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SAPとOracle AIA Foundation Packの統合

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SAPとOracle AIA Foundation Packの統合
Oracleホワイト・ペーパー
2009年10月
SAPとOracle AIA Foundation Packの統合
SAPとOracle AIA Foundation Packの統合
はじめに
企業は現在、さまざまな理由から、各業務領域内のアプリケーション資産や事業部門の枠を越えて、ビジネ
ス・プロセスを実装する必要に迫られています。さらに、これらの実装は、新たなビジネス・モデルや合併・
買収、法的要件の変化に伴って頻繁に変わるビジネス要件に合わせて、柔軟に変更されなければなりません。
企業が市場で成功するには、これらのビジネスプロセスの柔軟性を実現する必要がありますが、企業のシス
テム環境内でこれらのプロセスを実現するための技術的な実装に労力を費やしている余裕はありません。
Oracle Application Integration Architecture(Oracle AIA)は、このような課題に含まれるさまざまな要件に対応
しています。Oracle AIAはプログラミング・モデルやリファレンス・アーキテクチャ、およびベスト・プラク
ティスを提供することで、アプリケーション間の統合を推進します。Oracle AIAは完全な汎用モデルとして、
あらゆる種類のアプリケーションを統合する手段を提供することで、ビジネス・プロセスがいくつの異種ア
プリケーション・システムにまたがっていても、一貫したビジネスプロセスの構築を可能にします。
その他多くのアプリケーションと同様に、SAPアプリケーションも当然、統合の1候補になります。SAPアプ
リケーションはオラクルの顧客が保有しているシステムに含まれることが非常に多く、たとえば財務管理や
ERPの領域で使用されています。Oracle AIAは、迅速かつ持続可能な方法でSAPアプリケーションを統合する
ために必要な、アーキテクチャ上の機能、概念的機能、技術的機能のすべてを備えています。これらの統合
では、クラス最高のOracle Fusion Middlewareをサービス指向アーキテクチャ(SOA)の基盤として使用する
ことで、最先端の柔軟な統合が実現されます。
このホワイト・ペーパーの目的は、Oracle AIAがSAP統合において正しい選択となる理由を明らかにすること
です。また、次の内容について説明します。

Oracle AIAの正規化データ・モデルがSAPデータ・モデルとのマッチングに適している理由

Oracle AIAからSAP環境への接続の確立方法

Oracle AIAのガイドラインに従って、SAP向けの事前構築済み統合製品を提供している事例
SAPとOracle AIA Foundation Packの統合
Oracle Application Integration Architectureの概要
Oracle AIAは、ユーザー中心型の迅速なビジネス・プロセスを、複数のエンタープライズ・アプリケーション
をまたいで構築するための、もっとも完成度の高い統合ソリューションです。
図1:Oracle AIA製品
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SAPとOracle AIA Foundation Packの統合
Oracle AIA製品には、次のものがあります。

プロセス統合パック(PIP):オラクルおよびオラクル以外のアプリケーションの両方にまたがるコンポ
ジット・ビジネス・プロセスに対応した事前構築済みの統合パッケージです。

Foundation Pack:ビジネス・プロセスを構築するためのフレームワークであり、アーキテクチャ・モデ
ルとプログラミング・モデル、ベスト・プラクティス、ユーティリティに加えて、アプリケーションに依
存しないエンタープライズ・ビジネス・オブジェクト(EBO)とエンタープライズ・ビジネス・サービス
(EBS)を提供します。Oracle AIAユーザーはこのフレームワークを使用して、標準化されたアプリケーショ
ン間プロセス統合を開発できます。ファウンデーション・パックを使用することで、SOAの導入が加速さ
れると同時に、ベスト・オブ・ブリードのアプリケーション間の統合をスピーディに構築できます。

直接統合:大量のバッチ・データ統合に使用されるOracle Data Integratorをはじめとする、SOA統合の効果
を高めて支援します。
Oracle AIA製品は、受賞歴のあるOracle Fusion Middlewareテクノロジーを活用しています。特に、Oracle AIA
Foundation Packとプロセス統合パックはOracle SOA Suite上で実行されています。
エンタープライズ・ビジネス・オブジェクト
Oracle AIAの中心機能であるEBOは、請求書やサービス・リクエストなどのビジネス・エンティティをアプリ
ケーションに左右されない形式で表現したものです。このデータ・モデルは正確に正規化されており、国連
定義の電子取引フォーマット(UN/CEFACT)やOpen Applications Group Integration Specification(OAGIS)、
その他のコンソーシアムによって規定された、実績ある業界標準に準拠しています。
これらのEBO定義に基づくメッセージは、エンタープライズ・ビジネス・メッセージ(EBM)と呼ばれます。EBM
は、作成、見直し、更新、削除(CRUD)などのビジネス・オブジェクトに対する一般的操作に加えて、特定のオブ
ジェクトに関連するその他の操作をサポートしたペイロード定義を提供します。
Oracle AIAの正規化データ・モデルがSAP統合に適している理由
OracleアプリケーションとSAPは、コンテンツ標準メソドロジーと業種共通ビジネス・コンテンツ標準に関す
る共同の取組みを続けています。具体的に言うと、オラクルは、UN/CEFACTによるコア構成要素技術仕様
(CCTS)とOAGISをサポートしています。これらの仕様は、企業がビジネスプロセス統合を実現するために
使用できる"標準のための標準"プラットフォームを提供しています。
Oracle AIAは、AIAエンタープライズ・オブジェクト・ライブラリ内でこれらの仕様をサポートすることで、
この"標準のための標準"プラットフォームを実装しています。SAPは、SAP Global Data Type(GDT)を通じ
てCCTSをサポートしていることを表明しています。
Oracle AIAはこのプラットフォームをサポートすることで、中間ドキュメント(IDoc)、Business Application
Programming Interface(BAPI)、GDTなどの、SAPに含まれるあらゆる種類の統合ポイントとの統合を実現し
ます。
エンタープライズ・ビジネス・サービス
EBSは、ビジネス・オブジェクトに対してビジネス・サービスを実装したものです。サービスのリクエストおよびレ
スポンスのペイロードとしてEBMを利用することで、EBSは正確に正規化された再利用可能なエンタープライズ・
サービスを構築します。EBSはOracle AIAに基づく統合の中核として、サービス抽象化レイヤーを提供することで、
ビジネス・プロセスに参加するアプリケーション間の疎結合を可能にします。
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SAPとOracle AIA Foundation Packの統合
アプリケーション・ビジネス・コネクタ・サービス
統合(リクエスタとプロバイダ)の対象となるアプリケーションは、ビジネス・エンティティに対して、そ
れぞれ独自のデータ・モデルを保持しています。これらのデータ・モデルが、Oracle AIAのEBMに対して100%
の互換性を持たないことも少なくありません。アプリケーション・ビジネス・コネクタ・サービス(ABCS)
は、アプリケーション・ビジネス・メッセージからEBMへ、またその逆の変換処理を行います。ABCSはメッ
セージを検証し、補完した上で、必要な変換を実行します。リクエスタはプロバイダに関して、またプロバ
イダはリクエスタに関して何の情報も持たないため、ABCSによって対象アプリケーションは隠ぺいされるこ
とになります。これにより、対象アプリケーションに変更があった場合は、ABCSの変更のみが必要になるた
め、最大限のサービス再利用性が実現されます。
あらゆる統合を実現するOracle AIAリファレンス・アーキテクチャ
これらのコンポーネントを使用してOracle AIAによって構築された、実績のあるSOAリファレンス・アーキテ
クチャを使用することで、SAPを含むあらゆる種類のアプリケーションに対して最先端の統合を実現できま
す。図2に、Oracle Siebel、Oracle E-Business Suite、SAPを含む統合シナリオを示します。一部のアプリケーショ
ンに対しては、接続を確立するためにアダプタが使用されている点に注意してください。
図2:EBO、EBS、EBM、ABCSを利用したOracle AIAリファレンス・アーキテクチャによる複数アプリケーションの統合
SAP統合ポイントへの接続の確立
Oracle Fusion Middlewareは、企業内で稼働しているほとんどすべてのアプリケーションに対する接続を提供
します。これは、Java EE Connector Architecture(JCA)標準に準拠したアダプタの幅広い提供を通じて実現さ
れています。図2では、アプリケーションとの接続を確立するために、Oracle AIAリファレンス・アーキテク
チャでアダプタがどのように使用されているかが示されています。
Oracle SOA Suiteには、データベース、FTPサーバー、その他のテクノロジーに対する接続を確立するための
豊富なテクノロジー・アダプタが付属しています。また、多くのベンダーから、テクノロジー・レベルでは
なくアプリケーション・レベルで接続するJCA準拠コネクタが提供されています。これらのアダプタには、
オラクルが提供するOracleアプリケーション・アダプタや、iWayが提供するSAP ERPアダプタなどがありま
す。
iWayのSAP向けアダプタは、BAPI、リモート・ファンクション・コール(RFC)モジュール、IDocといった、
よく使用されるSAP統合ポイントのすべてに対応しています。
iWayのSAP向けアダプタは、これらの標準統合ポイントやカスタム統合ポイントに対する中心的な接続機能
を提供するだけでなく、次の機能を提供しています。

R/3とECCを含む、現行のSAPリリースのサポート

高度な設計時サポートによる、SAP統合ポイントの参照

構成ページとテスト・ページによるセットアップおよび検証の簡素化
Oracle AIAを使用したSAP統合では、ABCSとiWayアダプタが連携してSAPとのインタラクションを処理しま
す。たとえば、SAP内の注文に対する更新を、ビジネス・プロセスの一部としてその他のアプリケーション
に伝播する必要がある場合に、SAPからの送信メッセージでこれを実現する方法を次の図3に示します。
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SAPとOracle AIA Foundation Packの統合
図3:ABCSとiWay SAPアダプタを使用した、SAPからの送信メッセージの概念的処理図
SAP環境への接続の確立方法について、詳しくはホワイト・ペーパー『Connecting to SAP with Oracle AIA』を
参照してください。
SAPとOracle AIAプロセス統合パックを使用した事例:Order to Cash
多くの事前構築済みプロセス統合パック(PIP)に加えて、オラクルはSAPとの統合を実現するPIPを提供し
ています。次にその例を挙げます。

Agile Product Lifecycle Management Integration Pack for SAP: Design to Release

Oracle Order to Cash Integration Pack for Siebel CRM and SAP(Oracle AIA Release Vehicle 2.5で提供)

Oracle Customer Master Data Management Integration Option for SAP(Oracle AIA Release Vehicle 2.5で提
供)
このセクションでは、Oracle AIA PIPとSAPの統合方法を示す例として、Oracle Order to Cash Integration Pack for
Siebel CRM and SAPを使用します。図4に、Oracle Order to Cash Integration Pack for Siebel CRM and SAPによっ
て実現される統合で発生する代表的なプロセスの概要を示します。
図4:Oracle Order to Cash Integration Pack for Siebel CRM and SAPの機能フロー概要図
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SAPとOracle AIA Foundation Packの統合
この図から、基本的に、すべてのCRM機能(案件や受注処理など)の管理にはSiebelが使用されており、SAP
はERPとしての役割を果たしていることが分かります。ただし、共同で責任を持つ領域(紫で表示)も存在
しており、統合ソリューションはこの部分に対応する必要があります。たとえば、顧客データの管理はSiebel
とSAPの両方で実行されているため、PIPには顧客データを同期するための同期メカニズムが構築されている
必要があります。
図5はこのソリューションを次のレベルへと掘り下げたものであり、これを見ると、注文処理の統合フローを
実装するために必要なOracle AIA定義体が明らかになります。この統合では、取得された注文をSiebelからSAP
へと伝播するだけでなく、要求された顧客アカウントがSAPに存在しない場合は処理中に作成するため、比
較的複雑な統合になっています。
図5:SiebelとSAP間の注文処理統合フロー
このフローで、Oracle AIAは、提供されているSAP統合ポイントの中から最善のポイントを使用できる点に注
意してください。この例でPIPは、顧客の作成と注文の更新に対してはSAP iDocインタフェースに接続してお
り、新規注文を作成するためにはBAPIを使用しています。
結論
Oracle AIA Foundation Packは、最先端の統合を実装したいと考える組織にとって正しい選択です。カスタムの
AIA統合を構築するか、またはオラクルやその他のベンダーによって提供されている事前構築済みのAIA PIP
を実装することで、組織は、Oracle AIA Foundation Packが提供する実証済みのアーキテクチャおよびメソドロ
ジーを利用できます。
SAPアプリケーションはこの概念に申し分なく適合します。オラクルはSAP向けのOracle AIA PIPをもって、
SAPの統合も、ベンダーや接続オプションに関係なく、その他のアプリケーションと同じ方法で実現できる
ことを証明しました。
SAP向けのOracle AIA PIPは、最新の柔軟な統合ソリューションを構築するためにAIAアプローチが適切に取
り入れられていることを裏付けるものです。
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SAPとOracle AIA Foundation Packの
統合
2009年10月
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