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こちら - 北海道教育大学函館校中村研究室

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こちら - 北海道教育大学函館校中村研究室
キャット・ケム実験室
ミニシンポジウム 2011
予
稿
集
平成 23 年 3 月 30 日
主 催:触媒学会教育推進委員会
共 催:日 本 化 学 会
キャット・ケム実験室ミニシンポジウム 2011 プログラム
1
主
催:触媒学会教育推進委員会
共
催:日本化学会
学校教材技術支援センターの概要と実験例
(株式会社ガステック
学校教材技術
支援センター)〇宮下直人・中村正信・星野 房助
2
経済産業省の早期工学人材育成事業に参加して
業−
−中学生を対象とした出前実験授
(三菱レイヨン株式会社 横浜先端技術研究所)○岸本祐一郎・加治佐平・
生田健次郎
3
高校生を対象としたオープンラボ
―シリカゲル合成反応について―
(室蘭工業
大学応用理化学系学科応用化学コース)○神田康晴・上道芳夫
4
触媒学会「世界化学年記念事業」わくわくサイエンス広場『触媒ってなあに?』の
開催
5
(近畿大理工 1 ・大阪大院工 2)○古南 博 1・山下弘巳 2
高校教員向け研修会報告
(北海道教育大学)○松橋博美
本シンポジウムは,3 月 30 日開催予定でしたが,第 107 回触媒討
論会が東北地方太平洋沖地震の影響により中止となったことに伴い,
開催されませんでした。情報集約と発信のため,発表者の了承の上,
予稿集を公開することとしました。
被災された方々に,心よりお見舞い申し上げます。
2011 年 3 月
北海道教育大学
松橋博美
学校教材技術支援センターの概要と実験例
〇宮下直人
株式会社ガステック
中村正信
星野 房助
学校教材技術支援センター
TEL0467-79-3911 http://www.gastec.co.jp/shien/sien.htm
■概要
弊社は気体の簡易測定器メーカとして 1970 年に設立し,その製品は各環境における濃度測
定や研究,製造工程の管理など様々な分野で利用されています。
主な製品である検知管は取り扱いが簡単な気体測定器で,小学 6 年生の理科教材として植
物の光合成や物質の燃焼,生物の呼吸実験において酸素と二酸化炭素の濃度測定にも採用
されています。
また,当センターは教育現場において実験の理解や普及に少しでもお力になれればという
思いで 2005 年に開設し,当初より様々な支援活動を行ってきました。
今回は今まで紹介した実験テーマの中から,その一部をご紹介します。
■会社紹介
社名:株式会社ガステック
設立:1970 年 9 月 1 日,従業員数:約 150 名
事業内容:気体・水質等簡易測定機器の製造,販売,輸出入
所在地:本社・工場・営業本部
神奈川県綾瀬市深谷中 8-8-6 TEL 0467-79-3900
西日本営業所
大阪府大阪市淀川区宮原 2-14-14
TEL 06-6396-1041
九州営業所
福岡県北九州市小倉北区金鶏町 9-27
TEL 093-652-6665
学校教材技術支援センター:所長 星野 房助
■活動・とりくみ
l 教員研修等への技術指導,教材・教具貸与
l 生徒対象実験の普及・応援
l 実験器具・装置等の製作支援
■実験テーマ
対象
小・中学校対象
高校・大学等対象
呼吸
光合成
燃焼
気体の膜透過
気体の発生量
気体のモル質量
蒸気圧の測定
1
テーマ
気体の水への溶解
地球温暖化
室内環境
など
気体の粘度
気体捕集器
センサ
酸素濃度の測定
気体の溶解
液体の蒸気密度
水の電気分解
爆発限界
気体の流出速度
■実験例
2
ガスクロマトグラフィー
気相反応装置製作
気相脱水素反応
気相脱水反応
など
※参考文献:北川徹三著「化学安全工学」日刊工業新聞社
3
経済産業省の早期工学人材育成事業に参加して
-中学生を対象とした出前実験授業-
○岸本祐一郎、加治佐平、生田健次郎
三菱レイヨン株式会社 横浜先端技術研究所
TEL: 045-504-1131
e-mail: [email protected]
1. はじめに
三菱レイヨンは、経済産業省の委託する早期工学人材育成事業に参加し、地域コーディネーターの㈱リバ
ネスとともに、2009年度は「プラスチックをつくろう」、2010年度は「DNAを見てみよう」という二つのテーマの
実験授業を製作し、千葉県松戸市立中学校で授業を実施したので、その授業内容を紹介する。
早期工学人材育成事業は、中高生を対象に、学校の授業で学んだことが実際に社会でどのように役立っ
ているかを伝えるとともに、企業で活躍する研究者と触れ合うことにより、学ぶことの意義や科学技術に対する
興味が増すことを目的としている。委託を受けた全国7地域の地域コーディネーターが、①協力企業の発掘、
②企業が有する産業技術を生かした教育プログラムの開発と実証、③企業と学校のネットワーク構築などの
取組みを進めている。 参考資料1)、2)を参照。
2. 活動の経緯
当社はCSR活動の一環として、研究所や工場の技術を活用した次世代育成活動を実施しており、今回の
事業に参加した。入社2~3年目の若手社員9~10名でプロジェクトチームをつくり、コーディネーターの実施
する研修会に参加した後に、自分たちのテーマを決め、授業の内容を立案し、必要な器具を準備した。
3. 授業内容
3.1 プラスチックをつくろう!
1)テーマの選定理由
当社で製造しているアクリル樹脂は透明で強度が強いという特徴を活かして、水族館の水槽や、ディス
プレイカバー、DVDの保護コート材など、身の回りの色々な用途に利用されている。そのアクリル樹脂の
原料は液体であり、それを重合して製品をつくっている。モノマー(液体)とポリマー(固体)の違いを分子
の状態の違いで説明する。
2)対象学年及び関連する単元
中学1年生 理科1分野 身の回りの物質
3)実験内容
紫外線硬化型アクリル系樹脂を用いて、紫外線重合を行う。
4)実験手順
①型のなかにスポイトで紫外線硬化型アクリル樹脂を入れ、
フィルムでシールし、紫外線ランプの
入った箱の中に入れ、紫外線を
照射する。
②同様にして樹脂を型の中に入れ、
今度はマスクをかけて紫外線を
照射し、未露光部をエタノールで
洗い流す。
3.2 DNAを見てみよう!
1)テーマの選定理由
このテーマを選んだ理由は、当社ではDNAチップ
と解析システムを製造販売しており、DNAをキーワー
ドとして、学校の理科で学んだことが企業の研究に役
立つことを知ってもらうため。
また、授業中に、各班に一人ずつTAが付くことに
より、企業の研究者との触れ合いを図った。
2)対象学年及び関連単元
中学校 3 年生 理科 2 分野 遺伝の規則性と遺伝子
3)実験内容
材料にサケの白子、バナナ、レバーを使用して、
DNA を抽出する。
4)実験手順
①魚の白子と食塩水、中性洗剤をミキサーに入れて
砕くことにより、細胞をばらばらにして、細胞からD
NAを取り出す。中性洗剤は細胞膜を壊して DNA
を取り出しやすくする。
②砕いた材料をろ紙でこす。
③ろ液をビーカーにとり、静かにエタノールを加える
と、水溶液とエタノールとの境界付近にDNAの塊
が白い糸のように見えてくる。
4. まとめ
理科の授業で学ぶことが実際の生活で役立っていることを実感させるため、当社製品のアクリル樹脂に
関連した「プラスチックをつくってみよう」と、「DNAチップ」に関連した「DNAを見てみよう」という二つのテー
マを選び、中学生向けの 1 時間の実験授業を製作し、松戸市立中学校で実施し、大部分の生徒から理科
に興味を持ったという感想があり、先生からも好評であった。また、プロジェクトに参加した若手研究者にとっ
ても、コミュニケーションやプロジェクト運営に関して学ぶところが多く、人材育成にもなった。
5. 参考資料
1)ホームページアドレス http://www.soki-kogaku.jp/index.html
2)プロジェクト事例集 http://www.soki-kogaku.jp/files/h22-jirei.pdf
謝辞
本実験授業を実施するにあたり、適切なご指導をして頂いた㈱リバネスの塚田周平氏、篠澤裕介氏に、この
場をお借りして厚く御礼申し上げます。また、本プロジェクトチームに参加した弊研究所の生田健次郎氏、飯塚
彩氏、原田耕志氏、押切友也氏、野澤あい氏、宮寺聡氏、後藤久典氏、山口隆文氏、堀内康司氏、加治佐平
氏、安保貴永氏、中島永二氏、島元章裕氏、河瀬保徳氏、松山恭子氏、久保恵美氏に深く感謝致します。
以上
高校生を対象としたオープンラボ
―シリカゲル合成反応について―
○神田康晴,上道芳夫
連絡先:〒050-8585 北海道室蘭市水元町 27-1
室蘭工業大学 応用理化学系学科 応用化学コース
Tel, Fax: 0143-46-5750, E-mail: [email protected]
1. はじめに
この実験テーマは応用理化学系学科応用化学コース(旧応用化学科)のオープンラボラトリーでの体験学習
として,企画したものである.当研究室の大学院生とその弟(当時高校生)に協力してもらい,視覚的または触
覚的な変化を体感できる実験として,固体酸塩基と指示薬との反応による変色,アンモニア噴水,カルメ焼
き,シリカゲル合成などを候補に挙げた.限られた実験室のスペースで多くの人に触れて実際に体験しても
らえること,薬品の値段が安いこと,こちら側の準備が大変ではないことなどから,本実験テーマを選んで
2008 年度のオープンキャンパスから行っている.本講演では詳細な実験方法と参加者の感想について述べる.
2. 使用した試薬および器具
シリカゲル(SiO2)の合成にはケイ酸ナトリウム溶液(水ガラス),塩酸(HCl)および純水を用いた.ケイ酸ナト
リウム(SiO2 35~38%,Na2O 17~19%)および塩酸(35~37%)は関東化学製のものを使用した.関東化学のホー
ムページによると,2011 年 3 月現在でのこれらの価格はそれぞれ 1500 円(500g)および 700 円(500ml)である.
また,純水の代わりに水道水でも実験可能である.実験器具にはポリビーカー,メスシリンダー,ガラス棒
を使用し,吸引ろ過を行う場合はアスピレーター,ろ過瓶,漏斗を使用した.なお,ガラスビーカーを使用
すると溶液の内部を観察しやすい.しかしながら,ガラスビーカーには生成したシリカゲルが付着して白く
なる(強塩基に漬けないと取れない)ため,再度使用する際に非常に見た目がよくない.さらに,実験慣れして
いない高校生が落とした場合の危険性はガラスより低いため,安価かつ容易に洗浄可能なポリビーカーを使
用している.
3. 実験方法と注意点
図 1 に本実験でのビーカー内の溶液の変化を示す.ポリビーカーにケイ酸ナトリウム約 10g と純水 10ml
を量り取り 3~5 分ほどガラス棒で攪拌することにより,溶解させ透明な溶液にした(a).ケイ酸ナトリウムを
水に溶解した時点での pH を試験紙により測定すると 14 であり,非常に強い塩基性を示す.そこに 1.5mol/l HCl
を 5ml 加えると,pH は約 13 になる.この状態ではほとんど SiO2 は生成せず,見た目の変化は少ない.さら
に 5ml の HCl を加える(合計 10ml)と,図 1(b)のようにわずかであるが SiO2 の生成が認められる.なお,この
溶液の pH は約 12 である.さらに 5ml ずつ HCl を加えると,合計 15ml では若干 SiO2 の生成量が増える程度
(c)であるが,合計 20ml のところで急激に SiO2 が生成して溶液がゲル化する(d).(d)の段階での溶液の pH は
約 9 である.このゲル状の溶液を攪拌すると粘性がなくなり,放置すると粘性が回復するチキソトロピーが
観察できる.さらに,HCl を合計 25ml まで加えても SiO2 は目視では増えないが,これは反応が十分に進ん
だことを確認するために行っている.また,吸引ろ過して溶液と分離させることもあるが,こちらは時間が
あれば行っている.
この実験の注意点は,HCl の濃度が薄いと SiO2 は析出するがゲル状にならない(ゾル状になる)ため,HCl
の濃度はある程度濃くする必要がある.ただし,あまりに HCl 濃度が高いと危険かつドラフトなどの排気設
備が必要になるため,1.5mol/l が適当であると判断した.なお,1.5mol/l HCl は栓付きの三角フラスコまたは
蓋付きのポリボトルに保管し,HCl が揮発して室内にこもる事のないようにしている.また,ケイ酸ナトリ
ウムは非常に粘性が高い水あめ状であるため扱いにくく,あらかじめビーカーに入れておくなどの工夫が必
要であると思われる.本学で行う際には,教員のほかに研究室の学生にも手伝ってもらい,実験に慣れてい
ない高校生のサポートと事故を未然に防ぐように実施している.
4. 参加者の感想など
これまでにオープンキャンパス 3 回,学内での体験学習 2 回,学外への出前講義 1 回の計 6 回実施してい
る.参加者である高校生を見ていると,ゲル化する瞬間とゲルを攪拌していると粘性が変化することに興味
を持つことが多い.本学で行ったオープンキャンパスでの参加者は 40~60 名程度であった.この参加者数は,
本学の化学系オープンラボでは多い部類に入る.また,出前講義で訪れた高校での記述式アンケートには「塩
酸を入れるとケイ酸ナトリウムが固まるのが面白い」
,
「今までにない感触のものができてびっくりした」
,
「物
質の変化や反応について興味を持つことができた」などの感想が得られたため,好評であると思われる.
(a)
(b)
(c)
(d)
図 1 ケイ酸ナトリウム水溶液への塩酸の滴下によるシリカゲルの生成
(a) 1.5mol/l HCl 滴下前,(b) 1.5mol/l HCl 10ml 滴下後,
(c) 1.5mol/l HCl 15ml 滴下後,(b) 1.5mol/l HCl 20ml 滴下後
5. おわりに
高校生を対象としたオープンラボラトリーの実験テーマとして,本学応用理化学系学科応用化学コースで
行っているシリカゲルの合成について紹介した.この実験を体験することで一人でも多くの高校生が化学に
興味を持ち,化学系の大学に進学するきっかけを作ることができれば本望である.
触媒学会「世界化学年記念事業」
わくわくサイエンス広場『触媒ってなあに?』の開催
○古南
1
2
近畿大理工
大阪大院工
博 1、山下弘巳 2
〒577-8502 東大阪市小若江 3-4-1([email protected])
〒565-0871 吹田市山田丘 2-1([email protected])
1.はじめに
触媒は様々な分野で用いられ、豊かな生活のためには欠くことのできない材料である
が、一般の方の目には届きにくく、知名度が低いのが現状である。そこで、パネル、ビ
デオ、サンプル展示、簡単なデモ実験などの体験型イベントを通して、触媒への興味を
もってもらい、理解を深めていただくことを目的とし、上記イベントを実施した。
2.開催概要
2 ページ目に当日配布したチラシを示す。
西日本地区でイベントを開催するにあたり、
その最有力候補地として、大阪市立科学館が挙がった。本科学館は関西地区の科学普及
の中心地であり、来場者も多く、また、様々なイベントを開催している。今回のイベン
トの趣旨を説明すると、快く地下 1 階の研修室を提供していただけた。地下 1 階には、
チケット売り場とプラネタリウムホールがあり、常に来場者で賑わっており、イベント
会場としては最適の場所であった。さらに、科学館の様々な広報媒体(Web、チラシ、
友の会会報)にも、イベント情報を掲載いただいた。あわせて、「触媒誌」および「化
学と工業」の会告にてイベントを紹介した。
3.実施内容
昨年度の Catalysis Park で作成された触媒の紹介パネルを展示した。また、同じく作
成された触媒紹介ビデオを研修室内のスクリーンおよび研修室前の液晶テレビで放映
した。触媒サンプルとして、触媒メーカーから提供いただいたものや市販されているも
のを展示した。デモ実験については、ルミノール反応とケミカルライトを取り上げ、説
明と実演を 1 時間毎に実施した。さらに、ゼオライト模型コーナーを設け、見本をもと
に、各種ゼオライトの作製に挑戦して頂いた。チラシにあるように、イベント会場内に
てスタンプラリーを行い、すべてのスタンプを集めれば、記念品として「一家に 1 枚周
期表」
(http://www.mext.go.jp/a_menu/kagaku/week/shuki.htm)を謹呈した。来場者が触媒
を身近に感じられるように、触媒学会西日本地区の有志メンバーが、紹介パネルおよび
触媒サンプルに関する質問に対して丁寧に解説し、また、ゼオライト作製を支援した。
イベントの様子を 3 ページ目に示す。当日の科学館来場者は 2000 名であり、本イベン
トの来場者は 555 名に至った。4 人にひとり以上が来場したことになる。
当日配布したチラシ(オリジナルはカラー)
4.おわりに
「手弁当ではじめよう」と気楽にはじまった本イベントであったが、大阪市立科学館
との主催となり、触媒学会の「世界化学年記念事業」の冠がつき、文部科学省の「マナ
ビー・メールマガジン」
(http://www.mext.go.jp/magazine/index.htm#002)に紹介され、大
阪市ホームページトップにも掲載されるなど、どんどんプレッシャーが大きくなってい
った。しかし、イベントがはじまってみると、こどもたちの好奇心や集中力、反応のは
やさには驚かされるのみで、プレッシャーは自然となくなっていた。それと同時に、こ
のこどもたちの活性を維持するだけではなく、さらに活性化させることの重要性を強く
感じた。
イベントの様子(写真は世界化学年 2011 日本委員会ホームページ
(http://www.iyc2011.jp/news-j.html)にも掲載されている。
)
謝辞
あらゆる面でご協力いただいた大阪市立科学館学芸員の小野昌弘先生にこの紙面を
かりてお礼申し上げます。また、触媒サンプルをご提供いただいた、エヌ・イーケムキ
ャット(株)、ズードケミー触媒(株)、トヨタ自動車(株)、光触媒工業会に謝意を表
します。最後に、本イベントに参画・お手伝いいただいた触媒学会西日本地区のメンバ
ーおよび学生諸君(順不同、敬称略)に感謝いたします。
池永直樹(関西大)
、和田健司(京都大)、上田
厚(産総研)
、片田直伸(鳥取大)
、吉
田寿雄(名古屋大)
、市橋祐一(神戸大)、松岡雅也(阪府大)
、森
村謙太郎(京都大)、亀川
孝(大阪大)、桑原泰隆(山下研 D2)、堀内
D2)、岡田周佑(山下研 D1)
、福
陽子(古南研 M1)
浩亮(大阪大)
、寺
悠(山下研
康二郎(山下研 D1)
、今村和也(古南研 D1)、平郡
高校教員向け研修会報告
松橋
博美
北海道教育大学函館校
〒040-8567
函館市八幡町 1-2
E-mail [email protected]
キャット・ケム実験室の活動の成果であるフルオレセインの合成と,近藤浩文氏(道立
教育研究所附属理科教育センター主査)と伊藤崇由氏(北海道苫小牧西高等学校教諭)に
よるエタノールからのエチレンの生成に関し,高校教員向けに二カ所で研修会を実施した。
一つは,千葉県立柏高等学校を会場に,平成 22 年度,第 2 回化学教材研究班研修会(2010
年 11 月 10 日)のプログラムとして実施した。他方は,埼玉県立大宮高等学校で,埼玉県
高等学校理化研究会「化学研究大会」
(2010 年 12 月 13 日)のプログラムとして実施した。
フルオレセインの合成の基本的な事項は,すでに報告 1)しているが,一昨年の「キャタリ
シス・パーク」での成果を生かし,励起光の光源として青色ダイオードや PC プロジェクタ
ーの青色を使用してる。特に青色ダイオードでは,ブラックライトより明確な発光を観察
できる。
エタノールからのエチレンの生成は,すでにアルミナで報告 2)があったものをベータゼオ
ライトに変更したものである。アルミナは入手しやすい反面,エーテルが多量に生成する
ため,実験として不十分であった。近藤氏らは,アルミナを Y 型,さらにはベータに変え
ることにより,エーテル臭のないエチレンを得た。発生したエチレンは,検出反応である
過マンガン酸カリウムによる酸化や臭素の付加に使うことができる。
上の二つの実験にゼオライトの分子模型作製を入れて,一日のプログラムとすれば,教
員免許更新時講習に使えるプログラムとなる。
この実験は,脂肪族炭化水素の性質に関するもので,触媒は主役ではない。硫酸の代わ
りにゼオライトを用いることにより,実験が簡便となり実施もしやすくなる。しかし,教
科書のアルコールの性質には,濃硫酸で脱水されることが書かれていて,試験にこのこと
が出題されれば,「濃硫酸」と答えなければならない。このことは,以前より高校教員から
指摘されていたことであるが,実際に今回のセンター試験に,誤りを選ぶ選択肢として次
のように出題された。
エタノールは、触媒を用いてエチレン(エテン)と水から合成できる。
エタノールを、130∼140℃に加熱した濃硫酸に加えると、ジエチルエーテルが生成する。
このような事柄は,触媒を中等教育に生かす際に問題となる。
参考文献
1) キャット・ケム実験室シンポジウム 2010 予稿集.
2) 妻木貴雄, 化学と教育, 42, 42 (1994).
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