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奥尻島ログハウス奮闘記

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奥尻島ログハウス奮闘記
「
1 9 9 6 年 度 ( 平成 8 年度 ) 卒 業 論 文
丸 太 組 構 法 による耐 力 壁 の せ ん 断 耐 力 性 能
北海道大 学農 学部 林産 学科
木材工学
石橋 仁
目次
はu 弱 こ
譲
1 . 淋
2.
―
3.
軸
4. 議
5.
競
繰 と裸
1 .
取
2.
歩うドと封重し月ウレト
3. 韓
き掛
4 . ノ ッチC 溌郷υ茨罰 ヽ
まとめ
おわりに
和
線
り
は じめ に
丸 太 組 構 法 とは 、 いわ ゆ る ロ グ ハ ウスとして 世 間 にしられ て い る 建 築
物 の 最 も 一 般 的 な構 法 で あ り、 木 材 を横 に丼 桁 状 に組 み 上 げ る 構 法 で
あ る。 この 構 法 は 、 極 めて 古 くか ら存 在 す るもの で あ り、 そ の ル ー ツ は
定 か で は な い が 、 世 界 的 に見 ると、 ノル ウ ェー 、 スウ ェ ー デ ンな ど北 欧 、
ロシ ア、 カナ ダ 、 アメリカ、 中 国 な どに、 同 様 の 構 法 による 建 築 物 が 分
布 して い る。 木 材 の 豊 富 な 地 域 で は 、 ご く自然 な 発 想 による産 物 で あ っ
たろう。 日本 にお いて は 、 住 居 として は あ まり知 られ て な い が 、 正 倉 院
の 宝 庫 な どは 、 八 世 紀 頃 に 建 て られ た もの で 、 現 存 して い る。
時 代 の 流 れ とともに、 忘 れ られ て い った丸 太 組 構 法 建 築 物 、 つ まリロ
グ ハ ウス は 、 近 年 、 そ の 素 朴 な 素 材 感 や 郷 愁 的 な 雰 囲 気 が 、 人 々 に 見
直 され 、 復 活 を遂 げ た 。 音 な が らの 工 法 に、 近 代 的 工 具 を取 り入 れ 、
実 に精 度 の 高 い もの を実 現 して いる。 また 、 機 械 加 工 による、 安 定 した
製 品 の 供 給 が 確 立 され て いる 。 我 が 国 にお い て も、 山 小 屋 、 ロ ッジ 、
セ カ ン ドハ ウス として 親 しまれ 、 アウ トドアブ ー ム もあ い まって 、 建 築 ラ
ッシ ュ が 起 こっ た。 また、 間 伐 材 の 有 効 利 用 として 、 小 径 木 を用 い た ロ
グ ハ ウス も 話 題 とな った ( 写真 1 ) 。
しか し、 木 造 住 宅 の 耐 震 ・耐 風 性 能 が 問 わ れ るい ま、 これ ら丸 太 組
構 法 による ロ グ ハ ウス は 、 安 全 な 構 造 と言 える の か 。 丸 太 組 構 法 は 、
柱 や 筋 交 い を有 さず 、 横 木 を嵌 合 させ て組 み 上 げ た構 法 で 、 地 震 力 や
風 圧 力 による 水 平 力 に 対 して は 、 部 材 交 点 の 組 み 手 そ の もの や 、 部 材
周 の 摩 擦 による抵 抗 を基 本 に、 部 材 間 に ダ ボ を入 れ た り、 壁 体 を上 下 に
貫 通 す る通 しボ ル ト ( 軸ボ ル ト) を 通 す ことが 施 され て い る。 経 験 的 に
は 安 全 な構 造 で あると知 られ て い るが 、 しか し、 そ の 変 形 の 過 程 や 、 倒
壊 の しくみ は あまり知 られ て い な い 。 この ことは 、 過 去 の 文 献 の 少 な さ
か らもわ か る。
そ こで 今 回 は 、 実 際 に 丸 太 組 構 法 による壁 体 を作 成 し、 丸 太 組 格 法
技 術 基 準 に 定 め られ る、 だ ば 又 は 通 しボ ル トによる施 工 を施 し、 耐 力 壁
の せ ん 断 耐 力 試 験 を行 うことで 、 同構 法 による ロ グ ハ ウス の 地 震 , 台 風
に対 す る 安 全 性 を検 証 しようとす るもの で あ る。 本 論 文 を読 め ば 、 キ ミ
もログ ハ ウス が 欲 しくな る、 で あろう。
写真1
間 伐 材 を用 い た ログ ハ ウス
は 安 全 な 構 造 で あ る と 知 られ て い る が 、 しか し、 そ の 変 形 の 過 程 や 、 倒
壊 の しくみ は あ ま り知 られ て い な い 。 この こと は 、 過 去 の 文 献 の 少 な さ
か らも わ か る 。
そ こで 今 回 は 、 実 際 に丸 太 組 構 法 に よ る 壁 体 を 作 成 し、 丸 太 組 構 法
技 術 基 準 に 定 め られ る 、 だ ば 又 は 通 しボ ル トによ る 施 工 を 施 し、 耐 力 壁
の せ ん 断 耐 力 試 験 を 行 うことで 、 同 構 法 によ る ロ グ ハ ウ ス の 地 震 ・台 風
に対 す る 安 全 性 を検 証 しようとす る も の で あ る。 本 論 文 を 読 め ば 、 キ ミ
も ロ グ ハ ウ ス が 欲 しくな る 、 で あ ろ う。
写真1
問 伐 材 を用 い た ロ グ ハ ウ ス
r
l ﹁
工
試験 方法
1`材料
l程
、 長 さ3 7
奥 尻 島 産 す ぎ 材 、 2 0 ∼3 0 年生 で 、 元 日の 直 径 が 2 0 c I I 度
の南 西沖 大 地 震
1 n 程度 に玉 切 りされ た もの を用 い た 。 これ らは 、 1 9 9 3 年
にす ぎ 人
による 震 災 の 後 、 復 興 の た め に用 地 確 保 が 必 至 とな り、 1 9 9 4 年
工 林 が 開 か れ た が 、 そ の 際 に切 り出 され たす ぎ 丸 太 で あ る。 特 に 材 料
として 使 わ れ ることもな く、 2 年以 上 上 場 に 放 置 され て い た もの で あ る。
今 回 の 試 験 で は 、 丸 太 末 日の 年 輪 幅 によって グ ル ー プ 分 け し、 試 験 後
間 もな く、 ノッチ とダ ボ 位 置 の 間 か らチ ェー ンソ ー で 円盤 を切 り出 し、 含
水 率 を測 定 した。 そ の 値 を表 1 に示 す 。
「
1 表
1.部
材 の年輸幅及 び含水率
グループ 試験体
末 日年輪幅 平均年輪幅 含水率 平均含水率
(mm)
(mm)
952
050
AB
046
ハ ン ド カ ット
059
051
054
051
マシ ン カ ット
CD
052
056
041
043
050
058
EF
050
047
043
047
053
054
049
GH
*
05
lU
*
05
KL
ホ各部材 の 年輪幅は不明
*
051
05
( M )
198
210
210
229
219
226
209
133
219
223
254
,3R
204
223
2 1 0
3 1 5
246
353
352
243
256
274
228
290
248
255
5 ■9
2'2
193
クタク
203
382
350
265
221
クa i
( % )
215
223
259
274
285
277
2試
験体
今 回 の 試 験 には 、 表 2 に 示 す ようなマ シンカ ットと、 ハ ン ドカ ットの2 グ
ル ー プ につ いて 、 各 8 体 ず つ の 合 計 6 体 を用 意 した。 マ シンカ ットは 、 原
木 を専 用 機 械 によ り短 径 1 4 5 m m の等 断 面 精 円柱 に切 削 した後 、 ノッテ 、
グ ル ー ブ 、 背 割 り等 もす べ て 機 械 加 工 したもので ある。 ハ ン ドカ ットは 、
原 木 を ドロ ー ナ イフを用 いて 薄 く皮 む き した後 、 そ の ままの 形 で 、 テ ェー
ンソ ー 、 ノミ等 を用 いて 一 本 ず つ 手 加 工 したもの で あ る。 試 験 体 の 特 徴
につ いて は 図 1 に示 す 。
試 験 体 の 丸 太 の 積 層 数 は 6 段 で 、 壁 長 は 2 6 0 0 1 n l壁
n、
両 端 よりそ れ ぞ
れ 4 0 0 m m のところに、 壁 長 8 0 0 1 1 1 交
1 n差
の壁 を有 す る。 試 験 体 の 詳 細 につ
いて は 、 図 2 に 示 す 通 りで あ る。 な お 、 ダ ボ 及 び 通 しボ ル ト位 置 につ い
て も 同 様 に 参 照 され た い 。
表 2.試 験体 名及 び 試験 条件
ハンドカット
ぶ)レト
AB―A
CD‐C
EF―E
ダボ
AB―B
CD―D
EF,F
マシンカット
GH中G
IJ―
I
KL―K
GH中H
IJ―
J
KL¨L
︱
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︲
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部難 G巡饉 経 ﹁図
ふ ハヘ生ヽ ふト
ふ ハヽい へH ふ
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常 、も も い ヽ うて も も 奇 ﹁ ペ
へ竹 ∼ 択 ハ ふ
苺轟経
.
べ図
■ミ 牛 0四
3`試 験体作成 の流 れ
マシンカット
∼全て専門業者 による機械加工
原木 の皮むき
↓
そま角 に製材
↓
円柱加工
↓
精 円加工 ・背割 り 。グル ーブ の同時切削
↓
長 さ切断 ・ノッチ加工
↓
完成
ハンドカット
∼チェーンソー などを用 いた手加工
原木 の皮 むき
↓
長さ切断
↓
ラフスクライブ ・ラフノッチ
↓
フィエッシュスクライブ ・フィエッシュノッチ
↓
完成
※ダド、ボル
ト
等の穴あけは全てドリルによる手加工1
4試
験装置
試 験 装 置 につ い て は 、 写 真 2 に 示 す よ うに 、 鉄 骨 の フ レ ー ム に 油 圧 ジ
ャッキ を 取 り付 け た も の で 、 高 さ の 調 節 が 5 0 1 1 1 m隔
間で 出 来 るよ うに な っ
て い る と 布 基 礎 の 代 わ りに 、 あ らか じ め 適 当 な 位 置 に 固 定 さ れ た 鉄 骨 の
上 台 に 、 アン カ ー ボ ル トで 最 下 段 の 丸 太 を 固 定 し、 ダ ボ ま た は 通 しボ ル
トを通 し な が ら、 順 次 、 丸 大 を積 み 上 げ て い った 。 試 験 体 の 丸 太 積 層 数
は 、 6 段 しか な い の で 、 壁 高 さ約 2 , 5 0 0 1 n l屋
n、
根 材 に カ ラ ー トタ ン を使 用
した 、 実 在 す る ロ グ ハ ウ ス よ り想 定 され る 建 物 の 自重 を算 出 し、 試 験 体
壁 長 あ た りの 荷 重 5 4 0 k = を
鉄 骨 で 代 替 して 、 試 験 体 の 上 に 乗 せ た 。 作 業
上 の 安 全 の た め 、 ク レ ー ン に か る く懸 け て お い た が 、 荷 重
す るも の で は な い 。
写真2
試 験装置
変 形 を拘 束
5試 験方法
試 験 装 置 に試 験 体 をセ ットした。 最 上 段 の 九 大 に水 平 加 力 し、 各 層 の
丸 太 の 水 平 変 位 、 及 び 最 上 段 ・最 下 段 の 丸 大 の 垂 直 変 位 を測 定 した。
加 力 は 最 上 段 の 丸 太 の 変 位 によって 制 御 し、 『壁 体 の 変 形 角 が 、 1 / 2
4 0 、1 / 1 2 0 1、/ 6 0 、
1/30、
1 / 1 5 r 2で
dま
そ れ ぞ れ 加 力 し除 荷 した 後 、 変 位 の
測 定 可 能 な ところまで 加 力 す る』 で 、 一 回 の 試 験 とした。 これ を、 ダ ボ
の み を入 れ た 場 合 つ い て 行 った 後 、 グ ボ を抜 き 、 次 に 試 験 体 の 向 き を
変 え ( 加力 す る方 向 を変 え) 通 しボ ル トを通 した 場 合 につ い てそ れ ぞ れ
行 つた。 ( 写真 3 )
写真8
試 験 の様子
III
結 果 と考 察
1 初 期 岡J 性
マ シンカ ットは 、 そ の 加 工 行 程 の ほ とん どが 専 用 機 械 によるもの で あ
るた め 、 ノッチ 、 グ ル ー ブ 等 極 め て 精 巧 に、 安 定 して 加 工 され て い る。
この た め に、 部 材 間 の 密 着 性 が 非 常 に 高 く、 特 に、 ノッチ 部 にお いて は 、
部 材 どうしが 面 で 密 着 して お り、 初 期 岡r 性が 高 か った 。 今 回 の 試 験 で は 、
原 木 か ら加 工 して 、 ほ とん ど乾 燥 が 進 まな い うちに組 み 上 げ 、 試 験 を行
った た め に 部 材 の ね じれ や 収 縮 等 によるノッチ 部 の が た が 、 ほ とん ど 現
れ な か った ことも、 初 期 目1 性を高 め た要 因 の 一 つ と考 え られ る。 ゆ え に、
実 際 の 建 築 物 にお いて は 、 丸 太 の 経 年 変 化 によるが た を考 えると、 余 り
期 待 で きるもの で は な い と思 わ れ る。
一 方 、 ハ ン ドカ ットは 、 原 木 の 形 をほ ば そ の ままに、 手 作 業 によって
進 めて い くた め 、 加 工 精 度 にば らつ きが あるほ か 、 ノッチ 部 にお いて 、
部 材 どうしを面 で 密 着 させ ることは 不 可 能 で あ り、 線 で しか 密 着 して い
な い た め 、 初 期 日1 性が や や 低 くな った 。 ただ 、 これ らの 試 験 体 は 、 加 工
して か らか な り時 間 が 経 つてお り、 丸 太 の 乾 燥 による変 化 も進 ん で い る
た め 、 これ より大 きく初 期 岡1 性が お ちるとは 考 え られ な い 。 また 、 今 回
は 素 人 同様 の 筆 者 が 加 工 した もの で 、 市 販 され るような 完 成 度 の 高 い
もの で は 、 十 分 な 円」性 が 得 られ ると思 わ れ る。
2.ダ ボ と通 しボ ル ト
ダ ボ を 入 れ た も の で は 、 マ シ ン カ ット、 ハ ン ドカ ットとも に 、 加 力 に 従
い 部 材 が す べ る と、 比 較 的 早 い うち に ダ ボ が 効 き 始 め 、 変 位 に 対 して 荷
重 が 大 き くな る 傾 向 が 見 られ た 。 そ の 後 、 あ る 程 度 まで は 変 位 に 比 例 し
て 荷 重 が 伸 び る が 、 壁 体 の 変 型 角 が 1 / 3 0 r a d超をえ た 辺 りか ら、 土 台 に
固 定 さ れ た 最 下 段 の 九 太 と2 段 目 の 九 太 の 間 に 、 浮 き 上 が りが 起 こり、
荷 重 が 伸 び な くな った 。 2 段 目 よ り上 の 丸 太 の 層 に お い て は 、 この よ う
な 目 に 見 え る よ うな 浮 き 上 が りは 確 認 さ れ な か っ た 。 これ は 、 ダ ボ を 入
れ た 試 験 体 す べ て に 違 い な く見 られ た 。 この こと か ら、 ダ ボ の み で も壁
体 は あ る 程 度 一 体 化 して い る と言 え る 。 ま た 、 早 い 段 階 で の 水 平 力 の 分
担 は 、 十 分 評 価 出 来 るも の で あ る。
一 方 、 通 しボ ル トを 通 した も の で は 、 初 め の うち は 比 較 的 変 形 を 許 し
て い た が 、 壁 体 の 変 形 角 が 1 / 6 0 r a d超をえ た 辺 りか ら徐 々 に 効 き 始 め 、 変
形角が 1/1
5 r a超d を
えて も 、 荷 重 は ま だ 増 加 傾 向 にあ った 。 また 、 壁 体 は
ほ ぼ 完 全 に 一 体 化 して い る ことが 伺 え た と た だ 、 今 回 の 試 験 体 で は 、
交 差 壁 よ り外 側 の 突 出 部 分 に ボ ル トを 通 し た た め 、 変 形 が 非 常 に 大 き い
ところで は 、 ア ン カ ー ボ ル ト位 置 を 支 点 とした 片 持 ち梁 の よ うな 状 態 に な
り、 最 下 段 の 丸 太 の ノ ッチ 部 分 へ の 負 荷 が 大 き く、 者 子 の 部 材 の 割 れ が
見 られ た 。 し か しこれ は 、 ノッチ 部 分 を 必 要 以 上 に 深 く欠 き 込 ま な い 、
最 下 段 の 丸 太 は 太 い も の を 用 い る 、 ア ン カ ー ボ ル トを 2 , 3 段 貫 い て 通
す 、 等 に よ り回 遊 で き る 。 通 しボ ル トが 、 早 い 段 階 で は 水 平 力 に 対 し、
そ れ ほ ど効 果 が 得 られ な い の は 、 ボ ル トは 主 に 軸 力 として 働 くた め と考
え る。
r
︲!
な お 、今 回 の 試験 で は 、測 定 可 能 な範 囲 で は 荷 室 が 完 全 に 下 が らず 、
倒 壊 また は 破 壊 す るまで至 らな か った。 これ らの ことか ら、 通 しボル トを
通 したもの は 、 非 常 に粘 り強 く、 安 全 性 の 高 いもので ある ことが 解 つた。
さらに、 実 際 の 建 築 物 にお いては 、 ダ ボ と通 しボル トを併 用 す ることも
あ り、 これ らにつ いて は 、 極 めて安 全 性 の 高 い 構 造 で あると言 える。
r
3 . 各 層 間 の 変 位 と浮 き 上 が り
ダ ボ 施 工 、 通 しボ ル ト施 工 の い ず れ の 試 験 体 にお いて も、 各 層 間 の
変 位 差 は そ れ ほ どな く、 ほ ぼ 一 様 にず れ が 生 じた。 ハ ン ドカ ットの もの
につ いて も、 加 工 精 度 の ば らつ き による影 響 は 見 られ ず 、 マ シ ンカ ット
同様 、 一 様 にず れ が 生 じた 。 また 、 浮 き上 が りにつ いて は 、 ダ ボ 施 工
の も の で は 、 ダ ボ の 摩 擦 による 引 き抜 き抵 抗 によって、 壁 体 の 一 体 化 が
あ る程 度 進 んで お り、 これ により壁 体 の 変 形 角 が 1 / 3 0 r a d超をえ た辺 りか
ら回 転 を起 こし、 大 き な浮 き上 が りが 現 れ た と考 える ( 写真 4 、 6 ) 。 通
しボ ル ト施 工 の もの は 、 層 間 の 浮 き上 が りは 拘 束 され て い た が 、 変 形 が
進 む につ れ 、 回 転 による浮 き 上 が りの 負 荷 が 、 加 力 側 の アンカ ー ボ ル
ト位 置 お よび ノッチ 部 に集 中 し、 部 材 の 割 れ につ な が った ( 写真 6 , 7 ) 。
な お 、 付 録 2 の グ ラフを参 照 され た い 。
写 真 4 各 層 のず れ (ダボ)
写真5
壁 体 の 浮 き 上 が り ( ダボ )
写真 6 各 層 のず れ (通しボル ト)
写真7
壁 体 の 浮 き 上 が り ( 通 しボ ル ト)
4 . ノ ッチ の 形 状 の 違 い
今 回 の 試 験 に お い て は 、 先 に 試 験 体 の 特 徴 で 示 した ように 、 マ シ ン カ
ッ トで は ラウ ン ドノッチ 、 ハ ン ドカ ットで は ウ エ ッジ ノ ッチ と言 う、 異 な る
種 類 の 交 差 部 の 組 み 方 を用 い た 。 これ らに よ る 岡1 性 の 違 い は 、 今 回 の
試 験 か ら見 出 す ことは 不 可 能 で あ る が 、 ここで 、 ノッチ の 形 状 の 違 い が 、
丸 太 の 経 年 変 化 とど う関 係 しうる か 、 考 え て み た い 。
まず 、 ラ ウ ン ドノッテ で は 、 そ の 名 の 通 り、 下 の 丸 大 の 円 柱 状 の 形 を
そ の ま ま に 、 丸 く彫 り込 む も の で 、 加 工 の 行 程 は 最 も少 な い 。 しか し、
繊 維 方 向 が 違 うも の を 円 柱 に 合 わ せ て 彫 って い る た め 、 下 の 丸 太 の 収 縮
に よ る 隙 間 は 通 け られ ず 、 ね じれ を許 す 形 状 で あ る と考 え られ る 。 た だ 、
欠 き 込 み の 少 な い 分 、 比 較 的 小 径 木 で も用 い る こと が で き る 。
一 方 、 ウ エ ッ ジ ノッチ は 、 加 工 す る の に 1 , 2 行 程 増 え る ことに な る が 、
組 み 合 わ さる 部 分 が サ ドル 型
( 戦 型 ) で あ る ことで 、 丸 太 の ね じ れ を 抑
え られ る 他 、 部 材 が 直 線 的 に 接 す る た め 、 比 較 的 険 間 が で き に くい 。 た
だ 、 切 削 す る 部 分 が 多 く、 小 径 木 に は あ ま り向 い て い な い と思 わ れ た 。
これ らに つ い て は 、 今 後 長 期 的 な 試 験 を 行 わ れ た い 。
r
い
十
Ⅳ
まとめ
丸 太 組 構 法 建 築 物 の 、 耐 震 ・耐 風 性 能 を検 証 す べ く、 丸 太 組 構 法 技
術 基 準 に 定 め る、 ダ ボ 又 は 通 しボ ル ト施 工 した 機 械 加 工 お よび 手 加 工
の 壁 体 につ いて 、 せ ん 断 試 験 を行 つた 。 そ の 結 果 、 ダ ボ の み で もあ る程
度 安 全 な 構 造 で は あ るが 、 通 しボ ル トを通 せ ば 、 変 形 が か な り大 きくな
って も、 まず 、 倒 壊 す る危 険 性 が 少 な い ことが わ か った 。 た だ 、 基 礎 と
を上 台 とみ な す ことを、 勧 め る。 以 上 、 丸 太 組
連 結 す る際 、 丸 大 2 , 3 本
構 法 は 、 十 分 に耐 震 ・耐 風 性 の 高 い 構 法 で あ る、 と言 えた 。
V
お わ りに
ロ グ ハ ウ ス そ の も の に 、 そ れ ほ ど こ だ わ りは な い 。 しか し 、 自 分 で 物
を 創 る と い う、 忘 れ られ つ つ あ る 喜 び や 石 難 み に対 して は 、 どうして も
譲 れ な い 何 か が あ っ た よ うだ 。 そ れ が 何 で あ っ た か 、 ここで は 問 題 で は
な い 。 た だ 、 そ の き っ か け が 、 ロ グ ハ ウ ス で あ った の だ ろ う。 知 識 も 技
術 も な い 自 分 に 、 快 く仕 事 を 与 え て くれ 、 ロ グ ハ ウ ス の 魅 力 を 教 え て く
れ たカナダ のM
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D
c a 8ん
1 C、
さ一 緒 に 汗 を 流 した 奥 尻 島 復 興 の 森 の 皆
さん 、 道 具 を 貸 して くれ た 、 良 き 先 輩 で 親 友 の S
a t oん
さ、 い ろ い ろ 迷 惑
を か け た マ イ ハ ニ ー さ っち ゃ ん 、 ど うも有 り難 う。 ま た 、 時 に は 先 生 とし
て 、 時 に は 男 として 語 り合 って 下 さつ た 夏 目 林 長 、 楽 しか つ た で す 。
自 分 の そ ん な こ だ わ りを理 解 し、 ご 指 導 して 下 さつ た 、 上 国 恒 司 助 教
授 、 生 田 晴 家 助 手 、 ま た 、 母 の よ うな 優 しさで お 世 話 して 下 さっ た 、 橋
場 マ サ 子 事 務 官 、 もう 一 つ の ブ レイ ン として マ ウ ス を クリック して くれ た
大 友 君 は じ め 講 座 の み ん な 、 長 い 間 有 り難 う ご ざ い ま した 。 試 験 を 行 う
に あ た り、 大 変 ご 迷 惑 を お か け した 北 海 道 立 林 産 試 験 場 構 造 性 能 科 の
前 田 典 昭 科 長 は じ め 皆 さま に 、 謝 意 を 表 しま す 。 最 後 に な りま した が 、
終 始 ご 教 授 下 さ つた 、 平 井 卓 郎 教 授 に 深 く感 謝 の 意 を 表 しま す 。
r
﹁
Ⅵ 参考文献
1 長 谷 川 雅 浩 ・丸 山 武 ・
金 森 勝 義 ・千 野 昭 : 校 倉 構 造 に関 す る研 究
― 林 産 試 験 場研 究 報 告 ,
( 第1 報) 一 校 倉 組 による壁 の せ ん 断 耐 力 試 験
76, (1986)
2 丸 山武 ・
長 谷 川 雅 浩 ・金 森 勝 義 ・千 野 昭 : 校 倉 構 造 に 関 す る研 究
― 林 産 試 験 場研 究 報 告 , 7 6 ,
( 第2 報 ) 一 校 倉 式 建 物 の 水 平 耐 力 試 験
(1986)
3 日 本 建 築 セ ン タ ー 編 : 丸 太 組 構 法 技 術 基 準 ・同解 説 j ( 1 9 9 0 )
Ⅶ
付 録
も
も
N
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Gミ
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G時
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G職
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G職
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Gミ
図拠目結週釈
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﹄社腐︻
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付録1.
各層 の水平 変位
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