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Wilbur Ware 【ウィルバー・ウェア】
Mr. Bassman (ベースマン列伝) Vol.23 ジャズにおいてベース弾きとは、 縁の下の力持ち、 水先案内人といったやや日陰の存在。 おまけに、 ウッドベースなら持ち運びも大変・・・。 だが、 黙々とベースをウォーキングさせ、 バンドをスイングさせることに魂を注ぐベースマンが、 一度化けの皮を剥ぐともの凄い名演・名盤が 生まれるのだ。 このコーナーでは、 そんなジャズ ・ ベースマンの偉業を称えるとともに、 ジャズ ・ ベースの素晴らしさを伝えていきたい。 Wilbur Ware 【ウィルバー ・ ウェア】 Profile Courtesey of the DownBeat Achive 1923 年 9 月 8 日、 米国イリノイ州シカゴで生まれる。 幼少期 よりバンジョー、 ドラム、 ヴァイオリンを演奏し、 10 代の頃に ベースを弾き始める。 46 年よりシカゴのジャズ ・ シーンで活 動し始め、 ロイ ・ エルドリッジ (tp)、 ソニー ・ スティット (as)、 スタッフ ・ スミス (vln) 等と共演を重ねる他、 地元シカゴ出 身のジョニー ・ グリフィン (ts) やジュニア ・ マンス (p) 等と親 交を深める。 初期のサン ・ ラ ・ アルケストラでの活動後、 56 年アート ・ ブレイキー (ds) のバンドへの参加を機にニューヨー クに進出。 57 年からはセロニアス ・ モンク (p) のカルテットに 加入し、 ウィルバーの名を知らしめることになるジョン ・ コルト レーン (ts) との共演作をはじめ、 同年 10~11 月に自身生涯 唯一のリーダー作 『シカゴ ・ サウンド』 を録音。 このレコーデ ィングの合間にあたる 11 月 3 日にはソニー ・ ロリンズ (ts) の 名盤 『ヴィレッジ ・ ヴァンガードの夜』 で知られる伝説のライ ヴにも参加。 その後も 60 年代前半まで、 多くの名盤にサイ ドマンとして参加するなど精力的に活動を続ける。 63 年から 68 年まで健康上の理由から一時活動を停止するが、 69 年に エルヴィン ・ ジョーンズ (ds)、 アーチー ・ シェップ (ts) 等との セッションに参加するなど復帰を果たす。 1979 年 9 月 9 日、 56 回目の誕生日の翌日、 肺気腫により死去。 享年 56 歳。 極めて個性的なサウンドが魅力のジャズ ・ ベーシスト ≪うねうね、 ぐねぐねと…≫ “ 変態的 ” などと言っては失礼極まりないが、 そのサウンド…特にベース ・ ランニングにおいて良い意味で強烈なほど 独特の個性を放っていたジャズ ・ ベースマンの一人であるウィルバー ・ ウェアー。 そのプレイで一番有名なのは、 1957 年 11 月 3 日、 ニューヨークの老舗ジャズ ・ クラブ 「ヴィレッジ ・ ヴァンガード」 で行われたソニー ・ ロリンズ (ts) の伝 説のライヴを収めた 『ヴィレッジ ・ ヴァンガードの夜』 (右頁参照) だろう。 当時は午後の部と夜の部という 2 ステージ があり、 当日は午後の部と夜の部でバック ・ バンドが違い、 どちらの部もロリンズのテナーとベース&ドラムの 3 人編成 だったが、 ウィルバーは夜の部でドラムはエルビン ・ ジョーンズという夢のような編成で登場している。 そんなウィルバーが本格的にジャズ ・ ベーシストとして台頭する以前の話だが、 10 歳にも満たない頃、 教会でドラム やヴァイオリンなどを演奏していたウィルバー少年のために、 教会の牧師さんがベニアの板にヴァイオリンの弦を付けた オリジナルのウッドベースのような楽器を作ってくれ、 10 歳の頃に同じく牧師さんが作った “lemon-crate bass” (レモン を詰めた木の箱で作ったベースという意味だろうか…) と呼ばれたベースのような楽器を弾いていたらしい。 その後、 間 もなくして念願の本物のウッド・ベースを手に入れたその日の晩、 教会で晴れて本物のベースでデビューを飾ったそうだ。 レコード ・ デビューはブルース作品! シカゴ出身のジャズマン ウィルバーについて記された資料が少ないものの、 その初レ コーディングは 1938 年 9 月 15 日で、 生涯 300 曲近くの曲 を作ったミシシッピ出身のブルースマン、 ビッグ ・ビル・ブルー ンジー名義のレコード (右頁参照) とされる。 録音場所はウィ ルバーの地元シカゴで 「Vocalion」 というレーベルから発売 された。 録音されたのは① Let Me Dig It ② W.P.A. Rag ③ I'm Going Back To Arkansas ④ Rider Rider Blues の 4 曲 で、 全てビッグ ・ ビル ・ ブルーンジーのオリジナル曲だが、 録音当時ウィルバーは若干 15 歳だったことに驚かされる。 以前、 このコーナーでイスラエル ・ クロスビーを特集した時に この枠で紹介したが、 ウィルバーと同じくシカゴ出身の偉大な ジャズマンはとても多い。 ベーシストだけでも、そのイスラエル・ クロスビー、アル・マッキボン、前号「Vol.22」で特集したリチャー ド・デイヴィス、ロニー・プラキシコ、ヴァイオリニストでもあるジョ ニー ・ フリゴ、 マラカイ ・ フェイヴァース、 エルディ ・ ヤング、 ジョニーペイト、 チャールス ・ ヴァルデス ・ パーハム、 ロニー ・ ボイキンズ、 フレッド ・ ホプキンスなど、 大都市シカゴが持っ ていた音楽 ・ ジャズ文化の基盤 ・ 裾野の広さを感じさせる。 The Walker's 24 WW's Great Album ������名演���馴染� ウィズ ・ ジョン ・ コルトレーン セロニアス ・ モンク (ユニバーサル ・ ミュージック :UCCO-9073) ��� ������伝説����! ������独特�個性�光� �����������共演盤! ����� �����残�� 生涯唯一����� �����! The Chicago Sound Wilbur Ware Quintet (Original Jazz Classics :OJC-17372) ウィルバー ・ ウェアのリーダー作は一枚だけしか残されていないが、 『ウィズ ・ ジョン ・ コルトレーン』 と 『ヴィレッジ・ヴァンガードの夜』 はウィルバーの代表作といえる作品。 コンプリート ・ ヴィレッジ ・ ヴァンガードの夜 Vol.1 ソニー ・ ロリンズ (EMI ミュージック :TOCJ-7014) Wilbur Ware (b)、 Johnny Griffin (ts)、 John Jenkins (as)、 Junior Mance (p)、 Wilbur Campbell, Frankie Dunlop (ds) セロニアス ・ モンク (p)、 ジョン ・ コルトレ ーン、 コールマン ・ ホーキンス (ts)、 ウィルバー ・ ウェア (b)、 他 ソニー・ロリンズ (ts)、 ウィルバー・ウェア、 ドナルド ・ ベイリー (b)、 ピート ・ ラロカ、 エルビン ・ ジョーンズ (ds) 1. Mamma-Daddy 2. Body And Soul 3. Desert Sands 4. 31st And State 5. Lullaby Of The Leaves (他、 全 8 曲) 1. ルビー、 マイ ・ ディア 2. トリンクル ・ ティン クル 3. オフ ・ マイナー 4. ナッティ 5. エピスト ロフィー 6. ファンクショナル 1. チュニジアの夜 2. アイヴ ・ ガット ・ ユー ・ アンダー ・ マイ ・ スキン 3. チュニジアの夜 4. 朝日のようにさわやかに (他、 全 9 曲) セロニアス ・ モンク (p) がジョン ・ コルト レーン (ts) を迎えて 1956 年 6 月と 1957 年 4 月にスタジオで吹き込んだ歴史的名 盤。 ウィルバーは全 6 曲中ラストのモン クのソロ ・ ナンバー 「ファンクショナル」 以外の 5 曲目に参加。 ハイライトはコル トレーンがフロント一人でプレイしているカ ルテット編成での 「ルビー ・ マイ ・ ディア」 「トリンクル・ティンクル」「ナッティ」の 3 曲。 モンクとコルトレーンの歴史的共演という ことばかりに注目が集まってしまう作品だ が、 ウィルバーの独特&強烈な個性が光 るベース ・ ワークも聴き逃せない名作。 1957 年 11 月 3 日、 NY の老舗ジャズ ・ クラブ 「ヴィレッジ ・ ヴァンガード」 で行 われたソニー ・ ロリンズ (ts) のライブの 実況録音で、 ロリンズにとって初のライ ヴ・アルバムとなった作品。 日本では 『コ ンプリート ・ ヴィレッジ ・ ヴァンガードの 夜 Vol.1』 『同 Vol.2』 2 枚別々に発売さ れているが、 こちらは 「Vol.1」。 それぞ れ当日の午後の部と夜の部の演奏が収 録され、 ウィルバーはエルヴィン ・ ジョー ンズ (ds) と夜の部に登場。 ロリンズの名 演と共にその個性的なベース ・ ワークに ついて語られることが多い歴史的名盤! 録音は 1957 年。 生涯唯一となったが、 自身初のリーダー ・ アルバムということ で自らがベースと共にジャケットに登場し ても良さそうだが、 そのジャケットといい、 アルバム ・ タイトルといい、 どれだけ地 元シカゴ愛に溢れているかわかるだろう。 参加したメンバーも NY 出身のドラマー、 フランキー ・ ダンロップ以外は皆シカゴ 出身。 1 曲目のウィルバーのオリジナル 「Mamma-Daddy」 からハード ・ バップ魂 が迸り、 ウィルバーも決して出しゃばらな いがラストの 「The Man I Love」 等でそ の超個性的なべース ・ ワークも味わえる。 WW's Support Album 生涯で参加した作品は決して数多いとはいえないが、 参加したどの作品でも直ぐにウ ィルバー・ウェアだと分かる強烈な個性を放っている。 そのベースマン魂は永遠です! Big Bill Broonzy - Part 2 1937-1940 Big Bill Broonzy (JSP-7750 / 4CD Box Set) [Import]) ジャズ ・ バイ ・ ジー! マシュー ・ ジー (ビクターエンタテイメント:VICJ-41775) 録音は 1938 年。 ウィルバー ・ ウェ アの最初の録音 (若干 15 歳時!) とされるブルースマン、 ビッグ・ビル・ ブルーンジーとの共演 4 曲を収録。 録音は 1956 年。 ベイシー楽団やエ リントン楽団に在籍した名トロンボーン 奏者マシュー ・ ジーの唯一のリーダ ー作。ウィルバーのベースが弾ける! J.R. モンテローズ J.R. モンテローズ (EMI ミュージック:TOCJ-8686) ハンク ハンク ・ モブレー (EMI ミュージック:TOCJ-6497) 録音は 1956 年。 J.R. モンテローズ (ts) のブルーノート初リーダー作&唯 一の作品。 ウィルバー ・ ウェアの他、 ホレス ・ シルヴァー (p) 等が参加。 録音は 1957 年。 ハンク ・ モブレー (ts) のブルーノート作品。ウィルバー・ ウェアの他、 ドナルド ・ バード (tp)、 ボビー ・ ティモンズ (p) 等が参加。 マン ・ バイツ ・ ハーモニカ! トゥーツ ・ シールマンス (ユニバーサル ・ ミュージック:UCCO-9124) Remembering Me-Me Clifford Jordan (Muse : MR-5105) [Import LP] 録音は 1957 & 1958 年。 トゥーツ ・ シールマンスがハーモニカの他にギ ターも披露している 50 年の名盤。 ウ ィルバーのウォーキングも心地良い。 録音は 1976 年。 ウィルバー ・ ウェ アの最後の録音といわれるクリフォー ド・ジョーダン (ts) の 70 年代の快作! 日本人ベーシスト、 藤原清登も参加。 The Walker's 25