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ニューズレター(支部概況報告)(3月)

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ニューズレター(支部概況報告)(3月)
大阪商工会議所中小企業振興部
〒540-0029 大阪市中央区本町橋2番8号
TEL06(6944)6451 FAX06(6944)6565
No.195
2007.3.16
ニューズレター(支部概況報告)(3月)
テーマ
1.工夫ある経営で頑張っている中小企業(10 件)
…………………………
2頁
○CAD/CAM導入に独自の工夫、鍛造用「一体もの」金型製作に強味を発揮!!
(㈲中村金型製作所:西淀川区)
○培った技術を活かして発光式LED表札「サンワ・ルミパワー」を開発(三和計器㈱:西淀川区)
○職人の技と最新OAとの分業で新たなサービス(㈱キング刺繍:城東区)
○あるようでなかった、周辺環境にマッチした「木目調」
・「大理石調」防犯カメラ
(㈲コンストラクション・プランニング:中央区)
○お客様快適主義で急成長し、人材育成・確保にも熱心な製造業(㈱ノダ:生野区)
○ゴム製品の明日を追い続ける創業 83 年の老舗ゴムメーカー(オーサカゴム㈱:天王寺区)
○夢と福祉とビジネスをかけて(㈱山創:天王寺区)
○美容にも食用にも使えるココナッツオイルで、めざすはアジアの貧困解消!
(㈱ココウェル:平野区)
○都市型駐車場分野で大手企業と互角に戦える優秀な技術力を有する中堅企業
(M・P・E㈱:住之江区)
○インターネット・カタログ通販で介護用品専門で頑張ってる企業(㈲夢工場:住之江区)
2.地域の動き(5件)
…………………………
12 頁
○新淀川支部管内の3小学校による「キッズマート」開催(東淀川区・淀川区・西淀川区)
○菅北キッズマート顛末記(北区)
○賑わいを見せつつある古本店(北区)
○大正区第九合唱団がデビュー公演(大正区)
○「平野区コミュニティビジネス連絡会」が発足(平野区)
大阪のあるべき姿と重点テーマを示す「ビジョン」と、そ
の実現に向けた「アクションプラン」をとりまとめたのが
「大阪賑わい創出プラン」です。 ビジネス・ホームドク
ター である経営指導員が、
地域商工業に活力あふれる
「大
阪」をつくりだすための支援をします。
新淀川支部(淀川三区担当) 北・都島・福島支部
旭・城東・鶴見支部 中央支部 此花・西・港支部
東成・生野支部 天王寺・阿倍野支部
大正・浪速・西成支部 東住吉・平野支部 住之江・住吉支部
工夫ある経営で頑張っている中小企業
CAD/CAM導入に独自の工夫、鍛造用「一体もの」金型製作に強味を発揮!!
有限会社中村金型製作所(所在地:西淀川区中島2丁目11-90
6471-3091
資本金:800万円
従業員:7名
代表者:中村和清氏
℡:
鍛造用金型製造業)は現社長の実父が昭和33年に
開業、昭和57年に法人化し、来年には創業50周年をむかえる業歴を有する企業である。
同社は高圧バルブ用部品金型や自動車用部品金型、船舶用エンジン部品金型を得意分野とし、
これまで数々の景気の波を乗り越えてきたが、昨今のIT化の波が各業界に急激に浸透して行く
中で、同社にとってもIT化は避けて通れない大きな課題となっていた。そこで代表者の実弟が
作業工程のデジタル化を担当し、CAD/CAM(コンピュータ支援設計・製作:computer aided
design & manufacturing)の導入により精密な設計図を作製、より精緻なモデルを設計する技術
を修得した。
また、同社において工夫されたデジタル工程により、CAD/CAMによる三次元モデルのデ
ータが、同社独自にCPUやメモリなどの機能強化を施したパソコンに直接に入力され、そのパ
ソコンによるDNC運転(CAD/CAMデータの直接オンラインのよる工作機械の自動制御:
direct numerical control)によって、マシニングセンターが夜間に自動で稼働し、翌朝には金
型が完成するという無人工程が確立した。
課題となっていたこの工程の実現により、これまで手作業では処理しきれなかった平面と平面
との境界部分の角度を正確に出すことができるようになったほか、さらに金型の「一体もの」の
製作も可能となった。この「一体もの」製作技術の開発という成果によって、同社は新たな強味
を得ることとなり、既存の取引先の信頼度が増すばかりでなく、新たな顧客開拓が可能となった。
近時はペンチなどこれまで実績のなかった建築用工具向けの金型の製作も新規受注し、ダイス鋼
金属(SKD)を材料に鍛造用金型を製作し販路を拡大している。
(新淀川支部)
培った技術を活かして発光式LED表札「サンワ・ルミパワー」を開発
「水と安全はタダ」の時代は終わりを告げ、現在では地域・企業・個人で、いかにして安全
を確保するかが焦眉の課題となっている。その中で、これまでに培ったモノ造りの技術を活か
して地域の安全と安心に貢献する製品を送り出した事業所がある。
みなさんはこれまで、夜間に通りを走ってくるタクシーに乗ろうとしたとき、空車なのか賃
走なのかの判断がつかず、もどかしい思いをしたことがあると思う。こうした思いを解消して
きたのが三和計器株式会社(所在地:西淀川区柏里 2-10-16
℡:6478-4631
取締役社長:村
木靖彰氏)である。同社は昭和 61 年の創業以来、タクシーのフロントグラス内で「空車」「賃
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ニューズレター195 号(平成 19 年3月)
走」「迎車」などといった表示をLEDランプによる発光式の灯火で示す機材を製造してきた。
また、乗務員に万一の危険が迫ったときなどは「SOS」の発光表示機能を盛り込むなど、ユ
ーザーからも、タクシー乗務員からも反応は上々だ。
もともと同社はタクシーの料金表示メーターを製造してきた。その後、市場の動向を先取り
する形でLED部門に進出。この分野ではパイオニアとして、特許も取得した。しかし、タク
シー業界は市場として、今後大きく伸びることは望めない。次のステップとして、これまでの
技術を活用でき、かつ広い市場を模索した結果、住宅・事業所の表札分野に進出することを決
定した。
とはいえ、これまでとは全く異なる市場なので、進出に際しては、工務店や表札販売業者な
どに対し入念な市場調査を行った。確かに夜間、発光表示で表札が読めれば便利な面はある。
しかし、LED表示の限界として、字体や書体など、
「玄関の顔」としてのユーザーのこだわり
を満たすことができない。やはりメインの表札は表札として、LEDは補助的な存在にしかな
り得ない。その補助的な存在のLED表札が市場に進出する切り口を探るため、限られた開発
スタッフはなおもヒアリングを続けた。その中の防犯機器取扱店へのヒアリングにヒントがあ
った。「LED表札が補助的であるなら、その中にセキュリティ機能を盛り込めないか」
緊急の事態が起こったとき、室内からのリモコン操作でLED表札が「SOS」に切り替わ
り、点滅を繰り返す。そして、合成音声やサイレンだけでなく、居住者の声をそのまま録音・
使用した音声があたかも防犯ベルのように助けを求める声として周囲に鳴り響く機能を付加し
た。これも市場調査のアドバイスから得られた結果だった。
こうして生まれたのが音声警報付き表札表示燈「サンワ・ルミパワー」である。夜間でも明
るく見やすい表札としての機能を持つほか、セキュリティ機能として緊急時には室内からリモ
コン操作で戸外に警報発声を行なう機能を持つ。また、LEDの特徴を活かして、12 文字程度
のメッセージを流すこともできる。
「サンワ・ルミパワー」
を世に送り出した村木社長はこう語る。「新しい分野に進出するとき、
これまで培ってきた三和計器の技術とブランドで世の中の役に立つものを作りたいと思いまし
た。それが形になった今、これをどうやって普及させてゆくか。それが現在の課題です」
昨秋の完成以来、同社では細部の改良を施しながらホームセンターや大手工務店等にサン
ワ・ルミパワーのPRに注力している。当支部では販路拡大の一助として、大商が主催する逆
見本市・売れ筋商品発掘市を紹介、この度参加の運びとなった。
(新淀川支部)
職人の技と最新OAとの分業で新たなサービス
人よりも目立つ、自分たちだけのオンリーワンが欲しい。そんな人々の願いをリーズナブル
な値段でサービスを提供することができれば商売は成功するのかもしれない。
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ニューズレター195 号(平成 19 年3月)
刺繍といえば職人が技術と時間をかけて作成するものであり、株式会社キング刺繍(所在地:
城東区関目 6-13-18
URL: http://www.aps-king.jp/)の女性社長ご自身も刺繍の職人として、
世界で活躍した経験を持つ。ところが中国やアジア諸国への生産シフトは日本の職人の市場を
奪い、業界も縮小傾向にある中で、従来の経営・製造手法では苦戦を強いられるようになって
いた。
そこで、同社では、作業工程にオートメーションを取り入れ、機械でできる部分と職人の技
術が必要な部分とを整理して分業し、コスト削減を実現した。
また、刺繍は高価なイメージとともに、今までは身近なサービスとして成立できず、消費者
のニーズに対応するようなショップは見当たらなかった。
そこでこのたび、国民生活金融公庫の支援を得て、1月に国道1号線沿いに営業店を出店。
目立つよう看板を設置、道行く人々へのPRを始めたところ、「こんな店を探していた」という
お客様が訪ねてくれるようになった。パソコンのデザインソフトを活用してカウンターにディ
スプレイを設置、お客様と顔を突き合わせて納得のいくまで相談を重ね、意匠を決める。熱狂
的なスポーツファンにはお気に入りの選手の背番号や愛称、所属する草野球チーム名などをハ
ッピやシャツにデザインする。警察・消防・自衛隊などからの注文も多く、各部隊名・マスコ
ットを思い思いのイメージをもとに帽子やジャンパーにプリント・刺繍を施していく。お客様
にとってはウェアや帽子に気に入ったデザインを選ぶことができるとあって、愛着度は一層高
まり、サービスに対する満足度も高いようだ。
従来では成り立たないと信じられていた、消費者のニーズと職人技がもたらす質の高いサー
ビスとの接点を求め、商売として確立できるよう奮闘中だ。注文点数が少ないと単価がどうし
ても高くなる点が問題として残っているので、今後は家族やカップル対応サービスができるよ
うになれば、今よりももっと幅広く顧客を集められるかもしれない。今後も更なる営業努力が
期待される。
(旭・城東・鶴見支部)
あるようでなかった、周辺環境にマッチした「木目調」・「大理石調」防犯カメラ
有限会社コンストラクション・プランニング(所在地:中央区東高麗橋 2-1 ルート中之島ビ
ル 406 号
℡:6947-3150
URL:http://www.const-net.com/
代表取締役社長:惣津寛樹氏)
は、周辺環境にマッチした外観を施したオリジナル防犯カメラを開発し、注目をあびている。
もともと同社は、リフォーム・修理提案のコンサルタントとして開業したが、大手賃貸管理
会社と提携して防犯による入居率向上に取り組むうち、丁寧な仕事と良心的な料金が数珠つな
ぎに顧客を呼び、防犯装置の設置、特にカメラ工事が主たる業務になった。
そうしたなかで、防犯カメラに関して、
「いかにも監視用の目立つカメラ」でなく「さりげな
く監視するカメラ」が欲しいという需要に直面した。この需要に応えるため、当初はその場に
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ニューズレター195 号(平成 19 年3月)
合わせて建物外観になじむような埋め込みカメラやカムフラージュカメラを作っていたが、試
行錯誤の末、ついにオリジナルの木目調・大理石調カメラが完成した。
このカメラは周辺の色や木・石の色に合わせ、木目調9種類、大理石調3種類の色目から選
択できる。これにより、監視カメラはつけたいけれど、景観の邪魔になると二の足を踏んでい
た寺社や、客足が遠のくことを恐れているお店、自衛のためにつけたいが近所の目が気になっ
ている個人宅など、エンドユーザーからの直接依頼が急増し、社員を増やして対応している。
同社の強みは、インターネットからの問合せに対して全て自動で見積比較表まで作成・返信
する自社開発のシステムと、工事対応可能な登録業者を全国に確保しているところにあり、大
手企業とも提携し、日々事業を拡大している。
顧客の声を大切にしながら、「これからも人が喜ぶ仕事を」をモットーにする惣津社長へエー
ルを送りたい。
(中央支部)
お客様快適主義で急成長し、人材育成・確保にも熱心な製造業
中小企業にとっては、厳しい経営環境が続いているが、その中で、株式会社ノダ(代表取締
役:野田隆昌氏
従業員数:20 人
所在地:生野区中川東 2-2-15 ℡:6756-0800)は、ここ
数年、毎年 30%以上の伸びを示し、急成長中である。同社は各種工業用ゴム・樹脂フィルムな
どを正確に打ち抜く木型(トムソン型)の製造を行っている。通常、トムソン型は、紙の打ち
抜きに使用されるが、同社のものは、フィルム、シート、ゴムパッキンなどを打ち抜き、工業
用部品、電子部品などに使われる。
社長の野田氏は2代目。平成 14 年に父の後を継いで社長に就任した。しかし、事業を承継し
た時から、経営が順調であったわけではない。会社を引き継いだ時は危機的な状況であった。
そんな時、野田社長は、お客さんにどうしたらよいかを聞いて回ったのであった。こうした顧
客の声を聞いて、それに対応してきたことが現在の急成長につながっていく。
これまで、同社の木型は、「早いが悪い」と言われていた。そこで同社は、「正確で速い」仕
事を実践していったのである。まず、思い切って平成 15 年にレーザー加工機を導入。精度・品
質に対する顧客の声に応える体制を整えた。さらに、納期などの約束を守ることでお客さんの
信頼を勝ち取っていった。こうして、大阪の取引先数がどんどん増え、名古屋方面のお客から
も注文をいただくようになった。
同社の売りは「品質と短納期」。地域に密着するほうが、顧客の要望に応えられる。平成 17
年 10 月には名古屋近辺に中部工場を開設、平成 18 年 10 月には東京営業所を設置と事業エリア
の拡大を続けている。加えて、最近では、これまで同社が扱っていなかった新規事業にも取り
組もうと考えている。
こんな急成長企業を支えるのは、やはり人材である。同社を訪問すると、若い従業員は非常
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ニューズレター195 号(平成 19 年3月)
に礼儀正しく、必ず元気に挨拶をする。非常によく教育されていることがわかる。また、平成
18 年夏には、本所のエキスパートバンクを活用し、人事問題の専門家からアドバイスを受けた。
社員の納得度の高い給与体系を構築し、やる気を引き出す仕組みづくりにも熱心に取り組んで
いる。もっとも、人材については、まだまだ解決すべき問題がある。大阪、愛知、東京と事業
展開しているが、急拡大する事業に対してどの事業所も人手が足りない。これについては、同
社は、平成 20 年度の新卒採用に向けて人事部門を設立、大学などにも足を運び求人を行ってい
る。
(東成・生野支部)
ゴム製品の明日を追い続ける創業 83 年の老舗ゴムメーカー
オーサカゴム株式会社(本社:天王寺区)は、1923 年(大正 12 年)に大阪市東今里にて創
業、1984 年(昭和 59 年)には、主力工場を大阪市平野区から三重県名張市へ移転し、工業用
ゴムシート、消防用吸管、玄関マットなどの製品を中心に取扱う創業 83 年の老舗ゴムメーカー
である。
同社の「消防車やポンプでの吸水に使用される吸管」は、国内シェアー65%を有するトップ
ブランドの地位を築いている。これは消防車の両側に円形にして取り付けられているホースで、
吸水時には相当な減圧力がかかるため、ゴム製の管に高強度の繊維や金属ワイヤーを織り込ん
で、操作上フレキシブルに屈曲する一方、減圧にも形が崩れないよう十分な強度を持たせてい
る。消防士が技能を争う全国操法大会では、上位に入賞する消防署の多くが、同社の吸管を採
用している。
主力製品である「工業用ゴムシート」は成熟産業であり、国内需要量の増大は多くは望めな
い状況ではあるが、土木建築から自動車、家電製品、機械類と、あらゆる産業分野において必
要な工業部材としての重要性は変わっていない。そうしたなかで時代のニーズに呼応して、環
境規制に対応した安全な化学物質のみで配合したゴムシートや通常使われる黒色ではなく白色
はじめ赤、緑、青、黄色と伝ったカラフルなゴムシートなど新たな特性や機能を有するゴムシ
ートの開発・生産に取り組んでおり、家庭用DIY製品としてホームセンターでも販売されて
いる。また、現在、
「環境と安全」をテーマに、立ち作業での疲労を軽減する床用マットの開発、
階段や壁のコーナー材として転んだり、ぶつけても怪我をしない製品の共同開発などゴムの特
性を生かした新たな製品開発に取り組んでいる。
「玄関マット」は、ユーザーである企業や事業店舗へレンタルされ、繰返し使用される耐久
性のあるマットとして、国内で実用化された当初から大手レンタルマット会社へOEMで生産
して納入するなど、その品質は高く評価されている。現在もその用途は拡がっており、それに
合わせて特定のお客様専用にデザインされた「はめ込みタイプのマット」も生産するなど新し
いマットを次々に開発している。
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ニューズレター195 号(平成 19 年3月)
創業 83 年の老舗企業でありながら、現状に妥協せず、常に若い意欲を持って、お客様のニー
ズに合わせ、新しい製品開発に創意工夫して取り組む姿勢に企業の強いメッセージを感じた。
(天王寺・阿倍野支部)
夢と福祉とビジネスをかけて
「夢をかなえたいという意欲」は創業には欠かせない要件である。しかし、その実現には多
大なエネルギーが要求される。加えて「福祉」という要素が加わると、「ビジネス」と「福祉」
のバランスを取ることが困難で実現しないケースも多い。
株式会社山創(所在地:天王寺区寺田町 1-6-32
経営者:山本恵子
℡:6773-8713
従業
員:7名)は内装を本業としているが、夢と福祉とビジネスをかけて挑戦し、紆余曲折のなか
で「ビジネス」と「福祉」の両立に成功しつつある稀有な存在である。同社の取り組みはコミ
ュニティービジネスや福祉団体・施設の事業経営は言うに及ばず、今後の一般事業所の経営に
対しても新たな示唆を含んでいる。
経営者は事業の中に女性としての感性を活かし、絶えず先を開拓する事業展開を行なってき
た。また出身は、沖縄であり自然に対するあこがれを強く持っている。
そうしたなかで、「空家対策事業」としての委託を受け、また平成 17 年 11 月にマル経資金を
活用してコミュニティー飲食スペース「空(くう)」
(所在地:奈良県奈良市富雄北 1-3-15)を
開設した。
「空」は新しい食や暮らし方を提案し、昔懐かしい時を再現し、会話をはずませるようなや
さしい料理のおもてなしを提供している。食材については、同所農園で栽培する有機野菜、他
では見られないものや手に入りにくいものなど一味違った食材にこだわっている。また、季節
の食材を中心に日替わりで献立も変えている。周囲には庭もあり畑もあり、小さな空間の中で
来園者の目と心を楽しませる工夫もしている。
しかし、こんな理想の空間を実現するのは、並大抵の道筋ではなかった。多くの人たちの熱
い思いを受け、事業の立ち上げから「シングルマザーの会」や地元ボランティアを巻き込んで
実現していった。そのなかで、たくさんの人との出会いがあった、経営者としてではなく一人
の人間としての出会いもあった。
一般社会では障害者と呼ばれる人たちで、そのなかのY君は、
この仕事に最初はとまどっていた。例えば落ち葉を掃除するにも枯葉と普通の葉っぱとの区別
ができなかった。しかし、今では自分の工夫でよそおってお出ししたご飯が空っぽにされるこ
とに喜びを感じている。他にも同様な例があり、障害があると言われる方の独自の感性を活か
そうとする試みが実践されつつある。最近では、「あまから手帳」に紹介されるまでになってい
る。今始まったばかりのチャレンジだが、同社の取り組みは「与えられる福祉」ではなく、「与
える福祉」の可能性、「個」の能力を中心にする可能性も持っている。
経営者は「ボランティア」ではなく「ビジネス」と位置づけているが、発想の展開がこうい
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ニューズレター195 号(平成 19 年3月)
ったビジネスにとどまらない可能性をもたらしている。その存在意義が社会に新しい示唆を与
えるだけに更なる発展が期待される。
(天王寺・阿倍野支部)
美容にも食用にも使えるココナッツオイルで、めざすはアジアの貧困解消!
株式会社ココウェル(代表取締役:水井裕氏
所在地:平野区瓜破西 2-11-13)は創業して
2年半、社員はともに 30 歳の社長と副社長の2人だけ、主な取扱商品はバージンココナッツオ
イルを利用した化粧品類、当面の販路希望先は化粧品会社やエステサロン……こう聞くと、同
社をどのような企業だとイメージされるだろうか?昨今の創業ブーム・健康ブームにのり、売
れると見込んだ商品に飛びついただけの企業と思われるだろうか?
さて、そもそも同社が取り扱う
ココナッツ
、今どき特に目新しいものではないが、実は
非常に生産性が高く、1本のココナッツの木から、多いもので年間 200 個の実が採れる。また、
殻は活性炭や皮製品として、中の水は栄養水やナタデココの原料として利用される。果肉から
は、搾ってバージンココナッツオイルやココナッツミルクが作られ、その搾りかすはココナッ
ツファイバーとして食品に利用されるなど、捨てるところがない環境に優しい植物なのである。
(ココナッツの魅力・効能等については、同社ホームページ(URL:http://www.cocowell.co.jp/)
に非常に詳しく記載されているので、ぜひご覧ください。
)
一方、その主要原産国であるフィリピンでは、昔から「ココナッツあるところに貧困あり」
と言われ、同国では「フィリピン・ココナッツ・オーソリティ(PCA)」という政府機関まで
設立され、ココナッツ産業を発展させることによって、貧困層の生活を安定させようと支援し
ている。
それでは、なぜ同社がこのココナッツで創業することになったのか? 社長の水井氏、副社長
の東氏は、共に大学時代から環境ビジネスに関わりたいという強い意思を持っていた。そのた
め、ご両人とも大学卒業後企業に勤めていながら、日本で最初の環境専門学校が設立されると
同校に飛び込んだという経歴を持つ。特に水井社長は、同校在学中に環境の勉強のためフィリ
ピンに留学した際、上記の貧困問題とこれを解消するためのココナッツ産業に着目、環境への
負荷の低さとビジネスとしての可能性を見出した。そして、PCAと協力し、フィリピンを始
めとするアジア諸国の貧困問題の解決に貢献したいという意思のもと開業した。
もっとも、美しい理念や理想だけではビジネスは成り立たない。事業経歴が浅く、自分たち
に経験が乏しいのは何より本人たちが痛感している。そこで、水井社長は大商の創業塾等に参
加、経営ノウハウの習得に取り組む一方、副社長の東氏は前職での経験を活かし、「経営革新計
画」の承認申請に取り組むなど、創業以前から精力的な活動を行なっている。
その効果もあってか、同社の製品は既に東急ハンズで取り扱われており、女性ファッション
雑誌にも掲載されるようになった。また、昨夏から㈱ナムコが展開するトリートメントサロン
8
ニューズレター195 号(平成 19 年3月)
「ヒロット」
(フィリピンの伝統的マッサージ療法)には、同社のバージンココナッツオイル製
品が使用されるなど、徐々に成果が出始めている。
同社の当面の目標は、さらにバージンココナッツオイルの知名度アップを図り、その効能や
魅力を幅広い消費者に認識してもらうこと。そのため、独特の口コミ効果を発揮する女性をタ
ーゲットとして、バージンココナッツオイルを利用した化粧品や日用品、エステサロン用のマ
ッサージオイルの販売を展開している。もっとも、同社はココナッツ製品の取扱量を増やすこ
とにより、フィリピン等の貧困解消に役立ちたいと考えているため、美容部門の小売販売だけ
でなく、食品業界や飲食店をメインとした食用部門への原料卸の取引拡大をめざしている。こ
の単にココナッツの関連製品を輸入するだけでなく、原料卸を行なえることが同社の強みであ
る。水井社長がフィリピン留学中に培った人脈と、同国の貧困解消、環境保護に真摯に取り組
む姿勢が評価され、PCAや同国最大のバージンココナッツオイルメーカーとのパイプを築く
ことができた。そのため、創業間もない小企業ながら、高品質かつ 100%天然の「バージン」
ココナッツオイルをダイレクトに扱えるのである。
今後、競合他社等が現れる可能性もあるが、同社はココナッツ取り扱いのプロであることを
強く意識し、ココナッツに対する一過性ではない深い理解と品質へのこだわりに加え、ココナ
ッツ原産国における多彩な人脈、供給源との信頼関係を活かしながら、差別化を図っていきた
いとのことである。
(東住吉・平野支部)
都市型駐車場分野で大手企業と互角に戦える優秀な技術力を有する中堅企業
M・P・E株式会社(所在地:住之江区西加賀屋 4-3-35
℡:6686-1621
代表者:宮地頼雄
氏)は都市型駐車場分野で優秀な技術力を有する企業である。現在、大都市内の狭い立地の中で
駐車場を如何に効率よく設置できるかが深刻な問題となっているが、同社は、
「5SP‐パーキ
ングシステム」と「M.P.E.アメニティパーキングシステム」の2つの全自動機械式立体
駐車場装置システムを構築し、この問題の克服を目指している。
まず、
「5SP‐パーキングシステム」の5Sとは Spaceless、Saving、Simple&auto、Safety、
Speedy&silent のイニシャルのSであり地上の立体駐車場である。また、「M.P.E.アメニ
ティパーキングシステム」とは地下の立体駐車場であり、イニシャルを取ってMAPSと略称
されている。その特色は①高速性②安全・快適性③高収容性④維持管理(メンテナンスフリー)
の4点である。同社の設置した地下 22mの立体駐車場は過去、例がないとのことである。
同社の実績としては、日本国内では関東を中心に 4,000 パレット稼動しており、その他韓国
で 5,000 パレット、台湾で 2,000 パレット、中国で 250 パレット、台湾では 2005 年度に5箇所
受注している。同社の売上状況は、バブル期は 30 億円近くあったが、現在は、その 10 分の1
に減少している。しかし、上記のように海外を中心に受注は安定的に伸びており、去年、オー
9
ニューズレター195 号(平成 19 年3月)
ストラリアのパースで 141 台収容の大型タワーパーキングを受注し、現在製作中である。
同社の製品は、大型で大企業と競合することが多いが、地下型・タワー型・多段式・平面往
復式・水平循環式・各全自動機械式立体駐車装置など顧客のニーズにあわせた様々な機種を取
り揃え、日本で 10 件、台湾で2件、韓国で2件、中国で1件の特許を取得し、大臣認定も 10
件受けている。また、中国との交流を深め、鉄骨やパレットを中国で製作しており、着実に競
争力を付けている。技術提携により現地生産が可能であるほか機械がシンプルなためアフター
サービスも簡単でトラブルは殆どない。提携に当たっては、同社の特許が提携先をも守り、競
争力を高める。直接メーカーがメンテナンスを引き受けメンテナンスのノウハウを蓄え、新規
製作、アフターサービスの充実に役立てている。
同社の後継者としては、社長の次男が同社の取締役技術部長として勤務している。但し、「会
社というものは、公器であるので、才能のあるものが後を継ぐものです。またバリアフリーや
省エネを考慮したパーキングで社会インフラの充実に貢献することが大切です。」と社長は言う。
その真意は、それくらい苦労が多いという親心だと思われる。
社長は 67 歳とは思えない、元気とパワーをお持ちの人であり、営業の先頭に立ち、執筆、講
演もされている。また、社長ご出身の阪大の工学部(機械工学科)と産学連携にも取り組まれて
いる。同社は社長一代で築いたもので、今年の4月に創業 20 周年の記念式典を実施する予定で
ある。
(住之江・住吉支部)
左図:立体駐車場は大阪の心斎橋にあるもので、近隣に幼稚園があ
るので、周囲との調和を考えて、キリンの絵を外装に書いてある珍
しいものである。タワー型で、2基連棟で 116 台収容できる。
下図:多段式の地上用立体駐車場
10
ニューズレター195 号(平成 19 年3月)
インターネット・カタログ通販で介護用品専門で頑張ってる企業
有限会社夢工場(所在地:住之江区南港南 2-3-44 南港センタービル5階
表者:中川栄治氏
℡:4703-0037
代
URL:http://www.yumekoujyo.com )は、介護用品、福祉用具の開発販売だ
けではなく、
「予防介護」にも取り組むユニークな企業である。「予防介護」とは、介護状態、
特に「寝たきり状態」になることを出来るだけ防ぐという経営理念である。寝たきり状態になる
と「うつ病」や「認知症」になりやすいので、それを防ぐため、運動を促進するための工夫した商
品を開発している。出来るだけ、在宅看護できるような商品、たとえば、介護用靴であれば、
軽い・滑らない・片手で履けるもの、車椅子であればすわり心地が良く・収納が簡単である・
安定して安全である・価格が安いものなどである。
現在の日本では、特別養護老人ホーム(特養)が不足していて、入所が何年も先であったり、
介護状態がかなり悪くないと入所できない。高齢化社会の到来により、今後、特養に入所する
のはより難しくなることが予想される。政府でも、在宅介護の推進に前向きに取り組んできて
おり、経済産業局や近畿財務局も予防介護に取り組む同社に注目している。
「私は、高齢者が、寝たきりで、うつ病や、認知症にならないよう出来るだけ、外に出て活
動できる機会を提供したいと思っています。そのために、障害者や高齢者の方々の参加型ユニ
バーサルファッションショーの開催などを考えています。凡ての方々が、簡単に脱着できて動
きやすく、便利な洋服や着物で着飾って外出して欲しいです。誰でもいくつの歳になっても、
美しく、若々しく思われたいものです。とにかく、介護状態にならないためには、外に出かけ
ていき、運動を、特に『歩くこと』が大切です。私は、介護用品の販売を通じて、社会に貢献
していきたい。人々に楽しい夢を持って生きてもらいたい、そういう意味をこめて、社名も『夢
工場』としました。今は、カタログ通販が中心ですが、今後、団塊の世代が大量に退職するこ
とになり、インターネットを扱う人も増えますので、インターネット通販に力を入れて行きた
いと思っています。現在の高齢者は、まだ、一部の方しかパソコンになじんでおられないので、
カタログや店舗での購入が多いです。そこで当社は、
地域密着型の一号店として最近、兵庫県の加西市に㈱
スケルトンジャパンと共に、アンテナショップを開店
させました。
」と同社の社長の中川氏は言う。
同社が、寝たきりにならないような、便利な介護用
靴や転倒予防商品に力を入れているのは、できるだけ
車椅子のお世話にならないためである。社長は言う「私
の生きがいは、障害者、高齢者に楽しく、夢を持って
生きていってもらうことなんです」と。
(住之江・住吉支部)
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ニューズレター195 号(平成 19 年3月)
地域の動き
新淀川支部管内の3小学校による「キッズマート」開催
当支部管内にて、地元商店街、サポーター企業等の協力の下、「キッズマート」が開催された。
「キッズマート」とは、小学生自らが商品の仕入れから広告宣伝、値付け、販売、収支計算、
利益処分等一連の出店活動を体験する事業で、それぞれの地元商店街振興組合等の協力の下で
開催されるもの。昨年度は1校だけでの開催であったが、今年度は、新規を含む3つの小学校
が開催に名乗りを上げ、各校にてにぎやかに実施された。
まず、1月 30 日には西淡路小学校(東淀川区・校長:中辻久幸氏)が開催。淡路本通り商店
街の入口付近にて、6年生 81 名がチョコレート屋、八百屋、パン屋、雑貨屋、衣料品屋など9
つの店舗を出店した。次に、2月2日には三国小学校(淀川区・校長:柴田柿美氏)が開催。
ここでは、サンティフルみくにの中に「キッズマート開催」の横断幕を掲げたり、商店街のス
ピーカーにて、マイクによる案内のほか、小学生自身によるテーマソングをBGMで流すなど、
振興組合の全面的なバックアップの下、工夫を凝らして盛大に開催された。さらに、2月8日
には、今年が5回目となる柏里小学校(西淀川区・校長:長谷部義郎氏)が、
「サンリバー柏里(柏
里本通商店街)」にて開催。5年生 63 名がお菓子屋(2店舗)、寿司屋、パン屋、花屋、日用品
屋、文房具屋、洋品屋の合計8店舗で出店。ここでは、それぞれ「社長」や「副社長」、
「営業
部長」、「経理部長」といった役職に「就任」した生徒が、それぞれの役職に応じた対外・対内
折衝を含めた、商売体験を行った。
当日は、いずれの商店街でも、寒空を吹き飛ばすような、「安いよ!いらっしゃい!」、
「これ
からタイムサービスをします!全商品半額!」という元気な呼び声がアーケード中にこだまし、
道行く大勢の人々が足を止め、また、父兄や祖父母も、わが子や孫の健闘ぶりを一目見ようと
朝早くから来場した。担当した小学校の先生方も、「音楽の授業では誰も声だせへんのに、今日
はよう出てんなぁ。やればできるやん」と、子供たちを「再評価」する一面も。各会場とも 300
名∼400 名にのぼる参加者で賑わい、ほとんどの店舗が完売御礼となるほどの盛況を見せた。
開催した小学校は本事業につき、
「思ったよりも地元との連携が取れなかった」という課題が
残ったところもあるが、概して「子供たちにとって、商売の厳しさと楽しさを体験できる本事
業は非常に有意義」と好評であった。地元商店街からも「商店街に活気が出る」と好意的な言
葉をいただいた。
「キッズマート」事業は、小学校はもとより、サポートしていただく様々な企業や団体のご
助力が不可欠です。今回も地元の商店街の皆様方には多大なご協力を頂戴するとともに、多く
の企業からも子供たちが店舗で販売する商品を無償で提供いただきました。この場をお借りし
てお礼を申し上げますとともに、今後とも引き続きご支援・ご協力をよろしくお願い申し上げ
ます。
(新淀川支部)
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ニューズレター195 号(平成 19 年3月)
菅北キッズマート(菅北小学校児童によるキッズマート)顛末記
毎冬恒例の「菅北キッズマート」が、天神橋筋6丁目商店街で1月 30 日に開催された。今年
で5年目の取り組みで、天六交差点のすぐ東にある住まいの情報館前では児童の賑やかな掛け
声が聞かれた。同地のキッズマートは天六界隈でよく知られており、今年は民放テレビ局の取
材も見られた。参加校である菅北小学校では、高学年の5年生と6年生の全員が総合的学習時
間の一環として毎年出店している。更に、1年生から4年生までの低学年の児童が来客の役割
を担って見学に訪れるなど、全校あげてこのキッズマートの行事が重視されている。
児童数の減少により昨年より2店舗減ったものの、今年は「食料島」、「野菜の星」、「衣服ッ
ク」のようなユニークなネーミングの 10 店舗が出店し、青果、菓子、軽衣料、文具、日用雑貨
などが販売された。午前 10 時の開店早々から、
「いらっしゃいませ。○○はいかがですか。△
△を買ってください」といった元気な声が聞かれ、終盤の「売り尽くし」に差し掛かると一段
と熱が入って声が大きくなり、話し声も聞き取れないほどの喧騒であった。2時間ばかりの限
られた出店時間のため1店舗当りの売上額は数万円と少なかったが、児童の顔には「売れた」
という満足感が見られた。
同地でのキッズマートの特長は、学校、PTA、それに商店街が一体になって協力して運営し
ていることである。事前の準備もよくなされており、商店街からの出前講師による児童向けの
店舗講義が行われている。今年は、5丁目商店街で古書店を経営するK氏が、事前に菅北小学
校を訪れて商売の基本を教えた。パワーポイントを用いた本格的な講義で、商売の基本がよく
分かると児童にとっても好評であった。PTAもたいへん協力的である。多くの父兄が参加し、
不審者などの監視役と商売を盛り上げるための買い物客の2役を演じていた。中には参加意識
が行き過ぎて特売品漁りをする「買い物客」役がでる始末で、終始和やかな光景が見られた。
現地で聴いた先生方の話では、日頃消極的な児童が積極的に大きな声を出して「商売」をす
る様子がみられ、体験学習以上に大きな効果が得られたようである。クラス全員が一つになっ
てこれほどに協力できることは珍しいそうだ。どの児童の顔も明るく、昨今社会的問題となっ
ているいじめとは縁遠い様子であった。
同地のキッズマートが年々盛大になる理由として、商店街側の協力によるところが大きい。
特に、天神橋筋6丁目商店街の受入れ態勢は万全といって良いほど整っており、小学校からの
参加申し入れには即座に対応している。商店街関係者の子弟の中には菅北小学校の児童も何人
か含まれており、PTAなどの会合を通じて日頃から学校と商店街でよくコミュニケーション
がとられていることも無関係ではないようである。多くの裏方の人々の努力と協力があって、
菅北キッズマートは今年も成功のうちに終了した。
(北・都島・福島支部)
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ニューズレター195 号(平成 19 年3月)
賑わいを見せつつある古本店
昭和 40 年代、50 年代は、団塊の世代が一挙に大学進学を目指したため、梅田阪急東、難波、
天神橋6丁目周辺に数多く点在した古本店の店頭には関西の大学生の姿が多く見られた。
しかし、インターネットが普及し始めた頃から、書物の販売もネット販売にかわっていき、
古本店は少しずつ減少の一途をたどって行った。梅田周辺においても飲み屋やゲーム機店が幅
を利かせ、古本店は数えるくらいになってしまったが、最近、天神橋周辺ではその様相がすこ
し変わりつつある。
昨年、大阪天満宮横に天満天神繁昌亭が完成し、そのため天神橋筋2丁目,3丁目周辺は人通
りが増加した。天満宮境内で、春と秋に開催されている古本祭りも 20 店程の古本店が出店して
賑わっている。
この影響で、天神橋3丁目、4丁目の商店街の空き店舗であったところに、古本店が入居し、
文庫本、漫画本セット、専門書など取り扱う店舗が増えつつある。3丁目,4丁目だけでも 10
店舗ほどあり、若者、年輩の方など結構店頭で気に入りの本を探している光景を見かける。最
近のレトロブームに相乗りをされているわけではない。このような店舗が商店街の賑わいのひ
とつとなっていることはうれしいかぎりである。
(北・都島・福島支部)
大正区第九合唱団がデビュー公演
第一次世界大戦の時のドイツ軍捕虜収容所「大阪俘虜収容所」が大正3年から6年にかけて
大正区にあったことから、大正ドイツ友好事業を開催することになった。そこで、捕虜収容所
が大正6年2月 18 日に閉鎖されたことにちなみ、2月 18 日にベートーヴェンの「第九」を合
唱することになり、昨年6月に大正区民による「大正区第九合唱団」が設立された。
第九合唱団の発足のきっかけは、映画「バルトの楽園」で話題を呼んだ鳴門市の板東俘虜収
容所で「第九」を日本で初めて演奏したときに指揮したドイツ兵が大阪俘虜収容所にもいたこ
とにある。ちなみに大正橋には欄干を五線譜に見立てて「第九」の譜面がデザインされている。
合唱団は 10 代から 80 代までの 200 名を超える区民からなり、ほとんどの人が合唱経験もな
くドイツ語も初めてであるが、熱心に毎週練習を続けた。この練習の模様は2月 1 日にNHK
ラジオで大正区長のインタビューを交えて放送された。
そして、いよいよ2月 18 日の千島体育館でのエウフォニカ管弦楽団演奏によるデビュー公演
にこぎつけ、その前売券は即日完売となる人気振りであった。
当日は合唱に先立ち、鳴門市ドイツ館館長の田村一郎氏による記念講演もあった。なお、こ
の「大正区第九合唱団」による公演は今後毎年実施される予定である。
(大正・浪速・西成支部)
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ニューズレター195 号(平成 19 年3月)
「平野区コミュニティビジネス連絡会」が発足
2月 12 日の建国記念の日、コミュニティプラザ平野(
「平野区民センター」平野区長吉出戸
5-3-58)において、
「平野区コミュニティビジネス連絡会」が発足し、各種の記念イベントが開
催された。同会は介護支援や環境整備、地域の活性化など地域が抱える課題を、その地域の企
業や関係団体で解決することを目指して組織されたもの。
式典には、発起人の呼びかけに賛同した企業や団体などから、およそ 50 人が出席。発起人代
表(NPO法人安寿理事長)が「平野区で初めての活動団体であり、いろいろ困難もあるだろ
うが、皆さんと協力して地域を良くするために頑張って行きたい。」とあいさつ。平野区役所か
らの祝辞のあと、「障害者支援の現状と課題」(社会福祉法人今川学園理事長)、
「地域福祉の現
状と課題」(フレンド作業所・まゆみ劇団代表)の2題の記念講演、同会の活動方針の発表と式
典が進められ、その後、出席者による「交流会」が催された。
また、会場では約 80 店のフリーマーケットが開かれたほか、紙芝居や車椅子ダンス、
「能」
の太鼓の解説と「橋弁慶」の公演など盛沢山な内容で、地域を巻き込んだ盛大なイベントとな
った。
その後、同会は2月 28 日(水)夜に、「第1回連絡会」をクオレ大阪南で開催し、役員と代
表を決め、本格的な活動に乗り出した。今後は連絡会を毎月1回をめどに開催し、広く案内し
て情報交換に努め、平野区のコミュニティビジネスを推進していくための活動内容の充実、お
よび組織や創業支援体制の強化などを目指す方針である。
やがて、同会の活動が地域に広く浸透し、評価され、地域にとってなくてはならないものと
なることを期待するとともに、同じ地域の発展を図る目的の組織として当支部もこの「平野区
コミュニティビジネス連絡会」に協力・支援していきたい。
(東住吉・平野支部)
発足式典
交流会
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ニューズレター195 号(平成 19 年3月)
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