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平成26年度第8期『滋賀の教師塾』(第6回必修講座)
平成 26 年度第8期『滋賀の教師塾』の第6回必修講座 びわこ学院大学の講義室を借りて、最初から校種別に講義・演習・講評を行った。 開講のために大講義室にあつまった講師、指導助言者の各氏と塾生 【小学校の部】 講義: 「学級経営の在り方 ―児童理解を基盤とした学級づくり―」 草津市立笠縫小学校 教頭 古谷 匠 氏 1.初任者の学級経営に関する悩み 最も多いのは学級のルール作り、次に子ども同士の揉め事への対応。 (県総合教育センター調べ) 2.円滑な学級経営を支える三つの視点 (1)好ましい人間関係づくり ・規律を意識させる学級のルールづくり。 【留意点】学校や学年のルールとの整合性を保っていること。 ・失敗しても大丈夫という状況をつくること。 (2)一人ひとりの居場所づくり ・クラス目標をつくる。 【留意点】担任の思いがはいり、子どもが見てそれを常に意識できるもの。目標の達成の状況がわ かるもの。 (3)自分らしさが輝く場面づくり ・結果だけでなく過程を見る場面をつくる。 ・一人ひとりの得意分野を認めること。 ・異学年とのかかわりの中で高学年が自己肯定感を持つようにする。 3.子どもと繋がるコーチング手法 傾聴…相手の心の声を積極的に聴く 環境設定(人数、座席配置など) 、配慮(目線、声の大きさ、トーン) 承認…相手の成長や変化、あるがままの姿を認める 相手の存在を認めるもの:名前を呼ぶ。挨拶をする。すぐ返事をする。 成果を認めるもの:賞状を渡す。点数や回数をほめる。 過程を認めるもの:工夫した点をほめる。手伝ってくれたことを労う。 質問…質問された人が、自ら答えを探す質問(拡大質問) 限定質問:Yes・No で答えられるもの(考えを整理するとき) 拡大質問:考えを自由に拡げられる質問(肯定的な質問・未来思考の質問) 例: 「どうして、うまくいかないの?」→「どうしたらうまくいくかな?」 1 「どこがわからないの?」→「どこまでわかっているの?」 【講義を聴いて塾生が得たことと今後に生かしたいこと】 ・古谷先生の講義を聴いて、二点の学びを得ました。一点目は「多面的な対応の重要性」です。演習で遊んでいて帰り の用意をしていない子どもにどう対応すればよいか考えました。私は、遊んでいる子どもに直接指導することが大切 だと考えていましたが、他の塾生の意見や対応例を知り、帰りの準備をすでに終えた子どもを褒めるなどの対応も大 切だと分かりました。一つの立場から対応について深く考えるのと同様に、他の立場に立って対応策を考える力は学 級を経営していく上で、教師に求められるものだと考えました。学校実地体験の中で多面的に物事を捉えられるよう に努めようと思います。二点目は「児童生徒の成長を意識した発言」です。教育実習で学びましたが、否定的な内容 を含んだ質問や指示を控えて、児童が自分の行いや過ちに真剣に向き合うことのできる発言を教師は意識して行う べきだと考えました。相手の立場を考え、肯定的な質問や指示ができるよう、日々の生活の中で意識していこうと私 は強く思いました。 ・講義を通して、学級経営をするにあたって、まず注意すべきいくつかのポイントが分かった。学級経営をスムーズ行う ためには「学級のルール」がとても重要であり、ルールをつくる際のポイントについても講師の古谷先生が教えて下さ った。これらを押さえた指導ができるように、今からきちんと準備をしていかなければならないと思った。また、コーチ ング一つで集団の雰囲気を変えることができるということも新たに学ぶことができたので実践していきたい。(小) ・今までぼんやりしていた「先生になりたい」という夢が、教育実習を経験し、教師塾に通うことでだんだん現実味が出 てきました。その中で、担任を持った時、子どもたちにとって過ごしやすく、きちんとした規律のあるクラスにするには どうすればよいのだろうと思うことがあります。今日の講義は、まさにそのことについての内容で、「こんなときどう言 う?」という子どもたちへの声かけの仕方や否定的に言ってしまう言葉を肯定的・未来志向に言い換えることについて 学びました。特に印象に残った言葉は「正義が生きる学級」にすること、「一生懸命頑張った子が褒められる教室」に することです。どうしても手のかかる子に注意がいってしまったり、また、その子が普段できていないことができると、 それをすごく褒めるようになると思います。しかし、普段からできている子どもを褒めたり、感謝の言葉を述べたりする など頑張っている子が損をしない教室づくりが大切だと思いました。 演習:年度当初の学級経営 ―その手法と展開― 第1班 指導助言 大津市立唐崎小学校 教諭 杉江 薫 氏 ○演習の概要 自己紹介とアイスブレーキングの演習を行った。自己紹介の演習 では、子どもに話す際のスピードや言葉づかいなど、子どもの心を引 きつけることの難しさを学んだ。学級開きにおいて、自己紹介や板書 の工夫、アイスブレーキングなどによって子どもの心を引きつけたり、 子どもが新しい学級に期待を持てるようにしたりすることや、先生の 所信表明や規律、環境の整備をすることの大切さを学んだ。(AW) ○演習で塾生が得たことと今後に生かしたいこと ・学級経営の概要から年度初めの「黄金の 3 日間(入学式から 3 日間)」の具体的な過ごし方、教師になった時の自己 紹介の仕方、教師と子ども・子ども相互の人間関係づくり(1分間しりとりなど)のレクリエーションを中心に実践に役立 つ知識や技術を教えていただいた。実際に自分たちで自己紹介をしあったり、レクリエーションを通して、子どもの立 場から見た新しい触れ合いのワクワク感を実感したり、教師の立場から見た自己紹介の方法や工夫など自分にはな い考え方や視点を学ぶことができた。人との関わりは最初の出会いが肝心である。今回教えていただいたことを元に、 明るい笑顔を大切に限られた時間で自分の情報を発信する方法を考えていきたい。 2 ・学級開きまでに、どのような準備をしておかなければならないかを学びました。自己紹介では明るく印象に残りやすい ものを考えておくべきだと教えていただきました。子どもの流行などを取り入れるとよいと聞いたので、情報を集めて 教育実習でも生かそうと思います。初任者の特権は堂々と真似ができること、教えてもらえることだという話しを聞い て、教師になってからも成長できる機会がたくさんあると思いました。他の先生の掲示物や話し方などを積極的に学 びたいです。また、掲示するときに気をつけることや学びの雰囲気づくりについてもお話を聞いたので、これから生か したいです。 第2班 指導助言 守山市立吉身小学校 教諭 大崎 寿 氏 ○演習の概要 大崎先生が実際に使われた学級通信をもとに「出会いの授業」「2 学期スタートの授業」「最終学期ス タートの授業」について学んだ。児童同士の関係を築くための簡単なゲームを実際に体験し、その感想を 共有した。(AI) ○演習で塾生が得たことと今後に生かしたいこと ・大崎先生の年度始めの学級づくりの実践で、子ども達とはじめて出会うその日 が、いかに大切かということを学んだ。特に初日は子ども達の心の中は楽しみ な気持ちもあるが、不安な気持ちもあり、それは教師も同じである。では、初日、 どういった取り組みをしていけばよいのだろうか。私たち 2 班が行ったゲーム は「違うが勝ちゲーム」、自己紹介を含めたじゃんけんゲームなどである。私た ちも教師塾で出会ってはいるが、関わった時間は短く初対面の方もいて緊張し た。しかし、このゲームを行い、緊張がほぐれた。こういった出会いの素晴らしさを感じることができる“出会いの授業” を初日から数日間行うことで、学級づくりの第一歩を踏み出せると考える。初日だけで終わるのではなく、定期的に取 り入れていくことが大切である。このような年度初めの授業の取り組みが、その後の授業や行事などの中で、作られ ていく良い学級づくりのきっかけになるということを学んだ。 ・子どもの気持ちを考えて新年度 1 日目にすることについて考え、私は自己紹介を交えたレクリエーションをしたいと思 ったが、内容やその配慮までは考えられなかった。2 班を指導してくださった大崎先生は、なぜこのやり方をするのか を説明しながら、新年度 1 日目、夏休み開け、冬休み開けにやるレクリエーションを教えてくださったが、このように一 つのゲームでも意図をもってすることが大切だと感じた。実際にやってみて、先生が決めた小さなルールにも意味が あることを実感した。ドキドキやワクワク、様々な感情で始まる1日目をどのようなものにしたいのか、自分の中できち んと考えて、子どもが「よし、一年間頑張ろう!」と思えるようにしたい。学級のルールを決めたり、自分のことを知って もらったりしたいと思っていて、それも大事だけど、子どもの意欲につながることを優先したいと思った。 第3班 指導助言 甲賀市立伴谷東小学校 教諭 川口 進一郎 氏 ○演習の概要 「子どもと教師の関係づくり」を中心にお話をしていただきました。 子ども達が新任の教師に求めていることは、「上手に教えてくれる」 ことではなく、「自分たちと一緒になってエネルギーを注いでくれる 先生」なのだから、子どもたちと思いっきりぶつかればいいとアドバ イスをいただいた。(AF) ○演習で塾生が得たことと今後に生かしたいこと ・川口先生の演習は机を使わず椅子で円になる形だったので柔らかい雰囲気で過ごすことができました。教師塾の班 3 が以前と少しだけ変わり緊張していたのですが、その雰囲気のおかげですんなりと演習に入ることができました。一 番最初に話してくださったのは「児童が新しい先生に期待していること」というものでした。これは川口先生のクラスの 児童の生の声だったので興味深く聞くことができました。「宿題を少なくしてほしい」「褒めてほしい」「一緒に何かした い」というもので、とても温かく子どもらしいと感じました。しかし、その中に「やってはいけないことをきちんと叱ってく れる先生」というものがあったと聞き、正直驚きました。叱られることを子どもは嫌がると思っていたけれど、その中に ある愛情を子どもながらに受け止めていることを知り心が熱くなりました。 ・学級開きのテクニックやレクリエーションなど様々なことを教えていただきましたが、私が一番重要だと感じたことは 「子ども」と「子ども」を繋ぐことが教師の大きな仕事であるということです。教師が学級をつくり、“良いクラス”にするこ とも素晴らしいことですが、教師がきっかけをつくり、子ども達が“良いクラス”をつくるということの方が難しく、やりが いがあると感じました、教師が常に先頭に立って学級運営をするのではなく、子ども達のサポートをするという気持ち で、先頭に立てる子ども達を育て、それが周りに伝染していく学級をつくっていきたいです。 第4班 指導助言 近江八幡市立金田小学校 教諭 古林 純代 氏 ○演習の概要 日々の会話や言葉かけだけでなく、学級通信や交換日記の活用方 法と実践演習を通して様々な児童同士がかかわったり、お互いを知 る機会のつくり方について学んだ。(NH) ○演習で塾生が得たことと今後に生かしたいこと ・演習を通して、いいな、真似したいなと思ったことが 2 つあります。1 つ目 は、話の聞き方についてです。教育実習に行ったときに配属された学級の 担任の先生も話を聞く時の姿勢などは口うるさく言っておられました。しかし、 今日の演習で学んだのは、教師も子どもの見本となるような話の聞き方をしないといけないということです。板書をし ながら子どもの発表を聞くのではなく、きちんと目を合わせること。基本ではありますが、心がけないといけないと思 いました。2 つ目は、学級目標についてです。どんなときにも最初に決めた学級目標に立ち返ることで、一年後の子 ども達の様子は大きく変わるのだろうと思いました。私も教師になったら、子どもたちと話し合って学級目標を立てて、 一年間、それを貫き通したいです。 ・教育実習の際、学級経営に苦労されている学級に入らせてもらったので、今回の演習はとても興味深いものになりま した。担当していただいた古林先生から「担任を持てば、初任者でも長年経験者のあり教師でも同じように一つの学 級を任される。だからこそ、年度始めの学級経営はとても大切」と教えていただきました。児童の発達段階や様子をよ く理解した上で、今年 1 年はこれだという目標になるものを決めて、それを揺るがずに貫き通すことで、児童の行動 の指針になり、児童が大きく成長できるようになるのだと思います。また学級通信を通して保護者と児童の様子を共 有したり、一人ひとりの子どもの理解や心を繋ぐ交換日記をするなど、直接会話をするだけでなく多方面から児童と 繋がることが大切であることが分かりました。また、学級活動において構成的グループエンカウンターをすることで、 今まで関わったことのない仲間と関われるなど、多くのきっかけを教師が与えることの大切さも知ることができました。 第5班 指導助言 甲良町立甲良東小学校 教諭 谷口 友美 氏 ○演習の概要 講師の先生が学級で実践されてきた手法を、演習と講義を交えながら教えていただいた。演習では、自 己紹介シートをもとに、自己紹介をしあったり、バースデーリングをしたりした。そうした体験から児童 は他者との関わり合いの中で、自尊感情を育んでいくということを教えていただいた。また、講義では、 4 教師の児童への細やかな配慮が学級経営を支える重要な役割をして いるということを学んだ。(YS) ○演習で塾生が得たことと今後に生かしたいこと ・演習の時間はアイスブレーキングの方法や先生が自分の学級で実際にさ れていることなど、様々な方法やコツなどを教えていただきました。その中 で一番印象に残っているのは、自分自身の個性を大切にしていくべきだと いうことです。先生にもそれぞれキャラクターや個性があるので、他の先生がしていることを真似してもうまくいかない ことが多いと聞いてなるほどと思いました。この演習でも様々な方法を教えていただきましたが、同じことをするので はなく、参考にさせていいただき、自分なりの学級経営の方法を見つけたいと思います。 ・私の班は、学級作りのスタートについて、話を聞き、実際に活動したりしました。特に印象に残った活動は、学級通信 の名前、学級目標を考えたことです。学級目標や学級通信の名前は担任の先生の思いが詰まっています。そこには、 担任の先生自身が 1 年間大切にしたい事や願いがあって、絶対にぶれない軸であるべきだと思います。目標や通信 名を考えるとたくさんの案が出てきました。しかし、地域の実態や子どもの発達段階に合った目標を掲げることが大 切だと考えます。学級経営のポイントとしては、4 月の最初が大切だということです。ルールを作ることも最初にしてお くことが重要だということを学びました。実際に実地研修で行っている学校のある学級では、挨拶をきちんとルールと して決めて実践されています。その先生も最初 4 月の 2、3 日目でルールを作られたと聞き、4 月の最初がいかに大 切なのかを知ることができました。 第6班 指導助言 高島市立青柳小学校 教諭 岡部 陽造 氏 ○演習の概要 班全員で塾生の理想の学級経営や教師像を一人ひとり共有し、それ ぞれの考えに対して先生がアドバイスやお話をしてくださった。学級 経営や教師において大切なことを実体験をふまえながら話していただ き、多くのことを学ぶことができた。また他の塾生の考えも知ること ができたことで、お互い良い刺激を受けることができた。(WM) ○演習で塾生が得たことと今後に生かしたいこと ・私たち 6 班は岡部先生にお話を伺いました。とてもユーモアのある先生で和やかな雰囲気で過ごすことができました。 お話を聞いていて岡部先生は子どもが自分から気付いて動くことをとても大切にされていると思いました。子どもたち は何でも「めんどくさい」が先に立つので、わかってから動くように気長に待っているとおっしゃいました。私もアルバイ トで学童の子ども達と関わっていますが、子どもたちが、自分たちで「○○を片付けへんかったから、無くなったんや。 次はちゃんと片付けよう」などという状態になる前に、私たちが先にしてしまっていることがあり、そのために、子ども たちは気づくことができないのだとわかりました。また、「自分で○○してみよう」など、興味が湧くような環境設定など も考えるべきだと思いました。 ・まず、学級経営をするに当たって岡部先生は「どんな教師になりたいのか」「どんなクラスにしたいのか」「自分の持ち 味は何なのか」について、自分の中でしっかり持つことが重要だと教えてくださいました。そのことについて班全員が 自分の思いを発表しましたが、十人いれば十通りの考えがあることが分かりました。まず自分がブレない考えや信念 を持つことが重要なのだと学びました。また、学年の引継ぎで事前に旧担任から話を聞く際には先入観を持たないよ うに注意が必要だということも教えていただきました。はじめから児童に、落ち着きのない子であるとか、いじめっ子で あるといったレッテルを張ることは教師として絶対にしてはいけないことだとおっしゃる姿が印象的でした。私も教壇に 立ち、子どもと関わるときにはブレない信念を持ち、子どもへの周りの評判を鵜呑みにすることなく真摯に子どもと向 5 き合おうと思いました。 【演習の講評】 草津市立笠縫小学校 教頭 古谷 匠 氏 ・班別演習では、年度当初の学級経営についていろいろな事例を学習したので、自分が学級を経営すると きの参考にしてほしい。どの班にも共通していたことは「正義が生きる学級づくり」、「一生懸命頑張 っている子が報われるクラスづくり」である。ルールを貫き通すということも大事である。 ・学級には大変な子もいるし、しんどいことも多くあると思う。この子がいなければいいのになあと思っ たら負けである。それを思ってしまったらどんな学級を持っても上手くはいかない。その子を何とか して学級をやっていこうという気持ちで立ち向かってほしいと思う。それができたらどんな学級を持 っても大丈夫である。 【講義への謝辞】 古谷先生には、学年末のお忙しい中、ご講演いただき、本当にありがとうございました。 今日お話 しいただいた学級経営は、私たちが、教員になった時に、学習指導や生徒指導とともに最も重要なも のであり、それだけにうまくできるだろうかと一番不安に思っているものです。私は、今日の古谷先 生のお話の中で、特に次の点が印象に残りました。先ほどもおっしゃっていたように、教師の見方一 つで、全てを変えることができるということです。例えばレジメの中にあったように、肯定的な質問、 未来志向の質問に言い換えてみましょうという演習がありましたが、頭ごなしに思ったことをそのま ま伝えるのではなく、児童が今どういう気持ちでいるのか、その背景には何があるのか、児童にはど ういったことが必要なのかということをしっかりと考えた上で、言い方一つでこんなに変えることが できるのだということを学びました。今日のお話を聞いて、よりよい学級経営のために、今できるこ とを意識して、これからの大学生活をすごしていきたいと思います。言葉足らずですが、御礼の言葉 とさせていただきます。古谷先生、本日は、本当にありがとうございました。 (YS) 【中学校】 講義: 「学級経営の基本を知り、その在り方を学ぶ」 湖南市立甲西北中学校 教頭 藪下 和彦 氏 1.学級経営における担任としての心構え 学級経営とは人間形成と成長発達が円滑にかつ確実に進む よう諸条件の整備運営することであり、学級担任は、次の ことに留意する。※「自分の子どもを通わせたい学校に」 ① 生徒理解を深める 生徒の目を見て話すなどふれあいを大切にすること、相談 などを親身になって受け止める。保護者を理解することも 生徒理解につながる。 ② 問題行動には毅然とした態度で臨む 高圧的な指導もあるが、共感的受容的に生徒の話を聞き、過ちを自覚させるようにする。 ③ 人権教育の視点や特別支援教育の視点も大切にする 2.担任としての初めの一週間の指導 年度初めは関係が大きく変わる時期で生徒も担任も不安である。担任は大事にしたいことを生徒や保 護者に伝え、学級集団内の規律をつくる。学級担任はつぎのことに留意する。 6 ① 一人ひとりが大事な存在であると理解させる 一人ひとりが大切であり、みんないるからクラスがあるということを伝える。 【実践例】生徒の氏名を覚えておき、初日に保護者もいる中で生徒を呼名したりすることにより、生 徒や保護者に一人ひとりを見ているというメッセージを送る。生徒は担任は自分たちを見て くれる、頼ってもいい、相談にのってくれそうだと思ってくれる。 ② 規律は一年間ブレないもの 中学生はルールや規則に敏感に反応するので、途中でブレてはだめ。 ここまではいいがここから先は譲れないというメッセージを投げ続けること。 ③ 学級目標づくり 学級集団が価値観を共有するための「よりどころ」である。悩んだときや不安なときに目標を見るよ うに指導する。 学級通信などを作成する際にはタイトルや内容は、学級目標を意識したものにする。 目標達成の状況がわかるような工夫をすることも大切である。 3.一人ひとりのよさが生きる学級組織づくり 学級の班は、学習活動や特別活動を行う際に有効である。 【実践例】立候補による班長の会議で班員を決めさせる。生徒は生徒をよく見ている。 担任は子ども達と接する時間が少ないので、限られた時間の中で子ども達のことを理解するためには、 子どもの力を借りなければならない。 新たな自分に挑戦することを重視した指導。体は大きいが心は子どもである。 4.朝の会と帰りの会 朝の会を諸連絡の時間にせず、一日を見通させたり、身近な出来事を考えさせるようにする。 5.行事の取り組み 行事は教科等の発展学習の場である。行事で子ども達につけたい力を明確にしておき、生徒たちに行 事の目的を話し合わせる。事後には得た経験を日常の生活の中にどう生かすのかを子ども達と話し合 うようにする。 【講義を聴いて塾生が得たことと今後に生かしたいこと】 ・学級経営のあり方をテーマに、中学校班は、藪下先生に実践例を具体的に教えていただきました。大学で学んでも漠 然としたイメージしか抱けなかったので、今回講義を聞いてぜひ試してみたい例が何点かありました。一点目は生徒 理解のために、教師が子ども達が話しかけやすい状態でいることです。職員室で事務作業をしている間でも声をかけ られたら顔を合わせて会話することは当たり前ですが、改めて大切なことなのだということに気付きました。二点目は、 一年を通じて楽しみが増えるようなクラス掲示づくりです。子どもたちにとって居心地の良い場づくりには不可欠だと 思います。教師側としては、学級経営こそが難しくもあり、やりがいのあることなのではないかと思いました。 ・今回の講義では、今まで自分が考えてきたこととは異なることが多く、たくさんの発見をすることができました。そして、 学級経営をするうえで、最初の一週間がどれだけ重要であるかということもよくわかりました。中でも藪下先生がされ たという名前をフルネームで憶え、初日に生徒一人ひとりを呼んだり、生年月日を憶え、一人ひとりに言ったりなどを することによって、教師が生徒のことをどれだけ思っているかが生徒や保護者に伝わると思います。このような熱意 のある姿勢にとても感動しました。生徒からしたら先生が自分のことを少しでも知っていてくれるというのは嬉しいも のであると思うので、このような取り組みは見習っていきたいと思いました。学級経営は学級集団づくりなので、個人 の利害を優先しないようにしなければなりません。そのためにも学級目標を作り、集団で守っていくことが大切になり ます。学級をよりよくしていくためにも、そして、集団生活に慣れるためにも学級目標は重要であると思いました。 7 演習:年度当初の学級経営 ―その手法と展開― 第7班 指導助言 東近江市立玉園中学校 教諭 山本 久美子 氏 ○演習の概要 私たち中学校7班では、担当してくださった山本先生が過去に作成 された学級通信等をもとに、年度初の学級経営に関する話を伺った。 また、学級での集団づくりのためのゲームを数多く教えていただき、 バースデイ・リングやタコとタイなどのゲームのいくつか実践した。 (GO) ○演習で塾生が得たことと今後に生かしたいこと ・現役の先生に学級経営の手法と展開について教えていただきました。山本先生の引き出しの多彩さが印象的でした。 先生の話を聞き、最初の 1 週間が大切だということがわかりました。その 1 週間で大切なことは伝え、学校生活の基 盤を作るということでした。次に集団づくり、なかなか最初から喋れる子どもは少ないため、自然と仲良くなれるような ゲームをする。ゲームを通じて仲良くなるよう工夫する。そのためにもたくさんのゲームを知っておく必要がある。より 良い学級をつくるためには、人を作る環境、生徒と人間関係、魅力ある学級の具体像、この 3 つを築いていくと、より 良い学級になると聞きました。現役の先生の生の話が聞けて本当に吸収することが多かったです。 ・私が本演習で一番印象に残ったのは、学級開きの際、「明日も登校したい」と生徒に思ってもらえるようにすることが 何よりも重要であるということである。演習では、実際にその手法について学んだが、参加者の皆も私も楽しく参加す ることができた。私が学級開きをする際は、これを参考にアイスブレーキングをしていきたいと思う。また、班づくりに ついての手本も印象に残った。まず、生徒一人ひとりから同じ班になりたい人を 5 人挙げてもらい、その後、その中で 班長に立候補してもらう。そして、担任がその班長らと一緒に生徒らの希望を一つは必ず叶うように班を編成していく というものであった。実際、私が班を編成する際、また席替えを決める際には、生徒たちの意見を取り入れていこうと 思った。 第8班 指導助言 彦根市立中央中学校 教諭 山中 健児 氏 ○演習の概要 床にばらまかれたカードに書かれている平仮名をつなげて山中先生の フルネームを当てたり、グループの全員でドミノに挑戦するなど、山中 先生が学級開きの際に実践されていることと、今後実践してみようと考 えておられることを生徒の立場に立って体験した。また、「教師として 最も大切にしたいこと」について全員で意見を出し合った後、「それは 『あい』である」というお話しを伺った。山中先生が以前学級で発行さ れた学級通信を配布してくださり、 「学級通信を『先生から生徒への手紙』としているため、必ず手書き で書いている」といった山中先生の学級通信に対する思いや考え方についても伺えた。 (KY) ○演習で塾生が得たことと今後に生かしたいこと ・年度初めの学級経営は、これから一年間を共に過ごし、学んでいくために大切である。学級を同じ方向に導き、学級 を一つにまとめるために学級目標を立てる。また、年度初めは、生徒同士が相手のこともあまり知らず、コミュニケー ションをとることも少ないので、アイスブレーキングや一緒に何かをしたり、体を動かすようにさせることによって、生 徒は自然と相手を知るようになり、声を掛け合ったりするようにもなる。特別活動をやるにしても、今は自分の引き出 しがとても少ない。それを増やし、どのような手法を用いるかを考えるのに、学校だけではなく、日常生活に焦点を当 8 てそこから自分なりのものを身につけ、学級活動に生かすことも勉強の一つである。また、教師だけでなく生徒の力 を借りることも一つの手法であるということを学びました。(中) ・まず今回の演習はとても楽しかったです。フラフープで遊んだり、ドミノをしたりと、最初は正直バカバカしいと思いまし た。しかし、やってみると面白くて盛り上がりました。今回の演習で少しだけ集団内の距離が近くなりなりました。山中 先生はこのように言われました。「今回フラフープやドミノのゲームに意味はありません。しかし、単純に楽しかったで しょ。意味や意義は後から付いてくるものだから。何事もやってみることが大切です。」この話に感銘を受けました。教 師生活 20 年の方が、常に挑戦し続けていることに驚きました。また、先生は続けてこう言われました。「やってみて失 敗やったら、止めればいいし、成功したら続ければ良いよ。」と。先生は物事をシンプルに考え、意欲的に取り組める 偉大な教員だと思います。私も先生のように、何事にも挑戦し続ける、学び続ける教員になります。(中) 第9班 指導助言 長浜市立浅井中学校 教諭 小川 清美 氏 ○演習の概要 学級開きの際にアイスブレーキングをもたらすレクリエーションと、学級目標のあり方について、演習 等を行なった。その中でもことばカードを並べ替えて意味のある文にする演習では、塾生同士が一丸とな って取り組んだ。講師の小川先生からは、学級開きで大切なことは、先生の考えをしっかり表現し、生徒 の不安を取り除いてやることだという助言があった。(HS) ○演習で塾生が得たことと今後に生かしたいこと □学活などのクラスに時間はレクリエーションを大切にする。最近では、コ ミュニケーションを行う活動が少なくなってきている。毎週一回は、クラス での触れ合う時間を作ること。 □先生の自己紹介を、ただ一方的に話すのではなく、クイズ形式にしてみ たり、記号を並べると「ガンバルクラス」という言葉になるなどの工夫もす る。 □学級スローガンでは、クラス全員が納得したもので、一年間言えるもの、 心に残るものであることが大切である。 □A4の紙に文字が一つずつ書いてあり、グループごとに文字を並べ替えると有名な言葉になる。(感謝の気持ちを 行動で表す)(何かを学ぶには体験以上の学びはない)など □掲示物は前に貼らないようにする。(中には気になって集中できない生徒もいるため) □道徳の時間に出た意見などをピックアップし、この子はこんな意見を持っているんだと他の生徒にも理解させる。 □先生と子ども=人と人(忙しくても面と向かって話す) □どんな学校にしたいか←自分の子どもを通わせたい学校 ・本演習では、学級経営の理論と方法について、さらに具体的、体験的に学ぶことができた。特に、入学や進級後の 3 日間は「勝負の 3 日間」ということで、一日一日をどう過ごすべきか詳しく教えていただいた。演習の中で感じたことは、 教師は良い学級開きのための良き演出家でなければならないということである。新しい生活が始まることへの不安を 取り除き、クラスをつくりあげていく最初の一歩を上手く踏み出すために和やかな雰囲気を作る演出をしなければなら ない。本演習で教えていただいた様々なアイスブレークの手法は、将来現場に出た際にその演出手段として大いに 役立つだろう。 【演習の講評】 湖南市立甲西北中学校 教頭 藪下 和彦 氏 1.演習を聴いて 9 ・演習の指導助言者は多くの引き出し(生徒をこちらに向かせるための手法)を持っている。 ・引き出しは普段の生活の中にも隠れているので、それを見つける努力をすることが大切である。今を 大切に生きるから、引き出しになるいろいろなものが見えてくる。 2. 「先生」と言われる職業について ・社会の目は「先生」という職業に対して厳しい。それだけ責任の大きいものである。その中で「学校 の先生」は子どもたちに夢と感動を与えることができるものである。 ・一つのことを夢中になって続けられるというのは、大事なことである。自分の夢も大事にしてほしい。 ・学ぶことをやめたら教えることをやめなければならない。 【講義への謝辞】 藪下先生には、学年末のお忙しい中ご溝演いただき、本当にありがとうございました。私は教育実習 で子どもたちが、よりよい学校生活を送ることができるのも、教師がよりよい授業をすることができ るのも、その基本となるのは学級経営であるということを痛感しました。そして、学級経営は場当た り的に行うのではなく、理論に基づき、教師が信念を持って行わなければならないと強く感じました。 今目の藪下先生のお話はまさに、学級経営の理論と、どのような信念を持つべきか、ということを具 体的に教えてくださるものでした。なかでも印象的であったのは、学級集団における規律づくりにお いて、教師が「あなたたち一人ひとりが大切だからこそ譲れない」という信念を持つべきであるとい うお話です。ルールや規律に反発しがちな子どもたちも、そのルールや規律に込められた教師の思い を知れば、おのずとそれを守るようになり、よい集団を作ることができるのだと感じました。今日学ん だことを現場に出た際にすぐに自分のものとして使えるよう、これからの学校実地体験や教育実習、 大学での学びに生かしていきたいと思います。言葉足らずですが、御礼の言葉とさせていただきます。 藪下先生、本日は本当にありがとうござました。 (TY) 【高等学校】 講義: 「学級経営を考える」 県立彦根東高等学校 教頭 山下 剛 氏 1.学級経営の法的根拠 ・ 小中学校は基礎となる教育を行うことが中心であるが、高校 は社会に出て自分で生活することを教えることが求められる というように目指すところが違う。 ・ 高校の指導要領には学級という語はなく、ホームルームとい う語が使われている。ホームルームが指導の基本的な場であ り、ホームルーム担任が、指導の中心的な役割を果たす。 2.学校生活の基盤としてのHR ・ HRが学習指導や生徒指導の状況を左右する。安定していれ ばよい結果として現れる。 ・ 担任の力量がそれを決めると言ってもよい。 ・ よい状況のHRでは、担任は何もしていないように見えても、その状態を作るための仕掛けを意識的 あるいは無意識にしている。 ・ 担任は、喜びも大きいが、問題が起きたときに直接対応するという意味で苦悩もある。 10 3.HR経営上の注意点(3つの目を持つこと) ①生徒を理解するための目 ・ ミクロの目:生徒一人ひとりの学力・性格・興味関心・悩み・交友関係などを把握すること ・ マクロの目:集団が集団としてどのような状態になっているかを把握すること ・ 『集団が個人を作る』という観点から、どちらかというとマクロの目の方を注目すべきである。これ までは、一人ひとりを大切にというミクロの目が重視されすぎてきた歴史がある。 ②保護者を理解するための目 ・ 親は自分の子どもだけが大切だというように考えていて、それが自然である。 ・ 生徒の後ろには、親(保護者)の存在があることを常に意識することが必要である。 ・ 教員は保護者と同じようにその子の幸せを願っていることを伝えるようにする。 ③自分を理解するための目 ・ 若いうちは、自分の力量を超えたことをしようとする傾向がある。 ・ 経験豊富な教員の指導などの真似をしても、力量に合わなければ失敗する。 ※高校の教員にあこがれて教員になる人は少ないが、塾生の皆さんは、生徒にあこがれられる先生になっ てほしいし、あこがれて高校の教員になる人を育ててほしい。 【講義を聴いて塾生が得たことと今後に生かしたいこと】 ・高校の学習指導要領には「学級」という呼び方はなく「HR」という表現をしている。小中では「学級」、高校では「HR」と 呼ぶのには文化の違いがあるから、このように使い分けられているとされている。HRは学校の中ですべての基本と なるもので、HR担任の力量によって、落ち着いて勉強できるような雰囲気を作れるが左右されるということを聞き、衝 撃を受けた。「あのクラスの平均点が高いのは、賢い人が多いから」「担任は何もしていないけど、あのクラスは教科 指導が安定しているクラス」という意見があるが、これは少しは生徒の性格等が反映してこのような結果が出ている かもしれないが、その原因の大部分では、陰でHR担任がクラスに対して何らかの仕掛けをしているということを聞き、 今では何気なく安定して学校生活が送れたのは、HR担任のおかげであったのかと思った。HR担任の多くは保護者 対応に苦悩している。HRを経営する上での注意点として①対生徒では、ミクロの目とマクロの目を持つことで、ミクロ の目は個人を十分に見つめる目で、マクロの目はHR担任が見逃しがちになってしまい、これは集団を見つめる目で ある。この目は将来教師になろうとする身としては、しっかりと心にとどめておくべきだと思った。次に②対保護者で生 徒の後ろには必ず保護者がいることを認識すべきであること。ここでは、保護者は『バランスの悪いもの』と理解した 上で対応しなければならない。親を理解し、自分を理解してもらうということが大事である。最後③自分の理解するこ と。新任の時は自分の力量以上の先輩の真似をして失敗するということがある。まず、「自分をみつめる目」をもち、 力量に合った戦術を考えなければならない。以上のように、HR担任は①~③の目を持たなければならない。 ・教員として働くに当たって学級経営は必ず通る道だと思います。高校ではホームルーム担任と言葉は変わるが同様 に大切な存在です。今回の講座はホームルームについて深く考える機会となり、新たな考えが身に付きました。その 中で最も印象に残ったのはホームルームを経営するときには多くの立場から考えるべきだということです。生徒に対 しては個人と集団の両方に注意しなければならなくて、集団が個人を作るという考え方は自分にとって新鮮でした。 保護者に対しては、相手を理解することは勿論のこと、自分を理解してもらうことがいかに大切かを考えるきっかけと なりました。また自分自身を理解して、力量に合った経営をしなければ、上手くできないと感じました。その他にもたく さんのことを得られた講義だったので、しっかりと整理して深く理解したいと思います。 【演習】 学年当初の学級経営 ―その手法と展開― 第 10 班 指導助言 県立河瀬高等学校 11 教諭 濵川 綾 氏 ○演習の概要 班をさらに 3 つのグループに分け、4 月の初めの LHR で配る学 級通信に書く内容を話し合った。学級通信のタイトルや自己紹介に は何を書くのか、クラスのルールを何にするのかなど、先生が実践 されたことを絡めて考えることができた。(KH) ○演習で塾生が得たことと今後に生かしたいこと ・実際に現場の先生の話を聞くことはめったになく、自分の知らない「学級通 信」の作り方を学ぶいい機会となった。私が高校の当時、学級通信を熟読していたかと言われれば、自信を持って読 んでいたとはいえない。しかし、教師は苦悩しており、題名を考えるのも苦労していたことを考えると読むべきだったと 後悔している。いまはもう手元にはないので読むことはできないが、それでも現場の教師にどのような工夫をしてど のようなことを書いているのかを聴く機会をくださったことにとても感謝している。もし、数年後に自分が実際に教師に なった時にしなければならないことを今の段階で学べたのだからとても貴重な体験だったと考える。(高) ・今回の演習では、グループに別れて、4 月始めにクラスで配布する学級通信の内容を考える活動を行った。まず、タ イトルを考えることから始めたのだが、なかなか案が出てこなかった。担任するクラスが決まり、新入生が入学して来 るまでの一週間もないような短い期間で、他の業務もあり多忙を極める中、学級通信の内容も考えなければいけな い。クラスの決まりや生徒へのメッセージなど、今のうちからどのようなクラスにしたいのか、自分の理想とするクラス を想像しておこうと思う。その他、学級通信に載せる内容をグループで討議し、私はクラスのルールを載せようと考え た。今後 1 年間クラスを上手く動かすためには、やはり最初に与える印象の影響がないとはいえない。また、学級通 信は保護者の目にも触れるので、学校や学級の様子を知ってもらう上でも大切な手段だと考える。(高) 第 11 班 指導助言 県立米原高等学校 教諭 三木 崇史 氏 ○演習の概要 入学式の日の学級通信では歓迎の言葉が絶対的に必要だという意 見が出た。また学園祭前のやる気がばらばらなクラスへの対応とし ては、組織の統一のために集団や個に対して声かけをするが、干渉 しすぎてはいけないという意見にまとまった。(HI) ○演習で塾生が得たことと今後に生かしたいこと ・本日の演習では、自分が HR 担任なら、どのような学級通信を配るかと言 ったことを考えた。4 月から、いくつかのシーズンを考えた。私たちは 4 月 のものについて「新しい学校に慣れる」とか「目標を設定する」といった案を考えたが、先生からは「入学おめでとう」と 言う言葉が抜けているとの指摘があり、なるほどと思った。つい目先のことに目を向けがちではあるが、生徒はその 学校に入学するため、それぞれに精いっぱい努力してきたはずだ。その生徒たち、それを支えてくださった保護者の 方に「おめでとうございます」という言葉を送るのは、当たり前のことであると思われるかもしれないが、非常に大切な ことである。また、学園祭などにも一生懸命取り組めるクラスを作るためにも、教師はしっかりとした姿を見せる必要 があり、教師の思いが伝えられているかどうかは生徒の学園祭などの準備に取り組む姿勢を見ればわかるというお 話が印象的だった。(高) ・まず、学級通信づくりをテーマに年度初めの学級経営について討論していった。学級通信の中で何を伝えたいのか がなかなか出てこず、他の塾生や三木先生の視点を聞く中で、先を見通す力が必要であると気付いた。クラスの状 態や個人の気持ちを予測して、望ましい方向に導くために生徒理解をすすめ、伝える内容や伝え方をよりよくしてい かなければならない。特に1年の初めの大切な時期に、目標を持たせたり、ルールを徹底させたり、または、生徒自 12 身が気づくために振り返りをしたりなど、しっかりと働きかけることをしていきたい。また、生徒の自主的な活動におい て日ごろの学級経営の指導力が表れることにも気付いた。ケーススタディーとして、クラスの意識がバラバラの中、学 園祭の企画を決めている状態をどう指導するかというものがあったが、前提としてその状態になっていること自体を 経営上の反省とすべきであるとの指導いただいた。解決策としての指導方法を磨いていくことも大切であるが、自分 の悪い点に気づくことの方が難しいと思うため、教訓として頭に残して、経営力を高めていきたいと思う。(高) 【演習の講評】 県立彦根東高等学校 教頭 山下 剛 氏 1.教師は専門職である。だからしなければならないこと ・ 自分の考えで様々なことをすることができるが、常に自ら成長し続けようとし、それを実行しなけれ ばならない。 2.教師になる前にしておかなければならないこと ・ 何のために教師になるのかという理由をもつこと。理由は、絶対的なものでなければならない。経済 的とか社会的地位といった相対的なものでは、仕事の上で苦しいことがあったとき、それを乗り越え られない。 【講演の謝辞】 山下先生には、学年末のお忙しい中、ご講演いただき、本当にありがとうございました。今日お話しい ただいた学級経営は、私たちが、教員になった時に、学習指導や生徒指導とともに最も重要なものであり、 それだけにうまくできるだろうかと不安に思っているものです。私は、今日の山下先生のお話の中で、特 にミクロの目とマクロの目の話が印象に残りました。個人を見ることも大切ですが、大切にしすぎると学 級崩壊へと導いてしまうということを先生のお話の中で知りました。集団が個人をつくるという意識を常 に持ち、生徒とかかわり、生徒保護者自分を見つめていこうと思いました。今日のお話を聞いて、よりよ い学級経営のために、今できることを意識して、これからの大学生活をすごしていきたいと思います。言 葉足らずですが、御礼の言葉とさせていただきます。山下先生、本日は、本当にありがとうございました。 (高 MK) 【1分間スピーチ】 (1)私は現在短大で、小学校教諭、幼稚園教諭、保育士の勉強 をしています。今日 1 月 17 日は、丁度 20 年前に阪神大震災 があった日です。私は、その当時母のお腹の中にいて、地震 が来たときに、瞬時に母はお腹を抱えたと言います。その 16 年後、中学卒業を前にして、また、大きな災害がありました。 私たちが卒業を迎えようとしている中で、私たちと同い年の 子が行方不明だったり、また、卒業式を迎えることができな いと知り、とても複雑な気持ちになりました。現在もたくさんの方の遺体が見つからないことにとて も心が痛いです。成長していくにつれてたくさんの人と出逢い、そして、別れがあり、もっと人に感 謝して生きていきたいと思いました。今日はいつもより、そんなことを思いながらすごしたいと思い ます。ご清聴ありがとうございました。 (小 M.S) 13 (2)皆さん、こんにちは。今日は大学でやっている授業で社会 調査実習というのがあるんですけれども、それについてお話した いと思っています。その授業は実習形式のものなんですけれども、 私はその中で石炭産業というのを調査しています。石炭産業とい うのは戦後のエネルギー政策の中で衰退してしまった産業なんで すけれども、私は、その産業の中で、働いていた強制労働の方々、 囚人労働とか外国人強制労働について調査しています。9 月には 北海道を訪れて、6 日間で現地調査も行ってきました。特に囚人 労働というのは戦前の話で、経験を語れる人というのはかなり少なくなっています。現地で石炭産業 を伝えようとしている人はすごく多くて、そういう活動もされているんですけれども、いわばそれは 日本の負の歴史となってしまうので、後回しになっている事柄です。でも、二度と繰り返してはなら ないことなので、こういうことがあったというのは、伝えていかなければならないだと思います。私 は社会の教員を目指しています。今話したことというのは、テストに出ないことなんですけれども、 そういうことを伝えられる教員になりたいと思っています。言葉足らずになりましたが、これで終わ りとさせていただきます。ありがとうございました。 (中 H.S) (3)こんにちは。せっかくの機会なので、私自身が大学で頑張っ ていることについて話させていただきたいと思います。よろし くお願いします。私は、 『よさこい』サークルに所属しています。 皆さん、 『よさこい』をご存知ですか。簡単に言うと、踊るサー クルです。普段の練習では仲間と切磋琢磨し合い、各地のお祭 りでは観客のお客様に笑顔と元気を届けられるように一生懸命 踊っています。この経験を通して、人の繋がりが人の心を動か すということを学びました。また、全国で『よさこい』をしている学生を対象とした本州交流会を実 行委員長として主催させて頂きました。その経験を通して、私は一生を共に歩める仲間づくりの素晴 らしさを再確認しました。このような『よさこい』を通して経験したことは、将来、教育現場でも生 かすことができるのではないかと考えています。皆さんとも深い友情を築き、そして、ここにいる仲 間一人も欠けることなく、教員になれたらと思っています。ご清聴ありがとうございました。(高 F.S) 14