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21佐監第69号−6 平成22年3月1日 佐倉市長 蕨 和 雄 様 佐倉市監査

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21佐監第69号−6 平成22年3月1日 佐倉市長 蕨 和 雄 様 佐倉市監査
21佐監第69号−6
平成22年3月1日
佐倉市長
蕨
和
雄
様
佐倉市監査委員
松
林
勝
佐倉市監査委員
舩
越
豊
佐倉市監査委員
押
尾
豊
幸
平成21年度工事監査報告
地方自治法第199条第5項の規定により工事監査を執行したので、その結
果を同条第9項の規定により次のとおり提出します。
記
第1
監査の期間
平成21年11月30日から平成22年2月26日まで
第2
監査の対象
佐倉市立志津中学校体育館改築建築主体工事
第3
監査の場所
佐倉市立志津中学校
第4
監査の主眼及び方法
佐倉市監査基準の各着眼点に準拠し、特定非営利活動法人建設技術監査
センターへ技術調査を委託、技術士の派遣を受けて実施しました。
第5
監査の結果
対象工事に係る計画、設計、積算、契約、施工計画及び工事監理、各種
検査・材料試験、環境保全等については、概ね適正かつ効率的に執行され
ているものと認められましたが、技術士からの提言事項については、適切
な対応を講じてください。また、工事監理については、定期的に予定され
たものだけでなく、不定期にも行うことにより有効適切な監理の効果があ
1
がるよう努めてください。
なお、技術士から提出された工事監査技術調査業務報告書については、
別紙のとおりです。
2
佐倉市監査委員
様
工事監査技術調査業務報告書
監査対象工事:佐倉市立志津中学校体育館改築建築主体工事
調査実施日:平成22年1月15日
特定非営利活動法人 建設技術監査センター
理事長
五艘
章
目
次
はじめに
・・・2
Ⅰ.工事監査技術調査業務の概要
・・・2
Ⅱ.工事監査技術調査業務の実施要領
・・・4
Ⅲ.工事監査技術調査業務の実施結果
1.計画
・・・6
2.設計
・・・7
3.積算
・・・8
4.契約
・・・10
5.施工計画及び工事監理
・・・10
6.各種検査、材料試験等の実施状況
・・・12
7.環境保全
・・・13
Ⅳ.総合評価と提言・推奨事項
1.工事技術調査の総合評価
・・・14
2.提言事項
・・・15
3.推奨事項
・・・15
おわりに
・・・16
1
はじめに
本報告書は平成 22 年 1 月 15 日に行われた佐倉市立志津中学校体育館改築
建築主体工事に係る技術調査業務の結果について取りまとめたものである。
本工事の概要と調査実施概要について述べた後、調査結果と所見を述べる。
調査は建築、土木、安全、環境を専門とする2人の技術士が専門技術者の立
場と市民の目線を重視して実施した。
Ⅰ.工事監査技術調査業務の概要
1.対象工事名称
佐倉市立志津中学校体育館改築建築主体工事
2.調査実施日
平 成 22年1月15日 ( 金 )
3.調査場所
佐 倉 市 立 志 津 中 学校会議室及 び 当 該 工 事 現 場
4.監査執行者
監 査 委 員
舩越
豊
監 査 委 員
押尾
豊幸
5.調査立会者
監査委員事務局
事務局長
田村
言行
主
査
杉本
康治
主任主事
宮田
幸子
6.業務実施技術士
特定非営利活動法人
主審査員
建設技術監査センター
佐伯 勲
技術士(建設、総合技術監理部門)、
一級建築士、一級土木施工管理技士
審 査 員
山田
秋夫
技術士(建設部門)、土地区画整理士
二級建築士、一級土木施工管理技士
2
7.出席者・説明者
対象部課:教育総務課
:管
課
長
宍倉
義明
同
副 主 幹
渡部
同
主
査
加藤
同
主
査
木邨登志夫
同
主
査
石田三枝子
課
長
星
武
主
査
小菅
慶太
主任主事
寺林
財
課
主 査
補
新日本建設株式会社
耕一
薫
信高
佐々木恭介
廣原
樹也
株式会社能城綜合企画設計事務所 五十嵐正行
同
市毛大路郎
株式会社CMS
市川
隆司
同
古嵜
宗親
同
森脇
正孝
8.工事概要
工事場所
佐倉市井野字内野1376番地他
工
平成21年9月30日∼平成22年6月30日
期
工事内容
建築工事
敷地面積
22,994.81㎡
建築面積
1,501.72㎡
延床面積
1,796.59㎡
規模・構造
地上2階
R C 造 ・一 部 S 造
3
Ⅱ.工事監査技術調査業務の実施要領
技術調査は佐倉市監査委員の立会いの下、2名の技術士と工事関係者(発
注者、設計者、工事監理者、施工業者)との面談・質疑応答及び工事現場の
施工状況の確認により行った。調査内容は下記の2項目である。
○工事関係者との面談、工事関係書類及び工事施工状況の確認。
○計画、設計、積算、契約、施工、検査等が適正かつ効率的に行われて
いるか否か、及び工事の監理状況の確認。
1.調査基本方針
(1)弊センターの「工事監査技術調査要領書」の調査事項に基づき、
技術面における調査を行い、設計・施工に関する意見具申ならびに
調査の結果についての報告を行う。
(2)調査に際して、工事関係者との面談や工事関係書類及び工事施工状
況を確認し、工事における計画、設計、積算、契約、施工、検査等が
適切であるか否かを調査する。また、最近、社会的問題になっている
安全・環境保全についても調査を行う。
(3)事前に示された資料を基に審査員技術士が質問書を作成し、工事関
係者からの回答を確認しながら工事監査技術調査を進める。
2.調査内容
工事技術調査の具体的内容は以下のとおりである。
(1)計
画 :基本計画、工事概要、計画留意事項、工期の設定、関
係者・地元との説明・協議、バリアフリーの対応等
(2)設
計:適用する設計基準の書類名、特記仕様書および設計図
書、構造計算、地質調査報告、設計変更等
(3)積
算:適用積算基準の書類名、工事の積算・見積、VE提案
(4)契
約:工事請負契約、業者選定資料、落札率等
(5)施 工 ・監 理 :諸官庁への届出、施工計画、作業手順、施工体制台帳、
施工図、下請通知、安全衛生管理体制書類、関連工事
との連絡調整、工事監理記録、記録写真、日報等
(6)検 査 ・試 験 :材料・試験検査等の記録等
(7)環 境 保 全 :設計・施工時の環境保全対策(騒音・振動、廃棄物処
理、有害物質等)
4
3.主な調査資料名
(1)計画概要
(2)基本設計説明資料
(3)設計図書一式(設計図、特記仕様書)
(4)構造計算書
(5)地質調査報告書
(6)契約関係書類
(7)積算関係書類、単価作成基準
(8)工事工程表
(9)施工計画書(総合施工、仮設、各工程)
(10)施工体制台帳(施工体系図)
(11)定例打合せ会議記録
(12)安全管理書類(統括安全衛生管理組織表、安全管理計画書、安全協議
会記録、安全巡回点検表等)
(13)品質管理簿
(14)試験・検査記録
(15)産業廃棄物関係書類
(16)工事記録写真等
4.技術調査進行状況
場
所:佐 倉 市 立 志 津 中 学校会議室及び当該工事現場
日
時:平 成 22年1月15日 ( 金 )
午前9時 00 分∼午前 11 時 10 分
出席者紹介、書類審査等
午前 11 時 10 分∼午前 11 時 30 分
現場確認
午前 11 時 30 分∼午前 11 時 40 分
技術士打合せ
午前 11 時 40 分∼午前 12 時 00 分
所見・講評
5
Ⅲ.工事監査技術調査業務の実施結果
1.計画
(1)建設の目的
旧体育館については、築後 41 年経過老朽化し、構造耐震指標(Is)
が、0.32 しかなく、文部科学省の要求値の 0.7 より著しく小さかった。
本施設は、大規模災害時の避難拠点に指定していること、また、1階建
てで、床面積が小さく武道場も無い状況であった。
以上を総合的に検討した結果、今回、建て替えることにした。これは
地域社会の防災上、有益な事業といえる。
(2)建設の経緯
本施設は、市の重点施策事業として位置づけられ、平成 20 年度に基本
設計及び実施設計を実施し、平成 21 年夏に、旧体育館の解体に着手した。
建築工事は、9月より着工し、21 年度、22 年度の2ヵ年継続事業として
いる。
(3)学校等関係機関との協議
計画段階で、学校関係者や関係機関との協議を実施し、特に、建設地
が第 1 種低層住居専用地域のため、日影規制をうけることより、周辺へ
影響を及ぼさないよう留意した。同時に、使い勝手がよく、体育館の機
能が確保されるよう配慮した。
また、付近住民の要望により、学校教育や行事以外に、体育館を使用
することを考慮していた。
(4)バリアフリー対策
玄関からスロープ、ステージへのスロープ、手すりの設置により障害
者の移動を容易にしている。また、多目的トイレも設置してある。
また、隣接校舎との渡り廊下との段差についても、別工事で解消する
ようにしていた。
(5)工程計画
本工事は、市議会承認案件のため、仮契約の後、9月末に議会の承認
を得て正式契約し、本年6月末に完成することで工期設定をした。
昨年 12 月現在、若干、予定より遅れが出ているが、問題ないとのこと
であった。
6
2.設計
(1)設計基準等の整備状況及びその運用
適用された主な設計基準等は以下のとおりであり、適切に運用されて
いた。
①
公共建築工事標準仕様書(建築工事編)
②
建築設計基準及び同解説
③
公共建築工事標準図
④
公共建築工事標準詳細図
⑤
鉄筋コンクリート構造計算基準
⑥
建築鋼構造設計基準
⑦
建築物の構造関係技術基準解説書
⑧
建築改修設計基準及び同解説
⑨
官庁施設の基本的性能基準及び同解説
⑩
官庁施設の総合耐震計画基準
⑪
千葉県福祉のまちづくり条例・同施行規則
(2)設計全般
特記仕様書及び設計図とも工程ごとに整備され、その正確性や理解度
に問題は無く、必要工種の計上も各種工程にわたり、洩れなく計上され
ていた。また、地質調査が全体的には詳細になされていた。
尚、本件については、市外部の 佐倉市公共工事設計業務検討委員会
に設計検討業務を委託し、内容について了承を得ている。
( 3 ) 耐震関連等
本建物は災害時に一次避難拠点として機能すべき施設であるため、
「官庁施設の総合耐震計画基準」に則り、耐震安全性等は以下のとおり
であった。
①
構造体の耐震安全性
Ⅱ類(重要度係数 1.25)
②
非構造体の耐震安全性
A類
③
設備機器
乙類
尚 、確 認 申 請 は 佐 倉 市 建 築 指 導 課 で 、構 造 適 合 性 判 定 は( 財 )
日 本 建 築 セ ン タ ー で 実施した。
(4)将来の維持管理
外装はメンテナンスフリーとし、雨樋は清掃しなくてよいように構造
体に収容した。アリーナの照明は、球切れ対策として昇降装置付とした。
7
(5)建築
アリーナ、ステージ、武道場、器具庫や更衣室等が効果的に配置され
ていた。構造的には、地上階は構造合理性、コスト面、耐震性等から考
慮してRC造にし、屋根は軽量のシステムトラスのS構造にした。
主な具体的事項は以下のとおりである。
各室の配置
①
通常、ステージは長手方向に配置するが、敷地及び周囲への日影の
理由から短手方向に設置し、武道場は、同様に敷地の理由から2階に
配置した。
また、本施設は、付近住民が使用することや選挙時の投票所になる
ことより、スロープを効果的に設置している。
保有水平耐力
②
構造計算において、重要度係数 1.25 を考慮した以上に、20%割り増
して保有水平耐力を計算し耐震性を高めた。
基礎杭
③
本工事に使用した工法は、プレボーリング拡大根固め工法で、支持
や施工時の鉛直性確保の面から選定した。本来、打設深度は、N値 50
程度の地層にするべきであるが、本工事では、かなり深いことより摩
擦力を考慮することにした。
使用杭については、上の杭には大きな曲げモーメントやせん断力が
作用するため、強度が大きいCPRC杭を採用し、下部の杭は、摩擦
力を考慮して節杭のPHC杭を使用していた。
また、基礎杭は、殆ど 2 本組にしているが、1本にして杭径を太く
することが考えられたが、コスト、前面道路、敷地状況や騒音等から
2 本組にした。
④
地盤改良
既存体育館の解体に際し、根荒らしや埋め土により土間コンクリー
トに応力が掛からないように、セメント処理の地盤改良を考慮した。
3.積算
積算は事業目的に則り、経済的に設計がなされていた。
主な確認事項は以下のとおりである。
(1)準拠した基準等
佐倉市発注の建築・設備工事費積算取扱要領に基づき、下記資料を
採用した。
8
積算基準
①
・公共建築工事積算基準
平成 21 年 4 月(千葉県県土整備部営繕課)
平成 21 年 3 月 27 日(国土交通省
・公共建築工事標準単価積算基準
大臣官房官庁営繕部)
・公共建築数量積算基準
平成 18 年 3 月 31 日(同上)
単価
②
・千葉県県土整備部営繕課単価表
・建築工事単価表
平成 21 年 6 月
・建築工事単価表(執務平行改修)
・建設物価
・「積算資料
平成 21 年 7 月」(財)建設物価調査会
平成 21 年 7 月」(財)経済調査会
・建築コスト情報
・建築施工単価
③
平成 21 年 6 月
平成 21 年夏号」(財)建設物価調査会
平成 21 年夏号」(財)経済調査会
見積り
メーカー見積りを採用している。見積りは原則 3 社から取り、見積
り工種ごとに直接工事費の合計が最低の価格に実勢率を乗じている。
(2)積算価格の妥当性の検討
積算のチェックについては、設計委託会社の成果品として提出された
図面、積算内訳書、数量調書などを照合により、担当者及び上司がチェ
ックしていた。
(3)コスト縮減策
設計時に、工法や材料等を比較検討してコスト縮減に努めていた。
市外部の
佐倉市公共工事設計業務検討委員会
においても、コスト面
を含めて検討されている。(例:基礎杭の打設本数、架構種類等)
(4)諸経費の率等(共通仮設費・現場経費・一般管理費)
公共建築工事共通費積算基準・公共建築工事共通費積算基準の運営
(平成 21 年 4 月 千葉県県土整備部営繕課)に基づき算出している。
(5)建設副産物
建設副産物については、最も経済的で適切に処分できる場所を具体的
に定め、積算した。
9
4.契約
(1)契約手続き
設計・工事監理
①
基本設計・実施設計業務及び工事監理業務は、市の内部規定により
一般競争入札にした。参加申し込み業者数は、それぞれ、20 社と3社
であった。尚、設計及び監理業務は低入札価格調査制度の対象外であ
った。
工事
②
市の内部規定に則り実施し、一般競争入札とした。参加申し込み業
者数は、12 社であった。工事は低入札価格調査制度の対象であるが、
落札業者は基準超であった。
予定金額、契約金額、落札率(税込み)
③
契約件名
設計業務
建築工事
工事監理業務
予定金額
A
契約金額
B
落札率(B/A)
5,460,000
44.39%
364,350,000
288,750,000
79.25%
6,750,000
4,956,000
73.42%
12,300,000
(2)契約書類の整備状況
契約に関する必要書類は適正に完備していることを確認した。
契約に関するファイルの提示があり、工事請負契約書、工事着工届、
工事工程表、監理技術者等選任通知書等を確認し適正であった。
5.施工計画及び工事監理
(1)施工計画書の整備
総合施工計画書及び各種工程ごとの施工計画書が作成され、施工方法、
品質計画、安全対策等が記載され、ファイルごとに整備されていた。
(2)安全衛生管理
現場代理人は安全管理の重要性を十分認識し、労働基準監督署への手
続き、安全管理体制、新規入場者の教育、仮設工の設置、作業員の健康
管理、下請業者への指導等を適切に行っていた。
関係者間の協議体制の計画は安全衛生委員会等で作成し、協議の実施
状況や議事録等を確認した。また、工事現場の巡回・点検については、
現場代理人が責任者として日誌に記録している。
10
(3)現場書類の整備状況
下記の書類を確認した結果、整備されていた。
・工事記録写真、工事記録、定例会議議事録
・主な申請書、届出書
・工事所安全衛生管理組織表、施工体系図
・緊急時の管理組織及び連絡体制
・安全衛生協議会の開催状況
・統括安全衛生責任者、元方安全衛生管理者の現場巡視状況
・安全衛生環境協議会の毎月の開催状況
工事記録写真について、工事の進捗に合わせて記録写真が撮られて
いるが、日付が入っていなかった。(提言事項参照)
(4)工期関連
工期の設定・管理
①
設定工期については前述のとおり設定し、施工計画書の工程表によ
り管理されていた。
進捗状況
②
12 月末見込みの実行進捗度は、12.5%で予定進捗度より、若干遅れ
ていたが、これは基礎杭の製造に予定より日数が掛かってしまったと
のことである。今後の努力で挽回可能とのことであった。
(5)設計書と施工状況との対比及び工事監理
下記のとおり、工事監理書類は整備されており、設計書と施工状況
を対比しても適正な工事監理がなされていることが確認された。
①
監理上の重点事項
本工事敷地が狭隘なため、北側道路の斜線制限と南側校舎棟との隣
棟間隔における窓先空地 6mの確保について厳密さが求められており、
慎重な監理をしている。
本施設は体育館という用途柄、階高が高いため、転落事故などが無い
よう仮設工事など安全面に十分なチェック確認をしている。
また、体育館が使用できない期間を短縮するため、工程管理を適切
に行うよう心がけていることなどが説明された。
工事監理状況
②
各工程について検査や材料承認等の工事監理が適正になされている
ことを工種ごとの工事チェックシートで確認した。
11
施工計画書の整備
③
総合施工計画書及び杭工事施工計画書が関係工事人により作成され、
新日本建設(株)現場代理人より、監理会社(株)CMS管理技術者
経由、発注者である市に提出され、主任監督員迄関係者の捺印がされ
ている。 施工関係図書類の整備は適切に整備されていると判断した。
工事関係者間の調整及び意思疎通
④
毎週水曜日に佐倉市役所管財課・監理者・施工者が出席する定
例会議を開催し、相互の連絡・調整を図っている。
毎月一回月末水曜日に志津中学校・佐倉市役所(教育総務課・管財
課)・監理者・施工者が出席する総合定例会議を開催し、相互の連絡・
調整を図っている。
発注者と監理業務受託者との間の業務分掌は「佐倉市建築工事監理
業務委託特記仕様書」の「工事監理業務区分表」に明確に整理・規定
され、責任の分担が明確にされている。
杭の施工
⑤
施工時には、杭先端の土を回収し支持層を確認しており、また、削
孔機の負荷等により適正な施工管理が行われていた。
杭の垂直度の確認については、施工計画に記述された手順により
直角2方向からトランシット及び下げ振りにより垂直精度を確認しな
がら施工しており、適正に行われていた。
6.各種検査、材料試験等の実施状況
(1)使用材料の品質・規格
使用材料の品質・規格は特記仕様書・施工計画書に明記されている品
質管理(目標)に適合するもので、現場搬入時に、伝票確認・目視・採
寸などで慎重に検査したうえで搬入している。
(2)各種検査、材料試験等の実施
施工上の事前調査・工程内の検査は、特記仕様書及び各工事確認事項
(各工種毎に工事チェックシートを作成済み)に基づき確認・検査等実
施している。
12
7.環境保全
施工中の周辺環境への配慮、廃棄物処理や環境基準関係書類の整備状況
などを中心に調査確認し、良好であることを確認した。主な確認事項は以
下のとおりである。
(1)施工中における周辺環境への配慮
①
近隣の安全のため誘導員を配置し注意を払っている。
②
塵埃飛散防止のためシートなど使用している。
③
周辺道路の清掃などに努めている。
(2)建設リサイクル関連
建設リサイクル法第 11 条通知書(H21.11.27 市長宛)(工事対象 500
㎡以上、建築主事をおく市、当該工事対象床面積 1,797 ㎡)の写しを
ファイルで確認した。再生資源利用計画書・再生資源利用促進計画書を、
CREDAS により作成していた。
(3)産業廃棄物の管理及び処分委託等
建設副産物の処理については、元請け業者から、発注者に建設廃棄物
処理承認申請書が提出されていた。
建設副産物の運搬・処分については、元請け業者がいずれも許可業者と
建設廃棄物処理委託契約(二者契約)を締結し、写しが発注者に提出されて
いた。運搬や処分が完了したものについては、紙マニフェストで確認し
た。
13
Ⅳ.総合評価と提言・推奨事項
1.工事技術調査の総合評価
本調査は、佐倉市立志津中学校体育館改築建築主体工事について、設計
基準、資料等の整備状況及びその運用、設計書、設計見積、工事施工計画
及び工種ごとの工程、各種検査、材料試験等の実施状況等の技術的事項を
重点に実施した。
技術調査の結果は、以下のとおり、全体的には書類及び現場の各調査項
目とも良好であると評価する。
(1)設計基準、資料等の整備状況及びその運用の正否
・適用された設計基準等は前述のとおり、適正に運用されていた。
(2)設計書(設計図書、仕様書、明細書)の正否
・設計は事業目的、法令や現場等に適合し、経済的、且つ効率的に設計
がなされていた。
・学校施設に対しての安全性、バリアフリー等の使用性や将来の維持管
理は、十分考慮されていた。
・環境保全への配慮も考慮され、資源の有効活用が図られていた。
・使用材料の選定が適切であった。
(3)見積の正否
・積算は事業目的に則り、経済的に設計がなされていた。
(4)契約関係手続
契約に関する必要書類は適正に完備していることを確認した。
(5)工事施工計画及び各工種工程表の正否
・工事施工計画について適正に作成され、また、工種ごとの工程計画も
適切に設定されていた。
・工程、品質、安全等の監理が適切に実施されていた。
(6)設計書と施工状況との対比及びその正否
・工事監理書類は前述のとおり整備されており、設計書と施工状況との
対比が適正になされていた。
14
(7)各種検査、材料試験等の実施状況及びその正否
・各種検査、材料試験等の実施状況が適正に実施されていることを確認
し、工事監理が適正に行われていた。
(8)環境保全
施工中の周辺環境への配慮、廃棄物処理や環境基準関係書類の整備状
況などは良好であった。
2.提言事項
工事記録写真について、工事の進捗に合わせて記録写真が撮られてい
るが、日付が入っていなかった。
工事記録写真において、日付の挿入は工事の透明性を明示するととも
に、「隠蔽工程」においては証拠写真と成り得るものである。撮影板に、
年月日
の日付が無いものを第三者が見た場合、何時、その工程が実施
されたのか理解できない。
また、この件に関しての調査時の説明では、日付の挿入について発注
側として、不都合は無いとのことであった。
これらの点から、日付の挿入は必要と考えられるので、今後、実施す
るよう提言する。
3.推奨事項
(1)コスト縮減等の検討
今回の工事の設計時に基礎杭の工法・本数、躯体の構造、アリーナの
架構や使用材料等をいろいろ比較検討してコスト縮減に努めていた。
これは佐倉市の外部組織の
佐倉市公共工事設計業務検討委員会
に
おいてコスト面を含めて検討されたことが推測される。
概して、設計は設計事務所が提案したものを発注者が検討している例
が多いが、発注者の担当者は、必ずしも建築設計の専門的知識を有して
いるとは限らないため、原案が成案になることが多い。これを外部の者
が見ると、コスト面や施工面で問題があることが散見される。
例えば、VEについては、国土交通省が平成 16 年 10 月に「設計VEガイ
ドライン(案)」を策定しているが、この中で、設計VE、入札時VE、
施工時VEがあるが、設計VEがコスト縮減効果が高いと示している。
今回、この外部組織のメンバーは、建築設計に経験豊富な方々と思わ
れ、いろいろな考えが検討されて、設計図書に反映されたことを推奨す
るものである。
15
(2)ユニバーサルデザインへの配慮
玄関からスロープ、ステージへのスロープ、手すりの設置により障害
者の移動を容易にしており、多目的トイレも設置してあった。
また、調査時の説明では、隣接校舎との渡り廊下との段差についても、
別工事で解消するとのことであった。
一方、本施設は付近住民の要望により学校教育や行事以外に、体育館
を使用すること、或いは選挙時の投票所を想定していたが、その中に身
障者が含まれることに配慮していた。
平成 18 年 12 月、 どこでも、誰でも、自由に、使いやすく
という
ユニバーサルデザインの考えに基づき「バリアフリー新法」が施行された
が、本工事はそれに則った計画といえ、推奨に値する。
(3)書類・写真の整備
工事現場における施工や監理の各書類がよく整備されており、第三者
が見ても整然と理解がいくものであった。
概して、工事遂行に重点が
おかれ、書類が後回しになることも見られるが、本工事の書類整備は、
発注者、施工者及び工事監理者の連携、協力の結果といえる。
おわりに
本事業は、学校校舎や体育館等の教育施設の耐震化であり、前述のとおり、
日本社会でも喫緊の課題に則したものである。また、大規模災害が発生した
場合、耐震化された施設は、一時避難所や防災資材の蓄積所等となり、重要
である。佐倉市では、本計画も含め学校施設の耐震化の事業計画を立ててい
るが、早期に耐震化を達成することを望むものである。
最 後 に 、現在まで工事の無事故を保持し、順調に推進しているが、今後も
施工業者は勿論のこと、工事監理者や発注者の佐倉市も一致協力して安全施
工を完遂し、平成 22 年6月には無事に竣工することを切に期待するものであ
る。
(以上)
[注]VE(Value Engineering)とは、目的物の機能を低下させずにコストを低減する、
または同等のコストで機能を向上させるための技術であり、建設工事においては、設計か
ら施工に至る各段階で、発注者の技術力に加えて、建設業者、設計者等の個別・具体の技
術力を一層幅広く活用することにより品質確保・コスト縮減を図るものである。
(国土交通省のホームページより抜粋)
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