトラックが物流路として活用しているのが分かる 62 (7) 今後日本に可能性があると考えられるインフラ計画 ① ナカラ回廊からの、マラウィ横断/迂回鉄道路線 マラウィを横断する鉄道については 2011 年 12 月に合意がなされ、開発は 2014 年までにおこ なわれる予定である。この合意は、Vale が SDCN の筆頭株主(67%)であり、またマラウィの鉄道 CEAR(SDCN が 51%を保有)の主要株主でもあることを一因として、可能となっている。 しかし、マラウィを迂回する鉄道については、インタビューを行った政府関係者は実現可能だと 考えておらず、カザフスタンの企業 ENRC がこの調査を開始しているが、モザンビーク政府との間 では MOU は締結されていない。港湾関係者はモザンビークからの石炭の輸出のために可能な 選択肢は増やすべきだと考えており、石炭の全生産量はピーク時で 80mpta を越えるため、ナカ ラ回廊やベイラ回廊の修復が完了しても、輸送キャパシティは十分ではないとみている。この予測 はその他の輸送される商品を計算に入れていないものである。 追加のルートを考える必要があるもう 1 つの理由として、Rio がザンベジ川経由で石炭を輸送す るスタディを行っていたが、周辺地域に与える環境上の影響から、却下されたということがある。 当該スタディでは、20mpta の石炭を運ぶことが可能となる予定であった。 ② モザンビークを南北につなぐ路線の建設 モザンビークの東西をつなぐ路線は、ナカラ回廊、ベイラ回廊、マプト回廊が存在するが、それ を南北につなぐ路線は幹線道路ひとつしか存在せず、関係者インタビューにおいても、南北の接 続が今後の課題であるとのコメントを得た。そのため、既存の 3 回廊をつなぎ、モザンビークを南 北につなぐ路線の開発の可能性があると言える。 ③ ナカラ港の改良 水深 5m 水深 15m 図表 3-41 ナカラ港の位置(再掲) 63 現在のナカラ港は、奥の部分が水深 15m、手前の部分が水深 5m となっている(図表 3-41)。し かし、港の構造として、喫水の深い船(一般貨物)の受入れを奥側で、喫水の浅い船(コンテナ)を 手前側で行っており、非効率が発生している。また、トラックを受け入れる道路が 1 車線しかない ため、ここでも非効率が発生している。JICA 協力のもと、これらの改善が計画されている。 ④ マラウィにおけるコンセッション マラウィの鉄道においては、政府とコンセッションの役割分担が明確に機能していない。そもそ もコンセッションは、所有権は国にあり、大上段のマネジメントは国が行い、オペレーションのみ民 間が行うものである。しかし、マラウィでは修復もメンテナンスも行われていない。また、運航され る鉄道便の大半がマラウィの石炭運搬に使用されているため、国益に沿った使用がなされるよう、 日本から何らかの取り組みを行うことができる可能性がある。また、インタビューにおいて、機関 車が古く、燃費に問題があるため、機関車において日本の技術を提供してほしい旨の要望が出さ れた。 ⑤ マラウィの鉄道の自動化・無線の高度化 マラウィの鉄道においては、電化・自動化が遅れており、ポイント切り替えも手動で行われてい る。また、本部と鉄道の間を結ぶ無線が十分に機能しておらず、個人の携帯電話で代用しており、 そのためにバッテリー切れやプリペイドのチャージ切れ等で連絡が途絶える可能性が指摘されて いる。こういった点においても、日本の技術の導入が望まれている。 ⑥ マラウィの主要鉱山からのルート整備 後述するように、特にマラウィにおいては、主要鉱山からメイン道路までの道路の舗装が十分 でない。そのため、道路整備が求められている。 ⑦ 鉱物資源の精錬 マラウィにおいては鉱物資源の精錬技術が十分でなく、過大な量を輸送しなければならない状 態にある。そのため、マラウィに対して精錬技術の輸出を行うことも、輸送インフラに間接的に貢 献することとなる。 64 3. 各国の輸送インフラの整備状況 (1) モザンビーク ① 港湾 モザンビークはアフリカ東岸に位置し、ナカラ、ベイラ、マプトの 3 つの主要な港をはじめとする 港湾が、モザンビークだけでなく、マラウィ、ザンビア、ジンバブエなどの近隣内陸国の出口として 機能している。 サブサハラアフリカ主要港湾の貨物量・バース数・コンテナ船の最大水深を図表 3-42 に示す。 港名 国 コンテナボ 年 取扱貨物 リューム 量(1000 (TEU) トン) 年 バース コンテナ コンテナの 数 バース 最大深度 数 Port Sudan スーダン 326,701 2006 N/A 19 4 14 Massawa エリトリア 24,280 2001 N/A N/A N/A N/A Djibouti ジブチ 294,902 2007 7,502 2007 15 2 12 Mombasa ケニア 479,355 2006 12,920 2004 18 5 10 Dar Es Salaam タンザニア 352,548 2006 7,643 2006 11 3 11.5 Mtwara タンザニア 5,000 2007 69 2007 N/A N/A 9.8 Nacala モザンビーク 26,709 2001 743 2001 5 2 15 Beira モザンビーク 46,775 2004 1,367 2004 12 3 12 Maputo モザンビーク 62,516 2006 4,002 2001 14 4 10 Durban 南アフリカ 2,334,999 2006 29,459 2002 57 6 12.8 Cape Town 南アフリカ 764,753 2006 13,667 2006 34 7 14 Port Elizabeth 南アフリカ 407,278 2006 8,123 2006 10 1 12.2 Saldanha Bay 南アフリカ N/A 36,664 2005 N/A 0 (23) Richard Bay 南アフリカ N/A 89,256 2006 26 0 (19) Walvis Bay ナミビア 83,263 2006 2,419 2002 8 2 12.8 Lobito アンゴラ 24,000 2002 600 2002 2 N/A 10 Luanda アンゴラ 377,206 2006 3,000 2003 3 1 9.5 Pointe Noire DRC(コンゴ) 122,600 2006 N/A 9 N/A 9.5 Libreville ガボン N/A N/A N/A 3 Douala カメルーン 200,251 2006 N/A 13 3 9.5 Port Harcourt ナイジェリア 5,000 2006 N/A N/A N/A Lagos ナイジェリア 587,600 2006 N/A 34 6 10.5 Cotonou ベニン 140,500 2006 N/A 8 1 11 Lome トーゴ 215,800 2006 N/A 6 2 12 Tama & ガーナ 476,451 2006 6,183 14 N/A 9.6 39,000 2000 Takoradi Abidjan 7 コートジボワ 507,119 2006 15,506 2003 10 34 5 10.6 ール Freetown シエラレオネ 31,700 2006 N/A 7 2 9.9 Conakry ギニア 85,300 2006 N/A 12 1 10.5 65 Banjul ガンビア 44,152 N/A Dakar セネガル 331,191 9,000 Nouadhibou モーリタニア 21,000 N/A Matadi DRC(コンゴ) 46,000 N/A 10 4 2002 3 10 47 16 10 N/A N/A 8 2 8.9 45 図表 3-42 サブサハラアフリカ主要港湾の貨物量・バース数・コンテナ船の最大水深 (ア) ナカラ港 ナカラ港は Benga Bay の南側に位置し、浚渫なしで 1 日 24 時間船を受け入れることができる、 アフリカ東岸で最も理想的な港である。1951 年に開港した同港では、一般貨物ターミナルは長さ 631m、深さ 9.7m で年間 2,400,000 トンのキャパシティをもち、また 8 つある倉庫のキャパシティ は 50,000 トンである。2 つのターミナルのほか、CDN がコンセッションによって運営している鉄道 が通っている。 その他ナカラ港の詳細については、第 3 章 2(6)現在の開発状況~ナカラ回廊の状況において 述べたとおりである。 (イ) ベイラ港 ベイラは小さな町であるが、Pungue 川の河口にあるベイラ港はベイラ回廊の終着点となってお り混雑している。入口は長さ約 25 海里で、浚渫によって深さは 12m に達するが、Pungue 川の水 深は浅瀬や堆積によって変化し続けているため継続的な浚渫が必要となっている。 46 図表 3-43 ベイラ港へのルート 45 46 出所:JETRO「クロスボーダー交通インフラ対応可能性研究 フェーズ 3」 出所:Acrus GIBB 66 最大で、35,000 トンの石炭を運ぶ Handymax vessels まで寄港できる。河口であるという特徴 から浚渫が必要だという問題があり、寄港できる船の大きさは限られており、最大で、35,000 トン の石炭を運ぶ Handymax vessels まで可能である。より大きな船も港から離れて寄港する形で利 用することはできるが、寄港後の作業には当然制限が生じることになる。 ベイラ回廊の終端にあるため鉄道車両の作業所や操車場が存在するが、鉄道の運行量は多く ない。また港からの貨物の多くは道路経由で輸送されるが、鉄道線路が道路を横切るため、安全 性の問題が存在している。 港には、5 年間使用される予定の一時的な石炭ターミナルがあり、正式なターミナルは現在一 部完成しているが、十分に石炭および船を取り扱える状況ではない。 (ウ) マプト港 マ プ ト 港 は Johannesburg 、 Mpumalanga、Limpopo に最も近 い深水港である。 港は大きく分け て以下の 2 つの施設(コンセッショ ン契約に基づき港湾を運営する Maputo Port Development Company (MPDC)の波止場とタ ーミナル及び 3km 上流の Matola ターミナル)から構成される。 両 者の間は開発されておらず、新し い波止場を作るスペースが残され ており、現在 21 個の波止場が開 発中である。これまでの開発の結 果、2007 年には 7 本しかなかった 輸送ラインが、現在では 13 本に 増加している。また港のキャパシ ティも、2009 年には 8,200 万トン 図表 3-44 マプト港の位置 であったものが 2010 年には 8,600 万トンに増加している。 MPDC の計画における最重要課題は、入り口の浚渫である。2010 年 9 月、マプトへの入り口 は深さ 9.4m から 11m に改善され、またコンテナの波止場の深さは 12m となった。浚渫の前は、 船の最大の大きさが 50,000DWT であったが、現在は、80,000DWT の船が港に入ることができ る。 67 港のレイアウトは図表 3-45 のとおりである。 図表 3-45 マプト港のレイアウト ② 鉄道 ナカラ回廊の鉄道は、モザンビーク国内では Nacala 港から Cuamba と Lichinga まで延びてい る。Cuamba からの路線は、マラウィとは国境の Entre-Lagos で接続し、Nacala 港までのアクセ スを提供している。2000 年ごろに開始した Nacala 回廊の再建プランは、現在、モザンビーク、マ ラウィ、ザンビアの 3 政府が関与して、投資家や開発機関から資金を集めて路線の再建を行って いる。この路線は、1984 年の鉄道爆破以来閉鎖されていた。 2005 年 1 月より、ナカラ回廊のモザンビーク側は、CDN による 15 年のコンセッション契約で運 営されてきた。2005 年末までに、Cuamba と Entre-Lagos の間の 77km の路線の建設が行われ た。この再建は、US ベースの開発投資会社、the Overseas Private Investment Corporation か らの 3000 万 US ドルのローンによって行われている。またマラウィの Chipata からザンビアへ続く 路線は 2010 年に完成し、マラウィからザンビア、東 DRC への輸出に利用できるようになった。 Cuamba から Lichinga までの区間は木材の枕木を使用しているが、それ以外ではコンクリート の枕木に 30~45kg の溶接継ぎ手が使用されている。 Beira 港からは西に路線が走っており、Machipanda でザンビア鉄道と接続している。Beira 港 から 29km の場所に位置する Dondo Juncion からは Sena line の支線が北に走り、マラウィの路 線と接続している。同時に Dona Ana から Moatize まで路線が伸びており、下記の通り Moatize 盆地の石炭の運搬に対して大きく貢献することになる。 Beira 鉄道は、現在列車がすれ違うためのループを有する単線であり、この個所の長さは 700m である。列車の構成(機関車の数とサイズ、貨車の数とサイズ)にもよるが、この路線の列車 68 の長さはこれを原因として 45 貨車までに制限されている。 この回廊の鉄道は Beira のオフィスで管理されており、ここでは鉄道網の計画、時刻表作成、駅 と運転手の間の無線の監視を行っている。また、駅においては駅長(Station Foreman)が、駅と回 廊の間の列車の運行状況をすべてコントロールしている。 1995 年、南アフリカ政府とモザンビーク政府は、Gauteng からモザンビークまでの鉄道路線を 再建することに一旦合意したが、1999 年に交渉は決裂し、2002 年 12 月、New Limpopo Bridge Project Investments に Spoornet(Transnet Freight Rail)と CFM とともに、15 年間のコンセッショ ン契約が与えられた。しかし、このコンセッション契約もモザンビーク政府によって 2005 年 11 月に キャンセルされ、代わって CFM が Maputo と Matola への路線に 12 百万 US ドルを投資して、修 復、改善を行うこととなった。 現在、Maputo 港からの国際線は 3 路線ある。 ・ The Ressano-Garcia ルート (88km): Komatiport と South Afriaca まで続く、南アフリカ 国境 (Ressano-Garcia)までの路線 ・ The Goba Line (74 km): スワジランド国境で Swaziland Railway と接続し、Umbovu Ridge iron ore complex と Maputo を Kadake で結ぶ、スワジランドまでの路線 ・ The Limpopo Line (534 km): ジンバブエを経由してザンビア、ボツワナ、DRC の南西 部に行く、ジンバブエ国境(Chicualacuala)までの路線 Ressano-Garcia、Goba、Chicualacuala はそれぞれ、モザンビークへの貨物を運送する際の CFM の正式な接続地点である。 図表 3-46 Rossano-Garcia 行き鉄道 69 The Limpopo Line The Ressano-Garciaルート The Goba Line 図表 3-47 モザンビークの鉄道路線 47 47 出所:Arcus Gibb, amended by PwC to add distance information 70 ③ 道路 モザンビークにおける道路のうち以下のクラスに分類されているものは 30,000km あり、分類さ れていないものは 5,000km である。また分類された道路のうち 3 分の 1 以上が第三幹線で、幹線 道路は 17%にすぎない。州ごとにみてみると Nampla 州と Zambezia 州において最も分類道路の 総距離が長く、Maputo 州で最も短い。 州 幹線道路 第二幹線 第三幹線 隣接道路 分類された % 道路合計 未分類 合計 の道路 Niassa 414 392 1620 371 2,797 10% 355 3,152 Cabo Delgado 675 337 1609 824 3,445 12% 502 3,947 Nampula 996 165 1965 934 4,060 14% 832 4,892 Zambézia 1001 698 1552 995 4,246 14% 718 4,964 Tete 530 1186 833 392 2,941 10% 803 3,744 Manica 513 336 960 635 2,444 8% 294 2,738 Sofala 584 554 847 389 2,374 8% 206 2,580 Inhambane 558 265 1140 930 2,893 10% 642 3,535 Gaza 276 690 988 573 2,527 9% 491 3,018 Maputo 323 169 557 547 1,596 5% 162 1,758 Country 5,870 4,792 12,071 6,590 29,323 100% 5005 34,328 17% 14% 35% 19% 85% 15% 100% Roads (%) 48 図表 3-48 モザンビークの道路ネットワーク(km) 48 出所:ANE-2008 71 49 図表 3-49 モザンビークの道路ネットワーク 49 出所:www.ezilon.com 72 内戦の後、道路ネットワークは大幅に改善したが、3 分の 2 以上が舗装されておらず (57%が 泥、25%が砂利道)、18%しか舗装された道路はない。 州 舗装 砂利道 泥道 合計 Niassa 161 379 2,257 2,797 Cabo Delgado 668 883 1,893 3,445 Nampula 516 1,411 2,133 4,060 Zambézia 351 858 3,037 4,246 Tete 837 215 1,889 2,941 Manica 581 924 939 2,444 Sofala 567 912 896 2,374 Inhambane 622 450 1,822 2,893 Gaza 464 1,039 1,024 2,527 Maputo 478 378 740 1,596 Country 5,245 7,449 16,630 29,323 50 図表 3-50 モザンビークの州別・整備状況別道路ネットワークの状況(km) 道路の状態については、まだ改善の余地が大きく、3,248km が通過不能で、7,310km が一部 通過不能である。 状態 舗装された道路 未舗装の道路合計 合計 未舗装道路内訳 全部通行可能 一部通行不能 Km Km % % 通行不能 Km % Km % 良好 3,698 65% 4,221 17% 3,648 15% 507 2% Km 66 % 0% まあまあ 1,302 23% 8,501 35% 6,801 28% 1,432 6% 268 1% 务悪 649 11% 11,596 48% 3,311 14% 5,371 22% 2,914 12% 合計 5,649 100% 24,318 100% 13,760 57% 7,310 30% 3,248 13% 図表 3-51 モザンビークの状況・通行可否別道路ネットワークの状況 51 【現地視察】 (マプト回廊の道路は第 3 章 2(6)を参照。ここではベイラ回廊の視察内容を記載する)道路の質 はそれほど悪くないが、ところどころ大きな穴が開いているところもあり、明らかに補修は必要な状 態ではあった。 50 51 出所:ANE-2008 出所:RSS 2007-2011 73 主要道路の状態は悪くないが、くぼみ等があるところではそれを避けて減速しなければならな い。 ④ 電力 (ア) 電力の受給状況 モザンビークの発電キャパシティは大きく、政府推計値は、17,500MW である。 水力発電は 12,000MW、火力発電は、石炭が 1000 万トン以上、天然ガスは 7,000 立法メート ル以上、太陽光発電は 1 日平均 5.2kwh/平方メートル (これは世界平均の約 5 倍)、風力発電に 用いる風速は毎秒約 6~7m(最低限必要な風速が毎秒 3.5~4m)と、発電に十分な天然資源を有し ている。 火力・水力発電キャパシティ (MW) 8,000 6,000 4,000 2,000 0 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 水力 火力 図表 3-52 水力・火力発電キャパシティ比較 発電のための資源が豊富で供給面で大きなポテンシャルを有する一方で、モザンビーク国内 の需要増加は比較的小さいと予測されている。 74 45,000 40,000 35,000 30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 0 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 消費量 発電量 図表 3-53 モザンビークにおける電力需給状況 (イ) 送電・配電インフラの状況 発電のポテンシャルが十分である一方、モザンビーク国内における送電・配電インフラは十分 に整っていない。電力にアクセス可能なのは人口の 16%であり、送電線に接続されているのは、 130 地域中 97 地域である(図表 3-54)。 既存 Existing HV HVDC DC (1920 (1920 MW) MW) 図表 3-54 モザンビークの電力アクセスと送電線 75 Planned 新設計画new DC (2650 MW) DC(2650 MW) & AC(800MW) AC (800MW) lines (ウ) 電力に関する政府戦略 2009 年 6 月発行のモザンビークエネルギー戦略52においては、下記のように定められている。 【ビジョン】 ・ 持続可能な社会経済の課題に対応するため、国レベルでエネルギーの安定供給を確 保する 【ミッション】 ・ 国民の福祉と、国の社会経済発展に貢献するため、持続可能な方法で色々な種類のエ ネルギーへのアクセスを増加させる方法を生み出す 【原則】 ・ モザンビークは輸出を検討する前に、国内でエネルギー源の使用を最大化しなければ ならない ・ 地方でのエネルギー開発は、統合プランの強化に基づくものでなければならない ・ モザンビークは環境対策とエネルギー効率化を推し進めなければならない ・ SADC パワープール53に積極的に参加しなければならない 戦略としては、以下の様な戦略が定められている 【発電への戦略】 ・ プライベートセクターの発電への参加を促進する ・ 消費者を小規模な供給者として参加させ、発電市場の自由化を促進する ・ 水力、太陽光、風力、バイオマスエネルギーなどの再生可能なエネルギー源を最も良い とする国の要望に沿った、発電マスタープランを成し遂げる ・ 国家開発に沿って、国内発電に戻るというオプションを確保しつつ、電力輸出の問題を 厳しく見積もる ・ 関連団体に MOZAL3 への電力供給を交渉する 【2009~2013 年の 5 年プラン】 ・ Mphanda Nkuma 水力発電プロジェクト phase I (1.500MW) ・ Cahora Bassa Norte 水力発電プロジェクト (1.245MW) ・ Moatize の火力発電 phase I (600MW) ・ Benga の火力発電 phase I (500MW) ・ Moamba の火力発電とガス(600MW) 52 53 一部抜粋の上、PwC にて翻訳 南部アフリカ電力連合(SAPP)により提唱されている、域内電力融通を通じて電力需給を満 たす構想としてパワープール構想 76 ・ Chicamba (39MW)と Mavuzi (52MW)の水力発電の再構築 【電力輸送についての戦略】 ・ モザンビークとマラウィの国の間の電力システムの接続を推し進める ・ Cahora Bassa と、マラウィの Chire River hydro 282 MW をつなぐ ・ Tete-Maputo 間の線の開発プロジェクトへのプライベートセクターの参加を推奨し、推し 進める ・ 東アフリカの他の国との交流を開始することを念頭に、タンザニアとつながる電気・電信 回廊を構築する研究を行い、契約を開始する 【2009~2013 年の 5 年プラン】 ・ Tete-Maputo line の導入 ・ Mozambique-Malawi の 220kV の送電線の工事を推し進める ・ Infulene-Manhiça-Macia の 110kV の送電線の工事を推し進める ・ Central-North network の送電線改良のフィージビリティスタディを行う (2) マラウィ ① 全般 マラウィの交通インフラの特徴として、道路ネットワークの不便さ、港へのアクセスの未開発と不 便さ、空路接続の悪さ、航空・鉄道キャパシティの不足が挙げられる。このような既存交通インフラ の接続の悪さや非効率は、平均 15~35%の輸送コスト高の原因となっており54、保険料と輸送費 は 1994 年より年平均 29%で上昇し続けている。これらについては 1990 年代に政府がいくつか のマクロ経済的、構造的改革を行って競争を促進し、交通インフラのマネジメントと財政を改善さ せようとしたが、マラウィの輸送費は依然高いままである55 54 55 出所:MCA-M Constraints Analysis, 2011 出所:TERA report, 2005 77 <ROAD> 道路 Dar es Salaam Corridor Nacala Corridor Beira Corridor Durban Corridor (inc. Tete Corridor) Mtwara Corridor (Inc. Malawi MalawiLake Lake Waterway) 回廊) (inc. Northern Corridor es Salaam Dar Dar es Salaam <RAIL> 鉄道 Tazara Corridor Nacala Corridor Sena Corridor <WATERWAY> 水路 Shire-Zambezi Waterway Mbeya Mbeya Makambsko Makambsko Mtwara Mutwara Songea Songea Mzuzu Mzuzu Lundazi Lundazi a Bay Mbanba Mbamba Bay Nkhata Bay Nkhata Bay a Lichinga Lichinga Lilongwe Lilongwe Mchinj Mchinji Nacala Nacala Cuamba Cuamba Lusaka Lusaka Tete Tete Blantyre Blantyre Nsanje Nsanje Harare Harare Mocuba Mocuba Sena Sena Beira Beira 図表 3-55 マラウィの交通ネットワーク ② 道路 マラウィの国内貨物輸送の 50%以上が、道路輸送によるものであるが、機能不足により、道路 のスムーズな運用や利用ができなくなっている。 マラウィの道路は 5 つのクラスに分けられる(図表 3-56)。これらのクラスに加えて、正式でない 道路が、約 10,000km 存在すると見積もられている。全ての道路の長さのうち、舗装されている道 路が 26% (4,038 km) – うち 70%が幹線道路で 19% は都市(urban roads)である – そして 74% が舗装されていない。地区道路(District road)は支線として幹線道路をつないでいる。ほぼ すべての鉱山エリア(現在の鉱山とポテンシャル鉱山の両方)は第二幹線と第三幹線の道路とつ ながっており、ほとんどが舗装されていない。 78 クラス 舗装道路 総距離 未舗装道路 構成比 総距離 合計 構成比 総距離 構成比 幹線道路 2,809 70% 548 5% 3,357 22% 第二幹線 407 10% 2,718 24% 3,125 20% 第三幹線 44 1% 4,077 36% 4,121 27% 地区 8 0% 3,491 31% 3,499 23% 都市 770 19% 579 5% 1,349 9% 合計 4,038 100% 11,413 100% 15,451 100% 合計(%) 26% 74% 100% 図表 3-56 種類別舗装状況(km) 現在の幹線道路は良好な状態だといわれている。The international roughness index (IRI)に よると、舗装道路で状態が良いもの(IRI が 4 未満の)は 79%にすぎず、普通のもの(IRI が 4-6)は 19%、IRI が 6 を超えるものが 2%である。しかし、すべての未舗装の道路は状態が悪く、雤季は 通ることができない。 (図表 3-57) 状態 舗装道路の状態 IRI 良好 まあまあ 务悪 構成比 未舗装道路の状態 IRI 構成比 <4 79% <7 14% 4-6 19% 7-9 46% >6 2% >9 40% 図表 3-57 マラウィの道路ネットワークの国際整備状況インデックス 56 交通の増加、特に重車両の増加は、国内の道路舗装に大きなダメージを与えている。交通量 の増加予測が適切でなかったため、現在および将来の道路は修復やメンテナンスへの予算配分 に悪影響を受けている。また集水地域の不適切な土地利用による水の表面流出、腐食、洪水も 道路インフラにダメージを与えている。 ③ 鉄道 マラウィの鉄道はコンセッション契約に基づき CEAR(Central East African Railways)が運営し ている。コンセッション契約は 1999 年になされたが、最終的に運営が移管されたのは 2005 年で ある。契約当初は、CEAR の株主は、米国の Edlow Resources and Railroad Development Corp(RDC)が 51%、CFM を含むモザンビークの現地投資家が 49%であった。 マラウィからの鉄道路線は、2 つの単線ルートで構成されている(図表 3-58)。 i) 南西国境ルート(ベイラ回廊もしくはセナ回廊) ii) the Nkaya-Nayuchi ルート(ナカラ回廊). 56 出所: Malawi Transport and Road Sector Project Formation Study Report 79 図表 3-58 マラウィの鉄道路線 鉄道路線は中央政府によって保有されている。南西国境ルートは全長 696km で、Mchinji –中 央地域のマラウィとザンビアの国境の西から南に、Salima、Blantyre、Chiromo、Marka(モザンビ ークとの国境施設)を通り、Beira まで走っている。しかし、ベイラ鉄道は、1997 年の洪水により Chiromo の南 350m にわたって破壊されて以降閉鎖されたままである。路線が使えたころはこれ がベイラ港から主な市場である Blantyre までの最短路線 (575 km)であった。一方、モザンビーク の Tete 州経由で道路を使用した場合の距離は 825km である。 マラウィの鉄道システムは、国外への最短ルートを走っているにもかかわらず、信頼性や効率 性が悪い。主な問題点は、以下のようなものである。 ・ 国内のカバーエリアが小さい ・ 設備管理が低レベル ・ ナカラ港の状況が十分でない ・ 制度的な整備状況が十分でない ベイラルートの鉄道に関わる主な問題点は、1997 年の Chiromo 橋の崩壊と 2003 年の Rivirvi 川の鉄道橋の崩壊である。後者は 2005 年に再建されたが、Chiromo 橋はベイラ港からの鉄道ネ ットワークを再建するために取り換えなければならない。ベイラ港の主な不利な点は、港近辺 27km にわたって泥が沈殿しており、運営が難しいことである。しかし一方モザンビークにおいて、 80 EU からの調達資金によるベイラ回廊の改善や、コンセッションによるセナ国境までの再建が行わ れたことで、マラウィにとってのベイラ鉄道ルートの利用価値は向上した。さらに、ザンビアはマラ ウィとの国境地域の Chipata から Mchinji までの路線を延長したが、このルートが再建されると、 マラウィの中央および北側とザンビア東部から海への最短アクセスルートになるため、マラウィに おいて鉄道交通が有効な手段となる。 ナカラの Nkaya-Nayuchi ルートは総距離 101km で、Nkaya (Blantyre から約 90km 北)から国 の東部に延び、さらに Liwonde を通ってモザンビークとの国境 Nayuchi まで延びており、Nayuchi からナカラ回廊は、モザンビークの Entre Lagos、Cuamba、Nampula を通ってインド洋とマラウィ をつないでいる。しかし、モザンビークの Entre Lagos から Cuamba までの 77km の区間は、状 況が悪い。 この区間は平均時速 15~20km で、普通 6~7 時間かかる。また、雤季は線路が水面下になる ので鉄道の運行が中止になる。ナカラ港からマラウィに戻るためは、通常はリードタイム 2 日のと ころ、8~10 日かかる。頻繁な洪水や、ナカラ港の効率性の悪さで状況はさらに悪化しており、こ のルートを使う顧客の信頼を減尐させている。しかし、マラウィ国内市場へのアクセスを増加させ る観点から、マラウィの鉄道ネットワークの一部である Nkaya から Nayuchi までの 101km の区間 を改善することは、国際的にも国内的にも重要なことであるといえる。 2011 年 4 月、ブラジルの鉱物会社 Vale は、Blantyre から Moatize 鉱山までの 100km をカバ ーする鉄道網の構築について、マラウィ政府と間で同意書を締結した。これは鉱山からマラウィを 通過してナカラ港まで続く 900km の鉄道回廊を建設するものである57。 マラウィの鉄道は長年全体的にメンテナンスされておらず、現在の利用を続けるためには点検 が必要である。さらに線路の状況が悪く、減速するところが多くある。もし大規模な修繕(Chiromo 橋の取り換えを含む)が行われなければ貨物量は減尐を続け、また残りの区間では脱線のリスク を避けるため、更なる低速運行の必要が生じることになる。 加えて、列車が古く線路も安定していないためホイールのメンテナンスを強化しなければならな くなり、オペレーションやメンテナンスのコストも増加することになる。インフラの貧弱さ、自然災害、 制度面の不整備により鉄道の運行は頻繁に停止し、経営に影響している。運営は the Ministry of Transport and Public Works (MTPW)による 10 年間のコンセッション 契約に基づいている。 ④ 水路 マ ラ ウ ィ 政 府 は 水 路 交 通 を 、 MGDS 58 を 通 し た 優 先 領 域 の 1 つ だ と 考 えてい る 。 特 に Shire-Zambezi はマラウィからの海へのアクセスを可能にするものである。MGDS では、特に鉱 物のような重くかさばるものを運ぶ際、水路は便利で安価な代替交通手段であるとされているも 57 58 出所:Railway Gazette 3.10, p 48 Malawi Growth and Development Strategy。マラウィ政府が 2006 年から 2011 年まで計画 した成長戦略。 81 のの、マラウィ湖における港湾キャパシティ不足により、そのような恩恵を受けることができない。 図表 3-59 に、Malawi Lake Service の 2004 年以降の貨物と乗客量を示す。 年 乗客 貨物(t) 2004 2005 66,895.0 52,520.0 57,584.0 2006 58,837.0 2007 4,793.0 4,167.0 14,476.4 20,463.6 年成長率 乗客 -21% 10% 2% 貨物(t) -13% 247% 41% 図表 3-59 Malawi Lake Service(MLS)の乗客量、貨物量 マラウィ湖には主に Chilumba、Nkhatabay、Chipoka、Monkey-bay 等の港があるが、すべて 老朽化しており、水上交通に影響している。港の設備は全般的に貧弱であ り、Chipoka と Chilumba 港 の み 埠 頭 や 、 入 庫 出 庫 設 備 、 倉 庫 、 修 復 ヤ ー ド や 保 存 タ ン ク な ど が あ る が Nkhotakota 港の埠頭は老朽化していて使うことができない。Monkey bay 港だけは民間企業 Malawi Lake Services によって、2008 年にコンセッション契約が終了するまで運営されていたが、 現在は政府が湖の港すべてを運営している。 マラウィ港で取り扱うものには、食料、肥料、建設資材、日用品、燃料および乗客(地元民およ び観光客の両方)が含まれる。水上サービスについては Malawi Lake Services が乗客減および 貨物の増加に直面している。2004 年以降、乗客は 12%減で、貨物は 300%以上増加しており、 貨物の増加は Dwangwa の Nagala 港の開港によるものと考えられる。Nagala 港はエタノール会 社と Dwanga Sugar Corporation の貨物を主に運んでいるが、マラウィ湖の港の整備状況の悪さ のため乗客は減り、貨物サービスの収益性は低い。 82 図表 3-60 マラウィ湖の主な港 【現地視察】 本調査において、マラウィ湖の Chipoka の港湾施設の視察を行った。通常は、ここまで貨物が 入り込んで、湖で採取された砂(Heavy Mineral Sands)をここで積み上げて、列車で運ぶとのこ と。 83 Chipoka 港はマラウィ湖に面している 港内には貨物のクレーンや線路が確認できる。ここを貨物が出入りするとのこと ⑤ 電力 (ア) 電力需要と供給 現在マラウィにおいては、大半の電力が小規模な水力発電によって発電されており、発電量は 不足している。送電、配電システムとも荒廃状況にあり59、技術面においても遅れ、メンテナンスも 十分になされていない状況である。 マラウィの急拡大する鉱物セクターには、信頼性の高い電力が必要となる。また 2010 年データ によると、産業の成長およびそれに牽引される家庭内の電力需要の増加もあり、さらに電力が不 足している。 マラウィでは電力の発送電は Electricity Supply Commission of Malawi (ESCOM)が行ってい る。電力不足のため、平均電力分配(一日に一定期間停電が行われる)が行われ、平均では毎日 16 時間半の電力供給しかなされない。この状況が、マラウィのビジネスを阻害していると言える。 59 the Millennium Challenge Account – Malawi in 2011 84 (MW) 1000 900 800 864 700 600 500 286 予想電力需要 351 予想設備容量 400 460 300 200 329 360 100 0 2010 2016 2021 2030 (年) 図表 3-61 マラウィの電力受給予測 図表 3-61 によると、電力需要は 2010 年には 393MW、2030 年には 864MW と予想されてお り、162%の伸びとなっている。これは、都市化や、政府の政策による電力アクセスの増加や産業 の発展によるものである。鉱物セクターからの需要も含まれており、鉱物セクターの電力需要の伸 びは 2009 年には 10%、2015 年には 20%まで伸びる予想である。 政府の政策や、Malawi Vision2020 において、電力へのアクセス増加が計画しており、2020~ 2030 年には、尐なくとも人口の 20~30%に電力へのアクセスを整備するとしている。 (イ) 送電網 マラウィの送電システムは以下の送電線や変圧器を含む。 a) 1,274 kilometres (km) of 132-kilovolt (kV) lines of which 676 km are on wood poles b) 1,121 km of 66 kV lines with 515 km on wood poles c) 988.5 megavolt amperes (MVA) of grid transformers 現在の送電システムでは大規模な電力需要には対応できず、鉱業セクターに信頼性の高い電 力を供給するためには、尐なくとも 220kV に変更しなければならない。一方、配電システムは下記 のように Electricity Supply Corporation of Malawi (ESCOM)、Southern Electricity Supply (SES)、Central Electricity Supply (CES)、Northern Electricity Supply (NES) に分かれてい る。 a) 4,395 km of 33 kV lines b) 1,988 km of 11 kV lines c) 5,867 km of 0.4 kV lines d) 868.1 MVA step-down transformers 図表 3-62 は、マラウィの鉱業における望ましいインフラ(特に Liwonde、Balaka 地域)を図式化 したものであるが、実現されてはいない。 85 図表 3-62 鉱業関連インフラの望ましい形 【現地視察】 本調査の現地視察において、マラウィの送電網を一部視察した。Lilongwe-Balaka 間にあった 送電網は、下記のように道の脇を沿うように張り巡らされている。 また、Chipoka においても、線路沿いに下記のように送電線を見ることができた。 86 (ウ) 今後の課題 2005 年から 2011 年までの平均 7.1%の経済成長により、政府は鉱物などの成長ポテンシャル のあるセクターを発展させるためポリシーを変え、電力需要を大幅に増加させた。その結果、現在 マラウィでは頻繁に電力平均分配と停電が発生し、産業の制約となっている。 マラウィの電力セクターの最大の課題は下記の通りである。 a)拡大する需要に対して、発電、送電、配電のキャパシティが足りない b)事業所および国内の一般家庭に対しての供給のクオリティの低さ、信頼度の低さ c)規制・制度上のフレームワークの弱さ d)プライベートセクターの参画への誘導と権限付与が足りない e)発電、送電、配電における現在の独占体制と、コストを反映しないため財政的に制限のある 送電および供給 マラウィの電力関連の問題は the Ministry of Natural Resources, Energy and Environment (MNREE)、政策と戦略的な問題は the Office of the President and Cabinet (OPC)がそれぞれ 担当している。MNREE はマラウィのエネルギーセクターがガバナンスを行う全般的なエネルギー フレームワークを担当する。 先に述べたとおり、マラウィの電力会社は The Electricity Supply Corporation of Malawi (ESCOM) であり、同社が唯一の水力の発電および送電企業である。ESCOM の持分はマラウィ 政府が 100%保有しており、発電セクター資産のシステム開発計画とメンテナンスを担当してい る。 また、2008 年 1 月、The Malawi Energy Regulatory Authority (MERA)が the Electricity Regulation Act of 1998 に基づいて設立され、発電関連の規制を担当している。MERA が担当す る具体的な活動は、下記の通りである。 87 a)卸売および小売の料金表の承認 b)電力供給、サービス提供への規制の策定 c)顧客満足度の向上 d)電力開発、マネジメント、オペレーションに対するプライベートセクターの誘致 マラウィ政府は、マラウィの成長のカギとなるセクターである鉱業、工業、旅行セクターの発展に とって、発電システムの効率化が必要不可欠であると認識している。政府の長期的な目標は、発 電、送電、配電の開発と拡大である。中長期的な目標は、再生可能エネルギー、および都市部と 地方の電化の促進であり、そのための発電所の開発を確実にする予定である60。政府は電力セ クターに 6 つの鍵となる戦略を設定し、中期的に実行する予定である。 a) 追加の発電所の開発 b) 再生可能エネルギー源の促進 c) 発電、送電、配電のマネジメントの改善 d) 都会と地方の電化の促進 e) 発電と配電における政府と民間のパートナーシップの促進 f) 規制環境の改善 (3) ザンビア ① 鉄道 ザンビアの鉄道セクターは Zambia Railways (ZR) と Tanzania Zambia Railway Authority (TAZARA)の 2 つの組織によって運営されている。Zambia Railways (ZR) (Railway Systems of Zambia (RSZ)とも呼ばれる) は DRC(コンゴ)との国境からの路線から Livingston までの路線を 運営し、Tanzania Zambia Railway Authority (TAZARA)は Kapiri Mposhi から Dar es Salam ま での路線を運営している(図表 3-63)。 RSZ はザンビアに登録された民間企業であり NLPI Ltd (NLPI)の子会社である。NLPI は南ア フリカの金融機関(Nedbank Ltd, Old Mutual and Sanlam)と New Limpopo Bridge Projects Limited (NLP)による、投資持ち株会社である。NLPI コンソーシアムは 2003 年 2 月 14 日に 20 年(10 年の延長あり)コンセッションの合意を行っている。 ザンビア鉄道は 900km 以上にわたる本 線と 300km の支線から成り、Sakania(DRC との国境)と Livingston(ザンビアとの国境)の間を結 んでいる。ザンビア北部のカッパーベルトもカバーしている。 同社は 48 の機関車と 4,000 のワゴンを保有し、作業所と最新の補修メンテナンス設備も保有し ている。 60 MGDS II 2011~2016 88 一方 TAZARA は、タンザニア政府とザンビア政府が 50%ずつ出資した組織である。両国は自 国の鉄道会社を持っている(Tanzania Railways Corporation (TRC) および Zambia Railways Limited)が、TAZARA は両国の国会法の規制下にあり、本社はタンザニアの Dar Es Salaam に ある。Mpika と Dar es Salaam にそれぞれ地域オフィスがある。TAZARA 線はザンビアの銅の輸 出ルートの代替として 1976 年に建設された。鉄道は中国から 5 億 US ドルの出資を受けた。報道 によると、中国政府は現在 6000 万 US ドルの鉄道関連の負債の 50%を放棄することを検討して いるとのことである。中国は最近この路線への投資を復活させ、修復と更なる開発に 4000 ドルの ソフトローン(長期低利貸し付け)を行った。このローンは新しい機関車のエンジンの購入や、貨物 列車の修復や購入に使用される予定である。 図表 3-63 ザンビアの鉄道路線 ザンビアの鉄道は、現在全長は 2,157km であり、2004 年から現在までほとんど発展していな い(図表 3-64)。 89 ザンビアの鉄道の総延長 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0 1995 Railway (Km) 2,164 2002 2,173 2003 2,173 2004 2,173 2005 2,173 2006 2,157 2008 2,157 2010 2,157 図表 3-64 ザンビアの鉄道の総延長 しかし、鉱山エリアには鉄道が進出しておらず、後述するように鉱物資源の輸送はトラック輸送 に依存している状況である。 ② 道路 ザンビアのほぼすべての銅は最終的には輸出されるが、その際カッパーベルト州と南アフリカ のダーバン(2,600km)、もしくはタンザニアのダルエスサラーム(1,800km)を結ぶ南北回廊を経由 する。銅の重さや量から、世界の銅産業の多くのケースにおいては、長距離の輸送は道路よりも 安価な鉄道を通じて行われる。しかしザンビアでは、カッパーベルトとダルエスサラームやダーバ ンを結ぶ鉄道路線のシェアは尐ない。公営の下で荒廃していた鉄道システムは、民営化によって も再建する投資やスキルを十分に得ることができず、しかも、新しい鉱山エリアには路線が進出し ていない。対照的にトラック会社は、鉄道システムが欠けている中ザンビアの銅の市場への輸送 において圧倒的な地位を占め、回廊においてははるかに非効率であるにも関わらず価格優位性 を持っている。 ト ラック会社はインタビューにおいて、カッパーベルトから ダーバンまでの南回りの道は 4.2cents/tkm61で、北回りが 6.7cents/tkm であると答えた。南回りの価格は他のアフリカの交通 回廊や中国やフランス(5.0cents/tkm)などの国に勝るとも务らない価格である。しかしながら、銅 のトラック輸送は、不要な価格上昇や輸送時間の問題を抱えている。国境通過の問題(後述)以外 にも、問題として、高い原油価格、道路状態の悪さ、貨物の盗難のリスクなどである。 国境通過コストの遅れの逸失コストは、アウトバウンド(顧客への製品輸出コストに影響)とイン 61 tkm=tonne kilometer 90 バウンド(サプライヤの輸入に影響)の両方が銅産業への問題となる。銅の輸送における最も際立 った問題は、Chirundu と Beitbridge の間の国境のコストで、輸送コストに 25%のサーチャージ、 つまり、0.8~0.9Cents/tkm 程度が加算されている。加えて、貿易手続きに関わる行政上の要件 や手続きを削減することにより、手続き費用 (現在カッパーベルトからダーバンまでが 0.7~1.1Cents/tkm、カッパーベルトからダルエスサラームまでが 1.0~1.6tkm)を大きく削減する可 能性がある。62 ザンビアの主な道路ネットワーク(Core Road Network (CRN))は下記に区別され、全体で 40,113km の道路を構成している。 道路の種類 CRN (km) 幹線道路 3,088 主要道路 3,691 地方道路 13,707 都市道路 5,294 主な支線道路 14,333 合計 40,113 出所: RDA 8% 9% 幹線道路 Trunk (T) 主要道路 Main (M) 36% 地方道路 District (D) 34% 都市道路 Urban 主な支線道路 Primary 13% Feeder (PF) 図表 3-65 ザンビアの道路ネットワーク 63 道路の状態は、図表 3-66 に示す通りである。特に、舗装されていない道路の状態は、2006 年 から 2009 年にかけて悪化している。 62 出所:The world bank「What would it take for Zambia’s copper mining industry for achieve its potential?」 63 出所:RDA 91 図表 3-66 道路の状況(左が舗装道路、右が非舗装道路) ザンビアの道路ネットワークを図表 3-67 に示す。 図表 3-67 ザンビアの道路ネットワーク 92 ③ 電力 (ア) 電力需給状況 ザンビアの公営送電網からの電力コスト(US ドル 0.04-0.06 per kWh) は、世界でも最低水準 である。しかし鉱山業界にとっては定期的な故障は、採鉱や精製などに用いる電力に影響を与え るため、場合によっては長期の休業につながりかねない問題である。2008 年のように頻繁な故障 が発生した場合、電線からの電力と高価な予備のディーゼル発電(US ドル 0.32-0.40 per kWh) を組み合わせて利用せざるを得ず、送電網からの電力が信頼できる国と比較して価格競争力が 务ってしまう。さらに重要なことは、生産の増加に伴う送電網のキャパシティである。40%以上の 生産の増加がないと、産業の百万トンという目標に対して電力が制約になってしまう。電力需要の 増加を見込むと、ターゲットである百万トンの生産は、Kafue Gorge Lower Project が 2016 に開 始して初めて実現可能となる。加えて、産業が国内の他のエリアに及ぶと、送電線の拡張も必要 となる。64 図表 3-68 ザンビアの水力発電の発電量 65 ザンビアの主要な水力発電所における発電量は図表 3-68 のとおりである。Kafue Gorge の設 備容量は 990MW、Kariba North Bank は、720MW、Victoria Falls は 108MW である。2010 年 における主要な水力発電所の総発電量は 11,007 GWh、小規模水力発電の量は 93,312 MWh であった(図表 3-70 参照)。またディーゼル発電については数か所で新しい大きな発電機を注文 しており、2010 年発電量は 14,155 MWh であった。 64 出所:世界銀行「What would it take for Zambia’s copper mining industry to achieve its potential?」 65 出所:ZESCO 93 国内の総発電量は 11,115 GWh でありそのうち 7,789 GWh が国内の経済活動で消費された が、国内経済における電力需要は報告されている消費量よりも高い。供給インフラが十分に整備 されていないために行き渡ってないのである。これは the Power System Development study や Rural Electrification study master plans における主なテーマになっている。 国内消費 (%) 47 35.5 2.5 0.1 1.2 4.3 5.4 1.8 2 0.3 図表 3-69 ザンビアの電力需要 研究では、ザンビアのプロジェクトにおける電力需要は 2007 年から 2020 年までの 13 年の間 毎年 5.3%成長し、2030 年までの 23 年の間では 3.9%成長するとしている。またこの中で 2020 年の電力需要は 15.9 TWh、2030 年の電力需要は 19.4 TWh になるとされている。つまり求めら れるインフラが整備され、経済成長も期待通りすすめば、電力消費は 2010 年の 8 TWh から比べ て 2020 年までに 2 倍以上に増加するということになる。 94 図表 3-70 小規模発電所における発電量 図表 3-71 ディーゼル発電所における発電量 電力の輸出入統計をみると、ザンビアがほぼすべての SADC 加盟国に電力を輸出しており、ま た主に南アフリカおよびコンゴ共和国から輸入している。2010 年には Victoria Falls 発電所と Katima Mulilo をつなぐ 220 kV の送電線が建設されたため、ナミビアへの輸出に影響している。 95 2007 2008 2009 2010 輸出 (MWh) 416,720 95,843 589,078 578,040 輸入 (MWh) 274,828 263,706 9,877 12,870 図表 3-72 4 年間の電力輸出入 国 輸出/輸入 電圧(kV) 変電所 ターゲットフロ ー (MW) Congo DR 輸入 220 Michelo 200 Congo DR 輸入 330 Lumwana 500 Tanzania 輸出 330 Kasama 200 Zimbabwe 輸出 330 Kariba North 200 Zimbabwe 輸出 330 Victoria falls 100 Namibia(targeted) 輸出 220 (330) Katima Mulilo 200 輸出 330 Msoro 100 Malawi * 図表 3-73 SADC 地域における電力輸出入 ザンビアでは水力および太陽光発電のポテンシャルが高く、また広大な土地はバイオマスガス 化発電プラントの開発のための農園に利用することができる。 下水汚泥や食品業界における廃棄物を再生可能エネルギー源として用いる可能性は、ますま す高まっているとみられている。 腐敗しやすい濡れた廃棄物はバイオガスプラントで利用でき、ここでは微生物が廃棄物をメタン に変化させる。このメタンは発電や車の燃料に用いることができる。 (イ) 送電網 図表 3-74 は容量が 66kv 以上の送電線を示している。これをみると、Kalomo や Lundazi 等の 街には送電線網が行き渡っていない。図は、発電から(国内の)消費までの過程においてどのよう に電力が上下しているかも示している。 Shiwa Ng’andu の発電所は 2012 年 4 月、Itezhi-Tezhi の発電所は 2013 年の操業開始予定 である。 96 図表 3-74 ザンビアの送電線の状況 (4) ジンバブエ ① 道路 ジンバブエの主な道路ネットワークは下記の通り。 97 図表 3-75 ジンバブエの道路ネットワーク(茶色の線が幹線道路) (ウ) ベイラ回廊 The Bulawayo-Harare-Mutare Road は図表 3-76 に示す通り比較的良好な状態である。現在 は南アフリカの建設会社がこの道路のメンテナンスを行う契約を有しており、作業は既に開始して いる。現在はまだ、全路線のメンテナンスについては不明である。 道路 長さ(km) Bulawayo-Gweru 経過年数 164 47 状態 まあまあ Harare – Gweru 0-50 - Harare – Gweru 50-275 47 まあまあ Harare – Mutare 263 44 まあまあ 8 27 Mutare – Forbes Border Post 良好 务悪 66 図表 3-76 Bulawayo-Harare-Murate 間の道路の状態 Murate-Beira 間の現在の状態は、Harare-Mutare よりも悪い。ある場所はかなりの修復が必 要であり、他にも Machipanda-Chimoio 間は舗装がめくれている場所やはげている場所があり、 66 出所:Department of Roads, Ministry of Transport and Infrastructural Development, June 2009 98 再舗装が必要である。 道路のほとんどが、1 日に 4,000VPD(Vehicle per day)の交通量の受入れが可能となっている。 Table6.1 に示す通り、道路は 20 年の寿命を超えており、修復が必要となっている。下の表に示す 通り、Bulawayo-Gweru で現在の交通量は 1,410VPD(Vehicle per day)、Harae- Mutare 間で 1,640VPD(Vehicle per day)である。 区間 距離 年間平均交通量(一日あたり) (km) 2001 2003 2004 2008 2009 Harare-Chirundu 352.1 1964 828 828 858 1414 Harare-Nyamapanda 237.5 789 883 938 - 3242 Harare-Mutare 270.8 3298 3264 3347 - 1643 Harare-Masvingo 292.0 2116 2515 2222 507 3893 Bulawayo-Plumtree 110.4 831 936 791 625 1054 Bulawayo-Beitbridge 321.7 856 680 637 454 704 Bulawayo-Victoria Falls 439.0 618 679 391 246 1098 82.8 584 584 454 - - Mvuma-Gweru Chivhu-Nyazura 196.5 755 393 393 - - Masvingo-Beitbridge 282.0 1196 1107 1107 494 1363 Gweru-Bulawayo 164.0 1607 1782 1691 1233 1412 - 1392 1262 1178 568 1737 加重平均 67 図表 3-77 年間平均交通量 道路は 1 日中使用可能であり、通常の免許証や運送関連資料以外に特別な手続きは必要とし ない。3 つのゲートにおいて、通行料の支払が必要である。1 つは Bulawayo と Harare の間で、2 つは Harare と Mutare の間である。現在の通行料は下記の通り Motor cycles 1.00 US ドル Passenger vehicles and light trucks 2.00 US ドル Minibuses 3.00 US ドル Buses 5.00 US ドル Heavy trucks 7.00 US ドル Haulage trucks 10.00 US ドル ベイラ回廊の道路は全てが通行可能である。現在のところ、特に制限はない。 (エ) 南北回廊 【Durban-Beitbridge-Harare-Lusaka】 67 出所:AfDB(アフリカ開発銀行)(2011) 99 このルートの Durban-Beitbridge 間は、南アフリカにおける他の高速道路と同様高い水準で建 設されており、状態は非常に良好である。 Beitbridge-Harare 間の道路の状態は悪い。ほとんどのセクションでは道路に沿って路盤、舗 装が深く窪んで変形しており、修復のためには再整備が必要となるような舗装構造上の欠陥があ る。いくつかのセクション、特に Beitbridge と Rutenga の間では、頻繁にくぼみが形成されている が、道路局(DOR)が定期的にこれを補修している。 Masvingo と Harare の間の多くの区間では、 舗装の破壊が深刻である。2001 年、民間企業のコンソーシアムが、この修復およびアップグレー ドを行う"Build Operate Transfer"(BOT)のコンセッション契約を結んだものの、補修工事は開始さ れていない。 他の道路が様々な補修や保全を必要としている一方で、Harare-Chirundu 間の道路は状態が よい。 区間 距離(km) 経過年数 状態 Masvingo-Beitbridge 282 27 务悪 Harare-Masvingo 292 49 务悪 Harare-Chirundu 0~30 23 良好 Harare-Chirundu 30~300 - まあまあ/务悪 Harare-Chirundu 300~352 - まあまあ 68 図表 3-78 ジンバブエの南北回廊における道路の状況 Harare-Lusaka 間の道路の状態については情報の入手が困難であるが、所轄官庁から入手 できると考えられる。Chirundu 丘陵の道路は最近アップグレードされており、良い状態であると考 えられるが、Chirundu 国境に続く部分で道路にくぼみが形成される点には注意が必要である。 道路のほとんどは、4000VPD(Vehicles Per Day)の交通が可能である。道路はその 20 年間の 設計寿命を超えており、リハビリを必要としている。未舗装の路肩を持ついくつかのセクションでは、 メンテナンス不足を原因とした路肩の損傷により通行可能な部分は減っており、交通容量はやや 減尐した。 現 在 の 道 路 交 通 量 は 、 Beitbridge-Masvingo 間 が 1360 VPD(Vehicle per day) 、 Masvingo-Harare 間が 3890VPD(Vehicle per day)、 Harare-Chirundu 間が 1410VPD(Vehicle per day)と、それぞれ異なる。 道路は終日使用可能であり、通常の運転免許証や貨物に関連する書類の他に従うべき手続 や特別な許可制度はない。Beitbridge と Masvingo の間に 2 ヶ所、Masvingo と Harare の間に 2 ヶ所、それぞれ料金所がある。 68 出所:Department of Roads, Ministry of Transport and Infrastructural Development, June 2009 100 道路は全域通行可能であり、現状において制限は認められない。 【Harare-Nyamapanda-Tete】 下図に示すように、Harare-Nyamapanda 間の道路の状態は、おそらく良好・务悪の割合が同程 度ある。道路が建設されてからの経過年数は 27 年であり、ジンバブエにおける幹線道路の平均と比較 すると新しい。 区間 距離(km) Harare-Nyamapanda 経過年数 238 状態 27 まあまあ/务悪 図表 3-79 Harare-Nyamapanda の道路の状況 Nyamapanda 国境と Tete を繋ぐモザンビーク国内の道路状態については不明である。 道路のほとんどは、4000VPD(Vehicles Per Day)の交通容量がある。道路はその 20 年間の 設計寿命を超えており、リハビリを必要としている。現在の交通量は 3240VPD(Vehicle per day) と、非常に多い。 道路は終日使用可能であり、通常の運転免許証や貨物に関連する書類の他に従うべき手続 や特別な許可制度はない。Harare と Nyamapanda の間に 2 ヶ所料金所があり、現在の料金は 前述のセクション 6.1.3 に記載されている。 道路は全域通行可能であり、現状において制約は認められない。 【Durban-Beitbridge-Bulawayo-Kazungula-Lusaka】 Bulawayo-Kazungula 間は Trans Africa Highway の一部である。 Beitbridge-Bulawayo 間の道路の状況は良好である。 しかしながら、補修作業は Beitbridge 付近の道路の終わりから 10km にわたり、いまだ完了していない。 Bulawayo-Victoria Falls 間の状態は良好である。他の区間の状態は悪く、舗装に重大な欠陥 がある。 区間 距離(km) 経過年数 状態 Bulawayo-Beitbridge 322 47 まあまあ Bulawayo-Victoria Falls 439 49 まあまあ/务悪 69 図表 3-80 Beitbridge-Bulawayo-Victoria Falls Road 間の状態 Victoria Falls-Kazungula 間は、主に交通量が尐ないという理由から、良い状態にある。 南北回廊における道路のほとんどが、10,000VPD(Vehicles Per Day)の交通が可能なように 69 出所:Department of Roads, Ministry of Transport and Infrastructural Development, June 2009 101 設計されているが、その 20 年間の設計寿命を超えているためリハビリを必要としている。 Bulawayo-Victoria Falls 間が最も古い区間であり、現在の交通量は Beitbridge-Bulawayo 間が 700VPD(Vehicle per day)、Bulawayo-Victoria Falls 間が 1090VPD(Vehicle per day)である。 道路は終日使用可能であり、通常の運転免許証や貨物に関連する書類の他に従うべき手続 や特別な許可制度はない。Beitbridge と Bulawayo の間、Bulawayo と Victoria Falls の間、 Victoria Falls と Kazungula の間に料金所があり、現在の料金は前述のとおりである。 道路は全域通行可能であり、現状において制限は認められない。 102 ② 鉄道 ジンバブエの鉄道ネットワークは下図のとおりである。 図表 3-81 ジンバブエの鉄道ネットワーク (ア) ベイラ回廊 【Bulawayo-Gweru-Harare-Mutare-Beira】 Bulawayo から Mutare(Mozambique 国境)までの全線は、一般的にまあまあもしくは良いコ ンディションである。長年の間に電化を含む延長やリニューアルプログラムが行われた。 区間 距離(km) 線路/枕木 支配勾配(%) Bulawayo-Dabuka 310.0 連続溶接/コンクリート製 1:80 Dabuka-Harare 162.3 連続溶接/コンクリート製 1:80 Harare-Theydon 88.3 連続溶接/コンクリート製 1:50 Theydon-Macheke 18.1 継目板/コンクリート製 Mutare-Machipanda 9.9 1:50 継目板/木製 1:35/1:60 *1067mm ゲージ 図表 3-82 ジンバブエの鉄道ネットワークの特徴 70 出所:National Transport Study, 1985 (updated) 103 70 この路線は Centralalised Train Control (CTC) という信号方式のもとに設計されている。し かし、強盗、破壊行為、陳腐化等のため、現在はほとんど機能していない。このシステムのボ トルネックは Dabuka と Msasa(Harare 内)で、高機能の電子機関車の使用を制御するために 電化された区間である。 長年にわたる幹線のアップグレードは、線路は 45kg/m rail を 54kg/m rail にアップグレードする ことも含んでいる。これは一部の例外を除き次第に達成されてきた。線路と信号方式の進化が進 み、継続的なバラス(砂利)の整備、枕木の入れ替え、古くなった信号方式や通信システムの改修 なども必要となった。 鉄道法に基づき、 National Railways of Zimbabwe(NRZ)は既存の NRZ トラックの貨物と旅 客の両方への効率的な鉄道サービスを提供・維持する義務のある唯一の機関となった。計画の 実行は、Public Private Partnership Programme (PPP) と Build Operate and Transfer を通し て行われることとなる。それによって必然的に、現在道路セクターにおいて適用されている「共通ユ ーザー」原則が適用されることになる。規制当局は、鉄道サービスが将来選ばれるであろう鉄道サ ービスプロバイダに、料金表に基づいて貨物にも旅客にも共通のサービス料金を適用させること になるであろう。 略奪行為や電波の干渉は通信インフラに深刻な影響を与えるとともに、脱線が多いため速度 制限が過多であるという問題も発生している。加えて、線路の状態が悪いため軸重にも車両の重 量にも制限が発生している。 (イ) 南北回廊 【Durban-Bulawayo-Victoria Falls-Lusaka- Dar es Salaam】 1996 年、ジンバブエ政府、New Limpopo Bridge Project Limited(NLB)、 National Railways of Zimbabwe(NRZ)は JV を設立し、 Beitbridge-Bulawayo 間の鉄道の運営に関して、政府から Build , Operate and Transfer (BOT) 方式に基づいて 30 年のコンセッション契約をとりつけた。 この民間所有の鉄道区間は Durban-Bulawayo-Victoria Falls-Dar es Salam corridor の一部を 形成している。 Bulawayo-Victoria Falls 区間は NRZ system の一部であるが、この区間の BOT の路線は、 まだ新しく適切に維持されており、状態は良好である。情報通信インフラについても同様のこと が言える。一方、Bulawayo と Victoria Falls を結ぶ隣接線においては、信号や通信システムが 古いため状態は悪く、脱線が一般的で路線全体に速度制限が適用される。鉄道は 99kg/m レベ ルで設計・構築され、これまで維持されてきた。鉄道セクションの情報システムは、南回廊上の増 加する交通量に十分対処している。Bulawayo と Victoria falls の間における NRZ の区間のレー ルは 45kg/ m の連続溶接でコンクリート製の枕木を使用しており、1:120 の支配勾配を持つ。 輸送容量の不足要因は、車両と牽引力の不足だけでなく、情報通信システムにも大きく起因し ている。 104 JV の BOT 契約の下、Beitbridge Bulawayo Railway (Pvt) Limited (BBR)という企業が、BOT ライン(Beitbridge~Bulawayo)鉄道事業を管理している。NRZ が所有する Bulawayo-Victoria Falls 間の運営の要件は、他の NRZ の区間の場合と同様である。 BOT サービス業者は、Beitbridge Bulawayo 鉄道に関して重要な問題は特に示していない。 Bulawayo-Victoria Falls の NRZ 区間は Hwange 炭鉱にとってのライフラインであるが、务悪な 線路、また車体および牽引力が不十分であるという問題が鉄道のパフォーマンス悪化原因となり 続けている。この区間では、多数の脱線が発生する。 【Beitbridge-Rutenga】 Beitbridge-Rutenga 間の鉄道は NRZ の鉄道網の一部であり、もともと Bulawayo や Harare 方面からの交通を南アフリカの港湾とつないで対処するために構築された。BOT 契約の下でジ ンバブエ政府は、Beitbridge-Bulawayo ルート(Rutenga 経由)で輸送されているすべての貨物 を BOT ルートでの輸送にかえることを約束した。 Rutenga~Beitbridge 間の状態は良好である。これはもともと、45kg /m の連続溶接で設計さ れコンクリート製の枕木を使用しており、1:120 の支配勾配を持つ。 本鉄道はまた、自動集中型列車制御(CTC)システムの下で設計されたが、盗難や破壊行為、 陳腐化といった影響を受けている。 鉄道は 45kg/ m のキャパシティで設計・構築された。鉄道セクションの情報システムは、南回廊 上の増加する交通量に十分対処している。 本線のキャパシティ改善計画は、総じて 54kg/m の積載キャパシティを達成した。 本線における大多数の車両のケースと同様、設計寿命を超えながらもヘビーメンテナンスによ って支えられている。 鉄道法を通じ、NRZ は現在、既存の NRZ 車両のよる貨物および乗客輸送の効率的な鉄道サ ービスを提供および維持する任務を負っている。PPP や BOT をパイプとして、他のプレイヤーを 鉄道セクターに呼び込む計画が立てられている。これは、現在道路セクターに適用されているよう に「利用上の一般原則」の適用を伴うとみられる。また、鉄道サービスに関する規制機関の設立 が予定されており、将来の許可された運営業者による運営の条件を決定することが目的とされ る。 サービス料は、定期的に発表される関税率表に基づいており、運行は必要に応じて時刻表に 基づく。 頻繁な脱線に伴う一時的な修理が原因で速度制限の標識が過多となっており、一方で破壊行 為や電波障害が情報通信インフラに深刻な影響を与えている。 線路の状態が悪いため、軸重にも車両の重量にも制限が発生している。 105 ③ 電力 (ア) 電力の受給状況 ジンバブエには、Kariba 水力発電所、Hwange 火力発電所、Harare、Bulawayo、Munyati に ある小規模な火力発電所などがある。発電キャパシティは、約 1,940MW であるが、現在のジン バブエで生産されている電力量は Zimbabwe Power Company (ZPC)ウェブサイトによると 1,065MW であり、内訳は次のとおりである。 ・ Kareiba-738MW ・ Hwange-310MSW ・ Harare-0 ・ Munyati-17MW ・ Bulawayo-0 国の需要量は 2,200MW で、約 1,100MW 不足している。需要のトレンドは下記のグラフに 示す。ジンバブエは 50~300MW を、南アフリカの Escom、モザンビークの Hydroelectrica Cahora Bassa、コンゴの Cnsl から輸入している。 図表 3-83 ジンバブエの電力需給状況 71 出所:ZESA(ジンバブエの電力会社) 106 71 72 図表 3-84 電力需要予測 (イ) 送電網 ジンバブエの電力ネットワークは、ザンビア、モザンビーク、南アフリカ、ボツワナと、全ての隣 国と接続されている。内部では大変広域のネットワークを保有し、全行政区に行きわたっている 図表 3-85 に、ジンバブエの送電網を示す。 72 出所:ZESA(ジンバブエの電力会社) 107 73 図表 3-85 送電線の状況 (ウ) 開発計画 電力ポテンシャルは Gokwe North の Sengwa、Binga、Tuli、Chiredzi の炭田、Lupane のメタ ンガスに存在する。 将来の水力発電は、Batoka Gorge、Devil’s Gorge、Mupata Gorge、Zambezi River 全域、 また小規模な水力発電所は Eastern Highlands の Manyuchi と Mtirikwi ダムに存在する。 73 出所:AfDB(アフリカ開発銀行)(2011) 108 全体の電力は、2012~2020 年の発電プロジェクトで計画され、Kariba および Hwange 発電所 の改善を含んで、2709MW であり、コストは 72 億 US ドルである。下記の表を参照のこと。 プロジェクト 発電力(MW) 費用見積(百万 US ドル) 完成予定 小規模水力 Manyuchi Gairezi Mtirikwi 1.44 4 2012 2.5 50 2013 5 10 2013 Hwange 7&8 600 900 2015 Coal Bed Methane 300 280 2015 Kariba South 7&8 300 400 2015 Batoka Hydro Plant 800 2000 2018 Gokwe North 1&2 700 3600 2020 図表 3-86 ZESA の今後のプロジェクト 74 出所:ZESA(ジンバブエの電力会社) 109 74 75 図表 3-87 現在および今後可能性のある発電所 75 出所:AfDB(アフリカ開発銀行)(2011) 110 4. ソフトインフラ (1) 越境輸送(CBTI) ① 国境における主要都市 モザンビークは 5 カ国と国境を接している。当該国境における主要都市は下表のとおりである。 Cuchamano Negomano Chassacatiza Domue Mandimba Zumbu Zobue Mukumbura Milange Nyamapanda ,Cuchamano Machipanda Espungabera Chicualacuala (Vila Eduardo) Pafuri Giryondo Ressano Garcia Namaacha Goba Ponta do Ouro 州 Maputo 州都 Maputo 国境地域(モザンビーク) 国境地域(隣国) Xai-Xai 時間 Ressano Garcia Komatipoort South Africa 06H00 - 00H00 Namaacha Lomahasha Swaziland 07h00 - 22h00 Goba Gaza 隣国 Swaziland Ponta do Ouro Kosi Bay South Africa 08h00 - 17h00 Pafuri Limpopo South Africa 08h00 - 16h00 Chicualacuala Chicualacuala Zimbabwe Giryondo Giryondo South Africa 111 Manica Chimoio Tete Tete Machipanda Forbes Zimbabwe Espungabera Espungabera Zimbabwe Mukumbura Mukumbura Zimbabwe Cuchamano Cuchamano Zimbabwe Zumbu Zumbu Zimbabwe 06h00 - 18h00 /Zambia Chassacatiza Chassacatiza Zambia Dómuè Dedza Malawi Zóbuè Mwanza Malawi 06h00 - 18h00 Zimbabwe 06h00 - 18h00 Nyamapanda Zambezia Quelimane Milange Mulange Malawi 06h00 - 18h00 Niassa Lichinga Mandimba Chiponde Malawi 06h00 - 18h00 Cabo Pemba Negomano Delgado Namuiranga Tanzania Mwambo 図表 3-88 モザンビークの国境都市 ② Tanzania 76 越境に必要な手続 以下は、モザンビークにおける貨物の輸出入手続の概要である。 (ア) 出荷前検査(IPE – “Inspecção Pre-Embarque”) いくつかの輸入品は Pre-Shipment Inspection (PSI)が適用される。これは、政府との契約にも とづき Intertek Testing Services (ITS)により行われる。 IPE の通常の料金は、輸出入しようとする者の不備等により追加的な検査が必要とならない限 り国が負担する。 検査の内容としては、自己申告と Single Document Certificate (DUC – “Documento Único Certificado”)に基づき、申告された貨物の内容と量、関税の分類、税務上の 価値の表示等の確認が行われ、税額計算も含まれる。 この手続が適用される貨物は Ministerial Diploma n. No. 19/2003 of February 19 (出荷前検 査規則)に添付される表(Positive List)に記載されている。ここに記載されている貨物について輸 出入しようとする者自身による不備がある場合、IPE 検査を受けなければ出荷できない。しかしな がら、輸入貨物の入荷後検査 (IPD)をうけた結果、税務上価格の 10%にあたる罰金を支払う可 能性がある。 (イ) 税関での課金 関税は関税価値に基づいて計算される。たとえば輸出するときに実際に支払われた、もしくは 支払うべきとなった価格がこれにあたる。これに基づき、General Agreement on Tariffs and Trade - GATT 1994 の規定に従って、基本料金である「従課税(ad valorem)」に加えて 2.5%(原 料)~25%(必需品ではない消費財)の調整がなされる。 76 出所:http://www.routes.co.za/route/bordercontrol.html 112 関税に加え、輸入品には 17%の付加価値税(VAT)や 15%から 65%の特別消費税(Specific Consumption Tax (ICE))が課税される場合がある。また、anti-dumping surcharge rate of customs (TSA)やそのほか法的に定められた課金等、さらに別の課金がなされる場合もある。 輸入/輸出に関わらず、通関手続きは斡旋業者かまたは輸出入しようとする者が雇った公式 な代理人を通して行わなければならない。これらの業者は Directorate General of Customs の 許可が必要である。 またトレーダー(輸入・輸出)は登録によって Ministry of Industry and Trade から輸出入の許可を受けなければならない。これは1年ごとに発行される。 (ウ) 必要事項 【輸出するためには】 関税と通関手続の目的はすべての貨物を対象として Single Document (DU)の一部として公表 された。これには、通過税の例外等の特別な法定事項や、関税の支払い(現在 0%で設定されて いる)といった内容は含まれていない。 Single Document (DU)は、以下の書類とともに税関に提出されることになる。 ・ 輸出者登録証 ・ インボイス ・ 支払いに関する銀行取引証明 ・ ばら積貨物の内容リスト ・ 原産地証明書(必要な場合のみ) ・ 植物検疫証明書(必要な場合のみ。貨物の種類による) ・ Model 14 ・ 個人的課金の説明書 (エ) 手続 以下は関税における通関手続きのフローチャートである。 113 国境施設への入場 -> メモ(Memorandum) 出国前-> DUC (必要な場合の み) 書類の提出: • DU; • DUS; • DUA; • Invoice CIF; 書類の受理 ITデータ入力 支払い通知 税、関税の支払い 検証 Release Note 図表 3-89 通関手続きのフローチャート 77 ・道路経由で運び込まれる貨物については、国境で入国時に手続がなされる。 ・運送者もしくはその代表者は、国境の税関で手続し、国内の制度にもとづきターミナルまでの貨 物輸送についてメモ(memorandum)が発行される。 ・ターミナルに貨物が到着すると職員がこれを税関に運ぶ。出荷前検査を受けた貨物については Unique Document (DU) もしくは Certified Unique Document (DUC)のフォームを使用し輸入 の申告を行う。(これは道路、海上、鉄道のいずれを経由して輸入された貨物においても共通の 手続である。) 現行制度では申告は貨物到着予定時刻から 48 時間以内に提出されなければな らないが、通関手続には影響しない。 ・申告は、必要最低限の内容を満たしているかどうか、正確に作成されているか、必要書類が添 77 出所:Portal do Governo de Moçambique 114 付されているか、チェックされる。 もし不備がなければ申告は受理され、コンピューターに登録さ れて番号を割り当てられ、その後の手続にすすむ。重要なのは、モザンビークにおける通関手 続きは、IT を活用してはいるが手書きの記録も使用している点である。 ・コンピューターシステムから支払い通知が発行され、職員が国庫への支払いを行う。申告書は 受理後メモや積荷目録との照合が行われる。 通関申告前の場合は留置され、貨物の到着が 待たれることになる。 ・照合後申告書は検証セクションに渡され、必要事項を満たしていれば Release Note が発行され る。 これ以降、輸入者は貨物の引き取りをすることができる。 (オ) 支払う金額 【輸出】 ・ 登録および更新:MZN 250.00 ・ 輸出品にかかる関税:0% ・ 法定レートにもとづき計算された過大評価 ・ 証明書原本:MZN 360.00 ③ モザンビークにおける通関手続きの時間 モザンビークの主要な国境における 2,505 の輸入プロセスを分析した調査で報告された通関手 続き時間についての概要を、下表に記載する78。 税関当局は 2011 年 12 月近代的な手続プログラムのシステムを導入しており、これにより手続 時間を短縮したいと考えている。Electronic Single Window と呼ばれるプログラムは、申告の手 続が電子的に可能になる2つの IT システムを実装する予定である。 Single Electronic Window により、輸入者は関税の申告がしやすくなり、また実際の貨物の到 着前であってもすべての税金が銀行を通して支払えるようになる。これは手続の時間を短縮させ ると考えられる。 ④ 通常の通関手続時間 貨物の到着から Release Note の発行までに要する平均時間は 4 日間と 15 時間 29 分であり、 最短時間は 6 分、最長時間は 30 日間と 5 時間 6 分である。 また調査によれば、貨物が国内に到着してから関税に運ばれて申告される平均時間は 14 時 間 28 分である。さらに、手続時間の半分は2つの内容に費やされており、ひとつは支払い通知書 78 出所:Ministry of Finance of Republic of Mozambique「Time release study report」 115 の発行から実際の支払いまでの時間(1 日と 1 時間 45 分)、もうひとつは検証(varification)から Release Note の発行までの時間(2 日間と 2 時間 23 分)である。 手続 最短 貨物の到着~Release Note の発行 最長 6 分 手続 平均 30 日 5 時間 6 分 最短 4 日 15 時間 30 分 最長 平均 貨物の到着~DU の提出 3 分 30 日 35 分 14 時間 49 分 DU の受理~支払い通知 1 分 13 日 54 分 13 時間 55 分 地払い通知書~支払い 2 分 14 日 1 時間 35 分 1 日 1 時間 45 分 支払い~調停 1 分 9 日 23 時間 50 分 5 時間 7 分 18 分 39 日 2 時間 14 分 2 日 22 時間 23 分 1 分 14 日 10 時間 6 分 13 時間 4 分 検証(Verification)~Release Note の発行 Release Note の発行~貨物の引き取り 79 図表 3-90 通関にかかる時間 国境手続き円滑化(OSBP)プロジェクトとは、隣接する国々での出入国手続を、それまではそれ ぞれの国内で別々に行っていたものを、1 つの施設内で共同して実施するものである。 南アフリカ成長ベルト広域協力プログラム予備調査によると、国境通過にかかる予備的評価の 結果は下記のとおりである。80 国境 交通量 遅延 準備 全体か 可能性のある 関心のある開 (トラック 時間 態勢 らみた プロジェクト要素 発パートナー 台数/日) チルンド(ジンバブエ–ザンビ ア、南北回廊) 優先度 大 長い (270) (様々) カズングラ(ボツワナ–ザンビ 中 長い ア(–ジンバブエ)、南北回 (115) (1-2.5 日) 大 長い (287) (1-2 日) 大 長い (350) (1-3 日) 万全 万全 高 リスク管理、総合的な国 DFID、 (9) 境管理、追加トレーニン World グ、ICT、モニタリング、地 Bank、 域開発 JICA 高 AfDB からの共同出資が AfDB、 (8) あれば全 側面 の可 能性 DFID、 廊) ベイトブリッジ(南アフリカ–ジ ンバブエ、南北回廊) カスンバレッサ(DRC–ザン ビア、南北回廊) 中程度 中程度 79 (日本を含む) あり JICA 高 インフラ・施設、法的側 DFID (8) 面、トレーニング 高 ICT、法的 側面 、文 書の フランス、 (8) 統一、手続きの簡易化、 DFID、 OSBP の手続きの実施 DBSA 出所:Time release study report” of Ministry of Finance of Republic of Mozambique, USAID, May 2007 80 出所:JICA「南アフリカ成長ベルト広域協力プログラム準備調査」 116 レボンボ–レッサノガルシア 大 普通 (南アフリカ–モザンビーク、マ (200-455) (6-7 時間) ウェネラ–カティマムリロ(セシェ 小 長い ケ)(ザンビア–ナミビア、トラン (20-25) (1-3 日) 中程度 中 当面のニーズは適切な事 DFID、 (7) 業計画と実施可能性調査 DBSA 中 おそらく法的側面を除く全 DFID、 (7) 側面 SIDA、 プト回廊) 万全 スカプリビ回廊) UNCTAD オシカンゴ–サンタクララ(ナミビ 小 長い ア–アンゴラ、トランスクネネ回 (20-25) (3-5 日) 未熟 中 全側面 USAID 中 施設、ICT、および OSBP USAID、 (5) の運営手続きの設計・実 JICA (5) 廊) トランスカラハリ–マムノ(ナミビア 小 短い –ボツワナ、トランスカラハリ回 (20-25) (1 時間) 小 短い (20-25) (1 時間) 万全 廊) 施 ムワミ–ムチンジ(ザンビア–マ ラウィ、ナカラ回廊) 中程度 低 全側面 (4) AfDB、 EU、 JICA マンディンバ–チポンデ(モザ 小 短い ンビーク–マラウィ、ナカラ回 (20-25) (30 分) デドゥザ–カロムエ(マラウィ 小 短い –モザンビーク、ナカラ回廊) (20-25) (2-8 時間) 中程度 低 全側面 (4) AfDB、 JICA 廊) ムワンザ–ゾブエ(マラウィ 小 短い-普通 –モザンビーク、ベイラ回廊) (20-25) (4-8 時間) フォーブス–マチパンダ(ジン 小 データ無 バブエ–モザンビーク、ベイラ (20-25) 未熟 低 全側面 AfDB 全側面 - - DFID、 (4) 未熟 低 (4.5) 中程度 - EU 回廊) ナコンデ–トゥンドゥマ(ザンビア 小 長い 中程度 中 法的側面 –タンザニア、ダルエスサラーム (20-25) (4-5 日) データ無 データ無 データ無 - 全側面 - データ無 データ無 データ無 - 全側面 AfDB (7) DFID、 JICA 回廊–南北回廊) ソングエ–カシュムロ(タンザニア –マラウィ、ダルエスサラーム 回廊–南北回廊) ネゴマノ–ムタンバスワラ(ユニ ティー・ブリッジ、タンザニア–モ ザンビーク、ムトワラ回廊) 注) (1) 交通量:50 以下=小、51~199=中、200 以上=大 (2) 遅延時間:6 時間以下=短い、6~12 時時間=普通、12 時間以上=長い (3) 今日までの OSBP の実施の試みと実績の主観的評価に基づく準備態勢:未熟、中程度、万全 (4) 現段階で全体からみた優先度は、概念的に以下の指標によって評価されている。(i) 交通量(大)に 3 ポイン ト、交通量(中)に 2 ポイント、交通量(小)に 1 ポイント、(ii) 遅延時間(長い)に 3 ポイント、遅延時間(普通) に 2 ポイント、遅延時間(短い)に 1 ポイント、(iii) 準備態勢(万全)に 3 ポイント、準備態勢(中程度)に 2 ポイ 117 ント、準備態勢(未熟)に 1 ポイント、(iv) 優先度(高)は 8~9 ポイント、優先度(中)は 5~8 ポイント、優先度 (低)は 4 ポイント以下。 本文中に記されているように、ベイトブリッジ、レボンボ/レッサノガルシアなどでは異なる交通量推計が発 (5) 表されている。 図表 3-91 国境通過にかかる予備的評価の結果 81 【現地視察】 本調査の現地視察において、税関の視察も行った。マラウィ東部のモザンビークとの国境沿い の越境施設にて、視察を行ったが、この地域は、マーケットがあるためか、人が多く集まり、モザン ビークに抜けようと特に車を止めると、「モザンビーク通貨の両替はいらないか?」と大勢の若者 が集まってくる。 この越境施設は街中にあることもあり、この周辺は多くの若者達にとって商売や隣国から の物資輸送の拠点でもある ここからモザンビークに抜ける場合、写真の施設で税関の処理をして通り抜ける。施設自体は 非常にこぎれいであるが、電力不足や、ガソリン不足に悩まされており、停電が頻発して業務に支 81 出所:JICA「南アフリカ成長ベルト広域協力プログラム準備調査」 118 障が出ているとのことであった。 マラウィでは至る所に簡易的な検問所が設けられており、免許証の確認やクルマの損害保険 の証明、移動目的などを警察官から確認される。 また、Dedza(マラウィ中部にあるモザンビークとの国境税関)の視察も行った。下記は、マラウィ 側からモザンビーク側を見たときの写真である。先方中央部にバーが見える。これを超えると、国 境地帯(どちらの国でもないエリア)となる。これを超えるには、その手前にある、税関で所定の手 続きが必要。実際に体験しているが、いわゆる飛行機の機内で書くものとほぼ同様のもののみで 非常に短い時間で完了した。ただしこれは恐らく筆者に荷物が何も無かったためと思われ、このエ リアでは多くのトラックが列をなし手続を待っていた。 119 マラウィ側や国境地帯には、多数のトラックが税関の処理を待っている。写真は国境地帯をまっ すぐ進んだ時の写真。これらトラックは、モザンビーク側は出られたものの、マラウィ側の手続きを 待っている状態のトラック群。 下記は、国境地帯にあるモザンビーク側の税関である。マラウィは公用語が英語であるが、こ ちらはポルトガル語が公用語で、記入する用紙も、全てポルトガル語であり(英語の併記はあり) モザンビーク側のルールに則っている。 120 モザンビーク側の税関施設。この施設の中で、税関の手続きを行う。 左下写真の税関で手続きを済ませた後に、マラウィ側を見た写真。多数のトラックがモザンビーク 側の手続を待っている様子がわかる。 (2) ガバナンスと透明性 ① 汚職 汚職、もしくは公務員の立場の不正利用、行政手続き及び許認可の透明性は、国際機関やド ナー、事業にとって深刻な問題である。 モザンビークは、182 カ国中、120 位で、スコアは 2.7(0 = 最も汚職が進んでいる; 10 = 最も進 んでいない)と評価されている82。この順位は 2010 年のレポートも変わっていない。 モザンビークで事業を行うにあたり、汚職は 2 番目に大きな問題点であると指摘されている83 82 83 出所:Transparency International´s 2011 Corruption Perceptions Index report 出所:The World Economic Forum competitiveness report 121 資金調達 汚職 公的手続の効率性 労働者の教育水準 インフラの整備 労働規制 外貨規制 税率 犯罪/窃盗 インフレ 労働者の職業倫理 税制 公衆衛生 政策の安定性 政体の安定性/クーデター 0 5 10 15 20 図表 3-92 モザンビークにおいてビジネスを行うにあたっての問題点84 USAID は、Corruption Assessment(2005)において、汚職はモザンビークの発展において重 要な問題であると指摘し、汚職の広がりの要因となるいくつかの要素を示唆した。 ・ 単一政党による独占と、バランスのチェックの欠如 ・ 政治エリートと経済上の利益の統合 ・ 法整備の不十分と、汚職に対する免責 ・ 汚職と組織的犯罪のつながり ・ 説明責任のメカニズムが弱い ・ 世間の汚職への寛容性や報復への恐れ モザンビークの政治および政府は、1992 年の内戦終了時から力を持ち始めた FRELIMO 党に 独占されている。USAID によると、観測筋では、1 つの党による独占が、政党、政府、ビジネスの 境界をあいまいにし、政府の上層部による利益相反を惹起している。The African Peer Review Mechanism Report in 2009 は次のように述べている。「モザンビークでは、FRELIMO 党の上層 部の政治家が政府の業務を行っている。また、政府が州の業務を行っている。つまり、上層部の 政治家の決定事項が州の利益となっている。汚職への戦いが成功していないことにほぼ疑いは ない」 政府は、反汚職のための法律(2012 年の議会の間の利益相反法を含む)の導入をとして利益 相反のリスクを減らそうと活動している。多くの目立つ汚職がメディアや裁判所によって追及され ている。その中には、national airport company (ADM:Aeroportos de Moçambique)と Ministry 84 出所:The World Economic Forum competitiveness report 122 of Transport and Communications の幹部への最近の判決も含まれている。 しかしながら、これらの取り組みにもかかわらず、国家レベルでの汚職の浸透率は高いと考え られている。そして、政治家と公務員の双方の政府関係者による、企業、経済セクターへの関与も 衰えていない。最近の Centre for Public Integrity (CIP) のレポートによると、政治家、公務員、 鉱物や石油・ガスセクターのビジネスマンによる利益相反は特に多くなっている。(下記の「鉱業」 の項を参照) ② 組織的犯罪 公的組織の脆弱性、および海に面した国境が長いことから、モザンビークは組織的犯罪の影響 を受けやすい。違法ドラッグ取引、武器取引、人身売買等に関連する数多くの組織的犯罪の様々 な形態が、モザンビークを輸送ルートとして考えている。2010 年レポートで、Chatham House は、 組織的犯罪について、下記の様な例がある85。 ・ ドラッグ取引:英国の Serious Organised Crime Agency は、モザンビークは違法ドラッグ の主な輸送ルートであると指摘している。また、US 政府は、2010 年、モザンビークの企 業家である Mohamed Bachir Suleman をドラッグ取引の中心人物として指定した。 Suleman 氏は、FRELIMO 党の主なドナーであると報道されている。 ・ 人身売買: 2010 年、南アフリカのジャーナリストは、ギャングが 1 カ月に 40 名の女性を売 買しており、モザンビークを入口や輸送ポイントとして使っていることを明らかにした。 取引関連の組織的犯罪に加えて、警察が犯罪に関わっており、ある警察の幹部が組織犯罪グ ループに関与しているとの告発がある。Maputo と Beira におけるアジアのビジネスコミュニティの メンバーをターゲットとした連続誘拐事件への高い懸念がある。 しかしながらそうであるとしても、組織的犯罪においてモザンビークは南アフリカやヨーロッパの 目的地への輸送拠点となっている。 ③ 交通と税関 2005 年以前は、モザンビークは国境を越える商品の取引については信頼性が低く、国際取引 の需要に対して十分な設備が備わっていなかった。しかしながら、1996~2005 年の 9 年間、ドナ ーが国税局の近代化プロジェクトに出資し、国境通過地点における透明化、簡素化、汚職の減尐 に大きな進歩を見せた。(USAID 2005) 2007 年の TIRI86および CIP87 のレポートによると、関税当局の革新により、通関の時間の削 減と通関手続きによって政府の利益を増加することができた。さらに、これにより国境における汚 職、特に税関職員個人による汚職が減尐したと考えられている。しかしながら、税関職員個人に 85 86 87 Chatham house (http://www.chathamhouse.org/) (2010) 独立系国際機関(http://www.tiri.org/) Center of Public Integrity (http://www.cip.org.mz) 123 よる汚職は一部続いている。なぜなら、個人の汚職は税関当局による犯罪というより懲罰対象と してみなされるためである。さらに、一部のシニア税関職員が、輸入業者としての利益と税関の利 益相反を行っていることが指摘されている。最後に、このレポートは与党である FRELIMO 党と関 係のあるいくつかの大手輸入業者が関税当局から有利な扱いを受けていると指摘している。 なお、石炭採鉱会社の代表とインタビューを行ったが、インタビューを行ったどの企業も税関に おける汚職についての苦情や問題点には言及しなかった。 ④ 港や交通機関へのアクセス (ア) 港 倉庫や船積みバースなどの港の設備へのアクセスは、港を管理する企業との間の商談をもと に配分される。これらの設備へのアクセスを確実なものにするために、企業は、ナカラ港について は CDN、ベイラ港については Cornelder de Moçambique、マプト港については MPDC といった、 港を運営する会社との良好な関係を維持しなければならない。州の鉄道・港の会社である CFM は、それぞれの港の運営会社の大株主である。 今回の調査において、港の利用を確実にするために賄賂を支払わなければならないというレポ ートや証拠を見つけることはできなかった。しかし港の運営会社は、株主の利益に合致する形で、 また、政府に与えられたコンセッション契約に基づいてマネジメントを行う権利がある。 (イ) 鉄道 鉄道設備へのアクセスは、鉄道保有者と運営者との間の商談がもととなる。モザンビーク南部 では CFM が既存の鉄道網を保有・運営しており、ナカラ線とセナ線では、修復と運営のため、共 同コンセッショネアとのジョイントベンチャー運営を開始している。(ナカラ線は CDN、セナ線は以前 は ESSAR で、現在は新しいジョイントベンチャーのパートナーを探索中である) Vale は CDN の大株主で、CDN はナカラ線を運営するコンセッションにおいて企業支配権を持 っている。Vale 関係者へのインタビューにおいて、Vale は現在修復作業を行っている路線の利用 への優先アクセスを持つことを明言した。しかしながら、政府関係者へのインタビューにおいては、 政府は国全体の鉄道において公平、平等なベースのアクセスができるよう規制、コントロールする 新しい鉄道規制機関を設立すると述べた。 ⑤ 鉱業 (ア) 採鉱権の付与 モザンビークは鉱業において長い歴史があるにもかかわらず、国際的に石炭や鉱物の探索の ポテンシャルがあると認められたのはここ数年のことである。そのため国の鉱業アクティビティの 大部分が、現在まだ探索段階である。Tete の主要な石炭採鉱コンセッションの中で、Vale だけが 石炭の輸出を開始し、それはまだ比較的小規模である。したがって、汚職の問題は、鉱物資源の 124 輸出や輸送よりも、むしろ採鉱権の付与が中心となる。 観測筋やドナーによると、採鉱権付与のプロセスは、不明確かつ複雑であると指摘されている。 採鉱権を得られるかどうかは、一般には明らかにされておらず、一旦採鉱権を付与されても、それ が公開されることもない。そのため、付与可能な採鉱権の全体像も、採鉱権を持っている個人ま たは企業を特定することも、困難である。FRELIMO 政府寄りの企業もしくは政府の計画に関与し た企業が採鉱権を付与されるという示唆もあるが、この点について具体的な証拠は明らかになっ ていない。 最近のケースでは、英国の企業 Pathfinder Minerals が採鉱権を付与されたが、Pathfinder の 現地のビジネスパートナーである、FRELIMO 党のシニアメンバーである General Jacinto Veloso に譲渡されたケースがある。この譲渡は、明らかに Pathfinder Minerals の許諾なしで行われた が、譲渡に関わる背景は明らかになっていない。 さらに、採鉱権のコントロールやモニタリングは、十分になされていない。2011 年 9 月、元鉱物 資源大臣は、Tete 州における石炭採鉱権について、既に採鉱権を持っているどの企業が政府と の契約にどこまで従うかを判断するため、新規の付与は行わない旨発表した。 (イ) 鉱物会社と政府の間の支払 鉱物会社と政府の間の支払の透明性について懸念があがっている。これに応えるため、また 国際ドナーコミュニティからの圧力もあり、モザンビークは 2009 年 5 月、Extractive Industries Transparency Initiative (EITI)に加入する手続きを開始した。EITI への加入は、メンバー各国に、 国の政府と鉱物会社の間のすべての支払についての透明性と公への公開を確実に行わなけれ ばならない。2011 年 8 月、EITI の評議会はモザンビークが EITI への加入のために目覚ましい進 歩を遂げたというレポートを発行したが、同時に、メンバーとなるための 18 個中の 6 個の基準を満 たしていないと述べた。基準を満たしていないものの中には、政府と鉱物会社の間の支払と受け 取りの公開も含まれている。モザンビークは候補メンバーとしてありつづけるためには、18 カ月以 内に基準を満たさなければならない。 主な採鉱権のほとんどはまだ生産段階に入っていないため、鉱物会社と政府の間の支払は現 在のところ、比較的尐ない。そのため、モザンビークは支払額が大量になる前に EITI の基準を満 たすことが望まれる。 (ウ) 利益相反 政治家と、Ministry of Mineral Resources、州の保有する National Hydrocarbons Company (ENH)の公務員の間の利益相反に関するいくつかの証拠が報告された。Centre for Public Integrity (CIP)によると、これらの組織や他の関係政府機関の上層部の一部が、モザンビークの 炭酸水素や鉱物資源の抽出や採鉱による利益に関わっている。CIP はこれらの人物は、情報へ の特権的なアクセスを保有し、自身の利益のために戦略決定に影響を及ぼすことができるとの懸 125 念を示した。 上に述べたとおり、政府は 2012 年の議会の間に、利益相反に対する規制を制定する旨発表し た。この規制は、CIP が上に述べたいくつかの利益相反に対応すると考えられている。 ⑥ ザンビアの探鉱セクターの透明性 2009 年、ザンビアは Extractive Industries Transparency Initiative (EITI)に候補者として参加 しており、2011 年 2 月、最初の調整レポート(reconciliation report)を作成している。EITI は、透明 性や説明責任の対応を改善する目的で、特定産業からの政府の歳入について独立の立場から 評価した報告書が発行されるプロセスである。 2008 年に報告された不一致の 90%以上は、法人税、弁済不能付加価値税(non refundable VAT)、輸入付加価値税、関税、輸入税と関係するものであるが、これら はすべて Zambia Revenue Authority (ZRA)が直接の責任を負っているものである。地方の機関や、権益に関する 料金や税金を徴収する主な政府機関におけるコンプライアンスは ZRA よりも良好である。 ZEITI スタッフとのディスカッションでは、数値の不一致が単に報告プロセス上の人為ミスによるものなの か、実際に資源を拘留できる立場にある者の不正による虚偽報告なのかは明確にはならなかっ た。 Transparency International Zambia (TIZ)および Post Newspapers Limited (PNL)はそれぞ れ、鉱物資源セクターにおける汚職について、知る限りでは特定のケースは知らないと表明して いる。どちらのケースでも質問は回答期限を設けず口頭で実施したが、たとえ一般に知られてい る内容であっても通常は汚職の事例については語りたくないものであると述べられていたのは重 要な点である。 TIZ および PNL の両方において、鉱物利権の授与に関する問題の原因として Mining Cadastre Unit of the Ministry of Mines and Minerals Development への言及があった。Mining Cadastre Unit のスタッフは、ポテンシャルのある地域に関する情報を新しい権利請求者に提供 することで利益を得ているとの疑念を抱かれている。 いくつかのケースでは、政府や規制する側の人間が鉱山企業や経営者の違法行為に加担して いる。南部州の Sinazongwe 地方において中国によって運営されている鉱山は 2011 年まで労働 者のための安全規制を無視し続け、死者が出たこともある。 Vendantta operated Konkola Copper Mines (KCM)は 2006 年、都市への主要な水供給源である Kafue 川を酸性物質で汚染 したが、罰金刑を免れた。2008 年の ZEITI における調整レポートの内容が比較的良好であるにも かかわらず、多くの操業者は彼らの生産量および金属の時価と整合した税金 (Development Agreements (DA)の条項に基づく)を支払っていない。ザンビアにおいて操業者に特定の DA を順 守させるプロセスは不透明であり、そこで多くの職員が金銭的利益を得ていることは知られてい る。 126 127