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新潟県原子力発電所の安全管理に関する技術委員会 (平成 23 年度第1
新潟県原子力発電所の安全管理に関する技術委員会 (平成 23 年度第1回) 1 出席者 <委 員> 北村正晴 東北大学名誉教授 衣笠善博 東京工業大学名誉教授 香山 室蘭工業大学環境・エネルギーシステム材料研究機構長 晃 小山幸司 三菱重工業株式会社原子力事業本部原子力製造総括原子力機器設計部 マネージングエキスパート 鈴木賢治 新潟大学人文社会・教育科学系教授 鈴木元衛 日本原子力研究開発機構安全研究センター燃料安全研究グループ常勤嘱託員 立石雅昭 元新潟大学教授 角山正博 新潟工科大学工学部情報電子工学科教授 中島 京都大学原子炉実験所原子力基礎工学研究部門教授 健 西川孝夫 東京都立大学名誉教授 橋爪秀利 東北大学大学院工学研究科教授 山崎晴雄 首都大学東京大学院都市環境科学研究科教授 吉川榮和 京都大学名誉教授 <東京電力> 川俣 晋 原子力品質・安全部長 土方勝一郎 原子力設備管理部原子力耐震技術センター所長 浅井聡史 原子力設備管理部原子力耐震技術センター土木調査グループ 水谷浩之 原子力設備管理部原子力耐震技術センター地震グループ 横村忠幸 柏崎刈羽原子力発電所長 新井史朗 柏崎刈羽原子力発電所副所長 玉井俊光 柏崎刈羽原子力発電所技術総括部長 熊田 柏崎刈羽原子力発電所技術・広報担当 茂 武田智吉 柏崎刈羽原子力発電所総務部土木(第二)グループマネージャー <原子力安全・保安院> 石垣宏毅 原子力発電検査課統括安全審査官 長山由考 原子力発電検査課原子力安全専門職 小林 勝 原子力発電安全審査課耐震安全審査室長 竹本 亮 柏崎刈羽原子力保安検査官事務所長 <新潟県> 飯沼克英 防災局長 山田治之 防災局原子力安全対策課長 熊倉 防災局原子力安全広報監 健 伊藤幸司 防災局原子力安全対策課副参事 丸田文之 放射線監視センター所長 - 1 - <柏崎市> 駒野龍夫 市民生活部防災・原子力課長 <刈羽村> 山崎雅宏 2 3 総務課副参事 日時 平成 23 年5月 19 日(木) 12:30~16:30(マスコミ公開で実施) 場所 新潟県自治会館別館「ゆきつばき」 4 議題 (1) 福島県における原子力災害の状況について (2) 柏崎刈羽原子力発電所における緊急安全対策について (3) その他 5 配付資料 No. 1 東日本大震災における原子力発電所の影響と現在の状況について(東京電力) No.2-1 柏崎刈羽原子力発電所における緊急安全対策について(東京電力) No.2-2 福島第一原子力発電所における原子力災害を踏まえた緊急安全対策の対応状況等 について(原子力安全・保安院) No.2-3 電子会議室に寄せられた委員意見等 参考資料 ・ 柏崎刈羽原子力発電所における緊急安全対策について(実施状況報告)(補正)(東京電力) ・ 福島第一原子力発電所事故を踏まえた他の発電所の緊急安全対策の実施状況の確認結果 について他(原子力安全・保安院) 6 質疑等 <開会挨拶> (飯沼防災局長) 飯沼でございます。本日はお忙しい中、今年度第1回の技術委員会にご出席いただきまして、大 変ありがとうございました。また、日頃から委員の皆さま方には発電所の安全管理に伴いまして、 ご指導いただいているところであり、感謝申し上げます。 皆さまご承知のとおり、3月 11 日、三陸沖を震源といたします東日本大震災が発生しておりま す。お亡くなりになった方、行方不明の方の合計は約2万8千人と伺っておりますが、自然災害と して非常に大規模であっただけでなく、ご承知のとおり、東京電力福島第一原子力発電所の事故が 発生いたしまして、その後にも長い影響を与えているという状況にございます。お亡くなりになっ た皆さま方にご冥福をお祈り申し上げるところでございます。 県といたしましては、東京電力・国には一刻も早い原子力発電所事故の収束を、解決を強く求め - 2 - ているところでございます。当然のことながらこの事故を踏まえまして、当柏崎刈羽原子力発電所 の議論も行っていただく必要があると考えております。 4月 21 日には、東京電力は柏崎刈羽原子力発電所における緊急安全対策の実施状況などを取り 纏めた報告書を国に提出されました。また、5月6日にはこの対策の実施状況に対し、国の評価が 示されたところでございます。しかしながら、未だ福島県におきます原子力発電所の事故の検証が 十分なされているとは言い難い状況にございますし、緊急安全対策を評価するうえでもまずは事故 の原因の究明、それから対応状況の検証といったことが不可欠であると考えております。技術委員 会におかれましては、この福島県の原子力発電所の事故を踏まえて、安全対策について十分ご議論 いただき、国と東京電力へ説明を求めていくということが重要であると考えております。また、そ れが柏崎刈羽原子力発電所のさらなる安全性の向上にも必要なものであると考えるしだいでござ います。 福島県の原子力発電所の事故を考えますと、安全性に関わる重要な議論が多々あろうかと考えて おります。しかしながら、まず本日は柏崎刈羽原子力発電所の緊急安全対策、これを中心にその議 論の前提となる福島県の状況についてもご確認いただきたいと思います。引き続く議論になろうか とは思いますけれども、何卒よろしくお願いを申し上げたいと思います。 また、本日は大変お忙しい中、委員の皆さま方全員のご出席をいただいたところでございます。 議事の進め方等は後ほど事務局より説明いたしますが、せっかくお揃いいただいた機会でございま すので、十分なご議論をいただけることをお願い申し上げまして、挨拶とさせていただきます。ど うもありがとうございました。 (事務局_伊藤副参事)〔 配布資料確認 〕 (事務局_山田課長) 皆さん、ごめんください。県庁原子力安全対策課山田と申します。今日はどうぞよろしくお願い 申し上げます。本日はこの度の震災で被災された委員の皆さまを始め、皆さん大変ご多忙の中を技 術委員会にご参加いただきまして、誠にありがとうございます。今日は技術委員会始まって以来、 委員の皆さま全員ご参加いただいております。どうぞよろしくお願い申し上げます。 3月以降、福島県の原子力災害を受けまして、新潟県としても柏崎刈羽原子力発電所の安全対策、 そして県内放射線の状況等を確認し、県民の皆さまにお伝えしてまいったところです。ただこの間、 技術委員会の事務局といたしましては、委員の皆さまに委嘱の手続きなどについて遅滞があったこ とについてはお詫びを申し上げます。基本的に委員の皆さまには、皆さまご留任をいただいており ます。誠にありがとうございます。ただ、岡田委員におかれましてはご都合から辞退なされました ので、ここでご報告させていただきます。また、本年度から斉藤徹哉委員の後任といたしまして、 同じく三菱重工株式会社原子力事業本部原子力製造総括部原子力機器設計部マネージングエキス パートをお勤めの小山幸司様から、委員として新たにご就任頂くようにお願い申し上げております ので、ここで小山委員をご紹介申し上げます。恐れ入ります小山委員から一言お願いできますでし ょうか。 (小山委員) 今、ご紹介を預かりました小山です。前任の斉藤のほうが仕事の都合で4月に退任しまし たので、私のほうが新たに参加させていただくことになりました。私の方は、お手元にもあ りますけど、三菱重工で原子力発電用の機器、主に重機器と言われるものの設計の関係の仕 - 3 - 事をしてきています。現在は主にその設計から規格基準というかたちに展開するような業務 を中心に行っております。皆様のご議論に参加させていただいて、お役にたちたいと思いま す。どうぞよろしくお願いします。 (事務局_山田課長) どうもありがとうございました。これからもよろしくお願いを申し上げます。続きまして、技術 委員会の座長及び座長代理でございますけれども、引き続き鈴木賢治委員から座長に、中島委員か ら座長代理にご就任賜りたいと思いますが、いかがでしょうか。 〔 異議なし 〕 それでは鈴木座長、中島座長代理、どうぞよろしくお願い申し上げます。 では続いて今日の議事の進め方についてご説明を申し上げます。本日ご確認いただきますこと は、柏崎刈羽原発の緊急安全対策を中心に、そしてその安全対策を考える前提となる福島第一原発 の状況についてご確認いただこうと思っております。そこで議事といたしましては、物事の順番と しましてその前提となる福島の状況、そして引き続き、柏崎の緊急安全対策について、連続してか つ簡潔にまず東京電力から説明を受けます。続いて、それらの評価・対策について原子力安全・保 安院さんから説明いただきたいと思っております。 ここでなお、配付資料について補足して説明させていただきます。資料のNo2-3 でございます。 これは今日の委員会に向けて委員の皆さまから、東電の緊急対策や福島第一原発の検証についてご 意見やご質問をいただいたものを纏めたものです。この最後の方にありますのは、実は新潟県とし て国や東京電力に対して説明していただくように求める予定の項目です。これは実は原子力発電所 を有します道県、14 道県あるんですけれども、その集まりの原子力発電関係団体協議会、われわ れ原発協と申しておりますが、そこでこの度、国に対して緊急要請を行うことになりました。その 中で具体的に説明をお願いしたい事項として、技術委員会の皆さまからいただいた質問などに県の 事務局としての質問も加え整理したものです。そのために技術委員会の場でご審議いただく内容に は馴染まない内容も含まれておりますが、正式な要請は先になりますけれども、今日の技術委員会 の場でも、当然まだ検証委員会の作業がまだ入っていない段階ですから、いま時点でご説明いただ けるものはご説明賜りたいと存じております。以上委員の皆さまにおかれましては限られた時間で ございますけれども、忌憚のないご指導いただきますようお願い申し上げます。 なお、北村委員におかれましては、本日所用のため、3時前に退席されますので、お含みおきく ださい。 最後に傍聴の皆さまにお願いがあります。今日の技術委員会はとても重要な委員会です。未曾有 の事故を受けて国民、県民の皆さんの怒りや不信というのはそれは至極当然のことです。でもそう いうふうな疑問について確認していただくのが今日の委員会です。時間も限られております。どう ぞ議事の円滑な進行にご協力くださいますようにお願いいたします。それでは鈴木座長、どうぞよ ろしくお願いいたします。 - 4 - <議題(1)福島県における原子力災害について、議題(2)柏崎刈羽原子力発電所における緊急安全対 策について> (鈴木座長) それでは技術委員会に入りたいと思います。今回の東日本大震災を受けて、福島第一発電所を始 め、多くの発電所で大変な被害があったということを深く受け止めて、この技術委員会でも真摯に その記憶を引き出して、柏崎刈羽の発電所の議論を深めたいというふうに思っております。各委員 の方もご意見、お考え等あるかと思いますが、今日の議論の中でそれを活かしていただければとい うふうに思っております。 それでは議題に入りたいと思います。一番最初に「福島県における原子力災害の状況について」 東京電力からご説明をお願いいたします。 (東京電力_横村発電所長) 柏崎刈羽原子力発電所長の横村でございます。この度は当社福島第一原子力発電所の事故により まして、福島県の皆さま、それから新潟県の皆さま、そして広く社会の皆さまに大変なご心配とご 迷惑をおかけしております。まずはこの場をお借りいたしまして、お詫びを申し上げさせていただ きたいと思います。それから我が発電所の運営にこれまでも広くご指導いただいてきた委員の先生 方始め、皆さま方にも大変なご心配とご迷惑をおかけしているというふうに考えております。重ね てお詫びを申し上げます。現在、私どもは避難を余儀なくされている方々が一刻も早くご帰宅がで きるように全社をあげて、この事故の収束に向け取り組んでいるところでございます。この柏崎刈 羽原子力発電所におきましても、発災直後より出来うる限りの人的物的支援を福島第一に行うとと もに、もしあのような津波がこの新潟県の柏崎刈羽原子力発電所を襲ったらどうなるかというふう に考えまして、様々な対策をとってきたところでございます。本日は福島第一のこれまでの状況を、 それから今回の事故を踏まえました私どもの対策についてご説明をさせていただきまして、我々の 取り組みについてご紹介をさせていただきたいというふうに思います。なお、福島の発電所の状況 につきましてはまだ現段階でもなお解明中のところがございまして、本日ご質問いただく中では満 足な回答ができないところもあるかと思いますが、その点につきましてはご容赦をよろしくお願い したいと思います。 それでは福島第一の現在の状況につきまして、まず本店の川俣よりご説明をさせていただきます ので、よろしくお願いいたします。 〔 資料 No.1に基づき、東京電力から説明 〕 (鈴木座長) ありがとうございました。保安院のほうからは補足説明等あればお願いします。 (原子力・安全保安院_石垣審査官) はい、緊急安全対策を東京電力から説明いただいた後の方が。 (鈴木座長) では引き続き、緊急安全対策の説明をお願いします。 - 5 - 〔 資料 No.2-1に基づき、東京電力から説明 〕 (鈴木座長) ありがとうございました。引き続き、保安院の方から緊急安全対策についての実施状況の報告を お願いします。 〔 資料 No.2-2に基づき、原子力安全・保安院から説明 〕 (鈴木座長) ありがとうござました。それでは説明がずいぶん長くなりましたが、これから議論に入りたいと 思います。ご質問等ございましたらお願いします。 (鈴木(元)委員) 原研機構の鈴木でございます。まず資料の順を追って細かいところを確認したいと思います。そ れから、さらにもう少し突っ込んだ質問をさせていただきます。まず最初はですね、資料 No.1の 東電さんの6頁、これは保安院さんの資料にもありますが、福島第一・第二の地震観測記録という ものが書いてあります。この時刻歴のですね、時刻歴波形というものはございますか。それは公開 されていますか。 (東京電力_土方所長) はい、お答えいたします。時刻歴波形は採れていまして、これはすでに公開をさせていただいて おります。 (鈴木(元)委員) どこを見ればありますか。 (東京電力_土方所長) すいません。5月 16 日付けで保安院さんの方に福島第一・第二原子力発電所における地震観測 の分析に関わる報告というのをお出ししております。そのなかに時刻歴波形についても現時点で確 認されているもの、具体的には各号機の基礎盤でとれた波形とですね、それとそのスペクトルを計 算したもの、そういうものをお出しさせていただいています。 (鈴木(元)委員) それは東電さんのホームページに載っているわけですか。 (原子力・安全保安院_石垣審査官) すいません、保安院から補足します。提出していただいた資料、ものすごい分量なんですけども、 保安院のホームページから全部ダウンロードができます。 (鈴木(元)委員) 保安院のホームページですね、はい、分かりました。次に 11 頁。同じ資料の 11 頁で、地震後、 津波前にですね、地震発生と同時に全制御棒が全挿入というふうに書いてあります。これは何か、 - 6 - そういう証拠なり記録なりはございますか。 (東京電力_川俣部長) これにつきましてもですね、ログタイパー或いはアラームチャート等をですね、国の方に出して おりますので、もし先ほどのような話であれば、国のホームページからダウンロードできます。 (鈴木(元)委員) はい、分かりました。それからですね、次の行に「地震により一部の送電線が損傷」というふう に書いてありますが、ちょっとよく分かりにくいですけど、すべての外部電源が切れたというわけ ではないのですか。 (東京電力_川俣部長) これにつきましては5月 16 日にプレス発表しておりますので、そちらの内容に詳しく書いてお りますが、いろいろですね、損傷した部位が違う、あるいは鉄塔が倒壊したんだけれど、それは鉄 塔の直接的な損壊ではなくて地崩れ等による損壊だとかですね、そういうような内容を5月 16 日 に公表しております。 (鈴木(元)委員) あの、分かりました。5月 16 日の公表のものは保安院にあるのですか。保安院のホームページ に。ちょっと時間が足りなくてよく分からなかったんですけれど。 (原子力・安全保安院_石垣審査官) ものすごい分量なんでダウンロードにたぶん時間がかかるんですね。CDに焼いたやつで提供さ せていただいていますので、持ち帰って何らかの手段で提供するように考えたいと思います。 (事務局_熊倉広報監) 事務局からですけれども。事務局の方へお届けいただければ、各委員の皆さまへお届けしたいと 思いますので、よろしいでしょうか。 (東京電力_川俣部長) 大変恐縮なんですけれど、こういう形でどこの部分がどういうように損傷したっていうのは纏め ております。個々に説明していると大変時間がかかりますので、説明としては不十分かも知れませ んけど、ぜひご理解いただければと思います。 (鈴木(元)委員) はい、承知しております。同じく 20 ページの下の方に「中操の監視・操作機能の喪失状態」と いうことがありますが、これはいつ中操のモニタ機能が喪失したということなんでしょうか。 (東京電力_川俣部長) ひとつはですね、監視・操作系は直流電源でやっておりますので、ひとつはバッテリーが動いて いる部分については約8時間くらいはもったと…、一方ですね、例えば1号機のようにそのバッテ リーそのものが津波で水没したというようなものは、津波直後に機能喪失したというふうに考えて - 7 - おります。 (鈴木(元)委員) その後はもうそこでは、中操の電源がないと・・・ (東京電力_川俣部長) はい、ただしここはちょっとややこしいんですけども、例えば中央制御室、1号機と2号機は共 有の中央制御室になっておりますので、我々の理解している範囲では2号機はまだ薄ぼんやりと灯 りが点いていたと、非常用の電源が点いていたというような状況がしばらく続いたというふうに聞 いております。 (鈴木(元)委員) はい、分かりました。それから 22 ページなんですが、これもまた保安院さんの資料にもでてき ましたけど、ベントする時に水中でスクラビングするので十分放射能の放出は抑えられるというご 説明でしたけど、これはそうすると、スクラビングをすれば、あとはスカスカでスタックの方に出 て行くと、その中間にはフィルターがあるというわけはないんですね。 (東京電力_川俣部長) 確かに概念としてフィルターベントというものはありますけれども、これは 22 ページの図を見 ていただくように、ラプチャーディスクが所定の圧力で割れれば、その後はサプレッションチェン バーのスクラビングされたエアーが排気筒の方に導かれます。 (鈴木(元)委員) いや、その時にね、微小な水滴とかエアロゾールとかも一緒に出て行かないんですか。 (東京電力_川俣部長) いまのご質問については、私、いま時点で答えを持ち合わせておりませんけれども…。 いまのご質問の趣旨は、サプレッションチェンバーの水の中に蒸気が入って、凝縮されて、その 凝縮されたエアーが排気されるわけだから、その排気の中には粒子だとか気滴だとか、そういうも のが混じる可能性はあるかどうか、というご質問ですか。 (鈴木(元)委員) そういう意味です。 (東京電力:川俣部長) いまここではお答えできませんので、調べさせていただきたいと思います。 (鈴木(元)委員) はい、分かりました。では次 23 ページですが、この解析値ですけど、この解析値を見ますと、 原子炉水位と炉心最高温度ということが解析値として書いてありますが、一方で、データとして、 第一プラントパラメータの推移ということで既に原子炉圧力、格納容器圧力、原子炉水位のAとB というデータが開示されております。このデータとこの計算値を比較しますと、大分ズレているん - 8 - です。例えば、原子炉水位はですね、3月 12 日の5時頃の時点では、まだ炉頂から 500 ミリとか 1,000 ミリとかその程度あった。でも、計算値を見ると、もうマイナス8mになっていて、燃料の ボトムを下回っていると。大分ズレているんですけど、これはどっちが正しいんですか。 (東京電力_川俣部長) 実データとの対比はしております。それでご案内のように、データがですね、確実にリアルタイ ムで連続的に測定されているわけではない。それから、水位についても、非常に高温状態であった ので、誤差等が生まれている可能性がある。そういう状況に併せて、今回のMAAPの解析につい ては、一応いま我々が知り得る条件、例えば、ポンプはこの頃、注水はこの頃始まって終わったと いうような条件を前提にしておりますので、もう少しチューニング…、今日は暫定的な評価結果だ と言っておりますが、まさにそういう意味でして、もう少し社内でチューニングする必要があろう かと思います。ただ、その結果として、全ての物理事象とMAAPの結果が一対一になるというの は、そこまでは期待できないかもしれないです。 (鈴木(元)委員) はい、分かりました。そうするとですね、3月 11 日の地震発生とスクラムから、いま開示され ているデータの翌日の3時頃までの間の実測データというのはあるんでしょうか。 (東京電力_川俣部長) 先程ご説明しました実際のデータというのはですね、一番最初に我々が着目したのは、手でデー タを取るのに何を優先するかということで議論しておりまして、ちょっと私の記憶ですけれども、 この当時は、まず水位をきちっと採ろうということで、水位のデータはいくつかあったと思います。 その次に原子炉圧力、格納容器圧力等々のデータをですね、個別に一個一個の検出器から復旧させ て、バッテリーで復旧させて、データを採っておりますが、歯抜けではありますが、データはある 程度はあります。 (鈴木(元)委員) それは先ほど申しました膨大な資料の中に数値としては入っているわけですね。 (東京電力_川俣部長) 入っているはずです。確認させていただきますけれども、我々が採ったデータとしては入ってい るはずです。 (鈴木(元)委員) 分かりました。このMAAPによる解析結果にしろ、開示された測定データ、どれだけの信頼性 があるかという問題はあると思いますが、このデータにしろ、原子炉水位が非常に急激に下がって いるわけですね。その原因というのは何ですか。 (東京電力_川俣部長) 解析の世界の話ですので、水位が急激に下がっているのは、注水のない状況で残留熱で水位が下 がっていると。ただし、有効燃料長底部、これは 23 ページの部分ですけれども、有効燃料長底部 のところで発熱体と水の接点が無くなりますので、これ以降は水位の下がりはゆっくりになると。 - 9 - で、このへんの水位がどの程度で下がるかというのは、解析における・・・ (鈴木(元)委員) 分かりました、分かりました。それでね、私がお聞きしているのは、急速に下がるのは蒸気が逃 げていったからと、こうおっしゃったわけですよね。その蒸気はどこにいったんですか。 (東京電力_川俣部長) 初期の段階でアイソレーションコンデンサー、これは動いてます。アイソレーションコンデンサ ーの作動の条件は、ちょっとうろ覚えですが、通常運転圧力が 70 気圧位に対して 73 気圧程になる と、その時間の 15 秒の継続でアイソレーションコンデンサーが動きますので、少なくともアイソ レーションコンデンサーには相当量の蒸気がいっただろうと。それからそれ以外にも、更にそれで 賄いきれない場合には、アイソレーションコンデンサーは 2 台動いてますので、そこに蒸気がいっ て、賄いきれない場合には、逃がし安全弁等が開くような設計になっておりますけれども、そうい うデータについてはちょっと今データ持っておりませんので・・・ (鈴木(元)委員) ちょっと待ってください。そうするとアイソレーションコンデンサーが動作しましたと、それが 満杯になった場合は逃がし弁が開きますと、それがこの解析における急激な減少水位の原因である と、そうおっしゃるわけですね。 (東京電力_川俣部長) ここの水位の落ちたのは、間違いなく残留熱による蒸発だというふうに考えておるんですけれど も、個別にどの部分をおっしゃっているのかというのは・・・ (鈴木(元)委員) いや、3月 11 日の 18 時前後に急激に下がってますよね。原子炉水位が 4.5m位からマイナス4 m位まで下がってますよね。 (東京電力_川俣部長) これは、解析の条件等の考え方で言えば、先ほど解析が暫定的だというふうに言いましたけれど も、津波後にアイソレーションコンデンサーが止まったというふうに計算上入れておりますので、 その結果、蒸気の凝縮がもうなくなって、アイソレーションコンデンサーによる冷却がなくなって、 原子炉で発生している残留熱は蒸気として除熱されてますので、その分は水位が下がるというふう に理解しますが。 (鈴木(元)委員) おっしゃることがよく分からないんですけどね、この原子炉水位というのは液相のことを言って いるわけでしょう。 (東京電力_川俣部長) おっしゃるとおりです。 - 10 - (鈴木(元)委員) そうですよね、アイソレーションコンデンサーが止まりましたと、そうすると液相はぐっと少し 下がるんですか。 (東京電力_川俣部長) アイソレーションコンデンサーで凝縮した蒸気というのは水としてまた原子炉の方に戻ってく るわけですけれども、津波の発生とちょっと前だったと思いますけれども、アイソレーションコン デンサーが止まっている或いは止めたという条件で解析しておりますので、そこの時点ではすでに 冷却手段はない、冷却手段のない状態で発熱体からの熱は、当然ディケイヒートあるわけですので、 その結果として水位が下がっているというふうに理解しておりますが… (鈴木(元)委員) じゃあつまり炉内では、この状態では圧力容器からはどこにも水は逃れられないんだけど、蒸気 が凝縮して液相としての水位が下がっているとそうおっしゃるんですか。 (東京電力_川俣部長) すいません。もちろんですね、残留熱が水にエネルギーを与えて当然蒸気になりますから、その 蒸気がとんどん溜まっている状況というのはあり得ません。従って、逃がし弁とか安全弁とかそう いうもので蒸気はサプレッションプール或いはドライウェルの方に放出されてエネルギーバラン スがとれていた状態、ただしマスバランス上は蒸気が圧力容器から出てますので、逃がし弁ないし 安全弁で出ていますので水位が下がっているということだろうと私思っています。 (鈴木(元)委員) そうするとね、この解析結果のモデルというのは、そういうふうにして逃がし弁ないし安全弁か らサプレッションチェンバーの方に、水としての、まあ蒸気なのか液相なのか知りませんが、水と してのマスが移行しているんだと、そういう意味だと… (東京電力_川俣部長) すいません、もし間違えていたら後ほど修正させていただきますけれども、このMAAPという 解析モデルにはマスバランスの部分も含まれておって、そういう解析になっているというふうに聞 いております。従って私はそのように理解しております。 (鈴木(元)委員) つまりそういうストーリーで、シナリオで計算したらこうなりましたと、こういうことですね。 そうなりますとね、実際の開示されている水位のデータ或いは圧力のデータ、そういうものがどこ まで信頼おけるかというのが確かに問題なんですけれど、全然ズレていますよね、この解析結果と。 それものすごく問題じゃないですか。そういうふうにね、この解析結果を公的にいろんなマスコミ なんかに公表していますけれど、きれいな絵にして公表していますけど、その理由、ここで原子炉 水位が下がって、グッと下がっていって燃料棒の有効部より下になってしまったというところのス トーリーはひとつの想定ですよね。だからむしろ開示された元のデータ、それと付き合わせて実際 に現象はどうであったかということをきちんと解析しない限り何とも言えないわけでしょう。 - 11 - (東京電力_川俣部長) 何も言えないかどうかというのは、ちょっと分かりませんけれども、我々は先ほども申しました ように暫定的にMAAPというコードでいま得られている運転員の動作等、或いは限られたデータ 等をもとに炉心の状況を解析してみた。暫定的に解析してみたらこういうことだったと、それであ くまでもお話ししたいのは、これは暫定的なもので、先生おっしゃるように炉圧のデータとか水位 のデータとかの整合性がとれているのかどうかというような観点は、なおチューニングをしたりと かですね、実際のデータとのきちっとした見比べみたいなものは作業として残っているだろうと、 そういうふうには認識しております。 (鈴木(元)委員) 分かりました。 (東京電力:川俣部長) 大変失礼しました。 (鈴木(元)委員) 分かりました。そうするとね、2号機3号機のデータもある程度、時期を同じくして採っていて、 2号機や3号機は水位はそんなに急激に下がったりしてないわけですよね。1号機だけのデータが 急激に下がっている。1号機だけデータがおかしいと、或いは記録がおかしいと、精度がおかしい というのを私としては非常に考えにくい。そうしますとやはり1号機も解析以前にですね、解析値 よりも1号機の水位のデータの方がむしろ主たるものとしてこれを説明するような努力をすべき ではないのかと思いますが、いかがですか。 (東京電力_川俣部長) おっしゃる趣旨は分かります。限られたデータの中でどのようにチューニングするか或いは実事 象はどうだったのか、その実事象を再現するための努力は継続したいと思います。 (鈴木(元)委員) ちょっと待ってください。それは全然答えになっていない。私が言いたいのはね、実際に採られ たデータをどう解釈し、どう説明するかに主力を絞らなければいけないのであって、解析モデルを チューニングしてどうこうという話じゃないでしょう。 (東京電力_川俣部長) そこの点は当然承知しております。実事象を解明するための一助としてこういうMAAPという 解析を使ってですね、こういうことが起きているんだろうということを我々想定しているわけで、 ただ実際のデータそのものはですね、これは流れていてもですね、なかなか何が起きたというのは 想像では… (鈴木(元)委員) 分かりますよ。それはもちろん分かります。解析することの必要性は認めます。 (東京電力_川俣部長) - 12 - あのすいません。ちょっと話をしている内容、私が理解不足かもしれませんけれども、先生のお っしゃっているご指摘と私が言っていることはそんなに外れていない、同じようなことを…。 (鈴木(元)委員) 同じことの裏表ですけれど、私としては計測されたデータを主にしてそれを説明する方向で解析 をしてほしいと…。 (東京電力_川俣部長) 了解です。分かりました。理解しております。 (鈴木(元)委員) それからね、東電の松本さんがおっしゃっていたんだけど、1号機の地震直後には圧力バウンダ リ、配管系の損傷は無かったと、はっきり断言されたのか、あったのかも知れないというニュアン スなのか、私はよく知りませんけど、そこのところはどうなんですか。まだ分からないわけでしょ う。損傷が無かったかどうか。 (東京電力_川俣部長) 先程来言ってますようにですね、要は時刻歴の、いわいるチャートのような形で圧力が残ってい るのはごく限られた時間です、そういう中で見るとですね、ドライウェルとサプレッションチェン バーの圧力差が若干あるというようなことは認識しております。ただそれがですね、大規模なLO CAなのか、あるいは中規模なLOCAなのか、あるいは他の、例えば福島第一の1号機の場合は ですね、安全弁が開いた場合、ドライウェルの中に蒸気を出すような設計になっていますので、ど ういう種類のものによって圧力差が生じているのかというようなことについては、今の段階では評 価をしているところですので… (鈴木(元)委員) 分かりました。ということはね、松本さんがおっしゃった意味は、いま評価をしているんであっ て、1号機の圧力バウンダリが地震の直後に健全性を保っていたとは断言できない状態ですよね。 (東京電力_川俣部長) それは誰も見ていないわけですから、もしそのような断言をするような発言に聞こえたとした ら、ちょっとあの… (鈴木(元)委員) いや、それは新聞社の書き方にもいろいろあるんですよ、ニュアンスが。ぜんぜん違うんですよ。 新聞社によって違うんですよ。 (東京電力_川俣部長) すいません。松本の話は、その際の話は私は聞いておりませんけれども、松本は慎重に話をして いると思いますんで、例えば、柏崎の例で言えば、そういうことは無かったんで、その類推で言え ばそういうことも無かったということもあり得るかも知れない、くらいの話は言ったかも知れない ですけれども。 - 13 - (鈴木(元)委員) あのね、分かりました。少し追加しますとね、逃し弁が吹いてこれだけの水位の低下することは あり得ませんよね。もしあったとすれば、逃し弁というのはチェッキバルブですから、圧力が低下 すれば自動的にそこは閉まるはずですよね。でも閉まらずに固着して、それでぐーっと水蒸気が出 っ放しになっていて、それで水位が下がったとしたら、それはそれでひとつのLOCAですよね。 (香山委員) はい、すいません。いまの議論で非常に重要な点を指摘されているのは事実ですけれども、やは り先ほどの説明で繰り返されているように、非常に厳しい環境の中で測定値自体の信頼性、誤差要 因も同定しきれていないと、分かる範囲で評価したいということを繰り返し言っておられる。モデ ル自身についてもやはり予測してないことが起こり得ることを決して否定しておられない。一方、 いま鈴木(元)さんがこういう現象が起こっているというふうに決め付けられている。それも決め 付けてはいけないんだろうという状況で… (鈴木(元)委員) 決め付けてませんよ。 (香山委員) いや、そういうように聞こえちゃう。それで大事なのは、技術委員会でやるのは、まず真実がど うであったかということをきちっと正しくお互いが理解して、それをどう判断するかというところ で食い違いのないことを確認することだと思います。どこかに、指摘されている(鈴木元さんの) ご意見を書きとめていただいて、もうひとつ先に議論を進めないといけないと思います。重要な議 論いっぱいあると思いますので…。 (鈴木(元)委員) ちょっと待ってください、じゃあ分かりました。香山先生のおっしゃること、分かりました。じ ゃあもう一回、最後に。私もね、決め付けてるわけではありません。ただ非常に疑問を持っている。 だから松本さんがおっしゃったような地震直後に健全であったというふうに断言することは、まだ まだ時期尚早であろうと思っています。東電さんがおっしゃるように、解析コードで解析してみる のは非常に重要なことだともそれはもちろん私もよく理解しております。ただね、これは、保安院 さんは地震じゃなくて、地震によって直接その事故が起こったんじゃなくて、津波によって電源が 喪失して、それが今度の原因だったというふうに決め付けておられる。これは決め付けてるんです よね。だけどそうじゃないでしょうと。その前に1号機では、すでにその前にLOCAが起こった 可能性だって考えなきゃいけないんでしょうと、だから津波だけの問題にこんな矮小化することは できませんよということを私は言いたい。以上です。 (鈴木座長) よろしいですか。他の委員の方もご意見があるかと思いますのでお願いします。いわいる津波の 前と後でどうだったかという詳細については、これからのいろいろな調査を待ちながら、きちんと 整理していくということで今のところは仕方がないかな、というふうに思っております。他の委員 の方いかがでしょう。 - 14 - (橋爪委員) 何点か教えてください。まず、柏崎の発電所では外部電源、ディーゼル発電機すべてが、仮に使 用不可となっても、200 時間は電源が供給できるというご説明だったと思いますが、実際の福島第 一の場合にも、電源車が夜中には着いていたという報道があったかと思います。そうするとその電 源車が行ったにもかかわらず、なぜ、電源を供給できなかったかという点がよく分かりません。電 源車があるから供給できるというロジックがよく分からないので、まずその点をご説明していただ きたいと思います。 (東京電力_新井副所長) はい、それではお答えいたします。福島第一の方ですと電源車は集まったんですけれども、もと もと到着自体が行く時に渋滞で時間がかかってしまったとか、それから暗い中で作業をする、それ からガレキが散乱していたということ、それからやっている途中で1号機の爆発が起こったとか、 いうようなことでそういう種々な困難さがありまして、時間がかかってしまったということでござ います。 (橋爪委員) よろしいですか。よく分からなかったのですが、報道では夜中に確か着いたとなっていたかと思 います。1号機が爆発したのはもう少し後であって、どうしてそんなに時間がかかったのかをご説 明願います。 (東京電力_川俣部長) 伝聞で恐縮です。地震が起きた後ですね、相当余震があったと、それでその地震の1時間後ぐら いに非常に大きな津波があって、その津波の時点で取り敢えず作業員は退避をかけていました。そ の作業員のほとんどの人間は津波を見ていてですね、その後震度5以上の地震が 100 キロ圏内で私 の記憶だと数十回、50 回ぐらい翌朝まであってですね、基本的には震度5以上の地震があるとです ね、全部毎回退避をかけていたと、結果としては現場での作業というものはほとんどその日の夜は できない状況だったというふうに発電所では言っております。 (橋爪委員) そうすると、現在、柏崎刈羽の方で考えている対策で大丈夫なのかということに対して、地震が 起きて余震があればどれだけ用意していても接続できないというふうになるわけですね。それか ら、訓練も写真があるということは日中の訓練ですよね。そうすると夜の地震や津波といった状況 で、瓦礫があって真っ暗のところで本当に対応できるのかということに対して、昼間更地のところ で訓練して、確認して大丈夫だと言うのは、余りにも現実と違いすぎるのではないかと非常に心配 になります。いろんなものを用意されているので、要はこれが動くということの確認ができれば、 個人的には大丈夫だと思いますが、最後の砦のところがいざという状況でしっかりと機能するのか が心配です。そこをもう少し詳しく説明していただきたいと思います。 (鈴木座長) どうぞ。 - 15 - (東京電力:新井副所長) 申し訳ございません、付け加えさせていただきます。福島第一の方では接続ケーブルを捜すのに 時間がかかったということでございました。付け加えるのを忘れておりました。暗い中での訓練と いうこと或いはいろんな条件での訓練ということも私ども何回か昼間にやってございますけれど も、いろんな条件でやってみたいと思ってございます。そして接続ケーブルに関しましては既に必 要なものを所定の位置に用意しているということで迅速に対応できると思ってございます。 (橋爪委員) はい、分かりました。それから、最終的に海水を入れるということを前提にされているようです が、海水を入れるのは、原子炉を冷却するための最後の手だてというのはしょうがないと思います が、海水を入れることによって後々配管が損傷し、冷温停止している1年間とかその間に配管に影 響がでる可能性もあると思われます。そうするとやはり出来れば淡水で冷却するというのが当然だ と思いますが、資料を見ますとだいたい 10 日ぐらいは淡水を供給することが可能となっています。 そうすると 10 日間の間に除熱系が復旧すれば、すなわち、閉ループの除熱系が復旧すればいいと いうことになりますが、福島第二の方では何日くらいで除熱系が復帰できたのですか、現実問題と して。福島第二もかなり被害を受けていたとのお話を伺っていたのですけれども、福島第二の除熱 系の復旧にはどれくらい実際に時間がかかったのですか。 (東京電力_川俣部長) よろしいですか。細かい数字書いておりませんけれど、私一番最初に説明した資料の 14 ページ で、福島第二1号機から4号機の冷温停止ということでいいますと、3月 12 日の日に3号機が冷 温停止、すなわち 100 度未満、それから3月 14 日に1、2号機が冷温停止、それから3月 15 日に 4号機が冷温停止、これらいずれも電源が生きているとかですね、そういうような条件は福島第一 と異なりますけれども、海水系の設備が損傷していたということは条件的に一緒です。水中ポンプ を入れたりとかですね、或いはモーターをドライヤーで乾かしたりというような作業をやりなが ら、残留熱除去系関連の設備を復旧して冷温停止にもっていったということでございます。 (橋爪委員) ということは4日くらい、4日~5日で復旧したということですね。 (東京電力:川俣部長) おっしゃるとおりです。 (橋爪委員) そうすると 10 日間は淡水が入ればその間に復旧できる可能性は高いということですね。海水を 入れるというのを大前提にしていることは、本当に将来、日本中の原子炉がそういうことを実施し ないと冷却できないという体制では心配ですので、福島第一が収まった時に配管がどうなったか、 海水の影響がどうなったかとかそういうのはぜひ最後検証していただきたいと思います。私は以上 です。 (鈴木座長) 北村先生がそろそろ時間ですので、もしあったらご質問お願いします。 - 16 - (北村委員) 申し訳ないです。やらせてください。今のご説明のなかで、橋爪委員の質問と関連するんですが、 緊急対応として作業者のアクセスビリティーというのはどのように考えておられるか。まだ今の説 明だけだと分からないんですよ。つまりね、電源車が動かないこともあり得るというようなお話で あれば、いろんなところに散っている作業者、どっか一番大事なとこに集まってくるときの所内、 構内のアクセスビリティーが危ない可能性がある。それが一つ。もう一つは夜間などですと、やは り勤務の状態によっては所内に人が十分な数いない場合もあり得るでしょう。そういう時にこれだ け大きい津波を想定されているんであれば、やはり外部からですね、この構内へのアクセスビリテ ィーというのも考えていただかないと、計画倒れになってしまう心配がある。もしご検討いただい ているならば、そこをちょっと教えていただきたいと思います。 (東京電力_新井副所長) はい、お答えいたします。先ほど申しましたが、隔離時冷却系が8時間駆動すると考えてござい まして、その間に電源を復旧したり、注水手段を確保したりと考えてございます。その際に要員が 参集する時間を3時間と見込んでおります。これは柏崎市内、私どもの社宅から歩いて発電所に来 るまでの時間を考えてございます。それから発電所構内につきましては、ガレキが散乱していて電 源車なり消防車が寄り付けないといったことも考えてございまして、ホイールローダーと言います がシャベルカーって言いますか、ガレキを撤去するようなものを2台置いてございます。もしガレ キが散乱しておりましたら、それがまず一回きれいにいたしまして、消防車なり電源車なりを寄り つけようと思ってございます。それから夜間や休日のときの参集といったことでございますが、私 ども何回か訓練をしまして、最低と言いますか何人だいたいいればいいのかといったことを検討い たしまして、それから3時間以内であるにせよ、近くにいる必要があるわけで、そういった人員に 対してどういったかたちで制約をかけて近くにいなさいと言おうかといったことを検討している 最中でございます。 (北村委員) あと一つだけいいですか。すいません、今の答は答で承りました。それからさっきこれも別の委 員が言われた軽油タンクの容量がですね、このままだと 200 日十分大丈夫ですってお話ですが、今 回の事象の最大の教訓はこれで大丈夫だと思っていたことが破られるということだろうと思うん ですね。そうだとすれば、軽油タンクがもし無事なら 200 日大丈夫なのかも知れないけど、無事で なかった場合、何らかの事象があってですね、まだ防潮堤はできていない、津波が来るかも知れな い。無事でなかった場合ってのは、それはもはや余りに有り得ないから考えないですっていうお立 場なのか、そのときにはまた非常に効率は悪くても別のことはお考えだという立場なのか、そこだ け確認させてください。どうぞ。 (東京電力_新井副所長) その時に応じていろんな手段を講じて、例えば軽油につきましても、その市販の石油販売業者さ んと協定を結ぶとかですね、福島第一のケースでもかなり短い短期間で軽油の調達ができたと聞い てますので、そういった取り決めを予めするとかを検討しているところでございます。 (北村委員) - 17 - はい、緊急対策と言われるのであれば、ぜひそこまで緊急に考えていただきたいと思います。 はい、どうぞ。 (東京電力_横村発電所長) ちょっと歯切れの悪い回答ばっかり続きまして、申し訳ございませんでした。今の北村先生のご 質問に対してはですね、これでもかこれでもかっていうのを対策立案の基本にしております。従い まして、軽油タンクが近場にありますので、それを使うのが本当は地震と津波に襲われたときは大 丈夫だろうと、一番確実な方法だと思いつつですね、でも軽油タンクに寄りつけなかったらどうな るということを考えまして、今タンクローリーの手配を、もうすでに契約しております。これはお およそ 10 日もあれば、いくらなんでもこの発電所にタンクローリーが近寄ってこられるようにな るだろうというようなことで、軽油タンクのバックアップというようなことを既に実施しておりま す。 (鈴木座長) その他ございますか。吉川先生どうぞ。 (吉川委員) 3点、お話のなかでお伺いしたいと思いますが、一つは保安院さんの先ほどの浜岡の件でお話し の中ですけど、これは 30 年以内に震度6強以上の地震が起こる確率で浜岡が 84%というのが、こ っちのパワーポイントのほうであるんですけれど、こっちの経産省のほうのニュースリリースのほ うですと、マグニチュード8程度の発生確率が 87%というふうになっていてですね、これはどっち が正しいんですかということなんですけど。元が違うということですか。 (原子力・安全保安院_小林室長) 30 ページのところでございますけれど、これあの 87%というのはですね・・・ (吉川委員) いやいや、あの・・・。 (原子力・安全保安院_小林室長) よろしいですか、まず 87%のことでこざいますけど、これは想定東海地震が起こる確率でござ います。30 年内にですね、マグニチュード8程度ですね、もう一方の敷地における、この震度6強 以上の地震が起きる確率、これは 84%でありますけど、これは地震調査委員会のほう、ならびに防 災科研のほうでですね、公表しております地震ハザードステーションっていうのがございます。そ のなかで、それぞれのいろんな地点における震度6強以上が起こる確率、これを求めますと 84 と いうことで。つまりこのサイトで言えば、東海地震が 87%の確率で起こるかも知れないけど、6強 になる確率は 84%、そういうような関係でございます。つまびらかに言うと敷地における震度6強 が起こる確率、これの違いでございます。 (吉川委員) だから震度6強以上の地震が起こるのは別に東海の海溝型でなくても起こる可能性はあるわけ でね。要するに、これは記述のどっちが正しいかって言ってるだけで・・・。 - 18 - (原子力・安全保安院_小林室長) 正しいかというよりも・・・。 (吉川委員) そういう説明にしてもらわないとちょっと混乱するというだけですけど。 (原子力・安全保安院_小林室長) 要はこのサイトにおけるウェイトは海溝型地震でございますので、海溝型地震の 87%起こった 場合でも、震度6強になる確率は 84%、というものでございます。 (吉川委員) だからどっちが正しいのかというだけで・・・。 (原子力・安全保安院_小林室長) 正しい、正しいだけじゃなくて・・・、ややっこしいと言うよりも、これは想定東海地震が起こる 確率が 87%。敷地における震度6強以上の起こる確率が 84%ということで、これはそれぞれ地震 調査委員会のほうで発表している数字でございますので、間違いはございません。 (吉川委員) じゃあ、震源ではマグニチュード 8 以上の確率が 80 何%で、浜岡原発の地点でそういう時には 原発サイトの震度6以上が 84%になるという意味ですね。 (原子力・安全保安院_小林室長) はい。 (吉川委員) 残りの二点のうち、次はベントについての質問です。昔、シビアアクシデント対策として他の国 ではベントの仕方について随分検討されました。そのままサプレッションプールに落とすのではな く、グラベル(砂利)層のある水中を通して出すフィルター付きベント方式を検討され、スウェー デンでは BWR 発電所には実際に設置されています。少しでも放射能が外に出るのをフィルターして 出せば、ベントしなければならない事態でも周辺地域には少しは安心ですけれど、そういう方式を 昔、検討されたのか?ベント対策は他国にはありますが、日本では検討していないのではないか? (鈴木座長) どうぞ。 (東京電力_川俣部長) 多分、スウェーデンでですね、フィルトラという名前だったと思うんですけれど、そういうフィ ルター装置があるということは承知しております。ただ申し訳ございません。私、その装置をどう いう経緯でどのように扱ったか、今時点、知りませんので、これについてはちょっと持ち帰って当 時の経緯を調べた上でご回答させていただければと思います。ただ、ご存知のように今日時点、今 - 19 - 時点で東京電力は何らかのフィルター機能を持っているベントは設置していない。これは事実で す。 (吉川委員) ベントする時に外に放射能が出ないとなれば安心ですね。そういう海外事例もありますので検討 いただければと思います。それから最後の一つは先ほどから議論になっている事故データの解析で す。今日は東電さんのほうはMAAPというコードでそういう解析をやっておられることがわかり ました。一方、JNESさんのほうでは昨年 10 月に出された地震PSA解析報告書では、別のM ELCORというコードによってさまざまなケーススタデイを事前にやっておられ、そこでは今回 のような全電源喪失事態ではすぐに原子炉がメルトダウンを予測していたと国会の質疑でも取り 上げられていました。今回こういうことが起こって、原子炉がメルトダウンしたかどうかというこ とは事故データの解析上大事な話ですが、シビアアクシデントの解析コードを用いるとある程度す ぐに予測ができるのでそいうことにも取り組んでいただきたい。米国ではMAAPやMELCOR 以外にRELAP/SCDAPというシビアアクシデントを解析するコードがあり、これを用いて 今回の福島原発事故を対象に事例解析して燃料のメルトダウンや水素ガス発生量などを推定して いる。水素が生成されてどこへ行くということはちょっと計算されていないですけれど、そういう ことがアメリカですでに解析を行い、それを3月下旬IAEAの福島事故支援ワーキンググループ 会合に資料提出していることを聞きました。このように国外ではIAEAを含めて事故の分析を進 めているのに、一方、国内では何が起こったのかデータも解析も出てこない。もうこれは国際的に 見てゆるがせにできない話である。今日は東電さんはMAAPコードで解析をやられていることは わかりました。それからJNESさん、あるいは保安院さんのほうでは、MELCORで今回の事 故の状況を解析されていますか?その状況をご存知ですか?福島の原発事故で原子炉内はどのよ うになっているのか、これの推定解析はIAEA、米国と国際的にもテーマになっているので、鈴 木(元)先生も解析していいただいているとは思いますけれど、インターナショナルに解析結果の 比較分析などをやられて事故の解明に役立ていただければと思っている次第です。以上最後のもの は感想でしたが、特にJNESさんのその後の取り組み状況について紹介だけでもお願いします。 (鈴木座長) どうぞ。 (原子力・安全保安院_小林室長) これは資料の2-3の6ページのところに先生のご質問の中身ですね。4.のところで第2パラ グラフぐらいからですね、JNESのレポート云々という話、この件だと思います。それにつきま しては私ども、PSAですね、こういった関係につきましても将来的に安全規制の導入、こういっ たものを考えておりまして・・・ (鈴木(元)委員) 2-3ですか、資料の。 (原子力・安全保安院_小林室長) 2-3です。2-3の6ページですね。吉川先生の。 - 20 - (吉川委員) これは、前に出したものですね。 (原子力・安全保安院_小林室長) そうですね。これにつきましては今申し上げましたように将来的にPSAの安全規制の導入とい うことで、私どものほうとして試行的にですね、プログラムを整備しているという状況でございま して、このレポート自身ですね、この当該事象の起きる確率とか、そういうのは記載してございま せん、まだ。そこはまあ試行的だということで。もし仮にこの、起こる確率がですね、非常に高け れば将来的に安全規制の中に導入していこうということだと思います。これはただ、平成 20 年か なんかの報告でございますので、その時点ではまだ確率が記載されてなかったので安全規制に導入 していなかったというような実情がございまして、仮に今であればですね、これはもうほぼ 100% ということになると思います。ただまだ、この時の時点ではまだそこまでの解析プログラムではな かったので、今整備しているという状況でございます。ですからあくまでも試行的にこういうこと をやって、こういう解析結果が出たというものでございます。 (吉川委員) 東電さんのMAAPは別のプログラムですので、JNESさんのMELCORで解析された結果 やIAEAのほうでも、米国のRELAP/SCDAPなどで解析をしているようですから、JN ESさんの中でそれらの結果と付き合せたりとかいった相互比較を国際的にはそういうアクティ ビティは考えておられるんですか? (原子力・安全保安院_小林室長) もちろんPSAを将来的に導入する場合にはそういったこともやっぱり考えないとですね、導入 していけないものですから、そこも含めて、国際的なものも含めて、そういったことを考えており ます。 (吉川委員) まあPSAは事故の発生確率を求めるほうで今回のような格納容器外に放出する確率を求める PSAはレベル2PSAといいますが、シビアアクシデント解析コードそのものは決定論的にシビ アアクシデント現象が事故時にどのように進展したかを推定する。MELCORのようなシビアア クシデント解析コードは、PSAとは直接には関係しない現象解析ですね。 (鈴木座長) 東京電力、どうぞ。 (東京電力_川俣部長) 今、先生のお話に、お答えになるかどうかちょっとあれですけれども、MELCORとかですね RELAPとか、いろんなものでトライをしているということは私は聞いています。業務上聞いて いるとかそういう関係ではございませんけれど、JAEAがやっているとかですね、そういう話は 聞いています。国際的にそういうデータがですね、同時に出るかというと、今ちょっとよくわから ないんですけれども、ある程度、入力条件、境界条件等ですね、合わせるような作業をやっていか ないとコードの違い以外にですね、要はその、解析コードの違い以外に入力の違いで答えがバラバ - 21 - ラになるとかですね、そういうのは少なくとも避ける必要があるんじゃないかと。そのような認識 はそれぞれ解析やっている人は持っているようですので、どのタイミングでどういう解析結果が出 るかというのは、今、私としては何とも言えないんですけれど、いろんなところでやっているとい うのは事実です。 (吉川委員) メルトダウンがどの程度起こったのか、具体的には燃料がどの程度溶けて崩れ落ち、その結果圧 力容器の下にたまってその底が抜けて格納容器下部にどれだけデブリス(炉心溶融物―コリウムと もいう)が落ちたのか、その結果、格納容器はどの程度損傷を受けたのか、水蒸気爆発の可能性は どうか、一方、ジルカロイと水蒸気の反応で生じた水素ガスはどこにどのようにたまって爆発が起 きるのか、などなどそういった解析による予測は、今後事故が収束して原子炉の内部が実際にどう なっていたかを調べることができる状態になった後のポストモルテン(注:“死体解剖”に相当す ることば)分析に関係した話になると思うし、まあいろいろのシビアアクシデント解析コードの進 歩にもなると思いますので、そういうアクティビティも紹介いただければと思っております。 (鈴木座長) 他の委員の方で、もしあれば。香山先生。 (香山委員) 先ほどらいの浜岡の件でお話を伺いたい点が2つあります。1つは、その表に出ているところで、 発生確率という、例えば 2.3%というこういう数字が出てくると、多くの人は数値というので非常 にとらわれてしまいます。原子力の安全性なんかの議論の時には、どの程度の精度であるとか、ど ういう誤差要因があるというのをかなり正確に示しながら安全性の議論をしてるんですね。 ところが、地震に関してはこういう数値が突然出てくる。まあ、専門家には十分に根拠はあるの でしょうけど、少なくともその前提となっている数値とかの信頼性、そういうものが最終的な結論 にどれ位の影響を及ぼすのかは明確でありません。私の希望としては、こういう精度については、 84%と言うなら、その誤差要因はどれ位見込んでいるのか、極端に言えば、0 から 100 の間で単純 に 84 の辺りだといっている程度であろうというのが私自身の認識であり、勿論、モデル等がきち んとあって数値を出していることは理解しますけれども、その辺の数値の取り扱いに対して、もう 少し保安院が的確なコメントを言っていただくとありがたい。どういうふうなお考えでこういう具 体的な数値を出されるのかというのをお聞きしたい。 (鈴木座長) 保安院、どうぞ。 (原子力・安全保安院_小林室長) よろしいですか。87 の方でご説明させていただきますと、想定東海地震が起こる確率 87%なん ですけど、ご存知の通り、想定東海地震はある一定の周期で起こっています。いま平均 119 年間隔 位で起こっているのです。前回起こった時から 119 年後、これはもう過ぎているのです。それはも う確率として 50%超えているのです。それ以降、今の年数がどれだけ経っているかというのを、 119 分の例えば 37 で割り返して…。 - 22 - (香山委員) すいません。そういう考え方は、一つの考え方(仮定、モデル)を基に出された数値で、現実の 事象を説明するときの定量性の扱いとして適切だとお思いですかと言ってるのです。逆に言えば、 原子力の安全性等に関しても、ある一つのモデルを基にこの数値です、という(都合のよいことを 言う)ことはいくらでも可能なのです。だけども、そんなことは決して言わない。東電さんだって そんな言い方してないと思います。いろいろな可能性、いろんなモデルを基にして、これ位の範囲 であればかなり精度が高いでしょうという説明をされているんです。私どもが指摘したのは、そう いう地震何とか会の数値をそのまま右から左に出して、それで何となく良しとするような姿勢は、 保安院として不適切でありませんかという指摘です。 もっと大事なのは、二番目なんですけども、ここの議論でも最初から安全性と安心を明確に区別 して議論を何度もしています。確かに、今回の浜岡でなぜ止めるのだという多くの疑問が提示され ています。知事会からもきちんとした説明を求められていますから、出てくると思いますけど、少 なくとも従来の安全の議論の中では、安全というのはきちんとした理論に基づく数値的な取り扱い をするものですと定義されています。一方、安心というのは論理ではなくて、皆が「安心しました」、 「説明を聞いて安心した」ということによってしか成立しない概念ですから、必ずしも論理でないと いうことは、はっきり確認してきました。なのに、今回は安心という言葉を勝手に使って、論理で 決めるというのは従来のやり方と違います。ここで安心を使うというのは、ルール違反じゃありま せんか、ということに対してどうお答えになりますか。 (原子力・安全保安院_石垣審査官) よろしいですか。ちょっと先程省略してしまったんですけども、参考で配布させていただいた資 料の、2つ経済産業省リリースと書いてある同じ5月6日の日付けの薄い方、浜岡原子力発電所の 津波に対する運転の停止についてという方のペーパーのホッチキスで綴じたほうの後ろ2枚を見 ていただけますでしょうか。5月9日付け海江田経済産業大臣談話と書いてある資料です。お手元 皆さん見ていただけましたでしょうか。今回のやつは、こういう談話という格好で出たものなんで すけど、これはちょっとよく読んでいただきたいというふうに思います。1ページ目の下の数行が 浜岡原子力発電所についてというところに関する大臣のコメントであります。「浜岡については、 耐震安全性は適切に講じられていて、技術基準上、法令上の安全基準を満たしている」と、これは 我々は従来言ってきた、きちんとしたメルクマールをもって、物差しで計ってOKかどうか判断し た。これは原子力安全・保安院としてもきちんと判断をした中身であります。その次、ページをめ くっていただくと、先ほどの話題になっている 87 とか、84 という数字が出てくるんですけれども、 ここからは先生ご指摘の、いきなり安心のところに変わってしまうんですけど、「他とは違って、 逼迫度について、他とは全く違って、それについてはまったく異なる環境にあります。その状況を 考えると、一層の安心のための措置が必要と判断した」と、ここから先は、ですから政治の判断で す。技術的な判断ではありません。そこが2つ入っている。 (香山委員) そういうことが重大な問題(間違いだ)と言っているのです。そういう理論を受け入れたら、も うこの近くには人は住むなっていうのと一緒なんですよ。 (衣笠委員) 今の件に関してですが、いま保安院の方からおっしゃったように、安全の問題、すなわち科学技 - 23 - 術的な問題でなくて、安心の問題、政治的な問題になってしまったとおっしゃった。それなら、我 々科学とか技術をやっているものの果たす役割が否定されたのと同じことになるので、この技術委 員会ももうこの辺りにして終わりにした方がいいのかな、というのが私の偽らざる心境でありま す。 もう一つ、文書の二枚目の上の方に書いてあること、地震の発生の切迫度なんていうのは、今回 の1Fの事故がある以前から分かっていたこと、分かっていたというか、推本の方から公表されて いたことであります。公表されていることを承知の上で、それを理解した上で、浜岡の方は安全対 策を講じておられて、そして、保安院の方もそれでいいという判断をしてきた訳ですね。それがい きなり安心のためだといって全てのものを否定されるというのは、保安院の存在を否定されたこと になるのではないかと思っていますが、いかがでしょうか。 (原子力安全・保安院_小林室長) いま衣笠先生言われた2ページ目の上のところですが、ちょっと言葉足らずのところがありま す。それはですね、今回やはりまだ原因は特定できませんけれども、福島におけるこの事象の最大 の原因というのは巨大な津波だというふうに、いまの時点では私ども思っておりまして、その巨大 な地震に対して、非常に、浜岡は今まで地震動については少なくとも我々も地震対策、浜岡発電所 の地震動は補強なりしてもらっていろいろ考えてもらっている。ただ、津波についてはですね、や はり手薄だったんじゃないかと、手薄なところがあるんじゃないかというような懸念が見受けられ る。そこの懸念を払拭するには、中長期な対策を我々自身として見定める必要あるんじゃないかと いうことでございます。ちょっとこれは言葉足らずで、地震によって起こる津波対策について一層 の安心を与えたいというようなことで、大臣が申し上げたということでございます。 (鈴木座長) その他は。 (鈴木(元)委員) いまの保安院の説明に対して、いま香山委員と衣笠委員の質問に関連して、私もお聞きしたいん ですけれども、今回の柏崎刈羽に対して津波対策をしなさい、しましょうねと。津波がきたら電源 も切れるだろうから電源対策もしましょうねというふうにおっしゃるのは、もうすでに柏崎刈羽で は基準地震動がマグニチュード 7.0 でOKですよと、大丈夫ですよという結論になっていて、すで にもう4基とも動いていて、それについてはもういいですよと、つまり基準地震動についてはOK ですよと、マグニチュード 7.0 でOKですよと。だけど、安心のために想定外の津波が来るかもし れませんから、それに対応した緊急対策をしてくださいと、そういう意味でしょうか。 (原子力安全・保安院_小林室長) 少なくとも現時点で分かっている範囲でですね、私ども対応しているというように思っていま す。 (鈴木(元)委員) おっしゃること、よく分からなかった。今までにすでに津波に対しては柏崎刈羽は対応していた んですか、それとも対応は足りなくてこれからするんですか。 - 24 - (原子力安全・保安院_小林室長) いま先生がおっしゃったのはひとつは地震動のことですね、まずですね、地震動の方については 少なくともいま福島の方の知見、これはまだご存知のように詳細な部分解っておりません。これか ら検証しなければ解らない。出てきた時点でもし必要であれば、これは水平展開しなきゃいけない。 で、津波についてでございますけれど、これは現時点で解っているのはおよそ 15m の津波が来ると いうので、それの想定して、いわゆる電源車そういうものを用意すると、そういったものは今回は 十分我々として大丈夫だということを確認したということでございます。 (鈴木(元)委員) だから柏崎刈羽では基準地震動 7.0 はいいんだけれど、それに対応した津波対策もしてあるんだ けれど、ひょっとしてもっと凄い津波が来るかもしれないから、安心のために津波対策をしましょ うと。そういう趣旨ですか。 (原子力安全・保安院_石垣審査官) 安心のためではないと僕ら思っています。つまり福島は想定よりも大きな津波が来た、その部分 の水平展開として、その安全の対策として我々やっているものです。 (衣笠委員) はい、いいですか。 (鈴木座長) はい、衣笠先生。 (衣笠委員) ちょうど地震の起きた日、3月 11 日、新潟県のこの技術委員会の下にある地震地盤の小委員会 をやって津波の議論をしていた時に地震が起きた。その地震地盤の小委員会では津波高については ほぼ了解が得られたと思っております。従って、それ以上の措置を求めるという保安院の文書は、 考えようによっては政治的な安心を求めるための文書かもわかりませんし、もうひとつまあ技術的 なこととしては想定を超えるような事象、すなわちシビアアクシデントに対するアクシデントマネ ジメントとして、もう少し大きな津波に対しても考慮しなさいよと言っておられるのかなと思うん ですけれども。政治的だと言われたら僕はもうこんな仕事やっておれんと言って一切の仕事をもう 降りたいと思います。以上です。 (鈴木座長) そのほか他の委員の方、じゃあ山崎先生。 (山崎委員) 津波に関係してなんですけれど、東電の2-1のP30くらいのところに、浸水防止対策の強化 とか、防潮堤を造ると、それから水密化を造るということなんですけれども、今回施設が水をかぶ って動かなくなったということ、大事なことだったので、それに対して万全をとるためにすべきだ と思うんですけれども、先ほど時間が1年とかかなり長い話なんですけれど、水密化はかなり時間 がかかるんですか。原子炉建屋の水密化とかですね。 - 25 - (鈴木座長) 東京電力。 (東京電力_玉井部長) 柏崎刈羽の技術総括部長の玉井と申します。防潮堤、この絵で言いますと左側に津波をくい止め る役割を持つ防潮堤につきましては、2年ほどの期間がかかるかなと考えてございます。建物の方 の水密化につきましては現在、もう出来るところからやっていこうと取り組んでございまして、特 に弱いと思っております1号機。1号機は設置グランド高さが海抜5m でございますので、5、6、 7号機の 12m よりも低い。なおかつ、運転しているというところから1号機を優先的に取り組み始 めましたけれども、こちらについてはすでに外壁、それから建屋内の扉について止水の強化工事を 完了してございますが、さらに原子炉建屋の外壁にですね、吸気のための開口部がございます。ル ーバーと称して雨水ですとか塵埃を容易に建屋内に入らないようにするための庇が付いておりま すが、そういったところに止水のですね、処置、余分に余裕を持って開口しているところにはそれ を塞ぐ、それから必要な開口にはバルコニー式にですね、上部を開けて下からは水が入ってこない ように止水をするという工事を実施するということで、すでに取りかかっておりまして、こちらは 今月末には完了する予定でございます。こういったことを順次実施してまいります。 また、定期検査を迎える毎に、建屋内の扉、それから外壁の水密扉化というちょっと大がかりな 止水工事は取り組んでまいりますので、今後迎える1号機、7号機、それにひき続く5号機、6号 機の定期検査毎にそういう工事を実施してまいりたいと思っています。ですから報告書、4月 21 日にお出しして公表させていただいている報告書上は1年以上かかるような工程表を付けさせて いただいておりますが、プラント個別には順次、運転プラントについては定期検査毎、それからい ま停止しております2号3号4号についてはこの停止中にですね、そういった工事をしっかり取り 組んでやってまいりたいと思っております。以上でございます。 (西川委員) 一つは、今、安全対策の話しをやられてますけれども、柏崎刈羽のサイトというのは地盤が軟ら かいところいっぱいありますよね。実際この間の地震でもいっぱい変状を起こしているわけですけ れども、これで 18 ページにアクセスルートで変状があった道路および崩落した法面を補強という ふうに書いてございますが、これで本当に変状なかったところは大丈夫なのかどうかというのは分 からないんじゃないんですかね。確実にそのへんを確認されてやられないと、このルートが本当に 確保できるのかどうか、担保できるのかどうか。それからいろいろ施設が置いてあります。タンク とかいろいろ置いてありますけれども、そのあたりの地盤の補強とかなにかはお考えになっている のかどうかというのがちょっと気になるような気がするというのがこちらの資料。 もう一つついでに言うと、保安院に対して、浜岡の運転停止に関連したご説明ですけれども原子 力発電所の設計とか安全安心に確率が出てくるというのは非常に違和感を感じますよね。なんのた めに新指針が出来てこういろいろ断層調査をして一所懸命いろいろ調べてSsを決めているわけ なのかですよね。そういう時に、例えば参考資料として、防災科研の2011年1月1日発表の資 料が付いていますが、こんなに堂々と福島第一原子力発電所近傍で震度6強以上の地震が起こる確 率は 0.0%なんて同時に出てくるのかと。全く国民を愚弄しているとしか思えないので、こういう のは出されない方がいいと思うのと、原子力発電所に確率の話が、地震の発生確率を出すというの は、今までの指針と合ってませんよね、全然。そのあたり保安院さんもよく注意された方が良いん - 26 - じゃないかなと。確率だったら例えば他の玄海なんてのは0%ですから良いんじゃないのという話 に素人はなりますよね。玄海はダメという意味じゃないですよ、他のところでも0%とか非常に低 いところは良いんじゃないのということになるので、そのあたりの安全安心の確保の仕方は違う観 点から言われないとまずいんじゃないでしょうかというのがあります。東電さんにはさっきの地盤 の補強の話で…。 (鈴木座長) はい、では東京電力から。 (東京電力_武田GM) 発電所の土木やってます武田と申します。道路とか法面だとか地盤の話ですけれども、中越沖地 震の際、発電所は6強の揺れを経験しました。また一部では計測震動で7に近い数値というものも 得られております。そうした中で発電所の一部の道路ではがたぼこ、地面が揺らいで通りにくくな った場所があったり、一部土捨場、中央の盛土がございますけれども盛土で崩れたという事象もご ざいました。その他、一部法面で表面がだれているようなという事象もございました。そういった ことに対して、道路については必要な所については地盤を改良するだとか、法面についてはアンカ ーを打って押さえたとか(震度)6強を経験したなかで、受けた変状に対してまず手を打つととも に、それと類似の所についても手を打つということで、強化工事を行って十分な強度を有するよう な対策をとってきています。また、もともと柏崎のサイトというものは表面の地盤は軟らかいとい うのがございますけれども、建設当時に重ダンプが往来するような経験をしていますので主要な道 路についてはかなりしめ固まった丈夫な道路ということで、中越沖地震の際にも大きな変状という ものは限られておりましたので、そういったところについて対策を講じてきております。また、タ ンクだとかそういった重要なものの周辺についても今回基準地震動を見直してきた過程の中で必 要な強化工事を行ってきておることを付け加えさせていただきます。以上です。 (西川委員) まあそのへんのアクセス道路というのがかなり重要な要因をもっていますので、前大丈夫だった からいいよというようなことではなくて、もうちょっとちゃんと考えた方がいいかなというのが私 の質問の趣旨です。 (鈴木座長) はい保安院。 (原子力・安全保安院_石垣審査官) もうこれは議論ではないと思います。先生おっしゃることはよく私も分かりますし、私自身も違 和感を感じています。ただ、現政権における政治主導であるかなという、そんなコメントしか今で きないです。 (鈴木座長) もしあれでしたらちょっと休憩をとってですね、そしたら、10 分ほど休憩をとって後また再開し たいと思います。 - 27 - 〔 休憩 〕 (鈴木座長) ご意見いただいてない先生もいらっしゃいますのでぜひお願いいたします。 立石先生どうぞ。 (立石委員) 今日、安全・保安院の方からの説明もいただいたんですけれども、規制機関としての、私は今回 の福島事故に対する評価、極めて甘いと思うんですね。なぜ今回の福島の過酷事故が起こったのか というところについて、もう少し踏み込んだ評価が必要だと思うんですね。既に電源喪失によるこ ういう事故が、冷却材の喪失という事故が起こるということについては、公的な場でも、そしてさ まざまな報告としてもまとめられているわけですよ。それを、起こりえないというふうに安全神話 にたってやってきたところにこそ問題があるわけでしょう。ここの部分をどういうふうに考えてお られるのか、そのことをはっきりさせない限り、県民・国民の安心というかそういうものを得られ ないということですよ。ただ、対処療法的に津波の対策というだけでは県民は納得しませんよ。そ の辺について東京電力の方の立場として言っていることは、その規制機関あるいは原子力安全委員 会の基準に沿ってやってきたということで、それでGOサインが出ていると。GOサインを出した 方の責任はどうなっているんですか。そこを私ははっきりさせていただきたいと思います。まず第 一番目です。 (鈴木座長) 保安院。 (原子力・安全保安院_石垣審査官) 一つは、これまでも言われてきたことかもしれませんし、起こりえないというふうに、想定外と いう言葉に集約されてしまうかもしれませんけれども、そういったことは当然あったかもしれませ ん。ただ今回私どもはキチンと今回の事態をよく見て反省をして、それで必要な抜けてる部分を急 いで手を打つということを考えたということでございますし、対処療法だという意味においては急 いでやる部分は抜けてたからこそ急いでやるんであって、更に事故をよく検証して分析してもっと 必要なことが出て来たら、更にそれは追加してやっていくべきだし、そういう流れの中で考えてい ただきたいというのが一つだと思います。対処療法という意味では、勿論急いでやるべきことだと 思うからこそそうしてます。ただ、これで終わりというつもりもないということをご理解を頂きた いと思います。 (立石委員) すでにね、1900 年の段階でですね、NRCが報告出しているわけでしょ、シビアアクシデントに 関して報告を。これをどうして取り入れなかったんですか。あるいはね、国会でね、何回にもわた ってですね、そういう電源喪失の可能性について指摘されているわけでしょ。これをどうしてね、 取り入れる仕組みが無いんですか。そこらが無ければね、今こういう議論をしていてもですね、そ ういうものについては後から後からという話になるとね、誰が信用するんですか。それについてど ういうように考えておられるんですか。 - 28 - (原子力・安全保安院_石垣審査官) はい、大きな問題だと、大事な問題だと思います。それで規制の取り組み方とか、規制のあり方 とか、特に今回、先ほどの政治主導とも関連するんですけれども、規制機関のあり方というなかで 我々のその検証を受ける立場というふうに言われています。規制の、私どもがやってきた規制、あ るいは原子力安全委員会とこうやってきた役割分担であったり、そういったことも含めて今回の福 島の事故のことは分析・検証されていくんだというふうに思っております。従いまして、なんで今 まで取り入れてなかったんだということについて、我々、私、明確な答を提供できる知見も経験も ないんですけれども、そういったことも含めて、これから事故そのものだけではなくって、規制も 含めて見直していくなかで考えていくべきというふうに思いますし、そういう場にはきちんと対応 していくべきだと思います。 (立石委員) あのね、そういうことは起こり得ない、あるいは安全だということを前提にしてね、規制なんて あり得るんですか。起こり得ないってのはどういうことなんですか。それが起こってしまったわけ ですよね。そのことについての反省が一言もなくてね、どうして国民が安心するんですか。 (原子力・安全保安院_石垣審査官) 先ほどと同じだと思います。今回の福島は、我々は起こり得ないと言ったことが起こったので、 反省をしてできることから始めているというふうに申し上げているのは、まさに反省をして、今ま でやってなかったから、手落ちだったから、抜けてたから、急いで手を打っているということだと いうふうに思いますし、それで反省してないんだろと言われると、これ以上ちょっとお答えしにく いんですけれど。 (立石委員) 私はね、緊急の安全対策ということはね、それこそ先ほどお話がありましたようにね、すぐにで もやれるところからやっていくということは必要だろうというふうには思うんですよ。それは是非 とも早急にやっていただきたいというように思うんですけども、基本的に今回の福島の事故が起こ ったプロセスを明らかにするっていうことはですね、その前提になっているわけですよ。そのこと は確認をさせていただきたいというように思うんですね。 二つ目の質問ですけども、これは東京電力のほうでもまだ解析途中ということですけども、やは りね、1号機、2号機、3号機の時系列がよく分からない。とりわけ1号機が最初にですね、その 水素爆発を起こしてね、それからかなり置いてからですね、2号機、そして4号機、そして3号機 で起こるというような、そのプロセスに関わってですね、まったくの説明が無いわけですよ。1号 機についてはね、解析のMAAPですか報告はありましたけど、そうでなくて1号機以外ね、2号 機も3号機も含めてね、同じ時期に電源が喪失したとすれば、どうして1号機は最初にね、その爆 発するんですか。そのプロセスに関わって一切の説明が無しでね、この要因がまったく分からない。 ただ、その津波が来て電源が喪失したからですという話ではね、これは済まないということはもち ろん分かるでしょ。その部分を明確にしていただかないとこれは誰も納得しないですよ。 (原子力・安全保安院_石垣審査官) 私からでいいですか。 - 29 - (立石委員) 東電さんのほうからお願いしたい。 (東京電力_川俣部長) おっしゃるとおりだと思います。今1号機についてはああいう状況ですけれども、2号機、3号 機についてもデータ等の整理をしてまとめたいと思います。憶測でものを言うべきではないのかも 知れませんけれども、1号機、2号機の状況を比較するとですね、冷却している期間がそれぞれ違 うと、そういうことで結局、水素爆発というように我々考えておりますけれども、水素爆発の原因 はですね、放射線の水分解ということは非常に考えにくい。そうすると水・ジルコニウム反応だろ うと、要は燃料被覆管のジルコニウムと水が反応している。その反応は一般的には 800 度ぐらいで 始まって、1,200 度くらいになると加速度的になるというふうに言われておりますので、2号機、 3号機についても同じような形態で水素が発生している。3号機についてはその時期が遅れた、そ れから2号機については、これは1号機の爆発の後だったと思うんですけれど、原子炉建屋のブロ ーアウトパネルが開いたとかですね、そういうような状況もある。それから4号機につきましては、 3号機で発生した大量の水素が非常用ガス処理系という配管を介して4号機のほうに流れ込んで、 そのなかでいわいる爆ごう域と言われている酸素5%、水素4%、まぁ実際にはそれよりあの爆発 の規模を考えますと大きかったというように思っておりますけど、そういう濃度で蓄積されて爆発 した。いずれにしても、冷却の速度、要は水・ジルコニウム反応が起きた時期の関連で説明できる んではないかというふうに思っています。これは、きちっとデータとの突合せをしてお示ししてい きたいというふうに考えております。 (立石委員) あの、三つ目ちょっとお聞きをさせていただきます。すいません。それはですね、安全・保安院 の資料、6ページ目、資料の2-2の6ページ目。新しく設定された基準地震動Ssですね。それ に対する最大応答加速度値として想定されたものを観測記録が上回ったということで、報告されて いるわけですけども、このもちろん波形を見ますと、すべての周期で超えているわけではないとい う話ではあるんですけども、大きく下回っているというような、そういう曖昧なもので、このもし 新しく原発を設置許可をするような場合であれば認めないでしょ、当然ながら。概ね下回っている というような報告ではね。こんなことをですね、そのSsってのは何なんだろう。その点について はどういうようにお考えですか。 (原子力・安全保安院_小林室長) ちょっと言葉足らずのところがあったんですけれど、これはですね、最初の加速度値を報告して もらったんですけど、これ以降、私どもとしてはですね、さらに分析を進めろということで 16 日 の日、ちょっと今日は資料が間に合わなかったんですけれど、基礎版の床応答スペクトル、これを 提出していただきました。その結果を見るとですね、0.2 から 0.3 秒ぐらいのところで超えてます。 だから、さらにそこの部分にある重要な機器、これについてきちっと今回の揺れに対して果たして どうだったのか、健全であったのか、そういうところを評価しろということを昨日付けで指示をし ております。それがいずれ報告が上がってきますので、またこの場等でですね、いろいろと説明さ せていただいて、果たしてその影響があったのかどうかといったものを十分に検証させていただき たいと思っています。 - 30 - (立石委員) 私が言っているのは、健全であったかどうかということじゃなくて、こういうふうに超えるとい うことを認めるのかと。それが、規制機関としての立場なのかと。 (原子力・安全保安院_小林室長) 先生、よくご存知だと思いますけど、基準地震動Ssそのものは、解放基盤表面、福島の場合で すと-200m くらいなんですが、ここに与える地震動が 600 ガルですかね、最大で。これにつきまし ては、今、剥ぎ取り解析をやってもらっています、上の部分を除いて。それで、考えられた基準地 震動に照らしてどうだったかといったところを、今精査する予定です。これはあくまでも、基準地 震動に基づいて、解析した結果でございますので、建屋の揺れがどっかの部分で増幅したとか、そ うしたとこが考えられるので、基本設計上は基準地震動Ssに対してどうだったかっていうのは、 解放基盤表面で議論すべきだと思います。詳細設計の段階になりますと、建物の裕度とか、機器の 裕度とか、こういったものを考えながら評価していくというのが、詳細設計のやり方だと思います。 剥ぎ取りの結果を見て、また議論させていただきたいと思います。 (立石委員) もちろん、その剥ぎ取り波で基準地震動と比較するというのは分かります。その裕度云々って今 おっしゃいましたけども、実際の想定される揺れの際に、裕度があるから大丈夫なんだという論理 はありうるんですか。 (原子力・安全保安院_小林室長) 設計に関して、我々基準地震動そのものは、設計者のかたがそれをにらみながら、当然設計用地 震動っていうのはべつに作って、大きな地震ですね、それを作って設計するわけですから、あくま でも基準地震動は1つの目安、設計のための目安でございますので、そういったものをもとに設計 者のかたが設計していくというのが必要でございます。詳細設計を行っていくというのは必要でご ざいますので、今回なんかはあくまでも、今回観測値が上回ったということでございます。詳細に ついては、少し分析を進めなさいよということで、我々は対応できると思っています。 (立石委員) 私は、基準地震動というものの考え方が、かなり基本的なところで今の現実は非常に重要だと思 う。確かに基準地震動ということで、解放基盤面で想定されたものと 600 とを比較するっていうか、 そこでの剥ぎ取り波と比較するということは当然です。しかし、そのことから想定されたある部分 の揺れに対して、実際の観測値が上回ってしまったということも、裕度を考えればあり得るってい う立場なんですか。 (東京電力_土方所長) すいません、東京電力から少し補足をさせていただきたいと思います。まず、基準地震動の大き さという議論と、施設の健全性、安全性、これをちょっと分けて考えないといけないかなっていう ふうに考えてございます。それでまず、基準地震動の大きさの議論なんですが、今回はご案内のよ うに長さが 450km、あるいは 500km、幅で 200km という、マグニチュード9という地震が発生しま した。その地震の揺れが、ここで今回お示ししている基礎盤との揺れでございます。もともと福島 で、バックチェックのときに考えていた 600 ガル、これは解放基盤の値ですが、そこの中には、こ - 31 - のようなマグニチュード9の震源は考えてございません。塩屋崎沖の地震ですとか、プレート内地 震ですとか、いくつかのタイプを考えて、それを安全側に上回るように 600 ガルっていうものを設 定しています。ですから、もともと想定している震源が我々の考えていたもの、これは知見が不足 していたんだと思いますが、マグニチュード残念ながら9までの震源を考えていませんでした。こ れは、そういう連動っていうことが、我々だけじゃなくて全体のことだと思いますが、想定しきれ ていなかったと。そこに課題があるというふうに考えています。 一方、先ほどらい出ている施設の健全性の話なんですが、現時点の分かることを申し上げますと、 まず建物なんですが、建物を比較的簡単なモデルで揺すってみたところ、どうなるかっていうと、 弾性状態でございます。今回の地震で弾性状態でございます。従前から、基準地震動Ssでも検討 してまして、基準地震動Ssで建屋はほぼ弾性だということは、バックチェックで確認をしており ます。それと今回の地震の大きさを見比べたとき、今回の比較で、今回の地震でどのくらいの建屋 の歪みレベル、応力レベルになるかというのを見ると、今回の地震でもそれからの類推でほぼ弾性 だというふうに考えているということです。ですから、中越沖地震なんかと見比べても、今回の地 震そのものの揺れが、少なくとも建物で見る限り、非常に特異に大きなものだというふうには、現 時点では評価しておりません。ただ、機器については、これからの課題でして、連成解析、建物と 機器を一緒に連成して揺するようなことをこれから行います。これもそれほど長い期間かからない で、国からも指示をいただいておりますので、我々としてお示しをいたします。その結果について、 こういう場でも全部お出しいたしますので、ぜひそういう結果を見ながら議論、ご判断をさしてい ただきたいと思っています。以上でございます。 (鈴木座長) 小山先生。 (小山委員) ちょっと違う議論になって申し訳ないのですけど、先ほど水素とのお話あったので、私は容器の 設計を行っていたというところから、冷却材バウンダリーとそれから格納容器バウンダリーの健全 性の議論が必要ではないかと思います。これだけ放射能の飛散があったわけですから、バウンダリ ーがどの程度阻害されたかというところを、時系列、水素の爆発の時間、それからいろいろな温度 データ、先ほど炉底の温度とかいうのは、今安定したところでの温度を見せていただいているので、 これで今の大体のイメージがわくのですけれども、水素爆発までの状態がどういうような状態であ ったか、それから炉内の解析結果、あくまでも解析結果なのですけれども、炉心溶融というような ことになったときに、炉底の部分がどうであったか、バウンダリー、特に炉底にCRD台とかいろ いろあるはずですので、その部分がどうであったか、それをシナリオを考えていった時に、そのシ ナリオを裏付けるようなデータでもってお示しいただけないでしょうか。たぶん今、すでに考えら れていると思うのですけれども、そのようなことで、かなり状況が把握できるのではないかと思い ます。私自身は、その辺のところを、公表されているデータだけではちょっと分かりにくかったの で、そういうのをいただければ、今後のご説明とか、議論にかなり役に立つのではないかと思いま す。 (鈴木座長) 東京電力。 - 32 - (東京電力_川俣部長) 趣旨はよく分かりました。圧力容器についてはですね、解析が相当保守的で、ある条件でやると 底が抜けるというような状況ありますけれども、やはりそれもきちっとデータ等と対比して見るべ きかと思います。それから、水・ジルコニウム反応で水素が出たということは、これは間違いない ということなんですけれども、その後の格納容器の漏えい率、要は設計上は 0.5%/day ボリューム ですので、それが加圧したことによってどういうように水素がリークパスを持ったのか、これは多 分恐らく最後まで推測ということになって、もうちょっと原子炉、あるいは格納容器が冷えた段階 で物を見て判断していくということもあろうかと思いますけども、解析、あるいは物を見る、ある いはデータと突き合わせるというようなことで対応していきたいと思っています。ポイントとして 重要なポイントだということは我々も承知しております。 (角山委員) すいません。いいですか。2点ほどお伺いしたいんですが、まず第一点の資料2-2の 19 ペー ジ、一番最初ですが「津波による全交流電源喪失対応マニュアルが無かった。」無かったというの はまず私は言語道断、これは想定外ということかも知れないが、全交流電源喪失ってのはなにも津 波に限ったことじゃないかも知れないわけですよね。その辺どういうふうに考えておられるのかっ ていうことと、もう一つ、今回はマニュアルが無いときにどういう対応をされたのか、それをちょ っと聞かせてください。 (鈴木座長) これは保安院でしょうか、東京電力でしょうか。 (角山委員) 両方にお願いします。 (鈴木座長) 保安院のほうから。 (原子力・安全保安院_石垣審査官) はい。これはもちろん津波だけじゃないんでしょう。おっしゃるとおりでありますし、あとこれ は同じ答になってしまうんですけれども、先ほどのプラントデータと同じです。どういう作業をど ういう手順でやっていったかというのをまさに今、検証の途中ですので、そういうなかできちっと 評価をしていきたい。今現在、本当にどうだったんだと言われると、結果的にうまくいきませんで したということしか今は答えられる情報が無いので、そこはすいません、今後の検証の中での話と いうふうに今時点は思っています。 (鈴木座長) 東京電力。 (東京電力_川俣部長) はい。物を設計する際にはいろんな考え方があると思うんですけけれども、いま原子力発電所の 安全設計はデザインベーシズイベント。これは運転時の異常な過渡期変化あるいは事故ということ - 33 - を想定して、それに対して単一故障指針等というような評価の考え方を入れてやっているわけです けれども、全交流電源の喪失につきましては、いわいるこの設計上の事象には入ってない。そうい うことで、なぜ入ってないのかというのは先ほどらい、ちょっと話がありましたけれども、8時間 くらいで交流電源が復帰するだろうという話です。このような決定論的な考え方とは別にですね、 やはりそれでも事故は起きる、そういう観点でその時の対応ってのはどうあるべきか。これは我々、 アクシデントマネジメント対応マニュアルというのを持っておりまして、その中にはそのベントを する判断とかですね、そういうものは定められておったのですけれども、全交流電源喪失が8時間 以上に渡って継続したときにどうするというようなところは無かったと。これについては先ほど発 電所のほうからも説明がありましたけれども、今の時点で全交流電源をどう扱うかということにつ いては至急でできることは対応しようということで対応していっているところです。答にはなって ないような気もしますし、たいへん申し訳ないんですが、現状をご説明させていただきました。 (角山委員) そうしますとね、その対策として対策がいくつか提示されましたよね、その中に緊急時対策組織 でしたかね、というのがありますよね。それがあれば、今のようなことは回避できる対策になると いうふうにお考えなんですか。 (東京電力_川俣部長) これは、緊急時の対応というのはですね、一般論で申し訳ございませんけれど、いわゆるソフト 面での対応と、マニュアルあるいは組織、そういうようなものの対応とハード面の対応、これをき ちっと噛み合わせて、起きるということを前提に準備する、備えるということが重要なんではない かと思います。そういう観点で今、サイトは至近の課題として取り組んだ。それを先ほどサイトの ほうから報告したと、発電所のほうから報告したということです。 (東京電力_横村発電所長) 補足をさせていただきます。全交流電源喪失は、いわいるステーションブラックアウトは想定に は入っておりましたけれども、入っておらなかったのはですね、日本のように1サイトにマルチで ある発電所で、全部の号機の電源が全て無くなる、ここのところが想定できてなかったというとこ ろがですね、今までの弱みでこざいます。従いまして、緊急時安全組織も今こういうふうに電源車 だとか消防車を用意いたしましたので、そういった全部の号機が一遍に無くなっても対応できるよ うなツールを持ったということで、これからは機能できるというふうに考えて、それの訓練もしっ かりやっているという状況でございます。 (角山委員) ただ今回を見ますと、例えば電源が無かったとしても、新聞の報道がメインなんですが、例えば 海水注入を早くやってもらうとか、そういう対応を早い段階で決断できていれば、また事象が違っ てきてたんじゃないかと思うんですね。その辺はこの緊急時対策組織ですか、これは対応できると いうふうにお考えですか。 (鈴木座長) 東京電力。 - 34 - (東京電力_川俣部長) 海水注入のタイミングだとかですね、あるいはベントのタイミング、これはきちっと評価して議 論すべきお話だと思います。今日時点ではたいへん申し訳ないんですけども、我々も今いろんな状 況を確認してる段階ですので、そこについては申し訳ございませんが、日を改めてご説明させてい ただければと思います。 (角山委員) はい、分かりました。もう一点。時系列、これはですね資料の1の 16 ページ。地震発生以降の 時系列がありますが、3月 11 日の方にはね。これは地震が発生してから津波が来るまで 15 時 41 分、ですから1時間近くあります、この間のデータは全てとれているんですか。それから、そうい う計装する設備関係、これには損傷なかったんですか。 (東京電力_川俣部長) 基本的にはとれているというふうに考えていただいて結構です。ただ実際にプラントのデータは ですね、プロセスコンピューターというなかにデータとして取り込まれていて、それを表示する装 置、これはセーフティー・パラメーター・ディスプレイ・システム(SPDS)というデータ蓄積機能 はない装置なんですが、データを発信する装置、あるいは表示する装置、これは機能を一部喪失し ていたと。ただ、今ご質問のあったのはデータそのものが残っているかというご指摘だと思います ので、それは基本的に残っていたと。それを確認して先般整理したうえでお出しさせていただいた、 それがその何千ページの報告書ということで、一昨日ですか、国の方に出させていただいたデータ でございます。 (角山委員) 何と言うか、ローカルにデータを蓄えてはいないけれど、別のところにそれを送ってそれが蓄え られていたということですか。 (東京電力_川俣部長) すみません。私の説明がちょっと余計なことを言っちゃったんですが、表示システムが一部不具 合がありましたけれど、データを蓄える部分については問題が無かったので、初期のデータはあり ますということです。一方、津波で直流電源も無くなってデータそのものが取れていないようなも のはデータの有りようが無いということで、それはデータありませんけれども、初期のデータ、津 波前のデータについては、メディア、媒体に保管されているものを取り出して、打ち出して見られ るような状況までの復旧をしてお出ししたというのが今の状況です。 (角山委員) センサーとかそれの計装関係に異常は無かったということなんですね。 (東京電力_川俣部長) 異常有る無いはいろいろ有ると思いますが、センサーが測定したというデータの打ち出し、或い は何時何分にどういう事象が起きたので原子炉はスクラムしたとか、制御棒の位置がここまで入っ たとか、或いはその時の温度はこうだとか、主蒸気隔離弁が閉まったとか、ディーゼル発電機がこ の時に動いてますというようなデータは取れています。 - 35 - (角山委員) はい、分かりました。 (鈴木座長) はい、じゃあ、中島先生。 (中島委員) 今の、データの信頼性に関してなんですけれど、やはり先ほどから問題になっているようにです ね、とにかく地震に対して、まず揺れに対してですね、炉自身が本当に耐えたのかどうかというの は、やはり、先ほど鈴木(元)委員からもあったように、水位とか温度、圧力といったデータとい うのがちゃんと取れていたか、或いはそれが信用できるものかっていうとこなんですが、水位につ いては確か1号機は人が中に入って校正したと言うか、あれ多分、差圧計なのでなんかガスとか入 るとおかしくなるのかなと思うんですけども、温度、圧力というのは、電源がないのは測れないの はしょうがないんですけれども、測れている間、或いは現在の値は信用できるものだと考えてよろ しいのでしょうか。それが一点です。 (東京電力_川俣部長) 今まさにご指摘のあったように、水位計については差圧を見ているので、一方の水位が、例えば 蒸発するとか、或いは気泡が入っているということで不正確なものがある。それ以外の計器につい てもですね、見るとですね、必ずしも同じ位置に二つ付いているんだけれど違うものもあります。 これはドリフトとかそういうことが計器にありますので、どちらが正しいのか或いは両方とも狂っ ているのかというのは心配としてはあるんですけれども、複数の計器で見ていて、例えば、同じよ うな傾向で表示をしている、こういうものは比較的信頼性が高いだろうと。そうすると例えば中間 点なのか、或いは一番厳し目のデータが正しいのか、そういうようなことはこれから一つ一つ検証 していく必要があるんだと思います。 (中島委員) わかりました。それからもう一つですね。1号機でベントしたということですが、その時はとに かく電源が無い状態で無理やりバルブを開けてやったということなんですけれども。一部、聞いた 話ではですね、電気が無いということは換排気系が動いてなくて、要するにラプチャーディスクが 割れるくらいの圧はあったと思うんで、その流れが有る程度は出て行くんですけれど、ちゃんとブ ロワーが働いていないと、何かどっか逆流をしてですね、例えば水素が換排気系を通して1号機の 建屋上部に溜まって、要するにベントしたから水素爆発の原因になるような水素が出たんじゃない かという意見を聞いたことがあるんですけれど、これについてはどうお考えでしょうか。 (東京電力_川俣部長) 今のお話はですね、いろんな仮定を積み重ねると有りうる話だと思います。まず、おっしゃるよ うに格納容器のサプレッションチェンバー側、すなわち圧力抑制側のベントはですね、水の中に入 った蒸気を、その持っている圧力で排気筒のほうに導いて出すという系統になっています。当然そ の圧力が無くなれば排気もしにくくなる、差圧で要は流れているだけの状況だと思いますけれど も、その過程でですね、格納容器の圧力がどう変化した、その際に通常であれば格納容器そのもの - 36 - はリークタイト、リークタイトというのは 0.5%vol/day というレベルのリークタイトなんです が、高温高圧になっていた、水素が出るような状況ですから高温高圧になっていた、そうするとそ の格納容器の中にいろいろある付属の貫通部だとか、或いはフランジの部分がどういうような状況 であったかというようなことを見てみないと、いろんな仮説はあると思うんですけれども、そこか ら水素が出たんじゃないかとかですね、或いはどうなったんだという話は今の時点では正確にはで きません。ただ事実としてあるのは、間違いなく格納容器の中から水素が出てこなければですね、 他に爆発源となるようなもの、即ち大量の揮発性のガス、可燃性でかつ揮発性のガスがない、そう いうような状況を考えると格納容器から水素が出たんだろうと、そこの部分は多分推測としては間 違えていないだろうと。 (中島委員) はい。すみません、あと二つほどなんですが、今回要するにこういう事象が起きたのは基本的に 全電源喪失でそれから先、冷却ができなかったということで、1、2、3或いはプール4というこ とで言われているんですけれども、それに加えてと言うかですね、要するに非常に、ここの特に1 号機は40年代の炉ということでタイプが古いと、マークⅠって言うんですかね、これは結局、例 えば格納容器も小さくて熱的な容量が小さいとか、或いは安全対策も当時のレベル、まあ改良はし ているかと思うんですけれど、そういう声もちょっと聞いています。そういうことを考えると、例 えば要するに、いわゆる40年とかやる前にあたった高経年化の評価というのが十分なものではな かったんじゃないかというふうな考えもあるんですけれども、これについてはいかがですか。これ については、できれば保安院の方のご意見もお聞きしたいと思います。 (鈴木座長) 東京電力。 (東京電力_川俣部長) ご案内のようにその1号機、一番古い1号機ですけれども、昭和 46 年営業運転を開始したプラ ントです。そういう意味で言うと、40 年間、通常の設備であれば古いということになろうかと思 いますけども、少なくとも我々は古い新しいということで、要は、古くなったのでその設備投資を 控えて最適なコストパフォーマンスを出すような、そういう運転は行っておりませんし、きちっと メンテはやってきたつもりです。それから、これは国のほうにお答えいただくべき話かと思います けれども、プラントライフマネージメントという規制の枠組みの中で定期的に評価する、評価する というのは長期運転に伴う劣化というものがどういうところに出るかというのを評価項目として 立てて、その評価の結果を纏めて報告して。例えば、一般的によく言われておりますのは、原子炉 圧力容器の中性子による照射脆化、高速中性子が当たることによる照射脆化、これに対しては例え ばどのような、今までフルエンスがあったのか。要は中性子がどれくらい当たっているのか。それ に対して圧力容器の中に入れている監視試験片の脆化、例えばシャルピーVノッチの吸収エネルギ ーとかそういうのもはどうなのか、引っ張り強さが極端に高くなってないのかというような評価を つけて、個別の劣化モード毎に問題ないというふうな判断を出させていただいている、そういうこ とです。 (中島委員) 例えば、1号機なんかは格納容器の容積が比較的小さくて、要するに圧が上がるまでの余裕が少 - 37 - なくて、早くいってしまうという可能性があるわけですけれども、そこら辺いかがでしょうか。 (東京電力_川俣部長) これは、格納容器の大きさは変えるわけにいかないので、例えば格納容器が小さいということが ある蓋然性を持って、事故につながるということであれば、また別の判断もあったかと思いますけ ども、今時点ではちょっとそういう状況ではなかったと。 (中島委員) それは、今後の評価に中でやっていくのか。 (鈴木座長) 保安院お願いします。 (原子力・安全保安院_石垣審査官) 大体質疑の中で言っていたとこだと思います。経年劣化をきちっと評価をして、将来の進展予測 をして、対策をきちんとやるっていう意味では、PLMはきちっとやっていたと思いますし、1F 1の審査も実際にやりましたけれども、丁寧に細かくやったと思います。だから、これからあると すると、まだはっきりしない事故を分析していく中で、どこか抜けがあるんじゃないのっていう話 が出てきたら、きっちり真摯に反映を考えるということだと。今現在は、明らかに経年劣化と関係 して今回の事態がどうなったっていうようなことまで、まだそういうことは言えないと思います し、はっきりしたことはまだ言えない、将来これからのことだというふうに思います。 (中島委員) あと最後に、防災というか危機管理の体制の考え方で、これはむしろ国のほうかと思うんですけ れども、例えばJCOの臨界事故の後に、住民を巻き込む事故が起こりうるということで、たくさ んお金をかけて、サイトのオフのところにオフサイトセンターを作ったりとかやって、いろいろ防 災の面での避難訓練もやったりしているわけですけれども、今回の地震では、私地震が起きて初め て知ったんですけれども、福島の場合だとたしかサイトから4km くらいしか離れていないところ に、もともとEPZでも今もっと広げるという話があるが、もともと 10km くらいのEPZを考え なさいということで、オフサイトセンターですと本来はEPZの外側あるいは境界ぐらいに建てる べきであるはずなのに、そういうのになっていなかったとかですね。あるいは、機能し始めるとや っぱり線量が高くて、途中でみんな避難するとか、あるいは、機能していたときでも、なかなか通 信手段が上手く働かなくて、本来はそこに全ての情報を集約して、そこからいろんな指示を出すと いうような立場になるべき総合緊急時の現地の指令センターが上手く機能していなかったという ことを聞いているんですけれども、これについてはいかがでしょう、保安院にお願いします。 (鈴木座長) 保安院。 (原子力・安全保安院_石垣審査官) 私からお答えいたします。今日の資料の中でもたくさん書かなかったから一言だけで台詞が書い てある、34 ページの一番下に一言書いてあるんですけれども。それからもう1点、先生今おっしゃ - 38 - った実際の緊急時の拠点となるべきオフサイトセンターであります。JCOのとき制度設計したも のです。今回の1Fの、3月 11 日のときに副大臣と一緒に自衛隊のヘリで飛んで、1週間くらい あそこにいたんですけれども、先生がおっしゃったとおり、オフサイトセンターがぐちゃぐちゃに 倒れて動かない、電源が倒れて動かない、やっと自衛隊の人に来てもらって、自家発を動かしても らって活動できるようになったけれど、今度は通信回線が動かない。そんな中で、かつあれですね 4km くらいでしたので、線量が上がってくれば当然避難地域になって、外出るにもあれですし、オ フサイトセンターの建物の中でもタイベックス着て、チャコールマスク付けていないといかんと。 そんな状態で対応してましたので、なんて言うんでしょ、とってもこの先どうしたらいいんだとい う悩みがあるところです、正直申し上げて。今回は 20km、30km とかいろんな数字が出てきて、お っしゃる通り従来は 8km から 10km のEPZの辺りに置きましょうという指導でやってきましたし、 1Fのオフサイトセンターはもっと以前にできたので、それより近いとこにありましたけれども、 ここもよく考えなきゃいけない課題ですし、地元の方、自治体と一緒に考えていって、どうあるべ きかというのをよくご相談させていただく課題だというふうに思っています。 (鈴木座長) ちなみに、私も1回柏崎のオフサイトセンター行ったことがあるんですが、発電所から何 km に なるのですか。具体的には。 (事務局_熊倉広報監) 約7km 程度だと思います。 (中島委員) 地元の人にとっては、オフサイトセンターが何かあったときの拠点で、そこを頼りにせざるを得 ないというか、頼りにしているかと思うんです。今回の事故の教訓をちゃんと踏まえて、電力さん にいろいろ緊急対応をやってもらうのは当然のことですけれども、やはり国としてもしっかりとそ ういう対応を取ってもらいたいと思います。よろしくお願いします。 (鈴木座長) 一応、予定の時間を過ぎているんですが、議論もあるかと思うので、あともう少し 30 分くらい 延ばしたいなと思いますが、よろしいですか。お帰りの時間がかなり近い方もいるかと思いますが、 よろしくお願いします。あと、今日の議題のメインは柏崎の緊急対策をきちっと詰めるとこは詰め たいなと思っていますので、できればそこに議論の重点を置いて、ご発言いただければ助かります。 (鈴木(元)委員) 座長の言うことはよく承知しております。それで、まず最初に、そういう方向に重点を置いて質 問させていただきますが、まずその前に先ほど立石委員のほうから保安院になぜそういうことを想 定していなかったのかというご意見がありました。保安院の方は、それは反省しておりますという ふうに大変率直にお答えになったんですが、そうすると保安院に確認しますけど、これからは日本 の原発においてもいわゆる過酷事故、シビアアクシデントを想定した対策を立てる方向でいくと、 そういうことでしょうかというのがまず1つの質問です。 (鈴木座長) - 39 - 保安院。 (原子力・安全保安院_石垣審査官) 皆さん十分ご承知のとおり、今はシビアアクシデント対策は、自主的な対応としてやってくださ いという整理になってございます。そういうとこまで含めてどうするのかっていうのは、もうちょ っと考えさせてくださいっていうのが、今現在言えることでありまして、でも今回の緊急安全対策 で電源がなくなったときにどうしますかというのは、シビアアクシデントマネジメントに踏み込ん だ対策を求めていることだと思っています。 (鈴木(元)委員) そうですね。その通りですね。 (原子力・安全保安院_石垣審査官) 将来もこうだとか、どっち向いてっていうのは、今現在正確には申し上げられないですけれども。 (鈴木(元)委員) ただ、実質的にはシビアアクシデントの方に踏み込んでおりますね。 (原子力・安全保安院_石垣審査官) 今回の緊急対策は踏み込んでいると思います。 (鈴木(元)委員) はい。分かりました。 それから先程もコードを検証するためにデータが必要だと。それから、センサーのデータ、どう なっていますかと。それから、データはちゃんと蓄積されておりますか、という質問が何度もあり ました。私が聞くところによりますと、中央制御室におけるデータは、本店の方にも回線で通常は 繋がっていて、本店でも記録しているはずだと。ところが、今回はその回線が切れていたというふ うに聞きました。それはどうしたのでしょうかというのが一つ。それが一つ目です。 それから、水素爆発を避けるために水素のベント口を建屋に付けるんだという対策があります。 その場合、当然建屋内の水素濃度を測るための水素センサーも当然付けるのですよね、というのが 二つ目の質問。 それから三つ目は、水密化処理を強化しますというふうにおっしゃいましたが、まあ当然これは 大事ですけど、福島はああいうふうに海岸沿いに建っている以上、当然、水密化処理、海水が、塩 分が入っちゃいけないように水密化処理もしていたはずですよね。今回それじゃ甘くて、それを強 化した形で、柏崎刈羽ではもっと強化した形で水密化処理をするという意味なんでしょうか。 それから最後に、外部に新しく冷却系を設置して冷やす状態を想定していますが、その時にその まま熱交換器あるいは配管系の余震に対する耐震性というのは非常に重要ですよね。それが余震で クシャッとなったらもう打つ手なくなっちゃうわけで、その辺の余震に対する新たに設置する非常 用の冷却系というか熱交換系の耐震性は大丈夫なんですか。それだけです。 (鈴木座長) 東京電力。 - 40 - (東京電力_川俣部長) 一点目は私、川俣の方から。二点目以降は発電所の方からお願いいたします。 まず、事故時にいろんなパラメーターを送るという機能は、先ほどちょっと言いかけました、セ イフティ・パラメーター・ディスプレイ・システムというシステムを持っております。これは、必 要に応じて発電所の緊急時対策室、更には東京電力の本店の方に伝送するような仕組みになってお りますが、今回、そのシステムの多分制御系なのかどこか、データの受け渡しの部分なのかどうか ちょっと分からないんですけども、きちんと受け渡しができてなくて、結果として、まず一番最初 にデータを入れる発電所の緊急時対策室にデータが入らなかったというところまでは、事実として 確認しています。それ以降の話は、したがって発電所から本店の方はデータが流せないという状況 でした。これも、重要なパラメーターの監視という意味も含めて初期の段階でそういうことがあっ たということで、これも一つの反省点だとは思いますけど、今時点では原因は、私、個人的には押 さえておりません。 (鈴木(元)委員) 要するに、原因をきちんと確認して水平展開しますということでしょうか。 (東京電力_川俣部長) そういうことになろうかと思います。 (鈴木(元)委員) 分かりました。まだ他の質問にたいしては? (東京電力:玉井部長) 先程ご質問いただいた二つ目以降、ご回答したいと思います。 すいません、書画の紹介の中で、原子炉建屋の上部にトップベントと称して、水素が溜まった場 合にそれを滞留させないということでベント設備を新たに追加しようと考えております。これまで ご紹介した緊急時安全対策として、電源を復旧し、注水系を活かして燃料を露出させないようにす れば、基本的に水素はそれほど出てこないと考えてございますが、念のために溜まった時にこの格 納施設である原子炉建屋を破損から守るということでベントを設けます。ご指摘いただいたとお り、水素計の設置についても併せて検討に入ってございます。 それから、三つ目の扉の水密化の話でございました…。 (鈴木(元)委員) 扉以外のケーブル系のケーブルの貫通部だとか、建物の継ぎ目だとか全てなんですけども。 (東京電力_玉井部長) はい、申し訳ございません。いままで原子炉建屋、タービン建屋等の原子炉施設の外部の扉につ きましては、物的防護という意味合いの扉としての機能がございました。ただ、水が上がってきて ですね、水密化という意味では、それ程の機能を持たせたものではありませんでした。今回、福島 の津波事故を踏まえまして、まず可及的にできる水密化の措置として、コーティングですとかパッ キンを追加したりというのを既に実施してございますが、更に水密扉としての取替え、改造工事を - 41 - やっていこうと考えております。どこが違うかといいますと、水密扉といいますと、蝶番の部分が 相当頑丈にできていたり、扉と扉を閉めた時に受ける壁側の耐荷重ですとか、水密機能が更には頑 丈になっていくといったものでございます。現在は、そういった構想の扉になっているところは少 ないです。 それから、ケーブルや配管の貫通部につきましても、放射性物質ですとか空気の漏出に対しての 防護としての停止機能はございましたけれども、水が相当量、外に溜まった時に浸水を防ぐといっ た機能については、特に地上部については弱かったところがありますので、そこについてはコーキ ング剤を詰める等して、どれ位の対水圧に耐えられるか評価してございますが、そういった措置を 実施しているところでございます。 (鈴木(元)委員) それから、熱交換器。 (東京電力_玉井部長) 基本的に非常用系の既存の熱交換設備は耐震裕度を持たせて設計、設置してございます。緊急時 のこの絵に書いてございます左上の代替の水中ポンプ及び代替海水熱交換器設備と書いてござい ますが、これはここに置いておくものではなくて、津波が来て波が引いた後に高台に置いてあるこ の設備を搬送して、熱交換建屋の近くに持って行くというものでございます。これにつきましては、 容易に移動できるような構造にします。これが地震等で横転しないような措置は、これを置く場所 の設計の方に反映してまいりたいと思います。 以上で回答になってございますでしょうか。 (鈴木(元)委員) はい。分かりました。 (鈴木座長) 衣笠先生。 (衣笠委員) 先ほど、保安院の方から実質的なシビアアクシデントに対するアクシデントマネジメントに踏み 込みつつあるというお話でしたが、アクシデントマネジメントのひとつのミソというのは、ある対 応をした時、それが他のことに悪い影響を与えないかどうかをあらかじめ検討しておくということ の案というふうに私は理解しています。それで資料2-1の 31 ページ、この図の次の図ですが、 津波に対する裕度向上のために防潮堤を造るということで考えられておるようですが、これについ てはよほど慎重に設計をしていただかないと、もしこの防潮堤が敷地側に転倒するというようなこ とになったら、造らない方がいいようなことになってしまいますので、そういうことをあらかじめ 検討するというのがアクシデントマネジメントだと思います。しかもこれは敷地前面側、海側にず っと回されるんだと思いますが、例えば中央土捨場の海側のところというのは岩盤がかなり深いの でそこまで岩着させるというのはかなり困難なことだと思います。それをどういうふうに克服され るかについてはお任せしたいと思いますが、あることだけ注目をしてエイヤとやったことが他に悪 い影響を及ぼさないように十分検討していただきたいと思います。 もうひとつついでに言いますと、そのスライドの一枚前のところですが、発電所構内に水源を設 - 42 - 置するというふうな図が、このスライドの右の真ん中あたりに書いてあるんです。これいくらくら いの大きさなのかなと思っていろいろ資料見てみても分からないんだけれど、保安院の方から出て きた資料だと2万㎥だと書いてあります。2万㎥の水源というのはえらい大きなものです。深さ2 m で 100m×100m、深さ4mにしても 50m×100mです。これを中央土捨場に造るということです が、中央土捨場というのは基礎掘削をした余った土をほっておいただけで決していい地盤とは言え ないわけですね。そんなところにこんな大きな池を造って、もし地震の時にそれが崩壊してしまっ たら、造らない方がよかったということです。そういうことも含めてアクシデントマネジメントの 本来の精神に立って、あることをやった結果が悪い影響を及ぼさないかどうかも含めて、今後十分 に検討を行っていただきたいと思います。以上です。 (鈴木座長) 一応注文ということで、もし答えがあれば、はい、どうぞ。 (東京電力_武田GM) 先生、ご指摘ありがとうございます。防潮堤にしましても、この池にしましても、単に狭い方向 で造ればいいんだという観点ではなくて、津波に対して耐えうる、地震に対して耐えうる、その際 にも周りに悪い影響を与えないということをしっかり考えながら、幅広く考えながら対応してまい りたいと思いますので、いずれまた纏まった段階でご説明させていただきたいと思います。よろし くお願いします。 (鈴木座長) これまでの東日本の防潮堤のですね、強度や高さ、いろんな面をぜひ検討して最良のものをお願 いしたいというふうに思います。そのほか、吉川先生。 (吉川委員) 先ほども保安院さんのお話では、安全規制のあり方、検討の場でシビアアクシデントをどう取り 上げるとか、それからオフサイトセンターをどういうにしていくかとか、いろいろ課題があるよう ですけれども、現在は応急処置をこういうふうにやってくださいと指示され、電力会社の方では指 示を受けてそれをやっておられるということですが、浜岡の場合はいろいろ先ほども縷縷ありまし たように現政権トップから地震の予想確率だけをもとに、不安なので法的な根拠はないが止めてく ださい、浜岡以外の他のところの発電所ではそうではないというようなことを言っておられて、安 全を評価して、そして動かしてもらうようにしたいような趣旨のことをおっしゃっています。それ では、いまここでの技術委員会での検討の位置付けを、どのように考えたらよいのか。今日は安全 委員会の方がいらっしゃいませんけれども、経済産業相の指示として、保安院さんは各原発に今回 の福島事故を受けての応急処置、応急対応策を指示され、各原発は対応策を出し、保安院さんは評 価書を出された。今日の技術委員会の場では、柏崎プラントの応急対策を検討した。その結果とし て、まだまだ相当課題があり、ものによっては2年とかかかったりするようですが、これをクリア すれば運転認めると技術委員会がお墨付きを出すというものでしょうか?そうではないでしょう。 保安院さんの話では、更なる安全基準を作ってやるとか、それから将来的な問題としてオフサイト センターをどうするかとか、それからシビアアクシデントをどう位置付けるとか、いろいろ国側で も対応する課題があるわけですね。ですから、その全体を整理して、いまはやりの工程表のような 格好ですね、いまあちこちで夏場の電力不足の問題もあって、動かしたいというところもあります - 43 - し、一応そういうことを認めるのは国の方の判断ですから、いつまでも応急対策というわけに行か ない。暫定的なものですけれど、実際にこれをすればいいというのはいつ出すとか、将来的にこれ をやっていくとかいう、そういうことを規制側の方で工程表として検討されるといいように思いま すが、どのように思われるでしょうか。 (原子力安全・保安院_石垣審査官) はい、回答いたします。いま1Fとしての道筋という工程表であったり、それから被災者支援の 政府側の工程表であったりとか、コメントの趣旨はよく分かります。それからやらなきゃいけない ことを洗い出すという意味でもいま頂いたコメント、非常に大事なことだと思います。ちょっと今、 ここですぐ出来るというわけでもありません、やりますというお約束がなかなかできないのです が、大事なコメントだと思います。いろんな方と相談する際に、参考にさせて頂きたいと思います。 (鈴木座長) 香山先生。 (香山委員) 柏崎の方の緊急安全対策の実施について保安院の評価というのが、資料 2-2 の 16 ページにござ いますね。この中でボンベの運搬に対して運搬員が不足していると指摘をされている。これだけを 指摘されているのですが、もっと基本的に、まずどういう前提のもとでこの訓練をされて、実際の 審査をして、適切と判断したかということに対して人員配備の観点での指摘が全くなされていな い。これは通常の運転の状況の人員配備の中で緊急時にちゃんと対応するような人が揃っていると いう判断なのかということをお聞きしたいのが一点、もうひとつは通常とは別に今度の福島のよう な場合に、非常に高いレベルでの放射線の漏えいがあったりとか、非常に放射能が高いような環境 になって作業をするというような時には、放射線取扱作業従事者の資格や、特殊な作業に応じた従 事者資格というので働ける人は限定されますが、そういうものに対して十分考えた結果、人的には 問題ないという評価をされたのか、評価のベースをご説明いただきたい。 (原子力安全・保安院_石垣審査官) 二つのご質問ですが、まず最初の人配置は、通常状態を考えたかということでこざいますけども、 審査の我々が見るときは平時もそうですし、夜間の人が少ないときも大丈夫か、先ほど柏崎の例だ と社宅が何キロだから大丈夫ですとかっていう話を聞いたら、ああいうものをサイトごとにやって まして、例えばなんですか、ゲートが二つある方のどっちか低いほうはつぶれたと、遠いほうから 回って時間が大丈夫かとか、そんなこともやっているし、だから平常時、なんといったらいいんで すかね…。 (香山委員) あらゆる悪い状態を想定した評価もしているということですね。 (原子力安全・保安院_石垣審査官) そういうことです。それから二点目の放射線管理のやつは、ちょっとこれは考えが浅いというご 指摘をいただくかも知れないんですけれども、今回のこの対策をすることによって放射線を出さな いということが前提で、そのためにやっている対策なんでですね、基本的に作業をするときに放射 - 44 - 線管理の資格なりが必要だということまでは、見ているときまでは考えてなかったと思いますね。 実際組んだ方はちょっと分かんないですけども。 (香山委員) それに関連してどのくらいの比率で、作業従事者等の資格は持っているのですか?今の例えば柏 崎の状況ということでいうと、当然資格を持つべき作業従事者はあたりまえとして、それ以外のそ ういう作業に従事するような資格を持っている人の比率、特に例えば管理職、管理職は関係ないか も知れないですが、少なくとも技術関連の人とかで、どのくらいの比率で持っておられるのか、も し可能ならお聞かせ願いたいと思います。 (鈴木座長) どうぞ。 (東京電力_横村発電所長) 今回の訓練はですね、人が集まらなかったとき、集まったとき、すべて想定してですね、集まら なかったときは1プラントずつシリーズにやったらどれくらいの時間がかかるかと、そういうよう なものをすべて含めて評価、訓練をした結果で評価をしております。そういったことで参集に対し ても現実的なものとしたということと、あと今ご指摘の従事者についてはですね、そういった結果 100 人もいればですね、7プラント相手に我々は津波のあと格闘できるという状況でございますが、 いま従事者としてはおよそ 600 人ほどおりますので、そういった意味ではとっかえひっかえという ことも可能と。それからいざこういうことになりましたら、電力間の応援というのもいただけると、 そういった協定になっておりますので、そういったところも使わせていただくことになると思いま す。 (鈴木座長) じゃあ。 (鈴木(元)委員) 簡単な質問ですが、東電の資料№2-1の最後の 37 ページの真ん中へんにですね、「引き続き、 緊急時の対応力向上のため、訓練や手順の改善を継続的に行って行く。」というふうにあります。 ここにはですね、シュミレータのモデル構築とそれによる運転員の訓練も含まれているというふう に理解してよろしいでしょうか。 (鈴木座長) はい、どうぞ。 (東京電力_玉井部長) ご指摘というか、ご意見ありがとうこざいます。ここで申し上げているのはいろんな訓練・手順 の改善、例えば、先ほど休憩の前にもご意見いただきましたように夜間の訓練ですとか、強風のと きどうなんだとかですね、あと道路が悪い場合にこれまで使ってきたルートと違うルートを通して みるとか、あと通信設備等ですね、使用困難な場合など、いろいろ組み合わせながらやっていって、 また手順を適宜見直してまいりたいと考えております。運転員のほうにつきましても、シュミレー - 45 - タで個別にはシビアな状態になって、個別の全交流電源喪失ですとか、ベントですとか個々にはや っておりますが、そういったプログラムをシュミレータに組み込んでいく等についてもこれから検 討してまいりたいと思っています。ありがとうございます。 (鈴木座長) 橋爪先生。 (橋爪委員) 二点お伺いしたいのですが、これ基本的に保安院さんへの質問です。全交流電源喪失事故対応マ ニュアルというのが、東電さんから出ていると書かれていますけれども、これは他の電力会社さん から出てきたものと見比べてここが抜けていますとか、お互いに良い内容を展開するとか、そうい うことをされるのかどうかということと、地震の後、調べてみたところ、すでに地震以前に全交流 電源喪失事故時のマニュアルを持っている電力さんもあるということが分かったのですが、そうい った事実を保安院さんは把握されているのでしょうか。例えばですね、地震以前にそういうことを 考えていたにも関わらず、実際に地震ではこういうことがあったから、すでにマニュアル等を持っ ている電力さんに対してはこのような点が抜けていましたよとか、そういう指導をされるのかとか ですね、あるいはそういうふうにして上がってきたマニュアルもの同士を比較して、この部分は良 いので他の電力のマニュアルを少し改善したらどうですかとか、そういうちょっと社内機密みたい なのが出ちゃうのかも知れないのですが、そういったものについて、よりよい対応をするというよ うなお考えをお持ちなのでしょうか、というのがまず一点です。 (原子力安全・保安院_石垣審査官) 今のことお答えをすると、見比べて横展開をするかということについて、こういうお答えの仕方 がいいのかあれですけれど、今回の緊急安全対策のその各社の内容審査・確認をするというやつは、 なんと言うか、私どもにとっても初めて、従来とはちょっと違うことをやってきたわけですから、 なんと言うんでしょう、こう最初からきちんと物差しがきっちりあってずっとそれで走ってきたか というと、そんなことはなくて、いくつかの会社の人の審査のなかで、おおこれはいいことがある な、気がつかなかったなということがあれば、すぐ横に拡げながらですね、全部まとめてこうやっ てた。あるいは一つのとこで気がついたものは同じ修正を他の会社にもお願いをするとかですね、 そういう意味ではあんまり社外秘みたいなところは気にせずやってきました。我々自体初めてだっ たので、結構横には情報を流しながらやってきました。それが実態だと思います。 (橋爪委員) ありがとうございました。あともう一点ですけど、今回、福島では従来の予測値と比べて 9.5m の差があったということで、柏崎刈羽の津波の高さはその分を上乗せした部分で評価しているとい うように資料には書かれていますが、保安院さんの資料2-2の7ページの資料ですが、これはす べての他の原子力発電所に対してもこのように対応されるのでしょうか。この柏崎刈羽に対して 9.5mを足したという根拠といいますが、どういう考え方でこのようにされたのかを教えていただ きたいと思います。 (原子力安全・保安院_小林室長) これもまた笑われてしまうかもしれませんけれど、今分かっている知見が福島で 15 メートルの - 46 - ものがあったと。福島はもともと予想が 5.5mだったと、ですから 9.5mの予想より上回ったとい うことだけで判断しております。これは今の分かっていることはそれしかないものですから。もち ろん次のステップとして津波の評価については、今後のこの福島の知見を踏まえて、これは改めて また各サイト毎に検証していかなければいけないと思います。それに基づいて柏崎とかそういうと ころも改めて検証することになるんじゃないかと思います。とりあえず今分かっているのはこれし かないものですから。 (橋爪委員) ということは全ての原子力発電所、他も同様にするということですか。基本的には想定した津波 に対して 9.5 ぐらい足して大丈夫かどうかを判断基準にまずされると、それでクリヤできそうであ れば安全であると評価されるということですか。 (原子力安全・保安院_小林室長) 9.5mの津波が来ても、ここにありますような機器の健全性こういったものが保たれるというの を確認するということでございます。 (香山委員) 今のは、本当にむしろ足し算でいいんですかという声もありますよね。理屈からいったら違うじ ゃないですか。 (原子力安全・保安院_小林室長) ここはいろんな議論があると思いますけれど、繰り返しになりますけれど、この次のステップで キチンと検証していかなければいけないと思っています。 (鈴木座長) 時間もそろそろおしていますので、とりあえずあと2件くらいお願いします。小山先生。 (小山委員) ちょっと抽象的な質問で申し訳ないのですけれども、今回の緊急時対策というのが国際的にみて どのぐらいのものになっているかという評価をされているのでしょうか。今回の福島の事象をみて もフランスとかアメリカからいろいろ言われたりしています。彼らの方が進んでいるかどうかとい うところもあるのですけれども、少なくとも津波に対しては日本の方が今回の経験を踏めば進むの だろうと感覚はするのですけれども、それ以外のものに対して海外のアクシデントマネージメン ト、特にシビアアクシデント対策というのは海外でもかなりやっているとも思いますので、そうい うところも参考にすると、こういう対策というものがある程度国内の対策に対してのレビューって いうのですか、評価をするうえで参考になるのではないかと思うのですが、その点どのように考え ておられるかをお伺いしたいと思います。 (鈴木(元)委員) 小山委員と全く同じ発想なんですが、スウェーデンのフォルスマルクで数年前にステーションブ ラックアウト起こりましたね。ああいう経験をしているとヨーロッパではIAEAもそうなんです けれど、おそらくこういうマニュアル、こういう時にどう対応したらいいかという研究は、要する - 47 - にステーションブラックアウトに対してどういう対応をしたらいいかという研究なり対応策なり は進んでいるんじゃないかと思います、津波以外は。だからぜひそういうのもキチンと取り入れて いただきたいなと思います。 (鈴木座長) はい保安院。 (原子力安全・保安院_石垣審査官) はい、今お二方の先生のポイントに対して、私個人的に今ヨーロッパがどうか、あるいはそれと 比較してどうかというのを、残念ながら答えを今現在持ち合わせていないんですけれど、持ってい るのは6月に国際会議でIAEAで日本が発表しますという約束をさせていただいていて、それを 材料にしていろんな議論をしていきましょうということになっています。したがいまして、そこで シビアアクシデントへの対応、多分津波はきっと日本の知見は貴重な材料になると思うんですけれ どそれ以外のシビアアクシデントの対応とかいろんな議論がやられる中でバランス論みたいのも 出てくるんじゃないかなと思います。すいません今これぐらいのものしか言えなくて。 (鈴木座長) 時間となりましたので、まだ議論は尽きないと思いますが、とりあえず今日のところは、東京電 力及び保安院の報告を受けて緊急対策を含めて審議していただきました。東京電力及び保安院につ いては答え切れない部分については後日回答をお願いしたいと思っております。委員の皆様にも本 日の説明の議論を踏まえて改めて質問、ご意見等あれば事務局宛に忌憚ない意見を出していただけ れば結構かと思います。とりあえず今日のところはここで終了したいと思います。どうもありがと うございました。 (事務局_伊藤副参事) それでは次回の技術委員会につきましては改めて調整させていただきますので、委員の方々、よ ろしくお願い致します。それでは最後に飯沼防災局長のほうから挨拶申し上げます。 <開会挨拶> (飯沼防災局長) 長時間にわたり大変ありがとうございました。今ほど座長の纏めにもありましたように引き続き 議論いただくことになりましたし、また今日の範囲でご疑問の点などあれば、事務局にぜひお寄せ 下さるようお願いしたいと思います。今後ともよろしくお願い申し上げます。ありがとうございま した。 (事務局_伊藤副参事) それでは本日の技術委員会はこれにて閉会させていただきます。本日はスムーズな議事進行にご 協力いただきましてありがとうございました。この場にいらした皆様にお礼を申し上げます。それ ではどうもありがとうございました。 以上 - 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