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平成 22 年度 新清掃工場整備特別委員会行政視察報告書
平成 22 年度 新清掃工場整備特別委員会行政視察報告書 1.視察日程 平成22年10月19日(火)~21日(木) 2.視察先及び視察内容 (1)沖縄県島尻郡 南風原町 ・那覇市・南風原町環境施設組合: 環境の杜ふれあい 余熱利用付帯施設の管理運営状況について (2)沖縄県うるま市 ・中部北環境施設組合: 美島環境クリ-ンセンタ- 清掃工場運営開始後の諸問題について ・うるま市: 野鳥の森自然公園について 自然を活かした公園整備と運営について 3. 参加者 副委員長 神 﨑 利 一 委 員 大 越 弘 一 委 員 海 保 茂 喜 委 員 鵜 澤 治 委 員 足立 満智子 委 員 内 山 健 4. 視察内容 (1)沖縄県島尻郡南風原町( 10 月 19 日(火) ) ・那覇市・南風原町環境施設組合: 環境の杜ふれあい余熱利用付帯施設の管理運営状況に ついて ① 那覇市・南風原町環境施設組合の概要 那覇市・南風原町環境施設組合は、那覇市及び南風原町から出るごみを処理するための施設 建設を目的に設立された一部事務組合で、平成 11 年 11 月 22 日に、那覇市、南風原町を構成 団体として設立されました。 その後、還元施設「環境の杜ふれあい」と最終処分場の「那覇エコアイランド」 建設並びに管理運営計画の業務が加わり ました。 共同処理する業務としては、 ・ごみ処理施設「那覇・南風原クリ-ンセンタ-」の設置及び管理運営 ・還元施設「環境の杜 ふれあい」の設置及び管理運営 ・最終処分場「那覇エコアイランド」の設置及び管理運営があります。 ② 那覇・南風原クリ-ンセンタ-の概要 H18.4.1 供用開始 処理方式 全連続燃焼式スト-カ-炉(廃熱ボイラ-付)+電気式灰溶融炉 破砕選別設備(不燃ごみ、粗大ごみ) 処理能力 焼却炉 450t/日 (150t×3 炉) 、 灰溶融炉 52t/日 (26t×2 炉) 、 破砕選別設備 39t/5h (不燃ごみ 33t/5h、粗大ごみ 6t/5h) 、 発電容量 8,000kw H21年度実績 ごみ処理量 総搬入量 95,306t(261t/日) 受送電量 発電量 41,244,190kwh、 受電(買電)量 1,205,230kwh 使用量 25,049,520kwh 逆送(売電)量 17,399,880kwh 有価物売払量 鉄類 769.6t アルミ 23.3t スラグ 6,168t 3 メタル 485t 最終処分量 3,954.61t(3,557.31m) 処理飛灰 3,775.69t 溶融不適物 124.30t 溶融処理物 54.62t ③ 環境の杜ふれあいの概要 H19.7.1 供用開始 建設経緯について 那覇・南風原クリ-ンセンタ-の設置にかかる地域還元施設として、スポ -ツ、レクリエ-ション活動等の普及、振興を図り、並びに地域コミュニ ケ-ション及び環境学習等の発信拠点とすることを目的に建設。 施設概要 敷地面積 19,834 ㎡、 建築面積 3,027 ㎡、 階数 2階 延べ床面積 3,026 ㎡、 鉄筋コンクリ-ト造 一部鉄骨造 建設費 約 12 億1千万円(1億 1,500 万円は文部科学省 社会体育施設備費 補助、1,400 万円は財団法人 新エネルギ-財団共同研究事業負担金) 施設内容について 岩盤浴、温浴室、サウナ、体育室、トレ-ニング室、研修室、会議室、 談話室、学習室、展示コ-ナ-、等を備えた多機能複合施設。 前面に多目的広場、緑の森がある。 駐車場 122 台収容可能。 管理運営方法について ・公募により指定管理者を選定している。 ・環境の杜ふれあい指定管理者共同企業体 ・構成団体 株式会社 沖縄ダイケン 1 株式会社 オーシャン・ヘルス・コーポ レーション 株式会社 琉球ウェルファス H21年度利用者実績 全利用者数 194,217 人(16,185 人/月・629 人/日) 個人利用者 153,244 人(12,770 人/月・496 人/日) 団体利用者 40,973 人(3,414 人/月・133 人/日) ④ 那覇エコアイランドの概要 H19.4.1 供用開始 一般廃棄物海面最終処分場として設置 事業費 余水処理施設 約7億 4,300 万円(環境省 交付金 2 億 1,580 万円) 廃棄物埋立護岸施設 約 36 億 1,600 万円(国交賞 補助金 10 億 8 千万円) 3 3 3 施設概要 埋立容量 約 107,000m(廃棄物 94,000m、覆度 13,000m) 埋立期間 H19~H28 年度 (10 年間) 3 余水処理能力 90m/日 3 最終処分量(H22 年 3 月 31 日現在) 累積埋立量 11,459m(約 12.2%) (20 年間埋立可能量であるが、計画が 10 年のため) 《質疑》 問: 環境の杜ふれあいは地域還元施設とのことだが、地元との調整はどのようにしたのか。 答: 那覇市のごみを南風原町にて処理して いたため地域に迷惑をかけていた。 以前よりトラブル等もあったことから 余熱を利用し、送電することによる 余熱利用施設を建設することとした。 建設に先立ち、施設内容について関係地域 7 自治会にアンケ-ト調査を実施したところ、 温浴施設、プール、体育館等の要望があった。 問: 要望にあったプールは建設して無いが、理由は。 答: 敷地、事業費等の問題で建設はしていない。沖縄は、周りを海に取り囲まれており、温 暖な気候でもあることからか、特にプールに固執はしていなかった。温浴施設には岩盤 2 浴の施設も作られており、個人利用で 1 番人気のある施設である。 問: 特に需要が多いのはどの施設か。 答: 団体よりも個人利用が大半をしめており、その中でも温浴施設と岩盤浴の人気が高い。 トレーニング機器も人気が高く、当初設置したものでは需要に応えきれず、ロビ-のス ペ-スを使い増設して対応した。 機器の操作には、専門のトレ-ナ-が指導にあたり、指定管理者の自主事業等も活発に 実施されている。 問: 指定管理者の選定はどうしているのか。 地元自治体に依頼しているのか。 答: 公募により指定管理者を募集した。 体育施設や浴場等の管理能力を持つ企業 3 社が共 同体を組み、そのような共同体が 3 組と地元 5 自治体が組んだ共同体の 4 共同体の競争 となったが、地元 5 自治体の共同体は専門的な管理能力がないために指定管理者には選 ばれなかった。 問: 地元自治体から不満はでなかったのか。 答: 7 つ有る自治体の内 2 自治体は当初より共同体には参加せず、他の自治体も管理運営に は専門知識が必要なことを理解して納得してもらっている。しかし、指定管理者となっ た 共同体には積極的に地元雇用するように 仕様書等により依頼している。 問: 有価物の売却益で多いものは。 答: メタル 7,342 万円、スラグ 65 万円、 また、電力を売電して 1 億 5,054 万円 の収益を上げている。 問: 各施設の運営について、那覇市・南風原町よりの委託料はいくらか。 答: 委託料として 8 億 6,000 万円、手数料収入が 3 億 3,800 万円、合計 約 12 億円で施設運営をしている。また、売電等による収入 2 億 2,000 万円は将来の施設 整備の基金として積み立てている。 《委員所感》 (委員) 環境の杜ふれあいへの新清掃工場整備特別委員会の視察目的は、新清掃工場の付帯施設につい て参考にするための視察である。 3 成田市における新清掃工場付帯施設の整備については、清掃工場のいわゆる迷惑施設に対する おまけ施設といった考え方ではなく、施設そのものを成田空港騒音地域における地域振興の核と して位置づけ、近隣市町村からも集客できるような「にぎわいのある施設」や、 「幼児からお年寄 りまで各世代の健康増進に寄与するような施設」等多角的に、多方面にわたる検討が必要であり ます。 今回の視察を終えて成田市を見ますと、いくつかの課題が考えられます。 次にその主な点について報告します。 ①市民意識調査・パブリックコメント等が詳細に分析され、それに基づく 施設計画が検討されているか ②施設整備の考え方として、目的に沿った施設の構成・土地利用・ロケーシ ョン等となっているか ③幼児からお年寄りまでが使用することに考慮した、機能別にみたプールや 温泉等の施設整備計画であるか ④尐子高齢化社会等に対応する、健康増進機能を重視した施設整備計画で あるか ⑤障がいを持つ方々の意見の反映と対応がなされているか ⑥病院や学校などとの連携はどうするのか 以上のような課題を検討し、さらに詳細な研究が必要であり、新清掃工場の付帯施設を市民の 立場で考え、市民の視点でとらえて検討することは重要なことであり、そのためには、委員も 研鑚を重ね、持っている経験と知識を活かすことがますます必要になります。 今後は、透明性・計画性をもった予算執行が行われるよう、更なる議論を重ねていくことが 重要になると考えますし、それらを十分認識しながら、市民の代表者としての判断が求められる 時期にさしかかっていると思います。 (2)沖縄県うるま市 ( 10 月 20 日(水) ) ・中部北環境施設組合: 美島環境クリ-ンセンタ-清掃工場運営開始後の諸問題について 中部北環境施設組合: 美島環境クリ-ンセンタ-の概要 ・敷地面積 36,260 ㎡ ・処理能力 166t/日 ・ごみ溶融施設面積 5,075 ㎡ ・処理方式 酸素式熱分解長句節溶融方式 ・発電能力 2,300KW(場内利用) ・年間処理量 33,000t ・資源化量 2,253t ・炉数 2 ・着工 平成 14 年 2 月 ・竣工 平成 16 年 9 月 ・事業主体 中部北環境施設組合 ・設計・施行 株式会社 川崎技研 ・監理 日本技術開発株式会社(九州支社) 4 中部北環境施設組合は、平成 9 年 4 月1日に、具志川市、石川市、勝連町、与那城町、恩納村 の2市2町1村で設立され、ごみ処理施設建設に向けて協議を開始した。 平成 11 年 5 月には建設用地を決定し、 翌年 5 月にはごみ処理方式にガス化溶融炉方式を選定す る。 平成 13 年からは、各メーカーのヒヤリング(焼却施設は 11 社、リサイクル施設は 13 社) を実施し、契約会社を決定している。 平成 14 年 2 月 26 日にごみ焼却施設造成工事がスタートし、平成 14 年 11 月 29 日に終了。平成 16 年 3 月 19 日にリサクルプラザ建設工事が竣工、平成 16 年 9 月 30 日には焼却施設建設工事が 竣工、平成 16 年 10 月に本格稼働を開始した。 総事業費は 104 億 122 万円、内訳は焼却施設建設工事が 54 億 750 万円、リサクルプラザ建設工 事が 27 億 8,250 万円、造成工事で 8 億 5,081 万円、仮設事務所建設工事等が 1,995 万円、用地購 入費が 8 億 1,916 万円、保証費が 587 万円、施工監理及び環境調査費等が4億 6,260 万円、焼却施設については、株式会社川崎技研が受注している。リサイクルプラザに関し ては、株式会社クボタ九州支社である。 ガス化溶融炉の特徴について ごみを燃やして灰を出し、その灰を溶かすとなると、そのためのエネルギーが必要になるが、 ガス化溶融炉は、ごみの燃焼から溶融まで一体型のため、施設をコンパクトに作ることができ、 ごみ本来のエネルギーで溶かすことができるので助燃材が尐なくて済み、経費を削減できる。 同じ一体型の中でも、コークス等を使用するものは、多くの助燃材が必要になり、価格の変動 に非常に左右されやすいが、川崎技研の場合はLPGなので使用量は尐なく、使用頻度の高い電 気についても値段の変動は尐ないためコスト的には平準化している。 しかし、運転技術の習得が非常に難しいという事実もある。 ガス化という技術・理論が、釜の中で最低限の酸素を供給 して最低限の熱を発生させてガスを作るという難しい理屈の 部分があり、本来我々が焚き火をするようなイメージのごみ 焼却とは違い、従業員がなかなかその理論を理解しがたい。 また、密閉型の炉の中ではガスの発生により圧力が大気より 高くなり、中の燃焼を確認できるような点検口を作ることができない。 溶融炉の中で発生している現象を目視できないために、数値による判断となり、炉の状況によ り適切に対応することが難しい。 旧来のごみ処理施設は釜の中にごみを入れて、ごみの量と空気の量を調節すれば、安定的にご みを燃やすことができたが、溶融炉は、中が見えないうえに構造が異なる為、適切な調節が難し く、燃焼が不安定となり、その不安定さがその後の処理全てに影響を与えることになる。 本施設も、つい最近安定してきたところであるが、平成 19 年までは助燃材としてのLPGの使 用量が今から考えると大変多かった。 5 溶融炉内に起こる現象を理解しきれていなかった為に、不調の原因を助燃材のLPGの量を 減らす必要があったにもかかわらず、反対に増量して解消しようとしていたためである。 本施設の職員が、原理を認識し、現象を分析することによりそれに気付き、川崎技研に問い合 わせ、操業マニュアル等を新たに発行してもらう事によって安定するようになり、20 年ごろから はLPGの使用量も減尐してきている。 このような経過を踏まえて、運転する職員たちが安易に自分たちの理屈で対応することも無く なり、現在は、メーカ-の運転指導員も時々派遣してもらい、安定運転に努めており、全体の トラブルを減尐させていった。 また、修理については、焼却炉自体は単純にできているとのことだが、不調原因の特定ができ ないので、どうしてもメーカーにたよることになる。 (特に川崎技研がここの施設を作る時に、中 の構造を教えたくないと、正式な寸法や材質が入った図面が支給されていない為、なおさら対策 がとれない。しかし、施設建設から7年目に図面等を納品する契約を交わしているのでその後は 対応できるものと思われる。 ) 成田市も操業後、安定するまでには時間を要すると思うが、是非、運転関係者は、安定運転が できるようにメ-カ-から指導を受け、コスト削減につながる専門的な技術を早く習得すること が必要です。 《質疑》 問: 成田市は、運転管理を川崎技研に委託する予定であるが、本施設はどこに委託している のか。 答: 本施設も運転管理は川崎技研であるが、それで この状態である。 メーカーに採用された職員であってもなかなか プロ集団になるには長い経験値が必要であり、 機械の運転技術はあってもまだ釜の中で 起こっている現象を一から説明できる職員はほとんどいない。 根本の現象、燃焼の技術・理論を理解したうえでの対応ができない為に不調に陥り やすく、 いまでも気がついたことを川崎技研から説明させても、 現場の職員は理解できないこと もあり、そのような場合は本社から操業指針を出してもらい対応している。 (直接話 してもプライド等もあり素直に受け入れてもらえない現状がある。 ) 問: 今後の維持管理費等の見通しは。 答: 補修費が増えていくと思う。いままでは、メーカ-による補償で対応していたが、 昨年より補修費が発生し、昨年は修繕費として年間で1億円ほど実施した。 今後は年々上昇すると思われる。 しかし、修繕方法については、将来的な運転コストを考慮した方法となるように 6 メ-カ-に注文を出している。 それというのも、建設時は建設費を低く抑えることに主眼を置くために、将来の運転 コストに考慮した施工はされない箇所が多々ある。将来的なコスト削減に向けた構造 見直しについて提案し、メ-カ-より案の提示がされない限り定期的な補修を除き、 安易な大規模補修は実施しないこととしている。 問: 運転管理業務委託の契約方法は。 答: 川崎技研との随意契約である。うちも操業から3年くらいは、炉の安定に苦しんだが、 運転管理自体は川崎技研と契約したおかげで、責任は全て川崎技研にあると言う事が できた。トラブルが起こったとしても川崎技研の責任において介入してくださいと 言う事ができた。 問: 清掃工場の落札率と、過去5年間のごみ処理量は。 答: 設計額約 110 億円に対して落札額は約 54 億円、ガス化溶融方式で指名 11 社の中から 2 社を外し、入札参加は 9 社。ごみ処理量は 17 年度 3 万 4,000 トン、18 年度は 3 万 4,400 トン、19 年度は 3 万 7,800 トン、 20 年度は 3 万 3,000 トン、21 年度は 3 万 3,500 トンである。 問: 運転管理業務委託の範囲とその金額は。 答: 人員の派遣であり、修理費や助燃材は別である。18 年度 1 億 7,766 万円、19 年度 1 億 6,956 万円、20 年度 1 億 6,831 万円、21 年度 1 億 6,812 万円。県の建設業単価、 人件費の単価があるので、費用を積算し随意契約としている。 問: 修繕費は年間どの程度かかっているか。 答: 21 年度で約 9,000 万円。来年度あたりから倍くらいに増えると想定している。 問: 溶融炉の容量に対して、助燃材の投入量比率はどのくらいか。 答: ごみが本来持っているカロリーに対して助燃材がどの位使われているかということでは、 以前積算した時には約ごみ 10 に対して助燃材1。現在はその半分になっている。 エネルギーはほとんどごみから得ている。 問: ストーカ炉で 800 度、溶融炉で倍近い温度に引き上げるには助燃材が頼りではないのか。 答: 酸素で化学反応させているだけなので、助燃材としてのLPGを入れるほど酸素を 食いつぶしてしまい、ごみの処理量は落ちる。 問: 運転の方法を変えることで異常をきたすことは。 7 答: 対症療法的にトラブルに対処すると全体のバランスは崩れる。機械単体が壊れることは ない。当初、運転員もLPGを入れただけ安定すると考えたが、逆に減らしていかなけ ればならなかった。 現在も、バーナーの本数を抑えたり、間欠的にLPGを入れるといったテストをして いる。 《委員所感》 (委員) 今回の視察研修は、現在本市で建設工事が進められている新清掃工場と同じ川崎技研のガス化 溶融炉を採用し、すでに稼働している沖縄県うるま市の「美島環境クリ-ンセンタ-」に行って きました。 当該施設は、平成 16 年より稼働していますが、稼働当初は、火力を高めゴミの溶融を促進する ために、助燃材(プロバンガス)を多く使用し、多額の出費を要しましたが、それでも溶融炉は 安定しなかったとのことです。 そこで、川崎技研の本社、運転管理受託者、職員(化学の専門家)の三者で意見交換、実証、 試行を繰り返した結果、助燃材であるガスを大量に投入するのではなく、逆にガスの使用量を尐 なくし、発生する酸素量を多くすることによりゴミの熔融がスム-ズになり、費用の削減につな がったとの説明でした。 運転管理については、指定管理者制度を採用し、川崎技研に単年度契約をしているとのことで す。 また、ゴミの分別収集は、同敷地内のリサイクル工場で、ビン類は 3 種類、紙類は 6 種類、缶 類はスチ-ル、アルミ等に分類し、有価物として売却しています。 見学者用に施設を紹介するビデオ等も、 子どもから大人にまで、 わかりやすく作成されており、 研修室、見学者コ-ス等の建物内は、臭気(悪臭)は無く、気持よく見学することができ、見学 者コ-スでは、ビン類の手作業(機械化にはコストがかかり過ぎ、現在は手作業にて対応してい るとのこと)による分別も見学することができます。 ロビ-には、訪れた小学生の、見学後の感想文等が展示されており、子ども達へのゴミ処理に 対する環境教育になると思いました。 本市で建設中の新清掃工場においても、効率的な運転はもとより、臭気はごみ処理清掃工場の イメ-ジダウンとなることから、 完全なる密閉性の高い工場となるように工事を進めて頂きたい。 また、本施設を視察して感じたことであるが、竣工後に運転管理を委託するにしても、受託者 を指導監督するためには、同等、それ以上の知識、経験を有する化学・物理に精通している職員 を、工場の運転管理者に専任することが望ましい。 今後も先進地等を参考にし、事業が円滑に進められるよう、行政と一体となり努力したいと思 います。 8 (3)沖縄県うるま市 ( 10 月 21 日(木) ) ・野鳥の森自然公園の概要について 自然を活かした公園整備と運営について 野鳥の森自然公園は、2 級河川天願川の河口付近の丘陵地の森を利用して整備されており、 東に金武湾、北に北部の山々を眺望する絶好の場所にある。 天願川流域には、メジロ、キジバト、ヒヨドリ等の留鳥をはじめ、川周辺の水田や畑には、ヒ クイナ、バン、サギ等が生息し、夏には、渡来するリュウキュウツバメやミ-ニシ(北風)の季 節を感じさせるサシバ等、一年を通して色々な野鳥をみることができる。 本公園は、平成 2 年から 5 年にかけて国庫補助(75%の補助)を受け、事業を実施。事業費は 11 億 6,500 万円(工事費 3 億 6,457.8 万円、用地費 7 億 7,972.5 万円、補償費 186.2 万円、 設計費 1,583.5 万円)で、自然保護の観点から、自然の森を基礎に最小限の整備にとどめ、特に 公園内に群生しているソテツや自然林に極力手を加えない整備に努め、また、植栽に際しては鳥 を呼び寄せるヤマモモなどの樹木を中心に約 750 本植栽した。展望台は、ガジュマルの木をかた どったような擬木を用い、より自然観を出すように工夫した。 維持管理については、地元自治会、老人会にも協力を依頼し、現在シルバ-人材センタ-が維 持、管理をしている。 (清掃は週 1 回、草刈は 6 回/年) また、公園内の自然林には、ソテツが群生し、多くの樹木もおい繁り、そこを生息地、繁殖地 とする数多くの野鳥がいて、地元の小中学生の体験学習の場として、また、住民の憩いの場とし ても広く利用されている。 公園面積:約 49,000 ㎡、 施設: 展望台 4 階建、318 ㎡、駐車場(普通車 26 台 マイクロ バス 3 台) 、園路 650m、トイレ 1 か所、東屋 1 か所、多目的広場 2 か所。 《委員所感》 (委員) この事業はうるま市の都市計画事業として位置づけられ、平成 2 年~5 年にかけて国のふるさ とづくり事業の指定を受けて実施されたものである。公園は天願川(昭和 63 年旧建設省の「ふる さとの川モデル事業」の指定を受けて整備中)の河口部分に面し、ガジュマルの木をあしらった 4 階建ての展望台からは北部山原の山々と金武湾から太平洋を眺望できる位置にある。 亜熱帯の植生をそのままに残した公園面積約5万平方メートル、 遊歩道650メートルの公園は、 留鳥や渡り鳥などの繁殖地、休憩地として一年を通して野鳥を観察できること、川に沿って位置 していることなどから、森林浴、バードウオッチングなど市民の健康やスポーツ・レクリエーシ ョン、子どもたちの学習の場として川と一体的な活用を目指しているとのことであった。 新清掃工場整備特別委員会の視察目的は、新清掃工場の付帯施設について主に周辺整備の参考 にするためであった。現在の計画では施設周辺の里山景観を活かした散策コースを整備すること になっている。散策コースだけではもったいない。 そこで、この施設の位置を考慮し、散策コースに限定しないでより多様な目的をもった市民が 9 集えるように里山スペースを最大限活用することを提案したい。企画名称は「 (仮称)日本のふる さと・成田里山ミュージアム」とする そのためには、 ① 整備にあたっては可能な限り手を加えずに現状を維持し、下草を刈って、かつての里山・ 里道として復元する。 ② 放置谷津田を市が借り受け、 (機械に頼らない)‶田んぼ″やビオトープ機能を持つ池 (みずたまり)を作る。里山・田んぼ整備にあたっては、初期段階から関連するNPO や関心のある市民を募って協議機関を設置する。活動しやすいように現地にロッジ風 事務所を用意する。 里山・田んぼエリアは四季を通じて生物多様性をよみがえらせるだけでなく、そこを舞台にさ まざまな遊びやスポーツが工夫され、観察、学習、収穫などの喜びも味わうことができる。 さらには祭りその他のイベントも創り出されていくと思う。 温浴施設を楽しむ人、里山・田んぼで‶労働″したり遊んだりする人、温浴も里山も楽しむ人など を通して、新しい交流が生まれてくると思う。また、外国の観光客にも温浴施設と日本の原風景 を楽しんでもらえるのではないか。 (委員) 旧建設省の事業である「ふるさとの川モデル事業」の指定を受けて平成 2 年度から 5 年度にか けて整備された公園で、総事業費は 11 億 6,200 万円を要したとのこと。施設は展望台、駐車場、 園路、トイレ、東屋、多目的広場等があり、まさに周辺は手付かずの森であり、野鳥には快適な 環境となっている。 この自然公園を視察した目的は、本市の新清掃工場の本体の建設がすでに始まったことから、 今後は周辺の環境整備と付帯施設のあり方を検討する必要があり、担当部局からも市民アンケー トを基に新清掃工場の裏手の山林を自然公園として市民に開放し、里山の四季を楽しめる施設を 整備したい旨の提案がなされていることを踏まえたものである。 うるま市の自然公園は天願川に隣接し、地理的には大変自然環境に恵まれた場所にあり、時季 によっては多くの市民が訪れる場所であることが窺がえるところであり、事実小中学校の児童・ 生徒が学習の場として利用しているとのことであった。 現地を視察した印象では、可能な限り自然を残すことに配慮し、野鳥との遭遇と子どもの冒険 心を培うに十分な仕掛けがあった。 ただ、公園へのアクセスが悪く道路が狭いところに両側から生い茂る雑草や樹木に阻まれて中 型のバスが通るのが大変で、駐車場も出入り口と道路との接続角度が悪く何度も切り返しをしな ければ出られない状況であり、今後の整備を期待したい。 本市の新たな工場に隣接する自然公園についても、来園するたびに新たな自然を発見できる仕 掛けづくりを考えていかなければ、単に草刈など維持管理費ばかりがかかり、訪れる人がいない 寂しい公園になってしまう。 10 5.副委員長所感 今回の視察は、本市の新清掃工場建設工事が昨年着手され、平成 23 年 12 月完成に向け、着々 と工事が進められているなか、本市と同様のガス化溶融炉シャフト式方式を採用し、すでに稼働 している「美島環境クリーンセンター」の運転状況の視察と、今後建設が予定されている余熱利 用付帯施設、並びに周辺整備の参考とするため、 「環境の杜ふれあい」 、 「野鳥の森自然公園」を視 察することとした。 なお、 「美島環境クリーンセンター」は、5年前に一度、前委員会で視察しているが、その後数 年を経過し、現在の運転状況や管理運営などの問題点について調査するため、再度視察の目的地 とした。 初日に視察した余熱利用地元還元施設「環境の杜ふれあい」を運営する「那覇市・南風原町環 境施設組合」は、ゴミ処理施設の建設を目的とした一部組合であり、ゴミ処理施設である「那覇・ 南風原クリ-ンセンタ-」と余熱利用地元還元施設の「環境の杜ふれあい」 、並びに最終処分場の 「那覇エコアイランド」の管理運営を担当している。 「那覇・南風原クリーンセンター」は、全連続燃焼式ストーカ炉を使用し、建設費は約 191 億 円で、平成 18 年 4 月より供用開始、管理運営については、焼却炉・灰溶融炉の運転業務等を委託 (45 人) 、計量等の業務(13 人)を直営で運営。 「環境の杜ふれあい」は、地域に根差した施設づくり、健康をサポ-トする施設づくり、環境 と共生する施設づくりを基本理念に掲げ、 地元への還元施設として、 総事業費約 12 億1千万円 (市 の負担金約 10 億円、その他補助金)で建設し、21 年度には、1 日に平均 629 人、年間約 195,000 人もの利用者があったとのことである。 管理運営については、公募により専門的知識を有する会社が共同体を組んだものを指定管理者 として選定しており、施設で使用する電力エネルギーは、クリーンセンターで発電される電力の 供給を受けているとのことです。 2 日目に視察した うるま市にある「美島環境クリーンセンター」は、本市において建設中の新 清掃工場と同じ川崎技研の施設です。中部北環境施設組合が管理し担当技師の説明がとても分か りやすく、現場の声として聞き取れ、大変参考になりました。 ガス化溶融炉はダイオキシンの削減や、最終処分量の削減に有利な施設であるために、うるま 市も採用したのだろうが、まだ川崎技研もこの時点では施設の設置数も尐なく、経験値も低いた め、各種の故障や問題に的確に対応することが難しく、試行錯誤による調整が続いているとのこ とで、的確な運転技術の習得は、専門職であっても難しいとのことでした。 運転管理は川崎技研と単年度の随意契約で 18 年度から 21 年度までは一年間約 1 億 7 千万円前 後の契約金額とのことです。 本市の新清掃工場は、平成 23 年 12 月に竣工予定であり、稼働後の運転管理は、川崎技研が別 会社を設立して 20 年間の運転管理委託行う予定です。 「美島環境クリーンセンター」技師の説明では、職員側から受託者である川崎技研に問題提起 し、運転マニアル等を変更したことにより、燃料費を約 3 分の 1 に減らすことが出来たと言うこ 11 とでした。 以上今回の視察により、今後本市においても新清掃工場の運転管理については、メーカ-と対 等に交渉できる知識を有する、専門職員の養成や配置が絶対必要であり、溶融炉は何でも搬入し て良いといわれているが、実際はゴミの分別化を図らなければ炉自体に負担をかけ、その後の修 繕費がかさむことになると感じたしだいです。 また、余熱利用施設については、平成 20 年度に実施したパブリックコメントの際に基本計画案 が示されていますが、その後の要望により、現在変更も含めて検討中とのことであり、遅れ気味 であります。 しかし、新清掃工場の完成予定は平成 23 年 12 月であり、地元還元施設である余熱利用付帯施 設も遅れることなく早期の事業実施が必要です。 今後も新清掃工場整備特別委員会は着実に事業が進められるよう、今回の行政視察を参考にし て行政と一体となり努力していきたいと思います。 新清掃工場整備特別副委員長 12 神 﨑 利 一