Comments
Transcript
Twinkle:Tokyo Women`s Medical University
Title Author(s) Journal URL 下腹痛について 織畑, 秀夫; 岩本, 淳子; 五味, 春人; 大内, 広子 東京女子医科大学雑誌, 32(4/5):187-198, 1962 http://hdl.handle.net/10470/13921 Twinkle:Tokyo Women's Medical University - Information & Knowledge Database. http://ir.twmu.ac.jp/dspace/ 31 （書薔聯、9騨㌔籍舞調 〔症例検討会〕 下腹痛について 日 時 昭和36年12月8日 揚』所 東京女子医科大学本部講堂 （発言老） 外 科 産婦人科 司 会 文 責 織畑秀夫教授・岩本淳子・五味春人 大内広子助教授 川上 博教授 遠藤雅子 （受付 昭和37年4月10日） 織畑＝最初に症例4からしたいと思います．虫 としまして，腹部全体に筋肉の緊張が強く，デフ 垂切除と手術のところに書いてありますいわゆる ァンスがあります，とくに図1のように，右の下 腹：部に圧痛が著明であります．Blumberg氏症状 があります．圧しましてからよりも離した時の方 虫垂炎です．ここに例としましたごくありふれた 虫垂炎から始めたいと思います。まず最初に下腹 部で痛みがありますと，虫垂炎か Ileusかとい うふうな常識となっていますので，虫垂炎をあげ がグンと痛みが強い．腹膜刺激が起っているとい うふうな事を意味するといわれていますので，あ たわけですが，第4例は11才男子でありまして， る程度炎症が腹壁の腹膜にまで及んでいるだろう 下腹部痛を訴えてまいりまして，経過としまして は2日前より腹部全体に疹痛があり，悪心嘔吐を 伴なって，その後疹痛は右下腹部に限局して便通 なし．そういうわけで来ましたのであります．そ ういった症例は，実は私自身は最近当直をしない ので，まず最初にぶつかってみる場合が少ないの であります．一般開業の先生方では，こういう症 状をみる機会が非常に多い．したがって，ある点 ではそういった診断はそういう方々の方が適確で 図 あります．私どもがたまにお腹が痛むけれどどう 1 かといわれますと，IleusかAppe．かというこ と，そういう感じを受けるわけです．そこで手術 とで到断に苦しむこともありますので，一・番先に しましたが，手術の所見は，腹腔内に膿性滲出液 が多量にあり，回盲部は膿性苔および内部に膿瘍 見る人は非常にその点気の毒なわけであります が，そういった症例が夜間になる程多いのであり を作って，大網膜がその上を被っている．いわゆる ます．体温が37．5℃，白血球数19700，局所所見 腫瘤を形成しているわけであります．そしてこれ Clinico−pathocoal Conference （16） Pains in the abdomen． 一 187 一 32 には虫垂切除術を行なった後，ドレーンを入れて すが，確かめる迄もなく今言いました症状のある おります．こういった2日前からの発症となりま 場合は大体腸閉塞を老えて，早急に手術をすると すと，や・進行した形であります。多少Tumor がありますと診断は確実につきます．しかしな いっても臨床的には間違いでないと思います．え がらドレーンをおかなければならないということ および中央辺に一文字にありまして，その一文字 は，手術した外科医の方からいSますと時期が遅 いという感じが致します．そうすると，まあ1日 目，痛みが起ってすぐ医者のところに行った場合 にある辺りに水平面が見えるような気がします s，こsにありますようにGasが左の横隔膜下 が，Darmの横軸の方向にLiniaeが走ってい る姿が見えます．これは立位ですね．「え刈こ どうなるかということになるのでありますが，そ． ういったGas像と水平面の見えるBildは一・ms ういう場合にはなかなか到定が難しいことがしば は腸閉塞を考えさせますが，右下腹部の方にも少 しばあります．これに関連しまして，この例は急 しGasが見えます．どの辺に腸閉塞があるかと いう問題ですが，まあGasが多ければ多い程下 性の虫垂：炎でありますが，しかもそのうち一部に 穿孔かなんかあって膿瘍を一部形成しかsつてお の方になるということはいえますが，まあ下野的 って，結局手術の後で排膿管（ドレーン）を入れな Gasが少ないので此較的下の方ではなくて，小 ければならなかった．まあ，そういった例であり 腸のあたりで膨らんでいるといった感じを与えま ます．それに引き続きましてこういったものが， す．そういう事で，レントゲンを撮るのが一応確 どういうふうに治るかということが問題になるの 実でありますが，すべての閉合に開腹手術を行な であります． うべきかいろいろ問題がある点もあります．です 次に第5例，これが昔，虫垂切除を行なってそ の後に問題を起した例であります．で，われわれ がよく虫垂切除をやった人をみますと，お腹：が痛 いという時には，その癒着があるのではないか が診断がそう確定した時には早い時期にやって いた方が安全度が高いわけでありまして，この 例もまあ早速手術をした．手術所見としまし て，腹：水は血性のものではなく，Darmは正常 と，大体癒着の責任にしているのでありますが， であり，廻腸終末部から口の方へ約40c皿の所に まあそういった事がはっきりしている例がこれで 10c皿にわたる側々吻合の部がある．こsから40c皿 あります．ところがそうでない場合もありますの で，あとで付け加えたいと思います．この症例5 一ヒに後腹膜及び廻腸同志の癒着がある．この癒着 は24才の男子で，下腹部痛を主訴として参りまし のあるところ辺で内腔の閉塞があって，その辺よ り上の方が非常にふくbんでいるのですが，その た．経過は前の日から下腹部痛に悪心，嘔吐，食 先の方が狭いというので癒着による腸閉塞という 欲不振，便秘等がありますが，尿は正常．ユ0年前 ことができます．前に側々吻合をどこかで受けて に虫垂切除術を行なっています．白血球は9800， いるらしいわけです．病歴iにはその点はつきりし や》多い程度で，体温は37．5。C，やs高い．そし ませんがこれはそういった虫垂切除の後の腸閉塞 てお腹の方をみますと虫垂切除のNarbeの近く の例であります．いつもこういうふうなものばか に圧痛がありますし，デファンス（筋性防禦）が りかというと必ずしもそうではありません．最近 ありますし，腸の雑音（グレン）が聞えます．し 私達が経験している例で，実はこyの看護婦さん かも金属性のTonがあります．一応虫垂切除後 のその癩痕部に癒着が起って腸閉塞ではないか だったのですが，2∼3年前に虫垂切除をしてい と．まあ，これは一一ts普通に誓えられるところで あります．で，念のためレントゲンがあるのです 寸あって白血球をはかると10000を越します．右 下腹部を圧すと圧痛とデファンスがあります．も が，まあ一応そうはいっても，そうでない場合も しそこに虫垂切除のNarbeが無けれげ，これは あるのですからレントゲンで確かめる訳でありま 立派な虫垂炎ですぐOpe．をするわけですが，も ます．症状は右下腹部が痛くなりまして，熱が一・ 一188一 33 うすでに虫垂切除をやってありますのでそれと診 しい訳ですが，習慣的に移動性盲腸ともいってい 断するわけにはいきません．これは私が診ても誰 ます．この例は岩本先生に話していたS“きましよ が診ても症状は全部虫垂炎の症状であります．数 日間様子をみましたがはっきりしません．圧しま すと相当に痛みがあります． デファンスがある う． 岩本：20才の女性で約1年位前から時々右下腹 部痛を訴えております．疹痛のある時に悪心を伴 というので，整形外科の方で診てもらいまして， うが，嘔吐したことはありません．特にStuhl− gangに異常はなく，便秘するとか，下痢しがちだ もしかすると Senkungsabscessか何かあるか と思いましたが，それも否定されました．大体入 院してから一週間位たって，あいかわらず痛みが ということはありませんが，しょつちゆう，そうゆ 続いておりますので，もし手遅れにしてはという う痙痛を訴えて，特に発熱することもなく，疹痛 は特にひどいものではありませんが，何となく重 ことで手術をしたわけです．手術所見は，何も悪 苦しいといった程度の疹痛です．入院される時も いところはありませんでしたが，たSXhその近くに 約10日言前から同様の疹痛があって食欲が悪いと 筋肉が非常にempfindlichで一寸reizenして いうことで，近所のArztでDarmの透視の結 果，その痛みのあたりにVerwachsungでもあ も収縮するというふうな感じであったのですが， だん治って良くなりました．手術後のデファンス るのではないかといわれております．Anamne− seとしては，既往歴にAppendicitisとか特別 結局これは試験開腹に止めましたが，手術後だん やその他の様子をみましても，一種の筋肉痛と筋 の事は何もありません．こSに入院されて白血球 肉の圧迫に対する痙攣性の疹痛というものが丁度 は7000で普通，Leukozytoseはありません．局 Ileocoeca1−gegendに一・致して見られたといえま 所的にはデファンスもはっきりしたものはなく， す．こういつたものが昔あったかどうか今調べて いるのですが，われわれが見た範囲では一寸見当 Mc BurneyのPunktのほかRosensteinの逆 掛け上，非常に虫垂炎に似ております．よく注意 症候がありまして，そこの筋緊張はなくTumor も触れません．何か慢性のAppendicitisではな いかという疑いを持ちましたが，一応Darmの しますとこういった例がその後やはり時々ありま 透視をいたしました．バリウムを注腸しましても して，翫に3∼4例もあります．それが偶然左下 Appendixは造影されませんでしたが，そのCo− 腹部にきたのがつい最近入院された武石先生です ecumの少し内側の方にDruckschmerzがあり まして，Coecumの移動性がmedia11の方に少 らないようです．筋肉痛が主になった変化で，見 が，もしそれが：右側にくれば，ApPendektomie Iになるというわけで，これは臨床上案外隠れた 1つの新しい病気のように思いますので，今調べ しあるように見受けられました．手術前の所見は それだけですが…． 織畑：手術所見はどうですか？ ています．こうゆうふうに下腹部痛といっても内 臓には大した所見がなく，痛いという場合にはこ 岩本＝手術所見としましては，右下腹部にPa− れをApPendicitisとして手術をすると，その後 rarektalschnittで開腹致しましたが，そのCoe− 又，似たような痛みが来る．そこで癒着の疑いカミ cumの附近には別に炎症膠状はありませんで， あり，開けてみると何でもない．どうしょうかと 苦心惨憺していろいろの手術をしても，なかなか Appendixも大体norma1， Coscumに割合に高 度の移動性がありましてこれをCoecumにCo− 痛みがとれないというのがあるようです． ecoplicatioを行なV・ました． 次にApPendicitisと関係のあるものとして移 織畑：どうも有難うございました．これは移動 動性盲腸をとりあげます．移動性盲腸というDi− 性盲腸症というわけで，正常では盲腸が移動する agnoseがついているのですが，移動性盲腸とい ようになっているのは比較的多いわけで，特にそ う診断名よりは，移動性盲腸症という方がより正 れだけでは病的ではないのですが，症例によりま 一189一 34 しては，このように疹痛が時々ある，あるいは便 す．広沢先生の子供さんが手遅れにして，腹膜＝炎 うまくいかないとか，いろいろの症状を起すと， になって入ってきた例があります．お医者さんの 方が，案外間違える場合がある．それはクロマイ まあ移動性盲腸症ということになって，こういっ を使えば何とかなるだうと，少しクロマイに頼り 秘の原因としてそこに便がたまりやすい．通過が たCoecumのTaeniaとTaeniaを寄せて縫い すぎている結果らしいのですが，どうぞ皆さんも 合わせて門門を縮少するような手術を一般に行な そういった点で，御用心していたs“きたいと思い っております．以上で大体Appe．に関係した手 術が3例あげられた訳でありますが，これにつき まして，どなたか御質問なり御意見なりあった ます． ら，言っていたs“きたいのですが，もしなければ 私の方から一つ御願があるのですが，先程いいま したような，下腹部の痛みが時々起る慢性虫垂＝炎 ではないかと心配している例が，案外筋肉痛が主 × g．一N，， であるという症例があるようなので，もしそんな 例がありましたら私の方にまわしていたS”ければ 幸いです． 虫垂炎でちよつとつけ加えておきたいと思いま 図 すが，困りますのは小さい子供の虫垂炎で，痛い 2 のだか何だかわからない．それをどうやって区別 その次は，もうAppe，とは関係ないもので， 症例2をお話し致します．58才の女性で，右季肋 するか，私達外科なものですからよくわからない のですが，もし小児科の先生で，小さな物のわか 部より回盲腸にかけての虚心であります．経過は らない子供が，どうも虫垂炎らしいというふうな 少し長いのでありますが，4カ月位前でありま す．最初穿孔性虫垂炎ということで手術を受けて 時は，どういうところに気をつければ良いのか教 えていた・ければ幸いだと思うのですが，小児科 の先生いらっしゃいますか？ではこれは宿題とし ますが，：私自身の感じを申し上げますと，ついこ の間も内科から外科の方へ3才位の子供が送られ て来まして，虫垂炎ではないかといわれ，診ます おります．その後2カ月位しまして，こちらへ来 る2カ月位前から体重の減少が激しい．それから 手術したあたりのところで腸の音がする．グレ ンがあるというふうなことで，また時々下痢を起 す．1カ月前からは回盲部に鶏卵大の腫瘤が触れ るようになった．2週問位前から腹痛，右下腹部 と，ワアワア泣きだすものですから，お腹の筋肉 の疹痛が出て来ている．4∼5日前には嘔吐があ が非常に全体に硬くなりまして，デファンスとい うと，全部がデファンスでどこを圧しても泣いて った．それで，ある病院でバリウムを直腸から入 いるので，痛いんだか何だかよくわからない．放 っておきますと泣きやみ，お腹が痛いなんて言い 出します．ところが，どこが痛いんだかよくわか れて造影してもらった結果，盲腸部に狭窄がある といわれています．入院当時は回盲部に手拳大の 腫瘤を触れて，圧すと痛く，しかも狭窄によると らない．咽を診ますと咽の扁桃腺が相当腫れてお 思われる雑音が聞えます．図2のように，Tumor のまん中にOperations−narbeがあります．こ ります．そうゆうわけで，小児科へ廻わしたので れは誰iが考えましても Appndicitisがあって， すが後で聞きますとこれはGrippeだというこ その後で何か知らんがやはり炎症が起って具合 とで，一応外科の方の手術は必要なさそうになり が悪くなってんじゃないかと考えやすいわけであ ましたが，こういうものSわからない小さい子の りますが，患者の全体の様子からみますと，軍 診断というのは，なかなか難しいだろうと思いま なる炎症性のものにしてはあまりにも症状がひど 一 190 一 35 い．そういった感じを受けます．このレントゲン ります．その原因は，はっきり致しません．3年 箪純撮影ではガスが相当多くて，一応11eus症 前からは時rt右下腹部嬢痕の部分に鶏卵大の柔ら 状があるとそうゆう事でそれだけで手術の適応に かい腫瘤が出る．又それよりも内側の方に痛みが なるわけでありますが，どういうものであるかと ある．又，腹部膨i満感があるというふうな事で， いうことはなかなか興味のある点でありますが， 主としてこれは癩痕部に癒着が起って，そのため 時聞がありませんので先に言ってしまいますが， 実はこれを四徳しました結果，回盲部の癌であっ に腸狭窄を起しているんじゃないかと考え，それ から簸下部を診ますと鶏卵大に膨れあがっており たわけであります。手術所見にありますように， まして，圧すと柔らかくて更に圧迫すると内容 手焼大の腫瘍は癌であります．それから腹膜にそ が復腔に戻るという癩痕部のHemiaが見られ ます．これはBariumをのんで腸の影像を写し れのDisseminationがあったと，まあそういう ・例で，最初の4カ月前の穿孔性虫垂炎，これは相 たわけですが，横行結腸までいっておりますが， 当問題になるわけであります．結腸癌特に回盲部 ．の癌などでAppendicitisに似たような症状を呈 特にこsに Stenoseがあるからとし・・う二とはは するというような事が本に書いてありますが，ま れだけBariumボ入っている場合には， Dilnn− あそういった例だつたと思います．或は偶然にも darmの方は写らないはずですが， よく：Dttnn− 虫垂炎が合併したかも舞れません．不幸にして癌 darmの影が見えております．よく考えてみると のある事が発見されなかった訳であります．これ は手術しまして，プローベを取って癌とわかり， この辺が一寸問題の個所だったらしいのですが， っきりしません．しかし普通ですと横行結腸にこ 当時は気がつかないわけです．そして術前診断と 一癌そのものは切除不可能でAnastomoseをした しましては， 腹壁ヘルニヤ，それの癒着に伴う そうであります。このレントゲンにあります様に Ileusということで手術致しました．開けてみま すとヘルニヤはありまして，その手術は行ないま 向かって左の：方のColon ascendens｝こ当る部：分 が細くなって，下の方に大きくなっているその i部分がCoecu血に当る訳です．ですから回腸と したが更にもう一つ偶然にも，癒着も多少ありま 横行結腸の吻合が行なわれております．その部分 は4カ月前であったならあるいは切除可能であっ の方に，腸の狭窄があってこの狭窄より窃側の方 は非常に拡張して腸壁が厚くなっております．こ たかもしれませんぶ，乙れとは＝全く逆のような例 れは相当前からあったらしいのですが，他にはこ したが癒着とは無関係に回腸末端から約30c皿吻側 も寿々経験するのですが，それは非常に古いAp・ れに似たような狭窄部は全くないので，珍しい腸 p211dicitiSは監瘍彫成のあと，その周りに非常に 狭窄と思われます．狭窄部をさわりますと固くな 固いWalldを作りましてDarmが寄っておりま す．見かけ上，Tumorと思いまして非常に大変 吻合を行ないました．術後経過は非常にglattで だなと思ってやっているうち．，中に Eiterが出 あります．この切除した標本はスライド御願いi致 てはつ． ｫりするという例もあります．こうゆうふ します．左側が少し狭くなっている所が窮いたと うにAppe．を癌と，癌をADpe．と思う揚合もな きごし． っておりまして，そこでこの部分を切除して端々 ころの狭窄部で，その近くに潰瘍があるわけで 烽?轤ｸということで，一つの良い甲骨に す．あとで病理で呼べてもらいましたが，結核性 の潰瘍ということでありました。 なるかと思います． その次の例，症例3は，46才の男で主訴は腹部 その次の症例4は4カ月の男児で，下復部痛と 膨満感，下腹部痛，右下腹部の腫瘤という事であ 嘔吐，しかしこの下腹部痛たるや自分でいってい ります．これは経過は12年前に虫垂切除を受けて るのではないという事は御想像の通りですが，経 おりますが，10年前に突然腹痛があって匪腹手術 過は2二間前から下痢が続いていたところ，その を受けました時に，腸穿孔があったといわれてお 日の朝に嘔吐が起って，どうも下三部が痛いらし 一191一 36 いということで医師に診てもらい，溌腸してもら Leukozytoseをみつけております． Bauchwand− ったところ血性の便が出たということで外科に紹 abscessか或はileocoecalの何かTumorかと 介された例であります．まあ大体1隔年以内に発 作とそれに嘔吐はあってもなくてもですが，粘血 便が出たりした場合にはJnvaginationを考える いうことでEinlaufを行ないました． Rektunユ からColonはずっと普通なんですけれど， Coe・ というのが通則になっております．この例も直ち にこちらで注腸造影法を行ないましたところが， レ線像のようにColon ascendensのところに蟹 のハサミのような格好の陰影欠損が認められたわ けであります．これで普通少し圧をかけてもとへ 戻すわけですが，うまくすれば戻りますが，戻ら ない例が此較的多いわけです．それで戻らない揚 合には手術を行なうわけで，この例もそれを行な ったわけであります．中には麻酔をかけているう ちに戻って，手術をしてみたら戻っていたという cumの所へ行きまして造影が完全に行なわれな くてIleumの方へBariumが注ぎません．そ れでKrappeがあるために入りにくいのか，或 はTumorとの関係はどうかということがEin− laufをやった先生は確信が持てないがクーロン 氏病とかileocoecalのK：rebsでも，とにかく Tumorであるかも知れないというような事で記 載されています．入院しまして3日目に，非常に Tumorがふえて来まして痛みも増して来て，表 面にいくらかR6tungが見えるような印象を受 けました． こともありますので，時には手術する前にもう一 回注腸造影療法で確かめて手術したという例もあ ります．Invaginrtionは回盲部のところが一一番 多いわけでありますが，回腸が結腸の中にずっと 入っている場合もあります．これもあまり長く放 置すると非常に危瞼でありますので，出来るだけ 早く外科的処置が必要であります． その次が症例7，26才の男子で右下腹部痛と腫 瘤を主訴としております．五味先生，説明して下 さい． Bauchwand−abszess ではないかということ で，結果的にはFehldiagnoseでありまずけれ ども，Inzisio11の目的でOperationされる事 になりました．Bauchwand−abszessは：全くあ りません．それで：Bauchhδ1eのTumorであ ろうということで準備しなおして，続けてLapa rotomieを行ないました．初めはNarbeに一致 したSchnittですけれども， Pararektal・に上 方へのばしまして ileocoecalの部分を全部出し forationだとか何とかいわれなかったそうです． ますと，その部分が主としてSeitenbauchの Peritoneumに非常にfestにverwachsenし， 手の大きさ位のTumorを触れます．それを次第 4年経つで去年の11月頃からOperationしたNa− に・praparierenしていった訳です．けれど途中 五味：5年前にAppendektomieをうけた患 者：さんです．その時は普通のAppe．で特別Per− でTumorが傷つけられまして，その時Eiter がいくらか出ました， しかしそれはDarmの H6hleにつながったわけではなかった訳ですけ rbeの部分に痛みが出て来ました．その頃から Narbeに一致してTumorをふれるようになりま した．痛みは時々消えるのですが，又出て来る． れど，それで全体として炎症性の印象を急性炎症 出て来るとめう時にはTu皿orが大きくなるよう だという訴えをしておりました．9月に他の病院 と慢性炎症を感じ：させる像でしたけれども，ileo一’ で化学療法をうけているようです．今年の11月始 めに再び熱が出て来まして痛みも増して来ました coeca1のResektionを行ないまして， Ileu皿 とColon ascendensを Anastomoseいたしま した．病理の方からHystologyが来ておりまず ので，こちらに参りました．NauseaとかErbre− けれども，淋巴腺はあまり腫れておりません． chenというものはありませんでした． Teerstllh1 2っ3つの柔らかいものが腫れているだけでした 病理の報告によりますと，全体としてFibrose の領域が極めて広く，その反面にはリンパ腺の へ入院しまして熱が出て，お腹が痛いということ とかMelaena・とかの Anamneseもありませ ん．Stuh1も一日に一度正常です．外来で18400の 一192一 37 増生，不規則な潰瘍の形成，又一部には膿瘍性 崩壊を取り巻いて，Reticulumzellenの腺状増 人科で最近見．ました6例の患者の特有な疹痛につ 殖がみられます．これらの変化，癒着性の変形に 基づく慢性炎症というだけではBildがこじれす ら先にやりたいと思いますが．第3例，24才の女 子ですが，左側下腹部疹痛です。他には全然変っ ぎており，多少ともクーuン型に近い形体です． た事はないのですが，ただ左側の下腹痛があるこ 腫瘍性の変化はみあたりません．附属リンパ腺に と，この疹痛はつれるような痛みで，そして左側 の鼠新岡から左大腿部に放散する．長い間立ち仕 も特異性の変化は見えませんという返事が参りま した．Anastomoseを行ないましてVerlaufは 91attで退院致しました． いて御紹介致します．時間の関係で必要なものか 事をすると，非常にそれがひどくなる．こういう 症状であります．で見ても別に大したことはあり 織畑：どうもありがとうございました．スライ ません．内診しても別に変った事はありません． ドお願た致します切除標本をお見せしたいのです が，実はこれのスライドが悪いのでその代りにや ただ特有な点は左側の外鼠経輪のところを圧しま すと非常に圧痛を訴えることと，それから左足で はりクローン氏譜と診断されて，Hystologyで 片方の足で立たせますと左側の下腹痛が非常に強 診断された例がありますのでお見せしますが…今 こSに見えているこの部分が盲腸の部分で，これ ：先にお話ししますど，、外鼠経輪のところに垂直に くなる．これが特徴であります．そして治療から よりずっと上の方で回腸となっているわけであり 注射針を立てまして，1C皿刺し込んでそして丁度 ます．問題になっているのはこの箇所で今Me− 外面経輪のところに塩プロとカンポリジンみたい senterium を切り離してしまったのですが， こ なものを混ぜて注射するか，或は比較的，作用持 の部分の腸は非常に細くなっていて固くなってい 続の長いロンカインか，ランゲカインみたいなも のを注射しますとその後信に治りきってしまって る，細いところが固くなってStrang状になって いる．それより上の方のDarmはこのように非常 一度も後は痛くなくなってしまう事が特長です． に拡張しております．切除しましたのが次のスラ ileo−inguinal Syndromと言いっています．すな イド，この様なものでこちらの方が盲腸，そこか わち腸骨鼠経症候群といっております．何故こん ら回腸，非常にWandが厚く固くなっている．こ な名前をつけたかと申しますとN．ileoinguinalis の辺Mesenteriumがいくらか肥厚している感じ， ますと大部内腔が狭窄を起して狭くなっておりま の神経痛なのです．このN．ileoinguinalisはし の第一から出ております．そこを出ますと背のと ころを横切って，前の方にだんだん出て来てそし これを切り開いたのがこれで，まあこの辺になり すがそうひどい潰瘍は特に見当りません．まあ非 て腸骨のところで前腹壁に出て悩まして，そし 常に結締織性の厚いWandになっております． て最初の間Peritoneumに接近して腹壁のうん このクローン七七といわれておりますものは， と深層にありますが，下に出ていくに従って筋肉 局所性腸炎ともいわれて現在なお原因不明という と筋膜を突き抜けて，そして表層に出て最後に ことで，いろいろの説が有ります．非特異性の二 は，この外鼠経輪のところに出て来ております． そして外鼠経輪のところに出ますと枝別れして大 陰唇と恥丘とそれから鼠脚部の方に広がっており ます．でどうしてこういう神経の局所的神経痛が 表われるかと申しますと，いま申し上げましたよ うに，前腹壁がいろいろの筋層から成っておりま すが，そういう筋層を沢山突き抜けているもので すから，あまり腹壁に力を入れるような過重な労 働を致しますと，その神経が機械的に刺激されま して，その結果おこる神経痛であります．これは 六性疾監とレて靴．注目されております．外国では 多いものであります．本例は三三的慢性なもので ありますから5年前の虫垂切除，その辺からある いはあったかも知れません． 以上で私共の症例は終ったのでありますがその 範囲内で何か御意見，御質問ございましたらどう ぞ．ございませんか．ではどうもありがとうござ いました． 川上：ええ時間があまりございませんので…婦 一193一 38 あまり多いものではなく，私は半年位の間にここ の外来で4例診ておりますが，気をつけて診なく 特微であります．この症状，つまり一口に申しま てはならないことは，診断さえつけば非常に治り こと，常に高度のKongestionがあるということ でこれが特微でありまして，これをKongestion− 易いことであります．一度の注射で治ってしまう のですからこんな面白い病気はないわけなんです が，訴える患者の方は案外これを苦痛にしており ます． すと，Becken内にKongestionがあるという syndromと呼んでおりますが，この事を非常に 強く主張しておるニユーヨ“ク大学のTaylor教 授の主唱によるものですから，Taylor氏Syn− その次の患者は第4例35才の患者でありまし dromとも呼んでおります．これはこのTaylor て，訴えは下腹痛と肩こり，首すじから肩にかけて 教授はこれを心因性のものとしているんです．非 凝って，それから下腹痛がある．それから腰が痛い というような主訴なんです．結局まあ下腹部痛が 常に心配事があったり或は社会的な問題，夫婦間 の問題，友達間の問題，そういったような問題で あるわけです．でこの患者は別に大した事はない 精神的な衝動がありますというと，それが旙下垂 んですが，2年前から月経の前になると非常に肩 が凝って首筋が凝るようになり，頭痛や下腹痛が 体の自律神経中枢に大きな障害を与えてそしてそ 出て来ました．ところが最近月経に関係なく，や 盤内のうつ血だという事になっておりますが，何 はり肩凝りや首筋が凝って，下腹痛と腰痛がひど か知り．ませんが，とにかくそう言うようなうつ血 い．そして又気分の転換が非常にひどくて，日に よっては非常に御機嫌が良くて，挨拶をよくする がありまして，特にこのplexus pampiniform− isに今言いましたようにうっ血がありますと，下 のに，日によってはどなりちらして御主人と喧嘩 腹痛，この下腹痛というのは何も刺す様な，裂く様 して子供を怒り散らす．そういったように非常に な，そう言うひどい呼野ではくてDumpfersch− 気分の転換が激しいというのが主訴なんです．診 断所見と致しましては，子宮腔部が普通よりも大 rnerzであります．それとこの首筋から肩にかけ何 のバランスがこわれて，その結果起るところの骨 ともいいようの無いいやな肩凝りを訴えます．そ きい，子宮が後傾，後屈，或は後傾だけでもいい してそういう患者をつかまえて，あんたはよく夫 のですが，とにかく後転しておって普通よりも大 婦喧嘩をするだろうと聞いたり，機嫌の良い日に きい，そして子宮腔部がlividです．非常にうつ はとてもよく子供をあやすけれども，悪い日に 血がある．その症状として，子宮腔部の粘膜が非 はよく子供を怒ったりするだろうと聞いたりしま 常にこのIividだと妊娠初期のような色をして す，実はそうだという事をよく言います．とにか いる．そして頚管，粘膜の分泌が一般に多い．そ く非常に気分の転換がひどい，そういった様な症 れが特微なんです．その他には別に炎症症状も何 状でよくこれは婦人科にみる症状でありまして， もない．血球の計算だとか，或はその他のいろん これを， Konqestion−syndromといsます．こ な検査をしてもEntzindungを証明するような のSyndromが長いこと続いておりますと骨盤ゐ 症状は何もない．これが今回なんです，でこの態、 Bindegewebeに血液成分のExtravasationが 者は開腹してみますと腹腔内にいくらかのstroh− おこって，次第にFibroblastenが増殖してくる gelbの腹水がいくらかあります，そして子宮はや はり後傾後屈で肥大しておって妊娠の初期のよう し，いきおいそれがnarbigにschrumpfenいた しますから Becken−bindegewebeことに子宮下 に少し藍色をしている，Plexus pampiniformis 野織がfibr6sになります．’fibr6sになりますと （Ligamentum rotundumの中にあるところの それに依っていろんな腰の痛みだとか症状が出て 甲状静脈）が非常に怒張しておって，そして静脈 来ますが，これをひっくるめてTaylor教授iは， 瘤を形成しておる．それが特徴なんです。それか Kongestion fibrosis syndromと呼んでおりま ら広靱帯内にも非常に血管の怒張をみる．これが す．これは非常に多い病気なんです．ことに文献 一194一 39 で見ますと，外国よりも日本の方が多いのではな 一応疑わなくてはならないのであります．この いと患われます． KrankeはTorsionをやった後，すなわち痛み それからその次は第1例，これは私が今から8 年前に満州から引き上げて帰って田舎に行ったら があった直後，Genitalblutungが少し起ってお 突然呼ばれたのですが，高等学校の生従で17才，も blutungを伴うことの方が多いのです。量は少な いけれども伴う事の方が多いのですが，やはりこ ちろんまだMadchenなんですが，今迄時々下 ります．これはちよいちよいある事で，Genital− う「 腹部の緊満感があったり，重苦しい感じがしてお った．しかし大した事はなかったのですが，今日 ｢うBlutungをうっかり間違えて， Darmの 方からのBlutungと勘違いすると，旧いろんな 体操の時間に突然下腹部に，激痛がおこって，半 事を考えなければならないのです． ば意識がなくなったので友人に看護室に運ばれて その次の例，これはまた比較的若い人なんです いって，校医の先生からモヒを注射してもらっ が35才で，これはお母さんがやはり32，33才で大 て，いくらか楽にはなったようだったけれども， きなMyomが出来て手術して，子供が一人だけ しか無いというので，自分もMyomではないか その二又猛烈な痛みがある．校医が御覧になって 何か下腹におできが出来ているようだから婦人科 と心配していたそうです．褥婦で数日前に自然分 医に診てもらうようにという事で呼ばれて，Tu一 娩を済ましております．ところが御産の直後，胎 皿orがありましたので近くの婦人科の先生に紹介 盤が出た後で700∼800ccの出血があったという してやった患者で，後から聞きますとやはり卵藁 わけなんです．胎盤が完全に出ておったのに，そ の後一向に子宮底が下らない．子宮底が高いと 嚢腫のStieltorsionだったそうであります．一 寸外科の先生にお聞きしたいのは，やはりこうい いう事をその助産婦がいっていた．御産して3日 う場合にすぐ，私共はOvarialcysteのStieltor− 後，突然に非常な激痛が起って，出血があって， sionというような事を考えるのですが，その 他に，下腹をおさえて何かTumorがあるよう って疹痛は少しよくなったが．一向に止らない． 2時間後に内科の医者にモルヒネを注射してもら で，こういう突然痛みが起ってくるような疾患で 行ってみると栄養は良いんだけれども急性貧血 すね，例えば先程一寸紹介していただいたInva一 のSymptomがあって，そして子宮底がお産を ：ginationとかStrangulationとかいったような ものは大体二才位までありますか．小さい子供 して3日後だというのに膀高なんです．ところ溺 内診しようとして準備し，消毒した指を腔内に入 だけで16，17オ位ではもう起らないものですか？ れたところ，驚いたことに膣の中に非常に大きな 今迄，このKrankeは時々下腹が重苦しいよう 筋腫を思わせるようなTumorがあります．もう な，張るような感じや気持はしていた方ですが， 少し念を入れてみようと思って膀高に達している まあ体操が出来る位ですから大したことはなかっ 子宮底に指を当てて少し押したところが，ショッ たわけですけれども，こうゆう程度のもので，突 クを起して，ものすごい大きなTumorが出て来 たんです．すぐSubmu1・63e MyomのAbortus だという事で，輸血を1000cc程して，病院でし 然IleUSが起ってくるという様なことも勿論ご ざいませんでしょうね？要するに最初の校医の 方がどうも乙れはOvarialcysteだろうという事 で，そして，そみ近くの婦人科の先生が手術した たので，すぐ開腹手術をしたのですが，私は一二 のですが，やはりCysteのStieltorsionであ の直後，直後といっても2∼3目の間に，正常の 満期産をしながら Neugeborenekopfgrossから りました．やはり織畑教i授のおっしゃいました様 Kindeskopfgross位の大きさの大きなMyomが にに17，18才のM灘chenで今まで大した事の あとでabOrtierenした例をもうこれで2例見て なかったものが突然こうStieltorsionを起す事 おりますが，こういうようなMyomのAbortus はよくある事で，こういう疹痛に対しては，まず が必ずしも御産の後に来るのではなくて，それ混 一・ P95一 40 外普通の時でも，しょつちゆう見られる事なんで Passage・st6run9が起る．それによる下腹痛が起 す．やはりGeburtの時のWehenを：更に強く した様な非常に強いkolikartigのSchmerzで す．Wehenの痛みはUteusのGlattemuskelの 収縮に伴うSchmerzで，やはりGlettemuskel のKrampfですから下痢をする時のKoliksch− merzenと似ているという事ですが，そういった るのでありますが特徴はいつも下腹痛があるけれ ども，その下腹痛が特に月経の前になってひどく なって，月経が済むと軽くなる．こういう症状が 時期と共にだんだんひどくなっていって，今年よ りは来年，来年よりはさらい年というようにだん だん悪くなるというのが特微であります．こうい うようなEndometriosisの特徴といたしまして は，必ず高度の癒着を伴うという事と，癒着が ようなSchmerzで非常に強いものであります． その次は第5例でありますが，このKranke はこSで手術した患者ですが，主訴は強度の下腹 痛，殊に月経前に下腹痛がある．月経がない時で 硬くて，そして鈍性の剥離が出来ないで，鋭性に も下腹痛はある．この人の下腹痛の現在症を申し のEndometrisisによって腸がknickenするた 剥離する以外に方法がないという事，それからそ ますと，1年あまり前から月経数日前より下腹痛 めにPassage−st6rungが起って，下腹痛が起る があって，第1日目は耐えられない程のKolik のですが，これが月経前期に強くなって，月経が 様の早引がある．そしてNausea， Erbrechenが 済むと大分軽くなったり或はなくなるけれども月 ある．第2日後には急にそれがとれて感じなくな と共にだんだんひどくなる．今年よりも来年，来 るのが多い．こういわけなんです．これは内診し 年よりもさらい年というふうに必ず悪くなるとい てみますと，子宮が前屈で小鷲卵大，子宮の後側 うことと，もう一つは，ほとんど大部分がSteri− ：方及び両広靱帯後葉の後方に腸が癒着したと思わ 1itatだということ，主としてsekundare Steri− れるような抵抗がある．左右附属器が腫脹して子 litat続発生不妊であるというのが特徴でありま 宮と癒着して強い圧痛がある．これ等が内診所見 す． ですが，これを開腹してみますと，子宮は前屈で 最後にもう1例24才，無月経，下腹部疹痛．大 内助教授がこの前の浮心日に手術した患者，前に 小序卵大，子宮の後側及び両広靱帯後葉に大網， 小腸が癒着していて，両側には卵大のCysteを 形成していて，硬く広靱帯の後方及び子宮後壁 Cystektomieをやった後の第2回目のExtra． に癒着しておりました．これを剥離iしたところ， のBefundを． 大内：この前この人は右のOvarialcysteの 手術をして，その時にAppendektomieをした 破れて中からチョコレート様の内容物が出て来 た．Douglas窩の腹膜をみますと，出血性の結 節が散在しており，S字状結腸及び直腸前面が癒 着していた．健康な卵藁の一部を残して，卵管と 共に腔上部切断術をした．こういう症状でありま すが，この特徴は病名から申し上げますと，子宮 内膜症でありまして，外性子宮内膜症です．子宮 内膜があるべき子宮腔に限られていないで，卵管 から腹：腔内に出て，そして卵形，Douglas窩の 腹膜に拡大して，そこで子宮内膜が増殖してい る．そして月経の度毎に子宮内膜と同じ様に月経 性変化を繰り返すものだから，そこで出血をして 非常にひどい癒着が起る．そしていろいろな症状 が出て参りますが，腸の表面に拡がりますと，非 常に強く癩痕化するために，ひどくなって来ると をちよつと話して下さいませんか？Operation わけなんです．それも私がしました．その前に無 月経でございますが，9月5日からの月経が最終 で6日間月経が遅れている状態の時，すなわち11 月2日午後11時15分下腹部に激痛があり気が遠く なるような感じがする．某医より強心剤の注射を 受けました．その後直ちに当病院に入院され，そ の際，当直医が診察したところではGellitalblu− tungなく内診所見は，子宮前傾で下腹部に索状 腫瘍を触れ，圧痛があり，腔分泌の粘稠性は少な い．検査としてDougles−Punktionをいたしま したらBlutが出なかったということで，また Weisseがその時に17000だということで，電話 一196一 41 がかかって参りましたのですが，Ektopieではな いだろうということで，Uterusも割合大きかっ たし，それでは様子をみるようにと指示したわけ 1血，卵胞からの出血もありまして，たまには黄体 出血で1500も2000も出ることがありますので，必 ずしもこれのみでは診断がつかないのでありまし です．翌朝外科の先生に診て頂きましたらColon て，これはやはり相当の経験がいることがありま に何かSchmerzがあるので洗腸でもしたら宜 す．大体時間が参りましたので御追加ありませ しいだろうということで帰られたそうです．その んか？ 後午前10時頃，お家の方が（この方は一業生のお 織畑：先の症例3ですが，Lendenの4か何か のNervenに沿ってinguina1のところで，そ 壌さんでございましたが）どうもこれは婦人科の ものの平な気がするということで，私達学会に行 こを圧すると痛いという事でしたね．私がちょっ っておりましたが，途中から帰って参りまして診 ますと，Antimieがとてもひどくて， これは一・ うとそれよりちよっと上なんですが，それと同じ 平してEld．opieだろうと思われてすぐOpeし 位のところ……… たわけなんです．開腹しますと，右側の子宮卵管 間質部にTumorが出来て，そこにRupturを とこの症例ではないのですがAppengegendとい 川上＝いや，痛みのあるところはaussere 1 ei− stenringのところなんです． 起していました．Ovariumは，右はとってあり 織畑：そこだけですか？ ましたものですから，左のOvariumから排卵 川上＝えS，そこだけなんです． をしたのが左の卵管内を通り，子宮底を通って残 織畑：こっちの方はどうですか？ 存している右卵管間質部に，すなわち受精卵が内 遊走いたしまして，右の卵管間質部に妊娠して， 川上：どこもないんです．痛みのあるのは， aussere Leistenringだけです．丁度そこを通っ そこが破裂していたような状態でした． ている N．Genitofemoralisと N． Ileoingui− 川上＝どうもありがとうございました．この患 者の特徴は，今お聞きになったように，何日の何 時何分頃突然というように，その痛みの起つた時 nalisだけなんですが，これらの神経が外鼠面輪 を出た狭い範囲だけにに痛みがあるんです． 弊が非常にはつきりしていることであります．こ 織畑＝それで考えるんですが，実はMuskel ですけれど，ずっとNervenに沿ってDruck− れはさき程のStieltorsionの時そうですが，こ schmerzがつながっていく，そして自覚的に一番 ういうふうに患者の方から大体何時というふうに 問題になるのは前の方ですから，又腹：痛として問 時間をはっきり指すような突然の痛みが多いので す．これはもちろん例外はありますが，この患者 題にするのですが，よく触わると，ずっと脇の方 でWeis8eが18000も有りましたが，どうも外妊 Intercostalneuralgieと，或はH：erpesとしてい からSchmerzがある．内科の方へ行きますと の場合の白血球というのは一定しない．外妊の時 る．だんだん上の方へ行くといろいろある．これ のSchmerzに限らずその他のものも非常に診断 は循環器で聞いたのですが，京都の前川先生が狭 をまごつかせるような例が多い．たとえば今のこ のKrankeも， Douglas窩よりPunktionし 心症という場合にArachinitisかなんかRttck− enmarkの変化でそういう型が・くると，それも たけれども出ない．ところがお腹をあけてみる Nervenに沿っての痛みで，簡軍にいえば， In− と千何百もたまっているのになかなか出なかった なおまたDouglas窩PunktionしましてBlut tercostalneuralgieの範疇に入るかも知れませ ん．そういうふうな型で全身に分節的にいろん が少々出ましても人工妊娠中絶の時なんかにも なふうに来るのではないかという感じがしている 卵管を逆流して， 腹腔内に」血液が出ますので， のですが，それでつい最近のは左側に同じような DGuglas Punktionで少々出ましても全部が全 型で来まして，いろいろ前に例があるので調べま 部Extraだとは限りません．叉黄体からの出 したら，結局一週間前後で良くなってしまって， 一197一 42 川上：そうです．「 rialblutungなんかで， ApPeに似たようなもの がありますね，私の方は男でみるので，皮下脂肪 が薄いのでよくわかりません．女の人だとそうい 織畑＝そういうふうな感じで，もしかすると先 う例…… ただC．R．Pが非常に陽性に出ました．だから Nervenに関係した変化なんですね． 生の方は下の方へ…∴ 川上：えS，うんと下の方です． 織畑：下の方へ来ているので似た様なものでは 川上：いや，BauchdeckeのSchmerzです ね．これは私も外科の方と御相談したいと思って が，上2／3位迄のところの支配はN．Intercostalis いるのですが，今日も実は妊娠7カ月のKranke でUnterbauchschmerzenで来まして，ごく軽 度のPlazentaab16sungではないかと思って念入 りに診ますと，実際は良く調べてみますと，右 がずっと上から来ているんですが，それ以下が 側半分の殊に膀から下のこのBauchdeckeの N．Iliohypogas tricusとN， Ilioinguinalisの両 Schmezなんですね．そういう例はつきましては 今後外科の方と一緒に協同して研究してみたい ないかと感’ ｶたので一寸． 川上＝あの，大体お膀と Symphyseの眞中 ：方なんですが，そのうちN．Ilioinguinalisが支 1酒己している部分はaussere Leistenringから出 て前方は恥丘，下方はそれから下降してGrosse一 と思いますのでそういう方面で一つ御願い致しま す． ・schamlipPe前半分位とInguinal−gegend辺の 織畑：どうもありがとうございました． ごく狭い一部だけでございます． 川上＝ではこれで終ります． 織畑＝もしかすると，少し上の方の例がOva一 一198一