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内航船におけるLNG燃料主機関について

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内航船におけるLNG燃料主機関について
資料5
内航船における
LNG燃料主機関について
新潟原動機株式会社
SES技術セミナー
Oct, 2013
Copyrights reserved Niigata Power Systems Co., Ltd.
1
目次
1.背景
2.LNG機関への期待
3.LNG主機関のシステム比較
4.LNG機関の特性
5.LNG主機関の課題
6.LNG主機関の現在の状況
7. まとめ
SES技術セミナー
Oct, 2013
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2
1.背景
SES技術セミナー
Oct, 2013
Copyrights reserved Niigata Power Systems Co., Ltd.
3
背景
船舶における環境負荷の低減は、近年その関心が
高まり世界的な規制強化の動きがある
この規制強化を満足する手段の一つとして、天然ガス
を燃料とするLNG燃料機関(以下LNG機関と略す)を
船舶の機関として用いることが注目されている
ガス機関
約20%削減
一次規制
二次規制
80%削減
SES技術セミナー
Oct, 2013
三次規制
(指定海域:2016年予定)
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4
2.LNG機関への期待
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5
低公害
LNG機関はディーゼル機関と比べ、燃料の違い,
燃焼形態の違いにより有害ガスの排出量を低減出来る
DE
自己
着火
25%低減
43%低減
二酸化炭素(CO2)
窒素酸化物(NOx)
100%低減
火炎
伝播
圧縮比:DE>GE
硫黄酸化物(SOx)
出典:IEA「Natural Gas Prospects to 2010」(1986)
燃料由来
GE
燃焼温度:DE>GE
サーマルNOx:DE>GE
燃焼形態
DE:ディーゼル機関
GE:LNG機関
LNG機関は高い環境適合性を有する
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Oct, 2013
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LNG機関の高出力、高効率化
近年の開発による高出力化により、LNG機関において
も、ディーゼル機関と同等の高効率を実現している
電気着火( 予燃焼室)
ガスインジ ェクシ ョン
パイロッ ト油( 直接、 予燃焼室)
電気着火( 直接)
ディーゼル
50
2010年
シ リ ンダ径 130 - 420mm
ミ ラーサイクル・ マイクロパイロッ ト方式
効率 %
発電効率 %
45
ミ ラーサイクル・ 希薄燃焼
希薄燃焼
40
ディーゼル機関
2005年
1990年
ガスインジ ェクシ ョン
希薄燃焼、 デュ ア ルフュ ーエ ル
理論混合気
三元触媒方式
35
1995年
キーテクノロジー
・希薄燃焼
1990年
1980年
・ミラーサイクル
・点火エネルギー
・ノッキング制御
・電磁弁技術
・トライボロジー
30
0
0.5
1
1.5
2
2.5
3
正味平均有効圧力 MPa
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3.LNG主機関のシステム比較
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電気推進
特徴
■機関により発電機を駆動し、
その電力により電動機を介し
てプロペラを駆動する
■複数台の機関で動力を分担で
きる
■推進システムが複雑で高価
LNG主発電機関
推進電動機
推進機
LNG主機関の適用
■機関回転数が一定のため、負
荷操作が比較的容易
■負荷に対する台数制御ができ
るため、低負荷運転が少ない
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プロペラ直結(CPP)
特徴
■可変ピッチプロペラを直結で
駆動する
■直接駆動するため、動力伝達
効率が良い
■可変ピッチ機構のコスト高
LNG主機関の適用
■負荷操作時は機関が一定回転
数であるため、負荷操作が比
較的容易
■プロペラ負荷が直接機関にか
かるため、機関に対する負荷
変動が大きい
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Oct, 2013
LNG主機関
推進機(CPP)
可変ピッチ
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プロペラ直結(FPP)
特徴
■固定ピッチプロペラを直結で LNG主機関
駆動する
■プロペラを直接駆動するため、
動力伝達効率が良い
推進機(FPP)
LNG主機関の適用
■舶用三乗特性により、低負荷
域では機関回転速度が低く機
関調整が難しい
■プロペラ負荷が直接機関にか
かるため、機関に対する負荷
変動が大きい
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電気アシスト(CPP)
特徴
■負荷上昇時は電動機で機関の負荷
追従をアシストする
■負荷余剰時はエネルギーをバッテ
リーに回収する
バッテリー
ガス燃料主機関
■バッテリーのみの運転も可能
ガス燃料主機関の適用
■プロペラ負荷が低い時は、発電機
負荷が機関にかかり、機関として
の負荷を上げることができる
なお、CPPとの組合せによりト
ルクリッチとならないようにする
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推進機
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電動機
発電機
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LNG機関の適合性
システム
電気推進
システム システム
コスト
効率
高
低
機関 システム
難易度 難易度
中
中
プロペラ直結(CPP)
中
高
高
中
プロペラ直結(FPP)
低
高
高
低
電気アシスト
高
中
低
高
現在時点で実用化されているシステムは電気推進
が主流であるが、プロペラ直結のシステムも計画されている
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4.LNG機関の特性
SES技術セミナー
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LNG機関の燃焼範囲
高い 正
味
平
均
有
効
圧
力
(
出
力
)
ノッキング
失火
燃料ガス量に対して、
空気量が多過ぎても少
な過ぎても、運転可能
範囲を外れる
また、出力が高いほど
運転可能範囲が狭い
目標
運転可能範囲
空燃比(吸入空気量と燃料ガス量の比)
ガスリッチ(空気少)
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Oct, 2013
希薄(空気多)
空燃比の
調整が必要
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空燃比制御(エアバイパス方式)
アクチュエータ
空燃比調整器
空気
バイパス
ライン
A/F弁
エアクーラ
コンプレッサ側
P
過給機
給気圧力
タービン側
ガス供給電磁弁
燃焼室
エアバイパス方式
コンプレッサ出口空気をコンプレッサ
入口に戻し空気量を制御する方法
応答性が良く、舶用向け
燃料ガス
SES技術セミナー
排ガス
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空燃比制御(ウエストゲート方式)
空気
ウエストゲート方式
タービン入口排ガスを逃がして、過給機回転
数調整し、空気量を制御する方式
熱回収ロスが少なく、陸用コジェネ向け
コンプレッサ側
エアクーラ
給気圧力
過給機
P
タービン側
ガス供給電磁弁
燃焼室
燃料ガス
WG弁
バイパス
ライン
排ガス
アクチュエータ
空燃比調整器
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動特性(加速時の空燃比)
空気量確保
高い
正
味
ノッキング
平
均
有
効
圧
力
加速時
(
出 運転可能範囲
力
空燃比
)
ガスリッチ(空気少)
ノッキング抑制
失火
定常時
過給機の応答遅れや
空燃比制御の遅れに
より空気量が不足する
ことがある
空燃比が小さくなり
ノッキング発生
希薄(空気多)
動特性を改善するためには、
空気量確保やノッキング抑制が必要
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5.LNG主機関の課題
SES技術セミナー
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動特性
LNG機関の陸用発電における運用では、無負荷から定格
負荷までの負荷取り操作に10分程度を掛けている
これに対して、船舶用主機関では、十数秒での負荷取りが
要求される船種がある
LNG機関を船舶用主機関に用いるためには、
負荷操作時間の改善が必要不可欠である
負荷率
定格
船舶用機関
動特性の
への要求
改善が必要
アイドル
無負荷
発電用LNG燃料
機関の運用
経過時間
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冗長性
LNG専焼機関
LNG専焼機関
2機1軸(2機2軸)
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電動機
電気推進
船級では、冗長性確保が求め
られている
LNG機関は電子化が不可欠で
あり、このことから、機関の複数
台化、燃料の2元化等により、
冗長性を図る必要がある
SES技術セミナー
発電機
デュアルフューエル機関
デュアルフューエル機関
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21
100
1.0
20
90
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
0
20
40
経過時間 [分]
発熱量(基準値との比)
1.3
1.2
100
90
80
1.0
70
0.9
60
10
SES技術セミナー
20
30
40
経過時間 [分]
Oct, 2013
50
60
80
70
5
60
0
50
1.0
1.1
発熱量(ガスクロ、基準値との比)
1.1
0
10
0.9
60
発熱量(熱量計)
発熱量(ガスクロ)
CH4濃度
C2H6
C3H8
i-C4H10
n-C4H10
CH4
15
CH4濃度 [%]
25
C2-C4濃度 [%]
1.2
CH4濃度 [%]
ガス流量 (一定負荷運転時との比)
燃料ガス発熱量変動
気化時の燃料ガス流速変化
により、燃料ガスの成分割合
が変化し、発熱量が変化する
発熱量上昇時
ノッキングが発生
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産地による燃料ガスのメタン価
Natural Gas using pipe line
MN 100
MN 97
MN 100
MN 75
MN 73
LNG
MN 74
MN 65
MN 73
低メタン価ガスは
ノッキングし易い
注:MN 計算はNPS実施
Ref: BP Statistical Review of World Energy 2008
LNGのメタン価は産地により異なる!
欧州に比べ、日本で入手出来るLNGのメタン価は低い!
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インフラ
出展:天然ガス燃料船の普及促進に向けた総合対策について,国交省,(2013)
LNGのバンカリング方法には、
“Ship to Ship”、“Shore to Ship”、“Truck to Ship”
等が検討されているが、設備整備および法規への対応
が必要である。
SES技術セミナー
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6.LNG主機関の現在の状況
SES技術セミナー
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欧州での運航状況およびそのシステム
現在就航しているLNG機関を主機関とした船は
電気推進システムが主流である
Glutra
Viking Energy
■フェリー
■ガス専焼機関
■電気推進
■2000年建造
SES技術セミナー
■PSV
■二元燃料機関
■電気推進
■2003年建造
Oct, 2013
Provalys
■LNGタンカー
■二元燃料機関
■電気推進
■2006年建造
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7.まとめ
SES技術セミナー
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27
まとめ
1.環境性
・LNG機関は高い環境性能を確保
2.舶用分野適合の課題
・過渡応答性の改善
・冗長性の確保
・燃料のメタン価変動への対応
・インフラの整備
3.LNG主機関の内航船への適用
・内航船の船種の中で、その要求性能から
タグボートはもっとも難易度が高い
・内航船は機関室のスペースが狭いため、
LNG機関を用いる場合、電気推進システム
よりプロペラ直結システムが適切である
SES技術セミナー
Oct, 2013
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28
まとめ
高い環境性能を持った
LNG機関を
内航船に適用するため、
高い動特性・冗長性を有した
LNG機関の出現への
期待が高まっている
SES技術セミナー
Oct, 2013
Copyrights reserved Niigata Power Systems Co., Ltd.
29
ご清聴ありがとうございました
SES技術セミナー
Oct, 2013
Copyrights reserved Niigata Power Systems Co., Ltd.
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