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本日の発表のアウトライン 1. 研究の背景 2. 研究の目的 3. 修士論文の
世界100都市の交通システムの環境効率評価 EcoEco-efficiency Evaluation of Transportation systems in 100 cities around the world 広島大学大学院国際協力研究科 開発科学専攻 交通工学研究室 吉野 大介 藤原 章正 張 峻屹 本日の発表のアウトライン Outline of this study 1. 研究の背景 2. 研究の目的 3. 修士論文の紹介 z 環境効率の再定義 z 改善案計算手法の提案 4. 今後の方向性 2 / 30 第42回COE研究会(2007.12.4) 研究の背景 Backgrounds of this study 交通エネルギー消費 z z モビリティ・利便性 増加傾向にある交通部門のエネ ルギー消費量 先進国・途上国問わず削減の必 要性 z z 交通需要への対応 都市交通水準の維持 ジレンマ 交通エネルギー消費の最小化 z z モビリティの確保・都市退行の防止 都市の多様性(都市のインフラ整備,土地利用,交通財政 etc.) 交通機関の多様性(車両特性,メジャーモード,技術レベル) 多様性 z ジレンマと多様性を考慮しつつ,環境負荷の小さい都市を目指す 3 / 30 第42回COE研究会(2007.12.4) 研究の背景 交通エネルギー消費 Backgrounds of this study モビリティ・利便性 z 増加傾向にある交通部門のエネ z 交通需要への対応 150 ルギー消費量 z 先進国・途上国問わず削減の必 z 都市交通水準の維持 140 要性 130 ジレンマ 産業 120 運輸 モビリティの確保・都市退行の防止 110 交通エネルギー消費の最小化 民生 100 z 都市の多様性(都市のインフラ整備,土地利用,交通財政 etc.) 90 z 交通機関の多様性(車両特性,メジャーモード,技術レベル) 多様性 80 1971 1973 1980 1985 1990 1995 1998 1999 2000 (注)下記の出典の数値をもとに作成した.1971年度の値を100として指数評価した. z ジレンマと多様性を考慮しつつ,環境負荷の小さい都市を目指す [出典](財)日本エネルギー経済研究所計量分析部(編):EDMC/エネルギー・経済統計要覧2003年版 (財)省エネルギーセンター(2003年2月5日)p210-214 4 / 30 第42回COE研究会(2007.12.4) 環境効率 Eco-Efficiency z WBCSD (World Business Council for Sustainable Development)が概念を提示(1992) – より少ない環境への影響でより多くの価値を創造すること z 環境効率の算出 (産出) (投入) 環境効率 = 商品・サービスの価値 / 環境負荷 商品・サービスの 1. 数量 2. 売上高 3. 付加価値 事業活動 1. に必要な資源消費量 2. からの環境負荷発生量 z 交通部門への適用 – 環境負荷と 環境負荷 利便性のジレンマの解消 利便性 5 / 30 第42回COE研究会(2007.12.4) 環境効率の交通部門への適用 Application to transportation sector of Eco-efficiency z 国土交通省:運輸部門のCO2排出に関わる環境効率改善指標の算出法,2007. z 自身の卒業論文 環境効率 = 輸送指数 / 環境指数 輸送指数 = u1 x1 + u2 x2 +・・・ + um xm 輸送に伴う価値 輸送活動からの環境負荷発生量 環境指数 = v1 y1 + v2 y2 + ・・・ + vs ys 問題点 z 都市・交通多様性の表現の難しさ – 個々の都市の特色を無視した一律ウェイトによる評価 一律ウェイト – 全都市に共通な先見的な加重システムの仮定 Æ 都市・交通の多様性が考慮されない z 指標の単純性 – 単純明快な算出法で概念が分かりやすい – 原単位比較とほぼ同義 Æ 都市の詳細なエネルギー排出構造の評価にはオーバースペック6 / 30 第42回COE研究会(2007.12.4) 研究の目的 Objectives of this study 環境効率の再定義 z 利便性と環境負荷を考慮した多面的な交通システムの評価 – 利便性と環境負荷のジレンマの解決 – 都市・交通機関の多様性 改善案計算手法の提案 z 各都市への環境負荷を最小化する交通活動の目標設定 z 目標に向けての効果的な施策の提案 7 / 30 第42回COE研究会(2007.12.4) 環境効率の再定義 Redefinition of EcoEco-Efficiency 環境効率の再定義へのアプローチ Approach to redefinition of Eco-Efficiency z 構成要素 – 環境効率算出に使用する変数の決定 • 利便性と環境負荷の関係を把握 z 使用モデル – 環境効率算出に使用するモデルの決定 • 先見的な加重ウェイトの仮定が不必要 • 多義的な評価が可能 z 定式化 – 環境効率算出におけるモデル形態の決定 • 環境負荷の発生原理を再現 • 入出力比での算出の限界 9 / 30 第42回COE研究会(2007.12.4) 環境効率の再定義へのアプローチ Approach to redefinition of Eco-Efficiency z 構成要素 – 環境効率算出に使用する変数の決定 • 利便性と環境負荷の関係を把握 z 使用モデル z– 環境効率算出に使用するモデルの決定 利便性 – •移動のしやすさ(モビリティの高さ)によって表現 先見的な加重ウェイトの仮定が不必要 多義的な評価が可能 – •トリップ平均速度 z 定式化 z– 環境効率算出におけるモデル形態の決定 輸送活動に伴う環境負荷 環境負荷の発生原理を再現 – •エネルギー消費量 • 入出力比での算出の限界 10 / 30 第42回COE研究会(2007.12.4) 環境効率の再定義へのアプローチ Approach to redefinition of Eco-Efficiency z 構成要素 – 環境効率算出に使用する変数の決定 • 利便性と環境負荷の関係を把握 z 使用モデル – 環境効率算出に使用するモデルの決定 • 先見的な加重ウェイトの仮定が不必要 • 多義的な評価が可能 (データ包絡分析法)を使用する. zDEA 定式化 (データ包絡分析法) z DEAとは – 環境効率算出におけるモデル形態の決定 • 環境負荷の発生原理を再現 – 入力→出力の変換効率 • 入出力比での算出の限界 – 自都市とフロンティア都市(理想都市)の相対比較に基づいた効率性 z 本研究で用いる理由 – 可変ウェイト・相対比較 • 一義的な評価でなく,各都市の「強み」を評価(多様性への対応) • 改善案のイメージが分かりやすい 11 / 30 第42回COE研究会(2007.12.4) 環境効率の再定義へのアプローチ Approach to redefinition of Eco-Efficiency z 構成要素 公共交通 エネルギー消費 環境効率算出に使用する変数の決定 私的交通 エネルギー消費 エネルギー • 利便性と環境負荷の関係を把握 原単位 エネルギー消費 エネルギー 原単位 – モビリティ z 使用モデル + × × 輸送規模 輸送規模 – 環境効率算出に使用するモデルの決定 • 先見的な加重ウェイトの仮定が不必要 都市によってエネルギー消費の構成要因は異なる • 多義的な評価が可能 Æ 評価・対応策も異なるべきだが,従来の環境効率ではカバーできない z 定式化 – 環境効率算出におけるモデル形態の決定 • 環境負荷の発生原理を再現 • 入出力比での算出の限界 12 / 30 第42回COE研究会(2007.12.4) 環境効率モデルの構築-環境効率の再定義 Construction of Eco-Efficiency Model 環境効率の再定義のため,以下のDEA各種モデルを 統合して,環境効率モデルを構築する. 環境効率モデル z コスト効率モデル – 入出力比に基づく効率性算出からの脱却 – モビリティと環境負荷の両立を果たす輸送規模の決定 z 環境条件を考慮したDEA – 現実性の表現 13 / 30 第42回COE研究会(2007.12.4) コスト効率モデル Cost efficiency model z 標準のDEA(技術効率モデル) – より少ない投入でより多い産出を目指す z コスト効率モデル – 現状の産出量を維持しつつ,総入力コストを最小化する 総入力コスト 入力データ1 コストデータ1 エネルギー 原単位 (公共) × <入力変数の削減> <入力変数間のシフト> 入力データ2 輸送人キロ (公共) 輸送人キロ + (私的) コストデータ2 × エネルギー 原単位 (私的) = 最小化されたエネルギー消費量 = エネルギー消費量 出力データ 維持 トリップ 平均速度 2入力1出力型コスト効率モデル 14 / 30 第42回COE研究会(2007.12.4) コスト効率モデル Cost efficiency model 公共輸送人キロ 平均速度 生産可能領域 エネルギー等高線 生産フロンティア コスト効率モデル エネルギー最小化によって到達 A C フロンティア上の都市 =参照都市 (A都市が目指す都市) 通常のDEA(技術効率モデル) 入力を一様に縮小することで到達 D E B より小さいエネルギー消費 最小化されたエネルギー消費 小さい入力で大きな出力を実現 効率性= OE 私的輸送人キロ = 実際のエネルギー消費 OA 平均速度 15 / 30 O 第42回COE研究会(2007.12.4) 環境条件を考慮したDEA DEA considering environment condition z 変数の制御 – 私的交通:エネルギー最小化のため削減(現状以下) – 公共交通:削減対象でないことが一般的(現状以上) z 交通システムの異質性の表現 – 現実的かつ特徴を把握しやすい評価 – 参照都市のペアの決め方は性格が似た都市同士で (例)Hiroshimaが目指す都市(参照都市) – San Francisco(自動車) – Los Angles(自動車) ○ – Hong Kong (公共交通)– Tokyo(公共交通) ○ – San Francisco(自動車) – Tokyo(公共交通) × z フロンティア形成不能都市 – 都市の退行は非現実的 – 途上国は参照都市にならない 16 / 30 第42回COE研究会(2007.12.4) 環境効率モデル Eco-Efficiency model 公共輸送人キロ 平均速度 両型を統合した フロンティア 公共交通型先進国都市 私的交通型先進国都市 途上国都市 生産可能領域 交通システムの異質性 フロンティア形成不能都市 変数の制御 9 9 9 A 公共交通型都市の エネルギー等高線 フロンティア 生産フロンティア 私的交通型都市の フロンティア 直接結ばないことで 公共-私的の折衷を回避 O 私的輸送人キロ 平均速度 17 / 30 第42回COE研究会(2007.12.4) 環境効率モデル Eco-Efficiency model m min ck = ∑ pik xi コスト最小化 i =1 記号の説明 s.t. n' n" j =1 j = n ' +1 ∑ xij λ1 j + ∑ xij λ2 j ≤ xi xik ≤ xi (i = 1,2,L, m'), (i = m'+1, m'+2,L, m ), n' n" j =1 j = n ' +1 n' n" j =1 j = n ' +1 ≤ yrk (r = 1,2,L, s ), ∑ yrj λ1 j + ∑ xrj λ2 j公共交通を現状以上に ∑ λ1 j = z1, ∑ λ2 j = z2 , z1 + z2 = 1, λ1 j ≥ 1, λ2 j ≥ 1, z1 , z2 = 0 or 1, xi ≥ 1 交通システムの異質性 (i = 1,2,L, m ). z xij,yrj: 入出力データ z i:入力変数の種類 1~m’:制約なし変数 アプリオリに与える m’+1~m:制約あり変数 z r:出力変数の種類 z j:都市 1~n’:公共交通型都市 n’+1~n”:私的交通型都市 n”+1~n:途上国都市 z pij:単位入力あたりのコスト フロンティア z xi:変数としての入力 形成不能都市 z λ1j,λ2j:ウェイト z z1,z2:バイナリ変数 18 / 30 第42回COE研究会(2007.12.4) 使用データ Data Millennium Cities Database z z z z 国際公共交通連合,Kenworthy,J., Laube,F. 100都市収録(1995年) 先進国・途上国を含む世界各地域の都市を対象 収録項目 – – – – – 都市地域特性指標 交通需給指標 モビリティ指標 交通財政指標 環境負荷指標 19 / 30 第42回COE研究会(2007.12.4) 環境効率指標の推定結果 Estimation results of Eco-Efficiency Index 入力システムの異質性の表現 z 入力のシステムの異質性はアプリオリに与える z クラスター分析を使用 z 分類に使用した変数 – 1000人あたりの道路延長[m/1000人] – 1000人あたりの公共交通専用路線延長[m/1000人] Æ インフラ整備水準によって分類 分類結果 z クラスター1: 公共交通発展型 公共交通依存度高い London, Hong Kong, Paris etc. z クラスター2: 道路・公共交通両方発展型 N.Y., Osaka, Toronto etc. z クラスター3: 道路発展型 Houston, Sydney, Ottawa etc. 自動車依存度高い 20 / 30 第42回COE研究会(2007.12.4) 環境効率指標の推定結果 Estimation results of Eco-Efficiency Index 大 1.000 クラスター1所属都市 (公共発展型都市)が 参照都市になる場合 H ong K ong 0.900 Hong Kong Fukuoka 0.800 H ong K ong Hong Kongを参照 0.700 0.600 が 0.500 多く, 0.400 0.300 0.200 0.100 小 効率性=1のライン (参照都市群) Lisbon S evilla 道路インフラが発展しているが,公共交通の利用が を目指すÆ V ienna の参照都市を目指すことが可能である. Turi n V alencia B erlin 効率性高 Lyon Lille A thens S ingapore London P aris B ologna B arcelonaA m sterdam R om e H am burg S tockholm G eneva G raz N agoya H elsinki B russels M ilan H i roshi ma M unich G lasgow C hicago Frankfurt 0.000 0.000 0.200 小 0.400 0.600 クラスタ1所属都市 S endai Fukuoka 0.800 クラスタ2所属都市 1.000 大 Fukuoka Fukuokaを参照 O saka 21 / 30 第42回COE研究会(2007.12.4) 効率性=1のライン (参照都市群) Osaka が を目指すÆ 私的交通型都市だが,公共交通利用がある程度盛んで あるため, の参照都市を目指すことが可能である. Osaka Toronto高 M ontreal C openhagen N ew Y ork W ellington 効 V ancouver S率 ydney 性 性 W ashington O ttaw a 率 効 D enver Toronto 1.0 低 低 C algary San Francisco Perth Los A ngeles Toronto Phoenix 低 効 率 性 B risbane Bilbao Osaka 高 高 A tlanta Toronto San Diego M elbourne O slo N ew C astle T elA viv D ublin S apporo S tuttgart M anchester 0 R uhr Fukuoka G ent Zurich T okyo D usseldorf K itakyushu B ilbao Bilbao クラスター2所属都市 (両方発展型都市)が 参照都市になる場合 が を目指すÆ 公共交通インフラは発達しているものの,私的交通の利用 クラスタ1所属都市 が多く, の参照都市を目指すことができない. H ouston クラスタ2所属都市 クラスタ3所属都市 San D iego San Diego 22 / 30 第42回COE研究会(2007.12.4) 効率性改善手法の提案 Suggestion of calculation methodology of efficiency improvement 効率性改善計算手法の提案 Suggestion of calculation methodology of efficiency improvement エネルギー どのくらいの 輸送人キロエネルギー 輸送人キロ 原単位 原単位 (公共) モーダルシフトが可能? (私的) (私的) (公共) z 改善案パターン – 入力(輸送規模)を変化 – 入力単価(原単位)を変化 z 入力変数を減らさず変数間でシフトさせる – 従来のコスト効率モデルでは,改善にあたり,入力変数の削減また は入力変数間のシフトによって改善 – 入力変数の削減は都市の輸送規模の縮小を意味(都市の退行) – 都市全体の輸送規模は維持し,入力変数間のシフトのみで改善 (モーダルシフトを行う) 24 / 30 第42回COE研究会(2007.12.4) Network DEA Network DEA インフラ 整備 公共交通輸送人 キロの最大増加 可能量を算出 利用効率 土地利用 投資 交通コスト 利用効率モデル 私的交通輸送人 キロの最大削減 可能量を算出 利用効率 モーダルシフト エネルギー 原単位 (公共) 輸送人キロ (公共) 輸送人キロ (私的) エネルギー 原単位 (私的) 利用効率モデル:DEAによって利用効率 [0,1]を算出 環境効率モデル トリップ =1) 私的交通モデル: 飽和状態(Eff 平均速度 公共交通モデル: 飽和状態(Eff =1) >>>> 余剰大(1以下) >>>> 余裕大(1以下) 25 / 30 第42回COE研究会(2007.12.4) Malmquistアプローチ Introduction of Malmquist approach エネルギー 原単位 (公共) 輸送人キロ (公共) 輸送人キロ (私的) エネルギー 原単位 (私的) 政策施行後モデル 政策の効果を Malmquist指数によっ 指数 て指標化する Malmquist指数(施行前→施行後) トリップ 1以下 平均速度 悪化 1 変化なし 1以上 改善 政策施行前モデル エネルギー 輸送人キロ 原単位 (公共) (公共) エネルギー 輸送人キロ 原単位 (私的) (私的) 26 / 30 第42回COE研究会(2007.12.4) シミュレーション結果 Simulation outcome マルムキスト指数 2.5 Malmquist指数=1(効果なし) Malmquist指数>1(効果あり) 2.0 • 自動車交通に余剰あり • 公共交通に余裕なし • 自動車交通に余剰なし • 公共交通に余裕あり 既存の都市特性のもとでは今 以上のシフトが不可能 自動車交通に余剰量がなく, 1.5 シフトが必要ない 1.0 1.0 .8 .8 .6 利用効 .6 ) .4 .4 交通 率 公共交通が 共 モーダルシフトが不可能であるため,特別な対処が必要 (私 的 .2 .2 公 率( 交通) 効 飽和状態 ・ 原単位の改善(政策の変更)利用 私的交通が 飽和状態 ・ 新規公共交通インフラ整備(モーダルシフトの環境整備) 私的交通に 公共交通に 余剰が多い 余裕が多い 27 / 30 第42回COE研究会(2007.12.4) まとめ Conclusion z 環境効率モデルの構築 – DEAコスト効率モデルによる環境効率の再定義 • 詳細なエネルギー排出機構の評価 – 環境条件を考慮したDEA • 現実性の表現 z 改善案計算法の構築 – Network DEAの導入 • 実行可能なモーダルシフトの決定 – 現実性・実効性を考慮 28 / 30 第42回COE研究会(2007.12.4) 今後の課題 Future study z シミュレーションのシナリオ設定 – 政策に変化をつけ,施策の感度計測 • モーダルシフト(入力値の変化) • 原単位改善(入力単価の変化) z 都市の分類 – 入力システムの異質性 • クラスターのパターン – フロンティア形成不能都市 • 経済先進都市と交通先進都市の違い 29 / 30 第42回COE研究会(2007.12.4) Thank you for your kind attention!!