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6.14 吸入剤の送達量均一性試験法

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6.14 吸入剤の送達量均一性試験法
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1
6.14
吸入剤の送達量均一性試験法
2
本試験法は吸入剤(吸入粉末剤や吸入エアゾール剤)から放出
3
される薬物量の均一性を定量的に評価するものである.これら
4
の製剤から患者に投与される薬物量は均一であることが必要で
5
あり,本試験によって確認する.以下に評価のための例を示す.
6
製剤の特性により,適切に選択すること.ただし,吸入器及び
7
吸入器間の送達量均一性を合わせて評価できる試験法も含めて,
8
独自のものを設定することも可能である.
9
1. 吸入エアゾール剤の試験法
10
吸入エアゾール剤は,通例バルブを下向きにした状態で吸入
11
する.バルブを上向きの状態で吸入する製剤には,送達する薬
12
物を完全に捕集することが担保できる方法を用いて,同等の試
13
験を適用する.
14
15
16
送達薬物捕集装置は,送達する薬物を定量的に捕集すること
ができなければならない.
以下に示す装置(図6.14-1)及び測定法を用いることができる.
めねじ
チューブ
参照寸法
おねじ
めねじ
キャップ
34
み立てに使用される円板フィルターや他の材料は,有効成分又
35
はフィルターからの有効成分の抽出に使用される溶媒と適合性
36
がよいことが求められる.捕集チューブの一方の端は,フィル
37
ター保持部品に円板フィルターを漏れなく装着することができ
38
るように設計されている.組み立てられた時に,フィルター保
39
持部品から吸引ポンプで吸引する際に捕集チューブを通して吸
40
引される空気の全量が吸入器を通過するように,装置の各構成
41
部分の間の結合部分は気密性を確保する.
42
1.1. 試験法1:吸入器内の送達量の均一性の評価
43
吸入器1個をとり,試験を行う.吸入剤の使用方法に特に記
44
載がなければ,5秒間吸入器を振り混ぜた後,1回捨て噴霧を
45
行う.倒置した吸入器から装置内に噴霧し,完全に噴霧させる
46
ため十分な時間バルブを押し続ける.この手順を,用法・用量
47
に記載された最小の1回用量に対応する噴霧回数に達するまで
48
繰り返す.装置への送達物を回収,定量し,送達量とする.
49
残り(n/2)+1の噴霧回数になるまで,5秒以上の噴霧間隔で吸
51
入器の捨て噴霧を行う.nは表示されている吸入可能噴霧回数
52
である.上記と同様の手順で送達量測定を4回繰り返す.
53
残り3回用量の噴霧回数になるまで,5秒以上の噴霧間隔で
54
吸入器の捨て噴霧を行う.上記と同様の手順で送達量測定を3
55
回繰り返す.以上の操作により,吸入器1個に対して,使用開
56
始時の3回,中間期の4回,使用終了時の3回,合計10回の送達
57
量測定を実施する.
58
59
60
ねじ山の逃げ
吸引コネクター
61
フィルター保持部品
フィルター
Oリング
キャップ
マウスピースアダプター
サンプル捕集チューブ
キャップ
特に記載がない限り,
数字はmmを示す.
2種類以上の有効成分を含む製剤では,各有効成分について
送達量の均一性試験を行う.
平均送達量又は表示した送達量のいずれかを判定の基準値と
する.
62
10個の送達量のうち9個が基準値の75%~125%であり,全
63
ての個々の送達量が基準値の65%~135%であるとき適合とす
64
る.基準値の75%~125%を超える送達量が2個又は3個である
65
ときは,10個の送達量を得る一連の操作を新たに2回実施し,
66
合計30個の送達量値を得る.基準値の75%~125%を超える送
67
達量が30個中3個以下であり,基準値の65%~135%を超える
68
送達量がないとき適合とする.
69
定量噴霧式吸入剤
この手順で更に送達量測定を2回繰り返す.
50
もし正当な理由があれば,規格の範囲を広げることができる.
70
ただし,基準値の50%~150%を超える送達量があってはなら
71
ない.
17
18
19
図6.14-1. 吸入エアゾール剤用の送達薬物捕集装置
20
この装置は,ステンレス製の網のようにフィルターを固定す
74
吸入器1個をとり試験を行う.吸入剤の使用方法に特に記載
21
ることができる網目のあるフィルターサポートを取り付けたフ
75
が無ければ,5秒間吸入器を振り混ぜた後1回捨て噴霧を行う.
22
ィルター保持部品,フィルター保持部品に留め具で又はねじっ
76
倒置した吸入器から装置内に噴霧し,完全に噴霧させるため十
23
て取り付ける捕集チューブ,捕集チューブとマウスピースの間
77
分な時間バルブを押し続ける.この手順を,用法・用量に記載
24
の気密性を確保できるマウスピースアダプターで構成される.
78
された最小の1回用量に対応する噴霧回数に達するまで繰り返
25
必要に応じて,吸入器のマウスピースの前面がサンプル捕集チ
79
す.装置への送達物を回収,定量し,送達量とする.
26
ューブの前面又は2.5 mm下がった肩の面と同一平面であるこ
80
この手順で更に吸入器9個につき送達量測定を繰り返す.以
27
とが担保できるマウスピースアダプターを用いる.吸引コネク
81
上の操作により,吸入器10個に対して,使用開始時の各1回
28
ターを,吸引ポンプと流量調節装置で構成される装置系に接続
82
ずつ,合計10回の送達量測定を実施する.
29
する.ポンプは,フィルターと吸入器を接続し完全に組み立て
83
30
た状態で,毎分28.3 L (±5%)の吸入流量が得られるように調
84
31
節する.有効成分の大気中への損失を避けるため,絶えず吸引
85
32
しておく.フィルター保持部品は,直径25 mmの円板フィル
86
33
ターを装着することができるように設計されている.装置の組
87
72
73
また,平均送達量は表示した送達量の85%~115%である.
1.2. 試験法2:吸入器間の送達量の均一性の評価
2種類以上の有効成分を含む製剤では,各有効成分について
送達量の均一性試験を行う.
平均送達量又は表示した送達量のいずれかを判定の基準値と
する.
10個の送達量のうち9個が基準値の75%~125%であり,全
002-1609.pdf
88
ての個々の送達量が基準値の65%~135%であるとき適合とす
104
6.14-2に示されたスキームに従い,捕集チューブを流路システ
89
る.基準値の75%~125%を超える送達量が2個又は3個である
105
ムに接続する.
90
ときは,10個の送達量を得る一連の操作を新たに2回実施し,
106
91
合計30個の送達量値を得る.基準値の75%~125%を超える送
92
達量が30個中3個以下であり,基準値の65%~135%を超える
93
送達量がないとき適合とする.
94
もし正当な理由があれば,規格の範囲を広げることができる.
95
ただし,基準値の50%~150%を超える送達量があってはなら
96
ない.
97
98
また,平均送達量は表示した送達量の85%~115%である.
2. 吸入粉末剤の試験法
99
送達薬物捕集装置は,送達する薬物を定量的に捕集すること
100
ができなければならない.吸入エアゾール剤の測定に用いる装
101
置のサイズの捕集チューブ及びフィルターで測定に必要な流量
102
が得られる場合は,吸入エアゾールと同様の装置を用いること
103
ができる.適当なチューブは表6.14-1に示す.表6.14-1及び図
110
107
108
109
図6.14-2. 吸入粉末剤用のサンプリング装置
表6.14-1. 図6.14-2の構成部分の規格
コード
品名
寸法
A
サンプル捕集チューブ
内径34.85 mm × 長さ12 cm
B
フィルター
47 mmガラス繊維フィルター
C
コネクター
内径≧8 mm(例,低直径ノズルとP3をつなぐ短い金属製)
D
真空チューブ
内部容積が25±5 mLであり内径≧8 mmの適切な長さのチューブ(例,外径14mmかつ内径
E
二方電磁弁
内径≧8 mmかつ開放反応時間が≦100ミリ秒以下である二方向,二ポートの電磁弁
F
真空ポンプ
ポンプは,マウスピースアダプターを介して吸入粉末剤に接続した組立装置を通って必要な流
8mmのシリコンチューブ)
量を吸引することができなければならない.必要なポンプ容量を最小限にするために短くて太
い(内径≧10 mm)真空チューブ及びコネクターを用いて電磁弁にポンプを接続する.
G
タイマー
所定の時間の間,電磁弁を切り替える
P1
圧力タップ
サンプル捕集チューブの内表面にある内径2.2 mm,外形3.1 mmのタップであり,中央にあり
バリがなく,吸入口から59 mmに位置する.圧力タップP1は,送達物を捕集している間は大
気にさらされてはならない.大気圧との差圧はP1で測定する.
P1,P2,P3
H
圧力計
―
流量制御バルブ
最大Cv≧1の調節可能な調整弁
111
112
別に規定するもののほか,次に示す手順に従って,捕集チュ
113
ーブ,関連する空気流路システム,適当な差圧計,流出する流
114
量でキャリブレートされた適当な体積流量計を用いて,空気の
115
流速及び吸引時間を決める.
130
Q out =
Q in × P 0
P 0-ΔP
131
P 0:大気圧
ΔP:流量計を通過する際に低下した圧力
116
吸入器を使用方法に従って準備し,気密性を確保できるマウ
132
117
スピースアダプターを用いて装置の入口に接続する.吸入器の
133
流量が毎分100 Lを超える場合は,毎分100 L(±5%)の流量
118
マウスピースの前面がサンプル捕集チューブの前面と同一平面
134
となるように流量調節バルブを調節する.流出する体積流量を
119
であることが担保できるマウスピースアダプターを用いる.差
135
記録し,1分間の試験流量 Q out’ (L)とする.試験流量 Q out’で空
120
圧計の一方を図6.14-2に示す圧力読み取りポイントP1に接続
136
気4 Lが吸入器のマウスピースから吸引されるように吸引時間
121
し,他方を大気中に開放する.ポンプのスイッチを入れ,二方
137
T(秒)を決める.次に示す手順により,流量調節バルブ内に臨
122
ソレノイドバルブを開き,差圧計により吸入器を通過する際の
138
界気流が発生していることを確認する:吸入器を取り付け,試
123
圧力低下が4.0 kPa(40.8 cm H2O)を示すまで,流量調節バルブ
139
験流量Q out’になったら調節バルブの両側での絶対圧力を測定す
124
を調節する.マウスピースアダプターから吸入器を取り外し,
140
る(図6.14-2の圧力読み取りポイントP2,P3).P3/P2比が0.5
125
流量調節バルブに触れずに流量計をサンプリング装置の入口に
141
以下ならば,臨界気流が発生していることを示す.臨界気流の
126
接続する. 流出する体積流量で校正されている流量計を用い
142
発生が示されない場合は,より強力なポンプに換え,試験流量
127
るか,又は流出する体積流量(Q out)を理想気体の法則を用いて
143
を再度測定する.
128
計算する.用いる流量計が流入する体積流量(Q in)について校
144
吸入粉末剤には,1吸入量の粉末がカプセル剤又は他の適切
129
正されている場合は,以下の式を用いて計算する.
145
な剤形にあらかじめ秤量されている吸入剤及び1吸入量の粉末
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146
が吸入剤内で秤量される吸入剤があり,それぞれの機能に応じ
200
147
て以下の試験法により試験を行う.
201
148
2.1. 1吸入量の粉末があらかじめ秤量されている吸入剤
202
ただし,基準値の50%~150%を超える送達量があってはなら
ない.
送達量がないとき適合とする.
もし正当な理由があれば,規格の範囲を広げることができる.
149
吸入器を気密性を確保できるアダプターを用いて装置に取り
203
150
付ける.規定された条件で吸入器を通して空気を吸引する.用
204
151
法・用量に記載された最小の1回用量に対応する放出回数の検
205
152
体がサンプリングできるまでこの操作を繰り返す.装置への送
206
吸入器1個をとり試験を行う.吸入器を,気密性を確保でき
153
達物を回収,定量し,送達量とする.
207
るアダプターを用いて装置に取り付ける.規定された条件で吸
また,平均送達量は表示した送達量の85%~115%である.
2.2.2. 試験法2:吸入器間の送達量の均一性の評価
154
この手順で更に送達量測定を9回繰り返す.合計10個の送達
208
入器を通して空気を吸引する.用法・用量に記載された最小の
155
量測定値を得るための検体のサンプリング手順については,各
209
1回用量に対応する放出回数の検体がサンプリングできるまで
156
製剤の放出機構を考慮して個別に定める.
210
この操作を繰り返す.装置への送達物を回収,定量し,送達量
211
とする.
157
158
159
160
2種類以上の有効成分を含む製剤では,各有効成分について
送達量の均一性試験を行う.
平均送達量又は表示した送達量のいずれかを判定の基準値と
する.
212
この手順で更に吸入器9個につき送達量測定を繰り返す.以
213
上の操作により,吸入器10個に対して,使用開始時の各1回
214
ずつ,合計10回の送達量測定を実施する.
161
10個の送達量のうち9個が基準値の75%~125%であり,全
215
162
ての個々の送達量が基準値の65%~135%であるとき適合とす
216
163
る.基準値の75%~125%を超える送達量が2個又は3個である
217
164
ときは,10個の送達量を得る一連の操作を新たに2回実施し,
218
165
合計30個の送達量値を得る.基準値の75%~125%を超える送
219
10個の送達量のうち9個が基準値の75%~125%であり,全
166
達量が30個中3個以下であり,基準値の65%~135%を超える
220
ての個々の送達量が基準値の65%~135%であるとき適合とす
167
送達量がないとき適合とする.
221
る.基準値の75%~125%を超える送達量が2個又は3個である
168
2種類以上の有効成分を含む製剤では,各有効成分について
送達量の均一性試験を行う.
平均送達量又は表示した送達量のいずれかを判定の基準値と
する.
もし正当な理由があれば,規格の範囲を広げることができる. 222
ときは,10個の送達量を得る一連の操作を新たに2回実施し,
169
ただし,基準値の50%~150%を超える送達量があってはなら
223
合計30個の送達量値を得る.基準値の75%~125%を超える送
170
ない.
224
達量が30個中3個以下であり,基準値の65%~135%を超える
225
送達量がないとき適合とする.
171
また,平均送達量は表示した送達量の85%~115%である.
172
2.2. 1吸入量の粉末が吸入器内で秤量される吸入剤
226
173
2.2.1. 試験法1:吸入器内の送達量の均一性の評価
227
ただし,基準値の50%~150%を超える送達量があってはなら
ない.
174
吸入器1個をとり試験を行う.吸入器を,気密性を確保でき
228
175
るアダプターを用いて装置に取り付ける.規定された条件で吸
229
176
入器を通して空気を吸引する.用法・用量に記載された最小の
230
177
1回用量に対応する放出回数の検体がサンプリングできるまで
231
178
この操作を繰り返す.装置への送達物を回収,定量し,送達量
179
とする.
180
この手順で更に送達量測定を2回繰り返す.
181
残り(n/2)+1の放出回数になるまで,吸入器の捨て放出を行
182
う.nは表示されている吸入可能放出回数である.必要に応じ
183
て,吸入器を保存し静電気を放電する.上記と同様の手順で送
184
達量測定を4回繰り返す.
185
残り3回用量の放出回数になるまで,吸入器の捨て放出を行
186
う.必要に応じて,吸入器を保存し静電気を放電する.上記と
187
同様の手順で送達量測定を3回繰り返す.以上の操作により,
188
吸入器1個に対して,使用開始時の3回,中間期の4回,使用終
189
了時の3回,合計10回の送達量測定を実施する.
190
191
192
193
2種類以上の有効成分を含む製剤では,各有効成分について
送達量の均一性試験を行う.
平均送達量又は表示した送達量のいずれかを判定の基準値と
する.
194
10個の送達量のうち9個が基準値の75%~125%であり,全
195
ての個々の送達量が基準値の65%~135%であるとき適合とす
196
る.基準値の75%~125%を超える送達量が2個又は3個である
197
ときは,10個の送達量を得る一連の操作を新たに2回実施し,
198
合計30個の送達量値を得る.基準値の75%~125%を超える送
199
達量が30個中3個以下であり,基準値の65%~135%を超える
もし正当な理由があれば,規格の範囲を広げることができる.
また,平均送達量は表示した送達量の85%~115%である.
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