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毎日の星ベイルート
長期予報係 長期予報研究 グロースベッター 第 16巻 第 2・3号 合 併 号 J 「太陽活動と気象」に関する最近の研究...・ ・..……ー・……・…・北村 正盈…...・ ・ . . 1 野 毅 …・・・…..3 1 冬と夏の天候について(ll)…...・ ・ . . … … . . . . ・ ・-……・・……久保木 光照………… 3 5 H 「ひまわり」からの太陽粒子データ…………...・ ・..……・・…一河 H H H H 合成図解析の統計的意味(解説)….....・ ・ . . . ・ ・ . . . . . . . ・ ・-…・・能登正之..,・ ・ . . . . . 4 7 H H H 編集後記…・・・…・・・・…・……-…....・ ・ . . … . . . . . . . . . . . . ・ ・...…ー編 H H 刊議戸 1978年 3月 L .F .グ ル ー プ H 集 部 … ・ . . . . ・ ・表. 3 H 「太陽活動と気象」に関する最近の研究 北 目 ¥幽〆 揺* 6 . 太陽活動とその他の気象現象 r 太陽活動と気象」の研究ζ l関する国│祭 7 . 磁場と気象要素 的な動き 3 . 太陽黒点数と気温 7 . 1 惑星間空間磁場と気象要素 4 . 太陽黒点数と雨量 8 . r 太陽活動と気象 JI C関する仮説 5 . 太陽黒点数とオゾン 9 . おわりに 7 . 2 地球磁場と気象要素 1 9 7 5 年の文書 S o l a r -1 'e r r e s t r i a lP h y s i c sandMιt e o r - l はじめに 、J 正 次 1 . はじめに 2 . 村 「太陽活動と気象 Jf 乙関する問題は,古くして新しい o l o g y(太陽地球関物理学と気象学)( 1 9 7 5 )の中 ζ l ,r 太 課題である. Gauss,Faraday,Wolf ,K e l v i n 等の名前 │湯活動と気象 Jf C関する最近における代表的な二つの総 もその中に見られる位,この分野の研究は古い歴史をも 合報告を再録した.すなわち, J . W. King( 1 9 7 5 )及 っている. 1 9 7 5 ) の報告がそれである.本稿で びJ. M. Wilcox( 「太陽活動と気象」の関係は,太陽熱点周期の発見以 はこれらの報告を中心にして,それに関連したいくつか 来興味をもたれていたことではあるが,研究といっても の文献の中からこの分野における最近のトピックスを拾 単に統計の域を脱しきれず,その物理的機構に関する理 ってみたい. 論と称されるものはまだ確立されてはいない.しかし近 もちろん,この分野のすべてを網羅することは到底筆 年測定妓術の発達によって,より良質の観測結果が得ら 者の力の及ぶところではないし,近年我が固においても れるようになり,更に人工衛星の出現によって,太陽, この分野の貴重な報告がなされているが,それらはいず 惑星間空間,磁気圏及び地球大気に関する知識比色速に れも本稿においては割愛させて頂くことを御了承頂きた 増大した.このような情勢に刺激されて r 太陽活動と い. 気象」の問題も再度新しい角度から見直しが行われ,尚 一般に「太陽活動と気象」の関係を論ずる場合,太陽 者の悶果関係の物理的機構に関する研究が推進される気 活動の指標として古くから用いられているものには太陽 運が生じてきた. 黒点数が最も多く,太陽フレアーや地磁気活動指数を用 更にこの研究を推し進める別の面からの付加的要因と いた解析も多い.最近では人工衛星によって発見された して挙げられるのは,人口の急増と世界各地で起きたひ . 1節参照)と 太陽地球間磁場構造(セクター構造,第 7 どい干ばつであろう.人口の急婚は必然的に農業生産の 気象要素との関係についても報告がなされている. 向上を必要とし,その結果それに密接な関係をもっ気象 一方,気象要素としては気温,気圧,等圧面高度,雨 l着目し 量及び成層圏循環や周極渦の消長等大気の運動ζ 及び気候の研究が要請されるからである. このような背景の中で SCOSTEP( ICSU 料 S p e c i a l た統計から雷活動まで極めて多岐にわたっている.以上 Committee on S o l a r T e r r e s t r i a lP h y s i c s,太陽地球 の外に太陽活動とオゾンζ l関する論文も数多くあり,こ 間物理学特別委員会〉はこの研究の重要性にかんがみ, れらの諸現象を統一的に説明することは今後の課題であ *気象研究所高層物理研究部 ICSU:I n t e r n a t i o n a lC o u n c i lo fS c i e n t i f i cUnions (悶際学術述合会議) 林 - 1ー 水文気象にたず ておく〉という用語が使用されている.r る. 本稿においては,これら多種多様な現象の内,代表的 さわる人たちのために, h e l i o m e t e o r o l o g y の課程を緊 と思われるものについて若干の分類を行い,第 3~5 節 h e l i o m e t e o r o l o g y関係 急に設ける必要がある」とか r でそれぞれ太陽黒点と気温,雨量,オゾ γ との関係につ の論文の収集,発行が要求されている」とか,または いて述べ,第 6節において太陽黒点以外の現象と気象要 r h e l i o m e t e o r o l o g i c a ls t a t i o n(太陽気象観測所〉のネ 素との関係についての統計結果を,第 7節で磁場(惑星 ットワークをつくることが望ましい」等々といった議論 関空間磁場及び地球磁場)と気象要素との関係について が注目される. 3 ) Symposium on " P o s s i b l eR e l a t i o n s h i p sb e - 触れ,第 8節において「太陽活動と気象」の機構1 1:関す tween S o l a r and M e t e o r o l o g i c a l Phenomena" る代表的仮説を紹介することにする. 2 . r 太陽活動と気象」の研究に関する国際的な動き 9 7 3 ) (NASA,1 「太陽活動と気象現象」との関係についてのシンポジ SCOSTEPは rSTP-気象」の分野(太陽活動を初め にお STP現象と気象との関係を研究する分野〉でこれまで長 ウムが 1973 年 11 月 8~9 日,アメリカの NASA い間力を尽してきた (STP:S o l a r T e r r e s t r i a lP h y s i c s いて行われ, 4 2 9ページにわたる議事録が発行されてい (太陽地球聞物理学〉の略).特に E .R . Mustel及び W.1 .G.Beynon教授は先導的役割を果たし, 1970年(レ る. 4 ) COSPAR(TheCommitteeonS paceR e s e a r c h, 宇宙空間研究委員会) (Varna,1 9 7 5 ) ュγ グラード), 1971年(モスクワ)及び 1973年(ロン ドγ)の非公式討論会を開き,又 1 9 7 1年ソ速における 1 9 7 5 年 5月から 6月にわたりパルナにおいて会議を開 IUGG*総会においてこの問題に関するシンポジウムを き,太陽黒点及び太陽磁場と気候との関係について議論 9 7 2 年ソ連において, 1 9 7 3 年アメ 持ち,その後引き続き 1 が行われた. リカの NASAにおいて大シ γポジウムを開催した. 5 ) SCOSTEP(Varna, 1 9 7 5 ) 1 9 7 出手 IUGG総会がグルノーブルで聞かれたが,その 1 9 7 5年 5月から 6月にかけてパルナにおいて STWR 際この分野のシンポジウムが SCOSTEPとの共催のも (STP-Weather R e l a t i o n s h i p ),すなわち太陽地球関物 とに関かれた. 理学と気象Ic:関する研究グループの集りが Mustelの呼 以下それらのジンポジウム及びその後の動きの中で びかけでもたれた. 6 ) SCOSTEP,WorkingDocument( 1 9 7 5 ) rSTP と気象Jζ 1関すると恩われる部分だけを簡単 1 1 : o l a r T e r r ωt r i a lP h y s i c sandM e t e 1 9 7 5年 7月 ,S 記してみることにしよう. 1 ) IUGG Symposium on " S o l a rC o r p u s c u l a r o r o l o g yなる文書が出され,その中で太陽地球間物理学 E妊' e c t sont h eS t r a t o s p h e r e and T r o p o s p h e r e " と気象学との密接な関係が力説され,その中に「太陽活 9 7 1 ) (Moscow,1 乙関する最近の主要な二つの総合報告が再録 動と気象J1 1 9 7 1 年 8月,モスクワで関かれた IUGG シンポジウ 断 、 されたことは前節で述べた通りである. 7 ) IUGG第 1 6 回総会 ( G r e n o b l e, 1 9 7 5 ) ムにおいて,太陽微粒子の成層閤及び対流圏Ic:及ぼす影 響に関する討論が行われた. 1 9 7 5 年 8月2 5日から 9月 6日までフラソスのグルノー 2 ) TheF i r s tAll-UnionC o n f e r e n c eont h eProb- プルで第 1 6回 IUGG総会が関かれたが,太陽活動及び lem, " S o l a r A t m o s p h e r i cR e l a t i o n s h i p si nt h e 太陽地球閑物理学的現象と気象との関係に関する 4 7の論 Theory o fC l i m a t e andWeather F o r e c a s t i n g " 惑星間媒質ー磁気圏ー下層大気の相 文がシンポジウム 25( (Moscow, 1 9 7 2 ) 互作用の全地球的影響)において報告され,更にシンポ 太陽活動と気象との関係について,ソ連閣僚会議主催 1 (大気電気の高層大気及び宇宙空聞における問 ゾウム 3 のもとに 1 9 7 2 年モスクワで関かれ,気候及び天気予報の 題〉において 2 2の論文が報告されていることより,この 理論における太陽と地球大気の関係の問題について議論 方面の研究の最近の世界的動向がうかがわれよう. 8 ) WMO CAS (Commission f o r Atmospheric が行われ, 50の論文が提出された.この会議の報告の e l i o m e t e o r o l o g y "( r 太陽気象学」と仮りに訳し 中で“H S c i e n c e )WorkingGrouponS t r a t o s p h e r i cand 事 ! l J C 7 C 7:In~~J:"n!l~!(;)rt1\1 りn!9n o f. G e o d e s yandG e o p h y s i c s(国際測地学・地球物理学連合〉 2 Wシ Mesospheric Problems (世界気象機関,大気科学 gram,中層大気国際観測計画)が計画されている. Middle Atmosphere とは中間圏及び成層圏を意味 委員会,成層閤・中間圏問題作業委員会)(Geneva, 1 9 7 5 ) し,この領域での研究においては,特に気象学者と太陽 1975年 9 月 8~11 日にわたって聞かれたこの作業委員 地球間物理学者との協力の必要性が強調されている.近 い将来 K両分野の研究者によって従来の学問領域の壁を 会は,その最終報告の中で, SCOSTEP の文書(前述 第 6項で挙げた S o l a1 ・ T e r r e s t r i a lP h y s i c sandMete- 破った協同研究が行われ,新しい学問の領減が開拓され o r o l o g y ) を高く評価し, STP との今後の協力の必要性 ることを期待してやまない. 3 . 太陽黒点数と気温 について述べている. 9 ) このほか SCOSTEP では 1976~78 年にわたっ 太陽黒点数と気温との関係を示した報告はかなり多く て実施している IMS ( ln t e r n a t i o n a l Magnetospheric 見られる. T-1図は King( 1 9 7 3 ) によって示されたも I引き続き, APP(Atmo Study,国際磁気閤観測計画)ζ ので,太陽熱点数と北半球下層大気の気温との関係を表 四 一 盛 〆 s p h e r i cP h y s i c s Program,大気物理計闘)の一環とし している.太陽黒点数は上図では月平均黒点数,下図で 9 8 0 年の初めより MAP( Middle AtmosphereP r o て1 2か月移動平均をとってある.この図で見る│浪り平均 は1 的にはし、ずれも下降の傾向を示しており,太陽黒点数と 0 . 5 北半球下層気i はとの関係が示唆される.但し,後に述べ る GM-11~1 ( 第7 . 2節)と比較するとき,ここに示され た気温変化のなかには気温の 1 1年より長期の変動が含ま 剥 EEoeEESE-h苫52 包 ﹄ mm 品川匂 a 3 a nvnUAυ , 弓 CLE ヨEP-EE555回目安草色 E 沼EESE&EB晶君" 担笥﹄ E冨 2 5 0 剛mN 449 内 , a " 向 vvJ unυAHUAU の . 0 . 4 2 5 0 mm ふ 一﹄隠れw ﹀ m 2 2 2 2 2 f 且 間 ZZZ T-1図 太陽黒点と北半球下層大気の月平均気温 ﹄ O .ó.~b士? 印刷 間鈎 ﹀・ . 0 . g E h 2 z u o mCω uE コz ••••••••••••••• •• •••• ・ ' 1 ・ 0i23 a040AV 坦 Ea agEE S E -同 “ 斗 0 . 3 O。 玄g 沼 EEEaEμ 。 旬 、グ BEZEEag自 h若ER 唱 者REA 0 . 4 。 t a r randOort( 19 7 3 ) による気温 上図は S の計算値を用い,月平均気温から季節変化を差 し引いた残差と月平均太陽黒点数とを示す.下 図は上図の値を平滑化したもの.気温の最初と 最後の 2点の値は必ずしも正確ではない. 点付き実線および点線は気混,実線は太陽黒 点数を表す. (King,1 9 7 3 ) 1 9 4 0 1 9 5 0 Y e a r 1 9 7 0 T-2図 "成育期"の長さと太揚黒点数 5 50N,3.W)にお 上図はエスクダ Jレミュア ( ける成育期の長さ(すなわち日平均気温が 5 . 6 . cを超える日の年間日数).プロットは各年の G l o y n e,1 9 7 3 ) の 5年間移動平均値を示す. 値( 9 7 3 ) 下図は年平均太陽黒点数. (King,1 - 3一 れていないという保証はないが,それは今後明らかにさ れるべき問題であろう. 結果が T-3図ζ l示されている. この図が示すように成育期の初日は成育期の長さと極 T-2図の上図はエスクダルミュア ( 5 5N,3・ W) に 0 めてよい相闘を示しているのに対し,最終日は成育期の おける各年の(植物の〉“成育期"の長さ(すなわち日平 長さとは全然無関係でほとんど変化がない.すなわち, 均気温が 5 . 6Cを超える日の年間日数〉を示す.この図 その年の成育期の長さを決定するものは春先の気温で から分かるように,いわゆる成育期の長さは太陽黒点数 あることが分かる.このことと T-2図で述べた関係とか 0 と共に増減する傾向を示している.すなわち,太陽黒点 ら,太陽黒点数の大きい年は春が早くやってきて,その の多い年は暖かい日が多いということになる. 年の成育期が長くなるということができる. ところで,成育期の長さとその初日及び最終日との関 T-4図の上図はグリー γ ランド南西部で捕獲された白 係はどのようになっているのであろうか.それを調べた 熊の数で,下図は規格化された太陽黒点数で,年平均太 陽黒点数の相隣る極大及び極小値をそれぞれ Nミ及び 7 0 2 4 0 8 0 加却問 2 2 C ¥蝉訟μ で与えられる.すなわち,年平均太陽熱点数の極大及び 極小値がそれぞれ 100及び Oになるように規絡化された 黒点数である. この図で見るように,太陽黒点数極大の年より約 2年 おくれて白熊捕獲数が極大を示している.この図につい ては色々の解釈があり得るだろうが, V i b e( 1 9 6 7 )は 叫町山 ~2 1O (hRwhωZH﹄ 。 hsu) 巴内出諸国国口一言。﹄凶﹄ohmw 司“巴正 2 3 0 NNとし,その聞における任意の年の年平均太陽黒点数 を Nyとするとき, 1 0 0( Ny-NN)/(Nx-NN) g i 太陽黒点数の増大に伴って海氷の運動が激しくなり,海 a 氷11:乗って漂ってきた白熊がグ、リー γ ランド付近で捕獲 包 . 5 E 0 1 ) J 0 され,その数が多くなるものと解釈している. イ/ 以上のように気温には太陽黒点周期によって変化する 号、仏 2 2 0 awωh@PZ﹄ohdw司) ~ 230 傾向が見られるが,このほかに 2太陽黒点周期で変化 (﹄ AUAυ 3 2 1d 0 1 ) ロO話出国ロ一言。﹄国﹄ohd司輔自J ・ g する部分も見いだされている. T -5図はそれを示す.こ の図の上図は 1750~1880 年の 130 年間の中部イングラ γ ドにおける 7月の平均気温を平滑化した曲線である ( M a n l e y,1 9 7 4 ) . これに対して下図は黒点数を黒点周 期ごとに交互に正及び負の方向に図示し, 2太陽黒点周 期を表す曲線で,全部で 2太陽黒点周期の 6倍の期聞を 示すが,この中には矢印で示した 1 2の太陽黒点極小期が 含まれている. 3 0 0 1 9 6 4 1 9 5 4 Y e a r この図から,中部イングランドの 7月の気温はほぼ 2 太陽黒点周期で変化していることが分かる.但し, 1 8 8 0 T-3図 "成育期"の長さとその初日及び最 終日との関係 年以後は 2 2年周期よりむしろ, 1 1年周期の変化が卓越 しているという ( K i n g,1 9 7 5 ) . すなわち,気温(次節 実線は上下図とも各年の成育期の長さを示し, 点線は上図においては成育期の初日(日平均気 温がその年にはじめて 5 . 6Cに達した日,元旦 から数えた回数),下図においては最終日(そ の年において日平均気温が 5 . 6Cに達した最後 の日〉を示す.図示したのはいずれも G l o y n e ( 1 9 7 3 )の求めた各年の値を用いて計算した 5 年移動平均値である. ( K i n g,1 9 7 3 ) で述べる降水量についてもそうであるが)に及ぼす太陽 活動の影響は,少なくとも太陽黒点周期の変化とその外 0 に22年の周期で変化する部分がある.その原因は何であ 0 るのか,それは今後の研究にまたねばならない. 4 . 太陽黒点数と雨量 太陽黒点数と雨量との関係についても多くの報告が出 ← 4- Wか 6 o ︻凶∞-﹀広凶トL4)ozqJZ凶凶ZO ト的凶雲・エトコO的Z一トzoコ4U 的区︽凶∞ Z4﹂oa hhOZ凶国冨コZJ4コZZ4 比OmZ4凶2 g﹀'向 40 20 T-4図 グリー γ ランド南西 部において捕獲された白 熊の数と太陽黒点周期と の関係 上図はグリーンランド 南西部において捕獲され V i b e,1 9 6 7 ) た白熊の数 ( の 3年平均値で,下図は 規格化された太陽黒点数. d 区凶国三コZ 目 コ トoa的Z 。凶凶﹂42zoz 50 YEARA . D . 1 7 . ・ 0 されている.雨量にも気温と同じく 1 1 年周期の CENTRALENGLAND.JULY 外に 2 2 年周期の変化が見られ,しかもこれらは 地球上の場所により,文は時期によって太陽黒 点数変化と正の相関になったり負の相聞になっ たり,かなり複雑である. R-1図は,太陽黒点数と 500mb等圧面高度 1 5 ・ 5 及び雨量との関係を示した図である.上図の太 陽黒点数と 500mb等圧面高度の聞には正の相 関が見られる.これに対して下図の点線は太陽 黒点数(スケー Jレを逆向きにとってある)で, 実線はベイル{卜における冬季雨量である.こ 1 0 0 れからベイルートにおける冬季雨量は太陽黒点 数と負の相関関係にあることが分かる. O ベイルートにおけるこのような関係(太陽黒 点数と年間雨量との逆相関)は果たして普遍的 n u n u zu泊三コZ トoamzコ的 、 当 〆 なものであろうか.他の場所ではどのようにな L ! 2 0 0 1 7 5 0 u 1 8 0 0 SUNSPOTMJNJMA ↑ l ↑l ↑1 ↑ 陪5 0 1 8 8 0 YEAR A. D T-5図 中部イングラ γ ドにおける 7月平 均気温の 22 年変化 っているのであろうか.北半球の三つの緯度帯 I L沿ってこの関係を調べた結果がある. R-2図 X a n t h a k i s,1 9 7 3 ) . がそれである ( 上図は 70~800N , 157 ・ W~810E 上図は Manley( 1 9 7 4 ) によって発表された 中部イ γ グラ γ ドにおける 7月平均気温を平滑 化した曲線で,下図は 2太陽黒点周期を表す曲 線.矢印は太陽黒点数極小期. - 5一 における 2 1 地点、について,中図は 60~70 oN,166 ・ W~41 。E における 22地点について,下図は 50~600N , 17TW~150E における 3 6地点について,それ ぞれ年間平均雨量を求めたものである. 2 ω においても見られる. R 3 1 刻はそれを示している (Bowen,1 9 7 4 ) . この図はオーストラリアにおける e5 6 2 6 i 緯度の異なる 2地点,すなわちケア γ ズとホパート 1 5 0 における雨量の年々変化を示している.二つの地点 . 5 6 2 4 の雨量の極大又は極小はそれぞれ太陽黒点数の極大 。 。E 開 -bgE ωESE-。含ロロωzaEMh苫置。E3s“ nunU M3M M 、d n u MMU 期のあることを述べたが,雨量についてはどうであ 1 5 0 9 1 0 年より 1 9 6 0年代に至る期間に できる. R-5図 は 1 又は極小に接近して出現している.注目すべきこと 山 昆5 6 2 2 は R-2図と同様に緯度によって位相が 1 8 0・異な ﹃﹄﹄﹄﹄ ﹄ l~i、ν 与え¥ 9 5 0 り,雨量と太陽黒点数が正の相関になったり,負の 相関になったりすることである. 前節において,気温の長期変化には 2太陽黒点周 ろうか. R-4図において, 4 ' S,3 9・ W) に 表した南アメリカのフォルタレザ ( , 吋 E 9 E 竺 8 5 0 1 ・ 5 . 0 ; 11arkham( 1 9 7 4 )が 発 ¥蝉争政 1 8 6 5 王子から 1 9 2 5年までの期間の おける年間総雨量 ( もの)と太陽黒点数との関係を示す.この図から, フォルタレザにおける雨量の変化は 2太陽黒点周期 l 乙等しい周期をもつことが分かる. 信 』 ∞ 1 このような傾向は他の場所においても見ることが 8 E : / 1 9 5 1 / 5 2 1 9 5 4 { 5 5 ついて南アフリカの 3地点,すなわちヲステンパー 〉 ご ω 7 5 0 グ 6 1 1 9 5 7 / 5 8 1 9 ω1 Wm t e rs e a s o n ( 2 5 . 7 ' S,2 7 . 20E),ベサール ( 2 6 . 5 ' S,29. s ' E) 2 8 . 2 ' S,3 0 . 30E) における年間総 及びタンディー ( Tyson,1 9 7 4 ) . この 雨量を平滑化した曲線である ( R-1図 太 陽 黒 点 数 と 5 0 0mb等 j 王商高度(上 岡)及び雨量(下図)との関係 悶からも分かるように,南アフリカの上述 3地点に 0月 翌年 5月の 400N,110'W~70 実線 aは 1 。 E における 500mb等圧面高度,点線 bは 1月を 2か月移動平均値,実線 中心とした太陽黒点数の 1 cはベイルート ( 3 4oN, 3 60E) における冬季雨 量 ( W i n s t a n l e y,1 9 7 3 ) . おける年間総雨量についても 2太陽黒点周期に等し い周期が現れている (King,1 9 7 5 ) . R-4図及び R占5図とは異なつた方方.法で雨量の 2 太陽黒点周期の変化の存在を示した結果がある. Cornish( α 1 田 9 5 心 4)は各午年e l に ζおいてその 年 fドの初めから この区l から分かることは,雨量の変化には明らかに 1 1 年周期が存在するということである.但し緯度 l とより, 時期によって雨量と太陽黒点数とは正の相関になった r 童 量 主 の仙 1 / μ 4 1 に ζ達し T たこ日を 累積した雨量がそのイ午のの年間総刊雨5 その年の 卜ラリアのアテデ、レ一ド lに ζ おける 184 “ 4i年 F から 19~ 斜 4 年の 1ω0 ∞ O り,負の相聞になったりしている.すなわち, 70~80oN 年 f F 間l に ζついてクオ一タイ ル Jレ の1 叩0年問移動平均を求めた. 帯では雨量と太陽黒点数とは正の相関であるが, 60~70 それが R-6図の下段の図である. ON帯では負の相闘を示し, 50~60oN 帯では最初の 2 周 一見して分かる様 1 < :,クォータイルは 2太陽黒点周期 期は負の相関で,それ以後は正の相関を示している.緯 をもって年々早くなったり遅くなったりして変化し,そ C対しては,降雨地域の平均的 度による正及び負の相関 I の較差はほぼ 6週間である.これは,南半球における高 L移動することを考 位置が太陽活動の影響によって南北 I < :伴 気圧帯の位置の長期変化 (2太陽黒点周期の変化) 1 えれば説明される. 又機構は分からないが, 50~60oN う台風経過の緯度変化によって,オーストラリアの夏か 帯で負の相関を示している最初の 2周期の関は太陽黒点 ら秋にかけての雨量がこのように変化するためと考えら 数変化の振幅の小さい時期に当たっていることは興味あ れる. ることである. これまでに述べたことから分かるように雨量の長期変 北半球において示された前図のような変化は南半球 化は明らかに太陽活動の影響を受けており, 1 1年変化及 - 6一 " ' O 組 〆 O ー 一 一 SUNSPOTN凶ABER -R 刈N F Al L 1 9 2 0 1 9 : 却 1 9 4 0 1 9 5 0 1 9 6 0 YEAR A . n R-2図 北半球の三つの緯度帯における年間雨量変化と太陽黒点数 点付き実線は年間平均雨量 ( X a n t h a k i s,1 9 7 3 )で,実線は規格化された太陽黒点数. 70-800N 帯及び 60-700N 帯の解析にはアメリカ,ヨーロッパ及びアジア地域の資料が O-60oN 帯においてはアメリカ地域の資料しか用いられていない. 用いられているが, 5 缶仕一。 ︻白zuz 一 可 ゴ 歪 ZEJ42EOZ20EMUE 、ノ 2 ぴ2 2 年変化を示している.しかも 1 1 年変化は緯度 により,あるいは時期によって太陽黒点数変化と 同位相であったり,逆位相を示したりすることも 興味ある事実である (King ,1 9 7 5 ) . 5 . 太陽黒点数とオゾン A n g e l l and Korshover ( 1 9 7 3 ) はアローザ ( 4 70N), トロムゼー,上海及びニューヨークに おけるオゾン全量の変化と太陽黒点数変化との関 係について調べた. 0-1図にその結果を示す. ・ ー 宮 │ 05 H0 8A RT( 4 3 .1 4 7E) 一 + ・ . , ., . , プ +.誌協7 l 臨 調o1 9 0 0 1 9 1 0 1 9 2 0 防 団 悶40 防 o 1 9 6 01 宮崎 YEARA. D . R-3図 オーストラりアの緯度の異なる 2地点 I C おける雨量の年々変化 1 7S,1 4 6 " E)とホパート ( 4 3S,1 4 7 ケア γ ズ ( O E )における年間雨量の平均値からの差をイシチ で表したものである.曲線は 8-15年のフィルタ ーを用いて周期分析したもので,上向き矢印は太 9 7 4 ) 陽黒点数極大期を示す. (Bowen,1 ・ ・ - 7ー 乙若干 図から分かるように,オゾ γ全量は位相 I のずれはあるが太陽黒点周期とかなりよく一致し た周期で変化しているのは興味あることである. 但しこの曲線はオゾ γ全量の変化を示すもので, その中には当然大気の運動の影響も含まれてお り,この図から直接太陽活動とオゾ γの関係を議 論することは難しいが,しかし両者の関係を示唆 する興味ある図である. 太陽活動が直接オゾン量を変化させるのか,そ Mo ー 円 . " 句 、 一 ー一小 (OZ凶N A 0W FORTALEZA WS.39 ) 2 5150 3 毒ω コzzd Jg nunu 可噛& 1 8 9 5 1 9 0 5 YEARA . D . 1 9 1 5 1974) が発表した南ア 上図 A は M 灯 油 am ( メリカのフォルタレザにおける年間雨量で,下 図 Bは年平均太陽黒点数を 2太陽黒点周期の形 こものである.上向き矢印は太陽黒 式に図示し T 年までの聞 点数極小期を示し, 1865年から 1925 に 6太陽黒点周期の値が含まれている. n u R-4図 雨 量 の 2太陽黒点周期変化 oa的Zコ的 gMm三コZ ト 1 8 8 5 R J V 内 ζ ︾ 。 'hu 'F 。 。 n u t - → ﹂ 鰯 n u ι 。 1 3 W 3 7 1 7 1 内 u nunu z凶曲三コZ トoamZコ的 。。。 B ↑ 前 野 呂T↑ ↑ 、 L一 1 9 1 0 ー 引y 一一ー 1 9 2 0 1 9 6 0 1 9 7 0 R-5図 南 ア フ リ カ 3地点における 年間総雨量変化 (Tyson,1974) の 2太陽熱点周期 凶 。 E凶田三コz N toamZコ的 下段の図はこの期聞における太 陽黒点数を 2太陽黒点周期の形式 I C図示したもので,上向き矢印は 太陽黒点数極小期を示す. o 、場長 れとも太陽活動が気象ζ l影響を与え,そ ぜ; ; ; J ~<[ 1 9 3 0 1 9 4 0 1 9 5 0 YEARA . D . 1 = ; ; : MAY1 2逗 M A Y I I の気象が更にオゾン量を変化させるのか これだけでは分からないが,いずれにせ よ太陽黒点数とオゾン量との聞の関係は 太陽活動と気象の関係を考える上で重要 OJ~ …同U 引 担 雲 仙 : 1 '3 1 包Z5 刷 q l 扇 町41864 R-6図 な事実と恩われる. 1 8 7 4 1 8 8 4 回4 1 9 0 4 1 9 1 4 1 9 2 4 Y E A R A . D . 悶 41 9 4 4 "クォータイル"の 2太陽黒点周期の変化 上段は規格化された太陽黒点数を 2太陽黒点周期の形式に ornish(1954) によって求められ 図示したもので,下段は C 0 年 たオーストラリアのアデレードにおけるクォータイルの 1 間移動平均値である (King,1 9 7 5 ) . P a e t z o l de ta l .( 19 7 2 ) は,中部ヨー ロッパ地域(南ドイツのワイゼナウ,ウ クJレ,ベルリンとスイスのアローザ〉に おけるラジオゾンデによる成層圏オゾン の観測結果をとりまとめて太陽黒点数と の比較を行った. 0-2.a図は 1951年 か ら1972年にわたる期聞において,高度 20 - 8一 ‘ ‘ , 、 ' J a 生∞E 凶 圃 2 2 z .. 1 0 0 0-1図 オゾ γ全量と太陽黒点数 との関係 o g 色 a。 上段の曲線は太陽黒点数, 2番目以下はアローザ ( 4 ' ア ' N ) , ' トロムゼー (70・ N),上海 ( 3 1 。'N)及ぴユュー冨ータ ( 4 1 ・'N)における全オゾ γ量の変 化〈克表示〉で,いずれも却 か月移動平均値を示す.長い 1 年移動平均値, 2段 破線は 1 自の右の部分応援近して図示 してある短い破線は地球全体 の全オゾ γ量の変化を示す. このスケールは図の右側に付 けてある.,アローザのスケー J レ ζ i対してトロムゼーのスケ ールは 2倍,全世界変化のス ケー JレはlJa1となっていること に注意.図の右側にある数字 , -2 E zsl ' E ・ 0 4 : i 」AfJ 費 E -5 は,太陽書量点数とJt t~会畳一 変化の相関係数が最大になる ヘ ようにずらした月数,r はそ のときの相関係数,%は有意 水準を示す. ( A n g e l la n d K o r s h o v e r, 1 9 7 3 ) 叩 -2│ 1 9 5 0 1 9 4 2 1 9 5 8 1 9 4 8 1 9 7 2 1 9 5 4 0 . 2 2 2 0 0 r 、 ‘l 目﹄﹁ -L 1 9 7 0 → ~--.... n u I人\下\,~大‘火久 ~L 仁し"イ JイJ, “ 1 9 ω19M AC 1 9 5 5 .................J... . ; , . , . . . . - 、 l 円 9 5 0 , / 、 ¥ 、 斗0 . 2 0互 Ea 気持 マ λJ 0 . 2ト ; ミ 《 叫 剛 l 《 ωi f ¥ il i i 刈l 0 l 8 i ~ T cmQ, cm03 I 0 . 16 0-2.a図 成 層 圏 オ ゾ γ量の変化と太陽黒点数 2 0 . . . . . . . 3 0 k m高度における成層圏オゾ γ量の変 化 (do 釦 2 0 8 他国〉と太陽黒点数 ( , R ) との関係 を示す.黒丸がオゾ γ量 (cmO.)を表し, 1 点は 5 0 . . . . . . . 7 5個の観測値の平均を示している. P a e t z o l d,1972) 破線は太陽熱点数を表す. ( - 9ー oO ∞ l ∞ 2 R 0・2 . b図太陽黒点数の関数とじての 成層圏オゾ γ量 Z O . . . . . . . 3 0 k m高度における成層圏オゾ γ 量の変化 (dOa, 2 0 ・ skm) は,太陽黒点数 ・ (R)の極めてよい一次関数として近似 P a e t z o l d ,1972). される ( . , 1 ' L ' 目 " ' : 3 0・ I tm の成層闘オゾソの変化と太陽黒点数を示じたも Y量は減少していることが見られる.今後詳細 K検討す のである. 1 9 7 2年の値は太陽黒点数、 (R)の減少に伴 る必要があるが,太陽活動の減衰に伴って宇宙線強度が って著しく減少し主いるので,この図には示されて\,~な 増加し,従って上空て宇宙線によみてつくられる イォ γt l L、 が増加し,その結果 NO が増加し, NOがオゾ γを破壊 してオゾ γ量の減少を来すという過程をこの図は示唆し これから分かるように,却" ' ; " 3 0正 mーにおける成層圏ォ ている ゾγ は太陽黒点数とかなりよい関係にあり"':太陽黒点数 の増加に伴って成層圏オゾ γ量の増加が見られる.この Dobso I le ta l .( 1 9 2 9 )は地磁気じよう乱自に少量で 0叩鈎 ことは次のようた簡単な式で表される.す今わち 2 はあるがオゾ Y量の増加することを指摘している.とれ' k r r i高度のオゾ ! γ量を ' d o , i o ・s k皿とし,太陽黒点数を 8 は時間スケー J νは短いが傾向は 0 -3図に示したものzと同 Rとすると じである.すなわち,地磁気じよう乱時〈太陽活動の盛 ・ . ・ ・ ・ ・ , d08, 20脚k m = 0 . 1 6 1 + ( 2 . 1 : : ! : O・ f )・ x10-4RcII108 (NTP) んな時〉に紫外線の増加することも考えられるが,一方 宇宙線強度は減少し,従って上空での宇宙線によるイオ で表される.これを図で示すと 0-2.b図のようになり, γ生成量,ひいては NO の量が減少し,それによるオゾ 両者の聞にはかなりよい相闘がある.これによると下部 γ破壊は少なくなり,結果として地磁気静穏時(太陽静 成層圏におけるオゾ Y量は太陽黒点周期の聞において, 穏時〉より相対的にオゾ γ量が増加するととも考えられ 変化することになる. P a e t z o l d 普通の場合なら,約 10% る. e ta l .( 1 9 7 2 )は,これは太陽活動の増加に伴い,太陽 ー-〆寸 W e e k se ta l .( 1 9 7 2 )は太陽プロト Y の増 以上の外, からの紫外線の放射強度が強まるためだと考えている. 加に伴ってオゾ γ量が減少することを報告している.こ 0-2.a図ζ l示す成層圏オゾ γ量に対して太陽黒点数の れは太陽活動に伴ってオゾシが減少するという点で前に 外に字書官線強度の蓑期変絡を訴すと 0-3図〈北村他, -~ P 述べたことと一見矛盾するように見えるが,太陽プロト γによる電磁作用を考えれば,むしろ前述のイオ Y によ るオゾ γ破壕の考え方を支持するものと恩われる.すな'、 1 9 7 4 ) のようになる.図中資料の不連続があるが,傾向 として太陽黒点数の減少に伴って宇宙線は増加し,オゾ 同可、 O s @ @・ 65 64 バ ' ' ' ゐ2 • d - v ,. fr'ht a , 、 , "58S ' I 00 i - ,,JY ・,, ‘. t 、 . ¥ λ一 ‘晶可‘ "0 .6 ザ 6 "611. j 島 守 ,. C R mlωlωIm--mim-ml 仰lmiωlmlm 阿国 ,.,,津EIEla av. ,.,, , It--p i-at d a o o a --tlJIll﹄ ﹂ @e │ 唱Rm・ 0 . 0 0-3図太陽黒点数,宇宙線強度及び成層関オゾ γ量の関係 Rは太陽黒点数,CRはディープリゲァーにおける宇宙線中性子成分強度年平 均値の変化〈スケールを逆にとってある), 08は 却-3Okm高度におおける成層 -2.a図に示したのと同じ(北村他. 1 9 7 4 ) . 閑オゾ γ量 (cm08)を示し. 0 . 、 戸 ー 噌 ム nu わち太陽プロトンの;憎力r H乙より上常におけるイオ γが増 ゾン量;を変えるのかまだ明らかではないが,太陽活動と 加し,その結果 NOが増し,それがオゾ γを破壊し,オ 成層圏オゾン量との関係は,太陽活動と気象との関係を ゾン量の減少を来すものと考えられる. 論ずる上からも,又成層圏物理学それ自身にとっても重 要な問題であるとともに,成層圏環境の面からも重要な 以上述べたことから分かるように,太陽活動がオゾン 量を変化させる機構については大別して二通りの考え方 問題であるので,この方面の研究は今後益々推進される があり,一つは太陽活動の盛衰ζ i 伴って紫外線が増減 必要があろう. し,その結果オゾ γ生成量が増減するという考え方であ 6 . 太陽活動とその他の気象現象 り,もう一つは宇宙線及び太陽プロト γ 等の粒子線が上 前節までに述べた気象要素以外 I Cも太陽活動の影響を 空でイオンを生成し,その結果 NOが生成され,それが 受けていると思われる現象がある.雷活動もその一例で オゾ γ を破壊するという考え方である.この場合,太陽 ある.また,これまでは太陽活動の指数として専ら太陽 活動ζ i対して宇宙線と太陽プロト 少r γ とは変化の傾向が異 黒点数を用いた解析結果について述べたが,太陽黒点数 なり,一般には宇宙線強度は太陽活動が盛んになると減 以外にも,太陽フレアーや地磁気 K指数(地磁気活動の 少し,従ってそれは結果的にはオゾン量を相対的 I C増加 度合を表す一種の指数)を含めて地磁気じよう乱現象等 させることになるが,一方,太陽プロト が太陽活動の一つの指標として用いられることがある. γ は太陽活動の 盛んな時期に多く,結果としてこれはオゾ γ量を減少さ これらと気象要素との関係についてもこの節で述べるこ せることになる.このように太陽活動が粒子線を介して とにする. オゾ γ量を変化させる過程には増減相反するこつの要素 S-1図は太陽黒点数と雷活動との関係を示すものであ があり,実際はそれらの競争によって決まる. る.両者の聞には極めてよい関係があり,雷活動もまた 太陽黒点数とともに 1 1 年変化をしていることが分かる. 現在のところ,オゾンが気象を変えるのか,気象がオ ろうか.それを S-2図に示す.ここでは太陽活 , ‘ EEES EZug-一釜石室 5 5 2 4 3 Z 4 M 2 z j 動の指標として H α フレアーを用いる.いずれ の期聞においても H α フレア一発生日より 3- 山山由 n u ω E凶国苫コZ トO且凶Zコ間口凶N-J42EOZ 、 sI ν 内 巴町船 -BD﹂﹂凶L O Z 一 太陽黒点周期という長い期間に対して,数日 間という短期間について両者の関係はどうであ 4日後に雷活動が増加する傾向が見られる. S-1図(長期の変化〉においても S-2図(短 期の変化〉においても太陽活動と震活動の聞に よい関係が見られる sのは緩めて興味あることで ある.これは前節でも触れたように,太陽活動 が盛んになるに伴い,宇宙線強度が減少し,そ の結果,宇宙線による大気の電離が減り,大気 電気伝導度の減少等大気の電気的性質を変化さ せて雷発生に影響を与えるという可能性も考え られる.宇宙線強度の 1 1年変化や太陽フレア 言 Z J W 早白 一発生後の変化等時間的 I C符合しているのは示 o JV l 笥 3 YEAR A . D . 1 9 7 3 S-1図雷放電と太陽黒点周期 唆的である.機構についてはまだ明確ではない が,太陽活動に伴う大気の状態の変化の一面を 表すものとして興味ある事実である. 上の曲線は"雷放電指数"とも言うべきもので, イギリス全土 I C分布している電力施設への落雷度 数の 5年移動平均値を示したもの ( S t r i n g I eJ l ow, 1 9 7 4 ) . 下の曲線は規格化された太陽黒点数を表 す(定義により 1 9 6 8 年以後の値は,この時点、では 求められなかった). 一日ー 次に太陽 H α フレアーと成層圏大気の運動に 関する観測がある. S-3図はツークスピッツ ェ(高度 2 , 964m)において測定した大気中の Be-7及び P-32の濃度である. これらの図は日αフレアー発生の日から 2- .品 ・ . 3日後 lζBe-7及び P-32の濃度が増加して いることを示す.これは H α フレアーに代表 される太揚活動の影響により上層大気の運動 が盛んになり. Be-7及び P-32を含んだ成 層圏大気が対流圏約 3kmの高度まで降下す るためと考えられている ( R e i t e r .1 9 7 3 ) . 太陽活動と大気の運動ないし気温に関係す るものとして等圧薗高度変化の観測がある. Schuurmans( 1 9 6 9 ) はフレアー発生後の最 初の高層観測による 500mb等圧面高度とそ の24 時間前の高度との差について締度ごとの 平均を求めた. S-4図にそれを示す.両半球 ともフレアー発生後に極光帯付近において犠 ‘ 、 臨μ 加していることは示唆的でるり,極に近づく 程減少している. 太陽活動の指数として太陽黒点数やフレア ーの外に地磁気嵐現象を用いる場合がある. (c ) = (ロ)t( b ) その中で地磁気変化度を表す地磁気 Kp指数 を用い,それと気圧変化との関係を調べたの にM u s t e l( 1 9 7 2 )の仕事がある.彼は 1890年の聞の 1 2 月から 2月までの冬期聞につ 1 9 6 7 いて地磁気嵐後の北半球各地点の気圧変化を S-2図 Ha フレア一発生日の前後における雷活動 H α フレア一発生日を O日とし,重ね合わせの方法 によって,その前後における雷発生頻度を求めたもの. 縦軸は 0日の値からの差をパーセ Y トで表示したもの a )図は 1961-1965年. ( b )図は 1966-1970年 , で. ( ( c )図は 1961-1970 年の期聞における値を示す ( B o s s ta l . .1 9 7 2 ) . o l a s c oe 求め,その地理的分布を調べた (S-5図). 日本を含めて極東地域では地磁気嵐後には気 圧が減少する傾向が見られる. R o b e r t sandOl son( 1 9 7 3 )は地磁気嵐に ∞ よる 3 mbトラフ指数の変化を調べた.こ こでトラフ指数とは気圧の谷の南北の長さと -6.a図の斜線部 東西の帽の比で定着する..S ・ 却E20・ W20 ・ N200Sint~1 2and S-3図 H α フレアーと高度 3kmにおける 大気中の Be-7及び P-32濃度との関係 H α フレアー発生の日を O日(図の中央の広 幅の縦線で示す)とし,ツークスピッツェ(高 度 2.964m) において測定した Be-7及びP-32 の濃度につき重ね合わせの方法によって求めた 図である.図の上段の 2図は Be-7の濃度,下 段 の2図は P-32の濃度を示す.左列の 2図は フレアーの強さ 2以上の全部のフレアーに対す るもの(個数 no=45)で,右列の 2図はフレ アーの強さ 1以上のもので,太陽面上における 00 E . 却 .W. 2 OoN . 20・ s フレアーの位置が 2 の範囲内にあるものに対する観測結果(個数 no=25)でるる.垂直の俸は標準備差を表す. ( R e i t e r .1 9 7 3 ) -12ー " " - 0 . 6 E vl 2 0 , g ' 0> 500mb 90 -0,2 -04 c ~-ひ6 ~ -0,8 ・ . Southern h e m i s p h e r e(N=56) 一一oN orthern hemisphere( N = 8 1 ) 0 ー1.0 -1'2 J〆 5-4図 フレア一発生後の 500mb等圧面高度変化 フレア一発生後最初の高層観測による 500mb等圧面高度とそれより 2 4 時間前の高度との差で, 各緯度ごとに平均したものである.黒丸は南半球,白丸は北半球におけるもので,資料個数はそれ 6及び 8 1個である. (5chuurmans,1 9 6 9 ) ぞれ 5 助 ゐ 〆 官 N 羽 、4 5 P I o n o n : : ; 7 h レ ト ノ 日 ││ z;::Ihトパ~I E 1 5 M 作子 ? l 1 2 γ 4 5 l A A i j i z 玄 A十 5-5図地磁気嵐後における気圧変化の北半球分布図 1890~1967年の聞における 12月から 2 月までの冬期聞について行った統計結果で,図中黒丸は地 磁気嵐後気圧が上昇した地点,白丸は気庄が減少した地点!L対応する.下の六つの閣は上の北半球 < :対応する気圧変化を示す統計的曲線である. ( M u s t e l,1 9 7 2 ) 図の六つの地域 1 - 1 3一 ( i v )に示されている. (i)図は 1 9 6 4 / 6 5年 , 1965/66年及び 1 9 7 0 / 7 1年の冬半年における平均トラフ 指数 I tの日々変化を示す. 0日から約 1週間,キートラフの方がそれ以外のト ラフよりんが大きくなっている ( i i )図は(i )図と同じ期聞について平 均渦度面積指数の日々変化を示したもの である.ここで渦度面積指数とは,渦皮 20x1 0 -5S 1の面積と渦度 24x1 O -5s -1 の面積の和で定義する . 0日から約 1週 間キートラフに対する渦度面積指数がそ れ以外のものより大きく,特に 2日目は 刊μ 著しく増加しているのが目立つ. (iii) 図は 1964~71年の聞における冬期l 5-6.a図北太平洋における標的地域 聞について同憾の統計を行ったもので, 斜線部分で観測されたトラフにつき,地磁気嵐との 関係において統計を行う (RobertsandOlson,1 9 7 3 ) . 分,すなわち 400N 以北で,かつ 120'Wから 1 8 0 'まで の地域を標的地域とし,地磁気嵐が発生しているときに この地域で確認されたトラフ又は地磁気嵐後 2~4 日以 これはトラフの発生が確認されて以後の日数を示したも ので,地磁気嵐発生以後の日数としては,これに,平均 として 生した日を O日とし,それ以後 1 2日間の追跡を行い, ト 3日を加える必要がある. ( i v )図は ( i i i )図を求めるのに用いたのと同じ資料を期 内にこの地域で発生したトラフをキートラフとし,前者 については地隊気嵐の日を,後者についてはトラフが発 1~2 日自にキートラフ (94 個の平均) の渦度面積指数の増加が見られる.但し 間を二つに分げてミj Z 均渦度面積指数について同様の統計 を試みたものである. ラフ指数の消長を調べた.その結果が 5 6 .b 図の (i)~ 1 4 0 0 . 6 0 W t n l e rH a l fY e a r s 1 9 6 4・6 5 ,1 9 6 5・6 6,1 9 7 0 ・7 1 0 . 5 0 W i n l e rH a l fY e a r s 1 9 6 4 ・6 5,1 9 6 5・6 6,1 9 7 0・7 1 a 、 , 1 2 0 l. ' 38K e yT r o u g h s , 、 ' ( " . r、 、 . f ¥ f I , 、ー同‘ 、 ./〆 x w 0. 40 '‘・ノ〆 . , " ,~ ,0.30 1 3 8K e yT r o u g h s . 1 、, 、 一 ' ‘ 、 , 、 、 、 ・ ー、 、 ・、 〆 , /L 、、-----" 、 グ" ' ¥107 N o n K弘 、 F '~\ T r o u g h s 0 . 2 0 旬 、 ι 望 1 0 0 a 壬 ・ 、 " i . ; . : . , . 一、-""¥ 、 I/; ー 旬 、 J向、~./ 、 、 二 五 両 I 、 , 司 - 、 , >-Q ヒ oM 匂, 戸 g 弘 海ι J 1 E fBO 〆 6 0 〉 40 0 . 1 0 o D z3 2 0 o 4 5 6 7 2 3 4 5 6 7 日 91 0 1 1 OAY OAY ( i i ) (i)と同じ矧聞における渦度面積指数 の変化 (i) 1 964/65年 , 1965/66年 , 1 9 7 0 / 7 1 年の 3回の冬期聞における平均トラ フ指数 Zの変化 5 6 .b図 地磁気嵐発使後のトラフ指数及ひ‘渦度面積指数の変化 人主総はキートラフ,実線はそれ以外のトラフに対する平均値を示す (RobertsandOlson,1 9 7 3 ) . - 14一 1 2 1 1 0 ∞ -NEa-wo-M-XMロz-quzqLPLF-u-LFEO﹀ ば,その運動は磁場によって支配され,従って磁場と気 . . . . . 9 4KeyTroughs ,¥ Ai' 象との聞に何らかの関係の存在することが予想されるか /¥ I II / らである. この節では磁場の時間的,空間的変化とそれに伴う気 . . //¥「 ー¥1 r'/ i I 8 0 園 、 、、 lr - , ー . , 9 0 ¥ ¥ 1/ . ¥ ¥1/ , 7 0 関空間磁場の変化 I C伴う気象の変化,次 l 乙地球磁場と気 ¥ ‘ 、 ¥1/ y/ 象要素の変化について概観することとする.初めに惑星 ¥ 象との関係について述べる. 300Non-KeyT r o u g h s 7 . 1 惑星間空間磁場と気象要素 喝 6 0 7WINTERS 1 9 6 4 7 1 5 0 o 人工衛星の発達によって,惑星関空聞における物理量 の直接測定が可能になった.この節で述べようとする惑 星関空間磁場もその一つである.そして太陽の支配下に 0 1 1 1 2 2 3 4 5 6 7 B 9 1 ある惑星関空間磁場構造と気象 I C関する研究も進められ DAY ~,~ ( ii i ) 1964~71年の 7 回の冬期聞におけ る渦度面積指数の変化 てきている.その一端をこの節で紹介したいと思う. 惑星関空間磁場は平均的 I CI M l図に示すような構造 をもち,太陽を中心として通常四つの扇形構造を示し , '、 ー 、 、 一 " , ' 寸 ¥ 一 1 0 0ト/〆 ¥--36KeyTroughs F ノ " 、 、 、 , 、 、 , 、 、 、ー'¥ 1 9 6 4 ・6 5 1 9 6 5・66 ・7 1 1 9 7 0 ており(時期によっては二つの扇形構造になる場合もあ る).相隣る扇形内の磁場は逆向きで太陽方向か又はそ E u w o u - -制 の逆方向に向いている. 、 内 u nvnu awn--nu u -トEO﹀ Z4ME H凶oz-4MZ4 ﹀ト I 8 0 許 可 1 1 4Non-KeyT r o u g h s 1 I M l図は 1963年の宇宙船 I M P lの観測から求めら れたものであり,空間の平均的な状態を示したもので実 際は平均からのずれがあるが,それはここでは示してい ・6 7 1 9 6 6 1 9 6 7 . ・6 8 1 9 6 8 ・6 9 1 9 6 9 ・7 0 6 0 o 1 2 3 4 5 6 7 8 91 01 1 21 3 DAY ( i v ) ( i i i )で用いた資料を二つの期間,すな わち 1964/65年. 1965/66年. 1970/71年 の 3 回の冬期間(上段の曲線)と 1966~ 智J' 70年の 4回の冬期間(下段の曲線)に分 けて統計した渦度面積指数の変化 S 6 .b図 (つづき) 7 . 磁場と気象要素 前節までは太陽活動と気象要素との関係について述べ てきた.その際,太陽活動の指標として,太陽黒点数, 太陽フレアー,地磁気じよう乱現象及びそれを表す地磁 気 Kp指数等が用いられた.これらはいずれも太陽活動 の一つの側面を表す指標として有用であるが,更に,磁 場と気象との関係を知ることは.r 太陽活動と気象J ζ I関 する本質的な原因を探求する上にも重要である.すなわ ち,太陽エネルギーは電磁波及ひ'粒子の形で地球 I C注が れるが,いわゆる「太陽活動と気象Jの本質的な原因 が,もし太陽から放射される荷電粒子であるとするなら Fhdv 3 . 0 且 M M IU . 5 ~ 2 と ~ ← u J . x a . . . . Mt . " r d . . .x 一' 昭 唱 X 凡 ~ El15 E N ~_] ,".;"'"110 < [ ' ・ . M O , .d &.u, 企 虫 色 〉空 1 0 5 ト.三 X l o o E g 。 956 録 2 . 0 、仇%・~CJ....', x\" 3e ・ JE.2 ) ( ) てc ・ 。 . Q .~)( . • ~ . . 民 ♂ 3 町 ぜ 〈 ト・ • ・ . . •.. ・ 0 ・ ・ . 、 .. . . . 8 ちょ:, o t x1p x -AAA~ 】 x~_ A ~ 1 .5 ・・I(.~ X . Q 〉 -: • _~ ,o,企品 z a .0 < t 1 芝 。 。0:.5 -. -3 -2 1 0 3 的凶コJ4 ﹀ hhOEM由主コZ Kp 指数 (3時間ごと)を用い,扇形境界が 地球をよぎった日を O日とし:重ね合わせの方法 によって求めた.横車由 IC扇形磁場境界通過日か p指数を示す. ( W i l c o x CK らの日数, 縦軸 I andC o l b u r n,1972) 70 ( W i l c o xandNess,1965)*. 90 1 1 0 1 5 0 1 3 0 2 VOR T lCITYAREAINDEXx1 05km 扇形磁場の境界における地磁気活動度の変化を示すと IM-4図渦度面積指数分布 Kp指数は扇形の境界が地球を通 l対する渦度面積指数の平均値 矢印は全資料ζ で,斜線の部分は扇形境界地球通過 1日後の分 布.斜線の部分が全体の平均より小さいことが ta l .,1974) W i l c o xe 示されている. ( 過した 1日後に増大することが分かる. 一方,冬季における平均渦度面積指数(第 6節参照〉 乙示すようになる の変化を見ると IM-3図 l 6 4 IM-2図惑星間空間扇形舷場境界地球 通過と Kp 指数の変化 IM-2 図のようになる 4 均九 POSITIONWITHRESPECTTOSECTORBOUNDARY, DAYS ない O ' 2 扇形境界地球通過の日を O日とし,その前後 の渦度面積指数(様軸)を冬季の資料により統 ta W i l c o xe l .,1974) 計したものである. ( . 1 9 6 7 x1 9 6 8 . . 1 9 6 9 釦U ・2 IM-3図惑星間空間扇形磁場境界の地 球通過による渦度面積指数の変化 . . O ・ 4 DAYSFROMSECTORBOUNDARY 企.品 副M Z 1 2 0 H t ( W i l c o xe a l . . 1974). 扇形磁場境界が地球をよぎった 1日後に渦 度面積指数は最大の減少を示しており,その減少量は誤 己分けた場合について,扇形磁場境界の地球通過前後の l 差の範囲より透かに大きい. 渦度面積指数の平均的変化を求めたものである.このよ このことは IM-4図の渦度面積指数分布にも表れてお り,扇形磁場境界通過 1日後の渦度面積指数の減少がは っきり認められる. これらの資料を色々の規準で分類して統計したのが うな分類を行ったものについてもその統計結果は IM-3 図に示した特徴が保たれており,扇形磁場境界の地球通 C渦度面積指数の減少が見られる 過 1日後 I t ( W i l c o xe a l .,1974). IM-5図である.上段の二つの曲線は53例の扇形磁場境 それでは以上に述べたような扇形磁場境界の通過と渦 界の内,磁場の方向が太陽方向から逆方向に変わった場 度面積指数との関係は,どの高度でも,又どの地域でも 2 9例〉について,中段は 2 4例)及びその反対の場合 ( 合( 成立するのであろうか.これに関する 3 1例)と 5日まで ( 1月 1日から翌年 1月 1 上記冬期間を 1 7 4 )の研究を以下に紹介しよう. ( 19 ta W i l c o xe l . 2 2例〕の前後 2期間 IC分け 1月1 1日まで ( 6日から 3月3 0 0,3 0 0 .5 0 0 .700及 IM-6.a図 Kは渦度面積指数の 2 年まで た場合について,下段は同期聞を 1 9 6 4 年から 1 9 6 6 び 850mb高度に対する変化が示されている.各曲線と 2 7 例)の前後 2期間 ( 2 6例)と 1 9 6 7 年から 1 9 7 0 年まで ( も扇形境界通過より::t6日の聞に極大及び極小が見られ *このような惑昼間空間磁場の扇形構造に対して最近では別のモデルも提唱されているが,ここでは触れない. - 1 6一 、 、 造と雷雨発生回数との関係全 120 POLARITYCHANG 己 記 : 、 1 1 5 、 ¥ . . . . ' ? ' で コf¥TOWARDS-AWAY!! ふ ¥FROMSUN(2411 i 、 " " " ' 1 ' . : : /'、 ¥ I 1 / . ' 1 1 0ト こv ・・60LARlTy ¥ ~/ CHANGEAWAY¥r'¥ // FROM- TOWARDS'l ¥ SUN(29) 1 ' ' ; : ' ・o : : j 〆 N υ一ト巴O﹀ aε00同 { E S O 一X}XUOZ一4MZ4 ﹀ ヒ 由 J 幅は必ずしも一定ではないので,ここでは地球の扇 司 、 ¥ 〆 へ 、 、 I M 7凶に示す.扇形の 形磁場境界通過日数を 8日間と規格化1:.-,正扇形(磁 場が太陽と反対方向に向いている場合)から負扇形 (磁場が太陽方向に向いている場合)に移った日及び 〆 その逆の日をそれぞれ O 日及び 8日とする.この図は 1963~1964年の太陽 15回転の聞の扇形磁場について統 116JAN- 3 1MAR(22) " .....….....ヤ』じ/千~"........... 計したものである. 110ト ¥ー/し'ふ¥/./¥ / 、.リ 1 / ¥ 移るときに最大となる.平均値Xと分散。とが示され 1 1 5 Vi ¥ ¥ι/I j : ・¥ /¥〈‘ j ¥て / / ¥ 1NOV-応削 J 州 州( ヨ 3 d ぽ . 小 掛 5h 眠 、 ¥ 乙 凶から分かるように,雷活動は正扇形から負扇形i . 子 ト . 、¥ ¥ ¥ . . . ¥ ¥ ¥ . . . ¥ ¥ . . . ¥ 孔 、 σ におよんでいる. ているが,このときの依はほぼ 2 / 、 . . . . . ノ / 105 扇形隊場の中にはその中で太陽プロトンが放出され, 1967-1970(27) rh入. 、ー(〆 f しかもそれが長期間持続し太陽自転と共に回帰するも y v. . . . . 1 〉〆│//父、 二 のがあるが,それに対する結果を下図の点線で示して J . . . ・ . 110ト / 、 1964ー1966(2 旬、 へ/ / ¥ 1 . . . / ある.結果は実線とほとんど同じ傾向を示している (Markson,1971). ・.7 105 、.....~・y 以上のほかに惑星間空間磁場の極性によって地球極 、 , , ' 100 -4 -6 -2 0 2 4 地気!王に変化があるという興味ある報告もなされてい 6 る. DAYSAFTER CROSSINGSECTORBOUNDARY I M 1表にそれを示す.すなわち惑星間空間磁場 の正の向き (Away) 及び負の向き (Toward)に対し I M 5図 冬季北半球渦度面積指数の変化 l の向きの場合に気圧が高く,反対 て,北極付近ではJ; 1964~70年の冬季における扇形磁場境界の地 ζ n 球通過53例を,三通りの規準で資料を 2: / t 分 けた場合の各々に対する北半球渦度面積指数の 紬の意味は I M 3図 平均的時間変化を示す.横i Wilcoxe ta l .,1 9 7 4 ) と同じ. ( 20 200MB 300MB る.渦度面積指数が最小になる日は l高度によって少 しずつずれているのが見られる. これに対して,渦度面積を 40X105km2 前後の大 きいものに限って統計したのが , ず この場合も ~OOMB I M 6 . b図である. I M 6 . aI 翠と大体同じ傾向を示している 700MB ことが分かる. I M 6 . c図は成層圏における影響を調べたもので, 8~OMB 10,30,50,100m bにおける渦度面積指数の変化を 示す.対流圏において見られた扇形磁場境界通過の 影響は成層圏においては顕著ではない. 1Mー6 . d図は上述の傾向の各経度による違いを示 している.この図で見る限り,渦度面積減少の様子 は経度により少しずつ異なるが,経度によって特に 顕著に現れる場所はない. i 品度面積指数の緯度別の変化を I M 6 . e図に示す. 前l ζ指摘した傾向は 300N 付近において最も顕著に 現れていることが見られる. 次はやや話が変わって,惑星関空間の扇形磁場構 . 2 0 4 6 I M 6 . a図 異なる高度における渦度面積指数の変化 1964年から 1970 年までの冬季 ( 1 1月から 3 月まで)において地球を通過した54の扇形磁 場境界に対して 200N の各高度における渦度 面積指数を重ね合わせの方法で求めたもの. ここでは渦度 20x1 O . g -1以上のものについ て計算した.上から 200,300,500,700及び 850mb高度における変化.また図の上側 I C i 品度面積 (105km2 単位)の最小,最大値及び W i l c o xe t 較差を各高度別に示してある .( 9 7 4 ) a l .,1 - 17- C回 争4 -2 f IM-6.c図 成層圏における i 角度面積指数の変化 高度の違いを除けば他は I M-6.a図と同じ. DAYS ArτER SEC10R BOUNDA向V looM8 ~O"B 30"B 10MB IM-6.b図 異なる高度における渦度面積指数の 2 前後の場合) 05km 変化(渦度面積 40x1 ζ l IM-6.a図と同じ. 対する条件を除けば他は 渦度面積 DAYS AFTER SECTOR BOUNDARY B50MB 100MB ~ooMB 300MB 200MB -4 -2 OAYS AFT!肉 SECTOR OOuNOAR1 4 ‘ 0・60W 0 0 F IM-6.e図 各緯度帯における 300mbの渦度面積指数の変化 2 0N から 7 0N までの聞を 1 0 .間隔の緯度帯ζ l分け,その中にお M-6.a図と同じ. ける渦度面積の平均的変化を求めた.他の条件は I AYSAFTEASfCTOR80U 健O ARY ・ -2 .0・70 。 00.6 40.50 30-40 20 ・ s 。 LATITUDE BELT IM-6.d図 各経度における 300mbの渦度面積指数の変化 6 0 .間隔の経度をとり,その区聞における 300mbの渦度面積 M-6.a図と同じ. の変化を求めた.他の条件は I ‘ - 。 。 ・ 目 。w 6 N o r m a l i z e d十os t an d a r d8-day5 e c十o r =4-3 -2 1 +0 2 。 '. . . , ; : r ; jeoo 5~3'E 岡山同C柏崎1" 判明開 3 4 5 6 CすorsHtowardS u n ド 一 一 令 .I_ 7 u 1Y ( ) 4 1-ー~ z 2 々全斗 6 7 L ; e斗 J¥9γ s9 6 γ e J-4;BJY 汁???『 89 円 7 7 い -31 ~ 4 2-5 E -6 』 ー 唱#' l 比:r.n l:' _.......I....._.l.. _~?osltlve _I~ト 30E 岡山5(5ec旬ば 5 8 C 旬 r 5, () . 0刷 YfromS un 55b 一村一一1-----(+) 事 」 { ー ] て 54 中 戸 4 8 3 ア a L..J IM-7図 惑星関空間扇形磁場内の地球の位置による雷雨指数の変化 一つの扇形磁場境界通過期聞を 8日聞に規格化し,反対極性の扇形ζ l移った日を O日及び 8日とする.縦軸は雷雨指数.上段の図は主として負扇形内,下段の図は正扇形内における 雷雨指数の変化を示す.山総!の上下の数字は各扇形内での日数を示す.下段の点線は太陽プ ロトン流の存在する扇形について求めた結果である. (Markson,1 9 7 1 ) は極大を示し,それ以後低下の傾向を示している.極め IM-1表惑星間空間磁場の極性と地球極 ta l .,1 9 7 2 ) 地気圧 (Mansurove て粗い言い方をすれば,地磁気の増加が気温の減少に対 I n t e r p l a n e t a r yf i e l d P r e s s u r e Northern p o l a rs t a t i o n Southern p o l a rs t a t i o n Away 1 0 1 1 . 1 応していることをこの図は示している.雨量の極大時期 も大体気温のそれに対応している.これらの現象に対し てまだ何ら確定した理論はないが,太陽活動ζ l伴う粒子 Toward Away Toward 1 0 1 6 . 3 線の役割を示唆して興味ある図である. 9 8 6 . 2 Wol ¥ ine ta l .( 1 9 7 4 ) は,有史以前の温度の情報を伝 9 8 2 . 7 えるものとして深海底堆積物の分析から得られた酸素同 位元素 018の時間変化と古地磁気との比較を行った に南極付近では正の向きの場合ζ l気圧が高くなっている (G M-2図).上段の曲線が O日の年代ごとの変化を示すも (Mansurove ta l .,1 9 7 2 ) . ので,図左端の矢印で示すように 018の含有量の多い時 7 . 2 地球磁場と気象要素 期が寒冷期ζ l対応する.下段の曲線はその時代の地磁気 GM-1図は今世紀初め以来のイギリスにおける地球磁 強度で,地磁気強度の増加の時期が地球の寒冷期に対応 場の変化と気温及び雨量の長期変化の様子を示す ( King, しており, GM-1図で述べたことと同じ傾向を示して 1 9 7 5 ) . 地球磁場は 1 9 3 0年前後に極小i f 皇を示し,その後 いる 増加の傾向を示している.地磁気の極小期において気温 . 6 7で で読みとって比較すると,それらの相関係数は 0 -19一 4年間隔 018 と地磁気強度変化の時間変化を 5X10 47 , 800 一)﹂﹂司比Z-qz {的凶工UZ 248.000 喜48, 200 ~ 4 8. 400 ~ 48, 600 あ z μ』 ~ 47 , 600 5 , !47 , 700 E41800 ~ 47,900 2 48, 000 48 ,1 0 0 1 9 0 0 {ULMZ コト4巴凶丘三凶ト ﹄可唱 4 2 0 8 444443 47 , 600 1 9 2 0 1 9 4 0 1 9 6 0 1 9 2 0 1 9 4 0 YEARA.D 誌 、ι GM-1図 地磁気強度変化と気温及び雨量の変化 左列の 2図はイギリスのエスクダルミュア(左上)及びストニハースト(左下〉 における地磁気強度変化曲線(平滑化した値〉で,いずれもスケールを逆向きに とってある.右上は W oI l ine ta l .( 1 9 7 3 ) の発表した資料から求めた中部イング ランドにおける冬季気温を示し,右下は Wales-Smith(1973)の報告より求めた イングラ γ ド及びウエールズにおける年間雨量曲線である. (King,1975) ,﹄ ↑一 O﹂OU) EEn , ‘ { m ZMOXO 凶oo ・ ﹄ 担 。a -O 凶4 国 o ﹀ 一 S P 2 e 5 ' C l E至 w 、 , Rも' ~~ 4 三 1¥ マ 常 3 2 P . 1 05YEARSB: 4 GM-2図 O 018E 変化と古地磁気変化 古い時代の温度の情報を伝えるものとして深海底堆積物の分析から求められた 酸素同位元素 018の年代変化と古地磁気変化とを比較したものである.上の曲線 l対応する.下の曲線が約 5X が 018の変化で,含有量の多い時期が寒冷な時期ζ l ine ta l .,1 9 7 4 ) 1 05年前までの地磁気強度変化を示す.(WoI ある.地磁気と気温の逆相聞のはっきりした関係が,実 3図の実線である.同じ図の中 l 乙不変量緯度串を点線で 万年という長い期聞にわたっても成立していること は50 示す.この図!から分かることは, 850mb等圧面平均高 が分かる. 度の分布は地理緯度よりもむしろ不変量緯度に沿って分 Bradley(1973) が発表した 1964~1972年の 7 月の 850 布していることである.すなわち, 850mb等圧面高度 mb等圧面平均高度を地理座標の上に図示したのが G M は地理的条件よりむしろ地磁気の支配を受けて分布して 申地球磁場を中心双極子磁場によって近似し,ある磁力線が赤道函と交る点の地心からの距(次買につづく〉 ~ 2 Qー から地磁気強度の経度変化を描いたものである. 500mb 等圧面高度は 1918~58 年の期間の資料に基 づくものであり,地磁気資料は 1 9 6 5年のものであ る.図中磁線でマークした部分だけが異常に高い値 を示しているが,その他の部分では二つの曲線は約 2 5 の位相差を示しながらかなりよく似た経度変化 0 を示している. 1974a) は次のよう この約 25・のずれを King( 6 ' d , に考えた.すなわち,上述のように 500mb等圧面 高度の資料と地磁気の資料との間には時間的にかな りの開きがある.ところで,地磁気パター γ は西方 , 吋 に移動することが分かつているので,この時間的ず 1 0 0 L o n g i t u d e("W) れが両曲線の位相差を生ぜしめたものと考えた林. GM-3図 850mb等庄面平均高度分布と不変量緯度 I X O 1964~72 年の 7 月の 850mb 等圧面平均高度 ( B r a d l e y,1 9 7 3 ) の分布を地理座標の上 I C実線 King,1 9 7 3 ) で示す.点線は不変量緯度を表す.( いるように思われる ( King,1 9 7 3 ) . 同じような研究が他にもなされている.GM-4.a 図は Palmenand Newton( 19 6 9 ) によって示さ れたものである. 500mb平均等圧面高度分布は, C支 少なくとも高緯度地方においては,地理的緯度 I 90W 配されているようには恩われない.これに対して GM-4.b図は 1 9 6 5年における 400km高度の地磁気 等強度線を示す.これを用いて 400km高度におけ る北半球地磁気等強度線を描いたのが GM-4.c図 である. GM-4.a図と c図はかなりよく似た分布を 示しており, 500mb等圧面高度分布は地理的緯度 。 よりはむしろ地磁気強度分布に支配されていると GM-4.a図 500mb等圧面平均高度分布 King( 1 9 7 4a)は主張している. GM-4.a図から, 6 00N における 1月の 500mb等 圧面平均高度の経度変化を求めると GM-5.a図の 点付き実線のようになる.実線は同様に GM-4.b図 1918~1958年の 1 月における 500mb 等圧面平 均高度(デカメーター表示)の北半球分布を示す. (PalmenandNewton,1 9 6 9 ) 離を r oとし,次にその磁力線上のある点と地心とを結ぶ線と赤道面とのなす角をえとすれば, 2. c o s J=r / r o (1) なる関係が成り立つ.ここで ro=LRe( R eは地球半径) (2) によって定義される量 L を導入する.次ζ i未知の磁力線が地球表面を切る緯度を λ とすると, (I)及び (2)式から cosA=L-1/2 (3) なる関係が得られる. この dを不変量緯度という.一般に磁力線l ζ 沿って運動する荷電粒子の反射点における磁束密度の大き . とするとき,双極子磁場中における粒子の運動は ( B , . ML )をもって記述される. さを BM 0年に約 3・といわれているので, GM-5.a図における 2 50の位相差を 林地磁気パター γ の西方移動の速度は 1 説明するには移動速度の不均一性か,又は他の原因を考えなければならない. - 2 1ー 90WI 。 / ・、・-、‘ -120 0 “ 】 、 Ll I n g i l u d c(Ocgn . . 1 0 ' ' ' 1 ) -60 1 1 1 J 山間 〆 ∞ 点付き実線は GM-4.a図から求めた 6 00N に おける 1 9 1 8 1 9 : 日年の 5 mb等圧面平均高度, 実線は GM-4.b図から求めた 1 9 6 5年の地磁気強 度.地磁気強度のスケールは下が強くなるよう にとってある. ( K ing ,1 9 7 4a) 0 GM-5.a図 60N における 500mb等圧面 平均高度と地磁気強度の経度変化 -IHU J ? 、 , . ー 403km高 度 附 け る 地磁気等強度線北半球分 布図. 1 9 街年の値で, GM-4.b図より描いたも のである. ( King,1 9 7 4 a) JE 内問、 GM-4.c図 北半球地磁気強度分布 5 1 1 ) “ υ E u-JU 4d 問 1 9 6 5年の 400km高度 における地磁気等強度線 分布を示す. ( S t a s s i n o p o u l o s . ,1 9 7 0 ) GM-4.b図 地磁気強度分布 {EZMご句、, 2SEED町・百三国一匂ヱ 0. 51 1 . 1 0 . 4 1 0 0 4 2 ‘ , ‘ .• n u s md ・ 一 5 4 0 r.e ← . .500mb口r ( 剥f t 凶 一Magnetic ω iiI c t i ' 5 1~ RdRd 0 J ・ 53E u ト ・ 5 5岩 ゆ GM-5.b図 600N における 5 0 0 mb等圧面平均高度 ( 2 5 西方にずらした曲線)と 地磁気強度の経度変化 ( ! ) 重 0 ・ 5 7的 Z ト 民叫 o hO トZO一凶エ {的広凶↑凶24U凶Q} ﹂凶﹀凶J a E O O師 h お 。t o t h e愉 s t)十 4 9与 5 9~ b 6 1 5 泊〆; 5 0 0 1 8 0 1 2 0 6 0 0 6 0 点付き実線及び実線の意味 9 7 5 ) . は前図と同じ (King,1 ; 6 3~ 1 8 0 1 2 0 LONGITUDE(DEGREES E応Tl そこでこの図の 500mb等圧面平均高度曲線を西方 l ζ 2 5 W i n l e r 3 0 0 0 Summer 3 1 0 9 7 5 ) . ずらしてみると GM-5.b図のようになる (King,1 3 0 5 2 9 0 司,戸内J , , , ,/ 白 以上のことは,気象に影響を与えると考えられる太陽 LII 度の低い所とが対応している. AUOW 8 7 見られる. しかも地球磁場の強い所と 500mb等圧面高 , , この図に示されるように両者の聞にはかなりよい一致が 粒子線(荷電粒子〉が地球磁場 f C制御され,その結果こ のような地域分布が生じ,間接的 f C地磁気が気象を支配 するという形になることを示唆している. 以上のような推論が正しければ他の高度についても同 様の傾向が現れることが期待されるが, 500mb以外の 高度ではどうであろうか.又,冬季(1月〉だけでなく, J 3 3m レ Jヘ l ¥ !:!¥¥ 5 6 5 包.D 520~I / ¥ ¥、 5 6 0 I .~υ" 3510V1) 夏季の高度についても果たしてこのような傾向が現れる , 5 - であろうか. GM-6図がこの間いに答えている. 去 この図から等圧面平均高度は夏冬いずれの季節におい ても,又図ζ l示したいずれの高度においても,その経度 l伴 が見られる.すなわち,地磁気強度分布の西方移動ζ って,等圧面平均高度分布もまた季節及び高度を関わず と移動していると考えてよさそうである(Ki ng, 西方 l 1 9 7 4a) . 'い 〆¥二、 ~60b/\\ 、 _ ,1 9 1 5 ~401 8 2 0 I X O G Mー7図は以上に述べたのと同様のことを 2次元的に 9 2 5 ハ¥ 9 3 3 年から 1 9 5 1 年の聞に西方 I C移動していること 分布は 1 1 2 0 臥 1 2 0 9 1 0 0 L o n g i l u d c(Dc g 同国 W C S l ) 9 3 3 年から 1 9 5 1 示したものである.この図によっても, 1 GM-6図等圧面平均高度経度分布の西方移動 年の 1 8年聞に 500mb等圧面高度の峰も谷もいずれも西 600N,西半球における 700mb(上段), 5 0 0 mb(中段〉及び 300mb(下段〉の等圧面平均高 度(デカメーター表示〉の経度分布を示す.左 列が冬季,右列が夏季 I C対するもの.破線が 1 9 3 3 年,実線が 1 9 5 1 年の値である. (King,1 9 7 4 ) 方に移動していることが分かり(どの峰や谷についても 実線が点線より西側にある),しかもこれらの現象は中 l 高緯度における一般的現象と思われ,気候の長期変動ζ - 23ー 15r7~(8~きたW GM-7図 冬 季 に お け る 500mb等圧商 高度分布 上段は 1933年を中心とした 12~2 月の等 1hJfF 6 0 庄面高度分布で, 5 0 0デカメーターから 5 6 7 デカメーターの聞を 6 . 1デカメーターずつ 1 1区分してある.中段は 1 9 5 1年を中心と した前後 5年聞における 1月の等圧商高度 00デカメーターから 5 7 0デカメー 分布で, 5 0デカメーターずつ 7区分して ターの聞を 1 ある.下段は上,中段二つの図における峰 9 3 3 年 , と谷の位置を示したもので,破線は 1 9 5 1年前後のものを示す(King, 実線は 1 1 9 7 4 ) ー 、 何らかの関係を持っているかもしれないこ 5 7 0 とを示唆する興味ある現象である. これまでは北半球における等圧面高度分 布について述べてきたが,南半球ではどの ようになっているであろうか. GM-8図 は 500mb等圧面平均高度の緯度変化である. 60.S付近において実線と点線の差が最大 になっている.これは GM-4.b図から分か 5 6 0 E 泊 三5 5 0 包J U 伺 宅 」 ー ・ a5401』 .D るように地磁気強度の最も強い地域である. E5 3 0 o o ・ r 、 この事実もまた気象 (500mb等庄面高度 ' o5 2 0,1 分布〉に対する地雌気の影響であると King . r : e n ~ 5 1 0 ( 1 9 7 4a) は考えている. ω 国 』 最後に等圧面高度以外の気象要素の空間 分布と地磁気との関係はどのようになって 句 』 ~ 〈 いるかを見てみよう. GM-9図は地磁気強 9 7 4b)を示すもの 度の空間分布 (King,1 で , こ の 図 の 上 三 段 の 図 は Bean e ta l . 6 6 )によって発表された北半球, 1 1月 ( 19 における三つの気象要素分布に対応するも のである.すなわち 1番上の図はスケー Jレハイト*で対流圏の平均気温 K対し, 2 5 0 0 4りO' 一 一一4 0 5 0 6 0 7 0 XO 9 0 lW 7 0 6 0 5 0 4 0 Lalilud~ u l o n g6 0W m~ridiun L a l i l u d cu l o n g1 2 0Em~ridian L a l i t u d e(D~grc~s S o u t h ) GM-8図 500mb等圧面高度の緯度変化 w 1 2 00E子午線ζ l沿い, 4 0・ Sより南極を通り, 60 ・ 子午線ζ l沿う 40.Sまでの緯度変化を示す. 実線は観 < :沿う曲線(図の左半分〉 測値,破線は 60.W子午線 1 の鋭像. (King,1 9 7 4a) *高度 zにおける大気分子の平均質量,重力加速度,気温及びボ Jレツマン定数をそれぞれ m(z),g (z),T(z) 及 び kとするとき H(z)=kT(z)/m(z)g( z ) で定義される H は長さの次元をもっ量で,これをスケー Jレハイトと呼ぶ.静力学的平衡大気中において高 度 zにおける気圧及び密度をそれぞれ p(z)及び p (z)とすると, dp(z)/dz=-p(z)g(z) となり,又 n(z)を大気粒子の数密度とすると p(z)=n( z )灯、 ( z ) であるので (次頁へつづく) - 2 4ー ¥ 番目は平均地上電波屈折率"湿潤項"林の分布で 地上湿度の分布 l 乙対応する量 3番目は平均地 上電波屈折率“乾燥項"料で地上気圧の分布 I C対 応する量であり,最下段は地磁気強度 (CGS 単位友示〉分布図である. この図において上述の気象 3要素の分布はい ずれもおおむね地磁気強度分布と似ており,地 磁気強度の強い地域において平均気温は低く, 湿度は小さく,且つ地上気圧は高くなっている A z - のが特徴的である.すなわち,等圧商高度だけ FZE4﹂ 凶白コ﹂ _/ でなくこのような気象要素もまた地磁気の影響 i n g( 1 9 7 5 )は主張している. を受けていると K oone ta l .( 19 7 3 ) の発 以上のほかに VanL 行した資料による波数 1の波の平均振中高の緯度 l示すようにオ 変化をみると, GM-10図上段ζ ーロラ帯で最大になり,又 M i l e s( 1 9 7 4 )の資 料によって太陽黒点数最大期と最小期における 地上気圧の較差の緯度変化をみると,同じく GM-lO図下段に示すように,オーロラ帯で最 大になるという事実も示されている. 3 又 , GM-11図上段に示された全オゾ γ量の 1 1 8 0 1 9 7 4 )が同図下段ζ l示す地磁気 B及び L値 ( 2 3 8 L O N G I T U D E( O E ) GM-9図 三つの気象要素の空間分布と地磁気強度分布 上の三つの図は B eane ta l .( 19 6 6 ) によって発表され た北半球, 1 1月における三つの気象要素に対応する量の分 布を示す.一番上はスケールハイト, 2番目は電波屈折率 "湿潤項ぺ 3番目は電波屈折率"乾燥項ぺ最下段は地磁気 K i n g .1 9 7 4b) 強度分布図. ( 1 dp p dZ一 年間平均の最大値の分布 ( L o n d o na n dKel Je y, ベージの脚注参照)の分布 l とよく似ている.こ のような事実も気象要素と地磁気との関係を示 i n g( 19 7 5 )は指摘してい 唆するものとして K る. pg mg _~ 1 一誠1 ' -~7lr-- ~百 となる.従って任意の高度における大気圧は ω z ρ 仰 州 ( 収 の )=p(山 (ここで z 勾oは基.準高度) で表すことができる. 等温大気においては p ( z ) = P ( Z o )exp( 一( z z o ) / H ) で,この場合 H は気圧が基準高度における値の l / eになる高度である.また H は大気の実効的な厚みを 表すものと考えてもよい. 料電波屈折率を n とすれば 7 9 I~ e , 4800 e ¥1 •0 ^ _ " 1-1=~~ r.ρ 一一一+ 一 一 ! ・ 。 問 T¥ ' 7 T J で表される.ここで T,p,e,はそれぞれ気温 (K),気圧 (mb),水蒸気張力 (mb)を表す.いま仮りに P=1000mb,?=300K, 円Ombけ れ ば , 電 波 屈 折 率 唯 燥 項 " は 手t=2悦 な り , 官 潤 項 " は 7 9{ e , 4800e¥ T¥7' T I であるが,第 1項は第 2項 I C比べて 2桁も小さく,結局この依は 4 2となる. 一一一一 -2 5一 9 o 642 ∞∞∞ ミ之4 ~ -601 静 ξ H 60 30 B E L T O 、 L 0'6 9 0 ζ O O 30 60 L A T I T U D E( O N ) O L O N G I T U D E( O E ) 90 GM-ll図 オゾ γ全量分布と地球磁場 との関係 e l l e y( 19 7 4 ) によっ 上段は London and K て求められたもので,オゾ γ全量1 3 年間平均の 南北両半球における最-大値の分布を示す(単位 は m i l l i a t m o s p h e r ec e n t i m e t e r ) . 下段は同じ く両半球における地磁気 B値及び L値の最大値 の分布を示す. (King,1 9 7 5 ) n﹃ 内 エυ 00 E} 霊コ2-X420Z4 {﹄ υ d h 2 コ2-z-2 トoamZコ的 Z M凶﹀﹀ト凶∞ 比巴コ的 Z一凶OZ4 凶区コ的的凶区内也凶 怪 即 炉 - i A U R O R A L ﹂ 凶zog凶回一ミコZ凶﹀4﹀﹀﹂4z-Oコ ヒozoJ OZ一﹀一司工 ZO一 ト4-E4 ﹀υ一応凶工仏的02F 4 LO 凶Oコ↑一JaE4Z4凶2 2 Z凶↑,OZO﹂ e o o 90 の三つの原因が考えられる.すなわち, (1) 電磁波, GM-lO図波長 1の波の平均振幅並びに 太陽黒点数最大期及び最小期におけ る地上気圧較差の緯度変化 (2) 粒子線, (3) 地球大気の力学的機構,である. それらの各々について以下簡単に触れてみよう. C示される 前者は上段,後者は下段 f (King, 1 9 7 5 ) . (1) 電磁波 1 .1 ) "太陽定数"の変化 8 . 太陽から地球 l 己注がれるエネルギーの大部分は光であ 太陽活動と気象」に関する仮説 太陽活動が何らかの機構を通して気象に一定の影響を り,太陽定数が 1 0% 変動すれば氷河期生成の説明もつく 与えていることは,前節までに述べたいくつかの事実か と言われている. しかし;最近数十年の太陽定数観測によ ら認めざるを得ないであろう.それでもまだ疑うとすれ ると, 0.3% 以上の変化はないだろうという結果になっ ば,それを説明するモデ‘ Jレが確立されておらず,理論的 ている.大きくみて 0.3%の変化を仮定しても,それに 背景を持たないということのためであろう.確かに「太 よる気温の変化は 0.6C程度という見積もりもあるが, 陽活動と気象」に関して理論と言い得るものは現時点に 現実にはもっと大きな変化が起きているので,その原因 おいては残念ながら皆無である.この問題は気象学だけ C帰するのは無理のようであ のすべてを太陽定数の変化 f でなく,太陽地球間物理学,超高層物理学及び成層圏・ る. 0 しかし,もし太陽活-動の変化による太陽定数の変化が 中間関大気科学の発展を抜きにしては考えられない. 「太陽活動と気象 Jζ関する木格的理論の確立は今後 f 僅少でもあるとすれば,当然気象はそれなりの影響を受 にまつこととして,この節ではこの問題fC関してこれま ける訳で,将来この方面の測定技術の開発により,観測 でに提起されたいくつかの仮説文は可能性について列挙 の精度向上が望まれる次第である. 1 .2 ) 太陽紫外線の変化 してみることにしよう. 太陽活動の気象ζ l及ぼす影響を考える際,大別して次 太陽フレアーのような短期の太陽活動に伴う太陽紫外 - 26一 ¥ 線放射の!首加することはよく知られているところである の熱構造 K変化を与え,それによって大気に一定の影響 が,もし太陽黒点 1 1年変化に伴う太陽紫外線放射強度の を与えることが考えられる一方, ( i i )成層圏汚染の問題 P a e t z o l d,1 9 7 2 ) とすれば,第 5節で述べ 変化がある ( にとっても重要な過程である.すなわち,人間活動によ たようなオゾンの 1 1年変化が起こることも考えられ,そ るオゾ γ層破壊の影響を論ずる場合にも自然による変化 れを通して大気の熱構造が変化し,気象の 1 1年変化の起 を知っておく必要があるからである. 太陽プロトンについても同様のことが言える.但し, こる可能性も考えられる. (2) 粒子線 太陽プロトンの地球への入射は高緯度地方に限られるこ 2 . 1 ) 太陽風プラズマによる大気の加熱 と,及びその強度は太陽活動と正の関係にあることが宇 太陽から放射される太陽風プラズマが磁気闘を通過し 宙線の場合と異なる.実際はこれら正負相反する二つの て直接中性大気に与える影響についての考察もある.も . / 効果の競争によって決まるものと考えられる. しその可能性があるならば,太陽黒点周期の聞に惑星間 光が直進するのに対して粒子線(荷電粒子〉は磁場の 空間磁場,太陽風の速度又は密度等が変化し,それによ 影響を受ける.第 7節で述べたように気象要素の変化が って太陽風と磁気圏の相互作用が変化することも考えら l支配されている事実から,粒子線による機構の可 磁場ζ れ,これらの効果を入れた機構が考えられなければなら 能性は無視できない問題のように思われる. ない (3) 大気の運動 しかし,これが地球大気の運動に直接変化を与えるに 3 .1 ) 準共鳴現象 W i l l i s, はエネルギー的に見て不十分のように恩われる ( 1 9 7 6 ), 前にも触れたように,超高層現象が直接下層大気 K影 響を及ぼすことはエネルギー的l 乙見て困難なように恩わ 2 . 2 ) 太陽風プロトンによる水蒸気生成 れる.これに対して Green( 19 7 4 )は共鳴現象に近い力 deT u r v i l l e( 1 9 6 1a,1 9 6 1b)は太陽風プロトンが地 学的機構が存在すれば,エネルギー的に弱い超高層現象 球中性大気中に突入して水蒸気を生成することを示唆し でも下層大気に影響を及ぼし得ることを主張した.しか ,1 9 7 1 ) によると,成層 た.最近の研究 (Mastenbrook し,この機構に関するしかるべき研究はいまのところ報 圏の水蒸気は太陽活動の増加に伴って増加していること 告されていないようである. が明らかになった.この事実が deT u r v i l l eの指摘した 3 . 2 ) 超高層における重力波の反射 Hines( 1 9 7 4 ) は超高層の熱構造の変化によって,あ 原因によるものかどうかは今のところ不明であるが,興 る条件の場合には上方1(.伝播する内部重力波エネルギー 味ある事実である.今後の研究が待たれる. 2 . 3 ) 高エネルギー粒子線による大気電離作用とそれ が超高層から反射され,中性大気を加熱する可能性のあ ることを指摘した. l こ伴うオゾン破壊 9 . おわりに 宇宙線による大気電離作用の気象への影響の可能性に ついては King( 19 7 5 )や Ney( 19 5 9 )等によっても示 以上,本稿では太陽活動の影響と思われる気象現象 唆されているところであるが,詳細な過程については述 の若干の例と,最後に「太陽活動と気象」に関するいく べられていない.宇宙線による大気電離の結果,次のよ つかの仮説を簡単に紹介したにすぎない.この分野は学 うな化学反応によって大気に影響を及ぼすことも考えら 問的にはまだまとまった体系をなしておらず,全くの空 れる.すなわち,高層におけるイオ γ 生成の結果,イオ 白地帯というべきである.むしろ今後の問題であるが, ン化学反応によって NOが生成され,それによって次の 当面なすべきことは ような反応が起こる. i) 現在までの統計結果の追試と拡張 NO+O ー→ N0 a 2+0 2 (1) NOd-O一一>NO+02 (2) i i ) モデルの確立と機構の解明 i i i ) そのための観測の突施 であろう. 従って Oa+O一一→202 本稿で紹介した例は,いずれも限られた時期の,限ら (3) れた場所における観測に基づく統計結果であり,その普 となり,結局 NOの触媒作用により高層大気中のオゾン 遍性については今後更に追試されなければならない問題 が破壊されることが考えられる.この結果 (i)高層大気 であろう. -2 7ー 最後に紹介したいくつかの仮説は,いずれもまだ理論 .S .( 1 9 7 3 ):Recenti r e e z I n gi e v e lc h a n g e s E r a d l y,R と称するには足るものではなく,むしろこれらを理論に andc i ¥ m a t i cd e t e r i o r a t i o ni nt h eCanadianA r c t i c まで成長させることが今後の課題であろう.それは又, 2 4 3, 3 9 8 4 0 0 . A r c h i p e l a g o .Nature, 同時に新しい学問分野の開拓でもある.この大事業は気 .A.( 1 9 5 4 ):On t h es e c u l a rv a r i a t i o no f C o r n i s h,E r a i n f a l la tA d e l a i d e .A u s t r .1 .S c i .R e s . A,7, 象学者と太陽地球間物理学者及び超高層物理学者との緊 ( A u s t r .J .P h y s ., 7 ),3 3 4 ・3 4 6 . 密な協力によって初めて成し遂げられるものであろう. 折しも, r 中層大気国際観測計画 J(MAP)が 1 9 8 0 年代 . M. ( 1 9 6 1a ):T e r r e s t r i a la c c r e t i o n d eT u r v i l l e,C fromt h es o l a rw i n d .Nature,1 9 0,1 5 6 . 初頭ζ i予定され,国際的にも圏内的にも関連分野の研究 者の協力体制が準備されつつあることは誠に時宜に適し d巴 T u r v i l l e,C .M.( 1 9 6 1b ):Reply t o comments たことと言うベく,その成功を期待するとともに,我々 by F r i t hand H a r r i s o non d eT u r v i l l e ' sp a p e r もまたその事業に対して積極的に協力する必要があると ‘ T e r r e s t r i a la c c r e t i o nfromt h es o l a rw i n d ' . Na- 思われる. t u r e,1 9 1,1 1 8 3 1 1 8 4 . これまで学問的空白地帯であったこの領域が多くの関 連分野研究者の協力によって開拓され, r 太陽活動と気 Dobson,G .M.B . , D.N. H a r r i s o nandJ . Lawrence ー 、 ( 1 9 2 9 ):Measurementso ft h eamounto fo z o n e 象」の研究が飛躍的発肢を遂げることを心から期待する i nt h ee a r t h ' sa t m o s p h e r e and i t sr e l a t i o nt o ものである. o t h e rg e o p h y s i c a lconditions--Part I I I .P r o c . 謝辞 R o y .S o c .A,1 2 2,4 5 6・4 8 6 . 本稿をまとめるに当たり,東京大学宇宙航空研究所大 Gloyne,R. W. ( 1 9 7 3 ) :The ' g r o w i n gs e a s o n 'a t 林辰蔵教授,同大学理学部等松隆夫教授及び気象庁気象 u m f r i e s s h i r e .M e t . E s k d a l e m u i rO b s e r v a t o r y,D 衛星センター河野毅技官にはそれぞれ貴重な文献をお借 Mag., 1 0 2, 1 7 4 1 7 8 . りした.又,京都大学理学部山元龍三郎教授には文献そ .S . A.( 1 9 7 4 ):No c o n s e n s u sy e t on c ¥ i Green,1 の他について適切な御教示を頂いた.なお,文献資料の 収集整理に際しては屋鋪弘子さんの御協力を頂いた.こ m a t e .Nature, 2 5 2, 3 4 3 . Hines,C .O .( 1 9 7 4 ):A p o s s i b l e mechanismf o rt h e こに記して謝辞とする. .Atp r o d u c t i o no fs u n w e a t h e rc o r r e l a t i o n s .J 参考文献 Ange , 1 lJ .K.andJ .Korshover(1973):Quasi-bienn i a l and l o n g t e r mf l u c t u a t i o n si nt o t a lo z o n e Mon.Weath.R e v .,1 0 1,4 2 6 4 4 3 . , . i3 1,5 8 9 5 91 . m o s .Sc K ing, 1 .W.(1973):Solarr a d i a t i o nc h a n g e sandt h e 4 5,4 4 3 4 4 6 . w e a t h e r .Nature,2 .W.( 1 9 7 4a ):Weatherandt h ee a r t h ' smagKing,1 .R . , B .A .Cahoon,C .A .SamsonandG.D. Bean,B n e t i cf i e l d .Nature,2 4 7,1 3 1 1 3 4 . Thayer( 1 9 6 6 ): A world a t l a so fa t m o s p h e r i c King ,J .W.(1974b):Reply t oS a w y e r ' s"G 巴o mag- r a d i or e f r a c t i v i t y . ESSA Monograph 1 ,U. S . n e t i s m and t h et r o p o s p h e r i cc i r c u l a t i o n " . Nat u r e, 2> 1 2,3 7 0 3 7 1 . Departmento fCommerce. B o s s o l a s c o,M.,1 . Dagnino,A. E l e n aand G .F l o c - , King J . W. 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D .C o l l o q u e sI n t e r n a - ¥ 、 、 、 - 3 0一 「ひまわり」からの太陽粒子データ 河 野 鞍* 1 . 太陽活動度指数 太陽活動と気象との関係を調べる場合,黒点数や, Kp等の地磁気指数が使われる ζ とが多い。 太陽活動とは何か,太陽活動度をあらわす最も本質的なパラメータは何か,といった乙とが依然不 明である以上,種々のパラメータをとりあげてみる試行錯誤はさけられない。太陽活動の特徴的な 現象のひとつに太陽フレアがある。フレアの機構についても解らない乙とが多いが,フレアの起き ている太陽表面領域から,多量の高速荷電粒子(陽子・電子・アルファ粒子など)が放出される乙 、斜 とが知られている。乙れらの粒子は太陽 地球聞の磁場に支配されながら地球周辺空間まで伝わっ て来,地球磁場のために主に南北両極近くの大気に突入する。乙の,フレアに伴う高速荷電粒子も, 太陽活動をあらわすひとつの重要な指数であると言えよう。 1977年マ月に打ちあげられ,今年 第 I表 「ひまわり」による太陽粒子観測項目 チャネル名 粒子種類 エネルギ一範囲 (MeV) ( c n i .s 1 ) 1 .2-4 0.0421 G P1 陽子 P2 1/ 4-8 0.0421 P3 1/ 8-16 0.0421 P4 1/ 16-34 0 . 3 8 9 P5 1/ 34-80 0 . 3 8 9 P6 1/ 80-200 0 . 3 8 9 P7 H 200-500 0 . 3 8 9 A1 アJレファ " " , = , : 1 1 グ 9-70 0.0421 A2 1/ 30一70 0.0421 A3 1/ 65-170 0 . 3 8 9 A4 H 130-250 0 . 3 8 9 A5 1/ 320-370 0 . 3 8 9 >2 0 . 3 8 9 E 電子 e o m e t r i cF a c t o r(幾何学的要素)上の 1 噸目が約 1 6 Gとは G 秒 lζ1回ずつ観測される。 〉ド気象衛星センター 4月から本格運用に入ろうとしてい C : : は , る静止気象衛星「ひまわり JI 画像取得のメイン・ミッションの他 に上述の太陽粒子の観測装置が塔 載されている占ミゥションとしての 名前は「宇宙環境モニタ J (SE M :Space Environment Monito r ) である。 S E Mは,太陽フレアに伴って放 出される陽子・アルファ粒子・電子 を第 I表に示すような 1 3チャネル に分けて観測する。ウォルフ数と呼 ばれる黒点数は,それの持つ物理的 意味があいまいであるという乙とは よく言われる。とれに比べ,粒子デ ータは,その粒子種類や.エネルギ ーが解っているだけに"何らかの" EA 唱 q a 定量な取扱いが可能である。 太陽活動一気象関係の研究に使える,いまひとつのパラメーターとも考えられる乙の粒子データ が「ひまわり」から得られており,自由に使える状態であるととをお知らせするとともに,乙のデ ータの現状について簡単に紹介しておきたい。 2 . 観測の現状 観測方法に闘するくわじい内容については,近く発行される予定の気象衛星センター技術報告N n 1を参照されたい。 GMSは昨年(1977年) 7月に打ちあげられてから, 1 0月いっぱいまでのミッション・チェッ 1月はじめから今年(1978年) 1月末までの仮連周期間 ク期間, 1 2月はじめから 3月末(予定) 、 . 、 p の試験運用期聞を経て 4月から本格運用に入る予定である。地上のシステムもとのスケジュール 、臨~ に合せて段階的にレベル・アップされてきた。乙れに伴い SEMのデータ取得期間も以下のように なっている。 ' ( 1 )' 7 7年 7月 -' 7 7年 10月末 各機器のチェックのため,定期的データ取得はなく,断片的にとれているに過ぎない。ただし, 9月に起乙った大きなフレアをカバーするため,パック・アップ局である筑波宇宙センターの協力 をお願いして 9月 18日-26日の 9日聞についてのデータを特別に編集し,現在清瀬の衛星セン ターに保管している。その 1例を第 l図に示す。 侶) ' 7 7年 1 1月 4日-11月 30日 毎日午前 1 0時-11時半の 1時間半のみ。 ( 3 )・ 71年 12月 1日 -' 7 8年 2月 4日 上記の午前中 1時間半に加え,夜中 1 1時半から約 3時間,合せて毎日約 4時間半分のデータがあ る 。 ( 4 ) ' 7 8年 2月 5日 現在 、抱牛 毎日, 24時間のデータが累積されている。ただし,計算機の不意のダウン等による若干の欠測時 聞はある。 データの質としては,いくつかのチャネルにかなり高い雑音がみられる乙とを注意しておきたい。 第 1図ζ y示すように,大きなフレアの場合はとのノイズレベルを越えて観測にかかるが,乙のレベル 以下の小さなフレアに対しては感じにくいという点を記憶しておく必要がある。 3 . データ利用の手引 3- 1 出版物による利用 衛星センターから毎月発行される予定の「月報 J (仮称)に約 10頁を SEMICあて,各チャネル -32- 咽 ー ー ー ー コD U {↑の wRUUの業 NZυ)¥の↑z ー ∞ ωl r L 6.00 8.00 12.00 14.00 16.00 18.00 ‘ ' 帽 ‘ 凶 2日.00 1977年 9月 19日の大きなフレアに対する「ひまわり」からの SEMデータの 1例 T I門E C U .T.) J帽 阿 付J 同/ r " " , . "関市 岨 . t . . l . . B 可 . . - 10.09 J 孔> > w伽吻』仰 ~~同4 P5= 34-80 門EV 2 5 2 ) 1977. 9.19.( 第 1図 a 長 G門5/5E門 TWO一門 1N 円VER円GE 4.00 T・ 」 " ' ' I " " 2.00 』 , -. , 山岨, ‘ . . . 同 D H g " = f Eじよ口同信↑ト一ト同開口013CHO g曲師二同志g 向 3E 22.00 ー 守 24.00 ~ の 1時間平均値がか月分まとめて印刷される予定である。 乙の月報は主な気象官署や研究所・大学などに送付されるが,その他の希望者にも無料で別刷を 送付するよう計画されている。また,数字のみではクイックルックに向かないためか月単位で 代表的なチャネルのカウント数をグラフで示す乙とも現在計画しているが,プログラムの整備とル ーティン業務の関係で実現性ははっきりしない。 3- 2 計算機による利用 , 衛星センターに入っている計算機は FACOM230-75で , SEM の時刻付き生データはすべて 磁気テープ (MT) ζ納められ,保管されている。センターでは通常,ビット密度 6250B .P .1 . の M Tを使っているが,乙れを 1600もしくは 800B .P .I.'と変かん,コピーすることは容易である。 M Tのトラック数は 9 トラック(8ピット+パリティ)である。センターにはカードパンチャがな 〆/ いのでカード出力はできない。 、 総ι 現在センターには,上の生データから 2分平均値を求め,プロットするプログラムや日ご とに 1時間平均値を打ち出すプログラムなどができている。 センター外部からのデータ利用に関する具体的な形態は,間もなく詳細が決められようが,基本 的には全く自由に使えるようになるという見通しを筆者はたてている。データフォーマットなど, データ利用に関して何でも知りたい乙とがあれば筆者まで問い合せられたい。 ヤ 、 -34- 冬 と 夏 の 天 候 に つ い て (n) 久保木光照* 1 . ま え カt き 前回,寒冬・冷夏 ('74) や暖冬・干ばつ('73) の例をあげて,大循環のパックグランドがな くとも,乙の過程をどう考えるか,予報の現場ではすでに避けて通るわけにいかない事情をのべた。 前報の冷夏の過程に対して,乙乙では暑夏の過程を議論しよう。 2 . 寒冬・暑夏の一般的経験則 暖冬・冷夏の経験則に対する暑夏の一般的経験則は次のようである。第 9表**は 1946年以後の ぷ議d 孟)以外の寒冬の順位を示したものである。と乙でも理解を便利にするた 北海道の大寒冬(-1.70C めに東北地方の気温を併記した。また乙れらの年の初冬(11月)の環流のー断面と冬に続く夏(7, 8月)の気温を示す。 初冬の亜欧大陸の偏西風の流れの特徴は,いずれもヨーロッパの気圧の谷と西シベリアの尾根の 発達を指摘する乙とができる。 第 9表寒冬・暑(並)夏の経験則 ¥ ぜ 〆 、 1 9 4 6-'77 * 1 )1 *2) 北 海 道 東 北 ヨ ー ロ ッ ノf ウ ラ Jレ m m 夏(7,8月) 冬 6T NoV. 北海道 東北 西日本 メ 。 c モ 7月カラ梅雨,西日本一部少雨 1976/77 -3 25 1 .6 0 . 9 0 . 0 0 . 5 0 . 5 67 -31 142 0 . 7 0 . 6 0 . 5 0 . 9 1 . 0 @干ばつ 7 5 -35 17 0 . 6 0 . 5 0 . 5 0 . 6 0 . 5 ⑪ 8-9月干天,一部干害 6 1 -39 54 0 . 6 0 . 0 0 . 8 1 .0 1 .2 カラ梅雨,東日本 7-8月50% 5 1 -63 37 0 . 6 0 . 1 1 . 1 0 . 6 0 . 4 7 0 -91 70 0 . 5 0 . 0 0 . 4 1 .2 0 . 6 4 7 -9 27 . 1 -0 0 . 6 0 . 2 0 . 5 0 . 5 @干ばつ * 1) 60N,10E,50N ,10E,20E 6Z @干ばつ 少雨 7-8 月 70~ぢ *2) 50N,60E 6Z 第 9図はとの 6例の平均的な東西指数の経過を示したものである。冬の前半で,北半球的にも低 指数循環が発達するが 2月には回復にむかう例が多い。乙の一時的な回復が,大寒冬と寒冬との 経過の差であるかもしれない。寒冬の後,おおよそ 3か月ほどのリズムで南北交換を繰り返し,夏 *気象庁長期予報課 **図・表および引用文献は前報に続く。 z o q o には高指数となっている。日本 . • 。 • • • • 2 3 4 5 ' 10 の夏の天候の特徴は全般的に少 E 20~/ -20 雨傾向が目立っている。また, 指数の乙の経過は暖冬・冷夏の 一般過程(第 7表 , 10例平均) と対照的な経過をたどっている。 寒冬・暑夏年に少雨,干ばつ ( a ) 寒冬・暑夏年 (47,5 1,6 1,6 7,70,7 5, ) 傾向が目立つ乙とは, 1897- 1945年の乙のような寒冬年 1 8例 m (表,略)を選ぶと一層明白であ 4 0 る。干ばつの記録は 11伊Lその 、 悩 ル 他の年も例外なし少雨が目立 、、 っている。 v ー2 0 試みに 1897年以後の日本の N . H .A Z 1 . ( b ) 暖冬・冷夏年 第 9図 ( ; ; : ; : : ; : : ; ; : ; : 〉 ) 干ばつは 27例指摘されている 1 ( 第 10表 ) 。 乙の中の 1 5例 ( 5 6 9 約は第 9表に示した乙の種の寒 東西指数偏差の経過 冬・暑夏年ζ i対応し,暖冬・暑夏年は 3例,その他の 9例は夏の北冷傾向の年の西日本中心の子ば つであった。 i示された乙の一連の環流および天候の経過は寒冬・暑(並)夏の一般的経験則 第 9表,第 9図ζ と名づけよう f 3 . 暖冬・暑夏の過程 ときに乙の一般則を乱すものは暖冬・暑夏の過程である。乙れらの年を指摘したのが第 1 1表であ る。暖冬・暑夏もまた尋常な環流型ではない。しかし第 1 1表を見る限り,初冬の亜欧大陸には優勢 な気圧の尾根が発達している ζ とが注目される。代表的な環流の模様を第 1 0図ζ l示そう。 ( 1 ):( a )図 ' 5 9年 1 1月の例である。 ヨーロッパは気圧の谷,モスクワ方面は+100mの正偏差域 l示した寒冬年 で,気圧の尾根が発達している。乙の特徴はその他の年についても同様で,第 9表ζ の前兆現象と似ている。 ( 2 ) :( b )図 乙のような初冬の環流に続く冬には大陸の尾根が発達してくる。しかし日本付近の流 *寒冬年の冷害は 1897年(明治 3 0年)の l例である。 冬季(北海道一 O . 4O . 4OC),夏(北海道一1.2o c,東北-0 . 3OC) C,東北-0 、 除 qd F o れの場はいわゆる"なベ 第1 0表 近 世 の 干 ば つ と 夏 の 天 候 型 1 8 9 7-1977 年 月 明 治3 0年(18 9 7 ) 7-8月 明 治3 3年 ( 1 9 0 0 ) 月 、、当雌〆 、 〆 崎 5-7 明治 3 6年(19 0 3 ) 月 7-9 明 治3 7年 ( 1 9 0 4月 ) 7-9 明 治4 2年 ( 1 9 0 9 ) 6-8月 大正 2年 ( 1 9 1 3 ) 月 6-8 大正 6年(19 1 7 ) 6-7月 大正 1 1年(19 2 2 ) 6-9月 大正 1 2年(19 2 3 ) 5-8月 大正 1 3 年 ( 1 9 2 4 ) 月 6-8 大正 1 5年(19 2 6月 ) 7-8 昭和 2年 ( 1 9 2 7 ) 5-8月 昭和 3年(1928月 ) 7-9 昭和 4年(19 2 9 ) 月 5-9 昭和 8年(1933月 ) 7-8 昭和 9年(1934) 6-8月 4 年 (1939) 月 昭和 1 5-9 昭和 1 7年 ( 1 9 4 2 ) 7-8月 8 年 ( 1 9 4 3月 ) 昭和 1 7-8 昭和 1 9年(19 4 4 ) 月 6-8 昭和 2 2年 ( 1 9 4 7 ) 7- 8月 昭和 2 6年 ( 1 9 5 1 ) 7-8月 3年(19 5 8 ) 月 昭和 3 3-7 昭和 3 5年(19 6 0 ) 7-8月 2年(19 6 7 ) 月 昭和 4 7-9 間 壬0 48年(19 7 3 ) 6-8月 日5 0年(19 7 5 ) 月 8-9 出 地 域 程度 九州,四国 ・ 中 •• •・ • B 北九州,山陰 西日本,東海 中 西日本,東海 大 O 和歌山,愛知,岐阜 西日本,東海 大 西日本 中 西日本,中部日本 大 O 近畿,中部日本 中 O 西日本,中部日本 大 O 西日本,中部日本 中 近畿,中部日本 司 王 A O 大 O 西日本 中 O 西日本 大 西日本,中部日本 大 O 全国 大 O O 西日本 中 O 西日本,中部日本 大 O 西日本,中部日本 大 西日本,中部日本 中 九州,四国 大 全国 大 幽 0:寒冬・暑夏 A 暖冬・暑夏 ・ ' 6 0年 1月,北 キング型 ( 冷)であったり,あるい は冬型の持続が 1か月く らい ('47年 12月 . '55年 1月,寒冬)で,いずれ も一時的なものに終って いる。 ( 3 ) 暖冬・暑夏のモデ jレ 前述の 4例の合成図を 1図で 的に示したのが第 1 ある。 ( a ) 初冬には亜欧大陸 では尾根が発達し .7000 60 Nでは強い正偏差と O 中 暖冬)であったり,プロッ を緯度平均偏差図で模図 A 西日本 ' 5 4年 1 2月 , の待状流 ( 作成し,乙の過程の特徴 ム 西日本,東日本 東北 ・ A 新潟,山形 東北 ' 4 9年 1 2月,北冷) 底型" ( 夏の天候型 なっている。 ( b ) 乙れに続く冬には 北半球,極東領域とも高 ム O • 緯度では正偏差. 50~ で では負偏差である。 しか し寒気の南下は一時的で, 0 冬平均では 400-30 Nで A は正偏差である。 O A.:冷害年 ( c ) 極東の 7 ,8月は高 .:北冷傾 指数型で,亜熱帯高気圧 は北上して発達する。 つまり暖冬・暑夏の過程は寒冬・暑夏の一般的経験則と対比すると冬型循環の流産"と考え -37- 第1 1表 暖冬・暑夏の過程 1 9 4 6-'77 ¥ ¥ No V . ヨーロ・I~~~ ウラ Jレヰ〈 冬 ムT 北海道 東 北 m 夏( 7.8月) 北海道 東北 西日本 1954/55 谷 7 6 0 . 8' f ; 0 . 6 1 .9 1 .9 0 . 3 50 谷 8 2 0 . 2 0 . 7 2 . 5 1 .8 -0 . 4 60 谷 2 3 0 . 1 1 .0 0 . 7 . 4 0 48 谷 79 0 . 3 0 . 7 1 .4 0 . 7 モ メ 5 0必 7月東日本猛暑. 猛暑 7月北陸2 6 9 6 0 . 9 @干ばつ 0 . 3 北陸 7-8月 開 │ ヰ < )5 0N.60Eのム Z 判臨シ Dec. 第 1 0図 暖冬・暑夏の年の冬の天気図 Nov Winter Summer 8ぴN 結砂 ¥ 7 0 印 5 0 40 3 0 o o50m ( 0 )E u r o s i a ( 3 0 " ^ ' 1 2 0 E ) 第1 1図 20 ( c ) F o rE a s t ( 90 ' 二170E) 暖冬・暑夏の過程(モデル) -38- ると都合がよい。冬の予報もしばしば失敗する。 4 . 暖冬・冷夏の過程(追補) ( 1 ) 暖冬・冷夏の一般的経験則の問題点 . 6- 1 .40C) に続く 7596は冷夏であることをのべた。しかし①冷夏と冷害の判 北 海 道 の 暖 冬 年 (0 定。@夏の寒気南下の環流型一一冷夏の領域。@前線帯の活動する位置などはまた別の資料によら ねばならない。 また暖冬に先行する晩秋 初冬の亜欧大陸の偏西風によって,典型的暖冬と北暖西冷型や冬型く ずれの暖冬を区別する必要がある。 ( 2 ) 北暖西冷型とその後の冷夏 、政グ 2表 第1 下て 顕著な北暖西冷型とその後の冷夏 一般則に対し,北日 1 8 9 7-1977 冬季(ム T) 北海道東北西日本北海道東北西日本 1962/63 1 . 4 且4 1 .3 0 . 1 6 8 0 . 5 0 . 1 1 . 5 0 . 2 7 4 0 . 5 0 . 2 。 。 ~0.5 1 . 4 0 . 1 1 . 0 0 . 3 0 . 8 0 . 2 *(56) 1 . 0 0 . 8 -0 . 1 2 . 3 1 .5 0 . 2 ( 5 7 ) 0 . 2 。 。 0 . 4 0 . 6 0 . 2 0 . 4 3 4 1 .3 0 . 2 1 . 1 1 . 6 1 .7 1 .0 2 6 0 . 9 且7 0 . 4 1 . 1 0 . 5 且I 1 8 1 . 0 0 . 3 1 . 9 0 . 0 0 . 9 0 . 3 * < )は典型的ではない。 第1 3表 メ モ 豪雪,九州地方豪雨,早冷 家雪,飛野川豪雨.早冷 豪雪,七夕.雨 多雪.冷害 諌早豪雨,早冷 豪雪.冷害・干ばつ⑧ 冷害・干ばつ@ 1 1 真冬の極端な低指数とその後の経過 (500mb ,極東域) 4 6 68 -9 5 6 自 381-191 -53 一73 5 7 3 4 ③① -99-168 3 1 11 9 ③ 一1 @ -49 1 0 9 -81 1 6 5 5 4 9 91 99 1 2 1 -53 -96 6 214 0 ① ー ぷ 〆 2 ① 1962/ 6 3 7 4 1 2 一32 4 0 1 -64 -59 8 1 低指数の順位牢) 7 911 7 1 冬 月 北 : l t 半 半 球 嫁 l 6 2 6 8① 21-27 48 -2 2 冬 月 極 北 半 東 球 ー ー1 1 0 1 3 7① 831 1 1 3 1 3 3 -6 一 2 3 暖西冷型は特異な冬の 天候として注目される。 第1 2表はこれらの年で には気圧の尾根が発達 1 0 7 6 4 -10 -53 @ 141-75 2 2 6 ず,大規模な極東の北 ある。初冬の亜欧大陸 1 9 4 6- 7 7 ¥¥』 本の暖冬!ともかかわら 8 4 9 6 15 4 2 -4 日 ;: i宝 章 二; : g するがその位置は一致 しない。しかし冬には 極端な低指数循環が現 われ(第 1 3表), また 第1 2図に示すようにア 1 2 -7 -38 -62 -18 -35 4 6 ラスカ方面のブロッキ ング高気圧の発達ζ l大 本)⑥⑥③は初年以後の低指数の順位を示す。 きな特徴がある。日本の冬は顕著な北暖西冷の傾向と日本海側の豪雪型として知られている。 夏は戦後の記録では低温害の起乙るほどの冷夏ではないが低指数循環で,顕著な悪天や早冷現象 が起こっている。古い記録では, 1926 (大正 1 5年)や ' 3 4 (昭和 9年)の北冷西暑の年が注目され る 。 ( 3 ) 暖冬年の特異な夏の天候 一般的経験則として,暖冬・冷夏の年 l とは 1 1月の西シベリヤには気圧の谷が発達している。これ に対し暖冬・暑夏(または寒冬・暑夏)の年 l とは気圧の尾根がみられ,夏の気温と正相関関係であ る。しかし気圧の谷でも,尾根でもなく,中緯度が高圧で帯状流の流れが強いならば,その後の日 -39- 本の冬ζ lは暖冬をもたらすであろう。しば しば南北交換は季節的におくれて 3月乙ろ 一一晩冬から早春に現われる乙とが多い。 4表はとれらの年のリストである。乙れ 第1 に続く夏のある時期には低指数循環が現わ れる。しかし天候は時間的にも,地域的に もきわめてコントラストの強い変動の大き な天候が多い。第 1 3図にいくつかの天気図 を示そう。 ( a )図:' 5 1年 1 1月 。 乙の種の典型的な初 冬の循環である。極うずはタイミノレ半島上 、 織 ル 空にある。中緯度は全般に高圧で,とくに 第1 2図 顕著な北暖西冷の天気図 注目している亜欧大陸は帯状流が強い。シ 4表 第1 ベリヤ大陸で尾根が発 暖冬・冷夏の特殊な型 1 9 4 6-77 ¥ 回 1968/ 6 2 49 1 1 4 月 0・ 彊 N欧 A大 Z陸 1 4. . ‘36 s 互の極東6,Z .Iと天候型刑 7月 -37"~ 0 . 1 0 . 2 -3 ~ 3 . 0 2 . 9 1 4 ~ -16 ~ 29 ~ 17 1 . 1 0 . 4 1 4 ~ 7 3 22 2 . 0 2 .2 -25 ⑨ あった。 e 7月西日本悪天, -23 e侮雨活発 1 . 0 8月冷害. j t 睡濠雨 ー7 6 19 0 達してくるのは 2月で モ メ 8月 t 0 . 6' 7 2 e:jt冷西署.~ *) 冬 季 北海道東北 乙れに続く夏の環流 をみると 北陸・北海道干ばつ ( b )図:' 5 2年 7月。極 5 . 4 7年 7月叢雨. 8月北干天 東域は低指数循環。悪 @干ばつ. 8月北日本大扇 天の中心は西日本で降 北署西冷の傾向を示す。 水平年比 147%,全国 の気温分布は北並西冷型。 6 9年 8月 。 7月は西日本中心の悪天 (166%) であったが (c)図:' 8月には一転して北冷西暑型。 道南から北陸地方では集中豪雨,西日本は 48~ぢの少雨であった。天気図は真夏の低指数循環である。 ( d )図:'73年 7月。日本海付近の編西風帯の尾棋の影響が強く,全国的に干ばつの年である。が, . 70C)や三陸(宮古一 0 . 20C) 地方は一時的にそ 一方ときどき北方高気圧が強まり,道東(網走一 0 の影響をうけている。環流は低指数型である。 ( e )図:' 4 9年 8月。西谷の傾向が強く,悪天の中心は南岸,東・西日本では 130%の降水,一方北 f 陸地方や北海道では干ばつが起乙っている。北暑西冷型 *北陸地方の夏の少雨は乙の型1<:多い。また北海道の数少ない干ばつ年はオホーツク海高気圧圏内の晴冷型 ( ' 5 4),チベット高気圧の影響をうけた ( d )図 (' 7 3, ' 4 9年 7月)のほかは,乙の ( e )図の型(' 1 6,' 3 8,' 4 9,' 7 2, ' 7 3各 8月)が援も多く,北偏した太平洋高気圧の影響と思われる。 -40- 総 、L ' 1 . . . ; ; . " 〆 第1 3図 暖冬年の特異な夏の天気図 v〆 第1 4図は第 1 4表の 5例の合成図を作り,緯 度平均偏差の形でその経過を模図的に示した 1月の亜欧大陸は南高北低の分 ものである。 1 布で. 10Nの低圧. 40"Nの高圧を特徴とし 0 ている。乙れに続く冬の極東の東西指数は一 .8月のうち,少 致して高指数である。夏は 1 なくも 1か月は低指数循環であるが,日本の 天候は地域差や時間的な変動が人・きい。 第1 4凶と,すでにのべた暖冬・暑夏年の第 -41一 M川 ば初旬切 Summer W i n t e r Nov. 1 1図と対比すると,初冬 冬から夏にかけて,環 流の特徴は対照的に異な っているのがわかる。夏 の天候は尋常でなく,予 ω 報はむずかしい。低指数 お 循環を考慮し, -50 O. 4 0・20 0 20 1 ' η ・1 0 0 10m ( 0 )Eurasiα(b)Far;;.EQst ( c}FαrEast 0 ( 3 0 1 2d ' [ ) ( 9引 7 ( J E ) . .( So ' . . . 1 7 0 0 E ) 暖冬年の特異な夏の過程(モデル) 4u p o ph ゆ炉内 o ・ ・ ・ JIM 一よ z - 第1 4図 “暖冬・ 冷夏の流産"と考えると 都合がよい。 5 . 季節予報上の問題 出臨ん 前報の第 5表に示した . W . WannWi川 町 .?14?E 北海道の冬と夏の気温の 規則的な対応を図示した • •• • o rr 勃 p 1 . 1 o 。 ・・「 のが第 1 5図である。一見 するまでもなく,過去 80 年間のうち.冷害の記録ー は大寒冬と暖冬の年に起 乙り,寒冬の年には 1 8 9 7 (明治3 0年)の 1例であっ 叫 o -2- た。日本の夏の天候はと の北海道の冷夏がどとま で,どのような環流型で 3 ' J u t . A u g 影響するかを考えると都 4Ts 合がよい。第 1 5表は乙の 第1 5図 北海道の冬と夏の気温の対応 ( 0 ):冷害年 ような考えで夏の日本の 天候を拡張して予想するための要点をまとめたものである。 ① 大寒冬や顕著な北暖西冷・豪雪の年は誰の自にも,真冬の異常現象からスタートする乙とに なる。要点は冬 3か月の時間スケールの大規模な平均状態で判断する必要がある。 @ 寒冬・暑夏や暖冬・暑夏の年には初冬の西シベリヤには気圧の尾根が発達する。逆に暖冬・ 冷夏の前年には気圧の谷が発達する。日本の夏の天候は正相関関係と考えてよい。乙れは理由のあ る規則性と考えられる。 @ 最も予想の困難な年は,第 1 4表にかかげた暖冬年の後の特異な天候 ( I V( 3 1 ) である。低温 -42- 、 他 第1 5表 冬 の 天 候 と 対 応 す る 夏 の 天 候 の 経 験 則 │ 冬 期 │夏 期 メ 偏西風の~'徴*) (北海道) ( 7 , 8月) 初冬の亜欧じた陸 ( I ) , I I / ; : ; . . . . . . . . , ・ │ 大寒冬 ( ー 1 .7C >) 不作 (-O.60C)または凶冷のおそれがある。冷夏 冷 夏 │の領域は西日本にも及ぶ。 (冷害) I 初冬の大陸高気圧は強い。(表 6) じ何百 〔寒冬・暑夏の一般則〕 . 60C) 以下の冷夏になる乙とはない。 危険温度(ー O もξ~ ; 〆 也 ブ /;--1 、 " 0 )I ( i l l ) 暑夏 (並) 並冬 ( 土O . 50C) 寒 冬 傾 向 ・ ・ ・ ・ ・ ・ . . . . . 暖 冬 傾 向 ・ . . . . . . . . . . -、ふ紗' 四) wl 暖冬 一( 1) 一( 2 ) ( O . 60C<) 61¥ ~ / i 北暖・西冷 }品〆 ( V ) ~(Ð~ m ~ぐ * )Nov. の 500mb 暖冬 暖冬 むしろかなりな暑夏や本州の少雨・干ばつのおそ れがある。(表 9) 冷夏とも暑夏ともいえない。 強いて傾向をいうならば〔寒冬・暖冬 1 1:準ずる]。 13/14例ζ l冷害の記録はない。 暑夏傾向 5例/冷夏傾向 9例 〔暖冬・冷夏の一般則〕 冷夏 (冷害) ①冷夏と冷害の区別 @寒気南下の環流型,冷夏 の領域③前線帯の位置などは他の資料ζ iよらね ばならない。(表7) 冷夏 冬季:極端な低指数循環,顕著な北暖西冷。 夏季:悪天,早冷など不順。冷害のおそれはある。 ( 表1 2) (冷害) 40トl 一( 3 ) モ やや不順 署夏 冷害のおそれは少ないが,夏 1 1:低指数循環が現わ れる。天候の傾向は一様でなく,時間的空間的に 4) も変動大。(表 1 〔冬型の流産〕 夏,本州では干ばつの年もある。(表 11) ほほ~ 50"N-6 00N の流れ。左方はヨーロッパ,右方は西シベリヤに近い。 と干ばつと大雨の相矛盾した現象が地域的にも時間的にもコントラストの大きいと乙ろに問題があ る。極めてラッキーな乙とは,乙のような変動の大きな年には冷害の記録は少ない。 6 . まとめと考察 ( 1 ) 前 回 の 報 告 で , 種 々 の 御 教 示 を い た だ い た 。 福 田 (1955)lTK初 冬 の エ ニ セ イ ス ク ( ぽ N. 92 " E)の気圧の変化に注目し,その後松倉 (1972)) は1 1月の循環に続く冬と夏の天候を予報則と -43- ,. ー ・ ー ・ ・ ・ 守 ・ _ . _ ・ ・ ・ ・ -h 。 │:Met 帥 A :帥 4 島 港 Q.曲称号'-.. ー , ( b ) W i n t e r B z t 7 4 跡 第1 6図 北日本の冬の天候に対応する日本の夏の天候傾向 (1926- 1977) " " してまとめている。エニセイスクの低圧は履冬・冷夏を意味しており,強い高圧は顕著な北暖西冷 型や異常な寒冬をとらえていると考えると都合がよい。 .r 寒冬・暑夏」の一般則ζ i対する「大寒冬・冷夏 J .r 暖冬・暑夏」の過 乙乙では「暖冬・冷夏 J 9 程を明らかにした。乙のためには寒気の新鮮な影響をうけやすい北海道の資料が有利な乙とは. 1 46年以前の資料にさかのぼると一層はっきりしてくる。 ( 2 ) 第1 6図は昭和に入ってからの北日本の冬の天候に対応する日本の夏の天候の傾向を模図的に 示したものである。暑夏や冷夏の程度を問題にしないならば,前節で議論した乙とは定性的にかな り対応していよう。 1930- 4 0年代の寒冬期に起乙った昭和初期の冷害群は 2回の暖冬と 1回の大寒冬と北暖西冷の 年に対応している。しかし数多い寒冬・暑夏に対応する干ばつも目立つている。 戦後間もなく暖冬期が現われた。乙の時期 l ζ ' 5 0年代, ' 6 0年代半ばの暖冬・冷夏群が頻発してい る。そして時々現われる寒冬年に暑夏干天が起乙った。 乙のような現象がよく成立っているのは, 1 9 2 1年以後の顕著な特徴である。気候変動の教えると 乙ろによると,前世紀末から今世紀の初期(明治後半から大正の初め)には気候の寒冷な期聞があ った乙とがわかっている 1 9 Lつまり,冬の天候が暖冬でも寒冬でも大寒冬でも夏は寒冷であったの . 30C.夏は 0 . 8 " ( ; である。しかしとのような期間でも当時の平均値 (1897- 1920) によって冬は 0 の補正を行なうと今までの議論がほとんど成立するのに驚くのである。 ( 3 ) 冷害群の中に現われる高温年.例えば 1 9 5 5 . 1933年が寒冬型循環から出発しているように 5年(大寒冬・冷夏), 3 6,3 8年(暖冬・冷夏)の冷害年ζ i対し, 3 7年は寒冬・ 明治後半にも,明治3 ごったのである(第 1 7図参照)。 暑夏 7 ( 4 ) なぜ乙のような暖冬・冷夏や寒冬・暑夏が成立ってくるのであろうか。つまり今までの議論 で当然のととのように"冬の北西風が強いと夏の南東季節風も強い H という仮定に立っていたが, -44- L その必然性についてはよくわかっていない。 0 6 1902 すでにのべた山本の学説20)によれば,日本 干干 叫 付近の西風の強(弱)い時代には冬,夏を通 1 ト夏 じて強(弱)いをいう。第 1 8図は最近 1972 0 -"77年の極東域の中緯度(30 + 400N)の 0 . 81=--一一ーー 500mb高度偏差(上段)と 350N の偏西風 の東西成分(ム u) の月々の経過を示したも 。 C のである。日本付近にジェット気流が南下し 2 て強まってくると,中緯度高気圧は南偏し, t 中緯度高気圧が北偏して強 また弱まり,逆ζ 句 戸 〆 まると, O ① 3 50 Nの風速は平年より弱い。 寒冬・暑夏('7 5,,77年)は日本付 近の風速が強い状態から弱まる過程一一中緯 1 . 7ト1一一一一一大事lJl----- 度高気圧が弱い状態から強まる過程。 @ 第1 7図 冷害群の中の寒冬・暑夏年 暖冬・冷夏('76)は風速が弱い状態 から強まる過程。 -50 久 偽 8~ 』 〆 4 →@ -8 第1 8図 極東域の中緯度高気圧と偏西風の経過 @ 北暖(西冷)・冷夏('74) はジェット気流が絶えず日本付近ζ l南偏している状態。 ④ 暖流・暑夏('73) はジェット気流の北偏状態。 と考えてよいだろうか。これらの変動は ' 7 0年代はたまたま 20数か月の変動(準 2年周期)を a a τ E a 繰返している。日本の夏の天候はとれに対応して 1年どとに様相の異った異常天候が現われている。 乙の考えは山本の学説と矛盾しないかどうか,資料を整えて今後の課題としよう。一方,中緯度 高気圧と日本付近の偏西風の変動は同時関係であって,冒頭に掲げた H 冬の北西風が強いと夏の南 東季節風も強い'という必然性を説明するととになるだろうかという意見もある。いわんや夏の予 報と全く同様に夏の偏西風の強弱を予想することは困難であろう。 ( 5 ) 松倉(1970)21) は秋の循環と夏の循環の関連性について論じている。平年の 500mb循環 の特徴をみると,夏の間,定常的に存在した北太平洋中部の気圧の谷は 1 0月から 1 1月にかけて 1月から冬の特性が明瞭に現れる。日本付近の定常的な谷が再び北太平洋中 日本付近に現われ, 1 部に転移するのは 5月である。アメリカ大陸の東側の谷は季節変化が不明瞭で,アジア大陸と北太 平洋地区で大きく変化するのが冬と夏の特性で,乙乙に問題を解く大きな鍵がありそうである。 松倉はまた,暖冬・冷夏の仕組として極の位置と, 500mb極うずは対称的な変動をし,極の 、 盆 , 位置が東半球にあるときは極うずは西半球にある乙とを多くの例をあげて指摘している。極運動の チャンドラ周期を考慮すると, 1 1月と 6月には,その位置が乙乙でも対称的である。 つまり初冬 に東半球にあった極点は夏には西半球に移る。乙れに対応する極うずは冬に西半球にあり(極東の 暖冬),夏は東半球に偏よる(極東の冷夏)。これが,暖冬・冷夏の説明である。 ( 6 ) 問題は次のようである。初冬の平年の循環(谷や尾根)を弱める(高指数型)と北極寒気は l大規模 強まる。その後南北交換の段階で,梅雨型循環を持続させる。乙の過程で,東半球では春ζ な冷・熱源分布が交替する。この究明が今後の課題となろう。 (1978 . 2月) 大方の御批判を期待する。 参 考 文 献 17 ) 福 田 (1955):冷害気象とその予報,日本農業気象学会 1 8) 訟 倉 (1 9 7 2 : ) :北日本の冷夏とその予報,季節予報指針(下巻) 1 9) 斉 藤 (1962):北海道における気候変動(プリント),札幌管区気象台 20)山本(19 77): 日本の気候の季節風的性格の変動と西風ジェットの関係,気候学・気象 研究報告(筑波大学) 21)松倉 (1970) :秋季循環と夏季循環との関連性について,日本気象学会東北支部講演会資料 -46一 、 ι 合成図解析の統計的意味。梓説) 能 登 正 之 * 1.合成図法 ある変量の観測値が一定の条件下で示す値が,その条件に特有の傾向を示すならば,同じ条件で 観測された変量の平均値も,その条件 l と対応する特徴的な値を示すはずである。乙のような考えか ら,ある変量の平均値の空間分布の特徴を利用して,その条件とその変量の閣の関係を考察する乙 とができる。乙の場合,条件としては,観測に先行する条件でもよいし,観測に追随する条件でも, あるいはまた,同時的関係でもよい。乙のような,観測値の平均値の分布図を「合成図」と呼ぶが, 、 ー 〆 いくつかの成分を合成して得られるという意味ではなし、から,あまり良い用語とは思えなし、。言う ならば, r 平均図解析」あるいは.単に「平均図 Jというのが妥当のように思えるが,乙乙では慣 用に従って「合成図法Jあるいは「合成図Jと呼ぶことにする。 乙の技法は,長期予報の現場ではしばしば利用されてきたが,同時関係としては,異常天候が現 われた場合の対流圏中層の等圧面高度場の特徴を調べるのに利用されたり,異常(あるいは特徴的 な)天候に先行する 500mb高度場の特徴を調べて,天候の予想に利用し,また,現在あるいは現在 までの気圧配置や天候の特徴などを先行する条件として,それから一定時間経過後の高度場がどの i利用している。「合 ような特徴的パターンを示すかを「合成図」を用いて調べ,総観的解析や予報ζ 成図」は,平均値の空間分布についてだけでなく,時間変化に対しでも作ることができる。ある特 定の場所,あるいはある地域に対して代表性のある観測値について,一定の条件下での観測値の平 均的時間変化を示す図も「合成図」のひとつである。 「合成図」法は,乙のようにいろいろな場合に適用できるが,その簡便さのために,あるいはそ の直観的な単純さのために,その統計的な意味や,取扱い上注意すべき点などについては,ほとん s ど解説されていないようである。筆者は統計学の専門家ではないが,乙れらの点について,若干気 がついた点を述べるととにする。 2 . 平均値の差 ある条件が,ある変量の観測値の分布あるいは時間変化に影響あるいは関係があるとすれば,そ の条件に対応する観測値の平均値の分布はその条件に対応する特徴を示し,関係のない不規則な変 動は平均化の結果として消去される。とくに観測値の分布の日常的な観察をとおして,その観測値 の通常の変動特性や分布の特性がよく知られているときには,乙の一定の条件下での観測値の(平 ~く気象庁長期予報課 -47- 均値の)分布と通常の状態とを暗に比較して,その条件に特有の観測値の分布パターンを認識,把握 する乙とができる。 「合成図」法が利用される根拠は乙の点にあるのだが.一定条件下での観測値の分布と,通常ま たは.その他の条件下での観測値の分布との比較が,主観的な経験や勘に頼っているのでは,きわ めて心もとない。 ある一定条件のもとでの観測値と,他の条件下での観測値という 2つのグループの観測値の,お のおのの平均値について,両者の聞に少なくとも統計的な意味で差があると言えるかどうかを調べ るには,平均値の差の検定に依る。すなわち 2つの条件下で観測された変量 zを,母集団 1と: 2 から,ランダム I C .n1および n2個ずつ抽出して得られる平均値玄而,主面を用いて,乙れらの母集団 の平均値(母平均)に差があると言えるかど、うかを検定する。具体的な検定方法にはいくつかの方 法があるが 2つの母集団の分散(母分散)が等しいときは t検定により,また,等しいという確 信のないときは U検定か,近似法による。等分散の仮定は 、 硲 , 2つの母集団からの試料について得ら れた不偏分散を用いて.一定の有意水準での F検定によって確かめる乙とができる。 n lと n 2 とが あまり違わないときは t検定と U 検定との差は実用上ほとんど差がない。 検定法の詳細は本稿の目的ではないので.関心のある方は適当な教科書を参照していただく乙と にして, ζ とでは,母分散は未知であるが,等しいと考えられるとき 2つの(母)平均の差の検 定法を見る乙とにしよう。 l,n 2個の変量 xについての平均値および.平 2つの母集団からランダムに抽出した,それぞれ n 方和をそれぞれ%(1),王(2)および S(I),S(2)とするとき, ( 1 ) のとき母平均値の差は有意水準 αで有意であると判定する。 2, ct) の値は,自由度を n-2,有意水準を αとして ζ 乙で n=nl+均である。 t(n- t分布表から求めればよい。 、説勾 「合成図 J上の平均値の有意性は,暗に比較の対象となっている条件下での zの平均値や不偏分 散などから.一定の有意水準に対して判定される。ただし,乙乙で言う有意な差は x( l ) と X(2)の相対 的な比較によるもので,京l iが特徴的な値をもたなくても.日司王百)に対して特徴的であれば有意差 を生ずる乙とになる。したがって.より詳しい「合成図」の解釈には, X百 ) , X(21,および tの分布図 を相互に参照する必要がある。とくに t値による有意性の判定によって,見掛けの平均値の差は 小 さ く と も そ の 分 散 戸 市 (2)ζ 比べて大きな領域を「合成図J上で識別する乙とができる。た とえば,半球上の等圧面高度や気温ζ i関する合成図では,一般に低緯度における平均値の極大・極 小値は.高緯度のそれに比べて小さいが.実際には.高緯度以上ζ i有意な場合がある。そのような 領域は t値の分布図や後に述べる相関係数の分布図に依らなければならない。 -48- 3 . 1変量の線型判別関数 判別関数というと.多変量判別関数を指すのが普通で, 1個の変量による判別関数について議論 する乙とにはあまり価値はない。しかし,乙乙では,平均値の比較が, 1個の変量による判別関数 に相当する乙とを示し,判別解析の立場からみた「合成図」の意味を考えてみたい。 ,2についての ρ個の変量による多変量判別関数の説明から始め まず, どく簡単に 2つの母集団 1 1 I 2個の ρ変量観測値 (X¥, X2,. . . . Xp) が得られていると ょう。母集団 1 ,2について, それぞれ n¥, き,新しく得られた ρ変量観測値が, 1 ,2のいずれの母集団に属するかを統計的に判定する方法の ひとつが,多変量線型判別関数法である。 ρ個の数量が母集団 1,2において分散が等しく正規分布をするとき.判別を誤る確率を最小にす る合成変量 Zは , X¥,X2,…,xpI C : : 関 す る 1次式で表わされる。すなわち,判別関数 Zは 、 〆 Z=å\X\+ α~X2+ …… +αPXp+ const ( 2 ) の形をしている。係数 α ¥,a2,…ゅは, S 1~11 (α1αz……… α: p )= 、 •••••• ~\2...... ゅ巴ー 1 Id Ul ¥ ~1P、 I IS2¥S22...... S2P ¥ Id2 ・ ¥ ( 3 ) ・・ J ¥d2 J ¥Sp¥S P 2 . . . . . .品I t )-1は逆行列を表わし,また dj=石 市一五五iで, i番目の変量Xj で与えられる。 乙乙で, の,母集団 1及び 2I と関する平均値引 ( 1 ),五百の差である。 S j j (Sjj=Sjj ) としては,変量Xj, x j(i ,j=1 ,2 , … , ρ)についての積和・平方和,分散・共分散, あるいは相関係数などが用いられ るが, もっとも標準的な方法では,母集団 1及び 2I とついてそれぞれ分散・共分散を求め, それら を積算した値が用いられる。すなわち, ( 3 ) 式の Sの代わりに. J 2 +sjJ(2)=有宇古=29~1 SI j( 1 ) 〆 を用いる。 Xj( 9 )は,母集団 n f J 一 一 k!l(Xj一 一- げ ))(Xj-Xj(9)) ( 4 ) 9(9= 1 ,2)からの n (個の観測値引の平均値である。 ,2… , 判 別 係 数 的 (i = 1 ρ)の値は ( 3 )式の Sが何であるかによって違ってくるが, その場合, の判別係数 dt'と内との比は.けと依らず一定であり, 乙れらの判別関数は本質的には同じものであ る 。 2 )の値を用いて得られる判別関数を標準型判別関数と呼 1 ) + $( 4 )式による$( 本稿では,便宜上.( ぶ乙とにする。 I属すると判断 C::属するものを誤って母集団 2ζ 標準型式の判別関数の定数項は,真には母集団 1I 2t 1)で表わすと. したときの損失コストを c(210,乙の逆の誤りの損失コストを c( -49ー C仰 t .=ー す (α1時 ・ .叩 ) Ixdl)+Xl(2)¥ (勾 X 制 2 以 刷 叫 1 { は 伽 .. . . . .I . . . qlC(21 lJ ( 5 ) ¥Xp ( 1 )+Xp 侶) j である。 ql,のはそれぞれ母集団 1 . 2の先験的な出現率で,とれらが未知の場合には,その不偏推 定値 nl/n,n2/nが代わりに用いられる。 qlC(211)= q2C(112)のときは ( 5 )式の第 2項はゼロと なる。 2 )がきまるが,新しく得られた観測値 (Xl,X2 … ,Xp)が , 乙のようにして,判別関数( れの母集団に属するものであるかどうかの判定基準の理論値は は母集団 lから , 1 ,2いず z = oで, z孟 Oのときその観測値 z<Oのときは母集団 2からの観測値と判断する。但し符号は便宜的に母集団 1 ζ 1含めてある。実際的には,必ず一方に判定するのもひとつの方法ではあるが.判定を保留し,他 の判定方法に依るという方法もあろう。 私 、 C}変量,すなわち 乙のような多変量線型判別関数を.型式的 I p= 1の場合に適用してみよう。 多変量の場合に準じて変量線型判別関数を z= 似 +c o n s t ( 6 ) と書くと, αおよび c o n s tは , n-2 α=言百字;( 2 ) 一 一 ー ー 一 一 ( 7 ) (X( 1 )X(2)) ( 8 ) となる。多変量の場合の判別関数による判別の効率は,マハラノピスの距離 D2 D2= αld1+t t 2d2+… … +αp :dp によって表わされる。 ( 9 ) D2が大きいほど,判別関数による判定の適中率が高い。 l変量の場合も同様に考える乙とができ,マハラノビスの距離 D2は 。 目 D2= ttd= 希弓百(王u;-五 ( 2 ) ) 2 : である。 ρ 変量)に差がないとする仮説について. 判別関数の有意性検定は.両母集団の母平均ベクトル ( -EA u “ F(れ サ ー 1)=. 1 ! ザ サ 桝 " )D2 i従う乙とを利用している。 F分布表から,自由度 ( ρ,n-ρ-1) が自由度 ρ,nー ρ-1の F分布ζ の 100α 必の F(ρ ,n-ρー 1,tt)を読み取り. F(ρ,n-ρ-1)孟 F(久 n-ρ-1,α) U 2 ) が成立つとき,母集団 lと 2における平均値ベクトルの聞に有意な差があると判定する。乙の有意 性検定は ρ のときにも適用してよい。 -50- 」三 1変量の場合. ( 1 1 ) 式の F値は,罰百一計百が大きく .S( 1 ) +S(2)が小さいとき大きな値をとる。また, ( 1 1成 ζ i( 1 0成を代入すると,その平方根は,平均値の検定のと乙ろでみた る乙とに注意されたい。これらの乙とから 味のある乙とが理解できる。 t(1式)と完全に同じであ I 合成図」法は変量による判別解析法と同様の意 I 合成図」を利用する狙いは,まさに,乙の点にあると言えよう。 4 . 回帰型式の判別関数 重回帰式を求めるのとまったく同様の方法によっても線型判別関数を求める乙とができる。前述 t .n 2の多変量観測値が得られているとき で述べたような母集団 1と 2について,それぞれ n n n t+町とおいて,母集団 lからの観測値に対して y=n2/n.母集団 2からの観測値ζ l対して y = X l .X2… 一 、 Xp)の yI と対する線型回帰式, nl/nのようなダミー変数を定義すると,観測値 ( 一 〆 y =bo+b1Xt+b2x2+・ ・ ・ ー ・ … … +bpxp ( 1 3 ) もまた前 l と述べた線型判別関数と本質的に同じである。 乙のとき,標準型式の判別関数 ( 2 )式の係数的と上の回帰型式の判別関数の係数 b iの関係は, αj= mf五会了 b j • (i=1.2...........t) ( 1 4 ) となる。乙乙で. Rmは変量 (Xl. X2.…… .Xp)の yl[対する童相関係数である。また,理論上の 判別基準は, y主 く n(l-R ゐ ) 付金~ _ nln2(n-2) -Q1C(2 1) nl-n2 D ! . ( 1 5 ) 寸 万 -1¥ となる。判別関数による判定の効率を与えるマハラノビスの距離 D2(9式)と重相関係数 R i nとの 聞には Z 」 〆 D2=~(n-2) Rm n tn2(l-R 初) ( 1 6 ) の関係がある。重相関係数の検定は F( ρ• 。 n-ρ-1 R初 n-ρ-1)=一一一一ァ一面一 ρ 1 -R' m 7 ) によるが,乙れは D2を用いた判別関数の F検定 (1 1 .1 2式)とまったく同じである。したがって, D2の代りに重相関係数 R2 . mを判別関数の効率を表わすものとする乙とができる。 乙 れ ら の 乙 と は 変 数 (ρ=1)の場合にも同様である。その場合は童相関係数の代わりに, xと yとの聞の単相関係数を用いればよい。 先に定義したダミー変数 yとxとの相関係数 rは , EG r= ~ (x 一芳 )(y-y) イ ' I (芳一玄 ) 2I(y_y)2 - I 生生三旦ニどと ~ n s百三百Z 1 ( 8 ). となり,多変量の場合の重相関係数 Rmが平均値ベクトルの差と関係があったのと同様に rもま た平均値の差苅r ー苅2f1 と関係している。 ( 1 ),S ( 2 )および ( 1 8 )式から, 1 ( 8 )式の xの平方和は, 各母集団についての zの平方和 S I(日 =S(1)+S伽乎平主(何川川叩 x 引刈 ω l は 川 1 卜 ) ト 一z 川( ω 侶 2 ) ) 2 2 I(x一1 =S ( ω は 幻 1 )+S ( ω 2 )ト + 一r 玄 n戸 したがって 2 _ S( 1 )+s(2) I(x-x戸一一ーで一 τす ー 1r ' ( 1 9 ) を得る。 総 、ι 単相関係数の t分布を用いた無相関検定 (n<100の場合)は, = . . ! . . . . 厚 ミ t(日 。 位 t のときに,相闘が無いという仮説を捨てる方法であるが, 1 ( 8 )および(1 9 )式を用いると, t 序薄曇 臼) となって,最初の平均値の検定の方法とまったく同じものである乙とがわかる。有意性の限界値 t (n-2,叫 に 対 応 す る rの値は適当な統計数値表を参照すればよい。 5 . 2系列相関係数 乙乙では,乙れまでの問題と少し違うが,やはり平均値の差に関係のある 2系列相関係数につい て紹介しておきたい。 、他斗 正規分布をする変量 xとyがあって,乙れらはし、ずれも連続量であるとする。いま,真には正規 分布をする連続量 yを人為的に 2分し,改めてその一方に対して y=1,他を y=oのように変量 yを定義する。乙のとき.人為的に定義した変量 yとxとの線型関係の深さを表わすのに 2系列 bが用いられる。 r bは , 相関係数 r 日 _ 1 n( 政 )-n 山 =,[n 亙 nln2 naJnIx2ー ( n玄 ) 2 a Jn 京百一日B F否ゴ予 包3 によって与えられ,これもまた平均値の差の問題のひとつであることが分かる。式中 n l 'n 2はそ l+n 2、I'xは y= 1の場合の xの合計, Ixは全部の x れぞれ y=I, y=Oの場合の数, n= n の合計,百五,五2lはそれぞれ y=1 と y=oの場合の zの平均値である。また,。は超過確率が -52一 m/nの点における標準正規分布の高さ(正規確率密度関数の値)である。ただし > n 0 する。 nl/ . 5のときは超過確率が n 2/nの点に対する n l / n三 五 0 . 5と G の値を用いる。 乙の 2系列相関係数と 1変量の回帰型判別関数のところでみた相関係数との関係は, 笠= . 1 互 互 一 二 三 r n a で ( 23 ) 1? ! ' i n lと n 2によってきまる定数である。 r bと rは形式的には 1対 1対応する値であるが.その意 味には質的な差があり,その差が r bと rの比と言う乙とができょう。 2系列相関係数は,たとえば気温のような正規分布をする変量をある一定値によって 2分し,他 の正規分布をする連続変量である等圧面高度との線型関係の深さを評価するのに用いられる。 2系列相関係数の検定については,手もとに適当な参考書がなく,残念ながら乙乙では紹介でき ょ 〆 ない。 6 . 合成図の統計的意味と利用上の注意(まとめ) 以上,合成図の統計的意味を理解するために,平均値の差に関連した問題について異なった角度 からの取り扱い方をいくつか見てきた。 乙うしてみると,いわゆる「合成図」というのは,ある条件を満足する場合と満足しない場合の 一方における平均値の分布図で,我々が「合成図 JX(l) を観察するときは,いまひとつの平均値 言百,あるいは全体の平均値王と暗に比較しているのである。王百と全体の平均値王との比較とい 2罰否 )/n であるから,吉田 うことは,芳=(間前百 +n と X(2) を比較する乙とと同じであるが 正=(す百l-X 百)n2/ nとなり,結局罰百 n 2バ1 の分だけ.その見かけの差は縮小されている。 平均値の差の検定には,正規性や等分散などの条件はあるが. t(1式)や r(18式)を用いて 「合成図」を検定することができる。 等圧面高度の平年偏差値を用いた「合成図 Jでは,平均値の地理的分布は高緯度で変動が大きし 、 ‘ 〆 低緯度で平担である。検定によって,見かけ上大きな値がでている領域でもそれが有意でない領域 や,反対l と平均値はゼロ ζ l近いが.王 (2) との差や分散に対しては有意な領域を識別する乙とが 可能となる。とくに後の例では,ゼロに近い五百が「合成図 J上での大きな特徴という乙とになり, 「合成図」をみる上で注意を要すると乙ろである。 したがって. r 合成図」の適正な解析には X而,百五(または王). および t (または r) の分 布図を合せて用いることが必要である。平年偏差値を用いた解析では.平均値と平年値がほとんど 同じであれば,王 = 0により図を 1枚省略しでもよい。 「合成図J解析の結果は総観気象(候)学や動気候学的立場からさらに吟味されるべき乙とは言 うまでもないが.それらは今回の解説の目的ではない。以上,編集部の求めに応じて急いで書き上 -53- けYこので,表現の不適当なと乙ろや思い違いもあるかも知れないが,それらについては卒直な御指 摘と御批判をお願いしたい。 参考書 o平均値の検定について 日本規格協会編 (1977) 藤代 J1Sハンドブック 品質管理,日本規格協会 宏 (1968)ステップ式による統計的方法, Q C テキストシリーズ 1 0,日科技連出版 社 。判別関数について 奥野忠ーほか(1971) 多 変 量 解 析 法 , 日 科 技 連 出 版 社 守谷栄一・井口晴弘(1972)多変量解析とコンビュータープログラム,日刊工業新聞社 北川敏男編塩谷 実・浅野長一郎(1967)多度量解析論, 総 、μ 情報科学講座 A ・5・3 共 立出版K.K. 継 、4 -54ー 後 墨田園開 O 集 ﹄ ロ 編 グロースベッター第 1 6巻 2・3号をおおくりします。できるだけ年度内にお手もとにとどくよ うつとめましたが,不手際な点はど容赦くださし、。 O 北村さんの「太陽活動と気象 J I C関する最近の研究は,測候時報に掲載されたものです。太陽 一地球の遥かな道程は全くの空白地帯でしたが,人工衛星の発達によって,乙の空白地帯にも次 第に何かの影が見られる可能性が急速に高まって来ました。そ乙で,太陽 地球閣の問題で最近 知られたこと,将来の開発できる可能性について会員の方にお知らせするため,関係者のご厚意 で再録させていただきました。 O ¥ 〆 河野さんには, 1 9 7 8年 4月から本格連用 l 乙入ろうとしている静止気象衛星「ひまわり Jから取 得される各種要素の観測計画について紹介していただきました。 O 久保木さんには,前号の寒冬につづく冷夏についての続編として,今回は寒冬につづく暑夏に ついて議論していただきました。自然の複雑さにわれわれは L、かに対応すべきかという乙とで興 味ある問題と思います。 O 合成図解析は長期予報の現場でしばしば利用される方法ですが,編集部の能登がその解説を試み ました。 御多忙のと乙ろど協力いただいた執筆者の方々に厚くお礼申し上げます。 O 会費納入のお顕い 次回は次の役員(昭和 5 3年会計年度)ζ引継ぐ乙とになりますが,昭和 I 5 2年 度 会 費 (600円)を 未納の方は至急納入してください。納入については次の口座のいずれかをご利用ください。 ( 1 ) 郵便口座 口座番号:東京 5一 1 65913 }泌〆 加入者名: L .F . グループ ( 2 ) 銀行口座 富士銀行本庖営業部(庖番号 口座番号 203156 加入者名:L . F . グループ O 110) (代表者・山本純一) 訂正 第1 6巻第 1号4 5ページ下から 1 1行め 2年度 昭和 5 に訂正します。 昭和 5 0年度を昭和 5 1年度に,下から 1 0行目 昭和 5 1年度を /