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こどもの創造性をひきだす
2012年度外苑キャンパス Planetary Design講座: 10月期 “こどもたちと創る未来” こどもの創造性をひきだす ~創造性開発ワークショップ・プログラム“CAMP”の事例を中心に 2012年10月4日 SCSK(株) 田村 拓 Copyright(c) SCSK Corporation 0 問題意識 Copyright(c) SCSK Corporation 1 CAMPのスタート 1995年、ベルギーで開催されたG7情報通信サミットラウンド テーブルに出席したCSK(※)創業者の大川功氏は、席上「これ からは世界のこどもたちの意見を聴き、活躍の場を創ってい かなければならない」と、こどもたち自身が来るべき21世紀の 社会を討議するジュニアサミットの開催を提唱。 帰国後、すぐにジュニアサミットを東京で開催。 イスラエルの少女から届いたメール。「なぜアラブとイスラエ ルは仲が悪いの?なぜ神様はお互いを戦わせるの?どうし たらアラブのこどもたちと話ができるの?」 ※2011年10月、住商情報システムとCSKが合併しSCSK株式会社が発足 Copyright(c) SCSK Corporation 2 CAMPのスタート ジュニアサミットは、この理念に賛同した米国MITメディアラ ボに引き継がれ、98年に第2回を開催。54カ国100名のこど もたちが代表としてボストンに集い、 139カ国3千名のこども たちがオンラインフォーラムで参加。最終日には大川氏によ る2,700万ドルの設立寄付をもとに、この取り組みを永続的 に発展させる研究機関として「MIT Okawa Center for Future Children」の設立を発表。 時を同じくして、小中学生の創造性とコミュニケーション力を 育む社会貢献活動・CAMPのスタートを決め、その活動拠 点として、2001年春に関西文化学術研究都市(けいはんな 学研都市)に「大川センター」を開設。 Copyright(c) SCSK Corporation 3 CAMPのスタート CAMPオープニングでスピーチする ニコラス・ネグロポンテ ・元MITメディアラボ所長 (2001年 大川センターにて) SCSKの拠点・大川センター (京都府・関西文化学術研究都市) MITメディアラボ Okawa Center for Future Children (ボストン) Copyright(c) SCSK Corporation ポスト大川時代のCAMP ~2001年→2011年 「ともに成長する経営」を標榜 「地域とともに」 「自然とともに」 「障がい者とともに」 「社員とともに」 「こどもとともに」 Copyright(c) SCSK Corporation 5 問題意識~いま、教育の現場で起きていること こどもを取り巻く環境(昔) 家庭 地域 ・ご近所づきあい ・「カミナリオヤジ」 ・3世代同居 ・兄弟、姉妹 ・道徳教育、躾・規律・規範 ・学校や先生=「権威」 学校 Copyright(c) SCSK Corporation 問題意識~いま、教育の現場で起きていること こどもを取り巻く環境(現在) 家庭 地域 ・少子化(一人っ子) ・核家族化(親子のみの2世代同居) ・周辺環境の変化(集合住宅の増加、 商店街の変質) ・地域コミュニティとの関係の希薄化 ・個人主義 ・個性指向 ・従来の規範のゆらぎ ・叱れない大人 ・国際化 ・異文化との接触 ・「学級崩壊」 ・「ゆとり教育」 vs「生きる力(いわゆる脱ゆとり教育」 ・「指導力不足教員」 ・「モンスターペアレント」 学校 Copyright(c) SCSK Corporation 問題意識~いま、教育の現場で起きていること 社会の一員として、企業も広義の子育てや教育に参加し、貢献する 企業 地域 家庭 学校 Copyright(c) SCSK Corporation 合併によるふたつの企業文化の融合 SCS(住商情報システム)とCSKが経営統合し、 新会社SCSKが誕生。 経営理念 「夢ある未来を、共に創る」 お客様からの信頼を基に、共に新たな価値を創造し、夢ある未来を拓きます。 SCSにも社員参加型の社会貢献的取組が存在。 社会貢献活動を通じた社員の融合を目指す。 Copyright(c) SCSK Corporation 9 CAMPの活動 Copyright(c) SCSK Corporation 10 CAMPの活用~次世代育成から社員教育へ 次世代育成 社会の一員として、企業も広義の子育 てや教育に参加し、貢献する 人材(社員) 育成 社員参加の活動を通じて、クリエイティ ブ・シンキングとコラボレーション(社員 同士がつながる)を企業文化にする ・イノベーションカフェ ・震災復興カフェ ・Earth Oneカフェ ・新人研修 など つながり CAMPを通じて社員が外の世界に目を 向け、他企業やNPO、自治体などとの コラボレーション(=つながり)の環境を 用意する ⇔パラレルキャリア Copyright(c) SCSK Corporation ワークショップとは何か? 一方向的な知識伝達ではなく、参加・体験することにより協働で何かを学ぶ、 あるいは創造するスタイル 一斉学習 ワークショップ 学ぶ・気づく・創造する 教師 参加者 参加者 テーマ 知識 生徒 (学生) 生徒 (学生) 生徒 (学生) ファシリテータ 教わる Copyright(c) SCSK Corporation 12 ワークショップによる次世代育成の意義 生きる力、社会性(コミュニケーション能力) 創造性 ★安心・安全な社会が喧伝されるが、危険を察知し、コントロールする力が失われ ては意味がない 当たり前・普通 Copyright(c) SCSK Corporation CAMPワークショップコンセプト 楽しい Copyright(c) SCSK Corporation 14 ワークショップの標準的な進行 アイスブレイクとチーム分け テーマ説明 練習 制作 発表 振り返り Copyright(c) SCSK Corporation こどもたちが主役 ファシリテーターは、 こどもたちの行動 を注意深く観察し つつ進行させる チーフ・ファシリ テーターとフロア・ ファシリテーター 「ワークショップは 段取り八分」、「偶 然をデザインする 技術」とも言われて いる 創造性 こども 大人 創造力 ・興味 固定 観念 表出 創造的 アイデア Copyright(c) SCSK Corporation × WS①: 固定観念を押し付け ない WS②: 表出しやすくする、きっかけを与える ・・・「自由は不自由」、何もないと考えにくい 肯定的にみる ある時は「個」、ある時は「チーム」の流動性 経験の積み重ね 創造性 自分 (他者) 観察と 行動による 気づき WS③: 他者からヒントを得て応用し、 自分のものにする Copyright(c) SCSK Corporation 他者 (自分) デザインシンキング 製造業をはじめとして、先進的な企業が取り入れはじめている問題解 決手法 米国のデザインコンサルティング会社・IDEOのCEOであるTim Brownが 提唱、スタンフォード大学がd.schoolを創設する契機となった 日本でも東大がi.schoolを開設 徹底的な行動観察 チームによるブレインストーミング モックアップなどによるスピーディなプロトタイプ作成(可視化)と修正 ・ユーザー中心 ・チームワーク ・まずやってみる ・可視化 ・多様性の肯定 ・可視化 Copyright(c) SCSK Corporation IDEO http://www.ideo.com/ スタンフォード大学 d.school http://dschool.stanford.edu/ 東京大学 i.school http://ischool.t.u-tokyo.ac.jp/ ワークショップの普及 ~IT企業ならではのアプローチを目指す 研修を受ければ、ある程度のクオリティでワークショップが行える 実践者の「創造性」も加味できる ITサービス企業の視点で開発 ワークショップパッケージ「CAMPACO」 ・キット (運営マニュアル、部材・ツール) ・ファシリテーター研修 Copyright(c) SCSK Corporation ワークショップの普及 ~CAMPACO(キャンパコ) ■情報サービス企業のノウハウが詰まったワークショップパッケージ 優れたワークショップは数多く存在するものの、「他 人にはできない、(質が落ちるので)やらせたくない」 という実践者の心理が普及の障害になるケースが 少なくなかった ワークショップ普及のために、情報サービス業界で 一般的な「パッケージ」の概念を導入 CAMPACO(キャンパコ)のニックネームでコラボ レーションパートナーに提供 既存の良質なワークショップを、品質を維持 しながら普及可能にするための「フォーマット (フレームワーク)」を提案 部材、手順書に加え、ファシリテータ教育 カリキュラムや契約書のひな型などから構成 Copyright(c) SCSK Corporation 20 ワークショップの普及 ~キッズデザイン協議会 SCSKグループは「こどもの生きる力を育み、危険に対するセンサーを育むプロ グラム」の充実を提案 http://www.kidsdesign.jp/ Copyright(c) SCSK Corporation 21 ワークショップの普及 ~ワークショップ知財研究会 ワークショップに関わる主要な関係者が集まり、知財権をワークショップの観点 から検討 アーティスト、プロデューサー、企業、法律関係者、政府関係者、教育関係者 「法律に明るくない」ワークショップ関係者(例えばアーティスト)と「法律に詳し い」企業や法律専門家、政府関係者のコラボレーション ワークショップ専門家のニーズと法律の「ほどよい関係」 を模索し、最終的には業界標準の確立を目指す 「こどものためのワークショップ その知財は誰のもの?」 (2007年3月 アム・プロモーション刊) 啓発、PRのために公開研究会を開催(2007年~現在) http://www.wschizai.jp/ Copyright(c) SCSK Corporation 22 CAMPの活用 ~次世代育成から社員教育へ 次世代育成 社会の一員として、企業も広義の子育 てや教育に参加し、貢献する 人材(社員) 育成 社員参加の活動を通じて、クリエイティ ブ・シンキングとコラボレーション(社員 同士がつながる)を企業文化にする ・イノベーションカフェ ・震災復興カフェ ・Earth Oneカフェ ・新人研修 など つながり CAMPを通じて社員が外の世界に目を 向け、他企業やNPO、自治体などとの コラボレーション(=つながり)の環境を 用意する ⇔パラレルキャリア Copyright(c) SCSK Corporation 人材育成 ~21世紀型スキル 21世紀を生き抜くうえで必要となる能力 PISA(OECDが行う生徒の学習到達度調査)でも2015年調査から21世 紀型スキルの測定を導入する方向 「21世紀型スキル」の定義はATC21sプロジェクトの「21世紀のスキルに 関する作業グループ」で検討 ①思考の方法(創造性と革新性、批判的思考・問題解決・意思決定、学習能力・ メタ認知) ②仕事の方法(コミュニケーション、コラボレーション(チームワーク)) ③学習ツール(情報リテラシー、情報コミュニケーション技術(ICT)リテラシー) ④社会生活(市民権(地域および地球規模)、生活と職業、個人的責任および 社会的責任(文化的差異の認識および受容能力を含む)) Copyright(c) SCSK Corporation 人材育成 ~「ガンダム世代」vs「ワンピース世代」、「セカイ系」 会社への帰属意識の低さ 仲間意識の高さ 「社会貢献」や「CSR」には肯定的、積極的 組織(たとえば会社) 「ガンダム世代」 「ワンピース世代」 「セカイ系」 Copyright(c) SCSK Corporation 25 人材育成 ~社員参加 北海道、岩手、福井、愛知、大阪、島根、福岡、沖縄などの地方拠点 でも同様の活動を展開 最初はCAMPチーム中心で開催 次第に現場メンバーが中心に 最後は独自の活動へ Copyright(c) SCSK Corporation CAMPACO + ファシリテータ 研修 ・本社組織から支社(現場)へ ・SCSKから他の企業へ サステナブルな活動として ~人材育成とのエコシステム サステナブル(持続可能)な活動であるために・・・ ■良質なワークショップを企画・開発・実践し続ける(中核的能力) ■社員自らが実践する社会貢献活動とする ■参加社員の数、能力レベルと対外的活動の拡大をバランス良く連動させる ■人材育成、社員の社会性向上に貢献する ■「企業ならでは」の活動、絶え間ない革新とスピード感の維持、ワークショップ普及に 関わる多様なプレイヤーの中で「企業」セクターの中核的役割を果たし、貢献する ■外部の人的チャネル、コラボレーションの重視 グループの 成長 社員参画・ 人材育成 グループ 企業内 Copyright(c) SCSK Corporation こども向け ワークショップ 企画・開発・実践 ワークショップ の普及 対外的 活動 27 CAMPの活用~次世代育成から社員教育へ 次世代育成 社会の一員として、企業も広義の子育 てや教育に参加し、貢献する 人材(社員) 育成 社員参加の活動を通じて、クリエイティ ブ・シンキングとコラボレーション(社員 同士がつながる)を企業文化にする ・イノベーションカフェ ・震災復興カフェ ・Earth Oneカフェ ・新人研修 など つながり CAMPを通じて社員が外の世界に目を 向け、他企業やNPO、自治体などとの コラボレーション(=つながり)の環境を 用意する ⇔パラレルキャリア Copyright(c) SCSK Corporation コラボレーション 学校、児童館、ミュージアム、企業の社会貢献活動等と共同プロジェクト 多数 CAMP開発のワークショップを全国の各機関・団体に提供 立命館小学校とロボティクス授業向けワークショップカリキュラムを共同 開発 港区立青山小学校とクリケット授業を共同実施 ワークショップデザイナー育成プログラム(青山学院大学・大阪大学) 東京大学との共同研究(CAMPの教育工学的考察、教職課程向けカリ キュラム開発) Copyright(c) SCSK Corporation 29 大人向けワークショップ 震災復興支援ダイアログイベント – 2011年7月 復興支援カフェ • 社員一人ひとりが復興支援への行動を考えるイベント • 「SCSKの事業で復興支援をするには」というテーマでワールドカフェによる対話を実施 • 中間管理層を中心に19名が参加 – 3月2日 きずなカフェ • SCSK、Earth One、企業間フューチャーセンターLLPの共催により、「忘れない、風化させない、自己 満足で終わらせない」伝承の場、検証の場として開催 • 一般参加者45名、SCSK社員20名が参加し、「仕事、雇用で『あした』を創る」というテーマで、有識者 による講演と、ワールドカフェによる対話を実施 • 「被災地で何が必要とされているのか、ニーズを把握することができていない。」という課題が浮き彫り になり、全ての参加者から「次回も是非参加したい」という声をいただけた EarthOneカフェ – 社員が社会課題を共有し、今後どのような取り組みをしていくのかを話し合うイベント – 4月16日東京 豊洲本社 • 青年海外協力隊経験社員によるパネルディスカッションとワールドカフェ形式での対話 – 5月18日西日本 千里オフィス • フェアトレードショップ経営者の講演とグループディスカッション 東雲はな工房 – 7月26日 東京都内 • 東日本大震災による県外避難者向けフラワーアレンジメントのワークショップイベント Copyright(c) SCSK Corporation 30 コラボレーション~東北「こどもたちの元気プロジェクト」 キッズデザイン協議会とのコラボレーションで東北のこ どもたちを元気にする 企業同士のコラボレーションで、東北のこどもたちに自 分の未来の街をデザインしてもらう。企業や自治体は その実現を目指す NPO法人 キッズデザイン協議会 http://www.kidsdesign.jp/ 南三陸町での開催風景 Copyright(c) SCSK Corporation 将来に向けて ~社会貢献活動からビジネスへ 次世代育成 (社会貢献活動) 次世代育成 (ビジネス) Copyright(c) SCSK Corporation ・ワークショップ型の協働(協調)学習 支援サービス ・デジタル教科書 CSR中期ビジョンとCAMPの位置づけ 私たちは、CSRとは企業が本業を通じて社会に貢献することだと考え ています。しかし、目まぐるしい変化の時代にあって、企業が変化に挑 み、自己変革を続けていくことは、実はそう簡単ではありません。 以前に他社のCSR責任者の方々と議論したことがあります。どんな名 門の大企業であっても、過去の成功体験が桎梏(しっこく)となって変 化の妨げになる。成功体験が市場やお客様との関係を閉鎖的なもの にし、変わることへのためらいを生み、結果として外部の変化を感じ取 ることすら難しくなる。そんな議論でした。その中で、ある会社の経営 トップの言葉を本当に嬉しく伺いました。 「SCSKさんは社員皆さんのために外の世界と社内を結ぶ素晴らしい 『窓』をもっていますね。CAMPは、未来を担うこどもたちとの関係を通 じて、社員に対して、常に外の世界の変化を感じる機会を与えることが できる素敵な活動だと思います」 (CAMP冊子より) Copyright(c) SCSK Corporation こどもたちと創る未来~いまだからこその問いかけ イスラエルの少女から届いたメール。 「なぜアラブとイスラエルは仲が悪いの? なぜ神様はお互いを戦わせるの? どうしたらアラブのこどもたちと話ができ るの?」 Copyright(c) SCSK Corporation 34