...

NPOによる海外被災地での復興支援活動 のあり方に関する一考察

by user

on
Category: Documents
7

views

Report

Comments

Transcript

NPOによる海外被災地での復興支援活動 のあり方に関する一考察
第1回防災計画研究発表会
2006/10/21
NPOによる海外被災地での復興支援活動
のあり方に関する一考察
海外被災地の復興支援活動
公
公 各国政府・国連機関
(日本はスマトラ地震津波後に約500億円の無償支援)
民
民 国際赤十字・赤新月社運動
非政府機関(NGO)・非営利組織(NPO)
地震
地域活動
寄付金
(義捐
金)
防災力向上へ
直後:支援の波
現状回復へ
疑問1:復興支援はどの時期まで?
東京大学生産技術研究所
吉村 美保
本研究の流れ
①2004年スマトラ島沖大地震後のNPOに
よる活動状況をレビュー
疑問2:中長期的な復興支援を発展させれば、NPOによる
現地での地域防災力の向上が可能になるのではないか?
2004年12月スマトラ島沖地震津波の被害
インド:
死者 1万5000人
(総人口の0.0015%)
②中長期的な復興支援事例の比較
③中長期的な復興支援のための必要条件
の分析
スリランカ:
死者 3万人以上
(総人口の0.16%)
震源
M9.0
タイ:
死者5000人
(総人口の0.008%)
インドネシア:
死者11万3000人
(総人口の
0 05%)
ジャパン・プラットフォーム(JPF)の役割
・NGO、NPO、経済界、外務省が一体となった認定NPO法人
・JPF加盟は規模が大きく実績の豊富な団体に限られる
(日本赤十字社・4社団法人・15NPO・3NGO)
現地で活動した日本の団体
元データ:国際協力NGOセンター(JANIC)寄付紹介サイト
インド:21団体
0
5
タイ:18団体
10
0
JPF:43%
NPO
企業・市民からの寄付金
財団法人
審査・助成
活動支援
は1年のみ
報告
初動ニーズ調査: 第一期事業: 第二期事業:
第三期事業:
12.28-1.10
1.7-3.23
3.4-7.1
8.1-2006.1
8団体2323万円 9団体3.4億円 11団体2.7億円 6団体3千万円
災害直後から豊富な助成金で活躍できる
スリランカ:56団体
0
20
0
30
社団法人
NPO
5
10
JPF:71%
社団法人
財団法人
財団法人
JPF
非JPF
その他
その他
JPF
非JPF
インドネシア・スリランカではNPOの半数がJPFに加
入しており、事業終了後にほぼ現地を撤収している
・寄付金は日本赤十字社やユニセフ、自治体(兵庫
県募金委員会など)に集中し、 NPO・NGOには集ま
りにくい.
スマトラ沖地震以降の寄付金収入
100
90
80
(寄付金の一部を人件費 70
60
とするため)
50
40
30
20
10
0
10
インドネシア:20団体
JPF:56%
NPO
JPF
非JPF
その他
事例:スリランカでのNPO活動
JPFに加盟していない団体の問題点
・寄付金収入少ない 億
→人件費不足
JPF:22%
財団法人
JPF
非JPF
その他
JPF
10
社団法人
社団法人
外務省ODA基金
5
NPO
NGO29団体
日本ユニセフ協会
日本赤十字
→ 活動への制約
→ 中長期的な活動は
そもそも難しい
団体名
J
P
F
参
加
団
体
そ
の
他
物資・サービス提供 内容
日程
H17.1.7-2.20
H16.12.29H17.2.7-3.23
場所
南部
内容
難民を助ける会
生活用品1600世帯分(鍋・包丁・食器等)
被災現場での電話サービス展開
BHNテレコム支援協議会
5県災害対策本部に対し、VHF無線網の確立(110台)
ハンバントタ県に対し、FM放送網を確立
JEN
H17.1.20-3.5 南部
生活物資2000世帯分(キッチンセット・ランプ他)
H17.1.11-2.24 東部
避難用シェルター449世帯分
生活物資1030世帯(衣類、水・食料・生活用品他)
住宅修理466世帯分、戸別トイレ・共同トイレ修理
H17.4.5-7.1
東部
避難用シェルター199棟、共同トイレ108世帯、生活物資339世帯
住宅修理320世帯分、戸別トイレ修理(59世帯)
H17.4.4-6.24 東部
漁船ボート164隻、船外機68台、魚網類164セット(1574世帯)
日本紛争予防センター
H17.4.4-6.24 東部
漁船ボート27隻、船外機27台、魚網類26セット(379世帯)
左官・石工職再開支援50セット(379世帯)
大工職再開支援セット(379世帯)
脱穀機5台(235世帯)
伝統織機産業の再生支援51セット(71世帯)
災害人道医療支援会
H17.1.12-2.25 東部
外来診療所の運営(患者数150人/日)
国際平和協力センター
H17.3.7-6.24 東部
テレビの設置、応急医療セットの配布
難民を助ける会
H17.12.28南部
学用品2200セット、生活用品3000世帯分(鍋・やかん・バケツ等)
れんげ国際ボランティア会 H17.1医薬品の供与
ブリッジ エーシア
H17.1-
北東部 船のエンジン修理作業
アジア太平洋資料センター H17.1ー
北部
船・魚網の供与、仮設住宅建設用のヤシ加工技術支援
NPOの特色:災害直後からの「点」での活動
1月24日
2月4日
3月24日
5月16日
(JANIC)
⇔政府系:「面」的で公平な活動
中長期的な復興支援は無理??
事例①:ワールド・ビジョン・ジャパン
◆スマトラ島でのNPO活動レビューまとめ
JPF団体:助成(1年)終了後は撤収
非JPF団体:寄付金額による活動制約
◆チャイルド・スポンサーシップ
:災害・戦禍等で苦しむ子供の支援
市民
国内約2万人
寄付
・使途を明示した寄付
ワールド・ビジョン・ジャパン
◆既存の復興支援例に関するヒアリング調査
◆中長期にわたって継続して復興支援を行う
ための必要条件を分析する.
ワールド・ビジョン現地事務所
・現地モニタリング
・アカウンタビリティー:成長報告
世界で270万人
子供を取り巻く
地域の環境整備
・子供ではなく地域へ
事例②:CODE海外災害援助市民センター
事例③:大和証券グループ津波復興基金
◆ぶどうプロジェクト
スマトラ沖地震津波被災地域への企業と
NGOの協働による復興支援
アフガニスタンカブール郡でタリバン政権
に破壊されたぶどう畑の再生
市民
寄付
CODE
1285人
約1000万円
・使途を明示した寄付
現地の評議委員会(シューラ)
・現地モニタリング
・アカウンタビリティー:
ぶどう新聞
フェアトレード
貸付
返済義務
自立をのぞむ支援へ
ぶどう農家(苗・カレーズ修
復)
数値は2006年3月31日現在
寄付1億円
・企業のCSR活動
・企業とNGOの協働
社員
大和證券グループ
・現地モニタリング
日本のNGO(ACC21)
現地NPO
貸付や支援
10年間×1千万円
(100万円はACC21へ)
・アカウンタビリティー:報告
インドネシア・インド・スリランカ市民
中長期的な復興支援のための必要条件
中長期的な復興支援のための提案
◆収入(寄付金)の確保
・寄付金の使途の明確化(基金設立)
・寄付呼びかけのメッセージ性
・企業との協働
◆現地の自立につながる支援内容
・腐敗防止
◆現地モニタリングによるニーズ把握
・信頼できる仲介現地パートナー
◆寄付者へのアカウンタビリティー
・寄付者への情報還元・フェアトレード
◆ジャパン・プラットフォーム(JPF)
・現状の事業は1年間→中長期にわたる復興支援や
防災教育・地域防災力向上活動にも助成を行うべき.
◆自治体・企業・市民
・JPFや日本赤十字社だけでなく、NPOへの支援事業
にも目を向けるべき
・平常時からのネットワーク化
・企業の場合、CSR活動の一環として意味づけられる.
◆NPO
・信頼性向上への努力、PRによる認知度アップ
Fly UP