Comments
Description
Transcript
PDFダウンロード(4.5MB)
環境・社会活動報告書 2016 Environment Thermos and Others Stakeholder Medical Industrial Gas Future LP Gas Plants and Engineering Electronics-related Community 大陽日酸 環境・社会活動報告書2016 CONTENTS トップメッセージ ........................................... 4 社会活動 大陽日酸の事業とCSR ................................... 6 ステークホルダーとともに ............................ 18 安全・安定供給への取り組み .......................... 20 SPECIAL FEATURE 1 お客さまとの関わり...................................... 21 東日本大震災での教訓を活かし 災害時の 「安全・安定・安心」供給体制を強化 従業員との関わり ........................................ 22 お取引先/株主・投資家との関わり ................. 25 BCP体制の顧客訴求ツール.............................. 8 地域・社会との関わり .................................... 26 SPECIAL FEATURE 2 環境・社会への貢献を目指して 炭酸ガス=CO2の可能性を追求 環境活動 地球環境保全への取り組み ............................ 28 日本液炭株式会社 ........................................ 10 環境管理 .................................................... 30 環境データ ................................................. 31 マネジメント 環境会計 .................................................... 33 コーポレートガバナンス ................................ 12 環境負荷を低減する製品の開発 ...................... 34 コーポレートガバナンス体制/内部統制システム 技術リスク管理における監査/大陽日酸グループ行動規範 大陽日酸ヘルプラインの設置/情報セキュリティガバナンス/ 営業秘密の管理/知的財産活動 バリューチェーン全体を通じた環境・社会への取り組み... 16 「大陽日酸 環境・社会活動報告書2016」報告メディアの関係について webサイト (PDF) ダイジェスト版では、 ステークホルダーの皆さまに特にお伝えしたい事項を中心に編集してい ます。 すべての活動報告については、 弊社webサイトにPDFデータを掲載しています。 ダイジェスト版 大陽日酸 環境・社会活動報告書webサイト (冊子) http://www.tn-sanso.co.jp/jp/csr/index.html 編集方針 会社概要(2016年3月31日現在) 本報告書は大陽日酸株式会社およびグループ企業の環境保全に向けた活動、 なら びに社会に配慮した活動についての現状および今後の方針を報告するものです。 商号 大陽日酸株式会社 本社 〒142-8558 東京都品川区小山1-3-26 東洋Bldg. 加えています。 創業年月日 1910年10月30日 対象期間 設立年月日 1918年7月19日 資本金 373億44百万円 従業員数 1,240名(大陽日酸単独) 対象組織 本報告書は、大陽日酸株式会社の国内事業所を対象としていますが、可能な限 りグループ企業についても報告しています。なお、各種グラフ・データについて は、内容に応じて対象とする企業範囲が異なっていますので、 それぞれに注記を 本報告書に掲載したデータは2015年度(2015年4月∼2016年3月)の実績を 集計したものです。 また、活動報告については、一部2016年度の活動や、将来の 課題・目標も含んでいます。 参考にしたガイドライン 環境省 「環境報告ガイドライン (2012年版)」 14,127名 (連結) GRI 「サステナビリティ・レポーティング・ガイドライン2006」 発行時期 2016年11月 大陽日酸株式会社 2 環境・社会活動報告書2016 財務データ 売上高(連結) 6,415 (億円) 6,000 4,774 4,500 5,227 2015年度: 2015年4月1日∼2016年3月31日 経常利益(連結) 当期純利益(連結) 431 (億円) 400 5,593 258 (億円) 240 212 342 4,683 300 305 297 201 207 2013 2014 160 230 3,000 200 80 1,500 100 0 0 0 -80 △20 2011 2012 2013 2014 (年度) 2015 2011 2012 2013 2014 (年度) 2015 2011 2012 (年度) 2015 セグメント別 連結売上高に占める 当セグメントの割合 産業ガス関連事業 産業ガスは、鉄鋼、化学、自動車、建設、造船、食品、医療などの多種多様な 売上高(年度) (億円) 4,800 4,578 産業で利用されています。生活に密着した液晶パネルや冷凍食品、医療用 ガス、科学や環境保全の最前線を担う、 ロケットの推進剤や再生可能エネ ルギーまで、 あらゆる側面から社会を支えています。 3,600 71% 営業利益(年度) 3,608 (億円) 280 3,946 226 239 241 210 2,400 140 1,200 70 【主な製品・サービス】 酸素、窒素、 アルゴン、炭酸ガス、 ヘリウム、水素、 アセチレン、 ガス関連機器、溶断機 器、溶接材料、機械装置、医療用ガス (酸素、亜酸化窒素等)、医療機器、安定同位体 0 連結売上高に占める 当セグメントの割合 エレクトロニクス関連事業 半導体、携帯電話、デジタル家電、太陽電池など、進化を続けるエレクトロ 2013 2014 2015 売上高(年度) 装置や化合物半導体製造装置など、独自の供給機器・装置も生み出してい (億円) 1,600 160 ます。 1,261 1,200 20% 2013 2014 2015 営業利益(年度) (億円) ニクス分野へ材料となるガスを供給しています。 トータル・ガス・センター からパイプラインにより24時間体制で安定供給するほか、小型窒素製造 0 983 126 120 1,036 800 80 72 52 400 【主な製品・サービス】 40 窒素、アルゴン、特殊ガス(電子材料ガス、純ガス等)、電子関連機器・工事、半導体 製造装置 0 連結売上高に占める 当セグメントの割合 エネルギー関連事業 LPガスは、CO2の排出量が少ないクリーンなエネルギーです。一般家庭で 売上高(年度) 480 としても私たちの暮らしの身近なところで使用され、環境保全に貢献して います。 (億円) 24 445 360 5% LPガス・関連機器 連結売上高に占める 当セグメントの割合 高真空断熱技術を応用した 「サーモス」 の製品は、今や日常生活のさまざま 299 12 120 6 2013 2014 2015 売上高(年度) 0 16 17 2013 2014 2015 営業利益(年度) (億円) (億円) 320 59 60 275 なシーンで見ることができます。 「マイボトル」の先がけとなるスポーツボ 力で環境にやさしいライフスタイルを提案しています。 20 18 240 0 トル、保温して調理する新発想の真空保温調理器など、独自の技術と創造 2013 2014 2015 393 【主な製品・サービス】 その他事業 0 営業利益(年度) (億円) の厨房・給湯・空調機器における利用はもちろん、 タクシーなど商業車の燃 料、 オフィスの空調機器、 自家発電や排熱を利用した給湯など、 産業用ガス 2013 2014 2015 4% 240 190 217 45 160 30 80 15 30 34 【主な製品・サービス】 家庭用品、不動産賃貸 0 大陽日酸株式会社 3 環境・社会活動報告書2016 2013 2014 2015 0 2013 2014 2015 TOP MESSAGE 中期経営計画「Ortus Stage 1」 最終年度を迎えて 当社は、2014年に長期経営ビジョンを策定し、2022年 度までに売上高1兆円、営業利益10%、ROCE10%以上、 海外売上高比率50%以上を目指すこととし、同年より中期 経営計画 「Ortus Stage 1」 をスタートさせました。 「Ortus Stage 1」は長期経営ビジョンを達成するための第1ス テージの位置づけですが、中期経営計画2年目となる2015 年度は、営業利益・当期純利益とも過去最高益を記録し、業 績は好調に推移しております。 2016年度は本中期経営計画の最終年度にあたります。 当初掲げた目標を達成すべく、 「構造改革」 と成長戦略であ る「イノベーション」 ・ 「グローバリゼーション」 ・ 「M&A」の 4つの戦略を推進し、企業価値のさらなる向上を図ってま いります。 また、当社は2014年11月より、三菱ケミカルホールディ ングス(MCHC)グループの持株比率が50.6%となり、株 式会社三菱ケミカルホールディングスの連結子会社となり ました。当社は引き続き上場を維持し、独立した経営を続 けながら、MCHCグループの一員としてシナジーの実現を 目指してまいります。 産業ガスの安全・安定供給を通じて地球・社会の課題解決に 取り組むことで、持続的な価値向上を目指します。 企業理念 進取と共創。 ガスで未来を拓く。 行動指針 私たちは、 進取 あなたの声を敏感にとらえ、 共創 ガステクノロジーを通じて、 あらゆる産業と共に、 未来 豊かな社会の実現に貢献します。 スローガン 産業ガスのプロ集団になる、 そして業界でNo.1のプロ、 第一人者であることを目指します。 シンボルマーク 最先端の技術と自然の融合、そして酸素、窒素、 アルゴンなど高度なガスコントロール技術で創 り上げる「大陽日酸」の企業ドメインを象徴する このシンボルは、高品質でクリーンな透明感のあ る、明るい未来への拡がりを表現しています。 代表取締役社長 兼 CEO 市原 裕史郎 大陽日酸株式会社 4 環境・社会活動報告書2016 企業経営の基盤となる コーポレートガバナンスの強化を推進 ご使用いただくために、私たちは保安や品質、製品安全、環 2015年10月、当社は、 「コーポレートガバナンス原則」 境、知的財産といった技術リスクの管理を徹底するととも を制定し、当社グループの持続的な成長および長期的な に、長年培ってきたガステクノロジーを通じ、あらゆるス 企業価値の向上を図るため、 コーポレートガバナンスの充 テークホルダーに向けて、環境負荷低減や省エネルギー、 実に取り組んでおります。 生産効率向上を可能とするアプリケーションを提供する 2016年4月、取締役会での経営の監督機能を強化する ことで、 さまざまな社会課題に取り組んでおります。 ために、代表権をもたない取締役会長が、取締役会議長を また、産業ガスには医療用の酸素や化学工場等での爆 務める仕組みを導入しました。同年6月には、取締役会の 発防止用窒素もあり、災害時には命を守ることを最優先に 任意の諮問委員会として、社外取締役を含む指名・報酬諮 ガスの供給を行うための体制を整えています。 まにお使いいただいています。安定的に、安心してガスを 問委員会を設置し、取締役等の指名や報酬に関し決定プ ロセスの透明化・客観化を進めております。 MCHCグループのビジョンである「KAITEKI実現」と コンプライアンス遵守も、 コーポレートガバナンス強化 は、人・社会・地球の持続可能な状態を目指すことです。大 の 重 要 な 要 素 で あ り ま す 。当 社 で は 、C C O( C h i e f 陽日酸グループは、 ガスを使用されるお客さまが抱える課 Compliance Officer) を責任者として、2015年7月に内 題だけでなく、地球・社会の課題に取り組むことで、持続的 部統制推進室を新設し、違反事案の確認・原因究明・是正・ な価値向上を目指してまいります。 再発防止策策定などを迅速に行える体制を強化しており 本書を通じて当社グループの環境・社会活動に一層の ます。 また、各部門でもコンプライアンス推進責任者・担当 ご理解をいただければ幸甚です。 者を任命し、当社グループ内でのコンプライアンス教育を 徹底し、 コンプライアンス遵守を推進しております。 2016年10月 代表取締役社長 兼 CEO 産業ガスの安全・安定供給を通じ、 さまざまな社会的課題に取り組む 産業ガスは、鉄鋼や化学などの基幹産業やエレクトロニ クス、医療といった先端産業まで、あらゆる業種のお客さ 大陽日酸グループと ステークホルダー※との関わり 技術リスクマネジメント 社長方針 お取引先 「The Gas Professionals」 として、関係法令等の遵守を徹底す パートナーシップを重視し、公平・公正な 企業選定と参入機会の拡大を図ります。 るとともに、事業活動の根幹である保安、品質、製品安全、環境、知 的財産の技術リスク管理について次のとおり方針を定める。 この方針を従業員一人ひとりが確実に理解、実行し、全社的な 管理体制と大規模地震などの非常災害に対する事業継続計画を お客さま 株主・投資家 「安全で安定した ガス供給」を最優 先のテーマに、お 客さまへの供給責 任を果たします。 適正な利益配分と 活発なコミュニケー ションを通じて、確 かな信頼関係を築 きます。 構築・運用し、継続的改善を行うことで、 これらのリスクを低減さ せ、事業活動全般における顧客満足の向上に努めるとともに、公 共の安全の確保、地球環境保全への貢献によって、社会の信頼を 獲得し、事業の健全な発展と企業価値の向上を図る。 保 安: 「ガスを売ることは安全を売ること」の精神に則り、 地域社会 従業員 拠点の近隣地域との融和を図る とともに、地域の発展への貢献 を目指します。 人権の尊重と労働環境の充実に 配慮し、適正労働(ディーセント ワーク) を追求します。 自主保安を確実に実践する。 品 質: 高度化、多様化する顧客および社会の要求事項を的 確に把握し、 最適な品質を提供する。 製品安全: 製品の全ライフサイクルにわたってリスクを低減 し、安全・安心な製品を提供する。 ※ステークホルダーとは、 当社と関わりのある上記のような相手先のことを指します。 環 境: 地球環境負荷の低減と汚染の予防に取り組む。 知的財産: 知的財産権の取得と活用により、他社との紛争を未 然に防止する。 2014年6月27日 大陽日酸株式会社 5 環境・社会活動報告書2016 大陽日酸の事業とCSR 地球の恵みをガスに代えて、 あらゆる産業と暮らしを支えています。 ゆ 産業 暮 支 。 大陽日酸グループが製造・供給する産業ガスは、空気という無限の資源を原料にしています。そして産業ガスは、 常に時代の核となる産業に深く関与し、鉄鋼や化学などの基幹産業から、エレクトロニクスや医療などの先端産 業まで、あらゆる産業に必要不可欠な存在として私たちの暮らしを陰から支えてきました。 大陽日酸グループは、地球の恵みを活かすガステクノロジーを通じて、未来へと続く豊かな社会、持続可能な社 会の実現に貢献していきます。 プラント・ エンジニアリング 大陽日酸の事業 世界トップレベルの空気分離装置メーカー 産業ガス エレクトロ ニクス 日本で、海外で、産業ガスを 安定供給。多種多様な産業 分野を力強くサポート エレクトロニクス産業の 最前線を牽引する先進の ソリューションを提案 保安 品質 製品 安全 知的 財産 環境 医療関連 その他事業 (家庭用品) 病院、在宅医療に欠かせない 医 療 用ガスを供 給 。高 度 診 LPガス 断、治療分野でも貢献 持続可能な社会に求め 環境にやさしいクリーンエネル られる新たなライフスタ ギーで身近な暮らしを支える イルを創出 事業を通じて貢献する主な分野 フード ケミカル エネルギー ライフ サイエンス マテリアル ファブリ ケーション アグリ カルチャー 持続可能な社会に果たす役割 新エネルギーの創出 安全・安心な社会 QOL (生活の質) の向上 環境保全 産業・技術のさらなる高度化 医療高度化、 病気の早期発見 資源の有効活用 健康な生活 食の安全、 品質 大陽日酸株式会社 6 環境・社会活動報告書2016 持続可能な社会に果たす役割 (代表例) 再生可能エネルギー社会の実現に向けて 次世代エレクトロニクス産業を支える 宇宙開発への貢献 再生可能エネルギーの一つとして注目される水素に関す るプロジェクトに長年にわたって取り組み、水素ステー ションの実用化をはじめ多くの実績を残しています。 水素ステーション 2013年版報告書 掲載 さまざまなエレクトロニクス製品で利用される化合物 半導体。大陽日酸は、20年以上前から化合物半導体 に必要なMOCVD装置の開発に取り組み、さらに高 度化する半導体製造プロセスに最新技術で応え続け ています。 ガスによって超真空・極低温の宇宙環境を再現し、多 種多様な宇宙環境試験装置を製作。小惑星探査機 「は やぶさ」 にも、大陽日酸の技術が関わっています。 スペースチェンバー 2011年版報告書 掲載 がんの早期発見を可能に QOL向上を目指し在宅医療をサポート 快適で新しいエコライフの提案 大陽日酸は、がんの早期発見に効果的なPET診断薬原 料である酸素安定同位体、水- 18Oの国内唯一のメー カーとして、水-18Oの安定供給を目指しています。 酸素安定同位体 水-18O 2013年版報告書 掲載 大陽日酸が行う在宅医療の代表的なものに 「在宅酸 素療法」 があります。自宅でも酸素療法を可能にした ことで、患者さんのQOL( 生活の質)向上につながっ ています。 在宅酸素療法 2012年版報告書 掲載 大陽日酸グループのサーモスは、高真空断熱技術と金 属加工技術を駆使し、魔法びんをはじめ豊富な製品を 揃え、快適でエコなライフスタイル実現に貢献してい ます。 サーモス 2014年版報告書 掲載 2015年度 TOPICS 医療関連で、次世代につながる新規事業がスタート 再生医療の産業化確立に貢献する温度履歴情報統合管理システム 「CryoLibrary iMasterⓇ (クライオライブラリー アイマスターⓇ) 」 従来の治療法では困難とされていた難病の治療法として期待される再生医療ですが、実用化には、培養細胞を効 率的に大量に凍結保存・輸送移動する技術の確立、細胞品質管理の観点から個々の生体試料がたどってきた環境の 記録が不可欠です。 大陽日酸は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED) から委託を受けて幹細胞評価基 盤技術研究組合が取り組む「再生医療の産業化に向けた細胞製造・加工システムの開発」プロジェクトに参画、生体 試料の温度履歴情報統合管理システム 「クライオライブラリー アイマスターⓇ」 を開発し、2016年6月より新製品と して販売を開始しました。同システムでは、培養増殖後の分注から凍結解凍までの、複数に及ぶ行程の個々の温度 データをサーバーに集中して一括管理します。 これにより、拠点間の輸送時のみならず、凍結処理の環境や解凍処理 の環境、施設内の移動環境も記録管理することができます。 すでに大陽日酸は、凍結保存容器の国内唯一のメーカーである強みを活かし、培養細胞などの生体試料を取り違 クライオライブラリーⓇ アドバンス えることなく、確実な管理を行うことが可能な全自動凍結保存システムを開発、2015年3月には、 より高効率・大量 の凍結保存を可能にした「クライオライブラリーⓇアドバンス」 も発売しています。今後も再生医療の産業化に向け て、 さらなる技術開発を進めていきます。 在宅酸素療法を行う患者さまの利便性を高める 携帯型液体酸素装置 「ほたる」 のレンタル開始 MRI検査室でも安全に使用できる 国内初の酸素ボンベ 「グッドランMR」 携帯型液体酸素装置は、携帯用酸素ボンベに比べて MRI検査は強い磁石と電波を使用するため、検 長時間の使用が可能などのメリットがありますが、居 査室には酸素ボンベなどの金属製品の持ち込み 宅等で使用する設置型から携帯型への液体酸素の移充 は厳禁ですが、 これによる事故が後を絶ちません。 填作業は習熟が必要であり、使用が難しいという課題 「グッドランMR」 は医療機関の方々からの要望を がありました。 「ほたる」 は、専用の充填装置を使うこと 受けて開発したもので、非磁性素材のみで構成さ で、従来の機器に比較して飛躍的に安全性を高め、移充 れ、安心して使用できます。 填を簡単かつ安全に行うことができます。 大陽日酸株式会社 7 環境・社会活動報告書2016 SPECIAL FEATURE 東日本大震災での教訓を活かし 災害時の「安全・安定・安心」供給体制を強化 1 BCP体制の顧客訴求ツール 産業ガスは医療用酸素や防爆用ガスなど、 社会的に大きな供給責任を担うものです。 大陽日酸 グループは、安心して取り引きいただけるようにお客さまにBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)対策の情報を開示し、 より強固な体制構築を目指して改善活動を続け ています。 業継続に取り組んでおり、2016年4月の熊本地震の際にも 産業ガス供給という社会的な使命 このBCP体制が有効に働きました。 大規模な自然災害が多い日本では、万一の事態に際して も事業が継続できるようにBCP計画を策定することの必 要性がうたわれていますが、そのことを多くの企業が身を 営業ツールとして作成された 「BCP体制のご紹介」 もって経験したのが2011年3月の東日本大震災です。 BCP体制への活動は、社内的にはBCP対策本部を中心に 大陽日酸グループの扱う産業ガスの中には、病院や在宅 構築が進んでいるものの、 お客さまに対しては各エリア・営 用の医療用酸素、可燃性や爆発性のある原料を使用する工 業所ごとの取り組みの説明にとどまっていたのが現状でし 場などで爆発防止のために使用される防爆用ガスがあり た。 お客さまから、 大陽日酸全体のBCPに関してのお問い合 ます。供給が止まれば、人命や重大事故に影響を与える緊 わせが増えてきたこともあり、お客さまへ“安心”をご提供 急性の高いもので、企業の事業継続という意味だけではな すべく制作されたのが「BCP体制のご紹介」 です。2014年8 く、社会的にも供給責任が問われるものです。東日本大震 月から各部門、 担当者へのヒアリングを行い、 東日本大震災 災の際には、自社の事業所やガスセンターなどが大きな被 で実際に行われたさまざまな活動や体験談、現在の活動内 害を受けましたが、全国に展開するグループの総力を結集 容の情報を収集、体系的に整理しました。 「 調べてみると、 し、供給すべきすべてのユーザーに、 ガス切れを起こすこと 思っていた以上に多くの対策が行われていることを実感し なく供給することができました。大陽日酸は、 ここで得た教 ました。実際にタンクローリーの手配、在庫管理を担うロジ 訓、ノウハウを今後に活かすべくBCP体制をさらに強化。 スティクス、プロダクト部門を中心に、営業や協力運輸会 「非常災害対策規程」 のもと、総合対策本部を中心とする組 社、技術・製造部などそれぞれの部署が非常に高い意識を 織体制、運輸会社も含めた緊急連絡体制などを整備し、事 持って取り組んでおり、現場での努力が東日本大震災や BCPにおける組織体制 本 社 役員室 秘書部 人事 対策班 地域対策本部 (参考例) 総合対策本部 事業 対策班 システム 対策班 事務局 広報 対策班 地域本部長 総務 対策班 営業 対策班 保安 対策班 東日本大震災で実際に行われた活動をマンガで表現し、 わかり やすさ・読みやすさに配慮した 「BCP体制のご紹介」 大陽日酸株式会社 8 環境・社会活動報告書2016 システム面でのBCP体制への取り組み 大陽日酸グループの全国レベルでの生産・供給能力 全国レベルでの生産工場、豊富な人材、物流ネットワークで、国内最大規模の 能力で供給体制を整備 ガス生産設備遠隔集中 監視システム 監視センターから全国のお客さま構内 に設置された無人ガス生産プラントを 24時間有人監視するシステム。全国 のガス在庫量が一目で確認できるため、 トラブルの早期発見やスムーズな初期 対応が可能で、有事の際も効率的な供 給を行うことができます。 ガス生産工場 技術・営業スタッフ タンクローリー (酸素、窒素、 アルゴン) ※自社系ガス生産工場、主なグ ループ会社における生産・供給能 力。平時には下記以外の工場、事 業所も供給活動を行っています。 お客さまのCE 液面 (在庫量) 情報収集システム 「THRUSH(スラッシュ)」 and 「TREE (ツリー) 」 ソーラー式 端末機器 北海道地区 2工場 中部地区 73人 4工場 2016年2月現在 10台 207人 115台 お客さまのCE (超低温液化ガス貯槽) の在庫量を定期的 に監視し、 インターネットで24時間情報閲覧が可能なシス テム。在庫量や使用量を常に把握できるため、東日本大 震災でも大きな役割を果たしました。医療用酸素の在庫 切れなど、 人命に関わるリスクも低減します。 東北地区 近畿・中国地区 九州地区 5工場 5工場 5工場 135人 182人 69台 114台 111人 関東地区 75台 タンクローリーにおける取り組み 物流が麻痺してしまっては供給できません。中 央監視体制で全国のロジスティクスの機能を 管理し、GPSによるタンクローリーの確認システ ム、緊急車両申請の取得、移動式電源設備の 導入、備蓄燃料の確保など、 あらゆる取り組み を進めています。 10工場 317人 238台 本社 四国地区 286人 1工場 58人 17台 2014年の関東・甲信地方の豪雪での供給実績につながっ 応可能な大陽日酸の生産・供給能力、 インフラ・人員の情報 ていると思います」 ( 産業ガス事業本部 企画・特販事業部 を提供すると同時に、大陽日酸のDNAともいえる「やり抜 中根晃平) 。 く力」を訴求することです。 「物があれば、人がいれば、供給 東北管内の生産工場、 タンクローリーがほぼ全滅し、 交通 しきれたのかといえばそうではない。ただガスを売ってい も麻痺するなか、人命最優先で取り組まれた実話をマンガ るのではなく、お客さまの命を守らなければという社員一 で表現。 関連する体制や活動を紹介し、 多くのお客さまに興 人ひとりの責任感、 やり抜く力があってこその結果です。 こ 味をもっていただけるような内容を心がけました。 2015年 のツールを通して大陽日酸の姿勢を社内・社外に発信する 3月に完成したツールは、全国の営業所を通じてご要望の ことで、お客さまとの信頼関係をより高めていきたいと考 あった一部のお客さまに配布。 「BCPへの取り組み、それを えています」 (前出 中根)。実際に熊本地震の対応において 目に見える形にしてユーザーに周知する姿勢が素晴らしい」 も一人ひとりの責任感とやり抜く力が発揮され、お客さま 「BCPプロジェクトを立ち上げているところなので、参考に との信頼関係強化にもつながりました。 させていただきたい」 などの反応をいただき、 お客さまから 危機に直面したときに、事業の継続を支えるのは体制や も好評価を得ています。 マニュアルではありません。強い意志をもって実際に活動 を行う社員一人ひとりであり、企業姿勢そのものともいえ ます。大陽日酸グループは、 「安全・安定・安心」供給のため 大陽日酸の企業姿勢ともいえる 「やり抜く力」 に、今後もBCP体制を強化し続けていきます。 今回、 ツール作成にあたって重視したことは、 災害時に対 BCP体制を強化するさまざまな活動 保安講習 定期訓練活動 安全パトロール 販売特約店への講習会 所管部署幹部査察や保安・環境監査等を定 期的に実施し、確実に保安管理が実行されて いるかチェックを行うほか、保安管理の保安講 習会や実際に高圧ガスを使った実験などを定 期的に実施しています。 全社員を対象にした災害訓練を年2回、BCP 総合対策本部では大規模災害を想定した模 擬訓練を年1回実施。 また一部のお客さまと は、高圧ガス漏洩を想定した合同演習も実施 しています。 高圧ガスや関連設備の取り扱いにはさまざま な法的・技術的制約が課せられます。大陽日 酸はお客さまに代わって事業所内の高圧ガス 設備をチェックし、遵法対応や作業環境改善 のアドバイスを行っています。 ガス特約店組織「大陽日酸メジャークラブ」に 対しても、保安をはじめとする各種講習会や研 修会を実施し、取引先も含めて信頼される供 給体制の強化を図っています。 大陽日酸株式会社 9 環境・社会活動報告書2016 SPECIAL FEATURE 2 環境・社会への貢献を目指して 炭酸ガス=CO2の可能性を追求 日本液炭株式会社 日本液炭株式会社は、液化炭酸ガスの製造元のノウハウと実績を活かし、溶接、飲料、食品 などさまざまな分野に炭酸ガスを供給してきました。 地球温暖化の原因物質となる炭酸ガスを 有効利用し、 環境保全に貢献する新たな製品を次々と生み出しています。 日本液炭ではこうした基幹事業に加えて、 「環境」 「健康・ 工場から排出された炭酸ガスを再利用 日本液炭の商品である炭酸ガス(CO 2)は、石油精製や 医療」 「安全・衛生」の3つの分野を柱とした事業も展開。農 肥料・化学繊維などさまざまな工業製品の原料になるアン 業、医療、健康・美容、衛生面など、未来を見据えた炭酸ガス モニア合成などの際に出る副生ガスを回収したものです。 の新たな利用価値を追求しています。 これを圧縮・精製・液化・固体化し、液化炭酸ガスやドライ アイスとして供給しています。新たに炭酸ガスを発生させ 地球温暖化防止への効果が期待される冷媒用炭酸ガス ているわけではなく、本来大気中に放出される炭酸ガスを 従来、業務用冷凍冷蔵機器の冷媒 産業に有効利用し、環境負荷低減にも貢献する事業です。 (冷却時に使用する物質)には、温室効 2 0 1 4 年 度 の 日 本 の 温 室 効 果 ガ スの 総 排 出 量は 1 3 億 果が高いフロン類が使用されていまし 6,400万トン、このうち約110万トンが炭酸ガス事業で た。しかし2015年4月に「フロン排出 再利用されています。 抑制法」 が施行されたことで、 温室効果 開発商品事業本部 ガス営業部長 炭酸ガスの主な用途は、鉄の溶接(シールドガス)で約 がきわめて小さく、使用時の電力節減 50%使用され、造船、自動車、建築など工業分野には欠か も可能な自然冷媒への移行が加速。環 せないものです。また、 ビール・炭酸水などの飲料用、食品 境省も 「先進技術を利用した省エネ型自然冷媒機器普及促 の保存・輸送の際の冷凍・冷却、産業廃水(アルカリ性排水) 進事業」 による補助で、 普及促進を図っています。 の中和処理、化学品原料等、さまざまなものに利用されて 籔本 学 自然冷媒の中でも特に注目されているのが炭酸ガスです。 います。 フロン冷媒を扱っていた日本液炭は、代替品として10年以 日本液炭が展開する事業分野 冷媒の環境負荷特性の違い ODP値※1 GWP値※2 可燃性 環境分野 ・人工炭酸泉 ・医療用炭酸ガス ・医療関係の 定温輸送 など 健康・ 医療分野 ・冷媒用炭酸ガス ・ ドライアイスブラスト ・高品位尿素水「AdBlueⓇ」 など 安全・ 衛生分野 ・農作物の促成 栽培 ・害虫駆除 ・殺虫剤 ・文化財保存 など 液化炭酸ガス 炭酸ガスをより扱いやすいよ うに液体にしたもの 自然 冷媒 炭酸ガス (R744) 炭化水素 (R290) アンモニア (R717) フロン系 HFC134a 冷媒 HFC410A 毒性 0 1 なし なし 0 3 あり なし 0 0 あり あり 0 1,300 なし なし 0 1,900 なし なし ※1 オゾン破壊係数 ※2 地球温暖化係数 ドライアイス 炭酸ガスをマイナス78.5℃ の固体にしたもの 大陽日酸株式会社 10 現在冷媒に使われている代替フロン (HFC)は、 オゾン層を破壊しない代 わりに温室効果が非常に高く、京都議定書の削減対象です。 そのため温 室効果が低く、 可燃性も毒性もない炭酸ガスが期待されています。 環境・社会活動報告書2016 環境・社会に貢献する注目事業 ドライアイスブラスト 有機溶剤・洗剤、研磨剤などを一 切使わず、 ドライアイスを噴射して 汚れを落とす洗浄技術。 ドライアイ スは柔らかく研磨力が小さいため、 精密なものでも表面を傷つける心 配がなく、洗浄後はすべて気体に 昇華するため排水処理による環境 負荷の問題もありません。 高品位尿素水 「AdBlue®」 ディーゼル車から排出されるガス 中のNOx (窒素酸化物) 削減に貢 献する画期的な 「尿素SCRシステ ム」に欠かせないのが高品位尿素 水で、 日本液炭は全国ネットワーク での供給体制を整えています。 AdBlue ®はドイツ自動車工業会 (VDA) の登録商標です。 医療用炭酸ガス・定温輸送 殺虫剤 (ミラクンシリーズ) 腹腔鏡下手術の際に、腹部を膨 張させるのに炭酸ガスを使用。ま た再生医療で注目される幹細胞を はじめ、血液や臓器、試薬など厳 重な温度管理が必要なものの定 温輸送方法を確立し、医療の現 場でもさまざまな場面で利用されて います。 安全性の高いピレスロイド系殺虫 剤を炭酸ガスに溶解させた新しい 殺虫剤。水や有機溶剤を使って いないため汚染や臭気の心配も なく、医療・食品工場やビルなどの 防虫対策に幅広く使用されていま す。高圧噴霧により広範囲への施 工に優れ、天井裏や壁の隙間など にも有効です。 文化財保存 日本液炭は貴重な文化財を保存 するくん蒸技術の普及に貢献。「エ キヒュームS」は、文化財に影響を 与えることなく殺虫、殺カビ処理が できる薬剤として長年使用されて います。二酸化炭素を使用した新 たな殺虫処理剤 (えきたんくん) も、 (公財)文化財虫菌害研究所の 認定薬剤となっています。 上前から炭酸ガスに注目。機器メーカーと開発の段階から させる画期的な方法で、苗に付着した 連携し、炭酸ガスを冷媒として最初に活用した 「エコキュー ハダニの卵から成虫まで死滅させる ト」 などの実用化・普及に貢献してきました。現在は、 コンビ ことができます」 ( 市場開発担当部長 ニエンスストアやスーパーでの導入が進むショーケースを 大和田) 。 畑に植える前に苗の処理をす 中心に、冷媒用炭酸ガス 「レフグリーン」 を供給しています。 れば、収穫のメインとなる12月頃まで 炭酸事業本部 炭酸営業統括部 市場開発担当部長 「私たちが開発したのは、ガス充填の際に使用する圧力調 効果が続き、長期的にハダニ発生を抑 整器です。低圧なフロンガスに対して炭酸ガスは高圧のた 制します。化学農薬と異なり、毒性や可 め、安全で使いやすい仕様を徹底的に研究し、業界標準の 燃性、残留性がないだけではなく、生育 ポジションを築いてきました。 ほかにも、軽くて扱いやすい 環境の向上から収穫量や品質の向上なども報告されていま ア ルミ 容 器 ボ ン ベ を 登 用しています 」 (ガス営業部長 す。今後は、野菜や花卉などへの展開も視野に入れ、農家の 籔本) 。 今後は、 大型冷凍庫などさらなる利用拡大を目指し、 減農薬をサポートしていく考えです。 大和田 英司 これまで以上に機器メーカーとの連携、開発に注力してい きます。 さらなる炭酸ガスの活用を目指して 今後、日本液炭の活躍が期待される 分野の1つが農業です。近年注目され いちご農家の減農薬をサポートする農薬炭酸ガス いちご栽培にとって病害虫のハダニは深刻な問題であ ている植物工場は、炭酸ガスの供給で り、防除には化学農薬や天敵ダニが利用されていました。 作物の生育が促進されることから、研 しかしハダニの薬剤抵抗性により、化学農薬の即効性が弱 究機関・企業と共同研究を開始してい まるなど管理に難しい面があり、新たな防除技術が切望さ るほか、 くん蒸のノウハウを活かし、畑 れていました。 こうした背景から、炭酸ガスくん蒸のノウハ の土壌消毒剤も上市を目指し試験・開 ウをもつ日本液炭と、 いちご生産量日本一である栃木県の 発中です。 また炭酸ガスに有効成分を溶かし込んだ殺虫剤 宇都宮大学が、炭酸ガスを使ったハダニ防除の共同研究を を、デング熱など蚊を媒介とする感染症が流行している東 行い、フィールドテストを経て技術を確立、4年前に「農薬 南アジアで展開することも検討しています。 さらに、国内で 炭酸ガス いちごハダニ殺虫システム」 として製品化が実現 原 料となる炭 酸ガスが 大 幅に減 少していることから、 しました。 2017年完成予定で三菱化学(株)水島事業所内に日本液 常務取締役 経営企画室長 石原 明 「炭酸殺虫は、 高濃度の炭酸ガスを吸わせることでハダニ 炭の液化炭酸ガス製造設備を新設。低濃度の炭酸ガスを回 の体液を弱酸性から弱アルカリ性に変化させ、完全に死滅 収し、高品質な液化炭酸ガスとして産業で有効利用する次 世代型の液化炭酸ガス製造工場を目指します。 「炭酸ガスは、代替手段のない製品であると同時に、今後 その可能性はますます広がっていくと思います」 (経営企画 室長 石原)。 炭酸ガスと日本液炭の社会に果たす役割は、さらに高 炭酸ガス濃度を60vol%に高めた気密性の高い専用バッグの中に苗を24時間置くことでハダニ を殺虫。ハダニのいない苗を畑に定植するため、防除効果が長続きします。 大陽日酸株式会社 まっていくといえそうです。 11 環境・社会活動報告書2016 コーポレートガバナンス 大陽日酸グループは、コーポレートガバナンスの充実を企業の社会 マネジメント 的責任を果たす上で最も重要な経営課題と認識し、活動を行ってい ます。 締役)の意見を聞くことにしています。また、取締役会にお コーポレートガバナンス体制 いて適正・円滑な意思決定を図るための経営事項の審議の 当社は、 「コーポレートガバナンス・コード」 の考え方を踏 場として経営会議を設置し、経営判断の明確化、意思決定 まえて、取締役会の決議により 「コーポレートガバナンス原 の迅速化を図っています。 則」を定め、以下の基本的な考え方に沿って、 コーポレート ガバナンスの充実に取り組んでいます。 監査体制 (1) 株主の権利を尊重し、平等性を確保する。 社外監査役3名を含む4名の監査役で構成する監査役会 (2) 株主を含むステークホルダーの利益を考慮し、それら を設置しています。監査役は全員常勤です。監査役は、取締 役会や経営会議などへの出席のほか、子会社の業務監査や ステークホルダーと適切に協働する。 (3) 会社情報を適時適切に開示し、 透明性を確保する。 代表取締役との意見交換などを通じて、 コンプライアンス (4) 監督と執行を分離することにより、取締役会による業 や経営の効率性をチェックしています。 また、内部監査機関 としては、 社長直轄組織として監査室を設置し、 業務の妥当 務執行の監督機能を実効化する。 (5) 当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値の 性と効率性をチェックしています。監査室は、監査役会や監 向上に資するため、株主との間で建設的な対話を行う。 査法人とも連絡を密にして、監査機能の充実に向けて取り 組んでいます。 経営体制 取締役会は、10名の取締役(うち2名は社外取締役、 内部統制システム 1名は米国人)で構成しています。取締役・監査役等の選任 や取締役・執行役等の報酬の決定にあたっては、手続きの 会社法の規定に基づき 「業務の適正を確保するための体 透明性・客観性を高めるため、取締役会の諮問機関である 制」 (いわゆる内部統制システムの基本方針) を構築し、 意思 指名・報酬諮問委員会(メンバーは会長、社長および社外取 決定権限や経営推進プロセス等の明確化による内部統制強 大陽日酸のコーポレートガバナンス体制 株主総会 選任・解任 選任・解任 選任・解任 諮問 監査役会 指名・報酬 諮問委員会 監査役 4 名 うち社外監査役 3 名 答申 業務監査 会計監査 取締役会 報告 会計監査人 取締役 10 名うち社外取締役 2 名 選定・解職 監督 会計監査 代表取締役社長 兼 CEO 経営会議 連携 コンプライアンス委員会 委員長:CCO 連携 リスクアセスメント委員会 委員長:全社的内部統制管理責任者 監査室 技術リスクマネジメント委員会 委員長:技術本部長 内部監査 各部門・グループ会社 大陽日酸株式会社 12 環境・社会活動報告書2016 連携 化に努めています。また、 「コンプライアンス委員会」 「リス 同委員会は毎年2月に開催しています。各事業本部から クアセスメント委員会」 「技術リスクマネジメント委員会」 提出されたリスク評価シートをもとに、大陽日酸グループ を設置し、 コンプライアンスの徹底・企業リスクの監視とそ の事業に影響を与える可能性のあるリスクについて、発生 の対応等を総合的に管理運営するとともに、定期的に取締 可能性を縦軸、影響度(当期純利益に与えるインパクト)を 役会等への報告を義務付けています。 横軸としたリスクマップを作成し、当社事業への影響の大 きいリスクを確定しています。また、工場での事故や製品 コンプライアンス委員会 不良など、当期に顕在化したリスクの報告も行い、リスク 大陽日酸グループでは、 「 社会の構成員として求められ マップで確定されたリスクや当期に顕在化したリスクに る価値観・倫理観に基づいて誠実に行動し、これを通じて 対して適切な管理体制が取られているか、確認を行ってい 公正かつ適切な経営を実現し、市民社会との調和を図り、 ます。管理体制が整っていないリスクがあれば、責任部署 企業を継続的に発展させていく」 という認識に基づき、 コン を定め、当該部署が関係部署とともに対策を検討・立案し、 プライアンス体制を整備・強化し、 「よき企業市民」として 実施することとしています。なお、これらの報告事例およ 社会から信頼される存在となるよう努めています。 び確認の内容について全社的内部統制管理責任者が取り CCO(チーフコンプライアンスオフィサー)を委員長と まとめ、経営会議および取締役会に報告することとしてい する 「コンプライアンス委員会」 は、毎年9月と2月に開催し ます。 また、大地震については、部門を横断した組織である ています。同委員会では、半年間に大陽日酸グループ内で BCP※本部を設けて、大地震が発生した際の事業継続に備 生じたコンプライアンス違反について、所管の事業本部か えています。 ら報告を受けるとともに、過去に報告されたコンプライア ※BCP:Business Continuity Plan=事業継続計画 ンス違反についてはその改善および再発防止策について 進捗を管理します。また、報告事例については、各委員か 技術リスクマネジメント委員会 ら、所属する事業本部内およびその所管のグループ会社に 大陽日酸グループでは、事業リスクのうち特に 「保安、品 違反事例を伝達し、該当箇所のチェックを行うことで、類似 質・製品安全、環境および知的財産」 に関する技術リスクを の違反発生防止に努めることとしています。 また、 これらの 低減し重大リスクの顕在化を未然に防止するための組織と 報告事例および検討の内容についてCCOが取りまとめ、経 して 「技術リスクマネジメント委員会」 を設置しています。 営会議および取締役会に報告することとしています。 この 同委員会は、技術本部長を委員長、委員は各本部長、支 ほか、コンプライアンス委員会では、法令の改正に伴う大 社長、人事部長で構成され、 リスク分野ごとに保安、品質・ 陽日酸グループの対応の検討や、グループ会社が当事者と 製品安全、環境、知的財産の管理組織を設置しています。 なっている継続中の訴訟について各事業本部から報告を 各管理組織の活動を統括し、技術リスク活動状況および顕 受け、当社が支払いを請求される可能性のある偶発債務の 在化したリスクの定期把握(年4回)、重大リスク顕在化の 管理を行います。 際の対応を行い、 これらを取締役会に報告することとして これらの活動により、一層のコンプライアンスの確保に います。 努めています。 また毎年2月には、技術リスクマネジメント会議を開催 しています。本会議は社長を議長とし、取締役、各本部、支 リスクアセスメント委員会 社および主要関係会社の責任者を委員とする会議で、グ 企業は、事業活動に際して多くのリスクを管理する必要 ループ全体でリスク管理の総括および年度方針や重点課 があります。大陽日酸グループのリスクには、電力料金の 題を決定します。この決定は各管理組織、またグループ会 値上げ、原油等の資源価格の高騰、為替・金利の変動、製品 社のそれぞれの具体的な活動に反映されます。 に対する需要の変化、技術革新、顧客工場の海外移転、製品 このように経営トップの意思を明確にするとともに、グ 事故、自然災害、環境汚染、労働災害等さまざまなものがあ ループ全体が共通の意思のもとでリスク管理が行える仕 り、これらの事業リスク全体について、全社的内部統制管 組みによって、徹底したリスク管理を行っています。 理責任者を委員長とする 「リスクアセスメント委員会」 を通 じて管理しています。 大陽日酸株式会社 13 環境・社会活動報告書2016 コーポレートガバナンス 技術リスク管理における監査 大陽日酸グループ行動規範 社内事業所および保安・環境・品質などに関する技術リス 「大陽日酸グループ行動規範」 は、 お客さま、 お取引先、株 クを管理する関係会社を対象として、所管部署幹部査察お 主・投資家、従業員など、当社を取り巻くさまざまなステー よび保安・環境監査を実施しています。2015年度は約300 クホルダーとの健全な信頼関係を築くことにより、大陽日 事業所が対象となりました。 酸グループの持続的な成長と企業価値の向上を実現する 所管部署幹部査察は、大陽日酸の本部長、支社長が関係 ため、大陽日酸グループの役職員一人ひとりの行動の基 会社の保安・環境活動の実態について経営者の視点で査察 準、遵守・遂行すべき事項等について規定しています。 を行います。 また、 保安・環境監査は、 企業コンプライアンス 2009年度より、その内容と解説を記載した「大陽日酸グ の徹底や事故の未然防止などを主眼に、技術監査部が原則 ループ行動規範ガイドブック」を派遣社員を含む全従業員 5年周期で海外の関係会社も含め実施しています。 に配布していますが、2014年度には、初版発行からの法令 保安・環境監査では監査チェックリストによる事前の自 改正や社会環境の変化に合わせて解説の追加・見直しを行 己点検を行った後、同リストに基づいて技術監査部が現地 い、2016年度には、法令改正による見直しと個別の事例を での実態調査を実施します。2015年度は14社31事業所の 追加した改訂版を発行しました。 保安・環境監査を行い、法令遵守、保安・環境リスク対策な また、独占禁止法については、2011年に公正取引委員会 どの実施・対応状況を確認しました。この監査において指 から排除措置命令および課徴金納付命令を受けたことを 摘された事項については、是正計画・是正完了の報告を求 踏まえて改定した「独占禁止法遵守マニュアル」を作成し、 め、確実な改善を推進しています。 大陽日酸グループの営業担当者を中心に配布しています。 なお、2015年度実施分の指摘事項に対する是正完了の 進捗度は、 2016年8月現在で100%完了となっています。 大陽日酸グループ行動規範 (目次) 1 総則 (1) 目的 (2) 適用範囲等 (3) 規範の遵守等 (4) 大陽日酸ヘルプライン (5) コンプライアンス委員会の設置 4 株主・投資家との関係 (1) 経営情報の開示 (2) インサイダー取引の禁止 2 社会との関係 (1)各種業法の遵守 (2)寄付行為・政治献金規制 (3)反社会的勢力との関係断絶 (4)地球環境保全・保護 (5)安全保障輸出管理 (6)地域社会・国際社会への貢献 5 社員との関係 (人権の尊重) (1)人権の尊重 (2)差別禁止 (3)児童労働・強制労働の禁止 (4) ハラスメント (5) プライバシーの保護 (6)職場の安全衛生 (7)働きやすい職場の実現 大陽日酸株式会社 14 環境・社会活動報告書2016 3 顧客・取引先・ 競争会社との関係 (1) 製品の安全性 (2) 品質管理 (3) 独占禁止法の遵守 (4) 不正な接待・贈答等の禁止 (5) 購入倫理、関係法令の遵守 (6)個人情報の管理 (7)知的財産権の保護 6 会社・会社財産 との関係 (1)就業規則の遵守 (2)適正な会計処理 (3)利益相反取引の禁止 (4)営業秘密の管理 (5)会社資産の適切な使用 (6)情報システムの適切な使用 大陽日酸ヘルプラインの設置 知的財産活動 コンプライアンスの徹底を図るため、各事業活動におけ 知的財産活動方針 る適正性確保、 コンプライアンス経営の実効性向上の観点 大陽日酸では、事業の優位性確保および収益貢献を目的 から改善を要する事項の抽出とその解決を目的に、内部通 とし、知的財産の戦略的な取得・維持、 そして事業への活用 報システムとして「大陽日酸ヘルプライン」を設置してい に積極的に取り組んでいます。また、法令遵守の理念に基 ます。 づいて有効な第三者の知的財産権を尊重するとともに、当 社知的財産権の侵害に対しては適切な対応をとることとし ています。 情報セキュリティガバナンス 企業にとって情報セキュリティ強化は重要な取り組みで 発明に対する補償制度 あり、内部犯行の発生防止ならびに外部からの攻撃に耐え 大陽日酸では、 「知的財産管理規程」 を中核とした知的財 うる仕組み、 ルールの構築および運用が求められます。 産管理のための諸制度を整備しています。そのうち「発明 大陽日酸では、 「情報セキュリティ基準」を定めるととも 考案規程」では、従業員の職務発明に対して、出願時、権利 に、 アクセスログ等による監視、不正防止や、攻撃を阻止す 発生時、 および会社利益創出の貢献時にそれぞれ発明者に るシステムを定期的に更新することで、機密事項や個人情 補償金を支給することを定めています。近年の各種補償金 報などの漏洩を防ぐ体制を整えています。 支給実績は、2014年度が約200件、2015年度が約180件 でした。 なお、当社では2016年4月に施行された改正特許法に 営業秘密の管理 対応して発明考案規程を改訂しました。従業員への補償制 企業の情報漏洩が社会問題として大きく取り上げられ、 度は報奨制度として維持します。 企業にとっては、事業活動を通じて知り得たお客さまの秘 国内公開特許件数の推移〈大陽日酸(株)〉 密情報を管理・保護することは重要な社会的責務です。 大陽日酸では、 「営業秘密管理規程・管理基準」 を策定し、 (件) 120 自社およびお客さまの営業秘密の適切な管理に努めてい ます。 90 営業秘密管理体制を維持するため、管理責任者に対す 60 る関連法改正の周知等の定期的な啓発活動、関係会社に 30 対する指導により、グループ全体での管理強化を推進して います。 0 2011 2012 2013 2014 2015(年) 営業秘密の管理方法 国内保有特許の事業分野別割合 1. 営業秘密管理規程・基準に基づき、部署ごとに、営業秘密管理責 任者を設ける。 メディカル 8% 2. 管理責任者が部内の営業秘密を特定する。 3. 営業秘密は「厳秘」 「社外秘」の2種類に区分し、アクセスを制限 する。 プラント・ エンジニアリング 25% 4. お客さまから開示された営業秘密は、自社の営業秘密と同等に 管理する。 その他 1% 産業ガス 37% エレクトロニクス 29% 2015年12月末現在 689件 大陽日酸株式会社 15 環境・社会活動報告書2016 バリューチェーン全体を通じた環境・社会への取り組み 大陽日酸グループは、開発・生産、供給、販売、製品利用時に至るまで、 マネジメント 事業活動のすべてのプロセスにおいて地球環境や社会に与える影響 に配慮し、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを行っています。 開発・生産 供給 パイプライン タンクローリー ガス充填工場 ガス生産工場 容器(シリンダー) ステークホルダーへの主な取り組み 地球環境 従業員 教育研修制度 公正・公平な雇用 働きやすい職場づくり 健康増進・メンタルヘルスケア 労働安全衛生の確保 福利厚生制度 安全・安定供給に向けた各種取り組み 等 地球環境 お取引先 公正・公平な取引先選定 特約店会制度による取引先サポート 安全・安定供給に向けた各種取り組み 等 地球環境 株主・投資家 情報公開 利益還元 等 地球環境 地域・社会 情報公開 次世代の教育支援 地域防災・環境保全への協力 保安管理 等 地球環境 地球環境 地球温暖化防止 化学物質管理の推進 省資源・リサイクル 環境負荷を低減する製品の開発・販売 等 2015年度 活動事例 従業員 海外現地法人における技術リスク 低減活動 従業員 P19 P18 産業ガスのプロを育てる教育・研修 大陽日酸株式会社 株主・投資家 P23 16 株主・投資家との コミュニケーション 環境・社会活動報告書2016 地域・社会 P25 セルジオサッカークリニック P18 大陽日酸グループは、開発・生産、供給、販売、製品利用時に至る事業活動のすべてのプロセス(バリューチェーン)にお いて、環境や社会をはじめ、ステークホルダーにどのような影響を与えるかを認識し、さまざまな環境・社会活動を行って います。大陽日酸グループだけではなく、ステークホルダーの方々との連携・実践を強化していくことで、持続可能な社会 への貢献を推進していきます。 販売 製品利用時 お客さま 販売店 • 鉄鋼・非鉄金属 • ガラス・製紙 • エレクトロニクス • 医療 • 石油・化学 • 食品 • 自動車・機械 • その他 お客さま 保安管理 製品安全 品質管理・品質保証 等 地域・社会 大陽日酸キッズ理科教室 お取引先 P26 特約店会制度 「大陽日酸メジャークラブ」 お客さま P19 大陽日酸株式会社 豊田汽車 (常熟) 零部件有限公司より、 サプライヤー表彰を受賞 17 環境・社会活動報告書2016 地球環境 P19 環境負荷を低減する製品の開発 P34 社会活動 ステークホルダーとともに 「広く社会から信頼される企業でなければ、継続的な発展は望めない」 との認識のもと、事業活動に関わるさまざまなステークホルダーに 対する社会的責任(CSR) を果たすための活動を行っています。 セルジオサッカークリニック 大陽日酸では、スポーツ活動を通じて青少年の健全な育 いた小学生は1万7,000名を越えており、今ではクリニッ 成を図るべく、 「大陽日酸サッカー教室 セルジオサッカー ク卒業生からプロのサッカー選手も輩出しています。 クリニック」を開催しています。1990年に大陽日酸の前身 2015年の千葉市での開催で25周年を迎え、長年ご協力 である日本酸素の創業80周年記念として、千葉市サッカー をいただいている千葉市サッカー協会の関係者や地域の 協会のご協力により開催したのがきっかけでした。それ以 皆さまへの感謝の印として、当クリニックの歴史やセルジ 降毎年開催を重ね、2005年からは大阪府サッカー協会と オ越後氏への特別インタビューなどをまとめた25周年記 の共催で大阪でも開催しています。毎回、セルジオ越後氏 念誌を発行しました。2016年度の開催時には、千葉市サッ をはじめとする元プロサッカー選手である講師陣、数百名 カー協会より、青少年サッカーの発展に長年尽くしてきた の小学生や保護者やコーチの方々に参加いただき、講師 功績を認められ、感謝状を授与されました。今後も地域の チームとの交歓試合や保護者やコーチの皆さまにご参加い 皆さまとの交流を深め、継続して開催していきたいと考え ただくPK大会などを行っています。 これまでに参加いただ ています。 講師チームとの交歓試合 千葉市サッカー協会より感謝状を授与 25周年記念誌 上海にて従業員家族向け会社見学会と理科実験教室を開催 大陽日酸の中国現地法人である上海大陽日酸気体では、 い、親しみを持ってもらうことを目的に企画したものです。 2015年10月に、従業員の家族向け会社見学会および理科 参加した家族は、初めて目にするプラント設備や液体窒 実験教室を開催しました。夫婦共働きが多い中国におい 素に大興奮で、非常に有意義な時間を共有できました。今 て、仕事と家庭の両立のために必要不可欠な家族の理解・ 後も、国内外でこのような活動を広げていきたいと考えて 協力を得るため、同社がどのような会社かを理解してもら います。 上海大陽日酸気体の多くの従業員家族が参加 大陽日酸株式会社 18 環境・社会活動報告書2016 供はもちろんのこと、国内あるいは海外における営業支援、 海外現地法人における技術リスク低減活動 技術支援、経営相談などさまざまなサービスを提供し、加 海外売上比率が約40%となった大陽日酸グループで 盟企業 (パートナー企業) をサポートしています。 は、海外グループ会社を含めた技術リスク管理の重要性が 同クラブは、 「パートナー会」と「LPガス会」 「メディカル 高まりつつあると同時に、グローバル展開するお客さまか 会」 の2つの機能別部会で構成されており、全国規模の販売 らは、世界各国で同等な高レベルでの保安・技術管理が要 ネットワークで、大陽日酸グループの商品を安全かつ確実 求されています。 このため大陽日酸では、 グローバルでの保 にお客さまのもとへお届けしています。 また各会では、保安 安・技術レベル向上の施策として、国内外すべてのグルー をはじめとする各種講習会や研修会などを独自に実施し プ会社が運用すべき統一のルール「大陽日酸グループ基 ています。今後も会員各社との継続的な取り組みを通し 準」を発行しています。 また、教育テキストの作成や海外現 て、一層のお客さま満足や社会的信用の向上を目指し自己 地法人での保安教育セミナーも開催しており、 これまでに 研鑽に励んでいきます。 延べ120名の従業員がセミナーに参加しています。 大陽日酸メジャークラブ (特約店会の総称) 今後も、大陽日酸グループ基準および技術・教育資料の 大陽日酸メジャークラブ ロゴ 内容拡充や、各国での保安教育セミナーの開催を計画して おり、グループ会社 LPガス会 (機能別部会) 一 丸 と な っ て 、保 安・技術レベルの向 パートナー会※ メディカル会 (機能別部会) 発 足: 2005年4月1日 会 長: 大陽日酸 代表取締役社長 兼 CEO 参加特約店: 288社(2016年8月現在) 事務局: 大陽日酸 産業ガス事業本部 上を目指します。 ※パートナー会は、 東北、北関東、関東、中部、関西、中四国、 九州の7ブロックで構成 インガスコ社 (フィリピン) での 保安教育セミナー マスコミ事業所見学会の開催 大陽日酸では、 さまざまなステークホルダーへの情報公 開の一環として、マスコミの記者の方向けにも事業所見学 パートナー企業とのコミュニ ケーションツールである会報誌 「メジャークラブ通信」 会を開催しています。 研修会の様子 2015年度は、プラント製作を行っている京浜事業所で の見学会を行いました。実際にプラントが製作されている 豊田汽車 (常熟) 零部件有限公司より 現場や、海外向けに出荷直前の全長50メートルにもおよぶ サプライヤー表彰を受賞 大 型 空 気 分 離 装 置をご 覧いただきました。大陽 2015年3月、大陽日酸の海外現地法人である上海大陽 日酸の事業をよりご理解 日酸気体は、豊田汽車(常熟)零部件有限公司の2014年度 いただくため、今後もこ サプライヤー表彰において設備部門の原価優良賞を受賞 のような機会をご提供し しました。今後も引き続き、安全安心な・安定供給に努めて ていきます。 いきます。 京浜事業所での工場見学 特約店会制度 「大陽日酸メジャークラブ」 全国各地のお客さまのニーズに対して、的確かつきめ細 かい対応ができるように、2005年4月に特約店組織「大陽 日酸メジャークラブ」 を創設しました。競争力のある商品提 大陽日酸株式会社 表彰式の様子 19 環境・社会活動報告書2016 安全・安定供給への取り組み 社会活動 “The Gas Professionals=産業ガスのプロ集団” として、あらゆる 産業のお客さまに対して、産業ガスを安全かつ安定的に供給すること を責務としています。 全工程で安全・安定供給体制を強化 大陽日酸グループが生産する産業ガスは、 ガスの種類や 産・供給・消費の全工程を通じた安全・安定供給体制を強化 供給先に応じて、多様な手段で輸送・供給され、幅広い産業 していく必要があります。 大陽日酸グループでは、 「設備・機 分野で使用されています。 ガス供給の安全性・安定性を確保 器を万全に保つ」 「安全・安心なオペレーション」 「安全に対 するためには、グループ内の生産・供給現場はもちろん、販 する意識の啓発」の3つをポイントに、特約店やお客さまと 売パートナーとなる特約店や、 お客さまの利用現場まで、生 の連携のもと、 取り組みを進めています。 安全・安定供給に向けた取り組み内容 生産工程 設備・機器を万全に保つ • 法定設備点検の実施 • 定期自主検査の実施 • 老朽化した設備・機器の更新 • ガスの物性の調査 供給工程 製品利用時 • パイプラインおよびバックアップ設 備の定期点検の実施 • 各種安全機能を装備した「特殊ガス 専用輸送車」 による輸送 • 使用されている高圧ガス設備の保 安検査、定期自主検査およびメンテ ナンスの実施 • お客さまの定期自主検査のサポー ト、各種保安講習、保安管理上の高 度な専門技術の提供 特殊ガス専用 輸送車 安全点検 安全・安心なオペレーション • 窒素製造装置の総合監視センターによる 集中監視システムの採用 • 特殊ガス工場における自動化操業の推進 と遠隔監視、機器制御システムの導入 • 地震発生時の設備・機器の安全停止と対 応マニュアルの制定 • 空気分離装置(ASP) シミュレーション技 術大会の開催 • 特殊ガス出動要員育成による特殊ガ ス防災体制の構築 • 輸送する高圧ガスの“イエローカー ド” 携行の徹底 • 液化ガス貯槽の遠隔管理システム 「スラッシュ」 の活用 ガス漏洩検知警報 システム • 半導体工場の総合的保安サービス として、集中監視システム「TELEOS®」 の提供 • 製品安全審査体制の構築 製品安全適合宣言書 ASPシミュレーショ ン技術大会各部 門の入賞者 (2016年度) 安全に対する意識の啓発 • 事業所ごとの防災訓練、高圧ガス漏 洩処置訓練の実施 • 自主保安活動の成果を表彰する安 全表彰制度 特殊ガス防災教育訓練 • データベースによる事故トラブル情 報の共有化 • 当社独自の特殊ガス運送員対象の 定期講習会実施 •「移動監視者」の資格取得、高圧ガス 保安団体が行う運送員講習の修了 • 全国ローリー運輸会社品質・保安推 進会議の開催、交通安全研修の開催 • 高圧ガス保安講習会の実施 • 安全データシートおよび保安・安全 情報の提供 お客さまに向けたさまざまな保安講習 会を実施 防災訓練 交通安全研修 大陽日酸株式会社 20 環境・社会活動報告書2016 お客さまとの関わり 社会活動 産業ガスを安全かつ安定的に供給するために、保安管理体制および 品質管理・品質保証体制を構築しています。 保安管理 品質管理・品質保証 大陽日酸グループでは、産業ガスを安全かつ安定的に供 大陽日酸グループでは、 「高度化、多様化するお客さまお 給するために、社長をトップとした保安管理体制を構築し、 よび社会の要求事項を的確に把握し、最適な品質を提供す 保安管理を徹底しています。 る」 との社長方針のもと、製品・サービスの品質維持と向上 『「ガスを売ることは安全を売ること」の精神に則り自主 を図るため、品質管理・品質保証活動を推進しています。 保安を確実に実践する』との社長方針のもと、自主保安活 動を推進し、所管部署幹部査察や保安・環境監査を定期的 ISO9001認証取得への取り組み に実施することで、保安管理が確実に実行されているかを 大陽日酸グループでは、 お客さまに安心して製品をお使 チェックしています。 いいただくために、生産工程だけでなく供給工程において 生産部門を有する社内および関係会社の事業所では、 も、ISO9001に基づく品質マネジメントシステムの構築を 自主保安活動の成果を表彰する安全表彰制度を設けてい 進めてきました。 ます。 「製造部門」 での認証取得に加え、液体酸素・液体窒素・液 また、特殊ガスに係る輸送時やお客さまの消費時におい 体アルゴンおよび特殊ガスを対象製品として、 「営業部門」 て、ガス漏洩などの緊急事態に迅速に対応できるよう、全 「物流部門」においても認証を取得しました。また、半導体 国に55カ所の緊急出動事業所を指定し、必要な防災資機 機器・工事、医療用ガス・機器、 ヘリウムガス・水素ガスの分 材を配備しています。緊急事態に対応できるように年1回 野においても認証を取得しています。大陽日酸では3部門、 以上の出動要員の教育・訓練を実施し、約260名の出動要 関係会社では39社で認証を取得しています。 員が登録されています。 今後もお客さま満足および社会的信用の向上を目指し、 品 さらに、お客さまに産業ガスを安全に使用していただく 質マネジメントシステムの継続的な改善に努めていきます。 ために、産業ガスの性質、危険性、取り扱い方法などについ ISO9001認証取得状況〈大陽日酸(株)〉 ての 「保安講習会」 をお客さまにご提案、 実施しています。 取得部門 取得年月 オンサイト・プラント事業本部 1995.12 メディカル事業本部 バイオ・メディカル事業部 2007.02 産業ガス事業本部 2007.03 保安および品質・製品安全管理組織図 社長 技術リスクマネジメント会議 技術リスクマネジメント委員会 技術本部長 保安統括責任者 品質保証統括責任者 製品安全 保安管理推進会議 品質・製品安全管理推進会議 大陽日酸グループでは、 「 製品の全ライフサイクルにわ 本部長 保安管理責任者 品質・製品安全管理責任者 支社長 支社保安管理責任者 支社品質・製品安全管理責任者 たってリスクを低減し、安全・安心な製品を提供する」 との 関係会社 社長方針のもと、 お客さまに安心して製品をご使用いただ くために、製品安全審査体制を構築しています。 社内の資格を有する者による製品の安全性評価を実施 関係会社 し、品質保証統括責任者の承認を経て、製品安全適合宣言 を行い、 安全性を確保した製品を提供しています。 特定事業所※長 (保安管理組織のみ) ※ 特定事業所とは、本部所管の工場、研究所が主となる混在事業所で、保安上一体で管理が 必要な事業所です。 大陽日酸株式会社 21 環境・社会活動報告書2016 従業員との関わり 社会活動 従業員一人ひとりを“産業ガスのプロ” として育成するために、実務に 沿った教育・研修プログラムの充実とともに、それぞれが実力を発揮 できる職場の環境整備を行っています。 公平・公正な雇用 障がい者雇用の促進 大陽日酸グループでは、性別、年齢要素などを排除した 大陽日酸では、障がい者を対象とした「就職企業説明 従業員の採用を実施しています。 その上で、 「適材適所の人 会」への参加などを通じて求人活動を行っており、より多 財配置」 「公正な評価と人財育成」 「業績・成果重視の処遇」 くの方に当社への就職に関する情報を提供できるように の3つを基本方針とした人事制度を運用しています。 努めています。このような活動は、障がいをもつ方の定期 的な採用につながっており、入社後は総務・管理・経理・営 業・物流・技術管理・生産管理・研究開発・エンジニアなど 人事評価・処遇 幅広い職種で活躍しています。 大陽日酸の人事制度は、職務・役割に応じて評価・処遇基 なお大陽日酸の障がい者雇用率は2016年3月31日時 準を設定しています。 「業績の達成・能力の発揮」 → 「評価・考 点、法定雇用率2.00%を上回っています。今後も法定雇用 課」 → 「フィードバック」 → 「人財育成」 というマネジメントサ 率2.00%以上を維持すべく、引き続き努力していきます。 イクルを重視し、これを循環させることによって、公平性・ 公正性を確保するとともに、 納得性の向上を図っています。 メンタルヘルスケア また、2015年4月より、社内をより活性化し、積極果敢な 企業文化を形成することを目的として、管理職を対象とし 大陽日酸では、2003年9月よりメンタルヘルスケアの施 た人事制度を変更しました。 まず、 適時適材適所の人材配置 策を導入し、継続的な活動を行っています。2006年10月 を実現するために、年功的要素を持つ職能資格制度を廃止 からは、外部専門業者によるEAP(従業員支援プログラム) し、 「職務」に重点を置いた制度に改めました。 さらに、会社 サービスを導入し、社外に相談窓口を設ける一方、社内に 業績を社員により一層還元するために年収における賞与配 おいても復職支援プログラムを整備するなどの取り組みを 分比を増やし、中期経営計画「Ortus Stage 1」 の目標達成 行っています。 度に一段と連動する報酬体系に改めました。 メンタルヘルスケア研修受講者数 これらの施策を通じて、競争に打ち勝つ組織をつくり、 年度 2006年度 2007年度 2008年度 2009年度 2010年度 2011年度 2012年度 2013年度 2014年度 2015年度 業界の第一人者となる人財を育成していきます。 従業員数と平均勤続年数推移 (名) 15,000 10,000 13,142 12,955 11,468 11,588 18.0 17.8 17.6 17.3 17.0 (年) 18 14,127 12 5,000 管理職 73名 58名 49名 54名 54名 49名 50名 44名 38名 38名 6 1,393 0 主事 40名 38名 26名 30名 29名 20名 27名 36名 25名 37名 2011 従業員数 (単体) 1,386 2012 1,366 2013 従業員数 (連結) 1,250 2014 ハラスメント防止への対応 1,240 2015(年度) 0 大陽日酸では、就業規則において、 セクシャルハラスメン 平均勤続年数 (単体) ト・パワーハラスメントを禁止する事項や相談・苦情処理窓 従業員平均年齢(単体) 集計時期 2012年3月 2013年3月 2014年3月 2015年3月 2016年3月 口の設置を明示しています。 さらに、電子掲示板にて、窓口 の詳細や、相談の際のプライバシー厳守を従業員に周知 平均年齢 41歳9カ月 42歳0カ月 42歳4カ月 42歳5カ月 42歳9カ月 大陽日酸株式会社 し、快適な職場づくりを呼びかけています。 また、ハラスメント防止への理解を深めるための研修を 実施し、防止に向けた取り組みの強化を図っています。 22 環境・社会活動報告書2016 社内コミュニケーションの充実 働きやすい職場づくり 大陽日酸では、 大陽日酸発足直後の2004年11月より、 社 大陽日酸では、すべての従業員にとって働きやすい職場 内報「ベストスクラム」 を隔月で発行しており、2016年7月 づくりを目指し、従業員の事情に配慮した休暇制度を整備 からは、大陽日酸グループ報としてグループ会社の従業員 しています。育児休暇制度では、 「短時間勤務」 「フレックス にも配布しています。 会社側からのさまざまな情報を発信す タイム」のいずれかを選択できる仕組みを導入しており、 るとともに、全国各地のコミュニケーターを通じて情報収 2009年度には短時間勤務を選択する場合の子の対象を3 集・発信を行い、グループ会社間の 歳から小学校3年生まで広げ、2010年度には短時間勤務 コミュニケーション活 性 化やグ の始業・終業時間を個人の希望により30分単位で選択でき ループ意識の向上を図っています。 るように幅を持たせるなど、より利用しやすいように常に また、海外では、当社グループ情 見直しを行っています。 報を英語で紹介する海外版社内報 また、小学生以下の子どもの病気看護や育児補助、学校 「Konnichiwa」 (コンニチワ)を季 行事への参加、本人の私傷病で3日以上の療養が必要な 刊で発行しています。 時、親族の介護、妊産婦の通院の際に、有効期間失効後の年 次有給休暇を利用できる制度も用意しており、2016年度 社内報「ベストスクラム」 からは会社が認めたボランティアまたはドナーとしての活 動も取得要件に加えています。さらに、高齢化の進展に伴 産業ガスのプロを育てる教育・研修 う介護の長期化を見据えた介護休業制度を定め、通算して 企業が人財育成のためにできることは、経験を積む場所 365日までの介護休業取得を認めています。 を提供した上で、求められる知識やスキルに沿った教育・ このほか、 2016年度より女性活躍推進法が施行されたこ 研修を行い、経験の連鎖を設定することだと考えます。 この とに伴い、 大陽日酸では女性社員の採用拡大や、 働きやすい 考えのもと、2007年度から新たな教育体系を構築し、多数 職場環境の整備、育児・介護・配偶者の転勤等を理由に退職 の項目別研修プログラムを導入しています。 した社員に対する再雇用の利用促進等に引き続き積極的に 新入社員研修では採用職種にかかわらず、生産現場や営 取り組んでいくことを、 行動計画として公表しています。 業現場での幅広い業務を体験し、当社で求められる知識や 育児休暇制度における勤務時間短縮などの措置 スキル習得の礎を築いています。階層別研修では、社会人 として求められる知識やスキルを習得するためのプログラ フレックスタイム 制度 短時間勤務制度 ムを、 入社5年目までに受講できるように設定しています。 対象者 大陽日酸 教育体系図 階層別 選抜型 選択型 始業時間および終業時間を30分単位で選 フレックスタイム テーマ型 勤務態様 択できる(1日あたりの短縮時間は2時間) (コアタイム10:30∼15:00) 3年 ロジカルプレゼンテーション研修 2年 ロジカルコミュニケーション研修 新入 社員 新入社員研修 大陽日酸株式会社 手続き 措置開始日の1カ月前までに 「勤務時間短縮などの措置申出書」 と、子 の存在、 または出産予定を証明する書類 (母子手帳の写しなど) を提出 制度利用者 各本部別専門教育 ファイナンス研修 技術教育課主催TNテクニカルセミナー 戦略・マーケティング研修 4年 ライフプランセミナー 5年 メンター養成研修 グローバル人財 選抜育成研修 通信教育︵会社推奨講座・費用会社半額補助︶ 新任主事リーダー研修 外部セミナー受講 ︵会社推奨研修・費用会社全額補助︶ 主事 中堅管理職 選抜研修 満3歳に満たない子を 養育する従業員 子が満3歳に達する日 ( 誕 生 日 の 前 日 )の 属 する月まで 適用期間 子が小学校3年生の学年度末まで 新任執行役員研修 新任管理職研修 小学校3年生までの子を養育する従業員 2013年度 2014年度 2015年度 産前産後の特別休暇 4名 4名 2名 育児休業 6名 4名 2名 短時間勤務 9名 10名 10名 フレックスタイム 0名 1名 0名 延べ人数 19名 38名 42名 延べ日数 47.0日 33.5日 43.0日 子の育成にかかる 特別休暇 23 環境・社会活動報告書2016 従業員との関わり 従業員の健康増進 労働組合活動への対応 大陽日酸では、従業員の健康増進に寄与するため、毎年1 2005年5月に発足した大陽日酸労働組合は、同年10月 回全従業員を対象に健康診断を実施しています。全員受診 には協定を締結し、 ユニオンショップ化を果たしました。 を原則とし、未受診者の受診はもちろん、有所見者に対し 大陽日酸は、大陽日酸労働組合に対して可能な限り情報 ては再受診を促す取り組みを行っています。 開示を行い、誠実に対応することを協議・交渉方針として また、長時間労働者には医師面談を実施しているほか、 います。現在は健全な労使関係を維持しており、今後も労 単身赴任の従業員には上記健康診断のほかに、年に1回人 使一丸となって発展できるよう、互いに切磋琢磨していき 間ドックを受診できる制度を導入しています。 たいと考えています。 労使交渉の実施状況 石綿含有部材を取り扱っていた社員への対応 協議内容 大陽日酸では、過去に石綿を含有する部材を取り扱って 開催時期 賃金、賞与、諸労働条件について労働組合からの 定 例 は 3 月 上 旬 要求を基に協議する場であると同時に、会社の重(要求提出日)と 団体交渉 要な施策や業況など幅広い内容について労使で 4月上旬(指定回 答日) 話し合います。 組合員全般の取り扱いに関わる諸事項について 協議する場であり、主に会社側からの提案を受け 中央労働 て、中央執行委員、人事部長および人事部員で協 不定期 議を行います。また、決算報告や会社の重要施策 (年間20∼30回) 協議会 についても報告を行います。 主な協議事項:組合員の諸労働条件の改定、転 籍・早期退職、出向提案など。 地域(事業所)の組合員に関わる諸事項について協議 支部労働 する場であり、支部執行委員と地域労務担当者(支社 不定期 (地域により実施 長、各部長、業務課長など)で協議を行います。 協議会 回数は異なる) 主な協議事項:36協定に関わる事項、事業所移転など。 いたことから、2005年8月から人事部内に相談窓口を設 け、健康診断の受診を呼びかけてきました。毎年、受診希望 者には健康診断を実施しています。診断の結果、石綿健康 管理手帳の交付や労災認定を受けた元社員および従業員 に対しては、補償制度に応じて対応しています。 福利厚生制度 大陽日酸では、従業員の生活を支える福利厚生として、 労働安全衛生の確保 転勤者への社宅・寮の貸与はもちろんのこと、結婚した従 業員への家賃補助、持ち家を取得した従業員への補助、持 大陽日酸では、 「安全衛生管理規程」に基づき、安全衛生 ち家取得のための会社保証、金利優遇、利子補給などを盛 活動を推進しています。各事業場では、この規程に基づく り込んだ貸付金制度を整備しています。 安全衛生管理組織を構築し、安全衛生委員会を開催すると また、自社所有の保養所(3カ所) は、従業員とその家族に ともに、休業災害ゼロを目標として、安全教育や朝礼、KY 加え、 OBも安価に利用できます。 このほか、 国家資格取得を (危険予知)活動、5S(整理、整頓、清潔、清掃、 しつけ)運動 目指す社員に対して資格取得奨励制度、通信教育受講料の などを徹底して継続しています。 補助や、勤続10年、20年、30年を迎えた従業員に対して特 また、 これらに関する中央労働災害防止協会の資料など 別に休暇を与えるリフレッシュ休暇制度を導入しています。 を「安全衛生通信」 として電子メディアで配信し、従業員の 労働安全意識の高揚に努めています。 事業場安全衛生管理組織 人事部 衛生事項 全般の管理 事業場保安管理組織 特定事業所長 支社保安管理責任者 指導/勧告 安全事項 全般の管理 人事部長・支社長・工場長 特定事業所長 安全管理者 衛生管理者 部長・課長 (有資格者) 安全衛生担当者 大陽日酸株式会社 委員長 ※1 総括安全衛生管理者 事務局 ※4 安全衛生推進者 係長・作業長等(有資格者) 安全衛生委員会 関係会社代表者 総括安全衛生管理者 部長・課長(有資格者) 作業主任者 技術本部 (保安統括部) 産業医 ※2 委員 ※2 安全管理者・ 衛生管理者・ 産業医・ ※3 事業者推薦委員 ※3 従業員代表推薦委員 関係会社代表者 ※1 安全衛生委員会の議長は委員長が行う。 ※2 委員の半数は従業員代表推薦委員とする。 ※3 安全衛生委員会の事業者推薦委員は保安管理責任者、 支社保安管理責任者または 工場等保安関係責任者の中から少なくとも1名を選任する。 ※4 事務局は、本社においては人事部、各事業場においては業務課または管理課が行う。 24 環境・社会活動報告書2016 社会活動 お取引先/株主・投資家との関わり グリーン調達・CSR調達を意識し、お取引先に対しても配慮を求めて います。また株主・投資家の皆さまには、利益還元はもちろん、企業・ 財務情報の適時開示に努めています。 など、初めてご覧になった方にも当社のことをよくわかっ 公平・公正な取引先選定 ていただけるような、わかりやすいコンテンツづくりを心 大陽日酸グループでは、資材調達先や工事協力会社など がけています。 の選定にあたり、国籍・企業規模・取引実績の有無にかかわ [IRサイト]http://www.tn-sanso.co.jp/jp/ir/index.html らず、オープンで公平かつ公正な参入機会を提供するよう 努めています。 株主への利益還元 その一方で、グリーン調達およびCSR調達を意識し、自 社の企業活動はもちろん、お取引先に対しても、環境への 大陽日酸では、株主の皆さまに対する利益還元を経営の 配慮、法令遵守などを要求するとともに、これらを基準とし 重要課題の一つとして位置づけており、安定的な配当を維 た選定を行っていくように努めています。 持しつつ、業績に連動した配当政策を進めています。2014 ∼2016年度の中期経営計画に掲げた戦略方針に基づき、 株主・投資家とのコミュニケーション 業績のさらなる向上に努め、当中期経営計画期間において 連結配当性向の引き上げを目指しており、2014年度の期 大陽日酸では、 株主総会のほか、 アナリスト向けの決算説 末および2015年度の中間配当金は1株当たり7円、2015 明会を年2回開催、事業所見学会なども行っています。説明 年度の期末配当金は9円と、 増配しました。 会では、機関投資家や証券アナリストの方々に決算内容や 配当額の推移 (年間) 将来の見通しを説明し、説明会資料はホームページでも公 (円) 開しています。説明時には、 ビジュアルを活用したプレゼン 20 テーションを行い、株主・投資家の皆さまに当社の事業・業 15 績への理解を深めていただけるように努めています。 16 12 12 12 2011 2012 2013 13 10 事業所見学会は、 機関投資家や証券アナリストの方々に当 5 社事業をよく理解してもらうことを目的に、 工場や研究所へ 0 定期的にご案内しています。 これまでに、 京浜事業所のプラ 2014 2015(年度) ント・エンジニアリングセンターや(株)千葉サンソセン 所有者別株主分布状況(2016年3月31日現在) ター、 山梨研究所、 つくば研究所にて見学会を実施しました。 定期刊行物としては、事業報告書(通期・中間期)やア 外国法人等 1.78% ニュアルレポート (通期)などを作成しており、これらはす その他の国内法人 2.69% べて当社ホームページで公開しています。アニュアルレ 金融機関・証券会社 0.54% ポートは、財務情報のほかに経営戦略、 トップメッセージな どの特集を盛り込んだ内容で、海外の機関投資家向けに英 文版を作成していましたが、2016年からは和文版の作成 株主数19,275名 ※小数点第3位を四捨五入 も開始し、情報開示の公平性を高めています。 また、 ホームページの拡充にも取り組んでおり、当社の事 所有者別株式分布状況(2016年3月31日現在) 業概要をコンパクトにまとめた 「ひと目でわかる大陽日酸」 発行可能株式総数 1,600,000,000株 発行済株式の総数 433,092,837株 外国法人等 7.18% その他の国内法人 61.03% アニュアルレポート ※小数点第3位を四捨五入 わかりやすい内容を心がけているホームページ 大陽日酸株式会社 個人・その他 94.98% 25 環境・社会活動報告書2016 金融機関・証券会社 17.96% 個人・その他 13.78% 社会活動 地域・社会との関わり 産業ガスメーカーの使命として、ガスに関わる産業技術や可能性を 社会に伝えるさまざまな活動のほか、地域との協働による活動にも 積極的に参加しています。 大陽日酸キッズ理科教室 大陽日酸は、液体窒素を利用した実験を通じて、子ども きっかけに、 それ以降も毎年開催しています。 たちに「科学を身近に感じてもらうこと」を目的に「大陽日 そのほかにも、2015年9月には、愛知万博10周年記念行 酸キッズ理科教室」を開催しています。 この教室は、社員が 事として愛・地球博記念公園にて開催された「第32回全国 講師となり、実験のデモンストレーションをした後、子ども 都市緑地あいちフェア」 で、子ども向けに液体窒素とドライ たち一人ひとりが液体窒素でバラの花を凍らせてみるな アイスを使った実験を行いました。 ど、実際に体験してもらうのが特徴です。 開催された各教室は、子どもたちにはもちろん、先生方 2007年度から、本社近隣の東京都品川区立後地小学校 や保護者の方々、近隣住民の皆さまにも大変ご好評をいた の協力を得て、10月の学校公開日に毎年実施しています。 だいています。今後も国内・海外問わず、理科教室の開催場 また、 お客さまであるNTT厚木研究開発センタの一般公開 所を増やし、 さまざまな方に当社に対する理解を深めても では、2014年5月に理科教室を実施して盛況だったのを らえるように努めていきます。 NTT厚木研究 開発センタ (一般公開) 東京都品川区立 後地小学校 全国都市緑地 あいちフェア 地域防災訓練への参加、資機材の提供 科学技術館への液体窒素無償提供 地域行政や地域防災協議会では、高圧ガスによる事故が 大陽日酸では、長年にわたって、東京・九段の「科学技術 発生した場合に備え、高圧ガス総合防災訓練を実施してい 館」に液体窒素を無償で提供しています。 「科学技術館」で ます。大陽日酸では、高圧ガス事業者の務めとして、 これら は当社の液体窒素を用い の防災訓練に参加し、自らの防災への意識を高めるととも て凍結実験や超電導実験 に、訓練の際の資 を行う「超低温実験」が1 機材の提供、実験 日2回開催されており、科 や訓練の実施、指 学技術・産業技術の普及 導員を務めるな に貢献しています。 極低温 (-196℃) の液体窒素を使った実験の様子 どの協力も行って います。 地域防災訓練の様子 大陽日酸株式会社 26 環境・社会活動報告書2016 中学生の企業訪問受け入れ 大陽日酸では、中学校などからの企業訪問学習の依頼に 感じていただくとともに、生徒たちの将来のキャリア形成 対して、積極的に受け入れを行っています。2014年6月に の一助となりたいと考えています。 は愛知県の私立春日丘中学校の2年生5名、2015年5月に は三重県津市立橋南中学校の3年生8名、2016年5月には 宮城県仙台市立台原中学校の3年生5名が大陽日酸の本社 を訪れました。 当社の事業内容や社会に対する役割、社員の仕事のやり がいなどを紹介し、生徒からの質問も多数いただきました。 このような企業訪問学習を通して、産業ガス業界を身近に 社員の説明に熱心に耳を傾ける生徒たち 化学の日子ども化学実験ショーに参加 急遽席を増やすほどの人気で 多くの子どもたちが参加 三菱ケミカルホールディングスグループでは、 「夢・化学 -21」委員会が主催する次世代育成イベント 「化学の日子ど も化学実験ショー」 に参加しています。 2015年10月に大阪市の京セラドームで開催された同イ ベントでは、 「 動くスライムをつくろう!」のブースを出展 し、グループ会社の一員である大陽日酸の社員も、子ども たちにスライムのつくり方を教える先生役や実験のサポー トを行う応援スタッフとして参加しました。大陽日酸の従 業員一人ひとりが子どもたちの育成に携わることのできる 貴重な機会にもなっています。 TOPICS グループ会社の地域貢献活動 •サーモス (株) のエコ活動 新潟県に事務所のあるサーモス (株) では、2016年4月からUX新潟テレビ21が行う環境プ ロジェクト 「Team Eco∼自然派宣言∼」 に参加・協賛しており、2016年5月に新潟市の 「福井 ほたるの里」 で開催された 「Team Eco Work! 194」 に社員と家族57名が参加しました。 環境 の美化はもちろん、自然に対する愛着を深めることを目的とするこのプロジェクトに、今後も 積極的に参加していきます。 •小山事業所 (大陽日酸・ジャパンファインプロダクツ (株) ・新相模酸素 (株) ) の清掃活動 小山事業所では、6月5日の世界環境デーにあわせて、毎年事業所内および周辺の一斉清掃 を行っています。2016年も、同事業所内にある大陽日酸栃木支店、グループ会社であるジャ パンファインプロダクツ (株)小山工場、新相模酸素(株)小山工場の従業員が参加しました。 大陽日酸株式会社 27 環境・社会活動報告書2016 地球環境保全への取り組み 環境活動 地球環境への積極的な貢献活動は企業の社会的責任であることを認 識し、 「ガステクノロジーで、水と空気をクリーンに」を基本に、大陽日 酸グループの事業活動全般にわたる環境影響に配慮し、活動に取り組 んでいます。 ここで使用する電力が 全体の99.7%を占めます 電力 4,594百万kWh その他エネルギー 化学物質 773千GJ 587t 903万m 3 水 水は循環させて再利 用し、資源を節減 資源・材料 原料 開発・生産 酸素・窒素・アルゴン製造工程における環境負荷 アルゴン 0.9% 酸素 20.9% その他 0.1% 酸素・窒素・アルゴンは、深冷空気分離装置で 深冷空気分離装置の仕組み 空気を分離して製造されます。まず、原料で 主熱交換器 ある空気を圧縮します。空気の圧縮には、多 くのエネルギーが必要で、ここで使用する電 前処理装置 (水と炭酸ガスを除去) 力が大陽日酸グループの大きな環境負荷に 圧縮された空気を液化温度近くまで冷却して アルゴン 窒素ガス なります。 窒素 78.1% 蒸留装置 保冷箱 排ガス 空気 蒸留装置に送ります。蒸留装置では、気体の 液 体 製 品 酸素ガス 空気と液体の空気が接触して蒸留分離が行 空気は、 酸素、 窒素、 アルゴン、 われます。物性の関係で、沸点の低い窒素は その他で構成されています。 気体中に濃縮され蒸留装置の上から、沸点の 空気 取り入れ口 空気 圧縮機 高い酸素は液体中に濃縮され下から取り出さ 常温 れ、 アルゴンは中間から取り出されます。 産業ガスの原料は CO2 CO 2に換算 した排出量 内訳 空気です 3,348千t-CO2 電力使用 3,298千t-CO2 その他エネルギー使用 CO2以外の温室効果ガス 原料空気 低温 空気の圧縮に使用する電力が大陽日酸 グループの環境負荷の大半を占めます 化学物質 40t 301万m3 水 45千t-CO2 (推算値) 5千t-CO2 産業廃棄物 2,509t 産業廃棄物リサイクル量 1,225t 2015年度 地球温暖化防止のための取り組み課題と実績 取り組み課題と目標 【課題】 ガス生産工場における 省エネルギー推進 【目標】 エネルギー原単位削減 【課題】事業所における 省エネルギー推進 【目標】電力使用量削減 (中長期的にみて年平均1%以上) 【課題】 タンクローリー輸送 効率化の推進 【目標】輸送製品量あたりの 燃料使用量削減 主な取り組み 実績 ・ 省エネルギー型空気分離装置の開発・設置 ・ 空気分離装置構成機器の高効率新型機への更新 ・ 需要量に応じたプラントの最適操業 △2.7% 対象会社 当社ガス生産工場および (2005年度比) 運営管理するガス生産会社 ・ OA機器・照明機器などの不要な使用電力をカット ・ 空調・OA機器・照明・共通設備などの省電力機器への更新 ・ ノー残業デー、クールビズの実施 (2014年度比) (ガス生産工場を除く) ・ 配送ルートの最適化 ・ 納入間隔の見直し ・ 面前計量取引の推進 ・ 新型タンクローリーの導入 ・ エコドライブ教育の徹底 (1990年度比) 主な運送委託先 △1.0% △31.9% ※対象会社はP31をご参照ください。 大陽日酸株式会社 28 環境・社会活動報告書2016 当社全事業所 グループ内の物流会社および 大陽日酸グループの環境負荷の全体像 大陽日酸グループでは、 事業活動にともなう環境負荷を把握するとともに、 「地球温暖化の防止」 をメインテーマに、 さまざ まな環境負荷の低減に取り組んでいます。 大陽日酸グループの最大の環境負荷は、主たる事業である酸素・窒素・アルゴンの生産におけるエネルギーの使用であり、 ガス生産工場ではエネルギー原単位の削減に取り組んでいます。 また、 その他、事業所における省エネルギーの推進、 タンク ローリーの輸送効率化の推進等にも取り組んでいます。 電力 ※2 13百万kWh その他エネルギー 17千GJ ※IN/OUTデータの集計範囲はP31をご参照ください。 軽油・ガソリン ※1 軽油・ガソリン※3 0.3千kL 17千kL 産業ガスは、使用後はほと んどが大気へ戻り、廃棄物 が少ないのが特徴です 販売 供給 製品利用時 原料である空気をガス製造プラントで 分離・製造したガスは、パイプラインで ガス生産 工場 お客さま 事務所 直接供給したり、液化してタンクロー • 鉄鋼・非鉄金属 リーで運びます。小口ユーザーへは、シ • エレクトロニクス リンダーに充填しトラックなどで搬送 パイプライン による供給 • 石油・化学 します。 • 自動車・機械 • ガラス・製紙 タンクローリー による供給 • 医療 • 食品 ガス充填 工場 • その他 サービスカー ガス製造プラントで製造した液化ガスを タンクローリーで充填工場へ運び、気化 したものをシリンダーへ充填します。 医療・食品から石油・化 学、エレクトロニクスま 容器 (シリンダー) による供給 で、幅広い産業に利用さ れています。 CO2 45千t-CO2 CO2 CO 2に換算 した排出量 内訳 ※1 グループ内の特定荷主の燃料 ※2 グループ内の事務所 ※3 当社サービスカー燃料 ガス生産工場における省エネルギー推進 9千t-CO2 電力使用 7千t-CO2 燃料(軽油、 ガソリン)使用 1千t-CO2 その他のエネルギー使用 1千t-CO2 産業廃棄物 産業廃棄物 リサイクル量 353t ガス生産工場における電力使用量と電力原単位指数の推移 大陽日酸では環境管理推進会議に「省エネルギー分科会」を設 け、 ガス生産工場のエネルギー原単位の削減に取り組んでいます。 2015年度は2005年度比2.7%の削減となりました。 また、 ガス生 産工場で使用するエネルギーの約98%を占める電力については、 電力原単位で1990年度比26.6%の削減となりました。省エネル ギー推進のための主な取り組みとしては、省エネルギー型の空気 分離装置の開発・設置、空気分離装置構成機器の高効率新型機へ の更新、需要量に応じたプラントの最適操業などが挙げられます。 なお、日本経済団体連合会、日本化学工業協会の 「低炭素社会実 (百万kWh)100 (1990年度=100) 100 6,000 73.4 4,500 3,000 2,909 25 1,500 0 行計画」 に沿った活動も進めています。 29 75 4,009 50 1990 基準年度 電力使用量 2011 2012 2013 2014 2015(年度) 電力原単位指数 集計範囲:当社ガス生産工場および当社が運営管理するガス生産会社 ※対象会社はP31をご参照ください。 大陽日酸株式会社 669t 環境・社会活動報告書2016 0 環境管理 環境活動 環境への取り組みを推進するための体制を整備し、環境保全に努めて います。 環境管理体制 ISO14001認証取得状況 大陽日酸では、 「環境管理規程」に基づいて、環境統括責 大陽日酸グループでは、ISO14001の認証取得を推進し 任者を議長とする環境管理推進会議を年1回開催していま ており、国内ではこれまでに大陽日酸をはじめ、関係会社 す。環境管理推進会議の下部組織として、特に重要な課題 13社が取得しています。 への取り組みを進めるために、環境技術開発分科会、省エ 大陽日酸株式会社 ネルギー分科会を設置しています。 環境管理推進会議では、技術リスクマネジメント会議で 1. 審査登録機関 高圧ガス保安協会ISO審査センター 決定された課題への取り組みを徹底するとともに、全社お 2. 登録日 2001年10月26日 ISO14001 01ER 162 3. 登録番号 01ER 162 よび本部・支社・特定事業所・分科会における年度の活動報 ■ ■ 告や活動計画の審議を行っています。 4. 登録組織等 大陽日酸(株)全社 および新相模酸素(株)相模原工場、小山工場 環境管理組織図 社長 技術リスクマネジメント会議 技術本部長 技術リスクマネジメント委員会 環境統括責任者 環境管理推進会議 関係会社のISO14001認証取得状況 社名 事業所名 取得年月 ジャパンファイン プロダクツ (株) 本社、 小山工場、 川崎工場、 1998.05 三重工場、 北九州工場 大陽日酸東関東 (株) 日立地区、 水戸地区 1998.12 四国大陽日酸 (株) 本社、 他 2002.03 環境技術開発分科会 大陽日酸ガス& ウェルディング (株) 本社、 他 2005.12 省エネルギー分科会 第一開明 (株) 全社 2005.01 日酸TANAKA (株) 全社 2005.11 静岡酸素 (株) 本社、 静岡工場 2006.01 日本液炭 (株) 本社 2006.02 大陽日酸エンジニアリング(株) 全社 2008.04 本部長 環境管理責任者 関係会社 支社長 環境管理責任者 関係会社 十合刈谷酸素 (株) 特定事業所※長 環境管理責任者 ※ 特定事業所とは、 本部所管の工場、研究所が主となる混在事業所です。 本社、 刈谷営業所、 豊田営業所、 東濃営業所 2008.09 函館酸素 (株) 本社 2009.09 粉体技研 (株) ー 2011.11 サーモス (株) 本社、 他 2012.02 環境教育 グリーン経営認証取得について グリーン経営認証は、 トラック・バス・タクシーなどの事業 大陽日酸では、従業員が環境への取り組み意識を高めら 者を対象とした環境マネジメントシステムの認証登録制度で れるよう、 全社的な環境教育として、 環境関連法令に関する す。公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団が認証機関 となり、グリーン経営推進マニュアルに基づいて一定のレベ 教育、緊急時対応教育を実施しています。 そのほか、環境に ル以上の取り組みを行っている事業者に対して、審査のうえ 関する外部セミナーなどの受講を進めています。 認証・登録を行うものです。大陽日酸グループ内の物流会社お なお、新入社員に対しては、入社時に集合教育を実施し、 よび主な運送委託先※では、日酸運輸(株)をはじめとして、21 基礎的な地球環境問題や当社の環境に関する取り組みとそ 社中11社がグリーン経営の認証を取得しています(2016年7 月現在)。 の実績についての理解促進を図っています。 大陽日酸株式会社 30 環境・社会活動報告書2016 ※対象会社の詳細はP31をご参照ください。 環境データ 環境活動 事業活動に伴う環境負荷を定量的に把握し、 さまざまな取り組みを通 じて地球環境への貢献に努めています。 事業所における電力使用量の推移 サービスカーの燃料使用量の推移 (kL) (万kWh) 500 2,400 1,880 1,800 400 1,374 1,200 336 300 200 600 100 506 0 2011 事務所 2012 2013 2014 0 2015(年度) 2011 2012 2013 2014 2015(年度) 集計範囲:当社全事業所 事務所以外 (工場・研究所の動力用) 集計範囲:当社全事業所 (ガス生産工場を除く) タンクローリーの燃料使用量と 輸送製品量あたりの燃料使用量指数の推移 (kL) 15,000 100 産業廃棄物総排出量・リサイクル率の推移 (1990年度=100) 5,000 80 4,000 12,000 9,000 68.1 9,344 (t) 100 8,791 (%) 100 80 3,177 3,000 60 60 50.6 6,000 40 2,000 3,000 20 1,000 2,206 40 20 971 0 1990 基準年度 燃料使用量 2011 2012 2013 2014 2015(年度) 0 0 2011 2012 大陽日酸総排出量 輸送製品量あたりの燃料使用量指数 2013 関係会社総排出量 2014 2015(年度) 0 リサイクル率 集計範囲:当社、当社が運営管理するガス生産会社、 グループ内の物流会社および国内関 係会社 ※総排出量=リサイクル量+最終処分量+有価物量 ※リサイクル率= (リサイクル量+有価物量) ÷総排出量 集計範囲:グループ内の物流会社および主な運送委託先 ※主な運送委託先:アート梱包運輸 (株) ( 、有) エス・イー・イー物流、 (株) エキソー、江藤運輸 (株) 、大川運輸 (株) 、金川産業 (株) ( 、株) 寿運送、 (株) 辰巳商會、 (株) 千葉エキソー、東 海運輸建設 (株) 、東進産業 (株) 、成瀬酸素運輸 (株) 、西日本マルエス (株) 、 日鉄住金物 流八幡 (株) ( 、株) ニヤクコーポレーション、 (株) 丸三運輸 ※1990年度の燃料使用量は旧日本酸素 (株) のみです。 集計範囲 当社が運営管理するガス生産会社 秋田液酸工業(株)、 (株)いわきサンソセンター、 (株)大分サンソセンター、 (株)亀山ガスセンター、北日本酸素(株)、九州冷熱(株)、極陽セミコンダクターズ (株)、 (株)堺ガスセンター、 (株)JFEサンソセンター、四国液酸(株)、周南酸素(株)、新相模酸素(株)、 (有)新南陽サンソ、新洋酸素(株)、 (株)仙台サンソセン ター、 (株)大平洋ガスセンター、大陽日酸東関東(株)、大陽日酸北海道(株)、 (株)千葉サンソセンター、 (株)鶴崎サンソセンター、 (株) ティーエムエアー、 (株)名 古屋サンソセンター、 函館酸素(株)、富士酸素(株)、 (株)八幡サンソセンター グループ内の物流会社 九州液送 (株) 、幸栄運輸(株)、大陽液送(株)、中国大陽液送(株)、 日酸運輸(株) 国内関係会社 尼崎水素販売 (株) ( 、株) 大阪パッケージガスセンター、 (株) 関西商工社、 北関東東洋 (株) 、 九州HOTサービス (株) ( 、株) 国富ガスセンター、 (株) クライオトランシス、 (株) クライオワン、 (株) 群馬共同ガスセンター、 (株) 京葉水素、 (株) 児玉ガスセンター、 (株) 西海総合ガスセンター、 サーモス (株) 、 サーンエンジニアリング (株) 、 三和興産 (株) ( 、株) ジェック東理社、 四国大陽日酸 (株) 、 ジャパンファインプロダクツ (株) ( 、株) ジャパンヘリウムセンター、 城東日酸 (株) 、 城南共同酸素 (株) ( 、株) スワンガスセンター、 十合刈谷酸素 (株) 、 第一開明 (株) ( 、株) 大陽四國セミテック、 大陽日酸CSE (株) 、 大陽日酸エネルギー (株) 、 大陽日酸エンジニアリング (株) 、 大陽日酸ガス&ウェルディング (株) 、 ティアイメディカル (株) 、 ティエヌメディカルエンジ (株) ( 、株) テック・エンジニアリング、 (株) 東予ガスセンター、 豊田ガスセ 、 日本メガケア (株) 、 パシフィックメディコ (株) 、 粉体技研 (株) ( 、有) 松井田 ンター (株) 、 南埼液化ガス (株) 、 日酸TANAKA (株) 、 日本液炭 (株) 、 日本炭酸瓦斯 (株) ガスサプライ、 メガケアサービス関西 (株) 、 メガケアサービス関東 (株) 、 米子エルピーガスセンター (株) 大陽日酸株式会社 31 環境・社会活動報告書2016 環境データ 2015年度PRTR対象物質の排出量・移動量 (kg) 化学物質名称 エチレンオキシド (酸化エチレン) 排出量 (kg) 移動量 化学物質名称 排出量 移動量 34 0 トルエン 2,074 0 六価クロム化合物 0 0 ニッケル 1 174 鉛化合物 0 0 1-ブロモプロパン 7,386 0 ニッケル化合物 0 67 ほう素およびその化合物 0 87 砒素およびその無機化合物 0 302 マンガンおよびその化合物 6 79 亜鉛 0 0 メチルナフタレン 4 0 1,402 0 合計 40,402 3,123 0 343 2,899 0 5 328 7,060 20 287 0 0 0 770 0 11,698 340 5,953 1,250 0 133 テトラクロロエチレン 608 0 トリクロロフルオロメタン (CFC-11) 215 0 0 0 エチルベンゼン 塩化第二鉄 キシレン クロムおよび3価クロム化合物 クロロジフルオロメタン (HCFC-22) 1,3-ジオキソラン ジクロロジフルオロメタン (CFC-12) 2,2-ジクロロ−1,1,1−トリフルオロエタン (HCFC-123) ジクロロペンタフルオロプロパン (HCFC-225) ジクロロメタン (塩化メチレン) セレンおよびその化合物 1,3,5-トリメチルベンゼン 集計範囲:当社、当社が運営管理するガス生産会社、 グループ内の物流会社および国内関係 会社 (対象会社はP31をご参照ください) ※年間取扱量が100kg以上の第一種指定化学物質 (特定第一種指定化学物質は50kg以 上) について集計。 PRTR対象物質の排出量・移動量の推移 (t) 50 40 40 30 20 10 3 0 2011 排出量 2012 2013 2014 2015(年度) 移動量 SF6ガス回収サービス事業(大陽日酸東関東(株)) SF6ガス累積回収量とCO2換算回収量の推移 大陽日酸東関東(株)は、自社開発技術に より温室効果ガスである六フッ化硫黄(以 後、SF6)のガス回収と再利用・無害化再生処 理を一貫して行う、SF6ガス回収サービス事 業を全国展開してきました。自社技術を駆 使してゼロエミッション化を図り、地球環境 保全と循環型社会の構築に貢献していま す。 (2004年度オゾン層保護・地球温暖化防止 大賞/審査委員会特別賞受賞) 大陽日酸東関東 (株) ホームページ http://www.tnhk.co.jp/ (t) (千t-CO2) 420 8,107 9,000 350 7,500 339.2 280 6,000 210 4,500 140 3,000 70 1,500 0 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015(年度) SF6ガス累積回収量 大陽日酸株式会社 32 CO2換算回収量 環境・社会活動報告書2016 0 環境会計 環境活動 大陽日酸では、環境保全への取り組みを定量的に評価するための 一つのツールとして、2001年度から環境会計を導入しています。 環境会計 大陽日酸では、2001年度から環境会計の本格的な運用を開始しました。2002年度からは、費用や投資に対する効果の測 定を開始し、環境への取り組みの効率化を図っています。 なお、集計にあたっては、環境省の 「環境会計ガイドライン2005年 版」 に準拠しています。 ■ 環境会計の基本事項 対象期間 2014年度 = 2014年4月1日∼2015年3月31日 2015年度 = 2015年4月1日∼2016年3月31日 集計範囲 当社全事業所、国内関係会社4社(ジャパンファインプロダクツ(株)、大陽日酸エンジニアリング(株)、日酸運輸(株)、サーモス(株)) および当社が運営管理するガス生産会社※ ※対象会社はP31をご参照ください。 環境保全対策に伴う経済効果の測定方法について ・ 収益は、廃棄物の有価物化による売却収益を集計 ・費用削減は、省エネルギーによる対前年度からの電力削減量を、生産量を指標として調整比較し、電力単価を乗じて算定 環境保全コスト (2014・2015年度) (百万円) 分類 2014年度 主な取り組み内容 投資額 公害防止コスト 除害装置設置・維持、浄化槽維持、 タンクローリー購入 地球環境保全コスト 省エネ型空気分離装置等の設置導入 資源循環コスト 2015年度 費用 投資額 費用 116 141 108 127 14 184 1,982 142 廃棄物処理・リサイクル、客先使用済み除害剤回収・処理 0 68 0 61 上・下流コスト グリーン購入 0 25 0 24 管理活動コスト 環境マネジメントシステム運用費 0 80 0 73 研究開発コスト 環境保全に資する製品などの研究開発 62 355 77 328 社会活動コスト 自然保護・美化・景観などの改善、事業所周辺の清掃 0 9 0 4 0 0 0 0 192 862 2,167 759 環境損傷コスト 合計 環境保全対策に伴う経済効果ー実質的効果ー (百万円) 効果の内容 2014年度 収益 主たる事業活動で生じた廃棄物のリサイクルによる事業収入 費用削減 省エネルギーによるエネルギー費の節減 合計 大陽日酸株式会社 33 環境・社会活動報告書2016 2015年度 11 12 6 517 17 529 環境負荷を低減する製品の開発 環境活動 長年にわたり培ったガスコントロール技術をもとに、環境負荷を低減 し、地球環境保全に貢献するさまざまな製品を開発、市場に提案して います。 2015年度 TOPICS アンモニアから燃料電池自動車用水素燃料を製造する新技術の開発に成功 国立大学法人 広島大学、昭和電工(株)、国立研究開発法人 産業技術総合研 究所、 (株)豊田自動織機、大陽日酸は、共同研究によりアンモニアから燃料電池 自動車用高純度水素を製造する技術の開発に成功※1し、 アンモニアを原料とし た水素ステーションの実現に向けて大きな一歩を踏み出しました。 アンモニアは多くの水素を含んでおり、 水素エネルギーのキャリア※2として期 待されています。 しかし、 アンモニア水素ステーションの実現には、 ①高活性高耐 久性アンモニア分解触媒、 ②残存アンモニア濃度を0.1ppm以下にでき、 再生が 容易なアンモニア除去材料、③水素純度99.97%を達成できる精製技術、 の3点 が大きな技術障壁となっていました。今回、 こうした課題を解決する技術を確立 し、 それらを用いたアンモニア分解装置、残存アンモニア除去装置および水素精 製装置を実証システムの1/10スケールで開発。 世界で初めてアンモニアを原料 とした燃料電池自動車用水素燃料※3製造が可能となりました。 大陽日酸は、 窒素 等の不純物を除去する水素精製装置を開発しています。 今後は、水素ステーションで実際に使用できる水素供給能力10Nm3/hの実 大陽日酸が開発した窒素等の不純物を除去する水素 精製装置 証システムの開発を経て、 アンモニア水素ステーションの実現を目指します。 ※1 本研究開発は、内閣府総合科学技術・イノベーション会議の戦略的イノベーション創造プログラム (SIP) 「エネルギーキャリア」 (管理法人:国立研究開発法人 科学技術振興機構) の委託 研究課題「アンモニア水素ステーション基盤技術」 として実施 ※2 水素を多く含む物質のことで、 エネルギー生産地で合成して、 化学的に安定な液体として保存、運搬し、 エネルギー消費地で水素を取り出すか直接エネルギーに変換して使用する ※3 2012年12月に燃料電池自動車用の水素燃料の国際規格 (ISO14687-2) が発効。 この規格では水素中のアンモニア濃度は0.1ppm以下、窒素濃度は100ppm以下、水素純度は 99.97%以上に決められている 四国初となる移動式水素ステーションが完成 超低NOx酸素富化燃焼技術が外部から評価 燃料電池自動車の普及には水素ステーションの整備が不可 大陽日酸では、環境負荷低減における技術の一つとして酸素 欠ですが、 商用ステーションの全国的な普及には、 まだ時間を要 燃焼技術に取り組んでおり、山梨研究所ガスアプセンターが するのが現状です。こうしたなか、2016年3月24日、グループ 「Innova-JetⓇ」 の開発において確立した 「超低NOx酸素富化燃 会社の四国大陽日酸(株)が四国地域で初めて、徳島市において 焼技術」が、燃焼学的に革新的な技術であるとして、一般社団法 移動式水素ステーション 「STN徳島移動式水素ステーション」 の 人日本燃焼学会の技術賞に選考され、同会第53回燃焼シンポジ 営業を開始しました。同ステーションには、大陽日酸が開発した ウムにて表彰されました。 パッケージ型水素ステーション (ハイドロ シャ また、一般社団法人日本鉄鋼協会生産技術部門主催の第118 トル)を採用し、 トラックに搭載した移動式として2カ所で営業 回熱経済技術部会大会では、 「製鋼プロセスにおける酸素燃焼を しています。 利用した省エネルギー技術について」 と題した講演を行い、業界 大陽日酸グループは、今後も水素ステーションの普及に貢献 していきます。 団体からの注目も集めています。 酸素燃焼技術は、鉄鋼分野に限らず、 ガラス、素材など幅色い ※製品の詳細はP35参照 分野で環境負荷低減が期待されるもので、今後はさらに幅広い 分野への浸透を進めていく考えです。 ※製品の詳細はP37参照 酸素不足の 燃焼状態 酸素過剰の 燃焼状態 周期的に変動 四国大陽日酸の構内のほか市内もう1カ所で営業 大陽日酸株式会社 34 環境・社会活動報告書2016 一般の酸素富化燃焼では燃焼温度が高いた めNOx(窒素酸化物) が増大するが、支燃性 ガスの流量と支燃性ガス中の酸素濃度を周 期的に変動させる 「強制振動燃焼」 により、大 気汚染につながるNOxの生成を従来の技術 と比較して大幅に抑制する 省エネ 超電導電力機器冷却用大容量ターボ・ブレイトン冷凍機 ルギー NeoKelvinⓇ-Turbo 10kW (ネオケルビンターボ10kW) 電力関連分野では、省エネルギー技術の切り札として、超電導 を利用した電力機器の研究開発が進められています。このうち、 送電ケーブル分野では、今後の実用化により2030年にケーブル システム全体で国内だけでも100∼150億円の需要が期待され ています。実用化のためには、超電導電力機器の冷却に求められ るマイナス200℃近くで2∼10kWの冷凍能力が必要ですが、従 来の小型冷凍機は1kW以下の冷凍能力しかありませんでした。 大陽日酸はこれらに対応するため、ネオンを冷媒とする冷 凍能力2kWのターボ・ブレイトン冷凍機「NeoKelvin Ⓡ-Turbo 2kW」を2013年5月に商品化、さらに2016年7月には大容量 ターボ・ブレイトン冷凍機「NeoKelvinⓇ-Turbo 10kW」の販売 大容量ターボ・ブレイトン冷凍機 NeoKelvinⓇ-Turbo 10kW (ネオケルビンターボ10kW) を開始しました。 NeoKelvin Ⓡ-Turbo 2kWでは、実証規模である長さ数百m の超電導ケーブルの冷却が限界でしたが、NeoKelvin Ⓡ-Turbo 本装置は、冷凍機のメンテナンス性を考慮し、冷却方式にターボ・ブレイトンサイクル を採用。 ブレイトンサイクルは、①断熱圧縮、②等圧冷却、③断熱膨張、④等圧加熱 の4つの過程により寒冷を発生します。 この過程1.と過程3.に回転機器 (ターボ圧 縮機、膨張タービン) を採用したのがターボ・ブレイトンサイクルです。電磁力で回転軸 を空中に浮上させることにより、回転軸と軸受が非接触となる磁気軸受を採用し、 回転機器のメンテナンスフリーを実現しました。 また、 ヘリウムガスより重い分子量を 持つネオンガスを 「NeoKelvinⓇ-Turbo」の冷媒に採用することにより、回転機器の 効率と信頼性も向上させています。 10kWの商品化により、実用規模である長さ1km以上の超電導 ケーブルの冷却が可能となり、超電導ケーブルの実用化に弾み がつくことが期待されます。また本装置の試作機は、韓国電力公 社とLSケーブル&システムとが済州島(韓国)にて共同実施して いる超電導ケーブル実証試験に用いられ、2016年3月より実系 統への送電が開始されており、ターボ・ブレイトン冷凍機を用い た超電導ケーブルの送電実施は世界初となります。 パッケージ型水素ステーション 地球温暖 化防止 大気汚染 減少 省エネルギー型超大型空気分離装置 省エネ ルギー 大陽日酸の提案する最新の超大型空気分離装置※は、以下の改 (ハイドロ シャトル) は、水素ステーションを構 良により、従来の装置と比較して、ガス生産に必要な単位あたり 成する4つの主要機器であるディスペンサー、プレクール装置、水 の電気使用量を約15%削減した省エネルギー型装置です。 素圧縮機、水素蓄圧器を一体化ユニットにしたものです。長さ約 1.装置、空気圧縮機の大型化による効率の向上 9m×幅約2m×高さ約2.6mとコンパクトで、定置式だけでなく 2.圧力損失の小さい充填塔の採用による空気圧縮機の電力使 トラック等に搭載して移動式ステーションとしても利用できま 用量削減 す。 また、 パッケージ化することで、現地工事費を大幅に削減し、各 3. 「流下液膜式凝縮 機器自体も構造をシンプルにするなどの方法により、従来型のス 器」の採用による空 テーションの約1/2というコストダウンに成功しています。 気圧縮機の電力使 移動可能なため、水素製造設備を持つオンサイトステーショ 用量削減 ン、供給だけを行うオフサイトステーション、場所を移動して供給 ※大気中の空気を装置に 取り込み、液化・分離する ことで酸素や窒素を製造 する装置。 する出張ステーショ ンなど 、多 様な 役 割 を果たすことが可能 です。 トラックへ搭載した状態 超大型空気分離装置 大陽日酸株式会社 35 環境・社会活動報告書2016 環境負荷を低減する製品の開発 省エネ型酸素燃焼式高濃度ガス変成炉 (CycroFlex®) 省エネ ルギー 大気汚染 減少 VOCリカバリシステム VOCリカバリシステムは、液体窒素の寒冷を利用してドライな 浸炭処理において必要なガス変成炉は、吸熱型ガス変成炉が広 単一のVOC ※を間接熱交換により凝縮・回収するシステムです。 く利用されていますが、大陽日酸は酸素燃焼技術と熱処理雰囲気 液体窒素は熱交換後、気化して窒素ガスとなりますが、純度に変 の最適化技術を融合し、酸素バーナーを使用することで、電気に 化がないため、他の窒素ガス用途に再利用できます。 また、VOCを よる加熱が必要な吸熱型ガス変成炉を使わずに雰囲気ガスを生 圧縮する必要がないため圧縮機が不要となり、比較的容易に防爆 成できる省エネ型の高濃度ガス変成炉を開発しました。 仕様の対応が可能です。 本装置では、電気加熱を酸素燃焼に変更することで、熱処理工 大陽日酸ではVOCを凍結させずに凝縮回収する熱交換方式 場での電気使用量を大幅に削減できます。また、生成する変成ガ により、マイナス90℃前後の低融点VOC(風量40Nm 3/h、濃度 スも吸熱型変成炉より高 2.0vol.%)が収率90%以上で連続回収できるVOCリカバリシス 濃 度で 、浸 炭 能 力が 高ま テムを開発しました。高濃 り、ランニングコストの削 度・小風量の排出源である 減にも貢献できます。 医薬・化学分野での「合成 工程」 「 洗浄工程」等での環 境対策に適しています。 省エネ型酸素燃焼式 高濃度ガス変成炉 CycroFlex® VOCリカバリシステム ※VOC:Volatile Organic Compounds (揮発性有機化合物) 地球温暖 化防止 バイオガス精製装置 窒素製造装置(JN型・MG型) 省エネ ルギー オゾン層 破壊低減 騒音・振動 軽減 バイオガス精製装置は、常圧再生のPSA技術を採用し、バイオ 窒素製造装置は、窒素ガスを大量に消費するお客さま向けに、 ガス中のメタンガスを98%以上に精製するものです。酪農家や食 需要地で窒素を製造・供給する装置です。従来の製造工程で必要 品工場の中小規模分散型のバイオガスプラントを対象にコンパ であったフロン冷凍機を使用しないノンフロンプロセスを採用し クト・低コストの精製装置として提供しています。 ています。JN型は、標準装備で騒音対策を実施しています。MG バイオガスから分離精製された高純度のメタンガスは、都市ガ 型は、プロセスの改良により窒素収率を向上させ、当社従来装置 ス機器の利用が可能であるため、カーボンニュートラルな地産地 と比較して、ガス生産に必要な単位あたりの電力を約20%削減 消のエネルギーとして、都市ガス導管への導入の可能性が検討さ した高効率の装置です。さらに、大容量を供給する装置では、約 れるなど、地球環境保全への貢 30%の電力削減を実現しています。 献が期待されています。 窒素製造装置 バイオガス精製装置 大陽日酸株式会社 36 環境・社会活動報告書2016 地球温暖 化防止 新型燃焼式排ガス処理装置 (ハーキュリーズバーナー:Hercules Burner®) 大気汚染 減少 地球温暖 化防止 ガス切断用燃料ガス (サンカッター®HL-1) 燃焼式排ガス処理装置は、エレクトロニクス製品の製造に使用 ガス切断は、鉄鋼の切断に広く用いられている切断方法であり、 されている難分解性のPFCガス等を高効率で分解し、地球温暖化 使用するガスは可燃性ガスと酸素です。 大陽日酸では、 可燃性ガス 防止、環境負荷の低減に寄与してきました。 に水素を主成分とするガスを適用した 「サンカッター®HL-1」 を開 大陽日酸ではこの燃焼技術に加え、従来のLPG、LNG(炭化水 発し、販売しています。同製品は、二酸化炭素がほぼ出ないため環 素系)燃料を使用せず、排ガス中に含まれる水素ガスを燃料とし 境への負荷が少なく、かつ輻射熱を抑えることで作業環境にも優 て有害ガスの除害が可能な しいことが特徴です。 新型バーナーを開発しまし また環境性能だけでなく、従来比1.4倍の切 た。さらに、必要ユーティリ 断速度が可能なことや、熱歪みの低減、切断面 ティーを極限まで削減する の品質向上など、切断性能にも優れています。 ことにより、排ガス処理装 置としてのCO 2排出量を当 LPGを100とした時のCO2排出比率 社従来品と比較して80∼ 100 90%低減しています。 80 60 サンカッター®HL-1 40 20 燃焼式排ガス処理装置 Hercules Burner® 0 サンカッター® HL-1 LPG アセチレン サンカッター®HL-1切断の様子 高性能新型PSA式窒素ガス発生装置 (Nitrocube® RE・LTシリーズ) 省エネ ルギー 超低NOx酸素富化燃焼システム (Innova-Jet®) 省エネ ルギー 大気汚染 減少 PSA式窒素ガス発生装置は、吸着剤の特性を利用して、加圧と 大陽日酸では、革新的な強制振動燃焼(酸化剤である空気と酸 減圧を交互に繰り返しながら、空気中の酸素だけを吸着し、窒素 素の供給量を周期的に変化させること)を利用した新しいコンセ を連続的に発生させることで窒素ガスを供給する装置です。 プトの超低NOx酸素富化燃焼システム「Innova-Jet ®」を開発し 大陽日酸は、装置に使用する自社製吸着剤の技術改良により高 ました。 性能化に成功するとともに、新開発した独自のガス分離プロセス 「Innova-Jet®」 は従来の酸素富化燃焼バーナがNOx(窒素酸化 に、窒素ガス発生量に応じた圧縮機の最適運転制御技術を組み合 物)を大量に発生するという問題を解決し、NOxを20分の1程度 わせることで、消費電力の低減を まで低減させることができます。さらに強制振動燃焼により炉内 実現しました。 の燃焼ガスを攪拌し伝熱効率を向上させることができ、省エネル これら省エネ技術の搭載によ ギーおよびCO2排出量削減に貢献します。 り、当社のPSA装置は、 「生産性向 上設備投資促進税制」の対象設備 となっています。 PSA式窒素ガス発生装置 「Innova-Jet®」 バーナ制御システム外観 大陽日酸株式会社 37 環境・社会活動報告書2016 www.tn-sanso.co.jp お問い合わせ先 大陽日酸株式会社 〒142-8558 東京都品川区小山1-3-26 東洋Bldg. 国際・経営企画本部 広報・IR部 TEL:03-5788-8015 技術本部 品質・環境統括部 TEL:03-5788-8150