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航空技術情報 2015年7月~8月

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航空技術情報 2015年7月~8月
技術ニュース 2015 年 8 月
★貨物便におけるリチウムイオン及びメタル電池単体(UN3480 及び 3090/包装基準 965 及び 968)の取り扱いに
ついて(ANA 0730)
下記のとおり取扱いを変更させて頂きます。
1.運用開始日
2015 年 8 月 3 日運航便より
2.対象便
ANA 運航の貨物便全て
3.対象貨物
Section IA/IB, SectionⅡを含む全てのリチウムイオン電池単体 (UN3480/PI965) Section IA/IB, Section
Ⅱを含む全てのリチウムメタル電池単体 (UN3090/PI968)
*但し、以下には適用しない。
・包装基準 966 および 967 に従ったリチウムイオン電池 (UN3481)
・包装基準 969 および 970 に従ったリチウムメタル電池 (UN3091)
4.運用方法
国内貨物については、受託不可とします。
国際貨物についても、原則、受託不可と致しますが、下記の要件を満たすことで、受託可能と致します。
受託要件
1.IATA 危険物規則書に定められた要件を満たしていること
2.UN3480 SectionⅡ/UN3090 SectionⅡの場合、リチウム電池が含まれる HAWB 番号およびリチウム電池の
個数・正味重量を AWB に記載すること(別添【1】参照)
3.UN3480・UN3090 の Section IB および Section Ⅱについては、IATA 危険物規則書に定められた落下試験
に合格したことを証明できる書類の AWB への添付(別添【2】参照)
4.当該貨物と引火性液体(RFL)を同梱しないこと
5.LOOSE 単位での搬入(ULD に積み付けられた状態での受託不可)
6.出発時刻の 5 時間前搬入
その他
・UN3480 及び UN3090 が含まれる貨物である旨、必ず予約時にお知らせ願います。
・UN3480/UN3090 Section Ⅱについても個別受託チェックを実施致します。
(弊社にて実施)
★リチウムイオン電池(単体)輸送の一時中止について(JAL 国内貨物)
1.主な変更内容
・UN3480 包装基準 965 の SectionIA,IB,II の全ての分類のリチウムイオン電池(単体)について、弊社(JAL
グループ便)旅客機による輸送を一時中止といたします
・なお、機器同梱(包装基準 966)及び機器組込(包装基準 967)で輸送するリチウムイオン電池につきましては、
引き続き弊社旅客機での輸送が可能です。
2 適用開始日時
2015 年 7 月 27 日 21:00 時より受託停止
★リチウム電池の航空輸送に関するガイドライン(IATA)
IATA Guidelines for Shipping Lithium Batteries by Air – 3/5/2010
http://airtransport-tozai.com/pdf/LithiumBattery_booklet_5.5x8.0-JPN.pdf#search='UN3480%E5%8C%85%
E8%A3%85%E5%9F%BA%E6%BA%96965'
★豪州研究機関 海流分析結果を提供 マレー機 370 便墜落場所特定へ前進か(アフロ 8 月 5 日)
豪州最大の研究機関、豪州科学産業研究機構(CSIRO)は 5 日、昨年 3 月にマレーシアから中国へ向かいその
後マラッカ海峡上空で消息を絶ったマレーシア航空 370 便が墜落したとみられる豪州西部・パースの南西洋上
の海流を 2014 年 3 月から先月末まで分析し、結果を豪州海上保安局に提供した。
海流の分析結果は、先月 29 日に仏領・レユニオン島に漂着した機体の一部が漂着しうる結果となっており、
この分析結果からマレーシア航空 370 便が豪州西部・パースの南西洋上に墜落した可能性が十分に強まった。
映像は CSIRO が公開した海流・漂流物モデリング映像。
映像右側に豪州、左側にアフリカ大陸とマダガスカル島。マダガスカル島の右側にある 2 つの島のうち左側の
島が仏領・レユニオン島。
(映像:Commonwealth Scientific and Industrial Research Organisation (CSIRO)/Storyful/アフロ)
1
★中国、西太平洋の制空狙う(時事 0803)
中国人民解放軍の空軍長期戦略をまとめた報告書に、制空権の確保に向けて偵察力や攻撃力を、日本周辺を含
めた西太平洋まで広げると明記していることが2日分かった。アジアシフトを強める米国を視野に、新型の戦
略爆撃機や地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)
」など9種の「戦略装備」を開発・
増強する必要があると強調している。
空母建造など海軍による海洋進出が顕著になっているが、空軍も同様の拡張戦略を具体化し始めた。海洋をめ
ぐる米国との対立は一層深まりそうだ。
報告書は空軍幹部養成機関のシンクタンク「空軍指揮学院」
(北京)が昨年11月に作成。
★旅客機2機にドローンが接近、30メートルに 米JFK空港(CNN 0802)
(CNN) 米ニューヨークのジョン・F・ケネディ空港付近で7月31日、2つの旅客機から「小型無人飛
行機(ドローン)がすぐ近くを通過した」との報告が相次いだことが分かった。ドローンはそれぞれの機体か
ら30メートル以内の距離まで接近したとみられる。
連邦航空局(FAA)が明らかにした交信記録によると、31日午後2時24分、同空港へ向かっていたジェ
ットブルー航空機から、機首のすぐ下をドローンが通過したとの無線連絡があった。同機は地上800~90
0フィート(約240~270メートル)の高さを飛行していた。
さらに同日午後5時、着陸態勢に入っていたデルタ航空機(乗客乗員154人)から、右翼の下をドローンが
通ったと報告があった。
いずれのケースも緊急回避の必要はなく、旅客機は無事に着陸した。FAAが詳しい経緯を調べている。2件
の間に関連があったかどうかは明らかでない。
デルタ航空機は当時、ニューヨーク近郊にあるゲートウェー国立保養地の上空を飛んでいた。スタッフによれ
ば、保養地には飛行クラブ会員らが小型機を飛ばせる一角を設けているが、許可のない区域でも愛好家らがラ
ジコン飛行機などをよく飛行させている。
無人機を空港から約8キロ以内で許可なく飛ばしたり、地上400フィート以上の空域を飛行させたりするこ
とは禁止されている。しかしFAAによると、1日に平均2件は、民間機操縦士らがそのような無人機に遭遇
したとの報告があるという。米国では最近の規制強化で、違反者には禁錮刑も科せられるようになった。
ドローンが民間機に接近するとエンジンに吸い込まれて故障を起こしたり、操縦室の窓に衝突したりする恐れ
がある。さらに爆発物を材料にするなど武器として使われる危険性も指摘されている。
★アジアの空 安全面で 5 つのリスク(ウォールストリートジャーナル 0804)
アジアは世界で最も速いペースで成長する航空市場だ。ただ、専門家らは交通量の増加に対処する設備が不足
している点を懸念する。ここでは読者のみなさんに仮想の飛行機に乗ってもらい、主なリスクを巡るツアーに
出発してもらおう。
1.滑走路でのトラブル
アジアでは滑走路に人や動物がうろつくことがある。特にインドやインドネシアでは、つい最近まで田舎だっ
たところから飛行機が飛び立つのでなおさらだ。近年は致命的な事故につながることはまれになったが、侵入
事故は依然として大きな懸念として残っている。牛やレイヨウ、さらにはオートバイに乗った人などと衝突す
れば操縦士はリスクの高い決断を迫られるからだ
2014 年にはインドの格安航空会社(LCC)大手スパイスジェット SG-622 便が、同国西部にある空港の滑走路
で 1 頭のバッファローと衝突。操縦士は直前で離陸を断念するはめになった。
インドネシアのポンティアナックでは 2012 年、バタビア航空 Y6-206 便が時速 300 キロ近くの速度で離陸しよ
うとしていたとき、乗務員が衝突音を聞いた。同便はジャカルタに到着したが、着陸した際に大きく振動し、
機体は左右に振られてから停止した。ポンティアナックの航空管制官は滑走路にシカの頭が 1 つ転がっている
のを見つけた。
当局は滑走路の警備を改善しようと務めてきた。ポンティアナックでは、動物の獣舎を補強させるため当局者
が地主に金銭を支払ったほか、空港フェンスが強化された。
ただ、関係者によると、村の住民たちはより良い牧草地にたどり着くためにフェンスを突き破り、滑走路のそ
ばを通って近道することがたまにあるという。
インドネシアのメラウケでは 2008 年、メルパチ・ヌサンタラ航空の機体の一部が 1 頭の牛と衝突して損傷し
た 2014 年にはインドの格安航空会社(LCC)大手スパイスジェット SG-622 便が、同国西部にある空港の滑走
路で 1 頭のバッファローと衝突。操縦士は直前で離陸を断念するはめになった。
インドネシアのポンティアナックでは 2012 年、バタビア航空 Y6-206 便が時速 300 キロ近くの速度で離陸しよ
うとしていたとき、乗務員が衝突音を聞いた。同便はジャカルタに到着したが、着陸した際に大きく振動し、
機体は左右に振られてから停止した。ポンティアナックの航空管制官は滑走路にシカの頭が 1 つ転がっている
のを見つけた。
当局は滑走路の警備を改善しようと務めてきた。ポンティアナックでは、動物の獣舎を補強させるため当局者
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が地主に金銭を支払ったほか、空港フェンスが強化された。
ただ、関係者によると、村の住民たちはより良い牧草地にたどり着くためにフェンスを突き破り、滑走路のそ
ばを通って近道することがたまにあるという。
2.乱気流
大きな気流の変化は世界のいたる場所で発生する。ただ、航空専門家らは、アジアでは備えが不十分だと指摘
する。
アジアにはウインドシア(風速や風向きの急速な変化)検出装置や気象レーダーが設置されていない空港が多
い。また、専門家らによると、コミュニケーションが断絶したケースがより多く見受けられるという。
コミュニケーション不足はエアアジア 8501 便が墜落した 2014 年の事故で注目を浴びた。同便はインドネシア
からシンガポールに向かう途中で熱帯暴風雨に遭い、海に墜落して 162 人が死亡した。
後日、エアアジアのグランドスタッフ(地上勤務職員)と操縦士が対面での打ち合わせをしていなかったこと
が発覚した。航空会社の多くは通常、こうした打ち合わせを利用して乗組員に気流悪化への対処方法を確認さ
せている。エアアジアの広報担当者は、墜落事故以来、同社が対面での打ち合わせに切り替えたと話した。
事故調査を続けているインドネシア当局は、国が運営する気象関連サイトを更新し、航空会社が気象状況をチ
ェックしているかを追跡しやすくした。
悪天候を進む操縦士のガイド役となるグランドスタッフは、アジア全体で見ると非常に多くの種類の道具に頼
る必要がある。比較的裕福な国では赤外線のウインドシア検出装置が使われるが、貧しい場所では 6 時間おき
にプリントされた紙が配られるだけだ
特に懸念されるのがウインドシアだが、これは航空機が離着陸態勢に入っている最中に風向きが突然、危険な
ほどに変化する状況などを指す。米国の主要空港の大半は 1990 年代からウインドシア検出装置を設置してい
る。ただ、インドネシアやインドなどアジアの空港の多くでは設置が行き届いていない。
インドネシアでは向こう 5 年間で 10 カ所の空港に検出装置が新設される運びだ。インド民間航空省も昨年、
気象関連機器の更新を発表した。ただ、ここにウインドシア検出装置は含まれていない。
3.無秩序な空
アジアの国・地域の多くでは「交通整理」システムが欠けている。北米や欧州では航空機を自動追跡し、航空
機同士の間隔や乱気流周辺での航路調整を勧めるシステムがある。アジア太平洋地域で最先端のシステムを持
つのは日本、オーストラリア、ニュージーランドだけだ。
これ以外のアジアでは、管制官が操縦士や他の空港から無線で入ってくる情報に頼ることが多い。管制官は入
ってきた情報をコンピューターに入力し、航空機の間隔を計算するのに役立てている。これには時間がかかる
うえ、特に混雑が激しく、人員が足りない場合に管制官に過剰に負担がかかる可能性も出てくる。
2012 年、ロシアの航空機メーカー、スホイ社の旅客機がテスト飛行中にジャカルタ近郊の火山に墜落した当
日、インドネシアの管制官は「負担が重い」と感じていたと報告した。この事故では乗員・乗客 45 人全員が
死亡。正式な調査によると、事故の当日、この管制官の上司とアシスタントは出勤していなかった。管制官は
墜落前、侵入禁止区域に下降したいというスホイ機の操縦士からの要請を認めていた。
シンガポールやマレーシア、タイ、中国、インドネシアなど多くの国が交通管理システムの近代化を進めてい
る。ただ、アジア全域でこうしたシステムをつなぎ合わせるのは将来の課題だ。
米国と欧州では各国が協力し、それぞれのシステム同士で情報交換できる状態を確保している。一方のアジア
では、共同歩調は一般的でない。各国・地域の発展段階が異なるほか、政治関係が緊張している場合が多いか
らだ。
中国、インドネシア、シンガポールなどは昨年 12 月、異なる国・地域のナビゲーションセンターからの情報
を結びつけるシステムを試運転することで合意した。
ただ、この計画にはオプトアウト(脱退)条項が付いている。つまり、システムの参加者は領空の管理保持を
許されるほか、混雑に関して他の国や地域に提供した方が良いはずの詳細情報を差し控えることができるのだ。
この合意は 2018 年まで完全に履行されることはない。
4.操縦士の質低下
2012 年、パキスタンのボジャ航空 213 便の機長が前方に乱気流があるとの警告を受け取った際、突然祈りを
ささげ、
「私の人生も平和でありますように」と唱えていたことが、操縦室のボイスレコーダーから明らかに
なった同便は 4 秒間で約 304 メートル急落。機長は機首を上げ、機体は失速した。同便は滑走路の手前で墜落
し、乗員・乗客 127 人全員が死亡した。
事故調査官らによると、機長も副操縦士も墜落した航空機についての適切な訓練を受けていなかった。また、
操縦士は風向きが急変する危険な状況で着陸する訓練を受けたことがなかった。さらに、副操縦士は近代的な
自動操縦の機体を動かした経験を実質的に持っていなかった。現在、ボジャ航空は営業していない
アジアで操縦士への需要が高まる中、専門家らは航空会社が資格を持たないスタッフの一部を指揮系統に投げ
入れていると懸念している。米航空機大手ボーイングによると、アジア太平洋では向こう 20 年で新たに 21
万 6000 人の操縦士が必要になる見込みだという。一方、同社は北米で 8 万 8000 人、欧州で 9 万 4000 人が必
要になるとみている。
3
特に貧しい国や収益力の弱い航空会社にとって、有能なパイロットを確保するのは難しい。ミャンマーでは操
縦士の年収は 2 万ドル(約 250 万円)しかなく、他のアジア諸国・地域の約 12 万ドルを大きく下回る。この
ため、優秀なパイロットの引き抜きが容易になっているのだ。ミャンマー政府当局は安全システムが追いつか
なくなるのを恐れ、航空業界の新規参入者に営業許可を与えるのをやめた。
今年 2 月には台湾のトランスアジア航空 235 便が台北近くの川に墜落し、43 人が死亡する事故が発生したが、
ここでも操縦士の訓練が問題となった。台湾航空当局が公表したフライトデータによると、操縦士らは停止し
た片方のエンジンを誤認識し、誤って正常に動いているエンジンを停止させてしまったという。
5.命取りになりかねない着陸
中国は空港施設の更新に巨額の資金を投じた。だが、インドやインドネシア、フィリピンなどは、特に中堅都
市で、需要に追いつくのに必要な投資をしてきていない。
古い空軍基地を改造した一部の滑走路はあまりにも短く、排水設備もお粗末だ。これら空港の中には近代的な
着陸誘導システムや適切な滑走路灯がないものもある。
専門家らは、新しいターミナルビルを持つ都市でさえ備えが不十分な場合があると指摘する。新ターミナルビ
ルはピカピカの設備やショップを売り物にしている。ただ、航空専門家らは、より基本的な安全装置に資金を
振り向ける方が良いと話す。
2010 年、ドバイ発マンガロール行きのエア・インディア・エクスプレス 812 便が通常の着陸地点を過ぎた後
に操縦不能に陥った。ボイスレコーダーによると、機長は滑走路のオーバーランエリアの末端で航行補助装置
の積み上げられたコンクリートの建造物を目にし、
「うわ!大きなやつだ」と叫んだ。機体はこの建造物に激
突し、火災が発生して 158 人が命を落とした。生存者は 8 人だった。
マンガロール空港の滑走路端には長さ 90 メートルの安全区域が設けられている。これは ICAO が示したガイド
ラインの範囲内だが、米連邦航空局(FAA)は国内の空港に対し、滑走路末端に長さ 300 メートルのアレスタ
ー区域を設けることを義務づけている。アレスター区域とはオーバーランを防ぐためのもので、航空機の速度
を落とすため軽量ブロックなどの物質が敷き詰められている。また、マンガロール空港の滑走路の端は急峻な
崖になっていた。調査官らによると、航行補助装置の入ったコンクリートの建造物は埋められるべきだったと
話している。
マンガロール空港のディレクターはウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に対し、事故以来、安全区域
が平らになったほか、コンクリート建造物は衝突すれば粉々になる障害物と置き換わったと話した。
★IATA 関係者、国際航空部門における二酸化炭素削減メカニズムに関する 2016 年における ICAO の合意の準
備に関して意見が分かれる(欧州コンサル 0707)
1997 年京都議定書は、航空部門からの温室効果ガス排出量はその適用対象としていなかった。さらに、国際
民間航空機関(ICAO)は何十年にもわたってこれらの排出量を規制することを避けてきたという事実によって、
EU は航空部門に対して EU 排出量取引制度(EU-ETS)を 2012 年 1 月 1 日に導入した。当初、同制度は EU の空港
を発着する第三国の航空会社にも適用された。しかしながら、このことは、第三国およびその影響を受ける航
空会社との軋轢を生じることにつながった。こうした状況は、航空部門からの温室効果ガス排出量の問題に最
終的に取り組む努力につながり、2013 年の ICAO 総会で 2020 年までに国際市場ベースの措置(MBM)を導入する
ための準備を開始することが合意された。
こうした進展に基づいて、EU は 2014 年 4 月 16 日に欧州議会・欧州理事会(EU)規則 No 421/2014 を導入する
ことによって指令 2003/87/EC を修正し、第三国の航空会社からの二酸化炭素排出量に関する同制度の適用を
変更した。国際航空部門からの排出量に対して単一の国際市場ベースの措置を適用する国際協定を 2020 年ま
でに実施することを考慮して、規則 No 421/2014 によって 2013 年 1 月 1 日から 2016 年 12 月 31 日まで第三国
にある空港と欧州経済地域間を発着する航空便からのすべての温室効果ガス排出量が適用除外となった。
これにより、EU は欧州内での航空便を運航しないことを条件として第三国の航空会社に対して二酸化炭素排
出量取引を 2017 年まで「一時停止」した。しかしながら、2012 年、2013 年および 2014 年において EU 圏内で
航空便を運航していた第三国の航空会社は、彼等の排出枠を報告しなければならず、もしそうしなければ罰金
の対象となる。Air China、China Eastern および China Southern に加えて India’s Jet Airways も
罰金を科されたようである。
しかしながら、環境 NGO は EU の政策立案者に対して彼等が現在の航空部門に対する EU-ETS の環境的全体性を
確保する必要があると警告している。この環境 NGO は、EU-ETS が国際航空業界から何の見返りもないままに
放棄される可能性があることを心配している。こうした警告を受けて 2015 年 6 月 7 日から 9 日までマイアミ
で開かれた国際航空運送協会(IATA)の年次総会(AGM)・世界航空運送サミットにおいてコメントが発表された。
IATA の Tony Tyler 会長によると、航空業界は気候変動に取り組んでいる産業界の中でも最前線を行ってお
り、航空会社は自社の燃料効率を改善している。IATA は、2020 年からカーボンニュートラルな成長を遂げる
ことを目標としており、航空会社は 2050 年までに 2005 年レベルに比べて二酸化炭素排出量を半減することを
狙っている。
航空会社は、改良技術、運航の更なる効率化、インフラの改善および有効的かつ国際的な市場ベースの措置と
4
いった 4 本の柱からなる戦略によってこうした目標を達成することを望んでいる。IATA の上席副会長である
Paul Steele は、国際航空部門からの温室効果ガス排出量の削減に取り組むために 2016 年から採用する市場
ベースの措置を含むふたつの戦略を策定していることを強調した。
Steele 氏は、ICAO 加盟国が来年の早い時期に市場ベースの措置に関する選択肢を狭めたいと考えており、
2016 年 9 月までに合意することを希望していると述べた。その前に、ICAO 加盟国は 2016 年の 2 月に考えられ
得る二酸化炭素基準について議論する予定となっている。通常、ICAO は差別することなくすべての加盟国に
対してそのガイドラインを適用しているが、二酸化炭素排出量基準に関する ICAO の協議において、いくつか
の国が先進国は排出量削減の負担の大半を担うべきであると主張した。このため、異なる目標および基準を設
定することは、ICAO 内の新興国と富裕国との間の緊張を和らげることができる可能性がある。
この緊張によって温室効果ガス排出量を削減するための市場ベースのシステムを開発すべきこの組織が何年
にもわたって麻痺させられてきた。しかしながら、世界中で異なる様々な基準を設定することは、ICAO とし
ては異常な決定となるであろう。この問題は、財政的に脆弱ないくつかの航空会社は富裕国に拠点をもってい
ることから、航空業界にとっては特に複雑である。ロシア、インドおよび中国からの最近の報告書において、
提案はいくつかの加盟国に環境問題を解決することよりもむしろ航空業界における「その主導的地位を維持す
る」ことを認めていると述べられている。
同報告書は、ICAO は予定されている来年の総会に間に合うような計画に合意することはできないであろうと
示唆している。IATA の環境政策担当次長である Andreas Hardeman も、間に合うような計画の策定に関して
は ICAO において多くの進展が見られているが、まだなすべきことが沢山残っていると述べた。
2015 年 6 月 11 日にバルセロナで炭素エクスポが開催された際に Hardeman は国際航空部門における二酸化炭
素排出量削減メカニズムは 2016 年に開かれる次回の ICAO 総会での加盟国による採択には間に合わないであ
ろうと述べた。Hardeman によると重要な期限が過ぎてしまう可能性があり以前に航空部門に対して適用され
た EU-ETS の第三国の航空会社を含めての再適用という EU による新たな措置の引き金となる可能性がある。
しかしながら、こうした思惑とは対照的に IATA の Tony Tyler は、航空会社は航空部門からの二酸化炭素排
出量を規制するための国際市場ベースのシステムに関する合意が来年において達成されるであろうことに自
信をもっていると述べた。実施に関する詳細は、2020 年までの準備期間中に明らかにされるはずである。航
空業界は ICAO の協議を注視しているが、もし 11 月にパリで開かれる国連気候変動枠組条約の締約国会議が成
功裏に終われば、ICAO における交渉の機運が高まるであろう。
2015 年 6 月 17 日、IAG の Willie Walsh 最高経営責任者はその他の「興味深い」選択肢も検討中であるが、航
空業界は同業界による汚染に取り組むためには国際排出量取引制度の方がより好ましいと語った。
コメント:
IATA 関係者による様々な発言は、航空部門からの二酸化炭素排出量を規制するための制度に関する提案につ
いての結果を得るための ICAO の作業プロセスが、先進国と異なる目標および基準を要求している開発と新興
国との間に様々な意見があることから難しい状況にあることを示唆している。この問題は、まだ解決しておら
ず、ICAO における交渉に遅れが生じる可能性がある。
主な障害は、通常、ICAO の基準が不公正な経済的有利性または経済的不利性を生むことを避けるために世界
中どこでも同じレベルで設定されていることである。温室効果ガス排出量の削減に関する異なる基準および目
標は、温室効果ガス排出量を削減するための国際市場ベースのシステムを開発しようとする ICAO の努力を阻
止してきた新興国と先進国との間の緊張を和らげることにつながる可能性がある。
しかしながら、基準における差異はいくつかの航空会社が環境問題を解決することよりもむしろ航空業界にお
ける「その主導的地位を維持する」ことを単に認めることになる可能性がある。このため、ICAO にとっては
全加盟国に適合し、しかも航空部門からの温室効果ガス排出量の削減目標を達成する国際市場ベースの措置に
関する妥協点を見出すことは依然として難しい仕事として残っている。しかしながら、もしも ICAO が市場
ベースの措置に関する合意という目標の達成に失敗すれば、EU は第三国の航空会社による抗議にもかかわら
ず、EU 圏内の空港を発着するすべての航空便を対象とする温室効果ガス排出量削減規制を再導入する可能性
がある。
★マレーシア機撃墜事件、ロシア製ミサイルの破片発見か(TBS 8 月 12 日)
ウクライナ東部で去年7月に起きたマレーシア航空機撃墜事件で、新展開です。現場から見つかった破片が、
地対空ミサイル「ブク」である可能性があることがわかりました。
オランダ当局は、ウクライナ東部の墜落現場付近で機体などを回収した際に、ロシア製の地対空ミサイル「ブ
ク」の可能性がある破片を複数、発見したと11日、発表しました。現段階では、破片と撃墜との関連は分か
らないとしています。当局は専門家の協力を求め、関連をさらに詳しく調べる方針です。
事件では乗客乗員あわせて298人が死亡し、アメリカやウクライナは親ロシア派地域から発射された「ブク」
による撃墜との見方を示していますが、ロシア側はウクライナの攻撃だと反論しています。
注:地対空ミサイル「ブク」
レーダー誘導式の地対空ミサイル(SMA)システム、ロシアでの名称は「9K37 ブーク」
(ブク)で、SA-11 は
5
NATO コードネーム。ロシア軍には「ブーク M2」約 360 基、ウクライナ軍には「ブーク M1-2」が約 50 基とさ
れている。
4 名によって操作され、戦闘機などを迎撃するため、複数のミサイルを同時に発射できる。距離約 32km、高度
約 22000m まで可能、低空飛行する目標も 10-20km の範囲内で探知できる。この高性能の近接信管弾頭は、標
的に到達する直前に爆発する。
「SA-11」は 3 日間ほど訓練を受ければ十分、ただし標的を正しく識別できるに
は数カ月の訓練が必要。
★123 便の残骸か…相模湾海底で発見 日航機墜落 30 年(テレビ朝日系 ANN 8 月 12 日)
乗客乗員 520 人が犠牲となった日本航空機の墜落事故から 12 日で 30 年です。墜落した 123 便は羽田空港を離
陸した後、相模湾の上空で圧力隔壁が壊れました。垂直尾翼など吹き飛んだ機体の多くは海に沈み、今も見つ
かっていません。ANN は情報公開請求で得た資料などから、残骸が沈んでいるとされる相模湾の海底を調査し、
123 便の部品の可能性がある物体を発見しました。
先月 29 日、静岡県東伊豆町の沖合約 2.5km、123 便の推定飛行ルートの真下にあたる水深 160m の海底で撮影
された映像です。右側のパネル状の部分は四角形に見え、側面にある黒い部分には数字などが書かれています。
カメラとの距離などから調査にあたった専門家は、
1.5m から 2m ほどの大きさではないかとしています。
当時、
事故調査委員会のメンバーとして墜落の原因を調べた斉藤孝一さんは「この映像だけでは分からない」とした
うえで、123 便の残骸である可能性を指摘しました。
当時の事故調査官・斉藤孝一さん:
「仮に航空機の部品だとすると、『APU』のまわりに取り付いている『コン
トロールボックス』といわれてるようなもの」
APU は機体後部にある補助エンジンで、客室に空気を送ったり電気を付けたりする役割があります。斉藤さん
は圧力隔壁の破壊という事故原因は変わらないとしたうえで、残骸が見つかれば事故の状況がより詳細に分か
る可能性があるとしています。123 便を巡っては、相模湾上空でのトラブルの際に機体から落ちた垂直尾翼の
大半や APU を含む機体後部の部品が見つからないまま、事故から 1 年 10 カ月後に調査が終了しています。国
の運輸安全委員会はこの映像を見たうえで、「当委員会としてのコメントは差し控えさせて頂きます」として
います。
★仮想通貨ビットコインで航空券購入が可能に、LOT ポーランド航空がエアライン初の導入(トラベルボイス
8 月 12 日)
LOT ポーランド航空(LO)は、航空会社としては世界ではじめて仮想通貨ビットコインでの支払いを可能にした。
現在ビットコインの人気が高まっており、支払い可能な場所も世界中で増えていることから、利用者の利便性
の向上のひとつとして導入を決めたもの。LO の PC ホームページあるいはモバイル向けホームページ、モバイ
ル・アプリでの航空券購入で利用することができる。
同社は、ビットコインでの支払いは、オンラインでの支払いで高い信頼性がある PSP で取引が行われるため、
他の支払い方法と同様に簡単で安全であるとしている。航空券代金は、購入者が選択する通貨で計算され、支
払いの段階で、PSP プラットフォーム上で購入金額がビットコインに変換される。LO は、ビットコインではな
く、それぞれの通貨での取引を行うことになる。LO が路線展開している大部分の市場で利用することが可能。
★Amazon 及び Google に対する空域利用関係者の反応(Aviation Daily 0810)
インターネット大手企業の Amazon 及び Google は、先週、商品の配送のような大規模な小型無人航空機システ
ム(UAS)の運用を実現するために、低高度空域をどのように再構築し、及び管理するかの提案を行い、各方
面の関連機関に波紋を投げかけている。
Amazon は、地上 500 フィート以下の空域を、低速局所、高速輸送及び低リスクの空域に分割し、さらに 400
フィートから 500 フィートまでの空域については、無人飛行機が一般の航空機に接近しないようにするための
緩衝空域として設定することを提案している。一方、Google は、すべての UAS に対して放送型自動従属監視
(ADS-B)又はこれと同様のシステムを搭載すべきであると提案している。
さらに、Amazon は、低リスクの空域に飛行が限定される趣味を目的とした機器から、
(操縦者の)可視範囲
を超えるすべての空域で飛行が可能な協調型又は分散型の衝突回避システムを搭載した UAS に至るまでの、搭
載された装置に基づいて空域へのアクセスを認めることについても、提案している。
連邦航空局(FAA)の関係者は、
「Amazon の提案について慎重に検討する。技術的な内容の確認には、時間
を要するだろう。FAA は、Amazon、Google 等による提案をどのようなメカニズムで検討するか業界関係者と
ともに考えており、これは、UAS に関する業界基準を策定するという RTCA の作業に繋がるかもしれない。」と
述べている。
緊急医療サービス、取締りその他の目的でヘリコプターが低高度の空域を使用していることを踏まえ、Google
は、2020 年までの航空機への ADS-B の装備の義務付けの対象に(これらの)ヘリコプターも加えるよう、FAA
が規則を改正することも提案している。
国際ヘリコプター協会(HAI)の会長が、ヘリコプターの運航者を代表して、今回の提案について Amazon と
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議論を行ってきたと、HAI 広報責任者の Chris Dancy 氏は述べている。
また、
「HAI は、空域利用関係者における意見交換の機会を設けることができたことについて、Amazon 及び
Google による真摯な取組みを高く評価しており、特に、ヘリコプター業界は今回の提案の対象である低空域
で主として運航を行っている航空セクターであることを踏まえて、今回の提案がスタート地点であると認識し
ている。
」と語る Dancy 氏は、
「Amazon との話し合いの結果、最初の提案では(UAS の)低高度の空域へのアクセスを制限する規制は含ま
れなかった。UAS の低高度の空域へのアクセスに関して、既知及び特定可能な要素を決定するための今後の取
組みに期待している。
」と続けた。
「最も高機能なクラスの UAS に衝突回避システムを装備するという Amazon の提案は興味深いものの、農業、
消防、緊急医療、野生動物の調査等の低空飛行を行う航空機の運航が考慮されていないことは憂慮されるべき
である。
」と語るのは、全米農業航空協会(NAAA)事務局長の Andrew Moore 氏である。
Moore 氏は、
「まず、最も高機能なクラスの UAS に、一般の航空機が UAS の航跡を知ることができるようにす
るためのトラッキング装置及び一般の航空機に見えるようにするためのストロボライトの装備を求めること
によって、NAAA が提案している最も重要な 2 つの安全基準を満たすことができるだろう。また、Amazon は、
有人の農薬散布機がなく、一時的ではなく常に低高度の空域を飛行するその他のパイロットがいないという状
況に限って、500 フィート以下の空域を一般の航空機が利用できるようにすることも、考えているかもしれな
い。
」と続けた。
農業セクター及びヘリコプター業界は、空中散布、パイプラインの調査等のミッションが可能な UAS によって
著しい影響を受けることとなる。
「基本的には、HAI は無人の技術を支持しており、国家航空システムへの無人航空機の統合が安全になされれ
ば、HAI の会員がこのような技術の最大のユーザになるだろうと予測している。
」と、Dancy 氏は述べている。
★未承認航空機用部品に関する FAA の監督についての監察(Aviation Daily 0811)
運輸省(DOT)首席監察官室は、連邦航空局(FAA)の承認を受けていないと疑われる航空機用部品に関する
FAA の監督について、監察を行おうとしている。
この監察は、3 月に下院運輸インフラ委員会及び同航空小委員会の幹部メンバーらから要求に基づくものであ
る。彼らは、未承認部品が航空の安全に及ぼすリスクを懸念している。
承認を受けていないと疑われる部品とは、航空機用の部品のうち、FAA の承認を受けずに製造されたもの又は
不正な表示がなされた模造品を指している。
「航空利用者の安全は、FAA 及び航空業界が航空機に使用されているすべての部品が飛行のために承認された
ものであり、かつ、適切に整備されていることを確実にすることにかかっている。」航空担当次席監察官の
Charles Ward 氏は、監察の開始についての発表の中で述べている。
この監察の目的は、承認を受けていないと疑われる部品の監視及び調査並びに未承認部品を航空機用部品のサ
プライチェーンから排除するための業界の取組みの監督のための FAA のプロセスが効果的であるかどうかを
評価することである。Ward 氏は、述べている。
2007 年以降、FAA は 70 件の未承認部品に関する通知を発行している。DOT によると、DOT はこの 5 年間で 118
件の事例を調査し、そのうち 63 件を告発し、51 件が有罪となっている。
今回の監察は、FAA 本部及び選ばれた地方事務所、運航基準管区事務所及び製造検査管区事務所において、今
月から行われる。
★米東部で航空便に乱れ=管制システムに不具合(時事 0816)
【ワシントン時事】米メディアによると、バージニア州の航空管制センターで15日、新システムのコンピュ
ーターに不具合が一時発生し、首都ワシントンやニューヨークなど東部の空港を離着陸する数百機の航空便に
遅れや欠航が相次いだ。乗客ら数千人に影響が出た。
連邦航空局(FAA)はロイター通信に対し、システムの不具合は事故やハッキングとは無関係と述べた。こ
のシステムは全米で導入が進められている。
★日航など3社がIoT技術使い共同実験 空港作業着を端末にして体調を自動管理(SankeiBiz 2015/8/17)
日本航空、NTTコミュニケーションズ、東レの3社は17日、IoT(モノのインターネット)技術を活用
した安全管理システムの共同実証実験を開始すると発表した。まず空港作業着となるウエアラブル端末を使い、
日航が空港の屋外作業者の体調データをIoT技術でリアルタイム分析し、事故防止などを自動的に安全管理
する。
荷物の輸送や航空機誘導などの空港地上支援業務(グランドハンドリング)作業者を対象に、那覇空港で実証
実験に取り組む。東レとNTTコムが共同開発した特殊な機能繊維素材を使ったウエアを着て作業し、心拍数
などの体調データをスマートフォンからクラウド網上に用意する安全管理システムに送信する。
日航は作業者の熱ストレス、疲労度推定などのデータを取得・分析、遠隔モニターし、安全確保に役立てる。
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今後は、実証実験を他の空港にも順次広げ、リラックス度など暑さ以外の体調管理の検証にも取り組む。
★管制官に関する調査により管制官の慢性疲労が判明:AP 記事(Washington Post 0811)
長期にわたって政府が非公表としてきた調査は、管制官の勤務スケジュールが、しばしば管制官に対して、集
中力を低下させ、米国の航空システムにおける安全を脅かすような慢性的な疲労をもたらしていることを示し
ている。
連邦航空局(FAA)は、10 日、この調査結果をホームページに掲載した。この掲載のタイミングは、AP 通信社
が調査結果の内容に加えて、数か月にわたって同社が行った開示請求(情報公開法に基づくものを含む。
)を
FAA が拒否し続けた旨を報じた数時間後のことであった。
AP 通信社が入手したのは 2011 年 12 月 1 日付けの最終ドラフト版であり、FAA がオンライン公開した報告書は
2012 年 12 月付けとなっているが、それらの内容はほぼ同一である。
この調査は、国家運輸安全委員会(NTSB)が FAA 及び米国航空管制官協会に対して行った、「集中力を回復す
るための十分な睡眠が得られるように」十分な長さの休息時間を含めるよう管制官のスケジュールを変更すべ
きとの勧告が、きっかけとなっている。
この調査では、前年度のデータによると管制官 10 名のうち 2 名が、飛行機の間隔を狭めすぎる等の重大なエ
ラーを犯しており、その半数以上のケースが管制官の疲労に起因するものであったことが明らかになってい
る。調査に参加した管制官のうちの 3 分の 1 が、自分の疲労レベルは安全面でのリスクが「高い」又は「非常
に高い」と答えている。さらに、10 人中 6 人が、一般に夜 10 時から午前 6 時までの深夜シフトの際の通勤の
ための運転中に、居眠りや注意力の低下を経験したと報告している。
全般的には、研究者のモニタリングに参加した管制官の 1 日の睡眠時間は平均 5.8 時間であり、深夜シフトの
前夜は 3.1 時間、早朝シフトの前夜は平均 5.4 時間だった。
最も時間的な負荷が大きい勤務スケジュールは、5 日連続の深夜シフトや、週に少なくとも 1 日の深夜シフト
含む週 6 日勤務を数週間継続するものであった。人体の体内時計により、深夜シフトの勤務当日の日中に睡眠
を取ることは、極めて困難である。
この調査は FAA の要請に基づき、米国航空宇宙局(NASA)が実施したものであり、3,268 名の管制官に対する
勤務スケジュール及び睡眠パターンに関するアンケート調査に加えて、30 か所の航空管制施設で勤務する 200
名以上の管制官に対する睡眠状態及び集中力のモニタリングが行われた。
NASA の J.D. Harrington 報告官は、報告書の公開拒否を伝えるメールにおいて、この調査は FAA の要請によ
るものであるため「FAA が報告書の公開に関する決定権を有している」と回答している。なお、NASA は、2013
年度における優秀プロジェクトとして、調査を実施した研究者に賞を授与している。
モニタリング調査では、退勤から出勤までの時間を 8 時間以下に短縮することによって 4 日間で 8 時勤務に 5
回従事する「rattler(すばらしいスケジュール)
」と呼ばれるスケジュールで働く管制官を対象としている。
週末の休暇が 3 日間となることから、このスケジュールを好む管制官も存在する。
この調査に参加した管制官は、睡眠状態を記録するための装置を手首に装着し、各シフトの勤務中に数回の集
中力テストを行った。
調査結果によると、参加した管制官のうち 76%が慢性疲労であり、居眠りが発生する環境が助長されている傾
向を示している。また、
「集中力を回復するための睡眠が 8~10 時間程度確保できた場合においては、集中力
が完全に回復した状態までは戻らないものの、ある程度の集中力の回復が見受けられる」と報告されている。
さらに、この報告書は、特に航空交通量が少ない時間帯及び身体的な睡眠欲求が高まる特定の時間帯が重複し
た場合において、
「慢性疲労が管制官に注意力に対して重大なリスクであることから、航空管制システム全体
の安全に対しても重大なリスクであると考えられる」と結論付けている。
この 270 ページに及ぶこの調査報告書は、FAA に対して 27 件の勧告を提示しており、その一つとして、週 6
日勤務の「迅速な」廃止を挙げている。この調査を実施した時点では、管制官の約 4%が恒常的に「週 6 日勤
務のスケジュール」で業務に従事していたと報告書には記載されているが、実際に 2 週続けて週 6 日勤務を行
った管制官はそのうちの 15%であった。
週 6 日勤務を行った管制官の 30%以上は、過去 1 年以内に重大なミスを犯したと述べており、複数の管制機関
に勤務する管制官が AP 通信社に対して述べたところによると、週 6 日勤務は 3 年が経過した現時点でも依然
として通例化している。
AP 通信社が提出した慢性疲労に関する質問に対して 1 か月あまり無反応だった FAA の Laura Brown 報道官は、
10 日、FAA は夜 12 時以降のシフトでは最低 2 名の管制官が勤務し、シフトの間に 9 時間以上の休息時間を与
えられなければならないこととしたと発表した。さらに、管制官は、現場の業務に負担が生じない範囲で、シ
フト中により多くの「集中力を回復させるための休憩時間」をとることができるようになるという。
「24 時間 365 日体制の職場では、職員の疲労問題が常在するが、FAA は管制官の疲労を低減するため数々の取
組みを実行してきた」と述べる Brown 報道官は、
「FAA が構築した疲労分析モデルにより、新しい勤務スケジ
ュール決定方法を用いることによって、管制官の注意力が大幅に改善されることが明らかになっている」と
語っている。
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一方、NTSB は、2013 年、
「自宅から職場までの通勤時間、さらには家族や個人的なニーズ等にも時間が必要
であるとの現実を考慮した場合、9 時間の休息時間では 8 時間続けた睡眠をとるには不十分であることを懸念
している」と FAA に対して表明した。
FAA は、米国議会に科学的側面から助言を行う全米科学アカデミーの研究者に対しても、報告書の開示を拒否
してきた。
NTSB の勧告は、2006 年にケンタッキー州レキシントンで、地域航空会社の旅客機が離着陸に不適切な短い滑
走路から離陸した際に発生した航空事故に基づいて発行されたものである。この事故では、搭乗していた 50
名のうち 49 名が死亡した。離陸を許可した管制官は、当該航空機に間違った滑走路に進入していることを知
らせなかった。この管制官は、この日、深夜シフト勤務であり、事故発生前の 24 時間以内にとった睡眠時間
は 2 時間だったと報告されている。
NASA の研究者による報告書の草案は、管制官による勤務中の居眠りに起因した度重なる事案によって FAA が
汚辱を被り、FAA の航空管制部門の責任者が辞任した数か月後にまとめられた。2011 年に発生した事案の一つ
では、ワシントン DC のロナルド・レーガン・ワシントン・ナショナル空港で、一人で勤務を担当していた管
制官が勤務中に居眠りしたため、2 機の旅客機が空港の管制塔からの援助を受けずに夜間着陸を行った。
★サウスウエスト航空、整備問題で制裁金も(ウオールストリートジャーナル 0818)
米連邦航空局(FAA)は 17 日、機体の整備に関する規則を守らずにボーイング 737 型機を運航したとしてサウ
スウエスト航空に 32 万 5000 ドル(約 4000 万円)の民事制裁金を科すことを提案したと明らかにした。
FAA によると、FAA のエルサルバドルの保守点検施設の検査官は昨年 7 月、サウスウエスト航空が機体損傷
部の応急処置を正式な修理として不適切に記録していたことを発見した。エルサルバドルの首都サンサルバド
ルにはサウスウエスト航空を含む外国航空会社向けの重整備センターがある。
★欧州委員会が EU-ETS による新たな影響評価による見直しの提案を発表(欧州コンサル 0721)
EU 政府の排出権取引システム (EU-ETS)は、GHG 排出量削減のための、市場原理に基づいた制度である。それ
は「キャップ・アンド・トレード」原則に基づいて、参加企業が排出できる、特定の GHG 排出量の総額に対し
て上限を設定している。EU-ETS は炭素排出量に価格を付することによって、排出権が価値を有し、炭素市場
で取引される。
指令 2003/87/EC に基づいて、28 ヵ国の EU 加盟国とアイスランド、リヒテンシュタインおよびノルウェーを
含む EEA-EFTA 諸国における 11,000 社以上の企業が対象となる。炭素市場は排出権を充分に高い価格で取引
する必要があり、そのためにクリーンで低炭素の技術に対する企業の投資を促進出来る。しかし、EU-ETS が
2005 年に導入されてから、炭素価格は、企業が低炭素技術に投資を行うインセンティブを与えるほどの充分
な価格レベルであったことは殆どなかった。
これまで欧州委員会は炭素価格の低迷が続いても、敢えて市場の成り行きに介入することを回避してきた。し
かし、炭素排出権の過剰供給のリスクが炭素市場の機能を崩壊させてしまうおそれが出てきたため、介入措置
の検討が必要となった。
EU-ETS(2013 年-2020 年)のフェーズ III における新規の排出権の発行による炭素価格の下落を防ぐために、
欧州委員会は緊急の第一ステップとして、排出権の数量のオークションを延期 (バックロード)する措置を提
案した。COM (2012)416 final における指令 2003/87/EC の修正提案に基づき、バックロードの対象となった
排出権は 2019 年および 2020 年に市場に返還される。しかし、炭素市場の機能の正常化を行うためには、バッ
クロードシステムだけではなく、EU-ETS を根本的変革措置が必要なのは明白であった。
このため、2014 年 1 月 22 日に欧州委員会は、EU の GHG 排出権取引制度に対する市場安定化準備金制度の開設
と、指令 2003/87/EC (COM/2014/020 final)の修正を行うための、決議提案を発表した。欧州委員会は「2020
年から 2030 年の期間における気候とエネルギーに関する基本的政策枠組」(COM/2014/015 final)も同時に発
表した。とりわけ、欧州委員会は、2021 年における次期の EU-ETS の取引期間の初めで発行される排出権に関
する「市場安定準備金制度」(MSR)の導入を提案した。
MSR は価格下落傾向を抑制し、低炭素技術への投資の早期実現によって、コスト効率の高い脱炭素化方向へと
市場参加者を誘導するものとなる。しかし、欧州委員会が 2021 年の導入を提唱したのに対して、欧州議会の
環境委員会 (ENVI)は 2018 年 12 月 31 日を提案した。そして、2015 年 5 月 26 日に EU 閣僚理事会の常設代表
委員会 (COREPER)と EU 議会の環境委員会 (ENVI)の票決によって、その暫定的な合意が承認された。欧州議会
総会と欧州理事会は夏休み前にこの条文を採択する見通しである。
しかし、2015 年 5 月 20 日には、影響評価検討委員は気候変動局に対して EU-ETS の見直しに関する将来に向
けた提案に付されるべき影響評価報告書の中で、現在の EU-ETS は複雑すぎて、完全とは言えないため、ETS
の新しい改革案の採択前に、同局に訂正案を再提出するよう求めていた。EU-ETS の見直しの中では、年間の
EU-ETS 上限値の低減率を現在の 1.74%から 2.2%に増やし、カーボンリーケージに陥り易い産業に対する無償
の排出権の配布規則も決定する、2020 年後に向けた規則も対象となる。
この影響評価では、EU-ETS 実施の第 3 フェーズと、低炭素技術を財政支援する NER 300 プログラムの実施の
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期間中に得られた経験を生かす必要がある。その場合、その影響評価では、EU-ETS システムの改革に関する
様々なオプションを提示し、議論を行うが、国際民間航空機関 (ICAO)内の合意を待つ間は、航空セクターは
対象外となる。
しかし、欧州委員会の影響評価検討委員会は影響評価調査報告書の草案に対して否定的な見解を表明した。影
響評価検討委員会はその文書を普通の市民に、もっと容易に理解できるように作成することを要求した。影響
評価検討委員会は影響評価報告書の草案が複雑で、説明不足で、不完全であると批判した。同報告書は、それ
が意思決定プロセスに役立つようにシンプルで、簡潔なものであるべきで、その文章は専門外の読者にも充分
理解出来るよう改めねばならない。
同委員会は明確化すべき要件を特定し、非常に明確な提案事項を提示している。同委員会はカーボンリーケー
ジに陥り易いセクターを特定し、無償の排出権の供与枠を定めるために、カーボンリーケージのリスクに関す
る評価基準を決定するために用いられる方法について言及している。また、同委員会は、カーボンリーケージ
のリスクに関連する、無償の排出権配分に関する様々なオプションを持つ産業分野に対する影響と、その影響
が 2020 年までの間に現行の制度を変化させる可能性についても言及している。可能であれば、影響評価報告
書には、無償の排出権枠に関する規則の変更、雇用および家庭のエネルギーのコストに関する影響によって発
生したコストの増加又は減少についての、数字による検討を念頭においた種々の側面を対象とし、より明確な
説明がなされるべきである。
しかし、こうした修正には時間を要するが、欧州委員会は 2015 年 7 月 15 日に提案の提出を予定していた。影
響評価検討委員会が 2015 年 6 月 17 日に影響評価報告書の最新バージョンを最終的に完成した後で、2015 年 7
月 15 日に欧州委員会は、影響評価に関する、欧州委員会内部職員作業文書 SWD (2015) 135 final を提出し
た。そこには、
「コスト効率の高い排出削減と低炭素投資を促進するために、指令 2003/87/EC の修正を行う
欧州議会および欧州理事会の指令に関する提案」 (COM(2015)337 final, 2015/148 (COD))と題する法案が付
されている。
★Lufthansa の事故により、ドローンによる安全への危険と、厳格な規則導入の必要性が強調される
(2015/07/23)
一般にドローンとして知られ、国際民間航空機関(ICAO)によって無操縦者航空機及び遠隔操縦航空機シス
テム(RPAS)とも呼ばれる無人航空機(UAV)は、ますます一般化している。国際民間航空機関(ICAO)は、
分離されない空域(つまり「有人の」航空交通によっても使用される同じ空域を意味する)でのドローンの使
用について各国当局が特定の許可を与える場合に、ICAO はドローン(RPAS)の運航を許可している。
すでに 1700 を超える異なる型のドローンが正式なメーカーによって製造されている。500 件少々のメーカー
が世界中でドローンを製造しており、これらのメーカーの約 3 分の 1 が欧州にある。民間ドローンの技術は成
熟しており、今後大きく成長し、雇用を生む可能性がある。
しかし、共通の RPAS 免許がまだ存在しないため、RPAS の運航者は、空のルールや航空機運航の原則(特に救
難飛行、国家飛行、高所作救難飛行、国家飛行、高所作業飛行)の、非常に限られた知識しか持っていないこ
とが多い。知識がないため、有人航空機に危険を与えている場合に、それを理解しないかもしれない。空域で
インシデントが発生しており、民間ドローンの運航を定義する規則について決定することが緊急に必要となっ
ている。
EU ではスウェーデン、フランス、デンマーク、イタリア、ドイツ、チェコ共和国、リトアニア、英国といっ
た複数の EU 加盟国は民間ドローン、つまり遠隔操縦航空機システム(RPAS)を扱う法律を採択している。
欧州理事会は 2013 年 12 月に欧州委員会に対し、2016 年以降 RPAS を民間空域へ安全に導入するための枠組み
を作成するよう求めた。2014 年 4 月 8 日、欧州委員会は、民間ドローン(すなわち「遠隔操縦航空機システ
ム」-RPAS)の運航に規則を設けるために、厳格な新基準を制定することを提案した。新 EU 基準により、安
全、保安、プライバシー、データ保護、保険、賠償責任が扱われる。目的は、この出現しつつある市場におい
て、欧州産業が世界的なリーダーになることを可能にすることである。
さらに民間ドローンが違法な行為になり、安全上の脅威になる可能性があるため欧州航空安全庁(EASA)が必
要な安全要件を作成する役割を担っている。EASA が 2015 年 3 月に発表した新たな規則上のアプローチによる
と、欧州におけるドローンの商用利用は、撮影から農業や小包配達まで、今や何にでも用いられる無人航空機
に規則を設けるために、3 つのカテゴリーの民間ドローンに分けられる。これらの規則により、この新産業が
成長する一方、同時に人とモノを保護することが可能になると EASA は述べている。
EASA のドローン運航コンセプト。無人航空機を規制するためのリスクに基づくアプローチに基づき、ドロー
ンは、現行の航空システムに、安全かつ釣り合いの取れた方法で導入されるべきであり、この導入は革新的か
つ競争力のある欧州ドローン産業を育てるものであるべきだという。EASA は、
「一般人がこれらの安全を疑問
視するには、死者の有無にかかわらず、1 件の注目を集める事故しか必要としない可能性がある」ため、民間
RPAS の導入に対して可能性のある一般の反発を回避するために、注意深い取り組みを要求した。
EASA によると、オープン・カテゴリーで運航を許可される「低エネルギー」つまり小型ドローンは、運航者
の視界の範囲内で、地面や水面から 150 メートル(492 フィート)以下での、そして空港など特定の保護地区
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の外部での飛行に限られる。運航者は操縦士免許や航空当局からの許可を必要としない可能性がある。オープ
ン・カテゴリーの運航は現在のところ、自動車のように、警察によって監督される可能性がある。
さらに、欧州委員会は、2015 年 12 月までにオープン・カテゴリーに関して「具体的な」規則案を発表すべき
であるという。ルールは単純かつ性能に基づくものであるべきであり、小規模スタートアップ企業や個人に、
最少のルールに基づきリスクの低い低空の運航を開始することが可能になるべ規模スタートアップ企業や個
人に、最少のルールに基づきリスクの低い低空の運航を開始することが可能になるべきであるという。
より大きなリスクのある運航は、段階的に更に厳格な規則や運航規制の対象とされる可能性がある。しかし、
欧州取締諸機関は、無人のシステムを民間空域に取り込むことの安全性を巡って、特に小型無人航空機が商用
航空機と並んで運航することによって生じるリスクを巡って、懸念を高めていることを認めた。サイズや重量
には関係なく全種の航空機にとって、空中での衝突は一般的に破壊的な結果を持つと考えられる。小型で軽量
の RPAS の影響でさえ結果的に双方の航空機の安全を危険にさらす可能性のある被害を与えるかもしれない。
欧州の操縦士の組織 ECA(欧州操縦士協会)は、取締諸機関及び航空界は、ドローンを安全に空域に取り込む
方法を見出さねばならないと述べている。航空機の操縦士及び客室乗務員を代表する団体 Eurocockpit も、
低高度空域におけるドローンの存在から結果的に生じる危険性に対して警告した。確かに、500 フィート未満
でさえ、航空救急用航空機、警察用航空機や消火用飛行機、空港付近の空域等、多くの航空交通が存在する。
しかし、この EASA のアプローチは主に人々の良心に頼っているような印象を与えるように思われるという。
2015 年 6 月 16 日に欧州議会運輸・観光委員会(TRAN)の報告担当官 Jacqueline Foster 氏が、
「民間航空の
分野で、無人航空機(UAV)として一般的に知られる、遠隔操縦航空機システム(PRAS)の安全な使用に関す
るレポート草案」
(2014/2243(INI)
)を提出した後、2015 年 7 月 15 日に、ドローンに関する法案を概説する
レポートが、運輸・観光委員会で紹介された。
2015 年 7 月 15 日の TRAN 委員会会合で Foster 氏は、EU が、規則への柔軟かつ巧みな取り組みを行うことを保
証することを強く望んだ。しかし、ドローン規則に関する影の報告担当官である、オランダの欧州議会議員
Matthijs van 氏は、プライバシーと保安のためにさらに多くの保護措置が必要であると述べた。
2015 年 7 月 17 日に同氏は、Foster 氏のレポートに 30 件の修正を提出した。その 1 件は、プライバシー・バ
イ・デザインとプライバシー・バイ・デフォルトに基づくドローンの基準を求めるものである。Van
Miltenburg 氏は、ドローン技術を不法侵入から保護するための研究と、ドローンが飛行できる場所の輪郭と
なる仮想の領域限界を設定するジオフェンシングに、官民の資金供給が行われるべきであると述べた。
Van Miltenbur 氏は、Foster 氏のレポートを、無人機システムの規則に関する航空当局間会議(JARUS)を通
じた国際的なパートナーシップに焦点を当てているとしても批判した。その代わり、民間ドローンの使用に関
する EU 法で、欧州航空安全庁(EASA)にさらに大きな役割が与えられるべきであるという。
2015 年 9 月に、TRAN 委員会は、民間ドローンの使用に関する Foster 氏のレポートについて、投票を行う予定
である。しかし、2015 年 7 月 20 日にポーランドのワルシャワ空港近くで発生した Lufthansa の航空機の最新
のインシデントのために、ドローンについての安全の懸念に関して、EASA、欧州委員会、欧州議会への圧力
が高まるかもしれない。乗客 108 名を載せた Lufthansa の飛行機が、ワルシャワの主要空港に接近した時、ド
ローンとの衝突をかろうじて逃れた。このドローンは Embraer 機の 100 メートル以内に侵入した時、ミュンヘ
ン=ワルシャワ便が約 760 メートルの高度であったと、ポーランド航空管制事業公社(PANSA)は確認した。
飛行経路の変更後、Lufthansa 機は安全に着陸したが、PANSA は、空域に障害物が無くなるまで他の約 20 機
について着陸方向を変更しなければならなかった。警察は、このドローンを運航することに責任のある人間を
特定するために同件を調査中であるが、今のところ成功していない。
ポーランドでは、ドローンは安く、容易に手に入るが、諸規則により空港の半径 20 キロメートル(12 マイ
ル)内ではこれらが禁止されている。しかし、ポーランドの空港当局は、だれかが「着陸中の飛行機の目前で
突然ドローン飛ばすことを決定しない」かどうか、チェックするのは不可能であるように思われる。
特別な規則を持つ少数の EU 加盟国のうち、ドイツは 6 月に、空港から 1.5 キロメートルの周辺フェンス内で
のドローンの使用を防止する新ルールを導入した。この除外ゾーンを越えてドローンを飛ばすことを望む者は、
航空管制当局からの許可を申請しなければならず、ドローンのサイズによっては、50 メートルよりも高い高
度で飛行させることはできない。
★EASA が第三国の航空会社に対する、新たな航空安全許可証制度の導入に着手(欧州コンサル 0721)
欧州安全航空安全機関 (EASA)は、EU の到着地への飛行を希望する第三国の航空会社に対する、EU 全土の航
空安全許可証制度の導入の手続きを現在行っていることろである。2008 年には、欧州議会と欧州理事会が
EASA に、外国の航空会社の安全性の認定を行うことにより、第三国の航空会社から派生する行政的な負担を
簡素化および軽減する、欧州単一のシステムの構築を要請した。2016 年までには、EU への航行を希望する、
全ての EU 域外の航空会社は、EASA が発行する、単一の航空安全許可証である、第三国運航会社(TCO)安全許
可証の保有が義務付けられる。
EASA は、2014 年 4 月 29 に欧州委員会によって採択された、PART TCO として知られている、欧州委員会規則
の指令に基づいて、TCO 安全許可証の発行を行う。新たに施行される PART TCO 規則は、既存の EU 航空安全リ
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スト規則および SAFA (外国航空機の安全性評価)を補完する。単一の第三国運航会社 (TCO)安全許可証は、
現在保有が義務付けられている複数の国内の安全許可証を代替するもので、EU 全土で有効であり、EASA が
「ワンストップショップ」として TCO 許可証に関する手続きを、一手に引き受ける。
単一の航空安全許可証は、第三国の航空会社が国際的な安全基準を遵守していることを証明する。従って、
TCO については、EU 加盟国は、運航許可承認の手続きの一環として行ってきた安全性評価を、TCO 安全許可証
を保有する航空会社に対しては今後行うことはない。しかし、Part-TCO の下、EASA 加盟国は、商業契約 (乗
り入れ権)、運航許可証、保険、騒音削減規則、安全性、飛行場手続きなどには継続して携わる。このため、
単一の TCO 安全許可証を取得したとしても、第三国の航空会社が運航している各 EASA 加盟国おいて、これら
の航空会社が各国別々の運航許可証の取得を免除されるわけではない。むしろ、EASA の TCO 安全許可証はこ
のような認可を得るための前提条件である。
また、EU 全土にわたる安全性検査が、共同体の航空機安全性評価 (SACA)制度下で行われる。TCO 単一安全許
可証は 32 か国の EASA 加盟国において有効であり、
現行の様々な制度を置き替える。28 ヵ国の EU 加盟国の他、
EASA 加盟国には、アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーおよびスイスが含まれる。これらの、EU
加盟国に加盟していない、欧州の国々は、基本規則 (2008 年 2 月日の、規則 (EC) NO.216/2008)の第 66 項
に基づいて、EASA の活動に参加している。
EASA 長官である、Patrick Ky 氏によると、100 ヵ国以上からの、合計 700 社の外国の航空会社が EU での運航
許可を申請済みである。最初の 22 の新たな TCO 安全許可証が、米国、ロシア、日本、オーストラリア、ニュ
ージーランド、韓国、湾岸諸国、イスラエルおよび中国に発行されたが、追加の安全許可証が順次発行される
予定である。
これらの最初の 22 の安全許可証は、2015 年 7 月 2 日に、ブリュッセル空港で開催された式典において、欧州
委員会運輸担当委員である Violeta Bulc 氏が同式典に参加する中、Patrick Ky 氏によって署名されたもので
ある。欧州委員会運輸担当委員の Violeta Bulc 氏によると、同制度は、第三国の航空会社が、欧州の航空会
社に対して EU 政府によって課せられた安全基準と「比較することのできる」安全基準を遵守することを確保
することによって、安全性の強化につながると期待されている。TCO 許可証制度は EU の航空会社には適用さ
れないが、EU の航空会社は引き続き、国家の航空監督機関によって実施される安全性の監督及び認証の対象
である。
★FAA が海外の認定事業場の監督に関するガイダンス及び検査官の教育訓練の強化へ(Aviation Daily 0818)
連邦航空局(FAA)は、海外にある認定事業場の米国の規則への順守状況の監督責任の移転について、米国運
輸省首席監察官室(OIG)が懸念を表明した報告書を受けて、外国の航空当局の検査官のための内部のガイダ
ンス及び教育訓練を改善することを約束している。
今回の動きは、2011 年に米国及び EU の間で締結された航空安全相互承認協定(BASA)から派生したものであ
り、これには現在 18 か国の欧州諸国が名を連ねている。FAA は最近まで、米国籍の航空機の整備を行うため
の認定を受け、又は認定を受けようとしている事業場の監督を行うため、FAA の検査員を欧州に駐在させてい
たが、BASA によって、協定を締結した国に所在する認定事業場に対する FAA の監督責任を、相手国の航空当
局に移転できるようになった。
フランス、ドイツ及びアイルランドに所在する約 200 の事業場では、既存の二国間協定の下で監督責任の移転
が行われていた。協定の適用範囲を拡大したことにより、2013 年 5 月 1 日までに、220 の米国の認定事業場が
新しいプログラムに加わった。これにより、FAA は、ロンドン及びフランクフルトにある事務所を閉鎖するこ
とが可能になった。ロンドン事務所は 2011 年 9 月に閉鎖され、フランクフルト事務所は来月閉鎖される予定
である。
FAA は、予定どおり 2013 年 5 月に監督責任の移転を完了させた。しかしながら、規則の調和を図ることで監
督の重複を防止することについては、前向きな取組みであると広く受け入れられている一方で、先月公表され
た OIG の監査の報告書は、予定どおりであるとはいえ、移転は時期尚早という感が拭えないと結論付けている。
最も重要な問題として、訓練の不備が挙げられる。OIG は、海外の航空当局が米国の認定事業場を「監督する
責任を受け入れる準備が整っている」ことを FAA が確保していないと、FAA を批判している。
二国間協定における主な基本理念の一つとして、相手国の監督の能力を双方が認め合うという点が挙げられ
る。しかしながら、この協定が対象とする国には、航空安全に関する監督の経験が豊富な国とそうでない国が
混在するため、FAA は欧州各国の航空当局が米国の規則を適用する能力があるかどうかを、個別に検証しなけ
ればならない。
「監督責任の移転に先立ち、FAA は各航空当局に対して、検査官の教育訓練、職員数及び予算に関する問題に
ついて自己評価を要請していたが、すべての項目が回答され、その内容が当該航空当局が FAA と同等な能力を
有していることを示すものであることを確保していなかった」と、OIG の報告書は説明している。
FAA は欧州の検査官に対して研修を行ったが、検査官がどのようにして整備事業場を検査し、12 件の「特別要
件」
(欧州航空安全庁(EASA)及び FAA における規則の相違点)を処理するかについての詳細な内容は含まれ
12
ていなかった。その一方で、研修では BASA と既存の規則に焦点が当てられていたと OIG は報告しており、
「結
果として、外国の航空当局の検査官が監督責任を受け入れる準備ができているかや、整備事業場が継続して規
則に適合していることについて、FAA は確信できていない」と記載している。
監察官は、さらに、欧州から米国に引き上げた検査官に関して、任務が明確に定義付けられていないとしてい
る。欧州各国の検査官は、OIG に対して、彼らの FAA のリエゾンとしての役割の重要性及び元 FAA 検査官の全
員が年末までに帰国する予定であると強調している。OIG は、FAA に対して、スムーズに監督責任の移転が行
われるよう、改善されたガイダンスを提供するよう要請している。
さらに、OIG は、FAA に対して、リスクベースの分析のデータとして活用するため、FAA の検査官がこれまで
収集してきたものと同様の検査に関するデータが、引き続き FAA に提供されるようにすることを要請してい
る。新しい枠組みでは、不適合事項への対策は、外国の航空当局の下でとられることになっている。二国間協
定では、検査に関する報告書のすべてを共有することは求められていないが、要請に基づいて提供されること
となっている。
OIG は FAA に対して 12 項目の勧告を行い、外国の航空当局の検査官のためのガイダンス及び教育訓練を改善
すべきであると強調している。また、検査報告に関するデータの更なる共有についても要請している。これに
対して FAA は、5 項目については 2016 年 4 月までに対応を完了させ、残りの項目については 2017 年中盤まで
に対応する計画である。
航空製品整備事業場協会(ARSA)は、OIG の報告は BASA の意義を不鮮明にするものだと述べている。
「これらの協定の意義については、いろいろなところで記載されてきたが、この協定の成否は各政府が協定関
係者としていかに取組みを行うかにかかっている。OIG の報告書は、FAA が FAA 自身及び外国の航空当局の検
査官に対して訓練及び管理ができていないと繰り返すばかりで、国際協力や監督責任を移転することの真の有
効性といった BASA の意義を不鮮明にしている」と、ARSA は会員向けのニュースレター「Hotline」で述べて
いる。
★GE 製エンジンを装備した 787 型機における着氷に関する制限の解除(Aviation Week 0814)
ボーイング及びゼネラル・エレクトリック(GE)は、GEnx エンジンを装備したボーイング 787 型機用の改良
されたエンジン制御ソフトウェアの頒布を開始した。この改良により、高高度においてアイスクリスタルの着
氷(ICI)が発生する状況において課されている 787 型機に対するすべての運航制限が、年末までに解除され
ることが期待されている。
連邦航空局(FAA)が認めれば、2013 年に発行された耐空性改善命令(AD)によって GE 製エンジンを装備し
たボーイング 787 型機に課された、中程度及び激しい着氷気象状態における運航を禁止する運用限界が解除さ
れることとなる。
新しいソフトウェアは、同様に ICI が発生する環境における飛行が制限されていたボーイング 747-8 型機に装
備される GEnx-2B エンジンにもインストールされる。
FAA は、予期せずエンジンの推力が失われた数件の事案(そのうちの 1 件では、対流性の気象状態の中又は近
くを飛行中に GEnx-2B エンジンを装備したボーイング 747-8 型機のエンジンが損傷を受けた)の発生を受け
てこの措置を講じていた。
当初の AD では、ICI が発生する状況が認められた場合には、パイロットは対流性の雲から 50 海里以上離れて
飛行するか、30,000 フィート以下に高度を下げることが求められていた。その後、これらの制限は電子エン
ジン制御装置(EEC)のソフトウェアの変更によって緩和され、747-8 型機では 35,000 フィート、787 型機で
は 37,500 フィートまで ICI が発生する状況での飛行ができるようになった。
GE 及びボーイングでは、最新のソフトウェアにより、すべての制限を解除できるようになると考えている。
ICI の現象は、コア・アイシングとも呼ばれ、主として 38,000 フィートよりも高い高度を飛行中に発生する。
これまで、機体及びエンジンへの着氷は低~中高度の水分の多い雲の中を飛行中に発生すると考えられていた
が、ICI が発生する高度はこれよりも遙かに高い。大量の凝縮された水分が対流性の気象状態の中で高高度ま
で吹き上げられて形成された氷片は、直径が 40 マイクロインチしかなく、これは雨粒の直径の 5%に過ぎず、
通常の気象レーダーで検知することは困難である。
エンジンのコアに入った氷片は、ベーン等の固定された部分の表面に衝突し、氷塊を形成する。その後、氷塊
がはがれて圧縮機に吸い込まれると、エンジンの推力が失われる原因となる。
この問題に対処するために、新しい EEC ソフトウェアは、アイスクリスタル防氷システム(ICA システム)を
制御するようになっており、着氷が発生する状況であることを検知すると、自動的に可変バイパスバルブ(VBV。
GEnx エンジンではブースター及び高圧コンプレッサーの間に取り付けられている。)を作動させ、バイパスダ
クトに氷を排出するようになっている。
2014 年に開発されたソフトウェアでも ICI は発生していなかったが、GE は「運航における微妙な違い」にも
対応できるよう、ソフトウェアのロジックに改良を加え、ついに 747-8 型機及び 787-8 型機の飛行包囲線内の
すべてにおいて、ICI が発生する状況であっても飛行が認められるようにするための道筋を付けた。
このシステムは、それぞれのエンジンが独立して、自動的に防氷が必要であることを検知し、対処できるよう
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に設計されている。787 型機の ICA システム(30,000 フィートになると起動し、28,500 フィートまで降下す
ると作動を停止する。
)は、VBV のバルブドアを 30 秒間開き、その後 5 秒間閉じる 35 秒間のサイクルを繰り
返す。ある運航者によると、ICA システムが作動しても、燃費にはほとんど影響がないとのことである。
通常のエンジンの防氷装置とは独立しているこのシステムが作動すると、787 型機の操縦室のディスプレイの
該当するエンジンの N1(ファン回転数)の表示の上に「ICA」の文字が表示される。このシステムのバルブを
作動させるロジックでは、一定の空気流及びエネルギーが必要であることから、最新のソフトウェアを使用す
る場合には、重量が軽ければ高いマッハ数又は推力を維持しなければならないこととなっている。例えば、航
空機の重量が 320,000 ポンド未満で雲又は視認できる水分の中を飛行する場合には、高度が 37,500 フィート
であればマッハ 0.87 以上を、30,000 フィートであればマッハ 0.79 以上を維持しなければならない。
ボーイング及び GE は、
GEnx-1B 用の最新のソフトウェアが 8 月末までに GEnx エンジンを装備したすべての 787
型機にインストールされると見込んでいる。これと並行してボーイングは、すべての運航制限が解除できるよ
う、FAA とフォローアップする計画を立てている。ボーイングは、「残っている運航制限が解除されるよう、
GE、顧客及び FAA と緊密に連携しつつ、広範にわたる試験及び解析を行ってきた」と付け加えた。
ある運航者は、運航制限が解除されるのは年末になるだろうと述べている。
GE によると、GEnx-2B を装備した 747-8 型機については最近ソフトウェアの頒布を始めたところであり、787
型機よりも若干遅れているとのことである。
★EASA タスクフォースが航空機の安全規則の改善対策の勧告案を発表(欧州コンサル 0728)
2015 年 3 月 24 日のフランスのアルプスにおける Germanwings 航空機墜落事故を受け、欧州航空安全機関
(EASA)は EU 加盟国との協議の上で、フライト運航に関する暫定的な勧告案を発表した。EASA 安全情報機関誌
SIB No.: 2015-04 of 27 March 2015 の中で、EASA は EU に登録済みの全ての航空会社に対して、平常時の飛
行中の業務上、あるいは生理的な必要によって、コックピットから席を外す飛行乗務員に関連して発生する安
全性の再評価を行うよう勧告した。
Germanwings の墜落事故に関する、2015 年 5 月 6 日付のフランス航空事故調査局 (BEA)の予備的な報告書に
よると、副操縦士は自動飛行指示を意図的に切替え、地上に衝突するように降下させた。フランスの検察官の
調査によって、コックピットからのみ開閉できるコックピットの装甲ドアのために、コックピット外にいた乗
務員が、墜落を防ぐための行動を全く実行できなかった事が判明した。これを受けて、EASA は航空会社に対
して、飛行中のコックピットには常に最低 2 人の乗務員の配備を義務付ける手順措置を実施するよう勧告し
た。2 人目の乗務員はパイロットでなくとも良いが、乗務員のメンバーでなければならない。
BEA が行った Germanwings の墜落事故に対する安全性調査については、医学的調査とコックピットの安全性
に関する 2 つの主要な調査報告がなされた。医学的調査では、パイロットが航空機と乗客の喪失を意図して
コックピットにいた理由と状態の解明を行う。このため、乗務員の精神医学的、心理学的および行動科学的な
問題点を中心にした、飛行乗務員に関する医学的検査を義務付ける規則が必須となる。さらに、航空会社の雇
用方針と初回および定期訓練プロセスも調査しなければならない。
コックピットの安全性については、セキュリティの義務事項と飛行安全の義務事項について、検討の調査を
行った。その中では、コックピットのドアのロッキングシステムと、コックピットの出・入の手順について調
査した。
Germanwings の墜落事故に関する BEA の調査の予備調査結果の公表の後に、Violeta Bulc 欧州委員会運輸委員
は EASA に対して Germanwings ジェット航空機の原因究明報告の調査を行うよう、2015 年 5 月 7 日に要請した。
EASA はコックピットドアのロッキングシステム、コックピットの入出手順、およびパイロットのメディカル
チェックの手順などの分野について検討を行う。EASA の Patrick Ky 執行責任者の配下のタスクフォースは航
空会社、飛行乗務員団体、医療アドバイザーと監督機関から選出された、14 人の上級代表者から構成されて
いる。また専門家や関連機関からの協力も求める。
3 回の正式なタスクフォース会議が 2015 年 5 月から 7 月にかけて行われ、さらに付属グループが特別な問題
点について検討を加える。タスクフォースは BEA の予備的調査報告書、収集された証拠、専門家からの聞き取
りなどの結果をもとに作業をした。
「Germanwings 9525 便墜落事故に関する措置についてのタスクフォース」と題する最終的な報告書の中で、
最大の是正措置はコックピットのドアについてではなく、航空医学などの医療問題などを含む、広範な範囲に
またがるものであると、タスクフォースは言及している。タスクフォースは、心理学的検査、航空医学検査制
度および航空医学データシステムを含む、パイロットの初回とその後の継続的な検査システムの重要性を指摘
している。
タスクフォースは 2015 年 7 月 16 日に、6 件の論証に基づいた勧告案を、欧州委員会に提出した。医療の気密
性と安全性のバランスに特別の考慮を行い、安全性の目標と技術的解決策との間の釣り合いを重視している。
勧告 1 :タスクフォースは、コックピット内に常に 2 人の乗務員を配備する措置を維持することを勧告する。
その効果は 1 年後に検証すべきである。航空会社は乗務員に対して、これに関連するリスクを最小限に確保す
るための、適切な補足的措置を実施すべきである。
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勧告 2 :タスクフォースは、全ての航空会社のパイロットが訓練の一環として、あるいは乗務の前に、心理学
的な検査を受けるべきであると、勧告する。航空会社は充分な検査が行われたことを証明しなければならな
い。初回およびその後の継続的な航空医学的検査の心理学的な検査と、航空医学検査官に対する関連の訓練を
強化すべきである。EASA はこの目的のために特別な手引書を作成する。
勧告 3 :タスクフォースは、航空会社が少なくとも後述の場合には、ランダムに薬物とアルコールの検査を強
制的に行うことを、勧告する。即ち、初回のクラス 1 の医学検査時、あるいは航空会社に雇用された時、事件
/事故の後、正当な理由がある時、検査で陽性結果が出た後の継続監督のため、などである。
勧告 4 :タスクフォースは、航空医学検査官が知識を現実的に適用できるか否かを含めて、彼らの能力に対す
る、強力な監視プログラムの確立を勧告する。加えて、国家監督機関は航空医学検査官の訓練と実践に関し
て、心理学的および意思疎通の検査能力を特に強化すべきである。互いに支援を分かち合うための航空医学検
査官のネットワークを作るべきである。
勧告 5 :タスクフォースは、国家的規則によって、被験者 (パイロット)の機密保守と公的安全の保護との間
の適切なバランスが保たれるようにすべきことを勧告する。タスクフォースは、航空医学情報の共有と無申告
のパイロットの防止のために、最初のステップとして、欧州全土の航空医学データ記録簿を創設すべきことを
勧告する。EASA はそれに必要なソフトウェアツールを作成するプロジェクトを主導する。
勧告 6 :タスクフォースは、パイロットを罰則で律する労働環境ではなく、且つジャストカルチャー (公正な
精神)の原則を貫く自覚を促進する、雇用会社の安全管理制度に連結した、パイロット支援システムと報告シ
ステムの実施を勧告する。異なる組織規模と成熟レベルに対して適切な運用が行われ、職種および契約のタイ
プに応じて、種々の要求事項を適用していくべきことを勧告する。
欧州委員会は将来の施策を決定する前に、これらのタスクフォースの勧告案を充分に検討するであろう。その
結果、欧州委員会が立法化の必要性を認めれば、EASA は具体的な提案の策定を求められ、やがてそれが EU の
航空安全規則の一部となる。EASA は法律の形をとらない手引書と、情報共有を行う実践的なツールを作成し、
EU 加盟国および航空業界の行動を監視することを求められる。
★模擬飛行装置が ICAO の UPRT ワークショップで注目を浴びる(Aviation Daily 0827)
注 1:操縦不能 LOC-I=Loss of Control In-flight
注 2:異常姿勢回避回復訓練 UPRT=Upset Prevention & Recovery Training
飛行中の操縦不能(LOC-I)は航空機における死亡事故の主な原因であるが、これを防止するため、国際民間
航空機関(ICAO)は、1 年間の国際教育ワークショップを開催しており、航空会社で異常姿勢からの回復のた
めの訓練を行う教官がこれに参加している。
LOC-I は、空力的な失速や機体の異常姿勢といった兆候を伴うことが多い。ICAO は昨年、
『航空機の異常姿勢
の防止及び回復のための訓練に関するマニュアル』を発行した。さらに先週、トルコのイスタンブールで 2
日間にわたって開催したイベントでは、トルコ航空の模擬飛行装置を用いて異常姿勢の防止及び回復のための
訓練(UPRT)の実演で最終日を締めくくった。ペルーのリマで 6 月に開催された同様のイベントでは、模擬飛
行装置は使用されなかった。
ICAO のマニュアルは、模擬飛行装置を使用した理論の学習及び実機による訓練の統合の必要性を強調してお
り、特に、UPRT に関する知見を深めたい航空会社の模擬飛行訓練の教官にとって有益な情報が盛り込まれて
いる。サウスアフリカ航空やデルタ航空をはじめとする複数の航空会社が、Aviation Performance Solutions
社(APS 社)のプログラムを利用して教官の訓練を開始している。
連邦航空局(FAA)は 2019 年 3 月から、米国の航空会社の操縦士に対して、UPRT 及び模擬飛行装置を用いた
完全失速からの回復の実演を義務付ける方針である。
現時点では、通常、航空会社の操縦士に対して、模擬飛行装置で失速の兆候に対応するための訓練のみが行わ
れている。一方、ICAO の標準及び勧告では、操縦士は初期訓練及び定期訓練の中で UPRT を受けるよう規定さ
れている。
アリゾナ州を拠点とする UPRT 企業である APS 社の運航基準担当副社長の Clarke McNeace 氏は、イスタンブー
ルのイベントでボーイング 777-300ER 型機の模擬飛行装置の実演を行った。また、CAE 社の国際安全主任担当
者の Lou Nemeth 氏はボーイング 737-800 型機の模擬飛行装置を用いて同様の実演を行った。
普段は教官として右側の操縦席に着席している McNeace 氏は、トルコ航空等の航空会社の操縦士等の参加者が、
代表者が左側の操縦席に着席して特定の訓練シナリオを試しているところを後ろから見学できるよう、模擬飛
行装置のモーションを停止させたと説明した。
McNeace 氏によると、いずれの操縦士も他の参加者と 2 人で、それぞれ 20 分間の模擬飛行を行い、4 つの UPRT
のシナリオを体験したという。
「今回は、空力的、生理的及び人間工学的な課題について議論を行った。本来、これらは航空会社の訓練プロ
グラムの中で触れられるべきであるが、通常言及されることがない」と McNeace 氏は話している。
★【アメリカ】2012 年 連邦航空局(FAA)授権法成立
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http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_3491889_po_02510201.pdf?contentNo=1&alternativeNo=
*連邦航空局(FAA)の今後 4 年間の活動を授権する法律が、2012 年 2 月 4 日、大統領の署名を経て成立した。
主要な論点は、地方の小規模空港への補助金の継続や労組に関する条項であった。4 年間の授権法が成立した
ことで、FAA の予算が安定的に継続できることになる。
・法案審議の主要な論点は、航空業界や鉄道業界の労組への全米調停委員会(NationalMediation Board: NMB)
規則の適用の可否、ロナルド・レーガンワシントンナショナル空港の長距離便の発着枠の拡大、利用者が非常
に少ない地方の空港へ運航する航空会社への補助金の存続などであった。
<主要な条項>
2012 年法の主要な条項は、次のとおりである。
◇授権額
・2012 年度から 2015 年度までの 4 年間に、総額で 634 億ドルを連邦航空プログラムに授権する。内訳は、
空港改善プログラムに 134 億ドル、FAA の運営に 383 億ドル、FAA の施設装備勘定に 109 億ドル等である。
・2015 年 10 月 1 日まで、現行の航空燃料税や航空券税、航空貨物税等の税率を維持する。FAA への登録や
申請等に新たな手数料を課す。
・空港定期航空路信託基金(Airport and Airway Trust Fund: AATF)を引き続き空港財源等とすることを認め
る。AATF は 1970 年空港定期航空路歳入法によって設けられた信託基金で、航空券税等を財源とするもので
ある。
◇航空管制システム
・地上のレーダーによる航空管制システムから、衛星を利用した GPS(全地球測位システム)技術に基づいた次
世代航空管制システム(NextGen)を、全米で 35 の大規模空港に 2015 年までに導入するための実施計画を FAA
局長は策定し、進捗に関する年次報告書を連邦議会に提出しなければならない。
・FAA 局長は、5 年間を任期とする NextGen 首席担当官を任命しなければならない。また、正確な航空管制
のために、航空機の遅延を減少させ、燃料効率を改善し、安全性を向上させる基準を設定する。
・航空管制近代化監視委員会を設置して、FAA の航空管制の近代化を監視する。
◇ロナルド・レーガンワシントンナショナル空港
・長距離便の発着枠を一日当たり 8 往復分増やす。
◇小規模空港への運航の補助金
・利用者の少ない地方の小規模空港へ運航する航空会社への補助金(Essential AirService Program: EAS)は、
継続する。ただし、利用者一人当たりの補助金の上限を設定し、対象地域も限定する。
・下院法案には補助金を 3 年間で廃止する条項が盛り込まれていたが、最終的に継続されることになった。
◆労組
・FAA 職員に対して、労働争議の新たな解決手続を導入する。FAA とその交渉団体が合意に達しない場合は、
連邦調停斡旋局(FMCS)を利用することができる。
・航空や鉄道業界職員が組合を組織しやすくした 2010 年の NMB 規則の適用を維持する。
・労組の選挙実施要求請願に必要な組合員数の要件を、35%から 50%に引き上げる。
◇海外航空機修理拠点
・認定海外航空機修理拠点への FAA の年次検査制度を確立し、検査を強化する。
・FAA は航空機修理拠点の職員に、外国政府との協定に基づいてアルコールと薬物の検査を実施しなければな
らない。
◇航空安全強化策
・ヘリコプターによる緊急医療サービスの乗員、医療スタッフ、患者の安全性改善のために、FAA の安全規制
を強化する。
◆操縦士免許
・FAA は、操縦士免許証を変造しにくいものとし、生物学的認証などを含むものとしなければならない。
・また偽造免許証や変造免許証を識別する方法を開発しなければならない。
★緊急着陸先を自動選定=巨大地震で空港被災時―国交省(時事通信 8 月 26 日)
国土交通省は 26 日、南海トラフ巨大地震・首都直下地震対策本部(本部長・太田昭宏国交相)を開き、2016
年度の重点対策を決定した。
空港が被災して閉鎖された場合、その空港に向かっていた航空機を緊急着陸させる代替空港を自動的に選ぶシ
ステムを開発し、16 年 4 月から稼働させることが柱。
11 年の東日本大震災では、羽田、成田両空港を目指していた 86 機が管制機関の指示を受けて目的地を変更し
た。しかし、管制機関が電話や無線を使って航空機の残燃料を 1 機ずつ確認したり、受け入れ可能な空港を選
定したりするのに手間取り、14 機が燃料不足状態のまま長時間飛び続けた。
システム導入によって、各機の燃料の残りを自動的に計算し、どの機をどの空港に向かわせるか、迅速に決め
ることが可能となる。膨大な調整作業が不要となるほか、関係者間の行き違いや人為ミスも避けられるという。
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★「ドローン規制法案」
、委員会で可決 今国会で成立へ(フジテレビ系(FNN) 8 月 26 日)
小型無人飛行機「ドローン」の飛行ルールなどを定めた航空法の改正案が、衆議院国土交通委員会で可決され
た。今の国会で成立する見通し。
改正案は、小型無人飛行機「ドローン」が、4 月に首相官邸の屋上に落下したことを受けたもので、飛行は原
則、日中の時間帯にすることや、状況を常に監視すること、住宅密集地や空港周辺の上空では、国の許可を必
要とすることが柱となっている。
委員会での採決では、農業や災害対応での活用については、柔軟な対応を求めるなどの付帯決議が盛り込まれ
た。
航空法改正案は、27 日の衆議院本会議で可決され、参議院に送られる見通しで、今の国会で成立する運び。
★FAA が次世代型航空管制音声記録装置を公募(Aviation Daily 0824)
連邦航空局(FAA)は、2021 年に従来の装置が「維持できなくなる」のを防ぐため、450 の民間の航空管制施
設及び 300 の軍の航空管制施設のデジタル音声記録装置の交換に向けて、動き出した。
新しい国家航空システム音声記録プログラムの詳細は、8 月 20 日の提案依頼書に記されている。新しい音声
記録装置は、2007 年に交わされた 7 年契約に基づいてイスラエルの NICE System が設置した従来のデジタル
システムを、置き換えることとなる。当時、NICE System は、このシステムによって、FAA は音声、写真、飛
行計画等の事案に関するマルチメディアの情報を「初めて一か所で」収集することができることとなったと述
べていた。
FAA は、新しいシステムはより容量の増加した国家航空システム(NAS)に対応するものであり、老朽化した
デジタル記録システムを置き換えることによってシステムの信頼性の向上及び運用コストの減少が図られる
と述べている。
新しいシステムでは、インターネットプロトコルを使用した音声通信、テキストから音声への変換及び音声か
らテキストへの変換、NAS 全体からの記録へのアクセス、クラウドを利用したデータの記録、予め設定した時
間における音声の記録等の新しい機能が加えられる。
FAA は、航空管制施設に対し、運航に関する通信を「可能な限り多く」記録するよう求めている。また、デジ
タル記録装置による記録は、航空管制官、パイロット、地上航空管制施設に対して「法的に認められる記録」
として使用することが可能になっており、
「これらの記録は、事故等の調査、捜索救難、訓練、評価、品質保
証、リスクに基づくモニタリング及び情報公開法による開示請求への対応に用いることができる」と FAA は述
べている。
FAA は、2017~2018 年に契約を交わしたいとしている。
★航空企業のパイロットが UAV に「大きな懸念」
:ALPA(Aviation Daily 0824)
エアラインパイロット協会(ALPA)によると、無人航空機(UAV)の運航によって生じる安全面の問題に対し
ては、多方面にわたるアプローチが必要である。
連邦航空局(FAA)は、
「パイロットによる報告のうち UAV に関連するものは、2014 年には合計 238 件だった
ものが、今年は 8 月 9 日の時点で 650 件を超えている」と警告している。ALPA の Tim Canoll 会長は、ALPA
の会員が UAV に対して「大きな懸念」を示しており、「規制当局や公的機関は、このテクノロジーへの遅れを
取り戻すための取組みを行っているところである」と話す。
Canoll 氏は、安全面での懸念事項を、民間航空機が飛行する空域で運航することを意図していない小型 UAV
によるもの及び民間航空機との飛行する空域を共有するより大型の UAV によるものの 2 種類に大別した。
小型 UAV については、ALPA は操縦者への教育、小型 UAV が空港から 5 マイル以内に接近することを防止する
ための「ジオフェンシング」技術の導入、事案発生時に所有者を特定できるようにするための UAV の登録及び
民間航空機が飛行する空域に侵入した操縦者に対する「より正式な」取締りを推奨している。
Canoll 氏は、
「MD-80 型機に吸い込まれた UAV の残骸が出てきた際に、所有者を特定する」ことができるよう
に、小型 UAV の購入者に「店頭での登録」を義務付けるべきであるとし、小売店等の店頭で、店員が身分証明
書を確認してから販売するべきだと語る。
民間航空機と空域を共有するような運航を行うより大型の UAV については、FAA の監督の対象とする必要があ
り、また、旅客機と「全く同じ方法で運航すること」を確保するための規則の施行、つまり、操縦者に対す
るパイロットとしてのライセンスの発行及び衝突を防止するための装置の装備が必要であると Canoll 氏は述
べている。
なお、
「
(UAV の運航が)安全に行われる限り」
、ALPA は UAV を「強く支援している」と、Canoll 氏は強調し
ている。
★ポスト京都議定書:国連、パリ気候サミットに向けた交渉文面の修正版を発表(欧州コンサル 0730)
京都議定書の第一約束期間が 2012 年に終了し、EU と他の少数の国しか第二約束期間への参加を決定しなかっ
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たため、ポスト 2020 年について新たな世界的ポスト京都条約が交渉されなければならなかった。新たな世界
的気候協定は、2015 年 11 月 30 日~12 月 11 日にパリで開催される国際連合気候条約(UNFCCC)会議で批准さ
れ、2020 年に発効する予定である。
欧州連合は、国際的な海運と航空による排出を削減するための世界的な取り組みを望んだ。このため、EU に
よって追加された新たな文面では、海運と航空が標的となっている。その結果、新文面では、
「国際的な航空・
海上輸送に関する、世界的なセクター毎の排出削減目標の必要性と、国際民間航空機関(ICAO)および国際海
事機関(IMO)を通じて、これらの目標を達成するための世界的な枠組み政策を作成するために、全締約国が
作業することの必要性について、締約各国は合意する」と述べられている。
ICAO と IMO は「適応基金に資金援助を行うための課金制度の開発」を促すべきである、とする以前の文面も
維持されている。
2015 年 6 月 1~11 日にボンで開かれる次ラウンドの交渉で、意図は文案を簡素化しつつ前進することであっ
た。しかし、内容についてはいかなる決定も行わなかった。
このため、開発途上諸国と富裕諸国間の差異、中国やインドといった新興諸国の役割、最貧諸国が気候変動に
適応し、
「グリーン」エネルギーを開発するための財政援助と技術援助並びに気候変動のための各国への賠償
問題、将来の国際協定の法的位置づけ、といった最も困難な点は未決定として残った。
さらに、海運・航空セクターGHG(温室効果ガス)排出に関しては、これらの排出は 1997 年の京都議定書から
は除外された。ジュネーブの最終文面は、ポスト京都合意に航空または海運による GHG 排出削減のための目標
を言及するという、EU の提案を伴って終了したが、ボン交渉の期間中に行われたさらなる文面改善は全くな
かった。ボンでの交渉は、海運または航空が新気候協定に取り込まれる方法を、さらに明確にすることなく終
了した。
2015 年 10 月 19~23 日の UNFCCC 会議で、政府高官らが、UNFCCC パリ会議で最終的な主要事項を交渉する予定
の大臣らの指導により、文面を更に簡素化することを目指す予定である。
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