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参考資料−2 対策施設の概要

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参考資料−2 対策施設の概要
参考資料−2
対策施設の概要
越流水
対 策
管路施設に関する対策
維持管理
管路の清掃
管路の清掃
フラッシング
クリーニングボール
管路の補修
不明水対策
流量制御
オリフィス
ヴォルテックスバルブ
ゲート
膨張式ダム
背水ゲート
吐き口の統廃合
遮集能力改善
遮合流の改善
分合流の改善
遮集量の増大
既存管路の有効利用
バイパス管
ループ管
リアルタイムコントロール
分流化
貯留・浸透に関する対策
浸透
拡水法
浸透ます
浸透トレンチ
透水性舗装
貯留
井戸法
浸透井
オンサイト貯留
公園貯留
校庭貯留
広場貯留
駐車場貯留
棟間貯留
各戸貯留
オフサイト貯留
雨水滞水池
インライン貯留管
処理に関する対策
きょう(夾)雑物対策
ろ過スクリーン
雨天時越流水スクリーン
ディスクスクリーン
トラベリングスクリーン
回転ドラムスクリーン
ハイドロジェットスクリーン
その他簡易なスクリーン
固液分離
雨水沈殿池
傾斜板沈殿池
渦流式固形物分離装置
加圧浮上法
簡易処理の高度化
高速凝集沈殿法
高速ろ過法
マイクロディスクフィルター
高級処理量の増大
雨天時下水活性汚泥処理法
好気性ろ床法
消毒
塩素消毒
その他の消毒
ポンプ施設に関する対策
施設機能改善
晴天時のドライ化
スクリーンの目幅縮小
オイルフェンスの設置
市街地ノンポイント
汚濁負荷対策
発生源に関する対策
道路清掃
面的排水系統と屋根からの排水系統の分離
ますの清掃
ごみ捨ての管理
商業、産業施設敷地からの流出管理
排出者対策
融雪時の対策
簡易処理の高度化
高級処理量の増大
図
合流式下水道の改善対策施設の一覧
参 2-1
オンサイト貯留(棟間貯留)
オンサイト貯留とは、雨水の移動を最小限に抑え、雨が降ったその場所で貯留し、雨水の流出を抑
制するもので、現地貯留とも呼ばれている。一般に、公園、校庭(運動場)、広場、駐車場、集合住
宅の棟間等での貯留、及び各戸貯留などが該当する
棟間貯留とは、集合住宅の棟間の芝生等に設ける貯留施設をいう。
・集合住宅棟間での設置例
・棟間貯留のイメージ図
進入路
A棟
B棟
U型側溝
雨水管
(効果)
・降雨初期の高濃度下水の流出防止
・小降雨時における越流頻度の低減
(実績)
・実績は多い
(課題)
・降雨後の水はけや、団地の景観に与える影響等について留意する必要がある
参 2-12
ろ過スクリーン
合流式下水道での夾雑物には、厨芥類、紙・布類、ビニール類、草木類、不燃物類など多種多様で
ある。国内においては、夾雑物対策として、そのほとんどが処理場やポンプ場でのスクリーン設備を
中心とした対策であった。これら夾雑物が、雨天時に雨水吐き室や簡易処理放流口から流出し放流先
水域の美観を悪化させたり、様々な利水障害を引起こしている。
ろ過スクリーンは、雨天時合流式下水に含まれる夾雑物が、河川等の公共用水域に流出することを
防止するための施設で、雨水吐き室内の越流堰上に設置される。
・ろ過スクリーンの設置例
マンホール
流入管きょ
搬入出口
ろ過スクリーン
遮集管きょ
雨水吐き室
放流管きょ
(効果)
・夾雑物の除去率は、60∼80%(SS等にも除去効果が認められる)
(実績)
・国内では、仙台市、東京都、横浜市、茅ヶ崎市、豊橋市、名古屋市、京都市で実績がある
(課題)
・捕捉された夾雑物は遮集管を通じて処理場に流下するので、処理場での対策が必要である
参 2-16
小型スワール分水槽
小型スワール分水槽は、雨水吐き室に代わる施設として設置され、流入する下水の速度により渦流
を発生させ、渦流に伴う慣性力により、ゴミなどの固形物と下水とを分離させ、固形物を中央に集め
て除去する施設である。
これまでは、直径 10m 程度のスワール分水槽を設置した実績はあるが、近年、直径 3∼4m といっ
た小型のスワール分水槽が開発され、実用化が図られようとしている。
・小型スワール分水槽の設置位置
合流管渠
雨水吐き室
放流管渠
遮集管渠
処理場
吐き口
放流先
・小型スワール分水槽の概念図
ゴミ等も含めて下水処理場へ送水
出典:「東京都下水道局ホームページ」
(効果)
・SS除去率は約 40∼80%である。(米国コロンバス市での実験結果より)
(実績)
・国内での実績はないが、海外では約 200 基程度の実績がある
(大型のスワール分水槽は、東京都、松山市で実績がある)
(課題)
・国内の実績がないことから、実証試験を行い、その適用性を検討し採用する必要がある
参 2-17
高速凝集沈殿法
高速凝集沈殿法は、マイクロサンドを核として下水中のSSを凝集剤により凝集させて比重を大き
くし、短時間での凝集沈殿を可能とする技術である。
この施設は従来の凝集沈殿処理施設と比較して、処理時間が短縮されており、施設面積も少なくす
む。このため、短時間で多量に発生する雨水の処理に有効である。
・高速凝集沈殿法の処理フロー(例)
無機凝集剤
P
排出スラッジ
高分子凝集剤
⑥マイクロサンド
回収装置
P
M
マイクロサンド
原水
M
M
M
マイクロサンド
自動供給装置
M
処
理
水
M
集水樋
スクリーン槽
傾斜板
①急速撹拌槽
P
②注入撹拌槽
③フロック形成槽
原水ポンプ
④沈殿槽
凝集汚泥
凝集汚泥掻寄機
⑤循環ポンプ
P
①急速攪拌槽にて無機凝集剤を添加し、機械的に急速攪拌混合する
(下水中の SS が凝集し、マイクロフロックを形成する)
②注入攪拌槽にて、マイクロサンドと高分子凝集剤を添加・混合し、機械的に攪拌を行う。
(凝集速度が増大する)
③フロック形成槽にて、注入攪拌槽より緩やかな機械的攪拌を行う。
(安定したフロックを形成し、次の沈殿槽でより大きな分離速度が得られる)
④沈殿槽にて、フロック形成槽で形成されたフロック群の沈降分離を行う。
(効果)
・高速凝集沈殿法の除去率(標準値)
項 目
S S
COD
BOD
T−P
T−N
除去率(%)
80
55
65
80
15
(実績)
・国内での実績はないが、海外ではフランス、スイスを中心に5箇所で実績がある
(課題)
・国内の実績がないことから、実証試験を行い、その適用性を検討し採用する必要がある
参 2-18
雨天時下水活性汚泥処理法
晴天時には標準活性汚泥処理法で運転し、雨天時に従来簡易処理を行っていた晴天時時間最大汚水
量(1Q)以上の下水を、ステップ水路を利用してステップ水路の最終端から流入させることにより、
最終沈殿池の固形物負荷を大幅に高める事なく2∼3Qの雨天時合流式下水を活性汚泥処理するも
のである。
既存施設を有効に活用することにより対策を早期に実施できるため、コストパフォーマンスが高い
対策手法である。
・雨天時下水活性汚泥処理法の概念図
活性汚泥処理法
3Q
1Q
最初沈殿池
最終沈殿池
反応タンク
2Q
簡易処理後に放流
雨天時下水
活性汚泥処理法
2Q
3Q
ステップ水路
1Q
最終端から
流入
最初沈殿池
最終沈殿池
反応タンク
(効果)
・雨天時活性汚泥処理法の除去率(大阪市平野処理場での実験結果)
雨天時活性汚泥処理法
晴天時の活性汚泥処理法
雨天時
晴天時
1.77∼3.54Q
1.00Q
BOD 平均除去率(%)
91
94
COD 平均除去率(%)
71
77
S
91
90
下水処理量
S 平均除去率(%)
出典:「合流式下水道改善対策計画に関する検討業務報告書、(財)下水道新技術推進機構、平成 12 年 3 月」
(実績)
・国内では、大阪市平野処理場のみである
(課題)
・流入変動や負荷変動に対する問題を含めた運用方法を確立する必要がある
参 2-19
塩素消毒
雨天時下水中には、消化器系由来の病原性微生物が含まれているおそれがあり、これらを殺菌した
のち放流することは疫学上重要なことである。一般に、下水中から病原性微生物を検出することは困
難であることから、その存在を間接的に知る指標として大腸菌群数が用いられている。大腸菌群数に
ついては、総理府の一律排水基準により 3,000 個/cm3 以下とする基準値が設定されている。
塩素剤の注入制御としては、残留塩素濃度を一定の範囲になるように、残留塩素計からフィードバ
ック制御を行う。
・塩素注入制御の例
制御装置(流量,残留塩素,次
亜塩素酸塩)
原水
センサー
反応タンク
次亜塩素酸塩
貯留タンク
放流水
(効果)
・塩素注入濃度と接触時間による違い(左:川崎市大師河原ポンプ場、右:大島ポンプ場)
出典:「合流式下水道越流水の消毒対策、月刊下水道、2000 年4月」
(実績)
・国内では、川崎市、茅ヶ崎市で実績がある
(課題)
・残留塩素による放流先の魚類等への影響があるため、脱塩素処理との組合せを考えていく必要がある
・塩素注入量の制御が難しい。
・注入量が過剰になると,放流先の生態系への影響が懸念される。
参 2-20
オゾン消毒
オゾンは強力な酸化力があり、オゾンによる酵素の酸化、細胞膜の損傷、RNA、DNAの損傷等によ
り微生物の殺菌、ウイルスの不活性化が起こることを原理にしている。
・オゾン消毒施設のフロー図
前処理施設
原水
オゾン反応設備
オゾン発生設備
注入装置
反応タンク
排オゾン処理装置
放流水
(効果)
・オゾンは水生生物に急性毒であるが、急速分解するため残留性が少ない。
・脱色及び脱臭に効果がある。
・発ガン性物質の生成が少なく,生態系への影響はほとんど問題ない。
(実績)
・ 国内では、昭和 63 年頃に川崎市で貯留水の処理を行う実験が行われた。しかしながら,合流式下水
道の越流水に対する効果は検証は行われていない。また,国内の実施設での導入はない。
(課題)
・オゾンの減少は急激であるため、適正な投入量を把握する必要がある
・濁水を対象とする場合,消毒を効果的に行うために前処理を組み合わせる必要がある。
・設備費,処理費が高価である。
・排オゾンは極めて有害であるため,残存オゾンの処理が必要である。
参 2-21
ポンプ施設に関する対策
ポンプ施設に関する対策として、晴天時のドライ化、スクリーンの目幅縮小、オイルフェンスの設
置が挙げられる。
・ポンプ施設に関する対策の全体イメージ
流入管
処理場へ
遮集管
出典:「東京都下水道局ホームページ」
参 2-22
(1)晴天時のドライ化
ポンプ場では、雨水ポンプ運転終了後に、ポンプ井や雨水沈砂池に雨水や堆積物が残留する。この
滞留水には、汚濁物が含まれているため、放置しておくと嫌気化し、悪臭を発生する。また、次降雨
のおける雨水ポンプ稼動時には、その嫌気化した黒い濁水が、放流水とともに放流先に越流されてし
まうため、雨水ポンプ運転終了後に、ポンプ井や雨水沈砂池に残った滞留水を汚水管に送水し、処理
場で処理を行う必要がある。
・集砂装置と揚砂ポンプを活用したドライ化の例
ゲート室
揚砂ポンプ
集砂ノズル
流入
ポンプ井
排水ピット
・集砂装置のイメージ図
(効果)
・ポンプ施設から放流される汚濁負荷量の削減
(実績)
・国内では、東京都で実績がある
(課題)
・既設のポンプ施設での採用にあたっては、大幅な改造が必要となる場合がある
参 2-23
(2)スクリーンの目幅縮小
ポンプ施設では、雨水沈砂池の後段に比較的大きなゴミなどを除去する目的で、スクリーンが設置
されている。しかし、捕捉しきれない細かな沈砂池堆積物や流入水に含まれるごみや白色固形物等が
流出する。このため、スクリーン目幅を縮小することは、これらの汚濁物質の流出を抑制する対策と
して有効である。
・スクリーンの目幅縮小による対策効果のイメージ
対策前
対策後
スクリーン
汚水(処理場へ)
越流水
(
河川、海へ)
汚水、雨水
沈砂池
ポンプ
出典:「東京都下水道局ホームページ」
(効果)
・ポンプ施設から流出する夾雑物の削減
(実績)
・国内では、東京都、大阪市で実績がある
(課題)
・目詰まりによる水位上昇の危険性も増すため、目幅の設定に留意する必要がある
参 2-24
(3)オイルフェンスの設置
ポンプ施設の放流口からは、スクリーンで捕捉しきれない細かな汚濁物質が公共用水域に流出する
場合がある。このため、捕捉されずに流出する浮遊性のゴミや白色固形物を放流口にオイルフェンス
を設置して捕捉し、降雨後に回収する。
・オイルフェンス設置による対策効果のイメージ
対策前
対策後
・オイルフェンスの設置例
出典:「東京都下水道局ホームページ」
(効果)
・ポンプ施設から流出する夾雑物の抑制
(実績)
・国内では、東京都で実績がある
(課題)
・降雨後に捕獲した浮遊性のゴミや白色固形物の回収を行う必要がある
参 2-25
オフサイト貯留(雨水滞水池,貯留管)
雨水滞水池とは、降雨初期の高濃度下水及び雨水吐きやポンプ場からの越流水を貯留し、降雨終了
後に処理場に送水して高級処理を行い、排水区域からの放流汚濁負荷量を削減する施設である。
施設の形状としては、「水槽タイプ」と「貯留管タイプ」に区別できる。
・貯留管による改善効果のイメージ
出典:「札幌市下水道局ホームページ」
(効果)
・排水区域から放流される汚濁負荷量の削減
(実績)
・実績は多い
(課題)
・貯留した下水を降雨終了後に処理場に送水し、処理を行う必要がある
参 2-13
<札幌市創成川処理区での事例>
降雨初期の高濃度汚濁水を貯留し、降雨終了後に処理場に送水、処理してから創成川に放流するこ
とで、公共用水域の水質保全を行っている。
この貯留管(約 46,400 m3)は、浸水対策(ピークカット)や雪対策(融雪管)としても利用でき
る構造となっている。
・分水箇所と貯留形式のイメージ図
①
②
①初期雨水は、時間最大汚水量(Q)を超えた分が貯留管に流入し、貯留される。
(貯留管容量を超えた後は、貯留管への流入をとめる)
②降雨終了後、貯留水は処理場に送水され、高級処理される。
・融雪時のイメージ図
参 2-14
・貯留管の運用例
貯留管設置前
降雨により雨水の流入が増加する
と汚濁物質を含んだ降雨初期の雨
水の一部が、簡易処理水や越流水と
して放流される。
貯留管設置後
1.初期雨水の貯留
2.満水後
初期雨水は、雨水ポンプ施設の沈砂池を通過した 雨水が貯留管容量を超えた場合は、貯留管への流入
後、時間最大汚水量を超えた分が貯留管に流入し、 をとめる。
貯留される。
3.貯留水の送水
4.洗浄
降雨終了後、貯留水は処理場に送水され、高級処 貯留水を送水した後は、処理場から処理水を送水し、
理される。
貯留管内を洗浄する。洗浄した水は、3.と同様に処
理場に送水される。なお、処理水の送水管は、貯留
管内部に敷設している。
出典:「創成川貯留管パンフレット、札幌市下水道局」
参 2-15
個別対策の概要、対策事例、その効果
管路の清掃
合流式下水道の管渠においては、晴天時汚水量が雨天時下水量に比べて極端に少ないことから、晴
天時に十分な掃流力が得られず堆積しやすい状況である。特に、掃流力の小さい管路や伏せ越し部、
雨天時のみに流れるインバート部、損傷(不陸)部等に堆積しやすく、堆積した砂や汚濁物質は、雨
天時にファーストフラッシュとして公共用水域に越流する。
このため、定期的に管路内の清掃を行い、雨天時に越流する汚濁物質を削減する。
・高圧洗浄車による管路清掃の例
出典:「下水道維持管理指針、管路施設編、(社)日本下水道協会、1991」
(効果)
・管渠の流下能力確保
・越流水の汚濁負荷量の削減
(実績)
・実績は多い
(課題)
・清掃による効果の定量化手法を確立する必要がある
参 2-2
吐き口の統廃合
合流式下水道の吐き口は、雨天時越流水による夾雑物の流出、悪臭等の問題を発生する場合がある。
吐き口は数も多く、越流水対策を実施するにも用地の確保が困難な場合が多い。
このため、吐き口を統廃合し、越流回数、越流水量を削減し、夾雑物の流出、悪臭の発生を防止す
る。
・吐き口の統廃合例
雨水吐き室
合流管渠
雨水吐き室
合流管渠
遮集管渠
遮集管渠
放流管渠(新設)
放流管渠
吐き口
吐き口
吐き口
吐き口(
廃止) 吐き口(廃止)
放流先
放流先
[対策前]
[対策後]
(効果)
・越流回数、越流水量を削減し、夾雑物の流出、悪臭の発生を防止
・吐き口の維持管理及び越流水の水質監視が容易になる
(実績)
・国内では、名古屋市、大津市、京都市で実績がある
(課題)
・河川事業と連携し、吐き口の設置位置、構造、景観的対策の検討を行う必要がある
参 2-3
雨水滞水池
(
新設)
吐き口(新設)
遮合流の改善
遮合流とは、遮集管が再び合流管として集水し、遮集下水を再三再四、下流の雨水吐き室で越流さ
せてしまう遮集方式である。
このような遮集方式では、降雨によっては越流堰の分水特性から下流側の雨水が優先的に遮集さ
れ、上流側の下水が雨水吐き室から放流されてしまうため、改善が必要である。
対策として遮集管に直接接続された合流管を分離することや、新たな専用の遮集管を設け、遮集能
力の改善を図る。
・遮合流の改善例
合流管渠
雨水吐き室
雨水吐き室
遮集管渠
(
廃止)
合流管渠
遮集管渠(廃止)
(
廃止)
遮集管渠(新設)
吐き口
放流管渠
吐き口
放流管渠
放流先
放流先
[対策前]
[対策後]
(効果)
・越流回数、越流水量を削減し、夾雑物の流出、悪臭の発生を防止
(実績)
・仙台市で計画中
(課題)
・新たな専用の遮集管を建設する必要がある
参 2-4
分合流の改善
合流式下水道で整備を始めた都市の多くは、その後(昭和 47 年)の「下水道施設計画・設計指針
と解説」の改定により、「原則として新たに着手するときは分流式で計画する」こととなったため、
処理区の一部を分流式下水道に切り替えて整備を進めることとなった。
分合流とは、上流の分流式下水道の汚水が直接下流の合流管へ接続されている状態である。このよ
うな状態では、分流式下水道で集められた汚水が雨天時に合流式下水と混合し、雨水吐き室から公共
用水域へ放流されることになり、雨天時の越流負荷量の増大を招く一因になっている。
対策として汚水管渠を別系統で処理場へ送るか、遮集管渠に流入させることで対応することができ
る。
・分合流の改善例
分流式下水道区域
合流管渠
分流式下水道区域
合流式下水道区域
雨水吐き室
放流管渠
合流式下水道区域
合流管渠
(
一部廃止)
分流管渠(新設)
雨水吐き室
遮集管渠
処理場
遮集管渠
吐き口
吐き口
放流先
放流先
[対策前]
[対策後]
(効果)
・越流回数、越流水量を削減し、夾雑物の流出、悪臭の発生を防止
(実績)
・国内では、大津市、京都市、大阪府で実績がある
(課題)
・新たな専用の分流汚水管を建設する必要がある
参 2-5
処理場
遮集量の増大
適切な遮集管の能力は都市により異なっているが、これまで多くの都市で晴天時時間最大汚水量の
3倍(3Q)を計画遮集量としている。しかし、汚水量の増加により計画遮集量を確保できなくなっ
てきている場合がある。
このため、計画遮集量に対する不足分をまかなうための新たな遮集管を増設する。
・遮集量増大の例
合流管渠
合流管渠
越流堰
(新設)
P
P
遮集管渠
P
処理場
遮集管渠
P
放流管渠
吐き口
遮集管渠(
増設)
放流管渠
吐き口
吐き口
吐き口
放流先
放流先
[対策前]
[対策後]
(効果)
・越流回数、越流水量を削減し、夾雑物の流出、悪臭の発生を防止
(実績)
・国内では、東京都、新潟市、名古屋市、京都市、大阪府で実績がある
(課題)
・新たな遮集管を建設する必要がある
参 2-6
処理場
リアルタイムコントロール(RTC)
RTCとは、施設能力の最大活用を図るため、排水システム全体を監視しながらゲート、ポンプ等
の制御を行うことである。
従来の雨水排水施設はある一定の計画降雨に対しては最適に設計されているが、それ以外の降雨に
対しては柔軟に対応できず、施設能力を十分に発揮できないことがある。RTCを用いた場合、変化
する様々な降雨パターンに対し、降雨量や管内水位などを監視し、ゲートやポンプ等を適正に制御す
ることにより、雨水排水施設の流下能力や貯留能力を最大限に活用することができる。浸水対策では
管渠システムの排水能力や調整池のピークカット能力を最大限に、越流水対策では越流頻度、越流負
荷量を最小にするために管渠システムの貯留能力を発揮させるようにする。
・RTCの概念図
雨量情報
降雨
雨量、水位、流量情報
監視
制御
(雨量計)
(水位計、
流速計等)
(ゲート、
ポンプ等)
排水システム
・RTCを適用したポンプ排水システム例(東京都)
降雨レーダー
地上雨量計
流 入 予 測 ・操 作 支 援 R T C シ ス テ ム
処理場
光ファイバーケーブル
幹線
放流ポンプ
送水ポンプ
雨水貯留
可動堰
管渠内水位計
ポンプ場
レーダー降雨情報や管内水位情報から,ゲートやポンプなどを的確に制御することで,雨水排水施設
や貯留管の能力を最大限に活用する。
浸水対策では管きょシステムの排水能力や調整池のピークカット能力を活用し,合流改善では越流頻
度を最小限にするために管きょシステムの貯留能力を活用する。
参 2-7
(効果)
・越流回数、越流水量を削減し、夾雑物の流出、悪臭の発生を防止
(実績)
・海外では米国、フランス、カナダ等で実施例が報告されているが、国内では試行段階である
(課題)
・強い降雨の移動を高精度・高速で予測する技術の開発が必要である。
・浸水対策への切り替えの判断基準の明確化
・フェイルセーフの確立
参 2-8
分流化
分流化は、合流式下水道の排除方式を雨水管路と汚水管路に分離するもので、雨水吐き室からの越
流水が解消されることや、雨水ますからの臭気対策などと併せて実施できる長所を有するが、その反
面、一般的に費用が高いことや、整備に長期間を要する。
分流化の手法は、汚水管を新設する場合と雨水管を新設する場合がある。
・汚水管新設の例
全ての家で切替えが必要
縦断的に取付可能
かのチェック
遮集幹線
放流渠
希釈倍率は分流化の
程度により高くなる。
(効果)
・越流水を無くし、夾雑物の流出、悪臭の発生を防止
(実績)
・国内では、北見市、仙台市、相模原市、柏市、名古屋市、北九州市で実績がある
(課題)
・宅内の汚水・雨水の分離が必要である
・すべて切り替わるまでには時間を要することから、分流化の効果が現れにくい
参 2-9
浸透ます、浸透トレンチ
浸透施設は、雨水を表面流出水として排除する代わりに、地下への浸透、浸透施設の空隙内での貯
留により、雨水流出量の抑制、小降雨時の越流頻度低減等の効果を発揮するものである。
浸透ますは、側面や底面に浸透孔等を有する透水性ますとその周囲の充填材から構成され、集水し
た雨水を側面および底面から地中へ浸透させる構造物である。浸透トレンチは、浸透管(有孔管、ポ
ーラス管等)とその周囲の充填材から構成され、雨水を導き貯留し、側面および底面から地中へ浸透
させる構造物である。また、浸透ますと浸透トレンチは組み合わせての使用が可能である。
・雨水浸透施設の設置イメージ
出典:「下水道雨水浸透施設技術マニュアル(本編)、(財)下水道新技術推進機構、1997 年 2 月」
(効果)
・雨水流出量の抑制、小降雨時における越流頻度の低減(次頁参照)
・地下水の涵養
(実績)
・実績は多い
(課題)
・目詰まり、地下水位による浸透能力の低下、及び地下水汚染について留意する必要がある
参 2-10
<浸透効果の定量化の事例>
流出解析モデルを用いて、雨水浸透施設の浸透能力を1∼3mm/hrで変化させ、雨水吐き口からの越
流回数を指標として浸透効果の定量化を行っている。
①
基本事項
30 ha
・雨水排水面積
・宅地戸数:
360 戸( 12 戸/ha)
・道路延長:
7,500 m(250 m/ha)
・雨水浸透施設の浸透能力:
②
一般敷地内桝
0 . 2 m3/hr/個
公道設置桝
0 . 5 m3/hr/個
公道設置トレンチ
0.08 m3/hr/m
雨水浸透能力の設定
・Case-1
雨水浸透能力
1 mm/hr = 約300 m3 /hr
・公道設置桝を、約50mに1ヶ所設置(排水区内に約140ヶ所)
・各公道設置桝に浸透トレンチ 20mが付属
・Case-2
雨水浸透能力
2 mm/hr = 約600 m3 /hr
・公道設置桝を、約25mに1ヶ所設置(排水区内に約280ヶ所)
・各公道設置桝に浸透トレンチ 20mが付属
・Case-3
雨水浸透能力
3 mm/hr = 900 m3 /hr
・公道設置桝を、約20mに1ヶ所設置(排水区内に約400ヶ所)
・各公道設置桝に浸透トレンチ 20mが付属
・さらに、排水区内各戸に一般敷地内浸透桝を設置
雨水浸透施設による改善効果を下図に示す。
80
70
60
1Q
2Q
40
3Q
5Q
10Q
越流回数(回)
50
30
20
10
0
浸透無
1
2
3
浸透量(mm/hr)
出典:「合流式下水道越流水(CSO)対策の研究(その3)報告書、(財)下水道新技術推進機構、
平成 11 年 3 月」
参 2-11
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