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夢考房ライセンス講習会 - 金沢工業高等専門学校

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夢考房ライセンス講習会 - 金沢工業高等専門学校
創造実験Ⅰ
Creative ExperimentⅠ
金沢工業高等専門学校
機械工学科
Kanazawa Technical College
Department of Mechanical Engineering
M1̶
氏名:
● 目 次 ●
夢考房で加工・工作をする場合のルール ………………………2
夢考房ライセンス講習会
安全講習テクニカルガイド ………………………………………6
ボール盤 ……………………………………………………………12
フライス盤 …………………………………………………………20
旋盤 …………………………………………………………………32
文鎮の設計・製作
1主 旨 …………………………………………………………………40
2目 的 …………………………………………………………………40
3対 象 …………………………………………………………………42
4担 当 …………………………………………………………………42
5提出期限 ………………………………………………………………42
6評 価
6.1
6.2
6.3
6.4
6.5
課 題 ………………………………………………………………44
設計・製図 …………………………………………………………44
製作・組立 …………………………………………………………46
評価方法 ……………………………………………………………46
製作品 ………………………………………………………………46
7ものづくりの流れ
7.1
7.2
7.3
具体的なものづくりの流れ ………………………………………51
ものづくりの流れの中で特に考慮すべき点 ……………………51
文鎮の加工手順 ……………………………………………………52
文鎮製作 工程手順作
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
素材の切断(使用機械・往復鋸盤、帯鋸盤、旋盤) …………58
本体端面加工(使用機械・旋盤) ………………………………60
本体のフライス加工段取り(使用機械・フライス盤) ………62
本体の外形加工(使用機械・フライス盤) ……………………64
本体の溝加工:1(使用機械・フライス盤) …………………66
本体の溝加工:2(使用機械・フライス盤) …………………68
本体の穴あけ、タップ加工(使用機械・卓上ボール盤) ……70
取手つまみ部外径加工(使用機械・旋盤) ……………………72
取手ネジ部加工(使用機械・旋盤) ……………………………74
取手つまみ部端面加工(使用機械・旋盤) ……………………76
文鎮製作のヒヤリ・ハット集 ………………………………………79
質量・力・モーメントの概念を身につけよう
1単 位
1.1
1.2
1.3
1.4
SI単位の7つの基本単位 ………………………………………118
質量mについて …………………………………………………118
力Fについて………………………………………………………118
モーメントMについて …………………………………………120
2材料の強さ
2.1
2.2
荷重Wについて …………………………………………………122
応力σについて …………………………………………………124
3材料の強度実験 …………………………………………………………126
4骨組構造 ……………………………………………………………………132
5橋の設計製作コンテスト ………………………………………………132
付 録
………………………………………………………………………145
夢考房で加工・工作をする場合のルール
夢考房は大学、高専生すべての学生と教職員のための、自主的な創作活動の場所です。
お互いに公平に利用できる環境を実現するために次のルールで運営します。
いかなる場合も、技師・学生スタッフの指示には従ってください。
1.開館時間
開館時間は利用できる時間ではなく、清掃や片付けを含めた時間です。
閉館する時間に退館できるように活動時間を厳守してください。
(1)通 常
●
平 日
8:40∼21:00
(20:30より清掃)
夢考房26・夢考房41
●
土 曜
8:40∼17:00
(16:30より清掃)
夢考房26・夢考房41
●
日曜・祝日
9:30∼17:00
(16:30より清掃)
夢考房26
※21:00以降は、安全管理者である技師が不在になること、近隣への騒音が発生するため、危険性の高
い工作機械(木工ブース工作機械〈施錠の電源BOX〉や200Vの電源)の使用は禁止です。
(2)長期休暇中など
●
平 日
8:40∼17:00 (16:30より清掃) 夢考房26・夢考房41
●
土 曜
8:40∼13:00 (12:30より清掃) 夢考房26・夢考房41
2.入館受付
全員、必ず、入館受付をしてください。受付をすることで障害保険に加入します。
●
夢考房26は、必ず「受付パソコン」カードリーダーに学生証をあて、モニターの利用項目のアイコンを
タッチしてください。
●
夢考房41は学生証によるカード入館です。カードリーダーに学生証をあてると、自動ドアが開きます。
自動ドアが開いていてもカードリーダーに学生証をあててください。(学生証を忘れた場合は必ず受付の
入館者リストに記入して下さい。
)
3.利用前の確認
●
健康管理に気を付けてください。気分が悪い場合は、活動せずに休養してください。流行性のある病気の
疑いのある場合は、技師に申し出てください。
●
工作機械を使用する場合や、加工する場合の服装
■
「実験着」など、汚れてもいい上下の服装を着用してください。
■
「実験着」は袖口のホックを留め、前衣のチャックを閉めてください。
■
ブレザーの上からの「実験着」の着用は禁止です。
■
他人の名入れの「実験着」の利用は禁止です。
■
ズボンはきっちりと腰でベルト留めし、ずり落ちたりしないようにしてください。
■
肌の露出の多いTシャツや半ズボンでは活動できません。
■
サンダル、かかとを踏んだ履物や、かかとの高いブーツなどでは活動できません。「安全靴」は工具室
で貸出しができます。
■
■
「保護めがね」を準備してください。ない場合は「工具室」にあります。借りてください。
シャツのはみ出しや、ベルトやポケットから「キーホルダー」や「アクセサリー」など機械に巻き込ま
れる危険があるぶらつく長いモノははずしてください。
■
上記の服装が守られない場合は、
「安全歩行帯」
(黄色のラインより内側の利用ブース)より立ち入りで
きません。
)
● 館内は走らないでください。
2
4.利用手順
(1)パーツショップの利用
①
カウンターの「価格表」にて、値段と販売単位を確認してください。大量の場合や、大きいサイズ、
長い材料は、他の利用者の分が欠品になりますのでご遠慮ください。研究室やプロジェクトごとで購
入依頼してください。
② 「工作機械受付」カウンターの料金箱に料金を入れてください。納品書や「パーツシップ利用申請書」
で購入する場合は、担当教職員の確認印をもらってください。
③
材料の切断などの加工が必要の場合は、技師・スタッフに相談してください。
④ 「リサイクルラック」の材料は無料利用できます。
(2)工具の利用
誤った知識で作業するとケガや破損、故障につながります。
① 「工具室」は自由に出入ができます。正しい知識がないと、危険な工具もありますので、「夢考房ライ
センス講習」のStep1「安全講習(テクニカルガイド)
」の受講をお勧めします。
② 「安全講習(テクニカルガイド)」を受講していない新メンバーの工具室内の工具(ハンドツール、利
用可能の電動工具)の利用に際しては、先輩メンバーの指導のもと、利用可能とします。混雑具合を
確認しながらできるだけ早く受講してください。
③ 「工具受付」カウンターにて、「工具貸出し申請書」に、必要事項を記入して借りてください。使用後
は、「工具貸出し申請書」に返却の確認後、元の場所へ返却してください。
④ 夢考房外へ持ち出す場合は、「館外貸出受付」にて、「夢考房備品貸出申請書」に記入し、確認のため
半券を受け取ってください。1泊2日が原則です。長期の場合は、担当教職員に相談し、学生ではな
く、教職員が直接、借りて、返却してください。
⑤
破損した場合は、技師・スタッフへ申し出てください。
(3)電動工具の利用
誤った知識で作業するとケガや破損、故障につながります。
夢考房内の電動工具は、次の2種類に分け管理・運用します。
①
エネルギーの外部供給を要する電動工具(エアー、電気コード)は、「安全講習(テクニカルガイド)」
を受講していなければ、利用できない。(夢考房内・外)このルールは、夢考房内工具室の棚または工
具に明記しており、貸出し時にはライセンスカードの提示が必要である。
②
バッテリタイプの電動工具は、「安全講習(テクニカルガイド)
」を受講していなくても、利用できる。
(4)「フリーブース」の利用
① 「フリーブース」は共有の活動場所です。工具や材料、カバンなどの持ち物を、長時間、放置しない
でください。他の利用者が使用できません。
②
汚れる作業の場合は新聞紙を敷いて利用してください。
③
カッターナイフを使用する場合は、「カッターマット」を利用してください。
④ 「ハンダごて」や「ホットガン」など、熱により、マットが変形する恐れのある場合は気をつけてく
ださい。
(5)工作機械の利用
※
誤った知識で作業するとケガや破損、故障につながります。
※
工作機械は、「夢考房ライセンス講習」のStep2、3の該当機械の講習会を受講しないと、利用できま
せん。
※
わからない事や自信のない事は、必ず技師に相談してください。独自の判断で行動しないでください。
※
工作機械は予約性ではありません。ライセンスカードをいれたままの未使用は禁止です。
3
夢考房で加工・工作をする場合のルール
① 「ライセンスカード」を「機械一覧ポケット」の利用する機械ポケットに入れる。
② 「工作機械受付」カウンターで、「工作機械利用申請書」に必要事項を記入する。
③ 工作機械の正面や電源部に掲示の「安全のプレート」で、使用する機械の注意事項や禁止事項を確認
する。
■
使用しない機械・工具にはむやみに手を触れてはいけません。
■
工作機械やつい立に寄り掛かったり、腰掛けたりしてはいけません。
■
工作機械の操作は必ず一人で行ってください。また、1台の機械に複数人がたむろする行為も禁止です。
■
ポケットに手を入れながらの作業や見学は禁止です。
■
電源を投入したまま、工作機械から離れてはいけません。
■
利用者同士で、みだりに話しかけたり、ふざけたりしないでください。
■
わからない事や自信のない事は、必ず技師に相談してください。独自の判断で行動しないでください。
■
工作機械から異音や振動が発生した場合は、技師に相談してください。
■
同時の複数台の工作機械を利用することは禁止です。
■
他人の「ライセンスカード」を利用することは禁止です。少量の加工依頼であれば、技師・スタッフ
に相談してください。
(6)「ヒヤリハット報告書」「事故・災害報告書」
「キガカリ報告書」の励行
事故・災害、または、事故に至らないが「ヒヤリとした事」「ハッとした事」、「キガカリ」なことは、ささい
な事でも報告書を夢考房26・夢考房41の事務所に提出して下さい。
収集・分析・公開して、他の利用者と、情報を共有し、安全な活動に生かします。
さらに、その情報に基づき原因分析を行い、作業環境の改善を行います。この積み重ねが今後の安全作業にも
つながっていきます。
5.清掃・片付け
夢考房では4S(整理・整頓・清掃・清潔)が安全な環境を実現するために不可欠だけ考えます。
①
利用していた場所を必ず、雑巾やウエス、ほうき、モップ等で清掃してください。
② 夢考房ではゴミ分別を徹底しています。分別できる破材や切削くずは所定の場所に、素材別に捨てて
ください。他の利用者が材料として使用できるモノは「リサイクルラック」
③
清掃・片付けが守られない利用者には「注意」「警告」を勧告し、反省がみられない場合は、今後の利
用をお断りする場合もあります。
④
フリーブースなどの作業台には材料や成果物を放置しないでください。製作途中の物品は「仮置き棚」
に整理して置いてください。
4
CHAP
1
夢考房ライセンス講習会
●安全講習テクニカルガイド●
●ボール盤●
●フライス盤●
●旋盤●
この章は夢考房ライセンス講習会テキストより抜粋しています。
夢考房ライセンス講習会
6
1 安全講習テクニカルガイド
7
夢考房ライセンス講習会
8
1 安全講習テクニカルガイド
9
夢考房ライセンス講習会
10
1 安全講習テクニカルガイド
11
夢考房ライセンス講習会
12
2 ボール盤
13
夢考房ライセンス講習会
14
2 ボール盤
15
夢考房ライセンス講習会
16
2 ボール盤
17
夢考房ライセンス講習会
18
2 ボール盤
19
夢考房ライセンス講習会
20
3 フライス盤
21
夢考房ライセンス講習会
22
3 フライス盤
23
夢考房ライセンス講習会
24
3 フライス盤
25
夢考房ライセンス講習会
26
3 フライス盤
27
夢考房ライセンス講習会
28
3 フライス盤
29
夢考房ライセンス講習会
30
3 フライス盤
31
夢考房ライセンス講習会
32
4 旋盤
33
夢考房ライセンス講習会
34
4 旋盤
35
夢考房ライセンス講習会
36
4 旋盤
37
CHAP
2
文鎮の設計・製作
39
文鎮の設計・製作
1主 旨
本授業では、1本の材料(SS400、φ20mm×300mm)から文鎮を設計・製作するが、この材料は加工される
ことによって、大きな価値を持つことになる。
つまり、単なる金属の棒が、技術者の頭に描いた「もの」を設計し、その図面に基づいて、実際に工作機械を
用いて、加工という技術が加えられることによって、「もの」が便利な製品になり、人間社会に新たな財産をも
たらすことになる。
したがって、優れたアイデアや設計、そして加工技術は、付加価値の高い「もの」を生みだし、地球上の財産
を増やすことを可能とする。
すなわち、我々エンジニアは、優れた加工技術力と豊富な専門知識を身につけることによって、より付加価値
の高いものづくりを行うことが可能となり、地球上の財産を増やし、社会貢献できる素晴らしい人間であり、職
業であることを自覚しなければならない。
図1-1
新しい「もの」が生み出される流れ
2目 的
(1)考案した文鎮の形状を、図面に描くことによって、製図の知識を高めるとともに、正しく、明りょうに、
迅速に図面を描く能力の向上を図る
(2)工作機械を用いてものづくりをする楽しさと、規定条件に仕上げる加工の難しさを体験し、今後のもの
づくりに役立つ各種工作機械の操作や加工技術を身につける
(3)実際に工作機械を用いて、図面に書かれている指示通りに加工を行うことで、図面に表示する許容寸法
や表面粗さの数値の持つ意味の重要性に気付く
(4)図面から加工手順を考え、それに従って加工することによって、正しく、明りょうな図面を描くことの
大切さや、読図能力の必要性を認識するとともに、考えたことを具体的な物にする手法を体得する。
(5)安全に対する意識の高揚を図る
40
1 主旨/2 目的
41
文鎮の設計・製作
3対 象
機械工学科1年生
4担 当
機械工学科教員 5名
5提出期限
厳 守
・クラスの前半: 月 日(
)
・クラスの後半: 月 日(
)
42
3 対象/4 担当/5 提出期限
43
文鎮の設計・製作
6評 価
①設計製図、②製品の完成度、③デザイン、④適時性、⑤サイズと製品の吻合の5点について評価を行う。
6.1
課 題
(1)仕上げ寸法などの規定条件に従い、独創性と機能性に優れたオリジナルな文鎮を1人1個、設計・製作
する
(2)使用材料及び教材
SS400引抜丸棒(φ20×300mm)1本
A4サイズ1mm方眼紙、A4サイズトレーシングペーパー各1枚
(3)仕上寸法などの規定条件
長 さ:160mm以上、200mm以下、長さの寸法許容差は±0.2mm
両端は平面とする
幅 :13mm以上、幅の寸法許容差は+0.75mm、−は0.00mm
両面は平面とし、幅のどの部分を測定しても寸法は許容差内であること
面 :完成品には5つ以上の平面が存在すること
完成品には1つ以上の曲面が存在すること
溝加工:溝の幅は5mm以上、深さは0.5mm以下とする
取 手:完成品には1つ以上の取手が存在すること
組 立:本体と取手の取付方法は、ねじ(M8並目ねじ)締結法とする
6.2
設計・製図
(1)設計に当たっては、文鎮の機能として考えられる
① 安定性
② 重 さ
③ 操作性
④ デザイン性
などを十分考慮する
(2)設計段階で、旋盤、フライス盤、ボール盤で加工が可能か否かを十分検討する
(3)製図用紙はA4サイズの1mm方眼紙とトレーシングペーパーを用い、第3角法で描く(不明な点は実況
出版、機械製図の教科書を参照すること)
(4)図面を提出する前に検図を行い、間違いや不足な部分が無いかチェックする
(5)提出図面はトレーシングペーパーとし、1mm方眼紙に描いた図面をもとに、加工現場(夢考房)で工作
機械を用いて加工する
a)実際に文鎮の断面形状を数種類描き、イメージを具体化していく(章末の様式ⅠⅡに記載)
b)考案した文鎮の立体図を描く
c)図面(A4サイズ)に輪郭線、表題欄、部品欄、照合番号を必ず記入する
d)本体と取手の部品図は1枚の用紙にまとめて描く(組立図は描かない)
e)安全に配慮する(コーナーの面取りや丸み、穴部のバリ取りなどの指示を図面にCやRの寸法補助記号、
ザグリを用いて明記する)
f)ねじの下穴は貫通させる(下穴寸法を図面に記入する)
44
6 評価
45
文鎮の設計・製作
g)表面粗さの表示は面の指示記号と算術平均粗さ(Ra)を用いる
h)質量計算を行い、文鎮の質量を求めて提出する(計算過程も記述すること)
i)加工の段取りを考え、加工手順をできるだけ詳細に箇条書きにして提出する(使用工具や工作機械な
ども併記する)
6.3
製作・組立
(1)設計・製図の段階で考えた加工手順を覚えた上で、加工にはいる
(加工手順を何度もイメージトレーニングしておくと余裕を持って加工に望めるため、失敗や怪我をしな
い)
(2)寸法測定に必要なノギスは貸出しする
(3)夢考房の使用規定を遵守し、体調を整え、安全第一で製作する
a)工作機械の回転数や送り、切込深さなどの加工条件を決める
b)先ず、バイトやフライス、エンドミル、ドリルなどの工具が工作機械に確実に取付けられていること、
また、材料がチャックやバイスに確実に取付けられていることを確認し、周囲の安全を確認してから、工
作機械のスイッチを入れる
c)仕上寸法が規定条件に仕上がるよう、特に最終切込深さを慎重に決定する
d)機械加工の際、幅の両面が平行になるように注意する
e)ねじ加工は、タップとダイスを使用する
(タップは必ず1番タップ→2番タップ→3番タップの順で3本使用すること)
f)完成後、クラス番号を底面の端の方に刻印する
g)取手をねじ込み、組み立てた状態で提出する
6.4
製作品の評価方法
(1)加工精度(設計・製図と製品の吻合)
・寸法測定
・質量測定
(2)表面仕上げ状態
・表面粗さ測定
(3)安定性、操作性、デザイン性、安全性
6.5
製作品
採点後クロムメッキを施し、各自に返却する(製作者の所有物となる)
。
注意
①安全講習、②旋盤、③フライス盤、④ボール盤の4つの夢考房ライセンスを取得していないと、夢考房の
工作機械を使わせてもらえない
46
6 評価
47
文鎮の設計・製作
様式Ⅰ
創造実験Ⅰ
報告者:
番
1.断面形状(倍尺 2:1)
48
文鎮の設計・製作[断面形状]
氏名 提出日: 月 日
6 評価
様式Ⅱ
創造実験Ⅰ
報告者:
機械工学科 文鎮の設計・製作[立体図と質量計算]
番
氏名 提出日: 月 日
実際に製作する文鎮の立体図を描き、寸法を記入してみよう
2.立体図
材料の質量から、まず材料の密度を求め、次に、立体図から文鎮の体積を求めて、
文鎮が完成した際の質量がどれだけになるかを求めてみよう
3.質量計算
本体の質量m1=
[SS400の密度ρ= kg/m3]
kg、取手の質量m2=
kg、全質量m=
kg
ヒント:[φ20×300.0mmのSS400の重量を測定したところ7.21Nであった」
49
文鎮の設計・製作
《文鎮の設計例と、その図面に基づいて製作した作品》
50
7 ものづくりの流れ
7ものづくりの流れ
7.1
具体的なものづくりの流れ
図7-1
7.2
アイデアが製品になるまでの具体的なものづくりの流れ
ものづくりの流れの中で特に考慮すべき点
③材料の決定:
・材料特性(密度、耐食性、被削性など)を考慮する
・価格や入手容易さなどを考慮する
⑥取付け方決定:
・工作機械に材料を取付ける方法は、加工精度や加工能率に大きく影響を及ぼすばかりでなく、安全面に
おいても非常に重要である
・必要に応じては、治具を用いることも検討する
⑦製 作:
・材料の特性と用いる工具の性能から、加工条件(工作機械の回転数)を決定する
・ハイス(高速度工具鋼(ドリル、エンドミル、のこ刃))の切削速度V:20∼30m/min
・超硬(バイト、フライス)の切削速度V:80∼100m/min
・V=π・D・N/1000
(V:切削速度m/min、D:被削材の直径または工具の直径mm、N:回転数rpm)
51
文鎮の設計・製作
7.3
文鎮の加工手順
(1)加工流れの一例(これが最良とは限らない)
図7-2
文鎮の加工手順(段取り)の一例
(2)実際に文鎮の加工手順を描き、イメージを具体化していく(章末の様式Ⅲに記載)
52
7 ものづくりの流れ
様式Ⅲ
創造実験Ⅰ 機械工学科 文鎮の設計・製作「加工手順」
報告者:
番
氏名 提出日: 月 日
先ず、加工する工程を考え、その工程で用いる工作機械を決め、
次に、材料を工作機械に取り付ける方法を考え、工具を決定しよう
53
文鎮の設計・製作
54
7 ものづくりの流れ
55
CHAP
3
文鎮製作 工程手順集
①できるだけ段取り(加工方法・加工条件)を自ら考える習
慣を付ける
②設計の際の寸法既定条件内に仕上がるよう、加工精度の高
い加工を心がける
③事前にテキストの工程手順集を予習し、その日行う段取り
をイメージ トレーニングしてから加工する
④加工する場合、安全・精度・加工能率の3つが同時に満足
できるように心がける
文鎮製作 工程手順集
1素材の切断(使用機械・往復鋸盤、帯鋸盤、旋盤)
加 工 概 要
1.素材を文鎮本体と取手に切断する。
往復鋸盤、帯鋸盤、旋盤の3通りの方法で切断す
る。
1) 往復鋸盤
バイスに素材を固定し往復する鋸刃で切断する。
加工方法・加工条件
1.本体の切断長さ
1) 素材に本体設計長さより2∼3mm長くケガキ線を
引く。
(次工程で両端面を切削加工する分だけ長くする。)
2.使用測定器
物差し:300mm
ノギス:200mm
3-1. 往復鋸盤、帯鋸盤で素材切断の場合
2) 帯鋸盤
バイスに素材を固定し帯状の鋸刃を回転させ切断
する。
1) 本体側をバイスに軽く挟む。
2) ケガキ線外側に鋸刃を合せる。
寸法確認後バイスに固定する。
3) 鋸刃のSW を入れ、ゆっくり素材に当て、加工する。
4) 2個に切断された素材
長い方=本体
短い方=取手(つまみ)
3-2. 旋盤で素材切断の場合
3) 旋盤
(1) 刃物台に突っ切りバイトを取付ける。
(2) 突っ切り加工
三つ爪チャックに素材を固定し突っ切りバイト
で切断する。
1) 素材の固定
本体側を三つ爪チャックに固定し、取手側を切り
離す。
(切断位置は三つ爪チャックから40mm位の位置に
固定。)
2) バイトの取付け
刃物台に突っ切りバイトを置き、バイト刃先を芯
出し台上面に合うようバイト下に敷板を入れ、高
さ調整する。
素材φ20の中心よりバイト位置が低いと、中心部
分にヘソが残る。
3) 主軸回転数:550rpm
4) 突っ切り加工
ケガキ線に突っ切りバイトの切刃左端を合せる。
前後送りハンドルを時計回り方向に送りワークを
切断する。
鋼材用の加工油を筆でバイトと、ワークに塗布す
る。
加工油:マーグプラスTH-10
4.長さの測定
各機械で切断した本体長さをノギスで測定する。
(取り代寸法を確認して置く。
)
58
1 素材の切断(使用機械・往復鋸盤、帯鋸盤、旋盤)
59
文鎮製作 工程手順集
2本体端面加工(使用機械・旋盤)
加 工 概 要
加工方法・加工条件
1.旋盤で本体の端面を加工し、長さ寸法を仕 1.本体の長さ規定
160mm以上、200mm以下
上げる
1) 端面加工用切削バイトを取付ける。
寸法許容差±1.0mm
両端面は平面とする。
2.測定器:ノギス200mm
3.バイトの取付け
2) 三つ爪チャックにワークを取付ける。
端面切削用バイトを刃物台に取付ける際、刃先高
さは芯出し台ゲージの上面に合わせる。
(敷板でバイト高さを調整する。
)
φ20のセンターより低いと切削時センターにヘソ
が残る。
4.主軸回転数 :550rpm
5.ワークの固定
1) 三つ爪チャックに取付ける。
2) 加工する部分をチャックから40mm位出し固定する。
(加工材料径の約3倍まで)
3) 両端面を加工し設計寸法に仕上げる。
6.端面加工
4) 両端面角に面取り(C1.0)加工する。
1) 切削バイトの刃先を端面に接触させ、前工程の切
断面を約0.5∼1.0mm位切削する。
加工油:マーグプラスTH-10
2) 三つ爪チャックを緩め、本体の長さをノギスで測
定する。
(取り代を確認する)
3) 未加工の端面を加工する。
設計寸法より0.5mm位プラスに加工し、前工程の
切断面残りが無いか確認する。
4) 設計値長さに仕上げる
ワーク長さを測定し、プラスしている分端面を加
工し、設計寸法に仕上げる。
7.面取り加工
切削バイトの斜め部分を端面角に軽く合わせ、刃
物送りハンドル又は、前後送りハンドルの目盛り
をゼロに合わせ、ハンドルを面取り量分、右に廻
し、加工する。
60
2 本体端面加工(使用機械・旋盤)
61
文鎮製作 工程手順集
3本体のフライス加工段取り(使用機械・フライス盤)
加 工 概 要
1.フライス加工の段取り。
1) テーブルにマシンバイスを取付ける。
2) 正敷台を選定する。
加工方法・加工条件
1.マシンバイスの取付け
1) 位置決めキーの付いたマシンバイスを使用する。
2) テーブル上面とマシンバイスの裏面をウエスで拭
き、切屑等を挾まないようにする。
重量物であるからマシンバイスを移動台に乗せて
テーブルに取付ける作業は、慎重に取り扱う。
3) テーブルの真ん中の溝にキーを合わせ2本のボル
トで固定する。
ボルトは移動口金のアゴに当らない位置で固定する。
2.正敷台の選定
3) マシンバイスにワークを取付ける。
(例:底面5mm加工)
1) ワークφ20の中心位置はバイス固定口金上面高さ
より下で固定する。口金垂直面にφ20の中心位置
を挟む。
2) 正敷台寸法
バイス固定口金高さ(mm)から13mmマイナスし
た寸法を正敷台寸法にする。
3.エンドミルの取付け
固定したワークの上からプラスチックハンマーで
叩き下の正敷台に密着させる。正敷台が動かなけ
ればOK。
4) ミーリングチャックにエンドミルを取付ける。
62
1) エンドミル(φ25∼30各種)
スローアウエイ、ラフイング、スクエア、2枚刃、他
2) 取付け
①起動SWを切り回転させない。
②主軸回転数設定レバーを最低速の180rpmに合
せる。
③φ25以下のエンドミルは、コレットチャックに
軸部分を差込み、一体にする。
④コレットチャックをミーリングチャックに入
れ、エンドミルが落ちないよう片手で支え、反
対の手でミーリングチャック外周を反時計方向
に廻し、Rレンチでミ―リングチャク外周を増
し締めする。
⑤エンドミルにはウエス等を巻き手を損傷しない
よう取り扱う。
3 本体のフライス加工段取り(使用機械・フライス盤)
63
文鎮製作 工程手順集
4本体の外形加工(使用機械・フライス盤)
加 工 概 要
加工方法・加工条件
1.本体外周をフライス加工で文鎮形状に仕上 1.規定条件
幅:13mm以上
げる。
1) ワークの原点を合せる。
エンドミルをワークに接触させる。
幅の寸法許容差:+0.75mm、−0.00mm
面:完成品には1つ以上の曲面を残す。
2.使用測定器:ノギス150mm
3.機械加工条件
2) Z軸のマイクロカラー目盛りをゼロに合せる。
1) 主軸回転数 180rpm
2) 自動送り速度
荒削り加工 85mm/min
仕上げ加工 33mm/min
3) 切り込み量
荒削り加工 2.0mm
仕上げ加工 0.5mm
4.使用するエンドミル
φ25∼30各種エンドミル
(スローアウエイ、ラフイング、他)
5.本体のフライス加工
3) 底面をフライス加工する。
4) 上面をフライス加工する。
64
1) フライス盤左側電源をONにする。
2) Y軸ハンドル右下の起動SWをONにする。
3) ワーク高さの原点合わせ
①X軸:ワークをエンドミルの刃先10mm位の位
置に合わす。
②Y軸:ワークをエンドミルの真下位置に合せる。
③Z軸:ハンドルをゆっくり時計方向に廻し、エ
ンドミルの刃先がワークに軽く接触した位置に
マイクロカラーの目盛りをゼロに合せる。
④X軸のテーブルハンドルを反時計方向に廻し、
刃先をエンドミルから離す。
4) Z軸を時計方向に廻し、切り込み量2.0mm分進める。
5) テーブルの自動送りSWを入れ、加工する。
加工油:マーグプラスTH-10
6) 加工面を順番に2面加工する。
7) フライス加工で発生したバリはヤスリ加工で除去
する。
4 本体の外形加工(使用機械・フライス盤)
65
文鎮製作 工程手順集
5本体の溝加工:1(使用機械・フライス盤)
加 工 概 要
1.本体上面中心部に溝加工:1を実施する。
加工方法・加工条件
1.溝加工寸法
長手方向中心部に幅20mm、深さ2mmの溝を加工
幅:20mm、深さ:2mm
する。
1) マシンバイスに前工程で加工したワークを固定する。 2.使用測定器 :ノギス150mm
(上面を上に、底面を正敷台に密着させる。
)
3.機械加工条件
1) 主軸回転数 270rpm
2) 切り込み量:荒削り加工:1.5mm
:仕上げ加工:0.5mm
4.使用するエンドミル
φ20各種エンドミル(2枚刃、スクエア、スロー
アウエイ、他)
2) エンドミルにワークのケガキ線位置を合せる。
5.ワークの溝加工
3) Z軸目盛り荒削り加工分の1.5mm進める。
4) 溝荒削り加工する。
(深さ1.5mm)
66
1) 溝加工する位置にケガキ線を引き、加工の目安に
する。
2) ワークをマシンバイスに固定する。
3) X、Y軸のテーブルを移動し、エンドミルをケガ
キ線位置に合せる。
4) 主軸起動SWをONにする。
5) 溝加工する位置でZ軸の原点を合せ、Z軸の目盛
りをゼロに合せる。
6) X軸のテーブルを固定する。
7) Y軸のハンドルを反時計方向に廻し、ワークをエ
ンドミルから離す。
8) Z軸のハンドルを時計方向に廻し、切り込み分
1.5mm進める。
9) Y軸(前後送り)のハンドルを手送りでゆっくり時
計方向に廻し、加工する。
(ワークに加工油を塗布)
加工油:マーグプラスTH-10
10) 加工後ハンドルを反時計方向に廻し、戻す。
エンドミルをワ―クから離す。
11) 主軸起動SWをOFFにする。
12) ノギスで左右の残り長さを測定し、位置ズレ分は
X軸を廻し調整する。
13) Z軸の目盛りを仕上げ分の0.5mm進める。
14) 主軸起動SWをONにする。
15) Y軸(前後送り)のハンドルを手送りで回転させ
加工する。加工後ハンドルを反時計方向に廻し、
戻す。
16) 主軸起動SWをOFFにする。
17) 溝加工で発生したバリは、ヤスリ加工で除去する。
5 本体の溝加工:1(使用機械・フライス盤)
67
文鎮製作 工程手順集
6本体の溝加工:2(使用機械・フライス盤)
加 工 概 要
1.本体上面中心部に溝加工:2を実施する。
幅方向中心部に幅5mm、深さ1mmの溝を加工する。
1) アキューセンターをワーク側面に接触させY軸の
原点を決める。
加工方法・加工条件
1.溝加工寸法:幅:5mm、深さ:1mm
2.使用測定器:ノギス150mm
3.機械加工条件
1) 主軸回転数 800rpm
2) 切り込み量
荒削り加工:0.7mm、仕上げ加工:0.3mm
4.使用工具
φ5エンドミル
コレットチャック
2) エンドミル切刃先端をワーク上面に接触させZ軸
の原点を決める。
3) 仕上げ加工用自動送りの設定をする。
(33mm/min)
4) 溝深さ0.3mmを自動送り加工する。ワークとエン
ドミルに筆で鋼材の加工油を塗布する。
68
5.ワークの溝加工
1) ワークをマシンバイスに固定する。
2) アキューセンタをミーリングチャックに取付ける。
3) X、Y軸のテーブルを移動しアキュ―センタの基
準面をワーク測面に近づける。
4) 主軸起動SWをONにする。
5) アキューセンタをワークに接触させ、徐々に真円
になり、急に偏心する直前の位置を原点にする。
Y軸目盛りをゼロに合せる。主軸センターからワ
ーク側面までの寸法は5.0mm。
6) 溝加工位置:5.0mm+10.0mm=15.0mm
Y軸の目盛りを15.0mm進める。
7) 溝加工する位置でZ軸の原点を合せ、マイクロカ
ラーの目盛りをゼロに合せる。
8) Y軸のテーブルを固定する。
9) X軸のハンドルを反時計方向に廻し、ワークをエ
ンドミルから離す。
10) Z軸のハンドルを時計方向に廻し、切り込み分の
0.7mm進める。
11) X軸(左右送り)の自動送り(85mm/min)レバ
ーを右側に倒し、荒削り加工する。
加工油:マーグプラスTH-10
加工後ハンドルを時計方向に廻し、エンドミルか
らワークを離す。
12) 主軸起動SWをOFFにする。
13) ノギスで前後の残り幅を測定する。
14) Z軸目盛りを仕上げ分の0.3mm進める。
15) 主軸起動SWをONにする。
16) X軸(左右送り)の自動送り(33mm/min)レバー
を左に倒し、加工する。
加工後レバーを戻し、早送りの左側ボタンを押し、
エンドミルからワークを離す。
17) 主軸起動SWをOFFにする。
18) 溝加工で発生したバリはヤスリ加工で徐去する。
6 本体の溝加工:2(使用機械・フライス盤)
69
文鎮製作 工程手順集
7本体の穴あけ、タップ加工(使用機械・卓上ボール盤)
加 工 概 要
加工方法・加工条件
1.本体中心部に穴あけ、タップ加工を実施する。 1.規定条件
(取手取付け用のタップ加工)
1) ケガキ加工する。
2) ポンチング加工する。
取手取付けネジ:M8(並目ネジ)
2.使用測定器
ノギス :150mm
ハイトゲージ:300mm
3.ケガキ、ポンチング作業
3) バイスにワークを固定する。
4) 穴あけ(φ6.8mmドリル)加工する。
ワークの幅、長さ方向の中心にケガキ線を引き、
ポンチを打つ。
1) 定盤の上にハイトゲージを立てる。
2) ハイトゲージのスクライバー下面を定盤面に接触
させ、ダイヤルゲージ指針をゼロに合せる。
カウンタリセットボタンを押し、ゼロにする。
3) ハンドルを廻し、幅寸法に合せる。
4) 左手でワークを金マスに押し付け、右手でハイト
ゲージベース部分を押さえ、ワークに対しスクラ
イバー先端を30°
に当てがい、平行に引き、ケガ
キを行う。
5) ワーク長手方向にも同様にケガキ作業を行う。
6) ケガキ線の交点にポンチ先端を当て、ハンマーで
ポンチ頭部を打つ。
4.穴あけ加工(タップの下穴加工)
5) M8タップ立て加工する。
1) φ6.8mmドリルをボール盤のドリルチャックに取
付ける。
2) ワークをバイスに取付け、ボール盤のテーブルに
乗せ、ドリル先端位置にワークポンチ位置を合わ
せ、バイスをテーブルに固定する。
3) ボール盤主軸回転数を930rpmにセットし、送り
ハンドルをゆっくり下げ、穴あけを行う。貫通穴
が貫ける間際は負荷が大きく掛かかるので、ゆっ
くり貫通させる。
加工油:マーグプラスTH-10
5.タップ立て加工(組タップを使用)
1) 万力にワークを固定する。
2) M8の組タップを先タップから順にタップハンド
ルに取付ける。
3) 垂直にタップ加工を行う。
加工油:塩素フリータッピングスプレー
70
7 本体の穴あけ、タップ加工(使用機械・卓上ボール盤)
71
文鎮製作 工程手順集
8取手つまみ部外径加工(使用機械・旋盤)
加 工 概 要
1.旋盤で取手つまみ部外径を加工する。
1) 切削バイトを取付ける。
加工方法・加工条件
1.取手つまみ形状
(例:つまみ部分円柱)
2.測定器:ノギス200mm
3.バイトの取付け
端面切削用バイトを刃物台に取付ける際、刃先高
さは芯出し台ゲージの上面に合せる。
2) 端面を加工する。
4.ワークの固定
三つ爪チャックに加工する部分をチャックから
40mm位出し固定する。
5.ネジ部の端面加工
3) 切削バイトの先端をφ20外周面に合せる。
1) 始動レバーで主軸を正回転にする。
主軸回転数:550rpm
2) 切削バイトの刃先を端面に接触させ前工程の切断
面残りがないよう約0.5∼1.0mm位切削する。
6.つまみ部外径加工
4) 前後送りハンドルの目盛りをゼロに設定する
5) つまみ部外径を加工する。
72
1) 切削バイト先端をφ20の外周面に合わせ、前後送
りハンドルの目盛りをゼロに合わせる。
2) 一旦ハンドルを左に廻し、刃先をワークから離す。
3) 往復台ハンドルを右に廻しワーク右側に刃先を移
動する。
4) 前後送りハンドルの目盛りを右に廻し、切り込み
量1.5mm進める。
5) 往復台ハンドルをゆっくり左に廻し手送りで取手
長さより、後工程で切断する分5mm位長く加工
する。
1)加工油:マーグプラスTH-10
6) 前後送りハンドルを左に90°
位廻し刃先をワーク
から離す。
7) 3)∼6)を繰り返し、つまみ部外径寸法より0.5mm
手前まで加工する。
8) つまみ部外径をノギスで測定する。
9) つまみ部設計値から測定値を引き、差異分を加工
し設計寸法に仕上げる。
8 取手つまみ部外径加工(使用機械・旋盤)
73
文鎮製作 工程手順集
9取手ネジ部加工(使用機械・旋盤)
加 工 概 要
加工方法・加工条件
1. 旋盤で取手ネジ部外径とM8ネジを加工する。 1.取手つまみ形状
1) φ8.0外径を加工する。 2) φ8.0長さを加工する。
(例:つまみ部分形状円柱)
2.測定器:ノギス200mm
3.M8ネジ部の外径加工
3) 面取り加工する。
1) 始動レバーで主軸を正回転にする。
主軸回転数:550rpm
2) 切削バイト先端をつまみ部外周に当て、前後送り
ハンドルの目盛りをゼロに合せる。
3) つまみ部外径と同様の方法でφ8.0に仕上げる。
4.φ8.0長さ加工
1) 片刃バイト先端をφ8外周に合せる
2) 刃物送りハンドルを右にゆっくり廻し、設計値長
さまで加工する。
4) M8ダイスをダイスハンドルに取付ける。
5.面取り加工
1) 切削バイトの斜め部分で、φ8端面角と、つまみ
部分角にC1.5の面取り加工する。
6.M8ネジ加工
5) M8ダイスをワークにセットする。
6) M8ネジを加工する。
74
1) 主軸回転は停止させておく。
安全のため、SWを切っておく。
2) M8ダイス裏面をダイスハンドルの受面に当て取
付ける。
3) 心押し台にドリルチャクを取付けチャックハンド
ルでチャッキング部先端をφ10位まで開く。
4) ワークにM8ダイスのネジ部分を当て、心押し台
のドリルチャクでダイス裏面を押し、ダイスの傾
き防止を図る。
5) ワークとダイスに加工油を塗布する
加工油:塩素フリータッピングスプレー
6) ダイスハンドルを時計方向に廻し、ワークにダイ
ス先端が食い付き始めたら、心押し台をテーブル
右端へ戻す。
7) ダイスハンドルを廻しネジを切る。
(ダイスに負荷がかかれば一回転戻しながら加工
する)
9 取手ネジ部加工(使用機械・旋盤)
75
文鎮製作 工程手順集
10取手つまみ部端面加工(使用機械・旋盤)
加 工 概 要
1. 旋盤で取手つまみ部長さと端面を加工する。
加工方法・加工条件
1.取手つまみ形状(例:つまみ部分円柱)
1) 突っ切りバイトを取付ける。
2.測定器:ノギス200mm
3.バイトの取付け
突っ切りバイトを刃物台に取付ける。
刃先高さは芯出し台ゲージの上面に合せる。
4.つまみ部分の突っ切り加工
2) ワークを突っ切り加工する。
3) つまみ部端面を加工する。
1) 始動レバーで主軸を正回転にする。
主軸回転数:550rpm
2) 突っ切りバイトをつまみ外周に0.5mm位まで近づ
ける。
3) つまみ長さ寸法より0.5mm位長い位置に、往復台
手送りハンドルと刃物送りハンドルを操作し、バ
イトの先端右端を合せる。
4) バイトとワークに加工油を塗布する。
加工油:マーグプラスTH-10
5) 前後送りハンドルを右方法に廻し、ゆっくり突っ
切り加工する。
6) 主軸回転を停止させる。
7) 切り離された取手を取り出す。
8) 往復台ハンドルを右に廻し三つ爪チャックから離
す。
9) 三つ爪チャックから素材を外す。
5.つまみ部端面加工
4) つまみ部角に面取り加工する。
1) 三つ爪チャックにφ8部分を挟む。
2) 始動レバーで主軸を正回転にする。
主軸回転数:550rpm
3) つまみ端面中心部付近に切削バイトを接触させ刃
物送りハンドルを右に廻し、中心部まで送り、中
心部からハンドルを左に廻し外周まで戻す。
4) つまみ部長さ設計値から測定値を引き、差異分を
加工し、設計寸法に仕上げる。
6.端面角に(C1.5)面取り加工
端面角に往復台手送りハンドルと前後送りハンド
ルを操作し、切削バイトの斜め部分で端面にC面
加工する。
76
10 取手つまみ部端面加工(使用機械・旋盤)
77
CHAP
4
文鎮製作時に想定される
ヒヤリ・ハット集
①文鎮の加工において想定されるヒヤリ・ハット集から、「正しい
基本作業」を、加工に入る前にもう一度確認し、安全に加工する
②ヒヤリ・ハットには、あるパターンが見られることから、下記の
事項 毎回必ず確認し、安全に注意をはらう
・ヒヤリ・ハットは、作業開始直後と終了30分前に多く発生する
・ヒヤリ・ハットは、慣れてきた第3週目あたりから多く発生する
・同じようなヒヤリ・ハットが発生する
工作機械のスイッチを切って、回転が完全に止まらないうちにワークに触ろうとする
鋸 盤:鋸刃の往復運動や回転が完全に止まらないうちに・・・
ボ ー ル 盤:ドリルの回転が完全に止まらないうちに・・・
フライス盤:エンドミルの回転が完全に止まらないうちに・・・
旋 盤:ワークの回転が完全に止まらないうちに・・・
工作機械の目盛りの読み違え
切込みや送り目盛りのハンドルなどを1回転多く廻してしまう
特にフライス盤の早送り機構の誤操作
ワークをエンドミルに近づける際、ワークをエンドミルにぶつけてしまう
自動送りと早送りのスイッチを間違えてしまう
79
文鎮製作時に想定されるヒヤリ・ハット集
ヒヤリ・ハット No.1
工 程 名
不具合内容
切断作業前の安全確認
作業前の安全指導で、作業服を忘れた学生の中に、ワイシャツにネクタイの学生がいた場合、
機械作業ではネクタイのふら付き、上着袖口のボタン掛け忘れ等は、巻き込まれやハンドル、
レバー等に引っ掛かり、事故に繋がる危険が予測される。
正しい基本作業
ネクタイを外し、上着の前ボタン、袖口ボタンを掛け、ズボンを上げ、ベルトをしっかり締め、
正しい服装で作業する。
80
ヒヤリ・ハット No.1
81
文鎮製作時に想定されるヒヤリ・ハット集
ヒヤリ・ハット No.2
工 程 名
不具合内容
旋盤 文鎮本体の端面
三つ爪チャックを開き過ぎた状態でワークをチャックの爪2つで締めた時、そのまま回転させ
ると芯振れとなり、刃物台のバイトが近くに有る場合ぶつかり大事故に繋がる事が予測される。
正しい基本作業
三つ爪チャックはワークの径より少し大きく開き、ワークを三つの爪で固定する。回転させる
前にもう一度正しくチャッキングされているか確認する。
ワ―ク先端に対し、切削バイト位置は50mm位心押台側に離しておく。
82
ヒヤリ・ハット No.2
83
文鎮製作時に想定されるヒヤリ・ハット集
ヒヤリ・ハット No.3
工 程 名
帯鋸切断機 文鎮本体の切断加工
不具合内容
小ホウキで切断屑を除去する時、鋸刃の下に手を入れる行為。
正しい基本作業
鋸刃は定位置に止めてあり、安全は確保されているが、何事にもより安全を心がける。(リス
クを負わない)
材料挿入側又は切断切り離し側から、小ホウキで切断屑を取り除き、手を鋸刃の下に入れない。
84
ヒヤリ・ハット No.3
85
文鎮製作時に想定されるヒヤリ・ハット集
ヒヤリ・ハット No.4
工 程 名
不具合内容
フライス盤 文鎮本体のフライス加工
マシンバイスに取付けたワークを加工中、ミーリングチャックを主軸に固定するドローインボ
ルトのナットを手で締める事により、主軸にミーリングチャックが固定されず緩みが発生する。
エンドミルが上下にがたつく危険状態である。
正しい基本作業
ミーリングチャックを主軸に固定する時は、主軸回転は停止させ、回転数設定レバー位置を一
番遅い低速(180rpm)に合わせ、ドローイングボルトの下部ナットを片口スパナで強く締め
ておく。
86
ヒヤリ・ハット No.4
87
文鎮製作時に想定されるヒヤリ・ハット集
ヒヤリ・ハット No.5
工 程 名
旋盤 文鎮本体の端面旋削加工
不具合内容
旋盤のスイッチを入れチャックが回転しているのに、その前に立つ行為。
正しい基本作業
旋盤作業中に立つ位置は、安全で作業性の良いエプロンの前に立ち作業する。
88
ヒヤリ・ハット No.5
89
文鎮製作時に想定されるヒヤリ・ハット集
ヒヤリ・ハット No.6
工 程 名
不具合内容
旋盤 文鎮本体の端面旋削加工
三つ爪チャックを緩め文鎮本体を取出す時、切削バイトとの位置が近いと文鎮本体を持つ手が
バイトに当たりそうになる。
(手を裂傷する危険な行為)
正しい基本作業
往復台の位置を心押し台側に移動させ、チャックとの間隔を広げて、手が刃物台の切削バイト
に当たらないようにする。
90
ヒヤリ・ハット No.6
91
文鎮製作時に想定されるヒヤリ・ハット集
ヒヤリ・ハット No.7
工 程 名
不具合内容
フライス盤 文鎮本体のフライス加工
回転しているエンドミルの直ぐ横の加工面を指で触る行為。
事故に繋がる可能性がある危険作業である。
(*写真はエンドミルと指との隙間が10mm位しかない状態)
正しい基本作業
主軸回転中はワークに手(指)を出さない。主軸の回転を止め、エンドミルが停止するのを確
認し、テーブルの位置も移動させ、エンドミルとワークとの距離を離してから作業する。
92
ヒヤリ・ハット No.7
93
文鎮製作時に想定されるヒヤリ・ハット集
ヒヤリ・ハット No.8
工 程 名
不具合内容
フライス盤 文鎮本体の切削加工
ミーリングチャックからエンドミルを取外す作業において、左手でエンドミルの刃部を素手で
持ち、右手でミーリングチャックを緩めようとする行為。
エンドミルで左手の手のひらを裂傷しかねない危険な行動である。
正しい基本作業
ミーリングチャックを緩める時、チャックが廻る場合も有るので、エンドミルにウエスを巻き、
左手はエンドミルが下に落ちないよう支えるのが役割で、左手をエンドミルの廻り止めに使用
しない。
94
ヒヤリ・ハット No.8
95
文鎮製作時に想定されるヒヤリ・ハット集
ヒヤリ・ハット No.9
工 程 名
不具合内容
フライス盤 文鎮本体の切削加工
キー付きマシンバイスをテーブルに取付ける作業において、マシンバイスの固定キーをテーブ
ルのキー溝に入れず、マシンバイスを斜めに乗せた不安定な状態で、フライス盤から離れてし
まった場合、マシンバイスがテーブルから落下する危険性がある。
正しい基本作業
マシンバイスをテーブルに取付ける場合は、必ず固定してから離れる事。斜めに乗せた状態で
は、テーブル上面に傷を付ける要因にもなる。
96
ヒヤリ・ハット No.9
97
文鎮製作時に想定されるヒヤリ・ハット集
ヒヤリ・ハット No.10
工 程 名
不具合内容
フライス盤 文鎮本体のフライス加工
ワークをテーブルの早送りでエンドミルに近づけた場合、ワークがエンドミルにぶつかりそう
になる危険性がある。
正しい基本作業
テーブルの早送りにはブレーキが付いていないため、急停止出来ない。
手送りでエンドミルに近づけ、切削加工は手送り又は自動送りで加工する。
98
ヒヤリ・ハット No.10
99
文鎮製作時に想定されるヒヤリ・ハット集
ヒヤリ・ハット No.11
工 程 名
不具合内容
フライス盤 文鎮本体の切削加工
ミーリングチャックからエンドミルを外さないで、付いている状態でミーリングチャックを外
そうとした場合、支えている左手を負傷する可能性がある。
正しい基本作業
100
ミーリングチャックからエンドミルを外した後に、ミーリングチャックを主軸から外す。
ヒヤリ・ハット No.11
101
文鎮製作時に想定されるヒヤリ・ハット集
ヒヤリ・ハット No.12
工 程 名
不具合内容
フライス盤 文鎮本体のフライス加工
マシンバイスのナットを緩めるのに、両手でスパナを持ち、力まかせに緩めようとする行為。
ナットからスパナが外れた時やナットが緩んだとき、バランスが崩れてマシンバイスに手を打
ちケガをする可能性がある。
正しい基本作業
スパナは外れにくいメガネレンチを使用する。
スパナの六角部分が浮き上がって外れないように左手で押さえ、右手でスパナの先端部分をチ
ョンチョンと叩きナットを緩めれば、弾みでバランスを失い勢い余って手をぶつける事を防止
出来る。
102
ヒヤリ・ハット No.12
103
文鎮製作時に想定されるヒヤリ・ハット集
ヒヤリ・ハット No.13
工 程 名
不具合内容
フライス盤 文鎮本体のフライス加工
ミーリングチャックを緩めるのに、ドローインボルトのナットにスパナを掛け、両手で取っ手
部分を持ち力いっぱい緩めようとする行為。
スパナが外れた時やナットが緩んでバランスが崩れると、フライス盤の主軸ヘッド正面部分に
左手の肘を打ちつけることになる。
正しい基本作業
ドローインボルトのナットにスパナを掛け、左手でスパナとナットの六角部分を掴み、スパナ
が外れないように押さえ、右手でスパナの先端部分をチョンチョンと叩き緩めると、弾みでバ
ランスを失い、勢い余って左手を主軸ヘッド部分にぶつけるのを防止出来る。
104
ヒヤリ・ハット No.13
105
文鎮製作時に想定されるヒヤリ・ハット集
ヒヤリ・ハット No.14
工 程 名
不具合内容
フライス盤 文鎮本体のフライス加工
加工終了後の清掃作業において、エンドミルとマシンバイスの間隔が非常に接近した状態でテ
ーブル上面を清掃した場合、左手をエンドミルとマシンバイスの間から引き上げるとエンドミ
ルの刃先で手の甲を裂傷しかねない危険行為。
正しい基本作業
加工終了後の清掃作業は、テーブルを左側に寄せ、エンドミルからマシンバイスを離し、エン
ドミルを先ずミーリングチャックから外した後に、マシンバイスとテーブル上面を清掃する。
106
ヒヤリ・ハット No.14
107
文鎮製作時に想定されるヒヤリ・ハット集
ヒヤリ・ハット No.15
工 程 名
不具合内容
フライス盤 文鎮本体の切削加工
エンドミルでワークを数回に分け加工する際、テーブルをエンドミル径分以上離さずエンドミ
ルの回転を止め、Z軸の切り込みを進めエンドミルを再び回転させた場合、切刃に切り込み量
の負荷が一度に掛かる。
エンドミルの破損、ワークの異常など事故に繋がる。
正しい基本作業
エンドミルが完全にワークより離れていることを確認してから、エンドミルの回転を停止さ
せる。
108
ヒヤリ・ハット No.15
109
文鎮製作時に想定されるヒヤリ・ハット集
ヒヤリ・ハット No.16
工 程 名
不具合内容
フライス盤 文鎮本体のフライス加工
テーブルの『早送り』と『自動送り』のスイッチを間違えて押した場合、ワークを早送りで切
削してしまう危険性がある。
これは大変危険な行為である。
正しい基本作業
作業は慌てず、機械送りを使用する場合は、スイッチを入れる前にもう一度確
認し、OK後スイッチを入れる。
110
ヒヤリ・ハット No.16
111
文鎮製作時に想定されるヒヤリ・ハット集
ヒヤリ・ハット No.17
工 程 名
不具合内容
フライス盤 文鎮本体のフライス加工
例えば、本体底面を1.5mm切削する際、Z軸の目盛りを合わせるときにハンドルを1回転多く回転
させて4.0mm切り込んでしまう可能性がある。
(ハンドルを1回転させると3mmの切込になる)
切り込み量を間違える原因は、原点合わせ後Z軸を一度少し下げ、その後1.5mm目盛りを進め
る時、1回転間違え4.0mm進めたところに切り込み目盛りを合わせてしまうためである。
マシンバイス口金上面より切削面が4.0mm位しか出ていない場合、マシンバイスの上面に切刃
がぶつかる可能性がある。
正しい基本作業
原点合わせ後はZ軸を下げないで、切り込み量を加算しながら目標寸法まで切削加工する。
(下げる場合は0.5mm位にする、半回転以上ハンドルを廻すと元の位置を間違えやすくなる。
)
112
ヒヤリ・ハット No.17
113
文鎮製作時に想定されるヒヤリ・ハット集
ヒヤリ・ハット No.18
工 程 名
不具合内容
フライス盤 文鎮本体のフライス加工
加工途中の段取り作業において、エンドミルからワークを大きく離さず次の加工段取りを始め
た場合、右手甲が、エンドミルに接触する可能性がある。エンドミルの刃先で、手の甲を裂傷
しかねない危険行為である。
正しい基本作業
作業する手が安全に行動出来る位置までテーブルを左側へ送り、エンドミルからワークを一旦
大きく離す。
フライス加工することが優先になりがちだが、段取り作業の基本を忠実に守り安全に作業する。
114
ヒヤリ・ハット No.18
115
CHAP
5
質量・力・モーメントの
概念を身につけよう
質量・力・モーメントの概念を身につけよう
1単 位
一口に単位(unit)といっても、国によってさまざまな単位が存在する。そのため、世界的に単位の統一が進
められている。それが国際単位系(System International d’
unit)(SI単位)である。
1.1
SI単位の7つの基本単位
質 量(mass) :[kg]キログラム
電 流(electric current)
:[A]アンペア
長 さ(length):[m]メートル
物理量(quantity of substance)
:[mol]モル
時 間(time) :[s]秒
光 度(luminous intensity) :[cd]カンデラ
温 度(temperature):[K]ケルビン
その他の単位は、これらの単位を基本として単位を組み立てて使用する。例えば、速度(velocity)の単位は
[m/s]
、体積(volume)の単位は[m3]など。
1.2
質量mについて
“重さ(weight)”は重力(gravity)によって変化する。
(月面上では、同じ物体でも軽くなる。
)しかし、
“質
量”は、重力によって変化しない値である。質量とは、その物体の“動かしにくさ”だと考えると良いかもしれ
ない。物体を動かし始めようとすると、または動いている物体を停止させようとすると、重力があってもなくて
も、ほぼ同じ抵抗(慣性(inertia))をうける。質量はその物体が持つ物理的な性質のことであり、重さとは地
球が(惑星が)物体を引っ張る“力(force)”そのもののことである。
課題1
同じ出力のバイクと自動車がスタートダッシュを競った場合、どちらの出足が速いだろうか?また、その理由
を考えてみよう。
1.3
力Fについて
物体に力が加わると、物体は変形(deformation)したり、動いている物体の速度が変化したりする。力は直
接眼で見ることは出来ないが、物体の変形の度合いや速度変化の様子から、作用した力の大きさや方向を判断す
ることが出来る。
力の単位はニュートン(Newton)[N]であり、1[N]とは質量1kgの物体に1m/s2の加速度(acceleration)
を生じさせる力の大きさである。
力をF[N]、質量をm[kg]、加速度をa[m/s2]とすると以下の式が成り立つ。この式を運動方程式(equation of motion)という。
F=m・a
118
[N]
1 単位
119
質量・力・モーメントの概念を身につけよう
加速度とは文字通り加速する度合いであり、単位時間内にどれだけ速度が変化したか、という値である。地球
が物体を引っ張るときの加速度、つまり重力により生じる加速度は重力加速度(acceleration of gravity)といい、
ジー
g[m/s2]で表される。重力加速度の大きさは場所によって異なるが、標準重力加速度の値は9.80665[m/s2]
である。
課題2
ジー
1. ジェットコースターに乗ったら3 Gでシートに押さえつけられた。あなたの体重では何[N]の力でシー
トに押さえつけられたことになるだろうか?
2. 月面上での重力加速度は地球上の重力加速度の約6分の1である。あなたの体重は月面上で何[N]にな
るだろうか?
3. ニュートンの運動の3法則を述べよ。
1.4
モーメントMについて
スパナでナットを締めるときには、力を加える点が回転の中心から遠い方が、小さな
力で作業ができることを体験している。このような物体を回転させようとする力の働き
を力のモーメント(moment of force)といい、これは回転運動をさせる能力を示すも
ので、トルク(torque)ともいう。
モーメントの符号は、反時計回りを+(正)、時計回りを−(負)にとる。したがっ
て、左回りのモーメントは+、右回りは−となる。
作用する力をF[N]
、その作用する力の作用線と回転軸との距離を [m]とすると、
モーメントMは、以下の式で求まる。
M=F・
ただし、作用している力は、
もし、力が
図1-1
[N・m]
に対し、垂直に作用していなければならない(図1-2参照)
。
に対して斜めに作用している場合は、テーマ4で解説される力の分解を行い、力Fの垂直成分F’
を用いて求めればよい。
図1-2
120
モーメントの符号
モーメント図
1 単位
121
質量・力・モーメントの概念を身につけよう
課題3
1. ドアノブは、蝶つがいに近いところに取り付けた方が開けやすいだろうか?それとも遠いところに取り付
けた方がよいか?
2. 上向きに200[N]、下向きに100[N]の2つの力が図のようにレバーに対して直角に作用している。レ
バーはどちらに回るか? また中心の回りのモーメント[N・m]を求めよ。
3. 水平線に対し、60°
の角をなす棒の先端に200[N]のおもりをつるした。棒の下端に働くモーメントを
求めよ。
2材料の強さ
構造物(structures)を構成する材料(material)は、力が加わると変形し、耐久の限界を超えると破壊
(fracture)される。設計(design)をするには、材料に働く力、材料の種類、大きさ、形状などが問題になって
くる。
2.1
荷重Wについて
材料に働く外力を荷重(load)という。荷重は、加え方により以下の種類に分類できる。
122
1 単位/2 材料の強さ
123
質量・力・モーメントの概念を身につけよう
2.1.1
荷重の方向、材料の変形による分類
図2-1
変形による荷重の分類
2.1.2 荷重の状態による分類
静荷重(staticload) :ゆっくりと一定の力でかかる荷重。加えられた状態で静止している。
動荷重(dynamicload):力の加わる速度が速く、大きさや方向が変化する荷重。
図2-2
2.1.3
作用する状態による荷重の分類
分布状態による分類
集中荷重(concentrated load):一点に働くと考えられる荷重
分布荷重(distributed load) :材料の面または長さにわたって作用する荷重
・等分布荷重(uniformly distributed load):一様な大きさで分布する荷重
・不等分布荷重(unevenly uniformly distributed load):位置によって大きさが異なる荷重
2.2
応力σについて
材料に荷重Wが作用すると、材料内部にはこれに抵抗する力、すなわち応力(stress)が生じる。断面積(sectional area)がA[m2]の材料に荷重W[N]が作用したときの応力σは、
W
σ= ―
A
124
[Pa]
2 材料の強さ
125
質量・力・モーメントの概念を身につけよう
で求まる。応力の単位はパスカル[Pa]であり、パスカルは圧力(pressure)の単位としてよく知られており、
[N/m2]と同義である。ここでの“応力”とは引張応力(tensile stress)や圧縮応力(compressive stress)を指
し、これ以外の応力、例えば曲げ応力(bending stress)などは求め方が異なる。曲げ応力σbは以下の式により
求められる。
M
σb= ―b
Z
[Pa]
ここで、Mb は応力を求めようとしている点で生じている曲げモーメント(bending moment)である。Z は断
面係数(section modulus)であり、材料の断面の形状により異なる係数である。断面が長方形の場合には、Z =
(1/6)bh2(b:断面の幅、h:断面の高さ)
。
つまり、曲げ応力を求めるには、まずモーメントを求める必要があるということである。
3材料の強度実験
実験目的:長方形断面の片持ちはりの曲げ実験を通して、モーメ
ントや応力の概念を身につける。
使用材料:5×10×900[mm]のヒノキ材。
実験条件:固定端より、150、250、350[mm]の位置に順番に荷
重をかける。
かける荷重は、
[静荷重、集中荷重]
。
実験方法:①先端から10mmの位置に凧糸を3重に強く縛る
②b=10、h=5、
=350の条件で実験机に材料を取り
つける
③凧糸で縛ってある位置におもりを吊り下げる
④おもりを少しずつ加えていき、材料を破壊させる
図3-1
⑤破壊したときのおもりの重さを合計する
⑥荷重をかける位置
実験方法
を変化させ(150、250mm)
、実験を繰り返す
Mb
Mb =W× σb= ―
Z
W:荷重[N]
:長さ[m]
σb:応力[Pa]
Mb:曲げモーメント[N・m]
Z :断面係数(一定値)[m3]
図3-2
126
せん断力と曲げモーメント図(片持ちはり)
2 材料の強さ/3 材料の強度実験
127
質量・力・モーメントの概念を身につけよう
【実験結果】
① 曲げモーメントと曲げ応力の値を計算で求め、表3-1を完成させる。
表3-1
材料の強度実験データ及び計算結果
=0.15[m]
=0.25[m]
[kgf]
破壊荷重W
[N]
曲げモーメントMb
[N・m]
曲げ応力σb
[MPa]
メガ
Zの計算:Z=
② 固定端からの距離
[m3]
と破壊荷重(fracture load)W の関係をグラフに表す。
図3-3
128
固定端からの距離
と破壊荷重W の関係
=0.35[m]
3 材料の強度実験
129
質量・力・モーメントの概念を身につけよう
③
固定端からの距離
と曲げモーメントMb の関係をグラフに表す。
図3-4
固定端からの距離
と曲げモーメントMb の関係
考察
1. 材料の強度実験の結果から荷重をかける位置 を固定端から変化させた場合、
の長さと破壊荷重の
関係を考えてみよう。
・ が長くなると破壊荷重W の大きさはどうなったか? 番号に○印を付けよ。
①大きくなった ②小さくなった ③変わらなかった
・理論的には の長さと破壊荷重Wの関係は直線的に右下がりになるはずである。もしグラフがそう
ならなかったら、それはなぜだろうか?
2.
の長さと曲げモーメントの関係について考えてみよう。
・ の長さが長くなると、曲げモーメントはどうなったか? 番号に○印を付けよ。
①大きくなった ②小さくなった ③変わらなかった
・理論的には の長さと曲げモーメントの関係は横軸に平行な直線になる。もし結果がそうなってい
なかったら、それはなぜだろうか?
130
3 材料の強度実験
131
質量・力・モーメントの概念を身につけよう
4骨組構造
クレーン、橋、鉄塔など、直線形の材料(鉄骨などの構造部材)を組み合わせて出来た構造物を骨組み構造
(framed structure)という。
どのようにしてクレーンや橋などの構造は考えられているのだろうか。
各部の直線部分を組子、または部材(member)という。部材と部材の接合点(joining point)を接点(joint
of framework)という。
トラス(truss)
:接点がすべて回転自由なピンなどで結合されている可動式の構造。
ラーメン(rahmen):接点がリベット(rivet)や溶接(welding)などで固定されている非可動式の構造。
鉄 塔
図4-1
骨組構造とその例
橋の設計・製作コンテスト
5『オリジナルの橋模型を製作し、強度とデザイン性を競おう!』
目 的:①橋の設計・製作を通し、モーメントや応力の概念を身につける
②頭に描いた形を実際に立体化する作業を通じ、モノづくりの素養を養う
③デザイン性を磨き、集中力を養う
評 価:設計図、スケッチ図、報告書の内容、プレゼンテーション技法、デザイン、強度
材 料:5×5×900[mm]のバルサ棒×2本
4×4×900[mm]のバルサ棒×3本
3×4×900[mm]のバルサ棒×3本
工 具:セメダイン、NTカッター(直刃、のこ刃)
、直定規(ステン、プラスチック)
、ピンセット、
平ヤスリ、クリップ
132
4 骨組構造/5 橋の設計製作コンテスト
133
質量・力・モーメントの概念を身につけよう
設計条件:
図5-1
橋の設計における寸法上の制約
注意
《設計に関して》
①橋の機能を考慮し、人や車が通れるデザインにする
②曲げモーメントが最大のところで破壊することを考慮する
③加わった荷重が分散するような設計をする
④材料の強度実験の結果を生かして設計する
《製作に関して》
①材料が接合する部分は、隙間の無いように丁寧に加工すると強度が増す
②接着剤が乾くまで時間がかかるので段取りを考えて作業する
③工具をうまく利用し、精度のよい加工をする
④カッターなどの道具の取り扱いには十分に注意する
⑤最低限20[N]の荷重に耐えられる橋を製作する
橋の製作品例
図5-2
134
橋の製作品例
5 橋の設計製作コンテスト
135
質量・力・モーメントの概念を身につけよう
橋の強度コンテストの様子
①実験机の間隔を400mmあけ、床に450mm×450mm×9mmのベニヤ板を敷き、製作した橋の中央に、おもりを
下げて、強度を測定する。
②最初に吊すおもりの重さは20[N]であり、徐々におもりの重さを増やしていき、破壊したときのおもりの重
さを合計して、破壊荷重を求める。
図5-3
橋の強度コンテストの様子
=設計図の作成=
宿題
製作する橋のイメージ(組み立て予想図)を描く。
(組み立て予想図をしっかりと描いておくと、製作が容易になる)
完成した橋をスケッチしよう。
(正確なスケッチ図に仕上げることで、デザイン能力を養おう)
136
5 橋の設計製作コンテスト
137
質量・力・モーメントの概念を身につけよう
=破壊実験=
手 順:①机の間隔を400mm離し、製作した橋をセットする。
②橋の中央部に荷重(静荷重、集中荷重)を加え、橋を破壊させる。
③破壊したときの荷重から、反力、最大曲げモーメント、最大曲げ応力を求める。
Mb
Mb =R× σb= ―
Z
W:荷重[N]
:長さ[m]
σb:応力[Pa]
Mb:曲げモーメント[N・m]
Z :断面係数[m3]
図5-4
せん断力と曲げモーメント図(両端支持はり)
デザイン評価: A
B
C
R:反力[N]
D
破壊荷重W = [N]
計算結果
反力R =
[N]
最大曲げモーメントMb=
[N・m]
最大曲げ応力σb=
[MPa]
メガ
(Z=5×10-6[m3]を使用すること)
考察
設計および製作において工夫した点
138
5 橋の設計製作コンテスト
139
質量・力・モーメントの概念を身につけよう
考察
実験結果に対する反省点
140
5 橋の設計製作コンテスト
141
質量・力・モーメントの概念を身につけよう
142
5 橋の設計製作コンテスト
143
付 録
145
付録
146
147
創造実験Ⅰ
2008年4月1日
第4版第1刷発行
著
者
天日三知夫
山科 哲次
柳浦 正勝
塚本 義一
吉江 則雄
竹田 龍一
高羽 正人
竹内 諭
坂本 巧
天日 啓之
安藤 輝政
発 行者 金沢工業高等専門学校
〒921-8601 石川県金沢市久安 2-270
T E L 076-248-1080
FA X 076-248-5548
文部科学省委託事業
■「ものづくり技術者育成支援事業」
(平成19年度)
■「産学連携による実践型人材育成事業」
(平成20年度から名称変更)
Fly UP